(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
発光面を有し前記発光面から発光する有機エレクトロルミネッセンス素子と、前記有機エレクトロルミネッセンス素子の前記発光面側に設けられる出光面構造層とを備える面光源装置であって、
前記出光面構造層は、前記有機エレクトロルミネッセンス素子とは反対側の表面に、相対的に窪んだ凹部と相対的に突出した凸部とを、前記表面に対して平行な面内方向において交互に有し、
隣り合う前記凹部の底と前記凸部の先端との、前記面光源装置の厚み方向における距離が、標準偏差0.05μm以上の範囲で不揃いになっている、面光源装置。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、実施形態及び例示物等を示して本発明について詳細に説明するが、本発明は以下に説明する実施形態及び例示物等に限定されるものではなく、本願の請求の範囲及びその均等の範囲を逸脱しない範囲において任意に変更して実施できる。また、以下で示す図のうち、断面図においては隣り合う凹凸の高低差(後述する)Hの不揃いの程度を強調して示すが、本発明において不揃いの程度は図示した寸法に制限されるものではない。
【0013】
〔1.第一実施形態〕
図1及び
図2はいずれも本発明の第一実施形態に係る面光源装置を説明する図であって、
図1は面光源装置を模式的に示す斜視図であり、
図2は
図1に示す面光源装置を線1a−1bを通り出光面に対して垂直な面で切断した断面を模式的に示す断面図である。
【0014】
図1に示すように、本発明の第一実施形態に係る面光源装置10は、矩形の平板状の構造を有する装置であり、有機EL素子140を備える。有機EL素子140は、少なくとも第一の電極層141、発光層142及び第二の電極層143を前記の順に備え、その表面144及び145のうち少なくとも一方の表面から発光できるようになっている。本実施形態では、第一の電極層141が透明電極となり、第二の電極層143が反射電極となっているものとする。このため、発光層142からの光は、第一の電極層141を透過するか、又は、第二の電極層143で反射されてから発光層142及び第一の電極層141を透過して、表面144から発光できるようになっている。したがって、以下の説明においては表面144を「発光面」と呼ぶ。
【0015】
有機EL素子140の発光面144側には出光面構造層100が設けられている。本実施形態では、出光面構造層100は発光面144に接するように直接に設けられているものとする。
【0016】
さらに、本実施形態の面光源装置10は上述した部材以外にも構成要素を備えていてもよい。本実施形態では、有機EL素子140の図中下側の面145に封止基材151が設けられているものとする。なお、図示を省略するが、表面145と封止基材151との間には、充填材や接着剤等の任意の物質が存在していてもよいし、空隙が存在していてもよい。空隙には、発光層142の耐久性を大きく損なう等の不都合がない限りは空気やその他の気体が存在してもよいし、空隙内を真空としてもよい。
【0017】
したがって、面光源装置10は、封止基材151、有機EL素子140及び出光面構造層100をこの順に備え、出光面構造層100における有機EL素子140とは反対側の表面10Uから出光できるようになっている。なお、前記の表面10Uは面光源装置10の最も外側に位置し、この表面10Uから面光源装置10の外部へ光が出光することになるため、表面10Uを「出光面」と呼ぶ。
【0018】
〔1−1.有機EL素子〕
例えば有機EL素子140として例示するように、有機EL素子は、通常、2層以上の電極層と、これらの電極層間に設けられ、電極から電圧を印加されることにより発光する発光層と、を備える。
【0019】
有機EL素子は、基板上に有機EL素子を構成する電極、発光層等の層を形成し、さらにそれらの層を覆う封止部材を設け、基板と封止部材で発光層等の層を封止した構成とされるのが一般的である。通常、ここでいう基板側から出光する有機EL素子はボトムエミッション型と呼ばれ、封止部材側から出光する有機EL素子はトップエミッション型と呼ばれる。面光源装置10に設けられる有機EL素子140は、これらのいずれであってもよい。ボトムエミッション型の場合、通常は、前記の基板と、さらに必要に応じて任意の層とを含む組み合わせが出光面構造層を構成する。他方、トップエミッション型の場合、通常は、封止部材等の出光面側の構造体と、さらに必要に応じて任意の層とを含む組み合わせが出光面構造層を構成する。
【0020】
発光層としては、特に限定されず既知のものを適宜選択することができる。発光層中の発光材料は1種類に限らず、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。また、発光層は1層に限られず、光源としての用途に適合すべく、一種の層単独又は複数種類の層の組み合わせとすることができる。これにより、白色又はそれに近い色の光を発光するものとしうる。
【0021】
有機EL素子の電極は、特に限定されず既知のものを適宜選択することができる。第一実施形態にかかる有機EL素子140のように、出光面構造層100側の電極141を透明電極とし、反対側の電極143を反射電極とすることにより、出光面構造層100側に向けて発光面144から発光する有機EL素子とすることができる。また、両方の電極141及び143を透明電極とし、さらに出光面構造層100と反対側に反射部材または散乱部材(例えば、空気層を介して配置される白色散乱部材等)を有することにより、出光面構造層100側への発光を達成することもできる。
【0022】
有機EL素子140はさらに、電極141と電極143との間に、発光層142に加えてホール注入層、ホール輸送層、電子輸送層、及び電子注入層等の他の層(図示せず。)をさらに有していてもよい。また、有機EL素子140はさらに、電極141及び143に通電するための配線、発光層142の封止のための周辺構造等の任意の構成要素を備えていてもよい。
【0023】
電極及びその間に設ける層を構成する材料としては、特に限定されないが、具体例として下記のものを挙げることができる。
透明電極の材料としては、ITO(酸化インジウムスズ)等を挙げることができる。
正孔注入層の材料としては、スターバースト系芳香族ジアミン化合物等を挙げることができる。
正孔輸送層の材料としては、トリフェニルジアミン誘導体等を挙げることができる。
黄色発光層のホスト材料としては、トリフェニルジアミン誘導体等を挙げることができ、黄色発光層のドーパント材料としては、テトラセン誘導体等を挙げることができる。
緑色発光層の材料としては、ピラゾリン誘導体等を挙げることができる。
青色発光層のホスト材料としては、アントラセン誘導体等を挙げることができ、青色発光層のドーパント材料としては、ペリレン誘導体等を挙げることができる。
赤色発光層の材料としては、ユーロピウム錯体等を挙げることができる。
電子輸送層の材料としては、アルミニウムキノリン錯体(Alq)等を挙げることができる。
反射電極の材料としては、フッ化リチウムおよびアルミニウムをそれぞれ用い、これらを順次真空成膜により積層させたもの等を挙げることができる。
【0024】
上記のもの又はその他の発光層を適宜組み合わせて積層型又はタンデム型と呼ばれる、補色関係にある発光色を発生する発光層を得ることができる。補色関係の組み合わせは、黄/青、又は緑/青/赤等とすることができる。
【0025】
〔1−2.出光面構造層〕
出光面構造層100は、有機EL素子140の発光面144に設けられた層である。出光面10Uは、出光面構造層100における有機EL素子140とは反対側の表面である。この出光面10Uは面光源装置10の最表面に露出した面であり、面光源装置10としての出光面、即ち、面光源装置10から装置外部に光が出光する際の出光面である。
【0026】
出光面10Uは、巨視的に見ると、有機EL素子140の発光面144に対して平行な面であり、面光源装置10の主面に対して平行である。しかし、出光面10Uは、微視的に見ると、後述する凹凸構造を有するため、凹部又は凸部上の面は発光面144に対して非平行な角度をなしうる。そこで、以下の説明において、出光面に対して平行又は垂直であるとは、別に断らない限り、凹部又は凸部を無視して巨視的に見た出光面に対して平行又は垂直であることをいう。また、面光源装置10は、別に断らない限り、かかる出光面10Uが水平方向に対して平行で且つ上向きになるよう載置した状態で説明する。
さらに、構成要素が「平行」又は「垂直」であるとは、本発明の効果を損ねない範囲、例えば±5°の範囲内で誤差を含んでいてもよい。
【0027】
出光面構造層100は、凹凸構造層111及び基材フィルム層112を含む複層体110と、基板としての支持基板131と、複層体110及び支持基板131を接着する接着層121とを備える。
凹凸構造層111は、面光源装置10の上面(即ち面光源装置10の出光面側の最外層)に位置する層である。この凹凸構造層111は、複数の凹部113と、凹部113の周囲に位置する平坦部114とを含む凹凸構造を有する。ここで、前記の凹部113は平坦部114に比べて相対的に窪んでいる部分であるため本発明に係る凹部に当たり、平坦部114は凹部113に比べて相対的に突出しているため本発明に係る凸部に当たる。そして、当該凹凸構造により、出光面10Uが規定される。
【0028】
なお、本明細書においては、図面は模式的な図示であるため、出光面10U上には僅かな個数の凹部113のみを示しているが、実際の面光源装置においては、一枚の面光源装置の出光面上に、これよりも遥かに多い数の凹部を設けることができる。
【0029】
(凹凸構造の説明)
以下、出光面10Uの凹凸構造について、図面を参照して詳細に説明する。
図3は、面光源装置10の出光面10Uの一部を、面光源装置10の厚み方向から見た様子を拡大して模式的に示す部分平面図である。また、
図4は、凹凸構造層111を、
図3の線3aを通り出光面10Uに対して垂直な面で切断した断面を模式的に示す部分断面図である。なお、以下の説明において、特に断らない限り、「厚み方向」とは面光源装置の厚み方向を表す。
【0030】
図3に示すように、出光面構造層100は、出光面10Uに、斜面11A〜11Dを含む複数の凹部113と、凹部113の周囲に位置する平坦部114とを含む。ここで「斜面」とは、出光面10Uに対して平行でない角度をなす面である。他方、平坦部114上の面は、出光面10Uに対して平行で平坦な面となっている。
【0031】
複数の凹部113のぞれぞれは正四角錐形状の窪みである。したがって、凹部113の斜面11A〜11Dは同一の形状であり、前記正四角錐の底辺11E〜11Hは正方形を構成する。なお、
図3において線3aは、一列の凹部113の全ての頂点11Pの上を通る線であり、且つ凹部113の底辺11E及び11Gに対して平行な線である。
【0032】
各凹部113は、その底辺11F〜11Hの長さを通常1〜60μmとすることができ、好ましくは2〜50μmである。各凹部113の深さは、通常1〜50μmとすることができ、好ましくは2〜40μmである。
【0033】
凹部113は、一定の間隔をおいて、直交する2つの面内方向X及びYに沿って連続して配置されている。そして、前記の面内方向X及びYにおいて、隣り合う凹部113の間の隙間に当たる部分が、平坦部114を構成している。したがって、出光面構造層100は、出光面10Uに対して平行な面内方向X及びYにおいて、凹部113と平坦部114とを交互に有することになっている。ここで、かかる2つの面内方向X及びYのうち、一方の面内方向Xは底辺11E及び11Gに対して平行である。この面内方向Xにおいて、複数の凹部113は一定の間隔11Jをおいて整列している。また、2つの面内方向X及びYのうち、他方の面内方向Yは底辺11F及び11Hに対して平行である。この面内方向Yにおいて複数の凹部113は一定の間隔11Kをおいて整列している。ここで、前記隙間に相当する部分である平坦部114は、その幅寸法を通常0.1〜20μmとすることができる。
【0034】
図4に示すように、凹部113のそれぞれを構成する斜面11A〜11Dが平坦部114(ひいては、出光面10U)となす角11L及び11Mは、40°以上が好ましく、45°以上がより好ましく、また、70°以下が好ましく、60°以下がより好ましい。また、本実施形態のように凹部113の形状が四角錐である場合、その頂角11Nは、60°〜90°とすることが好ましい。さらに、観察角度による色味の変化を最小限にしつつ光取出効率も高めるという観点からは、斜面11A〜11Dと平坦部114とがなす角11L及び11Mは大きいほうが好ましく、具体的には例えば55°以上とすることが好ましく、60°以上とすることがさらにより好ましい。この場合、かかる角11L及び11Mの上限は、凹凸構造層111の耐久性の維持を考慮し、通常は70°である。
本実施形態では、
図4に示すように、斜面11A〜11Dが平坦部114となす角11L及び11Mは60°に設定されているものとする。これにより、凹部113を構成する正四角錐の頂角、即ち頂点11Pにおいて相対向する斜面がなす角(斜面11B及び11Dがなす角については、
図4に示す角11N)も60°となっている。
【0035】
さらに、本実施形態の面光源装置10の出光面10Uでは、隣り合う凹部113の底と凸部の先端との、面光源装置10の厚み方向における距離が、所定の範囲で不揃いになっている。
ここで、凹部113の底とは、凹部113それぞれにおいて最も窪んだ部分を指し、面光源装置10の厚み方向における発光面144までの距離が最も短くなる部分を指す。本実施形態では、各凹部113の頂点11Pが凹部113の底に当たる。
また、凸部の先端とは、凸部それぞれにおいて最も突出した部分を指し、面光源装置10の厚み方向における発光面144までの距離が最も長くなる部分を指す。本実施形態では平坦部114が発光面144に対して平行な平坦面となっているので、平坦部114自体が凸部の先端に当たる。
【0036】
したがって、本実施形態の面光源装置10においては、出光面10Uにおいて隣り合う凹部113と平坦部114とを対比した場合に、その隣り合う凹部113の底(即ち、凹部113の頂点11P)と凸部の先端(即ち、平坦部114)との、面光源装置10の厚み方向における距離(以下、適宜、「隣り合う凹凸の高低差」という。)Hが所定の範囲で不揃いになっているのである。この際、前記の所定の範囲とは、標準偏差(標本標準偏差)σが、通常0.05μm以上、好ましくは0.06μm以上、より好ましくは0.08μm以上となる範囲である。
【0037】
隣り合う凹凸の高低差Hを、前記のように所定の範囲で不揃いにすることにより、出光面10Uからの光の取出効率を改善でき、且つ、反射光による虹ムラを抑制できる。また、隣り合う凹凸の高低差Hの標準偏差σが、出光面10Uの全体において所定の範囲に収まるように不揃いにすればよいのであるから、凹部113及び平坦部114それぞれには過度に高い寸法精度が要求されないので、量産が容易であり、製造コストを安価にできる。特に、前記の隣り合う凹凸の高低差Hの標準偏差σの範囲の下限値は、虹ムラの輝度プロファイルを50%以下にし、目視において虹ムラを認識し難くできる点で意義がある。
【0038】
また、前記の所定の範囲の上限は、標準偏差σで、通常0.5μm以下、好ましくは0.4μm以下、より好ましくは0.3μm以下である。隣り合う凹凸の高低差Hの不揃いの程度(バラツキ)を過度に大きくすると、その凹凸構造の態様にもよるが、面光源装置10の生産工程においてキズが多数発生し、安定した生産が困難となるおそれがある。
【0039】
本実施形態において、凹部113の頂点11Pの高さ及び平坦部114の高さのうち一方又は両方が不揃いになっていることにより、隣り合う凹凸の高低差Hが不揃いとなっていればよい。ここでは、
図2及び
図4に示すように、凹部113の頂点11Pの高さは一定に揃っているが、平坦部114の高さが不揃いになっていることにより、隣り合う凹凸の高低差Hが不揃いとなっているものとして説明する。なお、前記のように平坦部114の高さが不揃いになっている場合には平坦部114には段差が存在するが、前記の不揃いの程度が小さいので前記の段差も小さい。そこで、
図1及び
図3では、平坦部114において前記の段差は図示を省略する。
【0040】
このように、隣り合う凹凸の高低差Hを、その標準偏差σが所定の範囲に収まるように不揃いにすることにより、虹ムラを抑制できる理由は定かではないが、本発明者の検討によれば以下の理由によるものと推察される。
外部から出光面10Uに向けて光が照射された場合、出光面10Uで光が反射したり、面光源装置10の内部に進入した光が内部の層界面で反射したりして、反射光が生じる。前記の反射光は、出光面10Uで反射する時、および、面光源装置10の内部から外部へ出る時などに、出光面10Uにおいて回折及び屈折などを生じることがある。従来は、前記の回折及び屈折などを生じた光が干渉することにより、虹ムラを生じていたと考えられる。これに対し、本実施形態の面光源装置10では、出光面10Uにおいて隣り合う凹凸の高低差Hを不揃いにしたことにより、干渉の強さを弱めることができるようになるので、虹ムラを解消できると考えられる。
【0041】
出光面10Uにおいて隣り合う凹凸の高低差Hは、測定箇所を無作為に抽出し、レーザー顕微鏡(VK−9700:キーエンス社製)を用いて高さ(断面プロファイル)を測定し、その断面プロファイルから求めることができる。通常は、出光面10Uに対して平行な所定の測定方向に沿って、長さ100μmにわたって前記の断面プロファイルを測定すればよい。測定された断面プロファイルから、隣り合う一対の凹部及び凸部を凹凸一単位とし、この凹凸一単位における断面プロファイルの最大値(凸部の先端に対応する。)と最小値(凹部の底に対応する)との差を求め、この差を凹凸一単位において隣り合う凹凸の高低差Hとする。また、精度を高める観点から測定は複数箇所で行うことが好ましく、例えば15点で行うことが好ましい。こうして測定された隣り合う凹凸の高低差Hから、標準偏差σを測定すればよい。また、前記の測定方向は、出光面10Uにおける凹凸の配置が予め分かっている場合には前記の高低差Hが最も大きくなる方向に対して平行な方向を設定すればよい。また、凹凸の配置が不明である場合、出光面10Uに対して平行な面内方向のうち、少なくとも1方向において、前記の標準偏差が前記の要件を満たしていればよい。
【0042】
隣り合う凹凸の高低差Hは、出光面10Uを様々な面内方向(出光面10Uに対して平行な面内の様々な方向)に沿って測定した中心線平均粗さの最大値(Ra(max))として、通常、1μm〜50μmの範囲内とする。
また、凹凸構造層111の厚さTに対して相対的に、隣り合う凹凸の高低差Hの好ましい範囲を定めることができる。例えば、凹凸構造層111の材料として、凹凸構造層111の耐久性の維持に有利な硬質の材料を用いた場合、凹凸構造層111の厚さTを薄くしたほうが、複層体110の可撓性が高まり、面光源装置10の製造工程における複層体110の取り扱いが容易となる。具体的には、
図4に示す隣り合う凹凸の高低差Hと凹凸構造層111の厚さTとの差T−Hが、0〜30μmとなるようにすることが好ましい。
【0043】
凹凸構造層111を出光面10Uに垂直な方向から観察した場合における、平坦部114が占める面積と凹部113が占める面積との合計に対する、平坦部114が占める面積の割合(以下、「平坦部割合」という。)を適宜調節することにより、面光源装置10の光取出効率を向上させることができる。具体的には、平坦部割合を10%〜75%とすることにより、良好な光取出効率を得ることができ、且つ出光面10Uの機械的強度を高めることができる。
【0044】
(複層体の材料の説明)
出光面構造層100は、複数の層からなるものとしうるが、単一の層からなってもよい。所望の特性を備えた出光面構造層100を容易に得る観点からは、複数の層からなることが好ましい。本実施形態では、
図1に示すように、出光面構造層100は、凹凸構造層111と基材フィルム層112とを組み合わせた複層体110を含むようになっているものとする。これにより、性能の高い出光面構造層100を容易に得ることができる。
【0045】
凹凸構造層111及び基材フィルム層112は、通常、透明樹脂を含む樹脂組成物により形成することができる。透明樹脂が「透明」であるとは、光学部材に用いるのに適した程度の光線透過率を有する意味である。本実施形態においては、出光面構造層100を構成する各層が、光学部材に用いるのに適した光線透過率を有するものとすればよく、出光面構造層100全体として80%以上の全光線透過率を有するものとすればよい。
【0046】
樹脂組成物に含まれる透明樹脂は、特に限定されず、透明な層を形成することができる各種の樹脂を用いることができる。例えば、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、紫外線硬化性樹脂、電子線硬化性樹脂を挙げることができる。なかでも熱可塑性樹脂は熱による変形が容易であるため、また紫外線硬化性樹脂は硬化性が高く効率が良いため、凹凸構造層111の効率的な形成が可能となり、それぞれ好ましい。
【0047】
熱可塑性樹脂としては、ポリエステル系、ポリアクリレート系、シクロオレフィンポリマー系等の樹脂を挙げることができる。また紫外線硬化性樹脂としては、エポキシ系、アクリル系、ウレタン系、エン/チオール系、イソシアネート系等の樹脂を挙げることができる。これらの樹脂としては、複数個の重合性官能基を有するものを好ましく用いることができる。なお、前記の樹脂は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
【0048】
なかでも、複層体110を構成する凹凸構造層111の材料としては、出光面10Uの凹凸構造を形成しやすく且つ凹凸構造の耐擦傷性を得やすいという観点から、硬化時の硬度が高い材料が好ましい。具体的には、7μmの膜厚の樹脂層を基材上に凹凸構造が無い状態で形成した際に、鉛筆硬度でHB以上になるような材料が好ましく、H以上になる材料がさらに好ましく、2H以上になる材料がより好ましい。一方、基材フィルム層112の材料としては、凹凸構造層111の形成に際しての取り扱い、並びに、複層体110を成形した後の複層体110の取り扱いを容易とするために、ある程度の柔軟性があるものが好ましい。このような材料を組み合わせることにより、取り扱いが容易で且つ耐久性に優れる複層体110を得ることができ、その結果、高性能の面光源装置10を容易に製造することができる。
【0049】
このような材料の組み合わせは、それぞれの材料を構成する樹脂として、上に例示した透明樹脂を適宜選択することにより得ることができる。具体的には、凹凸構造層111の材料を構成する透明樹脂として、アクリレート等の紫外線硬化性樹脂を用い、一方、基材フィルム層112の材料を構成する透明樹脂として、脂環式オレフィンポリマー製のフィルム(後述するゼオノアフィルム等)や、ポリエステルフィルムを用いることが好ましい。
【0050】
本実施形態のように、出光面構造層100が凹凸構造層111と基材フィルム層112とを含む場合、凹凸構造層111と基材フィルム層112との屈折率はできるだけ近くする態様としてもよい。この場合、凹凸構造層111と基材フィルム層112との屈折率差は、好ましくは0.1以内、さらに好ましくは0.05以内である。
【0051】
凹凸構造層111、基材フィルム層112等の出光面構造層100の構成要素となる層の材料として、光拡散性のある材料を用いてもよい。これにより、出光面構造層100を透過する光を拡散させることができるので、観察角度による色味の変化を更に低減することができる。
【0052】
光拡散性のある材料としては、例えば、粒子を含んだ材料、2種類以上の樹脂を混ぜ合わせて光を拡散させるアロイ樹脂、等を挙げることができる。なかでも、光拡散性を容易に調節できるという観点から、粒子を含んだ材料が好ましく、特に粒子を含んだ樹脂組成物が特に好ましい。
【0053】
粒子は、透明であってもよく、不透明であってもよい。粒子の材料としては、例えば、金属及び金属化合物、並びに樹脂等が挙げられる。金属化合物としては、例えば、金属の酸化物及び窒化物を挙げることができる。金属及び金属化合物の具体例を挙げると、銀、アルミのような反射率が高い金属;酸化ケイ素、酸化アルミ、酸化ジルコニウム、窒化珪素、錫添加酸化インジウム、酸化チタン等の金属化合物;などを挙げることができる。一方、樹脂としては、例えば、メタクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂等を挙げることができる。なお、粒子の材料は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
【0054】
粒子の形状は、例えば、球状、円柱状、立方体状、直方体状、角錐状、円錐状、星型状等の形状とすることができる。
粒子の粒径は、好ましくは0.1μm以上であり、好ましくは10μm以下、より好ましくは5μm以下である。ここで粒径とは、体積基準の粒子量を、粒子径を横軸にして積算した積算分布における50%粒子径のことである。粒径が大きいほど、所望の効果を得るために必要な粒子の含有割合は多くなり、粒径が小さいほど、含有量は少なくてすむ。したがって、粒径が小さいほど、観察角度による色味の変化の低減、及び光取り出し効率の向上等の所望の効果を、少ない粒子で得ることができる。なお、粒径は、粒子の形状が球状以外である場合には、その同等体積の球の直径を粒径とする。
【0055】
粒子が透明な粒子であり、且つ粒子が透明樹脂中に含まれる場合において、粒子の屈折率と透明樹脂の屈折率との差が、0.05〜0.5であることが好ましく、0.07〜0.5であることがより好ましい。ここで、粒子及び透明樹脂の屈折率は、どちらがより大きくてもよい。粒子と透明樹脂の屈折率が近すぎると拡散効果が得られず色味ムラは抑制され難くなる可能性があり、逆に差が大きすぎると拡散が大きくなり色味ムラは抑制されるが光取出効果が低減する可能性がある。
【0056】
粒子の含有割合は、粒子を含む層の全量中における体積割合で、1%以上が好ましく、5%以上がより好ましく、また、80%以下が好ましく、50%以下がより好ましい。粒子の含有割合をかかる下限以上とすることにより、観察角度による色味の変化の低減等の所望の効果を得ることができる。また、かかる上限以下とすることにより、粒子の凝集を防止し、粒子を安定して分散させることができる。
【0057】
さらに、樹脂組成物は、必要に応じて任意の成分を含むことができる。当該任意の成分としては、例えば、フェノール系、アミン系等の劣化防止剤;界面活性剤系、シロキサン系等の帯電防止剤;トリアゾール系、2−ヒドロキシベンゾフェノン系等の耐光剤;などの添加剤を挙げることができる。
【0058】
凹凸構造層111の厚さTは、特に限定されないが、1μm〜70μmであることが好ましい。本実施形態では、凹凸構造層111の厚さTとは、凹凸構造が形成されていない基材フィルム層112側の面と、凹凸構造の平坦部114との距離のことである。
また、基材フィルム層112の厚さは、20μm〜300μmであることが好ましい。
【0059】
(支持基板)
本実施形態の面光源装置10は、有機EL素子140と複層体110との間に、支持基板131を備える。支持基板131を備えることにより、面光源装置10に、たわみを抑制する剛性を与えることができる。また、支持基板131として、有機EL素子140を封止する性能に優れて、且つ、製造工程において有機EL素子140を構成する層をその上に順次形成することを容易に行い得る基板を備えることにより、面光源装置10の耐久性を向上させ、且つ製造を容易にすることができる。
【0060】
支持基板131を構成する材料の例としては、例えば、ガラス、樹脂などが挙げられる。なお、支持基板131の材料は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
支持基板131の屈折率は、特に制限されないが、1.4〜2.0とすることが好ましい。
支持基板131の厚さは、特に限定されないが、0.1mm〜5mmであることが好ましい。
【0061】
(接着層)
本実施形態の面光源装置10は、複層体110と支持基板131との間に接着層121を備える。接着層121は、複層体110の基材フィルム層112と支持基板131との間に介在して、これらの2層を接着する層である。
接着層121の材料である接着剤は、狭義の接着剤(23℃における剪断貯蔵弾性率が1〜500MPaであり、常温で粘着性を示さない、いわゆるホットメルト型の接着剤)のみならず、23℃における剪断貯蔵弾性率が1MPa未満である粘着剤をも包含する。具体的には、支持基板131あるいは基材フィルム層112に近い屈折率を有し、且つ透明であるものを適宜用いることができる。より具体的には、アクリル系接着剤あるいは粘着剤が挙げられる。接着層の厚さは、5μm〜100μmであることが好ましい。
【0062】
(製造方法)
面光源装置10の製造方法は、特に限定されないが、例えば、支持基板131の一方の面に有機EL素子140を構成する各層を積層し、その後又はその前に、支持基板131の他方の面に凹凸構造層111及び基材フィルム層112を有する複層体110を、接着層121を介して貼付することにより製造することができる。
【0063】
凹凸構造層111及び基材フィルム層112を有する複層体110の製造は、例えば、所望の形状を有する金型等の型を用意し、この型を凹凸構造層111を形成する材料の層に転写することにより行うことができる。より具体的な方法としては、
(方法1)基材フィルム層112を構成する樹脂組成物Aの層及び凹凸構造層111を構成する樹脂組成物Bの層(凹凸構造はまだ形成されていない)を有する未加工複層体を用意し、かかる未加工複層体の樹脂組成物B側の面上に、凹凸構造を形成する方法;及び
(方法2)基材フィルム層112の上に、液体状態の樹脂組成物Bを塗布し、塗布された樹脂組成物Bの層に型を当て、その状態で樹脂組成物Bを硬化させ、凹凸構造層111を形成する方法
などを挙げることができる。
【0064】
方法1において、未加工複層体は、例えば樹脂組成物A及び樹脂組成物Bを共押出する押出成形により得ることができる。未加工複層体の樹脂組成物B側の面上に、所望の表面形状を有する型を押し当てることにより、凹凸構造を形成することができる。
より具体的には、長尺の未加工複層体を押出成形により連続的に形成し、所望の表面形状を有する転写ロールとニップロールとで未加工複層体を加圧し、それにより、連続的な製造を効率的に行うことができる。転写ロールとニップロールとによる挟み圧力は、好ましくは数MPa〜数十MPaである。また転写時の温度は、樹脂組成物Bのガラス転移温度をTgとすると、好ましくはTg以上(Tg+100℃)以下である。未加工複層体と転写ロールとの接触時間はフィルムの送り速度、すなわちロール回転速度によって調整でき、好ましくは5秒以上600秒以下である。
【0065】
方法2において、凹凸構造層111を構成する樹脂組成物Bとしては、紫外線等のエネルギー線により硬化しうる組成物を用いることが好ましい。かかる樹脂組成物Bを、基材フィルム層112上に塗布し、型を当てた状態で、塗布面の裏側(基材フィルムの、樹脂組成物Bを塗布した面とは反対側)に位置する光源から、紫外線等のエネルギー線を照射し、樹脂組成物Bを硬化させ、その後型を剥離することにより、樹脂組成物Bの塗膜を凹凸構造層111とし、複層体110を得ることができる。
【0066】
(面光源装置の主な利点)
本実施形態の面光源装置10は上述したように構成されているので、有機EL素子140の発光面144から発せられた光は、出光面構造層100を透過して、出光面10Uから取り出される。この際、出光面10Uに、凹部113及び平坦部114を有する凹凸構造を有するので、凹凸構造を有さない場合と比較して、出光面10Uからの光の取出効率を高めることができる。
【0067】
また、面光源装置10は、出光面10Uにおいて隣り合う凹凸の高低差Hを、標準偏差σが所定の範囲となるように不揃いにしてあるので、反射光による虹ムラを抑制できる。また、面光源装置10を表示装置に設けた場合、多像化現象を防止することも可能である。さらに、凹部113及び平坦部114の個別の寸法精度は高くなくてもよくなるので、量産が容易となり、製造コストを安価にできる。
【0068】
さらに、本実施形態の面光源装置10では、外部衝撃により出光面10Uに欠け等が生じることを防止でき、ひいては出光面10Uの機械的強度を向上させることができる。一般に、面に凹凸構造があると、その面に衝撃が加えられた場合に当該凹凸構造の一部に力が集中し、破損を招きやすくなる傾向がある。ところが、本実施形態の面光源装置10では、平坦部114は平坦な面(平坦面)となっている。また、本実施形態では、平坦部114の高さは不揃いとなっているものの、その不揃いの程度は小さい。したがって、外部から出光面10Uに加えられる力又は衝撃によって凹凸構造層111の一部に力が集中することを抑制できるようになっている。このため、凹凸構造層111の破損を防止し、良好な光取り出し効率と、面光源装置10の出光面10Uの高い機械的強度とを両立させることができるようになっている。
【0069】
また、本実施形態の面光源装置10では、観察角度による色味の変化を低減することができる。面光源装置10では、出光面10Uから出射する光が凹部113により拡散される。このような光拡散により、出光面10Uから出光する光における半球状全方位での色度座標のx座標およびy座標の少なくともいずれかの変位を、出光面を一様に平坦な平面とした場合と比べて、低減させることができる。したがって、出光面10Uを観察する観察角度による色味の変化を抑えることができる。
【0070】
なお、かかる半球状全方位での色度の変位を測定する方法として、例えば出光面10Uの法線方向(即ち出光面10Uに対して垂直な方向)上に分光放射輝度計を設置し、法線方向を0°とした時その出光面を−90〜90°まで回転させられる機構を付与することで、各方向で測定した発光スペクトルから色度座標を算出できるため、その変位を算出できる。
【0071】
〔2.第二実施形態〕
本発明の面光源装置において、出光面を構成する凹部及び凸部の形状は、第一実施形態において例示した角錐形状に限られず、角錐台形状であってもよい。ここで、角錐台形状とは、角錐の頂部に平坦な部分を設け、平らに面取りした形状をいう。以下、その例を、図面を用いて説明する。
【0072】
図5及び
図6はいずれも本発明の第二実施形態に係る面光源装置を説明する図であって、
図5は面光源装置を模式的に示す斜視図であり、
図6は
図5に示す面光源装置の凹凸構造層を線5a−5bを通り出光面に対して垂直な面で切断した断面を模式的に示す断面図である。
図5に示す通り、第二実施形態にかかる面光源装置20は、出光面構造層200を構成する複層体210において、凹凸構造層211の表面である出光面20Uに形成された凹部213の形状が異なる他は、第一実施形態と同様の構成を有している。
【0073】
図6に示すように、凹凸構造層211の表面上に形成された凹部213は、正四角錐の頂部を平らに面取りした形状(角錐台形状)であり、出光面20Uにおいて、一定の間隔をおいて設けられている。隣り合う凹部213の間には隙間が設けられ、この隙間が平坦部214を構成している。さらに、凹部213が角錐台形状を有するため、凹部213は底には、出光面20Uに対して平行な平坦面として底面部21Pが存在する。
【0074】
さらに、本実施形態においても、出光面20Uにおいて隣り合う凹凸の高低差Hは、標準偏差σが所定の範囲に収まるように不揃いになっている。本実施形態では底面部21Pが凹部213の底に当たり、平坦部214が凸部の先端に当たる。したがって、面光源装置20においては、隣り合う凹部213と凸部214とを対比した場合に、その底面部21Pと平坦部214との、面光源装置20の厚み方向における距離(すなわち、隣り合う凹凸の高低差)Hが、標準偏差σが所定の範囲に収まるように不揃いになっている。なお、本実施形態では、
図6に示すように、平坦部214の高さは均一に揃っているが底面部21Pの高さが不揃いとなることにより隣り合う凹凸の高低差Hが不揃いとなっている例を示す。ただし、底面部21Pの高さは均一に揃っているが平坦部214の高さが不揃いとなることにより隣り合う凹凸の高低差Hが不揃いとなっていてもよく、底面部21Pの高さ及び平坦部214の高さの両方が不揃いとなることにより隣り合う凹凸の高低差Hが不揃いとなっていてもよい。
【0075】
このような、角錐台形状の形状を有する凹部213とその間の隙間である平坦部214を有する出光面20Uを有する場合であっても、第一実施形態と同様に、光取出効率を高め、且つ、虹ムラを抑制することができる。また、仮に塵及び破片が凹部213にたまると光取出効率の低下及び輝点の発生などを生じるおそれがあるが、凹部213の底が平坦な底面部21Pになっていると、凹部213に塵及び破片等が溜まり難くなり、好ましい。さらに、本実施形態によれば、第一実施形態と同様の利点を得ることもできる。
【0076】
本実施形態のように、凹部213が角錐台形状となっている場合、底面部21Pと、当該角錐台の頂部が平坦で無く尖った角錐形状となっていた場合の頂部21Qとの高さの差21Rは、通常、当該角錐台の頂部が平坦で無く尖った角錐形状となっていた場合の角錐の高さ21Sの20%以下とすればよい。
また、凹部213の形状が角錐台形状となっている場合、底面部21Pを除く斜面212A及び213Bの角度を、斜面の角度とする。凹部213の斜面の角度をこのような角度とすることにより、光取出効率を高めることができる。ただし、斜面は、必ずしも全てが同じ角度である必要は無く、上記範囲内で、異なる角度を有する斜面が共存していてもよい。
【0077】
〔3.第三実施形態〕
本発明の面光源装置において、出光面を構成する凹部の底は、丸みを帯びていてもよい。以下、その例を、図面を用いて説明する。
【0078】
図7及び
図8はいずれも本発明の第三実施形態に係る面光源装置を説明する図であって、
図7は、面光源装置を出光面に垂直な面で切った断面を模式的に示す断面図であり、
図8は面光源装置の凹凸構造層を出光面に垂直な面で切った断面を模式的に示す断面図である。
図7に示す通り、第三実施形態にかかる面光源装置30は、出光面構造層300を構成する複層体310において、凹凸構造層311の表面である出光面30Uに形成された凹部313の形状が異なる他は、第一実施形態と同様の構成を有している。
【0079】
図8に示すように、凹凸構造層311の表面上に形成された凹部313は、その底31Pが丸みを帯びた形状であり、出光面30Uにおいて、一定の間隔をおいて設けられている。隣り合う凹部313の間には隙間が設けられ、この隙間が平坦部314を構成している。
【0080】
さらに、本実施形態においても、出光面30Uにおいて隣り合う凹凸の高低差Hは、標準偏差σが所定の範囲に収まるように不揃いになっている。本実施形態では平坦部314が凸部の先端に当たる。したがって、面光源装置30においては、隣り合う凹部313と凸部314とを対比した場合に、その凹部313の底31Pと平坦部314との、面光源装置30の厚み方向における距離(すなわち、隣り合う凹凸の高低差)Hが、標準偏差σが所定の範囲に収まるように不揃いになっている。なお、本実施形態では、
図7及び
図8に示すように、凹部313の底31Pの高さは均一に揃っているが平坦部314の高さが不揃いとなることにより隣り合う凹凸の高低差Hが不揃いとなっている例を示す。ただし、平坦部314の高さは均一に揃っているが凹部313の底31Pの高さが不揃いとなることにより隣り合う凹凸の高低差Hが不揃いとなっていてもよく、凹部313の底31Pの高さ及び平坦部314の高さの両方が不揃いとなることにより隣り合う凹凸の高低差Hが不揃いとなっていてもよい。
【0081】
このような、底31Pが丸みを帯びた形状を有する凹部313とその間の隙間である平坦部314を有する出光面30Uを有する場合であっても、第一実施形態と同様に、光取出効率を高め、且つ、虹ムラを抑制することができる。また、仮に塵及び破片が凹部313にたまると光取出効率の低下及び輝点の発生などを生じるおそれがあるが、凹部313の底31Pが丸みを帯びていると、凹部313に塵及び破片等が溜まり難くなり、好ましい。さらに、本実施形態によれば、第一実施形態と同様の利点を得ることもできる。
【0082】
本実施形態のように、凹部313の底31Pが丸みを帯びた形状である場合、その底31Pと、底が丸みを帯びず尖った角錐形状となっていた場合の頂部31Qとの高さの差31Rは、通常、丸みを帯びず尖った角錐形状となっていた場合の角錐の高さ31Sの20%以下とすればよい。
また、凹部313の底が丸みを帯びた形状である場合、当該丸みを帯びた部分を除く斜面313A及び313Bの角度を、斜面の角度とする。斜面の角度をこのような角度とすることにより、光取出効率を高めることができる。ただし、斜面は、必ずしも全てが同じ角度である必要は無く、上記範囲内で、異なる角度を有する斜面が共存していてもよい。
【0083】
〔4.第四実施形態〕
第一〜第三実施形態では出光面に凹部を設けることによって出光面に凹凸構造をもたせたが、出光面に凸部を設けることによって凹凸構造をもたせてもよい。以下、その例を、図面を用いて説明する。
【0084】
図9及び
図10はいずれも本発明の第四実施形態に係る面光源装置を説明する図であって、
図9は面光源装置を模式的に示す斜視図であり、
図10は
図9に示す面光源装置を線9a−9bを通り出光面に対して垂直な面で切断した断面を模式的に示す断面図である。
図9に示す通り、第四実施形態にかかる面光源装置40は、出光面構造層400を構成する複層体410において、凹凸構造層411の表面である出光面40Uに、凹部113の代わりに凸部414が設けられていることの他は、第一実施形態と同様の構成を有している。
【0085】
凸部414は、出光面40Uにおいて、一定の間隔をおいて設けられている。隣り合う凸部414の間には隙間が設けられ、この隙間が平坦部413を構成している。ここで、前記の凸部414は平坦部413に比べて相対的に突出している部分であるため本発明に係る凸部に当たり、平坦部413は凸部414に比べて相対的に窪んでいるため本発明に係る凹部に当たる。そして、当該凹凸構造により、出光面40Uが規定される。
【0086】
また、凸部414は、いずれも、正四角錐の頂部を平らに面取りした形状(角錐台形状)である。したがって、
図10に示すように、凸部414は、4面の斜面414A及び414Bと、前記の斜面414A及び414Bに囲まれた上面部414Uとを含む。上面部414Uは凸部414の角錐台形状の上底面に当たり、平坦な平面となっている。また、平坦部413も平坦な平面となっており、これらの平坦部413及び上面部414Uは、いずれも、出光面40U及び発光面144に対して平行になっている。
【0087】
さらに、本実施形態においても、出光面40Uにおいて隣り合う凹凸の高低差Hは、標準偏差σが所定の範囲に収まるように不揃いになっている。本実施形態では平坦部413が凹部の底に当たり、上面部414Uが凸部414の先端に当たる。したがって、面光源装置40においては、隣り合う平坦部413と凸部414とを対比した場合に、その平坦部413と上面部414Uとの、面光源装置40の厚み方向における距離(すなわち、隣り合う凹凸の高低差)Hが、標準偏差σが所定の範囲に収まるように不揃いになっている。なお、本実施形態では、
図10に示すように、平坦部413の高さは均一に揃っているが上面部414Uの高さが不揃いとなることにより隣り合う凹凸の高低差Hが不揃いとなっている例を示す。ただし、上面部414Uの高さは均一に揃っているが平坦部413の高さが不揃いとなることにより隣り合う凹凸の高低差Hが不揃いとなっていてもよく、平坦部413の高さ及び上面部414Uの高さの両方が不揃いとなることにより隣り合う凹凸の高低差Hが不揃いとなっていてもよい。
【0088】
このような、出光面40Uに凸部414を設けることによって凹凸構造をもたせた場合であっても、第一実施形態と同様に、光取出効率を高め、且つ、虹ムラを抑制することができる。また、凸部414の先端に当たる上面部414Uが平坦な平面であるため、出光面40Uの欠け等を防止し、出光面40Uの機械的強度を向上させることができる。さらに、本実施形態によれば、第一実施形態と同様の利点を得ることもできる。
【0089】
〔5.第五実施形態〕
本発明の面光源装置において、出光面を構成する凹部及び凸部の形状は、上述した角錐及び角錐台以外の形状であってもよく、例えば球の一部の形状であってもよい。
また、出光面において、凹部及び凸部は、第一〜第四実施形態において例示したように直交する2つの面内方向に沿って配列する以外にも、任意の態様で配列することができる。例えば、複数の凹部を、出光面上の1方向のみ、または、3方向以上の面内方向に沿って配列してもよく、ランダムに配置してもよい。
以下、その例を、図面を用いて説明する。
【0090】
図11及び
図12は、いずれも本発明の第五実施形態に係る面光源装置を説明する図であって、
図11は、面光源装置を厚み方向から見た様子を模式的に示す上面図であり、
図12は、
図11に示す面光源装置を、
図11中の線11aを通る、出光面50Uと垂直な面で切断した断面を示す断面図である。
図11及び
図12に示す通り、第五実施形態に係る面光源装置50は、出光面構造層500を構成する複層体510において、凹凸構造層511の表面である出光面50Uの形状が異なる他は、第一実施形態と同様の構成を有している。
【0091】
凹凸構造層511の表面上に形成された凹部513は、半球状の形状であり、出光面50U上において、一定の間隔をおいて、線11a、11b及び11cに対して平行な3つの面内方向に沿って連続して配置されている。線11a、11b及び11cは、互いに60°の角度をなしている。隣り合う凹部513の間には、線11a、11b及び11cに沿って隙間が設けられ、この隙間が平坦部514を構成している。
【0092】
さらに、本実施形態においても、出光面50Uにおいて隣り合う凹凸の高低差Hは、標準偏差σが所定の範囲に収まるように不揃いになっている。本実施形態では平坦部514が凸部の先端に当たる。したがって、面光源装置50においては、隣り合う凹部513と平坦部514とを対比した場合に、その凹部513の底513Pと平坦部514との、面光源装置50の厚み方向における距離(すなわち、隣り合う凹凸の高低差)Hは、標準偏差σが所定の範囲に収まるように不揃いになっている。なお、本実施形態では、
図12に示すように、平坦部514の高さは均一に揃っているが凹部513の底513Pの高さが不揃いとなることにより隣り合う凹凸の高低差Hが不揃いとなっている例を示す。ただし、凹部513の底513Pの高さは均一に揃っているが平坦部514の高さが不揃いとなることにより隣り合う凹凸の高低差Hが不揃いとなっていてもよく、凹部513の底513Pの高さ及び平坦部514の高さの両方が不揃いとなることにより隣り合う凹凸の高低差Hが不揃いとなっていてもよい。
【0093】
このような、球状の一部の形状を有する凹部513と、その間の隙間である平坦部514を有する出光面50Uを有する場合であっても、第一実施形態と同様に、光取出効率を高め、且つ、虹ムラを抑制することができる。また、凹部513が球の一部の形状であると、凹部513の底が丸みを帯びるため、凹部513に塵及び破片等が溜まり難くなり、好ましい。さらには、第一実施形態と同様の利点を得ることもできる。
【0094】
〔6.第六実施形態〕
本発明の面光源装置において、出光面を構成する凸部の先端は、丸みを帯びていてもよい。以下、その例を、図面を用いて説明する。
【0095】
図13は、本発明の第六実施形態に係る面光源装置を、その出光面と垂直な面で切断した断面を示す断面図である。
図13に示す通り、第六実施形態に係る面光源装置60は、出光面構造層600を構成する複層体610において、凹凸構造層611の表面である出光面60Uに、半球状の凹部513の代わりに半球状の凸部614が設けられていることの他は、第五実施形態と同様の構成を有している。
【0096】
凸部614は、出光面60Uにおいて、一定の間隔をおいて設けられている。隣り合う凸部614の間には隙間が設けられ、この隙間が平坦部613を構成している。ここで、前記の凸部614は平坦部613に比べて相対的に突出している部分であるため本発明に係る凸部に当たり、平坦部613は凸部614に比べて相対的に窪んでいるため本発明に係る凹部に当たる。そして、当該凹凸構造により、出光面60Uが規定される。
【0097】
さらに、本実施形態においても、出光面60Uにおいて隣り合う凹凸の高低差Hは、標準偏差σが所定の範囲に収まるように不揃いになっている。本実施形態では平坦部613が凹部の底に当たる。したがって、面光源装置60においては、隣り合う平坦部613と凸部614とを対比した場合に、その平坦部613と凸部614の先端614Pとの、面光源装置60の厚み方向における距離(すなわち、隣り合う凹凸の高低差)Hが、標準偏差σが所定の範囲に収まるように不揃いになっている。なお、本実施形態では、
図13に示すように、平坦部613の高さは均一に揃っているが、凸部614の先端614Pの高さが不揃いとなることにより隣り合う凹凸の高低差Hが不揃いとなっている例を示す。ただし、凸部614の先端614Pの高さは均一に揃っているが平坦部613の高さが不揃いとなることにより隣り合う凹凸の高低差Hが不揃いとなっていてもよく、平坦部613の高さ及び凸部614の先端614Pの高さの両方が不揃いとなることにより隣り合う凹凸の高低差Hが不揃いとなっていてもよい。
【0098】
このような、球状の一部の形状を有する凸部614と、その間の隙間である平坦部613とを有する出光面60Uを有する場合であっても、第一実施形態と同様に、光取出効率を高め、且つ、虹ムラを抑制することができる。また、凸部614が球の一部の形状であると、凸部614の先端614Pが丸みを帯びるため、異物が凸部614に引っかかって出光面60Uが傷つくことを防止できる。さらには、第一実施形態と同様の利点を得ることもできる。
【0099】
〔7.第七実施形態〕
本発明の面光源装置において、出光面を構成する凹部及び凸部の形状は、溝状の形状であってもよい。以下、その例を、図面を用いて説明する。
【0100】
図14は、本発明の第七実施形態に係る面光源装置を模式的に示す斜視図である。
図14に示す通り、第七実施形態に係る面光源装置70は、出光面構造層700を構成する複層体710において、凹凸構造層711の表面である出光面70Uの形状が異なる他は、第一実施形態と同様の構成を有している。
【0101】
凹凸構造層711の表面上に形成された複数の凹部713のそれぞれは、直線状の、溝状の形状を有し、それぞれ2つの平坦な斜面及びを有する。したがって、凹部713を、溝の延長方向に垂直な面で切断した断面は、2つの斜辺を有する三角形の形状を有する。
複数の凹部713は、出光面70U上に平行に配列される。したがって、隣り合う凹部713の間には隙間が設けられる。この隙間が、出光面70Uにおける平坦部714を構成している。すなわち、出光面70Uに対して平行な面内方向のうち、少なくとも溝の延長方向に垂直な面内方向においては、凹部713と平坦部714とが交互に存在するようになっている。
【0102】
さらに、本実施形態においても、出光面70Uにおいて隣り合う凹凸の高低差Hは、標準偏差σが所定の範囲に収まるように不揃いになっている。本実施形態では平坦部714が凸部の先端に当たる。したがって、面光源装置70においては、少なくとも溝の延長方向に垂直な面内方向において隣り合う凹部713と平坦部714とを対比した場合に、その凹部713の底713Pと平坦部714との、面光源装置70の厚み方向における距離(すなわち、隣り合う凹凸の高低差)Hは、標準偏差σが所定の範囲に収まるように不揃いになっている。なお、本実施形態では、
図14に示すように、平坦部714の高さは均一に揃っているが、凹部713の底713Pの高さが不揃いとなることにより隣り合う凹凸の高低差Hが不揃いとなっている例を示す。ただし、凹部713の底713Pの高さは均一に揃っているが平坦部714の高さが不揃いとなることにより隣り合う凹凸の高低差Hが不揃いとなっていてもよく、凹部713の底713Pの高さ及び平坦部714の高さの両方が不揃いとなることにより隣り合う凹凸の高低差Hが不揃いとなっていてもよい。
【0103】
このような、溝状の形状を有する凹部713を有する出光面70Uを有する場合であっても、第一実施形態と同様に、光取出効率を高め、且つ、虹ムラを抑制することができる。さらには、第一実施形態と同様の利点を得ることもできる。
【0104】
ここで、凹部713の溝状の形状は、上に例示した断面が三角形のものに限られず、様々な形状をとることができる。例えば、溝の断面形状は、5角形、7角形といった他の多角形の形状、又は円の一部等、多角形以外の形状であってもよい。さらに、溝の断面の形状を、頂点が丸みを帯びた形状又は平らに面取りされた形状に変形させてもよい。
【0105】
〔8.第八実施形態〕
上に述べた第一〜第七実施形態のように、出光面の2方向以上の面内方向に沿って凹部又は凸部を配列した場合において、平坦部は、かかる2方向以上の面内方向のいずれにおいても隣り合う凹部又は凸部の間に隙間を設けることにより構成したが、本発明はこれに限られず、2方向以上の面内方向のうち一部の方向のみにおいて隙間を設けてもよい。以下、その例を、図面を用いて説明する。
【0106】
図15及び
図16は、いずれも本発明の第八実施形態に係る面光源装置を説明する図であって、
図15は、面光源装置を厚み方向から見た様子を模式的に示す上面図であり、
図16は、
図15に示す面光源装置を、
図15中の線15aを通る、出光面80Uと垂直な面で切断した断面を示す断面図である。
図15及び
図16に示す通り、第八実施形態に係る面光源装置80は、出光面構造層800を構成する複層体810において、凹凸構造層811の表面である出光面80Uの形状が異なる他は、第一実施形態と同様の構成を有している。
【0107】
凹凸構造層811の表面上に形成された複数の凹部813のそれぞれは第一実施形態における凹部113と同一の四角錐形状であるが、凹部813間の隙間は、
図15中の線15aに垂直な面内方向Yに隣り合う凹部813の間にのみ設けられ、その結果、線15aに対して平行な面内方向Xに延長する平坦部814が構成されている。
【0108】
さらに、本実施形態においても、出光面80Uにおいて、少なくとも面内方向Yでは、隣り合う凹凸の高低差Hは、標準偏差σが所定の範囲に収まるように不揃いになっている。本実施形態では平坦部814が凸部の先端に当たる。また、面内方向Xにおいて隣り合う凹部813間の境界部分815も凸部の先端に当たる。したがって、面光源装置80においては、面内方向Yにおいて隣り合う凹部813と平坦部814とを対比した場合、または、面内方向Xにおいて隣り合う凹部813と境界部分815とを対比した場合に、その凹部813の底813Pと平坦部814との、面光源装置80の厚み方向における距離(すなわち、隣り合う凹凸の高低差)H、又は、その凹部813の底813Pと境界部分815との、面光源装置80の厚み方向における距離(すなわち、隣り合う凹凸の高低差)Hが、標準偏差σが所定の範囲に収まるように不揃いになっている。なお、本実施形態では、
図16に示すように、平坦部814及び境界部分815の高さは均一に揃っているが、凹部813の底813Pの高さが不揃いとなることにより隣り合う凹凸の高低差Hが不揃いとなっている例を示す。ただし、凹部813の底813Pの高さは均一に揃っているが平坦部814及び境界部分815の高さが不揃いとなることにより隣り合う凹凸の高低差Hが不揃いとなっていてもよく、凹部813の底813Pの高さ、平坦部814の高さ及び境界部分815の高さが全て不揃いとなることにより隣り合う凹凸の高低差Hが不揃いとなっていてもよい。
【0109】
このような、2方向以上の面内方向のうち一部の方向のみにおいて平坦部814を有する出光面80Uを有する場合であっても、第一実施形態と同様に、光取出効率を高め、且つ、虹ムラを抑制することができる。さらには、第一実施形態と同様の利点を得ることもできる。また、本実施形態では、第一実施形態の場合に比べて、相対的に、出光面がある方向(例えば平坦部814の延長方向に対して平行な面内方向X)に沿って擦傷を受ける場合の耐擦傷性は低下しうる一方、光取り出し効率については向上させうるので、好ましく用いうる場合もあり得る。
【0110】
なお、凹部813の形状について、本実施形態では、隣り合う凹部813間の境界部分815の高さと平坦部814の高さは同じであるが、境界部分815の高さは、平坦部814の高さと異なっていてもよい。
また、ここでは凹部813の形状が四角錐のみである例を取り上げたが、それ以外の形状であってもよい。例えば、
図17に示すように、寄せ棟屋根状の凹部816が複数並んだ構成とすることもできる。なお、
図17に示す凹凸構造層821は第八実施形態に係る凹凸構造層811の変形例であり、凹部の形状が異なること以外は、第八実施形態に係る凹凸構造層811と同様の構成を有する。
【0111】
〔9.第九実施形態〕
上述した第一〜第八実施形態では、面光源装置の片面だけが出光面となる片面発光型の面光源装置を例に挙げて説明したが、本発明の面光源装置は、面光源装置の両面が発光面となる両面発光型の面光源装置であってもよい。以下、その例を、図面を用いて説明する。
【0112】
図18は、本発明の第九実施形態に係る面光源装置を模式的に示す斜視図である。
図18に示す通り、第九実施形態に係る面光源装置90は、有機EL素子940が反射電極である第二の電極層143の代わりに透明電極である第二の電極層943を備える点、並びに、封止基板151の代わりに出光面構造層100が設けられている点の他は、第一実施形態と同様の構成を有している。なお、図中下側の出光面構造層100と、第二の電極943との間には、充填材や接着剤等の任意の物質が存在していてもよいし、空隙が存在していてもよい。空隙には、発光層142の耐久性を大きく損なう等の不都合がない限りは空気やその他の気体が存在してもよいし、空隙内を真空としてもよい。
【0113】
第二の電極層943が透明電極であるため、発光層142からの光は、第一の電極層141を及び第二の電極層943を透過して、図中上側及び下側の両方の出光面10Uから出光する。したがって、有機EL素子940の図中下側の表面145も、発光面として機能する。このような、おもて面及び裏面の両方から光が出光する場合であっても、第一実施形態と同様に、光取出効率を高め、且つ、虹ムラを抑制することができる。
【0114】
また、本実施形態の面光源装置90では、通常、一方の出光面10Uに入射した光は面光源装置90を透過して他方の出光面10Uから出光することになる。したがって、面光源装置90を通じて反対側を肉眼で見通すことができるようになり、シースルー型の面光源装置を実現できるので、デザインを多様化できる。さらには、第一実施形態と同様の利点を得ることもできる。
【0115】
〔10.その他の実施形態〕
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、更に変更して実施してもよい。
例えば、上述した実施形態では発光面に直接に接するように出光面構造層を設けたが、出光面構造層は他の任意の層を介して発光面に設けられていてもよい。任意の層としては、例えば、有機EL素子を外気及び湿気から保護するガスバリア層、紫外線を遮断する紫外線カット層などが挙げられる。
【0116】
また、例えば、上述した実施形態では、出光面構造層としては、凹凸構造層、基材フィルム層、接着層及び支持基板からなるものを示したが、出光面構造層は、これらよりも少ない層から構成されたものであってもよく、又は逆にこれらの層に加えて任意の層をさらに含むものであってもよい。例えば、凹凸構造層の表面にさらにコーティング層を有し、これが出光面の凹凸構造を規定するものであってもよい。
【0117】
また、凹部及び凸部の形状は、上述した実施形態において例示したものに限定されない。凹部及び凸部は、例えば、三角錐、五角錐、六角錐、底面が正方形でない四角錐などの角錐形状としてもよい。
【0118】
また、例えば、上述した実施形態では、出光面の全面に分布する凹部及び凸部として、同一の形状からなるもののみが分布しているものを示したが、出光面において、異なる形状の凹部及び凸部が混在していてもよい。具体例を挙げると、大きさの異なる角錐形状の凹部が混在していたり、角錐形状の凹部と円錐形状の凹部が混在していたり、複数の角錐が組み合わされた形状のものと単純な角錐形状とが混在していてもよい。さらに、例えば第一実施形態に係る凹部113と第四実施形態に係る凸部414とを組み合わせるなど、同じ出光面に凹部と凸部との両方を混在させてもよい。
【0119】
また、例えば、上述した実施形態では、凹部及び凸部の幅、並びに、隣り合う凹部同士の間隔及び凸部同士の間隔については、一定のものを示したが、凹部及び凸部の幅が狭いものと広いものとが混在していてもよく、また、隣り合う凹部同士の間隔及び凸部同士の間隔が狭い箇所と広い箇所とが混在していてもよい。
【0120】
また、例えば、上述した実施形態のうちで反射電極を有するものについては、反射電極を、透明電極と反射層とを組み合わせたものに置き換えても、反射電極と同様の効果を有する装置を構成することができる。
【0121】
さらに、第九実施形態においては、有機EL素子940の発光面144及び145の両方に同じ出光面構造層100を備える例を示したが、発光面144と発光面145とで異なる出光面構造層を組み合わせて備えるようにしてもよい。さらに、両面発光型の面光源装置においては、少なくとも一方の発光面に出光面構造層が設けられていれば、他方の発光面には出光面構造層が設けられていなくてもよい。
【0122】
〔11.照明器具及びバックライト装置〕
本発明の面光源装置は、例えば、照明器具及びバックライト装置等の用途に用いることができる。
照明器具は、本発明の面光源装置を光源として有し、さらに、必要に応じて、光源を保持する部材、電力を供給する回路等の任意の構成要素を備える。
また、バックライト装置は、本発明の面光源装置を光源として有し、さらに、必要に応じて、筐体、電力を供給する回路、出光する光をさらに均一にするための拡散板、拡散シート、プリズムシート等の任意の構成要素を含む。バックライト装置の用途は、液晶表示装置等、画素を制御して画像を表示させる表示装置、並びに看板等の固定された画像を表示させる表示装置のバックライト等が挙げられる。
【実施例】
【0123】
以下、実施例を示して本発明について具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではなく、本願の請求の範囲及びその均等の範囲を逸脱しない範囲において、任意に変更して実施できる。また、以下の説明において表記される樹脂の屈折率は、いずれも、硬化後の屈折率を表す。
【0124】
〔実施例1〕
(1−1:複層体Aの製造)
UV(紫外線)硬化型樹脂(ウレタンアクリレート樹脂、屈折率n=1.54)を、基材フィルム(日本ゼオン社製 ゼオノアフィルム、厚み100μm、屈折率n=1.53)上に塗布した。その後、樹脂の塗膜上に所定の形状の金属型を圧接し、基材フィルム側から紫外線を1000mJ/cm
2の積算光量で照射して、基材フィルム上に凹凸構造層b(厚み15μm)を形成した。これにより、基材フィルムa−凹凸構造層bの層構成を有する長方形のフィルムとして、複層体Aを得た。
【0125】
図19に、実施例1で製造した凹凸構造層bを、その主面に垂直な平面で切った断面を模式的に示す。
図19に示すように、複層体Aにおいて、凹凸構造層b上の凹凸構造は、複数の四角錐形状の凹部13と、凹部13の周囲に位置する平坦部14からなっていた。また、凹凸構造層bを、その主面に垂直な平面で切った断面構造は、凹部13の頂角θは60°となっていて、凹部13の四角錐の頂点16の高さが一定に揃っていて、平坦部14の高さがランダムに不揃いになっている構造であった。
【0126】
(1−2:高さ及びばらつきの測定)
凹凸構造層bの表面において、測定箇所を無作為に抽出し、レーザー顕微鏡(VK−9700:キーエンス社製)を用いて高さ(断面プロファイル)を測定した。凹凸構造層bの凹部は直交する2つの面内方向に沿って配置されているため、このうちの一方の面内方向を測定方向として採用し、この測定方向にそって断面プロファイルを測定した。測定されたプロファイルから、隣り合う一対の凹部及び凸部を凹凸一単位とし、この凹凸一単位における断面プロファイルの最大値と最小値との差を、その凹凸単位において隣り合う凹凸の高低差Hとした。前記の測定は、1箇所の測定箇所当たり100μmの長さにわたって行った。また、測定方向を固定し、同様の測定を合計15箇所の測定箇所で行った。そうして得られた計測値から、凹凸構造層bの表面における隣り合う凹凸の高低差Hの平均値及び標準偏差σを求めた結果、平均値は24.3μm、標準偏差σは0.12μmであった。なお、凹部13における四角錐の底辺の寸法は11.5μm、凹部13の深さは10μmであり、平坦部14の幅寸法は4μmであった。
【0127】
(1−3:虹ムラの測定)
複層体Aを、ガラス基板に接着剤(アクリル系樹脂、屈折率1.49、日東電工社製 CS9621)を介して貼付し、ガラス基板付複層体Bを得た。
また、蛍光灯の直前に、幅5mmのスリットをつけた遮光板を配置したものを、光源として用意した。
【0128】
図20に、虹ムラの測定の様子を模式的に示す。
図20に示すように、ガラス基板付複層体Bを、凹凸面を鉛直上向き且つ水平になるように、暗室内に設置した。前記のガラス基板付複層体Bから、水平方向に距離200mm離れ、鉛直方向に200mm上昇させた場所に前記の光源1を設置した。また、前記のガラス基板付複層体Bから、光源とは反対方向へ水平方向に距離200mm離れ、鉛直方向に200mm上昇させた場所を観察点とし、この観察点にカメラ2を設置した。
【0129】
前記の光源1からガラス基板付複層体Bへ平行光を照射し、この平行光が凹凸面で反射した反射光を観察点においてカメラ2で撮影した。撮影した画像には、光源が写りこんだ像と、複数の虹ムラとが、互いに略平行に延在する帯状の像として観察された。
【0130】
撮影された画像について、画像解析ソフト(analySIS:soft imaging system社製)を用い、輝度プロファイルを測定した。光源が写り込んだ像における輝度ピーク値(P1)と、その隣の虹ムラの輝度ピーク値(P2)とを抽出し、輝度の減衰を、下記式に基づいて百分率で示した。なお、虹ムラ像は光源が写りこんだ像を中心に両側に見られる場合があるが、輝度ピーク値が高い側のピーク値を採用することとする。
輝度の減衰率(%)=P2/P1×100
この輝度の減衰率の値が大きいほど虹ムラは大きく、小さいほど虹ムラは小さいことを示しており、50%以上のとき、目視で虹ムラがはっきりと確認できる。
本実施例においては、輝度の減衰率=37.9%であった。
【0131】
(2−1:有機EL素子の製造)
厚さ0.7mmのガラス基板の一方の主面に、透明電極層100nm、ホール輸送層10nm、黄色発光層20nm、青色発光層15nm、電子輸送層15nm、電子注入層1nm、及び反射電極層100nmを、この順に形成した。ホール輸送層から電子輸送層までは全て有機材料により形成した。なお、黄色発光層及び青色発光層はそれぞれ異なる発光スペクトルを有している。
【0132】
透明電極層から反射電極層までの各層を形成した材料は、それぞれ下記の通りである。
・透明電極層;錫添加酸化インジウム(ITO)
・ホール輸送層;4,4’−ビス[N−(ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(α−NPD)
・黄色発光層;ルブレン1.5重量%添加 α−NPD
・青色発光層;イリジウム錯体10重量%添加 4,4’−ジカルバゾリル−1,1’−ビフェニル(CBP)
・電子輸送層;フェナンスロリン誘導体(BCP)
・電子注入層;フッ化リチウム(LiF)
・反射電極層;Al
【0133】
透明電極層の形成方法は、ITOターゲットとした反応性スパッタリング法にて行い、表面抵抗を10Ω/□以下とした。また、ホール注入層から反射電極層までの形成は、真空蒸着装置内に透明電極層を既に形成したガラス基板を設置し、上記のホール輸送層から反射電極層までの材料を抵抗加熱式により順次蒸着させることにより行なった。系内圧は5×10
−3Paで、蒸発速度は0.1〜0.2nm/sで行った。
さらに、電極層に通電のための配線を取り付け、さらにホール輸送層から反射電極層までを封止部材により封止し、有機EL素子を作製した。得られた有機EL素子は、ガラス基板側から白色の光を出光しうる長方形の発光面を有していた。
【0134】
(2−2:面光源装置の製造)
前記(2−1)で得た有機EL素子のガラス基板側の面に、前記(1−1)で得た複層体Aを、接着剤(アクリル系樹脂、屈折率1.49、日東電工社製 CS9621)を介して貼付し、複層体A−接着層−ガラス基板−有機EL素子の層構成を含む面光源装置を得た。接着層の厚さは20μmであった。
【0135】
(2−3:面光源装置の虹ムラの目視評価)
前記(2−2)で得られた面光源装置を点灯しない状態で、前記(1−3)と同様にして観察点から表面の反射像を目視にて観察したところ、虹ムラはほとんど観察されなかった。
【0136】
〔比較例1〕
前記(1−1)の複層体Aの製造にあたり、金属型の形状を変更した他は、実施例1と同様にして、複層体Aを製造した。得られた複層体Aにおいて、凹凸構造層b上の凹凸構造は、実施例1とほぼ同様であったが、凹凸構造層b(厚み15μm)の表面における隣り合う凹凸の高低差Hの平均値は24.3μm、標準偏差σは0.03μmであった。なお、凹部13における四角錐の底辺の寸法は11.5μm、凹部13の深さは10μmであり、平坦部14の幅寸法は4μmであった。
前記(1−3)と同様の要領で虹ムラ評価を実施したところ、輝度減衰率=87.6%であった。
さらに、前記(2−2)と同様の要領で面光源装置を製造し、前記(2−3)と同様の要領で観察したところ、虹ムラが生じていることが観察された。
【0137】
〔実施例2〕
前記(1−1)の複層体Aの製造にあたり、金属型の形状を変更した他は、実施例1と同様にして、複層体Aを製造し、さらに面光源装置を得た。
図21に、実施例2で製造した凹凸構造層bを、その主面に垂直な平面で切った断面を模式的に示す。
図21に示すように、得られた複層体Aにおいて、凹凸構造層b上の凹凸構造は、複数の四角錐形状の凹部13からなっていた。また、凹凸構造層bを、その主面に垂直な平面で切った断面構造は、凹部13の頂角θは90°となっていて、凹部13の四角錐の頂点16の高さおよび凸部の頂点17の高さの両方がランダムに不揃いになっている構造であった。
【0138】
凹凸の高さ及びばらつきの測定を行ったところ、凹凸構造層b(厚み25μm)の表面における隣り合う凹凸の高低差Hの平均値は25.6μm、標準偏差σは0.26μmであった。なお、凹部13における四角錐の底辺の寸法は24μm、凹部13の深さは20μmであった。
また、前記(1−3)と同様の要領で虹ムラ評価を実施したところ、輝度減衰率=34.1%であった。
さらに、前記(2−3)と同様の要領で面光源装置を観察したところ、実施例1よりもさらに虹ムラの少ない、良好な状態であることが観察された。
【0139】
〔実施例3〕
前記(1−1)の複層体Aの製造にあたり、金属型の形状を変更した他は、実施例1と同様にして、複層体Aを製造し、さらに面光源装置を得た。
図22に、実施例3で製造した凹凸構造層bを、その主面に垂直な平面で切った断面を模式的に示す。
図22に示すように、得られた複層体Aにおいて、凹凸構造層b上の凹凸構造は、複数の四角錐形状の凹部13と、凹部13の周囲に位置する平坦部14からなっていた。また、凹凸構造層bを、その主面に垂直な平面で切った断面構造は、凹部13の頂角θは60°となっていて、凹部13の四角錐の高さがランダムに不揃いとなり、平坦部14の高さが一定に揃っている構造であった。
【0140】
凹凸の高さ及びばらつきの測定を行ったところ、凹凸構造層b(厚み15μm)の表面における隣り合う凹凸の高低差Hの平均値は12.2μm、標準偏差σは0.43μmであった。なお、凹部13における四角錐の底辺の寸法は11.5μm、凹部13の深さは10μmであり、平坦部14の幅寸法は4μmであった。
また、前記(1−3)と同様の要領で虹ムラ評価を実施したところ、輝度減衰率=47.8%であった。
さらに、前記(2−3)と同様の要領で面光源装置を観察したところ、虹ムラの少ない、良好な状態であることが観察された。
【0141】
〔実施例4〕
前記(1−1)の複層体Aの製造にあたり、金属型の形状を変更した他は、実施例1と同様にして、複層体Aを製造し、さらに面光源装置を得た。得られた複層体Aにおいて、凹凸構造層b上の凹凸構造は、実施例1とほぼ同様であり、凹凸構造層b(厚み35μm)の表面における隣り合う凹凸の高低差Hの平均値は12.2μm、標準偏差σは0.06μmであった。なお、凹部13における四角錐の底辺の寸法は34μm、凹部13の深さは30μmであり、平坦部14の幅寸法は2μmであった。
また、前記(1−3)と同様の要領で虹ムラ評価を実施したところ、輝度減衰率=44.0%であった。
さらに、前記(2−3)と同様の要領で面光源装置を観察したところ、虹ムラの少ない、良好な状態であることが観察された。
【0142】
〔実施例5〕
(1−4:複層体Bの製造)
UV(紫外線)硬化型樹脂(ウレタンアクリレート樹脂、屈折率n=1.54)に直径2μmの粒子(シリコーン樹脂)を添加し、撹拌して粒子を分散させ、凹凸構造層bの材料となる樹脂組成物(1)を製造した。粒子の含有割合は、樹脂組成物(1)全量中の10重量%とした。
【0143】
樹脂組成物(1)を基材フィルム(日本ゼオン社製 ゼオノアフィルム)上に塗布した。その後、樹脂組成物(1)の塗膜上に所定の形状の金属型を圧接し、基材フィルム側から紫外線を1000mJ/cm
2の積算光量で照射して、基材フィルム上に凹凸構造層bを形成した。これにより、基材フィルムa−凹凸構造層bの層構成を有する長方形のフィルムとして、複層体Cを得た。得られた複層体Cにおいて、凹凸構造層b上の凹凸構造は、実施例1とほぼ同様であり、凹凸構造層b(厚み15μm)の表面における隣り合う凹凸の高低差Hの平均値は24.3μm、標準偏差σは0.12μmであった。なお、凹部13における四角錐の底辺の寸法は11.5μm、凹部13の深さは10μmであり、平坦部14の幅寸法は4μmであった。
【0144】
前記(2−2)と同様の要領で面光源装置を製造し、複層体C−接着層−ガラス基板−有機EL素子の層構成を含む面光源装置を得た。
前記(1−3)と同様の要領で虹ムラ評価を実施したところ、輝度減衰率=36.4%であった。
さらに、前記(2−3)と同様の要領で面光源装置を観察したところ、虹ムラの少ない、良好な状態であることが観察された。
【0145】
〔比較例2〕
前記(1−1)の複層体Aの製造にあたり、金属型の形状を変更した他は、実施例2と同様にして、複層体Aを製造した。得られた複層体Aにおいて、凹凸構造層b上の凹凸構造は、実施例2とほぼ同様であったが、凹凸構造層b(厚み25μm)の表面における隣り合う凹凸の高低差Hの平均値は25.6μm、標準偏差σは0.02μmであった。なお、凹部13における四角錐の底辺の寸法は24μm、凹部13の深さは20μmであった。
また、前記(1−3)と同様の要領で虹ムラ評価を実施したところ、輝度減衰率=54.8%であった。
さらに、前記(2−2)と同様の要領で面光源装置を製造し、前記(2−3)と同様の要領で観察したところ、虹ムラが生じていることが観察された。
【0146】
〔比較例3〕
前記(1−4)の複層体Bの製造にあたり、金属型の形状を変更した他は、実施例5と同様にして、複層体Cを製造した。得られた複層体Cにおいて、凹凸構造層b上の凹凸構造は、実施例5とほぼ同様であったが、凹凸構造層b(厚み35μm)の表面における隣り合う凹凸の高低差Hの平均値は24.3μm、標準偏差σは0.01μmであった。なお、凹部13における四角錐の底辺の寸法は34μm、凹部13の深さは30μmであり、平坦部14の幅寸法は2μmであった。
また、前記(1−3)と同様の要領で虹ムラ評価を実施したところ、輝度減衰率=67.9%であった。
さらに、前記(2−2)と同様の要領で面光源装置を製造し、前記(2−3)と同様の要領で観察したところ、虹ムラが生じていることが観察された。
【0147】
〔実施例6〕
前記(1−4)の複層体Bの製造にあたり、金属型の形状を変更した他は、比較例3と同様にして、複層体Cを製造した。得られた複層体Cにおいて、凹凸構造層b上の凹凸構造は、比較例3とほぼ同様であったが、凹凸構造層b(厚み15μm)の表面における隣り合う凹凸の高低差Hの平均値は24.3μm、標準偏差σは0.54μmであった。なお、凹部13における四角錐の底辺の寸法は11.5μm、凹部13の深さは10μmであり、平坦部14の幅寸法は4μmであった。
また、前記(1−3)と同様の要領で虹ムラ評価を実施したところ、輝度減衰率=30.1%であった。
さらに、前記(2−2)と同様の要領で面光源装置を製造し、前記(2−3)と同様の要領で観察したところ、虹ムラは良好であった。しかし、目視で確認できるキズが複数生じていることが観察された。
【0148】
〔まとめ〕
上述した実施例及び比較例の結果を、下記の表1にまとめた。なお、表1の目視評価の欄において、虹ムラがほとんど観察されなかったものを良、虹ムラが生じていることが観察されたものを不良とした。
【0149】
【表1】
【0150】
表1から分かるように、実施例においては輝度減衰率が低く、且つ、目視評価においても虹ムラがほとんど観察されていない。このことから、隣り合う凹凸の高低差Hが、標準偏差σが0.05μm以上となるように不揃いになっていることにより、虹ムラを抑制できることが確認された。また、標準偏差σが大きい実施例6においてキズが観察されたことから、安定した生産を行うためには、標準偏差σの範囲には、好ましい上限値が存在することも確認された。