【実施例】
【0024】
以下、本発明の実施例を図に基づいて詳説する。
図1は、本実施例に係る写真自動販売機1の斜視図である。本実施例の写真自動販売機1は、写真を印刷する印刷機能と、レリーフ加工(立体加工)を施すレリーフ加工機能とを備え、印刷とレリーフ加工の両方の作業を1台で実行可能であり、街角やオフィスビル等の建物内、写真屋、駅構内等に設置される。
【0025】
この写真自動販売機1は、
図1に示すように、中空で略直方体形状の本体ケース2を備え、この本体ケース2の前面上方にコイン投入口11、紙幣挿入口12、金額表示部13、タッチパネル14、メディア挿入部15が形成され、本体ケース2の前面下方に釣り銭返却口16、完成物受取口17、レシート排紙口18が形成されている。
【0026】
コイン投入口11、紙幣挿入口12及び釣り銭返却口16は、写真自動販売機1を有料で使用する場合に用いる部位であり、コイン投入口11から硬貨を投入し、紙幣挿入口12から紙幣を挿入する。そして、入金された金額は金額表示部13に表示される。
【0027】
タッチパネル14は、表示手段及び入力手段とされ、液晶ディスプレイの表示部と、画面上を指等で操作する操作部とから構成されている。このタッチパネル14には、例えばデジタルカメラ等で撮影した画像のサムネイル表示や選択アイコン等が表示され、使用者がタッチパネル14のサムネイル表示やアイコンを選択することにより操作が可能とされる。
【0028】
メディア挿入部15は、SDカードやスマートメディアカード、メモリースティック等の複数種の記録メディアの挿入口が並設されている。そして、挿入口に各メディアを読み取るための読み取り装置が内蔵されている。メディア挿入部15で読み取られるデータとしては、画像データやDPOF(Digital Print Order format)データがある。
【0029】
このDPOFデータとは、デジタルカメラの利用者がメモリーカードに記憶された画像の中でどの画像をプリントするかといった情報を指定できるようにしたフォーマットである。このDPOFデータにより印刷数、用紙サイズ、タイトル、その他の情報を画像毎に対応づけることができる。
【0030】
完成物受取口17は、印刷された写真やレリーフを取り出すための部位である。又、レシート排紙口18は、金額や印刷した写真の枚数、レリーフ加工した枚数等が記載されたレシートを排紙する部位である。
【0031】
次に、写真自動販売機1の機能構成について述べる。
図2は、写真自動販売機1の機能ブロック図である。写真自動販売機1は、
図2に示すように、写真の印刷を行なう複数の印刷装置20と、印刷及びレリーフ加工を行なう印刷/レリーフ加工装置21と、制御部24と、入力手段25と、表示手段26と、画像取込手段27と、を備えている。尚、
図2において、印刷装置20の数は2機、印刷/レリーフ加工装置21の数は1機とされているがこの数に限定されるものではない。
【0032】
印刷装置20は、印刷用紙に写真印刷を行なう印刷手段22と、印刷された印刷用紙を切断する切断手段28とから構成されている。又、印刷/レリーフ加工装置21は、印刷手段22と、印刷手段22によって印刷された印刷用紙にレリーフ加工つまり立体加工を施すレリーフ加工手段23と、レリーフを切断する切断手段28とから構成されている。
【0033】
制御部24は、CPU(Central Processing Unit)等の演算手段61と、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)、HD(Hard Disk)等とされた記憶手段62と、印刷情報生成手段63と、加工情報生成手段64と、駆動コントローラ65と、から構成されている。
【0034】
演算手段61は、記憶手段62に記憶されたプログラムやデータを読み込み、読み込んだプラグラムに従って各種手段に所定の処理を実行させる制御や、各種手段の処理によって発生する情報を記憶手段62に記憶させる制御や、各種手段の処理によって発生する情報に従って他の手段に所定の処理を実行させる制御等を実行する。
【0035】
記憶手段62(ROM)は、印刷手段22及びレリーフ加工手段23が動作する上で必要な各種のプログラムを予め記憶しており、演算手段61に制御されてこれらのプログラムを出力する処理を実行する。又、記憶手段62(RAM)は、プログラムの処理時に生じる処理情報を一時的に記憶し、この記憶した処理情報を演算手段61に出力する処理を実行する。
【0036】
印刷情報生成手段63は、画像取込手段27が取得した画像データやDPOFデータに対応したサムネイル表示を表示手段26に行なう処理や、印刷手段22を駆動させるための印刷情報を生成する処理を実行する。
【0037】
加工情報生成手段64は、画像取込手段27が取得した画像データやDPOFデータを解析することにより複数の処理を実行する。具体的には、加工情報生成手段64は、画像取込手段27で取得したDPOFデータから、或いは、使用者の選択により、レリーフ加工を施す画像を決定し、この画像を表示手段26に表示させる処理を実行する。又、加工情報生成手段64は、画像取込手段27が取得した画像データにおけるレリーフ加工する領域や領域内での突出量を設定する処理、設定した領域及び突出量の情報から複数の加工情報を生成する処理、加工情報に対応した画像を表示手段26に表示させる処理を実行する。
【0038】
更に、加工情報生成手段64は、使用者が任意でレリーフ加工する領域や突出量を設定した、つまり、カスタム設定をした場合、設定された情報を利用して加工情報を生成する処理を実行する。又、加工情報生成手段64は、生成した加工情報を記憶手段62に記憶させる処理や駆動コントローラ65に出力する処理を実行する。尚、加工情報とは、レリーフ加工する領域及び領域内での突出量、印刷用紙における加工領域の位置等の情報を含んだ駆動コントローラ65を制御するための情報である。
【0039】
駆動コントローラ65は、印刷情報生成手段63で生成された印刷情報に従って印刷手段22を制御する処理や、記憶手段62に記憶された加工情報或いは加工情報生成手段64から出力された加工情報に従ってレリーフ加工手段23を制御する処理や、切断手段28を制御する処理を実行する。又、駆動コントローラ65は、演算手段61に制御されて、印刷のみを実行する画像に関しては印刷装置20を駆動し、レリーフ加工を実行する画像に関しては印刷/レリーフ加工装置21を駆動するといったような、駆動する装置を振り分ける振り分け制御も実行する。
【0040】
入力手段25は、上述したタッチパネル14とされるものであり、入力手段25が操作されることにより発生する入力信号は演算手段61に出力され、演算手段61が入力信号に対応した処理を実行する。
【0041】
表示手段26は、タッチパネル14とされるものであり、画像取込手段27が取得した画像をサムネイル表示する処理や、加工情報に対応する領域や突出量をCG(Computer Graphics)により3D表示する処理や、使用者に所定の情報を選択させる場合にアイコンを表示させる処理等を実行する。尚、表示されるアイコンとしては、「決定」「中止」「レリーフ加工」「印刷」といったアイコンがある。
【0042】
画像取込手段27は、上述したメディア挿入部15とされるものであり、種々の記憶媒体を読み込むことにより画像データやDPOFデータを取得する処理、取得した各種の情報を記憶手段62、印刷情報生成手段63、加工情報生成手段64、表示手段26に出力する処理を実行する。
【0043】
次に、加工情報生成手段64で加工情報を生成する方法について具体的に述べる。画像取込手段27で平面画像の画像データを取得した場合、加工情報生成手段64は、画像データにおける画像の色差、濃度差を解析して差が大きい部分を抽出し、この差が大きい部分をレリーフ加工する領域として設定する。更に、加工情報生成手段64は、この領域内における突出量を記憶手段62に予め登録された情報や過去の加工情報から設定する。そして、設定した領域及び突出量から加工情報を生成する。
【0044】
又、画像取込手段27で取得した情報に3Dカメラにより撮影された被写体までの距離情報が含まれている場合、加工情報生成手段64は、被写体までの距離を一定距離毎に区分けする。そして、被写体までの距離が近い領域をレリーフ加工する領域として設定し、更に、距離情報を利用して領域内の突出量を設定し、設定した領域及び突出量から加工情報を生成する。つまり、加工情報生成手段64は、実際の被写体までの距離を利用して、レリーフ加工する領域やレリーフ加工する領域内での突出量の差を設定し、加工情報を生成する。
【0045】
更に、画像取込手段27で取得した情報にカメラ等の撮影時における顔認識情報や焦点調整の情報が含まれている場合、加工情報生成手段64は、この顔認識情報や焦点調整の情報等を利用して加工情報を生成する。
【0046】
つまり、顔認識情報を利用する場合、加工情報生成手段64は、顔認識情報から顔の輪郭を囲んだ領域をレリーフ加工する第一領域として設定し、第一領域内に位置する鼻等を第二領域として設定し、設定した第一領域及び第二領域における突出量を設定し、これらの情報から加工情報を生成する。尚、必ずしも複数領域を設定する必要はないが、複数領域を設定することができるようにすれば、完成したレリーフを一層立体的にすることができる。
【0047】
又、焦点調整の情報を利用する場合、加工情報生成手段64は、被写体までの距離や焦点を合わせた位置を焦点調整の情報から解析し、焦点を合わせた位置から所定の範囲内の領域をレリーフ加工する領域として設定し、更に、被写体までの距離から突出量を設定し、これらの情報から加工情報を生成する。
【0048】
更に、画像取込手段27でブロックマッチング法による領域情報を備えた画像データを取得した場合、加工情報生成手段64は、この画像データから動いたものの領域、又は、静態していたものの領域をレリーフ加工する領域として設定し、更に、領域内での突出量を記憶手段62に予め登録された情報や過去の加工情報から設定し、これらの情報から加工情報を生成する。このブロックマッチング法とは、連続で2枚の撮影を行ない、先に撮影した画像(第1フレーム)における所定の大きさの領域を基本ブロックと設定し、後で撮影した画像(第2フレーム)を全検索して第1フレームの基本ブロックと第2フレームの基本ブロックとの差分評価関数の値が最小となる点を対応点として両フレーム内で動いたものを抽出する手法であり、動画、静止画において動きの予測に用いられる手法である。
【0049】
又、加工情報生成手段64は、レリーフ加工に用いた加工情報を記憶手段62に記憶させ、この加工情報を他の画像データとマッチングさせて利用し、加工情報を生成する。つまり、一度使用した加工情報を他の印刷用紙38にレリーフ加工を施す場合に利用して加工情報を生成することにより、使用者の嗜好にあった加工情報を生成する。
【0050】
そして、加工情報生成手段64は、これらの方法の中からいずれかの方法を用いて、又は、これらの方法の中から複数の方法を用いて複数の加工情報を生成する。
【0051】
次に、写真自動販売機1が備える印刷/レリーフ加工装置21について述べる。
図3は、本実施例に係る写真自動販売機1に内蔵された印刷/レリーフ加工装置21の簡略模式図であり、
図4は、レリーフ加工手段23の斜視図である。印刷/レリーフ加工装置21は、
図3に示すように、印刷手段22とされる印刷部29と、レリーフ加工手段23とされるレリーフ加工部30と、切断手段28とされる切断装置47と、を備える。
【0052】
印刷部29は、用紙供給コア31と、リボン供給コア32と、リボン巻取コア33を備え、用紙供給コア31に印刷用紙38が巻装され、リボン供給コア32にインクリボン39が巻装されている。又、印刷部29は、リボン供給コア32とリボン巻取コア33の間に、印刷ヘッドであるサーマルヘッド34と、サーマルヘッド34と対向する位置に位置する印刷側プラテンローラ35を備えている。更に、印刷部29は、サーマルヘッド34及び印刷側プラテンローラ35の前方に、印刷側搬送手段とされる印刷側紙送りローラ36及び印刷側ピンチローラ37を備えている。尚、印刷側プラテンローラ35は、印刷側紙送りローラ36の回転に従動する。
【0053】
そして、印刷部29は、印刷側搬送手段によって印刷用紙38を順次搬送しつつ、サーマルヘッド34と印刷側プラテンローラ35の間に印刷用紙38とインクリボン39を共に挟み込み、サーマルヘッド34によって順次画像を印刷用紙38に熱転写する。又、画像が熱転写された印刷用紙38は、印刷側搬送手段によってレリーフ加工部30側に搬送される。尚、印刷の方法を熱転写としているもこれに限定されるわけではなく、レーザプリンタやインクジェット等としてもよい。
【0054】
又、リボン供給コア32から繰り出されたインクリボン39は、印刷用紙38と共にサーマルヘッド34と印刷側プラテンローラ35の間に挟み込まれ、熱転写によって印刷用紙38に画像が転写された後、リボン巻取コア33に巻装される。
【0055】
レリーフ加工部30は、印刷部29の前方つまり印刷用紙38の搬送先側に配置されている。このレリーフ加工部30は、
図3及び
図4に示すように、圧接体43をY軸方向及びZ軸方向に駆動させレリーフ加工を行なう圧接体駆動手段と、印刷用紙38をX軸方向に搬送するレリーフ側搬送手段とから構成される。この圧接体駆動手段は、Y軸駆動ユニット41及びZ軸駆動ユニット42と、Z軸駆動ユニット42に保持される圧接体43と、圧接体43と対向する位置に配置されたレリーフ側プラテンローラ44と、から構成される。尚、X軸方向とは、印刷用紙38の長手方向である搬送方向を指し、Y軸方向は、印刷用紙38の搬送方向と直交する方向を指し、Z軸方向は、XY平面と直交する印刷用紙38の厚み方向を指す。
【0056】
又、レリーフ側搬送手段は、圧接体43及びレリーフ側プラテンローラ44の前方に位置するレリーフ側紙送りローラ45及びレリーフ側ピンチローラ46によって構成される。このレリーフ側紙送りローラ45は、レリーフ側ピンチローラ46との間で印刷用紙38を挟み込んだ状態で図示しないモータ等によって回転し、印刷用紙38を搬送する。又、レリーフ側紙送りローラ45及びレリーフ側ピンチローラ46は、印刷用紙38における短手方向の両端部に近接する位置に弾性部材等が巻装され、この弾性部材が巻装された部分が各ローラ45,46から突出して肉厚とされている。そして、印刷用紙38の両端部近傍を弾性部材によって挟み込んで搬送することにより、レリーフ加工が施された印刷用紙38の立体部分に触れることなく印刷用紙38を搬送できるように構成されている。尚、レリーフ側プラテンローラ44は、レリーフ側紙送りローラ45の回転に従動する。
【0057】
Y軸駆動ユニット41は、Y軸方向規制部材51と、Y軸方向摺動部材52と、を備える。Y軸方向規制部材51は、略直方体形状であって所定の一面にY軸レールが形成され、このY軸レールにY軸方向摺動部材52が摺動可能に装着されている。Z軸駆動ユニット42は、圧接体保持部材55を備え、この圧接体保持部材55に圧接体43が装着されている。この圧接体保持部材55は、Y軸方向摺動部材52に装着され、Y軸方向摺動部材52と共にY軸方向に稼動すると共に、圧接体43をZ軸方向に稼動させる。
【0058】
圧接体43は、ペン形状であり長手方向がZ軸方向となるように圧接体保持部材55に装着されている。又、圧接体43は、
図5に示すように、先端を球面形状に形成されており、この先端部は図示しない弾性体により先端方向、つまり、レリーフ側プラテンローラ44の方向へ付勢されている。よって、レリーフ加工時において、圧接体43の先端に所定値以上の負荷がかかった場合、先端部はペンの内部に入り込み、印刷用紙38が破損することを防止できる。
【0059】
この圧接体43は、印刷用紙38の裏面、つまり、印刷がされていない側の面における所定の領域内に圧接され、圧接された状態でY軸駆動ユニット41及び印刷用紙38が稼動することにより印刷用紙38の所定領域内を圧接しながら摺動することにより印刷用紙38にレリーフ加工を施す。つまり、印刷用紙38の裏面に圧接体43の先端を擦り付けるようにしてレリーフ加工を施す。
【0060】
具体的には、圧接体43が印刷用紙38の所定の箇所をレリーフ側プラテンローラ44に向けて圧接すると、圧接された印刷用紙38の所定の箇所が平面上から突出して印刷用紙38に凸部が形成される。又、この状態で圧接体保持部材55がY軸方向に稼動するとY軸方向に凸部が延長される。更に、レリーフ側搬送手段によって印刷用紙38が前方に搬送されるとX軸方向に凸部が延長される。そして、これらの動作を繰り返すことにより、所定の領域内にレリーフ加工が施される。又、圧接体43の印刷用紙38に対する圧接量を変化させる、つまり、Z軸方向の稼動量を変化させることにより突出量を変化させることもできる。そして、レリーフ加工された印刷用紙38は、レリーフ側搬送手段の前方に配置された切断装置47によって切断され、完成したレリーフとして
図1に示した完成物受取口17に送られる。
【0061】
尚、写真自動販売機1が備える印刷装置20の印刷部29は、印刷/レリーフ加工装置21の印刷部29と同様の構成とされ、印刷装置20の切断手段28は、印刷/レリーフ加工装置21の切断装置47と同一の構成とされている。
【0062】
次に、本実施例におけるレリーフ加工機能を備えた写真自動販売機1の使用方法について述べる。使用者は、
図1に示したメディア挿入部15に任意のメディア媒体を挿入する。メディア媒体が挿入されると、タッチパネル14にメディアに記憶された画像リストが表示される。使用者は、タッチパネル14に表示された画像リストの中から、印刷する画像及びレリーフ加工する画像を選択する。
【0063】
尚、使用者は、デジタルカメラ等で印刷を行なう画像やレリーフ加工を行なう画像を予め指定しておくこともでき、予め指定されている場合にはDPOFデータにこの情報が記憶され、メディア媒体をメディア挿入部15に挿入すると、
図2に示した印刷情報生成手段63や加工情報生成手段64がこの情報を読み込み、自動で印刷やレリーフ加工を行なう。
【0064】
そして、メディア媒体に印刷する画像の情報やレリーフ加工を行なう画像の情報が記憶されていない場合、使用者は、印刷する印刷用紙の大きさ(L版等)、枚数、縁の有無等を設定する。又、レリーフ加工を行なう場合、タッチパネル14を操作することによりレリーフ加工を選択し、加工情報生成手段が作成した加工情報の中から加工領域及び突出量を選択する、或いは、カスタム設定で加工領域及び突出量を選択する。
【0065】
使用者が加工領域及び突出量を設定する場合、タッチパネル14には、レリーフ加工する領域及び該領域における突出量、つまり、完成したレリーフのCGが3D画像として表示される。
【0066】
図6は、突出量を使用者がカスタム設定する場合の画面表示を示す図である。加工領域内における突出量を使用者がカスタム設定する場合には、タッチパネル14に
図6(a)及び
図6(b)に示すような円柱の湾曲上面や円柱の側面等が表示される。使用者は、指定された加工領域内において円柱の中心軸を所定の位置に指定する。このように円柱の中心軸を所定の位置に指定することにより、中心軸より遠い位置では突出量が小さく、中心軸に近い所は突出量が大きくなるように設定できる。
【0067】
又、一つの加工領域内に更に異なる加工領域が設定されている場合、使用者が所定の領域を選択すると
図6(a)及び
図6(b)に示したような円柱の湾曲上面や円柱の側面等がタッチパネル14に表示される。そして、使用者が夫々の領域において所定の位置に円柱の中心軸を設定することにより複数の領域における突出量を設定できる。このように一つの領域内で異なる加工領域を設定することにより、外側の領域と内側の領域で突出量を変えることができ、例えば、犬の顔を外側の加工領域として指定し、犬の鼻を内側の加工領域に指定すれば、犬の顔が浮き上がり更に鼻が浮き上がったレリーフ加工が可能となる。
【0068】
そして、使用者が全ての設定を終了すると、印刷及びレリーフ加工の値段がタッチパネル14に表示される。使用者がコイン投入口11及び/又は紙幣挿入口12から入金すると金額表示部13に入金した金額が表示され、タッチパネル14に表示された金額以上の金額が入金された場合、印刷及びレリーフ加工可能状態となる。使用者は、印刷及び/又はレリーフ加工に関して設定した情報でよい場合には、タッチパネル14を操作することにより印刷及び/又はレリーフ加工を実行し、印刷及び/又はレリーフ加工が完了すると完成物受取口17に写真又はレリーフが完成した順に出る。
【0069】
図7は、加工されたレリーフ85の一例を示す図である。写真自動販売機1で作成したレリーフ85は、
図7(a)に示すように、桜桃の絵が描かれた印刷用紙38における桜桃の部分がレリーフ加工されている。そして、
図7(b)に示すように、枝の部分と実の部分で突出量に差が形成されており、実の部分は球面形状に形成されている。又、
図7(c)に示すように、2つの実においても突出量の差が形成されており、手前に位置する実の突出量が大きく、奥に位置する実の突出量が小さくされている。このように、写真自動販売機1で加工したレリーフ85は、画像における遠近を突出量によって表したり、主要部分を強調したりすることができ、又、レリーフ加工手段分が滑らかなレリーフ85となる。
【0070】
本実施例によれば、印刷手段22とレリーフ加工手段23を備えることにより、印刷とレリーフ加工の両作業を1台の装置で同時に行える写真自動販売機1を提供できる。
【0071】
又、レリーフ加工手段23をレリーフ側搬送手段と、圧接体43を有した圧接体駆動手段と、から構成し、印刷用紙38の裏面に圧接体43を圧接させ、圧接体43を圧接させた状態で印刷用紙38における所定領域内で圧接体43の先端を摺動させレリーフ加工を施すことにより、突出部分が滑らかなレリーフを作成できる。
【0072】
又、圧接体43の先端を球面形状とすることにより、印刷用紙38上で圧接体43の先端を滑らかに摺動させることができるため、擦り付けている時に印刷用紙38が破損することを防止できると共に、レリーフ部分が滑らかなレリーフ85を作成できる。
【0073】
圧接体駆動手段をY軸駆動ユニット41及びZ軸駆動ユニット42によって形成し、X軸方向の駆動は印刷用紙38を駆動させる構成とすることにより、印刷手段22で印刷された印刷用紙38を切断することなくそのままレリーフ加工できるため、印刷とレリーフ加工を同時に行なうことができ、又、印刷用紙38におけるレリーフ加工を施す位置を容易に認識できるため、レリーフ加工時の駆動制御が容易となる。
【0074】
又、写真自動販売機1に印刷/レリーフ加工装置21を内蔵することにより、省スペースで印刷とレリーフ加工を同時に行なうことができる写真自動販売機1を提供できる。
【0075】
更に、レリーフ加工手段23に切断装置47を組み込むことにより、印刷、レリーフ加工、切断という異なる作業を流れるように実施できるため、レリーフ加工の速度を速めることができ、又、印刷/レリーフ加工装置21のみで一連の作業を完了できるため、印刷/レリーフ加工装置21の汎用性を高めることができる。
【0076】
又、写真自動販売機1に少なくとも1つの印刷/レリーフ加工装置21と、複数の印刷装置20とを内蔵することにより、写真を印刷する写真自動販売機1としての機能を損なうことなくレリーフ加工機能を付加した写真自動販売機1を提供できる。
【0077】
加工情報生成手段64で複数パターンの加工情報を自動で生成し、使用者にとっての選択肢を増やすことで使用者の嗜好にあった加工情報となる確率を上げることができ、又、使用者にとっても面倒な設定をせずに容易にレリーフ加工を行なうことができる。
【0078】
又、レリーフ加工において、使用者がレリーフ加工を行なう領域や突出量の設定を任意で行なうつまりカスタム設定ができるようにすることで、レリーフ加工という作業に対する使用者の参加度が増すため、楽しんでレリーフ加工を行なうことができる。
【0079】
更に、制御部24が記憶手段62を備え、この記憶手段62に使用された加工情報を記憶し、他のレリーフ加工において用いる構成とすることにより、使用者の嗜好にあった加工情報を生成することができる。
【0080】
尚、上述した写真自動販売機1では、写真印刷のみを実行する複数の印刷装置20と、レリーフ加工及び写真印刷の両方を実行する1機の印刷/レリーフ加工装置21と、が内蔵された構成としているが、印刷/レリーフ加工装置21を複数機内蔵した構成とすることもでき、写真自動販売機1を設置する環境に応じて印刷装置20と印刷/レリーフ加工装置21の数構成を自由に変更できる。
【0081】
又、上述した実施例では、レリーフ加工を行なうために、印刷手段22とレリーフ加工手段23とを備えた印刷/レリーフ加工装置21を用いているが、必ずしも印刷/レリーフ加工装置21を備える必要はなく、例えば、写真の印刷のみを実行する3機の印刷装置20と、レリーフ加工のみを実行する1機のレリーフ加工装置と、を写真自動販売機1に内蔵するといった構成とすることも可能である。
【0082】
このように印刷装置20とレリーフ加工装置とを内蔵した写真自動販売機1において、レリーフ加工装置としては、
図4に示したレリーフ加工手段23の構成をそのまま転用することができるが、
図8に示すようなレリーフ加工装置5を用いることもできる。
図8に示すレリーフ加工装置5は、圧接体43をX軸、Y軸、Z軸の3方向に駆動させる構成とされるものであり、圧接体駆動手段としてX軸駆動ユニット40と、Y軸駆動ユニット41と、Z軸駆動ユニット42と、を備える。
【0083】
このレリーフ加工装置5は、Z軸駆動ユニット42に圧接体43が保持され、板状のプラテン91上に写真等の印刷用紙38を載置した状態で、圧接体43の先端を印刷用紙38に圧接し、プラテン91に印刷用紙38を押し付けた状態で圧接体43をX軸、Y軸、Z軸方向に駆動することにより、印刷用紙38の所定領域内にレリーフ加工を施す装置である。
【0084】
このように印刷装置20とレリーフ加工装置(5)とが別個の装置として内蔵された写真自動販売機1によれば、従来の複数の印刷装置20が内蔵された写真自動販売機における所定の1つの印刷装置20を取り外し、空いたスペースにレリーフ加工装置を組み込むことでレリーフ加工機能を備えた写真自動販売機1を提供でき、設計変更や製造が容易となる。
【0085】
又、少なくとも1つのレリーフ加工装置(5)と、複数の印刷装置20を内蔵した写真自動販売機1とすることにより、写真を印刷する写真自動販売機1という機能を損なうことなくレリーフ加工機能を付加することができる。
【0086】
又、本実施例の写真自動販売機1において用いる印刷用紙38としては、写真用紙等を用いることもできるが、伸張性を有した紙を用いることが好適である。伸張性を有した紙を印刷用紙38とすることにより、レリーフ加工が容易となり、又、加工されたレリーフの強度も写真用紙等を材料としたレリーフよりも高くなるからである。
【0087】
尚、本発明は、以上の実施例に限定されるものでなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で自由に変更、改良が可能である。