【実施例】
【0033】
以下、実施例と比較例により本発明を更に説明する。
【0034】
なお、フリーネス、密度、単層アスカー硬度、吸放湿量の測定方法は以下の通りである。
【0035】
(1)フリーネス
JIS P 8121(パルプのろ水度試験方法)に記載されたカナダ標準ろ水試験方法に従って測定した。
【0036】
(2)密度
JIS P 8118(紙及び板紙−厚さ及び密度の試験方法)に基づいて測定した。
【0037】
(3)単層アスカー硬度
試験片一枚についてSRIS0101(日本ゴム協会標準規格)のアスカーC型にて測定した。
【0038】
(4)吸放湿量
JIS A 1470−1(建築材料の吸放湿性試験方法)に基づいて測定した。
【0039】
<実施例1>
繊維材料としては、段ボール古紙(フリーネス420ml)33重量部と、針葉樹パルプ(フリーネス682ml)7重量部と、綿繊維(綿解繊物:フリーネス740ml)10重量部との混合繊維(フリーネス451ml)を用いた。珪質頁岩としては、稚内グリーンファクトリー社製の稚内層珪質頁岩(70μmアンダー品、算術平均径29.1μm、メジアン径14.9μm)を用いた。
【0040】
上記混合繊維50重量部と上記珪質頁岩50重量部とを混合した固形分を添加した水性スラリーを用い、角形テスト抄紙機によりJIS P 8222(試験用板紙の調製方法)に基づいて抄紙及びコーチングした。その後、プレスすることなく型枠に入れ、120℃の熱風乾燥機で4時間乾燥して、珪質頁岩を担持した坪量400g/m
2の調湿性シートを作製した。なお、熱風乾燥前の含水率は82重量%であった。
【0041】
得られた調湿性シートの密度と単層アスカー硬度を測定した。その結果を、繊維材料として用いた混合繊維のフリーネスの値と共に表1に示す。
【0042】
<
比較例1〜3>
実施例1で繊維材料として用いた混合繊維をビーターで叩解し、フリーネスを変化させた他は実施例1と同様にして調湿性シートを作製し、得られた調湿性シートの密度と単層アスカー硬度を測定した。その結果を、繊維材料として用いた混合繊維のフリーネスの値と共に表1に示す。
【0043】
【表1】
【0044】
<実施例
2>
繊維材料として、実施例1で用いた段ボール古紙に広葉樹パルプ(フリーネス672ml)を加えて混合してフリーネスを550mlに調整した混合繊維を用いた他は実施例1と同様にして調湿性シートを作製した。得られた調湿性シートの密度は0.347g/cm
3、単層アスカー硬度は83度であった。なお、熱風乾燥前の含水率は82重量%であった。
【0045】
<実施例
3>
実施例1で50重量部の珪質頁岩と混合した50重量部の混合繊維を、実施例
2で用いた段ボール古紙と広葉樹パルプの混合物40重量部に綿廃棄物解繊物(綿70重量%、アクリル30重量%、フリーネス760ml)を10重量部加えてフリーネスを582mlとした混合物とした以外は実施例1と同様にして調湿性シートを作製した。得られた調湿性シートの密度は0.322g/cm
3、単層アスカー硬度は78度であった。なお、熱風乾燥前の含水率は79重量%であった。
【0046】
<実施例
4〜7、比較例
4,5>
坪量を変えて抄紙した以外は実施例1と同様にして調湿性シートを作製し、得られた調湿性シートの密度、吸放湿量及び単層アスカー硬度を測定した。その結果を坪量及び熱風乾燥前の含水率と共に表2に示す。なお、坪量が大きくなるにつれて抄紙時に水が抜けにくくなり、特に実施例
7では、脱水時間が長くなった。
【0047】
【表2】
【0048】
<実施例
8〜12、比較例
6,7>
実施例1で50重量部の珪質頁岩と混合した50重量部の混合繊維を、実施例1で用いた段ボール古紙と綿繊維の混合物とし、両者の配合比率を変えた以外は実施例1と同様にして調湿性シートを作製し、得られた調湿性シートの密度及び単層アスカー硬度を測定した。その結果を段ボール古紙と綿繊維の配合比と、両者の混合物である混合繊維のフリーネスと共に表3に示す。なお、実施例
12の調湿性シートにおいてはやや膜薄になった箇所が見られ、比較例
7においては、調湿性シートを十分作製することができなかった。
【0049】
【表3】
【0050】
<実施例
13,14>
珪質頁岩の粒径を変えた以外は実施例と同様にして調湿性シートを作製し、得られた調湿性シートの密度、単層アスカー硬度及び吸放湿量を測定した。その結果を珪質頁岩の算術平均径(表では「平均径」と表示)及びメジアン径、熱風乾燥前の含水率と共に表4に示す。また、実施例1の値についても併記する。
【0051】
【表4】
【0052】
<実施例
15〜18、比較例
8>
混合繊維と珪質頁岩の配合比を変えた以外は実施例1と同様にして調湿性シートを作製し、得られた調湿性シートの吸放湿量を測定した。その結果を混合繊維と珪質頁岩の配合比と共に表5に示す。
【0053】
【表5】
【0054】
<
比較例9>
実施例1において、コーチング後、吸水ろ紙3枚に挟み、乾燥前の含水率を65重量%までプレス脱水した以外は同様にして調湿性シートを作製した。得られた調湿性シートの密度は0.440g/cm
3、単層アスカー硬度は85度であった。
【0055】
<比較例
10>
実施例1において、JIS P 8222(試験用板紙の調製方法)に準拠し、コーチングの後、吸水ろ紙3枚に挟み、圧力410kPaで、1回目は5分間、2回目は2分間プレスし、得られた含水率51重量%の湿紙を回転型乾燥機を用いて110℃で2分間乾燥した以外は同様にして調湿性シートを作製した。得られた調湿性シートの密度は0.542g/cm
3、単層アスカー硬度は91度であった。また、調湿性シートは反りが著しいものであった。
【0056】
<比較例
11>
比較例9において、コーチングの後、吸水ろ紙3枚に挟み、乾燥前の含水率を60%までプレス脱水した以外は同様にして調湿性シートを作製した。得られた調湿性シートの密度は0.462g/cm
3、単層アスカー硬度は89度であった。
【0057】
<実施例
19>
実施例1で用い針葉樹パルプ7重量部及び段ボール古紙33重量部と、実施例4で用いた綿廃棄物物解繊物10重量部との混合繊維(フリーネス465ml)を繊維材料とし、この繊維材料50重量部と、実施例1で用いた珪質頁岩50重量部と、少量の製紙用薬剤(ロジンサイズ剤、硫酸バンド、アクリルバインダー、消泡剤)を含んだ水性スラリーを丸網抄紙機にて単層で抄紙した後、コンベア上の紙層を200℃にて連続的に熱風乾燥し、更にシリンダー乾燥して調湿性シートを製造した。得られた調湿性シートの坪量は508g/m
2、密度は0.363g/cm
3、単層アスカー硬度は84度、吸放湿量は17g/m
2であった。なお、熱風乾燥前の含水率は81重量%であった。
【0058】
<実施例
20>
実施例
19において、抄紙坪量を増やした以外は同様に行い、坪量1165g/m
2の調湿性シートを製造した。この調湿性シートの密度は0.398g/cm
3、単層アスカー硬度は81度、吸放湿量は37g/m
2であった。なお、熱風乾燥前の含水率は82重量%であった。
【0059】
<実施例
21>
図1に示される構成のうち、背面シート5を省略した畳を作製した。調湿性シート2としては、実施例
19で製造したものを用いた。い草を織った畳表1を用い、断熱板4としては押し出し発泡ポリスチレン板を用いた。補強ボード3としては、厚さ15mmの木質系繊維板を用いた。
【0060】
上記畳について、JIS A 1470−1「調湿建材の吸放湿性試験方法」の湿度50〜75%の中湿域における試験を行った。試験結果を表6に示すと共に、吸放湿量変化グラフを
図2に示す。
【0061】
<比較例
12>
調湿性シート2を介在させなかった以外は実施例
21と同様の畳について同様の試験を行った。試験結果を表6に示すと共に、吸放湿量変化グラフを
図2に示す。
【0062】
【表6】