(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、硬質プラスチック製の飲み口では開口部に対して十分なシール性を確保することができず、飲み口と開口部との隙間から飲料が漏れ出るおそれがある。
【0005】
一方、ゴム製品に口を付けることに嫌悪感を覚える者も少なくないため、ゴム製の飲み口は、ユーザに対して不快感を与えるおそれがある。
【0006】
本発明の課題は、容器本体の開口部に対する飲み口のシール性を十分に確保することができると共にユーザが良好な口当たりを感じることができる飲料容器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1局面に係る飲料容器は、容器本体および飲み口部を備える。容器本体は、上方に開口する。飲み口部は、容器本体の上端部(上述の「開口部」に相当する)に取り付けられる。なお、この飲み口部は、容器本体に対して着脱自在に取り付けられてもよいし、容器本体に恒久的に取り付けられてもよい。そして、飲み口部は、内層部および外層部から構成される。
そして、内層部の上端部の外周面は、外層部で覆われる。内層部は、弾性体から形成されており、容器本体側に位置する。なお、ここにいう「弾性体」とは、ゴム及びエラストマーであって、例えば、シリコーンゴム等である。外層部は、弾性体よりも硬質な材料(以下「硬質材料」と称する)から形成されており、内層部の外側に位置する。また、ここにいう「硬質材料」とは、例えば、硬質プラスチック(例えば、ポリプロピレン系樹脂・ポリスチレン系樹脂・アクリル系樹脂等の熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂全般)、半硬質プラスチック(例えば、ポリエチレン系樹脂、ポリテトラフルオロエチレン系樹脂等)、セラミックス、ガラス等である。また、この飲み口部は、内層部が上端部の外周面および内周面の少なくとも外周面に接するように上端部に取り付けられる。なお、飲み口の内層部が上端部の外周面および内周面の両方に接触する場合、内層部には、下端から上方に向かって延びる取付溝が形成されるのが好ましい。また、外層部は、内層部と一体化されていてもよいし、別体とされていてもよい。また、飲み口部は、内層部と外層部との間に中間層部を有していてもよい(つまり、飲み口部は、三層以上の層から構成される多層構造体であってもよい)。
【0008】
この飲料容器では、上述の通り、容器本体の上端部に、弾性体製の内層部と硬質材料製の外層部とから構成される飲み口部が取り付けられる。このため、この飲料容器では、飲み口部は、飲料容器の上端部(開口部)に対して十分なシール性を確保することができる。また、この飲料容器では、ユーザの下唇が弾性体ではなく硬質材料に接触することになる。このため、この飲料容器では、ユーザに対して良好な口当たりを感じさせることができる。したがって、この飲料容器では、容器本体の開口部に対する飲み口部のシール性を十分に確保することができると共に、ユーザが良好な口当たりを感じることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の一実施形態に係る飲料容器の外観斜視図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る飲料容器の縦断面図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係る飲料容器の容器本体の縦断面図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係る飲料容器の蓋体の縦断面図である。
【
図5】本発明の一実施形態に係る飲料容器から蓋体を取り外したときの状態を示す斜視図である。
【
図6】本発明の一実施形態に係る飲料容器を構成する容器本体および飲み口部材の斜視図である。
【
図7】本発明の一実施形態に係る飲料容器を構成する飲み口部材の分解斜視図である。
【
図8】本発明の一実施形態に係る飲料容器を構成する飲み口部材を縦方向に切断したときの図である。
【
図9】本発明の一実施形態に係る飲料容器を構成する飲み口部材の底面図である。
【
図10】変形例(B)に係る飲み口部材を縦方向に切断したときの図である。
【
図11】変形例(C)に係る飲み口部材の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の実施の形態に係る飲料容器100は、マグボトル型の飲料容器であって、
図1、
図2、
図5および
図6に示されるように、主に、容器本体200、飲み口部材400および蓋体300から構成されている。以下、これらの構成要素それぞれについて詳述する。
【0011】
<飲料容器の構成要素> (1)容器本体 容器本体200は、上方が開口したステンレス製の真空二重構造容器であって、
図2および
図3に示されるように、内容器210および外容器220から構成されている。すなわち、容器本体200は、内容器210と外容器220との間に存在する密閉空間SPv(
図2および
図3参照)を真空状態とし、断熱機能を付与したものである。このため、この容器本体200は、内部空間SPiに保持される飲料を保温することができる。なお、上述の密閉空間SPvは、
図2および
図3に示されるように、内容器210の上端部分と外容器220の上端部分とが全周に亘って気密に接合(溶接)されることにより形成されている。
【0012】
そして、この内容器210の上部には、
図2に示されるように、くびれ部216および開口部213が形成されている。なお、開口部213は、
図2および
図3に示されるように、くびれ部216の上に形成されている。また、この開口部213の内周には、
図2、
図3および
図6に示されるように、雌ネジ部211が形成されている。この雌ネジ部211は、蓋体300に設けられる雄ネジ部321(
図4参照)と螺合することができる。
【0013】
外容器220は、
図2および
図3に示されるように、主に、円筒側壁221および底壁222から形成されている。なお、円筒側壁221は、底壁222と気密に接合されている。また、円筒側壁221の上部には、
図3に示されるように、小径部223が形成されている。また、この小径部223の高さ方向略中央部には、
図3および
図6に示されるように、外方に向かって突起する円環状の突起部224が全周に亘って形成されている。この突起部224は、飲み口部材400に形成される凹部422(
図6〜
図8参照)に嵌り込むことができる。
【0014】
なお、以下、説明の便宜のために、内容器210の開口部213と外容器220の小径部223とを合わせたものを上端部215(
図3および
図6参照)とする。
【0015】
(2)飲み口部材 飲み口部材400は、
図5および
図6に示されるように円環状(円筒状)の部材であって、
図7〜
図9に示されるように、内層部420および外層部410から構成されている。
【0016】
内層部420は、
図7に示されるように、円環状(円筒状)の成形体であって、例えば、シリコーンゴム等のゴムまたはエラストマー等の弾性体から形成されている。なお、この内層部420の内周の高さ方向略中央部には、全周に亘って円環状の凹部422が形成されている。この凹部422は、上述した通り、円筒側壁221の小径部223に形成される円環状(円筒状)の突起部224に嵌り込むことができる。また、この内層部420の下部には、アンダーカット部421が形成されている。このアンダーカット部421は、外層部410のアンダーカット部411(
図7参照)に嵌合し、内層部420から外層部410を外れにくくする役割を担っている。
【0017】
外層部410は、例えば、硬質プラスチック(例えば、ポリプロピレン系樹脂・ポリスチレン系樹脂・アクリル系樹脂等の熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂全般)、半硬質プラスチック(例えば、ポリエチレン系樹脂、ポリテトラフルオロエチレン系樹脂等)又はセラミックス、ガラス等、上記弾性体よりも硬質な材料(以下「硬質材料」と称する)から形成されている。また、この外層部410は、
図8に示されるように、内層部420に装着されたときに内層部420の上部を覆うように形成されている。
【0018】
なお、この飲み口部材400は、
図2に示されるように、蓋体300が容器本体200に装着されている状態において、蓋体300の円筒側壁部311、上壁部312および栓部320(後述)に囲まれた空間SPjに収容されている。なお、この場合、飲み口部材400は、円筒側壁部311、上壁部312および栓部320(後述)のいずれにも接触していない。
【0019】
(3)蓋体 蓋体300は、
図2および
図4に示されるように、主に、蓋部310、栓部320、断熱材330およびシール部材340から構成されている。
【0020】
蓋部310は、
図2および
図4に示されるように、円筒側壁部311および上壁部312から構成されている。円筒側壁部311は、
図2および
図4に示されるように、上壁部312の縁から下方に向かって延びている。
【0021】
栓部320は、上壁部312に接合された有底の円筒状部材であって、上壁部312の下面から下方に向かって延びている。なお、この栓部320は、平面視において円筒側壁部311に囲まれている。なお、この栓部320の内部には、断熱材330が充填されている。また、この栓部320の高さ方向中央部には、雄ネジ部321が形成されている。この雄ネジ部321は、上述の通り、内容器210の雌ネジ部211に螺合することができる。そして、この栓部320は、蓋体300が容器本体200に装着された状態において、後述のシール部材340と協働して内部空間SPiを密閉する。
【0022】
シール部材340は、シリコーンゴム製の環状部材であり、栓部320の下端部の外周に装着されている。このシール部材340は、蓋体300が容器本体200に装着されたとき、すなわち、蓋体300の雄ネジ部321が内容器210の雌ネジ部211に完全に螺合されたとき、内容器210のくびれ部216の上部に当接して栓体320と協働して内部空間SPiを密閉する。
【0023】
<本発明の実施形態に係る飲料容器の特徴> (1) 本発明の実施の形態に係る飲料容器100では、飲み口部材400が、弾性体から形成される内層部420と、硬質材料からなる外層部410とから構成されている。そして、この飲み口部材400は、内層部420が容器本体200の上端部215の外周面に接触するように、上端部215の外周に装着される。このため、この飲料容器100では、飲料容器100の高さ及び収納容量を変更する必要なくユーザに対して良好な口当たりを感じさせることができると共に、容器本体の上端部の内周に飲み口部材が取り付けられる場合に比べて、飲み口寸法を大きく確保することができる。
【0024】
また、この飲み口部材400は、上述の通り、外層部410が硬質材料から形成されていることから、保形性がよく、洗浄しやすいだけでなく、容器本体200からの着脱が容易となっている。また、飲み口部材400を容器本体200の上端部215に乗せた状態で上から蓋体300を装着すれば、蓋体300の装着と同時に飲み口部材400の装着を完了することができる。
【0025】
(2) 本発明の実施の形態に係る飲料容器100では、飲み口部材400に凹部422が形成されており、飲み口部材400が容器本体200に装着されるとき、その凹部422が、容器本体200の突起部224に嵌り込む。このため、この飲料容器100では、ユーザは装着感を感じることができると共に、飲み口部材400を容器本体200にしっかりと固定すること
ができる。
【0026】
また、上述の突起部224は外周面の断面形状が円弧状とされている。このため、この飲料容器100では、飲み口部材400を比較的容易に容器本体200から取り外すことができる。
【0027】
(3) 本発明の実施の形態に係る飲料容器100では、蓋体300は、容器本体200に装着されたとき、飲み口部材400の側面を全て覆う。このため、この飲料容器100では、容器本体200から飲み口部材400が取り外された状態であっても良好な外観を維持することができる。
【0028】
(4) 本発明の実施の形態に係る飲料容器100では、シール部材340は、蓋体300が容器本体に装着されたときに容器本体200のくびれ部216の上部に当接して容器本体200の内部空間SPiを密閉する。このため、この飲料容器100では、容器本体200から飲み口部材400が取り外された状態であってもその内部空間SPiを密閉することができる。したがって、この飲料容器100は、容器本体200から飲み口部材400が取り外された状態でも使用することができる。
【0029】
(5) 本発明の実施の形態に係る飲料容器100では、飲み口部材400は、蓋体300が容器本体200に装着されている状態において、蓋体300の円筒側壁部311、上壁部312および栓部320(後述)に囲まれた空間SPjに収容されており、円筒側壁部311、上壁部312および栓部320(後述)のいずれにも接触していない。このため、この飲料容器100では、飲み口部材400が蓋体300の開閉の妨げになることがない。
【0030】
<変形例> (A) 先の実施の形態に係る飲み口部材400は、円環状の内層部420と円環状の外層部410とが組み合わされて形成されていた。しかし、飲み口部材は、部分円筒状の外層部を円環状の内層部420に接着させて形成されてもよい。少なくとも人の口の幅の分だけ外層部を用意すれば、本発明の効果を享受することができるからである。
【0031】
(B) 先の実施の形態に係る飲み口部材400では、外層部410が内層部420に装着されたときに、外層部410が内層部420の上部を覆うように、外層部410および内層部420が形成されていた。しかし、この飲み口部材400が、
図10に示されるような飲み口部材400aに置き換えられてもよい。この飲み口部材400aでは、
図10に示されるように、外層部410aが内層部420aに装着されたときに、内層部420aが外層部410aの上部を覆うように、外層部410aおよび内層部420aが形成されている。かかる場合、例えば、内層部420aの上端を蓋体300の上壁部312の下面に当接させることにより、本発明の効果を損なうことなく、二重シール構造を形成することができる。
【0032】
(C) 先の実施の形態に係る飲み口部材400は、円環状(円筒状)を呈していた。しかし、飲み口部材は、部分円筒状を呈していてもよい。このような飲み口部材は、例えば、ヒンジ構造付きの飲料容器に好適に適用することができる。また、このような飲み口部材が、平面視において180°以下の円弧状を呈する場合、飲み口部材400bは、
図11に示されるような断面構造を有することが好ましい。この飲み口部材400bでは、
図11に示されるように、内層部420bに、下端から上方に向かって延びる取付溝430bが形成されており、その内層部420bの外側に外層部410bが接着されている。そして、この飲み口部材400bは、この取付溝430bに上端部215が挿入されることにより、容器本体200に着脱自在に取り付けられる。なお、かかる場合、飲み口部材400bの位置を決める位置決め部が容器本体200の上端部215に形成されているのが好ましい。また、かかる場合、容器本体200の突起部は、全周に亘って形成される必要はなく、飲み口部材の形状に応じて必要箇所に形成されればよい。
【0033】
(D) 先の実施の形態に係る飲み口部材400は、外層部410および内層部420から構成される二層構造体であった。しかし、飲み口部材は、三層以上の層から構成される多層構造体であってもよい。
【0034】
(E) 先の実施の形態に係る飲み口部材400では、外層部410と内層部420とが別体とされていたが、外層部410とは内層部420は一体成形されてもよい。なお、内層部420がゴムまたはエラストマーから成形され、外層部410が硬質プラスチック、半硬質プラスチックから成形される場合、内層部420を先に成形した後に、その内層部420を外層部用の金型の所定位置に配置し、外層部410を成形すればよい。なお、かかる場合、アンダーカット部411,421は、ゴムまたはエラストマーの収縮による内層部420の外層部410からの剥離を防止する機能を発揮する。
【0035】
また、内層部420がゴムまたはエラストマーから成形され、外層部410がセラミックス、ガラスから成形される場合、内層部420および外層部410を別々に成形した後、接着剤等を利用して内層部420と外層部410とを接着すればよい。
【0036】
(F) 先の実施の形態に係る飲み口部材400では、容器本体200として、上方が開口したステンレス製の真空二重構造容器が採用された。しかし、本発明では、容器本体は、上述のステンレス製の真空二重構造容器に限定されることはなく、上方が開口した容器であればよい。