特許第5783923号(P5783923)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5783923
(24)【登録日】2015年7月31日
(45)【発行日】2015年9月24日
(54)【発明の名称】取り出し具付き容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 77/24 20060101AFI20150907BHJP
   B65D 25/02 20060101ALI20150907BHJP
   B65D 83/06 20060101ALI20150907BHJP
【FI】
   B65D77/24
   B65D25/02 A
   B65D83/06 E
【請求項の数】5
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2012-18099(P2012-18099)
(22)【出願日】2012年1月31日
(65)【公開番号】特開2013-154922(P2013-154922A)
(43)【公開日】2013年8月15日
【審査請求日】2014年8月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100094400
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 三義
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100140718
【弁理士】
【氏名又は名称】仁内 宏紀
(72)【発明者】
【氏名】辻 豊
(72)【発明者】
【氏名】星野 真弥
【審査官】 結城 健太郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−104173(JP,A)
【文献】 実公昭42−13668(JP,Y1)
【文献】 実開平6−86646(JP,U)
【文献】 実公昭4−5009(JP,Y1)
【文献】 実開平4−74645(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 25/02
B65D 77/24
B65D 83/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容物が収容される本体部材、および該本体部材に装着された蓋部材を有する容器体と、
該容器体内に着脱可能に収納されるとともに前記容器体内から内容物を取り出す取り出し具と、を備える取り出し具付き容器であって、
前記蓋部材は、前記本体部材に固定された前側の固定蓋部と、該固定蓋部に蓋ヒンジ部を介して連結されるとともに、該蓋ヒンジ部回りに回動することで前記本体部材を開放する後側の可動蓋部と、により構成され、
前記固定蓋部には、前記取り出し具を支持する支持部材が、前記蓋ヒンジ部が延在する方向に延びる回動軸回りに回動可能に固定され、
前記支持部材は、前記取り出し具の端部を支持することで、該取り出し具を前記本体部材の開口面に沿うように当該支持部材から後側に向けて延在させ、
前記可動蓋部には、当該可動蓋部が前記本体部材を開放するときに、前記取り出し具が前記本体部材から離間するように前記支持部材を前記回動軸回りに回動させ、該取り出し具を当該可動蓋部と前記本体部材との間に位置させる連動部材が設けられていることを特徴とする取り出し具付き容器。
【請求項2】
請求項1記載の取り出し具付き容器であって、
前記本体部材には、前記可動蓋部が当該本体部材を開放した状態で、前記可動蓋部に設けられた第1係合部に係合することで、前記可動蓋部が前記蓋ヒンジ部回りに、当該本体部材を閉塞する方向に回動することを規制する第2係合部が設けられていることを特徴とする取り出し具付き容器。
【請求項3】
請求項1または2に記載の取り出し具付き容器であって、
前記支持部材は、前記蓋ヒンジ部よりも後側に位置していることを特徴とする取り出し具付き容器。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載の取り出し具付き容器であって、
前記連動部材は、前記可動蓋部が前記本体部材を開放するときに、前記支持部材を当該連動部材上で摺動させることで前記回動軸回りに回動させることを特徴とする取り出し具付き容器。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載の取り出し具付き容器であって、
前記支持部材には、後側に向けて開口し、前記取り出し具の端部が抜き差し可能に挿入された挿入凹部が形成されていることを特徴とする取り出し具付き容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、取り出し具付き容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば下記特許文献1に示されるような取り出し具付き容器が知られている。この取り出し具付き容器は、内容物が収容される本体部材、および該本体部材に装着された蓋部材を有する容器体と、該容器体内に着脱可能に収納されるとともに容器体内から内容物を取り出す取り出し具と、を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4823738号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記従来の取り出し具付き容器では、容器体内に収納された取り出し具に内容物が付着し易いことから、取り出し具を把持しづらくなるおそれがあり、使い勝手を高めることに改善の余地があった。
【0005】
本発明は、前述した事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、使い勝手を高めることができる取り出し具付き容器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、本発明は以下の手段を提案している。
本発明に係る取り出し具付き容器は、内容物が収容される本体部材、および該本体部材に装着された蓋部材を有する容器体と、該容器体内に着脱可能に収納されるとともに前記容器体内から内容物を取り出す取り出し具と、を備える取り出し具付き容器であって、前記蓋部材は、前記本体部材に固定された前側の固定蓋部と、該固定蓋部に蓋ヒンジ部を介して連結されるとともに、該蓋ヒンジ部回りに回動することで前記本体部材を開放する後側の可動蓋部と、により構成され、前記固定蓋部には、前記取り出し具を支持する支持部材が、前記蓋ヒンジ部が延在する方向に延びる回動軸回りに回動可能に固定され、前記支持部材は、前記取り出し具の端部を支持することで、該取り出し具を前記本体部材の開口面に沿うように当該支持部材から後側に向けて延在させ、前記可動蓋部には、当該可動蓋部が前記本体部材を開放するときに、前記取り出し具が前記本体部材から離間するように前記支持部材を前記回動軸回りに回動させ、該取り出し具を当該可動蓋部と前記本体部材との間に位置させる連動部材が設けられていることを特徴とする。
【0007】
この発明では、容器体内から内容物を取り出すに際し、可動蓋部を蓋ヒンジ部回りに回動させて本体部材を開放すると、連動部材により支持部材が前記回動軸回りに回動され、取り出し具が、本体部材から離間して可動蓋部と本体部材との間に位置される。そこで、取り出し具を把持して取り出し具を支持部材から離脱させ、該取り出し具により容器体内の内容物を取り出す。
【0008】
以上のように、当該取り出し具付き容器によれば、支持部材が、取り出し具の端部を支持することで、取り出し具を本体部材の開口面に沿うように当該支持部材から後側に向けて延在させているので、本体部材に収容された内容物と取り出し具との間に隙間を確保し易くすることが可能になり、取り出し具に内容物が付着するのを抑制することができる。
また、可動蓋部が本体部材を開放すると、取り出し具が、本体部材から離間して可動蓋部と本体部材との間に位置されるので、取り出し具を容易に把持することができる。
以上より、可動蓋部が本体部材を開放した状態で、内容物の付着が抑制された取り出し具を容易に把持することが可能になり、当該取り出し具付き容器の使い勝手を高めることができる。
【0009】
また、前記本体部材には、前記可動蓋部が当該本体部材を開放した状態で、前記可動蓋部に設けられた第1係合部に係合することで、前記可動蓋部が前記蓋ヒンジ部回りに、当該本体部材を閉塞する方向に回動することを規制する第2係合部が設けられていてもよい。
【0010】
この場合、本体部材に前記第2係合部が設けられているので、可動蓋部が本体部材を開放した状態で、本体部材が閉塞されるのを規制することが可能になり、取り出し具を一層容易に把持することができる。
またこのように、可動蓋部が本体部材を開放した状態で、本体部材が閉塞されるのを規制することができるので、取り出し具を把持した後、この取り出し具で本体部材内の内容物を容易に取り出すことも可能になり、当該取り出し具付き容器の使い勝手をより高めることができる。
【0011】
また、前記支持部材は、前記蓋ヒンジ部よりも後側に位置していてもよい。
【0012】
この場合、支持部材が、蓋ヒンジ部よりも後側に位置しているので、支持部材が前記回動軸回りに回動するときに、例えば支持部材や取り出し具が蓋ヒンジ部に突き当たること等により、支持部材の回動が意図せず規制されるのを抑制することができる。
【0013】
また、前記連動部材は、前記可動蓋部が前記本体部材を開放するときに、前記支持部材を当該連動部材上で摺動させることで前記回動軸回りに回動させてもよい。
【0014】
この場合、可動蓋部が本体部材を開放するときに、支持部材が、連動部材上を摺動することで前記回動軸回りに回動させられるので、支持部材を前記回動軸回りにスムーズに回動させることが可能になり、取り出し具を支持部材により確実に支持し続けることができる。
【0015】
また、前記支持部材には、後側に向けて開口し、前記取り出し具の端部が抜き差し可能に挿入された挿入凹部が形成されていてもよい。
【0016】
この場合、支持部材に前記挿入凹部が形成されているので、挿入凹部から取り出し具の端部を後方に向けて抜き出すことにより支持部材から取り出し具を離脱させるとともに、挿入凹部に取り出し具の端部を後方から差し込むことにより支持部材に取り出し具を取り付けることが可能になり、取り出し具を支持部材に容易に着脱させることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係る取り出し具付き容器によれば、使い勝手を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の第1実施形態に係る取り出し具付き容器の縦断面図である。
図2図1に示す取り出し具付き容器を構成する蓋部材の底面図である。
図3図1に示す取り出し具付き容器の一使用状態における側面図である。
図4図1に示す取り出し具付き容器の製造過程における蓋部材の縦断面図である。
図5】本発明の第2実施形態に係る取り出し具付き容器の縦断面図である。
図6図5に示す取り出し具付き容器を構成する蓋部材の底面図である。
図7図5に示す取り出し具付き容器の一使用状態における側面図である。
図8図5に示す取り出し具付き容器の製造過程における固定蓋部の縦断面図である。
図9図5に示す取り出し具付き容器の製造過程における可動蓋部の縦断面図である。
図10図5に示す取り出し具付き容器の製造過程における可動蓋部の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
(第1実施形態)
以下、図面を参照し、本発明の第1実施形態に係る取り出し具付き容器を説明する。
図1に示すように、取り出し具付き容器10は、内容物が収容される有底筒状の本体部材11、および該本体部材11に装着された蓋部材12を有する容器体13と、該容器体13内に着脱可能に収納されるとともに容器体13内から内容物を取り出す取り出し具16と、を備えている。この取り出し具付き容器10では、内容物として、例えばバターやマーガリン等の固形体や粉状体、粒状体、液状体などを容器体13内に収容する。
なお以下では、本体部材11の図示しない軸線に沿う方向を上下方向といい、上下方向に沿った本体部材11側を下側といい、蓋部材12側を上側といい、本体部材11の軸線に直交する直交面に沿う方向を水平方向という。
【0020】
本体部材11は、上方に向けて開口する角筒状、図示の例では直方体状に形成されている。本体部材11の底壁17において外周縁部よりも内側に位置する部分は、上方に向けて窪んでおり、底壁17における外周縁部の下面は、水平方向に沿って延びる本体部材11の接地面18となっている。本体部材11の周壁19は、下側の小径部20と上側の大径部21とが段部22を介して連結されてなり、大径部21の上端開口面は、水平方向に沿って延びる本体部材11の開口面23となっている。
【0021】
図1および図2に示すように、蓋部材12は、本体部材11に固定された前側の固定蓋部25と、該固定蓋部25に蓋ヒンジ部26を介して連結されるとともに、該蓋ヒンジ部26回りに回動することで本体部材11を開放する後側の可動蓋部27と、により構成されている。本実施形態では、蓋部材12は、本体部材11の前記大径部21に外装された環状壁28と、該環状壁28の上端開口を閉塞する頂壁29と、を備える有頂筒状に形成されている。頂壁29には、前記蓋ヒンジ部26が形成されるとともに、環状壁28には、蓋ヒンジ部26の端縁から当該蓋部材12の外縁に至るまで延在する副スリット部30が形成されており、これらの蓋ヒンジ部26および副スリット部30からなる区画線31により、蓋部材12が前記固定蓋部25と前記可動蓋部27とに区画されている。
【0022】
図2に示すように、蓋ヒンジ部26は、蓋部材12の頂壁29を横断する直線状に延設されている。図示の例では、蓋ヒンジ部26は、頂壁29の外縁をなす4つの辺部のうち、互いに対向する一対の長辺部を繋ぐように延設されている。蓋ヒンジ部26は、頂壁29において中央よりも前側にずらされた位置に形成されている。
なお以下では、水平方向のうち、蓋ヒンジ部26が延在する方向を左右方向といい、左右方向に直交する方向を前後方向といい、前後方向に沿って蓋ヒンジ部26よりも固定蓋部25側を前側といい、可動蓋部27側を後側という。
【0023】
図1に示すように、副スリット部30は、蓋部材12の環状壁28を屈曲しながら縦断する直線状に延設されている。図示の例では、副スリット部30は、環状壁28を構成する4つの壁部のうち、互いに対向する一対の長壁部に各別に形成されている。副スリット部30の下端は、副スリット部30の上端よりも前側に位置しており、副スリット部30は、前記長壁部の上端から下方に延在する上縦条部32と、上縦条部32から前方に延在する横条部33と、横条部33の前端から下方に延在し前記長壁部の下端に至る下縦条部34と、により構成されている。
【0024】
図1および図2に示すように、固定蓋部25は、蓋部材12において区画線31よりも前側に位置する部分とされるとともに、可動蓋部27は、蓋部材12において区画線31よりも後側に位置する部分となっている。これらの固定蓋部25と可動蓋部27とは、蓋ヒンジ部26を介して直結されている。
なお、可動蓋部27における副スリット部30の周縁部には、前側に向けて突出する第1係合部38が形成されている。第1係合部38は、可動蓋部27のうち、環状壁28により構成されている部分(以下、後環状壁という)39に、本体部材11を左右方向に挟むように一対形成されており、図示の例では、副スリット部30の横条部33と下縦条部34とにより画成されている。
【0025】
固定蓋部25には、当該固定蓋部25を本体部材11に固定する蓋固定部材35が設けられている。蓋固定部材35は、固定蓋部25のうち、頂壁29により構成されている部分(以下、前頂壁という)36から下方に向けて突設されるとともに左右方向に延在している。蓋固定部材35は、固定蓋部25のうち、環状壁28により構成されている部分37との間に、本体部材11の前記大径部21を挟み込んでいる。
【0026】
また固定蓋部25には、取り出し具16を支持する支持部材41が、左右方向(蓋ヒンジ部が延在する方向)に延びる回動軸R回りに回動可能に固定されている。支持部材41は、蓋ヒンジ部26よりも後側に位置し、かつ容器体13内において本体部材11の開口面23よりも上側に位置する上部空間42に配置されている。
支持部材41は、上部空間42に配置された仲介部材40を介して固定蓋部25に連結されている。仲介部材40は、固定蓋部25に連結された第1仲介体43と、該第1仲介体43および支持部材41それぞれに連結された第2仲介体44と、を備えている。
【0027】
第1仲介体43は、固定蓋部25の前頂壁36における左右方向の中央部から下方に向けて突出するとともに左右方向に長い矩形板状に形成されており、第1仲介体43の下端には、左右方向に延在する突条部が、後方に向けて突出している。
第2仲介体44は、水平方向に延在するとともに左右方向に長い矩形板状に形成されている。第2仲介体44には、第1仲介体43が嵌合された嵌合孔が上下方向に貫設されており、第2仲介体44は、第1仲介体43の前記突条部により下方から支持されている。
【0028】
また第2仲介体44の前端は、左右方向に延在する連結ヒンジ部47を介して固定蓋部25に連結されるとともに、第2仲介体44の後端は、左右方向に延在する回動ヒンジ部48を介して支持部材41に連結されている。回動ヒンジ部48は、前記上部空間42において蓋ヒンジ部26よりも後方に位置しており、回動ヒンジ部48のヒンジ軸が、前記回動軸Rとなっている。
【0029】
ここで支持部材41には、後側に向けて開口し、取り出し具16の端部である後述する保持部14が抜き差し可能に挿入された挿入凹部49が形成されている。支持部材41は、前端面の上端が前記回動ヒンジ部48に連結されるとともに、内部が後方に向けて開口し前記挿入凹部49とされた中空の扁平直方体状に形成されている。支持部材41は、取り出し具16の保持部14を支持することで、取り出し具16を本体部材11の開口面23に沿うように当該支持部材41から後側に向けて延在させている。
【0030】
取り出し具16は、上部空間42に配置されている。取り出し具16は、支持部材41に支持されるとともに内容物を保持可能な保持部14と、該保持部14から後側に向けて突設された柄部15と、を備えている。取り出し具16は、保持部14により内容物を掬い取るいわゆるバターナイフとされている。
保持部14は、厚さが挿入凹部49に挿入可能な板状に形成され、保持部14における柄部15との連結端は、挿入凹部49から後方に突出している。この連結端には、後方に向かうに従い漸次、下方に向けて延在する連結板部50が連設されており、保持部14は、連結板部50を介して柄部15に連結されている。
【0031】
柄部15は、保持部14よりも後方かつ下方に位置し、図示の例では、可動蓋部27のうち、頂壁29により構成される部分(以下、後頂壁という)51に上下方向に対向するとともに上部空間42内に位置しており、水平方向に平行に延在するとともに前後方向に長い板状に形成されている。柄部15の突端部には、保持部14が設けられておらず、この突端部は、本体部材11の前記段部22から上方に離間している。これらの保持部14、柄部15および連結板部50は、互いの表面が段差なく滑らかに連なるように一体成形されている。
【0032】
そして本実施形態では、蓋部材12の可動蓋部27には、図3に示すように、当該可動蓋部27が本体部材11を開放するときに、取り出し具16が本体部材11から離間するように支持部材41を前記回動軸R回りに上方に回動させ、取り出し具16を当該可動蓋部27と本体部材11との間に位置させる連動部材52が設けられている。連動部材52は、可動蓋部27が本体部材11を開放するときに、支持部材41を当該連動部材52上で摺動させることで前記回動軸R回りに回動させる。
【0033】
図1および図2に示すように、連動部材52は、支持部材41を左右方向に挟むように一対設けられている。連動部材52は、可動蓋部27の後頂壁51から下方に向けて突設された基部53と、基部53から左右方向の内側に向けて突設されたレール部54と、を備えている。
基部53は、上下方向および前後方向の両方向に沿うとともに上下方向に長い矩形板状に形成されている。レール部54は、基部53の前端に上下方向に延設された突条とされている。レール部54は、可動蓋部27が本体部材11を開放するときに、このレール部54上を、支持部材41においてレール部54よりも後側に位置する部分から左右方向の外側に突設されたガイド突起55が摺動するように構成されている。
【0034】
ここで本実施形態では、本体部材11には、図3に示すように、可動蓋部27が当該本体部材11を開放した状態で前記第1係合部38に係合することで、可動蓋部27が蓋ヒンジ部26回りに、当該本体部材11を閉塞する方向に回動することを規制する第2係合部56が設けられている。
第2係合部56は、本体部材11の大径部21を構成する4つの壁部のうち、互いに対向する一対の長壁部に形成されている。各長壁部には、第2係合部56が前後方向に間隔をあけて一対ずつ形成されており、蓋部材12が本体部材11に前後方向に反転して装着された場合であっても、一対の第2係合部56のうちの一方が、第1係合部38に係合するようになっている。第2係合部56は、大径部21が左右方向の外側に屈曲し突出することで形成されている。
【0035】
なお、前記蓋部材12において前記第2係合部56に対応する部分には、この第2係合部56が内部に配置される配置凹部57が形成されている。配置凹部57は、後環状壁39に配設されるとともに、後環状壁39が、第2係合部56に倣うように左右方向の外側に屈曲し突出することで形成されており、配置凹部57の内面は、第2係合部56の外面に当接または近接している。
【0036】
ところで蓋部材12は、固定蓋部25と可動蓋部27とが一体成形されてなる。例えば蓋部材12は射出成形などにより一体成形され、図4に示すように、連結ヒンジ部47、第2仲介体44、回動ヒンジ部48および支持部材41を上下方向に直列に配置した状態で成形し、その後、第2仲介体44を連結ヒンジ部47回りに後方に回動させ、第2仲介体44の前記嵌合孔内に第1仲介体43を嵌合させる。
【0037】
ここで、図1に示すような取り出し具付き容器10において、容器体13内から内容物を取り出すに際し、本体部材11を開放するために可動蓋部27を蓋ヒンジ部26回りに回動させると、まず、可動蓋部27の後頂壁51が、取り出し具16において支持部材41から後側に向けて延在する部分である柄部15から離間しながら、連動部材52のレール部54が、支持部材41のガイド突起55に接近する。その後、レール部54がガイド突起55に当接し、連動部材52が蓋ヒンジ部26回りに回動しながらガイド突起55がレール部54上を摺動することとなり、支持部材41が前記回動軸R回りに回動させられることで、取り出し具16の柄部15が持ち上げられて本体部材11の開口面23から上方に離間する。
【0038】
すると図3に示すように、取り出し具16の柄部15が可動蓋部27と本体部材11との間に位置されるとともに、第1係合部38と第2係合部56とが係合し、可動蓋部27が本体部材11を開放した状態で維持される。
なおこのとき、可動蓋部27は、蓋ヒンジ部26から上方に向けて延在する姿勢で維持される。一方、支持部材41は、前記回動軸R回りに、可動蓋部27の蓋ヒンジ部26回りの回動角度よりも小さい角度、回動された状態で、連動部材52および可動蓋部27を介して本体部材11に支持されており、取り出し具16の柄部15は、後方斜め上方に向けて延在する姿勢で維持される。
【0039】
そして、柄部15を把持して取り出し具16を支持部材41から離脱させ、その後、保持部14により容器体13内の内容物を保持して容器体13内から取り出す。
【0040】
以上説明したように、本実施形態に係る取り出し具付き容器10によれば、支持部材41が、取り出し具16を支持することで、取り出し具16を本体部材11の開口面23に沿うように当該支持部材41から後側に向けて延在させているので、本体部材11に収容された内容物と取り出し具16との間に隙間を確保し易くすることが可能になり、取り出し具16に内容物が付着するのを抑制することができる。
また、可動蓋部27が本体部材11を開放すると、取り出し具16が、本体部材11から離間して可動蓋部27と本体部材11との間に位置されるので、取り出し具16を容易に把持することができる。
以上より、可動蓋部27が本体部材11を開放した状態で、内容物の付着が抑制された取り出し具16を容易に把持することが可能になり、当該取り出し具付き容器10の使い勝手を高めることができる。
【0041】
また、本体部材11に前記第2係合部56が設けられているので、可動蓋部27が本体部材11を開放した状態で、本体部材11が閉塞されるのを規制することが可能になり、取り出し具16を一層容易に把持することができる。
またこのように、可動蓋部27が本体部材11を開放した状態で、本体部材11が閉塞されるのを規制することができるので、取り出し具16を把持した後、この取り出し具16で本体部材11内の内容物を容易に取り出すことも可能になり、当該取り出し具付き容器10の使い勝手をより高めることができる。
【0042】
また支持部材41が、蓋ヒンジ部26よりも後側に位置しているので、支持部材41が前記回動軸R回りに回動するときに、例えば支持部材41や取り出し具16が蓋ヒンジ部26に突き当たること等により、支持部材41の回動が意図せず規制されるのを抑制することができる。
【0043】
また、可動蓋部27が本体部材11を開放するときに、支持部材41が、連動部材52上を摺動することで前記回動軸R回りに回動させられるので、支持部材41を前記回動軸R回りにスムーズに回動させることが可能になり、取り出し具16を支持部材41により確実に支持し続けることができる。
【0044】
また、支持部材41に前記挿入凹部49が形成されているので、挿入凹部49から取り出し具16の保持部14を後方に向けて抜き出すことにより支持部材41から取り出し具16を離脱させるとともに、挿入凹部49に保持部14を後方から差し込むことにより支持部材41に取り出し具16を取り付けることが可能になり、取り出し具16を支持部材41に容易に着脱させることができる。
【0045】
(第2実施形態)
次に、本発明に係る第2実施形態の取り出し具付き容器を、図5から図10を参照して説明する。
なお、この第2実施形態においては、第1実施形態における構成要素と同一の部分については同一の符号を付し、その説明を省略し、異なる点についてのみ説明する。
【0046】
図5から図7に示すように、本実施形態に係る取り出し具付き容器60では、蓋部材12は、前述のように有頂筒状に形成される一方で、この蓋部材12を区画する前記区画線31は、前記副スリット部30と、この副スリット部30に連結されるとともに頂壁29に形成された主スリット部61と、により構成されている。
主スリット部61は、蓋部材12の頂壁29を横断する直線状に延設されている。図示の例では、主スリット部61は、頂壁29の外縁をなす4つの辺部のうち、互いに対向する一対の長辺部を繋ぐように延設されている。主スリット部61は、前記長壁部において中央よりも前側にずらされた位置に形成されている。主スリット部61の端縁は、副スリット部30の上端に連結されている。
【0047】
前記区画線31により区画される前記固定蓋部25と前記可動蓋部27とは、前記蓋ヒンジ部26を有する連結部材62を介して連結されている。連結部材62は、固定蓋部25に連結された第1連結体63と、該可動蓋部27に連結された第2連結体64と、を備えている。
第1連結体63は、固定蓋部25の前頂壁36の後端における左右方向の中央部に配設されている。第1連結体63は、前頂壁36の後端から下方に向けて突出した後、後方に向けて屈曲され、左右方向から見た側面視においてL字状をなしており、第1連結体63のうち屈曲された部分に、上下方向の貫通孔が形成されている。
【0048】
第2連結体64は、可動蓋部27の後頂壁51の前端における左右方向の中央部に配設されており、第1連結体63上に載置されている。第2連結体64は、後頂壁51の前端から下方に向けて突出した後、後方に向けて屈曲され、前記側面視においてL字状をなしている。第2連結体64のうち屈曲された部分には、第1連結体63の前記貫通孔内に嵌合された嵌合突起65が、下方に向けて突設されている。
第2連結体64の上端は、可動蓋部27の後頂壁51の前端に、前記蓋ヒンジ部26を介して連結されている。蓋ヒンジ部26は、主スリット部61における左右方向の中央部上に配置されている。
【0049】
ここで連結部材62は、固定蓋部25と可動蓋部27とだけを連結するのでなく、固定蓋部25と支持部材41とをも連結しており、前記仲介部材40を兼ねている。図示の例では、第2連結体64の後端と前記支持部材41の前端面の上端とが、前記回動ヒンジ部48を介して連結されている。
また本実施形態では、支持部材41は、前記回動軸R回りに下方に向けた回動が、規制部材67により規制されている。規制部材67は、連結部材62における第1連結体63の後端に設けられており、支持部材41の前端面に当接することで支持部材41の回動を規制している。なお規制部材67は、左右方向に間隔をあけて一対配設されている。
【0050】
ところで図8から図10に示すように、蓋部材12は、固定蓋部25と可動蓋部27とが別体に成形された後、互いに組み合わされてなる。これらの固定蓋部25および可動蓋部27は、例えば射出成形などにより各別に成形される。ここで図9および図10に示すように、可動蓋部27は、第2連結体64、回動ヒンジ部48および支持部材41を、上下方向に直列に配置した状態で成形し、その後、第2連結体64を蓋ヒンジ部26回りに後方に回動させ、第1連結体63の前記貫通孔内に第2連結体64の嵌合突起65を嵌合させる。
【0051】
以上説明したように、本実施形態に係る取り出し具付き容器60によれば、前記第1実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0052】
なお、本発明の技術的範囲は前記各実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば蓋固定部材35はなくてもよい。
また前記各実施形態では、支持部材41は、前記蓋ヒンジ部26よりも後側に位置しているものとしたが、これに限られない。
【0053】
また前記各実施形態では、第2係合部56は、大径部21が左右方向の外側に屈曲し突出することで形成されているものとしたが、これに限られるものではない。例えば、第2係合部を、大径部の外周面に形成された突条部により構成してもよい。
さらに前記各実施形態では、第1係合部38は、可動蓋部27における副スリット部30の周縁部により構成されているものとしたが、これに限られるものではない。
さらにまた、第1係合部38、第2係合部56、配置凹部57はなくてもよい。
【0054】
また前記各実施形態では、回動ヒンジ部48のヒンジ軸が、前記回動軸Rであるものとしたが、これに限られない。例えば、支持部材を、固定蓋部に軸部材を介して回動可能に固定し、この軸部材の軸線を回動軸としてもよい。
さらに前記各実施形態では、支持部材41には、挿入凹部49が形成されているものとしたが、保持部14を支持することで、取り出し具16を本体部材11の開口面23に沿うように当該支持部材41から後側に向けて延在させる他の構成に適宜変更してもよい。
【0055】
また前記各実施形態では、取り出し具16の柄部15は上部空間42に配置されているものとしたが、これに限られるものではなく、例えば、柄部が、本体部材の開口面よりも下側に位置していてもよい。
さらに前記各実施形態では、柄部15は、水平方向に平行に延在しているものとしたが、これに限られるものではなく、例えば、柄部が、水平方向に対して傾斜していてもよく、本体部材の開口面に交差していてもよい。
さらにまた、前記各実施形態では、柄部15の突端部は、本体部材11の前記段部22から上方に離間しているものとしたが、これに限られず、例えば、柄部の突端部が前記段部に当接し、柄部がこの段部により下方から支持されていてもよい。
【0056】
また前記各実施形態では、取り出し具16の全体が、上部空間42に配置されているものとしたが、これに限られるものではなく、例えば、取り出し具の全体が、本体部材の開口面よりも下側に位置していてもよい。
【0057】
また前記各実施形態では、取り出し具16の保持部14および柄部15がそれぞれ板状に形成されているものとしたが、これに限られない。例えば、柄部が棒状に形成されていたり、保持部が皿状に形成されていたりしてもよい。
さらに取り出し具16は、バターナイフのように内容物を掬い取るものに限らず、フォークのように内容物を引っ掛けて保持するようなものや、スプーンなど他の形状であってもよい。
【0058】
また前記各実施形態では、蓋部材12は有頂筒状に形成されているものとしたが、これに限られるものではない。例えば、蓋部材が、本体部材の大径部内に嵌合され段部により支持される板状に形成されていてもよい。
さらに前記各実施形態では、本体部材11の周壁19は、小径部20、大径部21および段部22を有する段状であるものとしたが、段状でなくてもよい。
さらにまた、本体部材11は角筒状に限られず、円筒状などであってもよい。
【0059】
また前記各実施形態では、取り出し具16の保持部14が支持部材41に支持されているものとしたが、これに限られるものではない。例えば、取り出し具が、支持部材に前後反転して取り付けられ、取り出し具の柄部の突端部が、支持部材に支持されていてもよい。
さらに前記各実施形態では、取り出し具16の柄部15の突端部には、保持部14が設けられていないものとしたが、これに限られず、柄部の両端に保持部が設けられていてもよい。
【0060】
その他、本発明の趣旨に逸脱しない範囲で、前記実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、前記した変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0061】
10、60 取り出し具付き容器
11 本体部材
12 蓋部材
13 容器体
14 保持部(端部)
16 取り出し具
23 開口面
25 固定蓋部
26 蓋ヒンジ部
27 可動蓋部
38 第1係合部
49 挿入凹部
52 連動部材
56 第2係合部
R 回動軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10