特許第5783790号(P5783790)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5783790
(24)【登録日】2015年7月31日
(45)【発行日】2015年9月24日
(54)【発明の名称】冷凍装置
(51)【国際特許分類】
   F25B 1/00 20060101AFI20150907BHJP
   F28D 7/14 20060101ALI20150907BHJP
【FI】
   F25B1/00 397C
   F28D7/14
【請求項の数】3
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2011-106439(P2011-106439)
(22)【出願日】2011年5月11日
(65)【公開番号】特開2012-237494(P2012-237494A)
(43)【公開日】2012年12月6日
【審査請求日】2014年4月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】000194893
【氏名又は名称】ホシザキ電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】特許業務法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 義康
【審査官】 安島 智也
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭58−024764(JP,A)
【文献】 特開平10−132400(JP,A)
【文献】 特開2005−321136(JP,A)
【文献】 特開2007−032943(JP,A)
【文献】 特開2007−198693(JP,A)
【文献】 特開2008−032253(JP,A)
【文献】 特開2009−097756(JP,A)
【文献】 特開2010−007957(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0107683(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25B 1/00
F28D 7/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
共に水冷式の凝縮器を備えた2系統の独立した冷凍回路が設けられ、第1冷凍回路には主に運転される主圧縮機が、第2冷凍回路には前記主圧縮機のみでは能力不足と判断された場合に前記主圧縮機と併せて駆動され補助的に運転される補助圧縮機が備えられるとともに、前記両冷凍回路に蒸発器が共用された冷凍装置であって、
前記第1冷凍回路の第1凝縮器を冷却する冷却水を流通させる給水管と、前記第2冷凍回路の第2凝縮器を冷却する冷却水を流通させる給水管とが、この第2冷凍回路側の給水管が上流側に位置するように直列接続されるとともに、前記第1冷凍回路側の給水管の出口側に、この第1冷凍回路の高圧圧力を一定に維持するべく冷却水の量を制御する給水制御弁が設けられ
前記第1冷凍回路における前記主圧縮機の吐出側および前記第2冷凍回路における前記補助圧縮機の吐出側に、高圧スイッチが設けられていることを特徴とする冷凍装置。
【請求項2】
前記第1凝縮器と前記第2凝縮器とは共に螺旋巻きされた凝縮管によって形成され、前記第2凝縮器の上方に前記第1凝縮器が同軸上に積み上げ配置されているとともに、前記両給水管が直列接続されて一本化された単一給水管が、前記第2凝縮器の下端から前記第1凝縮器の上端に亘ってそれらの内側に挿通されることにより螺旋形の二重配管構造とされ、冷却水と冷媒とが対向方向に流通されるようになっていることを特徴とする請求項1記載の冷凍装置。
【請求項3】
第1冷凍回路に備えられた主圧縮機がインバータ圧縮機であり、第2冷凍回路に備えられた補助圧縮機が一定速圧縮機であることを特徴とする請求項1または請求項2記載の冷凍装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水冷式凝縮器を使用した2系統の独立した冷凍回路を有し、かつ蒸発器は共用した冷凍装置に関する。
【背景技術】
【0002】
冷凍回路に水冷式凝縮器を使用したものとして、下記特許文献1に記載されたものが知られている。水冷式凝縮器は例えば二重管構造であって、外管が凝縮管となって冷媒が一方向に流通する一方、内管が給水管となって冷却水が冷媒と対向する方向に流通し、熱交換により冷媒が凝縮されるようになっている。また給水管の出口側には給水制御弁が設けられ、例えば凝縮器(凝縮管)の出口側の検知圧力に基づいて開閉して給水量を制御することで、当該冷凍回路の高圧圧力を一定に維持する手段が講じられている。
【0003】
一方近年、広範囲に亘る冷凍能力を備えた冷凍装置として、以下のようなものが知られている。このものは、2系統の独立した冷凍回路が設けられ、第1冷凍回路ではインバータ圧縮機が、第2冷凍回路では一定速圧縮機が備えられるとともに、両冷凍回路に蒸発器が共用された構造であって、通常は、第1冷凍回路すなわちインバータ圧縮機のみを駆動し、具体的には同インバータ圧縮機の回転数を制御しつつ冷却運転(コントロール冷却運転)を行い、第1冷凍回路(インバータ圧縮機側)のみでは能力不足と判断された際に、第2冷凍回路すなわち一定速圧縮機を併せて駆動するといった使い方がなされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−292258号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで上記のような冷凍装置を、共に水冷式凝縮器を使用した2系統の独立した冷凍回路によって構築しようとすると、冷却用の給水管と、フィードバック路も含めた給水制御弁とを各別に備えることになるため、部品点数が増えかつ配管も複雑となって配置スペースに多くを要し、また組立作業性にも劣って製造コストの増大に繋がるという問題があった。
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、その目的は、部品点数の削減を図ることで製造コストの低減化を実現した冷凍装置を提供するところにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、共に水冷式の凝縮器を備えた2系統の独立した冷凍回路が設けられ、第1冷凍回路には主に運転される主圧縮機が、第2冷凍回路には補助的に運転される補助圧縮機が備えられるとともに、前記両冷凍回路に蒸発器が共用された冷凍装置であって、前記第1冷凍回路の第1凝縮器を冷却する冷却水を流通させる給水管と、前記第2冷凍回路の第2凝縮器を冷却する冷却水を流通させる給水管とが、この第2冷凍回路側の給水管が上流側に位置するように直列接続されるとともに、前記第1冷凍回路側の給水管の出口側に、この第1冷凍回路の高圧圧力を一定に維持するべく冷却水の量を制御する給水制御弁が設けられている構成としたところに特徴を有する。
【0007】
冷却水は、直列接続された両給水管に沿って第2凝縮器からそれに続いて第1凝縮器に流通し、この間給水制御弁において、第1冷凍回路の高圧圧力を一定に維持するべく冷却水の水量が制御される。第1冷凍回路の主圧縮機のみが運転されている場合は、正に同第1冷凍回路の高圧圧力が一定に維持されることで凝縮温度が適正に維持され、必要な冷凍能力が得られる。
主圧縮機と補助圧縮機とが同時に運転される場合は、冷却水はまず第2凝縮器を熱交換により冷却し、昇温されたのち第1冷却器を熱交換により冷却するように作用する。そのとき冷却水の水量が、第1冷凍回路の高圧圧力が一定となるように、すなわち適正な凝縮温度となるように制御されるが、第1凝縮器よりも上流側に位置する第2凝縮器は、第1凝縮器側よりも低い水温で熱交換されるから、第2冷凍回路側の凝縮温度が第1冷凍回路側のそれよりも低く維持される。
【0008】
すなわち、給水管を1本にまとめ、また水量制御用の給水制御弁を第1冷凍回路側の給水管の出口の1箇所に設けることに留めながらも、主圧縮機の単独運転時、及び主圧縮機と補助圧縮機とを併せて運転する場合のいずれも、両冷凍回路の適正な凝縮温度ひいては冷凍能力を得ることができる。
言い換えると、第2冷凍回路専用の給水管と給水制御弁とを設けることが不要にできて、1本の給水管と1個の給水制御弁を備えるだけでよく、部品点数の削減と配管作業の簡略化を図ることができ、また省スペース化が図られて製品の小型化に寄与でき、製造コストの大幅な削減を図ることが可能となる。
【0009】
また、以下のような構成としてもよい。
(1)前記第1凝縮器と前記第2凝縮器とは共に螺旋巻きされた凝縮管によって形成され、前記第2凝縮器の上方に前記第1凝縮器が同軸上に積み上げ配置されているとともに、前記両給水管が直列接続されて一本化された単一給水管が、前記第2凝縮器の下端から前記第1凝縮器の上端に亘ってそれらの内側に挿通されることにより螺旋形の二重配管構造とされ、冷却水と冷媒とが対向方向に流通されるようになっている。
【0010】
冷却水は、螺旋形をなす単一給水管を下方から上方に向けて流通しつつ、まず第2凝縮管内を上方から下方に流れる冷媒と熱交換してこれを冷却し、続いて第1凝縮管内を上方から下方に流れる冷媒と熱交換してこれを冷却する。共に螺旋形をなす第1凝縮管と第2凝縮管とを上下に積み上げて配設したことから、設置面のさらなる省スペース化を実現することができる。
【0011】
(2)第1冷凍回路に備えられた主圧縮機がインバータ圧縮機であり、第2冷凍回路に備えられた補助圧縮機が一定速圧縮機である。
通常はインバータ圧縮機により冷却運転し、能力不足の場合には一定速圧縮機を併せて駆動するといった使い方をすることで、冷凍能力を広範囲に亘って効率よく発揮させることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の冷凍装置によれば、部品点数の削減と配管作業の簡略化を図ることができ、また省スペース化が図られて製品の小型化に寄与でき、製造コストの大幅な削減を図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施形態に係る冷凍装置の回路構成図
図2】同冷凍装置の配置構造を示す平面図
図3】同冷凍装置の設置部分の側断面図
【発明を実施するための形態】
【0014】
<実施形態>
本発明の一実施形態を図1ないし図3によって説明する。この実施形態では、業務用の縦型冷蔵庫に搭載された冷凍装置を例示している。
冷蔵庫は、図3に示すように、前面の開口された断熱箱体からなる冷蔵庫本体10を備え、内部が冷蔵室11とされているとともに、冷蔵室11の前面開口には断熱扉12が揺動開閉可能に装着されている。冷蔵庫本体10の上面には、回りにパネルが立てられることで機械室14が構成されている。
【0015】
機械室14の底面となる冷蔵庫本体10の天井壁10Aのほぼ中央部には、方形の開口部15が形成され、この開口部15の上面を塞ぐようにして、詳しくは後記するユニット化された冷凍装置30を搭載したユニット台20が載置されている。開口部15の下方には、ドレンパンを兼ねた冷却ダクト22が奥側(図3の右側)に向けて下り勾配で張設されており、ユニット台20との間に蒸発器室23が形成されている。冷却ダクト22の前端側には吸込口25が形成され、その裏面に庫内ファン26が装備されているとともに、冷却ダクト22の後端側には吹出口27が形成されている。
【0016】
冷凍装置30は、2系統の独立した冷凍回路すなわち第1冷凍回路31Aと第2冷凍回路31Bとを備えており、両冷凍回路31A,31Bについては、圧縮機が互いに異なっている一方で蒸発器37は共有化しており、また凝縮器がともに水冷式凝縮器とされている。
図1の冷凍回路に模式的に示されるように、第1冷凍回路31Aは、回転数が可変のインバータ圧縮機32Aと、第1の水冷式凝縮器33A(以下、単に第1凝縮器33A)と、ドライヤ35Aと、減圧手段であるキャピラリチューブ36Aと、共通の蒸発器37とを、冷媒配管で循環接続して形成されている。なお、第1冷凍回路31Aでは、蒸発器37の出口側の冷媒配管に、アキュムレータ38が介設されている。
【0017】
第2冷凍回路31Bは、回転数が一定の一定速圧縮機32Bと、第2の水冷式凝縮器33B(以下、単に第2凝縮器33B)と、ドライヤ35Bと、減圧手段であるキャピラリチューブ36Bと、共通の蒸発器37とを、冷媒配管で循環接続して形成されている。
また、第1冷凍回路31A、第2冷凍回路31Bともに、蒸発器37の入口側と出口側との冷媒配管同士が密着して配管されて、断熱チューブ内に収容されることで熱交換部39A,39Bが形成されている。
【0018】
両凝縮器33A,33Bには、単一の給水管41が配設されて一体化されることにより、水冷凝縮器40が形成されている。給水管41は詳細には、第1凝縮器33Aの冷却用の給水管41Aと、第2凝縮器33Bの冷却用の給水管41Bとを、同給水管41Bを上流側として直列接続して形成されている。この給水管41には、給水口42Xから排水口42Yに向けて冷却水が流通されるようになっている。
【0019】
上記の給水管41における排水口42Y側の端部には、第1冷凍回路31Aの高圧圧力を一定に維持するべく冷却水の水量を制御する給水制御弁45が設けられている。より具体的には、第1冷凍回路31Aにおけるドライヤ35Aの下流側に、第1冷凍回路31Aの高圧側の圧力を検知する検知部46が設定され、フィードバック路47により給水制御弁45と接続されている。そしてフィードバックされた検知圧力に基づいて給水制御弁45が開閉されて冷却水の水量が制御されることにより、第1冷凍回路31Aの高圧圧力が一定に維持されるようになっている。また、両冷凍回路31A,31Bにおける圧縮機32A,32Bの吐出側には、それぞれ高圧スイッチ49A,49Bが設けられている。
【0020】
さらに具体的な配設構造を説明すると、図2に示すように、ユニット台20上の奥側領域における幅方向の中央部から少し右側に寄った位置に、第1冷凍回路31Aの構成部品のうち、インバータ圧縮機32Aと、ドライヤ35Aと、キャピラリチューブ36Aとが設置される一方、その左側に、第2冷凍回路31Bの構成部品のうち、一定速圧縮機32Bと、ドライヤ35Bと、キャピラリチューブ36Bとが設置されている。
ここでインバータ圧縮機32Aは、複数段階(例えば7段階)に亘って回転数が可変となっている。
一定速圧縮機32Bは、インバータ圧縮機32Aの最高速(7速)よりも少ない一定の回転数で駆動可能とされている。すなわち、
インバータ圧縮機32Aの最高速(7速)>一定速圧縮機32Bの回転数
である。
より詳細には、
インバータ圧縮機32Aの最高速(7速)<{インバータ圧縮機32Aの最低速(1速)+一定速圧縮機32Bの回転数}
であり、
また、{インバータ圧縮機32Aの最高速(7速)+一定速圧縮機32Bの回転数}が、当該冷蔵庫に必要な最大冷凍能力を満たすように設定されている。
【0021】
第1冷凍回路31Aの手前側の位置には、一体化された水冷凝縮器40が設置されている。
水冷凝縮器40は端的には、螺旋巻きされた二重管構造となっている。より詳細には、第1凝縮器33Aと第2凝縮器33Bとは、共に螺旋巻きされた凝縮管によって構成されており、第2凝縮器33Bの上方に第1凝縮器33Aが同軸上に積み上げ配置されている。各凝縮器33A,33Bでは、上方から下方に向けて冷媒が流通するようになっている。
【0022】
一方、単一給水管41は、上記した第2凝縮器33Bから第1凝縮器33Aに亘ってその内部に螺旋形をなして連続して嵌装された内管の形態で形成されている。給水管41は、下端が入口41X、上端側が出口41Yとなって、冷却水は、各凝縮器33B,33Aを流通する冷媒とは対向するようにして下方から上方に向けて流通する。
ユニット台20の上面における手前側の領域の左端部には、冷却水の給水口42Xと排水口42Yとが奥側と手前側とに並んで設けられ、上記した給水管41の入口41Xから引き出された入口管44Xが給水口42Xに接続され、給水管41の出口41Yから引き出された出口管44Yが排水口42Yに接続されている。
【0023】
給水管41の出口管44Yには給水制御弁45が介設されており、第1冷凍回路31Aにおけるドライヤ35Aの下流側に設定された高圧圧力の検知部46から引き出されたフィードバック路47が、給水制御弁45に接続されている。
第1冷凍回路31Aにおけるインバータ圧縮機32Aの吐出側の冷媒配管と、第2冷凍回路31Bにおける一定速圧縮機32Bの吐出側の冷媒配管とには、それぞれ高圧スイッチ49A,49Bが接続されている。
なお、一定速圧縮機32Bの手前側に、同圧縮機32Bの冷却用のファン50が装備されている。
【0024】
一方、ユニット台20の下面側には、共通の蒸発器37が吊り下げられて取り付けられ、ユニット化されている。
このように冷凍装置30を組み付けたユニット台20が、冷凍庫本体10の天井壁10Aの開口部15を塞いで載置されると、図3に示すように、蒸発器37が、蒸発器室23内において庫内ファン26の奥側の位置に収容される。
基本的には、冷凍装置30と庫内ファン26とが駆動されると、図3の矢線に示すように、冷蔵室11内の空気が吸込口25から蒸発器室23内に吸引され、蒸発器37を通過する間に熱交換により生成された冷気が、吹出口27から冷蔵室11に吹き出されるといったように循環されることで、冷蔵室11内が冷却され、併せて庫内温度が制御されるようになっている。
【0025】
続いて、本実施形態の作用を説明する。
この実施形態では、庫内温度が予め定められたコントロール冷却特性に従うように、インバータ圧縮機32Aの増減速制御がなされる。具体的には、運転制御部には、コントロール冷却特性が、目標となる温度降下の経時的変化態様のデータとして予め記憶されており、冷却運転中は、所定のサンプリング時間ごとに、庫内温度センサで庫内温度を検出して、同検出温度に基づいて実際の温度降下度が算出される一方、上記の記憶されたデータからその庫内温度における目標の温度降下度が出力され、実際の温度降下度が目標の温度降下度よりも小さければインバータ圧縮機32Aが増速制御され、逆の場合はインバータ圧縮機32Aが減速または停止する減速制御が行われ、その繰り返しにより、コントロール冷却特性に従って冷却される。
【0026】
またこの間、庫内負荷の増加や、周囲温度の上昇により、インバータ圧縮機32Aのみでは能力不足と判断された場合、例えばインバータ圧縮機32Aが最高回転数(7速)に到達したのちなお増速要求が出された場合には、一定速圧縮機32Bが併せて駆動される。
例えば一段上の増速要求がなされた場合は、一定速圧縮機32Bが駆動されることと併せて、インバータ圧縮機32Aが最低回転数(1速)で駆動され、さらに増速要求がなされると、インバータ圧縮機32Aが「2速」に増速されるといった具合である。
【0027】
このような冷却運転中、冷却水は、給水口42Xから供給された後、水冷凝縮器40の内管を構成する螺旋形をなす単一給水管41を下方から上方に向けて流通しつつ、まず第2凝縮器33B内を流れて冷媒と熱交換し、続いて第1凝縮器33A内を流れて冷媒と熱交換したのち排水口42Yから排水される。さらにこの間、給水制御弁45において、第1冷凍回路31Aの高圧圧力を一定に維持するべく冷却水の水量が制御される。
【0028】
第1冷凍回路31Aのインバータ圧縮機32Aのみが運転されている場合は、正に同第1冷凍回路31Aの高圧圧力が一定に維持されることで凝縮温度が適正に維持され、必要な冷凍能力が得られる。
インバータ圧縮機32Aと一定速圧縮機32Bとが同時に運転される場合は、冷却水はまず第2凝縮器33Bを熱交換により冷却し、昇温されたのち第1凝縮器33Aを熱交換により冷却するように作用する。そのとき冷却水の水量が、第1冷凍回路31Aの高圧圧力が一定となるように、すなわち適正な凝縮温度となるように制御されるが、第1凝縮器33Aよりも上流側に位置する第2凝縮器33Bは、第1凝縮器33A側よりも低い水温で熱交換されるために、第2冷凍回路31B側の凝縮温度が第1冷凍回路31A側のそれよりも低く維持される。
なお、断水した場合、またインバータ圧縮機32Aが運転できず一定速圧縮機32Bのみが運転される場合は、それぞれの冷凍回路31A,31Bに設けた高圧スイッチ49A,49Bにより高圧圧力の上昇を検知し、圧縮機32A,32Bを停止して保護するようになっている。
【0029】
以上のように本実施形態では、第1冷凍回路31Aと第2冷凍回路31Bの給水管41A,41Bを単一の給水管41にまとめ、また水量制御用の給水制御弁45を、給水管41のうちの第1冷凍回路31A側の給水管41Aの出口側の1箇所に設けることに留めながらも、インバータ圧縮機32Aの単独運転時、及びインバータ圧縮機32Aと一定速圧縮機32Bとを併せて運転する場合のいずれも、両冷凍回路31A,31Bの適正な凝縮温度ひいては冷凍能力を得ることができる。
言い換えると、第2冷凍回路31B専用の給水管と給水制御弁とを設けることが不要にできて、単一の給水管41と1個の給水制御弁45を備えるだけでよく、部品点数の削減と配管作業の簡略化を図ることができ、また省スペース化が図られて製品の小型化に寄与でき、製造コストの大幅な削減を図ることが可能となる。
【0030】
また、一体化された水冷凝縮器40は、第1凝縮器33Aと第2凝縮器33Bとを共に螺旋巻きされた凝縮管によって形成して、第2凝縮器33Bの上方に第1凝縮器33Aを同軸上に積み上げ配置するとともに、単一給水管41を第2凝縮器33Bの下端から第1凝縮器33Aの上端に亘ってそれらの内側に挿通した螺旋形の二重配管構造としたから、平面視でコンパクトにまとまり、設置面のさらなる省スペース化を実現することができる。
【0031】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)上記実施形態では、主圧縮機にインバータ圧縮機を、補助圧縮機に一定圧縮機を用いた場合を例示したが、両方ともインバータ圧縮機、若しくは両方とも一定速圧縮機を適用したものであってもよい。
(2)水冷式凝縮器は、上記実施形態に例示した二重管形式に限らず、シェル−チューブ形式のもの等、他の形式のものであってもよい。
(3)本発明は、上記実施形態に例示した業務用の冷蔵庫に限らず、冷凍庫、冷凍冷蔵庫、恒温高湿庫等の他の冷却貯蔵庫全般に装備される冷凍装置について、広く適用することができる。
【符号の説明】
【0032】
30…冷凍装置 31A…第1冷凍回路 31B…第2冷凍回路 32A…インバータ圧縮機(主圧縮機) 32B…一定速圧縮機(補助圧縮機) 33A…第1凝縮器 33B…第2凝縮器 37…蒸発器 40…水冷凝縮器 41…給水管(単一給水管) 41A,41B…給水管 44Y…出口管 45…給水制御弁 46…(高圧圧力の)検知部 47…フィードバック路
図1
図2
図3