(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記特許文献1や特許文献2に開示される供給量調整の技術は、ノズルから供給される液状樹脂を塗布描画中のノズルの移動速度を調整することにより行われるものである。
しかし、塗布描画中にノズルの移動速度を変更することは、駆動手段への負荷が大きく、ノズル移動速度の速度差が大きいほど過大な負荷がかかり、駆動手段の寿命を短くするという問題がある。また、ノズルの移動速度により供給量を調整するため、制御が複雑になるという問題もある。さらに、塗布描画中のノズル移動速度の変更は、装置に不要な振動を生じる原因ともなり、塗布精度の悪化を招くという問題もある。
そこで本発明は、バンプが非均等に配置されている場合の浸透度の違いやノズルの方向転換に伴う速度差によるフィレット形状の乱れを無くし、フィレット形状を一定に保つことができる塗布方法、装置およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
発明者は、上記課題を解決するにあたり、フィレット形状が乱れる原因が、半導体チップ30に形成されるバンプ31の配置にも要因があることを見出した。前述のように、アンダーフィル工程では、毛細管現象により半導体チップ30と基板29との間隙に液状樹脂34を充填する。液状樹脂34の間隙への浸透度合は、間隙の幅に加えて間隙の奥に存在するバンプ31の配置密度にも影響される。例えば
図8に示すような、バンプ31の配置に疎密の差がある半導体チップ30を考える。この半導体チップ30の一辺に沿って塗布を行うとする。一般に、バンプ31の配置が密な箇所38は液状樹脂34の浸透が早く、バンプ31の配置が疎な箇所39は液状樹脂34の浸透が遅い。そのため、
図8(a)のように単位面積あたりの塗布量を一定量とする塗布を行うと、上述のような浸透度合の違いにより、不均一な幅や不均一な高さのフィレットが形成され、
図8(b)のようなフィレット形状の乱れが発生することになる。
【0010】
また、フィレット形状が乱れるもう一つの原因として、塗布動作中の移動速度の変化の影響が挙げられる。L字やU字など移動方向が変わる軌跡で塗布を行う場合、角部(方向転換部)では方向転換のために減速しなければならない。そのため、一定量の塗布をしていると、
図9に示すように、角部での塗布量が増え、フィレット形状の乱れが発生することとなる。
実際には、
図10のように、上記バンプ配置と角部での減速とが相俟って、より乱れの多いフィレット形状となる。
このように、発明者は、半導体チップ30に形成されるバンプ31の配置と、前記半導体チップ30にアンダーフィルして形成されるフィレット形状とに関係があるとの推論のもと、塗布対象領域において単位面積当たりの塗布量を変化させることにより解決できるとの仮説を立て、これを検証した。
【0011】
その結果、塗布対象領域における単位面積当たりの塗布量を変化させるためには、吐出装置からの供給量を調整することが有効であることを見出した。すなわち、バンプ配置の影響を受けずにフィレット形状を均一に形成するためには、塗布対象領域においてその単位面積当たりに必要となる量を塗布することが重要であることを見出した。
また、方向転換などに伴う速度変更の影響を受けずにフィレット形状を均一に形成するためには、塗布対象領域においてその単位面積当たりに必要となる量を供給することが重要であることを見いだした。
また、吐出装置側で塗布対象領域における単位面積当たりの塗布量を変化させるための手段として、吐出装置に飛翔吐出ないし液滴状吐出させるタイプの吐出装置が有効であるとの認識のもと、鋭意工夫して本発明をなした。
【0013】
第1の発明は、所望の塗布パターンを作成し、
吐出装置のノズルとワークとを相対移動しながら液体材料を
前記ノズルから吐出し、基板とその上に3以上のバンプを介して載置された
前記ワークとの間隙に毛細管現象を利用して
前記液体材料を充填する液体材料の塗布方法であって、
前記ワークが、前記液体材料の浸透度合いの違いによりフィレットの形状が不均一となる非均等に配置された前記バンプを含み、吐出パルス信号および休止パルス信号を送信する回数を総パルス数として規定し、
前記総パルス数のうち塗布量を達成するために必要な
前記吐出パルス信号の数を規定し、残りを
前記休止パルス信号
の数として規定する初期パラメータ設定工程、本塗布作業の開始前に、
前記液体材料の浸透度合いの違いに応じて吐出に関するパラメータを調整して液体材料の単位面積あたりの供給量を調整する吐出パラメータ設定工程、本塗布作業の開始後に、所定の補正周期で
前記吐出装置からの吐出量を計測し、吐出量の補正量を算出する補正量算出工程、および、
前記補正量算出工程で算出した
前記補正量に基づき
前記吐出パルス信号の数と
前記休止パルス信号の数を調整する吐出量補正工程、とを含み、前記吐出パラメータ設定工程において、前記塗布パターンで塗布を行い、
前記バンプが非均等に配置されたことによる液体材料の浸透度合いの違いにより
前記フィレットの形状が不均一となる箇所或いは区間について、
前記バンプの集積度が低い領域と隣接する塗布領域と比べ
前記バンプの集積度が高い領域と隣接する塗布領域の単位面積あたりの
前記吐出パルス信号の数が多くなるように調整することを特徴とする液体材料の塗布方法である。
【0014】
第2の発明は、第1の発明において、前記吐出量補正工程において、前記吐出パルス信号および前記休止パルス信号を発信する周波数を変えることなく前記調整を行うことを特徴とする。
第
3の発明は、
連続した複数の塗布領域からなる塗布パターンを作成し、吐出装置のノズルとワークとを相対移動しながら液体材料を
前記ノズルから吐出し、基板とその上に3以上のバンプを介して載置された
前記ワークとの間隙に毛細管現象を利用して
前記液体材料を充填する液体材料の塗布方法であって、
前記ワークが、前記液体材料の浸透度合いの違いによりフィレットの形状が不均一となる非均等に配置された前記バンプを含み、各塗布領域に、吐出パルス信号の数と休止パルス信号の数とを所定の比率で組み合わせた吐出サイクルを複数割り当てる吐出サイクル割当工程と、本塗布作業の開始前に、
前記液体材料の浸透度合いの違いに応じて吐出に関するパラメータを調整して液体材料の単位面積あたりの供給量を調整する吐出パラメータ設定工程と、を含み、前記吐出パラメータ設定工程において、前記塗布パターンで塗布を行い、
前記バンプが非均等に配置されたことによる液体材料の浸透度合いの違いにより
前記フィレットの形状が不均一となる箇所或いは区間について、
前記バンプの集積度が低い領域と隣接する塗布領域と比べ
前記バンプの集積度が高い領域と隣接する塗布領域の単位面積あたりの供給量が多くなるように、
前記吐出パルス信号と
前記休止パルス信号の数を調整することを特徴とする液体材料の塗布方法である。
【0016】
第4の発明は、所望の塗布パターンを作成し、
吐出装置のノズルとワークとを相対移動しながら液体材料を
前記ノズルから吐出し、基板とその上に3以上のバンプを介して載置された
前記ワークとの間隙に毛細管現象を利用して
前記液体材料を充填する液体材料の塗布方法であって、
前記ワークが、前記液体材料の浸透度合いの違いによりフィレットの形状が不均一となる非均等に配置された前記バンプを含み、一の吐出を行う単位サイクル同士の間隔を規定する初期パラメータ設定工程と、本塗布作業の開始前に、
前記液体材料の浸透度合いの違いに応じて吐出に関するパラメータを調整して液体材料の単位面積あたりの供給量を調整する吐出パラメータ設定工程と、を含み、前記吐出パラメータ設定工程において、前記塗布パターンで塗布を行い、
前記バンプが非均等に配置されたことによる液体材料の浸透度合いの違いにより
前記フィレットの形状が不均一となる箇所或いは区間について、
前記バンプの集積度が低い領域と隣接する塗布領域と比べ
前記バンプの集積度が高い領域と隣接する塗布領域の単位面積当たりの供給量が多くなるように、前記単位サイクル同士の間隔を調整することを特徴とする液体材料の塗布方法である。
【0017】
第5の発明は、第
3または4の発明において、さらに、本塗布作業の開始後に、所定の補正周期で
前記吐出装置からの吐出量を計測し、吐出量の補正量を算出する補正量算出工程と、前記補正量算出工程で算出した
前記補正量に基づき、前記塗布パターンに含まれる吐出パルス信号と休止パルス信号の数を調整する工程、および/または、少なくとも
一の前
記塗布領域と当該塗布領域と連続す
る一または二の
他の前記塗布領域の長さを各塗布領域における単位時間当たりの吐出量を変えることなく調整する工程、からなる吐出量補正工程と、を含むことを特徴とする。
第6の発明は、第1ないし5のいずれかの発明において、前記塗布パターンにおける
前記ノズルと
前記ワークとの相対移動速度を設定する塗布速度設定工程を含み、前記塗布速度設定工程において、前記塗布パターン内の
前記ノズルの方向転換を要しない部分では
前記ノズルと
前記ワークの相対移動の速度を変えることなく塗布を行うように相対移動速度を設定することを特徴とする。
第7の発明は、第1ないし6のいずれかの発明において、前記塗布パターンが、
前記ノズルの方向転換を要する塗布領域を含む塗布パターンであり、前記吐出パラメータ設定工程において、前記塗布パターンで塗布を行い、前記塗布パターンにおける単位面積当たりの供給量を、
前記ノズルの方向転換を要する塗布領域と比べ
前記ノズルの方向転換を要しない塗布領域における液体材料の方が多くなるように設定することを特徴とする。
第8の発明は、
前記ノズルを備える
前記吐出装置と、
前記吐出装置と
前記ワークとを相対移動させる駆動機構と、塗布した液体材料の形状を検出する検出装置と、これらの動作を制御する制御部とを備える塗布装置において、
前記制御部に第1ないし7のいずれかの発明に記載の塗布方法を実施させることを特徴とする液体材料塗布装置である。
第9の発明は、
前記ノズルを備える
前記吐出装置と、
前記吐出装置と
前記ワークとを相対移動させる駆動機構と、塗布した液体材料の形状を検出する検出装置と、これらの動作を制御する制御部とを備える塗布装置において、
前記制御部に第1ないし7のいずれかの発明に記載の塗布方法を実施させるプログラムである。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、バンプが非均等に配置されている場合の浸透度の違いやノズルの方向転換に伴う速度差によるフィレット形状の乱れを無くし、フィレット形状を一定に保つことができる。
また、方向転換以外ではノズルの相対移動速度の変更を要しないので、駆動機構にかかる負荷を軽減することができ、それにより振動の発生を抑制し、精度を向上することができる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に、本発明を実施するための形態を説明する。
本実施の形態で用いる吐出装置は、パルス信号を受けて弁体を駆動し、弁座に弁体を衝突させることによりノズルから液体材料を飛翔吐出するジェット式吐出装置である。この吐出装置における一の吐出は、一のパルス信号を受けることにより行う。そして、本実施の形態では、このパルス信号を予め設定した周波数で発信することにより塗布を行うものである。
本実施の形態に係る吐出装置において、塗布対象領域における単位面積(或いは単位長さ)当たりの塗布量を調整する手順について説明する(
図1参照)。なお、本発明は、飛翔吐出ないし液滴状吐出させるタイプの吐出装置であれば適用することができ、ジェット式への適用に限定されない。
【0021】
(1)必要塗布量の設定(STEP101)
まず、基板とワークとの間隙を充填し、フィレットを形成するために必要な液体材料の量を求める。必要量は、設計図面などから理論値を求めてもよいし、実際に塗布を行って求めてもよい。ここで、理論値はあくまで理想的な値であるので、正確を期すためには実際に塗布を行って求めることが好ましい。また、必要量は、体積として求めてもよいし、質量として求めてもよい。その際、用いる液体材料の密度の値が必要である。
そして、一回の吐出で吐出する量と一回の吐出に要する時間から、必要量を吐出するのに要する時間を求める。ここで、一回の吐出で吐出する量および一回の吐出に要する時間は、液体材料の性質、ノズルの形状(径、長さ)、弁体の移動量(ストローク)等により決まるものであり、実際に吐出を行って、測定しておくことが好ましい。その際、複数回吐出を行って平均値を求めることで、精度の向上を図ることができる。
【0022】
(2)塗布辺の設定(STEP102)
ワークと基板とを接続するバンプ(接続部)の配置、ワーク周辺の他の部品の状況などを考慮して、塗布を行う辺を設定する。例えば、矩形状のワークにおいて、一辺に沿って直線状に塗布を行う、或いは隣り合う二辺に沿ってL字状に塗布を行う、といったことを設定する。これが塗布
辺パターンとなる。
そして、塗布
辺パターンが定まると、塗布長さが求まる。この塗布長さと、上記(1)で求めた吐出時間とから、塗布
辺パターン全てで一様であるとした場合の移動速度を仮に求める。
【0023】
(3)塗布パターンの作成(STEP103)
ワーク形状により決まる塗布量や塗布長さなどを考慮して塗布パターンを作成する。ここで、「塗布長さ」とはノズルとワークとの相対移動量の総長を意味する。
塗布パターンは、一回以上の吐出パルスと、0回以上の休止パルスとから構成される。吐出パルスおよび休止パルスからなるパルス信号は、所定の周波数で発信される。周波数とショット数/秒は原則一致する。周波数は数十ヘルツ以上とするのが好ましく、より好ましくは、数百ヘルツとする。
なお、周波数は、塗布パターンの全長や所望とする塗布パターンに必要となる液体材料34の重量ないしは体積などから決定する。
【0024】
(4)初期パラメータの設定(STEP104)
初期パラメータとして、以下に挙げるパラメータを設定する。
(i)吐出周波数(単位サイクル)
本実施の形態で用いている吐出装置はジェット式であるので、弁体の一の動作で一の吐出をする。これを一単位サイクルとする。そして、本実施の形態では、この単位サイクルを所定の周波数で繰り返すことにより塗布を行っている。
上記所定の周波数には、最適な周波数範囲があり、この範囲をはずれると噴射しないなどの不具合が発生することとなるので、正常に噴射する範囲を予め実験により定める。液体材料の特性や
塗布量により異なるが、例えば、約100〜200ヘルツで用いる。
ところで、上記周波数範囲は、機械的な応答性能と液体材料の特性とに基づいて決まる。上述したように、周波数が変わると
塗布量が変わるが、最適な周波数範囲をはずれると噴射しないなどの不具合が発生することとなり、しかも周波数の変更による
塗布量の変化特性は線形ではない。したがって、基本的には、同一塗布パターン内では一度設定した周波数は変えない方が好ましい。しかし、上述のように、周波数にはある程度の範囲があるので、その範囲内であれば周波数を変更して
塗布量を調整することが可能である。
具体的には、次のようになる。仮に、オン状態の時間が3msec、オフ状態の時間が4msecで一単位サイクルとなるパルス信号が所望
塗布量を達成するために最適であるとする。このサイクルの周波数は約142ヘルツである。このサイクルをもとに、上述と同じ周波数の範囲(約100〜200ヘルツ)で周波数を異ならせることを考える。ここでは、周波数を異ならせるため、オン状態の時間を固定とし、オフ状態の時間を異ならせることとする。まず、オフ状態の時間を小さくする方を順に考えると、オフ状態の時間が3msecとすると周波数は約166ヘルツとなり、2msecとすると200ヘルツとなるので、2msecまでが限界である。逆にオフ状態の時間を大きくする方を順に考えると、オフ状態の時間が5msecで周波数は125ヘルツ、6msecで約111ヘルツ、7msecで100ヘルツとなるので、7msecまでが限界である。限界となるオフ状態の時間の範囲が決まったら、これら複数のオン/オフ時間設定それぞれについて予め実験を行い、
塗布量との関係を求めて制御部に記憶する。そして、後述する調整時において、この中から調整に適した設定を選択するようにする。
なお、上記の例では、オン/オフの時間を整数としたが、より細かく多くの設定値を得るため、オン/オフ時間を実数(小数)とすることができるのはいうまでもない。
また、上述した周波数範囲の境界直近の値では、液体材料の特性や周囲温度の変化の影響などにより、噴射しないなどの不具合が発生する範囲へと変わってしまう可能性があるので、直近の値を避け、余裕を持たせてオン/オフ時間の設定、すなわち周波数の設定を行うことが好ましい。
【0025】
(ii)パルス数(吐出および休止パルスの数)
塗布パターンを構成する、吐出パルスの数および休止パルスの数を設定する。制御部には予め吐出パルスの数と休止パルスの数の組み合わせを規定した設定表が記憶されている。
表1は、制御部に記憶された設定表の一例である。表1中、設定例Aは総パルス数が100の場合における
塗布量の設定例を示し、設定例Bは総パルス数が111の場合における
塗布量の設定例を示し、設定例Cは総パルス数が125の場合における
塗布量の設定例を示している。設定例A、B、Cでは、吐出パルス数が
塗布量に相当しており、総パルス数中の休止パルスの数を増減することで
塗布量の調整が可能となる。
設定例Aは、吐出パルス数が100となる場合において、一回の吐出パルスに対し休止パルスを設定しない(0回の休止パルス)組み合わせを基準に
塗布量を変化させるための設定例を規定している。
設定例Bは、吐出パルス数が100となる場合において、九回の吐出パルスに対し一回の休止パルス(11回の休止パルス)を設定する組み合わせを基準に
塗布量を変化させるための設定例を規定している。
設定例Cは、吐出パルス数が100となる場合において、四回の吐出パルスに対し一回の休止パルス(25回の休止パルス)を設定する組み合わせを基準に
塗布量を変化させるための設定例を規定している。
休止パルス数を増加させる際、或いは、後述の
塗布量の補正において休止パルス数を増減させる場合、休止パルスのタイミングが等間隔となるように初期パラメータを設定することが好ましい。
なお、アンダーフィル工程においては、休止パルス数を二回、三回と増加させるときには、休止パルス数を連続させて隙間(非塗布領域)を大きくするよりも、休止パルス数に対する吐出パルス数を減らして隙間(非塗布領域)を小さくする方が、気泡の巻き込みを防止する観点からは好ましい。
【0027】
(5)塗布速度の設定(STEP105)
塗布パターン内にL字やU字などの角部がある場合、駆動機構の負荷を軽くするため、当該角部でのノズルの移動速度を変更する。これは、角部でのノズルの移動速度が駆動機構の機械的な剛性により制限されるためであり、通常は、角部ではノズルの速度を遅くする必要がある。一方で、角部以外の部分では上記(2)で設定した速度を変更しない。ただし、角部とそれ以外の部分とで速度差が大きい場合には、一度に変更するのではなく、数回に分けて段階的に変更するとよい。
【0028】
(6)吐出に関するパラメータの設定
塗布パターン
内での塗布速度
や浸透具合に応じた吐出に関するパラメータの調整を行う。以下の二段階に分けて行う。
(i)速度変更箇所に対する調整(STEP106)
ノズルの移動速度の変更を行うと、その部分での単位面積当たりの供給量が変化する。そこで、ワークやその他の部品が載っていない素の基板に対して上記(2)で設定したパターンで塗布を行い、塗布した線の幅を測定する。測定した線幅の値が許容範囲を越える箇所或いは区間が存在するとき、その箇所或いは区間における吐出に関するパラメータの調整を行う。言い換えると、線幅が広いときは、線幅が狭くなるようパラメータの調整を行う。一方、線幅が狭いときは、線幅が広くなるようパラメータの調整を行う。
例えば、
図9のように角部で減速をするために角部の線幅が広くなっている場合、この広くなっている部分が直線部と同等の幅となるよう、角部での単位面積当たりの供給量を減らすべくパラメータの調整を行う。すなわち、塗布パターンとしては
図11(a)に示すような角部での単位面積当たりの供給量が少ない塗布パターンを作成することにより、ノズル移動速度の減速が生じる実際の塗布においては
図11(b)に示すような直線部と同等な線幅のフィレットが形成される。
調整する具体的なパラメータの種類については後述する。
【0029】
(ii)浸透具合の異なる箇所に対する調整(STEP107)
実際の塗布対象物に塗布を行う場合、ワークと基板との間隙に存在するバンプの配置により塗布パターン内での液体材料の浸透具合が異なる。そのため、単位面積当たりの必要塗布量が変化する。そこで、ワークが実装されている基板に対して上記(2)で設定したパターンで塗布を行い、塗布したフィレットの幅を撮像装置で撮像して測定する。測定したフィレット幅の値が許容範囲を越える箇所或いは区間が存在するとき、その箇所或いは区間における吐出に関するパラメータの調整を行う。言い換えると、フィレット幅が広いときは、フィレット幅が狭くなるようパラメータの調整を行う。一方、フィレット幅が狭いときは、フィレット幅が広くなるようパラメータの調整を行う。
例えば、
図8のようにバンプが密な箇所(集積度の高い箇所)で線幅が狭くなっている場合、この狭くなってい部分が、バンプが疎な箇所(集積度の低い箇所)と同等の幅となるよう、バンプが密な箇所での単位面積当たりの供給量を増やすべくパラメータの調整を行う。ここではこれに換えて、バンプが疎な箇所での単位面積当たりの供給量を減らすべくパラメータの調整を行ってもよい。パラメータの調整の結果、塗布パターンとしては
図12(a)に示すようなバンプが密な箇所で単位面積当たりの供給量が多く、バンプが疎な箇所で単位面積当たりの供給量が少ない塗布パターンとなり、浸透速度の違いが生じる実際の塗布においては
図12(b)に示すような一定の幅のフィレットが形成される。なお、撮像装置によりフィレット高さを撮像して測定し、当該測定結果に基づき吐出に関するパラメータの調整を行うようにしてもよい。
また、
図8や
図12のように半導体チップの縁に近い部分でバンプの配置密度に差がある場合だけでなく、半導体チップの奥(中心側)でバンプの配置密度に差がある場合も同様に考えることができる。例えば、
図13のようなバンプ配置においてノズル速度および単位面積当たりの供給量を一定とした塗布を行うと、
図13(a)のようにフィレット幅(塗布線幅)が異なってしまうという問題が生じる。そこで、バンプが密な箇所でのフィレット幅(塗布線幅)が、バンプが疎な箇所でのフィレット幅(塗布線幅)と同等の幅となるよう、バンプが密な箇所での単位面積当たりの供給量を増やす、或いは、バンプが疎な箇所での単位面積当たりの供給量を減らすべくパラメータの調整を行う。すなわち、
図13(b)のような塗布パターンを作成することにより、
図13(c)のような一定幅のフィレットとすることができる。
調整する具体的なパラメータの種類については後述する。
【0030】
(iii)吐出に関するパラメータの種類
上述した調整を行う際に変更する吐出に関するパラメータを以下に挙げる。
(iii−1)吐出周波数(単位サイクル)
上記所定の周波数での単位サイクルを繰り返す吐出において、単位面積当たりの塗布量を変更するには、上記(4)(i)で設定した値に基づき、単位サイクル同士の間隔を調整する。具体的には、単位サイクル間隔を狭くすると
塗布量が多くなり、単位サイクル間隔を広くすると
塗布量が少なくなる。調整量を設定する目安として、予めの実験などにより、単位サイクル間隔と
塗布量との関係を求めておき、設定表や計算式の形で制御部などに記憶しておく。
【0031】
(iii−2)パルス数(吐出および休止)
上記パルス信号発信による吐出において、単位面積当たりの塗布量を変更するには、上記(4)(ii)で設定したような、吐出を行う信号である吐出パルス信号および吐出を行わない信号である休止パルス信号を送信する回数を総パルス数として規定し、総パルス数のうち塗布量を達成するために必要な吐出パルス信号の数を規定し、残りを休止パルス信号として規定した表に基づき、吐出パルス信号と休止パルス信号との数を変えることにより塗布量を変更する。具体的には、総パルス数の中の休止パルス信号を増やすと塗布量が少なくなり、休止パルス信号を減らすと塗布量は多くなる。調整量を設定する目安として、予めの実験などにより、吐出パルス数および休止パルス数と
塗布量との関係を求めておき、設定表や計算式の形で制御部などに記憶しておく。
なお、パルス数を変更することにより、塗布長さを変更しないでも塗布量を変更することが可能となる。
【0032】
(iii−3)吐出装置の吐出量変更因子
吐出装置の吐出量変更因子を調整することによっても、単位面積当たりの塗布量を変更することができる。例えば、下記の吐出装置の吐出量変更因子を調整することにより行う。
1)貯留容器へ印加する“圧力”、
2)弁体の一動作における移動距離である“ストローク”、
3)ノズル近傍を暖めているヒーターの“温度”、
4)液体材料を吐出するノズルの“ノズル径”
ここで、上記各因子の大小は、液体材料の吐出量の大小に対応する。
【0033】
上記(iii−1)ないし(iii−3)いずれのパラメータによって調整を行うかは、素の基板やワークに塗布を行って線幅やフィレット幅を測定した結果に基づいて、最適なものを選択する。
また、上記(iii−1)ないし(iii−3)のうち複数のパラメータを組み合わせて調整を行ってもよい。例えば、上記(iii−2)のパラメータの調整を基本とし、調整幅の限界に達したときや微調整を行うときなどに補助的に上記(iii−1)または(iii−3)のパラメータの調整を行うといった方法をとることができる。
【0034】
以上のSTEP101からSTEP107を行うことにより、塗布対象領域における単位面積当たりの塗布量を変化させることができるので、バンプ配置の影響や方向転換に伴う速度変更の影響によるフィレット形状の乱れを無くし、フィレット形状を一定に保つことができる。
また、方向転換以外では移動速度の変更を要しないので、駆動機構にかかる負荷を軽減することができ、それにより振動の発生を抑制し、精度を向上し、寿命を延ばすことができる。
【0035】
以下では、本発明の詳細を実施例により説明するが、本発明は何ら実施例により限定されるものではない。
【実施例】
【0036】
[吐出装置]
吐出装置1は、
図2に示すように、上下動自在に内接された弁体であるピストン2と、制御部11を通して調圧された圧縮気体により加圧されている貯留容器3と、貯留容器3と連通するノズル4とを備えている。また、ピストン2を上方へ移動させるための作動気体を制御部11を通じて給排気する切換弁6と、ピストン2を下方へ移動させるスプリング7を備える。そして、スプリング7の上部には、ピストン2の移動量を調整するためのストローク調整部材8を備える。さらに、ノズル4近傍にはノズル4とその内部にある液体材料34を暖めるためのヒータ9を備える。ヒータ9の反対側には温度センサ10を備え、ノズル4とその内部にある液体材料34を所定の温度に保つための制御を行う際に用いられる。
貯留容器3に充填された液体材料34は、制御部11から発信されるパルス信号に応じて切換弁6を作動させ、ピストン2を上下させることにより、ノズル4から液滴状に吐出される。ノズル4から吐出された液体材料34は、ノズル4の下に位置決めされた基板29や秤量器22などへ点状に塗布される。
【0037】
吐出装置1は、一回のパルス信号に対し、ピストン2を一往復させ、一滴の液体材料34をノズル4から吐出する。すなわち、一単位サイクルが一ショットに相当する。
パルス信号は、例えば
図3に示すように与えられる。パルス信号がオンとなったとき(符号14左側)、切換弁6の作動により気体を給気し、ピストン2を上昇させてノズル入口5を開放する。続いてパルス信号がオフとなったとき(符号14右側)、切換弁6の作動により気体を排気し、ピストン2をスプリング7の反発力により下降させてノズル入口5を閉鎖する。そして、ピストン2の上昇(ノズル入口5の開放)とピストン2の下降(ノズル入口5の閉鎖)を一単位サイクルとし、一単位サイクルの動作で一滴の液体材料34を吐出する。他方、パルス信号がオフ状態のとき(符号15)には、ピストン2を作動させず、ノズル入口5が一単位サイクル閉鎖される。
なお、一単位サイクル内のオン状態の時間(上昇の時間)とオフ状態の時間(下降の時間)を調整してもよいし、ストローク調整部材8を用いてピストン2の移動量を調整してもよい。
【0038】
ワーク30の辺に沿って塗布を行う際には、制御部11は、塗布開始と同時にノズル4を移動させながら吐出装置1へ予め設定した周波数にてパルス信号を発信し、連続的に液体材料34の吐出を行う。ワーク30辺に沿って吐出された液体材料34は、ワーク30と基板29との隙間に毛細管現象により充填されていく。
【0039】
[塗布装置構成]
本実施例の塗布装置16は、
図4に示すように、吐出装置1と、XYZ駆動機構17と、搬送機構18と、塗布ステージ19と、調整用基板20およびこれを載置する調整用ステージ21と、秤量器22と、検出装置(タッチセンサ23、レーザー変位計24およびカメラ25)と、制御部11と、を備える。
吐出装置1は、上述したジェット式吐出装置であり、制御部11からのパルス信号を受け、液体材料34を吐出する。
XYZ駆動機構17には、吐出装置1と後述する検出装置の一部であるレーザー変位計24およびカメラ25が設置され、吐出装置1並びにレーザー変位計24およびカメラ25を符号26で示すXYZ方向へ移動させることができる。すなわち、制御部11に設定した塗布パターンに基づき、基板29の上方で吐出装置1を移動させたり、秤量器22や別位置に固定されている後述する検出装置の一部であるタッチセンサ23といった機器や、後述する調整用基板20を載置した調整ステージ21まで吐出装置1並びにレーザー変位計24およびカメラ25を移動させることができる。
【0040】
搬送機構18は、塗布作業を行う前のワーク30を載置した基板29を装置外の符号27で示す方向から搬入し、塗布作業を行う吐出装置1近くまで搬送を行う。そして、塗布作業を終えた基板29を装置外の符号28で示す方向へ搬出する。
塗布ステージ19は、搬送機構18ほぼ中央の搬送機構18の間に設置される。塗布作業を行う際は、上昇して基板29を固定する役割を果たす。基板29搬送時は、下降して搬送の妨げにならないようにする。
調整用ステージ21は、搬送機構18近傍に設置される。素の基板やダミーのワークを実装した基板(総称して調整用基板20と呼ぶ)をその上に載置して、液体材料の供給量の調整作業に伴う塗布を行うためのものである。
【0041】
秤量器22は、吐出装置1より吐出される液体材料34の重量を測るためのものであり、搬送機構18近傍に設置される。秤量器22による計測結果は制御部11へと伝えられる。
検出装置は、ノズル4の高さ位置を検出するセンサであるタッチセンサ23、基板29の高さ位置を検出するセンサであるレーザー変位計24、ワーク30の位置を検出するカメラ25とを備える。レーザー変位計24およびカメラ25は、吐出装置1とともにXYZ駆動機構17に設置され、XYZ方向へ移動可能である。タッチセンサ23は、調整用ステージ21に固設される。
制御部11は、装置16全体の動作を制御する全体制御部と、吐出装置1の動作を制御する吐出制御部とからなる。
【0042】
[塗布作業]
上述の塗布装置を用いた一連の塗布作業の流れについて次に説明する。
図5にそのフローチャートを示す。なお、塗布パターンの作成については後述する(後述の
図14および15参照)。
塗布作業の開始に際しては、まず、一の吐出当たりの目標吐出量に応じて吐出装置に関する因子(すなわち、ノズル径、ストローク量、印加圧力等)の設定を行う(STEP501)。この作業は、一の吐出当たりの吐出量や塗布した結果の液体材料の径などを実際に吐出して測りながら行うとよい。また、このときに液体材料がノズル先端に過剰に付着していないか、塗布した結果が複数個に分かれて飛散していないかなども併せて確認するのが好ましい。また、初期パラメータとして、吐出パルスの数および休止パルスの数を設定する(上述の表1参照)。
続いて、塗布位置のずれを較正する(STEP502)。ここでは、まず、素の基板に線状に塗布を行った後、予め設定したノズル−カメラ間距離だけカメラを移動し、塗布した液体材料を撮像する。次に、撮像した液体材料がカメラの中心からどれだけずれているかを測定し、そのずれ分を調整することにより行う。
続いて、塗布対象ワークの画像認識に関する設定を行う(STEP503)。これは、アライメント(ワークや基板の歪みや曲がりに対する位置合わせ)を行う際の基準となる。
続いて、上述の実施の形態で説明した、吐出装置からの供給量を調整する一連の作業を行う(STEP504)。すなわち、発明を実施するための形態で説明したように、吐出に関するパラメータを単独で或いは組み合わせて液体材料の供給量を調整する。
【0043】
続いて、フィレットの有無や幅などの検査を行う箇所やその数の設定を行う(STEP505)。また、このときに目標値や許容値といった良否判定の基準となる値も設定しておく。
続いて、後の塗布作業中に行う塗布量補正の際に基準となる値を設定する(STEP506)。ここでは、塗布装置に備えた秤量器へ所定の時間やショット数分の吐出を行ったときの重量を計測し、制御部に記憶する。
そして、実際に塗布を行う実装基板に塗布を行い、最終確認をする(STEP507)。最終確認をして不良がなければ、本塗布作業を開始する(STEP508)。
【0044】
本塗布作業が開始されると、まず、基板が搬入され、吐出装置近くまで搬送された後、塗布ステージに固定される(STEP509)。そして、塗布ステージ上の基板に対してカメラによる画像認識を行い、アライメントを実行して位置合わせを行う。位置合わせを終えた後、塗布が行われる(STEP510)。塗布を終えた基板は塗布装置外へ搬出される(STEP511)。
塗布を終えた基板を搬出した時点で、塗布した数が予め設定した補正周期(例えば、ワークの数や基板の枚数)に達したかどうかを判断する(STEP512)。補正周期に達している場合には、次に説明する補正工程へ進み、達していない場合には、STEP515に進む。
【0045】
補正工程は、位置ずれ補正(STEP513)と塗布量補正(STEP514)とからなる。位置ずれ補正は、STEP502と同様の動作を行い、ずれ分の調整を行う。ついで、塗布量補正は、まず、秤量器へ所定の時間やショット数分の吐出を行い、重量を計測する。そして、計測した重量とSTEP506で計測した基準重量とを比較し、許容値を超える場合に吐出装置や塗布装置の調整などを行い、基準重量となるよう補正を行う。補正の方法としては、例えば次の2つの方法がある。
【0046】
(a)点状塗布における補正の方法
吐出パルス信号および休止パルス信号を送信する回数を総パルス数として規定し、総パルス数のうち塗布量を達成するために必要な吐出パルス信号の数を規定して残りを休止パルス信号として規定し、補正周期で算出した補正量に基づき吐出パルス信号の数と休止パルス信号の数を調整することにより液体材料の供給量を補正する。ここで、
塗布量の増加あるいは減少分が加味された設定を規定した設定表を予め制御部に記憶しておき、設定表より吐出パルスと休止パルスとの数の組合せを選択することで補正を行うのが好ましい。
(b)線状塗布における補正の方法
連続した複数の塗布領域からなる塗布パターンを作成し、各塗布領域に吐出パルスの数と休止パルスの数とを所定の比率で組み合わせた吐出サイクル(単位サイクルの集合)を複数割り当て、補正周期で算出した補正量に基づき、前記塗布パターンに含まれる吐出パルスと休止パルスの数を調整すること、および/または、少なくとも一の塗布領域と当該塗布領域と連続する他の一又は二の塗布領域の長さを各塗布領域における単位時間当たりの
塗布量を変えることなく調整することにより液体材料の供給量を補正する。前記吐出パルスおよび前記休止パルスを発信する周波数を変えることなく
塗布量の補正を行うことが好ましい。
【0047】
補正工程を終えた後、或いは基板を搬出してすぐに、続けて塗布すべき未塗布の基板があるかどうかを判断する(STEP515)。未塗布の基板がある場合は、STEP509へ戻り、再び基板を搬入して塗布作業を行う。未塗布の基板がない場合は、本塗布作業終了となる。
以上が、準段階から本塗布作業までの基本的な一連の流れである。なお、ここで示すのは一例であって当該手順に限定されるものではない。
【0048】
[塗布パターンの作成例]
本実施例の吐出装置は、点状塗布と線状塗布のいずれの態様の塗布パターンにも対応することが可能である。
図14は、点状塗布による塗布パターンの例を示す図面である。
図14中、塗布領域141が吐出パルスに対応する。塗布領域141における
塗布量は、吐出パルスを設定することにより制御され、これにより塗布領域141の長さが伸縮する。また、休止パルスを設定することにより、非塗布領域142が伸縮する。ここで、 補正量の算出手法としては、一定時間吐出した際の重量を測定し、適正重量との差に基づいて補正量を算出する手法と、適正重量となるまでに要する吐出時間を測定し、直前の吐出時間との差に基づいて補正量を算出する手法とがあるが、いずれの手法を採用してもよい。
【0049】
図15は、線状塗布において塗布領域を複数に区切り、塗布領域毎に塗布量を変更する塗布パターンの例を示す図面である。
図15では、吐出パルスと休止パルスとを第一の比率で組み合わせた第一の吐出サイクルと、吐出パルスと休止パルスとを第二の比率で組み合わせた第二の吐出サイクルを作成し、第一の吐出サイクルに対応した吐出を行う第一の塗布領域151が一つと、その両端に第二の吐出サイクルに対応した吐出を行う第二の塗布領域152,152を接続して一つの塗布パターンを構成している。なお、
図15の例では塗布領域152,152を第二の吐出サイクルと対応させているがこれに限定されず、塗布領域152の一方を第二の吐出サイクルと対応させ、もう一方を第三の吐出サイクルと対応させてもよい。一の吐出サイクルに割り当てる塗布領域の数は任意の数に設定することができる。
【0050】
各塗布領域には吐出パルスと休止パルスが割り当てられる。例えば、
図15で、第一の塗布領域151における
塗布量を第二の塗布領域152よりも多くしたいとすると、表1の設定例Aから、第一の塗布領域151では4回の吐出パルスに1回の休止パルスの組み合わせ(80%吐出)を、第二の塗布領域152では3回の吐出パルスに1回の休止パルスの組み合わせ(75%吐出)を選択し、設定する。
補正に際し、吐出パルスと休止パルスの数を調整することについては、上記(a)で述べたのと同様である。
各塗布領域の長さの調整とは、塗布パターンを構成する単位長さ当たりの塗布量が異なる複数の塗布領域の長さを調整することである。
図15の場合、第一の塗布領域151が長くなれば塗布量は増加し、短くなれば塗布量は減少する。この際、塗布パターンの全長を変更することなく各塗布領域の長さを調整することが好ましい。
【0051】
図15(b)に示すグラフにおける斜線で囲まれた凸形の部分S1の面積が補正前の塗布量に相当する。
図15(c)に示すグラフにおける斜線で囲まれた凸形の部分S0の面積が補正後の塗布量に相当する。このように、X1の長さを伸ばし、X2の長さを短くすることにより塗布量を増加させることができる。なお、パルス数の調整によるデジタル的な補正では補正量にズレが生じる場合でも、アナログ的な塗布領域の長さ調整を行うことで補正量のズレを生じることを回避することが可能である。