【課題を解決するための手段】
【0009】
以下、上記課題を解決するのに適した各手段につき項分けして説明する。なお、必要に応じて対応する手段に特有の作用効果を付記する。
【0010】
手段1.PTPシートの製造過程において、搬送される帯状の包装用フィルムに形成されたポケット部に収容された錠剤を検査する錠剤検査装置であって、
前記ポケット部に収容された錠剤に対し光を照射可能な照明手段と、
前記照明手段により照明された範囲内の錠剤を撮像可能な撮像手段と、
前記撮像手段から出力される画像信号を処理する画像処理装置とを備え、
前記画像処理装置は、
前記画像信号から得た画像データに基づき、前記錠剤を認識する塊処理と、
前記認識した錠剤をその重心を中心に所定角度回転する回転処理と、
前記錠剤の領域うち、前記回転の前後で重ならない部分の領域の面積を差分面積として算出する差分面積算出処理と、
前記差分面積又は当該差分面積が前記錠剤において占める割合が許容範囲内か否かを判定する対称性判定処理とを行うことにより、
異種錠混入検査を行うことを特徴とする錠剤検査装置。
【0011】
上記手段1によれば、画像データから認識された錠剤自身を回転させて、その回転前後で重ならない領域の面積を求めるといった比較的簡単な処理を基に異種錠の検出を行うことができる。
【0012】
円形錠剤の場合、どのような角度で回転したとしても、回転の前後で錠剤の輪郭は一致し、差分面積は理論的には0となる。但し、実際には錠剤の充填姿勢の傾き等の影響により、小さな差分面積は算出される可能性がある。つまり、任意の角度で回転して常に差分面積が許容範囲内となるものであれば、欠けのない良品の円形錠剤と判定することができる。
【0013】
これに対し、四角形等の非円形錠剤の場合、回転角度によっては、回転の前後で錠剤の輪郭がほぼ一致する場合もあれば、輪郭が一致せず、比較的大きな差分面積が得られる場合もある。例えば正三角形の錠剤であれば回転角度120°、正四角形の錠剤であれば回転角度90°、正五角形の錠剤であれば回転角度72°で、錠剤の輪郭がほぼ一致する。
【0014】
手段1.PTPシートの製造過程において、搬送される帯状の包装用フィルムに形成されたポケット部に収容された錠剤を検査する錠剤検査装置であって、
前記ポケット部に収容された錠剤に対し光を照射可能な照明手段と、
前記照明手段により照明された範囲内の錠剤を前記ポケット部の上面又は下面から撮像可能な撮像手段と、
前記撮像手段から出力される画像信号を処理する画像処理装置とを備え、
前記画像処理装置は、
前記画像信号から得た画像データに基づき、前記錠剤
の領域である錠剤領域を認識する処理と、
前記
錠剤領域をその重心を中心に所定角度回転する回転処理と、
前記錠剤
領域のうち、前記回転の前後で重ならない部分の領域の面積を差分面積として算出する差分面積算出処理と、
前記差分面積又は当該差分面積が前記錠剤において占める割合が許容範囲内か否かを判定する対称性判定処理とを行うことにより、
異種錠混入検査を行うことを特徴とする錠剤検査装置。
【0015】
このように本手段によれば、パターンマッチング方式のように、基準画像と検査対象との座標位置を合わせたり、1つの錠剤について画像の回転処理を何度も繰り返す必要がない。結果として、1つの錠剤にかかる処理数が格段に減り、検査処理速度を格段に速めることができる。加えて、品種毎に基準画像を登録しておく手間もない。
【0016】
また、本手段は、比較する対象が検査対象たる錠剤自身の回転の前後の画像であるため、個々の錠剤の形状や大きさのバラツキ等による影響が少なく、適切な検査を行うことができる。
【0017】
結果として、異種錠の混入検査に係る検査効率及び検査精度の飛躍的な向上を図ることができる。
【0018】
手段2.前記所定角度を360°/n(nは3以上の自然数)とした検査を行うことを特徴とする手段1に記載の錠剤検査装置。
【0019】
上記手段2によれば、円形錠剤、及び、正n×m角形(nは3以上、mは1以上の自然数)の錠剤と、それ以外の形状の錠剤とを判別することができる。例えば、正三角形(n=3,m=1)や
、正六角形(n=3,m=2)の錠剤を120°(360°/3)回転させた場合には、回転の前後で錠剤の輪郭がほぼ一致する。一方、それ以外の形状の錠剤では、回転の前後で錠剤の輪郭が一致しない。
【0020】
なお、ここでいう「正n角形」には、n個の角部が尖った完全な正n角形のみならず、n個の角部が丸みを帯びたものや、n個の各辺が直線形状でなく、やや丸みを帯びたもの等も含まれる。つまり、錠剤の重心からn個の各角部まで距離が均等な形状であれば、ここでいう「正n角形」に含まれる。
【0021】
手段3.前記所定角度を360°/2n(nは3以上の自然数)とした検査を行うことを特徴とする手段1又は2に記載の錠剤検査装置。
【0022】
上記手段3によれば、円形錠剤、及び、正n×m角形(nは3以上、mは2以上の自然数)と、正n角形を含む、それ以外の形状の錠剤とを判別することができる。例えば、正六角形(n=3,m=2)の錠剤を60°(360°/(2×3))回転させた場合には、回転の前後で錠剤の輪郭がほぼ一致する。一方、正三角形(n=3)の錠剤を60°回転させた場合には、回転の前後で錠剤の輪郭が一致しない。
【0023】
手段4.前記画像処理装置は、
前記認識した錠剤の輪郭上の各点と重心との距離を算出する距離算出処理と、
前記算出された距離のうちの最大値と最小値の差又は比を算出する比較処理と、
前記最大値と最小値の差又は比が許容範囲内である否かを判定する大小判定処理とを行うことにより、
第2の異種錠混入検査を行うことを特徴とする手段1乃至3のいずれかに記載の錠剤検査装置。
【0024】
画像の回転処理は、画像処理装置にかかる負担が大きくかつ時間のかかる処理である。そのため、PTPシートの製造過程においては、画像の回転処理を1つの錠剤につき何度も実行することは困難であり、PTPシートの生産効率を低下させるおそれがある。
【0025】
これに対し、本手段によれば、画像の回転処理を行うことなく、任意の形状の錠剤と、それ以外の異形状の錠剤とを判別することができる。
【0026】
例えば、円形錠剤の場合、重心と輪郭上の各点との距離の最大値と最小値の差は理論的には0となる。但し、実際には錠剤の充填姿勢の傾き等の影響により、小さな差は算出される可能性がある。つまり、重心と輪郭上の各点との距離の最大値と最小値の差が許容範囲内となるものであれば、欠けのない良品の円形錠剤と判定することができる。
【0027】
これに対し、正三角形の錠剤などの場合には、重心と輪郭上の各点との距離の最大値と最小値の差が比較的大きな値となる。
【0028】
手段5.手段1乃至4のいずれかに記載の錠剤検査装置を備えたことを特徴とするPTP包装機。
【0029】
上記手段5のように、錠剤検査装置をPTP包装機に備えることで、PTPシートの製造過程において不良品を効率的に除外できる等のメリットが生じる。