(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5784098
(24)【登録日】2015年7月31日
(45)【発行日】2015年9月24日
(54)【発明の名称】容器反転機
(51)【国際特許分類】
B65G 65/24 20060101AFI20150907BHJP
B65G 7/08 20060101ALI20150907BHJP
【FI】
B65G65/24
B65G7/08 A
【請求項の数】6
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2013-244661(P2013-244661)
(22)【出願日】2013年11月27日
(65)【公開番号】特開2015-101463(P2015-101463A)
(43)【公開日】2015年6月4日
【審査請求日】2014年8月4日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 平成25年11月7日−8日四日市ドームにおいて開催された第11回リーディング産業展みえで発表
(73)【特許権者】
【識別番号】512219231
【氏名又は名称】有限会社 大河内
(74)【代理人】
【識別番号】100143111
【弁理士】
【氏名又は名称】青山 秀夫
(72)【発明者】
【氏名】山本 真太朗
【審査官】
大谷 光司
(56)【参考文献】
【文献】
実開昭61−034536(JP,U)
【文献】
特開平10−236655(JP,A)
【文献】
特開2000−016538(JP,A)
【文献】
特開2002−220120(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2005/0029298(US,A1)
【文献】
米国特許第6213352(US,B1)
【文献】
米国特許第8011622(US,B1)
【文献】
米国特許第5967362(US,A)
【文献】
米国特許第1791005(US,A)
【文献】
米国特許第7399017(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 65/24
B65G 65/23
B65G 7/08 A
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器内の流動体を反転して流出させる容器反転機であって、本体枠と、本体枠に軸動可能に吊り下げられた容器保持台と、容器保持台を反転させる操作ハンドルとを含み、
前記本体枠には向い合う一対の軸支部からなる第1の軸受部が備えられ
前記容器保持台は、第1の軸受部に軸支された横軸体と、横軸体から垂下された容器側面部保持体と、前記容器側面部保持体の下方において側方に突出される容器載置板とを備え、前記容器載置板の突出側には前記操作ハンドルを軸支させる第2の軸受部が備えられ、
前記操作ハンドルは、容器上縁部保持枠と操作腕部とからなり、容器上縁部保持枠は、略コ字形状をなすように一対の竿部材と繋部材とからなり、前記一対の竿部材の突出端部側が第2の軸受部に軸支され、前記操作腕部が第2の軸受部を挟んで前記竿部材端部から外方に伸び、
前記繋部材が容器の上縁部に向かうように、第2の軸受部の回りに操作ハンドルを回動させて、前記容器載置板に載った容器を前記繋部材により押えて保持した状態としてから、第1の軸受部に対して前記容器保持台を回動させるように操作ハンドルを操作して容器を反転させる、
ことを特徴とする容器反転機。
【請求項2】
前記竿部材の端部と前記繋部材の中間に第2操作腕部が形成されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の容器反転機。
【請求項3】
前記横軸体に容器の側面形状に整合する屈曲部が形成されると共に、前記容器載置板の第1の軸受部側に容器の側面下部に接する立設片が形成されている、
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の容器反転機。
【請求項4】
前記横軸体から前記容器載置板までの距離が、載置させる容器の高さよりも小さい、
ことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の容器反転機。
【請求項5】
前記横軸体から前記容器載置板までの距離が、載置させる容器の高さの1/2の高さよりも大きい、
ことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の容器反転機。
【請求項6】
前記横軸体又は前記本体枠の少なくともいずれかに、前記容器保持台の反転を規制するストッパーが形成されている、
ことを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の容器反転機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドラム缶、18リットル缶、内容物を収容しているその他の容器を、内容物を取り出す位置に容易に設置し、その位置で反転させ所望量の内容物を安全に取り出し、また容器を容易に交換することが可能な容器反転機に関する。
【背景技術】
【0002】
石油、塗料、溶剤、食用油、醤油等の液体、又は水煮等の半液状体を収容した容器から内容物を取り出す際に、容器が18リットル〜20リットルの大きさの小型缶の場合には、作業者が缶の上部の取っ手を掴んで吊り上げて、容器を傾斜させて内容物を流し出すことが行われている。一方、支持枠に小型缶の胴部を帯体で締め付けて、床から上がった位置に缶を宙吊りに固定して、帯体ごと缶を軸動させ、反転させて内容物を取り出すことも行われている。しかし、帯体を固定しているボルトを外して、締め付けを弛めなければ缶を交換することができず、缶の交換に手間がかかっていた。
【0003】
異なる色の塗料缶の塗料を混合して色を調合する塗装作業等の場合には、容器を交換しながら作業を進める必要があり、頻繁に作業者が缶を吊上げる場合には作業者が腰痛になる一方、塗料缶を帯体などに固定して宙吊りにすると、塗料缶の交換に手間がかかるという課題があった。対象が小型の容器の場合には、容易且つ確実に保持して反転できると共に、容易に缶を取り外して交換することが可能な容器反転機の開発が求められていた。
【0004】
一方、大型容器のドラム缶等の場合には、作業者が人力で容器を持上げて傾けることが困難になり、吊上げ機等を使って、容器を吊り上げた上で容器が傾けられて、内容物が流し出されている。従来は、支持枠に上下方向に昇降する昇降枠を設け、この昇降枠にドラム缶の上縁を把持する把持枠を設け、ドラム缶の反転操作時に、昇降枠に対して把持枠を回動装置により回動させて内容物を流し出していた。その際に、ドラム缶の上縁を把持する把持枠に一体に、ドラム缶の下部を保持する保持手段にドラム缶下部を係合させて、ドラム缶の落下が防止されていた。しかし、このような流出作業によれば、ドラム缶の上縁を把持させても、下部の保持手段を正常に機能させないでドラム缶を反転させると、ドラム缶が把持枠から外れて落下し、床面に内容物が流出又は散逸するという課題があった。
【0005】
そこで、特開平6−166436号公報(特許文献1)には、ドラム缶を所定の高さに上昇させ、その位置で転倒させて内容物を他の容器等へ流出させるドラム缶転倒機に関し、転倒操作時にドラム缶の落下を確実に防止するという課題を解決する技術が開示されている。この技術によれば、支持枠に上下方向に昇降する昇降枠を設け、この昇降枠にドラム缶の上縁の把持手段と下部の保持手段を備えた把持枠を取り付け、この把持枠を昇降枠に対して回動させる回動装置を設けたドラム缶転倒機において、下部の把持枠をドラム缶の左右両側に延長し、先端に湾曲部を有する左右一対の保持アームとして、この一対の保持アームを昇降枠の上昇動作に連動させ、昇降枠の上昇時にドラム缶下部を保持させ、降下時に解除するようにしている。
【0006】
しかし、この技術による場合には、ドラム缶の上縁が把持手段に確実に把持されていない場合には、ドラム缶が昇降枠に沿って下方に落下する可能性があるという課題があった。そこで、ドラム缶の上縁を把持しなくてもドラム缶を反転させることが可能な技術が開発されている。例えば、特開2002−220120号公報(特許文献2)には、ドラム缶を吊り上げ転倒させ、内容物を排出させる作業において、作業時間の短縮、安全性確保、省力化を通じた作業者の負担軽減を図ることを課題とした技術が開示されている。
【0007】
特許文献2には、ドラム缶の底部と側面を保持する一対の平行な第一アーム部材と、転倒時にドラム缶の頂部と側面を保持する一対の平行な第二アーム部材とが、回転支点の方向から見て略V字形をなすようにドラム缶保持手段が形成され、ドラム缶底部支持部材を上方に持ち上げることによってドラム缶保持手段が回転支点を中心に回転し、ドラム缶保持手段に斜めに傾斜して載置されたドラム缶が転倒することを特徴とするドラム缶転倒機の技術が開示されている。
【0008】
この特許文献2による場合には、ドラム缶は、第一アーム部材の吊り上げ開始時からドラム缶が水平まで持ち上げられるまでの間は、ドラム缶の底部と側面とが底部支持部材により支えられ、さらに転倒させて傾斜角度が増加すると、ドラム缶は傾斜角度に沿って移動し、底部支持部材を離れて移動し、頂部と側面を保持する頂部支持部材により支えられるようになる。そして、傾斜角度が増すことにより、内容物である流動体が流し出される。また、ドラム缶転倒時の移動による頂部支持部材とドラム缶の衝突により火花が発生する可能性があり、これによる引火を防止するために頂部支持部材の少なくとも一部にゴム被覆がされることが好適とされている。
【0009】
このように、特許文献2のドラム缶の転倒機による場合には、作業時間の短縮等が図れても、ドラム缶の移動により金属部の衝突による火花により、発火の可能性という新たな課題が発生した。また、底部支持部材にドラム缶の底面と側面を接して保持するように、ドラム缶保持手段が略V字形をなすように形成されているため、ドラム缶を所定の位置に載置する際に、ドラム缶を所定の位置まで移動した上で、傾斜させて載置させるという手間がかかり、その際の金属衝突による火花によっても発火の可能性があるという課題もあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開平6−166436号公報
【特許文献2】特開2002−220120号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
そこで、本発明は、容易且つ確実に小型容器を保持でき、その容器を容易に取り外して交換することが可能であると共に、その上縁を把持しなくても容器を確実に保持し、容器を反転する際又は設置する際に、金属衝突による火花が発生することがない安全な容器反転機を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の第1の発明は、容器内の流動体を反転して流出させる容器反転機であって、本体枠と、前記本体枠に軸動可能に吊り下げられた容器保持台と、前記容器保持台を反転させる操作ハンドルとを含み、前記本体枠には向い合う一対の軸支部からなる第1の軸受部が備えられ、前記容器保持台は、第1の軸受部に軸支された横軸体と、前記横軸体から垂下された容器側面部保持体と、前記容器側面部保持体の下方において側方に突出される容器載置板とを備え、前記容器載置板の突出側には前記操作ハンドルを軸支させる第2の軸受部が備えられ、前記操作ハンドルは、容器上縁部保持枠と操作腕部とからなり、前記容器上縁部保持枠は、略コ字形状をなすように一対の竿部材と繋部材とからなり、前記一対の竿部材の突出端部側が第2の軸受部に軸支され、前記操作腕部が第2の軸受部を挟んで前記竿部材の端部から外方に伸び、前記繋部材が容器の上縁部に向かうように、第2の軸受部の回りに前記操作ハンドルを回動させて、前記容器載置板に載った容器を前記繋部材により押えて保持した状態としてから、第1の軸受部に対して前記容器保持台を回動させるように前記操作ハンドルを操作して容器を反転させることを特徴としている。
【0013】
第1の発明によれば、第2の軸受部の回りに操作ハンドルを回動させて、容器載置板と繋部材により容器を挟んで保持する。更に、第1の軸受部の回りに、容器を保持する方向と同一方向に、操作ハンドルを回動させて容器保持台を反転させる。容器の保持と容器保持台の反転の操作を、一つの操作ハンドルを同一方向に回動させるという一連の操作で行うことができる。これにより、容器を容易且つ確実に保持できると共に、容器を安全に反転させることが可能である。また容器を容器保持台に載せているだけなので、容器を取り外すことも容易であり、容器の交換も容易である。
【0014】
容器上縁部保持枠をなす繋部材と容器載置板とにより、容器が移動しないように挟まれているため、金属体の衝突による火花の発生がなく、火災の発生の可能性がない。また、容器載置板に容器を直立させた状態で載置すればよく、容器が大型であっても、フォークリフト等を使って容器を直立した状態で容器載置板に置くことが可能である。また、第2の軸受部を挟んで容器上縁部保持枠と操作腕部が形成されているため、操作腕部を上方からホイスト等で吊り上げるようにすれば、容器上腕部保持枠が弛むことがなく、容器を確実に保持した状態が維持でき、安全かつ容易に反転することが可能である。
【0015】
本発明の第2の発明は、第1の発明の容器反転機において、前記竿部材の端部と前記繋部材の中間に第2操作腕部が形成されている、ことを特徴としている。第2の発明によれば、2つの操作腕部が備えられているため、作業者自身が容器を反転させる場合であっても、左右の手で各々の操作腕部を操作して、容器の反転角度を容易に調整することが可能である。これにより、容器の反転角度の調整がより容易になり、内容物の流出量を微妙に調整することが可能になる。
【0016】
本発明の第3の発明は、第1又は第2の容器反転機において、前記横軸体に容器の側面形状に整合する屈曲部が形成されると共に、前記容器載置板の第1の軸受部側に容器の側面下部に接する立設片が形成されていることを特徴としている。第3の発明によれば、容器の上方部が横軸体の屈曲部で支持され、下方部が立設片により支持されているため、容器を反転させた状態としても容器が滑り、落下することがなく安全である。
【0017】
本発明の第4の発明は、第1から第3の容器反転機において、前記横軸体から前記容器載置板までの距離が、載置させる容器の高さよりも小さいことを特徴としている。第4の発明によれば、容器の流出口が形成された上面が横軸体よりも上方に位置しているため、容器を反転させた状態としても、内容物が横軸体よりも上方から排出され、流出状態の視認が容易であり、流出量を微妙に調整することが容易となる。
【0018】
本発明の第5の発明は、第1から第4の容器反転機において、前記横軸体から前記容器載置板までの距離が、載置させる容器の高さの1/2の高さよりも大きいことを特徴としている。第5の発明によれば、容器を水平状態まで反転させても、容器の重心が前記横軸体を越えない位置にあるため、内容物を流出させた後に容器と容器保持台の自重で、容器が反転させる前の状態に復帰する。また、容器を誤って勢いよく回動させることがなく、流出口から所望量を超える大量の流出をさせることがない。
【0019】
本発明の第6の発明は、第1から第5の容器反転機において、前記横軸体又は前記本体枠の少なくともいずれかに、前記容器保持台の反転を規制するストッパーが形成されていることを特徴としている。第6の発明によれば、本体枠に対する容器保持台の反転が規制され、容器反転機が自立式であっても、容器反転機自体が転倒することが防止される。
【発明の効果】
【0020】
本発明の第1の発明によれば、容器を容易且つ確実に保持できると共に、容器を安全に反転させることが可能である。また容器を容器保持台に載せているだけなので、容器を取り外すことも容易であり、容器の交換も容易である。繋部材と容器載置板とにより、容器が移動しないように挟まれているため、金属体の衝突による火花の発生がなく、火災の発生の可能性がない。容器が大型であっても、フォークリフト等を使って容器を直立した状態で容器載置板に置くことが可能であると共に、容器を確実に保持した状態が維持でき、安全かつ容易に反転することが可能である。
本発明の第2の発明によれば、容器の反転角度の調整がより容易になり、内容物の流出量を微妙に調整することが可能になる。
【0021】
本発明の第3の発明によれば、容器の上方部が横軸体の屈曲部で支持され、下方部が立設片により支持されているため、容器を反転させた状態としても容器が滑り、落下することがなく安全である。
本発明の第4の発明によれば、容器の流出口が形成された上面が横軸体よりも上方に位置しているため、容器を反転させた状態としても、内容物が横軸体よりも上方から排出され、流出状態の視認が容易であり、流出量を微妙に調整することが容易となる。
【0022】
本発明の第5の発明によれば、容器を水平状態まで反転させても、容器の重心が前記横軸体を越えない近い位置にあるため、内容物を流出させた後に容器と容器保持台の自重で、容器が反転させる前の状態に復帰する。また、容器を誤って勢いよく回動させることがなく、流出口から所望量を超える大量の流出をさせることがない。
本発明の第6の発明によれば、本体枠に対する容器保持台の反転が規制され、容器反転機が自立式であっても、容器反転機自体が転倒することが防止される。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】18リットル缶反転機の斜視図による説明図(実施例1)。
【
図2】18リットル缶反転機の操作説明図(実施例1)。
【
図3】18リットル缶反転機の操作説明図(実施例1)。
【
図4】ドラム缶反転機の側面図による説明図(実施例2)。
【
図5】ドラム缶反転機の反転状態説明図(実施例2)。
【発明を実施するための形態】
【0024】
容器を本体枠の第1軸に吊り下げた容器載置台に載せて、容器載置台の後方に形成させた第2軸の回りに回動可能な容器上縁部保持枠で容器の上縁部を押さえた状態として、容器載置台と共に容器を第1軸の回りに反転させることにより、容器内の内容物を流出させることとした。
【実施例1】
【0025】
実施例1の容器反転機は、容量18リットルの角型缶、いわゆる一斗缶の内容物の流動体を、一斗缶を傾けるように反転させて流出させる一斗缶反転機1の実施例である。一斗缶反転機1は本体枠10と、容器保持台20と、操作ハンドル30とから構成されている。
図1は、実施例1の一斗缶反転機1を斜視図による説明する説明図である。
図1において一点鎖線で示すA‐Aは第1の軸を示し、B‐Bは第2の軸を示している。
【0026】
本体枠10は、一対の支柱11と、支柱11を床面に支えるように支柱から床に沿って延びる床枠12と、容器保持台が支柱から前方に搖動することを止めるように支柱11から側方に突出された容器保持台支持枠13とからなる。一対の支柱11の上部には、向い合う位置に軸支穴が設けられ、第1の軸受部14が形成されている。また、床枠12には一斗缶反転機1を床にぐらつかないように設置するための螺子軸体を有する設置調整部15が床枠の隅部に備えられている。更に床枠12の後端部には、反転機本体のずれ止めステップ16が備えられている。また、支柱11には、容器保持台20の反転角度を規制するように支柱から突出されたストッパー受17が形成されている。
【0027】
容器保持台20は、横軸体21と、容器側面部保持体22と、容器載置板23とからなっている。横軸体21の両端部は、第1の軸受部14に回動可能に軸支されている。横軸体21は一斗缶の角隅部の形状に整合するように中央近傍部が「く」字形状に前方に屈曲されている。また、横軸体21の屈曲部の両側から一対の竿体が容器側面部保持体22として垂下するように溶着されている。一対の竿体に替えて、板体を屈曲させて垂下させたものであってもよい。容器保持台20が傾きすぎないように、横軸体21には前記ストッパー受17に当たって反転角度を規制するストッパー棒27が設けられている。
【0028】
容器側面部保持体22の下部には角型缶を載置させる容器載置板23が溶着されている。容器載置板23の前方は角型缶の隅部に沿うように折り上げられて、角型缶が前方にずれるのを防止する立設片24が形成されると共に、容器載置板が変形しにくいように剛性が向上されている。容器載置板23の後方は角型缶を載置することが容易となるように、角型缶の底面よりも後方に長く延びて形成されている。容器載置板23の両側の側縁下方にはL型鋼25が溶接され後方に延びている。L型鋼25の下方辺は前記容器保持台支持枠13に載り、容器載置板23が水平となるようにされている。両側のL型鋼25の後方部の向い合う位置には、第2の軸受部26が備えられている。
【0029】
操作ハンドル30は、容器上縁部保持枠31と操作腕部32とからなっている。容器上縁部保持枠31は、上方部が略コ字形状をなすように一対の竿部材33と繋部材34とからなっている。実施例1では丸鋼管を屈曲させて略コ字形状としているが、上方部が略コ字状をなして、繋部材34が一斗缶の後端縁を上方から押えることができるようにされれば、形状、構成材料は限定されない。
【0030】
前記一対の竿部材の突出端部35が、第2の軸受部26に軸支される。そして、突出端部35からは第2の軸受部26を挟んで操作腕部32が伸びて形成されている。より具体的には、実施例1の操作ハンドル30は、丸鋼管がロ字形状をなすように環状に屈曲されて中間部で屈曲され、その中間部が第2の軸受部26に軸支されている。更に、操作ハンドル30には、第2の軸受部の位置と繋部材との中間位置に第2の操作腕部36が、一対の竿部材33を繋ぐように略コ字形状をなすように形成されている。
【0031】
ここで、
図2及び
図3を参照して一斗缶101を反転させて、一斗缶から流動体を流出させる作用を説明する。
図2(A)図は、一斗缶101を一斗缶反転機1に載置しようする状態の説明図、
図2(B)図は、一斗缶を一斗缶反転機1に載置して操作ハンドル30を操作する前の状態の説明図、
図2(C)図は、操作ハンドルの容器上縁部保持枠31を一斗缶の上縁部に引っ掛けた状態の説明図である。
図3(A)図は、容器保持台20と共に一斗缶101を反転させている状態の説明図、
図3(B)図は、一斗缶101を90度以上反転させて、一斗缶内部の流動体を出し切っている状態の説明図である。
【0032】
まず、一斗缶反転機1に一斗缶101を載置するには、操作ハンドル30を水平状態となるように後方に倒しておいて、容器載置板23の上方から(
図2(A)図参照)、一斗缶101を容器載置板の前方の立設片24、容器側面部保持体22、又は横軸体21の屈曲部の少なくともいずれかに接するように、一斗缶101を容器載置板23の前方に押しつけて載置する(
図2(B)図参照)。次に、操作ハンドル30を第2の軸28の周りに回動させるように持上げる(
図2(B)図の矢印参照)。そして、操作腕部32と第2の操作腕部36を両手で把持して、第1の軸18の周りに容器保持台20と共に一斗缶101を反転させるように回動させる(
図2(C)図の矢印参照、
図2(C)図から
図3(A)図参照)。
【0033】
その際に、第1の操作腕部が、第2の軸28が第1の軸18の周りを経由する円弧(
図2(C)図に破線)の外側で移動するため、一斗缶101の上縁部を押えている操作ハンドル30の繋部材34が一斗缶の上縁部に接したままの状態とされて、一斗缶の上縁部から容器上縁部保持枠31が外れず、一斗缶101と容器保持台20が一体になって回動される(
図2(C)図から
図3(A)図参照)。
【0034】
そして、一斗缶反転機1のずれ止めステップ16を操作者が踏み、操作腕部32と第2の操作腕部36が作業者の両手で把持されて、容器保持台20と一体に一斗缶101が回動され、一斗缶内の流動体が流出される(
図3(A)図参照)。更に、容器保持台20が反転され、一斗缶101が90度以上傾き、ストッパー受17にストッパー棒27が接して(
図1参照)、容器保持台20の反転が規制され反転作用が停止され、一斗缶内101の流動体の全てが流出される(
図3(B)図参照)。そして、容器上部保持枠31が一斗缶の上縁部に接したまま、一斗缶101と容器保持台20と操作ハンドル30の自重により、容器保持台20は回動される前の位置に、操作ハンドル30が作業者の両手で支えられて復帰する。
【0035】
一斗缶101から少量の内容物を流出させる場合には、
図2(C)図から
図3(B)図の間の所望の位置に容器保持台20を反転させ、所望の量の内容物を流出させてから、回動される前の位置に操作ハンドル30を作業者が両手で支えて復帰させる。2つの操作腕体32,36に支えられて容器保持台20が反転されるため、微妙な傾斜角度に反転させることも容易である。
【0036】
一斗缶101を交換する際は、操作ハンドル30を水平状態となるように後方に倒しておいて(
図2(A)図参照)、一斗缶101を取り去ってから、別の一斗缶に交換するようにする。これにより、別の一斗缶に入っている異なる色の塗料を混合する場合であっても、調合する色に応じて内容物の微妙な量の流出が可能になると共に、別の一斗缶に交換することが容易となる。
【実施例2】
【0037】
実施例2は、収容容量200リットルの大型のドラム缶102を、作業室の天井に設けたホイストクレーン110を使って傾けるように反転させて、内容物を流出させるドラム缶反転機2の実施例2である。実施例1の一斗缶反転機1と同様に、実施例2のドラム缶反転機2も、本体枠10と、容器保持台20と、操作ハンドル30とから構成されている。
図4と
図5を参照して実施例2のドラム缶反転機2を説明する。
図4は、ドラム缶反転機2の側面図による説明図であり、
図5はドラム缶反転機2の反転状態の説明図である。
【0038】
実施例2のドラム缶反転機2では、大型のドラム缶102を載置させるため、容器載置板23の位置が低く設定され、床から立ち上がった容器載置台受け部103が容器載置台20を保持することにより、容器載置台20の前方への搖動を止めている。また、実施例1の第2の操作腕体36に替えて、操作ハンドルが床に接しないように、操作ハンドル支え部29が形成されている。横軸体21はドラム缶の側面の形状に整合するように中央近傍部が湾曲されている。また、容器載置板から第1の軸までの高さが、ドラム缶の高さの3/4の高さとされている。実施例1と同様な構成については、図面に同一な符号を付して説明を省略する。
【0039】
実施例2のドラム缶反転機2は、天井に設けたホイストクレーン110から垂れ下がったフック111を操作腕部32に引っ掛けて、フック111を上昇させることにより反転される。実施例2のドラム缶反転機2の反転状態を、
図5を参照して説明する。
図5(A)図は、ドラム缶102を容器保持台20に載せて容器上縁部保持枠31をドラム缶102の上縁部に接するようにし、操作腕体32にホイストクレーンのフック111を引っ掛けた状態を示している。
図5(B)図は、フック111を上昇させて、ドラム缶102を容器保持台20と一体に反転させた状態を示している。
図5(C)図は、更に、フック111を上昇させて、ドラム缶102を90度以上反転させて、容器保持台20がストッパー(図示略、
図1参照)で反転規制される位置まで反転させた状態を示している図である。
【0040】
図5(A)図から
図5(C)図のいずれの状態でも、ホイストクレーンのフック111が操作腕部32を吊り上げる(
図5破線参照)ことにより、第2の軸28を中心にして容器上縁部保持枠31がドラム缶102の上縁を押さえつけるように作用して(
図5(A)図から
図5(C)図参照)、ドラム缶102が容器保持台20と一体の状態に保持されて、ドラム缶102の滑落が防止されている。
図5(A)図から
図5(C)図への反転過程で、ドラム缶102の流出口から内容物が流出され、反転角度と反転時間に応じて、所望量の内容物が流出される。
【0041】
ドラム缶102と容器保持台20と操作ハンドル30の全体の重心が第1の軸18より操作ハンドル側にあり、容器上縁部保持枠31がドラム缶102の上縁を押えた状態が維持されるため、ホイストクレーンの張力を弛めてフック111を下降させることにより、ドラム缶102は容器保持台20に一体に保持された状態のまま、上昇前の状態に復帰される。ドラム缶102を交換するためには、ホイストクレーンのフック111を操作腕部32から外して、操作ハンドル30が水平状態となるまで倒して(
図4参照)、ドラム缶102をフォークリフト等で撤去して、新たなドラム缶を載置するようにする(
図3矢印参照)。
【0042】
フォークリフト等により、ドラム缶102を容器保持台20に、水平に容易に載置できることに加えて、ドラム缶102の反転過程で金属部の接触による火花の発生もないため、内容物が可燃性のある物質であっても、安全に内容物を流出させることが可能である。
【0043】
(その他)
・実施例1では、角型の一斗缶を反転させる一斗缶反転機1を説明したが、容量は限定されず、容器の形状、容器反転機の材質も限定されない。
・実施例2では、床上にドラム缶反転機2を設置したが、容器保持台20の上部が床と同一の高さとなるように床下に埋め込んでもよい。そうすることにより、フォークリフトによるドラム缶の移動がより容易になる。
・実施例1の一斗缶反転機1及び実施例2のドラム缶反転機2のいずれも、横軸体から前記容器載置板までの距離が載置させる容器の高さよりも小さくされているため、缶上部に設けられた流出口からの内容物の流出状態が容易に視認でき、流出量の調整が容易である。
【0044】
・上記した容器反転機は流動体を流出させる容器を使って説明したが、砂利、砕石、破砕した廃棄物等を収容し、上方が開いた容器であってもよいことは勿論のことである。
・今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の技術的範囲は、上記した説明に限られず特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0045】
1…一斗缶反転機、2…ドラム缶反転機、
10…本体枠、20…容器保持台、30…操作ハンドル、
11…支柱、12…床枠、13…容器保持台支持枠、14…第1の軸受部、
15…設置調整部、16…ずれ止めステップ、17…ストッパー受、18…第1の軸、
21…横軸体、22…容器側面部保持体、23…容器載置板、24…立設片、
25…L型鋼、26…第2の軸受部、27…ストッパー棒、28…第2の軸、
29…操作ハンドル支え部、
31…容器上縁部保持枠、32…操作腕部、33…竿部材、34…繋部材、
35…突出端部、36…第2の操作腕部、
101…一斗缶、102…ドラム缶、103…容器載置台受け部、
110…ホイストクレーン、111…フック