(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
上記ラクトン基がノルボルナンラクトン基又はブチロラクトン基であり、上記環状カーボネート基がエチレンカーボネート基であり、上記スルトン基がノルボルナンスルトン基である請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のフォトレジスト組成物。
[A]重合体成分における構造単位(I)の含有割合が5モル%以上60モル%以下であり、かつ構造単位(I)及び構造単位(II)の含有割合の合計が20モル%以上85モル%以下である請求項1から請求項6のいずれか1項に記載のフォトレジスト組成物。
【発明を実施するための形態】
【0018】
<フォトレジスト組成物>
当該フォトレジスト組成物は、[A]重合体成分及び[B]酸発生体を含有する。また、当該フォトレジスト組成物は、好適成分として、[C]酸拡散制御体、[D]添加剤、[E]溶媒を含有してもよく、また、本発明の効果を損なわない範囲において、その他の任意成分を含有してもよい。以下、各成分について詳述する。
【0019】
<[A]重合体成分>
[A]重合体成分は、同一又は異なる重合体中に、下記式(1)で表される構造単位(I)と、下記式(2)で表される構造単位(II)とを有し、さらにラクトン基、環状カーボネート基及びスルトン基からなる群より選ばれる少なくとも1種の基(a)を有する重合体成分である。当該フォトレジスト組成物は、[A]重合体成分を含有することで、LWR性能、MEEF性能、DOF性能等のリソグラフィー性能に優れる。当該フォトレジスト組成物が上記構成を有することで上記効果を奏する理由については必ずしも明確ではないが、例えば、以下のように推察することができる。すなわち、[A]重合体成分は、構造単位(I)が重合体鎖と炭素原子を共有するラクトン環を有することによりその剛直性が高まり、加えて、構造単位(II)により重合体鎖の周辺に脂環式炭化水素基の嵩高い基が配置され、かつ基(a)により、適度な極性が与えられる。これらの相乗効果により、当該フォトレジスト組成物から形成されるレジスト膜中において、[B]酸発生体から生じる酸の拡散長が適度に短くなると考えられる。その結果、当該フォトレジスト組成物のLWR性能等が向上する。
【0020】
[A]重合体成分としては、構造単位(I)、構造単位(II)及び基(a)は、同一の重合体中にあっても、異なる重合体中にあってもよい。すなわち、[A]重合体成分は、例えば、構造単位(I)を与える単量体化合物、構造単位(II)を与える単量体化合物、基(a)を有する単量体化合物等の複数種の単量体化合物の共重合体であってもよく、構造単位(I)を与える単量体化合物の重合体と、構造単位(II)を与える単量体化合物の重合体と、基(a)を与える単量体化合物の重合体等の複数の重合体をブレンドした2種以上の重合体を含む成分であってもよい。当該フォトレジスト組成物のLWR性能等の向上の観点からは、構造単位(I)、構造単位(II)及び基(a)は、同一の重合体中にあることが好ましい。
【0021】
上記基(a)は、ラクトン基、環状カーボネート基及びスルトン基からなる群より選ばれる少なくとも1種の基である。このラクトン基は、上記式(1)中に示される重合体鎖と炭素原子を共有するラクトン基とは異なるラクトン基である。[A]重合体成分は、基(a)を有することで、その極性が適度になり、その結果、この基(a)と、構造単位(I)及び構造単位(II)との相乗効果により、当該フォトレジスト組成物は、LWR性能等が向上する。
【0022】
[A]重合体成分において、基(a)は構造単位(I)に含まれていてもよく、構造単位(I)以外の構造単位(III)に含まれていてもよく、構造単位(I)及び構造単位(III)の両方に含まれていてもよい。基(a)が構造単位(I)に含まれる場合、構造単位(III)に含まれる場合及びその両方に含まれる場合のいずれにおいても、[A]重合体成分はその極性をより適度にすることができ、その結果、当該フォトレジスト組成物のLWR性能等をより向上させることができる。ここで、ラクトン基とは、−O−C(O)−で表される基を含む1つの環(ラクトン環)を有する基をいう。環状カーボネート基とは、−O−C(O)−O−で表される基を含む1つの環(環状カーボネート環)を有する基をいう。スルトン基とは、−O−S(O)
2−で表される基を含む1つの環(スルトン環)を有する基をいう。ラクトン環、環状カーボネート環又はスルトン環を1つめの環として数え、構造に含まれる環構造がラクトン環、環状カーボネート環又はスルトン環のみの場合は単環式基、さらに他の環構造を有する場合は、その構造に関わらず多環式基という。基(a)は、1価の基でもよく2価以上の基であってもよい。
【0023】
上記ラクトン基としては、例えばプロピオラクトン基、ブチロラクトン基、バレロラクトン基、カプロラクトン基等の単環式ラクトン基;シクロヘキサンラクトン基、ノルボルナンラクトン基、5−オキソ−4−オキサトリシクロ[4.3.1.1
3,8]ウンデカン基、オキサノルボルナンラクトン基等の多環式ラクトン基等が挙げられる。
【0024】
上記環状カーボネート基としては、例えば、エチレンカーボネート基、プロピレンカーボネート基等の単環式環状カーボネート基;シクロペンテンカーボネート基、シクロヘキセンカーボネート基、ノルボルネンカーボネート基等の多環式環状カーボネート基等が挙げられる。
【0025】
上記スルトン基としては、例えばプロピオスルトン基、ブチロスルトン基、バレロスルトン基、カプロスルトン基等の単環式スルトン基;シクロヘキセンスルトン基、ノルボルナンスルトン基、オキサノルボルナンスルトン基等の多環式スルトン基等が挙げられる。
【0026】
これらの中で、基(a)として、
ラクトン基としては、ブチロラクトン基、ノルボルナンラクトン基が好ましく、無置換ノルボルナンラクトン基、シアノ置換ノルボルナンラクトン基、無置換ブチロラクトン基がより好ましい。
環状カーボネート基としては、エチレンカーボネート基が好ましく、無置換エチレンカーボネート基がより好ましい。
スルトン基としては、ノルボルナンスルトン基が好ましく、無置換ノルボルナンスルトン基がより好ましい。
[A]重合体成分は、基(a)として上記基を有することで、[A]重合体成分の極性がさらに適度になり、その結果、LWR性能等がさらに向上する。
【0027】
[A]重合体成分における基(a)の含有率としては[A]重合体成分を構成する全構造単位100モル%に対する基(a)の合計モル数が、5モル%〜80モル%が好ましく、10モル%〜75モル%がより好ましく、15モル%〜70モル%がさらに好ましい。[A]重合体成分における基(a)の含有率を上記範囲とすることで、当該フォトレジスト組成物のLWR性能等を向上させることができる。
【0028】
[A]重合体成分は、構造単位(I)〜(III)以外にも、さらに他の構造単位を有してもよい。以下、各構造単位を詳述する。
【0029】
[構造単位(I)]
構造単位(I)は、上記式(1)で表される構造単位である。[A]重合体成分は、重合体鎖と炭素原子を共有する特定のラクトン構造を含む構造単位(I)を有するので、重合体鎖の剛直性が高まる。その結果、この構造単位(I)、構造単位(II)及び基(a)の相乗効果により、当該フォトレジスト組成物のLWR性能等が向上する。
【0030】
上記式(1)中、R
1は、水素原子、フッ素原子、水酸基又は炭素数1〜20の1価の有機基である。R
2及びR
3は、それぞれ独立して、水素原子、フッ素原子、水酸基又は炭素数1〜20の1価の有機基であるか、又はR
2及びR
3が互いに結合してそれらが結合している炭素原子と共に炭素数3〜10の環構造を形成している。aは、1〜6の整数である。但し、aが2以上の場合、複数のR
2及びR
3はそれぞれ同一でも異なっていてもよい。R
4及びR
5は、それぞれ独立して、水素原子、フッ素原子、水酸基又は炭素数1〜20の1価の有機基であるか、又はR
4及びR
5が互いに結合してそれらが結合している炭素原子と共に炭素数3〜10の環構造を形成している。但し、上記環構造が有する水素原子の一部又は全部は置換されていてもよい。
【0031】
上記R
1〜R
5で表される炭素数1〜20の1価の有機基としては、例えば炭素数1〜20の鎖状炭化水素基、炭素数3〜20の脂環式炭化水素基、炭素数6〜20の芳香族炭化水素基、核原子数3〜10の複素環基、エポキシ基、シアノ基、カルボキシ基、及び−R’−Q−R”で表される基等が挙げられる。R’は、単結合又は炭素数1〜20の2価の炭化水素基である。R”は、炭素数1〜20の2価の炭化水素基である。Qは、−O−、−CO−、−NH−、−SO
2−、−SO−又はこれらを組み合わせた基である。上記R
1〜R
5で表される鎖状炭化水素基、脂環式炭化水素基及び芳香族炭化水素基、並びにR’及びR”で表される2価の炭化水素基が有する水素原子の一部又は全部は置換されていてもよい。
【0032】
上記炭素数1〜20の鎖状炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、へキシル基、オクチル基、デシル基等が挙げられる。これらの中で、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基が好ましく、メチル基、エチル基がより好ましい。
【0033】
上記炭素数3〜20の脂環式炭化水素基としては、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロへキシル基、シクロオクチル基、シクロデシル基等の単環の脂環式炭化水素基;ノルボルニル基、アダマンチル基等の多環の脂環式炭化水素基等が挙げられる。
【0034】
上記炭素数6〜20の芳香族炭化水素基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基等が挙げられる。
【0035】
上記核原子数3〜10の複素環基としては、例えば、ラクトン基、環状カーボネート基、スルトン基、フラン基、チオフェン基、ベンゾフラン基、ベンゾチオフェン基、ジベンゾフラン基、ジベンゾチオフェン基、ピリジン基等が挙げられる。これらの中で、ラクトン基、環状カーボネート基、スルトン基が好ましく、ラクトン基がより好ましい。
【0036】
上記−R’−Q−R”におけるR’及びR”で表される炭素数1〜20の2価の炭化水素基としては、例えば、炭素数1〜20の鎖状炭化水素基、炭素数3〜20の脂環式炭化水素基、炭素数6〜20の芳香族炭化水素基等が挙げられる。それぞれについては、上記R
1〜R
5で表される炭素数1〜20の1価の有機基として例示したそれぞれの基と同様の基等が挙げられる。
【0037】
上記R
1〜R
5で表される鎖状炭化水素基、脂環式炭化水素基及び芳香族炭化水素基、並びにR’及びR”で表される2価の炭化水素基が有していてもよい置換基としては、例えば、フッ素原子等のハロゲン原子、シアノ基、カルボキシ基、水酸基、チオール基、ラクトン基、環状カーボネート基、スルトン基等が挙げられる。これらの中で、水酸基、カルボキシ基、ラクトン基、環状カーボネート基、スルトン基が好ましく、水酸基、カルボキシ基がより好ましく、水酸基がさらに好ましい。
【0038】
R
2及びR
3、又はR
4及びR
5が互いに結合して、それらが結合している炭素原子と共に形成する炭素数3〜10の環構造としては、例えば、シクロプロパン構造、シクロヘキサン構造、シクロオクタン構造、ノルボルナン構造、アダマンタン構造等の脂環式構造、酸素原子、硫黄原子、窒素原子等のヘテロ原子を含む複素環構造等が挙げられる。これらの中で、脂環式構造としては、シクロペンタン構造、シクロヘキサン構造、ノルボルナン構造、アダマンタン構造が好ましく、シクロヘキサン構造、アダマンタン構造がより好ましい。複素環構造としては、環状エーテル構造、ラクトン構造、環状カーボネート構造、スルトン構造が好ましく、環状エーテル構造がより好ましく、オキサシクロペンタン構造がさらに好ましい。
【0039】
上記環構造が有してもよい置換基としては、例えば、フッ素原子等のハロゲン原子、シアノ基、カルボキシ基、水酸基、チオール基、ラクトン基、環状カーボネート基、スルトン基等が挙げられる。これらの中で、水酸基、カルボキシ基、ラクトン基、環状カーボネート基、スルトン基が好ましく、水酸基、カルボキシ基がより好ましく、水酸基がさらに好ましい。
【0040】
上記aとしては、1〜4の整数が好ましく、1〜3の整数がより好ましく、1又は2がさらに好ましく、1が特に好ましい。
【0041】
上記R
1としては、構造単位(I)を与える単量体の共重合性の観点から、水素原子、1価の有機基が好ましく、水素原子、鎖状炭化水素基がより好ましく、水素原子、メチル基がさらに好ましく、メチル基が特に好ましい。
【0042】
上記R
2及びR
3としては、構造単位(I)を与える単量体の合成容易性の観点から、水素原子、1価の有機基が好ましく、水素原子、鎖状炭化水素基がより好ましく、水素原子、メチル基がさらに好ましく、水素原子が特に好ましい。
【0043】
上記R
4及びR
5としては、当該フォトレジスト組成物のLWR性能等の向上の観点から、1価の有機基が好ましく、酸素原子を含む有機基がより好ましく、酸素原子を含む基で置換された鎖状炭化水素基、酸素原子を含む複素環基がさらに好ましく、ヒドロキシアルキル基、ラクトン基、環状カーボネート基、スルトン基が特に好ましく、ヒドロキシエチル基、ブチロラクトン基がさらに特に好ましい。
【0044】
また、R
4及びR
5としては、当該フォトレジスト組成物のLWR性能等の向上の観点からは、これらが互いに結合して、酸素原子を含む基で置換された脂環式構造、酸素原子を含む複素環構造を形成することが好ましく、水酸基を有するシクロアルカン構造、オキサシクロアルカン構造、ラクトン構造、環状カーボネート構造、スルトン構造を形成することがより好ましく、水酸基を有するシクロヘキサン構造、水酸基を有するアダマンタン構造、オキサシクロペンタン構造を形成することがさらに好ましい。
【0045】
構造単位(I)としては、例えば、下記式(1−1)〜(1−78)で表される構造単位等が挙げられる。
【0051】
これらの中でも、当該フォトレジスト組成物のLWR性能等の向上の観点から、上記式(1−1)〜(1−9)、(1−12)〜(1−21)、(1−25)〜(1−47)、及び(1−55)〜(1−78)でそれぞれ表される構造単位が好ましく、上記式(1−1)、(1−17)、(1−19)、(1−70)及び(1−71)で表される構造単位がより好ましい。
【0052】
構造単位(I)の含有割合としては、[A]重合体成分を構成する全構造単位に対して1モル%以上80モル%以下が好ましく、5モル%以上60モル%以下がより好ましく、7モル%以上40モル%以下がさらに好ましく、7モル%以上30モル%以下が特に好ましい。構造単位(I)の含有割合を上記範囲とすることで、当該フォトレジスト組成物は、LWR性能等を向上させることができる。なお、[A]重合体成分は、構造単位(I)を1種又は2種以上有していてもよい。
【0053】
構造単位(I)を与える単量体としては、例えば、下記式で表される化合物が挙げられる。
【0059】
構造単位(I)を与える単量体は、例えば、下記方法により製造することができる。
【0060】
亜鉛粉末が添加されたテトラヒドロフラン(THF)溶媒中に、それぞれTHFに溶解させたケトン化合物(例えば、上記式(1−1)で表される化合物の合成の場合には、2−メチルテトラヒドロフラン−3−オン)(化合物a)と、二重結合に結合する炭化水素等にハロゲン原子を有するアクリルエステル化合物(例えば、エチル(2−ブロモメチル)アクリレート)(化合物b)とを滴下し、室温で撹拌させることで、化合物aと化合物bとが反応し、環外炭素−炭素二重結合を有するラクトン化合物(例えば、上記式(1)で表される6−メチル−3−メチレン−1,7−ジオキサスピロ[4,4]ノナン−2−オン)が合成される。なお、亜鉛粉末が添加されたTHF溶媒中に、化合物a及びbの添加前にクロロトリメチルシラン等の活性化剤を入れるとよい。上記式(1−1)で表される化合物以外の化合物においては、適宜化合物aを替えること等によって同様に合成することができる。
【0061】
[構造単位(II)]
構造単位(II)は、上記式(2)で表される構造単位である。[A]重合体成分は、1価の脂環式炭化水素基を含むこの構造単位(II)を有することで、重合体鎖周辺において嵩高い基が配置されると考えられる。その結果、この構造単位(II)、構造単位(I)及び基(a)との相乗効果により、当該フォトレジスト組成物のLWR性能等が向上する。
【0062】
上記式(2)中、R
6は、水素原子、フッ素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基である。R
7及びR
8は、それぞれ独立して、炭素数1〜10の1価の鎖状炭化水素基である。R
9は、炭素数3〜30の1価の脂環式炭化水素基である。但し、この脂環式炭化水素基が有する水素原子の一部又は全部は水酸基又はシアノ基で置換されていてもよい。
【0063】
上記R
6としては、構造単位(II)を与える単量体の共重合性の観点から、水素原子、メチル基が好ましく、メチル基がより好ましい。
【0064】
上記R
7及びR
8で表される炭素数1〜10の1価の鎖状炭化水素基としては、例えば
メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、tert−ブチル基、2−メチルプロピル基、1−メチルプロピル基等のアルキル基;
エテニル基、プロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基等のアルケニル基;
エチニル基、プロピニル基、ブチニル基、ペンチニル基等のアルキニル基等が挙げられ
【0065】
上記R
7及びR
8としては、これらの中で、アルキル基が好ましく、炭素数1〜4のアルキル基がより好ましく、メチル基、エチル基がさらに好ましく、メチル基が特に好ましい。
【0066】
上記R
9で表される炭素数3〜30の1価の脂環式炭化水素基としては、例えば、
シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロデシル基、シクロドデシル基等の単環のシクロアルキル基;
シクロプロペニル基、シクロブテニル基、シクロペンテニル紀伊、シクロヘキセニル基、シクロオクテニル基等の単環のシクロアルケニル基;
ノルボルニル基、アダマンチル基、トリシクロデシル基、テトラシクロドデシル基等の多環のシクロアルキル基;
ノルボルネニル基、トリシクロデセニル基、テトラシクロドデセニル基等の多環のシクロアルケニル基等が挙げられる。
【0067】
上記R
9で表される水酸基で置換された1価の炭化水素基としては、例えば、ヒドロキシシクロペンチル基、ヒドロキシシクロヘキシル基、ヒドロキシプロピルノルボルニル基、ヒドロキシプロピルアダマンチル基等が挙げられる。
また、上記R
9で表されるシアノ基で置換された1価の炭化水素基としては、例えば、シアノシクロペンチル基、シアノシクロヘキシル基、シアノプロピルノルボルニル基、シアノプロピルアダマンチル基等が挙げられる。
【0068】
R
9としては、これらの中で、単環のシクロアルキル基、多環のシクロアルキル基、ヒドロキシシクロアルキル基が好ましく、炭素数4〜12の単環のシクロアルキル基、炭素数7〜15の多環のシクロアルキル基がより好ましく、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、ノルボルニル基、アダマンチル基、トリシクロデシル基、テトラシクロドデシル基がさらに好ましく、シクロヘキシル基、シクロオクチル基、ノルボルニル基、アダマンチル基、テトラシクロドデシル基が特に好ましく、シクロヘキシル基、アダマンチル基、テトラシクロドデシル基がさらに特に好ましい。
【0069】
構造単位(II)としては、下記式(2−1)〜(2−6)で表される構造単位が好ましい。
【0071】
上記式(2−1)〜(2−6)中、R
6は、上記式(2)と同義である。R
7、R
7’、R
8及びR
8’は、それぞれ独立して、炭素数1〜4のアルキル基である。mは、1〜8の整数である。
【0072】
上記mとしては、1〜4の整数が好ましく、1、2又は4がより好ましく、2又は4がさらに好ましい。
【0073】
これらの中で、当該フォトレジスト組成物のLWR性能等の向上の観点から、上記式(2−1)、(2−2)、(2−3)及び(2−5)でそれぞれ表される構造単位が好ましく、式(2−1)及び(2−5)でそれぞれ表される構造単位がより好ましい。
【0074】
上記式(2−1)〜(2−6)で表される構造単位としては、例えば、下記式(2−1−1)〜(2−6−1)で表される構造単位等が挙げられる。
【0076】
上記式(2−1−1)〜(2−6−1)中、R
6は、上記式(2)と同義である。
【0077】
これらの中で、当該フォトレジスト組成物のLWR性能等の向上の観点から、上記式(2−1−2)、(2−1−3)、(2−2−1)、(2−3−1)及び(2−5−1)でぞれぞれ表される構造単位が好ましく、上記式(2−1−2)及び(2−5−1)でそれぞれ表される構造単位がより好ましい。
【0078】
構造単位(II)を与える単量体としては、例えば(メタ)アクリル酸2−シクロヘキシルプロパン−2−イルエステル、(メタ)アクリル酸2−シクロオクチルプロパン−2−イルエステル、(メタ)アクリル酸2−(ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル)プロパン−2−イルエステル、(メタ)アクリル酸2−テトラシクロドデカニルプロパン−2−イルエステル、(メタ)アクリル酸2−(アダマンタン−1−イル)プロパン−2−イルエステル、(メタ)アクリル酸2−(アダマンタン−2−イル)プロパン−2−イルエステル、(メタ)アクリル酸2−(ビシクロ[2.2.2]オクタ−2−イル)ブタン−2−イルエステル、(メタ)アクリル酸2−(トリシクロ[5.2.1.0
2,6]デカ−7−イル)プロパン−2−イルエステル等が挙げられる。
【0079】
構造単位(II)の含有割合としては、[A]重合体成分を構成する全構造単位に対して、10モル%〜80モル%が好ましく、15モル%〜80モル%がより好ましく、20モル%〜70モル%がさらに好ましい。構造単位(II)の含有割合を上記範囲とすることで、当該フォトレジスト組成物のLWR性能等のリソグラフィー性能が向上する。なお[A]重合体成分は、構造単位(II)を1種又は2種以上有していてもよい。
【0080】
構造単位(I)及び構造単位(II)の含有割合の合計としては、[A]重合体成分を構成する全構造単位に対して、15モル%〜90モル%が好ましく、20モル%〜85モル%がより好ましく、30モル%〜80モル%がさらに好ましい。構造単位(I)及び(II)の含有割合の合計を上記範囲とすることで、当該フォトレジスト組成物のLWR性能等をより向上させることができる。
【0081】
また、[A]重合体成分における構造単位(I)の含有割合が1モル%以上80モル%以下であり、かつ構造単位(I)及び構造単位(II)の含有割合の合計が15モル%以上90モル%以下であることが好ましく、構造単位(I)の含有割合が5モル%以上60モル%以下であり、かつ構造単位(I)及び構造単位(II)の含有割合の合計が20モル%以上85モル%以下であることがより好ましく、構造単位(I)の含有割合が7モル%以上40モル%以下であり、かつ構造単位(I)及び構造単位(II)の含有割合の合計が30モル%以上80モル%以下であることがさらに好ましい。構造単位(I)の含有割合及び構造単位(I)と構造単位(II)との含有割合の合計を上記範囲とすることで、当該フォトレジスト組成物のLWR性能等をさらに向上させることができる。
【0082】
[構造単位(III)]
構造単位(III)は、ラクトン基、環状カーボネート基及びスルトン基からなる群より選ばれる少なくとも1種の基(a)を有する構造単位である。[A]重合体成分は、基(a)が構造単位(I)以外の構造単位(III)に含まれていることで、その極性がより適度になる。その結果、当該フォトレジスト組成物のLWR性能等がより向上する。
【0083】
構造単位(III)は、上記式(3)で表される構造単位(III−1)であることが好ましい。[A]重合体成分は、構造単位(III)が上記構造を有する構造単位(III−1)であることで、その極性がさらに適度になる。その結果、当該フォトレジスト組成物のLWR性能等がさらに向上する。
【0084】
式(3)中、R
10は、水素原子、フッ素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基である。R
11は、炭素数1〜10の2価の炭化水素基である。Xは、−O−、−COO−、−OCO−又は−NH−である。nは、0〜10の整数である。nが2以上の場合、複数のR
11及びXは、それぞれ同一でも異なっていてもよい。R
12は、単結合又は炭素数1〜5の2価の炭化水素基である。但し、R
11及びR
12が有する水素原子の一部又は全部は置換されていてもよい。R
13は、ラクトン基、環状カーボネート基又はスルトン基である。
【0085】
上記R
10としては、構造単位(III−1)を与える単量体の共重合性の観点から、水素原子、メチル基が好ましく、メチル基がより好ましい。
【0086】
上記R
11で表される炭素数1〜10の2価の炭化水素基としては、例えば、炭素数1〜10の鎖状炭化水素基、炭素数3〜10の脂環式炭化水素基、炭素数6〜10の芳香族炭化水素基等が挙げられる。
【0087】
上記炭素数1〜10の鎖状炭化水素基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基等が挙げられる。これらの中で、メチレン基、エチレン基が好ましく、メチレン基がより好ましい。
【0088】
上記炭素数3〜10の脂環式炭化水素基としては、例えば、シクロプロピレン基、シクロヘキシレン基、アダマンチレン基等が挙げられる。これらの中で、アダマンチレン基が好ましい。
【0089】
上記炭素数6〜10の芳香族炭化水素基としては、例えば、フェニレン基、ナフチレン基等が挙げられる。
【0090】
上記R
11で表される炭化水素基が有してもいてもよい置換基としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子、水酸基、カルボキシ基、アシル基、ケト基、シアノ基、ニトロ基、スルホンアミド基、アミノ基等が挙げられる。
【0091】
R
11としては、鎖状炭化水素基が好ましく、炭素数1〜4の鎖状炭化水素基がより好ましく、メチレン基、エチレン基がさらに好ましく、メチレン基が特に好ましい。
【0092】
上記Xとしては、−O−、−COO−が好ましく、−COO−がより好ましい。
【0093】
上記nとしては、0〜5の整数が好ましく、0及び1がより好ましい。
【0094】
上記R
12で表される炭素数1〜5の2価の炭化水素基としては、例えば、炭素数1〜5の鎖状炭化水素基、炭素数3〜5の脂環式炭化水素基等が挙げられる。
【0095】
上記炭素数1〜5の鎖状炭化水素基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基等が挙げられる。これらの中で、メチレン基が好ましい。
【0096】
上記炭素数3〜5の脂環式炭化水素基としては、例えば、シクロプロピレン基、シクロブチレン基等が挙げられる。
【0097】
上記R
12で表される炭化水素基が有していてもよい置換基としては、例えば、上記R
11で表される炭化水素基が有していてもよい置換基と同じもの等が挙げられる。
【0098】
上記R
12としては、単結合、鎖状炭化水素基が好ましく、単結合、メチレン基、エチレン基がより好ましく、単結合、メチレン基がさらに好ましい。
【0099】
上記R
13で表されるラクトン基、環状カーボネート基及びスルトン基としては、例えば、上記基(a)の説明で例示した基等が挙げられる。
【0100】
構造単位(III)としては、下記式(3−1)〜(3−17)で表される構造単位を好ましい構造単位として挙げることができる。
【0103】
上記式(3−1)〜(3−17)中、R
10は、上記式(3)と同義である。
【0104】
これらの中で、当該フォトレジスト組成物のLWR性能等を向上させる観点から、上記式(3−1)、(3−3)、(3−4)、(3−6)及び(3−8)〜(3−17)でそれぞれ表される構造単位が好ましく、上記式(3−1)、(3−3)、(3−8)、(3−12)、(3−13)、(3−14)及び(3−17)でそれぞれ表される構造単位がより好ましく、上記式(3−1)、(3−12)及び(3−17)でそれぞれ表される構造単位がさらに好ましい。
【0105】
構造単位(III)を与える単量体化合物としては、例えば、下記式で表される化合物が挙げられる。
【0107】
構造単位(III)の含有割合としては、[A]重合体成分を構成する全構造単位に対して、5モル%以上80モル%以下が好ましく、10モル%以上75モル%以下がより好ましく、15モル%以上70モル%以下がさらに好ましい。構造単位(III)の含有割合を上記範囲とすることで、当該フォトレジスト組成物のLWR性能等を向上させることができる。なお、[A]重合体成分は、構造単位(III)を1種又は2種以上有していてもよい。
【0108】
[その他の構造単位]
[A]重合体成分は、その他の構造単位としては、例えば、親水性官能基を含む構造単位(但し、構造単位(I)、構造単位(II)又は構造単位(III)に該当するものを除く)(以下、「構造単位(IV)」ともいう)等をさらに有していてもよい。[A]重合体成分が構造単位(IV)をさらに有することで、当該フォトレジスト組成物のリソグラフィー性能をより向上させることができる。
【0109】
上記親水性官能基としては、例えば、水酸基、カルボキシ基、スルホンアミド基、ケトン性カルボニル基、β−ジケトン基等が挙げられる。これらの中で、水酸基、カルボキシ基、ケトン性カルボニル基が好ましく、水酸基がより好ましい。
【0110】
構造単位(IV)としては、例えば、下記式で表される構造単位が挙げられる。
【0112】
上記式中、R
14は、水素原子、フッ素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基である。
【0113】
構造単位(IV)の含有割合としては、[A]重合体成分を構成する全構造単位に対して0モル%〜30モル%が好ましく、0モル%〜20モル%がより好ましい。[A]重合体成分は、構造単位(IV)を1種又は2種以上有していてもよい。
【0114】
[A]重合体成分は、構造単位(IV)以外にも、その他の構造単位を有していてもよい。その他の構造単位の含有割合としては、[A]重合体成分を構成する全構造単位に対して、0モル%〜20モル%が好ましく、0モル%〜10モル%がより好ましい。
【0115】
<[A]重合体成分の合成方法>
[A]重合体成分は、例えば所定の各構造単位に対応する単量体を、ラジカル重合開始剤を使用し、適当な溶媒中で重合することにより製造できる。例えば、単量体及びラジカル開始剤を含有する溶液を、反応溶媒又は単量体を含有する溶液に滴下して重合反応させる方法、単量体を含有する溶液と、ラジカル開始剤を含有する溶液とを各別に、反応溶媒又は単量体を含有する溶液に滴下して重合反応させる方法、各々の単量体を含有する複数種の溶液と、ラジカル開始剤を含有する溶液とを各別に、反応溶媒又は単量体を含有する溶液に滴下して重合反応させる方法等の方法で合成することが好ましい。
【0116】
これらの方法における反応温度は開始剤種によって適宜決定すればよい。通常30℃〜180℃であり、40℃〜160℃が好ましく、50℃〜140℃がより好ましい。滴下時間は、反応温度、開始剤の種類、反応させる単量体等の条件によって異なるが、通常、30分〜8時間であり、45分〜6時間が好ましく、1時間〜5時間がより好ましい。また、滴下時間を含む全反応時間も、滴下時間と同様に条件により異なるが、通常、30分〜8時間であり、45分〜7時間が好ましく、1時間〜6時間がより好ましい。
【0117】
上記重合に使用されるラジカル開始剤としては、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−シクロプロピルプロピオニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオニトリル)等が挙げられる。これらのラジカル開始剤は2種以上を混合して使用してもよい。
【0118】
重合溶媒としては、重合を阻害する溶媒(重合禁止効果を有するニトロベンゼン、連鎖移動効果を有するメルカプト化合物等)以外の溶媒であって、その単量体を溶解可能な溶媒であれば限定されない。重合溶媒としては、例えば、アルコール系溶媒、ケトン系溶媒、アミド系溶媒、エステル・ラクトン系溶媒、ニトリル系溶媒及びその混合溶媒等が挙げられる。これらの溶媒は、単独又は2種以上を併用できる。
【0119】
重合反応により得られた重合体は、再沈殿法により回収することが好ましい。すなわち、重合反応終了後、重合液を再沈溶媒に投入することにより、目的の重合体を粉体として回収する。再沈溶媒としては、アルコール類やアルカン類等を単独で又は2種以上を混合して使用することができる。再沈殿法の他に、分液操作やカラム操作、限外ろ過操作等により、単量体、オリゴマー等の低分子成分を除去して、重合体を回収することもできる。
【0120】
なお、[A]重合体成分が同一の重合体中に上記構造単位(I)、構造単位(II)及び基(a)を有する1種の重合体成分である場合、構造単位(I)を与える単量体、構造単位(II)を与える単量体、これに加えて構造単位(III)を与える単量体等の基(a)を有する単量体を、上述の方法により共重合させて製造できる。また、[A]重合体成分が異なる重合体中に上記構造単位(I)、構造単位(II)及び基(a)を有する2種以上の重合体成分である場合、構造単位(I)を与える単量体から構造単位(I)を有する重合体を合成し、構造単位(II)を与える単量体から構造単位(II)を有する重合体を合成し、基(a)を有する単量体から構造単位(III)を有する重合体を合成し、これらの重合体を混合することにより、[A]重合体成分を調製することができる。
【0121】
[A]重合体成分のゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)によるポリスチレン換算重量平均分子量(Mw)は、特に限定されないが、1,000以上500,000以下が好ましく、2,000以上400,000以下がより好ましい。なお、[A]重合体のMwが1,000未満であると、レジストとしたときの耐熱性が低下する傾向がある。一方、[A]重合体のMwが500,000を超えると、レジストとしたときの現像性が低下する傾向がある。
【0122】
また、[A]重合体成分のGPCによるポリスチレン換算数平均分子量(Mn)に対するMwの比(Mw/Mn)は、通常1以上5以下であり、1以上3以下が好ましく、1以上2以下がより好ましい。Mw/Mnをこのような範囲とすることで、フォトレジスト膜が解像性能に優れたものとなる。
【0123】
なお、[A]重合体成分が異なる重合体中に上記構造単位(I)及び構造単位(II)を有する2種以上の重合体成分である場合には、それぞれの重合体におけるMw及びMw/Mnについて、上記と同様の範囲であるとよい。
【0124】
なお、本明細書のMw及びMnは、GPCカラム(東ソー製、G2000HXL 2本、G3000HXL 1本、G4000HXL 1本)を用い、流量1.0ミリリットル/分、溶出溶媒テトラヒドロフラン、カラム温度40℃の分析条件で、単分散ポリスチレンを標準とするゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定した値をいう。
【0125】
<[B]酸発生体>
[B]酸発生体は、露光光の照射により酸を発生する物質である。当該フォトレジスト組成物における[B]酸発生体の含有形態としては、後述するような化合物の態様(以下、この態様を「[B]酸発生剤」ともいう)でも、重合体の一部として組み込まれた態様でも、これらの両方の態様でもよい。
【0126】
[B]酸発生剤としては、例えば、オニウム塩化合物、N−スルホニルオキシイミド化合物、ハロゲン含有化合物、ジアゾケトン化合物等が挙げられる。これらの[B]酸発生剤のうち、オニウム塩化合物が好ましい。
【0127】
オニウム塩化合物としては、例えば、スルホニウム塩、テトラヒドロチオフェニウム塩、ヨードニウム塩、ホスホニウム塩、ジアゾニウム塩、ピリジニウム塩等が挙げられる。
【0128】
スルホニウム塩としては、例えば、トリフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、トリフェニルスルホニウム2−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホネート、4−シクロヘキシルフェニルジフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、4−シクロヘキシルフェニルジフェニルスルホニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、4−シクロヘキシルフェニルジフェニルスルホニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、4−シクロヘキシルフェニルジフェニルスルホニウム2−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホネート、4−メタンスルホニルフェニルジフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、4−メタンスルホニルフェニルジフェニルスルホニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、4−メタンスルホニルフェニルジフェニルスルホニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、4−メタンスルホニルフェニルジフェニルスルホニウム2−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホネート、トリフェニルスルホニウム6−(アダマンタン−1−イルカルボニルオキシ)−1,1,2,2−テトラフルオロヘキサン−1−スルホネート、トリフェニルスルホニウム2−(アダマンタン−1−イル)−1,1−ジフルオロエタンスルホネート、トリフェニルスルホニウム3−(4,7,7−トリメチル−2−オキサ−3−オキソビシクロ[2.2.1]ヘプタン−1−イルカルボニルオキシ)−1,1,2−プロパン−1−スルホネート、トリフェニルスルホニウム5−(2−ノルボルナンラクトニルオキシカルボニルシクロヘキサン−1−イルカルボニルオキシ)−1,1,2,2−テトラフルオロペンタン−1−スルホネート等が挙げられる。
【0129】
テトラヒドロチオフェニウム塩としては、例えば、1−(4−n−ブトキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウムトリフルオロメタンスルホネート、1−(4−n−ブトキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、1−(4−n−ブトキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、1−(4−n−ブトキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウム2−(ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−イル)−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホネート、1−(6−n−ブトキシナフタレン−2−イル)テトラヒドロチオフェニウムトリフルオロメタンスルホネート、1−(6−n−ブトキシナフタレン−2−イル)テトラヒドロチオフェニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、1−(6−n−ブトキシナフタレン−2−イル)テトラヒドロチオフェニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、1−(6−n−ブトキシナフタレン−2−イル)テトラヒドロチオフェニウム2−(ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル)−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホネート、1−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)テトラヒドロチオフェニウムトリフルオロメタンスルホネート、1−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)テトラヒドロチオフェニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、1−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)テトラヒドロチオフェニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、1−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)テトラヒドロチオフェニウム2−(ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル)−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホネート等が挙げられる。
【0130】
ヨードニウム塩としては、例えば、ジフェニルヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、ジフェニルヨードニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、ジフェニルヨードニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、ジフェニルヨードニウム2−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウム2−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホネート等が挙げられる。
【0131】
N−スルホニルオキシイミド化合物としては、例えば、N−(トリフルオロメタンスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(ノナフルオロ−n−ブタンスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(パーフルオロ−n−オクタンスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(2−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド等が挙げられる。
【0132】
[B]酸発生剤としては、これらの中で、オニウム塩が好ましく、スルホニウム塩、テトラヒドロチオフェニウム塩がより好ましく、トリフェニルスルホニウム6−(アダマンタン−1−イルカルボニルオキシ)−1,1,2,2−テトラフルオロヘキサン−1−スルホネート、トリフェニルスルホニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、トリフェニルスルホニウム2−(アダマンタン−1−イル)−1,1−ジフルオロエタンスルホネート、1−(4−n−ブトキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウム2−(ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−イル)−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホネート、トリフェニルスルホニウム3−(4,7,7−トリメチル−2−オキサ−3−オキソビシクロ[2.2.1]ヘプタン−1−イルカルボニルオキシ)−1,1,2−プロパン−1−スルホネート、トリフェニルスルホニウム5−(2−ノルボルナンラクトニルオキシカルボニルシクロヘキサン−1−イルカルボニルオキシ)−1,1,2,2−テトラフルオロペンタン−1−スルホネートがさらに好ましい。
【0133】
これらの[B]酸発生体は、単独で使用してもよく2種以上を併用してもよい。[B]酸発生体が[B]酸発生剤である場合の使用量としては、当該フォトレジスト組成物により形成されるレジスト塗膜の感度及びリソグラフィー性能を確保する観点から、[A]重合体成分100質量部に対して、0.01質量部以上25質量部以下が好ましく、0.1質量部以上20質量部以下がより好ましい。
【0134】
<任意成分>
当該フォトレジスト組成物に含有されてもよい任意成分としては、[C]酸拡散制御体、[D]添加剤、[E]溶媒、及びその他の任意成分を挙げることができる。以下、各成分について詳述する。
【0135】
<[C]酸拡散制御体>
当該フォトレジスト組成物は、[C]酸拡散制御体をさらに含有することが好ましい。この[C]酸拡散制御体は、露光により[B]酸発生体から生じる酸のレジスト膜中における拡散現象を制御し、非露光領域における好ましくない化学反応を抑制するものである。このような[C]酸拡散制御体を配合することにより、得られるフォトレジスト組成物の貯蔵安定性が向上し、またレジストとしての解像度がさらに向上するとともに、露光から露光後の加熱処理までの引き置き時間(PED)の変動によるレジストパターンの線幅変化を抑えることができ、プロセス安定性に極めて優れた組成物が得られる。当該フォトレジスト組成物における[C]酸拡散制御体の含有形態としては、後述するような化合物の形態(以下、適宜「[C]酸拡散制御剤」という)でも重合体の一部として組み込まれた形態でも、これらの両方の形態でもよい。
【0136】
[C]酸拡散制御剤としては、例えば、N−t−アルコキシカルボニル基を有する窒素含有化合物が好ましく用いられる。具体的には、N−t−ブトキシカルボニルジ−n−オクチルアミン、N−t−アミロキシカルボニルジ−n−オクチルアミン、N−t−ブトキシカルボニルジ−n−ノニルアミン、N−t−アミロキシカルボニルジ−n−ノニルアミン、N−t−ブトキシカルボニルジ−n−デシルアミン、N−t−アミロキシカルボニルジ−n−デシルアミン、N−t−ブトキシカルボニルジシクロヘキシルアミン、N−t−アミロキシカルボニルジシクロヘキシルアミン、N−t−ブトキシカルボニル−1−アダマンチルアミン、N−t−アミロキシカルボニル−1−アダマンチルアミン、N−t−ブトキシカルボニル−2−アダマンチルアミン、N−t−アミロキシカルボニル−2−アダマンチルアミン、N−t−ブトキシカルボニル−N−メチル−1−アダマンチルアミン、N−t−アミロキシカルボニル−N−メチル−1−アダマンチルアミン、(S)−(−)−1−(t−ブトキシカルボニル)−2−ピロリジンメタノール、(S)−(−)−1−(t−アミロキシカルボニル)−2−ピロリジンメタノール、(R)−(+)−1−(t−ブトキシカルボニル)−2−ピロリジンメタノール、(R)−(+)−1−(t−アミロキシカルボニル)−2−ピロリジンメタノール、N−t−ブトキシカルボニル−4−ヒドロキシピペリジン、N−t−アミロキシカルボニル−4−ヒドロキシピペリジン、N−t−ブトキシカルボニルピロリジン、N−t−アミロキシカルボニルピロリジン、N,N’−ジ−t−ブトキシカルボニルピペラジン、N,N’−ジ−t−アミロキシカルボニルピペラジン、N,N−ジ−t−ブトキシカルボニル−1−アダマンチルアミン、N,N−ジ−t−アミロキシカルボニル−1−アダマンチルアミン、N−t−ブトキシカルボニル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、N−t−アミロキシカルボニル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、N,N’−ジ−t−ブトキシカルボニルヘキサメチレンジアミン、N,N’−ジ−t−アミロキシカルボニルヘキサメチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラ−t−ブトキシカルボニルヘキサメチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラ−t−アミロキシカルボニルヘキサメチレンジアミン、N,N’−ジ−t−ブトキシカルボニル−1,7−ジアミノヘプタン、N,N’−ジ−t−アミロキシカルボニル−1,7−ジアミノヘプタン、N,N’−ジ−t−ブトキシカルボニル−1,8−ジアミノオクタン、N,N’−ジ−t−アミロキシカルボニル−1,8−ジアミノオクタン、N,N’−ジ−t−ブトキシカルボニル−1,9−ジアミノノナン、N,N’−ジ−t−アミロキシカルボニル−1,9−ジアミノノナン、N,N’−ジ−t−ブトキシカルボニル−1,10−ジアミノデカン、N,N’−ジ−t−アミロキシカルボニル−1,10−ジアミノデカン、N,N’−ジ−t−ブトキシカルボニル−1,12−ジアミノドデカン、N,N’−ジ−t−アミロキシカルボニル−1,12−ジアミノドデカン、N,N’−ジ−t−ブトキシカルボニル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、N,N’−ジ−t−アミロキシカルボニル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、N−t−ブトキシカルボニルベンズイミダゾール、N−t−ブトキシカルボニルベンズイミダゾール、N−t−アミロキシカルボニル−2−メチルベンズイミダゾール、N−t−ブトキシカルボニル−2−フェニルベンズイミダゾール、N−t−アミロキシカルボニル−2−フェニルベンズイミダゾール等の化合物が挙げられる。
これらの中で、N−t−ブトキシカルボニル−4−ヒドロキシピペリジン、N−t−アミロキシカルボニル−4−ヒドロキシピペリジンが好ましい。
【0137】
また、[C]酸拡散制御剤としては、上記化合物以外にも、例えば、3級アミン化合物、4級アンモニウムヒドロキシド化合物、その他含窒素複素環化合物等の含窒素化合物が用いられる。
【0138】
3級アミン化合物としては、例えば、トリエチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン、トリ−n−ペンチルアミン、トリ−n−ヘキシルアミン、トリ−n−ヘプチルアミン、トリ−n−オクチルアミン、シクロヘキシルジメチルアミン、ジシクロヘキシルメチルアミン、トリシクロヘキシルアミン等のトリ(シクロ)アルキルアミン類;
アニリン、N−メチルアニリン、N,N−ジメチルアニリン、2−メチルアニリン、3−メチルアニリン、4−メチルアニリン、4−ニトロアニリン、2,6−ジメチルアニリン、2,6−ジイソプロピルアニリン等の芳香族アミン類;
トリエタノールアミン、N,N−ジ(ヒドロキシエチル)アニリン等のアルカノールアミン類;
N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラキス(2−ヒドロキシプロピル)エチレンジアミン、1,3−ビス[1−(4−アミノフェニル)−1−メチルエチル]ベンゼンテトラメチレンジアミン、ビス(2−ジメチルアミノエチル)エーテル、ビス(2−ジエチルアミノエチル)エーテル等が挙げられる。
【0139】
4級アンモニウムヒドロキシド化合物としては、例えばテトラ−n−プロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラ−n−ブチルアンモニウムヒドロキシド等が挙げられる。
【0140】
含窒素複素環化合物としては、例えば、ベンズイミダゾール、2−フェニルベンズイミダゾール等のイミダゾール類;ピリジン類、ピラジン類;ピロール類等が挙げられる。
【0141】
さらに、[C]酸拡散制御剤としては、露光により分解して酸拡散制御性としての塩基性を失うオニウム塩化合物を用いることもできる。このようなオニウム塩化合物の具体例としては、下記式(4−1)で表されるスルホニウム塩化合物、下記式(4−2)で表されるヨードニウム塩化合物等が挙げられる。
【0143】
上記式(4−1)及び式(4−2)中、R
15〜R
19は、それぞれ独立して、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、水酸基又はハロゲン原子である。Z
−及びE
−は、それぞれ独立して、OH
−、R
A−COO
−、R
B−SO
3−又は下記式(5)で表されるアニオンである。R
A及びR
Bは、それぞれ独立して、アルキル基、アリール基又はアラルキル基である。
【0145】
上記スルホニウム塩化合物及びヨードニウム塩化合物の具体例としては、トリフェニルスルホニウムハイドロオキサイド、トリフェニルスルホニウムアセテート、トリフェニルスルホニウムサリチレート、トリフェニルスルホニウム10−カンファースルホネート、4−ヒドロキシフェニルジフェニルスルホニウムハイドロオキサイド、4−ヒドロキシフェニルジフェイルスルホニウムアセテート、4−ヒドロキシフェニルジフェニルスルホニウムサリチレート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムハイドロオキサイド、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムアセテート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムハイドロオキサイド、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムアセテート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムサリチレート、4−t−ブチルフェニル−4−ヒドロキシフェニルヨードニウムハイドロオキサイド、4−t−ブチルフェニル−4−ヒドロキシフェニルヨードニウムアセテート、4−t−ブチルフェニル−4−ヒドロキシフェニルヨードニウムサリチレート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウム10−カンファースルホネート、ジフェニルヨードニウム10−カンファースルホネート、4−t−ブトキシフェニルジフェニルスルホニウム10−カンファースルホネート、4−シクロヘキシルスルホニルフェニルジフェニルスルホニウム5,6−ビス(2,2,2−トリフルオロエタン−1−イルオキシカルボニル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−スルホネート等が挙げられる。
これらの中で、スルホニウム塩化合物が好ましく、トリフェニルスルホニウムサリチレート、トリフェニルスルホニウムサリチレート、4−シクロヘキシルスルホニルフェニルジフェニルスルホニウム5,6−ビス(2,2,2−トリフルオロエタン−1−イルオキシカルボニル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−スルホネートが好ましい。
【0146】
[C]酸拡散制御体は、1種単独で又は2種以上を混合して使用することができる。[C]酸拡散制御体の含有量としては、[C]酸拡散制御体が[C]酸拡散制御剤の場合、[A]重合体成分100質量部に対して、10質量部以下が好ましく、0.1質量部以上8質量部以下がより好ましい。使用量が10質量部を超えると、レジストとしての感度が低下する傾向にある。
【0147】
<[D]添加剤>
当該フォトレジスト組成物は、[D]添加剤を配合することができる。当該フォトレジスト組成物が含有してもよい[D]添加剤としては、例えば、γ−ブチロラクトン、プロピレンカーボネート等が挙げられる。これらの中で、γ−ブチロラクトンが好ましい。
【0148】
<[E]溶媒>
当該フォトレジスト組成物は、通常、[E]溶媒を含有する。[E]溶媒としては、少なくとも[A]重合体成分、[B]酸発生体及びその他の成分を溶解可能な溶媒であれば特に限定されない。溶媒としては、例えば、アルコール系溶媒、エーテル系溶媒、ケトン系有機溶媒、アミド系溶媒、エステル系有機溶媒、炭化水素系溶媒等が挙げられる。
【0149】
アルコール系溶媒としては、例えば、
メタノール、エタノール、n−プロパノール、i−プロパノール、n−ブタノール、i−ブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール、n−ペンタノール、i−ペンタノール、2−メチルブタノール、sec−ペンタノール、tert−ペンタノール、3−メトキシブタノール、n−ヘキサノール、2−メチルペンタノール、sec−ヘキサノール、2−エチルブタノール、sec−ヘプタノール、3−ヘプタノール、n−オクタノール、2−エチルヘキサノール、sec−オクタノール、n−ノニルアルコール、2,6−ジメチル−4−ヘプタノール、n−デカノール、sec−ウンデシルアルコール、トリメチルノニルアルコール、sec−テトラデシルアルコール、sec−ヘプタデシルアルコール、フルフリルアルコール、フェノール、シクロヘキサノール、メチルシクロヘキサノール、3,3,5−トリメチルシクロヘキサノール、ベンジルアルコール、ジアセトンアルコール等のモノアルコール系溶媒;
エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、2,4−ペンタンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、2,5−ヘキサンジオール、2,4−ヘプタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコール等の多価アルコール系溶媒;
エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノ−2−エチルブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル等の多価アルコール部分エーテル系溶媒等が挙げられる。
【0150】
エーテル系溶媒としては、例えば、
ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジブチルエーテル等のジアルキルエーテル系溶媒;
テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン等の環状エーテル系溶媒;
アニソール、ジフェニルエーテル等の芳香環含有エーテル系溶媒等が挙げられる。
【0151】
ケトン系溶媒としては、例えば、
アセトン、メチルエチルケトン、メチル−n−プロピルケトン、メチル−n−ブチルケトン、ジエチルケトン、メチル−i−ブチルケトン、メチル−n−ペンチルケトン、エチル−n−ブチルケトン、メチル−n−ヘキシルケトン、ジ−i−ブチルケトン、トリメチルノナノン等の鎖状ケトン系溶媒;
シクロペンタノン、シクロヘキサノン、シクロヘプタノン、シクロオクタノン、メチルシクロヘキサノン等の環状ケトン系溶媒;
2,4−ペンタンジオン、アセトニルアセトン、アセトフェノン等が挙げられる。
【0152】
アミド系溶媒としては、例えば、
N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルプロピオンアミド等の鎖状アミド系溶媒;
N,N’−ジメチルイミダゾリジノン、N−メチルピロリドン等の環状アミド系溶媒等が挙げられる。
【0153】
エステル系溶媒としては、例えば、
酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸i−プロピル、酢酸n−ブチル、酢酸i−ブチル、酢酸sec−ブチル、酢酸n−ペンチル、酢酸sec−ペンチル、酢酸3−メトキシブチル、酢酸メチルペンチル、酢酸2−エチルブチル、酢酸2−エチルヘキシル、酢酸ベンジル、酢酸シクロヘキシル、酢酸メチルシクロヘキシル、酢酸n−ノニル等の酢酸エステル系溶媒;
酢酸エチレングリコールモノメチルエーテル、酢酸エチレングリコールモノエチルエーテル、酢酸ジエチレングリコールモノメチルエーテル、酢酸ジエチレングリコールモノエチルエーテル、酢酸ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、酢酸プロピレングリコールモノメチルエーテル、酢酸プロピレングリコールモノエチルエーテル、酢酸プロピレングリコールモノプロピルエーテル、酢酸プロピレングリコールモノブチルエーテル、酢酸ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、酢酸ジプロピレングリコールモノエチルエーテル等の多価アルコール部分エーテルアセテート系溶媒;
アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、ジ酢酸グリコール、酢酸メトキシトリグリコール、プロピオン酸エチル、プロピオン酸n−ブチル、プロピオン酸i−アミル、シュウ酸ジエチル、シュウ酸ジ−n−ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸n−ブチル、乳酸n−アミル、マロン酸ジエチル、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル等が挙げられる。
【0154】
炭化水素系溶媒としては、例えば
n−ペンタン、i−ペンタン、n−ヘキサン、i−ヘキサン、n−ヘプタン、i−ヘプタン、2,2,4−トリメチルペンタン、n−オクタン、i−オクタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂肪族炭化水素系溶媒;
ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、エチルベンゼン、トリメチルベンゼン、メチルエチルベンゼン、n−プロピルベンゼン、i−プロピルベンゼン、ジエチルベンゼン、i−ブチルベンゼン、トリエチルベンゼン、ジ−i−プロピルベンセン、n−アミルナフタレン等の芳香族炭化水素系溶媒等が挙げられる。
【0155】
これらの中で、エステル系溶媒、ケトン系溶媒が好ましく、多価アルコール部分エーテルアセテート系溶媒、環状ケトン系溶媒がより好ましく、酢酸プロピレングリコールモノアルキルエーテル、シクロアルカノンがさらに好ましく、酢酸プロピレングリコールモノメチルエーテル、シクロヘキサノンが特に好ましい。これらの有機溶媒は、1種単独で又は2種以上を混合して使用してもよい。
【0156】
<その他の任意成分>
当該フォトレジスト組成物は、その他の任意成分として、フッ素原子含有重合体、脂環式骨格化合物、界面活性剤、増感剤等を含有してもよい。
【0157】
[フッ素原子含有重合体]
フッ素原子含有重合体は、フッ素原子を含む重合体である。当該フォトレジスト組成物は、フッ素原子含有重合体を含有することで、形成されるレジスト膜の疎水性が向上し、液浸露光を行った場合においても物質溶出抑制に優れ、またレジスト膜と液浸液との後退接触角を十分に高くでき、高速でスキャン露光した場合に水滴が残らない等の効果を奏する。従って、当該フォトレジスト組成物の液浸露光用としての有用性が高まる。
【0158】
[脂環式骨格化合物]
脂環式骨格化合物は、ドライエッチング耐性、パターン形状、基板との接着性等をさらに改善する作用を示す成分である。脂環式骨格化合物としては、例えば1−アダマンタンカルボン酸、2−アダマンタノン、1−アダマンタンカルボン酸t−ブチル等のアダマンタン誘導体類;デオキシコール酸t−ブチル、デオキシコール酸t−ブトキシカルボニルメチル、デオキシコール酸2−エトキシエチル等のデオキシコール酸エステル類;リトコール酸t−ブチル、リトコール酸t−ブトキシカルボニルメチル、リトコール酸2−エトキシエチル等のリトコール酸エステル類;3−[2−ヒドロキシ−2,2−ビス(トリフルオロメチル)エチル]テトラシクロ[4.4.0.1
2,5.1
7,10]ドデカン、2−ヒドロキシ−9−メトキシカルボニル−5−オキソ−4−オキサ−トリシクロ[4.2.1.0
3,7]ノナン等が挙げられる。
【0159】
[界面活性剤]
界面活性剤は塗布性、ストリエーション、現像性等を改良する作用を示す成分である。界面活性剤としては、例えばポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンn−オクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンn−ノニルフェニルエーテル、ポリエチレングリコールジラウレート、ポリエチレングリコールジステアレート等のノニオン系界面活性剤等が挙げられる。また、市販品としては、KP341(信越化学工業製)、ポリフローNo.75、同No.95(以上、共栄社化学製)、エフトップEF301、同EF303、同EF352(以上、トーケムプロダクツ製)、メガファックF171、同F173(以上、大日本インキ化学工業製)、フロラードFC430、同FC431(以上、住友スリーエム製)、アサヒガードAG710、サーフロンS−382、同SC−101、同SC−102、同SC−103、同SC−104、同SC−105、同SC−106(以上、旭硝子製)等が挙げられる。
【0160】
[増感剤]
増感剤は、放射線のエネルギーを吸収して、そのエネルギーを[B]酸発生体に伝達しそれにより酸の生成量を増加する作用を示すものであり、当該フォトレジスト組成物の「みかけの感度」を向上させる効果を有する。増感剤としては、例えばカルバゾール類、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、ナフタレン類、フェノール類、ビアセチル、エオシン、ローズベンガル、ピレン類、アントラセン類、フェノチアジン類等が挙げられる。
【0161】
<フォトレジスト組成物の調製方法>
当該フォトレジスト組成物は、例えば、[A]重合体成分、[B]酸発生体、必要に応じて[C]酸拡散制御体等の任意成分及び[E]溶媒を所定の割合で混合することにより調製できる。当該フォトレジスト組成物は、上記混合後、例えば、孔径0.2μm程度のフィルターでろ過することが好ましい。当該フォトレジスト組成物の全固形分濃度としては、1質量%〜30質量%が好ましく、1.5質量%〜25質量%がより好ましい。
【0162】
<レジストパターンの形成方法>
本発明のレジストパターンの形成方法について以下に説明する。
【0163】
当該レジストパターンの形成方法は、
(1)当該フォトレジスト組成物を用い、レジスト膜を形成する工程(以下、「工程(1)」ともいう)、
(2)上記レジスト膜を露光する工程(以下、「工程(2)」ともいう)、及び
(3)上記露光されたレジスト膜を現像する工程(以下、「工程(3)」ともいう)
を有する。
【0164】
当該レジストパターン形成方法によれば、当該フォトレジスト組成物を用いて優れたMEEF性能及びDOF性能を発揮しつつ、LWR等に優れるレジストパターンを形成することができる。以下、各工程を詳述する。
【0165】
[工程(1)]
本工程では、上述した当該フォトレジスト組成物を用い、レジスト膜を形成する。基板としては、シリコンウエハー、二酸化シリコン、反射防止膜で被覆されたウエハー等が挙げられる。フォトレジスト組成物の塗布方法としては、例えば、回転塗布、流延塗布、ロール塗布等を用いることができる。形成されるレジスト膜の膜厚としては、10nm〜1,000nmが好ましく、20nm〜500nmがより好ましく、30nm〜300nmがさらに好ましい。フォトレジスト組成物の塗布後に、塗膜中の溶媒を揮発させるため、ソフトベーク(SB)を行うことが好ましい。SB温度としては、70℃〜160℃が好ましく、80℃〜140℃が好ましい。SB時間としては、5秒〜600秒が好ましく、10秒〜300秒がより好ましい。
【0166】
なお、工程(2)において、液浸露光を行う場合等は、液浸液とレジスト膜との直接の接触を低減するために、液浸液不溶性の液浸用保護膜をレジスト膜上に設けてもよい。液浸用保護膜としては、工程(3)の前に溶媒により剥離する溶媒剥離型保護膜(例えば、特開2006−227632号公報等参照)、工程(3)の現像と同時に剥離する現像液剥離型保護膜(例えば、国際公開第2005−069076号、国際公開第2006−035790号等参照)のいずれを用いてもよい。
【0167】
[工程(2)]
本工程では、工程(1)で形成されたレジスト膜を露光する。この露光は、所定のパターンを有するマスク、及び必要に応じて水等の液浸媒体を介して行われる。露光光としては、目的とするパターンの線幅に応じて、可視光線、紫外線、遠紫外線、X線、EUV(極端紫外線、波長13.5nm)等の電磁波;電子線、α線等の荷電粒子線等から適宜選択することができる。これらの中で、遠紫外線が好ましく、ArFエキシマレーザー光(波長193nm)、KrFエキシマレーザー光(波長248nm)が好ましい。この露光後に、ポストエクスポージャーベーク(PEB)を行うことが好ましい。このPEBにより、[A]重合体成分等の酸解離性基の脱離を円滑に進行させることが可能となる。PEB温度としては、フォトレジスト組成物の配合組成によって適宜選定することができるが、通常50℃〜180℃であり、60℃〜150℃が好ましく、65℃〜130℃がより好ましく、70℃〜110℃がさらに好ましい。
【0168】
[工程(3)]
本工程では、工程(2)で露光されたレジスト膜を現像する。その結果、レジストパターンが形成される。現像後は、水で洗浄し、乾燥することが一般的である。現像液としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、アンモニア水、エチルアミン、n−プロピルアミン、ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、トリエチルアミン、メチルジエチルアミン、エチルジメチルアミン、トリエタノールアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、ピロール、ピペリジン、コリン、1,8−ジアザビシクロ−[5.4.0]−7−ウンデセン、1,5−ジアザビシクロ−[4.3.0]−5−ノネン等のアルカリ性化合物の少なくとも1種を溶解したアルカリ水溶液が好ましい。
【実施例】
【0169】
以下、本発明を実施例により、さらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。各種物性値の測定方法を以下に示す。
【0170】
[Mw及びMn]
重合体のMw及びMnは、東ソー製のGPCカラム(G2000HXL 2本、G3000HXL 1本、G4000HXL 1本)を使用し、流量が1.0mL/分、溶出溶媒がテトラヒドロフラン、カラム温度が40℃の分析条件で、単分散ポリスチレンを標準とするゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)により測定した。また、分散度(Mw/Mn)は、Mw及びMnの測定結果より算出した。
【0171】
[
13C−NMR分析]
重合体の
13C−NMR分析は、核磁気共鳴装置(JNM−ECX400、日本電子製)を用い、測定溶媒として重クロロホルムを使用して行った。重合体における各単量体に由来する構造単位の含有割合は、得られた重合体の
13C−NMRスペクトルにおける各構造単位に対応するピークの面積比から、重合体における平均値として求めることができる。
【0172】
<[A]重合体成分の合成>
[A]重合体成分の合成に用いた単量体を下記に示す。
【0173】
【化21】
【0174】
【化22】
【0175】
[合成例1]
化合物(M−1)25.5g(50モル%)、化合物(Ss−1)8.2g(20モル%)及び化合物(L−1)16.3g(30モル%)を100gの2−ブタノンに溶解し、AIBN 3.6gをさらに溶解させて単量体溶液を調製した。50gの2−ブタノンを入れた500mLの三口フラスコを30分窒素パージした後、撹拌しながら80℃に加熱し、上記調製した単量体溶液を滴下漏斗にて3時間かけて滴下した。滴下開始を重合反応の開始時間とし、重合反応を6時間実施した。重合反応終了後、重合反応溶液を水冷して30℃以下に冷却した。1,000gのメタノール中に冷却した重合反応溶液を投入し、析出した白色粉末をろ別した。ろ別した白色粉末を200gのメタノールで2回洗浄した後、ろ別し、50℃で17時間乾燥させて白色粉末状の重合体成分(A−1)を得た(40g、収率80%)。得られた重合体成分(A−1)のMwは5,000であり、Mw/Mnは1.4であった。また、
13C−NMR分析の結果、(M−1)由来の構造単位:(Ss−1)由来の構造単位:(L−1)由来の構造単位の各含有割合は、48:21:31(モル%)であった。
【0176】
[合成例2〜9及び比較合成例1〜8]
表1に示す種類及び使用量の各単量体化合物を用いた以外は、合成例1と同様に操作して重合体成分(A−2)〜(A−9)及び(a−1)〜(a−8)を得た。得られた各重合体のMw、Mw/Mn、収率(%)及び各重合体における各単量体に由来する構造単位の含有割合を表1に合わせて示す。
【0177】
【表1】
【0178】
<フォトレジスト組成物の調製>
フォトレジスト組成物の調製に用いた[B]酸発生剤、[C]酸拡散制御剤、[D]添加剤及び[E]溶媒について以下に示す。
【0179】
[[B]酸発生剤]
B−1:トリフェニルスルホニウム6−(アダマンタン−1−イルカルボニルオキシ)−1,1,2,2−テトラフルオロヘキサン−1−スルホネート(下記式(B−1)で表される化合物)
B−2:トリフェニルスルホニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート(下記式(B−2)で表される化合物)
B−3:トリフェニルスルホニウム2−(アダマンタン−1−イル)−1,1−ジフルオロエタンスルホネート(下記式(B−3)で表される化合物)
B−4:1−(4−n−ブトキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウム2−(ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル)−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホネート(下記式(B−4)で表される化合物)
B−5:トリフェニルスルホニウム3−(4,7,7−トリメチル−2−オキサ−3−オキソビシクロ[2.2.1]ヘプト−1−イルカルボニルオキシ)−1,1,2−プロパン−1−スルホネート(下記式(B−5)で表される化合物)
B−6:トリフェニルスルホニウム5−(2−ノルボルナンラクトニルオキシカルボニルシクロヘキサン−1−イルカルボニルオキシ)−1,1,2,2−テトラフルオロペンタン−1−スルホネート(下記式(B−6)で表される化合物)
【0180】
【化23】
【0181】
[[C]酸拡散制御剤]
C−1:N−t−ブトキシカルボニル−4−ヒドロキシピペリジン(下記式(C−1)で表される化合物)
C−2:N−t−アミロキシカルボニル−4−ヒドロキシピペリジン(下記式(C−2)で表される化合物)
C−3:トリフェニルスルホニウムサリチレート(下記式(C−3)で表される化合物)
C−4:トリフェニルスルホニウム10−カンファースルホネート(下記式(C−4)で表される化合物)
C−5:2−フェニルベンズイミダゾール(下記式(C−5)で表される化合物)
C−6:4−シクロヘキシルスルホニルフェニルジフェニルスルホニウム5,6−ビス(2,2,2−トリフルオロエタン−1−イルオキシカルボニル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−スルホネート(下記式(C−6)で表される化合物)
【0182】
【化24】
【0183】
[[D]添加剤]
D−1:γ−ブチロラクトン
【0184】
[[E]溶媒]
E−1:酢酸プロピレングリコールモノメチルエーテル
E−2:シクロヘキサノン
【0185】
[実施例1]
[A]重合体成分としての(A−1)100質量部、[B]酸発生剤としての(B−1)10質量部、[C]酸拡散制御剤としての(C−3)1質量部及び(C−4)3質量部、[D]添加剤としての(D−1)30質量部、並びに[E]溶媒としての(E−1)1,750質量部及び(E−2)750質量部を混合し、得られた混合溶液を孔径0.2μmのフィルターでろ過し、フォトレジスト組成物(J−1)を調製した。
【0186】
[実施例2〜9及び比較例1〜8]
表2に示す種類及び量の各成分を使用した以外は実施例1と同様に操作して、フォトレジスト組成物(J−2)〜(J−9)及び(CJ−1)〜(CJ−8)を調製した。
【0187】
【表2】
【0188】
<レジストパターンの形成>
上記実施例及び比較例のフォトレジスト組成物を、下層反射防止膜(ARC66、日産化学製)を形成した12インチシリコンウェハ上に、塗布/現像装置(ACT12、東京エレクトロン製)を用いて塗布した。次いで、下記表3に示すSB温度で60秒間SBを行い、膜厚90nmのレジスト膜を形成した。形成したレジスト膜上に、国際公開第2008/047678号公報の実施例1に記載の上層膜形成用組成物をスピンコートし、90℃で60秒間ベークして膜厚30nmの塗膜(上層膜)を設けたレジスト膜を形成した。次に、このレジスト膜を、ArFエキシマレーザー液浸露光装置(NSR S610C、NIKON製)を用い、NA=1.3、ratio=0.800、Dipoleの条件により、42nmライン84nmピッチのラインアンドスペース(LS)パターン形成用のマスクパターンを介して露光した。露光後、表3に示すPEB温度で60秒間PEBを行った。その後、露光されたレジスト膜を、2.38質量%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液により現像し、水洗し、乾燥して、ポジ型のレジストパターンを形成した。
【0189】
<評価>
上記形成したレジストパターンについて下記方法に従い測定を行うことにより、各実施例及び比較例のフォトレジスト組成物を評価した。評価結果を表3に示す。なお、レジストパターンの測長には走査型電子顕微鏡(CG4100、日立ハイテクノロジーズ製)を用いた。
【0190】
[感度]
上記レジストパターンの形成において、42nmライン84nmピッチのLSパターン形成用のマスクパターンを介する露光により、線幅42nmのラインを形成する露光量を最適露光量(Eop)とし、この最適露光量を感度(mJ/cm
2)とした。感度は、40mJ/cm
2以下である場合は「良好」と、40mJ/cm
2を超える場合は「不良」と評価できる。
【0191】
[LWR性能]
上記Eopにて形成された線幅42nmのラインを、パターン上部から観察し、任意の10点において線幅を測定した。線幅の測定値の分布度を3シグマ値として算出し、この値をフォトレジスト組成物のLWR(nm)性能とした。LWR性能は、2.7nm以下の場合は「良好」と、2.7nmを超える場合は「不良」と評価できる。
【0192】
[MEEF性能]
上記Eopにて、40nmライン84nmピッチ、41nmライン84nmピッチ、42nmライン84nmピッチ、43nmライン84nmピッチ、44nmライン84nmピッチの各LSパターン形成用のマスクパターンをそれぞれ介してLSパターンを形成した。マスクのラインサイズ(nm)を横軸に、各マスクパターンを用いて形成されたレジストパターンにおけるライン幅(nm)を縦軸にプロットしたときの直線の傾きを算出し、この傾きの値をMEEF性能とした。MEEF性能は、その値が1に近いほど、マスク再現性が良好であることを示す。MEEF性能は、3.5以下の場合は「良好」と、3.5を超える場合は「不良」と評価できる。
【0193】
[DOF性能]
上記Eopにて、42nmライン84nmピッチのLSパターン用マスクで解像されるパターン寸法が、マスクの設計寸法の±10%以内となる場合のフォーカスの振れ幅をDOF(nm)性能とした。DOF性能は、240nm以上の場合は「良好」と、240nm未満の場合は「不良」と評価できる。
【0194】
【表3】
【0195】
表3の結果から明らかなように、実施例のフォトレジスト組成物は、LWR性能、MEEF性能及びDOF性能等のリソグラフィー性能に優れているといえる。