(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5783804
(24)【登録日】2015年7月31日
(45)【発行日】2015年9月24日
(54)【発明の名称】電気モーター
(51)【国際特許分類】
H02K 11/00 20060101AFI20150907BHJP
H05K 7/20 20060101ALI20150907BHJP
H02K 9/06 20060101ALI20150907BHJP
【FI】
H02K11/00 X
H05K7/20 H
H02K9/06 A
【請求項の数】10
【外国語出願】
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2011-122704(P2011-122704)
(22)【出願日】2011年5月13日
(65)【公開番号】特開2011-244686(P2011-244686A)
(43)【公開日】2011年12月1日
【審査請求日】2014年5月13日
(31)【優先権主張番号】201010175604.1
(32)【優先日】2010年5月13日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】502458039
【氏名又は名称】ジョンソン エレクトリック ソシエテ アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100092093
【弁理士】
【氏名又は名称】辻居 幸一
(74)【代理人】
【識別番号】100082005
【弁理士】
【氏名又は名称】熊倉 禎男
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100143823
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 英彦
(72)【発明者】
【氏名】ジェイムズ チン シック ラウ
(72)【発明者】
【氏名】シャオ ジュン ヤン
【審査官】
尾家 英樹
(56)【参考文献】
【文献】
特開平08−205461(JP,A)
【文献】
特開2004−222428(JP,A)
【文献】
特開昭58−212343(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 11/00− 11/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定子コア及び固定子巻線を含む固定子と、
前記固定子内に回転可能に取り付けられ、シャフトを有する回転子と、
前記固定子コアの外面の周りに取り付けられ、そこから熱を吸収するように構成された放熱装置と、ここで、前記放熱装置は、前記固定子コアの周りに取り付けられた基部と、前記基部から半径方向外方に延びる複数のフィンとを含み、
前記シャフト上に取り付けられ、かつ、前記固定子コアの内部及び前記フィン間のスロットを通る空気流を生成するように構成されたファンと、
前記固定子の軸方向端部に配置された第1の端部キャップと、ここで、前記ファンは前記第1の端部キャップの外側に隣接して配置され、かつ、前記ファンに隣接した前記フィンの端部は、前記第1の端部キャップを超えて軸方向に延びて該フィンの該端部と該第1の端部キャップとの間に受け用空間を形成し、該ファンは前記受け用空間内に配置され、
前記放熱装置に取り付けられる電子部品と、
を含むことを特徴とする電気モーター。
【請求項2】
固定子コア及び固定子巻線を含む固定子と、
前記固定子内に回転可能に取り付けられ、シャフトを有する回転子と、
前記固定子コアの外面の周りに取り付けられ、そこから熱を吸収するように構成された放熱装置と、ここで、前記放熱装置は、前記固定子コアの周りに取り付けられた基部と、前記基部から半径方向外方に延びる複数のフィンとを含み、
前記シャフト上に取り付けられ、かつ、前記固定子コアの内部及び前記フィン間のスロットを通る空気流を生成するように構成されたファンと、
前記固定子の軸方向端部に配置された第1の端部キャップと、ここで、前記ファンは前記第1の端部キャップの外側に隣接して配置され、
前記ファンの直径は、前記放熱装置の前記基部の直径より大きく、該ファンは、前記フィンから軸方向に離間配置されることを特徴とするモーター。
【請求項3】
第2の端部キャップと、前記端部キャップを前記固定子コアに固定するための複数のロック部材とをさらに含み、前記ロック部材は、該固定子コアの内部を通って延びることを特徴とする、請求項1又は2に記載のモーター。
【請求項4】
電気部品が接続される回路基板をさらに含むことを特徴とする、請求項1乃至3のいずれかに記載のモーター。
【請求項5】
前記電子部品は、前記放熱装置上に取り付けられたトランジスタを含み、前記トランジスタのリード線は、前記回路基板に接続されることを特徴とする、請求項4に記載のモーター。
【請求項6】
前記リード線は前記回路基板の外周面上に延在し、前記外周面は前記シャフトに平行であることを特徴とする、請求項5に記載のモーター。
【請求項7】
前記ファン及び前記フィンは、前記電子部品の軸方向の2つの端部側それぞれに配置されていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載のモーター。
【請求項8】
前記ファン及び前記電子部品は、前記フィンの軸方向の2つの端部側それぞれに配置されていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載のモーター。
【請求項9】
前記電子部品及び前記フィンは、軸方向に離間して配置されていることを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載のモーター。
【請求項10】
前記固定子コアの外面上に取り付けられたハウジングをさらに含み、前記放熱装置は、前記ハウジング上に取り付けられることを特徴とする、請求項1から請求項9のいずれかに記載のモーター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気モーターに関し、特定的には、放熱装置を有する電気モーターに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、PMDCモーター及び電子整流DCモーターのような小型電気モーターは、固定子と、固定子内に配置された回転子と、複数の電子部品が実装される回路基板とを含む。モーターの動作中、パワートランジスタのような電子部品は、熱を発生させる。通常、電子部品のための付加的な放熱装置が、固定子内に設けられる。しかしながら、モーターの内部空間は限られており、放熱装置のサイズ及び冷却効率が制限される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
したがって、その電子部品のための改善された放熱装置を有する電気モーターに対する要望がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
したがって、本発明の一態様において、本発明は、固定子コア及び固定子巻線を含む固定子と、固定子内に回転可能に取り付けられ、シャフトを有する回転子と、固定子コアの外面の周りに取り付けられ、そこから熱を吸収するように構成された放熱装置と、放熱装置に取り付けられた電子部品とを含む電気モーターを提供する。
【0005】
放熱装置は、固定子コアの周りに取り付けられた基部と、基部から半径方向外方に延びる複数のフィンとを含むことが好ましい。
ファンは、シャフト上に取り付けられ、かつ、固定子コアの内部及びフィン間のスロットを通る空気流を生成するように構成されることが好ましい。
【0006】
モーターは、固定子の軸方向端部に配置された第1の端部キャップを含み、ファンは、第1の端部キャップの外側に隣接して配置されることが好ましい。
ファンに隣接するフィンの端部は、第1の端部キャップを超えて軸方向に延びて、フィンの端部と第1の端部キャップとの間に受け用空間を形成し、ファンが受け用空間内に配置されることが好ましい。
【0007】
代替的に、ファンの直径は、放熱装置の基部の直径より大きく、ファンは、フィンから軸方向に離間配置される。
モーターは、第2の端部キャップと、端部キャップを固定子コアに固定するための複数のロック部材とをさらに含み、ロック部材は、固定子コアの内部を通って延びることが好ましい。
【0008】
モーターは、電気部品が接続される回路基板をさらに含むことが好ましい。
電子部品は、放熱装置上に取り付けられたトランジスタを含み、トランジスタのリード線は、回路基板に接続されることが好ましい。
モーターは、固定子コアの外面上に取り付けられたハウジングを含み、放熱装置は、ハウジング上に取り付けられることが好ましい。
【0009】
ここで、添付する図面を参照しながら、本発明の好ましい実施形態をほんの一例として説明する。図では、1つより多い図に見られる同一の構造、要素、又は部品には、それらが見られる全ての図において同じ参照番号が付けられる。一般的に、図中に示される部品及び構造部の寸法は、表示の便宜上及び表示を明確にするために選択されたものであり、必ずしも縮尺通りに描かれているわけではない。図を以下に列挙する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の第1の好ましい実施形態による小型電子整流モーターの等角図である。
【
図3】本発明の第2の好ましい実施形態による類似のモーターの等角図である。
【
図4】本発明の第3の好ましい実施形態による類似のモーターの軸方向断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1及び
図2は、本発明の好ましい実施形態によるブラシレスDCモーターとしても知られる小型の電子整流型電気モーターを示す。ブラシレスDCモーターという用語は、整流子を有さず、かつ、モーター巻線に供給される電力を電子的に整流するのに、電子機器を用いてDC電力により動作されるように設計された、モーターを指す。電子機器は、裁断DC波形により巻線に電力供給する。近年、電子機器によりモーター巻線に供給される電力が裁断DC波形よりも正弦波形によく似ているブラシレスDCモーターを指すために、ブラシレスACモーターという用語が作られた。しかしながら、電子整流型モーターは、ブラシレスACモーター及びブラシレスDCモーターの両方を含むが、ブラシレスACモーターは、一般に、特別なタイプ又はサブセットのブラシレスDCモーターをカバーする。
【0012】
モーターは、固定子10と、固定子10に対して回転可能であり、かつ、固定子10内に収容される回転子40とを含む。回転子40は、シャフト42と、シャフト42に固定された回転子コア44と、回転子コア44の半径方向外面に固定された磁石46とを含む。固定子10は、鉄等の磁性材料で作られた固定子コア12を含む。固定子コア12は、ヨーク16と、ヨーク16から内方に延びる複数の歯とを含む。固定子巻線14が、歯の周りに巻き付けられる。
【0013】
放熱装置18が、ヨーク16の外面に設けられる。放熱装置18は、円筒形基部182と、該基部182の外面から半径方向及び軸方向に延びる複数の離間配置されたフィン184とを含むことが好ましい。基部182は、ヨーク16の外面上に取り付けられ、その一端に形成された1対の軸方向突出部186を有する。基部182は、ヨーク16上に圧入されることが好ましい。
【0014】
固定子10は、2つの端部キャップ20、22と、該端部キャップ20、22を固定するための幾つかのロック部材24とをさらに含む。ロック部材24は、固定子の内部を通って延びる。ロック部材24は、固定子コアの隣接する歯の間に形成されたそれぞれのスロットを通って延びることが好ましい。
【0015】
モーターは、回路基板32と、回路基板32に接続された、パワートランジスタ33のような複数の電子部品とをさらに含む。回路基板32は、1つの端部キャップ20に隣接して配置され、これに対して固定される。トランジスタ33は、放熱装置18の基部182の突出部186の外面に取り付けられ、トランジスタ33のリード線34が、回路基板32に固定される。トランジスタは、MOSFETのような、いずれの適切なパワートランジスタとすることができる。
【0016】
軸方向突出部186から遠く離れたフィン184の端部は、他方の端部キャップ22を超えて軸方向に延びる。フィン184の端部と端部キャップ22との間に受け用空間が形成される。ファン48が、シャフト42の一端に取り付けられ、受け用空間内に配置される。ファン48は、半径方向に延びる幾つかの羽根49を含む遠心ファンであることが好ましい。モーターが動作しているとき、ファン48により生成される空気流は、固定子の隣接する歯の間に形成されるスロット、及び、固定子と回転子との間の空間に流入し、次に、ファン48に隣接するモーターの端部から、ファン48の羽根49の間に形成された空気流路を通って流出し、これにより、回転子コア44、磁石46、及び巻線14が冷却される。ファン48から出ていく空気は、フィン184の端部の間に形成されたスロットを通って流れ、フィン184から熱を取り除く。したがって、トランジスタ33により発生した熱が、放熱装置18に迅速に伝えられ、次に、環境に放散される。固定子コア内で発生した熱は、放熱装置18を通って部分的に放散される。
代替的に、空気が、反対の方向に流れることも可能である。
【0017】
図3は、本発明の第2の実施形態による電気モーターを示す。この電気モーターは、
図1に示されるものに類似している。しかしながら、この実施形態においては、回路基板32及び放熱装置18の軸方向突出部186が、ファン48に隣接した状態で配置される。また、ファン48の直径は、放熱装置18の基部182の直径より大きい。ファン48は、シャフト42の端部上に取り付けられ、かつ、フィン184の外側に配置される。モーターが動作しているとき、ファン48により生成される気流は、固定子の隣接する歯の間に形成されたスロット、及び、固定子と回転子との間の空間を通って流れ、次に、モーターの端部から、ファン48を通って流出する。ファンはまた、空気をフィン184の間で流れるようにし、これにより、回転子コア44、磁石46、固定子コア12、固定子巻線14、及びトランジスタ33が冷却される。
上述の実施形態においては、放熱装置18の基部182は、固定子コア12の外面上に直接取り付けられる。
【0018】
図4は、ハウジング19が固定子コア12の外面上に取り付けられ、放熱装置18がハウジング19上に取り付けられた、代替的な構成を示す。この第3の好ましい実施形態のモーターは、付加的なハウジング19を除いて、
図1のモーターと類似している。ハウジング19は、固定子コア12の付加的な部分と見なすことができる。ハウジング19は、熱的及び磁気的に伝導性であり、固定子コアと放熱装置との間の熱経路の一部、並びに、固定子の磁束経路の一部を形成することが好ましい。このことは、固定子コアが分割型固定子コアであるときに特に有用である。
本発明の電気モーターは、ドリルのような電動工具に適している。
【0019】
本出願の説明及び特許請求の範囲において、「含む(comprise)」、「含む(contain)」、「有する(have)」及びその変形は、包括的な意味で用いられており、述べられた項目の存在を指定するが、付加的な項目の存在を排除するものではない。
【0020】
1つ又はそれ以上の好ましい実施形態を参照して本発明を説明したが、当業者であれば、種々の変更が可能であることを理解すべきである。したがって、本発明の範囲は、以下の特許請求の範囲を参照することによって決定されるべきである。
例えば、小型電子整流モーターを参照して本発明を説明したが、本発明は、サーボモーター、ステッピングモーター、及び熱を発生する電子部品を有する他のタイプの電気モーターにも適用可能である。
【符号の説明】
【0021】
10:固定子
12:固定子コア
14:固定子巻線
16:ヨーク
18:放熱装置
19:ハウジング
20、22:端部キャップ
24:ロック部材
32:回路基板
33:トランジスタ
34:リード線
40:回転子
42:シャフト
44:回転子コア
46:磁石
48:ファン
49:羽根
182:基部
184:フィン
186:突出部