(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
等間隔に検出マークを有するとともに、前記検出マーク間にRFIDインレットが内蔵された第1および第2の記録媒体片が粘着剤層を介して互いに剥離可能に貼り合わされた長尺状のRFID記録媒体であって、
前記第1の記録媒体片は、
表面に印字面を有し、かつ、裏面に前記粘着剤層が形成されるとともに、前記検出マーク近辺にRFIDインレットが内蔵され、また、
前記第2の記録媒体片は、
表面に印字面を有し、かつ、裏面に前記粘着剤層が形成されるとともに、前記検出マーク間の長手方向における中央部位にRFIDインレットが内蔵されることを特徴とするRFID記録媒体。
【背景技術】
【0002】
従来、医薬品の情報や物流における商品情報、送り先の情報、あるいは、食品添加物などの情報を目視可能なヒューマン文字、あるいは、バーコードにてラベルに印字するとともに、印字されたラベルを対象とする被貼付物(医薬品、物流に用いる段ボール、食料品など)に貼り付けて表示するようなことが多分野で行われている。
ところで近年、食品衛生法の改正による表示項目の増加や、物流における配送品の追跡、いわゆるトレーサビリティなどの必要性から表示する情報量が増えてきており、増加する情報量に対応するような「記録媒体」が要請されている。
上記の要請に対応するため、両面に印字が可能な記録媒体(積層感熱記録シート)が開発されている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1の積層感熱記録シートによれば、上側感熱紙と下側感熱紙を粘着財層および離型処理層を介して積層して両面印字を可能とするとともに、上側感熱紙と下側感熱紙を剥離させて個別に管理することができ、例えば、同シートを宅配伝票として用いた場合、上下両側の感熱紙に配送先、配送元情報などを印字するとともに上側および下側感熱紙を分離し、上側感熱紙を荷物に貼着し、かつ、下側感熱紙を顧客に控えとして手渡すようになっている。
しかしながら、情報を印字させる方法であると、情報の一部をバーコード、二次元コードなどによってコード化したとしても、印字して表示できる情報量はラベルなどの記録媒体の大きさにより限定され、しかも、情報の追加、書き換えが不可という問題があった。
上記の問題点を解消するため、情報の書き換えが可能であり、かつ、記憶できる情報量が多いRFID(Radio Frequency Identification)に各種情報を記憶すると共に、記憶した情報の一部を目視できるよう印字するようなことが行われている(例えば、特許文献2参照)。
引用文献2のRFIDラベル(記録媒体)は、台紙と印字ラベルとの間に、ICチップとそれに接続したアンテナから構成されるインレットが配置されて構成されている。
このRFIDラベル(記録媒体)は供給軸に装着され、プラテンローラとサーマルヘッドを備えた印字部に繰り出される搬送途中で、供給軸と印字部との間に配設されたリーダ/ライタを介してICチップに情報を書き込み、あるいは、ICチップから情報を読取るようになっている。
ところで、RFIDラベルのインレットは、表側、あるいは裏側のいずれか一方の面に配設せざるを得なかった。なぜなら、前記リーダ/ライタによりRFIDラベルのインレットへ書込み・読込みを行う際、表裏両面にインレットが存在すると同じ情報を書き込む虞があり、表裏両面にインレットが内蔵されたRFIDラベル(記録媒体)は実現が困難であった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明に係るRFID記録媒体の一実施の形態につき、
図1ないし
図3に基づいて説明する。
図1は、RFID記録媒体の概略斜視図、
図2は、
図1中、矢示II方向より見た拡大平面図、
図3は、
図2中、矢示III−III線に沿う概略断面図である。
【0009】
同図に示すように、RFID記録媒体1は、長尺状の台紙2と、台紙2の少なくとも一方の面に予め等間隔に印刷された位置検出用の矩形状の検出マーク3と、台紙2の一方の面に仮着された第1の記録媒体片4と、台紙2の他方の面に仮着された第2の記録媒体片5と、を備える。
【0010】
第1の記録媒体片4は、裏面に粘着剤が塗布された粘着剤層6を形成するとともに、表面の「印字面」は感熱発色剤が塗布された感熱発色層7にて形成され、かつ、検出マーク3間における台紙2の一方の面(
図1、
図3における下面)に前記粘着剤層6を介して仮着したものであり、検出マーク3間が一葉の記録媒体片4となってこれを台紙2の長手方向Lに連続して仮着してある。
また、第1の記録媒体片4には、一端側(図においては、長手方向Lの左側)の検出マーク3の近辺に図示省略のICチップおよびアンテナを備えたRFIDインレット8が配設されて内蔵されている。
なお、台紙2の一方および他方の面(台紙2の表裏面)の表面には、図示省略の離型剤が塗布されており、台紙2に仮着された第1および第2の記録媒体片4、5の、台紙2よりの剥離が円滑となるようにされている。
【0011】
第2の記録媒体片5は、第1の記録媒体片4と同様、裏面に粘着剤が塗布された粘着剤層9を形成するとともに、表面の「印字面」は感熱発色剤が塗布された感熱発色層10にて形成され、かつ、検出マーク3間における台紙2の他方の面(図における上面)に前記粘着剤層9を介して仮着したものであり、検出マーク3間が一葉の記録媒体片5となって、台紙2の長手方向Lに連続して仮着されている。
また、検出マーク3間に仮着された第2の記録媒体片5には、長手方向Lにおける中央部位に図示省略のICチップおよびアンテナを備えたRFIDインレット11が配設されて内蔵されている。
すなわち、検出マーク3間における台紙2の他方の面(
図3における上面)に粘着剤層9を介して第2の記録媒体片5が一葉仮着され、これが長手方向Lに連続して設けられるものであり、台紙2の一方の面および他方の面に仮着された第1および第2の記録媒体片4、5は表面側の感熱発色層7、10が表出するとともに、第1の記録媒体片4のRFIDインレット8と第2の記録媒体片5のRFIDインレット11が検出マーク3間において重なることのない、長手方向Lにおいてずれた位置に配設されるものである。
なお、RFID記録媒体1は、図示省略の巻芯にロール状に巻回してロール状に形成してある(
図1参照)。
【0012】
上述したように、台紙2の一方の面に(第1の)粘着剤層6を介して仮着された第1の記録媒片4に内蔵された(第1の)RFIDインレット8は、検出マーク3の近辺に内蔵され、また、台紙2の他方の面に(第2の)粘着剤層9を介して仮着された第2の記録媒片5に内蔵された(第2の)RFIDインレット11は、台紙2の長手方向Lにおける検出マーク3間の中央部位に内蔵され、第1の記録媒体片4のRFIDインレット8と第2の記録媒体片5のRFIDインレット11が検出マーク3間において重なることのない、ずれた位置に配設されるため、台紙2の表裏両面にRFIDインレット8、11を内蔵させたとしても読込み/書込み時、別個に読込み/書込みが可能なRFID記録媒体1が実現できるものである。
また、第1および第2の記録媒体片4、5は、図示省略の離型剤が塗布されている台紙2上に粘着剤層6、9を介して仮着されているので、台紙2よりの剥離が容易であり、かつ、剥離した記録媒体片4、5は、物流に使用される段ボールなどの被貼付物(図示省略)に対し、粘着剤層6、9にて貼り付けることができるものである。
【0013】
次に、主に、
図4ないし
図6に基づき、他の実施の形態のRFID記録媒体につき説明する。
なお、以下において、先の実施の形態と同様の部分は同一符号を付すに止め、詳説は省略する。
図4は、
図2相当の拡大平面図、
図5は、
図4中、矢示IV−IV線に沿う概略断面図、
図6は、
図5中、VI部分の部分拡大説明図である。
【0014】
同図に示すように、長手方向Lに長尺状に形成されたRFID記録媒体21は、等間隔に印刷された検出マーク22を備えており、第1の記録媒体片23と第2の記録媒体片24とが「粘着剤層」を介して互いに剥離可能に貼り合わされている。
第1の記録媒体片23は、主に、
図6に示されるように、裏面(内側)に粘着剤が塗布された粘着剤部25と離型剤が塗布された離型剤部26が、互いに間隔を隔てて帯状に形成されている。すなわち、帯状の粘着剤部25と離型剤部26とが、千鳥状に配列されている。また、表面の「印字面」は、感熱発色剤が塗布された感熱発色層27にて形成されている。
また、前記検出マーク22は、表面に表出した「印字面」としての感熱発色層27に予め等間隔に印刷されており、検出マーク22の一端側(図においては、長手方向Lの左側)近辺に図示省略のICチップおよびアンテナを備えた第1のRFIDインレット28が配設されて内蔵されている。
【0015】
第2の記録媒体片24は、第1の記録媒体片23と同様、裏面に粘着剤が塗布された粘着剤部29と離型剤が塗布された離型剤部30が、互いに間隔を隔てて帯状に形成された千鳥状に配列されている。
また、表面に表出した「印字面」は、感熱発色剤が塗布された感熱発色層31にて形成されている。
また、第2の記録媒体片24は、検出マーク22(第1の記録媒体片23参照)間の中央部位にRFIDインレット32が配設されて内蔵されている。
そして、第1の記録媒体片23の粘着剤部25と第2の記録媒体片24の離型剤部30が、また、第1の記録媒体片23の離型剤部26と第2の記録媒体片24の粘着剤部29が、各々対応するように組み合わされることにより、第1および第2の記録媒体片23、24が剥離可能に貼り合わされた長尺状のRFID記録媒体21が形成されるものであり、千鳥状に配設された前記第1の粘着剤部25および離型剤部26、並びに第2の記録媒体片24の離型剤部30および粘着剤部29が重合されて粘着剤層33が形成されるものである。
なお、RFID記録媒体21は、検出マーク22間が一葉の「記録媒体片」とされるものであり、検出マーク22間において、第1の記録媒体片23のRFIDインレット28と第2の記録媒体片24のRFIDインレット32は重なることのない、長手方向Lにおいてずれた位置に配設されるものである。
また、RFID記録媒体21は、粘着剤部25および離型剤部26が千鳥状に形成された第1の記録媒体片23、並びに粘着剤部29および離型剤部30が千鳥状に形成された第2の記録媒体片24にて構成された粘着剤層33にて貼り合わされているため、検出マーク22を目印に図示せぬカッター装置にて一葉の「記録媒体片」に切断した場合、第1および第2の記録媒体片23、24は剥離が容易であるとともに、剥離した記録媒体片23、24は、段ボールなどの被貼付物(図示省略)に貼り付けることができるものである。
なお、説明の都合上、本実施の形態では、粘着剤部25、29および離型剤部26、30は、RFID記録媒体21の幅方向(長手方向Lに交差する方向)に配列された例で説明したがこれに限定されないことは勿論であり、長手方向Lに千鳥状に配列しても構わないものである。
その他の構成、作用、効果は、先の実施の形態とほほ同様につき、詳説を省略する。
【0016】
次に、
図7に基づき、第3の実施の形態のRFID記録媒体41を説明する。
図7のRFID記録媒体41は、
図4ないし
図6のRFID記録媒体21の変形例を示している。
なお、以下において、先の実施の形態と同様の部分は同一符号を付すに止め、詳説は省略する。
長手方向Lに長尺状に形成されたRFID記録媒体41は、等間隔に印刷された検出マーク22を備えており、第1の記録媒体片23と第2の記録媒体片24とは、「粘着剤層」を介して互いに剥離可能に貼り合わされている。
第1の記録媒体片23は、裏面(内側)に粘着剤を塗布した粘着剤層42が形成され、また、表面の「印字面」は、感熱発色剤を塗布した感熱発色層27が形成されている。
また、検出マーク22は、「印字面」としての感熱発色層27に予め等間隔に印刷されており、検出マーク22の一端側(図においては、長手方向Lの左側)近辺に第1のRFIDインレット28が配設されて内蔵されている。
【0017】
第2の記録媒体片24は、表面が感熱発色剤を塗布した感熱発色層31にて形成された「印字面」となっている。
裏面は、粘着剤を全面に一旦塗布した後で非粘着剤(図示省略)を塗布した、いわゆる「糊殺し加工」した部分粘着剤層43が形成されている。
また、第2の記録媒体片24は、検出マーク22(第1の記録媒体片23参照)間の中央部位にRFIDインレット32が配設されて内蔵されている。
そして、第1の記録媒体片23の粘着剤層42と第2の記録媒体片24の部分粘着剤層43が重合されて、第1および第2の記録媒体片23、24が剥離可能となるような「粘着剤層」が形成されるものである。
「粘着剤層」より剥離された第1および第2の記録媒体片23、24は、各々粘着剤層42および部分粘着剤層43を介して被貼付物(図示省略)に貼り付けることができる。
その他の構成、作用、効果は、先の実施の形態とほほ同様につき、詳説を省略する。
【0018】
次に、本発明のRFID記録媒体を使ったRFID記録媒体片のRFID記録媒体発行方法につき説明する。
図8は、本発明の第1に実施の形態のRFID記録媒体1を使ったRFID記録媒体発行装置51の一実施の形態の構成例を示している。同図に示すように、RFID記録媒体発行装置(以下、適宜、単に「発行装置」と称する)51は、台紙2の表裏両面に第1および第2のRFIDインレット8、11が内蔵されたRFID記録媒体(以下、適宜、「記録媒体」と称する)1を供給する媒体供給軸52と、記録媒体1の一方の面(同図における下面)に所定の印字データを印字する第1の印字部53と、記録媒体1の他方の面(同図における上面)に所定の印字データを印字する第2の印字部54と、記録媒体1を両面から回動自在に挟持して第1および第2の印字部53、54側に案内する送りローラ55と、検出部56と、RFID読取り・書込み部57と、切断部58と、前記各部を制御する制御部59と、を備えている。
【0019】
第1の印字部53は、サーマルヘッド60と、記録媒体1をサーマルヘッド60との間で押圧するプラテン61とを備え、プラテン61の回動により搬送方向(矢示F方向)、または、搬送逆方向(矢示B方向)へ記録媒体1を搬送するようになっている。なお、第1の印字部53のサーマルヘッド60は、記録媒体1の裏面(図における台紙2の下方)側に設けられており、第1の記録媒体片4に対し所望の印字データを印字するようになっている。
第2の印字部54は、第2の記録媒体片5側に設けられたサーマルヘッド62と、記録媒体1をサーマルヘッド62との間で押圧するプラテン63とを備え、プラテン63の回動により搬送方向(矢示F方向)、または、搬送逆方向(矢示B方向)へ記録媒体1を搬送しながら第2の記録媒体片5に対し所望の印字データを印字するようになっている。
【0020】
送りローラ55は、記録媒体1を両面から回動自在に挟持して第1および第2の印字部53、54(搬送方向F)側に搬送(フィード)、および印字部53、54から媒体供給軸52(搬送逆方向B)側へ逆搬送(バックフィード)するためのフィードローラである。
【0021】
検出部56は、所定の光を出射する発光部56a、およびこの発光部56aから出射された光の記録媒体1からの反射光を受光し、受光した光の強度(単位時間当たりの受光量)に対応する電気信号を出力する受光部56bからなる反射センサであり、記録媒体1の裏面(図における下部)側に発光部56aと受光部56bを配し、記録媒体1の裏面に予め印刷された前記検出マーク3を受光部56bの受光量に基づいて検出する「位置検出用センサ」である。
【0022】
RFID読取り・書込み部(以下、適宜、「読取り・書込み部」と称す)57は、前記記録媒体1の第1の記録媒体片4のRFIDインレット8、および第2の記録媒体片5のRFIDインレット11に対する送受信を行う装置であり、図示省略のアンテナを介して第1および第2のRFIDインレット8、11の図示省略のICチップの固定IDを読み取るとともに、読み取りができたICチップ(図示省略)に対して図示省略の商品番号や送り先などの必要項目情報(所望の情報)を送信・書き込むようになっている。
【0023】
切断部58は、上刃58aに対して下刃58bを進退移動させることにより前記記録媒体1を切断して一葉の第1および第2の記録媒体片4、5とするギロチン式の「切断機構」であり、第2の印字部54の下流に設けられている。
【0024】
制御部59は、第1および第2の印字部53、54のサーマルヘッド60、62やプラテン61、63、送りローラ55、反射センサ56、読取り・書込み部57、切断部58などの各部と図示省略の信号ケーブルを介して接続され、各部を制御するようになっている。
【0025】
上記の媒体供給軸52に記録媒体1を装着し、第1および第2の印字部53、54側に繰り出すと、第1の印字部53で第1の記録媒体片4の表面の感熱発色層7に印字を施すとともに、下流の読取り・書込み部57にて第1のRFIDインレット8に書込みを行う。
引き続き記録媒体1を下流へ搬送し、第2の記録媒体片5のRFIDインレット11が読取り・書込み部57の直下に到達した時点で同RFIDインレット11に対する書込みを行うともに、下流に搬送して第2の印字部54にて第2の記録媒体片5の感熱発色層10に印字を行う。
【0026】
上述したように、表裏に設けられたRFIDインレット8、11が長手方向Lにおいてずれて設けられているため、1台の読込み・書込み部57で表裏両面に配設されたRFIDインレット8、11に対し異なった情報が書き込める記録媒体1が実現できるものである。
また、表裏両面に設けられたRFIDインレット8、11が長手方向Lにおいてずれて設けられているため、台紙2の表裏両面に「RFID読取り・書込み部」を設けた場合であっても、表裏のRFIDインレット8、11への書込み時、干渉することなく別々の情報が書き込み可能となる。
【0027】
また、上記実施の形態の構成は一例であって、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することができることは言うまでもない。
【0028】
例えば、上記実施の形態における「印字面」としては、「感熱発色層」を設けた例で説明したがこれに限定されないことは勿論であり、単なる上紙で「印字面」を形成し熱転写リボンにより印字を行うようにしてもよい。