特許第5783815号(P5783815)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5783815
(24)【登録日】2015年7月31日
(45)【発行日】2015年9月24日
(54)【発明の名称】熱交換器
(51)【国際特許分類】
   F28F 9/02 20060101AFI20150907BHJP
   F28F 1/30 20060101ALI20150907BHJP
   F28F 9/00 20060101ALI20150907BHJP
【FI】
   F28F9/02 301E
   F28F1/30 A
   F28F9/00 321
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2011-135868(P2011-135868)
(22)【出願日】2011年6月20日
(65)【公開番号】特開2013-2761(P2013-2761A)
(43)【公開日】2013年1月7日
【審査請求日】2014年6月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】512025676
【氏名又は名称】株式会社ケーヒン・サーマル・テクノロジー
(74)【代理人】
【識別番号】100079038
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 彰
(74)【代理人】
【識別番号】100060874
【弁理士】
【氏名又は名称】岸本 瑛之助
(74)【代理人】
【識別番号】100106091
【弁理士】
【氏名又は名称】松村 直都
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 純孝
【審査官】 仲村 靖
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−330391(JP,A)
【文献】 特開2005−195318(JP,A)
【文献】 特開2011−094889(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2003/0159816(US,A1)
【文献】 特開2011−117699(JP,A)
【文献】 特開昭63−003192(JP,A)
【文献】 特開2008−238223(JP,A)
【文献】 特開2003−302188(JP,A)
【文献】 特開2008−075928(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F28F 9/02
F28F 1/30
F28F 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向を同一方向に向けるとともに間隔をおいて配置された複数の熱交換管を有する熱交換コア部と、熱交換コア部における熱交換管の長手方向の片側において長手方向を熱交換管の並び方向に向けた状態で通風方向に並んで設けられた第1および第2ヘッダ部とを備えており、熱交換コア部における熱交換管の並び方向両端部にサイドプレートが配置され、第1および第2ヘッダ部の一端部が熱交換コア部よりも熱交換管の並び方向外方に突出し、第1ヘッダ部における熱交換コア部よりも熱交換管の並び方向外方に突出した部分の熱交換管側を向いた壁に冷媒流入口が形成されるとともに、第2ヘッダ部における熱交換コア部よりも熱交換管の並び方向外方に突出した部分の熱交換管側を向いた壁に冷媒流出口が形成され、冷媒流入口に入口パイプが接続されるとともに冷媒流出口に出口パイプが接続され、入口パイプおよび出口パイプが、それぞれ第1および第2ヘッダ部から熱交換管の全長の中間部までのびる直線部分を有している熱交換器であって、
熱交換コア部における冷媒流入口および冷媒流出口が形成された側の端部に配置されたサイドプレートに、当該サイドプレートと入口パイプおよび出口パイプの直線部分との間の隙間を通って空気が流れることを妨げる遮風部が設けられており、
出口パイプの外径が入口パイプの外径よりも大きくなっているとともに、出口パイプの直線部分が入口パイプの直線部分よりも通風方向上流側に配置され、出口パイプおよび入口パイプが、第1および第2ヘッダ部に跨って接合された1つのジョイントプレートを介して第1ヘッダ部の冷媒流入口および第2ヘッダ部の冷媒流出口に接続されており、ジョイントプレートに冷媒流入口に通じる貫通穴および冷媒流出口に通じる貫通穴が形成され、ジョイントプレートの2つの貫通穴が同径であるとともに、入口パイプの外径よりも大径でかつ出口パイプの外径よりも小径であり、ジョイントプレートにおける2つの貫通穴の周囲にそれぞれ筒状フランジが外方突出状に一体に設けられるとともに、両筒状フランジの内径が同径であり、入口パイプの先端部に拡径部が形成されるとともに、出口パイプの先端部に縮径部が形成され、入口パイプの拡径部の外径と出口パイプの縮径部の外径が同径であり、入口パイプの拡径部がジョイントプレートの一方の筒状フランジ内に挿入されて筒状フランジに接合され、出口パイプの縮径部がジョイントプレートの他方の筒状フランジ内に挿入されて筒状フランジに接合されている熱交換器。
【請求項2】
前記サイドプレートに、複数の遮風部がサイドプレートの幅方向に間隔をおいて設けられており、少なくともいずれか1つの遮風部と、入口パイプおよび出口パイプの直線部分のうち通風方向上流側に位置する直線部分とが、当該直線部分の外径の1/3以上にわたって重なっている請求項1記載の熱交換器。
【請求項3】
遮風部が、前記一方のサイドプレートにおける入口パイプおよび出口パイプの直線部分のうち通風方向上流側に位置する第1直線部分よりも通風方向上流側の部分、入口パイプおよび出口パイプの直線部分のうち通風方向下流側に位置する第2直線部分よりも通風方向下流側の部分、および第1直線部分と第2直線部分との間の部分に、それぞれ第1および第2ヘッダ部の長手方向外側に突出するように設けられている請求項2記載の熱交換器。
【請求項4】
第1直線部分の外周面と第1直線部分の通風方向の両側に位置する隣接した2つの遮風部の突出端との間隔、および第2直線部分の外周面と第2直線部分の通風方向の両側に位置する隣接した2つの遮風部の突出端との間隔のうちの少なくとも1つの間隔が、3.0mm以下である請求項3記載の熱交換器。
【請求項5】
前記一方のサイドプレートにおける第1直線部分よりも通風方向上流側の遮風部および第2直線部分よりも通風方向下流側の遮風部が、それぞれサイドプレートの通風方向上流側縁部および同下流側縁部を真っ直ぐに曲げることにより形成され、前記一方のサイドプレートにおける第1直線部分と第2直線部分との間の部分に設けられた遮風部が、サイドプレートの幅方向の中間部を略U字状に曲げることにより形成されている請求項3または4記載の熱交換器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、たとえば自動車に搭載される冷凍サイクルであるカーエアコンのエバポレータに好適に使用される熱交換器に関する。
【背景技術】
【0002】
高性能化および小型軽量化の要求を満たすエバポレータに用いられる熱交換器として、長手方向を同一方向に向けるとともに間隔をおいて配置された複数の熱交換管を有する熱交換コア部と、熱交換コア部における熱交換管の長手方向の上下両側において長手方向を熱交換管の並び方向に向けた状態で通風方向に並んで設けられた風下側および風上側ヘッダ部とを備え、両風下側ヘッダ部どうしの間および両風上側ヘッダ部どうしの間に、それぞれ複数の熱交換管が間隔をおいて配置されるとともに、熱交換管の両端部が両風下側ヘッダ部および両風上側ヘッダ部に接続され、熱交換コア部における熱交換管の並び方向両端部にサイドプレートが配置され、熱交換管の長手方向の片側に配置された風下側ヘッダ部および風上側ヘッダ部の一端部が熱交換コア部よりも熱交換管の並び方向外方に突出し、風下側ヘッダ部における熱交換コア部よりも熱交換管の並び方向外方に突出した部分の熱交換管側を向いた壁に冷媒流入口が形成されるとともに、風上側ヘッダ部における熱交換コア部よりも熱交換管の並び方向外方に突出した部分の熱交換管側を向いた壁に冷媒流出口が形成され、冷媒流入口に入口パイプが接続されるとともに冷媒流出口に出口パイプが接続され、入口パイプおよび出口パイプが、それぞれ第1および第2ヘッダ部から熱交換管の全長の中間部までのびる直線部分を有しており、両直線部分の先端部がそれぞれ外方に曲げられて外方屈曲部が形成され、両外方屈曲部に跨って膨張弁取付部材が接合されている熱交換器が知られている(特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1記載の熱交換器によれば、膨張弁取付部材を熱交換コア部に比較的近い位置に配置することができる。
【0004】
しかしながら、特許文献1記載の熱交換器によれば、熱交換コア部における冷媒流入口および冷媒流出口が形成された側の端部に配置された一方のサイドプレートと、入口パイプおよび出口パイプの直線部分との間の隙間を通って熱交換に寄与しない多くの空気が流れることになり、その結果熱交換効率が低下するという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−130973号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この発明の目的は、上記問題を解決し、特許文献1記載の熱交換器に比較して熱交換に寄与しない空気の量を低減して熱交換効率の低下を抑制しうる熱交換器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記目的を達成するために以下の態様からなる。
【0008】
1)長手方向を同一方向に向けるとともに間隔をおいて配置された複数の熱交換管を有する熱交換コア部と、熱交換コア部における熱交換管の長手方向の片側において長手方向を熱交換管の並び方向に向けた状態で通風方向に並んで設けられた第1および第2ヘッダ部とを備えており、熱交換コア部における熱交換管の並び方向両端部にサイドプレートが配置され、第1および第2ヘッダ部の一端部が熱交換コア部よりも熱交換管の並び方向外方に突出し、第1ヘッダ部における熱交換コア部よりも熱交換管の並び方向外方に突出した部分の熱交換管側を向いた壁に冷媒流入口が形成されるとともに、第2ヘッダ部における熱交換コア部よりも熱交換管の並び方向外方に突出した部分の熱交換管側を向いた壁に冷媒流出口が形成され、冷媒流入口に入口パイプが接続されるとともに冷媒流出口に出口パイプが接続され、入口パイプおよび出口パイプが、それぞれ第1および第2ヘッダ部から熱交換管の全長の中間部までのびる直線部分を有している熱交換器であって、
熱交換コア部における冷媒流入口および冷媒流出口が形成された側の端部に配置されたサイドプレートに、当該サイドプレートと入口パイプおよび出口パイプの直線部分との間の隙間を通って空気が流れることを妨げる遮風部が設けられており、
出口パイプの外径が入口パイプの外径よりも大きくなっているとともに、出口パイプの直線部分が入口パイプの直線部分よりも通風方向上流側に配置され、出口パイプおよび入口パイプが、第1および第2ヘッダ部に跨って接合された1つのジョイントプレートを介して第1ヘッダ部の冷媒流入口および第2ヘッダ部の冷媒流出口に接続されており、ジョイントプレートに冷媒流入口に通じる貫通穴および冷媒流出口に通じる貫通穴が形成され、ジョイントプレートの2つの貫通穴が同径であるとともに、入口パイプの外径よりも大径でかつ出口パイプの外径よりも小径であり、ジョイントプレートにおける2つの貫通穴の周囲にそれぞれ筒状フランジが外方突出状に一体に設けられるとともに、両筒状フランジの内径が同径であり、入口パイプの先端部に拡径部が形成されるとともに、出口パイプの先端部に縮径部が形成され、入口パイプの拡径部の外径と出口パイプの縮径部の外径が同径であり、入口パイプの拡径部がジョイントプレートの一方の筒状フランジ内に挿入されて筒状フランジに接合され、出口パイプの縮径部がジョイントプレートの他方の筒状フランジ内に挿入されて筒状フランジに接合されている熱交換器。
【0009】
2)前記サイドプレートに、複数の遮風部がサイドプレートの幅方向に間隔をおいて設けられており、少なくともいずれか1つの遮風部と、入口パイプおよび出口パイプの直線部分のうち通風方向上流側に位置する直線部分とが、当該直線部分の外径の1/3以上にわたって重なっている上記1)記載の熱交換器。
【0010】
3)遮風部が、前記一方のサイドプレートにおける入口パイプおよび出口パイプの直線部分のうち通風方向上流側に位置する第1直線部分よりも通風方向上流側の部分、入口パイプおよび出口パイプの直線部分のうち通風方向下流側に位置する第2直線部分よりも通風方向下流側の部分、および第1直線部分と第2直線部分との間の部分に、それぞれ第1および第2ヘッダ部の長手方向外側に突出するように設けられている上記2)記載の熱交換器。
【0011】
4)第1直線部分の外周面と第1直線部分の通風方向の両側に位置する隣接した2つの遮風部の突出端との間隔、および第2直線部分の外周面と第2直線部分の通風方向の両側に位置する隣接した2つの遮風部の突出端との間隔のうちの少なくとも1つの間隔が、3.0mm以下である上記3)記載の熱交換器。
【0012】
5)前記一方のサイドプレートにおける第1直線部分よりも通風方向上流側の遮風部および第2直線部分よりも通風方向下流側の遮風部が、それぞれサイドプレートの通風方向上流側縁部および同下流側縁部を真っ直ぐに曲げることにより形成され、前記一方のサイドプレートにおける第1直線部分と第2直線部分との間の部分に設けられた遮風部が、サイドプレートの幅方向の中間部を略U字状に曲げることにより形成されている上記3)または4)記載の熱交換器。
【発明の効果】
【0013】
上記1)〜5)の熱交換器によれば、熱交換コア部における冷媒流入口および冷媒流出口が形成された側の端部に配置されたサイドプレートに、当該サイドプレートと入口パイプおよび出口パイプの直線部分との間の隙間を通って空気が流れることを妨げる遮風部が設けられているので、熱交換コア部における冷媒流入口および冷媒流出口が形成された側の端部に配置された一方のサイドプレートと、入口パイプおよび出口パイプの直線部分との間の隙間を通って流れる熱交換に寄与しない空気の量を低減することができ、その結果熱交換効率の低下を抑制することができる。
【0014】
上記1)の熱交換器によれば、製造時の部品の組み付けの際に、ジョイントプレートの向きを考慮する必要がなく、製造作業が容易になるとともに誤組の発生を防止することができる
【0015】
上記2)〜4)の熱交換器によれば、熱交換コア部における冷媒流入口および冷媒流出口が形成された側の端部に配置された一方のサイドプレートと、入口パイプおよび出口パイプの直線部分との間の隙間を通って流れる熱交換に寄与しない空気の量を、効果的に低減することができる。
【0016】
上記5)の熱交換器によれば、1枚の金属板にプレス加工を施すことによって、遮風部を有するサイドプレートを成形することができ、遮風部を有するサイドプレートを簡単に製造することができる
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】この発明の熱交換器を適用したエバポレータの実施形態の全体構成を示す一部切り欠き斜視図である。
図2図1のA−A線拡大断面図である。
図3図1のB−B線拡大断面図である。
図4図1のエバポレータの要部を示す分解斜視図である。
図5】入口パイプおよび出口パイプの変形例を示すエバポレータの部分斜視図である。
図6図5のC−C線拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、この発明の実施形態を、図面を参照して説明する。この実施形態は、この発明による熱交換器を、カーエアコンのエバポレータに適用したものである。
【0019】
以下の説明において、隣接する熱交換管どうしの間の通風間隙を流れる空気の下流側(図1および図2に矢印Xで示す方向)を前、これと反対側を後といい、図1の上下、左右を上下、左右というものとする。
【0020】
また、以下の説明において、「アルミニウム」という用語には、純アルミニウムの他にアルミニウム合金を含むものとする。
【0021】
図1はエバポレータの全体構成を示し、図2図4はエバポレータの要部の構成を示す。
【0022】
図1において、エバポレータ(1)は、上下方向に間隔をおいて配置されかつ左右方向にのびるアルミニウム製第1ヘッダタンク(2)およびアルミニウム製第2ヘッダタンク(3)と、両ヘッダタンク(2)(3)間に設けられた熱交換コア部(4)とを備えている。
【0023】
第1ヘッダタンク(2)は、前側(通風方向下流側)に位置する冷媒入口ヘッダ部(5)(第1ヘッダ部)と、後側(通風方向上流側)に位置する冷媒出口ヘッダ部(6)(第2ヘッダ部)とを備えている。冷媒入口ヘッダ部(5)は、両端が開口した筒状のヘッダ部本体(7)と、ヘッダ部本体(7)の両端開口を閉鎖するキャップ(8)とを有し、冷媒出口ヘッダ部(6)は、両端が開口するとともに冷媒入口ヘッダ部(5)のヘッダ部本体(7)に一体化された筒状のヘッダ部本体(9)と、ヘッダ部本体(9)の両端開口を閉鎖するとともに冷媒入口ヘッダ部(5)のキャップ(8)に一体化されたキャップ(11)とを有する。冷媒入口ヘッダ部(5)および冷媒出口ヘッダ部(6)の右端部は、熱交換コア部(4)よりも右方に突出している。第2ヘッダタンク(3)は、前側に位置する第1中間ヘッダ部(12)と、後側に位置する第2中間ヘッダ部(13)とを備えており、第2ヘッダタンク(3)の第1中間ヘッダ部(12)内と第2中間ヘッダ部(13)内とは、適当な方法によって通じさせられている。第1中間ヘッダ部(12)は、両端が開口した筒状のヘッダ部本体(14)と、ヘッダ部本体(14)の両端開口を閉鎖するキャップ(15)とを有し、第2中間ヘッダ部(13)は、両端が開口するとともに第1中間ヘッダ部(12)のヘッダ部本体(14)に一体化された筒状のヘッダ部本体(16)と、ヘッダ部本体(16)の両端開口を閉鎖するとともに第1中間ヘッダ部(12)のキャップ(15)に一体化されたキャップ(17)とを有する。
【0024】
熱交換コア部(4)は、長手方向を上下方向に向けるとともに左右方向に間隔をおいて並列状に配置された複数のアルミニウム製熱交換管(18)からなる熱交換管群(19)が、前後方向に並んで複数列、ここでは2列配置され、各熱交換管群(19)の隣接する熱交換管(18)どうしの間の通風間隙、および各熱交換管群(19)の左右両端の熱交換管(18)の外側にそれぞれアルミニウム製コルゲートフィン(21)が配置されて熱交換管(18)にろう付され、さらに左右両端のコルゲートフィン(21)の外側にそれぞれアルミニウム製サイドプレート(22)(23)が配置されてコルゲートフィン(21)にろう付されることにより構成されている。前側熱交換管群(19)の熱交換管(18)の上下両端は冷媒入口ヘッダ部(5)および第1中間ヘッダ部(12)に接続され、後側熱交換管群(19)の熱交換管(18)の上下両端部は冷媒出口ヘッダ部(6)および第2中間ヘッダ部(14)に接続されている。コルゲートフィン(21)は、前後の熱交換管群(19)を構成する前後両熱交換管(18)に共有されており、その前後方向の幅は前側熱交換管(18)の前側縁と後側熱交換管(18)の後側縁との間隔をほぼ等しくなっている。
【0025】
図2図4に示すように、冷媒入口ヘッダ部(5)および冷媒出口ヘッダ部(6)の熱交換コア部(4)よりも右方に突出した部分において、冷媒入口ヘッダ部(5)のヘッダ部本体(7)の周壁における熱交換コア部(4)側(下側)を向いた部分に冷媒流入口(24)が形成されているとともに冷媒流入口(24)にアルミニウム製入口パイプ(25)が接続され、冷媒出口ヘッダ部(6)のヘッダ部本体(9)の周壁における熱交換コア部(4)側(下側)を向いた部分に冷媒流出口(26)が形成されているとともに冷媒流出口(26)にアルミニウム製出口パイプ(27)が接続されている。入口パイプ(25)および出口パイプ(27)は横断面円形であり、それぞれ冷媒入口ヘッダ部(5)および冷媒出口ヘッダ部(6)から下方にのびて熱交換コア部(4)の高さの中間部に至る直線部分(25A)(27A)、すなわち冷媒入口ヘッダ部(5)および冷媒出口ヘッダ部(6)から熱交換管(18)の全長の中間部までのびる直線部分(25A)(27A)を有している。出口パイプ(27)の直線部分(27A)(第1直線部分)が入口パイプ(25)の直線部分(25A)(第2直線部分)よりも通風方向上流側に配置されている。また、入口パイプ(25)および出口パイプ(27)の直線部分(25A)(27A)の先端部は右方に曲げられており、右方屈曲部(25B)(27B)が1つのアルミニウム製膨張弁取付部材(30)に接合されている。そして、入口パイプ(25)および出口パイプ(27)が、膨張弁取付部材(30)の流入部(30a)および流出部(30b)に通じている。
【0026】
出口パイプ(27)の外径は入口パイプ(25)の外径よりも大きくなっている。出口パイプ(27)および入口パイプ(25)は、前後方向に長くかつ第1ヘッダタンク(2)の冷媒入口ヘッダ部(5)および冷媒出口ヘッダ部(6)の下面に跨るように接合された1つのアルミニウム製ジョイントプレート(28)を介して冷媒入口ヘッダ部(5)の冷媒流入口(24)および冷媒出口ヘッダ部(6)の冷媒流出口(26)に接続されている。ジョイントプレート(28)には、冷媒流入口(24)に通じる貫通穴(29)および冷媒流出口(26)に通じる貫通穴(31)が形成されている。ジョイントプレート(28)の2つの貫通穴(29)(31)は同径であるとともに、入口パイプ(25)の外径よりも大径でかつ出口パイプ(27)の外径よりも小径である。ジョイントプレート(28)における2つの貫通穴(29)(31)の周囲にそれぞれ筒状フランジ(29a)(31a)が下方突出状(外方突出状)に一体に設けられており、入口パイプ(25)の先端部に形成された拡径部(25a)が一方の筒状フランジ(29a)内に挿入されて筒状フランジ(29a)に接合され、出口パイプ(27)の先端部に形成された縮径部(27a)が他方の筒状フランジ(31a)内に挿入されて筒状フランジ(31a)に接合されている。
【0027】
熱交換コア部(4)における冷媒流入口(24)および冷媒流出口(26)が形成された側の端部(右端部)に配置された右サイドプレート(23)に、右サイドプレート(23)と入口パイプ(25)および出口パイプ(27)の直線部分との間の隙間を通って空気が流れることを妨げる複数、ここでは3つの遮風部(32)(33)(34)が、右サイドプレート(23)の幅方向(通風方向)に間隔をおいて設けられている。すなわち、通風方向上流側に位置する出口パイプ(27)の直線部分(27A)(第1直線部分)よりも通風方向上流側の部分、両直線部分(27A)(25A)の間の部分、および通風方向下流側に位置する入口パイプ(25)の直線部分(25A)(第2直線部分)よりも通風方向下流側の部分に位置するように、冷媒入口ヘッダ部(5)および冷媒出口ヘッダ部(6)の長手方向外側(右側)に突出するように設けられている。右サイドプレート(23)における出口パイプ(27)の直線部分(27A)よりも通風方向上流側の遮風部(32)および入口パイプ(25)の直線部分(25A)よりも通風方向下流側の遮風部(34)は、それぞれ右サイドプレート(23)の通風方向上流側縁部および同下流側縁部を真っ直ぐ右方に曲げることにより形成され、同じく右サイドプレート(23)における両直線部分(27A)(25A)間の部分の遮風部(33)は、右サイドプレート(23)の幅方向の中間部を略U字状に右方に曲げることにより形成されている。
【0028】
右サイドプレート(23)の少なくともいずれか1つの遮風部、ここではすべての遮風部(32)(33)(34)と出口パイプ(27)の直線部分(27A)とは、直線部分(27A)の外径の1/3以上にわたって重なっている。すなわち、重なり部分の左右方向の距離をLmm、直線部分(27A)の外径をDmmとした場合、L≧D×1/3という関係を満たしている(図3参照)。
【0029】
また、右サイドプレート(23)の通風方向上流側縁部の遮風部(32)の突出端と出口パイプ(27)の直線部分(27A)の外周面との間隔、右サイドプレート(23)の通風方向中間部の遮風部(33)の通風方向上流側壁部(33a)の突出端と出口パイプ(27)の直線部分(27A)の外周面との間隔、右サイドプレート(23)の通風方向中間部の遮風部(33)の通風方向下流側壁部(33b)の突出端と入口パイプ(25)の直線部分(25A)の外周面との間隔、および右サイドプレート(23)の通風方向下流側縁部の遮風部(34)の突出端と入口パイプ(25)の直線部分(27A)の外周面との間隔のうちの少なくとも1つの間隔、ここでは全ての間隔が3.0mm以下となっている。ここで、3.0mm以下には、0mmを含むものとする。
【0030】
上述したエバポレータ(1)は、入口管(11)および出口管(12)を除いたすべての部品を組み付けた後、適当な治具により仮止めし、炉内で全部品を一括してろう付することにより製造される。
【0031】
エバポレータ(1)は、圧縮機および冷媒冷却器としてのコンデンサとともに、フロン系冷媒を使用する冷凍サイクルを構成し、カーエアコンとして車両、たとえば自動車に搭載される。
【0032】
上述したエバポレータ(1)においては、圧縮機のオン時には、圧縮機、コンデンサおよび膨張弁を通過した気液混相の2相冷媒は、入口パイプ(25)からジョイントプレート(28)の貫通穴(29)を通り、冷媒流入口(24)を経て冷媒入口ヘッダ部(5)内に入る。冷媒入口ヘッダ部(5)内に入った冷媒は、分流して前側熱交換管群(19)の熱交換管(18)内に流入する。
【0033】
熱交換管(18)内に流入した冷媒は、熱交換管(18)内を下方に流れて第2ヘッダタンク(3)の第1中間ヘッダ部(12)内に入り、第1中間ヘッダ部(12)内に入った冷媒は第2中間ヘッダ部(13)内に入る。第2中間ヘッダ部(13)内に入った冷媒は、分流して後側熱交換管群(19)の熱交換管(18)内に流入する。
【0034】
熱交換管(18)内に流入した冷媒は、熱交換管(18)内を上方に流れて冷媒出口ヘッダ部(6)内に入り、冷媒流出口(26)およびジョイントプレート(28)の貫通穴(31)を通り、出口パイプ(27)に流出する。
【0035】
そして、冷媒が前後両熱交換管群(19)の熱交換管(18)内を流れる間に、熱交換コア部(4)の通風間隙を通過する空気と熱交換をし、冷媒は気相となって流出する。このとき、遮風部(32)(33)(34)の働きによって、右サイドプレート(23)と、入口パイプ(25)および出口パイプ(27)の直線部分(25A)(27A)との間の隙間を通って流れる熱交換に寄与しない空気の量を低減することができ、その結果熱交換効率の低下を抑制することができる。
【0036】
上記実施形態においては、冷媒入口ヘッダ部(5)および冷媒出口ヘッダ部(6)が上、第1中間ヘッダ部(12)および第2中間ヘッダ部(13)が下になっているが、これに限定されるものではなく、冷媒入口ヘッダ部(5)および冷媒出口ヘッダ部(6)が下、第1中間ヘッダ部(12)および第2中間ヘッダ部(13)が上になっていてもよい。
【0037】
また、上記実施形態においては、第1ヘッダタンク(2)の風下側ヘッダ部の全体が冷媒入口ヘッダ部となるとともに、風上側ヘッダ部の全体が冷媒出口ヘッダ部となり、第2ヘッダタンク(3)の風下側ヘッダ部の全体が第1中間ヘッダ部となるとともに、風上側ヘッダ部の全体が第2中間ヘッダ部となっているが、これに限定されるものではない。たとえば、第1ヘッダタンク(2)の風下側ヘッダ部内に、第1ヘッダタンク(2)の長さ方向に並んで複数の区画が設けられるとともに、いずれか一端の区画が冷媒入口ヘッダ部となり、同じく風上側ヘッダ部内に、第1ヘッダタンク(2)の長さ方向に並んで複数の区画が設けられるとともに、いずれか一端の区画が冷媒出口ヘッダ部となっていてもよい。
【0038】
図5および図6は入口パイプ(25)および出口パイプ(27)と膨張弁取付部材の変形例を示す。
【0039】
図5および図6において、入口パイプ(25)および出口パイプ(27)には右方屈曲部は設けられておらず、直線部分(25A)(27A)の下端部が、右サイドプレート(23)に接合されかつ膨張弁取付部材(30)が一体に形成されたアルミニウム製ブロック(40)に接続されている。ブロック(40)には、第1および第2の右方突出部(41)(42)が前後方向に間隔をおいて設けられており、第1右方突出部(41)が右サイドプレート(23)の通風方向上流側の遮風部(32)と通風方向中間部の遮風部(33)との間に嵌め入れられるとともに、第2右方突出部(42)が通風方向中間部の遮風部(33)と通風方向下流側の遮風部(34)との間に嵌め入れられた状態で右サイドプレート(23)の接合されている。
【0040】
なお、図示は省略したが、ブロック(40)には、入口パイプ(25)と膨張弁取付部材(30)の流入部(30a)とを通じさせる入り側流路と、出口パイプ(27)と流出部(30b)を通じさせる出側流路とが形成されている。
【産業上の利用可能性】
【0041】
この発明による熱交換器は、カーエアコンを構成する冷凍サイクルのエバポレータとして好適に用いられる。
【符号の説明】
【0042】
(1):エバポレータ(熱交換器)
(2):第1ヘッダタンク
(4):熱交換コア部(4)
(5):冷媒入口ヘッダ部(第1ヘッダ部)
(6):冷媒出口ヘッダ部(第2ヘッダ部)
(9):冷媒流出口
(12):冷媒出口管
(12a):冷媒流路
(13):第1中間ヘッダ部
(16):冷媒流出口(26)
(18):熱交換管
(22)(23):サイドプレート
(24):冷媒流入口
(25):入口パイプ
(25A):直線部分(第2直線部分)
(25a):拡径部
(26):冷媒流出口
(27):出口パイプ
(27A):直線部分(第1直線部分)
(27a):縮径部
(28):ジョイントプレート
(29)(31):貫通穴
(29a)(31a):筒状フランジ
(32)(33)(34):遮風部
図1
図2
図3
図4
図5
図6