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特許5783757画像読取システム及び画像読取プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5783757
(24)【登録日】2015年7月31日
(45)【発行日】2015年9月24日
(54)【発明の名称】画像読取システム及び画像読取プログラム
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/407 20060101AFI20150907BHJP
   H04N 1/00 20060101ALI20150907BHJP
   G06F 3/12 20060101ALI20150907BHJP
【FI】
   H04N1/40 101E
   H04N1/00 107A
   G06F3/12
【請求項の数】3
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2011-41936(P2011-41936)
(22)【出願日】2011年2月28日
(65)【公開番号】特開2012-178805(P2012-178805A)
(43)【公開日】2012年9月13日
【審査請求日】2014年2月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】000104652
【氏名又は名称】キヤノン電子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100082337
【弁理士】
【氏名又は名称】近島 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100095991
【弁理士】
【氏名又は名称】阪本 善朗
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 浩崇
【審査官】 西谷 憲人
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−111920(JP,A)
【文献】 特開2000−134390(JP,A)
【文献】 特開2002−223351(JP,A)
【文献】 特開平06−004652(JP,A)
【文献】 特開2000−029848(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/407
G06F 3/12
H04N 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を読み取る画像読取装置と、前記画像読取装置に接続される情報処理装置とを有する画像読取システムであって、
前記画像読取装置に設けられて、読み取った画像データをガンマ補正して前記情報処理装置に出力する第1出力モード、及び、前記画像データをガンマ補正せずに前記情報処理装置に出力する第2出力モードを有する画像出力手段と、
前記画像データに対する異なった複数の処理を施して複数の処理済データを生成する画像生成手段と、
前記画像生成手段によって前記画像データに前記複数の処理を施す処理モードと、前記複数の処理を施さない非処理モードとを選択する選択手段と、
前記画像読取装置に設けられて前記画像出力手段における前記第1出力モードと前記第2出力モードとを切り替える出力モード切替手段と、を備え、
前記出力モード切替手段は、前記選択手段によって前記非処理モードが選択された場合に前記第1出力モードに切り替え、前記選択手段によって前記処理モードが選択された場合に前記第2出力モードに切り替える、
ことを特徴とする画像読取システム。
【請求項2】
画像を読み取る画像読取装置と、
前記画像読取装置に接続され、前記画像読取装置から送られた画像を処理する情報処理装置と、を備えた画像読取システムにおいて、
前記画像読取装置は、第1の階調又は前記第1の階調よりも低い第2の階調で画像を読み取る画像読取部と、前記画像読取部で読み取った画像を記憶する第1記憶部と、前記第1記憶部に記憶した前記第1の階調の画像をガンマ補正する第1ガンマ補正部と、前記第1ガンマ補正部でガンマ補正した画像を前記第1の階調の画像よりも低い階調の画像に変換する階調変換部と、を有し、
前記情報処理装置は、前記第1記憶部に記憶した前記第2の階調の画像を取得して記憶する第2記憶部と、前記第2記憶部に記憶した前記第2の階調の画像から複数の画像を生成する画像生成部と、前記画像生成部で生成されたそれぞれの画像をガンマ補正する複数の第2ガンマ補正部と、前記階調変換部で変換された画像、又は、前記複数の第2ガンマ補正部でガンマ補正したそれぞれの画像を処理する画像処理部と、を有し、
前記画像読取部に前記第1の階調で画像を読み取らせ、前記第1記憶部から前記第1ガンマ補正部及び前記階調変換部を介して前記画像処理部に送るか、前記画像読取部に前記第2の階調で画像を読み取らせ、前記第1記憶部から前記第1ガンマ補正部及び前記階調変換部を介することなく前記第2記憶部に送るかを選択する選択部を有する、
ことを特徴とする画像読取システム。
【請求項3】
選択部で1つの画像処理を行うことが選択された場合に、画像読取装置内の画像読取部に第1の階調で画像を読み取らせて前記画像読取装置内の第1記憶部に記憶させ、前記第1記憶部に記憶された前記第1の階調の画像を前記画像読取装置内の第1ガンマ補正部でガンマ補正させ、前記第1ガンマ補正部でガンマ補正した画像を、前記画像読取装置内の階調変換部で前記第1の階調の画像よりも低い階調の画像に変換させ、前記階調変換部で変換させた画像を情報処理装置に送って、前記情報処理装置内の画像処理部で処理させ、
前記選択部で複数の画像処理を行うことが選択された場合に、前記画像読取部に前記第1の階調よりも低い第2の階調で画像を読み取らせて前記第1記憶部に記憶させ、前記第1記憶部に記憶された前記第2の階調の画像を前記情報処理装置内の第2記憶部に取得させて記憶させ、前記第2記憶部に記憶された前記第2の階調の画像から前記情報処理装置内の画像生成部で複数の画像を生成させ、前記画像生成部で生成されたそれぞれの画像を、前記情報処理装置内の複数の第2ガンマ補正部でガンマ補正させ、前記複数の第2ガンマ補正部でガンマ補正したそれぞれの画像を前記画像処理部で処理させる、
ことを特徴とする画像読取プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スキャナなどの画像読取装置とパーソナルコンピュータなどの情報処理装置とから構成される画像読取システム、及び、このようシステムを実行するための画像読取プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
シートフィード機能を有するスキャナ(画像読取装置)と、スキャナに接続されたパーソナルコンピュータ(PC、情報処理装置)とからなる画像読取システムが、従来から知られている。例えば、ユーザが自分のPCに画像処理用アプリケーションとスキャナドライバをインストールし、その後、PCとスキャナを接続することにより、画像読取システムを構築する。スキャナは、スキャナドライバ(以下ドライバ)によって制御され、スキャンされた(読み取られた)画像は、ドライバを介してアプリケーションに渡され、アプリケーションは画像の表示や画像の保存などの画像処理を行う。
【0003】
このような画像読取システムでは、スキャナで読み取った画像データをスキャナ本体とPCとが共同してユーザが求める所望の画像処理を施す、いわゆる画像読取システムの最適化を図ることが望まれている。
【0004】
ここで、画像読取システム内では、例えば、スキャンされた画像データに対してガンマ補正処理が行われるが、ガンマ補正処理は、カラー用、グレー用など用途に応じて処理が分けられている。また、このようなガンマ補正処理は、例えば、スキャナ側で行う装置が知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−117667号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、PCとスキャナとの間では、画像読取システムを構築するにあたり、画像転送速度やドライバの介入、PC内のシステム環境等を考慮する必要がある。このため、画像読取システムの最適化を図ることが難しい場合がある。具体的には、ユーザが望む画像データを効率良く生成するにあたり、スキャナとPCとでの仕様や処理能力等の機能の差を考慮すると、PC側でガンマ補正処理等の画像処理を施した方がよい場合がある。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑み、ユーザが望む画像を効率よく生成することができる構造を実現すべく発明したものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の画像読取システムは、画像を読み取る画像読取装置と、前記画像読取装置に接続される情報処理装置とを有する画像読取システムであって、前記画像読取装置に設けられて、読み取った画像データをガンマ補正して前記情報処理装置に出力する第1出力モード、及び、前記画像データをガンマ補正せずに前記情報処理装置に出力する第2出力モードを有する画像出力手段と、前記画像データに対する異なった複数の処理を施して複数の処理済データを生成する画像生成手段と、前記画像生成手段によって前記画像データに前記複数の処理を施す処理モードと、前記複数の処理を施さない非処理モードとを選択する選択手段と、前記画像読取装置に設けられて前記画像出力手段における前記第1出力モードと前記第2出力モードとを切り替える出力モード切替手段と、を備え、前記出力モード切替手段は、前記選択手段によって前記非処理モードが選択された場合に前記第1出力モードに切り替え、前記選択手段によって前記処理モードが選択された場合に前記第2出力モードに切り替える、ことを特徴とする。
また、本発明の画像読取システムは、画像を読み取る画像読取装置と、前記画像読取装置に接続され、前記画像読取装置から送られた画像を処理する情報処理装置と、を備えた画像読取システムにおいて、前記画像読取装置は、第1の階調又は前記第1の階調よりも低い第2の階調で画像を読み取る画像読取部と、前記画像読取部で読み取った画像を記憶する第1記憶部と、前記第1記憶部に記憶した前記第1の階調の画像をガンマ補正する第1ガンマ補正部と、前記第1ガンマ補正部でガンマ補正した画像を前記第1の階調の画像よりも低い階調の画像に変換する階調変換部と、を有し、前記情報処理装置は、前記第1記憶部に記憶した前記第2の階調の画像を取得して記憶する第2記憶部と、前記第2記憶部に記憶した前記第2の階調の画像から複数の画像を生成する画像生成部と、前記画像生成部で生成されたそれぞれの画像をガンマ補正する複数の第2ガンマ補正部と、前記階調変換部で変換された画像、又は、前記複数の第2ガンマ補正部でガンマ補正したそれぞれの画像を処理する画像処理部と、を有し、前記画像読取部に前記第1の階調で画像を読み取らせ、前記第1記憶部から前記第1ガンマ補正部及び前記階調変換部を介して前記画像処理部に送るか、前記画像読取部に前記第2の階調で画像を読み取らせ、前記第1記憶部から前記第1ガンマ補正部及び前記階調変換部を介することなく前記第2記憶部に送るかを選択する選択部を有する、ことを特徴とする。
また、本発明の画像読取プログラムは、選択部で1つの画像処理を行うことが選択された場合に、画像読取装置内の画像読取部に第1の階調で画像を読み取らせて前記画像読取装置内の第1記憶部に記憶させ、前記第1記憶部に記憶された前記第1の階調の画像を前記画像読取装置内の第1ガンマ補正部でガンマ補正させ、前記第1ガンマ補正部でガンマ補正した画像を、前記画像読取装置内の階調変換部で前記第1の階調の画像よりも低い階調の画像に変換させ、前記階調変換部で変換させた画像を情報処理装置に送って、前記情報処理装置内の画像処理部で処理させ、前記選択部で複数の画像処理を行うことが選択された場合に、前記画像読取部に前記第1の階調よりも低い第2の階調で画像を読み取らせて前記第1記憶部に記憶させ、前記第1記憶部に記憶された前記第2の階調の画像を前記情報処理装置内の第2記憶部に取得させて記憶させ、前記第2記憶部に記憶された前記第2の階調の画像から前記情報処理装置内の画像生成部で複数の画像を生成させ、前記画像生成部で生成されたそれぞれの画像を、前記情報処理装置内の複数の第2ガンマ補正部でガンマ補正させ、前記複数の第2ガンマ補正部でガンマ補正したそれぞれの画像を前記画像処理部で処理させる、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によると、ガンマ補正して出力するモードと、ガンマ補正しないで出力するモードを有するため、ユーザが望む画像を効率よく生成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施形態に係るスキャナの概略構成断面図。
図2】スキャナの制御ブロック図。
図3】アプリケーションとスキャナドライバとスキャナとの関係を示す図。
図4】画像読取システムのブロック図。
図5】ユーザインターフェースを示す図。
図6】マルチストリームOFFでの画像読取システムの状態遷移図。
図7】マルチストリームONでの画像読取システムの状態遷移図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の実施形態について、図1ないし図7を用いて説明する。
【0012】
[画像読取装置]
まず、本発明の対象となる画像読取システムを構成する画像読取装置の全体構成について簡単に説明する。画像読取装置(以下、スキャナ)1は、図1に示すように、ピックアップローラ2と、給送ローラ3と、分離ローラ4と、一対の搬送ローラ8と、画像読取部であるラインイメージセンサ5と、一対の排出ローラ10と、を有する。
【0013】
ピックアップローラ2は、原稿Dを載置するトレイに対向配置され、トレイ上の原稿束から原稿Dをピックアップする。なお、トレイ上の原稿は原稿検知センサ9により検知される。給送ローラ3は、ピックアップローラ2によりピックアップされた原稿Dを装置内に給送する。分離ローラ4は、給送ローラ3と対向配置され、ピックアップされた原稿Dを原稿束から1枚ずつ分離する。一対の搬送ローラ8は、給送ローラ3と分離ローラ4とで一枚ずつ搬送された原稿Dを搬送する。この際、レジストセンサ6により原稿Dの先端或いは後端を検知して、原稿Dの搬送タイミングを制御している。
【0014】
ラインイメージセンサ5は、一対の搬送ローラ8によりタイミングを制御されて搬送された原稿の表面の画像情報(画像データ)を読み取るものである。また、ラインイメージセンサ5は、画像読取手段でもあり、読み取った画像情報(画像データ)は、後述するように、スキャナ1の接続対象であるPC40(情報処理装置、図4参照)に出力される。このようなラインイメージセンサは、例えば、次のように画像情報を読み取る。即ち、原稿Dがラインイメージセンサ5のコンタクトガラス上を通過すると、LEDにより投射された光は、読み取り位置の原稿読み取り面で反射し、レンズ・アレイによってイメージセンサ(受光素子)上に結像する。結像したイメージは、イメージセンサにより電気信号に変換されて各種画像処理が行われて、原稿が読み取られる。なお、ラインイメージセンサ5と対向する位置には、対向面が白色のシェーディング補正用の対向部材7を配置している。一対の排出ローラ10は、読み取られた原稿を機外へ排出する。
【0015】
スキャンが開始されると、スキャナ1は、ラインイメージセンサ5で白色の対向部材7を読み取り、シェーディング補正用の補正データを生成する。生成された補正データは画素毎に記憶される。その後、原稿Dをピックアップローラ2と給送ローラ3によってスキャナ1内に取り込み、分離ローラ4によって原稿束から1枚ずつに分離する。分離された原稿Dは、副走査方向(搬送ローラ8による原稿搬送方向)に搬送されつつ、その上面に形成されている画像がラインイメージセンサ5によって主走査方向(原稿搬送方向と直交する方向)に沿って読取られる。また、読取られた画像は、前述した補正用のデータから、シェーディング補正される。画像が読み取られた後、原稿は装置外部へ排出される。
【0016】
図2は、スキャナの電気回路の概略構成を示すブロック図である。21は、A/D変換部である。ラインイメージセンサ5の出力信号を、増幅や黒レベルクランプなどのアナログ処理を施した後、デジタルデータに変換する。デジタルデータに変換する処理は、データ処理部22の命令に応じて、10bit深度(1024階調、第1の階調)画像データ、又は、8bit深度(256階調、第2の階調)画像データを生成する。また、データ処理部22は、ラインイメージセンサ5、A/D変換部21などの制御と、ラインイメージセンサ5の出力信号をデジタル化して生成した画像データに各種の画像処理(シェーディング補正等)を行う。
【0017】
23は、画像データを記憶する第1記憶部である画像メモリである。24は、外部ホスト装置とのインターフェース部であり、信号ケーブル25によりパーソナルコンピュータ(PC)等の外部ホスト装置(情報処理装置)と接続されている。26は、スキャナ1の制御を司る制御部及び後述する出力モードを切り替える出力モード切替手段となるCPUである。データ処理部22、CPU26は、バス27を介して接続されている。CPU26はデータ処理部22を介して画像メモリ23にアクセスすることができるように構成されている。28は原稿の搬送、または、ラインイメージセンサ5を移動させる駆動手段(モータ)であり、CPU26からの指示を受けたモータドライバ29により動作する。
【0018】
図3は、情報処理装置でありスキャナ1と接続されるパーソナルコンピュータ(PC)内にインストールされたアプリケーション(ソフト)と、スキャナドライバ(ソフト)と、スキャナ1との関係を示す。ユーザは、スキャナを購入すると、アプリケーションとスキャナドライバをPCにインストールする。インストールされたアプリケーション(30)は、スキャナドライバ(31)を介してスキャナ(32)と通信する。アプリケーションとスキャナドライバの間、ドライバとスキャナの間は決められたプロトコルで通信している。本実施形態では、アプリケーションとドライバはTwainという規格で決められたプロトコルで通信を行い、ドライバとスキャナの間では、SCSIという規格で決められたプロトコルで通信を行っている。しかし、プロトコルはこれに限っておらず、例えば、Twain以外にISIS、WIA、SCSI以外に、USB、IEEE1394といった規格でもよい。
【0019】
何れにしても、上述のようなアプリケーション及びスキャナドライバ、更にはスキャナ1に予め入っているソフトが互いに通信しながら実行されることにより、スキャナ1から所望の画像を取得して、PCの画面上に表示したりする。このようにスキャナ1とPCとを組み合わせて、画像読取システムが構成される。この画像読取システムについて、図4を用いて説明する。
【0020】
[画像読取システム]
図4に示すように、スキャナ1はPC40と、上述のようにケーブル25を介して接続されている。そして、スキャナ1から送られた画像をPC40で表示などの処理をする。このうちのスキャナ1は、CPU26と、ラインイメージセンサ(画像読取部)5と、画像メモリ(第1記憶部)23と、データ処理部22とを有する。データ処理部22は、ガンマ補正部(第1ガンマ補正部)22a及び階調(bit)変換部22bを有する。
【0021】
制御部であるCPU26は、PC40からの指令や搭載されているプログラムにより、スキャナ1の各部を制御する。ラインイメージセンサ5は、第1の階調である10bit深度(1024階調)又は第1の階調よりも低い第2の階調である8bit深度(256階調)で原稿Dの画像を読み取る。画像メモリ23は、ラインイメージセンサ5で読み取った10bit深度又は8bit深度の画像を記憶する。ガンマ補正部22aは、画像メモリ23に記憶した10bit深度の画像をガンマ補正する。階調変換部22bは、ガンマ補正部22aでガンマ補正した10bit深度の画像を10bit深度よりも低い階調(例えば8bit深度)の画像に変化させる。
【0022】
CPU26、データ処理部22、画像メモリ23などを含めて画像出力手段とする。この画像出力手段は、ラインイメージセンサ5で読み取った画像データをガンマ補正してPC40に出力する第1出力モード、及び、画像データをガンマ補正せずにPC40に出力する第2出力モードを有する。CPU26は、出力モード切替手段として、PC40からの指示に基づいて、第1出力モードと第2出力モードとを切り替える。なお、このような画像出力手段は、第1出力モードの際に、画像データのデータサイズを変更、具体的には、画像データのデータサイズを小さく変更して出力する。ここで、画像データのデータサイズを小さく変更するとは、例えば、画像データの階調を低くして出力する場合や、画像データから所定の画像領域だけを出力する場合(枠消し処理)、画像データの解像度を低くする場合(解像度変換)、等を含む。
【0023】
一方、PC40は、CPU41と、選択部42と、メモリ(第2記憶部)43と、画像生成部44と、カラー用ガンマ補正部(第2ガンマ補正部)45aと、グレー用ガンマ補正部(第2ガンマ補正部)45bと、画像処理部46とを有する。
【0024】
CPU41は、PC40内で各種演算を行い、各部を制御する。メモリ43は、スキャナ1内の画像メモリ23に記憶した8bit深度の画像を取得して記憶する。この場合に8bit深度の画像はガンマ補正されていない画像である。このように画像メモリ23からメモリ43にガンマ補正せずに画像データを出力するモードが、第2出力モードである。
【0025】
画像生成部44は、画像生成手段であり、画像データに対する異なった複数の処理を施して複数の処理済データを生成する。具体的には、メモリ43に記憶した8bit深度の画像から複数の画像、本実施形態では、カラー画像とグレー画像とを生成する。カラー用ガンマ補正部45a及びグレー用ガンマ補正部45bは、画像生成部44で生成されたそれぞれの画像をガンマ補正する。即ち、カラー用ガンマ補正部45aは、画像生成部44で生成されたカラー画像にカラー画像用のガンマ補正をする。グレー用ガンマ補正部45bは、画像生成部44で生成されたグレー画像にグレー画像用のガンマ補正をする。
【0026】
画像処理部46は、スキャナ1で10bit深度で読み取られガンマ補正され、更に8bit深度に変換された画像、又は、PC40でガンマ補正されたカラー画像又はグレー画像を、例えばPCのモニタ上に表示するなどの処理をする。このうちのスキャナ1でガンマ補正された画像データが画像処理部46に出力されるモードが第1出力モードである。このように、画像処理部46で、スキャナ1でガンマ補正され階調変換された画像を処理するか、PC40でガンマ補正された画像を処理するかは、選択部(選択手段)42で選択する。
【0027】
即ち、この選択部42は、画像読取条件(マルチストリームのON/OFF)を選択する。ここで、マルチストリームとは、1度のスキャンで別々の設定の複数の画像を生成して処理(出力)する機能である。例えば、システムが、原稿の1つの面をスキャンし、スキャンした1つの画像からカラー画像とグレー(モノクロ)画像を出力する。したがって、選択部42は、画像生成部44によって、画像データに複数の処理を施す処理モード(マルチストリームON)と、複数の処理を施さない非処理モード(マルチストリームOFF)とを選択する。本実施形態では、高画質である必要はないがマルチストリーム機能を実行したい場合と、マルチストリーム機能は実行しないが高画質の画像が欲しい場合とを選択するものである。
【0028】
具体的には、マルチストリーム機能は実行せずに高画質の画像を処理すること(非処理モード)を選択した場合には、ラインイメージセンサ5に10bit深度で画像を読み取らせる。そして、画像メモリ23からガンマ補正部22a及び階調変換部22bを介して(画像データをガンマ補正して)画像処理部46に送る(第1出力モード)。一方、マルチストリーム機能を実行すること(処理モード)を選択した場合には、ラインイメージセンサ5に8bit深度で画像を読み取らせる。そして、画像メモリ23からガンマ補正部22a及び階調変換部22bを介することなく(画像データをガンマ補正せずに)メモリ43に送る(第2出力モード)。
【0029】
本実施形態の場合、このような選択部42は、図5に示すようなユーザインターフェース50を有する。即ち、図5に示すユーザインターフェース50がPC40のモニタ上に表示され、ユーザはインターフェース内のチェックボックスをクリックすることで、カラーモード、原稿のサイズ、解像度を設定できるようになっている。また、SCANボタンをクリックすると、設定された条件でスキャナ1がスキャンを開始する。一方、Closeボタンをクリックする、ユーザインターフェースが閉じる。更に、マルチストリームチェックボックスをクリックしてONにすると、マルチストリーム機能がONになり、ユーザは複数(本実施形態では2通り)の設定を行うことができる。
【0030】
次に、ユーザがマルチストリーム機能を実行せずに高画質の画像を取得することを選択した場合(マルチストリームOFF)と、マルチストリーム機能を実行することを選択した場合(マルチストリームON)とについて、それぞれ説明する。
【0031】
[マルチストリームOFF(非処理モード)]
まず、マルチストリームOFFを選択した場合について説明する。選択部42で1つの画像処理を行うこと(マルチストリームOFF)が選択された場合に、PC40及びスキャナ1に組み込まれた画像読取プログラムが、PC40及びスキャナ1に次のような動作を実行させる。即ち、スキャナ1内(画像読取装置内)のラインイメージセンサ5に10bit深度(第1の階調)で画像を読み取らせて、読み取った画像をスキャナ1内の画像メモリ23(第1記憶部)に記憶させる。次いで、画像メモリ23に記憶された10bit深度の画像をスキャナ1内の(第1)ガンマ補正部22aでガンマ補正させる。更に、ガンマ補正部22aでガンマ補正した画像を、スキャナ1内の階調変換部22bで10bit深度の画像よりも低い階調(8bit深度)の画像に変換させる。そして、階調変換部22bで変換させた8bit深度の画像をPC40(情報処理装置)に送って、PC40内の画像処理部46で処理させる(例えばモニタに表示する)。
【0032】
図6を用いて具体的に説明する。なお、図6の上下方向が時間軸であり、図6の下側に向かうほど時間が進む。また、このときのスキャン設定は、カラーモードはカラー、原稿サイズがA4、解像度が200dpiであり、マルチストリームのチェックボックスはOFFである(クリックしていない)。
【0033】
この状態で、ユーザがユーザインターフェース50上でSCANボタンをクリックすると、アプリケーションからドライバに対してスキャン開始命令が行われる(S001)。次いで、ドライバからスキャナに対して、上述の条件が送信(スキャン設定送信)される(S002)と共に、スキャン開始指令が行われる(S003)。すると、スキャナは、カラー・A4・200dpi・10bit深度でスキャンを行う(S004)。即ち、第1の階調でスキャンする。そして、そのスキャン画像を画像メモリ23に記憶する。
【0034】
次に、画像メモリ23の記憶されたスキャン画像に対し、ガンマ補正部22aがカラー用ガンマ補正を行う(S005)。その後、階調変換部22bがガンマ補正した10bit画像を8bit画像にbit深度変換を行う(S006)。そして、変換後の画像をPC40のドライバに転送する(S007)。最終的に画像はドライバを介してアプリケーションに渡り(S008)、アプリケーションの画像処理部46がモニタ上に画像を表示する(S009)。
【0035】
[マルチストリームON(処理モード)]
次に、マルチストリームONを選択した場合について説明する。選択部42で複数の画像処理を行うこと(マルチストリームON)が選択された場合に、PC40及びスキャナ1に組み込まれた画像読取プログラムが、PC40及びスキャナ1に次のような動作を実行させる。即ち、スキャナ1に10bit深度よりも低い8bit深度(第2の階調)で画像を読み取らせて、画像メモリ23に記憶させる。次いで、画像メモリ23に記憶された8bit深度の画像をPC40内(情報処理装置内)のメモリ43(第2記憶部)に取得させて記憶させ、メモリ23に記憶された8bit深度の画像からPC40内の画像生成部44で複数の画像を生成させる。更に、画像生成部44で生成されたそれぞれの画像を、PC40内のカラー用ガンマ補正部45a又はグレー用ガンマ補正部45b(複数の第2ガンマ補正部)でガンマ補正させる。そして、カラー用ガンマ補正部45a又はグレー用ガンマ補正部45bでガンマ補正したそれぞれの画像を画像処理部46で処理させる。
【0036】
図7を用いて具体的に説明する。なお、図7の上下方向が時間軸であり、図7の下側に向かうほど時間が進む。また、このときのスキャン設定は、設定1のカラーモードがカラー、原稿サイズがA4、解像度が200dpiである。また、設定2のカラーモードがグレー、原稿サイズがB5、解像度が300dpiである。更に、マルチストリームのチェックボックスはONである(クリックしてある)。
【0037】
この状態で、ユーザがユーザインターフェース50上でSCANボタンをクリックすると、アプリケーションからドライバに対してスキャン開始指令が行われる(S011)。次いで、ドライバからスキャナに対して、上述の条件が送信(スキャン設定送信)される(S012)と共に、スキャン開始指令が行われる(S013)。
このときドライバからスキャナに送られるスキャン設定は、設定1と設定2の各設定(モード・サイズ・解像度)それぞれで大きい値となる。即ち、モードでカラーとグレーとがそれぞれ選択されている場合には、カラーで設定される。また、サイズでA4とB5とがそれぞれ選択されている場合には、A4で設定される。また、解像度で200dpiと300dpiがそれぞれ選択されている場合には、300dpiで設定される。
【0038】
したがって、図7の例では、スキャナの設定は、モードがカラー、サイズがA4、解像度が300dpiとなる。また、マルチストリームがONの場合には、スキャナは8bit深度(第2の階調)でスキャンを行う。即ち、スキャナは、カラー・A4・300dpi・8bit深度でスキャンを行う(S014)。この設定でスキャンした画像は、ガンマ補正をかけずに、PC40内のドライバに渡される(S015)。
【0039】
ドライバは、スキャナから渡された8bit深度の画像をいったんPC40内のメモリ43に保存する(S016)。そして、この画像から設定1の画像と設定2の画像をそれぞれ生成する。そのために、画像生成部44でその画像のコピーを作成し、設定1の画像を生成すべく、そのコピー画像に対してまず、カラー用ガンマ補正部45aでカラー用のガンマ補正をかける(S017)。そして、画像処理部46で300dpiの画像から200dpiの画像に解像度変換処理を行い(S018)、アプリケーションに転送する(S019)。そして、画像処理部46がモニタにその画像を表示する(S020)。
【0040】
なお、本実施形態では、画像処理部46は、ドライバとアプリケーションとの機能の一部をそれぞれ含むものである。即ち、モニタに画像を表示するだけではなく、解像度を変換したりする。但し、解像度の変換はアプリケーションで行っても良く、機能がどちらのソフトに属するかは任意に設定できる。
【0041】
その後、設定2の画像を生成すべく、画像生成部44がメモリ43に保存していた画像を取得する(S021)。そして、その画像に対して、画像生成部44でグレー画像変換を行い(S022)、更に、A4からB5にサイズ変換処理を行う(S023)。次いで、サイズ変換した画像に対して、グレー用ガンマ補正部45bでグレー用ガンマ補正を行い(S024)。画像をアプリケーションに転送する(S025)。画像を受け取ったアプリケーションは画像処理部46で画像の表示を行う(S026)。
【0042】
なお、上述の10ビット画像から8bit画像へのbit深度変換処理、グレー画像変換処理、解像度変換処理、サイズ変換処理は、一般的な既知の画像処理である。
【0043】
このように構成され作用する本実施形態の場合、スキャナ1が、ガンマ補正して出力するモードと、ガンマ補正しないで出力するモードを有するため、ユーザが望む画像を効率よく生成することができる。また、画像読取システムとして、スキャナ1内に大容量の記憶部を搭載する必要がなく、且つ、スキャナ1とPC40との間のデータ送信に係る時間を低減しつつ、画像読取条件に応じた処理が可能となる。
【0044】
この点について詳しく説明する。マルチストリーム機能は、スキャナ内またはPC内のドライバで行うことができる。PC内のドライバでマルチストリーム機能が行われる場合、まずドライバは、ガンマ補正前のカラー画像をスキャナから取得し、カラー画像用ガンマ補正処理を施し、アプリケーションに画像を渡す。さらに、ガンマ補正前のカラー画像からグレー画像変換を行い、変換後の画像にグレー用ガンマ補正処理をかけ、アプリケーションに画像を渡す。一方、スキャナ内でマルチストリーム機能が行われる場合、スキャナはガンマ補正前のカラー画像を画像センサから取り込み、カラー画像用ガンマ補正処理を施し、PC内のドライバに画像を渡す。さらに、ガンマ補正前のカラー画像からグレー画像変換を行い、変換後の画像にグレー用ガンマ補正処理をかけ、PC内のドライバに画像を渡す。
【0045】
しかし、マルチストリーム機能は、処理のために大容量のメモリ(記憶部)が必要である。即ち、上述のようにマルチストリーム機能を実行する場合に、ガンマ補正前の画像を記憶しつつ、カラー画像用ガンマ補正処理を施した画像、或いは、グレー画像用ガンマ補正処理を施した画像を記憶する必要がある。このため、スキャナ内でマルチストリーム機能を実行する場合には、スキャナ内に大容量のメモリを搭載する必要があり、スキャナのコストが高くなる。
【0046】
これに対してPCは、近年、処理速度が上がり、大容量のメモリを持っているため、スキャナがマルチストリームを行うよりも、PC内のドライバがマルチストリームを行う方が有利である。即ち、スキャナで読み取った画像をガンマ補正することなくPCに送って、PC内でマルチストリームを実行すれば、スキャナが大容量のメモリを持つ必要がなく、PC内の大容量のメモリを有効に利用できる。
【0047】
一方、マルチストリーム機能を実行しない場合に、画像読取の際に高画質を維持したいと言う要望もある。このために、スキャナが、高い階調(例えば10bit深度:1024階調)で画像を読み取り、PCに送って画像処理することが考えられる。但し、この場合、スキャナからPCに送るデータ量が多くなって、データ送信(画像転送)に時間が掛かってしまう。
【0048】
データ送信時間を短くするために、スキャナ内で高い階調の画像をガンマ補正処理し、PCへ画像転送する際に、低い階調(例えば8bit深度)の画像に変換して転送することが考えられる。このように、高い階調で読み取ってガンマ補正処理した画像を低い階調に変換してPCに送ってPCで画像処理する方が、低い階調で読み取った画像をPCに送って画像処理するよりも、高画質な画像が得られる。
【0049】
したがって、画像読取条件に応じて、即ち、高画質である必要はないがマルチストリーム機能を実行したい場合と、マルチストリーム機能は実行しないが高画質の画像が欲しい場合とを、それぞれ最適に行えるシステムが望まれる。
【0050】
これに対して本実施形態では、高画質の画像である10bit深度(第1の階調)の画像を処理する(マルチストリームOFFの)場合には、10bit深度の画像を、スキャナ1内でガンマ補正し低い階調(8bit深度)に変換してからPC40に送っている。このため、高画質な画像が得られるにも拘らず、スキャナ1からPC40に送るデータ量を少なくでき、データ送信に係る時間を低減できる。言い換えれば、ユーザに対して、早い処理速度で高画質を維持した8bit深度の画像を提供できる。
【0051】
一方、複数の画像を生成して処理する(マルチストリームONの)場合には、10bit深度よりも低い8bit深度(第2の階調)の画像をそのまま(ガンマ補正せずに)PC40に送り、PC40内のメモリ43を利用して処理している。マルチストリームを実行する場合、複数の画像を生成するため、大容量のメモリが必要になるが、本実施形態では、このようにマルチストリームを実行する場合にPC40のメモリを利用している。このため、スキャナ1内に大容量のメモリ(記憶部)を搭載する必要がなく、スキャナ1の低コスト化を図れる。
【0052】
したがって、本実施形態の場合、高画質の画像の出力とマルチストリームとに対応し、且つ、データ送信にかかる時間が短いスキャナ1を低コストで得られる。また、メモリを小さくできる分、スキャナ1の小型化及び低コスト化も図れる。
【0053】
[他の実施形態]
上述の本実施形態では、マルチストリームで設定できる設定項目を、モード、サイズ、解像度と挙げているが、設定項目はこれに限らない。例えば、画像内のR(レッド)成分、B(ブルー)成分、G(グリーン)成分のどれかを除去するカラードロップアウト機能のON/OFF、明るさ、コントラストといった設定でもよい。
【0054】
また本実施形態では、シートフィードタイプのスキャナを使っているが、シートを搬送せずに画像を読み取る、フラットベッドタイプのスキャナでもよい。
【0055】
また本実施形態では、スキャナは、PCに画像を転送するときに、画像を圧縮せずに転送しているが、画像を圧縮(JPEG圧縮、MMR圧縮、ZIP圧縮など)してからPCに転送し、PCは圧縮画像を伸長し、画像処理を行ってもよい。
【符号の説明】
【0056】
1 スキャナ(画像読取装置)
5 ラインイメージセンサ(画像読取部)
22 データ処理部
22a ガンマ補正部(第1ガンマ補正部)
22b 階調変換部
23 画像メモリ(第1記憶部)
40 PC(情報処理装置)
42 選択部
43 メモリ(第2記憶部)
44 画像生成部
45a カラー用ガンマ補正部(第2ガンマ補正部)
45b グレー用ガンマ補正部(第2ガンマ補正部)
46 画像処理部
D 原稿
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7