(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0017】
<フォトレジスト組成物>
本発明のフォトレジスト組成物は、[A]重合体及び[B]酸発生体を含有する。また当該フォトレジスト組成物は、好適成分として、[C]酸拡散制御体、[D][A]重合体よりもフッ素原子含有率が大きい重合体(以下、「[D]重合体」ともいう)及び[E]溶媒を含有してもよい。さらに、当該フォトレジスト組成物は、本発明の効果を損なわない範囲においてその他の任意成分を含有してもよい。以下、各成分について説明する。
【0018】
<[A]重合体>
[A]重合体は、構造単位(I)を有する重合体である。当該フォトレジスト組成物は、[A]重合体を含有することで、焦点深度、解像性、パターン形状の矩形性及びスカム抑制性に優れる。[A]重合体の構造単位(I)において、エステル基に結合する酸解離性基(−CR
1R
2A)の炭素原子には、少なくとも1個の硫黄原子を環構成原子として含む1価の芳香族複素環基(以下、「基(A)」ともいう)が結合している。この基(A)によれば、エステル基に結合する炭素原子上に誘起される正電荷を、共鳴によって効果的に分散させることができるので、上記酸解離性基の解離性が高くなっている。その結果、当該フォトレジスト組成物は、高い解像性を発揮する。また、この解離性の向上等によって、レジストパターンのパターン形状の矩形性が向上し、また、スカムの発生が抑制される。さらに、上記芳香族複素環基は、硫黄原子を有しているので、得られるレジスト膜の屈折率が高くなり、その結果、当該フォトレジスト組成物の焦点深度が向上する。
【0019】
[A]重合体は、構造単位(I)以外にも、後述する式(2)で表される構造単位(II)、ラクトン基、環状カーボネート基及びスルトン基からなる群より選ばれる少なくとも1種の基を有する構造単位(III)、親水性官能基を含む構造単位(IV)、後述する式(5)で表される構造単位(V)及び後述する式(6)で表される構造単位(VI)を有していてもよく、また、これら以外のその他の構造単位を有していてもよい。各構造単位は、それぞれ1種又は2種以上を有していてもよい。以下、各構造単位について説明する。
【0020】
[構造単位(I)]
構造単位(I)は、上記式(1)で表される構造単位である。[A]重合体が構造単位(I)を有することで、当該フォトレジスト組成物は、焦点深度、解像性、パターン形状の矩形性及びスカム抑制性に優れる。
【0021】
上記式(1)中、Rは、水素原子、フッ素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基である。Aは、少なくとも1個の硫黄原子を環構成原子として含む核原子数5〜30の1価の芳香族複素環基である。上記芳香族複素環基の水素原子の一部又は全部は置換されていてもよい。R
1及びR
2は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数3〜20のシクロアルキル基、炭素数6〜30のアリール基、炭素数7〜30のアラルキル基又は核原子数3〜30の1価の複素環基である。上記アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基及び複素環基の水素原子の一部又は全部は置換されていてもよい。R
1及びR
2、又はR
2及びAは、互いに結合して、それらが結合している炭素原子と共に環状構造を形成していてもよい。但し、R
1及びR
2の両方が水素原子である場合はない。
【0022】
上記Rとしては、構造単位(I)を与える単量体の共重合性等の観点からは、水素原子、メチル基が好ましく、メチル基がより好ましい。
【0023】
上記Aで表される少なくとも1個の硫黄原子を環構成原子として含む核原子数5〜30の1価の芳香族複素環基としては、例えば、下記式(1a)〜(1j)で表される基等が挙げられる。
【0025】
上記Aで表される1価の芳香族複素環基が有する環構成原子としての硫黄原子の個数としては、特に限定されないが、1個又は2個が好ましく、1個がさらに好ましい。核原子数としては、5〜30であれば特に限定されないが、5〜20が好ましく、5〜10がより好ましく、5〜8がさらに好ましく、5が特に好ましい。
【0026】
上記Aで表される1価の芳香族複素環基としては、当該フォトレジスト組成物の焦点深度、解像性、パターン形状の矩形性及びスカム抑制性の向上の観点から、チオフェン構造を有する基が好ましく、置換基を有していてもよいチエニル基がより好ましい。上記式の中では、上記式(1a)、(1b)、(1c)、(1d)及び(1j)で表されるチオフェン構造を有する基が好ましく、上記式(1a)、(1b)、(1c)及び(1d)で表される基がより好ましく、(1a)で表されるチエニル基がさらに好ましい。上記基(A)をチオフェン構造を有する基とすることで、構造単位(I)が有する酸解離性基の解離性がより高まる。その結果、当該フォトレジスト組成物の解像性、パターン形状の矩形性及びスカム抑制性が向上する。チエニル基としては、2−チエニル基、3−チエニル基が好ましく、2−チエニル基がより好ましい。
【0027】
上記芳香族複素環基が有していてもよい置換基としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、ヒドロキシ基、シアノ基、アミノ基、アルコキシ基、アシル基、アシロキシ基;チエニル基、2個以上のチオフェン環が単結合で互いに結合して形成される基等が挙げられる。
【0028】
上記R
1及びR
2で表される炭素数1〜20のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、n−デシル基等が挙げられる。
【0029】
上記R
1及びR
2で表される炭素数3〜20のシクロアルキル基としては、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の単環式シクロアルキル基;ノルボルニル基、アダマンチル基、トリシクロデシル基、テトラシクロドデシル基等の多環式シクロアルキル基等が挙げられる。
【0030】
上記R
1及びR
2で表される炭素数6〜30のアリール基としては、例えば、フェニル基、トリル基、キシリル基、メシチル基、ナフチル基、アントリル基等が挙げられる。
【0031】
上記R
1及びR
2で表される炭素数7〜30のアラルキル基としては、例えば、ベンジル基、フェネチル基、フェニルプロピル基等が挙げられる。
【0032】
上記R
1及びR
2で表される核原子数3〜30の1価の複素環基としては、例えば、フリル基、ベンゾフラニル基、イソベンゾフラニル基、ジベンゾフラニル基等の酸素原子を環構成原子として含む芳香族複素環基;ピローリル基、イミダゾーリル基、ピリジル基、ピラジニル基、ピラゾーリル基、ピリミジニル基、ピリダジニル基、インドーリル基、キノリル基、イソキノリル基、アクリジニル基、カルバゾーリル基等の窒素原子を環構成原子として含む芳香族複素環基;チエニル基、チアントレニル基、ベンゾチオフェニル基等の硫黄原子を環構成原子として含む芳香族複素環基;オキサゾーリル基、イソオキサゾーリル基、フェノキサジニル基等の酸素原子及び窒素原子を環構成原子として含む芳香族複素環基;フェノキサチイニル基等の酸素原子及び硫黄原子を環構成原子として含む芳香族複素環基;チアゾーリル基、イソチアゾーリル基、フェノチアジニル基等の窒素原子及び硫黄原子を環構成原子として含む芳香族複素環基等が挙げられる。
【0033】
上記アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基及び複素環基が有していてもよい置換基としては、例えば、上記Aで表される芳香族複素環基の置換基として例示したものと同様の基等が挙げられる。
【0034】
上記R
1及びR
2が互いに結合してそれらが結合する炭素原子と共に形成する環状構造としては、例えば、シクロペンタン構造、シクロヘキサン構造等の単環式構造、ノルボルナン構造、アダマンタン構造等の多環式構造等の脂環式構造等が挙げられる。
【0035】
上記R
2及びAが互いに結合してそれらが結合する炭素原子と共に形成する環状構造としては、例えば、チオフェン環が縮環した脂環式構造等が挙げられる。
【0036】
上記R
1とR
2の組合せとしては、アルキル基とアルキル基、アルキル基と水素原子の組合せが好ましく、エチル基とメチル基、メチル基と水素原子の組合せがより好ましい。
【0037】
構造単位(I)としては、例えば、下記式(1−1)〜(1−17)で表される構造単位(以下、「構造単位(I−1)〜(I−17)」ともいう)等が挙げられる。
【0039】
上記式(1−1)〜(1−17)中、Rは、上記式(1)と同義である。
【0040】
これらの中で、Aがチオフェン構造を有する基である構造単位(I−1)〜(I−15)及び構造単位(I−17)が好ましく、Aが置換基を有してもよいチエニル基である構造単位(I−1)〜(I−6)、(I−8)及び(I−11)〜(I−15)がより好ましく、Aがチエニル基である構造単位(I−1)〜(I−6)及び構造単位(I−13)〜(I−15)がさらに好ましく、構造単位(I−1)〜(I−4)が特に好ましく、構造単位(I−3)、構造単位(I−4)がさらに特に好ましい。
【0041】
構造単位(I)の含有割合としては、[A]重合体を構成する全構造単位に対して、5モル%〜80モル%が好ましく、7モル%〜60モル%がより好ましく、10モル%〜40モル%がさらに好ましく、10モル%〜30モル%が特に好ましい。構造単位(I)の含有割合を上記範囲とすることで、当該フォトレジスト組成物の解像性、パターン形状の矩形性及びスカム抑制性を向上させることができる。構造単位(I)の含有割合が上記下限未満だと、パターン形成性が低下する場合がある。構造単位(I)の含有割合が上記上限を超えると、当該フォトレジスト組成物から形成されるレジストパターンの基板への密着性が低下する場合がある。
【0042】
[A]重合体は、後述するように、例えば、上記構造単位(I)を与える単量体(i)の他、必要に応じて他の構造単位を与える単量体と共にラジカル重合させることで得られる。上記構造単位(I)を与える化合物(i)の合成方法は以下の通りであり、下記のスキームに従い合成することができる。
【0044】
上記式(i−a)、式(i−b)及び式(i)中、R、R
1、R
2及びAは、上記式(i)と同義である。Xは、ハロゲン原子である。Yは、ハロゲン原子、−OH又は−OCOR’である。R’は、1価の炭化水素基である。
【0045】
THF等の溶媒中で、上記式(i−a)で表されるアシル基(R
1CO−)を有する硫黄原子含有芳香族複素環化合物と、グリニャール試薬(R
2MgX)とを反応させた後、塩酸等で処理することにより、上記式(i−b)で表されるヒドロキシ基含有化合物を得る。次に、ジクロロメタン等の溶媒中で、このヒドロキシ基含有化合物と、(メタ)アクリロイルクロリド等の(メタ)アクリル酸誘導体とを、アミン等の塩基の存在下などで反応させることにより、化合物(i)を得ることができる。
【0046】
[構造単位(II)]
構造単位(II)は、下記式(2)で表される構造単位である。[A]重合体は、酸解離性基を有する構造単位として上述の構造単位(I)を有しているので必ずしも必要ではないが、構造単位(II)を有していてもよい。
【0048】
上記式(2)中、R
Aは、水素原子、フッ素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基である。R
p1、R
p2及びR
p3は、それぞれ独立して、炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数4〜20の1価の脂環式炭化水素基である。但し、R
p2及びR
p3は、互いに結合して、それらが結合している炭素原子と共に炭素数4〜20の2価の脂環式炭化水素基を形成してもよい。
【0049】
構造単位(II)としては、例えば下記式(2−1)〜(2−4)で表される構造単位(以下、それぞれ「構造単位(II−1)〜(II−4)」ともいう)等が挙げられる。
【0051】
上記式(2−1)〜(2−4)中、R
A、R
p1、R
p2及びR
p3は上記式(2)と同義である。n
pは、1〜4の整数である。
【0052】
構造単位(II)又は構造単位(II−1)〜(II−4)で表される構造単位としては、例えば、下記式で表される構造単位等が挙げられる。
【0055】
上記式中、R
Aは、上記式(2)と同義である。
【0056】
これらの中で、構造単位(II−1)、構造単位(II−2)が好ましく、1−エチル−1−シクロペンチル(メタ)アクリレートに由来する構造単位、1−エチル−1−シクロオクチル(メタ)アクリレートに由来する構造単位、2−メチル−2−アダマンチル(メタ)アクリレートに由来する構造単位、2−エチル−2−アダマンチル(メタ)アクリレートに由来する構造単位がより好ましく、1−エチル−1−シクロペンチル(メタ)アクリレートに由来する構造単位、2−エチル−2−アダマンチル(メタ)アクリレートに由来する構造単位がさらに好ましい。
【0057】
構造単位(II)の含有割合としては、[A]重合体を構成する全構造単位に対して、0モル%〜80モル%が好ましく、5モル%〜60モル%がより好ましく、10モル%〜50モル%がさらに好ましく、10モル%〜35モル%が特に好ましい。構造単位(II)の含有割合を上記範囲とすることで、当該フォトレジスト組成物の種々のリソグラフィー性能を向上させることができる。構造単位(II)の含有割合が上記上限を超えると、当該フォトレジスト組成物から形成されるレジストパターンの基板への密着性が低下する場合がある。
【0058】
[構造単位(III)]
構造単位(III)は、ラクトン基、環状カーボネート基及びスルトン基からなる群より選ばれる少なくとも1種の基を有する構造単位である。[A]重合体が構造単位(III)を有することで、当該フォトレジスト組成物から得られるレジストパターンの基板への密着性が向上する。
【0059】
構造単位(III)としては、例えば、下記式(3−1)〜(3−7)で表される構造単位等が挙げられる。
【0061】
上記式(3−1)〜(3−7)中、R
Bは、水素原子、フッ素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基である。R
3は、水素原子又はメチル基である。R
4及びR
5は、それぞれ独立して、水素原子又はメトキシ基である。Xは、それぞれ独立して、単結合又はメチレン基である。Yは、それぞれ独立して、メチレン基又は酸素原子である。a及びbは、それぞれ独立して、0〜2の整数である。
【0062】
構造単位(III)としては、例えば、下記式(3−1a)〜(3−7b)で表される構造単位等が挙げられる。
【0064】
上記式(3−1a)〜(3−7b)中、R
Bは、上記式(3−1)〜(3−7)と同義である。
【0065】
これらの中で、得られるレジストパターンの基板への密着性に優れる観点から、上記式(3−1)、(3−5)、(3−6)及び(3−7)で表される構造単位が好ましく、上記式(3−1a)で表される構造単位、上記式(3−5a)で表される構造単位、上記式(3−6a)で表される構造単位、上記式(3−7a)で表される構造単位がより好ましい。
【0066】
構造単位(III)の含有割合としては、[A]重合体を構成する全構造単位に対して、0モル%〜80モル%が好ましく、20モル%〜75モル%がより好ましく、40モル%〜70モル%がさらに好ましい。構造単位(III)の含有割合を上記範囲とすることで、得られるレジストパターンの基板への密着性が向上する。構造単位(III)の含有割合が上記上限を超えると、当該フォトレジスト組成物のパターン形成性が低下する場合がある。
【0067】
[構造単位(IV)]
構造単位(IV)は、親水性官能基を有する構造単位である。[A]重合体が構造単位(IV)を有することで、当該フォトレジスト組成物から形成されるレジストパターンの基板への密着性等を向上させることができる。
【0068】
親水性官能基としては、例えば、ヒドロキシ基、カルボキシ基、アミノ基、チオール基、スルホンアミド基、β−ジケト基、トリフルオロメチルアルコール基、ケトン性カルボニル基等が挙げられる。これらの中で、ヒドロキシ基、カルボキシ基が好ましく、ヒドロキシ基がより好ましい。
【0069】
構造単位(IV)としては、例えば、下記式(4−1)〜(4−15)で表される構造単位(以下、「構造単位(IV−1)〜(IV−15)」ともいう)、アクリル酸由来の構造単位等が挙げられる。
【0071】
上記式(4−1)〜(4−15)中、R
Cは水素原子、フッ素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基である。
【0072】
これらの中でも、ヒドロキシ基を含む構造単位が好ましく、ヒドロキシ基及びアダマンタン骨格を含む構造単位がより好ましく、構造単位(IV−1)、構造単位(IV−2)、構造単位(IV−6)、構造単位(IV−12)がさらに好ましく、構造単位(IV−1)が特に好ましい。
【0073】
上記構造単位(IV)の含有割合としては、[A]重合体を構成する全構造単位に対して、0モル%〜40モル%が好ましく、0モル%〜35モル%がより好ましく、5モル%〜30モル%がさらに好ましく、15モル%〜30モル%が特に好ましい。構造単位(IV)の含有割合を上記範囲とすることで、当該フォトレジスト組成物から形成されるレジストパターンの基板への密着性をさらに向上させることができる。
【0074】
[構造単位(V)]
構造単位(V)は、下記式(5)で表される構造単位である。[A]重合体は、構造単位(V)を有することで、現像液に対する溶解性を調整することができ、その結果、当該フォトレジスト組成物は、解像性等を向上させることができる。また、[A]重合体が構造単位(V)を有することで、当該フォトレジスト組成物は、KrF露光用や電子線露光用に好適に用いることができる。
【化14】
【0075】
上記式(5)中、R
Dは、水素原子又はメチル基である。R
aは、1価の有機基である。pは、0〜3の整数である。R
aが複数の場合、複数のR
aは同一でも異なっていてもよい。qは、1〜3の整数である。但し、p及びqは、p+q≦5を満たす。
【0076】
上記R
Dとしては、構造単位(V)を与える単量体の共重合性等の観点からは、水素原子、メチル基が好ましく、水素原子がより好ましい。
【0077】
上記R
aで表される1価の有機基としては、例えば、炭素数1〜12の1価の鎖状炭化水素基、炭素数3〜20の1価の脂環式炭化水素基、炭素数6〜20の1価の芳香族炭化水素基、1価の酸素原子含有有機基、1価の窒素原子含有有機基等が挙げられる。
【0078】
上記1価の鎖状炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、2−メチルプロピル基、1−メチルプロピル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−デシル基等が挙げられる。
【0079】
上記1価の脂環式炭化水素基としては、例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基、ノルボルニル基、アダマンチル基等が挙げられる。
【0080】
上記1価の芳香族炭化水素基としては、例えば、フェニル基、o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基、2,4−キシリル基、2,6−キシリル基、3,5−キシリル基、メシチル基、o−クメニル基、m−クメニル基、p−クメニル基、ベンジル基、フェネチル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基等が挙げられる。
【0081】
上記1価の酸素原子含有有機基としては、例えば、
カルボキシ基;
ヒドロキシメチル基、1−ヒドロキシエチル基等のヒドロキシアルキル基;
3−ヒドロキシシクロペンチル基、4−ヒドロキシシクロヘキシル基等のヒドロキシシクロアルキル基;
メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基等のアルコキシ基;
シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基等のシクロアルキルオキシ基;
メトキシカルボニルオキシ基、エトキシカルボニルオキシ基等のアルコキシカルボニルオキシ基;
(1−メトキシエトキシ)メチル基、(1−エトキシエトキシ)メチル基等の(1−アルコキシアルコキシ)アルキル基;
(1−シクロペンチルオキシエトキシ)メチル基、(1−シクロヘキシルオキシエトキシ)メチル基等の(1−シクロアルキルオキシアルコキシ)アルキル基;
メトキシカルボニルオキシメチル基、エトキシカルボニルオキシメチル基等のアルコキシカルボニルオキシアルキル基;
シクロペンチルオキシカルボニルオキシメチル基、シクロヘキシルオキカルボニルオキシメチル基等のシクロアルキルオキシカルボニルオキシアルキル基等が挙げられる。
【0082】
上記1価の窒素原子含有有機基としては、例えば、
シアノ基;
シアノメチル基、1−シアノエチル基等のシアノアルキル基;
3−シアノシクロペンチル基、4−シアノシクロヘキシル基等のシアノシクロアルキル基等が挙げられる。
【0083】
R
aとしては、これらの中で、当該フォトレジスト組成物から形成されるレジストパターンのパターン形状の矩形性を向上させる観点から、1価の鎖状炭化水素基が好ましく、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基が好ましい。
【0084】
上記pとしては、0〜2が好ましく、0又は1がより好ましく、0がさらに好ましい。
上記qとしては、1又は2が好ましく、1がより好ましい。
【0085】
上記構造単位(V)を与える単量体としては、例えば、2−ヒドロキシスチレン、3−ヒドロキシスチレン、4−ヒドロキシスチレン、2−ヒドロキシ−α−メチルスチレン、3−ヒドロキシ−α−メチルスチレン、4−ヒドロキシ−α−メチルスチレン、2−メチル−3−ヒドロキシスチレン、4−メチル−3−ヒドロキシスチレン、5−メチル−3−ヒドロキシスチレン、2−メチル−4−ヒドロキシスチレン、3−メチル−4−ヒドロキシスチレン、3,4−ジヒドロキシスチレン、2,4,6−トリヒドロキシスチレン等が挙げられる。これらの中で、得られる構造単位(I)のフェノール性水酸基の酸性度の観点から、4−ヒドロキシスチレン、4−ヒドロキシ−α−メチルスチレンが好ましく、4−ヒドロキシスチレンがより好ましい。
【0086】
構造単位(V)の含有割合としては、[A]重合体を構成する全構造単位に対して、0モル%〜90モル%が好ましく、0モル%〜80モル%がより好ましく、60モル%〜80モル%がさらに好ましい。構造単位(V)の含有割合を上記範囲とすることで、当該フォトレジスト組成物から得られるレジスト膜の現像液に対する溶解性をより適度にすることができる。
【0087】
[構造単位(VI)]
構造単位(VI)は、下記式(6)で表される構造単位である。
【0089】
上記式(6)中、R
Eは、水素原子又はメチル基である。R
cは、酸解離性基を含まない1価の有機基である。sは、0〜3の整数である。R
dは、1価の酸解離性基である。tは、1〜3の整数である。R
c及びR
dがそれぞれ複数の場合、複数のR
c及びR
dはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。但し、s及びtは、s+t≦5を満たす。
【0090】
上記R
Eとしては、構造単位(VI)を与える単量体の共重合性等の観点からは、水素原子、メチル基が好ましく、水素原子がより好ましい。
【0091】
上記R
cで表される酸解離性基を含まない1価の有機基としては、例えば、上記式(5)のR
aで表される1価の有機基において、鎖状炭化水素基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基、1価の酸素原子含有有機基のうちのカルボキシ基、ヒドロキシアルキル基、ヒドロキシシクロアルキル基、アルコキシ基及びシクロアルキルオキシ基、並びに1価の窒素原子含有有機基として例示したものと同様の基等が挙げられる。
【0092】
上記R
dで表される1価の酸解離性基としては、例えば、
置換メチル基、1−置換エチル基、1−分岐アルキル基、トリオルガノシリル基、トリオルガノゲルミル基、アルコキシカルボニル基、アシル基、1価の環式酸解離性基等が挙げられる。
【0093】
上記置換メチル基としては、例えば、メトキシメチル基、メチルチオメチル基、エトキシメチル基、エチルチオメチル基、メトキシエトキシメチル基、ベンジル基等が挙げられる。
【0094】
上記1−置換エチル基としては、例えば、1−メトキシエチル基、1−メチルチオエチル基、1,1−ジメトキシエチル基、1−エトキシエチル基等が挙げられる。
【0095】
上記1−分岐アルキル基としては、例えば、i−プロピル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、1,1−ジメチルプロピル基、1−メチルブチル基、1,1−ジメチルブチル基等が挙げられる。
【0096】
上記トリオルガノシリル基としては、例えば、トリメチルシリル基、エチルジメチルシリル基、ジエチルメチルシリル基、トリエチルシリル基等が挙げられる。
【0097】
上記トリオルガノゲルミル基としては、例えば、トリメチルゲルミル基、エチルジメチルゲルミル基、ジエチルメチルゲルミル基、トリエチルゲルミル基等が挙げられる。
【0098】
上記アルコキシカルボニル基としては、例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、i−プロポキシカルボニル基、t−ブトキシカルボニル基等が挙げられる。
【0099】
上記アシル基としては、例えば、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、ヘプタノイル基、ヘキサノイル基、バレリル基等が挙げられる。
【0100】
上記1価の環式酸解離性基としては、例えば、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘキセニル基、4−メトキシシクロヘキシル基、テトラヒドロフラニル基、テトラヒドロピラニル基等が挙げられる。
【0101】
R
dとしては、これらの中でも、t−ブチル基が好ましい。
【0102】
上記sとしては、0又は1が好ましく、0がより好ましい。
上記tとしては、1又は2が好ましく、1がより好ましい。
【0103】
上記構造単位(VI)を与える単量体としては、例えば、4−t−ブトキシスチレン、4−t−ブトキシ−α−メチルスチレン、4−(2−エチル−2−プロポキシ)スチレン、4−(2−エチル−2−プロポキシ)−α−メチルスチレン、4−(1−エトキシエトキシ)スチレン、4−(1−エトキシエトキシ)−α−メチルスチレン、アセトキシスチレン等が挙げられる。これらの中でも、4−t−ブトキシスチレンが好ましい。
【0104】
[A]重合体は、本発明の効果を損なわない範囲において、上記構造単位(I)〜(VI)以外の構造単位を有していてもよい。
【0105】
当該フォトレジスト組成物において、[A]重合体の含有量としては、全固形分、すなわち[E]溶媒以外の全成分の合計量に対して、50質量%以上が好ましく、60質量%以上がより好ましく、70質量%以上がさらに好ましい。当該フォトレジスト組成物は、[A]重合体を1種単独でも、2種以上を含んでいてもよい。
【0106】
<[A]重合体の合成方法>
[A]重合体は、例えば所定の各構造単位に対応する単量体を、ラジカル重合開始剤を使用し、適当な溶媒中で重合することにより合成できる。
【0107】
上記ラジカル重合開始剤としては、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−シクロプロピルプロピオニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、ジメチル2,2’−アゾビスイソブチレート等のアゾ系ラジカル開始剤;ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド等の過酸化物系ラジカル開始剤等を挙げることができる。これらの中で、AIBN及びジメチル2,2’−アゾビスイソブチレートが好ましい。これらのラジカル開始剤は単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
【0108】
上記重合に使用される溶媒としては、例えば
n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、n−ノナン、n−デカン等のアルカン類;
シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、デカリン、ノルボルナン等のシクロアルカン類;
ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、クメン等の芳香族炭化水素類;
クロロブタン類、ブロモヘキサン類、ジクロロエタン類、ヘキサメチレンジブロミド、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素類;
酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸i−ブチル、プロピオン酸メチル等の飽和カルボン酸エステル類;
アセトン、2−ブタノン、4−メチル−2−ペンタノン、2−ヘプタノン等のケトン類;
テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン類、ジエトキシエタン類等のエーテル類;
メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、4−メチル−2−ペンタノール等のアルコール類等が挙げられる。これらの溶媒は、単独で使用してもよく2種以上を併用してもよい。
【0109】
上記重合における反応温度としては、通常40℃〜150℃、50℃〜120℃が好ましい。反応時間としては、通常1時間〜48時間、1時間〜24時間が好ましい。
【0110】
[A]重合体のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算重量平均分子量(Mw)としては、1,000〜100,000が好ましく、1,000〜50,000がより好ましく、2,000〜30,000がさらに好ましく、3,000〜20,000が特に好ましい。[A]重合体のMwを上記範囲とすることで当該フォトレジスト組成物の解像性、パターン形状の矩形性及びスカム抑制性が向上する。
【0111】
[A]重合体のMwとGPC法によるポリスチレン換算数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)としては、1〜3が好ましく、1〜2がさらに好ましい。[A]重合体のMw/Mn比を上記範囲とすることで、当該フォトレジスト組成物の解像性、パターン形状の矩形性及びスカム抑制性が向上する。
【0112】
当該フォトレジスト組成物において、[A]重合体は、ベース重合体として用いることができる。当該フォトレジスト組成物は、[A]重合体をベース重合体として用いることで、解像性、パターン形状の矩形性及びスカム抑制性に優れる。「ベース重合体」とは、フォトレジスト組成物から形成されるレジスト膜の主成分となる重合体をいい、好ましくは、レジスト膜を構成する全重合体に対して50質量%以上を占める重合体をいう。
【0113】
また、[A]重合体はフォトレジスト組成物における「撥水性添加剤」として用いることもできる。この場合、[A]重合体はフッ素原子を有することが好ましい。[A]重合体がフッ素原子を有し、フォトレジスト組成物に含有させることで、形成されるレジスト膜の表層に偏在化する傾向を有し、レジスト膜表面に高い撥水性を発揮させることができる。当該フォトレジスト組成物は、撥水性添加剤を含有することで、レジスト膜からの酸発生体等の溶出を抑制できると共に、形成されたレジスト膜表面が高い動的接触角を示すので、レジスト膜表面は優れた水切れ特性を発揮することができる。これにより液浸露光プロセスにおいて、レジスト膜表面と液浸媒体を遮断するための上層膜を別途形成することを要することなく、高速スキャン露光を可能にすると共に、ウォーターマーク欠陥等の発生を抑制することができる。また、[A]重合体を撥水性添加剤として有する当該フォトレジスト組成物によれば、この[A]重合体の酸解離性基の解離性が高いので、重合体の溶け残りに起因すると考えられるブリッジ欠陥等の発生を効果的に抑制することができる。
【0114】
上述のフッ素原子を有する[A]重合体としては、構造単位(I)がフッ素原子を含んでいてもよく、[A]重合体が構造単位(I)以外に、フッ素原子を含む構造単位をさらに有していてもよい。上記フッ素原子を含む構造単位としては、例えば後述する[D]重合体における構造単位(D1)及び構造単位(D2)と同様の構造単位等が挙げられる。
【0115】
[A]重合体を撥水性添加剤として用いる場合には、当該フォトレジスト組成物は、[A]重合体とは別に、ベース重合体として、酸解離性基を有し、かつ[A]重合体よりフッ素原子含有率が小さい重合体を含有することが好ましい。撥水性添加剤としての[A]重合体のフッ素原子含有率よりも、ベース重合体としての重合体のフッ素原子含有率を小さくすることによって、形成されたレジスト膜において、撥水性添加剤としての[A]重合体がその表層に偏在化する傾向がより高まるため、レジスト膜表面の高い水切れ性等の特性が、より効果的に発揮される。なお、このフッ素原子含有率(質量%)は、
13C−NMRの測定により求めた重合体の構造から算出することができる。このベース重合体は、構造単位(I)を有していてもよく、構造単位(I)を有していなくてもよい。上記ベース重合体が有する酸解離性基を含む構造単位としては、例えば、[A]重合体における構造単位(II)と同様の構造単位等が挙げられる。また、上記ベース重合体は、必要に応じて、例えば、上述したように、[A]重合体の構造単位(III)〜構造単位(VI)等と同様の基等を有していてもよい。
【0116】
撥水性添加剤としての[A]重合体の含有量としては、ベース重合体100質量部に対して、0.1質量部〜20質量部が好ましく、0.5質量部〜10質量部がより好ましく、1質量部〜8質量部がさらに好ましい。この含有量が0.1質量部未満だと、液浸露光時の高速スキャンが困難になる場合がある。この含有量が20質量部を超えると、当該フォトレジスト組成物のパターン形成性が低下する場合がある。
【0117】
撥水性添加剤としての[A]重合体を含有する場合における上記ベース重合体の含有量としては、当該フォトレジスト組成物の全固形分に対して70質量部以上が好ましく、80質量部以上がより好ましい。上記ベース重合体の含有量が上記下限未満だと、当該フォトレジスト組成物のパターン形成性が低下する場合がある。
【0118】
<[B]酸発生体>
[B]酸発生体は、露光により酸を発生し、その酸により[A]重合体中に存在する酸解離性基を解離させ酸を発生させる。当該フォトレジスト組成物における[B]酸発生体の含有形態としては、後述するような化合物の形態(以下、適宜「[B]酸発生剤」ということがある)でも、重合体の一部として組み込まれた形態でも、これらの両方の形態でもよい。
【0119】
[B]酸発生剤としては、例えばオニウム塩化合物、N−スルホニルオキシイミド化合物、ハロゲン含有化合物、ジアゾケトン化合物等が挙げられる。
【0120】
オニウム塩化合物としては、例えばスルホニウム塩、テトラヒドロチオフェニウム塩、ヨードニウム塩、ホスホニウム塩、ジアゾニウム塩、ピリジニウム塩等が挙げられる。
【0121】
スルホニウム塩としては、例えばトリフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、トリフェニルスルホニウム1−アダマンチルオキシカルボニル−1,1−ジフルオロメタンスルホネート、トリフェニルスルホニウム2−(1−アダマンチルカルボニルオキシ)−1,1,3,3,3−ペンタフルオロプロパン−1−スルホネート、トリフェニルスルホニウム2−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホネート、トリフェニルスルホニウム10−カンファースルホネート、4−シクロヘキシルフェニルジフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、4−シクロヘキシルフェニルジフェニルスルホニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、4−シクロヘキシルフェニルジフェニルスルホニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、4−シクロヘキシルフェニルジフェニルスルホニウム2−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホネート、4−シクロヘキシルフェニルジフェニルスルホニウム10−カンファースルホネート、4−メタンスルホニルフェニルジフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、4−メタンスルホニルフェニルジフェニルスルホニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、4−メタンスルホニルフェニルジフェニルスルホニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、4−メタンスルホニルフェニルジフェニルスルホニウム2−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホネート、4−メタンスルホニルフェニルジフェニルスルホニウム10−カンファースルホネート、トリフェニルスルホニウム6−(1−アダマンチルカルボニルオキシ)−1,1,2,2−テトラフルオロヘキサンスルホネート、トリフェニルスルホニウム2−(1−アダマンチル)−1,1−ジフルオロエタンスルホネート等が挙げられる。
【0122】
テトラヒドロチオフェニウム塩としては、例えば1−(4−n−ブトキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウムトリフルオロメタンスルホネート、1−(4−n−ブトキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、1−(4−n−ブトキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、1−(4−n−ブトキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウム2−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホネート、1−(4−n−ブトキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウム10−カンファースルホネート、1−(6−n−ブトキシナフタレン−2−イル)テトラヒドロチオフェニウムトリフルオロメタンスルホネート、1−(6−n−ブトキシナフタレン−2−イル)テトラヒドロチオフェニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、1−(6−n−ブトキシナフタレン−2−イル)テトラヒドロチオフェニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、1−(6−n−ブトキシナフタレン−2−イル)テトラヒドロチオフェニウム2−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホネート、1−(6−n−ブトキシナフタレン−2−イル)テトラヒドロチオフェニウム10−カンファースルホネート、1−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)テトラヒドロチオフェニウムトリフルオロメタンスルホネート、1−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)テトラヒドロチオフェニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、1−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)テトラヒドロチオフェニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、1−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)テトラヒドロチオフェニウム2−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホネート、1−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)テトラヒドロチオフェニウム10−カンファースルホネート等が挙げられる。
【0123】
ヨードニウム塩としては、例えばジフェニルヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、ジフェニルヨードニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、ジフェニルヨードニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、ジフェニルヨードニウム2−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホネート、ジフェニルヨードニウム10−カンファースルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウム2−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウム10−カンファースルホネート等が挙げられる。
【0124】
N−スルホニルオキシイミド化合物としては、例えばN−(トリフルオロメタンスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(ノナフルオロ−n−ブタンスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(パーフルオロ−n−オクタンスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(2−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(2−(3−テトラシクロ[4.4.0.1
2,5.1
7,10]ドデカニル)−1,1−ジフルオロエタンスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(カンファースルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド等を挙げることができる。
【0125】
これらの中で、オニウム塩化合物が好ましく、スルホニウム塩、テトラヒドロチオフェニウム塩がより好ましく、トリフェニルスルホニウム1−アダマンチルオキシカルボニル−1,1−ジフルオロメタンスルホネート、トリフェニルスルホニウム2−(1−アダマンチルカルボニルオキシ)−1,1,3,3,3−ペンタフルオロプロパン−1−スルホネート、1−(4−n−ブトキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウム1−アダマンチルオキシカルボニル−1,1−ジフルオロメタンスルホネート、トリフェニルスルホニウム10−カンファースルホネート、トリフェニルスルホニウム2−(1−アダマンチル)−1,1−ジフルオロエタンスルホネート、トリフェニルスルホニウム6−(1−アダマンチルカルボニルオキシ)−1,1,2,2−テトラフルオロヘキサンスルホネートがさらに好ましい。
【0126】
[B]酸発生体の含有量としては、[B]酸発生体が[B]酸発生剤の場合、[A]重合体100質量部に対して、0.1質量部〜30質量部が好ましく、1質量部〜25質量部がより好ましく、2質量部〜20質量部がさらに好ましい。[B]酸発生剤の含有量が上記下限未満だと、当該フォトレジスト組成物の感度が低下する傾向がある。一方、[B]酸発生剤の含有量が上記上限を超えると、当該フォトレジスト組成物のパターン形成性が低下する場合がある。
【0127】
<[C]酸拡散制御体>
[C]酸拡散制御体は、露光により[B]酸発生体から生じる酸のレジスト膜中における拡散現象を制御し、非露光領域における好ましくない化学反応を抑制する効果を奏し、得られるフォトレジスト組成物の貯蔵安定性がさらに向上し、またレジストとしての解像度がさらに向上するとともに、露光から現像処理までの引き置き時間の変動によるレジストパターンの線幅変化を抑えることができ、プロセス安定性に優れた組成物が得られる。[C]酸拡散制御体の当該フォトレジスト組成物における含有形態としては、遊離の化合物の形態(以下、適宜「[C]酸拡散制御剤」という)でも、重合体の一部として組み込まれた形態でも、これらの両方の形態でもよい。
【0128】
[C]酸拡散制御剤としては、例えばアミン化合物、アミド基含有化合物、ウレア化合物、含窒素複素環化合物等が挙げられる。
【0129】
アミン化合物としては、例えばモノ(シクロ)アルキルアミン類;ジ(シクロ)アルキルアミン類;トリ(シクロ)アルキルアミン類;置換アルキルアニリン又はその誘導体;エチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノジフェニルアミン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、2−(3−アミノフェニル)−2−(4−アミノフェニル)プロパン、2−(4−アミノフェニル)−2−(3−ヒドロキシフェニル)プロパン、2−(4−アミノフェニル)−2−(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,4−ビス(1−(4−アミノフェニル)−1−メチルエチル)ベンゼン、1,3−ビス(1−(4−アミノフェニル)−1−メチルエチル)ベンゼン、ビス(2−ジメチルアミノエチル)エーテル、ビス(2−ジエチルアミノエチル)エーテル、1−(2−ヒドロキシエチル)−2−イミダゾリジノン、2−キノキサリノール、N,N,N’,N’−テトラキス(2−ヒドロキシプロピル)エチレンジアミン、N,N,N’,N’’N’’−ペンタメチルジエチレントリアミン等が挙げられる。
【0130】
アミド基含有化合物としては、例えば、N−t−ブトキシカルボニル−4−ヒドロキシピペリジン等のN−t−ブトキシカルボニル基含有アミノ化合物、N−t−アミルオキシカルボニル−4−ヒドロキシピペリジン等のN−t−アミルオキシカルボニル基含有アミノ化合物、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、プロピオンアミド、ベンズアミド、ピロリドン、N−メチルピロリドン、N−アセチル−1−アダマンチルアミン、イソシアヌル酸トリス(2−ヒドロキシエチル)等が挙げられる。これらの中で、N−t−ブトキシカルボニル基含有アミノ化合物、N−t−アミルオキシカルボニル基含有アミノ化合物が好ましく、N−t−アミルオキシカルボニル基含有アミノ化合物がより好ましく、N−t−アミルオキシカルボニル−4−ヒドロキシピペリジンがさらに好ましい。
【0131】
ウレア化合物としては、例えば尿素、メチルウレア、1,1−ジメチルウレア、1,3−ジメチルウレア、1,1,3,3−テトラメチルウレア、1,3−ジフェニルウレア、トリ−n−ブチルチオウレア等が挙げられる。
【0132】
含窒素複素環化合物としては、例えばイミダゾール類;ピリジン類;ピペラジン類;ピラジン、ピラゾール、ピリダジン、キノザリン、プリン、ピロリジン、ピペリジン、ピペリジンエタノール、3−ピペリジノ−1,2−プロパンジオール、モルホリン、4−メチルモルホリン、1−(4−モルホリニル)エタノール、4−アセチルモルホリン、3−(N−モルホリノ)−1,2−プロパンジオール、N−2−ウンデシルカルボニルオキシエチルモルホリン、1,4−ジメチルピペラジン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン等が挙げられる。これらの中で、N−2−ウンデシルカルボニルオキシエチルモルホリンが好ましい。
【0133】
また、[C]酸拡散制御剤として、露光により感光し弱酸を発生する光崩壊性塩基を用いることもできる。この光崩壊性塩基としては、露光により分解して酸拡散制御性を失うオニウム塩化合物等が挙げられる。このオニウム塩化合物としては、例えば、下記式(C1)で表されるスルホニウム塩化合物、下記式(C2)で表されるヨードニウム塩化合物等が挙げられる。
【0135】
上記式(C1)及び式(C2)中、R
6〜R
10は、それぞれ独立して、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、ヒドロキシ基又はハロゲン原子である。Z
−及びQ
−は、それぞれ独立して、OH
−、R
F−COO
−、R
F−SO
3−又は下記式(C3)で表されるアニオンある。但し、R
Fは、アルキル基、アリール基又はアラルキル基である。
【0137】
上記式(C3)中、R
11は、水素原子の一部又は全部がフッ素原子で置換されていてもよい炭素数1〜12の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、又は炭素数1〜12の直鎖状若しくは分岐状のアルコキシ基である。uは、0〜2の整数である。
【0138】
[C]酸拡散制御体の含有量としては、[C]酸拡散制御体が[C]酸拡散制御剤の場合、[A]重合体100質量部に対して、0.01質量部〜20質量部が好ましく、0.1質量部〜10質量部がより好ましく、0.2質量部〜7質量部がさらに好ましく、0.5質量部〜5質量部が特に好ましい。[C]酸拡散制御剤の含有量が上記下限未満だと、当該フォトレジスト組成物から得られるレジストパターンのラフネス等の特性が低下する場合がある。[C]酸拡散制御剤の含有量が上記上限を超えると、当該フォトレジスト組成物の感度が低下する場合がある。
【0139】
<[D]重合体>
[D]重合体は、[A]重合体よりもフッ素原子含有率が大きい重合体である。当該フォトレジスト組成物は、[D]重合体を含有することで、レジスト膜の疎水性がより向上し、液浸露光を行った場合、レジスト膜中の酸発生剤や酸拡散制御剤等の液浸媒体への溶出を抑制することができる。
【0140】
[D]重合体の態様としては、例えば主鎖にフッ素化アルキル基が結合した構造;側鎖にフッ素化アルキル基が結合した構造;主鎖と側鎖とにフッ素化アルキル基が結合した構造等が挙げられる。
【0141】
主鎖にフッ素化アルキル基が結合した構造を与える単量体としては、例えばα−トリフルオロメチルアクリレート化合物、β−トリフルオロメチルアクリレート化合物、α,β−トリフルオロメチルアクリレート化合物、1種類以上のビニル部位の水素原子がトリフルオロメチル基等のフッ素化アルキル基で置換された化合物等が挙げられる。
【0142】
側鎖にフッ素化アルキル基が結合した構造を与える単量体としては、例えばノルボルネン等の脂環式オレフィン化合物の側鎖がフッ素化アルキル基を有する化合物、(メタ)アクリル酸の側鎖がフッ素化アルキル基を有する化合物、1種類以上のオレフィンの側鎖(二重結合を含まない部位)がフッ素化アルキル基を有する化合物等が挙げられる。
【0143】
主鎖と側鎖とにフッ素化アルキル基が結合した構造を与える単量体としては、例えばα−トリフルオロメチルアクリル酸、β−トリフルオロメチルアクリル酸、α,β−トリフルオロメチルアクリル酸等の側鎖がフッ素化アルキル基を有する化合物、主鎖構造としてビニル基を有する化合物の主鎖及び側鎖にフッ素化アルキル基が結合した化合物等が挙げられる。
【0144】
[D]重合体は、下記式(D−1)で表される構造単位(D1)及び/又は式(D−2)で表される構造単位(D2)を有することが好ましい。また、[D]重合体は、構造単位(D1)及び(D2)以外の他の構造単位を有してもよい。なお、[D]重合体は、各構造単位を1種又は2種以上有していてもよい。以下、各構造単位について説明する。
【0145】
[構造単位(D1)]
構造単位(D1)は、下記式(D−1)で表される構造単位である。
【0147】
上記式(D−1)中、R
Gは、水素原子、フッ素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基である。R
12は、フッ素原子を有する炭素数1〜6の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基又はフッ素原子を有する炭素数4〜20の1価の脂環式基である。但し、上記アルキル基及び脂環式基が有する水素原子の一部又は全部は、置換されていてもよい。
【0148】
上記R
12で表されるフッ素原子を有する炭素数1〜6の直鎖状又は分岐状のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等の炭素数1〜6の直鎖状又は分岐状のアルキル基が有する水素原子の一部又は全部がフッ素原子で置換された基等が挙げられる。
【0149】
上記R
12で表されるフッ素原子を有する炭素数4〜20の1価の脂環式基としては、例えばシクロペンチル基、シクロペンチルプロピル基、シクロヘキシル基、シクロヘキシルメチル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロオクチルメチル基等の炭素数4〜20の1価の脂環式基が有する水素原子の一部又は全部がフッ素原子で置換された基等が挙げられる。
【0150】
構造単位(D1)を与える単量体としては、例えばトリフルオロメチル(メタ)アクレート、2,2,2−トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、パーフルオロエチル(メタ)アクリレート、パーフルオロn−プロピル(メタ)アクリレート、パーフルオロi−プロピル(メタ)アクリレート、パーフルオロn−ブチル(メタ)アクリレート、パーフルオロi−ブチル(メタ)アクリレート、パーフルオロt−ブチル(メタ)アクリレート、パーフルオロシクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−(1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ)プロピル(メタ)アクリレート、1−(2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロ)ペンチル(メタ)アクリレート、1−(2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロ)ヘキシル(メタ)アクリレート、パーフルオロシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、1−(2,2,3,3,3−ペンタフルオロ)プロピル(メタ)アクリレート、1−(2,2,3,3,4,4,4−ヘプタフルオロ)ペンタ(メタ)アクリレート、1−(3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,10−ヘプタデカフルオロ)デシル(メタ)アクリレート、1−(5−トリフルオロメチル−3,3,4,4,5,6,6,6−オクタフルオロ)ヘキシル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの中で、2,2,2−トリフルオロエチル(メタ)アクリレートが好ましい。
【0151】
[構造単位(D2)]
構造単位(D2)は、下記式(D−2)で表される構造単位である。
【0153】
上記式(D−2)中、R
Hは、水素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基である。R
13は、(k+1)価の連結基である。kは、1〜3の整数である。X’は、カルボニル基又はフッ素原子を有する2価の連結基である。R
14は、水素原子又は1価の有機基である。但し、kが2又は3の場合、複数のX’及びR
14はそれぞれ同一でも異なっていてもよい。
【0154】
上記R
13で表される(k+1)価の連結基としては、例えば炭素数1〜30の直鎖状又は分岐状の炭化水素基、炭素数3〜30の脂環式基、炭素数6〜30の芳香族基、又はこれらの基と酸素原子、硫黄原子、エステル基、カルボニル基、イミノ基及びアミド基からなる群より選ばれる1種以上の基とを組み合わせた基等が挙げられる。また、上記(k+1)価の連結基は置換基を有してもよい。
【0155】
上記炭素数1〜30の直鎖状又は分岐状の炭化水素基としては、例えばメタン、エタン、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、デカン、イコサン、トリアコンタン等の炭化水素基から(k+1)個の水素原子を除いた基等が挙げられる。
【0156】
上記炭素数3〜30の脂環式炭化水素基としては、例えば、
シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、シクロデカン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン等の単環式飽和炭化水素;
シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロヘプテン、シクロオクテン、シクロデセン、シクロペンタジエン、シクロヘキサジエン、シクロオクタジエン、シクロデカジエン等の単環式不飽和炭化水素;
ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、ビシクロ[2.2.2]オクタン、トリシクロ[5.2.1.0
2,6]デカン、トリシクロ[3.3.1.1
3,7]デカン、テトラシクロ[6.2.1.1
3,6.0
2,7]ドデカン、アダマンタン等の多環式飽和炭化水素;
ビシクロ[2.2.1]ヘプテン、ビシクロ[2.2.2]オクテン、トリシクロ[5.2.1.0
2,6]デセン、トリシクロ[3.3.1.1
3,7]デセン、テトラシクロ[6.2.1.1
3,6.0
2,7]ドデセン等の多環式不飽和炭化水素から(k+1)個の水素原子を除いた基等が挙げられる。
【0157】
上記炭素数6〜30の芳香族炭化水素基としては、例えばベンゼン、ナフタレン、フェナントレン、アントラセン、テトラセン、ペンタセン、ピレン、ピセン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、メシチレン、クメン等の芳香族炭化水素から(k+1)個の水素原子を除いた基等が挙げられる。
【0158】
上記これらの基と酸素原子、硫黄原子、エステル基、カルボニル基、イミノ基及びアミド基からなる群より選ばれる1種以上の基とを組み合わせた基としては、例えば、ジアルキルエーテル、ジアルキルチオエーテル、カルボン酸アルキルエステル、ラクトン、ケトン、アミン、カルボン酸アルキルアミド等から(k+1)個の水素原子を除いた基等が挙げられる。
【0159】
上記X’で表されるフッ素原子を有する2価の連結基としては、例えばフッ素原子を有する炭素数1〜20の2価の直鎖状炭化水素基、カルボニル基を含みフッ素原子を有する炭素数1〜20の2価の直鎖状炭化水素基等が挙げられる。上記フッ素原子を有する2価の直鎖状炭化水素基としては、例えば下記式(X−1)〜(X−6)で表される基等が挙げられ、上記カルボニル基を含みフッ素原子を有する2価の直鎖状炭化水素基としては、例えば下記式(X−7)で表される基等が挙げられる。
【0161】
X’としては、カルボニル基、上記式(X−7)で表される基が好ましい。
【0162】
上記R
14で表される1価の有機基としては、例えば炭素数1〜30の直鎖状又は分岐状の炭化水素基、炭素数3〜30の脂環式炭化水素基、炭素数6〜30の芳香族炭化水素基、炭素数1〜30の直鎖状又は分岐状のフッ素化炭化水素基、炭素数3〜30のフッ素化脂環式炭化水素基、炭素数6〜30のフッ素化芳香族炭化水素又はこれらの基と酸素原子、硫黄原子、エーテル基、エステル基、カルボニル基、イミノ基及びアミド基からなる群より選ばれる1種以上の基とを組み合わせた基等が挙げられる。
【0163】
構造単位(D2)を与える単量体としては、例えば(メタ)アクリル酸2−(1−エトキシカルボニル−1,1−ジフルオロ)ブチルエステル、(メタ)アクリル酸2−(1−(2,2,2−トリフルオロエトキシカルボニル)−1,1−ジフルオロ)ブチルエステル、(メタ)アクリル酸(1,1,1−トリフルオロ−2−トリフルオロメチル−2−ヒドロキシ−3−プロピル)エステル、(メタ)アクリル酸(1,1,1−トリフルオロ−2−トリフルオロメチル−2−ヒドロキシ−4−ブチル)エステル、(メタ)アクリル酸(1,1,1−トリフルオロ−2−トリフルオロメチル−2−ヒドロキシ−5−ペンチル)エステル、(メタ)アクリル酸(1,1,1−トリフルオロ−2−トリフルオロメチル−2−ヒドロキシ−4−ペンチル)エステル、(メタ)アクリル酸2−{[5−(1’,1’,1’−トリフルオロ−2’−トリフルオロメチル−2’−ヒドロキシ)プロピル]ビシクロ[2.2.1]ヘプチル}エステル、(メタ)アクリル酸(1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロポキシカルボニル−2−ノルボルナンラクトニル)エステル等が挙げられる。これらの中で、(メタ)アクリル酸2−(1−(2,2,2−トリフルオロエトキシカルボニル)−1,1−ジフルオロ)ブチルエステル、(メタ)アクリル酸(1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロポキシカルボニル−2−ノルボルナンラクトニル)エステルが好ましい。
【0164】
[D]重合体の含有量としては、[A]重合体100質量部に対して、0.01質量部〜15質量部が好ましく、0.1質量部〜10質量部がより好ましく、0.5質量部〜10質量部がさらに好ましく、1質量部〜8質量部が特に好ましい。[D]重合体の含有量を上記範囲とすることで、当該フォトレジスト組成物から形成されるレジスト膜表面の疎水性がより向上し、より液浸露光に好適となる。[D]重合体の含有量が上記下限未満だと、液浸露光における高速スキャンが困難になる場合がある。[D]重合体の含有量が上記上限を超えると、当該フォトレジスト組成物のパターン形成性が低下する場合がある。
【0165】
<[E]溶媒>
当該フォトレジスト組成物は、通常[E]溶媒を含有する。[E]溶媒としては、[A]重合体、及び必要に応じて加えられる任意成分を溶解又は分散できれば特に限定されない。[E]溶媒としては、例えば、アルコール系溶媒、ケトン系溶媒、アミド系溶媒、エーテル系溶媒、エステル系溶媒、炭化水素系溶媒、含ハロゲン系溶媒、及びこれらの混合溶媒等が挙げられる。
【0166】
アルコール系溶媒としては、例えば
メタノール、エタノール、n−プロパノール、iso−プロパノール、n−ブタノール、iso−ブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール、n−ペンタノール、iso−ペンタノール、2−メチルブタノール、sec−ペンタノール、tert−ペンタノール、3−メトキシブタノール、n−ヘキサノール、2−メチルペンタノール、sec−ヘキサノール、2−エチルブタノール、sec−ヘプタノール、3−ヘプタノール、n−オクタノール、2−エチルヘキサノール、sec−オクタノール、n−ノニルアルコール、2,6−ジメチル−4−ヘプタノール、n−デカノール、sec−ウンデシルアルコール、トリメチルノニルアルコール、sec−テトラデシルアルコール、sec−ヘプタデシルアルコール、フルフリルアルコール、フェノール、シクロヘキサノール、メチルシクロヘキサノール、3,3,5−トリメチルシクロヘキサノール、ベンジルアルコール、ジアセトンアルコール等のモノアルコール系溶媒;
エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、2,4−ペンタンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、2,5−ヘキサンジオール、2,4−ヘプタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコール等の多価アルコール系溶媒;
エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノ−2−エチルブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル等の多価アルコール部分エーテル系溶媒等が挙げられる。
【0167】
ケトン系溶媒としては、例えば、
アセトン、メチルエチルケトン、メチル−n−プロピルケトン、メチル−n−ブチルケトン、ジエチルケトン、メチル−iso−ブチルケトン、メチル−n−ペンチルケトン、エチル−n−ブチルケトン、メチル−n−ヘキシルケトン、ジ−iso−ブチルケトン、トリメチルノナノン等の鎖状ケトン系溶媒;
シクロペンタノン、シクロヘキサノン、シクロヘプタノン、シクロオクタノン、メチルシクロヘキサノン等の環状ケトン系溶媒;
2,4−ペンタンジオン、アセトニルアセトン、ジアセトンアルコール、アセトフェノン等が挙げられる。
【0168】
アミド系溶媒としては、例えば、
N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルプロピオンアミド等の鎖状アミド系溶媒;
N,N’−ジメチルイミダゾリジノン、N−メチルピロリドン等の環状アミド系溶媒等が挙げられる。
【0169】
エステル系溶媒としては、例えば、
酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸iso−プロピル、酢酸n−ブチル、酢酸iso−ブチル、酢酸sec−ブチル、酢酸n−ペンチル、酢酸sec−ペンチル、酢酸3−メトキシブチル、酢酸メチルペンチル、酢酸2−エチルブチル、酢酸2−エチルヘキシル、酢酸ベンジル、酢酸シクロヘキシル、酢酸メチルシクロヘキシル、酢酸n−ノニル等の酢酸エステル系溶媒;
アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル等のアセト酢酸エステル系溶媒;
エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート等の多価アルコール部分エーテルアセテート系溶媒;
ジ酢酸グリコール、酢酸メトキシトリグリコール、プロピオン酸エチル、プロピオン酸n−ブチル、プロピオン酸iso−アミル、シュウ酸ジエチル、シュウ酸ジ−n−ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸n−ブチル、乳酸n−アミル、マロン酸ジエチル、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル等;
γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン等のラクトン系溶媒;
ジエチルカーボネート、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等の炭酸エステル系溶媒等が挙げられる。
【0170】
炭化水素系溶媒としては、例えば、
n−ペンタン、iso−ペンタン、n−ヘキサン、iso−ヘキサン、n−ヘプタン、iso−ヘプタン、2,2,4−トリメチルペンタン、n−オクタン、iso−オクタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂肪族炭化水素系溶媒;
ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、エチルベンゼン、トリメチルベンゼン、メチルエチルベンゼン、n−プロピルベンゼン、iso−プロピルベンゼン、ジエチルベンゼン、iso−ブチルベンゼン、トリエチルベンゼン、ジ−iso−プロピルベンセン、n−アミルナフタレン等の芳香族炭化水素系溶媒等が挙げられる。
【0171】
含ハロゲン系溶媒としては、例えば、ジクロロメタン、クロロホルム、フロン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン等が挙げられる。
【0172】
これらの中で、ケトン系溶媒、エステル系溶媒が好ましく、環状ケトン系溶媒、多価アルコール部分エーテルアセテート系溶媒がより好ましく、シクロヘキサノン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートがさらに好ましい。[E]溶媒は、1種単独又は2種以上を混合して用いることができる。
【0173】
<その他の任意成分>
当該フォトレジスト組成物は、上記成分以外にも、例えば、脂環式骨格含有化合物、界面活性剤、増感剤等のその他の任意成分を含有してもよい。
【0174】
[脂環式骨格化合物]
脂環式骨格化合物は、当該フォトレジスト組成物のドライエッチング耐性、パターン形状、基板との接着性等を改善する作用を示す成分である。脂環式骨格化合物としては、例えば、1−アダマンタンカルボン酸等のアダマンタン誘導体類;デオキシコール酸t−ブチル等のデオキシコール酸エステル類;リトコール酸t−ブチルのリトコール酸エステル類;3−[2−ヒドロキシ−2,2−ビス(トリフルオロメチル)エチル]テトラシクロ[4.4.0.1
2,5.1
7,10]ドデカン等が挙げられる。
【0175】
[界面活性剤]
界面活性剤は当該フォトレジスト組成物の塗布性、ストリエーション、現像性等を改良する作用を示す成分である。界面活性剤としては、例えばポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンn−オクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンn−ノニルフェニルエーテル、ポリエチレングリコールジラウレート、ポリエチレングリコールジステアレート等のノニオン系界面活性剤等が挙げられる。界面活性剤の市販品としては、KP341(信越化学工業製)、ポリフローNo.75、同No.95(以上、共栄社化学製)、エフトップEF301、同EF303、同EF352(以上、トーケムプロダクツ製)、メガファックF171、同F173(以上、大日本インキ化学工業製)、フロラードFC430、同FC431(以上、住友スリーエム製)、アサヒガードAG710、サーフロンS−382、同SC−101、同SC−102、同SC−103、同SC−104、同SC−105、同SC−106(以上、旭硝子製)等が挙げられる。
【0176】
[増感剤]
増感剤は、放射線のエネルギーを吸収して、そのエネルギーを[B]酸発生体に伝達しそれにより酸の生成量を増加する作用を示すものであり、当該フォトレジスト組成物の「みかけの感度」を向上させる効果を有する。増感剤としては、例えばカルバゾール類、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、ナフタレン類、フェノール類、ビアセチル、エオシン、ローズベンガル、ピレン類、アントラセン類、フェノチアジン類等が挙げられる。
【0177】
<フォトレジスト組成物の調製方法>
当該フォトレジスト組成物は、例えば、[A]重合体、[B]酸発生体、[C]酸拡散制御体、[D]重合体及び必要に応じてその他の任意成分を所定の割合で、[E]溶媒に溶解させることにより調製することができる。当該フォトレジスト組成物は、上記調製後、例えば、孔径200nm程度のフィルターでろ過することが好ましい。当該フォトレジスト組成物の全固形分濃度としては、0.1質量%〜50質量%が好ましく、0.5質量%〜30質量%がより好ましく、1質量%〜15質量%がさらに好ましい。
【0178】
<レジストパターンの形成方法>
本発明のレジストパターンの形成方法は、
(1)当該フォトレジスト組成物を用いてレジスト膜を形成する工程(以下、「工程(1)」ともいう)、
(2)上記レジスト膜を露光する工程(以下、「工程(2)」ともいう)、及び
(3)上記露光されたレジスト膜を現像する工程(以下、「工程(3)」ともいう)
を有する。以下、各工程を詳述する。
【0179】
当該レジストパターン形成方法によれば、当該フォトレジスト組成物を用いるので、広い焦点深度を発揮しつつ、解像度が高く、矩形性に優れ、かつスカム発生が少ないレジストパターンを形成することができる。
【0180】
[工程(1)]
本工程では、当該フォトレジスト組成物を用い、レジスト膜を形成する。
レジスト膜を形成する基板としては、例えば、シリコンウエハー、二酸化シリコン、反射防止膜で被覆されたウエハー等の公知の基板を用いることができる。
フォトレジスト組成物を塗布する方法としては、例えば、回転塗布、流延塗布、ロール塗布等の公知の塗布方法が挙げられる。
得られた塗膜を上記塗布後に、ソフトベーク(SB)を行い、塗膜中の溶媒等を揮発させることが好ましい。SB温度としては、70℃〜160℃が好ましく、80℃〜140℃がより好ましい。SB時間としては、5秒〜600秒が好ましく、10秒〜300秒がより好ましい。
形成されるレジスト膜の膜厚としては、10nm〜1,000nmが好ましく、20nm〜500nmがより好ましく、30nm〜300nmがさらに好ましい。
【0181】
[工程(2)]
本工程では、工程(1)で形成されたレジスト膜を露光する。この露光は、露光光を、所定のパターンを有するマスクを通し、場合によっては、水等の液浸媒体を介して照射する。露光光としては、目的とするパターンの線幅に応じて、可視光線、紫外線、遠紫外線、X線、γ線、EUV(極端紫外線)等の電磁波;電子線、α線等の荷電粒子線等が挙げられる。これらの中で、遠紫外線、X線、γ線、電子線、EUVが好ましく、ArFエキシマレーザー光(波長193nm)、KrFエキシマレーザー光(波長248nm)、電子線、EUVがより好ましい。
次いで、ポストエクスポージャーベーク(PEB)を行うことが好ましい。このPEBにより、当該フォトレジスト組成物の[A]重合体の酸解離性基の脱離をより円滑に進行させることができる。PEB温度としては、フォトレジスト組成物の配合組成によって適宜選定することができるが、50℃〜180℃が好ましく、70℃〜150℃がより好ましい。PEB時間としては、5秒〜600秒が好ましく、10秒〜300秒がより好ましい。
【0182】
[工程(3)]
本工程では、工程(2)で露光されたレジスト膜を、現像液で現像することによりレジストパターンを形成する。現像後は、リンス液で洗浄し、乾燥することが一般的である。現像液としては、アルカリ現像の場合、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、アンモニア水、エチルアミン、n−プロピルアミン、ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、トリエチルアミン、メチルジエチルアミン、エチルジメチルアミン、トリエタノールアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)、ピロール、ピペリジン、コリン、1,8−ジアザビシクロ−[5.4.0]−7−ウンデセン、1,5−ジアザビシクロ−[4.3.0]−5−ノネン等のアルカリ性化合物の少なくとも1種を溶解したアルカリ水溶液等が挙げられる。これらの中で、TMAH水溶液が好ましい。また、有機溶媒現像の場合、例えば、上述したフォトレジスト組成物の[E]溶媒として例示した有機溶媒のうちの1種又は2種以上を用いることができる。これらの中で、ケトン系溶媒、エステル系溶媒、エーテル系溶媒が好ましく、鎖状ケトン系溶媒、酢酸エステル系溶媒、芳香環含有エーテル系溶媒がより好ましく、メチルn−ペンチルケトン、酢酸n−ブチル、アニソールがさらに好ましく、メチルn−ペンチルケトンが特に好ましい。上記リンス液としては、アルカリ現像の場合は水が、有機溶媒現像の場合は、有機溶媒、好ましくはアルコール系溶媒が通常用いられる。
【0183】
なお、液浸露光を行う場合は、工程(2)の前に、液浸液とレジスト膜との直接の接触を保護するために、液浸液不溶性の液浸用保護膜をレジスト膜上に設けてもよい。液浸用保護膜としては、工程(3)の前に溶媒により剥離する溶媒剥離型保護膜(例えば、特開2006−227632号公報等参照)、工程(3)の現像と同時に剥離する現像液剥離型保護膜(例えば、WO2005−069076号公報、WO2006−035790号公報等参照)のいずれを用いてもよい。
【0184】
<重合体>
本発明の重合体は、上記式(1)で表される構造単位(I)を有する。
【0185】
上記式(1)中、Rは、水素原子、フッ素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基である。Aは、少なくとも1個の硫黄原子を環構成原子として含む核原子数5〜30の1価の芳香族複素環基である。上記芳香族複素環基の水素原子の一部又は全部は置換されていてもよい。R
1及びR
2は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数3〜20のシクロアルキル基、炭素数6〜30のアリール基、炭素数7〜30のアラルキル基又は核原子数3〜30の1価の複素環基である。上記アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基及び複素環基の水素原子の一部又は全部は置換されていてもよい。R
1及びR
2、又はR
2及びAは、互いに結合して、それらが結合している炭素原子と共に環状構造を形成していてもよい。但し、R
1及びR
2の両方が水素原子である場合はない。
【0186】
当該重合体は、上記構造単位(I)を有している。そのため、この重合体の有する酸解離性基は解離性に優れ、かつ硫黄原子を含んでいる。従って、当該重合体は、フォトレジスト組成物の重合体成分として好適に用いることができ、フォトレジスト組成物の解像性、焦点深度等を優れたものにすることができる。
【0187】
本発明の化合物は、下記式(i)で表される化合物である。
【0188】
上記式(i)中、Rは、水素原子、フッ素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基である。Aは、少なくとも1個の硫黄原子を環構成原子として含む核原子数5〜30の1価の芳香族複素環基である。上記芳香族複素環基の水素原子の一部又は全部は置換されていてもよい。R
1及びR
2は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数3〜20のシクロアルキル基、炭素数6〜30のアリール基、炭素数7〜30のアラルキル基又は核原子数3〜30の1価の複素環基である。上記アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基及び複素環基の水素原子の一部又は全部は置換されていてもよい。R
1及びR
2、又はR
2及びAは、互いに結合して、それらが結合している炭素原子と共に環状構造を形成していてもよい。但し、R
1及びR
2の両方が水素原子である場合はない。
【0189】
当該化合物は、硫黄原子を環構成原子として含む基(A)を有する上記特定構造を有している。従って、当該化合物は、当該重合体を与える単量体として好適である。
【0190】
当該重合体及び当該化合物については、当該フォトレジスト組成物における[A]重合体の項で説明しているので、ここでは説明を省略する。
【実施例】
【0191】
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。各種物性値の測定方法を以下に示す。
【0192】
[Mw及びMn]
重合体のMw及びMnは、東ソー製のGPCカラム(G2000HXL 2本、G3000HXL 1本、G4000HXL 1本)を使用し、流量が1.0mL/分、溶出溶媒がテトラヒドロフラン、カラム温度が40℃の分析条件で、単分散ポリスチレンを標準とするゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)により測定した。また、分散度(Mw/Mn)は、Mw及びMnの測定結果より算出した。
【0193】
[
1H−NMR分析及び
13C−NMR分析]
化合物の
1H−NMR及び重合体の
13C−NMR分析は、核磁気共鳴装置(JNM−ECX400、日本電子製)を用い、測定溶媒として重クロロホルムを使用して行った。
【0194】
<化合物(i)の合成>
[実施例1](2−(2−チエニル)ブタン−2−イルメタクリレートの合成)
真空加熱により内部を十分に乾燥させた反応器を乾燥窒素で置換した後、3モル/Lのエチルマグネシウムブロミド・ジエチルエーテル溶液133mL(0.4モル)、及びTHF300mLを加え、−20℃に冷却した。そこへアセチルチオフェン37.85g(0.3モル)を内温が上昇しないようにゆっくり滴下し、滴下終了後、2時間攪拌した。反応終了後、反応液に、1N塩酸200mL及び飽和食塩水200mLを加えてから、分液操作により有機層を回収した。有機層をエバポレーターを用いて減圧濃縮することにより粗生成物31gを得た。この粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、2−(2−チエニル)ブタン−2−オール26.3g(純度95%)を得た。
【0195】
真空加熱により内部を十分に乾燥させた反応器を乾燥窒素で置換した後、上記得られた2−(2−チエニル)ブタン−2−オール26.3g(0.17モル)、ジクロロメタン200mL、及び1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO)22.75g(0.203モル)を加え、0℃に冷却した。そこへメタクリロイルクロリド22.52g(0.177モル)を反応液の温度が上昇しないようにゆっくり加え、滴下終了後、2時間攪拌した。反応終了後、反応液に、超純水200mL及び飽和シュウ酸水溶液50mLを加えて攪拌し、分液操作により有機層を回収した。得られた有機層をエバポレーターを用いて減圧濃縮することにより、粗生成物22.0gを得た。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、下記式(i−1)で表されるの2−(2−チエニル)ブタン−2−イルメタクリレート19.6g(純度96%)を得た。
【0196】
【化21】
【0197】
1H−NMR(CDCl
3)δ:0.90(t,3H,CH
3)、1.63(s,3H,CH
3)、1.89(q,2H,CH
2)、1.94(s,3H,CH
3)、5.58(s,1H,C=CH
2)、6.00(s,1H,C=CH
2)、6.9−7.2(m,3H,C
4H
3S)
【0198】
[実施例2](1−(2−チエニル)エタン−1−イルメタクリレート)の合成
真空加熱により内部を十分に乾燥させた反応器を乾燥窒素で置換した後、1−(2−チエニル)エタノール12.8g(0.1モル)、ジクロロメタン100mL及び1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO)13.46g(0.12mol)を加え、0℃に冷却した。そこへメタクリロイルクロリド13.33g(0.105モル)を反応液の温度が上昇しないようにゆっくり加え、滴下終了後、2時間攪拌した。反応終了後、反応液に、超純水100mL及び飽和シュウ酸水溶液30mLを加えて攪拌し、分液操作により有機層を回収した。得られた有機層をエバポレーターにより減圧濃縮することにより、粗生成物13.0gを得た。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、1−(2−チエニル)エタン−1−イルメタクリレート11.9g(純度96%)を得た。
【0199】
【化22】
【0200】
1H−NMR(CDCl
3)δ:1.50(s,3H,CH
3)、1.95(s,3H,CH
3)、5.40(dd,1H,CH)、5.60(s,1H,C=CH
2)、5.99(s,1H,C=CH
2)、6.9−7.2(m,3H,C
4H
3S)
【0201】
<[A]重合体及び[D]重合体の合成>
[A]重合体及び[D]重合体の合成に用いた単量体を以下に示す。
【0202】
【化23】
【0203】
なお上記化合物(i−1)及び(i−2)は構造単位(I)を、化合物(M−1)〜(M−3)及び(M−11)は構造単位(II)を、化合物(M−4)及び(M−5)は構造単位(III)を、化合物(M−6)は構造単位(IV)を、化合物(M−7)は構造単位(V)を、化合物(M−12)は構造単位(VI)を、化合物(M−8)及び(M−9)は構造単位(D2)を、化合物(M−10)は構造単位(D1)をそれぞれ与える。
【0204】
[[A]重合体の合成]
[実施例3](重合体(A−1)の合成)
100mLのフラスコに、上記化合物(i−1)4.96g、化合物(M−4)9.82g、化合物(M−6)5.22g、及び溶媒としてのメチルエチルケトン60gを加え窒素置換した。重合開始剤としてAIBN0.44gを加え、80℃まで昇温し、6時間重合反応を行った。この重合反応液を常温まで冷却した後、400gのメタノール中に投入して重合体を沈殿させ、得られた白色固体をろ取し、60℃で15時間減圧乾燥することにより、白色固体の重合体(A−1)13.2gを得た。この重合体(A−1)は、Mwが8,300であり、Mw/Mnが1.55であった。また、
13C−NMR分析の結果、(i−1)に由来する構造単位、(M−4)に由来する構造単位及び(M−6)に由来する構造単位の含有割合はそれぞれ25.5モル%、51.8モル%、22.7モル%であった。
【0205】
[実施例4〜9並びに合成例1及び2]
下記表2に示す種類の各単量体を用いた以外は、実施例3と同様にして、重合体(A−2)〜(A−7)並びに(a−1)及び(a−2)を合成した。なお、実施例8及び9並びに合成例2においては、重合反応後、得られた各重合体に、プロピレングリコールモノメチルエーテル10g、メタノール20g及びトリエチルアミン7gを加えて、沸点で還流させながら、8時間エステル交換反応を行うことにより、上記化合物(M−7)に由来する構造単位が有するアセチル基を解離させ、フェノール性水酸基を生成させた。反応後、溶媒及びトリエチルアミンを減圧留去し、得られた重合体をアセトンに溶解した後、大量の水中に滴下して凝固させ、生成した白色固体をろ過した後、60℃で15時間減圧乾燥することにより、それぞれの重合体を得た。表2中の「−」は該当する単量体を用いなかったことを示す。得られた重合体のMw、Mw/Mn及び各単量体に由来する構造単位の含有割合の値を表1に合わせて示す。
【0206】
【表1】
【0207】
[[D]重合体の合成]
[合成例3](重合体(D−1)の合成)
上記化合物(M−8)3.8g及び化合物(M−11)1.2gを2−ブタノン10gに溶解させ、さらにAIBN0.09gを溶解させた溶液を100mLの三口フラスコに仕込んだ。30分窒素パージした後、反応釜を攪拌しながら80℃に加熱し、加熱開始時を重合開始時間とし、重合反応を6時間実施した。重合終了後、重合反応液を水冷することにより30℃以下に冷却し、エバポレーターにて重合反応液の質量が12.5gになるまで減圧濃縮した。この濃縮した重合反応液を、0℃に冷却したn−ヘキサン75g中へゆっくり投入し、固形分を析出させた。この固形分をろ取してからn−ヘキサンで洗浄し、得られた粉体を40℃で15時間真空乾燥することにより、白色粉体の重合体(D−1)3.75gを得た(収率75%)。この重合体(D−1)のMwは9,400であり、Mw/Mnは1.50であった。また、
13C−NMR分析の結果、(M−8)に由来する構造単位及び(M−11)に由来する構造単位の各含有割合は、それぞれ68.5モル%及び31.5モル%であり、重合体(D−1)のフッ素原子含有率は21.4質量%であった。
【0208】
[合成例4](重合体(D−2)の合成)
単量体化合物として、上記化合物(M−9)4.06g及び化合物(M−11)0.94gを用い、AIBNの量を0.07gとした以外は、合成例3と同様にして、白色粉体の重合体(D−2)3.5gを得た(収率70%)。この重合体(D−2)のMwは11,400、Mw/Mnは1.50であった。また、
13C−NMR分析の結果、(M−9)に由来する構造単位及び(M−11)に由来する構造単位の各含有割合は、それぞれ70.9モル%及び29.1モル%であり、重合体(D−2)のフッ素原子含有率は19.4質量%であった。
【0209】
[合成例5](重合体(D−3)の合成)
単量体として、上記化合物(M−10)1.42g及び化合物(M−1)3.58gを用い、AIBNの量を0.14gとした以外は、合成例3と同様にして、白色粉体の重合体(D−3)3.85gを得た(収率77%)。この重合体(D−3)のMwは7,400であり、Mw/Mnは1.50であった。また、
13C−NMR分析の結果、(M−10)に由来する構造単位及び(M−1)に由来する構造単位の各含有割合は、それぞれ30.5モル%及び69.5モル%であり、重合体(D−3)のフッ素原子含有率は10.3質量%であった。
【0210】
<フォトレジスト組成物の調製>
[A]重合体及び[D]重合体以外のフォトレジスト組成物を構成する成分について以下に示す。
【0211】
([B]酸発生剤)
以下に各化合物の構造式を示す。
B−1:トリフェニルスルホニウム1−アダマンチルオキシカルボニル−1,1−ジフルオロメタンスルホネート
B−2:トリフェニルスルホニウム2−(1−アダマンチルカルボニルオキシ)−1,1,3,3,3−ペンタフルオロプロパン−1−スルホネート
B−3:1−(4−n−ブトキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウム1−アダマンチルオキシカルボニル−1,1−ジフルオロメタンスルホネート
B−4:トリフェニルスルホニウム10−カンファースルホネート
B−5:トリフェニルスルホニウム2−(1−アダマンチル)−1,1−ジフルオロエタンスルホネート
B−6:トリフェニルスルホニウム6−(1−アダマンチルカルボニルオキシ)−1,1,2,2−テトラフルオロヘキサンスルホネート
【0212】
【化24】
【0213】
([C]酸拡散制御剤)
以下に各化合物の構造式を示す。
C−1:N−2−ウンデシルカルボニルオキシエチルモルホリン
C−2:N−t−アミルオキシカルボニル−4−ヒドロキシピペリジン
【0214】
【化25】
【0215】
([E]溶媒)
E−1:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
E−2:シクロヘキサノン
【0216】
[実施例10]
[A]重合体としての(A−1)100質量部、[B]酸発生剤としての(B−1)10.5質量部、[C]酸拡散制御剤としての(C−1)3.6質量部、[D]重合体としての(D−1)5.0質量部並びに[E]溶媒としての(E−1)2,800質量部及び(E−2)1,200質量部を混合することにより、フォトレジスト組成物(J−1)を調製した。
【0217】
[実施例11〜29並びに比較例1及び2]
下記表2及び表3に示す種類及び配合量の各成分を用いた以外は、実施例10と同様にして、フォトレジスト組成物(J−2)〜(J−20)並びに(CJ−1)及び(CJ−2)を調製した。
【0218】
【表2】
【0219】
【表3】
【0220】
<評価>
上記実施例及び比較例で調製したフォトレジスト組成物を用い、ArFエキシマレーザー光を用いた液浸露光(実施例10〜21及び比較例1)及び電子線を用いた露光(実施例22〜29及び比較例2)の場合のそれぞれについて、レジストパターンを形成して、下記に示す評価を行った。得られた評価結果を下記表4及び表5に示す。
【0221】
[ArFエキシマレーザー光を用いた液浸露光による評価]
[レジストパターンの形成]
12インチのシリコンウェハ上に、下層反射防止膜形成用組成物(ARC66、日産化学製)を、塗布/現像装置(Lithius Pro−i、東京エレクトロン製)を使用してスピンコートした後、205℃で60秒間ベークを行うことにより膜厚105nmの下層反射防止膜を形成した。次に、塗布/現像装置(CLEAN TRACK ACT12、東京エレクトロン製)を使用してフォトレジスト組成物をスピンコートし、100℃で50秒間SBを行った後、23℃で30秒間冷却することにより膜厚90nmのレジスト膜を形成した。
次いで、ArF液浸露光装置(S610C、NIKON製)を使用し、NA:1.30、Outerσ/innerσ=0.977/0.782、Dipole、v偏光照明の光学条件にて、40nmライン/80nmピッチのBrightField(BF)パターンを投影するためのマスクを介して露光した(以下、マスクによって投影されるパターンの寸法をそのマスクの「投影パターン寸法」という。例えば、投影パターン寸法が40nmライン/80nmピッチのマスクとは40nmライン/80nmピッチのパターンを投影するためのマスクのことをいう。また、BrightFieldとは、パターン周辺部位がマスクで覆われておらず、投影光が透過するタイプのマスクでパターンを形成されたものをいう)。上記塗布/現像装置のホットプレート上で、表4に示すPEB温度で50秒間PEBを行った後、現像ユニットのGPノズルにて、2.38質量%TMAH水溶液を現像液として10秒間パドル現像した後、超純水でリンスした。その後、2,000rpm、15秒間振り切りでスピンドライすることにより、レジストパターンを得た。このとき、40nmライン/80nmピッチのレジストパターンが形成される露光量を最適露光量(Eop(1))とし、これを感度(mJ/cm
2)とした。なお、レジストパターンの測長には、半導体用走査型電子顕微鏡(CG−4100、日立製作所製)を使用した。
【0222】
[焦点深度]
上記Eop(1)において、露光時のフォーカスを0.15μmの間隔でプラス方向、マイナス方向へそれぞれずらしていった際のパターンサイズを測定し、そのサイズが36nm〜44nm(40nmの上下10%以内)に収まる範囲を焦点深度(μm)とした。
【0223】
[解像性]
パターンを投影するためのマスクサイズを39nmライン/78nmピッチ(39nmL/S)、38nmライン/76nmピッチ(38nmL/S)・・・と1nm刻みで小さくしていき、投影したパターンがレジストパターンとして形成される最小サイズである限界解像度(nm)を測定し、解像性の指標とした。
【0224】
[パターン形状の矩形性]
上記Eop(1)にて形成された40nmライン/80nmピッチのレジストパターンの断面形状を測長SEM(S−4800、日立ハイテクノロジーズ製)を使用して観察し、ライン部のレジスト膜表面における線幅Laと、レジスト膜の厚さ方向の中間部における線幅Lbとを測定し、これらから、(La/Lb)の値を算出した。La/Lbの値が、0.90≦(La/Lb)≦1.1の場合はパターン形状の矩形性は「良好」と、(La/Lb)<0.90の場合は「トップラウンド」と、1.1<(La/Lb)の場合は「T−top」であると評価した。
【0225】
[スカム抑制性]
上記[パターン形状の矩形性]の評価におけるレジストパターンの観察の際に、露光部におけるレジスト膜の溶けのこりの有無を調べた。溶け残りが認められなかった場合は、スカム抑制性は「良好」と、溶け残りが認められた場合は、スカム抑制性は「不良」と評価した。
【0226】
【表4】
【0227】
表4の結果から明らかなように、ArFエキシマレーザー光を用いた露光の場合に、実施例のフォトレジスト組成物は、比較例のものに比べて、焦点深度、解像性及びスカム抑制性に優れるといえる。
【0228】
[電子線を用いた露光による評価]
[レジストパターンの形成]
12インチのシリコンウェハ上に、下層反射防止膜形成用組成物(ARC29、日産化学社製)を、塗布/現像装置(CLEAN TRACK ACT8、東京エレクトロン製)を使用してスピンコートした後、205℃で60秒間ベークを行うことにより膜厚78nmの下層反射防止膜を形成した。次に、上記塗布/現像装置を使用してフォトレジスト組成物をスピンコートし、100℃で60秒間SBを行った後、23℃で30秒間冷却することにより膜厚100nmのレジスト膜を形成した。
次いで、簡易型の電子描画装置(HL800D、日立製作所製、出力50KeV、電流密度5.0A/cm
2)を用い、150nmライン/300nmピッチのレジストパターン形成用のマスクパターンを用いて、上記レジスト膜に電子線を照射した。上記塗布/現像装置のホットプレート上で下記表5に示すPEB温度で60秒間PEBを行った後、現像ユニットのGPノズルにて、2.38質量%TMAH水溶液を現像液として10秒間パドル現像した後、超純水でリンスした。その後、2,000rpm、15秒間振り切りでスピンドライすることにより、レジストパターンを得た。このとき、150nmライン/300nmピッチのレジストパターンが形成される露光量を最適露光量(Eop(2))とし、これを感度(μC/cm
2)とした。なお、パターンの測長には、半導体用走査型電子顕微鏡(S9380、日立製作所製)を使用した。
【0229】
[解像性]
パターンを投影するためのマスクサイズを140nmライン/280nmピッチ(140nmL/S)、130nmライン/260nmピッチ(130nmL/S)・・・と10nm刻みで小さくしていき、投影したパターンがレジストパターンとして形成される最小サイズである限界解像度(nm)を測定し、解像性の指標とした。
【0230】
[パターン形状の矩形性]
上記Eop(2)にて形成された150nmライン/300nmピッチのレジストパターンの断面形状を、上記[ArFエキシマレーザー光を用いた液浸露光による評価]におけるパターン形状の矩形性の評価方法と同様にして評価を行った。
【0231】
【表5】
【0232】
表5の結果から明らかなように、電子線を用いた露光の場合に、実施例のフォトレジスト組成物は比較例のものに比べて、解像性及びパターン形状の矩形性に優れるといえる。