特許第5783228号(P5783228)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5783228オイル注入用接続具及びそれを用いたオイル交換方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5783228
(24)【登録日】2015年7月31日
(45)【発行日】2015年9月24日
(54)【発明の名称】オイル注入用接続具及びそれを用いたオイル交換方法
(51)【国際特許分類】
   F16H 57/04 20100101AFI20150907BHJP
   F01M 11/04 20060101ALI20150907BHJP
【FI】
   F16H57/04 E
   F16H57/04 P
   F01M11/04 D
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-245602(P2013-245602)
(22)【出願日】2013年11月28日
(65)【公開番号】特開2015-102225(P2015-102225A)
(43)【公開日】2015年6月4日
【審査請求日】2014年9月11日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】502043499
【氏名又は名称】ゴトコ・ジャパン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100072213
【弁理士】
【氏名又は名称】辻本 一義
(74)【代理人】
【識別番号】100119725
【弁理士】
【氏名又は名称】辻本 希世士
(74)【代理人】
【識別番号】100168790
【弁理士】
【氏名又は名称】丸山 英之
(72)【発明者】
【氏名】松田 濃
【審査官】 稲葉 大紀
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2013/0043096(US,A1)
【文献】 特開2003−312795(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3089517(JP,U)
【文献】 実開昭55−102464(JP,U)
【文献】 特開2004−286630(JP,A)
【文献】 特表平11−500215(JP,A)
【文献】 実開平01−096594(JP,U)
【文献】 特開平10−131737(JP,A)
【文献】 特開2006−234042(JP,A)
【文献】 特開2005−226542(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16H 57/04
F01M 11/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
オイルパン(I)内にオイルを注入するために前記オイルパン(I)の排出口(E)に螺着して接続する接続具であって、
中空で円柱形状である第一基部(11)と、前記第一基部(11)の一端に設けられた螺子部(12)と、前記螺子部(12)に延設された管部(13)と、中心軸(C)に沿って前記第一基部(11)と前記螺子部(12)と前記管部(13)を貫通する第一貫通孔(14)とを有し前記オイルパン(I)の前記排出口(E)に螺着する第一接続具(1)と、
前記第一基部(11)の他端に位置し中空の角形形状である第二基部(21)と、前記第二基部(21)の前記第一基部(11)の反対側に設けられた接合部(22)と、前記中心軸(C)に沿って前記第二基部(21)と前記接合部(22)を貫通する第二貫通孔(23)とを有する第二接続具(2)とを備え、
前記第一基部(11)に設けられた第一係止部(15)と前記第二基部(21)に設けられた第二係止部(24)とが係止して前記第一接続具(1)と前記第二接続具(2)とが一体となっており、
前記管部(13)が、前記中心軸(C)に沿う方向において前記螺子部(12)よりも長く、前記管部(13)の直径が、前記螺子部(12)の直径よりも短いことを特徴とするオイル注入用接続具。
【請求項2】
前記第二貫通孔(23)の直径よりも大きい直径を有する前記第一貫通孔(14)内に付勢手段(3)と、前記付勢手段(3)と当接するボール(4)とを備えることを特徴とする請求項1に記載のオイル注入用接続具。
【請求項3】
前記請求項1又は請求項2のいずれかに記載のオイル注入用接続具を前記排出口(E)に接続する工程と、
前記第二接続具(2)の接合部(22)に接続する接続具(5)を有する蛇管(6)を介して、オイルが注入されたエアゾール缶(7)を前記オイル注入用接続具に接続して前記エアゾール缶(7)から前記オイルパン(I)に前記オイルを注入する工程と、
前記オイル注入用接続具を前記排出口(E)から取り外す工程とを備えることを特徴とするオイル交換方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本件発明は、トランスミッションケースに取り付けられたオイルパン内のオイルを注入するためにオイルパンに接続して使用される接続具及びその接続を用いたオイルの交換方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車、自動二輪車などの乗り物、工作機械、発電機などにおいて自動変速機又は無段変速機が使用されており、それら変速機の潤滑、作動及び冷却を行うために、自動変速機用としてATFと呼ばれるオイル、無段変速機用としてCVTFと呼ばれるオイルが使用されている。
【0003】
とりわけ自動車において、その寿命が尽きるまでトランスミッション用のオイルを交換しなくてよいとするメーカーも存在するが、熱負荷による低粘度化などの劣化、クラッチやブレーキバンドの摩耗並びにギアやベアリングなどの金属摩耗によるスラッジの堆積、その堆積物に起因するオイルフィルターの目詰まりなどが発生し、トランスミッションの性能が劣化するために、適時にオイル交換されることが望まれている。
【0004】
例えば、特許文献1に示すように、トランスミッションケースに取り付けられたオイルパンの下部に設けられたドレン孔に接続されているドレンボルトを取り外して、当該オイルパン内の古くなったオイルを抜き出した後に、ドレンボルトを再度接続してオーバーフロープラグを取り外してその取り外した箇所から新規のオイルをオイルパンに注入する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−25309号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載のオイル注入方法では、まず、オイルパンからバットなどの容器に古いオイルを全量直接抜き出すために、オイルが飛び跳ねて作業者や作業場が汚れること、オイルが飛び跳ねて作業者に付着しても火傷しないようにオイルの温度が下がるまで作業を行わないようするため作業時間が長いこと、作業者が古いオイルの抜き出しから新しいオイルの注入まで終始掛かりっきりで作業しなければならないため効率が悪いことなどの問題があった。
【0007】
また、オイルパン内のオイルが熱負荷による低粘度化などの劣化することに対して、劣化した特定の性能を向上させる目的でオイルパン内のオイルに新しいオイルを簡便に注入することが困難であった。
【0008】
そこで、本件発明では、トランスミッションケースに取り付けられたオイルパン内のオイルに新しいオイルを注入するに際して、古いオイルを全量交換することがないためオイルの抜き出し時に飛び跳ねて作業者や作業場が汚れることを低減することができ、オイルの温度が下がらなくても作業を始められるようにしてオイル交換作業に掛かる時間を短縮することができ、作業者が古いオイルの抜き出しから新しいオイルの注入まで終始掛かりっきりで作業する必要がないため作業者の作業効率を向上させることができ、さらに劣化した特定の性状を向上させる目的でオイルパン内のオイルに新しいオイルを簡便に注入することができるオイル注入用接続具及びそれを用いたオイル交換方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
〔1〕本件発明は、オイルパン(I)内にオイルを注入するために前記オイルパン(I)の排出口(E)に螺着して接続する接続具であって、中空の円柱形状である第一基部(11)と、前記第一基部(11)の一端に設けられた螺子部(12)と、中心軸(C)に沿って前記第一基部(11)と前記螺子部(12)を貫通する第一貫通孔(14)とを有し前記オイルパン(I)の前記排出口(E)に螺着する第一接続具(1)と、前記第一基部(11)の他端に位置し中空の角形形状である第二基部(21)と、前記第二基部(21)の前記第一基部(11)の反対側に設けられた接合部(22)と、前記中心軸(C)に沿って前記第二基部(21)と前記接合部(22)を貫通する第二貫通孔(23)とを有する第二接続具(2)とを備え、前記第一基部(11)に設けられた第一係止部(15)と前記第二基部(21)に設けられた第二係止部(24)とが係止して前記第一接続具(1)と前記第二接続具(2)とが一体となっており、
前記管部(13)が、前記中心軸(C)に沿う方向において前記螺子部(12)よりも長く、前記管部(13)の直径が、前記螺子部(12)の直径よりも短いことを特徴とするオイル注入用接続具である。
【0010】
〔2〕そして、前記第二貫通孔(23)の直径よりも大きい直径を有する前記第一貫通孔(14)内に付勢手段(3)と、前記付勢手段(3)と当接するボール(4)とを備えることを特徴とする前記〔1〕に記載のオイル注入用接続具である。
【0012】
〕そして、前記〔1〕又は前記〔2〕に記載のオイル注入用接続具を前記排出口(E)に接続する工程と、前記第二接続具(2)の接合部(22)に接続する接続具(5)を有する蛇管(6)を介して、オイルが注入されたエアゾール缶(7)を前記オイル注入用接続具に接続して前記エアゾール缶(7)から前記オイルパン(I)に前記オイルを注入する工程と、前記オイル注入用接続具を前記排出口(E)から取り外す工程とを備えることを特徴とするオイル交換方法である。
【発明の効果】
【0013】
本件発明に記載のオイル注入用接続具及びそれを用いたオイル交換方法によれば、トランスミッションケースに取り付けられたオイルパン内のオイルに新しいオイルを注入するに際して、古いオイルを全量交換することがないためオイルの抜き出し時に飛び跳ねて作業者や作業場が汚れることを低減することができ、オイルの温度が下がらなくても作業を始められるようにしてオイル交換作業に掛かる時間を短縮することができ、作業者が古いオイルの抜き出しから新しいオイルの注入まで終始掛かりっきりで作業する必要がないため作業者の作業効率を向上させることができ、さらに劣化した特定の性状を向上させる目的でオイルパン内のオイルに新しいオイルを簡便に注入することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本件発明におけるオイル注入用接続具の一実施形態を示す斜視図。
図2】本件発明におけるオイル注入用接続具の一実施形態を示す正面図。
図3】本件発明におけるオイル注入用接続具の一実施形態を示す中心軸に沿った断面図。
図4】トランスミッションケース及びオイルパンの一部破断した概略説明図。
図5】本件発明におけるオイル交換方法における工程S1の手順を示す説明図。
図6】本件発明におけるオイル交換方法における工程S2の手順を示す説明図。
図7】本件発明におけるオイル交換方法における工程S3の手順を示す説明図。
図8】本件発明におけるオイル交換方法における工程S4の手順を示す説明図。
図9】本件発明におけるオイル交換方法における工程S5及びS6の手順を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本件発明のオイル注入用接続具A及びそれを用いたオイル交換方法を、図面に示す実施形態に基づいて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施形態は、本件発明を実施するに好ましい具体例であるから、技術的に種々の限定がなされているが、本件発明は、以下の説明において特に発明を限定する旨明記されていない限り、これらの形態に限定されるものではない。また、数値範囲を示す表現は上限と下限を含むものである。
【0016】
図1から図3に示すように、本件発明のオイル注入用接続具Aは、第一接続具1と第二接続具2とが係止して一体となり、第一接続具1の内部に付勢手段3である弾性ばねと第二貫通孔23を封止するボール4を備えている。
【0017】
第一接続具1には、中心軸Cに垂直な切断面が円形である第一基部11と、第一基部11の一端に設けられた螺子部12と、螺子部12に延設された管部13とが備えられ、中心軸Cに沿って第一基部11と螺子部12と管部13を貫通する第一貫通孔14が穿孔されている。そして、第二接続具2には、中心軸Cに垂直な切断面が六角形であり第一基部11の他端に位置する第二基部21と、第二基部21の第一基部11の反対側に設けられた接合部22である第二螺子部とが備えられ、中心軸Cに沿って第二基部21と接合部22を貫通する第二貫通孔23が穿孔されている。
【0018】
第一基部11は、オイル注入用接続具Aの中ほどに位置し、内部が中空であり、外部が中心軸Cに垂直な切断面を円形とする円柱形状を有している。なお、本実施形態において第一基部11は、中空の円柱形状であるが、外形の形状については角形であってもよい。
【0019】
螺子部12は、第一基部11の一端である第二接続具2とは反対側に延設されている円筒状の部材である。その外周側面に雄螺子が切られていることによりオイルパンIの排出口Eに螺着して、オイル注入用接続具AをオイルパンIに接続することができる。汎用に使用されるオイルパンIの排出口Eの口径に適合できるように、螺子部12の外周の直径は、6〜12mmであることが好ましい。
【0020】
管部13は、螺子部12の一端である第一基部11とは反対側に延設されている円筒状の部材である。管部13からエアゾール缶7に封入されたオイルをオイルパンIの内部に噴出される。
【0021】
そして、管部13の外周の直径は、螺子部12の直径よりも小さく、3〜7mmであることが好ましい。管部13の直径が螺子部12の直径よりも短いことにより、オイル注入用接続具AをオイルパンIに接続しオイルを注入したときに、オイルパンIの内部に発生した大きく重いスラッジが巻き上げられオイルパンIのオイル調整壁Wと管部22のとの間に沈殿しやすくなり、オイルを注入しながらオイルパンIの内部からスラッジを除去することもできる。さらに、管部13が、中心軸Cに沿う方向において螺子部12よりも長いことにより、同様に大きく重いスラッジがオイルパンIのオイル調整壁Wと管部22のとの間により多く蓄えることができオイルの注入とともにスラッジを除去することもできる。
【0022】
第一貫通孔14は、第一基部11、螺子部12、管部13を貫通しており、オイルパンI内にエアゾール缶7に封入されたオイルが通る空洞である。図3に示すように、第一貫通孔14は、その径が基部1内で120度の角度で広がって螺子部12、管部13内での径より大きくなっている。この第一貫通孔14内の広がった部分には、付勢手段3である弾性ばねと第二貫通孔23を封止するボール4とが収容されている。このため、第一貫通孔14のうち、第一基部11内の部分ではボール4が動くことができるようにボール4の直径よりも大きく、螺子部12、管部13内の部分ではボール4が入り込まないようにボール4の直径よりも小さいことが好ましい。
【0023】
第一係止部15は、第一基部11内部の螺子部12及び管部13とは反対側の内壁に設けられ、第二接続具2の第二係止部24と係止する部材である。第一係止部15が第二係止部24と係止することにより、第一接続具1と第二接続具2とを一体とすることができる。本実施形態において、第一係止部15は、螺子部材であり、第一基部11の内周側面に雌螺子が切られているが、第二係止部24と係止することができる限りにおいて他の部材を選ぶこともできる。
【0024】
第一接続具1の材質としては、剛性を有する合成樹脂、金属などを使用することができるが、耐久性などから金属、特に真鍮、ステンレス、炭素鋼などが好ましい。
【0025】
第二基部21は、オイル注入用接続具Aの中ほどに位置し、内部が中空であり、外部が中心軸Cに垂直な切断面を六角形とする角柱形状を有している。なお、本実施形態において、第一基部11は、中空の角柱形状であるが、外形の形状については他の角形であってもよい。第二基部21が、このような形状であると、オイル注入用接続具AをオイルパンIにレンチやスパナなどの汎用の工具により着脱しやすい。
【0026】
接合部22は、円筒状の部材であり、エアゾール缶7に接続する器材である蛇管6の接続具5と接続するため部材である。接合部22の外周側面に雄螺子が切られていることにより、蛇管6の接続具5に螺着して、オイル注入用接続具Aを蛇管6に接続することができる。本実施形態において、接合部22は、螺子部材であり、雄螺子が切られているが、蛇管6の接続具5と接合することができる限りにおいて他の部材を選ぶこともできる。
【0027】
第二貫通孔23は、第二基部21、接合部22を貫通しており、オイルパンI内にエアゾール缶7に封入されたオイルが通る空洞である。図3に示すように、第一貫通孔14内に収容された付勢手段3である弾性ばねの付勢力によりボール4が第二貫通孔23から抜け出て外部に飛び出さないように第二貫通孔23は、その径が、第一貫通孔14内に収容されたボールの直径よりも小さいことが好ましい。
【0028】
第二係止部24は、第二基部21の接合部22とは反対側に延設され、第一接続具1の第一係止部15と係止する部材である。第二係止部24が第一係止部15と係止することにより、第一接続具1と第二接続具2とを一体とすることができる。本実施形態において、第二係止部24は、螺子部材であり、その外周側面に雄螺子が切られているが、第一係止部15と係止することができる限りにおいて他の部材を選ぶこともできる。
【0029】
第二接続具2の材質としては、剛性を有する合成樹脂、金属などを使用することができるが、耐久性などから金属、特に真鍮、ステンレス、炭素鋼などが好ましい。
【0030】
付勢手段3である弾性ばねは、第一貫通孔14内の第一基部11の部分に収容されているコイル状のばね部材である。この付勢手段3が、ボール4と当接して、ボール4を第二接続具2側に付勢するので、エアゾール缶7からオイルが噴出する圧力がこの付勢力よりも大きいときには、弾性ばねが縮められエアゾール缶7のオイルをオイルパンIに注入することができる。また、エアゾール缶7内のオイルがなくなりエアゾール缶7からオイルが噴出する圧力がこの付勢力よりも小さいときには、弾性ばねが伸長しボール4を第二接続具2に押し付けるために、オイルパンIから逆流してくるオイルを外部に漏洩しない。さらに、弾性ばねが伸長しボール4を第二接続具2に押し付けるために、他のエアゾール缶を用いてオイルを追加するときに、エアゾール缶7を取り外してもオイルが外部に漏洩しない。
【0031】
ボール4は、第一貫通孔14内の第一基部11の部分に収容されている球状のばね部材である。ボール4は、その直径が第一貫通孔14内に収容されるために、第一貫通孔14内の第一基部11の部分の直径よりも小さく、第二貫通孔23から飛びださないように第二貫通孔23の直径よりも大きいことが好ましい。
【0032】
以下に、オイル注入用接続具Aを用いたオイル交換方法について、図5から図9を参照して説明する。
【0033】
まず、準備工程として、オイルパンIの温度を、非接触型温度計などを用いて測定する。オイルパンIに作業者が触れても火傷しないように高すぎないかを調べるとともに、また、オイルを注入してオイルパンI内で混合しやすくするために低すぎないかを調べる。温度が低いときにはオイルの粘度が高くオイルを注入すると混合しにくいため、エンジンを掛けるなど暖気運転をすることにより35〜45℃程度に上昇させオイルの粘度を低下させて、オイルを注入したときに混合しやくすることが好ましい。
【0034】
そして、図5に示すように、工程S1において、オイルパンIの底部にある排出口Eに取り付けられたオーバーフロープラグPを取り外して、オイル注入用接続具Aの螺子部12をオイルパンIに螺着して接続する。図4に示すように、オイルパンIに別途ドレンバルブがある場合、ドレンバルブを取り外してその排出口からオイル注入用接続具Aを螺着することもできるが、ドレンバルブを外すとその排出口からオイルパンI内のオイルが流れ出して作業者の手や作業場が汚れるため、オイル調整壁Wを有してオイルパンI内のオイルが流れ出ないオーバーフロープラグPを取り外してオイル注入用接続具Aを螺着することが好ましい。
【0035】
そして、図6に示すように、工程S2において、第二接続具2の接合部22である螺子に、蛇管6の接続具5を螺着させる。これにより、接続具5を備え可撓性を有する蛇管6を介して、オイルが封入されているエアゾール缶7をオイル注入用接続具Aに接続することができるようにする。
【0036】
そして、図7に示すように、工程S3において、蛇管6にエアゾール缶7を接続して、エアゾール缶7に封入されたオイルをオイルパンIに送液する。なお、エアゾール缶7は、例えば、オイルパンI内のオイルに増粘性能を付与するために粘度指数向上剤が配合されているオイルなど種々の性能を付与しうるオイルが封入されている商品を使用することができる。
【0037】
次に、図8に示すように、工程S4において、トランスミッションを5〜10分間作動させて、循環パイプP1、P2を通じてトランスミッションケースTに取付けられたオイルパンI内のオイルと送液された新規のオイルとが混合したオイルを均一となるまで循環させる。このように、混合オイルが均一となるまで循環することによりオイルパンI内のオイルに所定の性能を付加することができる。なお、本実施方法において使用するエアゾール缶7に封入されているオイルの容量は400mlであるが、それよりも多いオイルが封入されているエアゾール缶7を使用することができる。
【0038】
そして、図9に示すように、工程S5において、エアゾール缶7及び蛇管6を取り外した後にオイル注入用接続具Aを排出口Eから取り外す。これにより、工程S3で送液した新規のオイルとほぼ同量のオイルを余剰分としてオイルパンIから排出し、オイルパンI内のオイルの液面がオイル調整壁Wの上端までとなるように調整される。
【0039】
そして、図9に示すように、工程S6において、オイル注入用接続具Aを取り外して、工程S1で取り外したオーバーフロープラグPを排出口Eに接続する。
【0040】
このように、準備工程、及びオイル注入用接続具Aを用いて工程S1から工程S6の手順を経る方法によって、トランスミッションケースに取り付けられたオイルパンI内のオイルを置換することができる。
【0041】
そして、オイル注入用接続具A及びエアゾール缶7を用いてオイルを注入させることができるため、オイルの抜き出し時にオイルが飛び跳ねて作業者や作業場が汚れることもなく、エアゾール缶7の噴出圧力を利用して短時間に作業することができる。
【符号の説明】
【0042】
A・・・オイル注入用接続具
I・・・オイルパン
E・・・排出口
C・・・中心軸
P・・・オーバーフロープラグ
P1、P2・・循環パイプ
W・・・オイル調整壁
T・・・トランスミッションケース
1・・・第一接続具
11・・第一基部
12・・螺子部
13・・管部
14・・第一貫通孔
15・・第一係止部
2・・・第二接続具
21・・第二基部
22・・接合部
23・・第二貫通孔
24・・第二係止部
3・・・付勢手段
4・・・ボール
5・・・接続具
6・・・蛇管
7・・・エアゾール缶
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9