特許第5784042号(P5784042)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5784042
(24)【登録日】2015年7月31日
(45)【発行日】2015年9月24日
(54)【発明の名称】押出しSCRフィルタ
(51)【国際特許分類】
   B01J 29/76 20060101AFI20150907BHJP
   B01J 29/70 20060101ALI20150907BHJP
   B01J 29/85 20060101ALI20150907BHJP
   B01D 53/86 20060101ALI20150907BHJP
   F01N 3/023 20060101ALI20150907BHJP
   F01N 3/035 20060101ALI20150907BHJP
   F01N 3/24 20060101ALI20150907BHJP
   F01N 3/10 20060101ALI20150907BHJP
   C04B 38/08 20060101ALI20150907BHJP
   C04B 38/00 20060101ALI20150907BHJP
【FI】
   B01J29/76 AZAB
   B01J29/70 A
   B01J29/85 A
   B01D53/86 222
   F01N3/02 321A
   F01N3/24 E
   F01N3/10 A
   C04B38/08 D
   C04B38/00 304Z
   C04B38/00 303Z
【請求項の数】17
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2012-550521(P2012-550521)
(86)(22)【出願日】2011年2月1日
(65)【公表番号】特表2013-521996(P2013-521996A)
(43)【公表日】2013年6月13日
(86)【国際出願番号】GB2011050162
(87)【国際公開番号】WO2011092521
(87)【国際公開日】20110804
【審査請求日】2014年2月3日
(31)【優先権主張番号】61/300,279
(32)【優先日】2010年2月1日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】590004718
【氏名又は名称】ジョンソン、マッセイ、パブリック、リミテッド、カンパニー
【氏名又は名称原語表記】JOHNSON MATTHEY PUBLIC LIMITED COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】100109726
【弁理士】
【氏名又は名称】園田 吉隆
(74)【代理人】
【識別番号】100101199
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 義教
(72)【発明者】
【氏名】ラルフ、ドーツェル
(72)【発明者】
【氏名】ライナー、レッペルト
(72)【発明者】
【氏名】イェルク、ベルナー、ミュンヒ
(72)【発明者】
【氏名】フーベルト、シェデル
【審査官】 岡田 隆介
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2009/093071(WO,A1)
【文献】 特表2003−524521(JP,A)
【文献】 国際公開第2009/141887(WO,A1)
【文献】 国際公開第2009/141889(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J 21/00−38/74
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
還元剤の存在下で窒素酸化物を転換するための触媒を備えてなるウォールフローフィルタであって、
前記ウォールフローフィルタが、ゼオライトモレキュラーシーブ又は非ゼオライトモレキュラーシーブを含み、押出しソリッド本体を備えてなり、
前記押出しソリッド本体が、
10-95重量%の少なくとも1つのバインダ/マトリックス成分、
5-90重量%のゼオライトモレキュラーシーブ、非ゼオライトモレキュラーシーブ、又はこれらのうち2つ以上の混合物、及び
0-80重量%のセリアを含んでなり、
前記触媒が少なくとも1つの金属を含んでなり、
(i)前記少なくとも1つの金属が、前記押出しソリッド本体の全体に渡って存在してなり、
前記ゼオライトモレキュラーシーブ又は非ゼオライトモレキュラーシーブが、次のフレームワーク形態のコード:
国際ゼオライト協会の構造委員会により定義されたACO、AEI、AEN、AFT、AFX、ANA、APC、APD、ATT、CDO、CHA、DDR、DFT、EAB、EDI、EPI、ERI、GIS、GOO、IHW、ITE、ITW、LTA、LEV、KFI、MER、MON、NSI、OWE、PAU、PHI、RHO、RTH、SAT、SAV、SBN、SIV、THO、TSC、UEI、UFI、VNI、YUG、ZON及びこれらのうち2つ以上の混合物、を有し、前記国際ゼオライト協会の構造委員会で定義された最大8-リング孔隙開放の構造を有する、
ウォールフローフィルタ。
【請求項2】
前記押出しソリッド本体が、
10-95重量%のコーディエライト、窒化物、炭化物、ホウ化物、合金、リチウムアルミノ珪酸塩、アルミナ、シリカソース、チタニア、ジルコニア、チタニア-ジルコニア、ジルコン及びこれらのうち2つ以上の混合物、
0-80重量%のスピネル、
それぞれが1つ以上の金属を含む、5-90重量%のゼオライトモレキュラーシーブ、非ゼオライトモレキュラーシーブ、又はこれらのうち2つ以上の混合物、
0-80重量%のセリア、及び
0-25重量%の無機繊維を含む、請求項1に記載のウォールフローフィルタ。
【請求項3】
前記ウォールフローフィルタの孔隙率が、30-80%である、請求項1又は2に記載のウォールフローフィルタ。
【請求項4】
ゼオライトモレキュラーシーブ、非ゼオライトモレキュラーシーブ、又はこれらのうち2つ以上の混合物を含んでなり、
前記少なくとも1つの金属が、前記ゼオライトモレキュラーシーブ成分、非ゼオライトモレキュラーシーブ成分、又は前記ゼオライトモレキュラーシーブ成分と非ゼオライトモレキュラーシーブ成分のいずれか又は両方の混合物と結合される、請求項1〜の何れか一項に記載のウォールフローフィルタ。
【請求項5】
前記ゼオライトモレキュラーシーブ、非ゼオライトモレキュラーシーブ、又は両方のモレキュラーシーブを含む2つ以上のモレキュラーシーブの混合物と結合される少なくとも1つの金属がそれぞれ、遷移金属、ランタン又はこれらのうち2つ以上の混合物からなる群より選択される1つ以上の金属を含む、請求項に記載のウォールフローフィルタ。
【請求項6】
前記遷移金属が、IB族金属、IVB族金属、VB族金属、VIIB族金属及びVIII族金属からなる群より選択される、請求項に記載のウォールフローフィルタ。
【請求項7】
前記遷移金属が、Fe、Cu、Ce、Hf、La、Mn、Pt、Au、Ag、In、Rh、V、Ir、Ru及びOsからなる群より選択される、請求項又はに記載のウォールフローフィルタ。
【請求項8】
前記フィルタは押出しソリッド本体を含んでなり、
前記押出しソリッド本体が
10-95重量%のコーディエライト、窒化物、炭化物、ホウ化物、合金、リチウムアルミノ珪酸塩、スピネル、アルミナ、チタニア、ジルコニア、チタニア-ジルコニア、ジルコン及びこれらのうち2つ以上の混合物、
0-30重量%のシリカソース、
Cu、Fe及びCeからなる群より選択される1-20重量%の1つ以上の金属を含む50-90重量%の非ゼオライトモレキュラーシーブ、及び
0-20重量%の無機繊維を含む、請求項1〜の何れか一項に記載のウォールフローフィルタ。
【請求項9】
前記少なくとも1つのバインダ/マトリックス成分が、コーディエライト、窒化物、炭化物、ホウ化物、合金、リチウムアルミノ珪酸塩、スピネル、アルミナ、シリカソース、チタニア、ジルコニア、チタニア-ジルコニア、ジルコン及びこれらのうち2つ以上の混合物からなる群より選択される、請求項1〜の何れか一項に記載のウォールフローフィルタ。
【請求項10】
請求項1〜の何れか一項によるウォールフローフィルタを製造する方法であって、
粉末の出発物質を混合してソリッド押出し本体を形成し、ここで、前記粉末の出発物質が、少なくとも1つのマトリックス成分又はこれの1つ以上の前駆体、ゼオライトモレキュラーシーブ、非ゼオライトモレキュラーシーブ、又はこれらのうち2つ以上の混合物、セリア、及び少なくとも1つの金属化合物であり
又はアルカリ水溶液で混合物を形成するように、混合及び/又は混練を通じて処理し、
前記混合物を触媒本体に押し出し、前記触媒本体を乾燥させ、ソリッド押出し本体を形成するために焼成し、
前記ソリッド押出し本体が10-95重量%の少なくとも1つのマトリックス成分、及び5-90重量%のゼオライトモレキュラーシーブ、非ゼオライトモレキュラーシーブ、又はこれらのうち2つ以上の混合物、及び0-80重量%のセリア、及び少なくとも1つの金属又は金属化合物を含有するように前記出発物質の量的比率を選択することを含んでなる、製造方法。
【請求項11】
前記ゼオライトモレキュラーシーブ、非ゼオライトモレキュラーシーブ、又はこれらの混合物が、少なくとも一つの金属に結合される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記粉末の出発物質に、無機繊維が添加される、請求項10又は11に記載の方法。
【請求項13】
前記粉末の出発物質に、有機補助剤が添加される、請求項10〜12の何れか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記酸又はアルカリ水溶液が少なくとも1つの金属の金属塩を含有する、請求項10〜13の何れか一項に記載の方法。
【請求項15】
固定型発生源又は車両の内燃機関から発生した排気ガスを処理する方法であって、
窒素性還元剤と混合された前記排気ガスを請求項1〜の何れか一項によるウォールフローフィルタと接触させることを含んでなる、方法。
【請求項16】
請求項1〜の何れか一項によるウォールフローフィルタ、窒素性還元剤ソース、及び前記ウォールフローフィルタの上流側に流動する排気ガスに窒素性還元剤を注入するための手段を備えてなる、内燃機関用排気システム。
【請求項17】
内燃機関及び請求項16による排気システムを備えてなる、車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固定型発生源及び移動型装置の内燃機関で発生する排気ガスの窒素酸化物を処理するのに用いるための押出しソリッド本体を含むウォールフローフィルタに関する。
【0002】
EP1739066は、多重貫通ホールを備える多重ハニカムユニットと、前記貫通ホールが開放されない前記ハニカムユニットのそれぞれの閉鎖された外部表面を通じてハニカムユニットを互いに連結させる封止層(seal layer)を含むハニカム構造を開示している。前記ハニカムユニットは、少なくとも1つの無機物粒子(inorganic particles)、無機繊維及び/又はウィスカー(whiskers)を含む。前記無機物粒子の例としては、アルミナ、チタニア、シリカ及びジルコニアが挙げられ、前記無機繊維の例としては、シリカアルミナ繊維が挙げられ、前記無機物バインダの例としては、シリカゾル、アルミナゾル、セピオライト及びアタパルジャイトが挙げられる。触媒成分は、ハニカム構造上に運搬され得る。前記触媒成分は、白金、パラジウム及びロジウムを含む不活性金属、ポタシウム及びソジウムのようなアルカリ金属、バリウムのようなアルカリ土金属及び酸化物の中から選択される少なくとも1つの形態を含むことができる。前記ハニカム構造は、触媒コンバータ(catalytic converter)(例えば、車両排気ガスの転換のための三元触媒又はNO貯蔵触媒)として使用され得る。
【0003】
WO2009/093071は、突出型のSCR(Selective Catalytic Reduction)触媒から形成された少なくとも40%の孔隙率を有するウォールフローフィルタモノリス(monolith)基材を開示している。
【0004】
US7,507,684は、還元剤の存在下で窒素酸化物を転換するための押出しモノリス触媒転換器及びこのような押出しモノリス触媒転換器を製造する方法を開示している。
【0005】
WO2009/001131は、以下のように構成された非ゼオライト(non-zeolite)基盤金属触媒の存在下で窒素酸化物を窒素還元剤と接触させる段階を含むガスストリーム内の窒素酸化物を窒素に転換する方法を開示する:(a)セリウムとジルコニウムを含む担体として混合酸化物又は複合酸化物又はその混合物に分散された少なくとも1つの遷移金属、又は(b)不活性酸化物の担体上に分散された単一酸化物又はその複合酸化物又は前記単一酸化物と前記複合酸化物の混合物としてセリウム酸化物とジルコニウム酸化物、少なくとも1つの遷移金属に不活性担体が分散されることもあり得る。
【0006】
本発明者らは、内燃機関排気ガスの排気ガス後処理の分野で特に応用される押出しソリッド本体と少なくとも1つの金属を備える触媒ファミリーを開発した。このような排気ガスは、固定型発生源に起因することもあり得るが、特に乗用車、トラック及びバスのような移動型発生源の排気ガスを処理するために使用する目的で開発された。
【0007】
一側面によれば、本発明は還元剤の存在下で窒素酸化物を転換するための触媒を含むウォールフローフィルタにおいて、前記ウォールフローフィルタは、押出しソリッド本体を含み、前記押出しソリッド本体は、10-100重量%の少なくとも1つのバインダ/マトリックス成分、5-90重量%のゼオライトモレキュラーシーブ、非ゼオライトモレキュラーシーブ又はこれらのうち2つ以上の混合物、及び0-80重量%の安定化されてもよいセリアを含み、前記触媒は少なくとも1つの金属を含み、(i)前記少なくとも1つの金属は、前記押出しソリッド本体の全体に渡って存在、(ii)前記少なくとも1つの金属は、前記押出しソリッド本体の全体に渡って存在し、前記押出しソリッド本体の表面に更に高い濃度で存在、(iii)前記少なくとも1つの金属は、前記押出しソリッド本体の全体に渡って存在し、前記押出しソリッド本体の表面上の1つ以上のコーティング層に収容、又は(iv)前記少なくとも1つの金属は、前記押出しソリッド本体の全体に渡って存在、前記押出しソリッド本体の表面に更に高い濃度で存在し、前記押出しソリッド本体の表面上の1つ以上のコーティング層に収容されるウォールフローフィルタを提供する。
【0008】
本発明に係る長所は、触媒コーティングで頻繁に用いられる触媒成分を除去することによって、コーティングの数を、例えば2つの層から1つの層に減少させたり、単一層が完全に除去され得、触媒金属は前記押出しソリッド本体に支持され得る。それにより、排気システムでの背圧が減少し、エンジンの効率を増加させるようになる。
【0009】
また、コーティングされていない触媒の可能性を提供することによって、前記押出しソリッド本体は、更に高いセル密度、増加した強度及び減少したセル壁の厚さに製造され得、これはライトオフ性能を改善させることができ、物質移動(mass transfer)を通して活性を増加させることができる。
【0010】
押出しソリッド本体内で不活性基材モノリス上のコーティングに対する活性成分の量が増加することもあり得る。例えば、不活性基材モノリス上の窒素性還元剤を用いて窒素酸化物を還元させるための非ゼオライト基盤触媒の一般的な触媒コーティングは、約2.2g in-3であって、同一の触媒が7.5h in-3で押し出され得る。また、本発明者らは、WO2009/001131に開示された触媒が約2.7g in-3でコーティングされ得、等価の物質が12g in-3でソリッド本体として押し出され得ることを見つけた。このように増加した触媒密度により長期間の耐久力と触媒性能を改善させ、これは自己診断装置(On-Board Diagnostics、OBD)において重要である。
【0011】
自動車において「自己診断装置(OBD)」は、適切な電子管理システムに連結されたセンサネットワークを備える車両システムの自己診断及び能力報告を説明する一般用語である。初期のOBDシステムでは、問題が検出された際に問題の根本的な情報を提供せず、単に故障指示灯を灯すものであった。より最近のOBDシステムは、標準化されたデジタルポートを用い、標準化された診断問題コードと車両システムの迅速な問題の確認及び解決を可能にするリアルタイムデータの選択を提供できる。
【0012】
現在のOBDは、排気ガスが義務基準を超える排気システムの故障又は低下の場合に、ドライバが認知しなければならないことを要求している。従って、例えば、ユーロ(Euro)4に対するOBDは、以下のように制限する。ディーゼル乗用車(70/156/EECで定義されたカテゴリM車両)用98/69/ECは、一酸化炭素(CO)-3.2g/km、炭化水素(HC)-0.4g/km、窒素酸化物(NO)-1.2g/km、及び粒子性物質(PM)0.18g/km。ガソリン車両の場合に、ユーロ4は以下のように制限する。CO-3.2g/km、HC−0.4g/km、NO-0.6g/km、及びPM-無制限。
【0013】
それ以上の車両排気ガス法律(特に、米国と欧州で)は、診断機能において更に高い感度を要求し、排気ガス法律を満たす排気システム後処理触媒の能力を連続的にモニタリングするようにする。例えば、現在提案されたOBDは、ユーロ5に対して以下のように制限する。ディーゼル乗用車用715/2007/ECは、CO-1.9g/km、非メタン炭化水素(NMHC)-0.25g/km、NO-0.54g/km、PM-0.05g/kmであり、ガソリン乗用車は、CO-1.9g/km、NMHC-0.25g/km、NO-0.54g/km、及びPM-無制限である。
【0014】
米国で、ガソリン/ディーゼルエンジンの触媒モニタリングのためのOBDII法律(Title 13, California Code Regulations, Section 1968.2, Malfunction and Diagnostic System Requirements for 2004 and Subsequent Model-Year Passenger Cars, Light-Duty Trucks and Medium-Duty Vehicle and Engines)は、触媒システムのモニタリングされた部分のNMHC転換効率のための平均FTP(Federal Test Procedure)が50%以下に低下する故障信号を必要とする。
【0015】
本発明に係る押出しソリッド本体は、均一化された大きさと第1端部から第2端部まで延びる平行なチャネルを備えるハニカム形態の一体構造を一般に含む。一般に、前記チャネルは第1及び第2端部の両方で開放され、いわゆる「流れ-貫通(flow-through)構造である。前記チャネルを限定するチャネル壁は、多孔性である。一般に、外部「スキン(skin)」は、前記押出しソリッド本体の前記チャネルを取り囲む。前記押出しソリッド本体は、好ましい断面(例えば、円形、正四角形又は楕円)で形成され得る。多数のチャネルで個別チャネルは、正四角形、三角形、六角形、円形などであり得る。第1の上流側端部でのチャネルは例えば、適切なセラミックセメントで閉鎖され得、前記チャネルは第1の上流側端部で閉鎖されず、第2の下流側端部で閉鎖され得るため、いわゆるウォールフローフィルタを形成することもできる。一般に、第1の上流側端部で閉鎖されたチャネルの配列は、チェッカーボード(chequer board)と類似しており、閉鎖され開放された下流側チャネル端部の類似する配列を有する。
【0016】
EP1739066に開示されたハニカム構造は、ハニカム構造が共に固まった個別ハニカムユニットの組立体を含むため、単一の一体の押出物として用いられるにはあまりにも低い熱衝撃パラメータ(TSP:Thermal Shock Parameter)を有するということは明確である。商業的に利用可能なシリコンカーバイドハニカムでも確認できるこのような構造は、前記押出物質の相対的に高い熱膨張係数(CTE)の結果として熱衝撃による重大な触媒基材の故障を避けるように設計される。しかしながら、個別ハニカムユニットからのハニカム構造の製造は複雑、かつ、困難であり、時間と費用が多くかかり、単一の押出しに比べて可能な物理的損傷モード(例えば、セメント結合)の数が増加する。TSPとCTEについてのより詳細な説明は、“Catalytic Air Pollution Control-Commercial Technology”(Second Edition, R.M. Heck et al., John Wiley&Sons, Inc., New York, 2002 Chapters 7(流れ貫通モノリスに対して)and 9(ウォールフローフィルタに対して))にある。
【0017】
これにより、本発明者らは、本発明に係る触媒の前記押出しソリッド本体が、固定型又は移動型排気ガス発生源からの排気ガスを処理するために用いられるとき、前記押出しソリッド本体で半径方向の亀裂とリング亀裂を避けるのに十分な軸方向TSPと半径方向TSPを有すると主張する。このように、前記押出しソリッド本体は、単一の一体の押出物から形成され得る。特に、大きな断面を有する押出しソリッド本体に対して、共に結合するために前記押出しソリッド本体のセグメントを押し出す必要がある。しかしながら、これはこのような大きな断面の押出物を加工するにおける困難又は押出物ダイ工具の大きさにおける制限のためである。しかしながら、個別的に見ると、固定型又は移動型排気ガス発生源からの排気ガスを処理するために用いられるとき、全体触媒の各セグメントは、軸方向TSPと半径方向TSPが個別押出しソリッド本体セグメントで半径方向の亀裂及びリング亀裂を避けるのに十分な機能的な制限を満足させる。一実施形態において、半径方向TSPは750℃で>0.4(例えば、>0.5、>0.6、>0.7、>0.8、>0.9又は>1.0)である。800℃で、半径方向TSPは好ましくは>0.4であり、1000℃で好ましくは>0.8である。
【0018】
ウォールフローフィルタのCTEは、ワンピースの押出物から形成されるために、好ましくは20×10-7/℃である。
【0019】
実施形態において、前記少なくとも1つのバインダ/マトリックス成分は、コーディエライト、窒化物、炭化物、ホウ化物、合金、リチウムアルミノ珪酸塩、スピネル、ドーピングされてもよいアルミナ、シリカソース、チタニア、ジルコニア、チタニア-ジルコニア、ジルコン及びこれらのうち2つ以上の混合物からなる群より選択されることができる。
【0020】
スピネルはMgAlであり得るか、前記MgはCo、Zr、Zn又はMnからなる群よりの金属で部分的に置換され得る。実施形態において、MgAlでAlに対するMgOの含有量は0.8〜2.5(好ましくは、<1.0)であり得る。
【0021】
前記アルミナバインダ/マトリックス成分は、好ましくはγアルミナであるが、他の遷移アルミナ(即ち、αアルミナ、βアルミナ、χ(chi)アルミナ、η(eta)アルミナ、ρ(rho)アルミナ、κ(kappa)アルミナ、θ(theta)アルミナ、δアルミナ、ランタンβアルミナ及びこのような遷移アルミナの2つ以上の混合物)であり得る。
【0022】
前記アルミナは、前記アルミナの熱安定性を増加させるために、少なくとも1つの非アルミニウム成分でドーピングされることが好ましい。適切なドーパント(dopant)は、シリコン、ジルコニウム、バリウム、ランタナイド及びこれらのうち2つ以上の混合物を含む。適切なランタナイドドーパントは、La、Ce、Nd、Pr、Gd及びこれらのうち2つ以上の混合物を含む。
【0023】
シリカソースは、シリカ、シリカゾル、石英、溶融シリカ又は無定形のシリカ、珪酸ナトリウム、無定形のアルミノ珪酸塩、アルコキシシラン(alkoxysilane)、シリコン樹脂バインダ(例えば、メチルフェニルシリコン樹脂)、クレー、タルク又はこれらのうち2つ以上の混合物を含むことができる。
【0024】
このリストで、前記シリカは、長石(feldspar)、ムライト(mullite)、シリカ-アルミナ、シリカ-マグネシア、シリカ-ジルコニア、シリカ-トリア(thoria)、シリカ-ベリリア、シリカ-チタニア、ターナリー(ternary)シリカ-アルミナ-ジルコニア、ターナリーシリカ-アルミナ-マグネシア(magnesia)、ターナリー-シリカ-マグネシア-ジルコニア、ターナリーシリカ-アルミナ-トリア及びこれらのうち2つ以上の混合物のようなSiOであり得る。これとは異なり、前記シリカは、押出混合物に付加されたTMOS(TetraMethyl Ortho Silicate)から得られる。
【0025】
適切なクレーは、フラー土、セピオライト、ヘクトライト(hectorite)、スメクタイト(smectite)、カオリン(kaolin)及びこれらのうち2つ以上の混合物を含み、前記カオリンは、サブベントナイト(subbentonite)、アナウキサイト(anauxite)、ハロイサイト(halloysite)、カオリナイト(kaolinite)、ディッカイト(dickite)、ナクライト(nacrite)及びこれらのうち2つ以上の混合物から選択されることができる。前記スメクタイトは、モンモリロナイト(montmorillonite)、ノントロナイト(nontronite)、蛭石(vermiculite)、サポナイト(saponite)及びこれらのうち2つ以上の混合物からなる群より選択されることができる。前記フラー土は、モンモリロナイト又はパリゴルスカイト(アタパルジャイト)であり得る。
【0026】
無機繊維は、炭素繊維、ガラス繊維、金属繊維、ホウ素繊維、アルミナ繊維、シリカ繊維、シリカ-アルミナ繊維、炭化珪素繊維、チタン酸カリウム繊維、ホウ酸アルミニウム繊維及びセラミック繊維からなる群より選択される。
【0027】
前記各ゼオライトモレキュラーシーブ又は前記各非ゼオライトモレキュラーシーブは、次のフレームワーク形態のコードから選択されることができる:国際ゼオライト協会の構造委員会により定義されたABW、ACO、AEI、AEN、AET、AFG、AFI、AFN、AFO、AFR、AFS、AFT、AFX、AFY、AHT、ANA、APC、APD、AST、ASV、ATN、ATO、ATS、ATT、ATV、AWO、AWW、BCT、BEA、BEC、BIK、BOF、BOG、BPH、BRE、BSV、CAN、CAS、CDO、CFI、CGF、CGS、CHA、-CHI、-CLO、CON、CZP、DAC、DDR、DFO、DFT、DOH、DON、EAB、EDI、EMT、EON、EPI、ERI、ESV、ETR、EUO、EZT、FAR、FAU、FER、FRA、GIS、GIU、GME、GON、GOO、HEU、IFR、IHW、IMF、ISV、ITE、ITH、ITR、ITW、IWR、IWS、IWV、IWW、JBW、JRY、KFI、LAU、LEV、LIO、-LIT、LOS、LOV、LTA、LTF、LTL、LTN、MAR、MAZ、MEI、MEL、MEP、MER、MFI、MFS、MON、MOR、MOZ、MRE、MSE、MOS、MTF、MTN、MTT、MTW、MWW、NAB、NAT、NES、NON、NPO、NSI、OBW、OFF、OSI、OSO、OWE、-PAR、PAU、PHI、PON、RHO、-RON、RRO、RSN、RTE、RTH、RUT、RWR、RWY、SAO、SAS、SAT、SAV、SBE、SBN、SBS、SBT、SFE、SFF、SFG、SFH、SFN、SFO、SFS、SGT、SIV、SOD、SOF、SOS、SSF、SSY、STF、STI、STO、STT、STW、-SVR、SZR、TER、THO、TOL、TON、TSC、TUN、UEI、UOS、UOZ、USI、UTL、VET、VFI、VNI、VSV、WEI、-WEN、YUG、ZON及びこれらのうち2つ以上の混合物。
【0028】
好適な実施形態において、前記ゼオライトモレキュラーシーブ又は非ゼオライトモレキュラーシーブは、国際ゼオライト協会の構造委員会により正義されたもののような最大8-リング孔隙の開放構造を有する。
【0029】
一実施形態において、本発明で用いるためのゼオライトは、A-、X-又はY-ゼオライト、モルデン沸石(mordenite)、ベータ、XSM-5又はUSYではない。即ち、このようなゼオライトは、請求の範囲から除外され得る。
【0030】
好ましいゼオライト及び非ゼオライトモレキュラーシーブは、AEI、AFT、AFX、BEA、CHA、DDR、ERI、FAU、FER、ITE、ITW、KFI、LEV、LTA、MER、MFI、MOR、MTS、NSI、PAU、PHI、RHO、RTH、STI、SZR、UFI及びこれらのうち2つ以上の混合物からなる群より選択される。
【0031】
特に好ましいゼオライト又は非ゼオライトモレキュラーシーブは、AEI、BEA、CHA、ERI、FER、MFI、NSI、STI及びこれらのうち2つ以上の混合物からなる群より選択される。特に好ましいゼオライトモレキュラーシーブは、ZSM-5、ベータ、フェリエライト、SSZ-13及びこれらのうち2つ以上の混合物である。
【0032】
たとえ自然のゼオライトモレキュラーシーブが本発明で使用され得ても、10以上(改善された熱安定性のために例えば、15〜150、20〜60又は25〜40)のシリカ-アルミナ比を有する人造アルミノ珪酸塩(aluminosilicate)ゼオライトモレキュラーシーブが好ましい。
【0033】
他の実施形態において、ゼオライトモレキュラーシーブ又は非ゼオライトモレキュラーシーブは、1つ以上の置換されるフレームワーク金属を含む同形体(isomorph)である。このような実施形態において、前記各置換されるフレームワーク金属は、As、B、Be、Ce、Co、Cu、Fe、Ga、Ge、Li、Mg、Mn、Zn及びZrからなる群より選択されることができる。また、好ましい同形体のゼオライト又は非ゼオライトモレキュラーシーブは、AEI、BEA、CHA、ERI、FER、MFI、NSI、STI及びこれらのうち2つ以上の混合物からなる群より選択され得、特に好ましくは、フレームワークでFeを含むBEAである。1つ以上の置換されるフレームワーク金属を含有するこのような同形体を製造する過程は、最終製品でフレームワーク内で単独で又はイオン置換されて存在し得る。
【0034】
1つ以上の置換されるフレーム金属を含有する同形体でシリカ-アルミナ比は、>25(例えば、30〜100又は40〜70)であり得る。対照的に、前記同形体は、>20(例えば、30〜200又は50〜100)のシリカ-フレームワーク金属比を有することができる。
【0035】
好適な実施形態において、前記非ゼオライトモレキュラーシーブは、AlPOsを含むリン酸アルミニウム(alumino phosphate)、MeAlPOs、SAPOs又はMeAPSOsである。好ましい非ゼオライトモレキュラーシーブは、SAPO-18、SAPO-34、SAPO-44及びSAPO-47を含む。
【0036】
前記リン酸アルミニウムのシリカ-アルミナ比は、一般に同一のフレームワーク形態のコードを共有するアルミノ珪酸塩ゼオライトよりも遥かに低い。一般に、リン酸アルミニウムのシリカ-アルミナ比は、<1.0であるが、<0.5又は<0.3であり得る。
【0037】
セリア成分は、セリアの熱安定性を増加させるために、少なくとも1つの非セリウム成分で任意に安定化され得る。好ましいセリア安定化剤は、ジルコニウム、ランタナイド及びこれらのうち2つ以上の混合物を含む。ランタナイド安定化剤は、La、Nd、Pr、Gd及びこれらのうち2つ以上の混合物を含む。CeO:ZrO重量比は、80:20又は20:80の間であり得る。商業的に利用可能な物質は、30重量%のCeO2、63重量%のZrO、5重量%のNd、2重量%のLa、及び40重量%のCeO、50重量%のZrO、4重量%のLa、4重量%のNd及び2重量%のYを含む。
【0038】
大体に、前記少なくとも1つの金属は、以下のように存在し得る。特徴(iii)、(v)及び(vi)で、(a)前記押出しソリッド本体の全体に渡って(即ち、前記少なくとも1つの金属が押出物構造内に存在、(b)前記押出しソリッド本体の表面に更に高い濃度で存在、及び/又は(c)前記押出しソリッド本体の表面上の1つ以上のコーティング層に収容、(a)、(b)及び(c)で互いに異なる位置のそれぞれに存在する少なくとも1つの金属と異なる。そのため、前記少なくとも1つの金属は、(a)、(a)プラス(b)又は(a)プラス(b)プラス(c)の位置に存在し得る。前記少なくとも1つの金属が(a)と(b)、(a)と(c)又は(a)、(b)と(c)に存在する場合、各位置で前記少なくとも1つの金属は同一であるか、異なり得る。
【0039】
前記少なくとも1つの金属が位置(a)に存在する場合に(即ち、前記押出しソリッド本体の全体に渡って)、前記少なくとも1つの金属は、ゼオライトモレキュラーシーブ、非ゼオライトモレキュラーシーブ又はこれらのうち2つ以上の混合物と共に結合され得る。「結合されるもの」の例は、前記ゼオライトモレキュラーシーブ成分、前記非ゼオライトモレキュラーシーブ成分又はこれらのうち少なくとも1つを含む混合物とのイオン交換を含む。2つ以上の分子体の混合物で1つの分子体と結合されている前記少なくとも1つの金属を備えることも可能である。例えば、第1分子体は銅とイオン交換され、乾燥し、焼成された後、追加の金属結合なしに他の分子体と混合され得る。
【0040】
これとは異なり、混合物内の2つの分子体のうち1つは、例えばイオン交換のような方法で第1の少なくとも1つの金属と結合された後、第2の少なくとも1つの金属が前記押出物構造に加えられ得る(即ち、前記第2の少なくとも1つの金属は、前記第2分子体と特に結合されない)。
【0041】
前記各分子体成分と結合されるのに適した少なくとも1つの金属は、遷移金属、ランタナイド又はこれらのうち2つ以上の混合物からなる群より個別的に選択されることができる。適切な遷移金属は、IB族金属、IVB族金属、VB族金属、VIIB族金属及びVIII族金属を含む。好ましくは前記少なくとも1つの遷移金属は、Fe、Cu、Ce、Hf、La、Mn、Pt、Au、Ag、In、Rh、V、Ir、Ru及びOsとこれらのうち2つ以上の混合物からなる群より選択される。前記ランタン金属は、La、Pr、Ce及びこれらのうち2つ以上の混合物であり得る。
【0042】
前記各分子体成分と結合されている前記少なくとも1つの金属の全体金属成分は、0.1〜20重量%(例えば、1〜9重量%)である。
【0043】
前記少なくとも1つの金属は以下のように存在し、アルカリ金属、アルカリ土金属、遷移金属、ランタナイド又はこれらのうち2つ以上の混合物からなる群より選択されることができる:前記分子体との結合なしに前記押出しソリッド本体の全体に渡って、前記押出しソリッド本体の表面に位置する前記少なくとも1つの金属の大部分に、前記押出しソリッド本体の表面上の1つ以上のコーティング層に、又は前記押出しソリッド本体の表面に更に高い濃度で。
【0044】
本発明で用いるための触媒金属を支持するための適切なコーティングは、1つ以上のアルミナ(Al)(特に、γ-アルミナ)、シリカ(SiO)、チタニア(TiO)、セリア(CeO)、ジルコニア(ZrO)、バナジア(V)、ランタン(La)及びゼオライトを含む。前記セリアとアルミナは、前記押出しソリッド本体で用いられる安定化剤と同一のものを用いて任意に安定化され得る。適切な触媒金属は、1つ以上の貴金属(Au、Ag及びPt、PdとRhを含む白金族金属)を含む。
【0045】
少なくとも1つの金属を前記押出しソリッド本体の表面に更に高い濃度で位置させるための技術は、含浸法を含むが、濃縮含浸法(thickened impregnation)(即ち、増粘剤で濃縮された含浸媒体)が好ましい。乾燥方法は、前記押出しソリッド本体の表面で金属を濃縮するために使用されることもあり得る。例えば、金属が表面で濃縮される、いわゆる「エッグシェル(egg shell)」技術は、含浸された押出しソリッド本体を相対的に徐々に乾燥させ、金属が表面に蒸着されて得られる。塩とpH条件の特別な選択は直接金属蒸着に例えば、前記押出しソリッド本体の等電点(isoelectric point)を決定した後、前記金属塩のカチオン又はアニオンと前記押出しソリッド本体間の静電気の引力により利得を得る正確なpHと金属塩の組み合わせを用いることで、使用され得る。
【0046】
適切な遷移金属は、IB族金属、IVB族金属、VB族金属、VIB族金属、VIIB族金属及びVIII族金属を含む。好ましくは、前記遷移金属は、Fe、Ni、W、Cu、Ce、Hf、La、Mn、Pt、Au、A、Ag、In、V、Ir、Ru、Rh、Os及びこれらのうち2つ以上の混合物からなる群より選択される。ランタナイド金属は、La、Pr又はCe又はこれらのうち2つ以上の混合物であり得る。アルカリ金属は、KとCsを含む。アルカリ土金属は、Ba及びSrから選択されることができる。
【0047】
前記各分子体成分と結合されない前記押出しソリッド本体の全体に渡る、前記押出しソリッド本体の表面に位置、及び/又は前記押出しソリッド表面に更に高く濃縮された全体金属成分は、0.1〜20重量%(例えば、1〜9重量%)であり得る。
【0048】
前記押出しソリッド本体の全体金属成分(即ち、前記各分子体と結合されているあらゆる金属を含む)は、0.1〜25重量%(例えば、1〜15重量%)であり得る。
【0049】
少なくとも1つの金属を含む前記押出しソリッド本体の表面の1つ以上のコーティング層を含む前記触媒の全体金属成分は、0.1〜30重量%(例えば、1〜25重量%)であり得る。
【0050】
特定の例において、本発明に係る触媒は、10-100重量%のコーディエライト、窒化物、炭化物、ホウ化物、合金、リチウムアルミノ珪酸塩、ドーピングされてもよいアルミナ、シリカソース、チタニア、ジルコニア、チタニア-ジルコニア、ジルコン及びこれらのうち2つ以上の混合物、0-80重量%のスピネル、それぞれが1つ以上の金属を含んでもよい5-90重量%のゼオライトモレキュラーシーブ、非ゼオライトモレキュラーシーブ又はこれらのうち2つ以上の混合物、0-80重量%の安定化されてもよいセリア、及び0-25重量%の無機繊維、を含む押出しソリッド本体を含む。
【0051】
前記少なくとも1つのバインダ/マトリックス成分の成分は、>15重量%、>20重量%、>30重量%、>35重量%、>40重量%、>45重量%、>50重量%、>55重量%、>60重量%、>65重量%、>70重量%、>75重量%、>80重量%、>85重量%又は>90重量%であり得る。
【0052】
前記スピネルの成分は、>10重量%、>15重量%、>20重量%、>30重量%、>35重量%、>40重量%、>45重量%、>50重量%、>55重量%、>60重量%、>65重量%又は>70重量%であり得る。
【0053】
前記分子体の全体成分は、>5重量%、>10重量%、>15重量%、>20重量%、>30重量%、>35重量%、>40重量%、>45重量%、>50重量%、>55重量%、>60重量%、>65重量%、>70重量%、>75重量%、>80重量%、>85重量%又は>90重量%であり得る。
【0054】
記安定化されてもよいセリアの成分は、>5重量%、>10重量%、>15重量%、>20重量%、>30重量%、>35重量%、>40重量%、>45重量%、>50重量%、>55重量%、>60重量%、>65重量%又は>70重量%であり得る。
【0055】
前記無機繊維の成分は、>5重量%、>10重量%、>15重量%又は>20重量%であり得る。
【0056】
窒素性還元剤を利用する窒素酸化物を還元させるための触媒に特に好適な実施形態において、前記押出しソリッド本体は、基本的に以下のようになされる:10-100重量%のコーディエライト、窒化物、炭化物、ホウ化物、合金、リチウムアルミノ珪酸塩、スピネル、ドーピングされてもよいアルミナ、シリカソース、チタニア、ジルコニア、チタニア-ジルコニア、ジルコン及びこれらのうち2つ以上の混合物、それぞれが1つ以上の金属を含んでもよい50-90重量%のゼオライトモレキュラーシーブ、非ゼオライトモレキュラーシーブ又はこれらのうち2つ以上の混合物、及び0-25重量%の無機繊維。このような押出しソリッド本体は、流れ貫通基材モノリスとして配置されたり、ウォールフローフィルタを製造するのに使用され得る。好適な実施形態は無機繊維を含む。
【0057】
他の実施形態は、基本的に次のような構成の押出しソリッド本体を用いることができる:10-37重量%のコーディエライト、窒化物、炭化物、ホウ化物、合金、リチウムアルミノ珪酸塩、ーピングされてもよいアルミナ、スピネル、シリカソース、チタニア、ジルコニア、チタニア-ジルコニア、ジルコン及びこれらのうち2つ以上の混合物、60-88重量%のゼオライトモレキュラーシーブ、非ゼオライトモレキュラーシーブ又はこれらのうち2つ以上の混合物、それぞれは1つ以上の金属を含んでもよい、0-20重量%の無機繊維、又は:15-30重量%のコーディエライト、窒化物、炭化物、ホウ化物、合金、リチウムアルミノ珪酸塩、ドーピングされてもよいアルミナ、スピネル、チタニア、ジルコニア、チタニア-ジルコニア、ジルコン及びこれらのうち2つ以上の混合物、2-20重量%のシリカソース、50-81重量%のゼオライトモレキュラーシーブ、非ゼオライトモレキュラーシーブ又はこれらのうち2つ以上の混合物、それぞれは1つ以上の金属を含んでもよい、及び2-10重量%の無機繊維。
【0058】
他の実施形態において、前記押出しソリッド本体は、基本的に以下のように構成され得る:10-100重量%のコーディエライト、窒化物、炭化物、ホウ化物、合金、リチウムアルミノ珪酸塩、ドーピングされてもよいアルミナ、スピネル、シリカソース、チタニア、ジルコニア、チタニア-ジルコニア、ジルコン及びこれらのうち2つ以上の混合物、それぞれが1つ以上の金属を含んでもよい0-50重量%のゼオライトモレキュラーシーブ、非ゼオライトモレキュラーシーブ又はこれらのうち2つ以上の混合物、20-80重量%の安定化されてもよいセリア、及び0-25重量%の無機繊維。好適な実施形態は、ゼオライトと無機繊維を含む。
【0059】
特別な実施形態において、前記アルカリ土金属(例えば、Ba及び/又はSr)及び/又はアルカリ金属(例えば、K及び/又はCs)は、前記安定化されてもよいセリア上でスプレー乾燥することができ、スプレー乾燥した物品は、前記押出しソリッド本体を形成するようになる。
【0060】
本発明によってNO吸収剤触媒として用いるために開発された押出しソリッド本体で、本発明者らは69重量%のCeO、及び23重量%のγ-Al及び8重量%のガラス繊維の構成を有する押出しソリッド本体は、強度が低いことを見つけた。強度の向上のための提案は、「グリーン」押出しソリッド本体の焼成(calcinations)中に表面損傷を低減させるためのCeO物質を事前-焼成する段階、アルミナ成分を50%+まで増加させる段階、アルミナ(例えば、商業的に利用可能なPuralTMからDisperalTMまで)及び/又は安定化されてもよいセリアの粒子サイズを変更する段階、機械的な安定性を増加させるために不活性バインダ(例えば、クレー)を添加する段階、他のアルミナ(例えば、アルミナゾル)を用いる段階、他のバインダシステム(例えば、TiOゾル、CeOゾル、酢酸セリウム、酢酸ジルコニウム)をテストする段階、pH最適化段階、表面改善剤(例えば、アルミニウム塩又は他の有機界面活性剤)を添加する段階を含む。事前テストで、本発明者らはシリカの存在がNOトラップの性能に影響を及ぼすことを見つけた。しかしながら、研究は続けられ、このような選択は更に調べられるだろう。しかしながら、一実施形態において、シリカソースの成分は減少するか、完全に除去される。
【0061】
前記押出しソリッド本体がウォールフローフィルタで製造される場合に、前記ウォールフローフィルタの孔隙率は、30-80%(例えば、40-70%)であり得る。本発明で用いるための前記押出しソリッド本体の好ましい特徴は、優れた相互連結性を有し、できるだけ閉鎖されるか、「デッドエンド」が少ないという点にある。適切な平均孔隙の直径は、8-25μm(例えば15-20μm)である。ここで表現される孔隙率値は、水銀気孔率の測定(mercury porosimetry)又は電子顕微鏡により測定され得る。
【0062】
本発明に係る更に特定された例において、還元剤の存在下で窒素酸化物を転換するためのウォールフローフィルタは、基本的に次のような構成の押出しソリッド本体を含む。10-100重量%のコーディエライト、窒化物、炭化物、ホウ化物、合金、リチウムアルミノ珪酸塩、スピネル、ドーピングされてもよいアルミナ、チタニア、ジルコニア、チタニア-ジルコニア、ジルコン及びこれらのうち2つ以上の混合物、0-30重量%のシリカソース、Cu、Fe及びCeからなる群より選択された1-20重量%の1つ以上の金属を含有する50-90重量%の非ゼオライトモレキュラーシーブ、及び0-20重量%の無機繊維。
【0063】
他の側面によれば、本発明は、本発明に係るウォールフローフィルタを製造する方法であって、次の粉末の出発物質を混合してソリッド押出し本体を形成する段階:少なくとも1つのバインダ/マトリックス成分又はこれの1つ以上の前駆体、少なくとも1つの金属に結合されるゼオライトモレキュラーシーブ、非ゼオライトモレキュラーシーブ又はこれらのうち2つ以上の混合物、安定化されてもよいセリア、及び少なくとも1つの金属化合物、任意の無機繊維、添加されてもよい有機補助剤(organic auxiliary agent)、少なくとも1つの金属の金属塩を含んでもよい酸又はアルカリ水溶液でプラスチック化合物内に混合物を形成するように、混合及び/又は混練を通じて処理する段階、前記混合物は触媒本体に押し出し、前記触媒本体を乾燥させ、ソリッド押出し本体を形成するために焼成する段階、前記ソリッド押出し本体が10-100重量%の少なくとも1つのバインダ/マトリックス成分、及び5-90重量%のゼオライトモレキュラーシーブ、非ゼオライトモレキュラーシーブ又はこれらのうち2つ以上の混合物、及び0-80重量%の安定化されてもよいセリア及び少なくとも1つの金属又は金属化合物を含有するように前記出発物質の比率を選択し、前記ソリッド押出し本体の表面を少なくとも1つの金属で含浸及び/又は少なくとも1つの金属を含む少なくとも1つのコーティング層で前記ソリッド押出し本体の表面を任意にコーティング処理する段階を含む製造工程を提供する。
【0064】
一般に、例えばEP1837063に開示されたように、ウォールフローフィルタを形成する押出し基材モノリスでチャネルの端部を浸透できないように防ぐためにセメントが用いられる。
【0065】
一般に、押出しソリッド本体の製造において、バインダ、有機増粘化合物及び混合を通じて前記物質を均質なペーストに転換するために液体がバインダ/マトリックス成分又はその前駆体及び任意のモレキュラーシーブ、安定化されてもよいセリア、任意の無機繊維及び少なくとも1つの金属化合物に添加され、前記混合物は混合又は混練装置又は押出器で圧縮される。前記混合物は、バインダ、可塑剤、界面活性剤、潤滑剤、分散剤のような有機添加剤を含み、工程で濡れ性を向上させ、均一な配置を生成する。結果プラスチック物質は、特に押出プレス又は押出ダイを備える押出器を用いて成形され、結果成形物は乾燥し焼成される。前記有機添加剤は、押出しソリッド本体の焼成過程で燃焼してしまう。
【0066】
前記少なくとも1つのバインダ/マトリックス成分は、コーディエライト、窒化物、炭化物、ホウ化物、合金、リチウムアルミノ珪酸塩、スピネル、ドーピングされてもよいアルミナ、シリカソース、チタニア、ジルコニア、チタニア-ジルコニア、ジルコン及びこれらのうち2つ以上の混合物からなる群より選択される。アルミナ前駆体は、アルミニウム水酸化物又はベーマイト(boehmite)が使用され得る。アルミニウム酸化物が用いられる場合に、前記アルミニウム酸化物との結合を確実にするために、水溶性金属塩の水溶液をアルミニウム酸化物又はアルミニウム酸化物の前駆体基材に他の出発物質を添加する前に添加することが有利である。
【0067】
実施形態において、前記シリカソースは、シリカ、シリカゾル、石英、溶融又は無定形シリカ、珪酸ナトリウム、無定形アルミノ珪酸塩、アルコキシシラン、シリコン樹脂バインダ、クレー、タルク、又はこれらのうち2つ以上の混合物からなる群より選択されることができる。
【0068】
特定の実施形態において、前記シリカソースは、シリコン樹脂バインダであり、前記シリコン樹脂バインダ用ソルベントは、イソプロピルアルコール又は二塩基性エステルである。
【0069】
本発明に係る工程の一実施形態は、ドーピングされてもよいアルミナ又はその前駆体を溶液と混合する第1の混合段階と、前記ゼオライトモレキュラーシーブ、非ゼオライトモレキュラーシーブ又はこれらのうち2つ以上の混合物と無機繊維を混合する追加の混合段階とを含む。
【0070】
本発明に係る工程で用いるための前記有機補助剤は、セルロース誘導体(cellulose derivative)、有機可塑剤、潤滑剤及び水溶性樹脂からなる群より選択された1つ以上であり得る。適切なセルロース誘導体の例は、メチルセルロース(methylcellulose)、エチルセルロース(ethylcellulose)、カルボキシメチルセルロース(carboxymethylcellulose)、エチルヒドロキシエチルセルロース(ethylhydroxyethylcellulose)、ヒドロキシエチルセルロース(hydroxyethylcellulose)、ヒドロキシプロピルセルロース(hydroxypropylcellulose)、メチルヒドロキシエチルセルロース(methylhydorxyethylcellulose)、メチルヒドロキシプロピルセルロース(methylhydroxypropylcellulose)及びこれらのうち2つ以上の組み合わせからなる群より選択されたセルロースエーテルを含む。セルロース誘導体は、最終製品の孔隙率を増加させ、ソリッド触媒本体の触媒活性に長所を提供する。初期に前記セルロースは、前記水性サスペンション(suspension)で膨張するが、結局のところ、焼成過程で除去される。
【0071】
本発明の工程で用いるための前記有機可塑剤は、ポリビニールアルコール、ポリビニールブチラール(butyral)、イオノマー(ionomer)、アクリル、コポリエチレン/アクリル酸(copolyethylene/acrylic acid)、ポリウレタン、熱可塑性弾性重合体(elastomer)、相対的に低い分子量のポリエステル、亜麻仁油(linseed oil)、リシノール酸塩(ricinoleate)及びこれらのうち2つ以上の組み合わせからなる群より選択される。
【0072】
前記水溶性樹脂は、ポリアクリレート(polyacrylate)であり得る。
【0073】
本発明に係る工程で用いるための前記潤滑剤は、グリコール、ステアリン酸(stearic acid)、ステアリン酸ナトリウム(stearate)、グリセリン及びグリコールからなる群の少なくとも1つから選択される。
【0074】
前記押出物の組成によって、前記pHは酸性であるか、アルカリ性であり得る。前記工程が酸性水溶液を用いる場合、前記溶液の前記pH-値は3〜4であり得る。好ましくは、酢酸が前記溶液を酸性化するために用いられる。
【0075】
前記工程がアルカリ性水溶液を用いる場合、前記溶液のpH-値は8〜9であり得る。アンモニアがアルカリ側でpHを調節するために使用され得る。
【0076】
他の側面によれば、本発明は、固定型発生源又は車両で発生した粒子性物質又は窒素酸化物を含む内燃機関から発生する排気ガスを処理する方法を提供するが、前記方法は、窒素性還元剤と混合された前記排気ガスを本発明に係るウォールフローフィルタのフィルタリング表面と接触させる段階を含む。一実施形態において、窒素酸化物内の酸化窒素は、前記ウォールフローフィルタのフィルタリング表面の上流側で二酸化窒素に酸化される。排気ガスが触媒と接触する温度は、>100℃(例えば、>150℃、>175℃、>200℃、>225℃、>250℃、>275℃、又は>300℃)であることが好ましい。好ましくは、排気ガスが触媒と接触する温度は、<600℃(例えば、<550℃、<525℃又は<500℃)である。
【0077】
他の側面によれば、本発明は、内燃機関用排気システムを提供するが、前記排気システムは、本発明に係るウォールフローフィルタ、窒素性還元剤ソース及び前記ウォールフローフィルタの上流側に流動する排気ガスに窒素性還元剤を注入するための手段を含む。好適な実施形態において、窒素酸化物を二酸化窒素に酸化するための酸化触媒は、排気システムで窒素性還元剤を流動する排気ガスに注入するための手段の上流に位置する。
【0078】
本発明に係る他の側面において、内燃機関及び本発明に係る排気システムを含む車両(例えば、自動車)が提供される。前記内燃機関は、圧縮点火エンジン又はポジティブ点火エンジンであり得る。ポジティブ点火エンジンは、一般にガソリン燃料の提供を受けるが、メタノール及び/又はエタノールと混合されたガソリン燃料、LPG又はCNGを含む他の燃料が使用されてもよい。圧縮点火エンジンは、ディーゼル燃料、ディーゼル燃料とバイオディーゼルの混合又はフィッシャー-トラフシュー(Fischer-Tropsch)誘導燃料、バイオディーゼル又は天然ガスの提供を受ける。現代式圧縮点火エンジンは、DCCS(Dilution Controlled Combustion System)として知られたものを含む(例えば、トヨタのスモークレスリッチ燃焼概念(smoke-less rich combustion concept))、HCCI(Homogeneous Charge Compression Ignition)エンジンからの排気ガスが処理されることもできる。特に、実質的に燃焼用のあらゆる燃料が燃焼開始前に燃焼室に注入される現代式エンジンが処理され得る。好適な実施形態において、前記内燃機関は圧縮点火エンジンである。
【0079】
本発明を更に十分に理解できるように、次の実施形態が添付された図面と共に参照されて説明される。
【図面の簡単な説明】
【0080】
図1図1は、流れ-貫通の構造で製造された参照製品に対して多様な孔隙変更剤(modifier)を用いて製造された多様なV/WO-TiOの孔隙体積と孔隙率を比較するグラフである。
図2図2は、V/WO-TiOの参照及び商業的に利用可能な壁流動フィルタ基材に対して孔隙変更剤の数による孔隙半径に対する孔隙体積を示すグラフである。
【0081】
実施形態1:押出しV/WO-TiOフィルタ
混練可能なペーストを製造するために、表1に記載された成分A、B、FとSを水と混合することで、参照押出しV/WO-TiOソリッド本体が実施形態1及び5と類似に用意された。添加剤H(孔隙変更剤)が追加され、前記物質は孔隙変更剤を分散させるために、10分間混練された。結果組成物は、実施形態1及び5で説明されたように押し出され、乾燥し、焼成された。最終的に焼成された製品に存在する無機ソリッド量の百分率は100%である。焼成過程で燃焼により除去される添加剤(HとS)の量は、100%無機ソリッド成分に対して重量%で提供される。
【表1】
A1=TiW(98、9%、MC 10/Cristal)
A2=V from AMV(78%V、GFE)
B1=ベントナイト(90%、ACE/Mizuka)
B2=カオリン(97、9%、TK0177/Thiele)
B3=SiO(100%、Tixosil/Novus)
F1=ガラス繊維(Vetrotex 4、5mm/Saint Cobain)
H1=セルロース(QP10000H/Nordmann)
H2=PEO(Alkox/Alroko)
H3=Zusoplast(Zschimmer & Schwarz)
S1=MEA(Imhoff & Stahl)
S2=NH
S3=C(fauth)
【0082】
次の孔隙変更斉剤が表1の押出し添加剤H1、H2及びH3の代りに用いられ、表1の方法による無機ソリッドの全体重量に対する量が表された。
【表2】
【0083】
孔隙率と孔隙体積と孔隙半径は、例えばMIP(Mercury Intrusion Porosimetry)を利用して測定され得る。
【0084】
孔隙体積と孔隙率を含む表2の結果は、図1にも示されている。このような結果から参照の前記孔隙率と孔隙体積は、適切な孔隙変更剤の選択により増加され得るため、このような孔隙変更剤を用いて製造された押出しソリッド本体は、ウォールフローフィルタの製造に使用され得る。
【0085】
このような結果は、孔隙率、孔隙体積など前記ソリッド押出し本体の活性成分に独立した性質を増加させるのに包括的である。即ち、たとえこのような実施形態6の孔隙率と孔隙体積などを増加させることがV/WO-TiO活性物質を用いて説明されていても、このような実施形態6で開示された孔隙率と孔隙体積などを増加させる原理は、あらゆる活性物質(例えば、三元触媒を含むガソリン媒煙フィルタで用いるための押出しソリッド本体)の押出物に適用され得るが、これは前記孔隙変更剤が焼成過程で燃焼し、後で無機ソリッドとして活性物質とフィルタなどを残すためである。
【0086】
図2は、他の参照の孔隙体積を表2に記載された他の孔隙変更剤を用いて製造されたV/WO-TiO物質と比較するが、商業的に利用可能な壁流動フィルタ(NGK)とも比較される。グラフから、孔隙変更剤を含めることによって、参照押出しソリッド本体の孔隙率と孔隙体積が改善され、物質が商業的に利用可能なウォールフローフィルタのそれに接近する性質を有することが確認される。
【0087】
実施形態2:押出しゼオライトモノリス基材
押出しゼオライトモノリス基材がUS7,507,684に開示されたものと類似の方法で製造された。水素形態の商業的に利用可能な粉末βゼオライトがガラス繊維、カオリンフィラー及び粉末合成ベーマイト(Pural SB)と混合され、5-6のpH値を有する水溶液で処理され、好ましい孔隙率を有するように実施形態1で選択された量でセルロース(CMC-QP10000H)、可塑剤Zusoplast(Zschimmer&Schwarz GmbH&Co KGのブランド名)と有機補助剤PEOアルコックス(ポリエチレン酸化物)の混合物により成形可能であり、流動可能なスリップに製造される。前記出発物質の量的比率は最終ソリッド触媒本体の活性物質が69重量%のゼオライト、23重量%のγ-Al及び5重量%のガラス繊維及び3重量%のカオリンを含むように選択される。前記成形可能な混合物は、300cpsiのセル密度を有する流れ貫通ハニカム触媒本体(即ち、連続したチャネルと円形の断面を有する)内に押し出される。次に、前記触媒本体は、WO2009/080155(全体内容が参照としてここに含まれる)に説明された方法により1時間2mbarで冷却乾燥し、ソリッド触媒本体を形成するために、580℃の温度で焼成される。
【0088】
実施形態3:鉄-βゼオライトを含有する押出しゼオライトモノリス基材
水素形態の商業的に利用可能な粉末βゼオライトが鉄水酸化物(iron hydroxide)、ガラス繊維、低アルカリクレーフィラー(low alkaline clay filler)及び粉末合成ベーマイト(Pural SB)と混合され、5-6のpH値を有する水溶液で処理されて成形可能であり、流動可能なスリップに製造された。前記混合物が適宜焼成されたとき、セルロースが全体無機ソリッド成分100%に対して8重量%で添加された。前記出発物質の量的比率は、最終ソリッド触媒本体の活性物質が好ましい水準の孔隙率を提供するように案内されたものであって、実施形態1を用いて選択された量で55重量%のゼオライト、25重量%のクレー、7重量%のγ-Al、8重量%のガラス繊維及び5重量%の鉄及び鉄化合物を含むように選択される。前記成形可能な混合物は、400cpsiのセル密度を有する流れ貫通ハニカム触媒本体(即ち、連続したチャネルと円形の断面を有する)内に押し出される。次に、前記触媒本体は、WO2009/080155(全体内容が参照としてここに含まれる)に説明された方法により1時間2mbarで冷却乾燥し、ソリッド触媒本体を形成するために、580℃の温度で2010年8月21日に出願されたPCT特許出願番号PCT/EP2010/005140(全体内容が参照としてここに含まれる)に記載された方法により還元的に焼成される。説明された方法を利用することで、前記混合物内に注入された鉄の少なくとも一部がゼオライトとイオン交換されることが確認される。
【0089】
実施形態4:押出しウォールフローSCRフィルタ
これは例示的な実施形態である。WO2009/093071と類似するウォールフローフィルタモノリス基材が、以下のように製造され得る。非ゼオライトモレキュラーシーブを含む押出しモノリス基材がUS7,507,684に記載されたものと類似する方法と実施形態1により製造され得る。3重量%の銅を含有する活性物質であるイオン交換されたSAPO-34がガラス繊維及び粉末合成ベーマイト(Pural SB)と混合され、3.5のpH値を有する水溶液で処理され、3.5重量%のセルロース(CMC-QP1000H)、1.8重量%の可塑剤Zusoplast(Zschimmer&Schwarz GmbH&Co KGのブランド名)と、3.5重量%の有機補助剤PEOアルコックス(ポリエチレン酸化物)と、13重量%の孔隙変更剤Rettenmaier BC200、天然セルロース物質及びポリアクリロニトリル(PAN)繊維を含む成形可能であり、流動可能なスリップに製造される。前記出発物質の量的比率は、最終ソリッド触媒本体の活性物質が60重量%の銅-交換SAPO-34、35重量%のγ-Al、5重量%のガラス繊維を含むように選択される。前記成形可能な混合物は、300cpsiのセル密度を備え、連続したチャネルと円形の断面を有する流れ貫通ハニカム触媒本体内に押し出される。次に、前記触媒本体は、WO2009/080155(全体内容が参照としてここに含まれる)に説明された方法により1時間2mbarで冷却乾燥し、ソリッド触媒本体を形成するために、580℃の温度で焼成される。前記押出しゼオライトモノリス基材は、約14cmの直径を有する流入領域と約19cmを有する流れ-貫通長さを有するものと予測される。結果製品は、一般に約10μmの平均孔隙大きさを有するようになる。
【0090】
多数のチャネルを含む前記押出し流れ-貫通モノリス基材は、ウォールフローフィルタ構造で製造され得、多数の第1チャネルが上流側端部に閉鎖され、上流側端部で閉鎖されない多数の第2チャネルは下流側端部で閉鎖され、前記第1及び第2チャネルの構造は、EP1837063(全体内容がここで参照として含まれる)による好ましいパターンで前記チャネルの端部で実質的にガス不浸透性プラグを挿入することで、水平、垂直に隣接するチャネルがチェッカーボードの形態で反対側端部で閉鎖される。このようなフィルタ構造は、SAE810114(全体内容がここで参照として含まれる)にも開示されている。前記焼成された製品は含浸された。
【0091】
前記ウォールフローフィルタは、2011年1月4日に出願されたWO99/47260又はPCT/GB2011/050005に開示された方法によりウォッシュコートでコーティングされ得る。後者の方法は、次のような段階を含む:(i)ハニカムモノリス基材を実質的に垂直に維持させる段階と、(ii)液体の予め設定された量を前記基材の下端で前記チャネルの開口端部を通じて前記基材内に供給する段階と、(iii)供給された液体を前記基材内で封止可能に維持させる段階と、(iv)前記収容された液体を含む前記基材をひっくり返す段階と、(v)前記基材のチャネルに沿って前記液体を吸い込むために前記基材の前記ひっくり返った下端で前記基材のチャネルの開口端部に真空を加える段階。
【0092】
疑問の余地を無くすために、ここで引用された文献の全体内容が参照としてここに含まれる。
図1
図2