(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記制御手段は、前記被検体の周りの各角度に対応した前記収集タイミングを示すトリガー信号を発生する構成を有し、前記各スムージング処理は、前記収集タイミングの経過である前記トリガー信号の数に応じて施され、前記トリガー信号の数に応じて変化する第3の変化を求めることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のX線CT装置。
前記制御手段は、前記X線発生手段が前記被検体の周りを回転する回転速度と、前記ヘリカルスキャンにおける前記被検体の体軸方向への撮影範囲と、前記被検体と前記X線発生手段との相対的な位置を変える移動速度とに基づいて、前記ヘリカルスキャンにおける前記X線発生手段の総回転数を求めて、前記総回転数で発生する前記トリガー信号の総数を求めることで、前記X線発生手段の回転数を前記トリガー信号の数に変換して前記第1の変化を前記トリガー信号の数によって規定して、前記トリガー信号の数に対応して前記第1の変化をスムージング処理することを特徴とする請求項3に記載のX線CT装置。
【背景技術】
【0002】
X線CT装置は、被検体を間にして対向配置されたX線管球とX線検出器とを被検体の周囲で回転させながらX線管球からX線を曝射し、被検体を透過したX線をX線検出器で検出する。そして、X線検出器によって検出されたデータをデータ収集装置(DAS)によって投影データとして収集し、収集された投影データを再構成処理することによって被検体の画像を生成する。例えば、X線管球とX線検出器とを360°、又は(180°+ファン角)回転させて投影データを収集し、360°分、又は(180°+ファン角)分の投影データに基づいて画像を生成する。
【0003】
被検体に対するある角度において、複数の検出素子を有するX線検出器で検出された検出データの集合をビュー(view)と称する。例えば1°ごとに1ビュー(view)の投影データを収集する場合には、X線管球及びX線検出器を1回転させることで360ビューの投影データを得て、この360ビューの投影データを用いて画像を再構成することになる。
【0004】
また、X線管球からX線を曝射しながら、被検体が載置された寝台を被検体の体軸方向(z軸方向)に移動させることより、被検体に対するX線管球の相対的な軌跡がらせん状となるような所謂ヘリカルスキャンが行われている。
【0005】
ところで、実際の人体には、X線吸収量の多い組織やX線吸収量の少ない組織があり、それらが重なったり入り組んだりしている。X線管球に供給する管電流を一定にしてヘリカルスキャンを実行すると、同じ組成であってもその箇所に実際に到達するX線量が変わる。その結果、X線検出器の出力にばらつきが発生してしまう。そこで、ヘリカルスキャンの実行にあたって、X線を曝射しながらX線照射量(管電流)を変調(モジュレーション)するスキャン方法が提案されている(例えば特許文献1)。
【0006】
ここで、従来技術に係るX線照射量の変調(モジュレーション)方法について
図4を参照して説明する。
図4は、従来技術に係るX線照射量の変調(モジュレーション)方法を説明するための図である。
図4(a)は、被検体の体軸方向(z軸方向)に対するX線照射量の変調(モジュレーション)を示す図である。
図4(a)において、横軸は被検体の体軸方向(z軸方向)における位置を示し、縦軸はX線照射量(管電流)の比率を示している。
図4(b)は、被検体の体軸方向に直交する断面(x−y断面)において、X線管球の角度(回転位置)に対するX線照射量の変調(モジュレーション)を示す図である。
図4(b)において、横軸は被検体の周りにおけるX線管球の角度(回転位置)を示し、縦軸はX線照射量(管電流)の比率を示している。
【0007】
体軸方向(z軸方向)に対するX線照射量の変調と、x−y断面におけるX線照射量の変調とを組み合わせることで、ヘリカルスキャンにおけるX線照射量の変調を行っている。以下、体軸方向に対するX線照射量の変調と、x−y断面におけるX線照射量の変調とを組み合わせたX線照射量の変調を、「3Dモジュレーション」と称する場合がある。また、体軸方向(z軸方向)に対するX線照射量の変調を「z軸モジュレーション」と称し、x−y断面におけるX線照射量の変調を「x−yモジュレーション」と称する場合がある。
【0008】
体軸方向(z軸方向)に対するX線照射量の変調(モジュレーション)については、予め取得されたスキャノ画像に基づいて、被検体の体厚やX線吸収率の大きな臓器の有無によってX線照射量の比率を決定している。例えば
図4(a)に示すように、体軸方向(z軸方向)における被検体Pの体厚に応じて、体軸方向(z軸方向)おけるX線照射量の比率を決定している。被検体Pの体厚が厚い箇所においてはX線照射量の比率を高くし、体厚が薄い箇所においてはX線照射量の比率を低くしている。また、1回のヘリカルスキャンにおいてX線管球及びX線検出器を回転させる総回転数を予め求めておき、1回転ごとにX線管球に供給する管電流値(mA)をテーブルデータとしてX線CT装置に予め設定しておく。そして、スキャンを開始した後、X線管球及びX線検出器を被検体の周りに1回転させる度に、テーブルデータに従った管電流をX線管球に供給している。
【0009】
x−y断面におけるX線照射量の変調(モジュレーション)については、予め取得されたデュアルスキャノ画像(x軸方向からのスキャノ画像とy軸方向からのスキャノ画像)に基づいて、x軸方向の体厚及びy軸方向の体厚及び臓器組織によってX線照射量の比率を求めている。具体的には、x−y断面における被検体Pの形状を楕円モデルによって近似し、楕円の短軸と長軸との割合(短軸/長軸)によって、短軸方向(y軸方向)からのX線照射量をより低減するようにX線照射量の比率を決定する。例えば
図4(b)に示すように、被検体Pの周りにおけるX線管球の角度(回転位置)に応じて、短軸方向(y軸方向)からのX線照射量の比率を低くし、長軸方向(x軸方向)からのX線照射量の比率を高くしている。そして、原点(0°の位置)に設置された原点センサーによって、X線管球及びX線検出器が被検体Pの周りを1回転するのに要する時間を測定し、その時間を基にしてX線管球が各角度(各回転位置)に位置する時間を求め、その時間に従ってx−y断面におけるX線照射量を変える。このように、x−y断面におけるX線照射量の変調(モジュレーション)は、時間に基づいてX線管球の角度(回転位置)を特定して、X線管球に供給する管電流を制御している。
【0010】
そして、
図4(a)に示す体軸方向(z軸方向)に対するX線照射量の比率と、
図4(b)に示すx−y断面におけるX線照射量の比率とを掛け合わせることで、3DモジュレーションにおけるX線照射量の比率を求める。これにより、3DモジュレーションにおけるX線照射量の比率は、xyz軸によって規定される3次元空間におけるX線照射量(管電流)の比率を示すことになる。そして、3DモジュレーションにおけるX線照射量の比率に従って管電流を変えながらX線管球に管電流を供給してヘリカルスキャンを実行する。
【発明を実施するための形態】
【0020】
この発明の実施形態に係るX線CT装置について
図1を参照して説明する。
図1は、この発明の実施形態に係るX線CT装置を示すブロック図である。
【0021】
この実施形態に係るX線CT装置は、架台装置1、コンソール部2、及び寝台装置3を備えている。架台装置1は、X線管球13及びX線検出器14を格納した図示しない回転架台(ガントリ)を備えて投影データを収集する。その投影データはコンソール部2に出力されて再構成処理が施される。また、寝台装置3は、被検体を載置するための寝台30を備えている。
【0022】
架台装置1には、X線管球13と、そのX線管球13と対になるX線検出器14とが設けられている。X線検出器14は、検出素子を互いに直交する2方向(スライス方向(体軸方向)とチャンネル方向(円周方向))それぞれにアレイ状に複数配列し、これにより2次元のX線検出器を構成している。なお、X線検出器14には、検出素子をチャンネル方向(円周方向)に複数配列したX線検出器を用いても良い。
【0023】
高電圧発生部12は曝射制御部11の制御の下、X線を曝射させるための管電圧及び管電流をX線管球13に供給する。これによりX線管球13からX線が発生する。
【0024】
X線検出器14にはデータ収集部(DAS)15が設けられている。データ収集部15はX線検出器14の各検出素子と同様に配列されたデータ収集素子を有し、X線検出器14により検出されたX線(検出信号)を、制御部10から出力されたデータ収集制御信号(View Trigger信号(VT信号))に対応させて収集する。この収集されたデータが投影データとなる。データ収集部15は、1つのVT信号に対応して1ビュー(view)の投影データを収集する。
【0025】
そして、X線管球13から曝射されたX線は、所定幅のスリット(開口部)が設けられた図示しないX線コリメータを介して寝台30に載置された被検体に照射される。被検体を透過したX線はX線検出器14で検出され、その検出信号はデータ収集部15にて投影データとして収集される。X線管球13、X線検出器14、及びデータ収集部15は、図示しない回転架台(ガントリ)に一体的に固定されている。
【0026】
VT信号は回転架台の角度(回転位置)に対応している。例えば1°ごとに1ビュー(view)の投影データを収集する場合には、データ収集部15は回転架台が1°回転するたびに1つのVT信号を受けて、回転架台が1°回転するたびに1ビュー(view)の投影データを収集する。この場合、データ収集部15は回転架台1回転あたり360のVT信号を受けて、回転架台が1回転するたびに360ビュー(view)の投影データを収集する。
【0027】
架台駆動部16は、図示しない回転架台を回転させるモータ17と、制御部10から出力された架台制御データに基づいてモータ17を駆動させるサーボアンプ18と、モータ17の回転角を検出するエンコーダ19とを備えている。架台駆動部16は、制御部10から出力された架台制御データに基づいて図示しない回転架台を回転させる。これにより、回転架台は回転中心を中心として回転させられる。エンコーダ19はモータ17の回転角に応じたパルスを発生する。架台駆動部16は、エンコーダ19によって発生させられたパルスに応じたエンコーダデータ(位置情報)を制御部10に出力する。
【0028】
コンソール部2のスキャン制御部20は、X線の曝射条件、曝射タイミング、X線モジュレーション条件、投影データ収集条件、ヘリカルスキャンにおけるヘリカルピッチ、及び、被検体に対する撮影領域の範囲を示す情報(距離情報)を含むスキャン制御データを架台装置1の制御部10に出力する。曝射条件には、X線管球13に供給する管電圧値が含まれる。曝射タイミングは、X線管球13によるX線曝射のON/OFFのタイミングを示している。曝射タイミングは、X線曝射を示すON信号と、X線曝射の停止を示すOFF信号とを含んでいる。投影データ収集条件は、1フレームの画像データを再構成するために必要な投影データのビュー(view)数を示している。例えば、1000ビュー(view)の投影データを用いて1フレームの画像データを再構成する。
【0029】
また、スキャン制御部20は、図示しない回転架台を一定の速度で安定的に回転させるための架台制御データを制御部10に出力する。架台制御データには回転架台の回転速度が含まれている。
【0030】
さらに、スキャン制御部20は、寝台30の寝台天板を一定の速度で被検体の体軸方向(z軸方向)に移動させるための寝台制御データを寝台装置3の寝台駆動部31に出力する。寝台制御データには、被検体の体軸方向(z軸方向)に対する寝台天板の移動速度が含まれている。
【0031】
寝台装置3は、寝台30と寝台駆動部31とを備えている。寝台30は、被検体を載置するための寝台天板と、寝台天板を支持する寝台基台とを備えている。寝台天板は、寝台駆動部31によって被検体の体軸方向(z軸方向)に移動可能となっている。寝台基台は、寝台駆動部31によって寝台天板を上下方向に移動させることが可能となっている。
【0032】
例えば操作者が図示しない入力装置を用いて、スキャン制御データに含まれる情報、架台制御データに含まれる情報、及び、寝台制御データに含まれる情報を入力する。入力装置によって入力された各情報は、図示しない記憶部に記憶される。スキャン制御部20は、その記憶部に記憶されているスキャン制御データ、架台制御データ、及び寝台制御データを読み込んで各部に出力する。
【0033】
(X線モジュレーション条件)
スキャン制御データに含まれるX線モジュレーション条件には、被検体の体軸方向(z軸方向)に対するX線照射量の変調(z軸モジュレーション)の条件と、x−y断面におけるX線照射量の変調(x−yモジュレーション)の条件とが含まれる。
【0034】
(z軸モジュレーション条件)
z軸モジュレーション条件は、X線管球13を格納する回転架台の1回転ごとに規定された管電流値を示すテーブルデータである。z軸モジュレーション条件は、体軸方向(z軸方向)における被検体の体厚及び臓器組織に応じた体軸方向(z軸方向)における管電流値を示している。具体的には、1回のヘリカルスキャンにおいて回転架台を回転させる総回転数を予め求めておき、1回転ごとにX線管球13に供給する管電流値(mA)を予めテーブルデータとして求めておき、そのテーブルデータをz軸モジュレーション条件とする。なお、z軸モジュレーション条件が示す管電流値が、この発明の「第1の変化」の1例に相当する。
【0035】
例えば被検体のスキャノ画像を予め取得し、そのスキャノ画像に基づいて被検体の体厚やX線吸収率の大きな臓器の有無を特定してz軸モジュレーション条件を決定する。この場合、被検体の体厚が厚い箇所においてはX線照射量の比率を高くし、体厚が薄い箇所においてはX線照射量の比率を低くしてz軸モジュレーション条件を決定する。
【0036】
ここでz軸モジュレーション条件の具体例を
図2に示す。
図2は、この発明の実施形態に係るX線CT装置による動作を示すタイミングチャートである。z軸モジュレーション条件が示すテーブルデータは、回転架台の回転数に対する管電流値(mA)によって規定されている。従って、z軸モジュレーション条件が示す回転数に対する管電流値(mA)は離散的な値となっている。
図2に示すz軸モジュレーションテーブルデータが、z軸モジュレーションのテーブルデータに相当する。例えばz軸モジュレーション条件は、[500、450、400、380、360、350、350、360、370、380、380、370、・・・]mAのように、回転架台の回転ごとの管電流データ配列として表わされている。
【0037】
回転架台の回転速度、寝台30の寝台天板の体軸方向(z軸方向)への移動速度、及び、ヘリカルスキャンにおける体軸方向(z軸方向)への撮影範囲(距離)に基づいて、1回のヘリカルスキャンにおける回転架台の総回転数を予め求めておく。そして、回転架台の1回転ごとの管電流値をテーブルデータとして表すz軸モジュレーション条件を予め作成して、スキャン制御部20に予め設定しておく。例えば操作者が回転架台の1回転ごとの管電流値を決定して、1回転ごとの管電流値をテーブルデータとして表すz軸モジュレーション条件を作成する。そして、操作者が図示しない入力装置を用いてz軸モジュレーション条件を入力することで、z軸モジュレーション条件がスキャン制御部20に設定される。
【0038】
(x−yモジュレーション条件)
x−yモジュレーション条件は、回転架台の角度(回転位置)に対するX線照射量(管電流値)の比率を示すデータである。すなわち、x−yモジュレーション条件は、X線管球13の角度(回転位置)に対するX線照射量(管電流値)の比率を示すデータである。なお、x−yモジュレーション条件が示す管電流値の比率が、この発明の「第2の変化」の1例に相当する。
【0039】
例えば被検体のデュアルスキャノ画像(x軸方向からのスキャノ画像とy軸方向からのスキャノ画像)を予め取得し、そのデュアルスキャノ画像に基づいてx軸方向の体厚及びy軸方向の体厚を特定して、X線管球13の角度(回転位置)に対するX線照射量(管電流値)の比率を求める。この場合、x−y断面における被検体の形状を楕円モデルによって近似し、楕円の短軸と長軸との割合(短軸/長軸)によって、短軸方向(y軸方向)からのX線照射量をより低減するようにX線照射量(管電流値)の比率を決定する。
【0040】
x−yモジュレーション条件はデータ収集制御信号であるVT信号によって規定される。1例として、回転架台の角度(回転位置)に対するX線照射量(管電流値)の比率を三角関数を含む関数によって表わし、三角関数を含む関数で表わされたX線照射量(管電流値)の比率をx−yモジュレーション条件とする。回転架台の角度(回転位置)とVT信号とが対応しているため、x−yモジュレーション条件は、VT信号の数、すなわち、ビュー(view)数によって表わすことができる。より具体的には、x−yモジュレーション条件は、データ収集のタイミングのパルス数(トリガー信号の数)によって表わされている。1例として、1000ビュー(view)の投影データを用いて1フレームの画像データを再構成する場合において、1ビュー(view)目におけるX線管球13の角度(回転位置)が0°の場合、x−yモジュレーション条件は以下の式(1)で表わされる。
式(1): 100×[1−A×cos(360×view数/1000)](%)
Aは管電流値の比率における振幅である。
【0041】
例えば
図2に示すように、x−yモジュレーション条件は、X線管球13に供給する管電流値の比率(X線照射量の比率)が三角関数によって表わされている。
図2に示すx−yモジュレーション比率が、x−yモジュレーション条件が示す管電流値の比率に相当する。x−yモジュレーション条件はスキャン制御部20に予め設定されている。例えば操作者がx−yモジュレーション条件を作成して、図示しない入力装置を用いてx−yモジュレーション条件を入力しても良い。このように入力されることで、x−yモジュレーション条件がスキャン制御部20に設定される。また、操作者は図示しない入力装置を用いて、管電流値の比率における振幅Aを任意に変更できるようにしても良い。
【0042】
制御部10は、スキャン制御データと架台制御データとをスキャン制御部20から受けると、架台制御データを架台駆動部16に出力して回転架台に駆動指示を与える。架台駆動部16のサーボアンプ18は架台制御データを制御部10から受けると、その架台制御データが示す回転速度に従ってモータ17を駆動させる。モータ17は回転架台を回転させ、エンコーダ19はモータ17の回転角に応じたパルスを発生する。そして、架台駆動部16は、エンコーダ19によって発生させられたパルスに応じたエンコーダデータ(位置情報)を制御部10に出力する。例えば回転架台を1回転させるたびにエンコーダ19が4000パルスを発生する場合、架台駆動部16は、回転架台1回転あたりに発生するパルスを示すエンコーダデータ(位置情報)を制御部10に出力する。
【0043】
制御部10はエンコーダデータ(位置情報)を架台駆動部16から受けると、スキャン制御データに含まれる投影データ収集条件に従ってエンコーダデータ(位置情報)が示すパルスを分周することで、データ収集部15による投影データの収集タイミングを示すデータ収集制御信号(View Trigger信号(VT信号))を生成する。例えば、エンコーダデータ(位置情報)が示す回転架台1回転あたりのパルス数が4000パルスで、投影データ収集条件が示すビュー(view)数が1000ビューである場合、制御部10は、エンコーダデータが示す1回転あたりの4000パルスを4分周することで、回転架台1回転あたりのVT信号の数(1000(view/回転))を求める。このように、制御部10は、回転架台1回転あたりの数が1000(view/回転)となるVT信号を生成する。
【0044】
制御部10はVT信号をスキャン制御データに含ませて、そのスキャン制御データを曝射制御部11に出力する。また、制御部10はVT信号をデータ収集部15に出力する。また、制御部10は投影データの収集開始を示すデータ収集開始信号(BGN)を生成してデータ収集部15に出力する。
【0045】
曝射制御部11は、VT信号、X線の曝射条件、曝射タイミング、X線モジュレーション条件、及び投影データ収集条件を含むスキャン制御データを制御部10から受けて、曝射タイミングが示すX線曝射のON/OFF信号に従って、管電流及び管電圧の供給指示を高電圧発生部12に出力する。
【0046】
(3Dモジュレーションにおける管電流値)
また、曝射制御部11は、z軸モジュレーション条件及びx−yモジュレーション条件を含むX線モジュレーション条件と、VT信号とに基づいて、3Dモジュレーションにおける管電流値を求める。すなわち、曝射制御部11は、回転架台の1回転ごとに規定された管電流値を示すテーブルデータ(z軸モジュレーション条件)と、回転架台の角度(回転位置)に対する管電流値の比率を示すデータ(x−yモジュレーション条件)とを掛け合わせることで、VT信号を変数とする3Dモジュレーションにおける管電流値を求める。なお、3Dモジュレーションにおける管電流値が、この発明の「第3の変化」の1例に相当する。
【0047】
まず、曝射制御部11は、z軸モジュレーション条件が示す回転架台の1回転ごとに規定された管電流値を示すテーブルデータと、VT信号とに基づいて、VT信号を変数とする体軸方向(z軸方向)における管電流値を求める。すなわち、曝射制御部11は、被検体の体軸方向(z軸方向)への撮影範囲(距離)を、1回のヘリカルスキャンにおけるVT信号の数(ビュー(view)数)に換算して、VT信号を変数とする体軸方向(z軸方向)における管電流値を求める。
【0048】
VT信号を変数とする管電流値を求めるために、まず、曝射制御部11は、1回のヘリカルスキャンにおける回転架台の総回転数と、1回転あたりのVT信号の数(ビュー(view)数)とによって、全回転数におけるVT信号の数(ビュー(view)数)を求める。1回のヘリカルスキャンにおける回転架台の総回転数は、例えばスキャン制御部20によって求められる。スキャン制御部20は、架台制御データに含まれる回転架台の回転速度と、寝台制御データに含まれる寝台天板の体軸方向(z軸方向)への移動速度と、スキャン制御データに含まれる体軸方向(z軸方向)への撮影範囲(距離)とに基づいて、1回のヘリカルスキャンにおける回転架台の総回転数を求める。すなわち、体軸方向への撮影範囲(距離)と体軸方向への寝台天板の移動速度とによって、1回のヘリカルスキャンに要する時間が求まるため、その時間と回転架台の回転速度とによって総回転数が求められる。曝射制御部11は、回転架台の総回転数を示す情報を、制御部10を介してスキャン制御部20から受ける。また、回転架台1回転あたりのVT信号の数は、上述したように制御部10によって求められる。これにより、曝射制御部11は、回転架台の総回転数におけるVT信号の数(ビュー(view)数)を求める。このように、全回転数におけるVT信号の数(ビュー(view)数)が求められるため、曝射制御部11は、回転架台の1回転ごとに規定された管電流値を、VT信号を変数とする管電流値に変換する。
【0049】
そして、曝射制御部11は、ビュー(view)数を次元として管電流値のテーブルデータをスムージング処理することにより、
図2に示すz軸モジュレーションのVTスムージングデータのように滑らかな管電流値を求める。スムージング処理によって得られたz軸モジュレーション条件(管電流値)を、Fz(view)[mA]とする。
【0050】
さらに、曝射制御部11は、スムージング処理されたzモジュレーション条件が示す管電流値Fz(view)と、x−yモジュレーション条件が示す管電流値の比率とを掛け合わせることで、3Dモジュレーションにおける管電流値(X線照射量)を求める。
3Dモジュレーションにおける管電流値は、以下の式(2)で表わされる。
式(2):
Fz(view)×100×[1−A×cos(360×view数/1000)](mA)
【0051】
式(2)で表わされる3Dモジュレーションの管電流値を
図2に示す。
図2に示す3DモジュレーションにおけるVTスムージングデータが、式(2)で表わされる3Dモジュレーションにおける管電流値を表している。3Dモジュレーションにおける管電流値は、VT信号を変数とした曲線で表わされることになる。この実施形態では、1例としてx−yモジュレーション条件に三角関数を用いているため、3Dモジュレーションにおける管電流値は三角関数を含む関数によって表わされる。
【0052】
以上のように、z軸モジュレーション条件が示す管電流値と、x−yモジュレーションが示す管電流値の比率とを掛け合わせることで、3Dモジュレーションが示す管電流値は、xyz軸によって規定される3次元空間における管電流値を示すことになる。この実施形態に係る3Dモジュレーションにおける管電流値はVT信号を変数としているため、VT信号を用いてビュー(view)数をカウントすることで、xyz軸で規定される3次元空間の任意の位置における管電流値が上記式(2)によって特定される。上述したように、x−y断面におけるX線管球13の角度(回転位置)とVT信号とは対応している。また、体軸方向(z軸方向)におけるX線管球13の位置は、回転架台の回転数に対応し、回転数とVT信号の数とが対応している。従って、VT信号を用いてビュー(view)数をカウントすることで、xyz軸で規定される3次元空間におけるX線管球13の位置が特定され、式(2)によってその位置における管電流値が特定される。このように、VT信号によって3Dモジュレーションを一元的に制御することができる。
【0053】
曝射制御部11は、曝射タイミングが示すX線曝射のON/OFF信号に従って、3Dモジュレーションが示す管電流の供給指示を高電圧発生部12に出力する。3Dモジュレーションにおける管電流値はVT信号によって規定されているため、曝射制御部11は、3Dモジュレーションが示すVT信号を変数とする管電流値に従って、VT信号ごとに管電流値を変えて管電流の供給指示を高電圧発生部12に出力する。すなわち、曝射制御部11は、制御部10からVT信号を受けるたびに、3Dモジュレーションに従って管電流値を変えて管電流の供給指示を高電圧発生部12に出力する。このように、曝射制御部11は制御部10から出力されたVT信号に同期して、3Dモジュレーションに従って管電流値を変えて管電流の供給指示を高電圧発生部12に出力する。なお、制御部10及び曝射制御部11によって、この発明の「制御手段」の1例を構成する。
【0054】
高電圧発生部12は曝射制御部11の制御の下、曝射タイミングがX線曝射ON状態を示す期間中、管電流及び管電圧をX線管球13に供給することでX線管球13からX線を曝射させる。一方、高電圧発生部12は、曝射タイミングがX線曝射OFF状態を示す期間中、X線管球13への管電流及び管電圧の供給を停止することでX線管球13からのX線曝射を停止させる。
【0055】
データ収集部15は制御部10から出力されたVT信号に同期して、X線検出器14によって検出されたX線を投影データとして収集して制御部10に出力する。データ収集部15は、データ収集開始信号(BGN)を制御部10から受けると投影データの収集を開始し、VT信号に同期して投影データを収集する。制御部10はデータ収集部15によって収集された投影データを前処理部21に出力する。
【0056】
前処理部21は、データ収集部15によって収集された投影データを制御部10から受けて、その投影データに感度補正やX線強度補正などの処理を施す。投影データ記憶部22は、前処理部21によって感度補正などの処理が施された投影データを記憶する。
【0057】
再構成処理部23は投影データを投影データ記憶部22から読み込み、その投影データを逆投影処理することにより画像データを再構成する。これにより、被検体を表す画像データが生成される。例えば再構成処理部23は、被検体の断面における組織を表す断層像データを生成する。投影データ収集条件が示すビュー(view)数が1000ビューの場合、再構成処理部23は投影データ収集条件に従って、1000ビュー(view)の投影データを用いて1フレームの断層像データを再構成する。画像データ記憶部24は、再構成処理部23によって再構成された画像データを記憶する。
【0058】
表示制御部25は画像データを画像データ記憶部24から読み込み、その画像データに基づく画像を表示部26に表示させる。表示部26は、CRTや液晶ディスプレイなどのモニタによって構成されている。
【0059】
なお、画像データに対して画像処理を施す図示しない画像処理部を設けても良い。この画像処理部は図示しない入力装置によって入力された操作者からの指示に従って、画像データ記憶部24に記憶されている画像データに対して様々な画像処理を施す。例えば画像処理部は、画像データにボリュームレンダリング処理やMPR処理などの画像処理を施すことで3次元画像データやMPR画像データ(任意の断面における画像データ)を生成する。表示制御部25は、画像処理部によって生成された画像データに基づく画像を表示部26に表示させる。
【0060】
また、図示しない入力装置がX線CT装置に設けられている。操作者は入力装置を用いて、上述したスキャン制御データなどの様々な情報や各種の指示を入力することができる。
【0061】
以上のように構成されたX線CT装置は、スキャン制御部20の制御の下で、回転架台を回転させながら投影データを収集する。
【0062】
寝台駆動部31は、スキャン制御部20から出力された寝台制御データが示す移動速度に従って、寝台30の寝台天板を被検体の体軸方向(z軸方向)に移動させる。高電圧発生部12は曝射制御部11の制御の下、制御部10から出力されたVT信号に同期して管電流値を変えてX線管球13に供給する。これにより、X線管球13からX線が曝射されるとともに、寝台30の寝台天板が寝台駆動部31によって移動させられ、被検体に対するX線管球13の相対的な軌跡がらせん状となるようなヘリカルスキャンが開始される。そして、データ収集部15は制御部10から出力されたVT信号に同期して、X線検出器14によって検出されたX線を投影データとして収集して制御部10に出力する。
【0063】
なお、制御部10、スキャン制御部20、前処理部21、再構成処理部23、及び表示制御部25は、1例としてCPU、GPU、又はASICなどの図示しない処理装置と、ROM、RAM、又はHDDなどの図示しない記憶装置とによって構成されていても良い。記憶装置には、制御部10の機能を実行するための制御プログラム、スキャン制御部20の機能を実行するためのスキャン制御プログラム、前処理部21の機能を実行するための前処理プログラム、再構成処理部23の機能を実行するための再構成処理プログラム、及び、表示制御部25の機能を実行するための表示制御プログラムが記憶されている。そして、CPUなどの処理装置が各プログラムを実行することで、各部の機能が実行される。
【0064】
次に、この実施形態に係るX線CT装置による一連の動作について、
図2のタイミングチャートを参照して説明する。
【0065】
コンソール部2のスキャン制御部20は、スキャン制御データ及び架台制御データを架台装置1の制御部10に出力し、寝台制御データを寝台装置3の寝台駆動部31に出力する。
【0066】
架台装置1の制御部10は、架台制御部データを架台駆動部16に出力して回転架台に駆動指示を与える。架台駆動部16のサーボアンプ18は架台制御データが示す回転速度に従ってモータ17を回転させる。モータ17は回転架台を回転させ、エンコーダ19はモータ17の回転角に応じたパルスを発生する。そして、架台駆動部16は、エンコーダ19によって発生させられたパルスに応じたエンコーダデータ(位置情報)を制御部10に出力する。
【0067】
制御部10は、スキャン制御データに含まれる投影データ収集条件に従ってエンコーダデータ(位置情報)が示すパルスを分周することでVT信号を生成する。例えば、回転架台1回転あたりのパルス数が4000パルスで、投影データ収集条件が示すビュー(view)数が1000ビューである場合、制御部10は、エンコーダデータが示す1回転あたりの4000パルスを4分周することで、回転架台1回転あたりのVT信号の数(1000(view/回転))を求める。このように、制御部10は、回転架台1回転あたりの数が1000(view/回転)となるVT信号を生成する。
【0068】
制御部10はVT信号をスキャン制御データに含ませて、そのスキャン制御データを曝射制御部11に出力する。また、制御部10はVT信号をデータ収集部15に出力する。また、制御部10は投影データの収集開始を示すデータ収集開始信号(BGN)を生成してデータ収集部15に出力する。
【0069】
曝射制御部11は、X線モジュレーション条件とVT信号とに基づいて、3Dモジュレーションにおける管電流値を求める。まず、曝射制御部11は、z軸モジュレーションが示す回転架台の1回転ごとに規定された管電流値を示すテーブルデータと、VT信号とに基づいて、VT信号を変数とする体軸方向(z軸方向)における管電流値を求める。そして、曝射制御部11は、ビュー(view)数を次元として管電流値のテーブルデータをスムージング処理することにより、
図2に示すz軸モジュレーションのVTスムージングデータのように滑らかな管電流値Fz(view)を求める。
【0070】
さらに曝射制御部11は、スムージング処理されたz軸モジュレーション条件が示す管電流値Fz(view)と、x−yモジュレーション条件が示す管電流値の比率とを掛け合わせることで、上述した式(2)によって表わされる3Dモジュレーションにおける管電流値を求める。
図2に示す3DモジュレーションにおけるVTスムージングデータが、3Dモジュレーションにおける管電流値に相当する。
【0071】
そして曝射制御部11は、曝射タイミングが示すX線曝射のON/OFF信号に従って、3Dモジュレーションが示す管電流及び管電圧の供給を高電圧発生部12に出力する。曝射制御部11は、3Dモジュレーションが示す管電流値に従って、VT信号を制御部10から受けるたびに管電流値を変えて管電流の供給指示を高電圧発生部12に出力する。
【0072】
寝台駆動部31は、スキャン制御部20から出力された寝台制御データが示す移動速度に従って、寝台30の寝台天板を被検体の体軸方向(z軸方向)に移動させる。高電圧発生部12は曝射制御部11の制御の下、管電流及び管電圧をX線管球13に供給する。これにより、X線管球13からX線が曝射されるとともに、寝台30の寝台天板が寝台駆動部31によって移動させられて、ヘリカルスキャンにより撮影が開始される。そして、データ収集部15は制御部10から出力されたVT信号に同期して、X線検出器14によって検出されたX線を投影データとして収集して制御部10に出力する。制御部10はデータ収集部15によって収集された投影データを前処理部21に出力する。
【0073】
前処理部21は、制御部10から出力された投影データに感度補正などの処理を施す。再構成処理部23は投影データを逆投影処理することにより画像データを生成する。例えば、投影データ収集条件が示すビュー(view)数が1000ビューの場合、再構成処理部23は1000ビューの投影データを用いて1フレームの画像データを再構成する。そして、表示制御部25は再構成処理部23によって生成された画像データに基づく画像を表示部26に表示させる。
【0074】
以上のように、回転架台の回転数に依存せずにVT信号によって管電流の供給を制御することにより、X線管球13の任意の位置で管電流値を切り替えることが可能となる。このように、VT信号によって管電流値を制御するため、3Dモジュレーションの精度を向上させることが可能となる。つまり、回転架台の回転数よりも細かいVT信号の数によって管電流値を制御するため、X線管球13に供給する管電流の連続性を向上させることが可能となる。そのことにより、z軸モジュレーションにおける管電流値の変調幅が大きくなるタイミングと、x−yモジュレーションにおける管電流値の比率が大きくなるタイミングとが重なった場合であっても、管電流が不連続に低下することを抑えて、連続的な制御が可能となる。このように、この実施形態に係る3Dモジュレーションでは、管電流値の連続性が保たれるため、X線検出器14の出力のばらつき(標準偏差:SD値)を極力一定に保つことが可能となる。
【0075】
また、3DモジュレーションをVT信号によって一元的に制御することにより、z軸モジュレーションとx−yモジュレーションとの同期性を向上させ、また、3Dモジュレーションとデータ収集部15によるデータ収集との同期性を向上させることが可能となる。
【0076】
さらに、z軸モジュレーションが示す管電流値をビュー(view)数でスムージング処理することにより、X線管球13に供給する管電流をVT信号に応じて連続的に制御することが可能となる。
【0077】
(変形例1)
次に、変形例1に係るX線CT装置について
図3を参照して説明する。
図3は、変形例1に係るX線CT装置による動作を示すタイミングチャートである。変形例1においては、x−yモジュレーション条件を変えている。変形例1に係るx−yモジュレーション条件はz軸モジュレーション条件と同様に、回転架台の1回転ごとに規定された管電流値の比率を示すテーブルデータである。変形例1に係るx−yモジュレーション条件は、回転架台の角度に対する管電流値の比率を三角関数によって表わされているが、回転架台の1回転ごとに比率の振幅を変えている。具体的には上述した式(1)において、管電流値の比率の振幅Aを回転架台の1回転ごとに変えている。
【0078】
上述したように、x−yモジュレーション条件は、被検体のx−y断面形状を楕円モデルによって近似して管電流値の比率を決定している。しかしながら、被検体のx−y断面形状は体軸方向(z軸方向)の場所によって異なる。そこで、変形例1においては、管電流値の比率の振幅Aを一律に設定せずに、体軸方向(z軸方向)の位置によって振幅Aの値を変える。体軸方向(z軸方向)の位置と回転架台の回転数とは対応しているため、この変形例では回転架台の1回転ごとに振幅Aの大きさを変える。
【0079】
例えば、被検体のデュアルスキャノ画像を参照して、被検体の体厚やX線吸収率の大きな臓器の有無を特定して、回転架台の1回転ごとの振幅Aの大きさを決定する。例えば、被検体の体厚が厚い箇所においては振幅Aを大きくし、体厚が薄い箇所においては振幅Aを小さくする。
【0080】
以上のように回転架台の1回転ごとに振幅Aの大きさを変えることで、
図3に示すx−yモジュレーション条件(比率)におけるテーブルデータのように、1回転内においては、x−yモジュレーション条件が示す比率は式(1)に従った三角関数で表わされるが、1回転ごとに振幅Aの大きさが変わっているため離散的な比率となっている。
【0081】
曝射制御部11は、上述した実施形態と同様に、ビュー(view)数を次元としてz軸モジュレーション条件が示す管電流値のテーブルデータをスムージング処理することにより、
図3に示すz軸モジュレーションのVTスムージングデータのように滑らかな管電流値を求める。さらに、曝射制御部11は、ビュー(view)数を次元としてx−yモジュレーション条件が示す管電流値の比率のテーブルデータをスムージング処理することにより、
図3に示すx−yモジュレーション比率のVTスムージングデータのように滑らかな管電流値の比率を求める。
【0082】
そして、曝射制御部11は、スムージング処理されたzモジュレーション条件が示す管電流値Fz(view)と、スムージング処理されたx−yモジュレーション条件が示す管電流値の比率とを掛け合わせることで、3Dモジュレーションにおける管電流値(X線照射量)を求める。変形例1に係る3Dモジュレーションにおける管電流値を
図3に示す。
図3に示す3DモジュレーションにおけるVTスムージングデータが、曝射制御部11によって求められた3Dモジュレーションにおける管電流値を表している。上述した実施形態と同様に、3Dモジュレーションにおける管電流値は、VT信号を変数とした曲線で表わされることになる。
【0083】
そして、上述した実施形態と同様に、曝射制御部11は、曝射タイミングが示すX線曝射のON/OFF信号に従って、3Dモジュレーションが示す管電流の供給指示を高電圧発生部12に出力する。管電流値はVT信号によって規定されているため、曝射制御部11は、制御部10からVT信号を受けるたびに、3Dモジュレーションが示す管電流値に従って管電流値を変えて管電流の供給指示を高電圧発生部12に出力する。
【0084】
以上のように、回転架台の1回転ごとにx−yモジュレーション条件を変えているため、被検体のx−y断面形状が体軸方向(z軸方向)の位置によって異なる場合であっても、その形状に合わせてX線管球13への管電流の供給を制御することが可能となる。そのことにより、X線検出器14の出力のばらつきをより一定に保つことが可能となる。
【0085】
(変形例2)
次に、変形例2に係るX線CT装置について説明する。上述した実施形態及び変形例1では、z軸モジュレーション条件に係るテーブルデータが示す管電流値は、回転架台の回転数によって規定されている。変形例2では、z軸モジュレーション条件に係るテーブルデータが示す管電流値をビュー(view)数によって規定する。
【0086】
例えば、ビュー(view)数が3000ビュー(view)のときに管電流値が400(mA)である場合、管電流値を400(3000)と定義する。すなわち、z軸モジュレーション条件のテーブルデータを管電流値(ビュー数)と定義する。これにより、z軸モジュレーション条件のテーブルデータは、[500(0)、450(2000)、400(3000)、380(3500)、360(3800)、350(4000)、360(4400)、370(4600)、380(4800)、370(5100)、・・・]mAのように、ビュー(view)数を変数とする管電流データ配列として表わされる。
【0087】
変形例2においても、曝射制御部11は、ビュー(view)数を次元としてz軸モジュレーション条件が示す管電流値のテーブルデータをスムージング処理することで、z軸モジュレーションのVTスムージングデータのように滑らかな管電流値を求める。
【0088】
変形例2に係るz軸モジュレーション条件は、上述した実施形態及び変形例1のいずれに適用しても良い。変形例2のようにz軸モジュレーション条件のテーブルデータをビュー(view)数で規定した場合であっても、上述した実施形態及び変形例1と同じ作用及び効果を奏することが可能となる。すなわち、変形例2においても、3Dモジュレーションにおける管電流値の連続性が保たれるため、X線検出器14の出力のばらつきを極力一定に保つことが可能となる。