(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための最良の形態を説明する。しかし、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
【0019】
図1、
図2は、本実施形態におけるデスク装置(什器)10の斜視図である。なお、以下の説明において、上方、下方、前方、後方といった方向は、デスク装置10を床面上に設置して使用するときの状態に対応した方向としている。すなわち、デスク装置10が設置される床面側を「下方」、その反対方向を「上方」、このデスク装置10を使用するユーザがデスク装置10に対向する側を「前方」、その反対側を「後方」または「背面側」と称する。
【0020】
図1、
図2に示すように、デスク装置10は、デスク装置10が設置される床面上に立ち上がる一対の支持体11、11と、これら支持体11、11によって、床面の上方の所定高さに支持された天板12と、天板12の下方位置において、両側の支持体11、11の間の空間を閉塞する幕板13と、を備える。
【0021】
ここで、支持体11としては、様々な形状の支持脚や、引き出しを備えた袖箱等を採用できる。また、支持体11は、二つに限られず、三つ以上備えていても良い。
【0022】
また、幕板13は、天板12の前後方向の中心よりも後方側に配置され、一般的には、天板12の後端部12a近傍の下方に配置される。この幕板13は、床面近傍まで支持体11、11の間の空間全体を覆うように設けても良いし、支持体11、11の間に掛け渡されたバー(棒)状のものとすることもできる。
図3に示すように、本実施形態のデスク装置10において、幕板13は、その上端部13aが、天板12の下面12bよりも、あらかじめ定められた所定寸法だけ下方に位置するよう設けられている。また、天板12は、その後端部12aが、幕板13よりも前方側にオフセットして位置するよう形成されている。
【0023】
このようにして、デスク装置10においては、幕板13の上端部13aの上方であって、かつ、天板12の後端部12aの後方位置に、空間Sが形成されている。この空間Sに、配線100を収容する配線収容部20が設けられている。
【0024】
配線収容部20は、背面カバー部材30と、配線トレー40と、回転カバー受け部材(ベース部材)50と、回転カバー(カバー)60と、から構成されている。
【0025】
図2に示すように、背面カバー部材30は、幕板13の上端部13aに沿って、デスク装置10の幅方向に連続して設けられている。そして、
図4に示すように、この背面カバー部材30は、幕板13の上端部13aに取り付けられている。背面カバー部材30が取り付けられる幕板13の上端部13aは、支持体11、11間において鉛直面内に位置する幕板本体13bの上端から折曲してデスク装置10の前方に受け延びる上部受け面13cと、上部受け面13cの前端側において折曲して下方に延びる垂直面13dと、垂直面13dの下端から後方に向けて延びる爪部13eとが一体に形成されている。
【0026】
背面カバー部材30は、上部受け面13cおよび垂直面13dに沿う断面略L字状のベース部31と、ベース部31の下端から爪部13eに沿って延びる係止部32と、ベース部31から上方に向けて延びる背面フレキシブルカバー部33と、を有する。
【0027】
係止部32の先端部には、上部受け面13c側に突出する係止突起34が形成されている。この係止突起34は、爪部13eの先端部に係合する。背面カバー部材30は、ベース部31および係止部32が、上部受け面13cおよび垂直面13d、爪部13eに沿い、係止突起34が爪部13eに係合することで、幕板13の上端部13aに対して固定されている。このようなベース部31および係止部32は、例えばABS(Acrylonitrile butadiene styrene)等の硬質樹脂等により形成することができ、ベース部31および係止部32が弾性変形することで、幕板13の上端部13aに対して着脱可能とされている。
【0028】
係止部32の下面には、下方に延びる垂下部39が形成されている。垂下部39は、略S字状に湾曲した湾曲部39aと、湾曲部39aの下端部から後方に向けて折曲して延びる係止爪39bとを備える。
係止爪39bの先端は、幕板13の爪部13eの先端の鉛直下方に位置するよう形成され、これによって、係止爪39bの先端と幕板本体13bとの間隔が、爪部13eと幕板本体13bとの間隔と同一寸法とされている。
【0029】
背面フレキシブルカバー部33は、上端部33aが、後に詳述する回転カバー60の下面にほぼ突き当たるような位置に形成されている。また、背面フレキシブルカバー部33の背面33bは垂直面とされ、幕板13の幕板本体13bにほぼ連続する面内に位置するよう形成されている。
背面フレキシブルカバー部33は、例えばTPE(Thermoplastic−Elastomer:熱可塑性エラストマー)ポリスチレン系樹脂等、ベース部31を形成する材料よりも軟質な材料により形成されている。
【0030】
このような背面カバー部材30の背面フレキシブルカバー部33により、幕板13の上端部13aと回転カバー60との隙間が閉塞されている。この背面フレキシブルカバー部33により、その一方の側と他方の側、すなわちデスク装置10の外方と内方とが区画されている。
ここで、背面フレキシブルカバー部33は、ベース部31を形成する材料よりも軟質な材料により形成されているので、背面フレキシブルカバー部33を弾性変形させることで、背面フレキシブルカバー部33の上端部33aと回転カバー60との間に形成される隙間を通して、配線100を、幕板13の前後方向(幕板13の一方の側と他方の側とを結ぶ方向)に通すことができる。
このような背面カバー部材30は、幕板13の上端部13aに沿ってデスク装置10の幅方向に沿って連続して設けられているため、幕板13の上端部13aの任意の位置において配線100を通すことができる。
【0031】
図3、
図5に示すように、配線トレー40は、幕板13に沿って配置される背面板41と、背面板41の下端部に形成され、幕板13の前方側において各種の配線100を収容・保持するトレー部42と、背面板41の上端部に設けられ、上記のような背面カバー部材30に係止される係止部43と、を備えている。配線トレー40は、幕板13よりも幅(支持体11,11を結ぶ方向の長さ)を小さくしてもよく、本実施形態では、配線トレー40を二つ連続して並べて設けている。
【0032】
トレー部42は、背面板41の下端部から前方に延びる底板部42aと、底板部42aの前端部から上方に立ち上がる立ち上がり壁42bと、を有した断面L字状とされている。配線100は、トレー部42の底板部42aおよび立ち上がり壁42bと、背面板41とに囲まれた空間内に収容される。
【0033】
図4に示したように、係止部43は、背面板41の上端部から前方に延びる基部43aと、基部43aの前端から下方に湾曲して垂下する弾性変形片43bと、弾性変形片43bの下端から前方に延びる折り返し部43cとからなる。
弾性変形片43bには、係止爪39bが係合する係合突起43dが形成されている。
弾性変形片43bは、背面板41を幕板13の幕板本体13bに押しつけた状態で、係止爪39bが係合突起43dに係合するような位置に形成されている。
【0034】
このような係止部43は、幕板13の上端部13aに背面カバー部材30を装着した状態で、背面板41を幕板本体13bに沿わせながら、係止爪39bと幕板本体13bとの隙間に下方から挿入する。すると、係止爪39bの先端と弾性変係片43bが当たり、その少なくとも一方が弾性変形して退避する。そして、係止爪39bが係合突起43dに係合すると、係止爪39b、弾性変形片43bの弾性変形が元に復帰する。この状態で、係止部43が背面カバー部材30と幕板本体13bとによって係止され、これによって配線トレー40が保持される。
【0035】
なお、前述したように、係止爪39bと幕板本体13bとの間隔が、爪部13eと幕板本体13bとの間隔と同一寸法とされている。このため、背面カバー30を装着しない場合においても、係止部43を幕板13の爪部13eに弾性変形片43bを係止させることで、配線トレー40を、幕板13の上端部13aに直接係止させて保持することができる。
【0036】
図4、
図6に示すように、回転カバー受け部材50は、前記の背面カバー部材30に装着される台座部51と、回転カバー60を回転自在に軸支する軸支部52と、を有する。
この回転カバー受け部材50は、幕板13や背面カバー部材30に対し、十分に小さな幅寸法に設定されている。
【0037】
台座部51は、背面カバー部材30のベース部31の上面31aに対向するベース部51aと、ベース部51aの前端からベース部31の前面31bに沿って垂下する垂下壁51bと、垂下壁51bの下端部に後方に向けて突出形成された係止爪51cとを有する。
一方、背面カバー部材30のベース部31の前面31bには、係止爪51cを係止させるため、下方に突出する係止突起31fが形成されている。
【0038】
図7(a)に示すように、ベース部51aの幅方向中央部に、前後方向に沿って一対のスリット53a、53aが形成され、これらのスリット53a、53a間には、前方に向けて延びるレバー53が形成されている。
図7(b)に示すように、レバー53は、後端がベース部51aに一体的に連結されているとともに、前端が垂下壁51bよりも前方へと突出しており、後端を基端として弾性変形することで前端を上下に首振り可能に設けられている。
また、レバー53の下面には、係止突起53bが形成されている。
図4に示したように、この係止突起53bが、背面カバー部材30のベース部31の上面31aの前端において上方に突出形成された係止爪31gに係合する。
【0039】
このような回転カバー受け部材50は、ベース部51a、垂下壁51bを背面カバー部材30のベース部31の上面31aおよび前面31bに突き当てた状態で、係止爪51cと係止突起31f、係止突起53bと係止爪31gとをそれぞれ係合することにより、台座部51が背面カバー部材30に装着される。
このとき、背面カバー部材30は、幕板13の上端部13aが連続する方向において同一断面形状を有しているので、回転カバー受け部材50は、背面カバー部材30の長さ方向の任意の位置に装着できる。
【0040】
また、レバー53を押し上げて、係止突起53bと係止爪31gとの係合を解除し、さらに係止爪51cと係止突起31fの係合を解除することにより、回転カバー受け部材50を背面カバー部材30から取り外すことができる。
【0041】
図8に示すように、回転カバー受け部材50は、台座部51の後端部から上方に延びる支持壁54と、台座部51上に、幕板13の上端部13aが連続する方向に間隔を隔てた一対のリブ55、55とを備える。
図4に示したように、支持壁54には、背面カバー部材30に装着した状態で、背面カバー部材30の背面フレキシブルカバー部33の上端部33aに突き当たる突き当たり面54aが形成されている。
図8に示したように、軸支部52は、これら支持壁54およびリブ55、55上に支持されて設けられている。
【0042】
軸支部52は、リブ55、55と平行な面内に位置する一対の側板56、56と、側板56、56の前端側においてこれら側板56、56を連結する連結板57と、これら支持壁54、リブ55上に設けられたガイド面(突き当たり面)58とを備える。
【0043】
側板56、56の内側面(側板56、56どうしが対向する側)には、内側に向けて突出するピボット軸(ピン)59、59が設けられている。
【0044】
また、連結板57の上端部には、一対の凹部57a、57aが形成されている。
【0045】
図7に示したように、ガイド面58は、後端から前方に向けて一定長の範囲が、第一の平面58aとされている。そして、第一の平面58aの前端側に連続して、前方に行くにしたがい高くなる傾斜面58bが形成され、傾斜面58bの前端側(デスク装置10の内側)には、第一の平面58aよりも高いレベルに形成された第二の平面58cが形成されている。
【0046】
図4、
図9に示すように、回転カバー60は、カバー本体61と、前記の回転カバー受け部材50に対し、回動自在に連結されるホルダー部材62と、を備える。
【0047】
図4に示したように、カバー本体61は、天板12の後端部12aの後方の空間Sを開閉自在に塞ぐもので、空間Sを閉塞した状態で上方に面し、天板12の天面に連続した面を形成するカバー天面61aと、この状態で後方に面するカバー後面61bと、を備える。カバー後面61bは、デスク装置10のなるべく後端に位置するよう形成するのが好ましい。
図9に示すように、カバー本体61のカバー天面61aの前端には、下方(空間Sを閉塞した状態における下方)に延びる前壁61cと、前壁61cの下端から後方に延びる折り返し爪61d部と、が形成されている。
カバー後面61bの下端には、前方に向けて延びる底壁61eと、底壁61eの前端から上方に延びる折り返し爪61fと、が形成されている。
図10に示すように、カバー本体61には、その両端部に、カバー天面61a、カバー後面61b、前壁61c、折り返し爪61d、底壁61e、折り返し爪61fによって囲まれた部分を閉塞するエンドキャップ68が嵌め込まれている。
なお、カバー本体61の形状は上記に限るものではなく、他の適宜形状としても良い。
【0048】
図4、
図9に示すように、カバー本体61は、その前端部に、上部フレキシブルカバー63を備える。
上部フレキシブルカバー63は、カバー本体61の前壁61cおよび折り返し爪61dに係合して保持されている。このため、上部フレキシブルカバー63は、折り返し爪61dを上下から挟み込む断面U字状のクランプ部63aと、折り返し爪61dの上面側においてクランプ部63aの端部から上方に立ち上がるサポート壁63bと、折り返し爪61dの下面側において、クランプ部63aの端部から前方に突出するカバー部63cと、を有する。
サポート壁63bは、前壁61cの裏面側に沿うとともに、折り返し爪61dの上面とカバー天面61aの下面との間にはまりこむようになっている。クランプ部63aおよびサポート壁63bにより、上部フレキシブルカバー63がカバー本体61の前端部に係合され、カバー部63cの姿勢・形状が維持される。
なお、上部フレキシブルカバー63のカバー本体61の係合構造は上記したものに限るものではなく、適宜他の構成を採用することが可能である。
【0049】
上部フレキシブルカバー63は、クランプ部63aおよびサポート壁63bが、例えばABS等の硬質樹脂により形成され、カバー部63cが、クランプ部63aおよびサポート壁63bよりも軟質な材料、例えば背面フレキシブルカバー部33と同材料のTPEポリスチレン系樹脂等で形成することができる。このような上部フレキシブルカバー63は、硬質樹脂と軟質樹脂を用いて2色成形することで形成できる。
【0050】
図4、
図9に示すように、ホルダー部材62は、カバー本体61の下側に装着される。
ホルダー部材62は、カバー本体61に装着された状態でカバー天面61aの下面に突き当たる天板部65と、天板部65の後端から下方に垂下する後壁部66と、を有する。
天板部65の前端部65aの下面には、下方に延びる前壁67が形成されている。天板部65の前端部65aは、前壁67よりも前方に突出して形成されている。
図9に示すように、後壁部66には、幅方向に間隔を隔てて、それぞれ後方に突出するガイドリブ(リブ)69、69が形成されている。このガイドリブ69、69は、下方から上方に向けて、後壁部66から後方への突出寸法が漸次大きくなる形状とされている。
後壁部66において、ガイドリブ69、69の間には、一対のスリット(切り欠き)70、70が形成され、これらスリット70、70間がレバー71とされている。
レバー71の後面側には、後方に突出する係合爪72が形成されている。
【0051】
一方、
図11に示すように、カバー本体61の折り返し部61fには、ガイドリブ69、69のピッチに応じた切り欠き73、73が形成されている。これら切り欠き73、73にガイドリブ69、69をかみ合わせることにより、デスク装置10の幅方向におけるホルダー部材62の位置を規定できる。
【0052】
図4に示したように、このようなホルダー部材62は、天板部65の前端部65aを、カバー本体61のカバー天面61aの下面と上部フレキシブルカバー63のクランプ部63aとの間に挿入した状態で、ガイドリブ69、69を切り欠き73、73にかみ合わせた状態でレバー71側を押し上げていき、レバー71に形成された係合爪72をカバー本体61の折り返し部61fに係合させる。これによって、ホルダー部材62がカバー本体61の前端側と後端側とにそれぞれ嵌め込まれ、さらに、カバー本体61の前端部に設けられた上部フレキシブルカバー63を、カバー本体61の折り返し爪61dとホルダー部材62の前端部とで挟み込んで固定している。
なお、ホルダー部材62の前端部と後端部のカバー本体61に対する嵌め合い構造は、ここで示したものに限る意図はなく、適宜他の嵌め合い構造とすることができる。
【0053】
さて、
図4、
図8に示すように、ホルダー部材62の両側には、側壁64、64が形成されている。そして、側壁64、64の外側面には、ピボット軸59が入り込むガイド溝75、75が形成されている。
これにより、ホルダー部材62が、ピボット軸59周りに回動動作する。すなわちこれにより、回転カバー60が開閉し、空間Sにおいて天板12の後端部12aと幕板13の上方位置との間に形成された開口部200を開放したり閉塞したりできる。
【0054】
そして、
図12に示すように、回転カバー60を開いた状態で、空間Sの下方に位置する配線トレー40に配線100を収納する等の作業を、回転カバー60と天板12との隙間の開口部200から手を入れて行うことができる。
また、
図1に示したように、回転カバー60を閉じた状態では、天板12の後端部12aと、幕板13の上方位置との間の開口部200を回転カバー60により塞ぐことができる。
図4に示したように、この状態で、カバー本体61と天板12の後端部12aとの間は、上部フレキシブルカバー63により、その一方の側と他方の側、つまり天板12の上方と下方とが区画されている。この状態においても、上部フレキシブルカバー63が柔軟性の高い材料で形成されているため、上部フレキシブルカバー63を弾性変形させることで、上部フレキシブルカバー63によって区画された一方の側と他方の側、つまり天板12の上下で配線100を通すことができる。またこの状態で、側壁64、64は、回転カバー受け部材50の凹部57a、57aに入り込んでいる。
【0055】
図13に示すように、カバー本体61は、ピボット軸59がガイド溝75に入り込むことで、ガイド溝75が、カバー本体61を開閉動作させたときの、カバー本体61の開閉動作軌跡を規制する。このガイド溝75は、カバー本体61を開閉動作させたときに、カバー後面61bの上端側の角部C1が、デスク装置10の後端位置から鉛直上方に立ち上がる仮想面Zに常に接触し、カバー後面61bの下端側の角部C2が、回転カバー受け部材50のガイド面58に突き当たりながら回動するよう形成されている。
【0056】
このようなカバー本体61の開閉動作中においては、ピボット軸59の後方側の外周面とカバー後面61bの上端側の角部C1との水平方向の間隔が、ピボット軸59の後方側の外周面と閉状態におけるカバー本体61のカバー後面61bの位置との水平方向の間隔を上回ることがないものとなっている。これにより、カバー後面61bの上端側の角部C1が、デスク装置10の後端位置から鉛直上方に立ち上がる仮想面Zに常に接触しながらカバー本体61を開閉動作させるようにしたが、これに限らず、カバー本体61を開閉動作させたときに、カバー後面61bの上端側の角部C1が、デスク装置10の後端位置から鉛直上方に立ち上がる仮想面Zに接触しているか、または仮想面Zよりも前方側に位置するようにしてもよい。つまり、カバー本体61の開閉動作中、カバー後面61bの上端側の角部C1が、デスク装置10の後端位置から鉛直上方に立ち上がる仮想面Zよりも後方に突出しないようにするのである。しかし、カバー本体61を開閉動作させたときに、カバー後面61bの上端側の角部C1が、仮想面Zよりも前方側に位置するようにすると、開口部200の開口面積が狭められることになる。したがって、カバー本体61の開閉動作中において、ピボット軸59の後方側の外周面とカバー後面61bの上端側の角部C1との水平方向の間隔が、ピボット軸59の後方側の外周面と閉状態におけるカバー本体61のカバー後面61bの位置との水平方向の間隔に常に等しくなるように構成するのが好ましい。
一方、カバー本体61にガイド溝75を形成せず、カバー本体61とピボット軸59との位置関係を固定した構成とした場合には、カバー本体61はピボット軸59周りに回転する。すると、カバー後面61bの上端側の角部C1は、ピボット軸59の中心との距離を半径とした円弧に沿った軌跡で旋回し、その回転の途中で、デスク装置10の後端位置から鉛直上方に立ち上がる仮想面Zよりも後方に突出してしまう。
すなわち、上記の本実施形態におけるガイド溝75により実現されるカバー本体61の回転動作は、ピボット軸59を中心とした回転動作と、ガイド溝75の形状に応じた前後方向へのスライド動作とが合成されたものとなっている。
【0057】
ここで、ガイド面58は、いかなる形状としてもよく、
図13においては、カバー後面61bの上端側の角部C1が、仮想面Zに常に接触しながら回動するというカバー本体61の開閉動作の理解を容易にするため、本実施形態におけるカバー本体61の開閉動作を単純化しており、ガイド面58を、例えば、仮想面Zに直交する平面状とした場合について模式的に示している。すなわち、カバー後面61bの下端側の角部C2が、仮想面Zに直交する仮想面Xに常に接触しながら回動させる場合について示している。
【0058】
一方、本実施形態におけるガイド面58は、
図7に示したように、後端から前方に向けての一定長の範囲が、第一の平面58aとされているため、第一平面58aの範囲においては、カバー後面61bの下端側の角部C2が第一の平面58aに突き当たりながら回動する。
そして、
図14に示すようにカバー後面61bの下端側の角部C2が傾斜面58bに突き当たると、カバー後面61bの下端側の角部C2は、仮想面Xよりも上方に持ち上げられることになる。これにより、カバー本体61は、重心が後方に移動する。すると、カバー本体61は、カバー後面61bの下端側の角部C2が傾斜面58bに突き当たっている状態では、開き角が大きくなり、カバー本体61が閉じにくくなる。
図15に示すように、カバー本体61の開き角がさらに大きい状態では、カバー後面61bの下端側の角部C2が、第一の平面58aよりも高いレベルに形成された第二の平面58cに突き当たる。この状態では、カバー後面61bが第二の平面58cに対向した状態となり、カバー本体61が、完全に起立して開口部200を開放した状態となる。この状態では、カバー後面61bが第二の平面58cに対向しているので、カバー本体61を開放状態に容易に維持できる。
【0059】
図13、
図14、
図15に示すように、このようなガイド溝75と、ピボット軸59とにより、回転カバー60は、回転動作のいかなる角度においても、幕板13の鉛直上方の面よりも後方に飛び出ることがない。したがって、デスク装置10を、他のデスク装置10やパーティション300等に突き当てて設置した場合においても、回転カバー60の回転に支障が出ることはない。その結果、デスク装置10を、他のデスク装置10やパーティション300等に押しつけて設置することが可能となる。
【0060】
図9に示したように、ガイド溝75は、上記したような所望の開閉動作をカバー本体61が行うよう、カバー本体61を閉状態と開状態との間で回動させたときの、ピボット軸59の後方側の外周面とカバー後面61bの上端側の角部C1との距離、ピボット軸59の下方側の外周面とカバー後面61bの下端側の角部C2との距離に応じて決定される。
このとき、ガイド溝75は、直線状でなく、屈曲したり湾曲したりする形状とするのが好ましい。屈曲させる場合、カバー本体61の開閉動作がスムーズとなるよう、鋭角な屈曲を有さないものとするのが好ましく、さらに、屈曲部75cはピボット軸59との接触面を滑らかに丸めるのが好ましい。また、ピボット軸59に沿ったガイド溝75の相対移動を滑らかに行うため、ガイド溝75の幅を、ピボット軸59の外径に対し、一定寸法大きくし、ガイド溝75とピボット軸59との間に一定以上のクリアランスを確保するのが好ましい。
また、ガイド溝75の両方の端部75a、75bは、カバー本体61の回転角度を規制する。すなわち、ピボット軸59がガイド溝75の一方の端部75aに突き当たった状態で、カバー本体61は閉状態となり、他方の端部75bに突き当たった状態で、カバー本体61は開状態となる。
なお、本実施の形態において、ガイド溝75は、略く字状をなしているが、これに限るものではない。ピボット軸59の後方側の外周面とカバー後面61bの上端側の角部C1との水平方向の間隔が、ピボット軸59の後方側の外周面と閉状態におけるカバー本体61のカバー後面61bの位置との水平方向の間隔を上回ることがないようカバー本体61を開閉動作させる場合であっても、ピボット軸59とカバー本体61の角部C1、C2との位置関係によりガイド溝75の溝形状は異なる。
【0061】
また、
図16に示すように、ガイド溝75は、カバー本体61を閉状態、あるいは所定角度だけ引き起こした状態で、カバー本体61およびホルダー部材62を上方に引き上げたときに、ガイド溝75、75とピボット軸59、59との係合を解除できるよう、開放部75dが形成されている。すなわち、開放部75dは、カバー本体61を予め定めた角度だけ引き起こした状態のときに、ガイド溝75から鉛直下方に延びる接線状に形成されている。
【0062】
このようなデスク装置10においては、ガイド溝75がピボット軸59に突き当たることでカバー本体61の開閉動作が規制され、カバー本体61を開閉動作させたときに、カバー後面61bの上端側の角部C1が、デスク装置10の後端位置から鉛直上方に立ち上がる仮想面Zに接触しているか、または仮想面Zよりも前方側に位置するようにガイド溝75を形成した。つまり、回転カバー60は、開閉動作中のいかなる角度においても、幕板13の鉛直上方の面よりも後方に飛び出ることがない。したがって、デスク装置10を、他のデスク装置10やパーティション300等に突き当てて設置した場合においても、回転カバー60の回転に支障が出ることはない。その結果、デスク装置10を、他のデスク装置10やパーティション300等に押しつけて設置することが可能となる。
【0063】
回転カバー60が開状態にあるときには、回転カバー60のカバー天面61aがデスク装置10の後端位置に位置するため、回転カバー60と天板12の後端部12aとの間に形成される、空間Sと連通する開口部200を最大限に広く確保することができる。したがって、この開口部200から空間S内に配線を通す際の作業性が向上する。
また、回転カバー60の各部が回転動作中に外周側に張り出すことがないため、回転カバー60と、その周囲に位置する部材(天板12の後端部12a)とのクリアランスを最小限に抑えることができる。これにより、デスク装置10の上面の作業面の有効面積が狭められること、デスク装置10の上面に段差等が生じることを抑えることができ、その結果、什器の使い勝手が向上する。
また、このような構造は、複雑なリンク機構などを用いることもなく、非常に簡易な構造で、製造の手間を抑えるとともに、コストを抑えることが可能となる。
【0064】
なお、上記実施の形態において、デスク装置10の各部について詳細に説明したが、各部材の係止構造等については、他のいかなる構造を用いても良い。
また、上記実施形態では、ピボット軸59を回転カバー受け部材50側に設け、ガイド溝75を回転カバー60のホルダー部材62に設けるようにしたが、ピボット軸59を回転カバー60のホルダー部材62側に設け、ガイド溝75を回転カバー受け部材50に設けるようにしても良い。
また、背面カバー部材30を備える構成としているが、もちろん、背面カバー部材30の構造を適宜他の構造とすることもできるし、さらには本発明において背面カバー部材30は必須の構成ではない。
さらに、デスク装置10に限らず、他の様々な什器に本発明は適用可能である。例えば、収納キャビネット等においても、キャビネット内に収容した配線100を外部に取り出す部分において、本発明を適用することで上記と同様の効果を奏することができる。
これ以外にも、本発明の主旨を逸脱しない限り、上記実施の形態で挙げた構成を取捨選択したり、他の構成に適宜変更することが可能である。