(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態におけるモータ駆動装置とそれを用いたモータ駆動システムについて説明する。
【0025】
まず、第1の実施の形態に係るモータ駆動装置について説明する。
【0026】
モータ駆動装置は、それにより駆動されるモータとともに、モータ装置を構成している。すなわち、モータ装置は、モータとモータ駆動装置とがひとまとまりに組み合わされて構成されている。モータ装置は、例えば、情報機器(例えば、複写機などのOA機器)など、種々の機器において用いられるものである。
【0027】
モータ装置には、上位装置から出力されたモータの駆動を制御するための動作指令情報が入力される。モータ装置において、モータ駆動装置は、このように外部から入力される動作指令情報に基づいて、モータの駆動制御を行う。
【0028】
図1は、本発明の第1の実施の形態におけるモータ駆動装置21を有するモータ装置20のブロック図である。
【0029】
図1に示されるように、モータ装置20は、モータ駆動装置21と、モータ50と、速度検出装置91と、位置検出装置92とを備える。
【0030】
モータ50は、例えばブラシレスDCモータである。モータ50は、例えば、可動子(図示せず)と、U相、V相、及びW相の3相の巻線(図示せず)とを有している。各巻線には、モータ駆動装置21から駆動電圧が供給される。すなわち、モータ50は、モータ駆動装置21から送られる駆動電圧に応じて駆動される。本実施の形態においては、モータ駆動装置21は、モータ50を正弦波駆動により駆動する。
【0031】
速度検出装置91と位置検出装置92とは、モータ50の近傍に配置されている。速度検出装置91は、モータ50の回転速度(例えば、単位時間あたりの回転数)を検出し、検出した速度を示す速度検出信号をモータ駆動装置21に出力する。位置検出装置92は、モータ50の可動子の回転位置を検出し、検出した位置を示す位置検出信号をモータ駆動装置21に出力する。モータ駆動装置21は、これらの速度検出信号及び位置検出信号に基づいて、モータ50の駆動制御を行う。
【0032】
モータ駆動装置21は、大まかに、通信経路選択部22と、通信部23と、駆動制御部24とを備えている。本実施の形態において、モータ駆動装置21は、通信経路選択部22と、通信部23と、駆動制御部24とを含め、その構成要素の全部が集積化された、集積回路装置41として構成されている。換言すると、モータ駆動装置21は、集積回路(IC)である1つの集積回路装置41としてパッケージ化されている。この集積回路装置41は、モータ駆動装置21を構成する回路に加えて、他の回路を含んでいてもよい。
【0033】
モータ駆動装置21は、例えば、集積回路装置41がプリント基板上に配置されて構成されている。モータ装置20は、モータ駆動装置21を構成するプリント基板が、モータ50に内蔵されて又はモータ50に一体化されて、構成されている。このように、モータ駆動装置21は、集積回路装置41として構成されていることにより、低コスト化されている。また、モータ駆動装置21が集積回路装置41として構成されていることにより、モータ装置20は、小型化可能である。
【0034】
図1に示されるように、通信部23には、シリアルインターフェース部(シリアルI/F部)28と、パラレルインターフェース部(パラレルI/F部)29とが設けられている。
【0035】
シリアルインターフェース部28には、シリアル通信経路11が接続されている。シリアル通信経路11としては、通信経路選択部22とシリアルインターフェース部28とを接続するシリアル通信経路(シリアルインターフェース部28への出力経路の一例)11aと、後段のモータ装置に接続可能なシリアル通信経路11bとが設けられている。なお、ここで後段のモータ装置とは、後述するようにこのモータ装置20を含む複数のモータ装置20が上位装置にシリアル接続される場合において、このモータ装置20の後段(上位装置から遠い側)に配置されるモータ装置をいう。
【0036】
パラレルインターフェース部29には、パラレル通信経路12が接続されている。パラレル通信経路12としては、通信経路選択部22とパラレルインターフェース部29とを接続するパラレル通信経路(パラレルインターフェース部29への出力経路の一例)12aと、後述する上位装置に接続可能なパラレル通信経路12bとが設けられている。すなわち、パラレルインターフェース部29には、パラレル通信経路12bを介した、通信経路選択部22を経由せずに上位装置に直接に接続可能な通信経路が設けられている。
【0037】
通信経路選択部22には、出力経路としてのシリアル通信経路11及びパラレル通信経路12が接続されている。すなわち、通信経路選択部22と通信部23とは、シリアル通信経路11及びパラレル通信経路12を介して接続されている。通信経路選択部22とシリアルインターフェース部28とは、シリアル通信経路11を介して接続されている。通信経路選択部22とパラレルインターフェース部29とはパラレル通信経路12を介して接続されている。
【0038】
通信経路選択部22には、入力経路13が接続されている。通信経路選択部22は、入力経路13を介して、上位装置や、前段のモータ装置に接続される。なお、ここで前段のモータ装置とは、後述するようにこのモータ装置20を含む複数のモータ装置が上位装置にシリアル接続される場合において、このモータ装置20の前段(上位装置に近い側)に配置されるモータ装置をいう。
【0039】
本実施の形態において、入力装置から動作指令情報が出力されると、動作指令情報は、入力経路13を介して通信経路選択部22に入力される。動作指令情報は、通信経路選択部22を経由して、シリアル通信経路11a又はパラレル通信経路12aを介して通信部23に入力される。また、モータ駆動装置21が接続される入力装置から、動作指令情報の一部がパラレル通信経路12bを介して通信部23に入力される場合もある。
【0040】
通信部23は、シリアルインターフェース部28又はパラレルインターフェース部29に入力された動作指令情報に基づいて、駆動制御信号を駆動制御部24に出力する。通信部23は、例えば、シリアルインターフェース部28及びパラレルインターフェース部29のほか、データ処理を行う回路などを有している。通信部23は、例えば、シリアルインターフェース部28に入力された動作指令情報について、信号を変換する処理を行い、自己に送られたデータに基づいて、駆動制御信号を駆動制御部24に送信する。
【0041】
駆動制御部24は、通信部23から出力された駆動制御信号に基づいて、モータの駆動を制御する。
【0042】
図1に示されるように、駆動制御部24は、パラメータ設定部25と、制御部26と、駆動部27とを有している。
【0043】
パラメータ設定部25には、通信部23から出力された駆動制御信号が入力される。パラメータ設定部25は、入力された駆動制御信号について、モータ50の制御パラメータや駆動パラメータなどの各種データに区分する。また、パラメータ設定部25は、区分したデータを、内部又は外部のメモリなどに記憶する(パラメータなどの設定を行う)。すなわち、パラメータ設定部25は、モータ50を駆動するためのパラメータなどを記憶する記憶部として機能する。
【0044】
なお、パラメータ設定部25で記憶されるデータとしては、例えば次のようなものがある。すなわち、モータ50の回転速度に対応した制御ゲインなどの制御パラメータや回転速度の検出範囲を示すデータなど、駆動制御部24の制御動作に関する設定データがある。また、回転速度に対応した進角値や、モータ50を駆動する波形やパルス幅変調の方式を示すデータなど、駆動動作に関する設定データがある。また、デッドタイム、パルス幅変調の周波数、パワートランジスタのスイッチ速度を示すデータなど、インバータの動作に関する設定データがある。これらのデータのほかにも、例えば、起動時の遅延時間に関する設定データや、保護動作に関する設定データや、モータ50を起動してから停止し再起動させるまでの一連の動作に関する設定データや、省エネルギーモードでモータ50を駆動するための設定データなどが含まれてもよい。
【0045】
制御部26は、モータ50の回転速度に関する制御や、モータ装置20の各部の制御などを行う。例えば、制御部26は、モータ装置20の基本的な動作に関する処理や、上位装置に対しデータ送信を求めるフィードバック要求などを行う。また、制御部26は、パラメータ設定部25で記憶されたデータのうち、モータ50の駆動動作に関する制御パラメータなどを読み込み、これに基づいて制御を行う。制御部26は、制御ゲインなどのモータ50の回転制御のための制御パラメータを用いて、速度制御信号を生成することで、モータ50の回転速度を制御する。
【0046】
駆動部27は、例えば、制御部26で生成された速度制御信号に基づいて正弦波駆動信号を生成し、インバータにより、正弦波駆動信号に基づいてモータ50の巻線に駆動電圧を供給する。
【0047】
正弦波駆動信号は、例えばパルス幅変調(PWM)回路を用いて生成される。すなわち、まず、速度制御信号に応じた振幅で、位置検出装置92からの位置検出信号に応じた位相の、正弦波形の信号が生成される。駆動部27は、生成した信号によってパルス幅変調を行い、駆動パルス信号を生成する。生成された駆動パルス信号が、正弦波駆動信号としてインバータに供給される。
【0048】
インバータは、正弦波駆動信号に応じて、直流電力を交流の駆動電力に変換し、モータ50の駆動電圧を生成する。これにより、インバータから、正弦波駆動信号に応じたパルス状の駆動電圧が出力される。上記のように、正弦波駆動信号は正弦波状の波形信号によりパルス幅変調して生成されているため、波形信号に応じた正弦波状の電圧となる駆動電圧が、モータ50の巻線に供給されることになる。すなわち、これにより、モータ50が正弦波駆動される。
【0049】
正弦波駆動においては、速度制御、正弦波駆動の際の各種制御パラメータや、駆動パラメータをきめ細かに設定できる。このように、ブラシレスDCモータの正弦波駆動による制御が行われることにより、広い回転速度範囲において、制御性能、低騒音・高効率駆動性能を向上させることが可能になる。
【0050】
ここで、本実施の形態において、モータ駆動装置21は、シリアルデータ形式の動作指令情報を上位装置が出力するような場合であっても、パラレルデータ形式の動作指令情報を上位装置が出力するような場合であっても、その動作指令情報に対応可能に構成されている。通信経路選択部22には、シリアルデータ形式とパラレルデータ形式とのいずれか一方のデータ形式で、動作指令情報が入力される。このとき、動作指令情報は、シリアル/パラレルのデータ形式によらず、共通の入力経路13を介して、通信経路選択部22に入力される。
【0051】
図2は、通信経路選択部22及び通信部23の構成を示すブロック図である。
【0052】
図2に示されるように、本実施の形態において、入力経路13は、3つの共用経路LS1,LS2,LS3で構成されている。動作指令情報は、これらの共用経路LS1,LS2,LS3を介して、上位装置などから、通信経路選択部22に入力される。すなわち、共用経路LS1,LS2,LS3は、シリアル/パラレル共用の通信経路である。
【0053】
上位装置に直接に接続可能なパラレル通信経路12bは、例えばN(Nは自然数)個のパラレル専用経路LP1〜LPNで構成されている。なお、パラレル通信経路12bとして設けられるパラレル専用経路LP1〜LPNの数は、入力されることが想定されるパラレルデータ形式の動作指令情報の信号の数や、入力経路13として設けられる共用経路の数などに応じて、適宜設定されればよい。
【0054】
通信経路選択部22には、3つのスイッチ22a,22b,22cが設けられている。
図2に示されるように、各スイッチ22a,22b,22cは、それぞれの共用経路LS1,LS2,LS3に対応する。各スイッチ22a,22b,22cは、共用経路LS1,LS2,LS3に接続される、通信経路選択部22と通信部23との間の通信経路を、シリアル通信経路11aとパラレル通信経路12aとのいずれか一方に切り替える。各スイッチ22a,22b,22cは、シリアル通信経路11aが接続されたシリアル側端子(S)と、パラレル通信経路12aが接続されたパラレル側端子(P)とを有し、両端子のいずれか一方に共用経路LS1,LS2,LS3が接続された端子を接続する。
【0055】
シリアルインターフェース部28は、シリアルデータ形式の動作指令情報を通信部23に入力するために設けられている。
図2に示されるように、シリアルインターフェース部28には、3つの信号に対応するインターフェースが設けられている。すなわち、シリアルクロックSCLKと、シリアル入力信号SIと、イネーブル信号ENとの3つに対応するものである。シリアルクロックSCLKと、シリアル入力信号SIと、イネーブル信号ENとは、それぞれ、シリアル通信経路11aを介して、スイッチ22a,22b,22cのシリアル側端子(S)に接続されている。
【0056】
また、パラレルインターフェース部29は、パラレルデータ形式の動作指令情報を入力するために設けられている。パラレルインターフェース部29には、N+3個の信号に対応するインターフェースが設けられている。すなわち、速度指令クロックCLK、スタート指令信号SS、ブレーキ指令信号BR、正逆切替指令信号FR、及び制御ゲイン切替指令信号GAINなど信号に対応するものである。これらのインターフェースのうち、速度指令クロックCLKと、スタート指令信号SSと、ブレーキ指令信号BRとは、それぞれ、パラレル通信経路12aを介して、スイッチ22a,22b,22cのパラレル側端子(P)に接続されている。その他のインターフェース(正逆切替指令信号FR、及び制御ゲイン切替指令信号GAINなど)には、パラレル通信経路12bが接続されており、パラレル通信経路12bを介して、上位装置から直接に信号が入力可能である。
【0057】
本実施の形態において、通信経路選択部22は、スイッチ22a,22b,22cの切替えを行うことで、通信経路選択部22から通信部23への信号の出力経路として、シリアル通信経路11aとパラレル通信経路12aとのいずれか一方を選択する。これにより、通信経路選択部22は、選択した出力経路を介して、入力された動作指令情報をシリアルインターフェース部28とパラレルインターフェース部29とのいずれか一方に出力する。
【0058】
通信経路選択部22から通信部23への信号の出力経路は、通信経路選択部22に入力される動作指令情報のデータ形式に応じて選択される。本実施の形態において、このようなデータ形式に応じた出力経路の選択すなわちスイッチ22a,22b,22cの切替えは、種々の方法により行われる。例えば、スイッチ22a,22b,22cの切替えは、ユーザにより操作可能な設定スイッチなどの設定に連動して切り替わるように構成されていてもよい。また、スイッチ22a,22b,22cの切替えは、上位装置や前段のモータ装置などから通信経路選択部22に送られる信号に基づいて、自動的に行われるようにしてもよい。
【0059】
このように通信経路選択部22で出力経路の選択が行われることで、通信経路選択部22に入力される動作指令情報がシリアルデータ形式であれば、その動作指令情報は、シリアル通信経路11aを介して、シリアルインターフェース部28に入力される。他方、通信経路選択部22に入力される動作指令情報がパラレルデータ形式であれば、その動作指令情報は、パラレル通信経路12aを介して、パラレルインターフェース部29に入力される。
【0060】
上位装置がシリアル通信を行うタイプのものすなわちシリアルデータ形式の動作指令情報を出力するものであるとき、通信経路選択部22及び通信部23では、動作指令情報が次のように伝送される。すなわち、動作指令情報として、共用経路LS1,LS2には、それぞれ、シリアルクロックSCLK、シリアル入力信号SIが入力される経路となり、イネーブル信号ENが共用経路LS3を経由して伝送される(
図2において共用経路LS1,LS2,LS3に沿うように示された実線矢印参照。)。このとき、動作指令情報はシリアルデータ形式のものであるため、通信経路選択部22では、通信経路選択部22と通信部23とを接続する通信経路(出力経路)として、シリアル通信経路11aが選択される。これにより、動作指令情報は、シリアルインターフェース部28に入力される。すなわち、上位装置と、シリアルクロックSCLK、シリアル入力信号SI、及びイネーブル信号ENの3つのインターフェースとの間で動作指令情報を伝送可能になる。
【0061】
通信部23では、シリアルインターフェース部28が有効になり、パラレルインターフェース部29が無効になる。通信部23に送られた動作指令情報は、シリアルインターフェース部28を経由して、駆動制御信号として駆動制御部24へ送られる。
【0062】
なお、このようにシリアル通信が行われる場合において、複数のモータ装置20の制御が行われるとき、シリアルインターフェース部28と後段のモータ装置20とが、シリアル通信経路11bで接続される。シリアル通信経路11bからは、シリアルクロックやシリアル入力信号などが動作指令情報として、シリアルデータ形式で伝送される(
図3に一例を示す。)。
【0063】
他方、上位装置がパラレル通信を行うタイプのもの、すなわち、パラレルデータ形式の動作指令情報を出力するものであるとき、通信経路選択部22及び通信部23では、動作指令情報が次のように伝送される。すなわち、動作指令情報として、共用経路LS1,LS2,LS3は、それぞれ、速度指令クロックCLK、スタート指令信号SS、ブレーキ指令信号BRの入力経路となる(
図2において共用経路LS1,LS2,LS3に沿うように示された破線矢印参照。)。このとき、動作指令情報はパラレルデータ形式のものであるため、通信経路選択部22では、通信経路選択部22と通信部23とを接続する通信経路として、パラレル通信経路12aが選択される。これにより、共用経路LS1,LS2,LS3から通信経路選択部22に入力された動作指令情報は、パラレルインターフェース部29に入力される。すなわち、上位装置と、速度指令クロックCLK、スタート指令信号SS、及びブレーキ指令信号BRの3つのインターフェースとの間で動作指令情報を伝送可能になる。
【0064】
ここで、上位装置が出力するパラレルデータ形式の動作指令情報には、通信経路選択部22に入力可能な速度指令クロックCLK、スタート指令信号SS、ブレーキ指令信号BRのほか、例えば正逆切替指令信号FRや制御ゲイン切替指令信号GAINなども含まれる。すなわち、この場合、パラレルデータ形式の動作指令情報の信号の数が共通の入力経路13の数(共用経路LS1,LS2,LS3の数をいい、ここでは3である。)を超えている。このとき、動作指令情報の信号のうち、3つの共用経路LS1,LS2,LS3により通信経路選択部22へ入力されないものは、パラレル専用経路LP1〜LPNを介して、上位装置からパラレルインターフェース部29に入力される。換言すると、共用経路LS1,LS2,LS3の数を超える動作指令情報の信号の一部は、通信経路選択部22を経由せずに、パラレル通信経路12bを介して、通信部23に直接入力される。
【0065】
このようにパラレルインターフェース部29に動作指令情報が入力されるとき、通信部23では、シリアルインターフェース部28が無効になり、パラレルインターフェース部29が有効になる。通信部23に送られた動作指令情報は、パラレルインターフェース部29を経由して、駆動制御信号として駆動制御部24へ送られる。
【0066】
なお、このようにパラレル通信が行われる場合において、複数のモータ装置20の制御が行われるときには、上位装置から各モータ装置20に動作指令情報が伝送される。
【0067】
以上説明したように、本実施の形態においては、モータ装置20に、通信経路選択部22と通信部23とが設けられていることで、上位装置がシリアル通信を行うものであってもパラレル通信を行うものであっても、1種類のモータ装置20でそれぞれの上位装置に対応可能となる。
【0068】
なお、
図2に示されるモータ装置20の動作指令情報の信号の種類や、共用経路LS1,LS2,LS3及びパラレル専用経路LP1〜LPNの割り当てなどは例示であり、これに限られるものではない。すなわち、動作指令情報が含む信号の数及び種類や、入力経路13及びパラレル通信経路12bの構成などは、上位装置やモータ装置20の仕様に応じて、適宜設定されるものである。
【0070】
次に、本実施の形態に係るモータ装置20を用いて構成されるモータ駆動システムの構成例について説明する。
【0071】
モータ駆動システムは、モータ装置20と、モータ装置20を制御する上位装置とを用いて構成することができる。上位装置としては、シリアルデータ形式の動作指令情報及びパラレルデータ形式の動作指令情報のいずれか一方をモータ装置20に出力するものが用いられる。これにより、上位装置によってモータ装置20が制御される。モータ装置20は、上位装置がシリアルデータ形式の動作指令情報を出力するものであるかパラレルデータ形式の動作指令情報を出力するものであるかに応じて、上位装置に対してシリアル接続又はパラレル接続される。
【0072】
本実施の形態において、モータ駆動システムは、複数のモータ装置20とそれより少ない数の上位装置とを用いて構成可能である。このように構成されたモータ駆動システムにおいて、上位装置がシリアルデータ形式の動作指令情報を出力するものである場合には、複数のモータ装置20は、互いにシリアル接続される。他方、上位装置がパラレルデータ形式の動作指令情報を出力するものである場合には、複数のモータ装置20は、パラレル接続される。換言すると、本実施の形態において、モータ装置20は、シリアル接続されて他のモータ装置20とともに用いることが可能なものであって、パラレル接続されて他のモータ装置20とともに用いることも可能な、シリアル/パラレルの両伝送方式に対応しているものである。
【0073】
図3は、本実施の形態に係るモータ駆動システムの一例を示すブロック図である。
【0074】
図3には、シリアルデータ形式の動作指令情報を出力する上位装置(ホスト装置)10aを用いたモータ駆動システム1が示されている。モータ駆動システム1は、上位装置10aと、複数のモータ装置20とを備えている。
図3においては、複数のモータ装置20のうち、3つ(以下、モータ装置20a、モータ装置20b、モータ装置20cということがある)が示されている。
【0075】
図3に示されるように、複数のモータ装置20のうち、最前段に配置されるモータ装置20aの入力経路13が、上位装置10aと通信経路選択部22とを接続するシリアル通信経路11となる。モータ装置20aとその後段に配置されるモータ装置20bとは、モータ装置20bの入力経路13にモータ装置20aの通信部23のシリアル通信経路11bが接続されるようにして、互いに接続されている。同様に、モータ装置20bとその後段に配置されるモータ装置20cとは、モータ装置20cの入力経路13にモータ装置20bの通信部23のシリアル通信経路11bが接続されるようにして、互いに接続されている。モータ装置20cより後段側に配置されるモータ装置20も、順次、同様にその前段のモータ装置20に接続される。
【0076】
各モータ装置20の通信経路選択部22は、シリアル通信経路11aを通信部23への出力経路として選択している状態である。これにより、各モータ装置20の通信部23では、シリアルインターフェース部28が機能する状態となっている。
【0077】
モータ駆動システム1において、各モータ装置20の通信経路選択部22には、上位装置10a又はその前段のモータ装置20からの動作指令情報が入力される。各モータ装置20の通信経路選択部22では、シリアル通信経路11aが通信部23への出力経路として選択されているため、各モータ装置20のシリアルインターフェース部28に動作指令情報が入力される。これにより、動作指令情報に応じた各モータ50の駆動制御が行われる。
【0078】
図4は、本実施の形態に係るモータ駆動システムの上述とは別の例を示すブロック図である。
【0079】
図4には、パラレルデータ形式の動作指令情報を出力する上位装置(ホスト装置)10bを用いたモータ駆動システム101が示されている。モータ駆動システム101は、上位装置10bと、複数のモータ装置20とを備えている。
図4においては、複数のモータ装置20のうち、3つが示されている。
【0080】
図4に示されるように、複数のモータ装置20は、上位装置10bに対し、並列に接続されている。すなわち、各モータ装置20の入力経路13及びパラレル通信経路12bは、上位装置10bと通信経路選択部22とを接続するパラレル通信経路12となる。
【0081】
各モータ装置20の通信経路選択部22は、パラレル通信経路12aを通信部23への出力経路として選択している状態である。これにより、各モータ装置20の通信部23は、パラレルインターフェース部29が機能する状態となっている。
【0082】
モータ駆動システム1において、各モータ装置20の通信経路選択部22には、上位装置10bからの動作指令情報の一部が入力される。各モータ装置20の通信経路選択部22では、パラレル通信経路12aが通信部23への出力経路として選択されているため、各モータ装置20のパラレルインターフェース部29に、通信経路選択部22に入力された動作指令情報が入力される。また、上位装置10bから出力された動作指令情報のうち、通信経路選択部22に入力されないものは、パラレル通信経路12bを介して、パラレルインターフェース部29に直接に入力される。これにより、動作指令情報に応じた各モータ50の駆動制御が行われる。
【0083】
このように、本実施の形態では、上位装置から入力される動作指令情報がシリアルデータ形式及びパラレルデータ形式のいずれの場合であっても、同一の構成のモータ駆動装置21を有するモータ装置20を用いて、その上位装置を用いたモータ駆動システムを構成することができる。モータ装置20は、シリアルデータ形式/パラレルデータ形式の両者に対応できるため、それぞれの形式にのみ対応するように構成が異なるモータ装置に用いられるものと比較して、モータ駆動装置21の製造コストを低くすることができる。そのため、モータ駆動装置21を用いるモータ装置20の製造コストを低くすることができ、これを用いて構成されるモータ駆動システム1,101などの製造コストも低く抑えることができる。
【0084】
また、モータ駆動装置21は、1つの集積回路装置41としてパッケージ化されている。したがって、モータ駆動装置21の製造コストをより低くすることができる。また、このように安価な集積回路装置41を用いて、容易にモータ装置20を組立できるので、モータ装置20の製造コストをより低くすることができる。また、モータ駆動装置21を小型化でき、モータ装置20を小型化することができる。
【0086】
第1の実施の形態におけるモータ駆動装置21において、その機能の一部を実現する回路素子が、1つ又は複数の集積回路装置としてパッケージ化されていてもよい。また、モータ駆動装置21の機能の全部を実現する回路素子が、複数の集積回路装置としてパッケージ化されていてもよい。
【0087】
図5は、第1の実施の形態の一変型例におけるモータ駆動装置121を有するモータ装置20を示すブロック図である。
【0088】
図5に示されるように、モータ駆動装置121は、通信経路選択部22と通信部23とが1つの集積回路装置40としてパッケージ化されている点で、集積回路装置41として全体が1つにパッケージ化されたモータ駆動装置21とは異なる。駆動制御部24は、モータ駆動装置121が制御対象とするモータ50のタイプに適合するように構成されるが、通信経路選択部22及び通信部23は、モータ50のタイプにかかわらず、同一の構成のものを用いることができる。すなわち、本変型例においては、種々のタイプのモータ50に対応するモータ駆動装置121において、集積回路装置40を共用化できるため、モータ駆動装置121の製造コストをより低減できる。
【0089】
なお、集積回路装置40には、モータ駆動装置121を構成する回路素子の一部が、さらに含まれていてもよい。
【0091】
第2の実施の形態におけるモータ装置の基本的な構成は、第1の実施の形態におけるそれと同じであるためここでの説明を繰り返さない。第2の実施の形態においては、モータ駆動装置に通信経路選択部22の動作に利用される記憶部が設けられている点が第1の実施の形態のモータ装置とは異なる。
【0092】
図6は、第2の実施の形態におけるモータ装置220の構成を示すブロック図である。
【0093】
図6を参照して、モータ装置220は、第1の実施の形態のモータ装置20において、モータ駆動装置21とは構成が一部異なるモータ駆動装置221が設けられているものである。モータ駆動装置221は、通信経路選択部22と、通信部23と、駆動制御部24とに加えて、記憶部230を有している。また、モータ駆動装置221は、外部通信端32と、記憶部書込選択指令部33と、記憶部書込選択部34とを有している。
【0094】
第2の実施の形態において、入力経路13は、記憶部書込選択指令部33と、記憶部書込選択部34とに接続されている。記憶部書込選択部34と記憶部書込選択指令部33とは、書込選択指令経路35を介して接続されている。記憶部書込選択部34と、通信経路選択部22とは、転送経路13aを介して接続されている。記憶部書込選択部34と、記憶部230とは、書込経路36を介して接続されている。通信経路選択部22は、記憶部230及び外部通信端32のそれぞれと、通信選択経路31を介して接続されている。すなわち、通信経路選択部22と記憶部230とは、通信選択経路31aを介して接続されている。また、通信経路選択部22と外部通信端32とは、通信選択経路31bを介して接続されている。
【0095】
記憶部書込選択部34は、入力経路13に接続される経路を、転送経路13aとするか、書込経路36とするかを選択する(切り替える)。記憶部書込選択部34が転送経路13aを選択しているとき、入力経路13から送られた動作指令情報が、通信経路選択部22に入力される。すなわち、通信経路選択部22に動作指令情報が入力されるとき、その動作指令情報は、記憶部書込選択部34を経由して通信経路選択部22に入力される。
【0096】
第2の実施の形態において、記憶部230は、通信経路選択指令情報を記憶する。通信経路選択指令情報は、上位装置の制御に基づきモータ装置220が動作するときに、通信経路選択部22がシリアル通信経路11とパラレル通信経路12のいずれかの通信経路を選択し、選択した状態を維持するために用いられる情報である。通信経路選択指令情報は、通信選択経路31aを介して、記憶部230から通信経路選択部22に送られる。
【0097】
通信経路選択部22は、記憶部230に記憶されている通信経路選択指令情報に基づいて、通信部23への出力経路をシリアル通信経路11aとパラレル通信経路12aとのいずれにするか、選択を行う。これにより、通信経路選択指令情報に基づいて、シリアルインターフェース部28とパラレルインターフェース部29とのいずれか動作指令情報のデータ形式に応じた一方が動作し、駆動制御部24に駆動制御信号が送られる。なお、通信経路選択部22は、外部通信端32に接続された外部回路などから送られた切替信号に応じて、通信部23への出力経路をシリアル通信経路11aとパラレル通信経路12aとのいずれにするか選択するようにしてもよい。このとき、切替信号は、外部通信端32からモータ装置220に入力されると、通信選択経路31bを介して、通信経路選択部22に送られる。
【0098】
ここで、通信経路選択指令情報は、モータ装置220に入力される情報のデータ形式に応じて、記憶部230に記憶される。このようなデータ形式に応じた出力経路の選択すなわち通信経路選択部22の切替えは、例えば次の方法により行われる。記憶部230に通信経路選択指令情報を記憶させるときには、入力経路13を介して、所定のデータ形式の情報がモータ装置220に入力される。このとき入力される情報は、動作指令情報のデータ形式とは異なるデータ形式(例えば、電源電圧が特別な条件であったり、特別なタイミング信号を入力するものであったりするなど)を有する、特別指令情報ということができる。特別指令情報は、例えば、シリアル通信で入力される。特別指令情報が記憶部書込選択指令部33に入力されると、記憶部書込選択指令部33から選択指令情報が出力される。選択指令情報は、書込選択指令経路35を介して、記憶部書込選択部34に入力される。記憶部書込選択部34は、選択指令情報が入力されると、入力経路13に接続される経路を書込経路36に切り替える。換言すると、特別指令情報が入力されると、モータ駆動装置221は、記憶部書込選択部34が経路を切り替えることで、いわば、モータ50の駆動制御を行う通常動作状態とは異なる、指令情報記憶状態となる。このような指令情報記憶状態になることにより、特別指令情報は、書込経路36を介して記憶部230に送られる。記憶部230では、特別指令情報に基づいて、通信経路選択指令情報の書き込みや書換えが行われる。
【0099】
モータ駆動装置221は、元々設けられている入力経路13などを介して通信を行うことで、通信経路選択指令情報の書き込みや書換えを行うことができる。したがって、通信経路選択指令情報の書き込みなどを行うための専用のインターフェースを設ける必要はなく、モータ装置220の製造コストを低く抑えることができる。また、上記のような状態移行が行われて通信経路選択指令情報の記憶が行われるので、第2の実施の形態においては、次のような不具合の発生を防止できる。すなわち、上記の通常動作状態であるとき、記憶部230の通信経路選択指令情報の書換えなどが発生すると、通信経路選択部22が所定の通信経路の選択を行えなくなる可能性がある。これに対して、第2の実施の形態では、上位装置からモータ装置220への動作指令情報が送られるときには、記憶部書込選択部34により入力経路13と書込経路36とが接続されない。すなわち、このとき通信経路選択指令情報の書換えは行われることがないので、動作指令情報は、確実に、通信部23に送られる。
【0100】
このように、第2の実施の形態では、通常動作状態であるとき、通信経路選択部22は、記憶部230に記憶されている通信経路選択指令情報に基づいて、かつ、入力された動作指令情報のデータ形式に応じて、通信部23への情報の出力経路の選択を行う。出力経路の選択は自動的に行われるので、モータ装置220の利便性がより高くなる。通信経路選択指令情報の変更は、モータ装置220へ特別指令情報を入力することにより、容易に行うことができる。
【0101】
なお、記憶部230は、通信経路選択指令情報とともに、駆動制御部24の制御に用いられる情報を記憶していてもよい。この場合、
図6に矢印80で示されるとおり、記憶部230から駆動制御部24の各部に記憶部230に記憶されている情報が送られるようにすればよい。また、記憶部230は、駆動制御部24に設けられており、駆動制御部24の制御に用いられる情報を記憶するように構成されていてもよい。換言すると、通信経路選択部22の動作に利用される記憶部230は、駆動制御部24が備える別の記憶部に含まれていてもよい。
【0102】
例えば、記憶部230は、上記のようにモータ50を駆動するための制御に用いられるパラメータを記憶するパラメータ設定部25として設けられていてもよい。この場合、パラメータ設定部25は、通信経路選択指令情報をメモリなどに記憶しており、通信経路選択部22は、パラメータ設定部25に記憶されている通信経路選択指令情報に基づいて、動作指令情報を通信部23に出力する経路を選択できる。記憶部230がパラメータ設定部25として設けられている場合であっても、特別指令情報の入力によって通信経路選択指令情報の書き込みや書換えを行うことができるインターフェースを構成することは可能である。
【0103】
このように記憶部230が駆動制御部24に設けられていることにより、通信経路選択指令情報を記憶するための専用の記憶部を設ける必要がなくなる。したがって、モータ駆動装置221の製造コストをさらに低減でき、かつ、自動的に適切に動作指令情報の通信部23への出力経路を選択させることができる。
【0104】
なお、記憶部230は、駆動制御部24に限られず、モータ駆動装置221の構成要素のいずれかに含まれ、他の制御に用いられる情報を記憶する記憶部の一部として設けられていてもよい。
【0105】
特別指令情報の入力によって通信経路選択指令情報の書き込みや書換えを行うことができるインターフェースは、モータ50を駆動するための制御に用いられるパラメータ等の書き込みや書換えを行う場合にも用いることができる。
【0107】
以上のように構成されたモータ駆動装置によれば、次のような効果がもたらされる。すなわち、モータ駆動装置は、シリアルデータ形式の動作指令情報とパラレルデータ形式の動作指令情報とのいずれにも対応可能である。そのため、上位装置の動作指令情報のデータ伝送がシリアルデータ形式によるものであっても、パラレルデータ形式によるものであっても、いずれの場合にも共通して、同一の構成のモータ駆動装置を用いることができる。換言すると、モータ駆動装置は上位装置から入力される動作指令情報について特定のデータ形式を排除するものではなく、互いに異なるデータ形式で動作指令情報を出力する複数種類の上位装置間で、共用できるものである。したがって、モータ駆動装置の製造コストを低減することができる。
【0108】
また、モータ装置において、通信経路のいくつかは兼用可能であるため、モータ駆動装置の回路規模が必要以上に増大しない。そのため、モータ装置やそれを用いるモータ駆動システムの構成を小型化(省スペース化)できる。
【0109】
また、モータ駆動装置の一部又は全部が集積化されて集積回路装置とされているので、モータ駆動装置の製造コストをより低くすることができ、モータ装置やそれを用いるモータ駆動システムの構成をさらに小型化できる。
【0111】
モータ駆動装置は、正弦波駆動を行うものに限られず、矩形波駆動を行うように構成されていてもよい。モータの相数は3相に限られない。モータ装置に用いられるモータすなわちモータ駆動装置により駆動されるモータとしては、ブラシレスDCモータに限られず、種々の形式のものを用いることができる。
【0112】
上記実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。