(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記使い捨ておむつは,前記股下部(3)を中心に前記前身頃(1)及び前記後身頃(2)にかけて配置された吸収体(40)と,前記吸収体(40)を肌当接面側から被覆する液透過性のトップシート(50)と,前記吸収体(40)を肌非当接面側から被覆する液不透過性のバックシート(60)を備え,
前記トップシート(50)と前記バックシート(60)は,前記吸収体(40)の周囲を囲うようにして互いに接合されることで,前記吸収体(40)を封入しており,
前記下部伸縮材群(20b)と前記クッション形成シート(30)の間には,少なくとも,前記トップシート(50)の一部と,前記バックシート(60)の一部が介在する
請求項1に記載の使い捨ておむつ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら,ウエスト開口部の周縁に形成されたウエストギャザーは,常に,着用者の肌に密接している。このため,ウエストギャザーを形成することにより,ウエスト開口部近傍の密着性を向上させることはできるものの,ウエストギャザーの柔軟性やクッション性が不十分である場合,ウエストギャザーに接する着用者の肌に対し,違和感を与えてしまうという不具合が生じていた。例えば,ウエストギャザーを形成する伸縮材の締め付けが強過ぎると,着用者の肌に伸縮材の跡が残る恐れがある。また,伸縮材を固定する部分は,接着剤の塗布や伸縮材の熱融着等によって硬くなり易いため,おむつの柔軟性や触感が損なわれる恐れもある。さらに,伸縮材の熱融着等によってウエスト端縁が硬くなっていると,着用者自身の肌だけでなく,おむつの交換作業をする者の手指の肌を傷つけてしまうという問題があった。
【0007】
また,ウエスト開口部周縁に配置された複数のうち,ウエストギャザーの下部側(股下部側)に配置された一部の伸縮材は,特に,着用者の肌との密着度が高くなる。このため,使い捨ておむつを長時間装着している場合,着用者は,まずウエストギャザーと接する肌に違和感を覚え始める。従って,特にウエストギャザー下部側には,柔軟性とクッション性が必要とされている。
【0008】
このように,現在では,ウエストギャザー全体に柔軟性とクッション性を有しつつ,特に,ウエストギャザーの下部側(股下部側)の柔軟性とクッション性が優れた使い捨ておむつが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
そこで,本発明の発明者らは,上記の従来発明の問題点を解決する手段について鋭意検討した結果,折り返されたアウターシートの間に複数のウエスト伸縮材を配置してウエストギャザーを形成し,複数のウエスト伸縮材と折返部の間にクッション形成シートを間欠的に接合しつつ,複数のウエスト伸縮材のうち,その下部に配置された下部伸縮材群とクッション形成シートとの間に,さらに1枚以上のシートを配置することにより,ウエストギャザー全体の柔軟性とクッション性を高めつつも,特にウエストギャザーの下部の柔軟性とクッション性を向上させることができるという知見を得た。そして,本発明者は,上記知見に基づけば,従来技術の課題を解決できることに想到し,本発明を完成させた。
具体的に本発明は,以下の構成を有する。
【0010】
本発明は,前身頃1と,後身頃2と,前身頃1と後身頃2の間に位置する股下部3から構成される使い捨ておむつに関する。
前身頃1及び後身頃2又はいずれか一方には,アウターシート10が位置している。そして,アウターシート10が使い捨ておむつの肌当接面側に折り返されることで,折返部11が形成される。
また,アウターシート10と折返部11の間には,複数のウエスト伸縮材20が,アウターシート10の折返線12に沿う方向に配置されている。
この複数のウエスト伸縮材20と折返部11との間には,クッション形成シート30が配設される。
クッション形成シート30は,折返部11の内向面に対し,アウターシート10の折返線12に沿う方向に接合部と非接合部が連続するように,間欠的に接合されている。
ここで,複数のウエスト伸縮材20のうち,アウターシート10の折返線12側に位置する1以上のウエスト伸縮材を上部伸縮材群20aと称し,股下部3側に位置する他のウエスト伸縮材を下部伸縮材群20bと称する。
この場合において,上部伸縮材群20aは,アウターシート10とクッション形成シート30の間に伸長状態で固定される。
一方,下部伸縮材群20bとクッション形成シート30の間には,さらに,少なくとも1枚以上のシート材が介在させる。
そして,下部伸縮材群20bは,アウターシート10とシート材の間に伸長状態で固定される。
【0011】
このように,本発明は,まず,ウエストギャザーを形成する複数のウエスト伸縮材全体と,着用者の肌当接面側に位置する折返部の間に,クッション形成シートを配置する。この,クッション形成シートは,折返部と,接合部と非接合部が連続するようにして間欠的に接合されている。このため,複数のウエストギャザーが収縮した際,クッション形成シートと折返部の非接合部には,空間が形成される。この空間により,ウエストギャザー全体のクッション性及び柔軟性が高まる。
さらに,本発明では,複数のウエスト伸縮材の下部に属する1以上の下部伸縮材群と,クッション形成シートの間に,さらに1枚以上のシート材を介在させる。このため,ウエストギャザーの下部側は,上部側と比較して,クッション形成シートと折返部の間に形成される空間が小さくなり凹凸が抑えられた構造となる。従って,ウエストギャザーの下部側は,クッション性を有しつつも,着用者の肌に対する刺激が弱くなっており,高い柔軟性を発揮することができる。
このように,本発明によれば,ウエストギャザー(特に下部側)の柔軟性とクッション性が十分に確保することができ,使い捨ておむつの着用感が良好になる。
【0012】
本発明の好ましい形態は,吸収体40と,トップシート50と,バックシート60を,さらに備えることが好ましい。吸収体40は,股下部3を中心に前身頃1及び後身頃2にかけて配置される。トップシート50は,吸収体40を肌当接面側から被覆する液透過性の部材である。バックシート60は,吸収体40を肌非当接面側から被覆する液不透過性の部材である。トップシート50とバックシート60は,吸収体40の周囲を囲うようにして互いに接合されることで,吸収体40を封入している。
そして,本発明は,下部伸縮材群20bとクッション形成シート30の間に,少なくとも,トップシート50の一部と,バックシート60の一部が介在することが好ましい。
【0013】
このように,下部伸縮材群とクッション形成シートの間に,トップシートとバックシートを介在させることによっても,ウエストギャザーの下部側の凹凸を抑え,着用者の肌に対する刺激を低減させることができる。さらに,下部伸縮材群とクッション形成シートの間に,トップシートとバックシートの接合端を挟み込みことができるため,トップシートとバックシートに封入された吸収体が外側へ漏れ出す事態を効果的に防止できる。
【0014】
また,本発明において,下部伸縮材群20bとクッション形成シート30の間には,不織布で形成された中間シート70が介在させることとしてもよい。
【0015】
このように,柔軟性と通気性が高い不織布で形成された中間シートを,下部伸縮材群とクッション形成シートの間に介在させることにより,ウエストギャザーの下部側のクッション性と柔軟性を高めることができる。また,下部伸縮材群とクッション形成シートの間に,他のシートとは別途形成された中間シートを介在させることで,比較的簡易に,本発明を実現することができる。
【発明の効果】
【0016】
以上のとおり,本発明によれば,ウエストギャザー全体に柔軟性とクッション性を有しつつ,特にウエストギャザーの下部(股下部側)の柔軟性とクッション性が優れた使い捨ておむつを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下,図面を用いて本発明を実施するための形態について説明する。本発明は,以下に説明する形態に限定されるものではなく,以下の形態から当業者が自明な範囲で適宜修正したものも含む。
なお,本願明細書において,「長手方向」とは,基本的に,前身頃と後身頃を結ぶ方向(
図2における上下方向)を意味する。また,「幅方向」とは,基本的に,長手方向に直交する方向(
図2における左右方向)を意味する。
また,本願明細書において,「A〜B」とは,「A以上B以下」であることを意味する。
【0019】
(1.使い捨ておむつの全体構成)
本発明は,例えば,公知のパンツ型の使い捨ておむつ,テープ型の使い捨ておむつ,及び架橋型の使い捨ておむつに広く適用可能である。パンツ型の使い捨ておむつとは,前身頃と後身頃の両側部が予め接合されたタイプの使い捨ておむつである(例えば特許文献1)。また,テープ型の使い捨ておむつとは,前身頃又は後身頃の両側部に接着テープが取り付けられ,着用時に接着テープを利用して前身頃と後身頃を接着させるタイプの使い捨ておむつである(例えば特許文献2)。また,架橋型の使い捨ておむつとは,前身頃外装体と後身頃外装体の間に吸収性本体が架橋された構成を有するタイプの使い捨ておむつである(例えば特許文献3)。
以下では,これらの種々のタイプの使い捨ておむつのうち,架橋型の使い捨ておむつを例に挙げて,本発明の内容を具体的に説明する。
【0020】
図1は,架橋型の使い捨ておむつを前身頃側から見た例を示す斜視図である。また,
図2は,架橋型の使い捨ておむつの例を示す展開図であって,使い捨ておむつを肌当接面側から見た状態を示している。
図2の展開図に示されるように,使い捨ておむつ100は,装着された際に,着用者の腹部に接する前身頃1と,着用者の背部に接する後身頃2と,着用者の股下にあてがわれる股下部3に区分される。本実施形態において,架橋型の使い捨ておむつは,前身頃1に前身頃外装体1aを備え,後身頃2に後身頃外装体2aを備える。そして,前身頃外装体1aと後身頃外装体2aの間の股下部3には,吸収性本体3aが架橋されている。
【0021】
図2に示された展開状態から,前身頃外装体1aと後身頃外装体2aの幅方向両端部を接合することにより,
図1に示される状態に組み上がる。
図1に示されるように,前身頃外装体1aの上端縁と後身頃外装体2aの上端縁により,ウエスト開口部101が形成される。また,前身頃外装体1aと後身頃外装体2aの両端部同士が接合されることにより,装着時に着用者の脚部周りに位置する脚部周り開口部102が形成される。このため,着用者は,ウエスト開口部101から両脚部を入れ,各脚部を脚部周り開口部102から出すことで,使い捨ておむつ100を装着できる。
【0022】
また,
図1及び
図2に示されるように,前身頃外装体1aと後身頃外装体2aには,複数のウエスト伸縮材20が配置されている。複数のウエスト伸縮材20は,ウエスト開口部101の開口縁に相当する前身頃外装体1aの端部と後身頃外装体2aの端部に沿って,使い捨ておむつの幅方向に延びている。複数のウエスト伸縮材20は,伸長状態で固定されており,この複数のウエスト伸縮材20が収縮することにより,ウエスト開口部101近傍に,ウエストギャザー21が形成される。
【0023】
(2.使い捨ておむつの各部構成)
次に,図面を用いて,使い捨ておむつ100の各部構成について説明する。
【0024】
(2−1.ウエストギャザー)
ウエストギャザー21は,複数のウエスト伸縮材20の収縮作用により,使い捨ておむつのウエスト開口部101近傍に形成されるギャザーである。本実施の形態において,ウエストギャザー21は,前身頃外装体1aと後身頃外装体2aのそれぞれに形成される。
【0025】
図3は,
図2に示された展開状態の使い捨ておむつを,
図2中のA−Aの線分に沿って,使い捨ておむつの長手方向に切断した状態を示す断面図である。
図3では,上下方向が,使い捨ておむつの長手方向となる。また,
図3では,右側が肌当接面側であり,左側が非当接面側である。また,
図4は,
図3の断面図のうち,使い捨ておむつの後身頃を拡大した拡大図である。なお,本来,各種シート材は極めて薄いものであるが,
図3や
図4では,説明を分かりやすくするために,概念的な厚みをもたせて作図を行っている。
【0026】
図3や
図4に示されるように,前身頃外装体1aと後身頃外装体2aは,最外層にアウターシート10を備えている。また,前身頃外装体1aと後身頃外装体2aにおいて,アウターシート10が肌当接面側に折り返され,折返部11が形成されている。アウターシート10が折り返された折返線12は,前身頃外装体1aと後身頃外装体2aの端部に相当し,使い捨ておむつが組みあがった際には,ウエスト開口部101の開口縁となる。
【0027】
(2−1−1.ウエスト伸縮材)
図3及び
図4に示されるように,前身頃外装体1aと後身頃外装体2aにおいて,アウターシート10と折返部11の間には,複数のウエスト伸縮材20が,折返線12に沿う方向に伸長状態で配置されている。ウエスト伸縮材20の数は,2本以上であればよく,例えば,2本〜15本,4本〜12本,又は6本〜9本であることとしても良い。複数のウエスト伸縮材20は,
図3及び
図4に示されるように,使い捨ておむつの長手方向に所定間隔で配置されている。また,複数のウエスト伸縮材20は,
図2の展開図に示されるように,略平行に並置されている。
図2に示されるように,複数のウエスト伸縮材20は,その伸長状態において,前身頃外装体1aと後身頃外装体2aの幅方向のほぼ全域に延びて配置されていることが好ましく,例えば,複数のウエスト伸縮材20は,前身頃外装体1aと後身頃外装体2aの幅方向の長さに対して,80%〜99%,又は85%〜95程度の領域に伸長状態で配置されていることが好ましい。
【0028】
図3及び
図4に示されるように,複数のウエスト伸縮材20は,その肌非当接面側が,アウターシート10に固定されている。複数のウエスト伸縮材20は,着用者に対して過度の締め付け力を作用させることなく,十分な伸縮力を作用させることが出来る程度の伸張状態で,アウターシート10に固定されている。複数のウエスト伸縮材20が固定される際の伸張率は,例えば,200〜400%であることが好ましく,250〜350%であることが特に好ましい。なお,「伸張率」とは,非伸張状態の伸縮材の長さ(原寸)に対する伸張状態の伸縮材の長さの百分率を示す。また,複数のウエスト伸縮材20をシート材に固定する方法としては,公知の方法を適宜採用することができる。複数のウエスト伸縮材20は,例えば。ホットメルト接着剤のような流動性の高い接着剤を塗工したり,噴霧することとしてもよいし,接着ヒートシールのような熱や超音波等による溶着によって固定することとしてもよい。
【0029】
なお,本願明細書において,「アウターシート」とは,複数のウエスト伸縮材20の肌非当接面側が固定されたシート材を意味する。このため,アウターシート10は,必ずしも使い捨ておむつの最外層に位置されたものに限られない。例えば,アウターシート10を覆うように,さらに他のシート材をアウターシート10に接合することとしてもよい。
【0030】
複数のウエスト伸縮材20は,その配置関係から,上部伸縮材群20aに属するものと,下部伸縮材群20bに属するものとに区分することができる。すなわち,「上部伸縮材群20a」とは,複数のウエスト伸縮材20のうち,アウターシート10の折返部11寄りの位置に配置された1以上のウエスト伸縮材を意味する。また,「下部伸縮材群20b」とは,複数のウエスト伸縮材20のうち,股下部3寄りの位置に配置された,他のウエスト伸縮材を意味する。上部伸縮材群20aと下部伸縮材群20bに属するウエスト伸縮材20は,1本であってもよいし,複数本であってもよい。
例えば,上部伸縮材群20aの数は,例えば,1本〜10本,2本〜9本,3本〜8本,4本〜7本,又は5本〜6本とすればよい。また,下部伸縮材群20bの数も,例えば,1本〜10本,2本〜9本,3本〜8本,4本〜7本,又は5本〜6本であってもよい。
図3及び
図4に示された例では,後身頃外装体2aのアウターシート10に固定された7本のウエスト伸縮材20のうち,アウターシート10の折返部11寄りの位置に配置された4本のウエスト伸縮材20が,上部伸縮材群20aに属している。一方,7本のウエスト伸縮材20のうち,股下部3寄りの位置に配置された,残りの3本のウエスト伸縮材20が,下部伸縮材群20bに属している。
また,
図3に示された例では,前身頃外装体1aのアウターシート10に固定された7本のウエスト伸縮材20のうち,アウターシート10の折返部11寄りの位置に配置された4本のウエスト伸縮材20が,上部伸縮材群20aに属している。一方,7本のウエスト伸縮材20のうち,股下部3寄りの位置に配置された,残りの3本のウエスト伸縮材20が,下部伸縮材群20bに属している。
【0031】
(2−1−2.クッション形成シート)
ここで,
図4に示されるように,アウターシート10を折り返すことで形成された折返部11と,複数のウエスト伸縮材20の間には,クッション形成シート30が配置されている。
クッション形成シート30は,ウエストギャザー21のクッション性と柔軟性を高めることを目的として配置されるシート材である。
クッション形成シート30は,例えば不織布で形成されることが好ましい。クッション形成シート30の不織布は,親水性不織布であってもよいし,撥水性不織布であってもよい。また,本実施形態において,クッション形成シート30は,独立したシート材として形成されているが,使い捨ておむつを構成する他のシート部材(例えば,トップシート,カバーシート等)の一部を利用することとしてもよい。
【0032】
このクッション形成シート30は,その肌当接面側が,折返部11の内向面(肌非当接面側)に対して,折返線12に沿う方向に間欠的に接合されている。「間欠的に接合」とは,接合部と非接合部が一定間隔で連続することを意味する。クッション形成シート30と折返部11の接合態様については後述するが,クッション形成シート30と折返部11が折返線12に沿う方向に間欠的に接合されることで,クッション形成シート30と折返部11の間に空間が生じ,この空間により,ウエストギャザー21のクッション性と柔軟性が高まる。
【0033】
図4に示されるように,複数のウエスト伸縮材20のうち,上部伸縮材群20aに属するウエスト伸縮材20は,その肌当接面側が,クッション形成シート30の肌非当接面側に固定されている。
図2の展開図に示されるように,クッション形成シート30と上部伸縮材群20aは,共に,後身頃外装体2aと前身頃外装体1aの幅方向のほぼ全域にわたる長さを有することが好ましい。すなわち,上部伸縮材群20aは,その延伸方向のほぼ全体にわたって,クッション形成シート30に固定されていることが好ましい。このように,上部伸縮材群20aは,その肌当接面側がクッション形成シート30に固定され,反対側の肌非当接面側がアウターシート10に固定される。従って,上部伸縮材群20aは,アウターシート10とクッション形成シート30の間に挟み込まれるような状態となっている。
【0034】
また,クッション形成シート30は,
図4に示されるように,折返部11の下端部を越えて,股下部3の方向に向かって延出しており,例えば,吸収性本体3aを構成するトップシート50の一部を,肌当接面側から被覆するものであることが好ましい。これにより,架橋型の使い捨ておむつにおいて,前身頃外装体1a及び後身頃外装体2aと,これらの間に架橋された吸収性本体3aとの接合力が向上し,使い捨ておむつの外観が崩れにくくなる。
【0035】
(2−1−3.介在シート)
一方,
図4に示されるように,複数のウエスト伸縮材20のうち,下部伸縮材群20bに属するウエスト伸縮材20は,直接,クッション形成シート30に固定されていない。すなわち,
図4に示されるように,下部伸縮材群20bとクッション形成シート30の間には,少なくとも1枚のシート材が介在している。下部伸縮材群20bとクッション形成シート30の間に少なくとも1枚のシート材を配置する目的は,折返部11にクッション形成シート30を間欠的に接合することにより生じたシート材間の空間を,ウエストギャザー21の下部側においてのみ小さくすることで,着用者の肌に対する刺激を低減させることにある。この点については,後述する。
なお,本願明細書において,下部伸縮材群20bとクッション形成シート30の間に介在する少なくとも1枚のシート材を,単に「介在シート」ともいう。
【0036】
介在シートとして採用するシート材は,特に限定されない。すなわち,介在シートとしては,使い捨ておむつを構成する他のシート材の一部を利用することとしてもよいし,別途独立したシート材を用いることとしてもよい。
【0037】
また,クッション形成シート30と介在シートは,全体的に接合することしてもよいし,接合しなくてもよい。また,クッション形成シート30と介在シートは,間欠的に接合されるものであってもよい。クッション形成シート30と介在シートを接合すれば,ウエスト伸縮材20が収縮した際のウエストギャザー21の外観を美麗にすることができる。一方,クッション形成シート30と介在シートを接合しなければ,ウエスト伸縮材20が収縮した場合でも,ウエスト伸縮材20の収縮作用が介在シートにまで伝達されないため,ウエストギャザー21の下部側に生じる凹凸を,より効果的に抑制することができ,着用者の肌に対する刺激を低減させることができる。
【0038】
図4に示された例では,介在シートとして,外装部材を構成するインナーシート13の一部と,吸収性本体3aを構成する各種シート材の一部を利用することとしている。インナーシート13は,アウターシート10との間で各種伸縮材を挟持するためのシート材である。また,吸収性本体3aには,基本的に,尿などの液体を吸収保持する吸収体40と,吸収体40を肌当接面側から被覆するトップシート50と,吸収体40を肌非当接面側から被覆するバックシート60が含まれている。また,
図4に示された例では,吸収性本体3aに,さらに,バックシート60を肌非当接面側から被覆するカバーシート61が含まれている。そして,下部伸縮材群20bとクッション形成シート30の間には,肌非当接面側から順に,インナーシート13,カバーシート61,バックシート60,及びトップシート50が介在している。これらの介在シートは,例えば,ホットメルト接着剤や接着ヒートシールを用いた接合手段により,下部伸縮材群20bとクッション形成シート30の間に接合されていることが好ましい。
【0039】
図4に示されるように,下部伸縮材群20bとクッション形成シート30の間に4枚ものシート材を介在させることにより,収縮する下部伸縮材群20bの影響が,着用者の肌に直接伝わりにくくなるため,ウエストギャザー21の下部側が着用者の肌に与える刺激が,極めて小さくなる。また,本発明では,クッション形成シート30を折返部11に間欠的に接合することで,両シートの間に空間を形成するが,下部伸縮材群20bとクッション形成シート30の間に複数のシート材を介在させることで,この空間によって生じるウエストギャザー21の凹凸を抑えることができる。従って,ウエストギャザー21の下部側では,適度な大きさの空間が生じ,クッション性と柔軟性は維持しつつも,着用者の肌に与える影響が極めて小さくなる。このため,使い捨ておむつの装着感が向上する。さらに,架橋型の使い捨ておむつにおいて,外装体(1a,2a)を構成するシート材の間に,吸収性本体3aを構成するシート材を介在させることで,外装体(1a,2a)と吸収性本体3aの接合強度が向上する。従って,架橋型の使い捨ておむつの外観が崩れにくくなる。
【0040】
また,
図2の展開図に示されるように,吸収性本体3aは,外装材(1a,2aの)中央部に配置される。このため,介在シートとして,吸収性本体3aを構成するシート材の一部を利用する場合,この介在シートは,ウエストギャザー21の中央部に配置されることとなる。ここで,ウエストギャザー21は,ウエスト伸縮材20が収縮した際に,その中央部に最も皺が形成され凹凸が生じやすくなっているため,ウエストギャザー21の下部側の中でも,特に折返部11の端部が,着用者の肌に与える刺激が強くなっている。この点,
図4に示されるように,介在シートとして吸収性本体3aを構成するシート材の一部を利用することにより,特に着用者の肌に与える刺激が強いウエストギャザー21の下部側中央部の刺激を和らげることができるため,使い捨ておむつの製造コスト抑えつつ,効率的に使い捨ておむつの装着感を向上させることが可能になる。
ただし,吸収性本体3aの幅方向両側に,さらに,中間シート70を介在シートとして配置し,下部伸縮材群20bの全体にわたって,クッション形成シート30都の間に,1以上のシート材を介在させることとしてもよい。
【0041】
図5は,本発明の他の実施形態を示している。
図5は,
図4と同様に,使い捨ておむつの長手方向の断面を,後身頃について拡大した拡大図である。
図5に示された例では,下部伸縮材群20bとクッション形成シート30の間に,インナーシート13と,中間シート70が介在している。インナーシート13は,前述したように,アウターシート10との間で各種伸縮材を挟持するためのシート材である。一方,中間シート70は,他のシート材とは別途形成されたシート材である。このように,下部伸縮材群20bとクッション形成シート30の間に挟み込むことを目的として,中間シート70のような別個独立したシート材を設けることとしてもよい。中間シート70を構成する材料には,種々の材料を採用することができる。例えば,中間シート70としては,織布,不織布,多孔性フィルムで形成されたシート材を用いることしてもよい。また,中間シート70の通気性と液吸収性を持たせるため,ポリプロピレン,ポリエチレン,ポリエステル,脂肪族ポリアミド等の熱可塑性樹脂からなる不織布に親水化処理を施したものを用いることが好ましい。
【0042】
中間シート70は,少なくとも,ウエストギャザー21の中央部に配置されるものであることが好ましい。中間シート70の幅方向における長さは,下部伸縮材群20bの幅方向における長さに対して,20%〜110%,又は30〜90%であることが好ましい。中間シート70の長さを20%〜30%程度に節約して,ウエストギャザー21の中央部のみに配置することとしてもよい。すなわち,ウエストギャザー21の中央部は,上述の通り,特に皺が形成されやすいが,この中央部のみに中間シート70を配置することで,効率的に,使い捨ておむつの装着感を向上させることができる。また,中間シート70の長さを90%〜110%程度に長くすることにより,ウエストギャザー21の下部側全体の凹凸を抑えることができる。
【0043】
図6は,本発明にさらに別の実施形態を示している。
図6は,
図4と同様に,使い捨ておむつの長手方向の断面を,後身頃について拡大した拡大図である。
図6に示された例では,下部伸縮材群20bとクッション形成シート30の間に,中間シート70のみが介在している。
図6に示されるように,中間シート70を下部伸縮材群20bとクッション形成シート30の間に介在させただけの比較的簡易な構造によっても,ウエストギャザー21の下部側が着用者の肌に与える刺激を小さくすることができる。下部伸縮材群20bとクッション形成シート30の間に介在する中間シート70は,一層に限定されるものではなく,中間シート70を複数重ねたものを用いることとしてもよい。
【0044】
上記
図4〜
図6に示されるように,介在シートとして利用するシート材の種類,介在シートの枚数,介在シートを配置する位置は,使い捨ておむつの型や用途に応じて適宜調節することが可能である。
【0045】
(2−1−4.クッション構造について)
次に,
図7〜
図9を参照して,ウエスト伸縮材が収縮した際の,ウエストギャザーのクッション構造について説明する。以下では,説明を簡易にするために,下部伸縮材群20bとクッション形成シート30の間に1枚の中間シート70が介在する実施形態(
図6参照)を例にあげて,説明する。ただし,下部伸縮材群20bとクッション形成シート30の間にその他各種のシート材が介在する場合であっても,ウエスト伸縮材が収縮時におけるウエストギャザーの構造は,同様である。
【0046】
図7は,後身頃外装体2aの端部における構造を概略的に抽出して描画した斜視図である。また,
図7に示す状態では,ウエスト伸縮材20は収縮しておらず,実質的にウエストギャザー21(皺)は形成されていない。
図7に示されるように,アウターシート10は折返線12で肌当接面側に折り返されて,折返部11を形成する。アウターシート10には複数のウエスト伸縮材20が伸長状態で固定されている。複数のウエスト伸縮材20は,折返線12寄り(
図7の上方向寄り)の上部伸縮材群20aと,股下部寄り(
図7の下方向寄り)の下部伸縮材群20bに区分される。ここで,複数のウエスト伸縮材20と折返部11の間には,クッション形成シート30が配置されている。また,下部伸縮材群20bとクッション形成シート30の間には,さらに中間シート70aが介在している。
【0047】
図7では,クッション形成シート30と折返部11の間の接合部31を概念的に描画している。
図7に示されるように,クッション形成シート30と折返部11は,張り詰めた状態で,接合部31によって,接合されている。接合部31は,
図7に示されるように,折返線12に沿う方向(幅方向)に,間欠的に形成されている。すなわち,クッション形成シート30と折返部11の間では,接合部31と非接合部32が,折返線12に沿う方向(幅方向)に,間欠的に形成されている。また,
図7に示された例では,使い捨ておむつの長手方向においても接合部31が間欠的に形成されている。このように,長手方向に長く形成された線状の接合部を,幅方向及び長手方向に間欠的に形成することとしてもよい。
【0048】
折返線12に沿う方向(幅方向)における接合部31同士の間隔は,例えば2〜50mm間隔とすることが好ましく,5〜10mm間隔とすることが特に好ましい。なお,接合部31同士の間隔は,非接合部32となる。この接合部31同士の間隔は,ウエスト伸縮材20が収縮した際に,空間33となり,この空間33によって,ウエストギャザー21にクッション構造が形成される。
また,長手方向における,接合部31同士の間隔は,例えば0.5〜5mmとすることが好ましく,特に1〜3mmであることが好ましい。
【0049】
図8は,
図7に示されたB−Bの線分において後身頃外装体2aの端部側を切断した状態を概念的に示しており,
図8では,折返部11の肌当接面側から見た状態が示されている。また,
図8に示された状態は,複数のウエスト伸縮材20が収縮して,後身頃外装体2aの端部近傍にウエストギャザー21は形成された状態である。
図7に示された状態から,複数のウエスト伸縮材20が収縮すると,
図8に示されるように,複数のウエスト伸縮材20の肌非当接面側に固定されたアウターシート10と,複数のウエスト伸縮材20の肌当接面側に固定されたクッション形成シート30が撓む。また,クッション形成シート30が撓むと,クッション形成シート30に間欠的に接合された折返部11も,撓むようになる。すると,クッション形成シート30と折返部11の非接合部32に,立体的な空間33が生じる。このようにして,クッション形成シート30と折返部11の間に空間33が生じると,この空間33が,ウエストギャザー21のクッションとして機能する。
【0050】
すなわち,クッション形成シート30と折返部11の間の空間33は,エアクッションのように緩衝機能を発揮する。このような空間33が形成されることで,接合部31やウエスト伸縮材20が着用者の肌(又は交換作業をする者の手指)に直接触れ難くなり,接合部31やウエスト伸縮材20の硬い触感が,着用者の肌に伝わり難くなる。従って,クッション形成シート30と折返部11の間の空間33を形成することで,使い捨ておむつのウエスト周りの肌触りが柔らかく感じられるようになる。また,空間33は,使い捨ておむつの内部と外部を連通させて,通気性を向上させる効果も奏する。
【0051】
一方,
図8に示されるように,ウエストギャザー21の下部側においては,クッション形成シート30と折返部11の間の空間33により生じる折返部11の凹凸が,抑えられたようになっている。これは,複数のウエスト伸縮材20のうち,下部伸縮材群20bに属するウエスト伸縮材20とクッション形成シート30の間に,さらに中間シート70を介在させることにより生じた現象である。この点について,以下,
図9を参照して説明する。
【0052】
図9は,ウエストギャザー21の断面図である。
図9(a)は,
図8におけるC−Cの線分で,ウエストギャザー21を切断した状態を示している。また,
図9(b)は,
図8におけるD−Dの線分で,ウエストギャザー21を切断した状態を示している。すなわち,
図9(a)は,ウエスト伸縮材20とクッション形成シート30の間に中間シート70が介在しない箇所の断面図であり,
図9(b)は,ウエスト伸縮材20とクッション形成シート30の間に中間シート70が介在する箇所の断面図である。なお,
図9(b)では,クッション形成シート30と中間シート70を全体的に接合した例を示している。
【0053】
図9(a)に示された空間33と,
図9(b)に示された空間33の大きさを比較すると,
図9(b)に示された空間33の方が比較的小さくなっており,ウエストギャザー21の下部側においては折返部11の凹凸が,抑制されていることがわかる。これは,ウエスト伸縮材20とクッション形成シート30の間に中間シート70が介在することによって,中間シート70厚みや中間シート70の撓みの影響を受けて,ウエスト伸縮材20の収縮作用が,折返部11にまで伝わり難くなっているからである。ウエスト伸縮材20の収縮作用が折返部11に伝わり難いと,
図9(b)に示されるように,折返部11の撓みが比較的抑制される。このため,
図9(b)に示されるように,ウエスト伸縮材20とクッション形成シート30の間に中間シート70が介在する箇所においては,クッション形成シート30と折返部11の間に生じた空間33が比較的小さいものとなっている。
【0054】
また,
図9(b)は,上述した
図9(b)とは別の実施形態を示している。
図9(b)に示された例においては,中間シート70とクッション形成シート30は全体的に接合されている。一方,
図9(c)に示された例においては,中間シート70とクッション形成シート30は,接合されていない。このように,中間シート70とクッション形成シート30は切り離されたものであるため,
図9(c)に示されるように,ウエスト伸縮材20が収縮した場合であっても,その収縮作用は,殆どクッション形成シート30にまで伝達されない。従って,クッション形成シート30と,クッション形成シート30に間欠的に接合された折返部11は,あまり撓まない。このため,
図9(c)に示された空間33は,
図9(b)に示された空間33よりも,比較的小さいものとなっている。
このようにして,中間シート70は,クッション形成シート30に対して接合されないものであってもよい。
【0055】
(2−1−5.接合部)
図10は,クッション形成シート30と折返部11の間の接合部31の形態の例を概略的に示した図である。接合部31の形態は,
図7や
図8に示された形態に限定されるものではなく,種々の形態を採用することができる。接合部31の例の一部を,
図10を参照して説明する。
【0056】
図10(a)に示す形態では,一定個数(
図10(a)では7個)のドット状接合部31Aが,使い捨ておむつの長手方向に向かって一列に並び,接合部群31Bを形成している。複数の接合部群31Bは,幅方向及び長手方向に,一定間隔空けて間欠的に形成されている。
図10(a)に示す例では,ドット状接合部31Aの集合である接合部群31Bを長手方向に配向しているため,着用者のウエスト周りの曲線的な形状におむつを追従させ易く,フィット性と着用感に優れている。さらに,接合部群31Bが円形状のドット状接合部31Aの集合体として形成されているため,触感が柔らかくなり,接合部31Aが肌に当たったとしても,着用者は痛みを感じにくくなっている。
【0057】
また,
図10(b)に示されるように,一定個数(
図10(b)では8個)のドット状接合部31Aを幅方向に二列に並べ,長手方向に延びる接合部群31Bを形成することとしてもよい。このように,ドット状接合部31Aを幅方向に二列に並べることにより,接合部における通気性が低下することを防止しつつ,接合部の接合強度を向上させることができる。このため,外装体が幅方向に強く張引された場合であっても,クッション形成シート30が折返部11から乖離しづらくなる。
【0058】
図10(c)は,ドット状接合部31Aを,いわゆる千鳥状の規則的なパターンで配置した例である。このような千鳥状のパターンであっても,ウエスト伸縮材20の収縮作用によって,クッション形成シート30が折返部11の間に空間が生じる。ドット状接合部31Aを千鳥状に配置することにより,ウエストギャザー21の触感が柔らかくなり,また通気性も向上する。
【0059】
図10(d)は,線状接合部31Cを,格子状に配置した例である。このように,線状接合部31Cを格子状に配置することで,線状接合部31Cに周囲を囲われた非接合箇所に空間が生じ,折返部11の肌当接面側が,略矩形型に盛り上がる。盛り上がった折返部11の凸部は,肌触りが良好であり,クッション性も非常に高くなっている。
【0060】
また,
図10(e)に示されるように,線状接合部31Cを,折返部11の長手方向のほぼ全体にわたって形成することとしてもよい。このような形態でも,本発明の効果であるウエスト開口部近傍の柔軟性とクッション性を得ることができる。
【0061】
(2−2.前身頃外装体及び後身頃外装体)
前身頃外装体1a及び後身頃外装体2aは,着用者の腹部及び背部に接触するとともに,使い捨ておむつ10の着用時において,前身頃外装体1a及び後身頃外装体2aの間に位置する吸収性本体3aを,保持するための部材である。
【0062】
図2に示された使い捨ておむつの展開図において,前身頃外装体1aは,腰周り端となる辺である長辺と,後身頃外装体2aとの接合部であるサイドフラップのと,吸収性本体3aとの接合する辺である短辺を有する略台形状となっている。また,後身頃外装体2aについても同様に,腰周り端となる辺である長辺と,前身頃外装体1aとの接合部であるサイドフラップの両側辺と,吸収性本体3aとの接合する辺である短辺を有する略台形状となっている。ただし,前身頃外装体1aについては,サイドフラップの両側辺と,吸収性本体3aとの接合する短辺とを結ぶ斜辺のそれぞれが,円弧状となっている。このため,前身頃外装体1aと後身頃外装体2aを接合した場合であっても,脚周り開口部は,前身頃外装体1aが比較的広く開けており,着用者の脚部が動き易くなっている。
【0063】
前身頃外装体1aと後身頃外装体2aの両側縁に延出するサイドフラップは,互いに重ね合わされ,例えば,熱エンボス加工や,ソニック溶着のような公知の接合手段により接合される。
【0064】
前身頃外装体1a及び後身頃外装体2aは,肌非当接面側にアウターシート10を有し,肌当接面側にインナーシート13を有する。アウターシート10とインナーシート13は,例えば,柔軟な繊維不織布や,プラスチックシートで形成されている。繊維不織布やプラスチックシートの間は,例えばホットメルト接着剤によって接着される。
【0065】
また,前身頃外装体1a及び後身頃外装体2aの腰周り端に沿って,複数のウエスト伸縮材20が伸長状態で配設されている。また,複数のウエスト伸縮材20の下方側(股下部側)には,タミー伸縮材22が配置されている。タミー伸縮材22は,アウターシート10とインナーシート13の間に,伸長状態で固定されており,タミー伸縮材22が収縮することにより,使い捨ておむつの腹部周りにタミーギャザーが形成される。
図1に示されるように,タミー伸縮材22は,吸収性本体3aが位置する箇所においては,配置されないことが好ましい。
【0066】
(2−3.吸収性本体)
吸収性本体3aは,前身頃外装体1aと後身頃外装体2aの間に架橋された状態で保持され,使い捨ておむつ100の着用時おいて,着用者の股下部に位置し,着用者が排泄した尿などの液体を吸収保持する。吸収性本体3aは,使い捨ておむつの股下部3を中心に,前身頃1及び後身頃2にかけて配置される。
【0067】
図2は,吸収性本体3aのトップシート50側からみた展開図である。また,
図3は,
図2に示されたA−Aの線分において,使い捨ておむつ10を長手方向に切断した状態を示す断面図である。
図2や
図3に示されるように,吸収性本体3aは,吸収体40と,トップシート50と,バックシート60と,カバーシート61と,一対の立体ギャザー42を基本構成としている。
【0068】
(2−3−1.吸収体)
吸収体40は,尿などの液体を吸収し,吸収した液体を保持するための部材である。吸収体40は,液透過性のトップシート50と,液不透過性のバックシート60の間に配置される。吸収体40は,トップシート50を透過した液体を吸収する機能を有し,吸収性材料により構成される。
【0069】
吸収体40を構成する吸収性材料には,公知の材料を採用することができる。吸収性材料としては,例えば,フラップパルプ,高吸収性ポリマー,又は親水性シートを用いることとしても良い。また,吸収性材料には,フラップパルプ,高吸収性ポリマー,又は親水性シートのうち1種類を単独で用いてもよいし,2種類以上を併用することとしてもよい。吸収性材料は,通常,単層又は複数層のマット状に形成され,用いられる。
【0070】
吸収性材料は,コアラップシート41によって,被包することが好ましい。コアラップシート41は,肌当接面側及び肌非当接面側から,吸収性材料を被覆し,吸収性材料が外側へ漏出することを防止する。コアラップシート41としては,ティシュペーパー,吸収紙,親水化処理を行った不織布等を適宜用いることができる。
【0071】
また,吸収体40は,トップシート50とバックシート60の間の少なくとも一部に挟持されることが好ましい。つまり,吸収体40の形状が矩形状である場合に,長辺となる両側縁及び短辺となる上縁と下縁の周縁部が,トップシート50とバックシート60の間に封着されることが好ましい。
【0072】
吸収体40の形状は,適宜,使い捨ておむつの形状や,大きさ,用途に合せて設計することができる。例えば,吸収体40の形状は,
図2に示されるように,砂時計型としてもよい。また,一般的な使い捨ておむつに使用されている,矩形型,楕円形型,又はひょうたん型とすることとしてもよい。
【0073】
(2−3−2.トップシート)
トップシート50は,着用者の股下部の肌に直接接し,尿などの液体を吸収体40へ透過させるための部材である。このため,トップシート50は,柔軟性が高い液透過性材料で構成される。また,トップシート50は,吸収体40の肌当接面側を被覆するように配置される。
【0074】
トップシート50を構成する不透過性材料の例は,織布,不織布,又は多孔性フィルムである。また,例えばポリプロピレンやポリエチレン,ポリエステル,ナイロンのような熱可塑性樹脂の繊維を親水化処理してさらに不織布にしたものを用いることとしてもよい。
【0075】
(2−3−3.バックシート)
バックシート60は,トップシート50を透過し吸収体40に吸収された液体が,おむつの外側へ漏出することを防止するための部材である。このため,バックシート60は,液不透過性材料によって構成される。そして,バックシート60は,吸収体40の底面からの液漏れを防止するため,吸収体40を肌非当接面側から被覆する。
【0076】
バックシート60を構成する不透過材料の例は,ポリエチレン樹脂からなる液不透過性のフィルムである。特に,0.1〜4μmの微細な孔が複数形成された微多孔性ポリエチレンフィルムを用いることが好ましい。
【0077】
また,
図3に示されるように,バックシート60とトップシート50は,吸収体40の上下縁辺に沿って,互いに接合されている。トップシート50とバックシート60は,例えば,ホットメルト接着剤やその他流動性のある接着剤を用いた接着方法により接着されてもよいし,ヒートシールのような熱溶着や超音波溶着により接着されていてもよい。
【0078】
(2−3−4.カバーシート)
カバーシート61は,バックシート60を補強し,かつ,その手触りを良くするための部材である。カバーシート61は,バックシート60の肌当接面側に貼り合わせられる。カバーシート61を構成する材料としては,織布や不織布が用いられる。特に,カバーシート61を構成する材料として,ポリエチレン,ポリプロピレン,ポリエステルのような熱可塑性樹脂からなる不織布又は湿式不織布を用いることが好ましい。
【0079】
(2−3−5.立体ギャザー)
一対の立体ギャザー42は,吸収体40の両側縁部沿って起立し,着用者が排泄した尿の横漏れを防止するための部材である。立体ギャザー42のそれぞれには,その先端部に,立体ギャザー伸縮材が配置されており,伸縮材が収縮した際に,着用者の肌当接方向に向かって立ち上がる。このため,一対の立体ギャザー42は,尿の防漏壁となり,トップシート50を透過しなかった尿や,吸収体40により吸収しきれなった尿が,使い捨ておむつの脚部周り開口部などから漏出する横漏れを防止する。
【0080】
立体ギャザー42は,従来の使い捨ておむつに用いられている公知の構成を採用することができる。立体ギャザー42は,例えば,撥水性シートの層間に伸張状態の立体ギャザー伸縮材を挟み込んで固定することにより,形成することができる。撥水性シートとしては,例えば,カードエンボスやスパンボンド等の製法により得られた不織布シートを使用することができ,特に防水性が高いSMSやSMMS等の不織布シートを用いることが好ましい。
【0081】
(2−4.各種伸縮材)
伸縮材は,その収縮力によって,ギャザーを形成したり,伸縮材が配設された部材を起立させたりするために,使い捨ておむつの適所に配設される部材である。例えば,前述したとおり,前身頃外装体1aと後身頃外装体2aの端縁近傍には,複数のウエスト伸縮材20が配置される。また,前身頃外装体1aと後身頃外装体2aには,ウエスト伸縮材20の下方に,タミー伸縮材22が配置される。また,吸収性本体3aの立体ギャザー42を形成するために,立体ギャザー伸縮材が配置される。
【0082】
伸縮材には,通常,糸状弾性ゴムが用いられる。このようなゴム材としては,スチレン系ゴム,オレフィン系ゴム,ウレタン系ゴム,エステル系ゴム,ポリウレタン,ポリエチレン,ポリスチレン,スチレンブタジエン,シリコーン,ポリエステル等の素材を用いることができる。なお,伸縮材の形成材料は必ずしも,これらの材料に限定されるものではなく,例えば熱可塑性エラストマー,プラスチックシート,ゴムシート等の伸縮性を有する公知のものを用いることができる。特に熱可塑性エラストマーを用いることが好ましく,この熱可塑性エラストマーとしては,例えばスチレン系エラストマー,オレフィン系エラストマー,ポリブタジエン系エラストマー,ポリエステル系エラストマー,ポリアミド系エラストマー,ウレタン系エラストマー,塩化ビニル系エラストマー,フッ素系エラストマー,アイオノマー樹脂,シリコーン系樹脂等の公知の種々のものを用いることができる。なお,これらの熱可塑性エラストマーは単独で用いてもよいし,2種以上を混合して用いてもよい。