特許第5783042号(P5783042)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 5783042-蓄尿障害の治療剤又は予防剤 図000133
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5783042
(24)【登録日】2015年7月31日
(45)【発行日】2015年9月24日
(54)【発明の名称】蓄尿障害の治療剤又は予防剤
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/415 20060101AFI20150907BHJP
   A61K 31/4439 20060101ALI20150907BHJP
   A61K 31/426 20060101ALI20150907BHJP
   A61K 31/421 20060101ALI20150907BHJP
   A61P 13/02 20060101ALI20150907BHJP
   C07D 231/12 20060101ALN20150907BHJP
   C07D 401/04 20060101ALN20150907BHJP
   C07D 277/24 20060101ALN20150907BHJP
   C07D 263/32 20060101ALN20150907BHJP
【FI】
   A61K31/415
   A61K31/4439
   A61K31/426
   A61K31/421
   A61P13/02
   !C07D231/12 D
   !C07D401/04
   !C07D277/24
   !C07D263/32
【請求項の数】6
【全頁数】95
(21)【出願番号】特願2011-514903(P2011-514903)
(86)(22)【出願日】2011年3月31日
(86)【国際出願番号】JP2011058220
(87)【国際公開番号】WO2011125838
(87)【国際公開日】20111013
【審査請求日】2013年9月13日
(31)【優先権主張番号】特願2010-83723(P2010-83723)
(32)【優先日】2010年3月31日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000003159
【氏名又は名称】東レ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001656
【氏名又は名称】特許業務法人谷川国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100088546
【弁理士】
【氏名又は名称】谷川 英次郎
(72)【発明者】
【氏名】晴山 菜菜
(72)【発明者】
【氏名】吉川 悟
(72)【発明者】
【氏名】中尾 薫
【審査官】 星 功介
(56)【参考文献】
【文献】 特表2002−525361(JP,A)
【文献】 特表2002−526442(JP,A)
【文献】 特表2010−503656(JP,A)
【文献】 国際公開第2000/066562(WO,A1)
【文献】 国際公開第2007/111323(WO,A1)
【文献】 国際公開第2008/105383(WO,A1)
【文献】 国際公開第2010/007943(WO,A1)
【文献】 国際公開第2010/050577(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/415
A61K 31/421
A61K 31/426
A61K 31/4439
A61P 13/02
C07D 231/12
C07D 263/32
C07D 277/24
C07D 401/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(I)
【化1】
[式中、Aは、一般式(IIa)又は(IIb)で表される置換基であり、
【化2】
及びRは、それぞれ独立して、水素原子、塩素原子、炭素数1〜3のハロアルキル基、炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数1〜4のアルコキシ基であり、
は、水素原子又は塩素原子であり、Rは、フッ素原子、ヒドロキシメチル基又はヒドロキシル基であり、
及びRは、それぞれ独立して、水素原子、フッ素原子、炭素数1〜3のハロアルキル基、カルボキシル基、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、ヒドロキシル基又は炭素数2〜5のアルキルカルボニルオキシ基であるか、一緒になってオキソ基を形成してもよく
及びRは、それぞれ独立して、水素原子又はフッ素原子であり、
Yは、酸素原子又は硫黄原子であり、
Zは、窒素原子又はメチン基である。]
で示されるシクロヘキサン誘導体又はその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有する、蓄尿障害の治療剤又は予防剤。
【請求項2】
及びRは、それぞれ独立して、トリフルオロメチル基、メチル基又はメトキシ基である、請求項1記載の治療剤又は予防剤。
【請求項3】
は、水素原子である、請求項1又は2記載の治療剤又は予防剤。
【請求項4】
は、ヒドロキシメチル基又はヒドロキシル基である、請求項1〜3のいずれか一項記載の治療剤又は予防剤。
【請求項5】
及びRは、それぞれ独立して、水素原子、フッ素原子、トリフルオロメチル基、カルボキシル基、メトキシ基、ヒドロキシル基又はアセチルオキシ基であるか、一緒になってオキソ基を形成してもよい、請求項1〜4のいずれか一項記載の治療剤又は予防剤。
【請求項6】
前記蓄尿障害は、頻尿、尿失禁又は尿意切迫感である、請求項1〜5のいずれか一項記載の治療剤又は予防剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓄尿障害の治療剤又は予防剤に関する。
【背景技術】
【0002】
蓄尿障害は、蓄尿時に尿を膀胱に十分量貯めることができない状態であり、主な症状として頻尿、尿失禁および尿意切迫感がある。頻尿とは、正常な排尿回数を超えている状態をいい、尿失禁とは、不随意又は無意識な尿の漏れがあり、それが衛生的、社会的に問題になった状態のことをいい、尿意切迫感とは急激に起こる強く耐え難い強い尿意を呈する状態をいう。現在、頻尿、尿失禁や尿意切迫感等の蓄尿障害に対する治療剤として、主に抗コリン剤が使用されている。抗コリン剤とは、ムスカリン受容体に結合し、受容体拮抗作用(抗コリン作用)を発揮する薬剤のことである。
【0003】
また、頻尿、尿失禁又は尿意切迫感等の蓄尿障害を呈する患者は、痛みも合わせて愁訴する場合があり、例えば、間質性膀胱炎が原因の場合には、頻尿、尿失禁又は尿意切迫感等の蓄尿障害と共に、蓄尿期の下腹部痛や排尿時の膀胱尿道部の痛みや不快感を伴うことが知られている。
【0004】
これまでに鎮痛薬として用いられている医薬品の中には、頻尿又は尿失禁といった蓄尿障害に対する有効性が示された例がある。例えば、非ステロイド性消炎鎮痛薬であるロキソプロフェンについては、夜間頻尿を改善することが報告され(非特許文献1)、オピオイド系の非麻薬性鎮痛薬であるトラマドールについては、頻尿又は尿失禁に対して有効であることが報告されている(特許文献1)。
【0005】
一方、ピラゾール誘導体(特許文献2)やピラゾール環に結合した芳香環上にスルホニル基を有する下式のシクロヘキサン誘導体(特許文献3)については、鎮痛効果を有する化合物は報告されているが、蓄尿障害に対する効果を示唆する報告はない。
【化1】
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開第98/046216号
【特許文献2】国際公開第08/105383号
【特許文献3】国際公開第00/066562号
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Saito M ら、Int J Urol.、2005年、第12巻、p.779
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、頻尿、尿失禁又は尿意切迫感等の蓄尿障害に使用される抗コリン剤は、その薬理作用に基づく口渇、便秘等の消化器症状、起立性低血圧等の循環器症状及び尿閉、残尿等の排尿障害等の副作用があり、その使用は制限されている。また、ロキソプロフェンには消化器系の副作用が、トラマドールには、悪心、嘔吐、めまい又はふらつき等のオピオイド系薬剤特有の消化器系及び中枢神経系の副作用があり、これら薬剤の使用についてもその使用は制限されている。
【0009】
そこで本発明は、抗コリン作用に基づく副作用が改善され、かつ、鎮痛作用を併せ持つ、蓄尿障害の治療に対して有効な治療剤又は予防剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、優れた鎮痛効果を示す新規なシクロヘキサン誘導体が、蓄尿障害に対して優れた治療又は予防効果を有し、さらには抗コリン作用に基づく副作用の懸念が極めて低いことを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0011】
すなわち、本発明は、一般式(I)
【化2】
で示されるシクロヘキサン誘導体又はその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有する、蓄尿障害の治療剤又は予防剤を提供する。
[式中、Aは、一般式(IIa)又は(IIb)で表される置換基であり、
【化3】
及びRは、それぞれ独立して、水素原子、塩素原子、炭素数1〜3のハロアルキル基、炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数1〜4のアルコキシ基であり、Rは、水素原子又は塩素原子であり、Rは、フッ素原子、ヒドロキシメチル基又はヒドロキシル基であり、R及びRは、それぞれ独立して、水素原子、フッ素原子、炭素数1〜3のハロアルキル基、カルボキシル基、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、ヒドロキシル基又は炭素数2〜5のアルキルカルボニルオキシ基であるか、一緒になってオキソ基を形成してもよく、R及びRは、それぞれ独立して、水素原子又はフッ素原子であり、Yは、酸素原子又は硫黄原子であり、Zは、窒素原子又はメチン基である。]
【0012】
上記のシクロヘキサン誘導体は、R及びRが、それぞれ独立して、トリフルオロメチル基、メチル基又はメトキシ基であることが好ましく、Rが水素原子であり、Rがヒドロキシメチル基又はヒドロキシル基であり、R及びRがそれぞれ独立して水素原子、フッ素原子、トリフルオロメチル基、カルボキシル基、メトキシ基、ヒドロキシル基又はアセチルオキシ基(一緒になってオキソ基を形成してもよい)であることがより好ましい。
【0013】
また、上記の蓄尿障害の治療剤又は予防剤は、頻尿、尿失禁又は尿意切迫感の治療剤又は予防剤であることがより好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明の蓄尿障害の治療剤又は予防剤は、抗コリン作用に基づく副作用の懸念が低いことにより安全性を確保しながら、蓄尿障害に対して顕著な治療効果を有する。さらには、鎮痛効果をも併せ持つことから、蓄尿障害に痛みが伴う場合には、その治療効果も期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】Cyclophosphamide monohydrate(以下、シクロフォスファミド)誘発頻尿モデルラットに対する本発明のシクロヘキサン誘導体の静脈内投与による効果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の蓄尿障害の治療剤又は予防剤は、一般式(I)
【化4】
[式中、Aは、下記一般式(IIa)又は(IIb)で表される置換基であり、
【化5】
及びRは、それぞれ独立して、水素原子、塩素原子、炭素数1〜3のハロアルキル基、炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数1〜4のアルコキシ基であり、Rは、水素原子又は塩素原子であり、Rは、フッ素原子、ヒドロキシメチル基又はヒドロキシル基であり、R及びRは、それぞれ独立して、水素原子、フッ素原子、炭素数1〜3のハロアルキル基、カルボキシル基、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、ヒドロキシル基又は炭素数2〜5のアルキルカルボニルオキシ基であるか、一緒になってオキソ基を形成してもよく、R及びRは、それぞれ独立して、水素原子又はフッ素原子であり、Yは、酸素原子又は硫黄原子であり、Zは、窒素原子又はメチン基である。]
で示されるシクロヘキサン誘導体又はその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有することを特徴としている。
【0017】
「炭素数1〜4のアルキル基」とは、炭素数1〜4の直鎖状、分岐状、環状のアルキル基を表し、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、シクロプロピル基、シクロプロピルメチル基、n−ブチル基、sec−ブチル基又はtert−ブチル基が挙げられる。
【0018】
「炭素数1〜4のアルコキシ基」とは、炭素数1〜4の直鎖状、分岐状、環状のアルキル−オキシ基を表し、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、シクロプロピルオキシ基、n−ブトキシ基、sec−ブトキシ基又はtert−ブトキシ基が挙げられる。
【0019】
「炭素数1〜3のハロアルキル基」とは、炭素数1〜3の直鎖状のアルキル基上の水素原子の一部又は全てがハロゲン原子(ハロゲン原子とは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子を表す)で置換されている基を表し、例えば、モノクロロメチル基、モノフルオロメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、トリクロロメチル基又はペンタフルオロエチル基が挙げられる。
【0020】
「炭素数2〜5のアルキルカルボニルオキシ基」とは、例えば、アセチルオキシ基、エタノイルオキシ基、プロパノイルオキシ基、イソプロパノイルオキシ基、ブタノイルオキシ基又はイソブタノイルオキシ基又はピバロイルオキシ基が挙げられる。
【0021】
一般式(I)中、Aとしては、一般式(IIa)が好ましく、Yとしては、酸素原子が好ましく、Zとしては、メチン基が好ましい。
【0022】
としては、水素原子、塩素原子、トリフルオロメチル基、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、メトキシ基、エトキシ基、n−プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基が好ましく、トリフルオロメチル基、メチル基、メトキシ基がより好ましく、メチル基がさらに好ましい。
【0023】
としては、水素原子、塩素原子、トリフルオロメチル基、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、メトキシ基、エトキシ基、n−プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基が好ましく、メトキシ基がより好ましい。
【0024】
としては、水素原子が好ましく、Rとしては、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシル基が好ましく、ヒドロキシル基がより好ましい。
【0025】
としては、水素原子、フッ素原子、トリフルオロメチル基、カルボキシル基、メトキシ基、エトキシ基、n−プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、ヒドロキシル基、アセチルオキシ基、プロパノイルオキシ基、ブタノイルオキシ基又はイソブタノイルオキシ基が好ましく、水素原子、ヒドロキシル基、カルボキシル基がより好ましく、ヒドロキシル基がさらに好ましい。
【0026】
としては、水素原子、フッ素原子、トリフルオロメチル基、カルボキシル基、メトキシ基、エトキシ基、n−プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、ヒドロキシル基、アセチルオキシ基、プロパノイルオキシ基、ブタノイルオキシ基又はイソブタノイルオキシ基が好ましく、水素原子、ヒドロキシル基がより好ましく、水素原子がさらに好ましい。また、RとRが一緒になって、オキソ基を形成してもよい。
【0027】
また、R及びRとしては、水素原子が好ましい。
【0028】
一般式(I)で示される化合物又はその薬理学的に許容される塩(以下、化合物(I))のうち、好ましい具体例を表1に示すが、これらは本発明を限定するものではない。
【0029】
【表1-1】
【0030】
【表1-2】
【0031】
【表1-3】
【0032】
【表1-4】
【0033】
なお、化合物(I)に不斉炭素が存在する場合には、全ての鏡像異性体及びそれらの混合物が本発明に含まれる。
【0034】
さらに、化合物(I)に立体異性体が存在する場合には、全ての立体異性体及びそれらの混合物が本発明に含まれる。
【0035】
「薬理学的に許容される塩」とは、例えば、塩酸塩、硫酸塩、リン酸塩、臭化水素酸塩等の無機酸塩、シュウ酸塩、マロン酸塩、クエン酸塩、フマル酸塩、乳酸塩、リンゴ酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、マレイン酸塩、グルコン酸塩、安息香酸塩、アスコルビン酸塩、メタンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、ケイ皮酸塩等の有機酸塩、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、アンモニウム塩等の無機塩基塩及びメチルアミン塩、ジエチルアミン塩、トリメチルアミン塩、トリエチルアミン塩、ピリジニウム塩、トリエタノールアミン塩、エチレンジアミン塩、グアニジン塩等の有機塩基塩が挙げられる。さらに、化合物(I)は、水和物、溶媒和物や形成してもよく、結晶多形もこれに含まれる。
【0036】
化合物(I)は、例えば、以下に記載する製造法に従い合成することができる。各反応式中の記号は、特に断りのない限り、上記の定義と同義である。
【0037】
原料化合物がカルボキシル基又はヒドロキシル基を有する場合、一般的に用いられるような保護基が導入されていてもよく、反応後に必要に応じて保護基を除去してもよい。ヒドロキシル基の保護基としては、例えば、炭素数1〜4のアルキル基、フェニル基、トリチル基、炭素数1〜4のアラルキル基(例えば、ベンジル基)、アシル基(例えば、ホルミル基、アセチル基又はベンゾイル基)、炭素数7〜10のアラルキル−カルボニル基(例えば、ベンジルカルボニル基)、置換シリル基(例えば、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基又はtert−ブチルジメチルシリル基)が挙げられる。カルボキシル基の保護基としては、例えば、炭素数1〜4のアルキル基が挙げられる。
【0038】
上記の保護基の除去は、保護基の種類によって異なるが、公知文献(PROTECTIVE GROUPS IN ORGANIC SYNTHESIS(WILEY−INTERSCIENCE))に記載の方法又はこれに準ずる方法に従って行うことができる。
【0039】
以下に記載する製造法において、原料化合物は塩を用いてもよい。塩としては、上記の薬理学的に許容される塩と同様のものが挙げられる。
【0040】
以下に記載する製造法により得られた化合物(I)は、公知の手段に従って単離精製することができるが、公知の手段としては、例えば、溶媒抽出、再結晶、クロマトグラフィーが挙げられる。
【0041】
化合物(I)が、光学異性体、立体異性体、位置異性体、回転異性体を含有する場合には、公知の合成方法及び分離方法によりそれぞれを単一化合物として得ることができる。
【0042】
(製造法1:化合物(Ic)、化合物(Id)、化合物(Ie)及び化合物(If)の製造法)
【化6】
[式中、R5a及びR6aはそれぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜3のハロアルキル基、カルボキシル基等であり、R及びRはそれぞれ独立して、炭素数1〜4のアルキル基等であり、その他の各記号は上記の定義と同義である。]
【0043】
化合物(Ic)は、化合物(Ia)をアルキル化することによって得られ、化合物(Id)は化合物(Ib)をアルキル化することによって得られる。化合物(Ie)は化合物(Ia)をアシル化することによって得られ、化合物(If)は化合物(Ib)をアシル化することによって得られる。
【0044】
(工程1及び工程2)
化合物(Ia)又は化合物(Ib)のアルキル化反応は、一般に、化合物(Ia)又は化合物(Ib)を塩基存在下の溶媒中でハロゲン化アルキルと反応させることにより行われ、反応を阻害しない溶媒が適宜選択される。反応を阻害しない溶媒としては、例えば、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類、アセトン、アセトニトリル又はN,N−ジメチルホルムアミドが挙げられるが、これらの混合溶媒を用いてもよい。
【0045】
上記の塩基としては、例えば、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等の炭酸水素アルカリ金属類、炭酸カリウム、炭酸セシウム等の炭酸アルカリ金属類、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン等のアミン類、カリウムtert−ブトキシド又は水素化ナトリウムが挙げられる。
【0046】
上記の塩基の使用量としては、化合物(Ia)又は化合物(Ib)1モルに対して0.5〜6モルが好ましく、0.8〜3モルがより好ましい。
【0047】
上記のハロゲン化アルキルの使用量としては、化合物(Ia)又は化合物(Ib)1モルに対して0.5〜5モルが好ましく、0.8〜2モルがより好ましい。
【0048】
上記のアルキル化反応の反応温度は、−78〜200℃が好ましく、−20〜100℃がより好ましい。
【0049】
上記のアルキル化反応の反応時間は反応条件によっても異なるが、5分〜78時間が好ましく、30分〜48時間がより好ましい。
【0050】
(工程3及び工程4)
化合物(Ia)又は化合物(Ib)のアシル化反応は、一般に、化合物(Ia)又は化合物(Ib)を塩基存在下の溶媒中で酸ハロゲン化物又は酸無水物等のアシル化剤と反応させることにより行われ、反応を阻害しない溶媒が適宜選択される。反応を阻害しない溶媒としては、例えば、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン、1,4−ジオキサン等のエーテル類が挙げられるが、これらの混合溶媒を用いてもよい。
【0051】
上記の塩基としては、例えば、ピリジン、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン又はN,N−ジメチルアミノピリジン等が挙げられる。
【0052】
上記の酸ハロゲン化物又は酸無水物の使用量としては、化合物(Ia)又は化合物(Ib)1モルに対して0.5〜3モルが好ましく、0.8〜1.5モルがより好ましい。
【0053】
上記の塩基の使用量としては、化合物(Ia)又は化合物(Ib)1モルに対して0.1〜6モルが好ましく、0.8〜3モルがより好ましい。
【0054】
上記のアシル化反応の反応温度は、−20〜150℃が好ましく、0〜100℃がより好ましい。
【0055】
上記のアシル化反応の反応時間は反応条件によっても異なるが、5分〜72時間が好ましく、30分〜48時間がより好ましい。
【0056】
(製造法2:化合物(Ih)の製造法)
【化7】
[式中、R5b及びR6bはそれぞれ独立して、水素原子、フッ素原子、炭素数1〜3のハロアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、炭素数2〜5のアルキルカルボニルオキシ基等であり、その他の各記号は上記の定義と同義である。]
【0057】
化合物(Ih)は、化合物(Ig)をフッ素化することによって得られる。
【0058】
(工程5)
化合物(Ig)のフッ素化反応は、一般に、溶媒中で化合物(Ig)をフッ素化剤と反応させることにより行われ、反応を阻害しない溶媒が適宜選択される。反応を阻害しない溶媒としては、例えば、オクタン、ヘキサン、ベンゼン、トルエン等の炭化水素類、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン、1,4−ジオキサン等のエーテル類又はアセトニトリル等のアルキルニトリル類が挙げられるが、これらの混合溶媒を用いてもよい。
【0059】
上記のフッ素化剤としては、例えば、(ジメチルアミノ)サルファートリフルオリド(DAST)、ビス(2−メトキシエチル)アミノサルファートリフルオリド酸等のアルキルアミノサルファー三フッ化物が挙げられる。
【0060】
上記のフッ素化剤の使用量としては、化合物(Ig)1モルに対して0.25〜20モルが好ましく、0.5〜4モルがより好ましい。
【0061】
上記のフッ素化反応の反応温度は、−20〜150℃が好ましく、0〜100℃がより好ましい。
【0062】
上記のフッ素化反応の反応時間は反応条件によっても異なるが、5分〜72時間が好ましく、30分〜48時間がより好ましい。
【0063】
(製造法3:化合物(Ij)の製造法)
【化8】
[式中、各記号は上記の定義と同義である。]
【0064】
化合物(Ij)は、化合物(Ii)をフッ素化することによって得られる。
【0065】
(工程6)
化合物(Ii)のフッ素化反応は、一般に、化合物(Ii)を溶媒中でフッ素化剤と反応させることにより行われ、反応を阻害しない溶媒が適宜選択される。反応を阻害しない溶媒としては、例えば、オクタン、ヘキサン、ベンゼン、トルエン等の炭化水素類、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン、1,4−ジオキサン等のエーテル類又はアセトニトリル等のアルキルニトリル類が挙げられるが、又はこれらの混合溶媒を用いてもよい。
【0066】
上記のフッ素化剤としては、例えば、(ジメチルアミノ)サルファートリフルオリド(DAST)、ビス(2−メトキシエチル)アミノサルファートリフルオリド酸等のアルキルアミノサルファー三フッ化物が挙げられる。
【0067】
上記のフッ素化剤の使用量としては、化合物(Ii)1モルに対して0.25〜20モルが好ましく、0.5〜4モルがより好ましい。
【0068】
上記のフッ素化反応の反応温度は、−20〜150℃が好ましく、0〜100℃がより好ましい。
【0069】
上記のフッ素化反応の反応時間は反応条件によっても異なるが、5分〜72時間が好ましく、30分〜48時間がより好ましい。
【0070】
(製造法4:化合物(Ik)及び化合物(Il)の製造法)
【化9】
[式中、各記号は上記の定義と同義である。]
【0071】
化合物(Ik)及び化合物(Il)は、化合物(Ii)を還元することによって得られる。
【0072】
(工程7)
化合物(Ii)の還元反応は、一般に、化合物(Ii)を溶媒中で還元剤と反応させることにより行われ、反応を阻害しない溶媒が適宜選択される。反応を阻害しない溶媒としては、例えば、オクタン、ヘキサン、ベンゼン、トルエン等の炭化水素類、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチルエーテル等のエーテル類、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類が挙げられるが、これらの混合溶媒を用いてもよい。
【0073】
上記の還元剤としては、例えば、水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素リチウム、ジイソブチルアルミニウムヒドリド、リチウムアルミニウムヒドリド、リチウムトリエチルヒドリド、ナトリウムビス(2−メトキシエトキシ)アルミニウムヒドリド又はボラン錯体が挙げられる。
【0074】
上記の還元剤の使用量としては、化合物(Ii)1モルに対して0.25〜100モルが好ましく、0.5〜20モルがより好ましい。
【0075】
上記の還元反応の反応温度は、−78〜150℃が好ましく、−78〜100℃がより好ましい。
【0076】
上記の還元反応の反応時間は、反応温度や還元剤の量等の反応条件によっても異なるが、5分〜72時間が好ましく、30分〜24時間がより好ましい。
【0077】
(製造法5:化合物(Im)及び化合物(In)の製造法)
【化10】
[式中、各記号は上記の定義と同義である。]
【0078】
化合物(Im)及び化合物(In)は、化合物(Ii)をトリフルオロメチル化することによって得られる。
【0079】
(工程8)
トリフルオロメチル化剤としては、例えば、(トリフルオロメチル)トリメチルシラン等の有機珪素化合物が挙げられる。有機珪素化合物を用いるトリフルオロメチル化反応は、公知文献(Journal of the American Chemical Society、1989年、39巻、p.393〜395)に記載の方法又はこれに準ずる方法に従って行うことができる。
【0080】
(製造法6:化合物(Io)の製造法)
【化11】
[式中、各記号は上記の定義と同義である。]
【0081】
化合物(SI)は、化合物(Ii)にWittig試薬(LI)を作用させ、続いて加水分解することによって得られる。Wittig試薬(LI)は市販の化合物を利用できるが、当業者に自明の方法に従って合成することもできる。化合物(Io)は化合物(SI)を酸化することによって得られる。
【0082】
(工程9)
化合物(Ii)のWittig反応は、一般に、化合物(Ii)を塩基存在下の溶媒中でWittig試薬と反応させることにより行われ、反応を阻害しない溶媒が適宜選択される。反応を阻害しない溶媒としては、例えば、オクタン、ヘキサン、ベンゼン、トルエン等の炭化水素類、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチルエーテル等のエーテル類が挙げられるが、これらの混合溶媒を用いてもよい。
【0083】
上記の塩基としては、例えば、リチウムジイソプロピルアミド、カリウムtert−ブトキシド、水素化ナトリウム、フェニルリチウム又はtert−ブチルリチウムが挙げられる。
【0084】
上記の塩基の使用量としては、化合物(Ii)1モルに対して0.5〜3モルが好ましく、0.8〜2モルがより好ましい。
【0085】
化合物(LI)の使用量としては、化合物(Ii)1モルに対して0.5〜3モルが好ましく、0.8〜2モルがより好ましい。
【0086】
上記のWittig反応の反応温度は、−78〜100℃が好ましく、−78〜50℃がより好ましい。
【0087】
上記のWittig反応の反応時間は、反応温度等の反応条件によっても異なるが、5分〜48時間が好ましく、30分〜24時間がより好ましい。
【0088】
化合物(SI)を得るための加水分解反応は、適宜選択した反応を阻害しない溶媒中で行われる。反応を阻害しない溶媒としては、例えば、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類、メタノール、エタノール、tert−ブタノール等のアルコール類、アセトニトリル又は水が挙げられるが、これらの混合溶媒を用いてもよい。
【0089】
上記の加水分解反応に用いる酸の濃度は0.1〜12Mが好ましく、その使用量としては、化合物(Ii)1モルに対して1モル〜過剰量が好ましい。
【0090】
上記の加水分解反応に用いる酸としては、例えば、塩酸、硫酸等の無機酸又は酢酸等の有機酸が挙げられる。
【0091】
上記の加水分解反応の反応温度は、−20〜200℃が好ましく、0〜100℃がより好ましい。
【0092】
上記の加水分解反応の反応時間は反応条件によっても異なるが、5分〜48時間が好ましく、30分〜24時間がより好ましい。
【0093】
(工程10)
化合物(SI)の酸化反応に用いる酸化剤としては、例えば、酸化クロム(VI)−酢酸、Jones試薬又は亜塩素酸ナトリウム等が挙げられる。上記の酸化反応は、当業者に自明の方法に従って行うことができる。
【0094】
(製造法7:化合物(Ii)の製造法)
【化12】
[式中、R及びR10はそれぞれ独立して、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基又はtert−ブチル基等であるか、R、R10が一緒になってエチレン基(−CHCH−)又はプレピレン基(−CHCHCH−)等形成してもよく、その他の各記号は上記の定義と同義である。]
【0095】
化合物(Ii)は化合物(Ip)を脱保護することによって得られる。
【0096】
(工程11)
化合物(Ip)の脱保護反応は公知文献(PROTECTIVE GROUPS IN ORGANIC SYNTHESIS(WILEY−INTERSCIENCE))に記載の方法又はこれに準ずる方法に従って行うことができる。
【0097】
(製造法8:化合物(IIIb)の製造法)
【化13】
[式中、各記号は上記の定義と同義である。]
【0098】
化合物(IIIb)は化合物(IIIa)を塩素化することによって得られる。
【0099】
(工程12)
化合物(IIIa)の塩素化反応は、一般に、化合物(IIIa)を溶媒中で塩素化剤と反応させることにより行われ、反応を阻害しない溶媒が適宜選択される。反応を阻害しない溶媒としては、例えば、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素、アセトニトリル又は酢酸エチルが挙げられるが、これらの混合溶媒を用いてもよい。
【0100】
上記の塩素化剤としては、例えば、N−クロロコハク酸イミド(NCS)が挙げられる。
【0101】
上記の塩素化剤の使用量としては、化合物(IIIa)1モルに対して0.5〜2モルが好ましく、0.8〜1.2モルがより好ましい。
【0102】
上記の塩素化反応の反応温度は、0〜200℃が好ましく、0〜120℃がより好ましい。
【0103】
上記の塩素化反応の反応時間は、反応温度等の反応条件によっても異なるが、5分〜72時間が好ましく、30分〜48時間がより好ましい。
【0104】
(製造法9:(化合物(IIIa)の製造法)
【化14】
[式中、各記号は上記の定義と同義である。]
【0105】
化合物(IIIa)は、化合物(LII)と化合物(SII)との環化によって得られる。化合物(LII)は市販の化合物を利用できるが、当業者に自明の方法に従って合成することもできる。
【0106】
(工程13)
化合物(LII)と化合物(SII)との環化反応は、一般に、適宜選択した反応を阻害しない溶媒中で行われる。反応を阻害しない溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン、1,4−ジオキサン等のエーテル類、ベンゼン、トルエン、酢酸又は水が挙げられるが、これらの混合溶媒を用いてもよい。
【0107】
化合物(LII)の使用量としては、化合物(SII)1モルに対して0.5〜1.5モルが好ましく、0.8〜1.2モルがより好ましい。
【0108】
なお、上記の環化反応には触媒を用いてもよいが、上記触媒としては、例えば、トリエチルアミン、ピリジン等の有機塩基、塩酸、硫酸等の無機酸又は酢酸等の有機酸が挙げられる。
【0109】
上記の触媒の使用量としては、化合物(SII)1モルに対して0.1〜3モルが好ましい。
【0110】
上記の環化反応の反応温度は、0〜200℃が好ましく、0〜120℃がより好ましい。
【0111】
上記の環化反応の反応時間は、反応温度等の反応条件によっても異なるが、5分〜72時間が好ましく、30分〜48時間がより好ましい。
【0112】
(製造法10:化合物(IV)の製造法)
【化15】
[式中、各記号は上記の定義と同義である。]
【0113】
化合物(IV)は、化合物(SIII)の脱プロトン化及び酸化によって得られる。上記の酸化反応は公知文献(Tetrahedron、1989年、45巻、p.5703〜5742)記載の方法又はこれに準ずる方法に従って行うことができる。
【0114】
(工程14)
化合物(SIII)の脱プロトン化反応及び酸化反応は、一般に、化合物(SIII)を脱水溶媒中で塩基及び酸化剤と反応させることにより行われ、反応を阻害しない溶媒が適宜選択される。反応を阻害しない溶媒としては、例えば、オクタン、ヘキサン、ヘプタン等の炭化水素類、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチルエーテル等のエーテル類が挙げられるが、これらの混合溶媒を用いてもよい。
【0115】
上記の塩基としては、例えば、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、tert−ブチルリチウム等のブチルリチウムが挙げられる。
【0116】
上記の塩基の使用量としては、化合物(SIII)1モルに対して0.8〜5モルが好ましく、0.9〜3モルがより好ましい。
【0117】
化合物(LIII)の使用量としては、化合物(SIII)1モルに対して0.8〜5モルが好ましく、0.9〜3モルがより好ましい。
【0118】
上記の酸化反応に用いる酸化剤としては、例えば、3−フェニル−2−(フェニルスルフォニル)−1,2−オキサジリジンが挙げられる。
【0119】
上記の脱プロトン化反応及び酸化反応の反応温度は、−78〜150℃が好ましく、0〜50℃がより好ましい。
【0120】
上記の脱プロトン化反応及び酸化反応の反応時間は反応条件によっても異なるが、5分〜72時間が好ましく、30分〜48時間がより好ましい。
【0121】
(製造法11:中間体化合物(VI)の製造法)
【化16】
[式中、各記号は上記の定義と同義である。]
【0122】
化合物(VI)は化合物(LIV)と化合物(LV)とを反応させることによって得た化合物(V)を、加溶媒分解することによって得られる。化合物(LIV)及び化合物(LV)は、市販の化合物を利用できるが、当業者に自明の方法に従って合成することもできる。
【0123】
(工程15)
化合物(LIV)と化合物(LV)との反応は、一般に、塩基存在下の脱水溶媒中で行われ、反応を阻害しない溶媒が適宜選択される。反応を阻害しない溶媒としては、例えば、オクタン、ヘキサン、ベンゼン、トルエン等の炭化水素類、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチルエーテル等のエーテル類が挙げられるが、これらの混合溶媒を用いてもよい。
【0124】
上記の塩基としては、例えば、メチルリチウム、n−ブチルリチウム等のアルキルリチウム類、リチウムジイソプロピルアミド、リチウムビス(トリメチルシリル)アミド、カリウムビス(トリメチルシリル)アミド等のジアルキルアミン類の塩が挙げられる。
【0125】
上記の塩基の使用量としては、化合物(LIV)1モルに対して0.8〜5モルが好ましく、0.9〜3モルがより好ましい。
【0126】
化合物(LV)の使用量としては、化合物(LIV)1モルに対して0.8〜5モルが好ましく、0.9〜3モルがより好ましい。
【0127】
上記の化合物(LIV)と化合物(LV)との反応温度は、−78〜150℃が好ましく、−78〜100℃がより好ましい。
【0128】
上記の化合物(LIV)と化合物(LV)との反応時間は反応条件によっても異なるが、5分〜72時間が好ましく、30分〜48時間がより好ましい。
【0129】
(工程16)
上記の加溶媒分解反応は、一般に、塩基存在下の溶媒中で行われ、反応を阻害しない溶媒が適宜選択される。反応を阻害しない溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール等のアルコール類又は水が挙げられるが、これらの混合溶媒を用いてもよい。
【0130】
上記の塩基としては、例えば、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、水酸化カリウム又は水酸化ナトリウムが挙げられる。
【0131】
上記の塩基の使用量としては、化合物(V)1モルに対して0.5〜10モルが好ましく、0.8〜3モルがより好ましい。
【0132】
上記の加溶媒分解反応の反応温度は、−20〜150℃が好ましく、0〜100℃がより好ましい。
【0133】
上記の加溶媒分解反応の反応時間は反応条件によっても異なるが、5分〜72時間が好ましく、30分〜48時間がより好ましい。
【0134】
(製造法12:中間体化合物(SIIa)の製造法)
【化17】
[式中、R11は塩素原子、イミダゾリル基、N−メトキシ−N−メチルアミノ基、又はメトキシ基又はエトキシ基等のアルコキシ基等であり、その他の各記号は上記の定義と同義である。]
【0135】
化合物(SIIa)は、化合物(VI)と化合物(LVI)とを反応させることによって得た化合物(VII)を、酸化することによって得られる。化合物(SIIa)は、化合物(VI)と化合物(LVII)とを反応させることによっても得られる。化合物(LVI)及び化合物(LVII)は、市販の化合物を利用できるが、当業者に自明の方法に従って合成することもできる。
【0136】
(工程17又は工程18)
化合物(VI)と化合物(LVI)又は化合物(LVII)との反応は、一般に、塩基存在下の脱水溶媒中で行われ、反応を阻害しない溶媒が適宜選択される。反応を阻害しない溶媒としては、例えば、オクタン、ヘキサン、ベンゼン、トルエン等の炭化水素類、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチルエーテル等のエーテル類が挙げられるが、これらの混合溶媒を用いてもよい。
【0137】
上記の塩基としては、例えば、メチルリチウム、n−ブチルリチウム等のアルキルリチウム類、リチウムジイソプロピルアミド、リチウムビス(トリメチルシリル)アミド、カリウムビス(トリメチルシリル)アミド等のジアルキルアミン類の塩が挙げられる。
【0138】
上記の塩基の使用量としては、化合物(VI)1モルに対して0.8〜5モルが好ましく、0.9〜3モルがより好ましい。
【0139】
化合物(LVI)又は化合物(LVII)の使用量としては、化合物(VI)1モルに対して0.8〜5モルが好ましく、0.9〜3モルがより好ましい。
【0140】
化合物(VI)と化合物(LVI)又は化合物(LVII)との反応の反応温度は、−78〜150℃が好ましく、0〜50℃がより好ましい。
【0141】
化合物(VI)と化合物(LVI)又は化合物(LVII)との反応の反応時間は反応条件によっても異なるが、5分〜72時間が好ましく、30分〜48時間がより好ましい。
【0142】
(工程19)
化合物(VII)の酸化反応は、一般に、化合物(VII)を溶媒中で酸化剤と反応させることにより行われ、反応を阻害しない溶媒が適宜選択される。反応を阻害しない溶媒としては、例えば、オクタン、ヘキサン、ベンゼン、トルエン等の炭化水素類、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン、1,4−ジオキサン等のエーテル類又はアセトニトリル等のアルキルニトリル類、トリフルオロ酢酸、ピリジン、アセトン等が挙げられるが、これらの混合溶媒を用いてもよい。
【0143】
上記の酸化剤としては、例えば、二酸化マンガン、三酸化硫黄−ピリジン、活性化ジメチルスルホキシド又はデスマーチン試薬等市販の試薬が挙げられる。
【0144】
上記の酸化剤の使用量としては、化合物(VII)1モルに対して0.5〜3モルが好ましく、0.8〜2モルがより好ましい。
【0145】
上記の酸化反応の反応温度は酸化剤の種類によっても異なるが、−78℃〜100℃が好ましく、−78℃〜40℃がより好ましい。
【0146】
上記の酸化反応の反応時間は、酸化剤の種類、反応温度等の反応条件によっても異なるが、5分〜72時間が好ましく、1〜24時間がより好ましい。
【0147】
(製造法13:中間体化合物(IX)の製造法)
【化18】
[式中、Xはハロゲン原子であり、PGはメチル又はベンジル等の保護基であり、R12はメトキシ基又はエトキシ基等のアルコキシ基等であり、その他の各記号は上記の定義と同義である。]
【0148】
化合物(IX)は、化合物(VIII)と化合物(LVIII)とを反応させることによって得られる。化合物(VIII)及び化合物(LVIII)は、市販の化合物を利用できるが、当業者に自明の方法に従って合成することもできる。
【0149】
(工程20)
化合物(VIII)と化合物(LVIII)との反応は、一般に、塩基存在下の脱水溶媒中で行われ、反応を阻害しない溶媒が適宜選択される。反応を阻害しない溶媒としては、例えば、オクタン、ヘキサン、ベンゼン、トルエン等の炭化水素類、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチルエーテル等のエーテル類が挙げられるが、これらの混合溶媒を用いてもよい。
【0150】
上記の塩基としては、例えば、リチウムジイソプロピルアミド、リチウムビス(トリメチルシリル)アミド又はカリウムビス(トリメチルシリル)アミドが挙げられる。
【0151】
上記の塩基の使用量としては、化合物(VIII)1モルに対して0.8〜4モルが好ましく、0.9〜3.5モルがより好ましい。
【0152】
化合物(LVIII)の使用量としては、化合物(VIII)1モルに対して0.8〜5モルが好ましく、0.9〜3モルがより好ましい。
【0153】
化合物(VIII)と化合物(LVIII)との反応の反応温度は、−78〜150℃が好ましく、0〜50℃がより好ましい。
【0154】
化合物(VIII)と化合物(LVIII)との反応の反応時間は反応条件によっても異なるが、5分〜72時間が好ましく、30分〜48時間がより好ましい。
【0155】
(製造法14:中間体化合物(XI)の製造法)
【化19】
[式中、各記号は上記の定義と同義である。]
【0156】
化合物(XI)は化合物(IX)を還元することによって得られた化合物(X)を、酸化することによって得られる。
【0157】
(工程21)
化合物(IX)の還元反応は、一般に、化合物(IX)を溶媒中で還元剤と反応させることにより行われ、反応を阻害しない溶媒が適宜選択される。反応を阻害しない溶媒としてはオクタン、ヘキサン、ベンゼン、トルエン等の炭化水素類、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチルエーテル等のエーテル類又はメタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類が挙げられるが、これらの混合溶媒を用いてもよい。
【0158】
上記の還元剤としては、例えば、水素化ホウ素リチウム、ジイソブチルアルミニウムヒドリド、リチウムアルミニウムヒドリド、リチウムトリエチルヒドリド、ナトリウムビス(2−メトキシエトキシ)アルミニウムヒドリド又はボラン錯体が挙げられる。
【0159】
上記の還元剤の使用量としては、化合物(IX)1モルに対して0.25〜100モルが好ましく、0.5〜20モルがより好ましい。
【0160】
上記の還元反応の反応温度は、−78〜150℃が好ましく、−78〜100℃がより好ましい。
【0161】
上記の還元反応の反応時間は、反応温度、還元剤の量等の反応条件によっても異なるが、5分〜72時間が好ましく、30分〜24時間がより好ましい。
【0162】
(工程22)
化合物(X)の酸化反応は、一般に、化合物(X)を溶媒中で酸化剤と反応させることにより行われ、反応を阻害しない溶媒が適宜選択される。反応を阻害しない溶媒としては、例えば、トリフルオロ酢酸、ピリジン、アセトン、オクタン、ヘキサン、ベンゼン、トルエン等の炭化水素類、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン、1,4−ジオキサン等のエーテル類又はアセトニトリル等のアルキルニトリル類が挙げられるが、これらの混合溶媒を用いてもよい。
【0163】
上記の酸化剤としては、例えば、三酸化硫黄−ピリジン、活性化ジメチルスルホキシド又はデスマーチン試薬等市販の試薬が挙げられる。
【0164】
上記の酸化剤の使用量としては、化合物(X)1モルに対して0.5〜3モルが好ましく、0.8〜2モルがより好ましい。
【0165】
上記の酸化反応の反応温度は酸化剤の種類によっても異なるが、−78〜100℃が好ましく、−78〜40℃がより好ましい。
【0166】
上記の酸化反応の反応時間は、酸化剤の種類、反応温度等の反応条件によっても異なるが、5分〜72時間が好ましく、1〜24時間がより好ましい。
【0167】
(製造法15:中間体化合物(XII)の製造法)
【化20】
[式中、各記号は上記の定義と同義である。]
【0168】
(工程23)
化合物(XII)は化合物(XI)のアルキンへの変換によって得られる。上記の変換反応に用いる試薬としては、例えば、ジメチル−1−ジアゾ−2−オキソプロピルホスホナートが挙げられる。上記の変換反応は公知文献Tetrahedron Letters、2006年、47巻、p.1729〜1731)に記載の方法又はこれに準ずる方法に従って行うことができる。
【0169】
(製造法16:中間体化合物(SIIb)の製造法)
【化21】
[式中、各記号は上記の定義と同義である。]
【0170】
化合物(SIIb)は、化合物(XII)と化合物(LVI)とを反応させることによって得た化合物(XIII)を、酸化することによって得られる。化合物(SIIb)は、化合物(XII)に化合物(LVII)を反応させることによっても得られる。化合物(LVI)及び化合物(LVII)は、市販の化合物を利用できるが、当業者に自明の方法に従って合成することもできる。
【0171】
(工程24又は工程25)
化合物(XII)の求核付加反応は、一般に、塩基存在下の脱水溶媒中で行われ、反応を阻害しない溶媒が適宜選択される。反応を阻害しない溶媒としては、例えば、オクタン、ヘキサン、ベンゼン、トルエン等の炭化水素類、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチルエーテル等のエーテル類が挙げられるが、これらの混合溶媒を用いてもよい。
【0172】
上記の塩基としては、例えば、メチルリチウム、n−ブチルリチウム等のアルキルリチウム類、リチウムジイソプロピルアミド、リチウムビス(トリメチルシリル)アミド、カリウムビス(トリメチルシリル)アミド等のジアルキルアミン類の塩が挙げられる。
【0173】
上記塩基の使用量としては、化合物(XII)1モルに対して0.8〜5モルが好ましく、0.9〜3モルがより好ましい。
【0174】
化合物(LVI)又は化合物(LVII)の使用量としては、化合物(XII)1モルに対して0.8〜5モルが好ましく、0.9〜3モルがより好ましい。
【0175】
上記の求核付加反応の反応温度は、−78〜150℃が好ましく、0〜50℃がより好ましい。
【0176】
上記の求核付加反応の反応時間は反応条件によっても異なるが、5分〜72時間が好ましく、30分〜48時間がより好ましい。
【0177】
(工程26)
化合物(XIII)の酸化反応は、一般に、化合物(XIII)を溶媒中で酸化剤と反応させることにより行われ、反応を阻害しない溶媒が適宜選択される。反応を阻害しない溶媒としては、例えば、トリフルオロ酢酸、ピリジン、アセトン、オクタン、ヘキサン、ベンゼン、トルエン等の炭化水素類、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン、1,4−ジオキサン等のエーテル類又はアセトニトリル等のアルキルニトリル類が挙げられるが、これらの混合溶媒を用いてもよい。
【0178】
上記の酸化剤としては、例えば、二酸化マンガン、三酸化硫黄−ピリジン、活性化ジメチルスルホキシド又はデスマーチン試薬等市販の試薬が挙げられる。
【0179】
上記の酸化剤の使用量としては、化合物(XIII)1モルに対して0.5〜3モルが好ましく、0.8〜2モルがより好ましい。
【0180】
上記の酸化反応の反応温度は酸化剤の種類によっても異なるが、−78〜100℃が好ましく、−78〜40℃がより好ましい。
【0181】
上記の酸化反応の反応時間は、酸化剤の種類、反応温度等の反応条件によっても異なるが、5分〜72時間が好ましく、1〜24時間がより好ましい。
【0182】
(製造法17:中間体化合物(SIIIa)の製造法)
【化22】
[式中、各記号は上記の定義と同義である。]
【0183】
化合物(SIIIa)は、化合物(XIV)を化合物(LX)でアルキル化するか、化合物(XIV)から得た化合物(XVI)を化合物(LXI)でアシル化することによって得られた化合物(XV)を、環化することによって得られる。化合物(XIV)及び化合物(LX)は当業者に自明の方法に従って合成することができる。化合物(LXI)は、市販の化合物を利用できるが、当業者に自明の方法に従って合成することもできる。
【0184】
(工程27)
化合物(XIV)のアルキル化反応は、一般に、化合物(XIV)を塩基存在下の溶媒中でハロゲン化アルキルと反応することにより行われ、反応を阻害しない溶媒が適宜選択される。反応を阻害しない溶媒としては、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類、アセトン、アセトニトリル又はN,N−ジメチルホルムアミドが挙げられるが、これらの混合溶媒を用いてもよい。
【0185】
上記の塩基としては、例えば、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等の炭酸水素アルカリ金属類、炭酸カリウム、炭酸セシウム等の炭酸アルカリ金属類、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン等のアミン類、カリウムtert−ブトキシド又は水素化ナトリウムが挙げられる。
【0186】
上記塩基の使用量としては、化合物(XIV)1モルに対して0.5〜6モルが好ましく、0.8〜3モルがより好ましい。
【0187】
化合物(LX)の使用量としては、化合物(XIV)1モルに対して0.5〜5モルが好ましく、0.8〜2モルがより好ましい。
【0188】
上記のアルキル化反応の反応温度は、−78〜200℃が好ましく、−20〜100℃がより好ましい。
【0189】
上記のアルキル化反応の反応時間は反応条件によっても異なるが、5分〜78時間が好ましく、30分〜48時間がより好ましい。
【0190】
(工程28)
化合物(XVI)は、例えば、塩化チオニル又はオキサリルクロリド等を用いる当業者に自明の方法に従って、化合物(XIV)から合成することができる。
【0191】
(工程29)
化合物(XVI)による化合物(LXI)のアシル化反応は、一般に、塩基存在下の溶媒中で行われ、反応を阻害しない溶媒が適宜選択される。反応を阻害しない溶媒としては、例えば、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン、1,4−ジオキサン等のエーテル類が挙げられるが、これらの混合溶媒を用いてもよい。
【0192】
上記の塩基としては、例えば、ピリジン、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン又はN,N−ジメチルアミノピリジン等が挙げられる。
【0193】
上記の塩基の使用量としては、化合物(XVI)1モルに対して0.1〜6モルが好ましく、0.8〜3モルがより好ましい。
【0194】
化合物(LXI)の使用量としては、化合物(XVI)1モルに対して0.5〜3モルが好ましく、0.8〜1.5モルがより好ましい。
【0195】
上記のアシル化反応の反応温度は、−20〜150℃が好ましく、0〜100℃がより好ましい。
【0196】
上記のアシル化反応の反応時間は反応条件によっても異なるが、5分〜72時間が好ましく、30分〜48時間がより好ましい。
【0197】
(工程30)
化合物(XV)の環化反応は、一般に、アンモニウム塩存在下の溶媒中で行われ、反応を阻害しない溶媒が適宜選択される。反応を阻害しない溶媒としては、例えば、酢酸又はギ酸が挙げられるが、これらの混合溶媒を用いてもよい。
【0198】
上記のアンモニウム塩としては、例えば、酢酸アンモニウム、ギ酸アンモニウム又は炭酸アンモニウム等市販の試薬が挙げられる。
【0199】
上記のアンモニウム塩の使用量としては、化合物(XV)1モルに対して1〜20モルが好ましく、2〜15モルがより好ましい。
【0200】
上記の環化反応の反応温度は、0〜200℃が好ましく、50〜120℃がより好ましい。
【0201】
上記の環化反応の反応時間は反応条件によっても異なるが、5分〜100時間が好ましく、30分〜48時間がより好ましい。
【0202】
(製造法18:中間体化合物(SIIIb)の製造法)
【化23】
[式中、各記号は上記の定義と同義である。]
【0203】
化合物(SIIIb)は、化合物(XIV)をアミド化することによって得られた化合物(XVII)を、引き続きチオアミド化することによって化合物(XVIII)とした後で、化合物(LX)を用いて環化することによって得られる。化合物(XIV)は当業者に自明の方法に従って合成することができる。化合物(LX)も当業者に自明の方法に従って合成することができる。
【0204】
(工程31)
化合物(XIV)のアミド化反応は、一般に、塩基存在下の溶媒中でクロロギ酸エステル等を用いて混合酸無水物を形成した後、アンモニア水を反応させることにより行われ、反応を阻害しない溶媒が適宜選択される。反応を阻害しない溶媒としては、例えば、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類、ジクロロメタン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素又はN,N−ジメチルホルムアミドが挙げられるが、これらの混合溶媒を用いてもよい。
【0205】
上記のクロロギ酸エステルとしては、例えば、クロロギ酸メチル、クロロギ酸エチル、クロロギ酸イソプロピル又はクロロギ酸sec−ブチルが挙げられる。
【0206】
上記のクロロギ酸エステルの使用量としては、化合物(XIV)1モルに対して0.5〜4モルが好ましく、0.9〜2モルがより好ましい。
【0207】
上記の塩基としては、例えば、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム等の無機塩基又はトリエチルアミン、ジイソプルピルエチルアミン、ピリジン等の有機塩基が挙げられる。
【0208】
上記の塩基の使用量としては、化合物(XIV)1モルに対して0.5〜5モルが好ましく、0.9〜2.5モルがより好ましい。
【0209】
上記のアミド化反応の反応温度は、混合酸無水物の形成については−78〜200℃が好ましく、−20〜100℃がより好ましい。また、アンモニア水添加後の反応については、−78〜200℃が好ましく、−20〜100℃がより好ましい。
【0210】
上記のアミド化反応の反応時間は反応条件によっても異なるが、混合酸無水物の形成については5分〜48時間が好ましく、30分〜24時間がより好ましい。また、アンモニア水添加後の反応については5分〜72時間が好ましく、30分〜48時間がより好ましい。
【0211】
(工程32)
化合物(XVII)のチオアミド化反応は、一般に、化合物(XVII)を溶媒中でローソン試薬又は五硫化リン等の市販の試薬と反応させることにより行われ、反応を阻害しない溶媒が適宜選択される。反応を阻害しない溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエン等の飽和炭化水素、ジクロロメタン、クロロホルム等のハロゲン溶媒又はテトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等のエーテル類が挙げられるが、これらの混合溶媒を用いてもよい。
【0212】
上記のローソン試薬又は五硫化リン等の使用量としては、化合物(XVII)1モルに対して0.3〜4モルが好ましく、0.4〜2モルがより好ましい。
【0213】
上記のチオアミド化反応の反応温度は、−20〜200℃が好ましく、0〜120℃がより好ましい。
【0214】
上記のチオアミド化反応の反応時間は反応条件によっても異なるが、5分〜72時間が好ましく、30分〜48時間がより好ましい。
【0215】
(工程33)
化合物(XVIII)の環化反応は、一般に、適宜選択した反応を阻害しない溶媒中で行われる。反応を阻害しない溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール等のアルコール類、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等のエーテル類又はアセトニトリルが挙げられるが、これらの混合溶媒を用いてもよい。
【0216】
化合物(LX)の使用量としては、化合物(XVIII)1モルに対して0.5〜4モルが好ましく、0.9〜1.5モルがより好ましい。
【0217】
上記の環化反応の反応温度は、−20〜200℃が好ましく、0〜100℃がより好ましい。
【0218】
上記の環化反応の反応時間は反応条件によっても異なるが、5分〜72時間が好ましく、30分〜48時間がより好ましい。
【0219】
化合物(I)が遊離体で得られた場合には、公知の方法又はそれに準じる方法に従って目的とする塩に変換することができ、逆に塩で得られた場合には、公知の方法又はそれに準ずる方法に従って、遊離体又は目的とする他の塩に変換することができる。
【0220】
合物(I)のプロドラッグとしては、例えば、生体内における生理条件下で酵素や胃酸等による反応により化合物(I)に変化する化合物、すなわち酵素的に酸化、還元、加水分解等を起こして化合物(I)に変化する化合物、胃酸等により加水分解等を起こして本発明の化合物(I)に変化する、化合物(I)のヒドロキシル基がアシル化、アルキル化、リン酸化、ホウ酸化された化合物が挙げられる。化合物(I)のプロドラッグとして好ましい具体例を表2に示す。
【0221】
【表2】
【0222】
化合物(I)のプロドラッグは、公知の方法に従って本発明の化合物(I)から合成することができる。また、化合物(I)のプロドラッグは、公知文献(「医薬品の開発」、広川書店、1990年、第7巻、p.163〜198及びProg.Med.5、1985年、p.2157〜2161)に記載の生理的条件で化合物(I)に変化するものであってもよい。
【0223】
化合物(I)を含有する医薬は、ヒト以外の哺乳類に対して投与した場合にも蓄尿障害に対して優れた治療効果を示す。ヒト以外の哺乳類としては、例えば、マウス、ラット、ハムスター、ウサギ、ネコ、イヌ、ウシ、ヒツジ、サル等が挙げられる。
【0224】
化合物(I)の投与形態としては、化合物(I)をそのまま若しくは医薬として許容される担体を配合して、経口的又は非経口的に投与することができる。
【0225】
化合物(I)を含有する製剤を経口投与する場合の剤形としては、例えば、錠剤(糖衣錠、フィルムコーティング錠を含む)、丸剤、顆粒剤、散剤、カプセル剤(ソフトカプセル剤、マイクロカプセル剤を含む)、シロップ剤、乳剤、懸濁剤が挙げられ、また、非経口投与する場合の剤形としては、例えば、注射剤、注入剤、点滴剤、坐剤が挙げられる。また、適当な基剤(例えば、酪酸の重合体、グリコール酸の重合体、酪酸−グリコール酸の共重合体、酪酸の重合体とグリコール酸の重合体との混合物、ポリグリセロール脂肪酸エステル)と組み合わせて、徐放性製剤とすることも有効である。
【0226】
化合物(I)を含有する上記の剤形の製剤の調製は、製剤分野で一般的に用いられている公知の製造方法に従って行うことができる。この場合、必要に応じて、製剤分野において一般的に用いられる賦形剤、結合剤、滑沢剤、崩壊剤、甘味剤、界面活性剤、懸濁化剤、乳化剤等を含有させて製造することができる。
【0227】
化合物(I)を含有する錠剤の調製は、賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤等を含有させて行うことができ、丸剤及び顆粒剤の調製は、賦形剤、結合剤、崩壊剤等を含有させて行うことができる。また、散剤及びカプセル剤の調製は賦形剤等を、シロップ剤の調製は甘味剤等を、乳剤又は懸濁剤の調製は、界面活性剤、懸濁化剤、乳化剤等を含有させて行うことができる。
【0228】
上記の賦形剤としては、例えば、乳糖、ブドウ糖、デンプン、ショ糖、微結晶セルロース、カンゾウ末、マンニトール、炭酸水素ナトリウム、リン酸カルシウム、硫酸カルシウムが挙げられる。
【0229】
上記の結合剤としては、例えば、デンプンのり液、アラビアゴム液、ゼラチン液、トラガント液、カルボキシメチルセルロース液、アルギン酸ナトリウム液、グリセリンが挙げられる。
【0230】
上記の崩壊剤としては、例えば、デンプン、炭酸カルシウムが挙げられる。
【0231】
上記の滑沢剤としては、例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、ステアリン酸カルシウム、精製タルクが挙げられる。
【0232】
上記の甘味剤としては、例えば、ブドウ糖、果糖、転化糖、ソルビトール、キシリトール、グリセリン、単シロップが挙げられる。
【0233】
上記の界面活性剤としては、例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、ポリソルベート80、ソルビタンモノ脂肪酸エステル、ステアリン酸ポリオキシル40が挙げられる。
【0234】
上記の懸濁化剤としては、例えば、アラビアゴム、アルギン酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ベントナイトが挙げられる。
【0235】
上記の乳化剤としては、例えば、アラビアゴム、トラガント、ゼラチン、ポリソルベート80が挙げられる。
【0236】
さらに化合物(I)を含有する製剤を上記の剤形に調製する場合には、製剤分野において一般的に用いられる着色剤、保存剤、芳香剤、矯味剤、安定剤、粘稠剤等を添加することができる。
【0237】
上記の製剤の1日あたりの投与量は、患者の状態や体重、化合物の種類、投与経路等によって異なるが、例えば、経口投与する場合には成人(体重約60kg)であれば1mg〜1000mgの範囲で、1〜3回に分けて投与することが好ましく、非経口投与する場合には、注射剤であれば体重1kgあたり0.01〜100mgの範囲で静脈注射により投与することが好ましい。
【0238】
蓄尿障害とは、膀胱に尿を十分量貯めることができない状態又は症状を指し、具体的には、頻尿、尿失禁、尿意切迫感等が挙げられる。
【0239】
頻尿とは、排尿回数が増加した状態を指す。頻尿としては、昼間頻尿、夜間頻尿、神経性頻尿、心因性頻尿等が挙げられる。
【0240】
尿失禁とは、尿が不随意に漏れる状態を指す。尿失禁としては、腹圧性尿失禁、切迫性尿失禁、混合性尿失禁、遺尿症(昼間遺尿、夜間遺尿、夜尿症)、持続性尿失禁、溢流性尿失禁、無抑制尿失禁、反射性尿失禁、真性尿失禁、機能性尿失禁等が挙げられる。
【0241】
尿意切迫感とは、急激に起こる強く耐え難い強い尿意を表す。通常は膀胱に尿が十分量溜まった時点において尿意を催すのに対し、過活動膀胱などの疾患では、膀胱の尿があまり溜まっていない状態においても急激かつ強い尿意が起こり、我慢が難しく尿が漏れそうな感覚をきたす。
【0242】
頻尿、尿失禁又は尿意切迫感等の蓄尿障害を引き起こす疾患としては、例えば、神経因性膀胱障害、過活動型膀胱、不安定膀胱、膀胱けいれん、慢性膀胱炎、間質性膀胱炎、有痛性膀胱症候群(膀胱痛症候群)、慢性前立腺炎、前立腺肥大又は前立腺癌等が挙げられる。
【0243】
神経因性膀胱障害とは、膀胱、尿道及び外尿道括約筋からなる下部尿路を支配する神経が何らかの障害を受けた結果、下部尿路の蓄尿、排尿機能が異常をきたした状態をいう。ここで、下部尿路を支配する神経に障害を与える疾患としては、例えば、脳血管障害、脳腫瘍、脳外傷、脳炎、脳腫瘍、正常圧水頭症、痴呆、パーキンソン病、うつ病、線条体黒質変性症、進行性核上性麻痺、オリーブ・橋・小脳萎縮症、Shy−Drager症候群、脊髄損傷、脊髄血管障害、脊髄腫瘍、脊髄炎、頸髄圧迫性疾患、脊髄空洞症、多発性硬化症、二分脊椎、脊髄髄膜瘤、脊柱管狭窄症、Tethered cord症候群、ミエロパチー、糖尿病又は骨盤腔内手術等が挙げられる。
【0244】
間質性膀胱炎とは、尿路上皮と膀胱平滑筋の間にある間質が何らかの原因により、慢性的に炎症を起こす疾患である。主な症状に頻尿、尿失禁、尿意切迫感等の蓄尿障害及び排尿時の痛みや不快感等があり、特に下腹部の痛み及び頻回の排尿など、その症状により患者のQOL(Quality of Life)は著しく低下する。様々な薬物療法が行われているが、いずれも十分な治療効果が認められていない。
【0245】
本発明の蓄尿障害の治療剤又は予防剤は、鎮痛効果を併せ持つことから、蓄尿障害に痛みが伴う場合に、好ましく用いられる。蓄尿障害を引き起こす疾患のうち、痛みが伴う疾患としては、蓄尿障害を引き起こす炎症性疾患を含み、例えば、慢性膀胱炎、間質性膀胱炎、有痛性膀胱症候群(膀胱痛症候群)等が挙げられる。本発明の蓄尿障害の治療剤又は予防剤は、更に好ましくは、間質性膀胱炎に用いられる。
【0246】
本発明の蓄尿障害の治療剤又は予防剤は、他の蓄尿障害の治療剤若しくは予防剤又は蓄尿障害を引き起こす疾患の治療剤若しくは予防剤と組合せて用いてもよい。
【0247】
他の蓄尿障害の治療剤又は予防剤としては、例えば、プロパンセリン(Propantheline)、オキシブチニン(Oxybutynin)、プロピベリン(Propiverine)、トルテロジン(Tolterodine)、テミベリン(Temiverine)、トロスピウム(Trospium)、ダリフェナシン(Darifenacin)、ソリフェナシン(Solifenacin)、KRP−197等の抗コリン薬、フラボキセート(Flavoxate)等の平滑筋弛緩薬、NS−8、ZD−0947、KW−7158、ABT−598、WAY−151616等のカリウムチャネルオープナー、ニフェジピン(Nifedipine)、フルナリジン(Flunarizine)等のカルシウムチャネル拮抗薬、バクロフェン(Baclofen)、ジアゼパム(Diazepam)、ランペリソン(Lanperisone)等の骨格筋弛緩薬、イミプラミン(Imipramine)、デシプラミン(Desipramine)、フルオキセチン(Fluoxetine)、フルボキサミン(Fluvoxamine)、ミルナシプラン(Milnacipran)、パロキセチン(Paroxetine)、デュロキセチン(Duloxetine)等の抗うつ薬、デスモプレシン(Desmopressin)等のバゾプレッシン作動薬、TAK−637、SR−48968、Talnetant等のタキキニン拮抗薬、クレンブテロール(Clenbuterol)、KUC−7483、YM−178、GW−427353等のβ作動薬、カプサイシン、レジニフェラトキシン等のバニロイド作動薬、SB−705498、AMG−0347、BCTC、A−784168、SPM−955、DD−161515等のバニロイド拮抗薬、ONO−8711、ONO−8992等のPGE拮抗薬、Flurbiprofen等のCOX阻害薬、R−450等のα1作動薬、ドキサゾシン(Doxazosin)、インドラミン(Indramin)、テラゾシン(Terazosin)、ウラピジル(Urapidil)、アルフゾシン(Alfuzosin)、プラゾシン(Prazosin)、ナフトピジル(Naftopidil)、タムスロシン(Tamsulosin)、セロドシン(Selodosin)、フィドキソシン(Fiduxosin)、KMD−3213等のα1拮抗薬又はビンポセチン(Vinpocetine)、GW−286103、ゾニセミド(Zonisamide)、メキシレチン(Mexiletine)、ラノラジン(Ranolazine)、リルゾール(Rilzole)等のナトリウムチャネル阻害薬等が挙げられる。
【0248】
蓄尿障害を引き起こす疾患としては、例えば、前立腺肥大症、前立腺癌、糖尿病、脳血管障害、アルツハイマー病を含む痴呆症、うつ病、パーキンソン病又は多発性硬化症等が挙げられる。
【0249】
前立腺肥大症の治療剤又は予防剤としては、例えば、フィナステリド(Finasteride)、デュタステリド(Dutasteride)、イゾンステリド(Izonsteride)、CS−891、MK−434等の5α−レダクターゼ阻害薬、フルタミド(Flutamide)、ビカルタミド(Bicalutamide)、ニルタミド(Nilutamide)等のアンドロゲン受容体拮抗薬、アリルエストレノール(Allylestrenol)、クロルマジノン(Chlormadinone)、ゲストノロン(Gestonorone)、シプロテロン(Cyproterone)、オサテロン(Osaterone)、ノメゲストロール(Nomegestrol)等の抗アンドロゲン薬、SB−217242、TA−0201等のエンドセリン拮抗薬、エビプロスタット、セルニルトン等の植物性製剤又は上記のα1拮抗薬等が挙げられる。
【0250】
前立腺癌の治療剤又は予防剤としては、例えば、リュープロレリン(Leuprorelin)、ゴセレリン(Goserelin)、ブセレリン(Buserelin)、ナファレリン(Nafarelin)、トリプトレリン(Triptorelin)等のLH−RH作動薬、セトロレリックス(Cetrorelix)、ガニレリックス(Ganirelix)、アブラリックス(Abarelix)等のLH−RH拮抗薬、上記の5α−レダクターゼ阻害薬、上記のアンドロゲン受容体拮抗薬又は上記の抗アンドロゲン薬等が挙げられる。
【0251】
糖尿病の治療剤又は予防剤としては、例えば、ピオグリタゾン(Pioglitazone)、トログリタゾン(Troglitazone)、ロシグリタゾン(Rosiglitazone)等のインスリン抵抗性改善薬、トルブタミド(Tolbutamide)、クロルプロパミド(Chlorpropamide)、トラザミド(Tolazamide)、アセトヘザミド(Acetohezamide)、グリクロピラミド(Glyclopyramide)、グリベンクラミド(Glibenclamide)、グリクラジド(Gliclazide)、グリメピリド(Glimepiride)、レパグリニド(Repaglinide)、ナテグリニド(Nateglinide)等のインスリン分泌促進薬、メトホルミン(Metformin)、ブホルミン(Buformin)等のビグアナイド剤、インスリン、アカーボース(Acarbose)、ボグリボース(Voglibose)、ミグリトール(Miglitol)、エミグリテート(Emiglitate)等のα−グルコシダーゼ阻害薬、AJ−9677、SR−58611−A、SB−226552、AZ40140等のβ3アドレナリン受容体作動薬、エロゴセット(Erogoset)、プラムリンチド(Pramlintide)、レプチン(Leptin)又はBAY−27−9955等が挙げられる。
【0252】
脳血管障害の治療剤又は予防剤としては、例えば、アニラセタム(Aniracetam)、イブジラスト(Ibudilast)、チアプリド(Tiapride)、カルジオクローム(Cardiocrome)、シチコリン(Citicoline)、γ-アミノ酪酸(γ-aminobutyric acid)、イフェンプロジル(Ifenprodil)、ニセルゴリン(Nicergoline)、ビンポセチン(Vinpocetine)、ニゾフェノン(Nizofenone)、ベンシクラン(Bencyclane)、シネパジド(Cinepazide)等が挙げられる。
【0253】
アルツハイマー病を含む痴呆症の治療剤又は予防剤としては、例えば、ドネペジル(Donepezil)、メマンチン(Memantine)、ガランタミン(Galantamine)等が挙げられる。
【0254】
うつ病の治療剤又は予防剤としては、例えば、上記の抗うつ薬等が挙げられる。
【0255】
パーキンソン病の治療剤又は予防剤としては、例えば、アマンタジン(Amantadine)、トリヘキシフェニジル(Trihexyphenidyl)、ブロモクリプチン(Bromocriptine)、レボドパ(Levodopa)、カルビドパ(Carbidopa)、アポモルヒネ(Apomorphine)等が挙げられる。
【0256】
多発性硬化症の治療剤又は予防剤としては、例えば、ステロイド剤、インターフェロン−β−1b(Interferon−β−1b)等が挙げられる。
【実施例】
【0257】
以下、本発明を実施例に基づき具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0258】
(シクロフォスファミド誘発頻尿モデルラットにおける効果)
実験には、7〜11週齢のSD系雌性ラットを1群6〜7例で用いた。ラットにシクロフォスファミド(SIGMA)(150mg/kg)を腹腔内投与することにより頻尿モデル(Lecci A ら、British journal of pharmacology、2000年、第130巻、p.331)を作製した。本モデルは、炎症性疾患に伴う蓄尿障害のモデル、特に間質性膀胱炎の頻尿モデルとして有効であると考えられている。シクロフォスファミド投与4〜5時間後、ウレタン(1g/kg)の腹腔内投与により頻尿モデルラットに麻酔をかけてからその下腹部に小切開を施し、両輸尿管を結紮し、腎臓側の輸尿管に小切開を施した。次に、頻尿モデルラットの膀胱の頂部に切開を施し、生理食塩液を満たしたポリエチレンチューブを挿入留置した。該チューブの他端は三方活栓を介することにより、一方は膀胱内圧測定用として圧トランスデューサ(日本光電)に接続し、もう一方は膀胱内生理食塩液注入用として持続注入機に接続した。
【0259】
上記の手術終了30分後、膀胱内に生理食塩液を持続注入(3.6mL/時間)することで連続的な膀胱内圧曲線(Cystometrograms;以下、CMGs)を得た。CMGsが安定したことを確認した後、被験化合物溶液又はその溶媒を尾静脈から投与した。被験化合物群の投与前後における排尿回数の変化率を求め、溶媒群と比較した。
【0260】
被験化合物溶液は、被験化合物濃度が10mg/mL濃度になるように調製し、体重1kg当たり0.5mLの投与容量で静脈内投与した(5mg/kg)。被験化合物溶液の溶媒としては、ジメチルスルホキシド(以下、DMSO):Tween80:生理食塩液(1:1:8)を使用した。
【0261】
CMGsを基に、排尿回数を計測した。被験化合物投与前20分間における排尿回数を100%としたときの被験化合物投与後20分間の排尿回数を%で示し、これを排尿回数の変化率とした。統計学的処理は、対応のないt検定により行った。
【0262】
結果を図1に示す。縦軸は排尿回数の変化率を示す(平均値±標準誤差、N=6〜7)。図中の*印は、頻尿モデルラットの溶媒群(図中の「溶媒」群)との比較で、統計学的に有意である(*:p<0.05)ことを示す。
【0263】

化合物3の5mg/kgの静脈内投与は、頻尿モデルラットで認められた排尿回数の増加を、溶媒群と比較して有意に改善した。この結果は、シクロヘキサン骨格を有する化合物(I)が蓄尿障害に対して有効であることを示している。
【0264】
(ヒトムスカリン受容体に対する結合性)
ヒトムスカリンM1、2、3、4、5受容体をそれぞれ発現するCHO細胞を使用した(Buckley NJら、Mol Pharmacol.、1989年、第35巻4号,p.469−476)。受容体結合実験は常法により実施した(Luthin GRら、Pharmacol Exp Ther.、1984年、第228巻、第3号、p.648−655)。放射性標識リガンドは0.8nmol/L [H]N−Methylscopolamine、非特異的リガンドは1μmol/L Atoropineを使用した。表3にムスカリン受容体の放射性標識リガンドの特異的結合に対する、化合物3による阻害率を示す。
【0265】
【表3】
【0266】
化合物3は、いずれのヒトムスカリン受容体サブタイプに対しても結合しないことが示された。この結果から、シクロヘキサン骨格を有する化合物(I)は抗コリン作用に基づく副作用発現の懸念がないことが示された。
【0267】
(痛みに対する効果)
痛みを評価できるマウス酢酸ライジングモデルを用い、化合物(I)の鎮痛効果を評価した。
【0268】
ddY系雄性マウス、5〜6週齢を16時間絶食、自由飲水条件下で飼育し、被験化合物溶液又はその溶媒を経口投与(10mL/kg)した。被験化合物溶液の溶媒としては、DMSO:Tween80:蒸留水(1:1:8)又は27%ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン(以下、HP−β−CD)を使用した。投与45分後に0.6%酢酸溶液(10mL/kg)を腹腔内投与し、ライジング反応(体を伸ばしたり、反らしたりする行動)を誘発させた。酢酸溶液投与10分後から10分間に生じたライジング反応を計数し、その回数を痛みの指標とした。
【0269】
溶媒群で得られたライジング反応の回数の平均値を100%とした際に、この反応を50%抑制した被験化合物の用量をED50として示した。
結果を表4に示す。
【0270】
【表4】
【0271】
表4記載の化合物はいずれもマウス酢酸ライジングモデルにおいて、ライジング反応を抑制した。このことは、化合物(I)が鎮痛効果を有することを示している。
【0272】
化合物(I)の原料及び中間体並びに化合物(I)の合成方法を以下に記載した。ここで、中間体の合成に使用される化合物で、合成法の記載のないものについては、市販の化合物を使用した。
【0273】
NMRデータ中に示されている( )内の溶媒名は、測定に使用した溶媒を示している。
【0274】
400 MHz NMRスペクトルは、日本電子製JNM−AL400型核磁気共鳴装置を用いて測定した。ケミカルシフトはテトラメチルシランを基準として、δ(単位:ppm)で表し、シグナルはそれぞれs(一重線)、d(二重線)、t(三重線)、q(四重線)、quint(五重線)、sept(七重線)、m(多重線)、br(幅広)、dd(二重二重線)、dt(二重三重線)、ddd(二重二重二重線)、dq(二重四重線)、td(三重二重線)、tt(三重三重線)で表した。IRスペクトルは日本分光社製FT/IR−410を、ESI−MSスペクトルは、Waters社製Micromass ZQ2K又はAgilentTechnology社製1200LC/MSDを用いて測定した。溶媒は全て市販のものを用いた。フラッシュクロマトグラフィーは山善社製YFLC W−prep2XYを用いた。
【0275】
(化合物1)
化合物1として、1−(1−(4−メトキシフェニル)−5−(p−トリル)−1H−ピラゾール−3−イル)シクロヘキサノール
【化24】
を以下の手順で合成した。
4−メトキシフェニルヒドラジン塩酸塩(165mg、0.944mmol)のエタノール(5.0mL)懸濁液にトリエチルアミン(258μL、1.88mmol)を加え、室温にて30分撹拌し、3−(1−ヒドロキシシクロヘキシル)−1−(p−トリル)−2−プロピン−1−オン(中間体8)(214mg、0.883mmol)のエタノール(3.0mL)溶液に加え、室温で20時間撹拌した。反応液を減圧濃縮し、残渣に蒸留水を加えて、酢酸エチルで抽出した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧濃縮した。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、n−ヘキサン/酢酸エチル)で精製し、化合物1(141mg、0.389mmol、44%)を黄色アモルファスとして得た。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ: 1.31-1.42 (1H, m), 1.54-2.03 (9H, m), 2.33 (3H, s), 2.52 (1H, brs), 3.81 (3H, s), 6.40 (1H, s), 6.84 (2H, d, J=8.8 Hz), 7.09 (4H, s), 7.21 (2H, d, J=8.8 Hz).
【0276】
(化合物2及び化合物3)
化合物2として、1−(1−(4−メトキシフェニル)−5−(p−トリル)−1H−ピラゾール−3−イル)シクロヘキサン−トランス−1,4−ジオール
【化25】
を、化合物3として、1−(1−(4−メトキシフェニル)−5−(p−トリル)−1H−ピラゾール−3−イル)シクロヘキサン−シス−1,4−ジオール
【化26】
を、以下の手順で合成した。
4−ヒドロキシ−4−(1−(4−メトキシフェニル)−5−(p−トリル)−1H−ピラゾール−3−イル)−シクロヘキサン−1−オン(化合物4)(8.00g、21.3mmol)のメタノール(200mL)溶液へ水素化ホウ素ナトリウム(804mg、21.3mmol)を加え、室温にて2時間撹拌を行った後、1M−塩酸へ注いだ。反応液を酢酸エチルで抽出した。有機層をブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥、減圧濃縮した。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、n−ヘキサン/酢酸エチル)で精製し、化合物2(1.66g、4.39mmol、21%)及び化合物3(4.85g、12.8mmol、60%)をそれぞれ白色固体として得た。
化合物2:1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ: 1.36 (1H, d, J=3.6 Hz), 1.64-1.72 (2H, m), 1.77-1.83 (2H, m), 2.04-2.12 (2H, m), 2.32-2.39 (5H, m), 2.56 (1H, s), 3.81 (3H, s), 4.03-4.06 (1H, m), 6.43 (1H, s), 6.85 (2H, d, J=8.8 Hz), 7.10 (4H, s), 7.21 (2H, d, J=8.8 Hz).
IR (KBr, cm-1): 3344, 2929, 2875, 1740, 1516, 1443, 1369, 1251, 1032, 1001, 832.
ESI-MS: m/z= 379 (M+H)+
Mp 151-153 ℃
Anal. Calcd for C23H26N2O3: C, 72.99; H, 6.92; N, 7.40. found: C, 72.97; H, 6.92; N, 7.34.
化合物3:1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ: 1.44 (1H, s), 1.81-1.99 (6H, m), 2.04-2.12 (2H, m), 2.33 (3H, s), 2.56 (1H, s), 3.70-3.77 (1H, m), 3.80 (3H, s), 6.37 (1H, s), 6.85 (2H, d, J=8.8 Hz), 7.09 (4H, s), 7.20 (2H, d, J=8.8 Hz).
IR (KBr, cm-1): 3303, 2918, 1517, 1442, 1366, 1248, 1063, 1026, 837, 807.
ESI-MS: m/z= 379 (M+H)+
Mp 164-166 ℃
Anal. Calcd for C23H26N2O3: C, 72.99; H, 6.92; N, 7.40. found: C, 72.87; H, 6.86; N, 7.22.
【0277】
(化合物5及び化合物22)
化合物5として、1−(1−(4−クロロフェニル)−5−(p−トリル)−1H−ピラゾール−3−イル)シクロヘキサン−トランス−1,4−ジオール
【化27】
を、化合物22として、1−(1−(4−クロロフェニル)−5−(p−トリル)−1H−ピラゾール−3−イル)シクロヘキサン−シス−1,4−ジオール
【化28】
を、以下の手順で合成した。
4−ヒドロキシ−4−(1−(4−クロロフェニル)−5−(p−トリル)−1H−ピラゾール−3−イル)−シクロヘキサン−1−オン(中間体65)(510mg、1.34mmol)のメタノール(13mL)溶液へ水素化ホウ素ナトリウム(53mg、1.40mmol)を加え、室温にて2時間撹拌を行った。反応液を減圧濃縮後、酢酸エチルに溶解し、蒸留水、ブラインで洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥、減圧濃縮した。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、n−ヘキサン/酢酸エチル)で精製し、化合物5(114mg、0.298mmol、22%)及び化合物22(360mg、0.940mmol、70%)をそれぞれ白色固体として得た。
化合物5:1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ: 1.36 (1H, br), 1.65-1.72 (2H, m), 1.77-1.82 (2H, m), 2.04-2.11 (2H, m), 2.31-2.38 (2H, m), 2.36 (3H, s), 2.51 (1H, s), 4.03-4.08 (1H, m), 6.44 (1H, s), 7.10 (2H, d, J=8.8 Hz), 7.13 (2H, d, J=8.8 Hz), 7.22-7.30 (4H, m).
IR (KBr, cm-1): 3349, 2918, 1497, 1440, 1366, 1240, 1098, 1007, 969, 833, 810.
ESI-MS: m/z= 383 (M+H)+
化合物22:1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ: 1.45 (1H, br), 1.80-1.99 (6H, m), 2.03-2.07 (2H, m), 2.35 (3H, s), 2.51 (1H, s), 3.70-3.80 (1H, m), 6.39 (1H, s), 7.09 (2H, d, J=8.4 Hz), 7.13 (2H, d, J=8.4 Hz), 7.21-7.24 (2H, m), 7.27-7.31 (2H, m).
IR (KBr, cm-1): 3365, 2946, 1496, 1442, 1368, 1241, 1095, 1059, 1014, 970, 887.
ESI-MS: m/z= 365 (M-OH)+
【0278】
(化合物6及び化合物8)
化合物6として、1−(1,5−ビス(4−メトキシフェニル)−1H−ピラゾール−3−イル)シクロヘキサン−トランス−1,4−ジオール
【化29】
を、化合物8として、1−(1,5−ビス(4−メトキシフェニル)−1H−ピラゾール−3−イル)シクロヘキサン−シス−1,4−ジオール
【化30】
を、以下の手順で合成した。
4−(1,5−ビス(4−メトキシフェニル)−1H−ピラゾール−3−イル)−4−ヒドロキシ−シクロヘキサン−1−オン(中間体63)(523mg,1.38mmol)のメタノール溶液に水素化ホウ素ナトリウム(65mg,1.7mmol)を加え、室温にて1.5時間撹拌して減圧濃縮した。残渣に蒸留水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥、減圧濃縮した。残渣をフラッシュクロマトグラフィーで精製し、低極性成分と高極性成分に分離した。低極性成分を再結晶(酢酸エチル/n−へキサン=2/1)で精製し、化合物6(79mg、0.20mmol、14%)を白色結晶として得た。高極性成分を再結晶(酢酸エチル/n−へキサン=2/1)で精製し、化合物8(186mg、0.471mmol,34%)を白色結晶として得た。
化合物6:1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ: 1.33 (1H, d, J=3.4 Hz), 1.63-1.73 (2H, m), 1.75-1.84 (2H, m), 2.03-2.13 (2H, m), 2.30-2.39 (2H, m), 2.55 (1H, s), 3.80 (3H, s), 3.81 (3H, s), 4.02-4.08 (1H, m), 6.40 (1H, s), 6.82 (2H, d, J=8.8 Hz), 6.85 (2H, d, J=8.8 Hz), 7.14 (2H, d, J=8.8 Hz), 7.21 (2H, d, J=8.8 Hz).
IR (KBr, cm-1): 3379, 1613, 1517, 1503, 1251, 1180, 1032, 1001, 835.
ESI-MS: m/z= 395 (M+H)+
化合物8:1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ: 1.41 (1H, d, J=4.1 Hz), 1.79-2.55 (8H, m), 2.55 (1H, s), 3.69-3.78 (1H, m), 3.80 (3H, s), 3.81 (3H, s), 6.34 (1H, s), 6.81 (2H, d, J=8.8 Hz), 6.85 (2H, d, J=8.8 Hz), 7.13 (2H, d, J=8.8 Hz), 7.20 (2H, d, J=8.8 Hz).
IR (KBr, cm-1): 3385, 1613, 1517, 1503, 1250, 1064, 1031, 970, 835.
ESI-MS: m/z= 395 (M+H)+
【0279】
(化合物7及び化合物21)
化合物7として、1−(5−(4−クロロフェニル)−1−(4−メトキシフェニル)−1H−ピラゾール−3−イル)シクロヘキサン−トランス−1,4−ジオール
【化31】
を、化合物21として、1−(5−(4−クロロフェニル)−1−(4−メトキシフェニル)−1H−ピラゾール−3−イル)シクロヘキサン−シス−1,4−ジオール
【化32】
を、以下の手順で合成した。
4−(5−(4−クロロフェニル)−1−(4−メトキシフェニル)−1H−ピラゾール−3−イル)−4−ヒドロキシ−シクロヘキサン−1−オン(中間体64)(619mg、1.56mmol)のメタノール(15.6mL)溶液へ水素化ホウ素ナトリウム(59.0mg、1.56mmol)を加え、室温にて1時間撹拌を行った後、1M−塩酸へ注いだ。反応液を酢酸エチルで抽出した。有機層をブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥、減圧濃縮した。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、n−ヘキサン/酢酸エチル)で精製し、化合物7(131mg、0.328mmol、21%)及び化合物21(291mg、0.730mmol、47%)をそれぞれ白色固体として得た。
化合物7:1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ: 1.32 (1H, d, J=3.2 Hz), 1.63-1.73 (2H, m), 1.76-1.84 (2H, m), 2.03-2.12 (2H, m), 2.30-2.39 (2H, m), 2.50 (1H, s), 3.82 (3H, s), 4.02-4.09 (1H, m), 6.46 (1H, s), 6.84-6.87 (2H, m), 7.14 (2H, d, J=8.8 Hz), 7.19 (2H, d, J=8.8 Hz), 7.26-7.28 (2H, m).
ESI-MS: m/z= 399 (M+H)+
化合物21:1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ: 1.41 (1H, d, J=5.2 Hz), 1.82-2.09 (8H, m), 2.49 (1H, s), 3.70-3.78 (1H, s), 3.82 (3H, s), 6.41 (1H, s), 6.85-6.87 (2H, m), 7.13 (2H, d, J=8.4 Hz), 7.18 (2H, d, J=8.4 Hz), 7.25-7.27 (2H, m).
ESI-MS: m/z= 399 (M+H)+
【0280】
(化合物9)
化合物9として、1−(4−クロロ−1−(4−メトキシフェニル)−5−(p−トリル)−1H−ピラゾール−3−イル)シクロヘキサン−シス−1,4−ジオール
【化33】
を以下の手順で合成した。
4−(4−クロロ−1−(4−メトキシフェニル)−5−(p−トリル)−1H−ピラゾール−3−イル)−c−4−ヒドロキシ−シクロヘキサン−r−1−イル アセタート(中間体81)(67mg、0.147mmol)のメタノール(1.5mL)溶液に、炭酸カリウム(102mg、0.736mmol)を加え、室温にて2時間撹拌した。反応液に水を加え反応を停止し、酢酸エチルで抽出した。有機層をブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥、減圧濃縮した。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、n−ヘキサン/酢酸エチル)で精製し、化合物9(58mg、0.140mmol、95%)を白色固体として得た。
1H-NMR (400MHz, CDCl3)δ: 1.45 (1H, s), 1.83-2.05 (6H, m), 2.21-2.23 (2H, m), 2.36 (3H, s), 3.04 (1H, s), 3.76-3.79 (4H, m), 6.79-6.83 (2H, m), 7.11-7.16 (6H, m).
ESI-MS: m/z= 395, 397 (M-OH)+
【0281】
(化合物10)
化合物10として、1−(1−(4−メトキシフェニル)−5−(p−トリル)−1H−ピラゾール−3−イル)−4−(トリフルオロメチル)シクロヘキサン−シス−1,4−ジオール
【化34】
を以下の手順で合成した。
4−ヒドロキシ−4−(1−(4−メトキシフェニル)−5−(p−トリル)−1H−ピラゾール−3−イル)シクロヘキサン−1−オン(化合物4)(620mg、1.65mmol)のテトラヒドロフラン(6.60mL)溶液へ(トリフルオロメチル)トリメチルシラン(535μL、3.62mmol)を0℃にて加えた後、テトラn−ブチルアンモニウムフルオリド(TBAF、1M−テトラヒドロフラン溶液)(362μL、0.36mmol)を滴下し、室温にて6時間撹拌した。反応液にテトラn−ブチルアンモニウムフルオリド(TBAF、1M−テトラヒドロフラン溶液)(3.29mL、3.29mmol)を加え、室温にて1時間撹拌を行った後、1M−塩酸へ注いだ。反応液をジエチルエーテルで抽出した。有機層をブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥、減圧濃縮した。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、n−ヘキサン/酢酸エチル)で精製し、化合物10(410mg、0.92mmol、56%)を白色固体として得た。
1H-NMR (400MHz, CDCl3) δ: 1.60 (1H, s), 1.87-2.02 (4H, m), 2.09-2.02 (2H, m), 2.34-2.40 (6H, m), 3.82 (3H, s), 6.47 (1H, s), 6.86 (2H, d, J=8.8 Hz), 7.08-7.11 (4H, m), 7.20 (2H, d, J=8.8 Hz).
IR (KBr, cm-1): 3402, 2954, 1517, 1463, 1305, 1250, 1249, 1179, 1121, 1056, 1024, 834.
ESI-MS: m/z= 447 (M+H)+
【0282】
(化合物11)
化合物11として、t−4−フルオロ−4−(1−(4−メトキシフェニル)−5−(p−トリル)−1H−ピラゾール−3−イル)−シクロヘキサン−r−1−オール
【化35】
を以下の手順で合成した。
c−4−ヒドロキシ−4−(1−(4−メトキシフェニル)−5−(p−トリル)−1H−ピラゾール−3−イル)−シクロヘキサン−r−1−イル アセタート(化合物12)(100mg、0.238mmol)のジクロロメタン(1.19mL)溶液にDeoxofluorTM(48μL、0.262mmol)を加え、室温で15分間撹拌した。反応液に1M−塩酸を加え、クロロホルムで抽出した。有機層をブラインで洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥、減圧濃縮し、残渣を得た。
【0283】
得られた残渣のメタノール(2.4mL)溶液に、炭酸カリウム(164mg、1.18mmol)を加え、室温にて2時間撹拌した。反応液に水を加え反応を停止し、酢酸エチルで抽出した。有機層をブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥、減圧濃縮した。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、n−ヘキサン/酢酸エチル)で精製し、化合物11(22.4mg、0.058mmol、25%)を白色固体として得た。
1H-NMR (400MHz, CDCl3)δ: 1.37 (1H, m), 1.72-1.77 (2H, m), 2.02-2.14 (4H, m), 2.34 (3H, s), 2.38-2.49 (2H, m), 3.81 (3H, s), 4.11 (1H, m), 6.52 (1H, m), 6.84 (2H, d, J=8.8 Hz), 7.22 (2H, d, J=8.8 Hz), 7.26 (4H, s).
ESI-MS: m/z= 381 (M+H)+
【0284】
(化合物12)
化合物12として、c−4−ヒドロキシ−4−(1−(4−メトキシフェニル)−5−(p−トリル)−1H−ピラゾール−3−イル)−シクロヘキサン−r−1−イル アセタート
【化36】
を以下の手順で合成した。
1−(1−(4−メトキシフェニル)−5−(p−トリル)−1H−ピラゾール−3−イル)シクロヘキサン−シス−1,4−ジオール(化合物3)(500mg、1.32mmol)のジクロロメタン(4.4mL)懸濁液に、無水酢酸(0.312mL、3.30mmol)と、ピリジン(0.267mL、3.30mmol)、4−ジメチルアミノピリジン(16.1mg、0.132mmol)を加え、室温にて45分間撹拌した。反応液に水を加え反応を停止し、酢酸エチルで抽出した。有機層をブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥、減圧濃縮した。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、n−ヘキサン/酢酸エチル)で精製し、化合物12(556mg、1.32mmol、quant.)をアモルファスとして得た。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ: 1.89-2.08 (11H, m), 2.34 (3H, s), 2.64 (1H, brs), 3.81 (3H, s), 4.80-4.88 (1H, m), 6.36 (1H, s), 6.85 (2H, d, J=8.8 Hz), 7.00 (4H, s), 7.20 (2H, d, J=8.8 Hz).
ESI-MS: m/z= 421 (M+H)+
【0285】
(化合物13)
化合物13として、4−メトキシ−1−(1−(4−メトキシフェニル)−5−(p−トリル)−1H−ピラゾール−3−イル)シクロヘキサノール
【化37】
を以下の手順で合成した。
c−4−メトキシ−1−(1−(4−メトキシフェニル)−5−(p−トリル)−1H−ピラゾール−3−イル)−シクロヘキサン−r−1−イル アセタート(中間体39)(124mg、0.284mmol)のメタノール(2.8mL)溶液に、炭酸カリウム(197mg、1.42mmol)を加え、室温にて18時間撹拌した。反応液に水を加え反応を停止し、酢酸エチルで抽出した。有機層をブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥、減圧濃縮した。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、n−ヘキサン/酢酸エチル)で精製し、化合物13(102mg、0.260mmol、91%)を白色アモルファスとして得た。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ: 1.78-1.88 (2H, m), 1.90-1.99 (4H, m), 2.03-2.09 (2H, m), 2.33 (3H, s), 2.49 (1H, s), 3.24-3.32 (1H, m), 3.39 (3H, s), 3.81 (3H, s), 6.39 (1H, s), 6.85 (2H, d, J=8.8 Hz), 7.09 (4H, s), 7.20 (2H, d, J=8.8 Hz).
IR (KBr, cm-1): 3425, 2937, 1516, 1443, 1369, 1300, 1249, 1171, 1099, 1030, 968, 834, 801.
ESI-MS: m/z= 393 (M+H)+
【0286】
(化合物14及び化合物20)
化合物14として、4−(ヒドロキシメチル)−4−(1−(4−メトキシフェニル)−5−(p−トリル)−1H−ピラゾール−3−イル)−トランス−1,4−シクロヘキサノール(化合物14)
【化38】
を、化合物20として、4−(ヒドロキシメチル)−4−(1−(4−メトキシフェニル)−5−(p−トリル)−1H−ピラゾール−3−イル)−シス−1,4−シクロヘキサノール(化合物20)
【化39】
を、以下の手順で合成した。
4−(ベンジルオキシメチル)−4−(1−(4−メトキシフェニル)−5−(p−トリル)−1H−ピラゾール−3−イル)シクロヘキサン−1−オン(中間体51)(387mg、0.804mmol)のメタノール(8.0mL)溶液へ水素化ホウ素ナトリウム(30.4mg、0.804mmol)を加え、室温にて1時間撹拌を行った後、1M−塩酸へ注いだ。反応液を酢酸エチルで抽出した。有機層をブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥、減圧濃縮し、残渣を得た。
【0287】
得られた残渣のメタノール(8.0mL)溶液に、水素雰囲気下、10%パラジウムカーボン(86.0mg、0.080mmol)を加え、室温にて3時間撹拌した。反応液をセライトろ過し、減圧濃縮した。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(アミンシリカゲル、n−ヘキサン/酢酸エチル)で精製し、化合物14(51.6mg、0.131mmol、16%)を白色固体として、及び化合物20(164mg、0.418mmol、52%)を白色アモルファスとして得た。
化合物14:1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ: 1.43 (1H, brs), 1.54-1.67 (2H, m), 1.83-1.91 (4H, m), 2.00-2.08 (2H, m), 2.34 (3H, s), 3.24-3.33 (1H, m), 3.78-3.86 (6H, m), 6.32 (1H, s), 6.84 (2H, d, J=8.8 Hz), 7.10 (4H, s), 7.19 (2H, d, J=8.8 Hz).
ESI-MS: m/z= 393 (M+H)+
化合物20:1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ: 1.39 (1H, d, J=4.8 Hz), 1.46-1.60 (4H, m), 1.85-1.95 (2H, m), 2.33-2.40 (5H, m), 2.71 (1H, t, J=6.4 Hz), 3.55 (2H, d, J=6.4 Hz), 3.71-3.83 (4H, m), 6.37 (1H, s), 6.85 (2H, d, J=8.8 Hz), 7.10 (4H, s), 7.20 (2H, d, J=8.8 Hz).
ESI-MS: m/z= 393 (M+H)+
【0288】
(化合物15)
化合物15として、1−(1−(4−メトキシフェニル)−5−(6−メチルピリジン−3−イル)−1H−ピラゾール−3−イル)シクロヘキサン−シス−1,4−ジオール
【化40】
を以下の手順で合成した。
4−ヒドロキシ−4−(1−(4−メトキシフェニル)−5−(6−メチルピリジン−3−イル)−1H−ピラゾール−3−イル)−シクロヘキサン−1−オン(中間体62)(109.5mg、0.29mmol)のメタノール(1.5mL)溶液へ水素化ホウ素ナトリウム(12.1mg、0.32mmol)を加え、室温にて40分撹拌を行った後、1M−塩酸を加えた。反応液を酢酸エチルで洗浄し、水層を1M−水酸化ナトリウム水溶液で塩基性とし、酢酸エチルで2回抽出した。有機層をブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥、減圧濃縮した。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、酢酸エチル)で精製し、化合物15(30.6mg、0.81mmol、28%)を白色固体として得た。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ: 1.59 (1H, brs), 1.81-2.00 (6H, m), 2.05-2.08 (2H, m), 2.55 (3H, s), 2.61 (1H, s), 3.71-3.78 (1H, m), 3.81 (3H, s), 6.46 (1H, s), 6.86 (2H, d, J=8.8 Hz), 7.06 (1H, d, J=8.0 Hz), 7.18 (2H, d, J=8.8 Hz), 7.32 (1H, dd, J=2.0, 8.0 Hz), 8.40 (1H, d, J=2.0 Hz).
IR (KBr, cm-1): 3444, 2933, 2858, 1516, 1249, 1067, 968, 839.
ESI-MS: m/z= 380 (M+H)+
【0289】
(化合物16)
化合物16として、4−ヒドロキシ−4−(1−(4−メトキシフェニル)−5−(p−トリル)−1H−ピラゾール−3−イル)−シス−シクロヘキサンカルボン酸
【化41】
を以下の手順で合成した。
c−4−ヒドロキシ−4−(1−(4−メトキシフェニル)−5−(p−トリル)−1H−ピラゾール−3−イル)−シス−シクロヘキサン−r−1−カルバルデヒド(中間体42)(124.9mg、0.32mmol)のt−ブタノール(2.4ml)溶液に、蒸留水(0.8ml)、2−メチル−2−ブテン(101μl、0.96mmol)を加え氷冷した。0度にてリン酸二水素ナトリウム(42.1mg、0.35mmol)、亜塩素酸ナトリウム(72.3mg、0.80mmol)を加え5分間撹拌した。室温まで昇温し、1時間撹拌した。0度に氷冷した後、チオ硫酸ナトリウム水溶液を加えて撹拌、1M−塩酸と酢酸エチルを加えて抽出した。有機層をブラインにて洗浄、無水硫酸ナトリウムで乾燥、減圧濃縮し、残渣をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、n−ヘキサン/酢酸エチル)で精製し、化合物16(116.6mg、0.29mmol、93%)を白色固体として得た。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ: 1.87-2.11 (9H, m), 2.33 (3H, s), 2.40-2.43 (1H, m), 3.81 (3H, s), 6.38 (1H, s), 6.84 (2H, d, J=9.2 Hz), 7.09-7.09 (4H, m), 7.20 (2H, d, J=9.2 Hz).
IR (KBr, cm-1): 3523, 2928, 1706, 1517, 1252, 831.
ESI-MS: m/z= 407 (M+H)+
【0290】
(化合物17)
化合物17として、4,4−ジフルオロ−1−(1−(4−メトキシフェニル)−5−(p−トリル)−1H−ピラゾール−3−イル)シクロヘキサノール
【化42】
を以下の手順で合成した。
1−(1−(4−メトキシフェニル)−5−(p−トリル)−1H−ピラゾール−3−イル)−4−オキソ−シクロヘキサン−1−イル アセタート(中間体41)(110mg、0.263mmol)のジクロロメタン(2.63mL)溶液に、(ジメチルアミノ)サルファートリフルオリド(DAST)(104μL、0.578mmol)を加え、室温にて2時間撹拌した。反応液に1M−塩酸を加え、クロロホルムで抽出した。有機層をブラインで洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥、減圧濃縮し、残渣を得た。
【0291】
得られた残渣のテトラヒドロフラン(193μL)及びメタノール(386μL)溶液に、4M−水酸化ナトリウム水溶液(193μL、0.772mmol)を加え、室温にて6時間撹拌した。反応液に水を加え反応を停止し、酢酸エチルで抽出した。有機層をブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥、減圧濃縮した。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、n−ヘキサン/酢酸エチル)で精製し、化合物17(41.0mg、0.103mmol、39%)を白色固体として得た。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ: 2.01-2.31 (8H, m), 2.34 (3H, s), 2.77 (1H, s), 3.81 (3H, s), 6.37 (1H, s), 6.86 (2H, d, J=8.8 Hz), 7.10 (4H, s), 7.21 (2H, d, J=8.8 Hz).
ESI-MS: m/z= 399 (M+H)+
【0292】
上記の化合物2及び化合物3の合成と同様の方法で、以下の化合物を合成した。
【0293】
【表5-1】
【0294】
【表5-2】
【0295】
【表5-3】
【0296】
【表5-4】
【0297】
(化合物41及び化合物42)
化合物41として、1−(4−(4−メトキシフェニル)−5−(p−トリル)チアゾール−2−イル)シクロヘキサン−トランス−1,4−ジオール
【化43】
を、化合物42として、1−(4−(4−メトキシフェニル)−5−(p−トリル)チアゾール−2−イル)シクロヘキサン−シス−1,4−ジオール
【化44】
を、以下の手順で合成した。
4−ヒドロキシ−4−(4−(4−メトキシフェニル)−5−(p−トリル)チアゾール−2−イル)シクロヘキサン−1−オン(中間体83)(186mg、0.471mmol)のメタノール(4.7mL)溶液へ水素化ホウ素ナトリウム(36mg、0.943mmol)を加え、室温にて1時間撹拌を行った。反応液を減圧濃縮後、酢酸エチルに溶解し、蒸留水、ブラインで洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥、減圧濃縮した。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、n−ヘキサン/酢酸エチル)で精製し、化合物41(42mg、0.106mmol、23%)及び化合物42(136mg、0.344mmol、73%)をそれぞれ白色固体として得た。
化合物41:1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ: 1.53-1.57 (1H, m), 1.76-1.87 (4H, m), 2.05-2.12 (2H, m), 2.35-2.42 (2H, m), 2.36 (3H, s), 3.15 (1H, br), 3.80 (3H, s), 4.10-4.14 (1H, m), 6.80-6.84 (2H, m), 7.13 (2H, d, J=8.0 Hz), 7.24 (2H, d, J=8.0 Hz), 7.45-7.49 (2H, m).
IR (KBr, cm-1): 3409, 2923, 1613, 1515, 1252, 1179, 1004, 815.
ESI-MS: m/z= 396 (M+H)+
化合物42:1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ: 1.48 (1H, d, J=4.8 Hz), 1.82-1.89 (2H, m), 1.95-2.01 (2H, m), 2.05-2.09 (4H, m), 2.36 (3H, s), 3.01 (1H, s), 3.76-3.82 (1H, m), 3.80 (3H, s), 6.80-6.83 (2H, m), 7.13 (2H, d, J=8.0 Hz), 7.22 (2H, d, J=8.0 Hz), 7.43-7.47 (2H, m).
IR (KBr, cm-1): 3418, 2938, 1611, 1515, 1249, 1177, 1058, 816.
ESI-MS: m/z= 396 (M+H)+
【0298】
(化合物43及び化合物44)
化合物43として、4−(4,5−ビス(4−メトキシフェニル)オキサゾール−2−イル)シクロヘキサン−シス−1,4−ジオール
【化45】
を、化合物44として、4−(4,5−ビス(4−メトキシフェニル)オキサゾール−2−イル)シクロヘキサン−トランス−1,4−ジオール
【化46】
を、以下の手順で合成した。
4−(4,5−ビス(4−メトキシフェニル)オキサゾール−2−イル)−4−ヒドロキシシクロヘキサン−1−オン(中間体82)(395mg、1.00mmol)のメタノール(20mL)溶液に水素化ホウ素ナトリウム(47mg、1.24mmol)を加え、室温で16時間撹拌した。反応液を減圧濃縮して、残渣に蒸留水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧濃縮した。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、n−ヘキサン/酢酸エチル)で精製し、化合物43(207mg、0.523mmol,52%)及び化合物44(73mg、0.18mmol、18%)をそれぞれ白色固体として得た。
化合物43:1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ: 1.49 (1H, brs), 1.78-2.13 (8H, m), 2.76 (1H, s), 3.72-3.78 (1H, m), 3.83 (6H, s), 6.89 (2H, d, J=8.8 Hz), 6.90 (2H, d, J=8.8 Hz), 7.49 (2H, d, J=8.8 Hz), 7.55 (2H, d, J=8.8 Hz).
IR (KBr,cm-1): 3364, 1615, 1599, 1520, 1500, 1302, 1252, 1176, 1069, 1053, 1028, 965, 833.
ESI-MS: m/z= 396 (M+H)+
化合物44:1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ: 1.63-1.75 (2H, m), 1.78-1.88 (2H, m), 2.01-2.12 (2H, m), 2.44-2.53 (2H, m), 2.67 (1H, s), 4.00-4.07 (1H, m), 6.89 (2H, d, J=8.8 Hz), 6.90 (2H, d, J=8.8 Hz), 7.51 (2H, d, J=8.8 Hz), 7.57 (2H, d, J=8.8 Hz).
IR (KBr,cm-1): 3356, 1613, 1600, 1520, 1503, 1254, 1182, 1033, 999, 966, 834.
ESI-MS: m/z= 396 (M+H)+
【0299】
(化合物45及び化合物46)
化合物45として、1−(4−(4−メトキシフェニル)−5−(p−トリル)チアゾール−2−イル)−4−(トリフルオロメチル)シクロヘキサン−トランス−1,4−ジオール
【化47】
を、化合物46として、1−(4−(4−メトキシフェニル)−5−(p−トリル)チアゾール−2−イル)−4−(トリフルオロメチル)シクロヘキサン−シス−1,4−ジオール
【化48】
を、以下の手順で合成した。
4−ヒドロキシ−4−(4−(4−メトキシフェニル)−5−(p−トリル)チアゾール−2−イル)シクロヘキサン−1−オン(中間体83)(199mg、0.506mmol)及びルパート試薬(0.187mL、1.26mmol)のテトラヒドロフラン(2.5mL)溶液へ1.0M−テトラブチルアンモニウムフルオリド/テトラヒドロフラン溶液(0.051mL、0.051mmol)を室温で加え、10分間撹拌を行った。反応液を減圧濃縮後、テトラヒドロフラン(3.0mL)に溶解し、蒸留水(0.2mL)及び1.0M−テトラブチルアンモニウムフルオリド/テトラヒドロフラン溶液(1.02mL、1.02mmol)を加え、室温で30分間撹拌を行った。反応液に蒸留水を加え、酢酸エチルで抽出し、ブラインで洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥、減圧濃縮した。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、n−ヘキサン/酢酸エチル)で精製し、化合物45(70mg、0.151mmol、30%)及び化合物46(132mg、0.285mmol、56%)をそれぞれ白色固体として得た。
化合物45:1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ: 1.79-1.84 (2H, m), 1.90 (1H, s), 1.96-2.01 (2H, m), 2.21-2.33 (4H, m), 2.37 (3H, s), 3.28 (1H, s), 3.80 (3H, s), 6.80-6.84 (2H, m), 7.13 (2H, d, J=8.0 Hz), 7.23 (2H, d, J=8.0 Hz), 7.44-7.48 (2H, m).
IR (KBr, cm-1): 3460, 2940, 1610, 1515, 1494, 1442, 1310, 1245, 1175, 1035, 1005,837, 813
ESI-MS: m/z= 464 (M+H)+
化合物46:1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ: 1.90-1.96 (2H, m), 1.97 (1H, br), 2.16-2.23 (2H, m), 2.28-2.36 (4H, m), 2.37 (3H, s), 2.81 (1H, br), 3.80 (3H, s), 6.80-6.83 (2H, m), 7.14 (2H, d, J=8.0 Hz), 7.26 (2H, d, J=8.0 Hz), 7.44-7.48 (2H, m).
IR (KBr, cm-1): 3419, 2940, 1611, 1515, 1443, 1290, 1250, 1175, 1120, 1066, 993,837, 814
ESI-MS: m/z= 464 (M+H)+
【0300】
上記の化合物2及び化合物3の合成と同様の方法で、以下の化合物を合成した。
【0301】
【表6-1】
【0302】
【表6-2】
【0303】
【表6-3】
【0304】
(化合物58)
化合物58として、4−ヒドロキシ−4−(1−(4−メトキシフェニル)−5−(p−トリル)−1H−ピラゾール−3−イル)−シス−シクロヘキサンカルボン酸エチル
【化49】
を以下の手順で合成した。
4−ヒドロキシ−4−(1−(4−メトキシフェニル)−5−(p−トリル)−1H−ピラゾール−3−イル)−シス−シクロヘキサンカルボン酸(化合物16)(41.6mg、0.10mmol)のDMF(1.0ml)溶液に炭酸カリウム(41.4mg、0.3mmol)及びヨウ化エチル(24.8μl、0.3mmol)を加えて2時間攪拌した。反応液にブラインを加え、酢酸エチルで抽出した。有機層をブラインで洗浄、無水硫酸ナトリウムで乾燥、減圧濃縮した。残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、n−ヘキサン/酢酸エチル)で精製し、化合物58(44.1mg、0.10mmol、97%)を白色アモルファスとして得た。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ: 1.27 (3H, t, J=6.8 Hz), 1.85-2.09 (8H, m), 2.33 (3H, s), 2.34-2.41 (1H, m), 2.59 (1H, s), 3.80 (3H, s), 4.15 (2H, q, J=6.8 Hz), 6.38 (1H, s), 6.84 (2H, d, J=8.8 Hz), 7.09-7.09 (4H, m), 7.20 (2H, d, J=8.8 Hz).
ESI-MS: m/z= 435 (M+H)+
【0305】
上記の化合物3については、そのプロドラッグを合成した(参考例化合物59〜70)。
【0306】
参考例化合物59)
参考例化合物59として、4−ヒドロキシ−4−(1−(4−メトキシフェニル)−5−(p−トリル)−1H−ピラゾール−3−イル)−シス−シクロヘキシル ジメチルカーバメート(参考例化合物59)
【化50】
を以下の手順で合成した。
1−(1−(4−メトキシフェニル)−5−(p−トリル)−1H−ピラゾール−3−イル)シクロヘキサン−シス−1,4−ジオール(化合物3)(230mg、0.60mmol)のテトラヒドロフラン(6.0ml)溶液を氷冷下10分間攪拌した。反応液に水素化ナトリウム(26.4mg、0.66mmol)を加えて同じ温度で20分間攪拌した後、ジメチルカルバモイルクロリド(84μl、0.9mmol)を滴下した。室温で3時間撹拌した後、反応液にブラインを加え、酢酸エチルで抽出した。有機層をブラインで洗浄、無水硫酸ナトリウムを用いて乾燥、減圧濃縮した。残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、n−ヘキサン/酢酸エチル)で精製し、参考例化合物59(95.6mg、0.21mmol、35%)を淡黄色アモルファスとして得た。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ: 1.93-2.04 (8H, m), 2.33 (3H, s), 2.71 (1H, s), 2.92 (6H, s), 3.80 (3H, s), 4.73-4.79 (1H, m), 6.37 (1H, s), 6.84 (2H, d, J=8.8 Hz), 7.09-7.09 (4H, m), 7.20 (2H, J=8.8 Hz).
ESI-MS: m/z= 450 (M+H)+
【0307】
参考例化合物60)
参考例化合物60として、シクロヘキシル 4−ヒドロキシ−4−(1−(4−メトキシフェニル)−5−(p−トリル)−1H−ピラゾール−3−イル)−シス−シクロヘキシル カーボネート(参考例化合物60)
【化51】
を以下の手順で合成した。
1−(1−(4−メトキシフェニル)−5−(p−トリル)−1H−ピラゾール−3−イル)シクロヘキサン−シス−1,4−ジオール(化合物3)(250mg、0.66mmol)のテトラヒドロフラン(2.2ml)溶液を氷冷し、水素化ナトリウム(63.4mg、1.45mmol)を加え、同じ温度で10分間攪拌した。シクロヘキシル 1−ヨードエチル カーボネート(354mg、1.18mmol)を加え、室温で12時間撹拌した。反応液にブラインを加え、酢酸エチルで抽出した。有機層をブラインで洗浄、無水硫酸ナトリウムを用いて乾燥、減圧濃縮した。残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、n−ヘキサン/酢酸エチル)で精製し、参考例化合物60(161mg、0.29mmol、44%)を白色アモルファスとして得た。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ: 1.23-1.28 (4H, m), 1.31-1.40 (2H, m), 1.44-1.56 (4H, m), 1.70-1.79 (4H, m), 1.93-2.08 (4H, m), 2.32 (3H, s), 2.82 (1H, s), 3.79 (3H, s), 4.57-4.64 (1H, m), 4.67-4.71 (1H, m), 6.38 (1H, s), 6.84 (2H, d, J=8.4 Hz), 7.08-7.08 (4H, m), 7.19 (2H, J=8.4 Hz).
ESI-MS: m/z= 505 (M+H)+
【0308】
上記の参考例化合物59及び参考例化合物60の合成と同様の方法で、以下の化合物を合成した。
【0309】
【表7】
【0310】
参考例化合物63)
参考例化合物63として、コハク酸モノ−4−ヒドロキシ−4−(1−(4−メトキシフェニル)−5−(p−トリル)−1H−ピラゾール−3−イル)−シス−シクロヘキシルエステル
【化52】
を以下の手順で合成した。
1−(1−(4−メトキシフェニル)−5−(p−トリル)−1H−ピラゾール−3−イル)シクロヘキサン−シス−1,4−ジオール(化合物3)(250mg、0.66mmol)のDMF(3.3ml)溶液に水素化ナトリウム(63.4mg、1.45mmol)を加え、30分間撹拌した。無水コハク酸(99mg、0.99mmol)を加えて、12時間撹拌した後、反応液に1M−塩酸と酢酸エチルを加え、酢酸エチルで抽出した。有機層をブラインで洗浄、無水硫酸ナトリウムを用いて乾燥、減圧濃縮した。残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、n−ヘキサン/酢酸エチル)で精製し、参考例化合物63(87.0mg、0.18mmol、28%)を白色アモルファスとして得た。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ: 1.86-1.88 (2H, m), 1.96-2.02 (4H, m), 2.08-2.11 (3H, m), 2.32 (3H, s), 2.58-2.64 (4H, m), 3.81 (3H, s), 4.82-4.88 (1H, m), 6.38 (1H, s), 6.84 (2H, d, J=8.0 Hz), 7.09-7.09 (4H, m), 7.18 (2H, J=8.0 Hz).
ESI-MS: m/z= 479 (M+H)+
【0311】
参考例化合物64)
参考例化合物64として、シクロヘキシル (4−ヒドロキシ−4−(1−(4−メトキシフェニル)−5−(p−トリル)−1H−ピラゾール−3−イル)−シス−シクロヘキシルオキシ)エチル カーボネート
【化53】
を以下の手順で合成した。
1−(1−(4−メトキシフェニル)−5−(p−トリル)−1H−ピラゾール−3−イル)シクロヘキサン−シス−1,4−ジオール(化合物3)(400mg、1.05mmol)のジクロロエタン(5.4ml)溶液にシクロヘキシル 1−ヨードエチル カーボネート(567mg、1.90mmol)、ジイソプロピルエチルアミン(460μl、2.64mmol)、塩化銀(273mg、1.90mmol)を加えて80℃で12時間攪拌した後、室温まで放冷し、反応液をセライトに通して濾過した。ろ液に1M−塩酸と酢酸エチルを加えた後、酢酸エチルで抽出した。有機層をブラインで洗浄、無水硫酸ナトリウムを用いて乾燥、減圧濃縮した。残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、n−ヘキサン/酢酸エチル)で精製し、参考例化合物64(31.9mg、0.058mmol、5.1%)を白色アモルファスとして得た。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ: 1.15-1.34 (9H, m), 1.48-1.65 (4H, m), 1.83-1.98 (8H, m), 2.33 (3H, s), 2.49 (1H, s), 3.52-3.58 (1H, m), 3.64-3.71 (1H, m), 3.81 (3H, s), 4.92 (1H, q, J=5.2 Hz), 6.39 (1H, s), 6.84 (2H, d, J=8.8 Hz), 7.09-7.09 (4H, m), 7.19 (2H, J=8.8 Hz).
ESI-MS: m/z= 549 (M+H)+
【0312】
上記の参考例化合物59及び参考例化合物60の合成と同様の方法で、以下の化合物を合成した。
【0313】
【表8】
【0314】
参考例化合物67)
参考例化合物67として、4−ヒドロキシ−4−(1−(4−メトキシフェニル)−5−(p−トリル)−1H−ピラゾール−3−イル)−シス−シクロヘキシル 2−アミノアセテート
【化54】
を以下の手順で合成した。
4−ヒドロキシ−4−(1−(4−メトキシフェニル)−5−(p−トリル)−1H−ピラゾール−3−イル)−シス−シクロヘキシル 2−ベンジルオキシカルボニルアミノアセテート(中間体57)(33.2mg、0.058mmol)のメタノール(2.00mL)溶液に10%パラジウム/炭素(6.16mg、50wt%)を室温で加え、水素雰囲気下で14時間撹拌を行った。反応液をセライトに通してろ過し、ろ液を減圧濃縮した。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(NHシリカゲル、クロロホルム/メタノール)で精製し、参考例化合物67(18.4mg、0.042mmol、73%)を無色アモルファスとして得た。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ: 1.58-1.82 (2H, m), 1.88-2.12(9H, m), 2.33 (3H, s), 3.43 (2H, s), 3.81 (3H, s), 4.88-4.94 (1H, m), 6.37 (1H, s), 6.83-6.87 (2H, m), 7.09-7.11 (4H, m), 7.18-7.22 (2H, m).
ESI-MS: m/z= 436 (M+H)+
【0315】
上記の参考例化合物67の合成と同様の方法で、以下の化合物を合成した。
【0316】
【表9】
【0317】
参考例化合物69)
参考例化合物69として、(S)−4−ヒドロキシ−4−(1−(4−メトキシフェニル)−5−(p−トリル)−1H−ピラゾール−3−イル)−シス−シクロヘキシル 2−アミノ−3−メチルブタノエート
【化55】
を以下の手順で合成した。
(S)−4−ヒドロキシ−4−(1−(4−メトキシフェニル)−5−(p−トリル)−1H−ピラゾール−3−イル)シクロヘキシロキシ)メチル 2−(ベンジロキシカルボニルアミノ)−3−メチルブタノエート(中間体59)(122mg、0.190mmol)のジオキサン/エタノール(2.00mL/2.00mL)混合溶液に2,2’−ビピリジル(15.0mg、0.096mmol)、10%パラジウム/炭素(49.0mg、40wt%)を室温で加え、水素雰囲気下で14時間撹拌を行った。反応液をセライトに通してろ過し、ろ液を減圧濃縮した。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、クロロホルム/メタノール)で精製し、参考例化合物69(38.6mg、0.076mmol、40%)を無色アモルファスとして得た。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ: 0.92 (3H, d, J=6.8 Hz), 1.02 (3H, d, J=6.8 Hz), 1.90-2.12 (9H, m), 2.34 (3H, s), 3.32-3.34 (1H, m), 3.67-3.76 (1H, m), 3.81 (3H, s), 5.41 (1H, d, J=6.4 Hz), 5.47 (1H, d, J=6.4 Hz), 6.38, (1H, s), 6.83-6.87 (2H, m), 7.09-7.12 (4H, m), 7.18-7.22 (2H, m).
ESI-MS: m/z= 490 (M-OH)+
【0318】
参考例化合物70)
参考例化合物70として、4−ヒドロキシ−4−(1−(4−メトキシフェニル)−5−(p−トリル)−1H−ピラゾール−3−イル)−シス−シクロヘキシルジハイドロゲンホスフェート
【化56】
を以下の手順で合成した。
ジベンジル 4−ヒドロキシ−4−(1−(4−メトキシフェニル)−5−(p−トリル)−1H−ピラゾール−3−イル)−シス−シクロヘキシルホスフェート(中間体60)(251mg、0.393mmol)、メタノール(2.6mL)及び酢酸エチル(2.6mL)の混合溶液に10%パラジウム/カーボン(41.8mg、50wt%)を加え、水素雰囲気下、室温で2.5時間撹拌した。反応液をセライトに通してろ過し、ろ液を減圧濃縮した。残渣をジクロロメタン/ジエチルエーテルから再結晶し、参考例化合物70(97.2mg、0.212mmol、54%)を白色固体として得た。
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ: 1.68-1.98 (8H, m), 2.28 (3H, s), 3.76 (3H, s), 4.13 (1H, br), 4.92 (1H, br), 6.53 (1H, s), 6.91-6.95 (2H, m), 7.08-7.17 (6H, m).
ESI-MS: m/z= 459 (M+H)+
【0319】
(中間体1)
中間体1として、8−エチニル−1,4−ジオキサスピロ[4.5]デカン−8−オール
【化57】
を以下の手順で合成した。
トリメチルシリルアセチレン(27.1mL、0.192mol)のテトラヒドロフラン(300mL)溶液に、2.77M−n−ブチルリチウム(n−ヘキサン溶液、69.3mL、0.192mol)を−76℃にて30分間滴下し、同じ温度で30分間撹拌した後、1,4−ジオキサスピロ[4.5]デカン−8−オン(25.0g、0.160mol)のテトラヒドロフラン(100mL)溶液を−74℃にて30分間滴下し、同じ温度で1時間30分間撹拌した。反応液を飽和塩化アンモニウム水溶液に注ぎ、酢酸エチルで抽出した。有機層をブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥、減圧濃縮した。
【0320】
残渣にメタノール(320mL)を加えて溶解し、炭酸カリウム(55.3g、0.400mol)を加え、室温にて2時間撹拌し、反応液を減圧濃縮した。残渣に蒸留水を加えて、酢酸エチルで抽出した。有機層を蒸留水及びブラインで洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥、減圧濃縮した。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、n−ヘキサン/酢酸エチル)で精製し、中間体1(29.1g、0.160mol、100%)を白色固体として得た。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ: 1.75-2.03 (9H, m), 2.49 (1H, m), 3.95 (4H, s).
ESI-MS: m/z= 165 (M-OH)+
【0321】
(中間体2)
中間体2として、1−(3−ヒドロキシ−3−(p−トリル)プロピン−1−イル)シクロヘキサノール
【化58】
を以下の手順で合成した。
1−エチニルシクロヘキサノール(500mg、4.02mmol)のテトラヒドロフラン(20mL)溶液に2.77M−n−ブチルリチウム(n−ヘキサン溶液、3.6mL、9.90mmol)を−78℃にて滴下し、同じ温度にて1時間撹拌した。反応液にp−トルアルデヒド(0.52mL,4.40mmol)を−78℃で加え、撹拌しながら徐々に室温まで昇温した。反応液に蒸留水及び1M−塩酸を加えて酸性にした後、酢酸エチルで抽出した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥、減圧濃縮した。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、n−ヘキサン/酢酸エチル)で精製し、中間体2(598mg、2.44mmol、61%)を淡黄色固体として得た。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ: 1.18-1.30 (1H, m), 1.47-1.74 (7H, m), 1.89-1.98 (2H, m), 2.08 (1H, brs), 2.22 (1H, brs), 2.36 (3H, s), 5.47 (1H, s), 7.19 (2H, d, J=8.0 Hz), 7.43 (2H, d, J=8.0 Hz).
ESI-MS: m/z= 227 (M-OH)+
【0322】
(中間体3)
中間体3として、8−(3−ヒドロキシ−3−(p−トリル)プロピン−1−イル)−1,4−ジオキサスピロ[4.5]デカン−8−オール
【化59】
を以下の手順で合成した。
8−エチニル−1,4−ジオキサスピロ[4.5]デカン−8−オール(中間体1)(15.0g、82.3mmol)のテトラヒドロフラン(165mL)溶液に、2.77M−n−ブチルリチウム(n−ヘキサン溶液、62.4mL、172.9mmol)を−72℃にて25分間滴下し、同じ温度で30分間撹拌した後、p−トルアルデヒド(10.2mL、86.4mmol)を−72℃にて5分間滴下し、同じ温度で30分間撹拌した。反応液を室温へ昇温後、飽和塩化アンモニウム水溶液へ注いだ。反応液を酢酸エチルで抽出した。有機層をブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥、減圧濃縮した。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、n−ヘキサン/酢酸エチル)で精製し、中間体3(17.7g、58.5mmol、71%)をアモルファスとして得た。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ: 1.72-1.85 (4H, m), 1.90-2.04 (4H, m), 2.35 (3H, s), 2.55 (1H, s), 2.78 (1H, d, J=6.0 Hz), 3.93 (4H, s), 5.44 (1H, d, J=6.0 Hz), 7.17 (2H, d, J=8.0 Hz), 7.40 (2H, d, J=8.0 Hz).
ESI-MS: m/z= 285 (M-OH)+
【0323】
(中間体4)
中間体4として、8−(3−ヒドロキシ−3−(4−メトキシフェニル)プロピン−1−イル)−1,4−ジオキサスピロ[4.5]デカン−8−オール
【化60】
を以下の手順で合成した。
8−エチニル−1,4−ジオキサスピロ[4.5]デカン−8−オール(中間体1)(5.02g、27.6mmol)のテトラヒドロフラン(100mL)溶液に、2.63M−n−ブチルリチウム(n−ヘキサン溶液、22.0mL、57.9mmol)を−72℃にて15分間滴下し、同じ温度で60分間撹拌した後、4−メトキシアルデヒド(3.52mL、28.9mmol)を−72℃にて10分間滴下し、同じ温度で60分間撹拌した。反応液を室温へ昇温後、飽和塩化アンモニウム水溶液へ注いだ。反応液を酢酸エチルで抽出した。有機層をブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥、減圧濃縮した。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、n−ヘキサン/酢酸エチル)で精製し、中間体4(7.46g、23.4mmol、85%)をアモルファスとして得た。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ: 1.73-1.85 (4H, m), 1.91-2.04 (4H, m), 2.32 (1H, s), 2.52 (1H, d, J=6.1 Hz), 3.81 (3H, s), 3.94 (4H, s), 5.44 (1H, d, J=6.1 Hz), 6.89 (2H, d, J=8.5 Hz), 7.44 (2H, d, J=8.5 Hz).
【0324】
(中間体5)
中間体5として、8−(3−(4−クロロフェニル)−3−ヒドロキシプロピン−1−イル)−1,4−ジオキサスピロ[4.5]デカン−8−オール
【化61】
を以下の手順で合成した。
8−エチニル−1,4−ジオキサスピロ[4.5]デカン−8−オール(中間体1)(5.03g、27.6mmol)のテトラヒドロフラン(100mL)溶液に、2.63M−n−ブチルリチウム(n−ヘキサン溶液、22.1mL、57.9mmol)を−72℃にて15分間滴下し、同じ温度で60分間撹拌した後、4−クロロベンズアルデヒド(4.06g、28.9mmol)を−72℃にて10分間滴下し、同じ温度で60分間撹拌した。反応液を室温へ昇温後、飽和塩化アンモニウム水溶液へ注いだ。反応液を酢酸エチルで抽出した。有機層をブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥、減圧濃縮した。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、n−ヘキサン/酢酸エチル)で精製し、中間体5(8.13g、25.2mmol、91%)をアモルファスとして得た。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ: 1.68-1.81 (4H, m), 1.86-1.90 (4H, m), 3.55 (1H, s), 3.90 (4H, s), 4.03 (1H, d, J=4.2 Hz), 5.41 (1H, d, J=4.2 Hz), 7.28 (2H, d, J=8.3 Hz), 7.41 (2H, d, J=8.3 Hz).
【0325】
上記の中間体1〜5の合成とと同様の方法で、以下の化合物を合成した。
【0326】
【表10】
【0327】
(中間体8)
中間体8として、3−(1−ヒドロキシシクロヘキシル)−1−(p−トリル)−2−プロピン−1−オン
【化62】
を以下の手順で合成した。
1−(3−ヒドロキシ−3−(p−トリル)プロピン−1−イル)シクロヘキサノール(中間体2)(593mg、2.42mmol)のジクロロメタン(20mL)溶液に二酸化マンガン(1.15g、13.2mmol)を加え、室温にて5時間撹拌した。セライトを通して反応液をろ過し、ろ液を減圧濃縮した。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、n−ヘキサン/酢酸エチル)で精製し、中間体8(534mg、2.20mmol、91%)を淡黄色油状物として得た。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ:1.28-1.39 (1H, m), 1.55-1.84 (7H, m), 2.02-2.11 (2H, m), 2.23 (1H, brs), 2.43 (3H, s), 7.28 (2H, d, J=8.0 Hz), 8.02 (2H, d, J=8.0 Hz).
【0328】
(中間体9)
中間体9として、3−(8−ヒドロキシ−1,4−ジオキサスピロ[4.5]デカン−8−イル)−1−(p−トリル)−2−プロピン−1−オン
【化63】
を以下の手順で合成した。
8−(3−ヒドロキシ−3−(p−トリル)プロピン−1−イル)−1,4−ジオキサスピロ[4.5]デカン−8−オール(中間体3)(17.5g、57.9mmol)のジクロロメタン(289mL)溶液に、二酸化マンガン(29.6g、289mmol)を加え、室温にて15時間撹拌を行った。セライトを通して反応液をろ過し、減圧濃縮した。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、n−ヘキサン/酢酸エチル)で精製し、中間体9(14.3g、47.6mmol、82%)を油状物質として得た。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ: 1.79-1.85 (2H, m), 1.87-1.93 (2H, m), 2.04-2.15 (4H, m), 2.20 (1H, s), 2.43 (3H, s), 3.97 (4H, s), 7.28 (2H, d, J=8.0 Hz), 8.00 (2H, d, J=8.0 Hz).
ESI-MS: m/z= 284 (M-OH)+
【0329】
(中間体10)
中間体10として、3−(8−ヒドロキシ−1,4−ジオキサスピロ[4.5]デカン−8−イル)−1−(6−メチルピリジン−3−イル)−2−プロピン−1−オン
【化64】
を以下の手順で合成した。
8−エチニル−1,4−ジオキサスピロ[4.5]デカン−8−オール(中間体1)(592mg、3.25mmol)のテトラヒドロフラン(6mL)溶液に、2.63M−n−ブチルリチウム(n−ヘキサン溶液、2.6mL、6.82mmol)を−78℃にて5分間滴下し、同じ温度で30分間撹拌した後、N−メトキシ−N−メチル−6−メチルニコチンアミド(614.5mg、3.41mmol)のテトラヒドロフラン(5ml)溶液を−78℃にて20分間滴下し、同じ温度で30分間撹拌した。反応液を室温へ昇温後、飽和塩化アンモニウム水溶液へ注いだ。反応液を酢酸エチルで抽出した。有機層をブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥、減圧濃縮した。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、n−ヘキサン/酢酸エチル)で精製し、中間体10(626.3mg、2.08mmol、65%)を淡黄色固体として得た。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ: 1.76-1.83 (2H, m), 1.87-1.94 (2H, m), 2.04-2.10 (2H, m), 2.12-2.19 (2H, m), 2.30 (1H, s), 2.66 (3H, s), 3.97 (4H, s), 7.29 (1H, d, J=8.0 Hz), 8.22 (1H, dd, J=2.4, 8.0 Hz), 9.21 (1H, d, J=2.4 Hz).
ESI-MS: m/z= 284 (M-OH)+
【0330】
(中間体11)
中間体11として、3−(8−ヒドロキシ−1,4−ジオキサスピロ[4.5]デカン−8−イル)−1−(4−メトキシフェニル)−2−プロピン−1−オン
【化65】
を以下の手順で合成した。
8−(3−ヒドロキシ−3−(4−メトキシフェニル)プロピン−1−イル)−1,4−ジオキサスピロ[4.5]デカン−8−オール(中間体4)(7.10g、22.3mmol)のジクロロメタン(100mL)溶液に、二酸化マンガン(9.69g、112mmol)を加え、室温にて18時間撹拌を行った。セライトを通して反応液をろ過し、減圧濃縮した。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、n−ヘキサン/酢酸エチル)で精製し、中間体11(5.45g、17.2mmol、77%)を油状物質として得た。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ: 1.78-1.93 (4H, m), 2.03-2.17 (4H, m), 2.27 (1H, s), 3.89 (3H, s), 3.97 (4H, s), 6.95 (2H, d, J=9.0 Hz), 8.08 (2H, d, J=9.0 Hz).
ESI-MS: m/z= 299 (M-OH)+
【0331】
(中間体12)
中間体12として、1−(4−クロロフェニル)−3−(8−ヒドロキシ−1,4−ジオキサスピロ[4.5]デカン−8−イル)−2−プロピン−1−オン
【化66】
を以下の手順で合成した。
8−(3−(4−クロロフェニル)−3−ヒドロキシプロピン−1−イル)−1,4−ジオキサスピロ[4.5]デカン−8−オール(中間体5)(7.70g、23.9mmol)のジクロロメタン(120mL)溶液に、二酸化マンガン(10.4g、119mmol)を加え、室温にて18時間撹拌を行った。セライトを通して反応液をろ過し、減圧濃縮した。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、n−ヘキサン/酢酸エチル)で精製し、中間体12(5.45g、17.0mmol、71%)を油状物質として得た。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ: 1.77-1.94 (4H, m), 2.04-2.19 (4H, m), 2.15 (1H, s), 3.98 (4H, s), 7.47 (2H, d, J=8.5 Hz), 8.04 (2H, d, J=8.5 Hz).
ESI-MS: m/z= 303 (M-OH)+
【0332】
上記の中間体8〜12の合成と同様の方法で、以下の化合物を合成した。
【0333】
【表11】
【0334】
(中間体18)
中間体18として、8−(1−(4−メトキシフェニル)−5−(p−トリル)−1H−ピラゾール−3−イル)−1,4−ジオキサスピロ[4.5]デカン−8−オール
【化67】
を以下の手順で合成した。
4−メトキシフェニルヒドラジン塩酸塩(7.35g、42.1mmol)のエタノール(76.6mL)溶液へトリエチルアミン(5.87mL、42.1mmol)を滴下し、室温にて30分間撹拌を行った。反応液へ3−(8−ヒドロキシ−1,4−ジオキサスピロ[4.5]デカン−8−イル)−1−(p−トリル)−2−プロピン−1−オン(中間体9)(11.5g、38.3mmol)のエタノール(76.6mL)溶液を滴下し、室温にて15時間撹拌を行った後、反応液を減圧濃縮した。残渣に水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を1M−塩酸、蒸留水及びブラインで洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥、減圧濃縮した。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、n−ヘキサン/酢酸エチル)で精製し、中間体18(14.7g、35.0mmol、91%)をアモルファスとして得た。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ: 1.71-1.74 (2H, m), 1.99-2.25 (6H, m), 2.33 (3H, s), 2.71 (1H, s), 3.81 (3H, s), 3.96-4.01 (4H, m), 6.39 (1H, s), 6.84 (2H, d, J=8.0 Hz), 7.09 (4H, s), 7.21 (2H, d, J=8.0 Hz).
ESI-MS: m/z= 421 (M+H)+
【0335】
(中間体19)
中間体19として、8−(1−(4−メトキシフェニル)−5−(6−メチルピリジン−3−イル)−1H−ピラゾール−3−イル)−1,4−ジオキサスピロ[4.5]デカン−8−オール
【化68】
を以下の手順で合成した。
4−メトキシフェニルヒドラジン塩酸塩(359mg、2.06mmol)のエタノール(4mL)溶液へトリエチルアミン(286μL、2.06mmol)を滴下し、室温にて30分間撹拌を行った。反応液へ3−(8−ヒドロキシ−1,4−ジオキサスピロ[4.5]デカン−8−イル)−1−(6−メチルピリジン−3−イル)−2−プロピン−1−オン(中間体10)(563.7mg、1.87mmol)のエタノール(5.4mL)溶液を滴下し、室温にて22時間撹拌を行った後、反応液を減圧濃縮した。残渣に水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を蒸留水及びブラインで洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥、減圧濃縮した。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、n−ヘキサン/酢酸エチル)で精製し、中間体19(177mg、0.42mmol、22%)をアモルファスとして得た。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ: 1.72-1.75 (2H, m), 2.00-2.03 (2H, m), 2.07-2.14 (2H, m), 2.19-2.26 (2H, m), 2.55 (3H, s), 2.65 (1H, s), 3.81 (3H, s), 3.96-4.03 (4H, m), 6.47 (1H, s), 6.86 (2H, d, J=8.8 Hz), 7.06 (1H, d, J=8.0 Hz), 7.20 (2H, d, J=8.8 Hz), 7.33 (1H, dd, J=2.2, 8.0 Hz), 8.40 (1H, d, J=2.2 Hz).
ESI-MS: m/z= 422 (M+H)+
【0336】
(中間体20)
中間体20として、8−(1,5−ビス(4−メトキシフェニル)−1H−ピラゾール−3−イル)−1,4−ジオキサスピロ[4.5]デカン−8−オール
【化69】
を以下の手順で合成した。
3−(8−ヒドロキシ−1,4−ジオキサスピロ[4.5]デカン−8−イル)−1−(4−メトキシフェニル)−2−プロピン−1−オン(中間体11)(700mg、2.24mmol)のエタノール(4.5mL)溶液に4−メトキシフェニルヒドラジン塩酸塩(470mg、2.69mmol)、トリエチルアミン(0.74mL、5.41mmol)のエタノール(4.5mL)溶液を加え、室温で20時間撹拌した。反応液を減圧濃縮し、残渣に蒸留水を加えて、酢酸エチルで抽出した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧濃縮した。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、n−ヘキサン/酢酸エチル)で精製し、中間体20(864mg,1.98mmol、88%)を白色アモルファスとして得た。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ: 1.68-1.77 (2H, m), 1.96-2.26 (6H, m), 2.70 (1H, brs), 3.80 (3H, s), 3.81 (3H, s), 3.94-4.04 (4H, m), 6.37(1H, s), 6.81 (2H, d, J=8.8 Hz), 6.85 (2H, d, J=8.8 Hz), 7.13 (2H, d, J=8.8 Hz), 7.21 (2H, d, J=8.8 Hz).
ESI-MS: m/z= 437 (M+H)+
【0337】
(中間体21)
中間体21として、8−(5−(4−クロロフェニル)−1−(4−メトキシフェニル)−1H−ピラゾール−3−イル)−1,4−ジオキサスピロ[4.5]デカン−8−オール
【化70】
を以下の手順で合成した。
4−メトキシフェニルヒドラジン塩酸塩(457mg、2.62mmol)のエタノール(4.4mL)溶液へトリエチルアミン(0.730mL、5.24mmol)を滴下し、室温にて30分間撹拌を行った。反応液へ1−(4−クロロフェニル)−3−(8−ヒドロキシ−1,4−ジオキサスピロ[4.5]デカン−8−イル)−2−プロピン−1−オン(中間体12)(700mg、2.18mmol)のエタノール(4.4mL)溶液を滴下し、室温にて14時間撹拌を行った後、反応液を減圧濃縮した。残渣に水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を1M−塩酸、蒸留水及びブラインで洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥、減圧濃縮した。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、n−ヘキサン/酢酸エチル)で精製し、中間体21(756mg、1.71mmol、79%)をアモルファスとして得た。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ: 1.69-1.76 (2H, m), 1.97-2.25 (6H, m), 2.66 (1H, brs), 3.82 (3H, s), 3.94-4.03 (4H, m), 6.43 (1H, s), 6.85-6.87 (2H, m), 7.13 (2H, d, J=8.4 Hz), 7.19 (2H, d, J=8.4 Hz), 7.25-7.27 (2H, m).
ESI-MS: m/z= 441 (M+H)+
【0338】
(中間体22)
中間体22として、8−(1−(4−クロロフェニル)−5−(p−トリル)−1H−ピラゾール−3−イル)−1,4−ジオキサスピロ[4.5]デカン−8−オール
【化71】
を以下の手順で合成した。
4−クロロフェニルヒドラジン塩酸塩(418mg、2.33mmol)のエタノール(4.8mL)溶液へトリエチルアミン(5.87mL、42.1mmol)を滴下し、室温にて30分間撹拌を行った。反応液へ3−(8−ヒドロキシ−1,4−ジオキサスピロ[4.5]デカン−8−イル)−1−(p−トリル)−2−プロピン−1−オン(中間体9)(698mg、2.32mmol)のエタノール(4.7mL)溶液を滴下し、室温にて14時間撹拌を行った後、反応液を減圧濃縮した。残渣に水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を蒸留水及びブラインで洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥、減圧濃縮した。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、n−ヘキサン/酢酸エチル)で精製し、中間体22(948mg、2.23mmol、収率96%)をアモルファスとして得た。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ: 1.71-1.75 (2H, m), 1.98-2.14 (4H, m), 2.17-2.25 (2H,m), 2.36 (3H, s), 2.62 (1H, s), 3.96-4.03 (4H, m), 6.41 (1H, s), 7.09 (2H, d, J=8.0 Hz), 7.13 (2H, d, J=8.0 Hz), 7.22-7.30 (4H, m).
ESI-MS: m/z= 407 (M-OH)+
【0339】
上記の中間体18〜22と同様の方法で、以下の化合物を合成した。
【0340】
【表12-1】
【0341】
【表12-2】
【0342】
【表12-3】
【0343】
【表12-4】
【0344】
(中間体38)
中間体38として、1−(1−(4−メトキシフェニル)−5−(p−トリル)−1H−ピラゾール−3−イル)−シクロヘキサン−シス−1,4−ジイル ジアセタート
【化72】
を以下の手順で合成した。
1−(1−(4−メトキシフェニル)−5−(p−トリル)−1H−ピラゾール−3−イル)シクロヘキサン−シス−1,4−ジオール(化合物3)(300mg、0.793mmol)のジクロロメタン(2.6mL)懸濁液に、無水酢酸(0.187mL、1.98mmol)と、ピリジン(0.192mL、2.38mmol)、4−ジメチルアミノピリジン(48.4mg、0.396mmol)を加え、室温にて60時間撹拌した。再度4−ジメチルアミノピリジン(48.4mg、0.396mmol)を加え、室温にてさらに6時間撹拌した。反応液に水を加え反応を停止し、酢酸エチルで抽出した。有機層をブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥、減圧濃縮した。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、n−ヘキサン/酢酸エチル)で精製し、中間体38(297mg、0.642mmol、81%)を白色固体として得た。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ: 1.74-1.82 (2H, m), 1.92-1.98 (2H, m), 2.01-2.08 (5H, m), 2.10 (3H, s), 2.32 (3H, s), 2.70-2.77 (2H, m), 3.80 (3H, s), 4.80-4.89 (1H, m), 6.38 (1H, s), 6.83 (2H, d, J=8.8 Hz), 7.08 (4H, s), 7.20 (2H, d, J=8.8 Hz).
ESI-MS: m/z= 463 (M+H)+
【0345】
(中間体39)
中間体39として、c−4−メトキシ−1−(1−(4−メトキシフェニル)−5−(p−トリル)−1H−ピラゾール−3−イル)−シクロヘキサン−r−1−イル アセタート
【化73】
を以下の手順で合成した。
c−4−ヒドロキシ−1−(1−(4−メトキシフェニル)−5−(p−トリル)−1H−ピラゾール−3−イル)−シクロヘキサン−r−1−イル アセタート(中間体84)(0.150g、0.357mmol)のN,N−ジメチルホルムアミド(1.8mL)溶液に、氷冷撹拌下、55%水素化ナトリウム(23.4mg、0.535mmol)とヨウ化メチル(29.0μL、0.464mmol)を加え、室温にて9時間撹拌した。氷冷撹拌下、反応液に水を加え反応を停止し、酢酸エチルで抽出した。有機層をブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥、減圧濃縮した。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、n−ヘキサン/酢酸エチル)で精製し、中間体39(124mg、0.284mmol、80%)を白色固体として得た。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ: 1.60-1.68 (2H, m), 1.94-2.03 (4H, m), 2.08 (3H, s), 2.32 (3H, s), 2.69-2.76 (2H, m), 3.24-3.33 (1H, m), 3.39 (3H, s), 3.80 (3H, s), 6.37 (1H, s), 6.83 (2H, d, J=8.8 Hz), 7.08 (4H, s), 7.20 (2H, d, J=8.8 Hz).
ESI-MS: m/z= 435 (M+H)+
【0346】
(中間体40)
中間体40として、4−(4−フルオロ−1−(4−メトキシフェニル)−5−(p−トリル)−1H−ピラゾール−3−イル)−c−4−ヒドロキシ−シクロヘキサン−r−1−イル アセタート
【化74】
を以下の手順で合成した。
c−4−ヒドロキシ−4−(1−(4−メトキシフェニル)−5−(p−トリル)−1H−ピラゾール−3−イル)−シクロヘキサン−r−1−イル アセタート(化合物12)(130mg、0.309mmol)のアセトニトリル(3.09mL)溶液にSelectfluorTM(120mg、0.340mmol)を加え、室温で3時間撹拌した。反応液に飽和チオ硫酸ナトリウム水溶液を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層をブラインで洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥、減圧濃縮し、残渣をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、n−ヘキサン/酢酸エチル)で精製し、中間体40(61mg、0.140mmol、45%)を淡黄色アモルファスとして得た。
1H-NMR (400MHz, CDCl3)δ: 1.89-2.15 (11H, m), 2.35 (3H, m), 2.73 (1H, s), 3.81 (3H, s), 4.82-4.89 (1H, m), 6.84-6.86 (2H, m), 7.10-7.18 (6H, m).
ESI-MS: m/z= 439 (M+H)+
【0347】
(中間体41)
中間体41として、1−(1−(4−メトキシフェニル)−5−(p−トリル)−1H−ピラゾール−3−イル)−4−オキソ−シクロヘキサン−1−イル アセタート
【化75】
を以下の手順で合成した。
c−4−ヒドロキシ−1−(1−(4−メトキシフェニル)−5−(p−トリル)−1H−ピラゾール−3−イル)−シクロヘキサン−r−1−イル アセタート(中間体84)(142mg、0.338mmol)のジクロロメタン(3.38mL)溶液に、デスマーチン試薬(172mg、0.405mmol)を加え、0℃にて2時間撹拌した。反応液をセライト濾過し、残渣をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、n−ヘキサン/酢酸エチル)で精製し、中間体41(120mg、0.287mmol、85%)を白色アモルファスとして得た。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ: 2.13 (3H, s), 2.33 (3H, s), 2.44-2.52 (4H, m), 2.59-2.65 (2H, m), 2.93-2.96 (2H, m), 3.81 (3H, s), 6.45 (1H, s), 6.84 (2H, d, J=8.8 Hz), 7.08 (4H, s), 7.20 (2H, d, J=8.8 Hz).
ESI-MS: m/z= 419 (M+H)+
【0348】
(中間体42)
中間体42として、c−4−ヒドロキシ−4−(1−(4−メトキシフェニル)−5−(p−トリル)−1H−ピラゾール−3−イル)−シス−シクロヘキサン−r−1−カルバルデヒド
【化76】
を以下の手順で合成した。
(メトキシメチル)トリフェニルホスホニウムクロリド(546.3mg、1.59mmol)のテトラヒドロフラン(1.3mL)溶液にカリウムtert−ブトキシド(178.7mg、1.59mmol)を−40℃で加え、同じ温度で60分間撹拌した。反応液に4−ヒドロキシ−4−(1−(4−メトキシフェニル)−5−(p−トリル)−1H−ピラゾール−3−イル)シクロヘキサン−1−オン(化合物4)(200mg、0.53mmol)のテトラヒドロフラン(1.35mL)溶液を−40℃で滴下した後、室温で1.5時間撹拌した。反応液に6M−塩酸水溶液を0℃にて加え、12時間撹拌した。反応液に蒸留水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、ブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥、減圧濃縮し、残渣をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、n−ヘキサン/酢酸エチル)で精製し、中間体42(87.5mg、0.23mmol、42%)を無色油状物質として得た。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ: 1.88-1.96 (6H, m), 2.09-2.11 (2H, m), 2.25-2.36 (5H, m), 3.80 (3H, s), 6.39 (1H, s), 6.84 (2H, d, J=8.8 Hz), 7.09-7.14 (4H, m), 7.20 (2H, d, J=8.8 Hz), 9.66 (1H, d, J=2.0 Hz).
ESI-MS: m/z= 391 (M+H)+
【0349】
(中間体43)
中間体43として、エチル 1,4−ジオキサスピロ[4.5]デカン−8−カルボキシラート
【化77】
を以下の手順で合成した。
エチル 4−オキソシクロヘキサンカルボキシラート(10.0g、58.8mmol)のトルエン(196mL)溶液に、エチレングリコール(3.6mL、64.6mmol)と、p−トルエンスルホン酸一水和物(1.12g、5.88mmol)を加え、150℃にて加熱還流した。18時間撹拌した。反応液に飽和重曹水を加え反応を停止し、酢酸エチルで抽出した。有機層をブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥、減圧濃縮した。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、n−ヘキサン/酢酸エチル)で精製し、中間体43(12.3g、57.4mmol、98%)を無色油状化合物として得た。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ: 1.25 (3H, t, J=7.2 Hz), 1.51-1.61 (2H, m), 1.75-1.86 (4H, m), 1.90-1.98 (2H, m), 2.29-2.38 (1H, s), 3.95 (4H, s), 4.13 (2H, q, J=7.2 Hz).
ESI-MS: m/z= 215 (M+H)+
【0350】
(中間体44)
中間体44として、エチル 8−(ベンジルオキシメチル)−1,4−ジオキサスピロ[4.5]デカン−8−カルボキシラート
【化78】
を以下の手順で合成した。
エチル 1,4−ジオキサスピロ[4.5]デカン−8−カルボキシラート(中間体43)(500mg、2.33mmol)のテトラヒドロフラン(7.8mL)溶液に、0.5M−カリウムビス(トリメチルシリル)アミド(トルエン溶液、4.67mL、2.33mmol)を−78℃で加え、20分間撹拌した後、ベンジルクロロメチルエーテル(0.379mL、2.45mmol)を加え、−78℃で30分間、室温で1.5時間撹拌した。反応液に飽和塩化アンモニウム水溶液を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥、減圧濃縮した。残渣に3M−水酸化ナトリウム水溶液(1.0mL)を加え、4時間撹拌した。反応液をエーテルで抽出し、有機層をブラインで洗浄、無水硫酸ナトリウムで乾燥、減圧濃縮した。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、n−ヘキサン/酢酸エチル)で精製し中間体44(279mg、0.834mmol、36%)を無色油状化合物として得た。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ: 1.24 (3H, t, J=7.2 Hz), 1.52-1.68 (6H, m), 2.16-2.23 (2H, m), 3.46 (2H, s), 3.88-3.96 (4H, m), 4.17 (2H, q, J=7.2 Hz), 4.49 (2H, s), 7.25-7.39 (5H, m).
ESI-MS: m/z= 335 (M+H)+
【0351】
(中間体45)
中間体45として、(8−(ベンジルオキシメチル)−1,4−ジオキサスピロ[4.5]デカン−8−イル)メタノール
【化79】
を以下の手順で合成した。
エチル 8−(ベンジルオキシメチル)−1,4−ジオキサスピロ[4.5]デカン−8−カルボキシラート(中間体44)(279mg、0.834mmol)のテトラヒドロフラン(4.2mL)溶液に、氷冷撹拌下、水素化ホウ素リチウム(91.0mg、4.17mmol)を加え、70℃にて4時間撹拌した。反応液に飽和塩化アンモニウム水溶液を加え反応を停止し、酢酸エチルで抽出した。有機層をブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥、減圧濃縮した。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、n−ヘキサン/酢酸エチル)で精製し、中間体45(183mg、0.625mmol、75%)を無色油状化合物として得た。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ: 1.48-1.66 (8H, m), 2.76 (1H, t, J=6.0 Hz), 3.43 (2H, s), 3.60 (2H, d, J=6.0 Hz), 3.91-3.95 (4H, m), 4.52 (2H, s), 7.27-7.38 (5H, m).
ESI-MS: m/z= 293 (M+H)+
【0352】
(中間体46)
中間体46として、8−(ベンジルオキシメチル)−1,4−ジオキサスピロ[4.5]デカン−8−カルボアルデヒド
【化80】
を以下の手順で合成した。
(8−(ベンジルオキシメチル)−1,4−ジオキサスピロ[4.5]デカン−8−イル)メタノール(中間体45)(183mg、0.625mmol)のDMSO(2.1mL)溶液に、50%三酸化硫黄−ピリジン錯体(596mg、1.87mmol)と、トリエチルアミン(0.522mL、3.75mmol)を加え、室温にて20分間撹拌した。反応液に水を加え反応を停止し、酢酸エチルで抽出した。有機層を20%クエン酸水溶液、飽和重曹水、ブラインで順に洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥、減圧濃縮した。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、n−ヘキサン/酢酸エチル)で精製し、中間体46(172mg、0.592mmol、95%)を無色油状化合物として得た。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ: 1.55-1.67 (6H, m), 2.03-2.11 (2H, m), 3.45 (2H, s), 3.90-3.95 (4H, m), 4.47 (2H, s), 7.25-7.36 (5H, m), 9.60 (1H, s).
ESI-MS: m/z= 291 (M+H)+
【0353】
(中間体47)
中間体47として、8−(ベンジルオキシメチル)−8−エチニル−1,4−ジオキサスピロ[4.5]デカン
【化81】
を以下の手順で合成した。
8−(ベンジルオキシメチル)−1,4−ジオキサスピロ[4.5]デカン−8−カルボアルデヒド(中間体46)(100mg、0.344mmol)のメタノール(5.2mL)溶液に、氷冷撹拌下、炭酸カリウム(143mg、1.03mmol)と、ジメチル−1−ジアゾ−2−オキソプロピルホスホナート(165mg、0.861mmol)を加え、室温にて1時間撹拌した。反応液に水を加え反応を停止し、酢酸エチルで抽出した。有機層をブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥、減圧濃縮した。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、n−ヘキサン/酢酸エチル)で精製し、中間体47(88.9mg、0.310mmol、90%)を無色油状化合物として得た。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ: 1.52-1.71 (4H, m), 1.77-1.85 (2H, m), 1.94-2.04 (2H, m), 2.19 (1H, s), 3.38 (2H, s), 3.89-3.99 (4H, s), 4.61 (2H, s), 7.25-7.37 (5H, m).
ESI-MS: m/z= 287 (M+H)+
【0354】
(中間体48)
中間体48として、3−(8−(ベンジルオキシメチル)−1,4−ジオキサスピロ[4.5]デカン−8−イル)−1−(p−トリル)プロピン−1−オール
【化82】
を以下の手順で合成した。
8−(ベンジルオキシメチル)−8−エチニル−1,4−ジオキサスピロ[4.5]デカン(中間体47)(393mg、1.37mmol)のテトラヒドロフラン(4.6mL)溶液に、2.6M−n−ブチルリチウム(ヘキサン溶液、0.555mL、1.44mmol)を−78℃で加え、10分間撹拌した。さらに4−メチルベンズアルデヒド(0.178mL、1.51mmol)を加えた後、室温まで徐々に昇温させ、1時間撹拌した。反応液に飽和塩化アンモニウム水溶液を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層をブラインで洗浄、無水硫酸ナトリウムで乾燥、減圧濃縮した。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、n−ヘキサン/酢酸エチル)で精製し中間体48(459mg、1.13mmol、82%)を無色油状化合物として得た。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ: 1.62-1.71 (4H, m), 1.79-1.86 (2H, m), 1.92-2.02 (2H, m), 2.23 (1H, brs), 2.34 (3H, s), 3.41 (2H, s), 3.89-3.98 (4H, m), 4.59 (2H, m), 5.44 (1H, d, J=5.2 Hz), 7.15 (2H, d, J=8.0 Hz), 7.25-7.35 (5H, m), 7.43 (2H, d, J=8.0 Hz).
ESI-MS: m/z= 407 (M+H)+
【0355】
(中間体49)
中間体49として、3−(8−(ベンジルオキシメチル)−1,4−ジオキサスピロ[4.5]デカン−8−イル)−1−(p−トリル)プロピン−1−オン
【化83】
を以下の手順で合成した。
3−(8−(ベンジルオキシメチル)−1,4−ジオキサスピロ[4.5]デカン−8−イル)−1−(p−トリル)プロピン−1−オール(中間体48)(585mg、1.44mmol)のジクロロメタン(7.2mL)溶液に、二酸化マンガン(625mg、7.19mmol)を加え、室温にて13時間撹拌した。反応液をセライトろ過した後、減圧濃縮した。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、n−ヘキサン/酢酸エチル)で精製し、中間体49(540mg、1.33mmol、93%)を無色油状化合物として得た。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ: 1.71-1.80 (4H, m), 1.97-2.03 (4H, m), 2.41 (3H, s), 3.52 (2H, s), 3.91-4.00 (4H, m), 4.63 (2H, m), 7.21 (2H, d, J=8.0 Hz), 7.25-7.38 (5H, m), 8.03 (2H, d, J=8.0 Hz).
ESI-MS: m/z= 405 (M+H)+
【0356】
(中間体50)
中間体50として、3−(8−(ベンジルオキシメチル)−1,4−ジオキサスピロ[4.5]デカン−8−イル)−1−(4−メトキシフェニル)−5−(p−トリル)−1H−ピラゾール
【化84】
を以下の手順で合成した。
4−メトキシフェニルヒドラジン塩酸塩(280mg、1.60mmol)のエタノール(2.7mL)溶液へトリエチルアミン(0.447mL、3.20mmol)を滴下し、室温にて30分間撹拌を行った。反応液へ3−(8−(ベンジルオキシメチル)−1,4−ジオキサスピロ[4.5]デカン−8−イル)−1−(p−トリル)プロピン−1−オン(中間体49)(540mg、1.33mmol)のエタノール(2.7mL)溶液を滴下し、室温にて14時間撹拌を行った後、反応液を減圧濃縮した。残渣に水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を1M−塩酸、蒸留水及びブラインで洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥、減圧濃縮した。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、n−ヘキサン/酢酸エチル)で精製し、中間体50(458mg、0.872mmol、65%)を白色アモルファスとして得た。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ: 1.64-1.72 (2H, m), 1.76-1.85 (2H, m), 1.89-1.98 (2H, m), 2.27-2.35 (5H, m), 3.50 (2H, s), 3.80 (3H, s), 3.90-3.99 (4H, m), 4.49 (2H, s), 6.38 (1H, s), 6.80-6.85 (2H, m), 7.06-7.31 (11H, m).
ESI-MS: m/z= 525 (M+H)+
【0357】
(中間体51)
中間51として、4−(ベンジルオキシメチル)−4−(1−(4−メトキシフェニル)−5−(p−トリル)−1H−ピラゾール−3−イル)シクロヘキサン−1−オン
【化85】
を以下の手順で合成した。
3−(8−(ベンジルオキシメチル)−1,4−ジオキサスピロ[4.5]デカン−8−イル)−1−(4−メトキシフェニル)−5−(p−トリル)−1H−ピラゾール(中間体50)(458mg、0.872mmol)のテトラヒドロフラン(2.2mL)溶液に、6M−塩酸(4.4mL)を加え、室温にて15時間撹拌した。反応液を氷冷し、50%水酸化ナトリウム水溶液を0℃にて塩基性になるまで滴下後、酢酸エチルで抽出した。有機層をブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥、減圧濃縮した。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、n−ヘキサン/酢酸エチル)で精製し、中間体51(387mg、0.804mmol、92%)を白色アモルファスとして得た。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ: 2.11-2.21 (2H, m), 2.31-2.39 (5H, m), 2.52-2.68 (4H, m), 3.57 (2H, s), 3.81 (3H, s), 4.51 (2H, s), 6.44 (1H, s), 6.83-6.88 (2H, m), 7.08-7.34 (11H, m).
ESI-MS: m/z= 481 (M+H)+
【0358】
(中間体52)
中間体52として、8−(4,5−ビス(4−メトキシフェニル)オキサゾール)−2−イル)−1,4−ジオキサスピロ[4.5]デカン−8−オール
【化86】
を以下の手順で合成した。
公知の製造法(国際公開第07/111323号)により合成した2−クロロ−1、4−ビス(4−メトキシフェニル)オキサゾール(1.01g、3.20mmol)のテトラヒドロフラン(32mL)溶液に1.09M−ボランテトラヒドロフラン錯体(4.0mL、4.36mmol)を0℃にて加え、同じ温度にて1時間撹拌した。反応液に2.66M−n−ブチルリチウム(1.47mL,mmol)を−78℃にて加え、同じ温度で1時間撹拌した。反応液に1,4−シクロヘキサンジオンモノエチレンケタール(524mg、3.36mmol)を加え、撹拌しながら徐々に室温まで昇温した。反応液に1M−塩酸を加えて酸性にして、酢酸エチルで抽出した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧濃縮した。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、n−ヘキサン/酢酸エチル)で精製し、中間体52(844mg、1.92mmol,60%)を淡黄色アモルファスとして得た。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ: 1.71-1.80 (2H, m), 2.01-2.11 (4H, m), 2.30-2.41 (2H, m), 2.76 (1H, s), 3.83 (3H, s), 3.84 (3H, s), 3.99 (4H, dd, J=Hz), 6.89 (2H, d, J=8.8 Hz), 6.90 (2H, d, J=8.8 Hz), 7.50 (2H, d, J=8.8 Hz), 7.56 (2H, d, J=8.8 Hz).
【0359】
(中間体53)
中間体53として、1,4−ジオキサスピロ[4.5]デカン−8−カルボキシアミド
【化87】
を以下の手順で合成した。
1,4−ジオキサスピロ[4.5]デカン−8−カルボン酸(823mg、4.42mmol)のテトラヒドロフラン(22mL)溶液へトリエチルアミン(5.87mL、42.1mmol)及びクロロギ酸n−プロピルを0℃で加え、同じ温度で1時間撹拌した。滴下し、室温にて30分間撹拌を行った。反応液に28%アンモニア水(1.5mL)を加え、室温で1時間撹拌した。反応液から有機層を分液し、硫酸ナトリウムで乾燥、減圧濃縮した。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、n−ヘキサン/酢酸エチル)で精製し、中間体53(694mg、3.75mmol、85%)を無色アモルファスとして得た。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3)δ: 1.53-1.61 (2H, m), 1.72-1.86 (4H, m), 1.91-1.98 (2H, m), 2.17-2.25 (1H, m), 3.95 (4H, s), 5.29 (1H, brs), 5.46 (1H, brs).
ESI-MS: m/z= 186 (M+H)+
【0360】
(中間体54)
中間体54として、1,4−ジオキサスピロ[4.5]デカン−8−カルボチオアミド
【化88】
を以下の手順で合成した。
1,4−ジオキサスピロ[4.5]デカン−8−カルボキシアミド(中間体53)(281mg、1.52mmol)のトルエン(5mL)溶液へローソン試薬(337mg、0.834mmol)を加え、100℃で1時間撹拌し、室温まで冷却した。反応液にメタノールを加え、減圧濃縮し、残渣をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、n−ヘキサン/酢酸エチル)で精製し、中間体54(147mg、0.730mmol、48%)を白色固体として得た。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3)δ: 1.57-1.66 (2H, m), 1.79-1.90 (4H, m), 1.97-2.03 (2H, m), 2.64-2.72 (1H, m), 3.96 (4H, s), 6.89 (1H, brs), 7.46 (1H, brs).
ESI-MS: m/z= 202 (M+H)+
【0361】
(中間体55)
中間体55として、8−(4−(4−メトキシフェニル)−5−(p−トリル)チアゾール−2−イル)−1,4−ジオキサスピロ[4.5]デカン
【化89】
を以下の手順で合成した。
1,4−ジオキサスピロ[4.5]デカン−8−カルボチオアミド(中間体54)(389mg、1.93mmol)及び2−ブロモ−1−(4−メトキシフェニル)−2−(p−トリル)エタノン(588mg、1.84mmol)のアセトニトリル(9.2mL)溶液を室温で4時間撹拌した。反応液に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層をブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥、減圧濃縮した。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、n−ヘキサン/酢酸エチル)で精製し、中間体55(630mg、1.49mmol、81%)を無色アモルファスとして得た。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3)δ: 1.68-1.76 (2H, m), 1.88-1.98 (4H, m), 2.18-2.24 (2H, m), 2.35 (3H, s), 3.05-3.13 (1H, m), 3.80 (3H, s), 3.99 (4H, s), 6.79-6.82 (2H, m), 7.11 (2H, d, J=8.0 Hz), 7.22 (2H, d, J=8.0 Hz), 7.43-7.46 (2H, m).
ESI-MS: m/z= 422 (M+H)+
【0362】
(中間体56)
中間体56として、8−(4−(4−メトキシフェニル)−5−(p−トリル)チアゾール−2−イル)−1,4−ジオキサスピロ[4.5]デカン−8−オール
【化90】
を以下の手順で合成した。
8−(4−(4−メトキシフェニル)−5−(p−トリル)チアゾール−2−イル)−1,4−ジオキサスピロ[4.5]デカン(中間体55)(734mg、1.74mmol)のテトラヒドロフラン(8.7mL)溶液に1.63M−n−ブチルリチウム/n−ヘキサン溶液(1.17mL)を−78℃で加え、同じ温度で1時間撹拌した。反応液を3−フェニル−2−(フェニルスルフォニル)−1,2−オキサジリジン(546mg,2.09mmol)のテトラヒドロフラン(8.7mL)溶液に−78℃で加え、撹拌しながら徐々に室温まで昇温した。反応液に蒸留水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層をブラインで洗浄後、硫酸ナトリウムで乾燥、減圧濃縮し、残渣をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、n−ヘキサン/酢酸エチル)で精製し、中間体56(417mg、0.954mmol、55%)を無色アモルファスとして得た。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3)δ: 1.73-1.79 (2H, m), 2.03-2.10 (4H, m), 2.32-2.39 (2H, m), 2.37 (3H, s), 2.78 (1H, s), 3.84 (3H, s), 3.97-4.02 (4H, m), 6.88-6.92 (2H, m), 7.16 (2H, d, J=8.4 Hz), 7.47 (2H, d, J=8.4 Hz), 7.55-7.58 (2H, m).
ESI-MS: m/z= 438 (M+H)+
【0363】
(中間体57)
中間体57として、4−ヒドロキシ−4−(1−(4−メトキシフェニル)−5−(p−トリル)−1H−ピラゾール−3−イル)−シス−シクロヘキシル 2−ベンジロキシカルボニルアミノアセテート
【化91】
を以下の手順で合成した。
1−(1−(4−メトキシフェニル)−5−(p−トリル)−1H−ピラゾール−3−イル)−シクロヘキサン−シス−1,4−ジオール(化合物3)(76.0mg、0.201mmol)のジクロロメタン(2.00mL)溶液にトリエチルアミン(0.084mL、0.60mmol)、2−ベンジロキシカルボニルアミノ酢酸(46.2mg、0.241mmol)、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(46.2mg、0.241mmol)、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(15.4mg、0.100mmol)を室温で加え、20時間撹拌を行った。反応液に蒸留水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層をブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥、減圧濃縮した。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、n−ヘキサン/酢酸エチル)で精製し、中間体57(33.2mg、0.058mmol、29%)を無色アモルファスとして得た。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ: 1.91-2.07 (8H, m), 2.33 (3H, s), 2.75 (1H, s), 3.80 (3H, s), 3.98-3.99 (2H, m), 4.89-4.94 (1H, m), 5.14 (2H, s), 5.33-5.35 (1H, m), 6.36 (1H, s), 6.82-6.86 (2H, m), 7.08-7.10 (4H, m), 7.17-7.21 (2H, m), 7.29-7.38 (5H, m).
ESI-MS: m/z= 552 (M-OH)+
【0364】
(中間体58)
中間体58として、中間体57と同様の方法により(S)−4−ヒドロキシ−4−(1−(4−メトキシフェニル)−5−(p−トリル)−1H−ピラゾール−3−イル)−シス−シクロヘキシル 2−(ベンジロキシカルボニルアミノ)−3−メチルブタノエートを合成した。
【化92】
を以下の手順で合成した。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ: 0.92 (3H, d, J=6.4Hz), 0.99 (3H, d, J=6.4 Hz), 1.89-2.10 (8H, m), 2.16-2.24 (1H, m), 2.34 (3H, s), 2.63 (1H, s), 3.81 (3H, s), 4.30-4.33 (1H, m), 4.88-4.95 (1H, m), 5.12 (2H, s), 5.28-5.30 (1H, m), 6.36 (1H, s), 6.78-6.82 (2H, m), 7.09-7.10 (4H, m), 7.18-7.24 (2H, m), 7.29-7.38 (5H, m).
ESI-MS: m/z= 594 (M-OH)+
【0365】
(中間体59)
中間体59として、(S)−4−ヒドロキシ−4−(1−(4−メトキシフェニル)−5−(p−トリル)−1H−ピラゾール−3−イル)シクロヘキシロキシ)メチル 2−(ベンジロキシカルボニルアミノ)−3−メチルブタノエート
【化93】
を以下の手順で合成した。
1−(1−(4−メトキシフェニル)−5−(p−トリル)−1H−ピラゾール−3−イル)−シクロヘキサン−シス−1,4−ジオール(化合物3)(199mg、0.506mmol)のジクロロメタン(3.00mL)溶液にモレキュラーシーブス4A(300mg)及びジイソプロピルエチルアミン(0.210mL、1.21mmol)を室温で加えて−50℃に冷却した。続いて(S)−ヨウドメチル 2−ベンジルオキシカルボニルアミノ−3−メチルブタノエート(0.187mL、1.26mmol)、トリフルオロメタンスルホン酸銀(232mg、0.904mmol)を同じ温度で加え、2時間撹拌した後、−30℃で14時間撹拌した。反応液に飽和重層水を加え、セライトを通してろ過した。ろ液をブラインで洗浄し、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥、減圧濃縮した。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、n−ヘキサン/酢酸エチル)で精製し、中間体59(123mg、0.192mmol、64%)を無色アモルファスとして得た。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ: 0.92 (3H, d, J=6.4 Hz), 1.01 (3H, d, J=6.4 Hz), 1.88-1.99 (6H, m), 2.02-2.09 (2H, m), 2.20-2.26 (1H, m), 2.34 (3H, s), 2.50 (1H, s), 3.66-3.72 (1H, m), 3.81 (3H, s), 4.32-4.36 (1H, m), 5.12 (2H, s), 5.38 (1H, d, J=6.4 Hz), 5.50 (1H, d, J=6.4 Hz), 6.37 (1H, s), 6.83-6.87 (2H, m), 7.08-7.11 (4H, m), 7.18-7.24 (2H, m), 7.29-7.38 (5H, m).
ESI-MS: m/z= 624 (M-OH)+
【0366】
(中間体60)
中間体60として、ジベンジル 4−ヒドロキシ−4−(1−(4−メトキシフェニル)−5−(p−トリル)−1H−ピラゾール−3−イル)―シス−シクロヘキシルホスフェート
【化94】
を以下の手順で合成した。
1−(1−(4−メトキシフェニル)−5−(p−トリル)−1H−ピラゾール−3−イル)シクロヘキサン−シス−1,4−ジオール(化合物3)(200mg、0.528mmol)のテトラヒドロフラン(2.6mL)溶液に、氷冷攪拌下、55%水素化ナトリウム(55.3mg、1.27mmol)とテトラベンジルピロホスホネート(370mg、0.687mmol)を順に加え、室温にて15時間撹拌した。反応液を氷冷し、水を加えて、酢酸エチルで抽出した。有機層をブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥、減圧濃縮した。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、n−ヘキサン/酢酸エチル)で精製し、中間体60(251mg、0.393mmol、74%)を無色透明油状化合物として得た。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ: 1.87-2.11 (8H, m), 2.33 (3H, s), 3.79 (3H, s), 4.42-4.51 (1H, m), 5.00-5.12 (4H, m), 6.34 (1H, s), 6.81-6.87 (2H, m), 7.09 (4H, s), 7.16-7.23 (2H, m), 7.29-7.37 (10H, m).
ESI-MS: m/z= 639 (M+H)+
【0367】
(化合物4)
化合物4として、4−ヒドロキシ−4−(1−(4−メトキシフェニル)−5−(p−トリル)−1H−ピラゾール−3−イル)シクロヘキサン−1−オン
【化95】
を以下の手順で合成した。
8−(1−(4−メトキシフェニル)−5−(p−トリル)−1H−ピラゾール−3−イル)−1,4−ジオキサスピロ[4.5]デカン−8−オール(中間体18)(14.6g、34.7mmol)のテトラヒドロフラン(69.4mL)溶液に、6M−塩酸(138.9mL)を加え、室温にて15時間撹拌した。反応液を氷冷し、50%水酸化ナトリウム水溶液を0℃にて塩基性になるまで滴下後、酢酸エチルで抽出した。有機層をブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥、減圧濃縮した。残渣を再結晶(n−ヘキサン/酢酸エチル、70℃)で精製し、化合物4(10.5g、27.9mmol、80%)を白色固体として得た。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ: 2.33-2.43 (9H, m), 2.87-2.95 (3H, m), 3.82 (3H, s), 6.39 (1H, s), 6.86 (2H, d, J=8.8 Hz), 7.10 (4H, s), 7.22 (2H, d, J=8.8 Hz).
IR (KBr, cm-1): 3321, 2929, 1712, 1518, 1463, 1299, 1249, 1179, 1114, 1027, 961, 821.
ESI-MS: m/z= 377 (M+H)+
【0368】
(中間体62)
中間体62として、4−ヒドロキシ−4−(1−(4−メトキシフェニル)−5−(6−メチルピリジン−3−イル)−1H−ピラゾール−3−イル)−シクロヘキサン−1−オン
【化96】
を以下の手順で合成した。
8−(1−(4−メトキシフェニル)−5−(6−メチルピリジン−3−イル)−1H−ピラゾール−3−イル)−1,4−ジオキサスピロ[4.5]デカン−8−オール(中間体19)(128.8mg、0.30mmol)のテトラヒドロフラン(0.6mL)溶液に、6M−塩酸(1.2mL)を加え、室温にて3時間撹拌した。反応液を氷冷し、50%水酸化ナトリウム水溶液を0℃にて塩基性になるまで滴下後、酢酸エチルで抽出した。有機層をブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥、減圧濃縮した。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、n−ヘキサン/酢酸エチル)で精製し、中間体62(109.5mg、0.29mmol、96%)をアモルファスとして得た。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ: 2.34-2.44 (6H, m), 2.55 (3H, s), 2.87-2.95 (2H, m),3.18 (1H, s), 3.82 (3H, s), 6.49 (1H, s), 6.87 (2H, d, J=8.8 Hz), 7.08 (1H, d, J=8.1 Hz), 7.19 (2H, d, J=8.8 Hz), 7.35 (1H, dd, J=2.2, 8.1 Hz), 8.40 (1H, d, J=2.2 Hz).
ESI-MS: m/z= 378 (M+H)+
【0369】
(中間体63)
中間体63として、4−(1,5−ビス(4−メトキシフェニル)−1H−ピラゾール−3−イル)−4−ヒドロキシ−シクロヘキサン−1−オン
【化97】
を以下の手順で合成した。
8−(1,5−ビス(4−メトキシフェニル)−1H−ピラゾール−3−イル)−1,4−ジオキサスピロ[4.5]デカン−8−オール(中間体20)(658mg、1.50mmol)のテトラヒドロフラン(3.75mL)溶液に6M−塩酸(7.5mL)を0℃で加え、室温で5時間撹拌した。反応液を氷冷した10%水酸化ナトリウム水溶液に注いで中和し、飽和重曹水を加えて塩基性にして、酢酸エチルで抽出した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥、減圧濃縮した。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、n−ヘキサン/酢酸エチル)で精製し、中間体63(523mg,1.33mmol,89%)をアモルファスとして得た。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ: 2.30-2.45 (6H, m), 2.86-2.96 (2H, m), 2.99 (1H, s), 3.80 (3H, s), 3.82 (3H, s), 6.36 (1H, s), 6.82 (2H, d, J=8.8 Hz), 6.87 (2H, d, J=8.8 Hz), 7.13 (2H, d, J=8.8 Hz), 7.21 (2H, d, J=8.8 Hz).
ESI-MS: m/z= 393 (M+H)+
【0370】
(中間体64)
中間体64として、4−(5−(4−クロロフェニル)−1−(4−メトキシフェニル)−1H−ピラゾール−3−イル)−4−ヒドロキシ−シクロヘキサン−1−オン
【化98】
を以下の手順で合成した。
8−(5−(4−クロロフェニル)−1−(4−メトキシフェニル)−1H−ピラゾール−3−イル)−1,4−ジオキサスピロ[4.5]デカン−8−オール(中間体21)(756mg、1.71mmol)のテトラヒドロフラン(4.3mL)溶液に、6M−塩酸(8.6mL)を加え、室温にて15時間撹拌した。反応液を氷冷し、50%水酸化ナトリウム水溶液を0℃にて塩基性になるまで滴下後、酢酸エチルで抽出した。有機層をブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥、減圧濃縮した。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、n−ヘキサン/酢酸エチル)で精製し、中間体64(619mg、1.56mmol、91%)をアモルファスとして得た。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ: 2.31-2.45 (6H, m), 2.85-2.98 (3H, m), 3.82 (3H, s), 6.43 (1H, s), 6.86-6.90 (2H, m), 7.14 (2H, d, J=8.8 Hz), 7.19 (2H, d, J=8.8 Hz), 7.26-7.29 (2H, m).
ESI-MS: m/z= 397 (M+H)+
【0371】
(中間体65)
中間体65として、4−ヒドロキシ−4−(1−(4−クロロフェニル)−5−(p−トリル)−1H−ピラゾール−3−イル)−シクロヘキサン−1−オン
【化99】
を以下の手順で合成した。
8−(1−(4−クロロフェニル)−5−(p−トリル)−1H−ピラゾール−3−イル)−1,4−ジオキサスピロ[4.5]デカン−8−オール(中間体22)(931mg、2.19mmol)のテトラヒドロフラン(5.5mL)溶液に、6M−塩酸(11mL)を加え、室温にて15時間撹拌した。反応液を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液に注いで塩基性とし、酢酸エチルで抽出した。有機層をブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥、減圧濃縮した。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、n−ヘキサン/酢酸エチル)で精製し、中間体65(513mg、1.35mmol、61%)を白色固体として得た。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ: 2.32-2.36 (4H, m), 2.36 (3H, s), 2.38-2.44 (2H, m), 2.87-2.95 (2H, m), 2.90 (1H, s), 6.41 (1H, s), 7.10 (2H, d, J=8.0 Hz), 7.14 (2H, d, J=8.0 Hz), 7.23 (2H, d, J=8.8 Hz), 7.31 (2H, d, J=8.8 Hz).
ESI-MS: m/z= 381 (M+H)+
【0372】
上記の中間体の合成と同様の方法で、以下の化合物を合成した。
【0373】
【表13-1】
【0374】
【表13-2】
【0375】
【表13-3】
【0376】
(中間体81)
中間体81として、4−(4−クロロ−1−(4−メトキシフェニル)−5−(p−トリル)−1H−ピラゾール−3−イル)−c−4−ヒドロキシ−シクロヘキサン−r−1−イル アセタート
【化100】
を以下の手順で合成した。
c−4−ヒドロキシ−4−(1−(4−メトキシフェニル)−5−(p−トリル)−1H−ピラゾール−3−イル)−シクロヘキサン−r−1−イル アセタート(化合物12)(140mg、0.333mmol)のアセトニトリル(1.66mL)溶液にN−クロロコハク酸イミド(49mg、0.366mmol)を加え、80℃で15時間撹拌し、室温まで冷却した。反応液にブラインを加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥、減圧濃縮し、残渣をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、n−ヘキサン/酢酸エチル)で精製し、中間体81(67mg、0.147mmol、44%)を白色固体として得た。
1H-NMR (400MHz, CDCl3) δ: 1.92-2.04 (6H, m), 2.28-2.36 (8H, m), 3.10 (1H, s), 3.79 (3H, s), 4.85-4.88 (1H, m), 6.80-6.82 (2H, m), 7.11-7.16 (6H, m).
【0377】
(中間体82)
中間体82として、4−(4,5−ビス(4−メトキシフェニル)オキサゾール−2−イル)−4−ヒドロキシシクロヘキサン−1−オン
【化101】
を以下の手順で合成した。
8−(4,5−ビス(4−メトキシフェニル)オキサゾール−2−イル)−1,4−ジオキサスピロ[4.5]デカン−8−オール(中間体52)(781mg、1.78mmol)のテトラヒドロフラン(4.5mL)溶液に6M−塩酸(9.0mL)を0℃にて加え、室温にて2時間撹拌した。反応液を0℃に冷却し、10%水酸化ナトリウム水溶液及び飽和重曹水を加えてアルカリ性にして酢酸エチルで抽出した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧濃縮した。残渣を再結晶(酢酸エチル/n−ヘキサン)で精製し、中間体82(445mg、1.13mmol、63%)を淡黄色固体として得た。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ: 2.32-2.54 (6H, m), 2.81-2.92 (2H, m), 3.17 (1H, m), 3.84 (6H, s), 6.90 (2H, d, J=8.8 Hz), 6.91 (2H, d, J=8.8 Hz), 7.49 (2H, d, J=8.8Hz), 7.56 (2H, d, J=8.8 Hz).
ESI-MS: m/z= 394 (M+H)+
【0378】
(中間体83)
中間体83として、4−ヒドロキシ−4−(4−(4−メトキシフェニル)−5−(p−トリル)チアゾール−2−イル)シクロヘキサン−1−オン
【化102】
を以下の手順で合成した。
8−(4−(4−メトキシフェニル)−5−(p−トリル)チアゾール−2−イル)−1,4−ジオキサスピロ[4.5]デカン−8−オール(中間体56)(469mg、1.07mmol)のテトラヒドロフラン(5.4mL)溶液に、6M−塩酸(5.4mL)を0℃で加え、室温にて14時間撹拌した。反応液を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液に注いで塩基性とし、酢酸エチルで抽出した。有機層をブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥、減圧濃縮した。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、n−ヘキサン/酢酸エチル)で精製し、中間体83(352mg、0.895mmol、83%)を白色固体として得た。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3)δ: 2.33-2.51 (6H, m), 2.37 (3H, s), 2.86-2.95 (2H, m), 3.50 (1H, s), 3.81 (3H, s), 6.81-6.84 (2H, m), 7.14 (2H, d, J=8.0 Hz), 7.24 (2H, d, J=8.0 Hz), 7.44-7.48 (2H, m).
ESI-MS: m/z= 394 (M+H)+
【0379】
(中間体84)
中間体84として、c−4−ヒドロキシ−1−(1−(4−メトキシフェニル)−5−(p−トリル)−1H−ピラゾール−3−イル)−シクロヘキサン−r−1−イル アセタート
【化103】
を以下の手順で合成した。
1−(1−(4−メトキシフェニル)−5−(p−トリル)−1H−ピラゾール−3−イル)−シクロヘキサン−シス−1,4−ジイル ジアセタート(中間体38)(297mg、0.642mmol)のメタノール(4.3mL)溶液に、炭酸カリウム(89.0mg、0.642mmol)を加え、室温にて4時間撹拌した。反応液に水を加え反応を停止し、酢酸エチルで抽出した。有機層をブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥、減圧濃縮した。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、n−ヘキサン/酢酸エチル)で精製し、中間体84(213mg、0.507mmol、79%)を白色固体として得た。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ: 1.49 (1H, d, J=4.4 Hz), 1.65-1.74 (2H, m), 1.90-1.98 (4H, m), 2.10 (3H, s), 2.32 (3H, s), 2.71-2.78 (2H, m), 3.74-3.81 (4H, m), 6.37 (1H, s), 6.83 (2H, d, J=9.2 Hz), 7.08 (4H, s), 7.20 (2H, d, J=9.2 Hz).
ESI-MS: m/z= 421 (M+H)+

【産業上の利用可能性】
【0380】
本発明のシクロヘキサン誘導体又はその薬理学的に許容される塩は、それらを有効成分とする医薬、特に、蓄尿障害の治療剤又は予防剤として利用できる。
図1