特許第5782938号(P5782938)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5782938
(24)【登録日】2015年7月31日
(45)【発行日】2015年9月24日
(54)【発明の名称】燃焼装置
(51)【国際特許分類】
   F23L 17/14 20060101AFI20150907BHJP
   F24H 1/14 20060101ALI20150907BHJP
   F24H 9/00 20060101ALI20150907BHJP
【FI】
   F23L17/14 J
   F24H1/14 B
   F24H9/00 B
   F23L17/14 R
【請求項の数】3
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2011-196666(P2011-196666)
(22)【出願日】2011年9月9日
(65)【公開番号】特開2013-57464(P2013-57464A)
(43)【公開日】2013年3月28日
【審査請求日】2014年8月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004709
【氏名又は名称】株式会社ノーリツ
(74)【代理人】
【識別番号】100107445
【弁理士】
【氏名又は名称】小根田 一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100107593
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 太郎
(72)【発明者】
【氏名】前嶋 佑輝
(72)【発明者】
【氏名】香田 秀文
【審査官】 正木 裕也
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−033001(JP,A)
【文献】 米国特許第04559882(US,A)
【文献】 特開昭59−116756(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F23L 17/14
F24H 1/14
F24H 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
潜熱回収用熱交換器を備え、潜熱回収用熱交換器が収容された熱交換室の排気出口から、この排気出口よりも上位置に配置された排気口まで、斜め上向きに延びる排気通路により接続された燃焼装置であって、
前記排気通路は、上部傾斜板と下部傾斜板とを備え、
前記下部傾斜板は、前記熱交換室の底部から略垂直に立ち上がる立ち上がり部と、この立ち上がり部の上端から前記排気口に向けて斜め上方に延びる傾斜部とを備え、
前記立ち上がり部の熱交換室寄りの位置には、前記立ち上がり部との間に隙間空間を隔て、かつ、前記立ち上がり部と略平行に水滴防止板が配設され、
前記水滴防止板の上端部と前記上部傾斜板の下端部とにより前記熱交換室の排気出口が区画形成されている、
ことを特徴とする燃焼装置。
【請求項2】
請求項1に記載の燃焼装置であって、
前記隙間空間は、前記排気通路に臨んで上向きに開口する上面開口により前記排気通路と連通される一方、前記水滴防止板と前記熱交換室の底部との間には、前記隙間空間と連通する連通開口が設けられている、燃焼装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の燃焼装置であって、
前記水滴防止板は、その上端部から鉛直に降ろした仮想鉛直線よりも下端部が前後方向に変位して前記熱交換室側に臨んでオーバーハング状態になるよう斜めに傾いた状態に配設されている、燃焼装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、潜熱回収用熱交換器を備えた燃焼装置に関し、特に潜熱回収用熱交換器を通過した排気ガスが排気出口から排気される際に、凝縮水の飛散を防止するための技術に係る。
【背景技術】
【0002】
近年、燃焼装置として、燃焼バーナの燃焼熱により熱交換加熱するための一次熱交換器と、この一次熱交換器で熱交換した後の燃焼排気ガスから潜熱を回収するための二次熱交換器(潜熱回収用熱交換器)とを備えた、いわゆるコンデンシングタイプのものが知られている。そして、このようなコンデンシングタイプにおいては、排気ガスと潜熱回収用熱交換器との接触により排気ガス中の水蒸気が凝縮し、強酸性の凝縮水(ドレン水)が発生することになる。その一方、コンデンシングタイプでは、潜熱回収用熱交換器を配置するスペースを必要とするため吸音材等の騒音対策を施すためのスペースの不足や、排気ガスの通過経路の複雑化等を招き、燃焼騒音や排気ガスの通過に伴う騒音発生を招き易くなる。
【0003】
このため、主として騒音抑制を目的として、潜熱回収用熱交換器が収容された熱交換器室の出口から排気口まで延びる排気通路を、排気口に向けて昇り勾配となる傾斜路に形成したり(例えば特許文献1,2参照)、あるいは、上向きクランク状の屈曲路に形成したり(例えば特許文献3参照)、することが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−232289号公報
【特許文献2】特開2009−243725号公報
【特許文献3】特開2007−33001号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、熱交換室から出た排気ガスが傾斜路等を上昇するように排気通路を構成すると、本来は熱交換室の出口付近の底部から流下させて中和処理する予定のドレン水の一部が排気通路に流入する排気ガス中に水滴となって巻き込まれ、巻き込まれたドレン水が排気ガスの流れに載って排気口から外部に飛散するおそれが生じ易くなる。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、潜熱回収用熱交換器を備えた燃焼装置において、騒音抑制を図りつつも、外部へのドレン水の飛散防止を図り得る燃焼装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するために、本発明では、潜熱回収用熱交換器を備え、潜熱回収用熱交換器が収容された熱交換室の排気出口から、この排気出口よりも上位置に配置された排気口まで、斜め上向きに延びる排気通路により接続された燃焼装置を対象にして、次の特定事項を備えることとした。すなわち、前記排気通路として、上部傾斜板と下部傾斜板とを備えたものとし、前記下部傾斜板として、前記熱交換室の底部から略垂直に立ち上がる立ち上がり部と、この立ち上がり部の上端から前記排気口に向けて斜め上方に延びる傾斜部とを備えたものとする。そして、前記立ち上がり部の熱交換室寄りの位置に、前記立ち上がり部との間に隙間空間を隔て、かつ、前記立ち上がり部と略平行に水滴防止板を配設する。この水滴防止板の上端部と前記上部傾斜板の下端部とにより前記熱交換室の排気出口を区画形成することとした(請求項1)。
【0008】
この発明の場合、熱交換室内において排気ガスからの潜熱回収により潜熱回収用熱交換器の表面にドレン水が凝縮し、このドレン水の水滴が排気ガス流に巻き込まれて排気出口の側に流れても、その水滴を巻き込んだ状態の排気ガスが水滴防止板に衝突した上で、流れの向きを上向きに変えて排気出口ら排気通路内に流入することになる。この際、排気ガス流が水滴防止板に衝突することで、排気ガス中に巻き込まれた水滴を水滴防止板に付着させて水滴防止板に沿って落下させることができ、このため、水滴が除去された後の排気ガスを排気通路に流入させることができるようになる。これにより、排気口から排出される排気ガスによりドレン水が飛散するという事態の発生を、確実に防止することができるようになる。
【0009】
本発明の燃焼装置において、前記隙間空間を、前記排気通路に臨んで上向きに開口する上面開口により前記排気通路と連通させる一方、前記水滴防止板と、前記熱交換室の底部との間に、前記隙間空間と連通する連通開口を設けるようにすることができる(請求項2)。このようにすることにより、前記の排気口からのドレン水の飛散防止をより確実に防止し得るようになる上に、水滴防止板を設置したとしても、排気抵抗となることを極力排し、騒音発生の増大化を阻止して静音化を図り得ることになる。すなわち、水滴防止板に衝突しても全ての水滴が付着されずに、排気出口から排気通路に流入する排気ガス中に水滴が若干量残留していたとしても、水滴防止板に衝突して上端部側の排気出口に向けて上向きに流れの向きが強制的に変えられることで流れの勢いが削がれる上に、水滴防止板の上端部を越した位置から上面開口が開口しているため、残留した水滴を上面開口から隙間空間に落下させて、底部側の連通開口から排出させることが可能となる。しかも、水滴防止板を潜熱回収用熱交換器に近接して配置したとしても、連通開口と上面開口とを介して隙間空間が熱交換室と排気通路とに互いに連通されるため、排気抵抗の増大を排して静音化に寄与し得ることとなる。
【0010】
又、本発明の燃焼装置において、前記水滴防止板を、その上端部から鉛直に降ろした仮想鉛直線よりも下端部が前後方向に変位して前記熱交換室側に臨んでオーバーハング状態になるよう斜めに傾いた状態に配設することができる(請求項3)。このようにすることにより、水滴防止板に衝突して付着したドレン水の水滴が水滴防止板の表面から剥がれ易くなって、水滴を落下させ易くなる。これにより、以後に衝突する排気ガスからの水滴を付着させて分離させ易くなって、衝突による水滴の付着・分離をより確実に行うことができるようになる。
【発明の効果】
【0011】
以上、説明したように、本発明の燃焼装置によれば、ドレン水の水滴を巻き込んだ排気ガス流を水滴防止板に衝突させるようにすることができ、衝突によって、排気ガス中に巻き込まれた水滴を水滴防止板に付着させて水滴防止板に沿って落下させることができるようになる。このため、水滴が除去された後の排気ガスを排気通路に流入させることができるようになり、これにより、排気口から排出される排気ガスによりドレン水が飛散するという事態の発生を、確実に防止することができるようになる。
【0012】
特に、請求項2によれば、隙間空間を、排気通路に臨んで上向きに開口する上面開口により排気通路と連通させる一方、水滴防止板と、熱交換室の底部との間に、隙間空間と連通する連通開口を設けるようにすることで、排気口からのドレン水の飛散防止をより確実に防止することができるようになる上に、水滴防止板を設置したとしても、排気抵抗となることを極力排し、騒音発生の増大化を阻止して静音化を図ることができるようになる。すなわち、水滴防止板に衝突しても排気ガス中に水滴が若干量残留したとしても、その残留した水滴を上面開口から隙間空間に落下させることができ、しかも、水滴防止板を潜熱回収用熱交換器に近接して配置したとしても、連通開口と上面開口とを介して隙間空間を熱交換室と排気通路とに互いに連通させることができ、排気抵抗の増大を排して静音化に寄与し得ることとなる。
【0013】
又、請求項3によれば、水滴防止板を、その上端部から鉛直に降ろした仮想鉛直線よりも下端部が前後方向に変位して熱交換室側に臨んでオーバーハング状態になるよう斜めに傾いた状態に配設することで、水滴防止板に衝突して付着したドレン水の水滴を水滴防止板の表面から剥がれ易くさせて、水滴を落下させ易くすることができる。これにより、以後に衝突する排気ガスからの水滴を効率よく付着させて分離させ易くすることができ、衝突による水滴の付着・分離をより確実に行うことができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施形態に係る燃焼装置の断面説明図である。
図2図1の排気通路部分に係る部分拡大図である。
図3図2の排気通路部分をより拡大した部分拡大図である。
図4】水滴防止板の具体形状例を示す拡大斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0016】
図1は、本発明の実施形態に係る燃焼装置としての給湯用熱源機の一部分を示し、この給湯用熱源機はいわゆるコンデンシングタイプ(潜熱回収式)に構成されたものである。すなわち、前記燃焼装置は、ハウジング1内に、燃焼バーナ2と、この燃焼バーナ2の燃焼熱(顕熱)により熱交換加熱される一次熱交換器3と、この一次熱交換器3を通過した排気ガスを導いてその排気ガスの潜熱を熱交換により回収する二次熱交換器(潜熱回収用熱交換器)4と、この二次熱交換器4を通過した後の排気ガスが流入し、流入した排気ガスを外部空間に排出させる排気通路5とを備えている。
【0017】
燃焼バーナ2は、バーナケース21に内装され、送風ファン22からの燃焼用エアの供給と、燃料供給管23からの燃料(例えば燃料ガス)の供給とを受けて上方の燃焼空間に向けて燃焼されるようになっている。前記一次熱交換器3はバーナケース21の上側に接続された一次熱交換器ケース31に内装され、前記二次熱交換器4に事前に通過されることで予熱された後の水が一次熱交換器3の一端から他端に向けて流され、一次熱交換器3内を流れる間に燃焼バーナ2の燃焼熱により熱交換加熱されるようになっている。
【0018】
一次熱交換器ケース31と、二次熱交換器4が内装された二次熱交換器ケース41との間には、一次熱交換器ケース31の上面開口からの排気ガスを二次熱交換器ケース41の排気入口42まで集合させて案内するように内部通路61が区画形成された通路ケース6が介装されている。この通路ケース6は、その内部通路61がその下面において一次熱交換器ケース31の上面開口の全体に拡がって一次熱交換器3からの排気ガスを集合した後、上方に向けて背後側に徐々に狭まって二次熱交換器ケース41の背面側の排気入口42まで排気ガス(図1の点線の矢印参照)を導くようになっている。
【0019】
二次熱交換器ケース41の前面側には排気トップ7がその周囲のフランジ片71により結合される一方、内部には熱交換室40が区画形成されている。熱交換室40は、背面側(図面の右側)において排気入口42により内部通路61と連通し、前面側(図面の左側)において排気通路5の流入口にもなる排気出口44により排気通路5と連通している。熱交換室40の前端側の底部位置であって、熱交換室40の排気出口44の下方近傍位置には、ドレン集水管81の上流端が開口され、二次熱交換器4等から底壁45の上面に落下してくるドレン水をドレン集水管81内に落下させて集水させるようになっている。
【0020】
熱交換室40内に収容される二次熱交換器4としては、種々の型式のものを採用することができるが、図面には細管式もしくは多管式と言われるものを図示している。これは、往き用及び戻り用にグループ分けされた多数の細管43,43,…が二次熱交換器ケース41内を横切るように配設され、図示省略の入水側ヘッダーに入水された水を往き用の多数の細管43,43,…に通過させ、折り返しのヘッダーから戻り用の多数の細管43,43,…に通過させた上で戻り用ヘッダーから前記一次熱交換器3の一端側に供給するようになっている。そして、前記二次熱交換器ケース41の排気入口42から導入された排気ガスが排気出口44まで通過する間に前記の多数の細管43,43,…と接触し、その排気ガスの潜熱が熱交換により各細管43内の水に吸熱されて潜熱回収が行われるようになっている。もちろん、前記の通り、二次熱交換器4として細管式以外の型式のものを用いてもよい。
【0021】
前記排気通路5は、熱交換室40の上下方向中間位置に配置された排気出口44から排気トップ7の前面上端側位置で開口する排気口72までの間に延ばされたものであり、排気出口44から流入した排気ガスがその排気出口44よりも上位置に配置された排気口72に向けて斜め上方に流れるように、排気口72に対し全体として斜め上方に延びる傾斜路を構成するように区画形成されている。詳しくは、図2図3にその詳細を示すように、本実施形態の特徴部分である排気通路5は、上部傾斜板51と、下部傾斜板52とから構成され、これら上部傾斜板51と下部傾斜板52との間に排気口72に向けて上り勾配で「ヘ」の字状に屈曲する傾斜路としての通路空間が区画形成されたものである。加えて、排気通路5の排気出口44側(排気通路5の流入口側)に水滴防止板53を配設したものである。以下、図面の左右方向を、熱交換室40,二次熱交換器ケース41や二次熱交換器4等の前後方向であるとして説明する。
【0022】
上部傾斜板51は、上端縁511が二次熱交換器ケース41の天壁46の前端側の下面から垂下して熱交換室40の前端側を仕切る上壁部512と、上壁部512の下端縁(下端部)513で「レ」の字状に排気口72側に鋭角に折れ曲がって斜め上向きに延びる上傾斜壁514とからなる。この上傾斜壁514は途中で屈曲した後、その先端縁515が排気口72の上側を覆うように排気トップ7に結合されている。又、下部傾斜板52は、下端縁521が二次熱交換器ケース41の底壁45から上向きに立ち上がる立ち上がり部522と、この立ち上がり部522の上端523で折れ曲がって斜め上向きに延びる下傾斜壁524とからなる。そして、この下傾斜壁524は途中で屈曲して段階的に又は緩やかに傾斜状況を変化させた後、その先端縁525が排気口72の下側を覆うように排気トップ7に結合されている。
【0023】
水滴防止板53は、下部傾斜板52の立ち上がり部522よりも二次熱交換器4側の位置(後側の位置)において、立ち上がり部522との間に隙間空間54を隔てた状態で、かつ、その立ち上がり部522と略平行に配設され、これにより、二次熱交換器4を構成する多数の細管43の内でも特に前端位置の最下段の細管43aの下側を前方に流れる排気ガス流F(図3参照)に正対(対面)するようになっている。そして、前記隙間空間54は、排気通路5に臨む上面が開口され、この上面開口541により排気通路5と連通される一方、下端位置において熱交換室40の底部と連通開口542により連通されている。つまり、水滴防止板53の下端部531は二次熱交換器ケース41の底壁45から上方に所定寸法浮いた状態に位置付けられている。又、水滴防止板53は、その下端部531(図3参照)が上端部532から降ろした仮想鉛直線Vよりも所定角度α分だけ前方(図3の左方)に変位されて上端側が前記排気ガス流Fに対しオーバーハング状態で覆い被さって対面するように傾いた状態に配設されている。
【0024】
この水滴防止板53の上端部532と、上部傾斜板51の下端縁513との間の開口によって、熱交換室40から排気通路5に連通する排気出口44が熱交換室40の上下方向中間領域に形成されることになる。又、このような水滴防止板53は、後述の衝突壁部533が、排気ガス流Fを衝突させることで水滴を付着させるものであるので、好ましくは前記の前端位置の細管43aに対し比較的狭い間隔(例えば10mm程度)で近接して配設することが好ましい。併せて、前記衝突壁部533は、上部傾斜板51の上壁部512の下端縁513よりも排気トップ7側の位置(前側の位置)に配設されていることが、下端縁513から垂れ落ちるドレン水の水滴を底壁45に落下させる上で好ましい。
【0025】
水滴防止板53の具体的形状例としては、図4に示すものが挙げられる。すなわち、水滴防止板53は、ドレン水からの防食を考慮してステンレス製の板材料を用いて形成され、下端部531から上端部532まで立ち上がって前記排気ガス流Fが衝突することになる衝突壁部533を主要素として、この衝突壁部533の上端部532から排気トップ7側である前側(図4の左側)に略直角に屈曲してほぼ水平に延びた後、さらに斜め上方に向けて屈曲して斜面壁部534が前記下部傾斜板52(図3も併せて参照)の上面に沿って適宜寸法だけ延びている。加えて、衝突壁部533の上端部532からほぼ水平に延びる部分には前記の上面開口541に相当する開口が形成され、衝突壁533の両端縁部分が適宜の中間位置から前側に屈曲されて、下部傾斜板52の立ち上がり部522まで延びる支持部535,535が形成されている。なお、下端部531には、衝突壁部533の平面形状を保持する上で補強のために下端縁が屈曲されてフランジ部が形成されている。そして、前記の支持部535,535が下部傾斜板52の立ち上がり部522に、前記の斜面壁部534が下部傾斜板52の下傾斜壁524に、それぞれ接合されて、水滴防止板53が取り付けられている。
【0026】
なお、水滴防止板53としては、衝突壁部533が所定位置に配設されていればよく、他の部分は必須ではない。すなわち、衝突壁部533が、下部傾斜板52の立ち上がり部522との間に隙間空間54を隔て、かつ、隙間空間54の下側に連通開口542を有し、上側に上面開口541を有するように配設されていればよい。
【0027】
以上の排気通路5の場合、次のような作用効果を奏することになる。すなわち、排気ガスが排気入口42から熱交換室40内に流入して排気出口44まで進む間に、排気ガスからの潜熱回収により二次熱交換器4の表面にはドレン水が凝縮し、特に前端位置の最下段の細管43aからはより多くのドレン水が底壁45に落下することになる。このドレン水の水滴が例えば排気ガス流F(図3参照)に巻き込まれ、水滴を巻き込んだ状態の排気ガスが水滴防止板53の衝突壁部533に衝突した上で、流れの向きを上向きに変えて排気出口44から排気通路5内に流入する。この際、排気ガス流Fが衝突壁部533に衝突することで、排気ガス中に巻き込まれた水滴が衝突壁部533に付着し、付着した水滴が衝突壁部533に沿って底壁45に落下してドレン集水管81に集水されることになる一方、水滴が除去された後の排気ガスが排気出口44から排気通路5に流入することになる。これにより、排気通路5を通して排気口72から排出される排気ガスによりドレン水が飛散するという事態の発生を、確実に防止することができるようになる。
【0028】
又、排気出口44から排気通路5に流入する排気ガス中に水滴が若干量残留したとしても、衝突壁部533に衝突して上向きに流れの向きが強制的に変えられることにより流れの勢いが削がれる上に、衝突壁部533の上端部532位置から上面開口541が開口しているため、残留した水滴も上面開口541から隙間空間54に落下することになる。この結果、前記の排気口72からのドレン水の飛散防止をより確実に防止することができるようになる。さらに、二次熱交換器4の下端位置に対面して比較的近い位置に衝突壁部533が配設されてはいるものの、その背後(前側)において上面開口541を通して排気通路5に連通する一方、連通開口542を通して熱交換室40に連通する隙間空間54が区画形成されているため、排気抵抗となることを極力排し、騒音発生の増大化を阻止して静音化を図ることができる。
【0029】
<他の実施形態>
なお、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、その他種々の実施形態を包含するものである。すなわち、前記実施形態では、衝突壁部533をオーバーハング状態に傾斜させて、衝突により付着したドレン水の水滴が落下し易いようにしているが、これに限らず、少なくとも鉛直になるように配置することが好ましい。なお、厳密に鉛直ではなくて、前記実施形態とは逆向きの傾斜に配置したとしても、衝突により付着したドレン水が伝って流下させることができる。
【符号の説明】
【0030】
2 燃焼バーナ
4 二次熱交換器(潜熱回収用熱交換器)
5 排気通路
40 熱交換室
44 排気出口
51 上部傾斜板
52 下部傾斜板
53 水滴防止板
54 隙間空間
72 排気口
513 下端縁(上部傾斜板の下端部)
522 立ち上がり部
523 下傾斜壁(傾斜部)
532 上端部(水滴防止板の上端部)
541 上面開口
542 連通開口
図1
図2
図3
図4