(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、軟骨伝導を利用した会話システムの有用性を高めるためには、さらに検討すべき課題が多い。
【0005】
本発明は、本願の発明者らにより見出された上記の課題に鑑み、軟骨伝導を利用した有用な会話システム、及び、音声聴取方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明に係る会話システムは、指輪と会話機器本体を有する会話システムであって、前記指輪は、第1近距離無線通信部と、前記第1近距離無線通信部によって受信される音声信号を軟骨伝導振動に変換して出力するために指に接触する位置に設けられる振動出力部と、前記第1近距離無線通信部及び前記振動出力部に給電する第1電源部と、を含み、前記会話機器本体は、前記第1近距離無線通信部と無線通信する第2近距離無線通信部と、マイクと、前記マイクが拾う音声を前記第2近距離無線通信部に音声信号として出力させる音声信号出力部と、前記第2近距離無線通信部、前記マイク、及び、前記音声信号出力部に給電する第2電源部と、を含む構成(第1の構成)とされている。
【0007】
なお、上記第1の構成から成る会話システムにおいて、前記指輪は、さらに、前記第1電源部の電源をオン/オフする電源スイッチを含み、前記第2電源部は、前記第1近距離無線通信部から前記第2近距離無線通信部を介して伝達される前記電源スイッチのオン/オフ状態に応じてリモートコントロールされる構成(第2の構成)にするとよい。
【0008】
また、上記第2の構成から成る会話システムにおいて、前記電源スイッチは、所定の自己保持時間にわたってオン状態を保持する自己保持機能を備えており、前記自己保持時間のカウント動作は、前記電源スイッチのオン操作毎にリセットされて再スタートされる構成(第3の構成)にするとよい。
【0009】
また、上記第1〜第3いずれかの構成から成る会話システムにおいて、前記振動出力部は、圧電バイモルフを含み、前記第1電源部は、前記圧電バイモルフを駆動するための昇圧回路を含む構成(第4の構成)にするとよい。
【0010】
また、上記第1〜第3いずれかの構成から成る会話システムにおいて、前記振動出力部は、電磁式振動部を含む構成(第5の構成)にするとよい。
【0011】
また、上記第1〜第5いずれかの構成から成る会話システムにおいて、前記会話機器本体は、さらに音響式のイヤーピースに接続可能である構成(第6の構成)にするとよい。
【0012】
また、上記第1〜第6いずれかの構成から成る会話システムは、補聴器システムである構成(第7の構成)にするとよい。
【0013】
また、上記第1、第4、及び、第5いずれかの構成から成る会話システムにおいて、前記指輪は、さらに、マイクを含む構成(第8の構成)にするとよい。
【0014】
また、上記第8の構成から成る会話システムは、携帯電話システムである構成(第9の構成)にするとよい。
【0015】
また、本発明に係る会話システムは、指輪と会話機器本体を有する会話システムであって、前記指輪は、電源をオン/オフする電源スイッチと、前記電源スイッチのオン/オフ状態を伝達するための第1近距離無線通信部と、前記第1近距離無線通信部に給電する第1電源部と、を含み、前記会話機器本体は、前記第1近距離無線通信部と無線通信する第2近距離無線通信部と、マイクと、前記マイクが拾う音声を会話機器音声として出力する音声信号出力部と、前記第1近距離無線通信部から前記第2近距離無線通信部を介して伝達される前記電源スイッチのオン/オフ状態に応じてリモートコントロールされ、前記マイク及び前記音声信号出力部に給電する第2電源部と、を含む構成(第10の構成)とされている。
【0016】
また、本発明に係る会話システム用指輪は、会話システムに用いられる指輪であって、近距離無線通信部と、前記近距離無線通信部によって受信される音声信号を軟骨伝導振動に変換して出力するために指に接触する位置に設けられる振動出力部と、前記近距離無線通信部及び前記振動出力部に給電する電源部と、を有する構成(第11の構成)とされている。
【0017】
なお、上記第11の構成から成る会話システム用指輪は、前記電源部の電源をオン/オフする電源スイッチをさらに有し、前記近距離無線通信部は、前記電源スイッチのオン/オフ状態を外部に出力する構成(第12の構成)にするとよい。
【0018】
また、上記第12の構成から成る会話システム用指輪において、前記電源スイッチは、所定の自己時間にわたってオン状態を保持する自己保持機能を備えており、前記自己保持時間のカウント動作は、前記電源スイッチのオン操作毎にリセットされて再スタートされる構成(第13の構成)にするとよい。
【0019】
また、上記第11〜第13いずれかの構成から成る会話システム用指輪において、前記振動出力部は、圧電バイモルフを含み、前記電源部は、前記圧電バイモルフを駆動するための昇圧回路を含む構成(第14の構成)にするとよい。
【0020】
また、上記第11〜第13いずれかの構成から成る会話システム用指輪において、前記振動出力部は、電磁式振動部を含む構成(第15の構成)にするとよい。
【0021】
また、上記第11〜第15いずれかの構成から成る会話システム用指輪において、前記会話システムは、補聴器システムである構成(第16の構成)にするとよい。
【0022】
また、上記第11、第14、及び、第15いずれかの構成から成る会話システム用指輪は、マイクをさらに有する構成(第17の構成)にするとよい。
【0023】
また、上記第17の構成から成る会話システム用指輪において、前記会話システムは、携帯電話システムである構成(第18の構成)にするとよい。
【0024】
また、本発明に係る携帯電話用指輪は、携帯電話と共に用いられる指輪であって、近距離無線通信部と、前記近距離無線通信部によって受信される前記携帯電話からの音声信号を軟骨伝導振動に変換して出力するために指に接触する位置に設けられる振動出力部と、音声を電気信号に変換して前記近距離無線通信部から前記携帯電話に送信させるためのマイクと、前記近距離無線通信部、前記振動出力部、及び、前記マイクに給電する電源部とを有する構成(第19の構成)とされている。
【0025】
なお、上記第19の構成から成る携帯電話用指輪は、前記近距離無線通信部を介して着信信号を受信することにより前記電源部による給電を開始させる制御部をさらに有する構成(第20の構成)にするとよい。
【0026】
また、上記第20の構成から成る携帯電話用指輪は、前記着信信号により着信を告知する着信振動部をさらに有する構成(第21の構成)にするとよい。
【0027】
また、上記第21の構成から成る携帯電話用指輪は、前記振動出力部が前記着信振動部を兼ねている構成(第22の構成)にするとよい。
【0028】
また、上記第19〜第22いずれかの構成から成る携帯電話用指輪は、手動操作スイッチをさらに有し、前記近距離無線通信部は、前記手動スイッチによる受話・発呼操作に応じた信号を前記携帯電話に出力する構成(第23の構成)にするとよい。
【0029】
また、上記第19〜第23いずれかの構成から成る携帯電話用指輪において、前記振動出力部は、圧電バイモルフを含み、前記電源部は、前記圧電バイモルフを駆動するための昇圧回路を含む構成(第24の構成)にするとよい。
【0030】
また、上記第19〜第23いずれかの構成から成る携帯電話用指輪において、前記振動出力部は、電磁式振動部を含む構成(第25の構成)にするとよい。
【0031】
また、本発明に係る指輪型携帯電話は、携帯電話通信部と、前記携帯電話通信部によって受信される音声信号を軟骨伝導振動に変換して出力するために指に接触する位置に設けられる振動出力部と、音声を電気信号に変換して前記携帯電話通信部から送信させるためのマイクと、前記携帯電話通信部、前記振動出力部、及び、前記マイクに給電する電源部と、を有する構成(第26の構成)とされている。
【0032】
なお、上記第26の構成から成る指輪型携帯電話は、着信を告知する着信振動部をさらに有する構成(第27の構成)にするとよい。
【0033】
また、上記第27の構成から成る指輪型携帯電話は、前記振動出力部が前記着信振動部を兼ねている構成(第28の構成)にするとよい。
【0034】
また、上記第26〜第28の構成から成る指輪型携帯電話において、前記振動出力部は圧電バイモルフを含み、前記電源部は、前記圧電バイモルフを駆動するための昇圧回路を含む構成(第29の構成)にするとよい。
【0035】
また、上記第26〜第28いずれかの構成から成る指輪型携帯電話において、前記振動出力部は、電磁式振動部を含む構成(第30の構成)にするとよい。
【0036】
また、本発明に係る音声聴取方法は、音声信号を軟骨伝導振動に変換して指に伝達するステップと、前記指を軟骨に当接させるステップと、を有する構成(第31の構成)とされている。
【0037】
なお、上記第31の構成から成る音声聴取方法において、前記軟骨は、耳珠の軟骨である構成(第32の構成)にするとよい。
【発明の効果】
【0038】
本発明によれば、軟骨伝導を利用した有用な会話システムを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0040】
<システム全体像>
図1は、本発明に係る会話システムの全体像を概略的に示す模式図である。本発明に係る会話システム(補聴器システムや携帯電話システムなど)は、指輪1と、会話機器本体2と、イヤーピース3と、を有する。
図1では、指輪1と会話機器本体2とが各々別体として設けられた構成(後出の第1〜第4実施形態のうち、特に、第1実施形態(
図2)や第3実施形態(
図4)に相当する構成)が描写されている。なお、指輪1の使用が予定されているときは、イヤーピース3は会話機器本体2から取り外されるので、指輪1とイヤーピース3が同時に用いられることは通常想定されていない。
【0041】
指輪1は、ユーザの指A(例えば第3関節)に装着されて、会話機器本体2から入力される音声信号を軟骨伝導振動に変換して指Aに伝達する。指Aに軟骨伝導振動が伝達されている状態で、ユーザが指Aを耳B付近の軟骨C(以下では、耳軟骨Cと略称する)に当接させると、指輪1で生成された軟骨伝導振動が指Aを介して耳軟骨Cに伝達される。その結果、会話機器本体2からの音声信号が軟骨伝送音として外耳道周囲の軟骨に伝わり、外耳道内部で発生する気導を生じて鼓膜に伝達されるとともに、一部が軟骨を通じて直接内耳に伝達される。なお、指Aの当接先となる耳軟骨Cの例は、耳珠を含む外耳道入口部周囲軟骨である。指Aの当接先はこれに限らず、種々の耳軟骨部位でよいが、耳珠を含む外耳道入口部周囲軟骨は、軟骨伝導に基づき外耳道内部で気導音を発生させるのに効果的であるとともに、耳穴部は音を聞く部位として一般に意識されている部位であり、指Aを耳に当てる無意識の動作を導くのに好適である。また、このような動作により、外耳道入口部に指Aを当てたとき、突出している耳珠に指Aが自然に当たるので、特に耳珠が接触部として注目される。さらに、耳珠はこれを押すことにより耳穴を塞ぐ構造になっているので、後述の耳栓骨導効果を導く上でも好適である。なお、指輪1の構成及び動作については、後ほど詳細に説明する。
【0042】
会話機器本体2は、ユーザの手元(胸ポケットなど)に携帯されて、指輪1やイヤーピース3に音声信号を伝達する。例えば、本発明に係る会話システムが補聴器システムである場合には、補聴器本体が会話機器本体2となり、マイクで検出された音声が電気的な音声信号に変換されて指輪1やイヤーピース3に伝達される。また、本発明に係る会話システムが携帯電話システムである場合には、携帯電話本体が会話機器本体2となり、電話回線を介して受信された音声信号が指輪1やイヤーピース3に伝達される。なお、会話機器本体2の構成及び動作については、後ほど詳細に説明する。
【0043】
イヤーピース3は、会話機器本体2から入力される音声信号を空気振動に変換する音響式の小型スピーカである。従って、イヤーピース3を耳Bに装着すると、会話機器本体2からの音声信号が気導音として鼓膜(中耳)経由で聴覚神経(内耳)に伝達される。
【0044】
本発明に係る会話システムは、例えば、少し耳が遠くなり始めたユーザにとって好適な補聴器システムとして利用することができる。この補聴器システムのユーザは、通常はイヤーピース3を耳Bに装着せず、補聴の必要が生じた場合(例えば、相手の声が小さかったり遠かったりする場合)にのみ、臨時的に指Aを耳軟骨Cに当接させることにより、軟骨伝導を利用して音声の聴取を補助することが可能となる。なお、指Aを耳軟骨Cに当接させる動作は、相手の声に耳を傾ける自然な動作に似ているので、ユーザ本人にとっても会話相手や周囲の人間にとっても違和感がない。また、指Aの押圧力を増して耳珠などにより外耳道を塞ぐか、或いは、指先で外耳道を直接塞ぐことにより、いわゆる耳栓骨導効果によって補聴能力を高めることも可能となる。なお、会話機器本体3は、ユーザがイヤーピース3を耳Bに装着することを望むとき、これを接続すれば、既存の補聴器システムと同様の態様で補聴を行うことができるよう構成される。
【0045】
このように、指Aを介して耳軟骨Cに軟骨伝導振動を伝達させるための指輪1を備えた補聴システムであれば、ユーザは、補聴の必要がない限り、不愉快なイヤーピース3を装着することなく日常的な生活を送ることができる。また、ユーザは、補聴の必要が生じた場合には、指Aを耳軟骨Cに当接させるという自然な動作によって、即座に音声の聴取を補助することができる。また、指輪1は、指Aへの装着という形態をとるので、耳Bに装着されるイヤーピース3と比べて装着時の違和感が小さく、ユーザの肉体的負担ないしは精神的負担を大幅に軽減することも可能となる。
【0046】
なお、
図1では、指輪1と会話機器本体2とが各々別体として設けられた構成を例示したが、本発明の構成はこれに限定されるものではなく、指輪1に会話機器本体2の機能を適宜組み込んでも構わない。このような変形例については、以下に挙げる第1〜第4実施形態のうち、特に、第2実施形態(
図3)や第4実施形態(
図5)で詳細に説明する。
【0047】
<第1実施形態>
図2は、会話システムの第1実施形態(指輪と補聴器本体を含む補聴器システム)を示すブロック図であり、
図1の模式図に該当する構成である。第1実施形態の補聴器システムは、指輪100と、補聴器本体200と、を有する。
【0048】
指輪100は、
図1の指輪1に相当し、圧電バイモルフ軟骨伝導振動部101と、駆動部102と、制御部103と、電源部104と、昇圧回路105と、自己保持タイマ106と、リモコンスイッチ操作部107と、近距離通信部108と、を含む。
【0049】
圧電バイモルフ軟骨伝導振動部101は、軟骨伝導振動を生成して指A(
図1を参照)に伝達する振動出力部である。圧電バイモルフ軟骨伝導振動部101は、指輪100が指Aに装着されている状態で指Aと接触する位置に設けられている。圧電バイモルフ軟骨伝導振動部101は、圧電バイモルフの駆動電圧として、昇圧回路105から昇圧電圧の供給を受ける必要がある。圧電バイモルフ軟骨伝導振動部101と昇圧回路105との組み合せにより、指輪100への実装に適したコンパクトな軟骨伝導振動部を実現することが可能となる。ただし、軟骨伝導振動部の方式については、圧電バイモルフを利用した方式に限定されるものではなく、例えば電磁式の軟骨伝導振動部を用いても構わない。なお、電磁式の軟骨伝導振動部を用いる場合には、昇圧回路を必要としないので、回路構成を簡略化することが可能となる。
【0050】
駆動部102は、制御部103からの指示に基づいて圧電バイモルフ軟骨伝導振動部101を駆動する。
【0051】
制御部103は、指輪100の動作を統括的に制御する主体(例えばCPU[Central Processing Unit])である。例えば、制御部103は、近距離通信部108で受信された音声信号を軟骨伝導振動に変換して出力するように、駆動部102を介して圧電バイモルフ軟骨伝導振動部101の駆動制御を行う。
【0052】
電源部104は、バッテリ電圧から所定の内部電圧を生成して指輪100の各部に電力供給を行う。
【0053】
昇圧回路105は、電源部104で生成された内部電圧を昇圧して圧電バイモルフ軟骨伝導振動部101の駆動電圧を生成する。なお、昇圧回路105としては、昇圧型スイッチングレギュレータや昇圧型チャージポンプを用いることができる。
【0054】
自己保持タイマ106は、リモコンスイッチ操作部107で電源オン操作が受け付けられた後、所定の自己保持時間Ton(例えば5分間)にわたって指輪100をオン状態に保持するように、制御部103や電源部104に指示を送る電源スイッチである。なお、自己保持タイマ106による自己保持時間Tonのカウント動作は、リモコンスイッチ操作部107で電源オン操作が受け付けられる毎にリセットされて再スタートされる。従って、自己保持タイマ106による自己保持時間Tonのカウント動作中に、リモコンスイッチ操作部107で再度の電源オン操作が受け付けられた場合には、その時点から自己保持時間Tonにわたって指輪100をオン状態に保持するように、指輪100の電源オン期間が延長される。一方、自己保持時間Tonにわたってリモコンスイッチ操作部107で電源オン操作が受け付けられなかった場合、自己保持タイマ106は、指輪100をオフ状態に切り替えるように、制御部103や電源部104に指示を送る。
【0055】
このような自己保持タイマ106を備えた構成であれば、リモコンスイッチ操作部107で電源オン操作が受け付けられてから、自己保持時間Tonにわたって指輪100がオン状態に保持された後、自動的に指輪100がオフ状態に切り替えられる。従って、煩雑な電源オン/オフ操作を必要とせずに比較的まとまった時間にわたって補聴を行うことができる。また、自己保持時間Tonが経過すれば自動的に電源がオフになるので、指輪100の電力浪費を抑えることが可能となる。
【0056】
また、上記の自己保持タイマ106を備えた構成であれば、自己保持時間Tonよりも短い自然なタイミングで電源オン操作を繰り返すだけでその最後の操作から自己保持時間Tonのカウントが再スタートするので、指輪100の電源オン期間を延長することができる。
【0057】
ところで、例えば実施例のように圧電バイモルフを軟骨伝導振動部101として用いた場合、昇圧回路によっては駆動電圧が所定の目標値に到達するまでの所定の時間を要する場合があり、指輪100の起動直後には軟骨伝導を利用した補聴を行うことができない。そのため、必要の都度、指輪100の電源オン操作を行っていたのでは、電源オン直後の重要な発言を聞き漏らすおそれがある。これに対して、上記の自己保持タイマ106を備えた構成であれば、一度リモコンスイッチ操作部107で電源オン操作が受け付けられてから、少なくとも自己保持時間Tonにわたって電源部104や昇圧回路105をオン状態に保持することができるので、上記の不都合が生じるおそれを低減することが可能となる。
【0058】
リモコンスイッチ操作部107は、指輪100の電源オン操作を受け付けるユーザインターフェイスである。例えば、リモコンスイッチ操作部107としてプッシュボタンを採用した場合、ユーザはリモコンスイッチ操作部107をワンプッシュするだけで、指輪100の電源オン操作を行うことができる。
【0059】
近距離通信部108は、制御部103からの指示に基づいて、補聴器本体200に設けられた近距離通信部201との間で無線通信を行う。具体例を挙げると、近距離通信部108は、近距離通信部201からの音声信号を受信して制御部103に送出する。また、近距離通信部108は、制御部103からのリモコンスイッチ操作信号を近距離通信部201に送信する。上記のリモコンスイッチ操作信号とは、リモコンスイッチ操作部107で電源オン操作が受け付けられた状態であるか否か、言い換えれば、指輪100がオン状態であるか否かを示す情報信号である。なお、近距離通信部108としては、やBluetooth(登録商標)などの無線通信規格に準拠した無線通信モジュールICを好適に用いることができる。
【0060】
補聴器本体200は、
図1の会話機器本体2に相当し、近距離通信部201と、イヤーピース接続部202と、制御部203と、音声信号出力部204と、マイク205と、スイッチ操作部206と、電源スイッチ207と、電源部208と、を含む。
【0061】
近距離通信部201は、制御部203からの指示に基づいて、指輪100に設けられた近距離通信部108との間で無線通信を行う。具体的な例を挙げると、近距離通信部201は、制御部203からの音声信号を近距離通信部108に送信する。また、近距離通信部201は、近距離通信部108からのリモコンスイッチ操作信号を受信して制御部203に送出する。なお、近距離通信部201としては、Zigbee(登録商標)やBluetooth(登録商標)などの無線通信規格に準拠した無線通信モジュールICを好適に用いることができる。
【0062】
イヤーピース接続部202は、音響式のイヤーピース3(
図1を参照)を接続するためのインターフェイスである。イヤーピース接続部202を備えた構成であれば、通常のイヤーピース3(
図1を参照)と補聴器本体200から成る既存の補聴器システムをベースとして、軟骨伝導方式の指輪100を有する補聴器システムを構成することができる。
【0063】
制御部203は、補聴器本体200の動作を統括的に制御する主体(例えばCPU)である。例えば、制御部203は、補聴器本体200が待機状態に設定されているとき、近距離通信部108から近距離通信部201を介して伝達されるリモコンスイッチ操作信号(指輪100のオン/オフ状態)を監視し、このリモコンスイッチ操作信号に応じて電源スイッチ207のリモートコントロール(オン/オフ制御)を行う。
【0064】
補聴器システムでは、バッテリ容量(バッテリ駆動時間)が特に問題となる。そこで、制御部203は、指輪100がオン状態とされたことに連動して、補聴器本体200(より具体的には電源スイッチ207)をオン状態とするように構成されている。このような構成とすることにより、補聴の必要がないときには補聴器システム全体の消費電力を極力低減しておく一方、補聴の必要が生じたときには即座に補聴器システム全体をオン状態とすることが可能となる。
【0065】
また、イヤーピース3(
図1を参照)を用いて補聴を行う場合には、指輪100を補聴器本体200のリモートコントローラ(リモート電源スイッチ)として兼用することも可能である。このような構成とすることにより、補聴器本体200のリモートコントローラを別途用意する必要がなくなる上、リモートコントローラを紛失する恐れも少なくなる。なお、指輪100に補聴器本体200のリモートコントロール機能のみを持たせる場合には、
図2に描写された構成要素のうち、圧電バイモルフ軟骨伝導振動部101、駆動部102、及び、昇圧回路105が不要となる。
【0066】
音声信号出力部204は、マイク205で生成された音声信号に種々の信号処理(ノイズ除去処理など)を施して制御部203に出力する。
【0067】
マイク205は、周囲の音声を電気的な音声信号に変換する。
【0068】
スイッチ操作部206は、補聴器本体200の動作切替操作を受け付けるユーザインターフェイスである。補聴器本体200には、3つの動作状態(常時オン状態、常時オフ状態、及び、待機状態)が用意されている。常時オン状態では、指輪100のオン/オフ状態に依ることなく、補聴器本体200が常にオン状態とされる。この動作状態は、イヤーピース3(
図1を参照)を用いて定常的に補聴を行う場合に選択すればよい。常時オフ状態では、指輪100のオン/オフ状態に依ることなく、補聴器本体200が常にオフ状態とされる。この動作状態は、補聴の必要性が全くない場合(ユーザが就寝している場合など)に選択すればよい。待機状態では、先にも述べたように、指輪100のオン/オフ状態に連動して、補聴器本体200のオン/オフ状態がリモートコントロールされる。この動作状態は、指輪100を用いて緊急的に補聴を行う場合などに選択すればよい。
【0069】
電源スイッチ207は、制御部203及びスイッチ制御部206の指示に基づいて、電源部208のオン/オフ制御を行う。
【0070】
電源部208は、バッテリ電圧から所定の内部電圧を生成して補聴器本体200の各部に電力供給を行う。なお、補聴器本体200が待機状態とされている場合、電源部208は、指輪100から無線送信されるリモコンスイッチ操作信号の待ち受けに必要な回路ブロック(制御部201及び近距離通信部203)への電力供給を継続する一方、その余の回路ブロックに対する電力供給を停止する。
【0071】
<第2実施形態>
図3は、会話システムの第2実施形態(指輪のみから成る補聴器システム)を示すブロック図である。第2実施形態の補聴器システムを形成する指輪300は、
図2の指輪100と補聴器本体200とを組み合わせた構成であり、圧電バイモルフ軟骨伝導振動部301と、駆動部302と、制御部303と、電源部304と、昇圧回路305と、自己保持タイマ306と、リモコンスイッチ操作部307と、マイク308と、音声信号出力部309と、エコーキャンセラ310とを含む。
【0072】
図3に示した構成要素のうち、圧電バイモルフ軟骨伝導振動部301、駆動部302、制御部303、電源部304、昇圧回路305、自己保持タイマ306、リモコンスイッチ操作部307、マイク308、音声信号出力部309は、それぞれ、
図2の圧電バイモルフ軟骨伝導振動部101、駆動部102、制御部103、電源部104、昇圧回路105、自己保持タイマ106、リモコンスイッチ操作部107、マイク205、音声信号出力部204に相当する。そこで、以下では、第2実施形態の特徴的な構成要素や動作についての説明を重点的に行い、第1実施形態と重複する説明は適宜割愛する。
【0073】
制御部303は、音声信号出力部309からエコーキャンセラ310を介して伝達される音声信号を軟骨伝導振動に変換して出力するように、駆動部302を介して圧電バイモルフ軟骨伝導振動部301の駆動制御を行う。
【0074】
エコーキャンセラ310は、駆動部302から圧電バイモルフ軟骨伝導振動部301に供給される駆動信号から適応フィルタなどによって疑似エコー信号を生成し、これを音声信号出力部309からの音声信号に加算する。このようなエコーキャンセラ310を設けた構成であれば、音声信号出力部309からの音声信号に含まれるエコー成分(マイク308で検出された圧電バイモルフ軟骨伝導振動部301の振動成分)を適切にキャンセルすることが可能となる。
【0075】
上記したように、マイク内蔵型の指輪300を用いた補聴器システムであれば、補聴器本体が不要となるので、補聴器システムの携帯性を高めることが可能となる。
【0076】
<第3実施形態>
図4は、会話システムの第3実施形態(指輪と携帯電話本体を含む携帯電話システム)を示すブロック図である。第3実施形態の携帯電話システムは、指輪型送受話アタッチメント400と、携帯電話本体500と、を有する。
【0077】
指輪型送受話アタッチメント400は、
図1の指輪1に相当し、圧電バイモルフ軟骨伝導振動部401と、駆動部402と、制御部403と、電源部404と、昇圧回路405と、マイク406と、音声信号出力部407と、エコーキャンセラ408と、近距離通信部409と、受話・発呼操作部410と、を含む。
【0078】
圧電バイモルフ軟骨伝導振動部401は、軟骨伝導振動を生成して指A(
図1を参照)に伝達する振動出力部である。圧電バイモルフ軟骨伝導振動部401は、指輪型送受話アタッチメント400が指Aに装着されている状態において指Aと接触する位置に設けられている。圧電バイモルフ軟骨伝導振動部401は、圧電バイモルフの駆動電圧として、昇圧回路405から昇圧電圧の供給を受ける必要がある。圧電バイモルフ軟骨伝導振動部401と昇圧回路405との組み合せにより、指輪型送受話アタッチメント400への実装に適したコンパクトな軟骨伝導振動部を実現することが可能となる。ただし、軟骨伝導振動部の方式については、圧電バイモルフを利用した方式に限定されるものではなく、例えば電磁式の軟骨伝導振動部を用いても構わない。なお、電磁式の軟骨伝導振動部を用いる場合には、昇圧回路を必要としないので、回路構成を簡略化することが可能となる。
【0079】
駆動部402は、制御部403からの指示に基づいて圧電バイモルフ軟骨伝導振動部401を駆動する。
【0080】
制御部403は、指輪型送受話アタッチメント400の動作を統括制御する主体(例えばCPU)である。例えば、制御部403は、近距離通信部409で受信された受話音声信号を軟骨伝導振動に変換して出力するように、駆動部402を介して圧電バイモルフ軟骨伝導振動部401の駆動制御を行う。また、制御部403は、マイク406で生成された送話音声信号を携帯電話本体500に無線送信するように、近距離通信部409の通信制御を行う。
【0081】
また、制御部403は、携帯電話本体500からの着信信号に応じて着信告知用のバイブレーションを生成するように、駆動部402を介して圧電バイモルフ軟骨伝導振動部401の駆動制御を行う。このような構成とすることにより、携帯電話本体500に着信があったことをユーザに告知することが可能となる。なお、圧電バイモルフ軟骨伝導振動部401を着信振動部として兼用すれば、指輪型送受話アタッチメント400の大型化を招かずに済む。もちろん、圧電バイモルフ軟骨伝導振動部401とは別に、着信告知専用の着信振動部を設けても構わない。
【0082】
また、制御部403は、近距離通信部409で携帯電話本体500からの着信信号が受信されたとき、或いは、受話・発呼操作部410でユーザの発呼操作が受け付けられたときに、指輪型送受話アタッチメント400各部への電力供給を開始するように、電源部404のオン/オフ制御を行う。このような構成とすることにより、指輪型送受話アタッチメント400の消費電力を低減して、バッテリ駆動時間を延ばすことが可能となる。
【0083】
電源部404は、バッテリ電圧から所定の内部電圧を生成して指輪型送受話アタッチメント400の各部に電力供給を行う。なお、指輪型送受話アタッチメント400が待機状態とされている場合、電源部404は、携帯電話本体500から無線送信される着信信号の待ち受けと、ユーザによる発呼操作の待ち受けに必要な回路ブロック(制御部403、近距離通信部409、及び、受話・発呼操作部410)への電力供給を継続する一方、その余の回路ブロックに対する電力供給を停止する。
【0084】
昇圧回路405は、電源部404で生成された内部電圧を昇圧して圧電バイモルフ軟骨伝導振動部401の駆動電圧を生成する。なお、昇圧回路105としては、昇圧型スイッチングレギュレータや昇圧型チャージポンプを用いることができる。
【0085】
マイク406は、周囲の音声(ユーザの発する音声)を電気的な音声信号に変換する。
【0086】
音声信号出力部407は、マイク406で生成された音声信号に種々の信号処理(ノイズ除去処理など)を施してエコーキャンセラ408に出力する。
【0087】
エコーキャンセラ408は、駆動部402から圧電バイモルフ軟骨伝導振動部401に供給される駆動信号から疑似エコー信号を生成し、これを音声信号出力部407からの音声信号に加算して制御部403に出力する。このようなエコーキャンセラ408を設けた構成であれば、音声信号出力部407からの音声信号に含まれるエコー成分(マイク406で検出された圧電バイモルフ軟骨伝導振動部401の振動成分)を適切にキャンセルすることが可能となる。
【0088】
近距離通信部409は、制御部403からの指示に基づいて、携帯電話本体400に設けられた近距離通信部501との間で無線通信を行う。具体例を挙げると、近距離通信部409は、近距離通信部501からの受話音声信号を受信して制御部403に送出する。また、近距離通信部409は、マイク406で得られた送話音声信号を近距離通信部501に送信する。また、近距離通信部409は、受話・発呼操作部410で受け付けられた受話・発呼操作に応じた信号(以下、受話・発呼操作信号と呼ぶ)を近距離通信部501に送信する。なお、近距離通信部409としては、Bluetooth(登録商標)などの無線通信規格に準拠した無線通信モジュールICを好適に用いることができる。
【0089】
受話・発呼操作部410は、ユーザによる受話・発呼操作を受け付けるユーザインターフェイス(手動操作スイッチ)である。
【0090】
携帯電話本体500は、
図1の会話機器本体2に相当するものであり、近距離通信部501と、音声信号入力部502と、音声信号出力部503と、電話機能部504と、マイク505と、スピーカ506と、表示部507と、記憶部508と、制御部509と、電源部510と、電源スイッチ511と、スイッチ操作部512と、を含む。
【0091】
近距離通信部501は、制御部509からの指示に基づいて、指輪型送受話アタッチメント400に設けられた近距離通信部409との間で無線通信を行う。具体的な例を挙げると、近距離通信部501は、音声信号出力部503からの受話音声信号を近距離通信部409に送信する。また、近距離通信部501は、近距離通信部108からの送話音声信号を受信して音声信号入力部502に送出する。また、近距離通信部501は、近距離通信部409からの受話・発呼操作信号を受信して制御部509に送出する。なお、近距離通信部501としては、Bluetooth(登録商標)などの無線通信規格に準拠した無線通信モジュールICを好適に用いることができる。従って、近距離通信部501は、指輪型送受話アタッチメント400だけでなく、車載オーディオ機器やヘッドセットなどの送受話アタッチメントとの間で近距離無線通信を行うことも可能である。
【0092】
音声信号入力部502は、近距離通信部501で受信された送話音声信号を電話機能部504(特に送話部504a)に送出する。
【0093】
音声信号出力部503は、電話機能部504(特に受話部504b)で受信された受話音声信号を近距離通信部501に送出する。
【0094】
電話機能部504は、送話部504a及び受話部504bを用いて無線電話回線を介した音声通話を行うことが可能である。また、電話機能部504は、電話通信部504cを用いて無線電話回線を介したデータ通信を行うことも可能である。
【0095】
また、電話機能部504は、近距離通信部501を介して携帯電話本体500と外部機器(
図4では指輪型送受話アタッチメント400)との間で近距離無線通信が確立されているか否かに応じて、送話部504a及び受話部504bの入出力先を切り替える機能を備えている。例えば、携帯電話本体500と指輪型送受話アタッチメント400との間で近距離無線通信が確立されている場合には、音声信号入力部502から送話部504aに送話音声信号が伝達され、受話部504bから音声信号出力部503に受話音声信号が伝達される。一方、携帯電話本体500と指輪型送受話アタッチメント400との間で近距離無線通信が確立されていない場合には、マイク505から送話部504aに送話音声信号が伝達され、受話部504bからスピーカ506に受話音声信号が伝達される。すなわち、前者の場合には、指輪型送受話アタッチメント400を用いた音声通話が行われ、後者の場合には、携帯電話本体500のみを用いた音声通話が行われる。
【0096】
マイク505は、周囲の音声(ユーザの発する音声)を電気的な音声信号に変換して送話部504aに出力する。なお、マイク505は、携帯電話本体500のみを用いた音声通話時において、送話音声の取得を行う。
【0097】
スピーカ506は、制御部509からの制御に応じて、着信音や種々の案内音声を出力する。また、スピーカ506は、携帯電話本体500のみを用いた音声通話時において、受話音声の出力も行う。なお、スピーカ506として、
図1のイヤーピース3を用いることも可能である。
【0098】
表示部507は、制御部509からの制御に応じて、文字や画像の表示を行う。なお、表示部507としては、液晶ディスプレイや有機EL[Electro Luminescence]ディスプレイを好適に用いることができる。
【0099】
記憶部508は、制御部509に読み込まれて実行される各種プログラムを記憶する。また、記憶部37は、制御部509の動作に必要なデータの一時格納領域や各種プログラムの展開領域としても用いられる。
【0100】
制御部509は、携帯電話本体500の動作を統括的に制御する主体(例えばCPU)である。
【0101】
電源部510は、バッテリ電圧から所定の内部電圧を生成して携帯電話本体500の各部に電力供給を行う。
【0102】
電源スイッチ511は、制御部509及びスイッチ操作部512の指示に基づいて、電源部510のオン/オフ制御を行う。
【0103】
スイッチ操作部512は、ユーザ操作を受け付けるユーザインターフェイスである。なお、スイッチ操作部512としては、各種キーやボタンのほか、タッチパネルなどを好適に用いることが可能である。
【0104】
上記したように、軟骨伝導振動子と小型マイクロホンを備えた指輪型送受話アタッチメント400を用いて携帯電話システムを構築することにより、ユーザは、携帯電話本体500に一切触れることなく、着信確認や音声通話を行うことが可能となる。なお、軟骨伝導振動子の振動は、マナーモード用の振動体として兼用することができる。この場合、振動は耳でなく指で感じるので振動周波数を可聴域とする必要はなく、指で感じやすい低周波とすることも可能である。なお、マナーモード用の振動体は、軟骨伝導振動子を兼用する場合に限らず、別体の振動体を採用してもよい。
【0105】
なお、
図4では、携帯電話本体500に指輪型送受話アタッチメント400を一つだけ接続する構成を例に挙げて説明を行ったが、本発明の構成はこれに限定されるものではなく、複数の指輪型送受話アタッチメントに上記軟骨伝導振動子、小型マイクロホンおよび別体のマナーモード用振動体機能部を分離して収納し、これらの間を近距離通信で結ぶよう構成してもよい。このような構成とすることにより、例えば、利き耳に触れやすい手の指に装着される第1の指輪型送受話アタッチメントに軟骨伝導振動子を収納し、他方の手の指に装着される第2の指輪型送受話アタッチメントに小型マイクロホンを収納するなどして、ハウリングの低減を図ることが可能となる。また、マナーモード用の振動体の制御は情報量が少なくてよいので、Zigbee(登録商標)などの近距離通信手段を採用することも可能である。なお、第3実施形態のブロック500としては、通常のサイズの携帯電話だけでなく、電話機能を有する大画面の携帯通信端末などを採用してもよい。この場合、
図4における「携帯電話本体500」は、「大画面の携帯通信端末500」などと読み替えるものとする。
【0106】
<第4実施形態>
図5は、会話システムの第4実施形態(指輪型携帯電話)を示すブロック図である。第4実施形態の会話システムを形成する指輪型携帯電話600は、
図4の指輪型送受話アタッチメント400と携帯電話本体500とを組み合わせた構成であり、圧電バイモルフ軟骨伝導振動部601と、駆動部602と、送受話機能制御部603と、電源部604と、昇圧回路605と、マイク606と、音声信号出力部607と、エコーキャンセラ608と、音声信号入力部609と、音声信号出力部610と、電話機能部611と、表示部612と、記憶部613と、携帯電話機能制御部614と、電源部615と、電源スイッチ616と、スイッチ操作部617と、を含む。
【0107】
図5に示した構成要素のうち、圧電バイモルフ軟骨伝導振動部601、駆動部602、送受話機能制御部603、電源部604、昇圧回路605、マイク606、音声信号出力部607、エコーキャンセラ608、音声信号入力部609、音声信号出力部610、電話機能部611、表示部612、記憶部613、携帯電話機能制御部614、電源部615、電源スイッチ616、及び、スイッチ操作部617は、それぞれ、
図4の圧電バイモルフ軟骨伝導振動部401、駆動部402、制御部403、電源部404、昇圧回路405、マイク406、音声信号出力部407、エコーキャンセラ408、音声信号入力部502、音声信号出力部503、電話機能部504、表示部507、記憶部508、制御部509、電源部510、電源スイッチ511、及び、スイッチ操作部512に相当する。
【0108】
すなわち、指輪型携帯電話600は、
図4の指輪型送受話アタッチメント400と携帯電話本体500とを組み合わせた上で、不要となる近距離通信部409及び501を取り除いた構成であると言える。このような指輪型携帯電話600であれば、携帯電話本体が不要となるので、携帯電話システムの携帯性を高めることが可能となる。
【0109】
<指輪>
図6は、指輪1の一構成例を模式的に示す断面図である。本構成例の指輪1は、指Aの第3関節に軟骨伝導振動を与えるための構造、より具体的には、指Aの第3関節に装着されて軟骨伝導振動を与えるための指輪構造を有する。なお、構成要素に着目すると、本構成例の指輪1は、主ユニット10と、電源ユニット20と、通信ユニット30と、ケーブル40と、指輪型筐体50と、を有する。
【0110】
主ユニット10は、主として指Aに軟骨伝導振動を与えるためのユニットであり、指輪型筐体50が指Aに装着されたときに指Aの甲側となるように指輪型筐体50に収納されている。なお、主ユニット10の内部構成や動作については、後ほど詳細に説明する。
【0111】
電源ユニット20は、主として主ユニット10や通信ユニット30への電力供給を行うユニットであり、指輪型筐体50が指Aに装着されたときに指Aの甲側となるように指輪型筐体50に収納されている。なお、電源ユニット20の内部構成や動作については、後ほど詳細に説明する。
【0112】
通信ユニット30は、主として会話機器本体2と無線通信を行うユニットであり、指輪型筐体50が指Aに装着されたときに指Aの甲側となるように指輪型筐体50に収納されている。なお、通信ユニット30の内部構成や動作については、後ほど詳細に説明する。
【0113】
ケーブル40は、主ユニット10、電源ユニット20、及び、通信ユニット30の相互間を電気的に接続するように指輪型筐体50に収納されている。なお、ケーブル40としては、一般的な被覆電線のほか、FPC[Flexible Printed Circuits]などを好適に用いることができる。
【0114】
指輪型筐体50は、主ユニット10、電源ユニット20、通信ユニット30、及び、ケーブル40を収納しており、指Aの第3関節に装着される。
【0115】
上記のように、指Aの第3関節に装着される指輪1であれば、ユーザが意図的に指輪1を指Aから外そうとしない限り、日常生活の中で指輪1が指Aから脱落してしまうおそれは殆どないので、ユーザの行動を制約しない会話システムを構築することが可能となる。
【0116】
なお、指輪型筐体50を可撓性素材(シリコンゴムなど)で形成すれば、指輪1の装着可能サイズに大きな自由度を持たせることが可能となる。
【0117】
また、指輪型筐体50は、防水構造としておくことが望ましい。このような構成とすることにより、水(雨)や汗などに濡れても故障しにくくなる。また、指輪1を多人数で共用する場合には、指輪型筐体50を丸ごと水洗いすることにより、指輪1を清潔に保つことが可能となる。
【0118】
また、上記の構成例では、主ユニット10、電源ユニット20、及び、通信ユニット30をそれぞれ独立したユニットとした構成を例に挙げたが、本発明の構成はこれに限定されるものではなく、複数のユニットを一つにまとめても構わない。また、指輪型筐体50内における主ユニット10、電源ユニット20、及び、通信ユニット30の収納位置についても、上記の構成例に限定されるものではない。
【0119】
<主ユニット>
図7は、主ユニット10の一構成例を模式的に示す断面図である。本構成例の主ユニット10は、第1基板11と、圧電バイモルフ軟骨伝導振動部12と、制御部13と、駆動部14と、コネクタ15と、第2基板16と、操作部17と、を含む。
【0120】
第1基板11の表面には圧電バイモルフ軟骨伝導振動部12が実装されており、第1基板11の裏面には制御部13と駆動部14が直接実装されている。また、第1基板11には、電源ユニット20や通信ユニット30との電気的接続を確立するためのケーブル40も接続されている。なお、第1基板11の表面と裏面との間には、スルーホールやビアを介して電気的な接続が確立されている。このように、第1基板11の両面を有効に活用することにより、第1基板11の面積を縮小することができるので、主ユニット10を指Aの第3関節からはみ出さない程度の大きさに収めることが可能となり、延いては、ユーザに指輪1の装着を意識させずに済む。
【0121】
圧電バイモルフ軟骨伝導振動部12は、軟骨伝導振動を生成して指A(
図1)に伝達する振動出力部であり、先出の圧電バイモルフ軟骨伝導振動部101(
図2)、圧電バイモルフ軟骨伝導振動部301(
図3)、圧電バイモルフ軟骨伝導振動部401(
図4)、または、圧電バイモルフ軟骨伝導振動部601(
図5)に相当する。
図7で示したように、圧電バイモルフ軟骨伝導振動部12は、指輪1が指Aに装着されている状態で指Aと接触する位置に設けられている。
【0122】
制御部13は、指輪1の動作を統括的に制御する主体(例えばCPU)であり、先出の制御部103(
図2)、制御部303(
図3)、制御部403(
図4)、或いは、送受話機能制御部603及び携帯電話機能制御部614(
図5)に相当する。
【0123】
駆動部14は、制御部13からの指示に応じて圧電バイモルフ軟骨伝導振動部12を駆動するドライバであり、先出の駆動部102(
図2)、駆動部302(
図3)、駆動部402(
図4)、または、駆動部602(
図5)に相当する。
【0124】
コネクタ15は、第1基板11と第2基板16を縦に積み重ねるための導電部である。
【0125】
第2基板16の表面には操作部17が直接実装されており、第2基板16の裏面にはコネクタ15が接続されている。なお、第2基板16の表面と裏面との間には、スルーホールやビアを介して電気的な接続が確立されている。
【0126】
このように、複数基板の積層構造を採用することにより、1枚の基板に全ての回路要素を実装した構成に比べて、第1基板11の面積と第2基板16の面積をそれぞれ縮小することができる。従って、主ユニット10を指Aの第3関節からはみ出さない程度の大きさに収めることが可能となり、延いては、ユーザに指輪1の装着を意識させずに済む。
【0127】
操作部17は、ユーザ操作を受け付けるユーザインターフェイスであり、先出のリモコンスイッチ操作部107(
図2)、スイッチ操作部307(
図3)、受話・発呼操作部410(
図4)、または、スイッチ操作部617(
図5)に相当する。なお、操作部17は手の甲がドア等に衝突した際等の不用意な誤操作を避けるため、
図7のような指輪の上面ではなく、指輪の側面に設けるよう構成してもよい。
【0128】
<電源ユニット>
図8は、電源ユニット20の一構成例を模式的に示す断面図である。本構成例の電源ユニット20は、基板21と、バッテリ22と、電源部23と、昇圧回路24と、充電回路25と、を含む。
【0129】
基板21の表面にはバッテリ22が直接実装されており、基板21の裏面には電源部23、昇圧回路24、及び、充電回路25が直接実装されている。また、基板21には、主ユニット10との電気的接続を確立するためのケーブル40も接続されている。なお、基板21の表面と裏面との間には、スルーホールやビアを介して電気的な接続が確立されている。このように、基板21の両面を有効に活用することにより、基板21の面積を縮小することができるので、電源ユニット20を小型化することが可能となり、延いては、ユーザに指輪1の装着を意識させずに済む。
【0130】
バッテリ22は、指輪1の駆動に必要な電力供給源であり、リチウムイオン二次電池や電気二重層キャパシタなどを好適に用いることができる。このように、バッテリ駆動方式の指輪1であれば、外部からの給電ケーブルを接続する必要がないので、指輪1を用いた会話システムの構築に際してユーザの行動を制約せずに済む。なお、本構成例では、平坦性の高いバッテリ22が指Aの直上に配置されているので、指輪1を指Aの第3関節に装着した際の親和性を高めることが可能となり、延いては、ユーザに指輪1の装着を意識させずに済む。
【0131】
電源部23は、バッテリ22から供給されるバッテリ電圧から所定の内部電圧を生成して指輪1の各部に電力供給を行うDC/DCコンバータであり、先出の電源部104(
図2)、電源部304(
図3)、電源部404(
図4)、或いは、電源部604及び電源部615(
図5)に相当する。
【0132】
昇圧回路24は、電源部23で生成された内部電圧を昇圧して圧電バイモルフ軟骨伝導振動部12の駆動電圧を生成する回路ブロックであり、先出の昇圧回路105(
図2)、昇圧回路305(
図3)、昇圧回路405(
図4)、或いは、昇圧回路605(
図5)に相当する。
【0133】
充電回路25は、外部からの電力供給を受けてバッテリ22の充電制御を行う。なお、外部からの電力供給方式としては、USB[Universal Serial Bus]ケーブルなどを用いる接触方式であってもよいし、或いは、電磁誘導方式、電界結合方式、及び、磁界共鳴方式などの非接触方式であってもよい。このようなバッテリ22の充電手段を有する構成であれば、電池交換作業が不要となるので、指輪1の利便性を高めることができる。なお、指輪型筐体50を防水構造とする際には、外部端子を完全に排除するという観点から、充電回路25への電力供給方式として非接触方式を採用することが望ましい。
【0134】
<通信ユニット>
図9は、通信ユニット30の一構成例を模式的に示す断面図である。本構成例の通信ユニット30は、基板31と、無線通信回路32と、を含む。
【0135】
基板31の表面には無線通信回路32が直接的に実装されている。また、基板31には主ユニット10との電気的接続を確立するためのケーブル40も接続されている。
【0136】
無線通信回路32は、会話機器本体との間で近距離無線通信を行ったり、無線電話回線を介した音声通話を行う回路ブロックであり、先出の近距離通信部108(
図2)、近距離通信部409(
図4)、或いは、電話機能部611(
図5)に相当する。
【0137】
<その他の変形例>
なお、本発明の構成は、上記実施形態のほか、発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えることが可能である。すなわち、上記実施形態は、全ての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきであり、本発明の技術的範囲は、上記実施形態の説明ではなく、特許請求の範囲によって示されるものであり、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内に属する全ての変更が含まれると理解されるべきである。
【0138】
例えば、上記実施形態では、補聴器システムと携帯電話システムを各々独立した会話システムとして説明を行ったが、本発明の構成はこれに限定されるものではなく、補聴器機能と携帯電話機能の双方を備えた会話システムを構築することも可能である。