(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
親水性ビニルモノマーが、第二のエチレン性官能化ビニルモノマーとのカップリング反応に関与することができる反応性官能基を有さない、請求項3に記載の両親媒性分岐鎖プレポリマー。
重合性組成物が、第二のエチレン性官能化ビニルモノマーとのカップリング反応に関与することができる任意の反応性官能基を有さない第一の親水性ビニルモノマーと、第二のエチレン性官能化ビニルモノマーとのカップリング反応に関与することができる反応性官能基を有する第二の親水性ビニルモノマーを含む(ここで、第一及び第二の親水性ビニルモノマーは、重合性組成物中に、5:1〜30:1の比で存在する)、請求項3に記載の両親媒性分岐鎖プレポリマー。
第一の親水性ビニルモノマーが、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−メチル−3−メチレン−2−ピロリドン、1−エチル−3−メチレン−2−ピロリドン、1−メチル−5−メチレン−2−ピロリドン、1−エチル−5−メチレン−2−ピロリドン、5−メチル−3−メチレン−2−ピロリドン、5−エチル−3−メチレン−2−ピロリドン、1−n−プロピル−3−メチレン−2−ピロリドン、1−n−プロピル−5−メチレン−2−ピロリドン、1−イソプロピル−3−メチレン−2−ピロリドン、1−イソプロピル−5−メチレン−2−ピロリドン、1−n−ブチル−3−メチレン−2−ピロリドン、1−tert−ブチル−3−メチレン−2−ピロリドン、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N−ビニル−2−ピロリドン、C1−C4−アルコキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド、N−ビニルイソプロピルアミド、N−ビニル−N−メチルアセトアミド及びそれらの混合物からなる群より選択され;そして、第二の親水性ビニルモノマーが、ヒドロキシル置換C1−C4アルキル(メタ)アクリレート、ヒドロキシル置換C1−C4アルキル(メタ)アクリルアミド、アミノ置換C1−C4アルキル(メタ)アクリレート、アミノ置換C1−C4アルキル(メタ)アクリルアミド、アリルアルコール、アリルアミン及びそれらの混合物からなる群より選択される、請求項5に記載の両親媒性分岐鎖プレポリマー。
重合性組成物が、N−[トリス(トリメチルシロキシ)シリルプロピル]−(メタ)アクリルアミド;N−[トリス(ジメチルプロピルシロキシ)−シリルプロピル](メタ)アクリルアミド;N−[トリス(ジメチルフェニルシロキシ)−シリルプロピル](メタ)アクリルアミド;N−[トリス(ジメチルエチルシロキシ)シリルプロピル](メタ)アクリルアミド;N−(2−ヒドロキシ−3−(3−(ビス(トリメチルシリルオキシ)メチルシリル)プロピルオキシ)プロピル)−2−メチルアクリルアミド;N−(2−ヒドロキシ−3−(3−(ビス(トリメチルシリルオキシ)メチルシリル)プロピルオキシ)プロピル)アクリルアミド;N,N−ビス[2−ヒドロキシ−3−(3−(ビス(トリメチルシリルオキシ)メチルシリル)プロピルオキシ)プロピル]−2−メチルアクリルアミド;N,N−ビス[2−ヒドロキシ−3−(3−(ビス(トリメチルシリルオキシ)メチルシリル)プロピルオキシ)プロピル]アクリルアミド;N−(2−ヒドロキシ−3−(3−(トリス(トリメチルシリルオキシ)シリル)プロピルオキシ)プロピル)−2−メチルアクリルアミド;N−(2−ヒドロキシ−3−(3−(トリス(トリメチルシリルオキシ)シリル)プロピルオキシ)プロピル)アクリルアミド;N,N−ビス[2−ヒドロキシ−3−(3−(トリス(トリメチルシリルオキシ)シリル)プロピルオキシ)プロピル]−2−メチルアクリルアミド;N,N−ビス[2−ヒドロキシ−3−(3−(トリス(トリメチルシリルオキシ)シリル)プロピルオキシ)プロピル]アクリルアミド;N−[2−ヒドロキシ−3−(3−(t−ブチルジメチルシリル)プロピルオキシ)プロピル]−2−メチルアクリルアミド;N−[2−ヒドロキシ−3−(3−(t−ブチルジメチルシリル)プロピルオキシ)プロピル]アクリルアミド;N,N−ビス[2−ヒドロキシ−3−(3−(t−ブチルジメチルシリル)プロピルオキシ)プロピル]−2−メチルアクリルアミド;N,N−ビス[2−ヒドロキシ−3−(3−(t−ブチルジメチルシリル)プロピルオキシ)プロピル]アクリルアミド;3−メタクリルオキシプロピルペンタメチルジシロキサン;トリス(トリメチルシリルオキシ)シリルプロピルメタクリレート(TRIS);(3−メタクリルオキシ−2−ヒドロキシプロピルオキシ)プロピルビス(トリメチルシロキシ)メチルシラン);(3−メタクリルオキシ−2−ヒドロキシプロピルオキシ)プロピルトリス(トリメチルシロキシ)シラン;3−メタクリルオキシ−2−(2−ヒドロキシエトキシ)−プロピルオキシ)プロピルビス(トリメチルシロキシ)メチルシラン;N−2−メタクリルオキシエチル−O−(メチル−ビス−トリメチルシロキシ−3−プロピル)シリルカルバメート;3−(トリメチルシリル)プロピルビニルカルボネート;3−(ビニルオキシカルボニルチオ)プロピル−トリス(トリメチル−シロキシ)シラン;3−[トリス(トリメチルシロキシ)シリル]プロピルビニルカルバメート;3−[トリス(トリメチルシロキシ)シリル]プロピルアリルカルバメート;3−[トリス(トリメチルシロキシ)シリル]プロピルビニルカルボネート;t−ブチルジメチル−シロキシエチルビニルカルボネート;トリメチルシリルエチルビニルカルボネート;トリメチルシリルメチルビニルカルボネート;t−ブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシルアクリレート、イソボルニルメタクリレート、3〜8個のシリコーン原子を有するポリシロキサン含有ビニルモノマー及びそれらの組み合わせからなる群より選択される嵩高い疎水性ビニルモノマーを含む、請求項2〜6のいずれか一項に記載の両親媒性分岐鎖プレポリマー。
重合性組成物が、N−[トリス(トリメチルシロキシ)シリルプロピル]−(メタ)アクリルアミド;N−[トリス(ジメチルプロピルシロキシ)−シリルプロピル](メタ)アクリルアミド;N−[トリス(ジメチルフェニルシロキシ)−シリルプロピル](メタ)アクリルアミド;N−[トリス(ジメチルエチルシロキシ)シリルプロピル](メタ)アクリルアミド;N−(2−ヒドロキシ−3−(3−(ビス(トリメチルシリルオキシ)メチルシリル)プロピルオキシ)プロピル)−2−メチルアクリルアミド;N−(2−ヒドロキシ−3−(3−(ビス(トリメチルシリルオキシ)メチルシリル)プロピルオキシ)プロピル)アクリルアミド;N,N−ビス[2−ヒドロキシ−3−(3−(ビス(トリメチルシリルオキシ)メチルシリル)プロピルオキシ)プロピル]−2−メチルアクリルアミド;N,N−ビス[2−ヒドロキシ−3−(3−(ビス(トリメチルシリルオキシ)メチルシリル)プロピルオキシ)プロピル]アクリルアミド;N−(2−ヒドロキシ−3−(3−(トリス(トリメチルシリルオキシ)シリル)プロピルオキシ)プロピル)−2−メチルアクリルアミド;N−(2−ヒドロキシ−3−(3−(トリス(トリメチルシリルオキシ)シリル)プロピルオキシ)プロピル)アクリルアミド;N,N−ビス[2−ヒドロキシ−3−(3−(トリス(トリメチルシリルオキシ)シリル)プロピルオキシ)プロピル]−2−メチルアクリルアミド;N,N−ビス[2−ヒドロキシ−3−(3−(トリス(トリメチルシリルオキシ)シリル)プロピルオキシ)プロピル]アクリルアミド;N−[2−ヒドロキシ−3−(3−(t−ブチルジメチルシリル)プロピルオキシ)プロピル]−2−メチルアクリルアミド;N−[2−ヒドロキシ−3−(3−(t−ブチルジメチルシリル)プロピルオキシ)プロピル]アクリルアミド;N,N−ビス[2−ヒドロキシ−3−(3−(t−ブチルジメチルシリル)プロピルオキシ)プロピル]−2−メチルアクリルアミド;N,N−ビス[2−ヒドロキシ−3−(3−(t−ブチルジメチルシリル)プロピルオキシ)プロピル]アクリルアミド;3−メタクリルオキシプロピルペンタメチルジシロキサン;トリス(トリメチルシリルオキシ)シリルプロピルメタクリレート(TRIS);(3−メタクリルオキシ−2−ヒドロキシプロピルオキシ)プロピルビス(トリメチルシロキシ)メチルシラン);(3−メタクリルオキシ−2−ヒドロキシプロピルオキシ)プロピルトリス(トリメチルシロキシ)シラン;3−メタクリルオキシ−2−(2−ヒドロキシエトキシ)−プロピルオキシ)プロピルビス(トリメチルシロキシ)メチルシラン;N−2−メタクリルオキシエチル−O−(メチル−ビス−トリメチルシロキシ−3−プロピル)シリルカルバメート;3−(トリメチルシリル)プロピルビニルカルボネート;3−(ビニルオキシカルボニルチオ)プロピル−トリス(トリメチル−シロキシ)シラン;3−[トリス(トリメチルシロキシ)シリル]プロピルビニルカルバメート;3−[トリス(トリメチルシロキシ)シリル]プロピルアリルカルバメート;3−[トリス(トリメチルシロキシ)シリル]プロピルビニルカルボネート;t−ブチルジメチル−シロキシエチルビニルカルボネート;トリメチルシリルエチルビニルカルボネート;トリメチルシリルメチルビニルカルボネート;t−ブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシルアクリレート、イソボルニルメタクリレート、3〜8個のシリコーン原子を有するポリシロキサン含有ビニルモノマー及びそれらの組み合わせからなる群より選択される嵩高い疎水性ビニルモノマーを含む、請求項7に記載の両親媒性分岐鎖プレポリマー。
官能性ポリシロキサン化合物の第一の反応性官能基、第二の反応性官能基、連鎖移動剤の第三の反応性官能基及び第四の反応性官能基が、互いに独立して、アミノ基(上記で定義される−NHR’)、ヒドロキシル基、カルボン酸基、酸ハロゲン化物基(−COX、X=Cl、Br又はI)、酸無水物基、アルデヒド基、アズラクトン基、イソシアネート基、エポキシ基、アジリジン基、アミド基(−CONH2)及びそれらの組み合わせからなる群より選択される(但し、1つの第一又は第四の反応性官能基が、1つの第二又は第三の反応性官能基と、カップリング剤の存在下又は非存在下で反応して、共有結合を形成することができる)、請求項2〜6のいずれか一項に記載の両親媒性分岐鎖プレポリマー。
官能性ポリシロキサン化合物の第一の反応性官能基、第二の反応性官能基、連鎖移動剤の第三の反応性官能基及び第四の反応性官能基が、互いに独立して、アミノ基(上記で定義される−NHR’)、ヒドロキシル基、カルボン酸基、酸ハロゲン化物基(−COX、X=Cl、Br又はI)、酸無水物基、アルデヒド基、アズラクトン基、イソシアネート基、エポキシ基、アジリジン基、アミド基(−CONH2)及びそれらの組み合わせからなる群より選択される(但し、1つの第一又は第四の反応性官能基が、1つの第二又は第三の反応性官能基と、カップリング剤の存在下又は非存在下で反応して、共有結合を形成することができる)、請求項7に記載の両親媒性分岐鎖プレポリマー。
成形用型が再利用可能な成形用型であり、キャビティ内のレンズ形成材料が化学線の空間的制限下で化学線により硬化して、シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズを形成する、請求項15に記載の方法。
請求項1〜6のいずれか一項に記載の両親媒性分岐鎖ポリシロキサンプレポリマーを含むレンズ形成組成物の重合生成物であるポリマー材料を含む、シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ。
請求項7に記載の両親媒性分岐鎖ポリシロキサンプレポリマーを含むレンズ形成組成物の重合生成物であるポリマー材料を含む、シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ。
【背景技術】
【0002】
近年、市販のシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズは、使い捨てプラスチック成形用型及びマクロマーの存在下又は非存在下でのモノマーの混合物の使用を包含する従来のキャスト成形技術に従って製造される。しかし、使い捨てプラスチック成形用型は、本質的に寸法の変化を避けられない。これは、プラスチック成形用型の射出成形中に、製造プロセス中の変動(温度、圧力、材料特性)の結果として成形用型の寸法の変動が生じるためであり、そして、また、得られた成形用型が射出成形後に不均一な収縮を経る可能性があるためである。これらの成形用型の寸法変化は、製造されるコンタクトレンズのパラメータの変動(ピーク屈折率、直径、基本曲線、中心厚さなど)及び複雑なレンズ設計の複製において低い忠実性をもたらす可能性がある。
【0003】
従来のキャスト成形技術において見られるそのような不利益は、米国特許第5,508,317号、第5,789,464号、第5,849,810号及び第6,800,225号(これらは参照によりそれらの全体が組み込まれる)に記載されている、いわゆるLightstream Technology(商標)(CIBA Vision)を用いて克服することができる。Lightstream Technology(商標)は、高精度で製造される再利用可能な成形用型及び化学線(例えば、UV)の空間的制限下での硬化を包含する。Lightstream Technology(商標)に従って製造されるレンズは、再利用可能な高精度な成形用型の使用により、本来のレンズ設計と比べて高い一貫性及び高い忠実性を有することができる。また、短い硬化時間及び高い製造収率により、高品質なコンタクトレンズを比較的低コストで製造することができる。
【0004】
シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズの製造にLightstream Technology(商標)を適用するために、米国特許第6,039,913号、第6,043,328号、第7,091,283号、第7,268,189号及び第7,238,750号、第7,521,519号;所有者が同じ米国特許出願公報第US 2008-0015315 A1号、第US 2008-0143958 A1号、第US 2008-0143003 A1号、第US 2008-0234457 A1号、第US 2008-0231798 A1号ならびに所有者が同じ米国特許出願第12/313,546号、第12/616,166号及び第12/616169号(これらは参照によりそれらの全体が組み込まれる)に記載されるようなシリコーン含有プレポリマーが開発された。しかし、上記の特許及び特許出願に開示されるプレポリマーのタイプは、Lightstream Technology(商標)に従って、シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズを製造するためのそれらの使用において、いくつかの実用的な問題を抱えうる。
【0005】
所有者が同じ同時係属米国特許出願第12/456,364号(参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)は、Lightstream Technology(商標)に従って、モノマー混合物(すなわち、レンズ形成組成物)からシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズを製造するための方法を開示する。しかし、比較的長い硬化時間の他に、成形用型内のモノマー混合物の硬化中に比較的大幅な収縮が起こる可能性があり、これにより、シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズの製造において、Lightstream Technology(商標)の適用が著しく妨げられる可能性があることが本明細書において見出される。
【0006】
従って、Lightstream Technology(商標)に従って、シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズを製造するための適切な新規プレポリマーが求められている。
【0007】
発明の概要
本発明は、Lightstream Technology(商標)に従って、シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズを製造するための適切な両親媒性分岐鎖ポリシロキサンプレポリマーを提供する。ポリシロキサンプレポリマーは、少なくとも1つの親水性ビニルモノマーから誘導される親水性モノマー単位、少なくとも2つの末端エチレン性不飽和基を有する少なくとも1つのポリシロキサン架橋剤(crosslinker)から誘導されるポリシロキサン架橋単位、ダングリングポリシロキサン鎖(その各々は、1つのエチレン性不飽和基で終端化されている)及びRAFT剤以外の連鎖移動剤から誘導される連鎖移動単位を含む。
【0008】
本発明は、また、シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズを製造するための方法を提供する。本方法は、(i)本発明の両親媒性分岐鎖ポリシロキサンプレポリマー(上述したような)を得る工程、(ii)両親媒性分岐鎖ポリシロキサンプレポリマーを使用して、フリーラジカル開始剤、場合により、親水性ビニルモノマー、シリコーン含有ビニルモノマー又はマクロマー、疎水性ビニルモノマー、2つのエチレン性不飽和基で終端化された直鎖ポリシロキサン架橋剤、700ダルトン未満の分子量を有する架橋薬剤(crosslinking agent)及びそれらの混合物からなる群より選択される少なくとも1つの重合性成分をさらに含むレンズ形成組成物を調製する工程;(ii)レンズ形成組成物を成形用型に導入する工程(ここで、成形用型は、コンタクトレンズの前面を規定する第一の成形面を有する第一の成形用型半部及びコンタクトレンズの後面を規定する第二の成形面を有する第二の成形用型半部を有し、前記第一及び第二の成形用型半部は、前記第一の成形面と第二の成形面の間にレンズ形成材料を受け入れるキャビティが形成されるように互いを合わせるように構成される);及び(iii)キャビティ内のレンズ形成材料を重合して、シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズを形成する工程を含む。
【0009】
本発明は、さらに、本発明の両親媒性分岐鎖ポリシロキサンプレポリマーを製造するための方法を提供する。
【0010】
本発明は、また、さらに、本発明の両親媒性分岐鎖ポリシロキサンプレポリマーを含むレンズ形成組成物の重合から得られる、ポリマー材料を含むシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズを提供する。
【0011】
これらの及び他の本発明の態様は、下記の本発明の好ましい実施態様の説明から明らかとなるであろう。詳細な説明は、単に本発明を説明するためのものであり、添付の特許請求の範囲及びその等価物により定義される本発明の範囲を制限するものではない。当業者には明らかであるように、本開示の新規概念の精神及び範囲から逸脱することなく、本発明の多くの変形及び改変を実施することができる。
【0012】
発明の実施態様の詳細な説明
特に指定しない限り、本明細書において使用される全ての技術及び科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者に一般的に理解されるものと同一の意味を有する。一般的に、本明細書において使用される命名法及び実験室手順は、当技術分野においてよく知られており、一般的に使用されている。当技術分野及び様々な一般参考文献において与えられるようなこれらの手順には従来の方法が用いられる。用語が単数形で与えられる場合、本発明者らはその用語の複数形も想定している。本明細書において使用される命名法及び下記の実験室手順は、当技術分野においてよく知られており、一般的に使用されている。
【0013】
「コンタクトレンズ」は、装着者の目の上又は中に配置することができる構造物を指す。コンタクトレンズは、使用者の視力を矯正、改善又は変更することができるが、そうである必要はない。「シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ」は、シリコーンヒドロゲル材料を含むコンタクトレンズを指す。
【0014】
「ヒドロゲル」又は「ヒドロゲル材料」は、完全に水和した場合に少なくとも10%(重量)の水を吸収することができるポリマー材料を指す。
【0015】
「シリコーンヒドロゲル」は、少なくとも1つのシリコーン含有ビニルモノマーもしくはマクロマー、シリコーン含有架橋剤及び/又は少なくとも1つの架橋性シリコーン含有プレポリマーを含む重合性組成物の共重合により得られる、シリコーン含有ヒドロゲルを指す。
【0016】
「ビニルモノマー」は、1つの単一エチレン性不飽和基を有する低分子量化合物を指す。低分子量は、典型的には、700ダルトン未満の平均分子量を意味する。
【0017】
「ビニルマクロマー」は、1つの単一エチレン性不飽和基を含む中分子量〜高分子量化合物を指す。中分子量〜高分子量は、典型的には、700ダルトン超の平均分子量を意味する。
【0018】
用語「オレフィン性不飽和基」又は「エチレン性不飽和基」は、本明細書において広い意味で使用され、少なくとも1つの>C=C<基を含有する任意の基を包含することを意図する。典型的なエチレン性不飽和基には、
【化1】
スチレニル又は他のC=C含有基が含まれるが、これらに限定されない。
【0019】
本明細書において使用される「化学線による」は、重合性組成物、プレポリマー又は材料の硬化、架橋又は重合に関して、硬化(例えば、架橋及び/又は重合)が、例えば、UV/可視照射、電離放射線(例えば、ガンマ線又はX線照射)、マイクロ波照射などの化学線照射により実施されることを意味する。熱硬化又は化学線硬化の方法は、当業者によく知られている。
【0020】
用語「(メタ)アクリルアミド」は、メタクリルアミド及び/又はアクリルアミドを指す。
【0021】
用語「(メタ)アクリレート」は、メタクリレート及び/又はアクリレートを指す。
【0022】
本明細書において使用される「親水性ビニルモノマー」は、重合することにより、水溶性であるか、又は少なくとも10%(重量)の水を吸収することができるホモポリマーを生成することができるビニルモノマーを指す。
【0023】
「疎水性ビニルモノマー」は、重合することにより、水に不溶性であり、且つ、10%(重量)未満の水を吸収することができるホモポリマーを生成することができるビニルモノマーを指す。
【0024】
本明細書において使用される、用語「アミノ基」は、−NHR’(式中、R’は、水素又はC
1−C
20非置換もしくは置換、直鎖もしくは分岐鎖アルキル基である)の官能基を指す。
【0025】
本明細書において使用される、用語「アズラクトン基」は、式:
【化2】
[式中、rは、0又は1であり;R
1及びR
2は、独立して、1〜14個の炭素原子を有するアルキル基、3〜14個の炭素原子を有するシクロアルキル基、5〜12個の環原子を有するアリール基、6〜26個の炭素ならびに0〜3個の硫黄、窒素及び/又は酸素原子を有するアレニル基であってもよく、あるいは、R
1及びR
2は、これらが結合している炭素と一緒になって、4〜12個の環原子を含有する炭素環式環を形成することができる]
を有する官能基を指す。
【0026】
本明細書において使用される「ポリシロキサン」は、下記:
【化3】
[式中、R
3、R
4、R
5、R
6、R
7、R
8、R
9及びR
10は、互いに独立して、C
1−C
10アルキル、C
1−C
10アミノアルキル、C
1−C
10ヒドロキシアルキル、C
1−C
10エーテル、C
1−C
4アルキル−もしくはC
1−C
4−アルコキシ置換フェニル、C
1−C
10フルオロアルキル、C
1−C
10フルオロエーテル、C
6−C
18アリール基、シアノ(C
1−C
12−アルキル)、−alk−(OCH
2CH
2)
n−OR
11(式中、alkは、C
1−C
6アルキレン二価基であり、R
11は、水素又はC
1−C
6アルキルであり、そして、nは、1〜10の整数である)であり;m及びpは、互いに独立して、0〜350の整数であり、そして、(m+p)は、1〜700である]
で表される、少なくとも1つの二価基を含む化合物又はセグメントを指す。
【0027】
「架橋剤」は、少なくとも2つのエチレン性不飽和基を有する化合物を指す。
【0028】
「架橋薬剤」は、2つ以上のエチレン性不飽和基を有し、700ダルトン未満の分子量を有する化合物を指す。架橋薬剤は、構造的完全性及び機械的強度を改良するために使用することができる。使用される架橋薬剤の量は、全ポリマーに対する重量含有率で表され、そして、好ましくは、約0.05%〜約4%の範囲、より好ましくは、約0.1%〜約2%の範囲である。好ましい架橋薬剤の例には、テトラエチレングリコールジ−(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ−(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ−(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ−(メタ)アクリレート、トリメチロプロパントリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ビスフェノールAジメタクリレート、ビニルメタクリレート、アリル(メタ)アクリレート、エチレンジアミンジ(メタ)アクリルアミド、グリセロールジメタクリレート、N,N’−メチレンビス(メタ)アクリルアミド、N,N’−エチレンビス(メタ)アクリルアミド、N,N’−ジヒドロキシエチレンビス(メタ)アクリルアミド、トリアリルイソシアヌレート、トリアリルシアヌレート、アリル(メタ)アクリレート、1,3−ビス(メタクリルアミドプロピル)−1,1,3,3−テトラキス(トリメチルシロキシ)ジシロキサン、1,3−ビス(N−(メタ)アクリルアミドプロピル)−1,1,3,3−テトラキス−(トリメチルシロキシ)ジシロキサン、1,3−ビス(メタクリルアミドブチル)−1,1,3,3−テトラキス−(トリメチルシロキシ)−ジシロキサン、1,3−ビス(メタクリルオキシエチルウレイドプロピル)−1,1,3,3−テトラキス(トリメチルシロキシ)ジシロキサン及びそれらの組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。より好ましい架橋薬剤は、親水性架橋薬剤、例えば、テトラ(エチレングリコール)ジアクリレート、トリ(エチレングリコール)ジアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ジ(エチレングリコール)ジアクリレート、グリセロールジメタクリレート、N,N’−メチレンビス(メタ)アクリルアミド、N,N’−エチレンビス(メタ)アクリルアミド、N,N’−ジヒドロキシエチレンビス(メタ)アクリルアミド、トリアリルイソシアヌレート、トリアリルシアヌレート又はそれらの組み合わせである。
【0029】
本明細書において使用される、用語「流体」は、材料が液体のように流動することができることを指す。
【0030】
「プレポリマー」は、2個以上のエチレン性不飽和基を含有し、且つ、化学線で硬化(例えば、架橋及び/又は重合)して、開始ポリマーよりもはるかに大きい分子量を有する架橋ポリマーを得ることができる開始ポリマーを指す。
【0031】
「シリコーン含有プレポリマー」は、シリコーンを含有するプレポリマーを指す。
【0032】
本明細書において使用される、ポリマー材料(モノマー又はマクロマー材料を含む)の「分子量」は、具体的に別途指示のない限り、又は試験条件が別途指示されない限り、重量平均分子量を指す。
【0033】
「ポリマー」とは、1つ又は複数のモノマーを重合することにより生成する材料を意味する。
【0034】
用語「RAFT」は、当業者によって理解されるように、ラジカル付加−開裂移動又は可逆的付加開裂連鎖移動を指す。
【0035】
「RAFT剤」は、下記:
【化4】
[式中、R
Lは脱離基であり、そして、当業者によって理解されるようなその従来の意味を有し;R
Zは活性化基であり、そして、当業者によって理解されるようなその従来の意味を有する]
で表されるジチオエステル化合物を指す。
【0036】
本明細書において使用される、用語「エチレン性官能化」は、コポリマー又は化合物に関して、1つ又は複数のエチレン性基が、コポリマー又は化合物に、コポリマー又は化合物のペンダント又は末端反応性官能基を介して、カップリングプロセスにより共有結合していることを表すことを意図する。
【0037】
「エチレン性官能化ビニルモノマー」は、当業者に公知のカップリング(又は架橋)反応に関与することができる1つの反応性官能基を有するビニルモノマーを指す。
【0038】
「カップリング反応」は、例えば、酸化−還元条件、脱水縮合条件、付加条件、置換(substitution)(又は置き換え(displacement))条件、Diels-Alder反応条件、カチオン性架橋結合条件、開環条件、エポキシ硬化条件及びそれらの組み合わせなどの当業者によく知られた様々な反応条件下で、共有結合又は連結を形成するための、カップリング剤の存在下又は非存在下での1対の適合する官能基間の任意の反応を表すことを意図する。
【0039】
好ましくは、アミノ基(上記で定義される−NHR’)、ヒドロキシル基、カルボン酸基、酸ハロゲン化物基(−COX、X=Cl、Br又はI)、酸無水物基、アルデヒド基、アズラクトン基、イソシアネート基、エポキシ基、アジリジン基、チオール基及びアミド基(−CONH
2)からなる群より選択される1対の適合する共反応性官能基間の様々な反応条件下におけるカップリング反応の非限定例を、以下に例示的に提供する。アミノ基は、アルデヒド基と反応して、Schiff塩基を形成し、これはさらに還元することができ;アミノ基−NHR’は、酸塩化物もしくは酸臭化物基又は酸無水物基と反応して、アミド連結(−CO−NR’−)を形成し;アミノ基−NHR’は、イソシアネート基と反応して、ウレア連結(−NR’−C(O)−NH−)を形成し;アミノ基−NHR’は、エポキシ又はアジリジン基と反応して、アミン結合(C−NR’)を形成し;アミノ基は、アズラクトン基と反応(開環)して、連結(−C(O)NH−CR
1R
2−(CH
2)
r−C(O)−NR’−)を形成し;アミノ基−NHR’は、カップリング剤−カルボジイミド(例えば、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDC)、N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、1−シクロヘキシル−3−(2−モルホリノエチル)カルボジイミド、ジイソプロピルカルボジイミド又はそれらの混合物)の存在下で、カルボン酸基と反応して、アミド連結を形成し;ヒドロキシルは、イソシアネートと反応して、ウレタン連結を形成し;ヒドロキシルは、エポキシ又はアジリジンと反応して、エーテル連結(−O−)を形成し;ヒドロキシルは、酸塩化物もしくは酸臭化物基又は酸無水物基と反応して、エステル連結を形成し;ヒドロキシル基は、触媒の存在下でアズラクトン基と反応して、連結(−C(O)NH−CR
1R
2−(CH
2)
r−C(O)−O−)を形成し;カルボキシル基は、エポキシ基と反応して、エステル結合を形成し;チオール基(−SH)は、イソシアネートと反応して、チオカルバメート連結(−N−C(O)−S−)を形成し;チオール基は、エポキシ又はアジリジンと反応して、チオエーテル連結(−S−)を形成し;チオール基は、酸塩化物もしくは酸臭化物基又は酸無水物基と反応して、チオールエステル連結を形成し;チオール基は、触媒の存在下でアズラクトン基と反応して、連結(−C(O)NH−アルキレン−C(O)−S−)を形成し;チオール基は、チオール−エン反応条件下でチオール−エン反応に基づいて、ビニル基と反応して、チオエーテル連結(−S−)を形成し;そして、チオール基は、適切な反応条件下でMichael付加に基づいて、アクリロイル又はメタクリロイル基と反応し、チオエーテル連結を形成する。
【0040】
また、2つの反応性官能基を有するカップリング剤をカップリング反応で使用することができることを理解されたい。例えば、ジイソシアネート、ハロゲン化二酸、ジカルボン酸、ジアズラクトン又はジエポキシ化合物は、2つのヒドロキシル、2つのアミノ基、2つのカルボキシル基、2つのエポキシ基又はそれらの組み合わせのカップリングで使用することができ;ジアミン又はジヒドロキシル化合物は、2つのイソシアネート、2つのエポキシ、2つのアジリジン、2つのカルボキシル、2つの酸ハロゲン化物もしくは2つのアズラクトン基又はそれらの組み合わせのカップリングで使用することができる。
【0041】
上記のカップリング反応の反応条件は、教科書に解説されており、当業者によく知られている。
【0042】
本明細書において使用される、用語「部分エチレン性官能化ポリシロキサン」は、1つの第一の反応性官能基を有するエチレン性官能化ビニルモノマーと2つ以上の第二の反応性官能基を有する官能性ポリシロキサン化合物を、約0.95(又は95%)以下のモル当量比R
Equivalent(すなわち、[官能化ビニルモノマー]
eq/[直鎖ポリシロキサン化合物]
eq)で、エチレン性官能化反応させた結果として得られた生成物の混合物を意味し、ここで、1つの第一の反応性官能基は、1つの第二の反応性官能基と、カップリング剤の存在下又は非存在下、下記で考察される公知のカップリング反応に従って反応して、共有結合を形成することができる。本明細書において使用される、用語「xx%エチレン性官能化ポリシロキサン」は、エチレン性官能化ビニルモノマーと官能性ポリシロキサン化合物の比が、「xx%」のモル当量比R
Equivalent(すなわち、約40%〜約97%、好ましくは、約50%〜約95%、より好ましくは、約60%〜約92%、さらにより好ましくは、約70%〜約90%の値)で得られた生成物の混合物を意味する。
【0043】
実例として、エチレン性官能化される官能性ポリシロキサン化合物が、2つの末端反応性官能基を有する直鎖ポリシロキサン化合物であり、そして、ポリシロキサン化合物に対するエチレン性官能化ビニルモノマーのモル当量比R
Equivalentが約80%である場合、80%エチレン性官能化ポリシロキサンは、(a)2つの末端エチレン性不飽和基を有する直鎖ポリシロキサン架橋剤、(b)1つのエチレン性不飽和基及び1つの第二の反応性官能基で終端化されたポリシロキサンビニルモノマー又はマクロマー、及び(c)2つの第二の反応性官能基で終端化された未反応直鎖ポリシロキサン化合物の混合物である。80%エチレン性官能化ポリシロキサンの成分(a)〜(c)のパーセント(反応が実質的に完了した後)は、下記式に従って推定することができる:
[成分(a)]%=R
Equivalent×R
Equivalent=64%
[成分(b)]%=2×R
Equivalent×(1−R
Equivalent)=32%
[成分(c)]%=(1−R
Equivalent)×(1−R
Equivalent)=4%
【0044】
エチレン性官能化されるポリシロキサン化合物が、「n」(例えば、3〜5)個のポリシロキサン(polyslioxane)アーム(それぞれ、カップリング反応に関与することができる1つの反応性官能基で終端化されている)を有する星形化合物であってもよいことを理解されたい。得られた混合物中のエチレン性官能化反応生成物の数は、(n+1)であり、そして、それらのパーセントは、それぞれ、(R
Equivalent)
n、(R
Equivalent)
n−1×(1−R
Equivalent)×n、(R
Equivalent)
n−2×(1−R
Equivalent)
2×n、…、(R
Equivalent)×(1−R
Equivalent)
n−1×n、(1−R
Equivalent)
nである。
【0045】
本明細書において使用される、用語「複数」は、2以上を指す。
【0046】
フリーラジカル開始剤は、光開始剤又は熱開始剤のいずれであってもよい。「光開始剤」は、光を使用することにより、フリーラジカル架橋/重合反応を開始する化学物質を指す。適切な光開始剤には、ベンゾインメチルエーテル、ジエトキシアセトフェノン、ベンゾイルホスフィンオキシド、1−ヒドロキシシクロへキシルフェニルケトン、DAROCURE(登録商標)型光開始剤及びIRGACURE(登録商標)型光開始剤、好ましくは、DAROCURE(登録商標)1173及びIRGACURE(登録商標)2959が含まれるが、これらに限定されない。ベンゾイルホスフィンオキシド開始剤の例には、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド(TPO);ビス−(2,6−ジクロロベンゾイル)−4−N−プロピルフェニルホスフィンオキシド;及びビス−(2,6−ジクロロベンゾイル)−4−N−ブチルフェニルホスフィンオキシドが含まれる。例えば、マクロマーに組み入れ可能であるか、又は特殊なモノマーとして使用することができる反応性光開始剤も適している。反応性光開始剤の例は、欧州特許出願第632329号(参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)に開示されるものである。次に、化学線、例えば、光、特に、適切な波長のUV光により重合を開始することができる。適宜、適切な光増感剤を加えることでスペクトル要件を制御することができる。
【0047】
「熱開始剤」は、熱エネルギーを使用することにより、ラジカル架橋及び/又は重合反応を開始する化学物質を指す。適切な熱開始剤の例には、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルペンタンニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルプロパンニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルブタンニトリル)、過酸化ベンゾイルなどの過酸化物などが含まれるが、これらに限定されない。好ましくは、熱開始剤は、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)(AIBN)である。
【0048】
「重合性UV吸収剤」は、エチレン性不飽和基及びUV吸収部分又は潜在性UV吸収部分を含む化合物を指す。
【0049】
「UV吸収部分」は、当業者によって理解されるように、200nm〜400nmの範囲のUV照射を吸収又は遮蔽することができる有機官能基を指す。
【0050】
「重合性潜在性UV吸収剤」は、エチレン性不飽和基、及び不安定官能基により(200nm〜400nmの波長領域におけるUV照射の吸収係数が、不安定官能基に保護されないUV吸収部分の係数の約50%以下、好ましくは、70%以下、より好ましくは、約90%以下であるように)保護されているUV吸収部分を含む化合物を指す。
【0051】
用語「不安定官能基」は、不安定官能基により保護されている別の官能基から、除去(開裂)することができる保護官能基を意味する。
【0052】
「化学線の空間的制限」は、光線の形態のエネルギー放射を、例えば、マスクもしくはスクリーン又はその組み合わせにより方向付けて、周辺境界が明確に規定された領域に空間制限的に衝突させる作用又はプロセスを指す。UV/可視光線の空間的制限は、米国特許第6,800,225号(
図1〜11)ならびに第6,627,124号(
図1〜9)、第7,384,590号(
図1〜6)及び第7,387,759号(
図1〜6)(これらの全ては、参照によりその全体が組み込まれる)で図示されるように、放射線(例えば、UV/可視)透過性領域、放射線透過性領域に囲まれた放射線(例えば、UV/可視)不透過性領域及び放射線不透過性と放射線透過性領域間の境界線である投影輪郭(projection contour)を有するマスク又はスクリーンを使用することにより得られる。マスク又はスクリーンは、マスク又はスクリーンの投影輪郭により規定される断面形状を有する放射線(例えば、UV/可視光線)ビームの空間的投影を可能にする。放射線(例えば、UV/可視光線)の投影されたビームは、成形用型の第一の成形面から第二の成形面までの投影されたビーム経路に位置するレンズ形成材料上への放射線(例えば、UV/可視光線)衝突を制限する。得られるコンタクトレンズは、第一の成形面により規定される前面、第二の成形面により規定される反対の後面、及び投影されたUV/可視ビーム(すなわち、放射線の空間的制限)の断面形状により規定されるレンズエッジを含む。架橋に使用される放射線は、放射エネルギー、特に、UV/可視光線、ガンマ線、電子線又は熱放射線であり、放射エネルギーは、好ましくは、良好な制限を達成し、また一方でエネルギーの効率的使用を達成するために、実質的に平行光の形態である。
【0053】
従来のキャスト成形プロセスにおいて、成形用型の第一及び第二成形面は、互いに押し付けられて、得られるコンタクトレンズのエッジを規定する円周接触線を形成する。成形面を密接に接触させることにより、成形面の光学的品質に損害を与える可能性があるため、成形用型は再利用することはできない。対照的に、Lightstream Technology(商標)では、得られるコンタクトレンズのエッジは、成形用型の成形面の接触により規定されるのではなく、代わりに放射線の空間的制限により規定される。成形用型の成形面を全く接触させることがないため、成形用型を繰り返し使用して、再現性の高い高品質なコンタクトレンズを製造することができる。
【0054】
用語「ダングリングポリシロキサン鎖」は、両親媒性分岐鎖ポリシロキサンコポリマー又はプレポリマーに関して、コポリマー又はプレポリマーが直鎖ポリシロキサン鎖(その各々は、1つ又は複数のポリシロキサンセグメントを含み、且つ、1つの単一共有結合を介して、ポリシロキサン鎖の両端のうちの一端でコポリマー又はプレポリマーの主鎖に固定されている)を含むことを表すことを意図する。
【0055】
「染料」は、レンズ形成流体材料に可溶性であり、且つ、色を付与するために使用される物質を意味する。染料は、典型的には、半透明であり、光を吸収するが散乱させない。
【0056】
「顔料」は、レンズ形成組成物に懸濁され不溶性である粉末状物質(粒子)を意味する。
【0057】
本明細書において使用される「表面修飾」又は「表面処理」は、ある物品の形成の前又は後に、その物品を表面処理プロセス(又は、表面修飾プロセス)で処理することを意味する。そのような表面処理には、(1)物品の表面のコーティング、(2)物品の表面への化学種の吸着、(3)物品表面の化学基の化学的性質(例えば、静電荷)の変化、又は(4)物品の表面特性の他の修飾がある。典型的な表面処理プロセスには、エネルギー(例えば、プラズマ、静電気、放射線又は他のエネルギー源)による表面処理、化学処理、物品表面への親水性ビニルモノマー又はマクロマーのグラフティング、米国特許第6,719,929号(参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)に開示のモールドトランスファーコーティングプロセス、米国特許第6,367,929号及び第6,822,016号(参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)に提示されるコンタクトレンズ製造用のレンズ調合物への湿潤剤の導入、米国特許出願第60/811,949号(参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)に開示の強化モールドトランスファーコーティング、ならびに1つ又は複数の親水性ポリマーの1つ又は複数の層のコンタクトレンズ表面への共有結合又は物理蒸着からなる親水性コーティングが含まれるが、これらに限定されない。
【0058】
「硬化後表面処理」は、シリコーンヒドロゲル材料又はソフトコンタクトレンズに関して、成形用型内でのヒドロゲル材料又はソフトコンタクトレンズの形成(硬化)後に実施される表面処理プロセスを意味する。
【0059】
「親水性表面」は、シリコーンヒドロゲル材料又はコンタクトレンズに関して、シリコーンヒドロゲル材料又はコンタクトレンズが、約90degree以下、好ましくは、約80degree以下、より好ましくは、約70degree以下、より好ましくは、約60degree以下の平均水接触角を有することを特徴とする表面親水性を有するということを意味する。
【0060】
「平均接触角」は、少なくとも3つの個別のコンタクトレンズの測定値を平均することによって得られる、水接触角(液滴法で測定される角度)を指す。
【0061】
本明細書において使用される「抗菌剤」は、この用語が当技術分野において知られているように、微生物の増殖を減少させるか又は排除するか、あるいは阻害することができる化学物質を指す。抗菌剤の好ましい例には、銀塩、銀錯体、銀ナノ粒子、銀含有ゼオライトなどが含まれるが、これらに限定されない。
【0062】
「銀ナノ粒子」は、本質的に銀金属からできており、且つ、1μm未満の大きさを有する粒子を指す。
【0063】
材料の固有の「酸素透過度」(Dk)は、酸素が材料を透過する割合である。本発明によれば、用語「酸素透過度(Dk)」は、コンタクトレンズに関して、見掛けの酸素透過度を意味し、これは、公知の方法に従って測定される面積にわたって平均厚さを有する試料(膜又はレンズ)を用いて測定される。酸素透過度は、従来より、barrer単位で表され、「barrer」は、[(酸素cm
3)(mm)/(cm
2)(秒)(mmHg)]×10
−10として定義される。
【0064】
レンズ又は材料の「酸素伝達率」Dk/tは、酸素が、測定される面積にわたって平均厚さt[mm単位]を有する特定のレンズ又は材料を透過する割合である。酸素伝達率は、従来より、barrer/mm単位で表され、「barrer/mm」は、[(酸素cm
3)/(cm
2)(秒)(mmHg)]×10
−9として定義される。
【0065】
レンズを通る「イオン透過性」は、イオノフラックス拡散係数と相関する。イオノフラックス拡散係数D([mm
2/分]の単位)は、下記のようなFickの法則を適用することによって決定される:
D=−n’/(A×dc/dx)
(式中、n’=イオン輸送の割合[mol/分];A=曝露されたレンズの面積[mm
2];dc=濃度差[mol/L];dx=レンズの厚さ[mm])
【0066】
一般的に、本発明は、本発明の両親媒性分岐鎖ポリシロキサンプレポリマーのクラス、本発明の両親媒性分岐鎖ポリシロキサンプレポリマーを製造するための方法、本発明のプレポリマーからシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズを製造するための方法、及び本発明のプレポリマーから調製されるシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズに関する。
【0067】
第一の態様においては、本発明は、Lightstream Technology(商標)に従って、シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズを製造するための適切な両親媒性分岐鎖ポリシロキサンプレポリマーを提供する。本発明のポリシロキサンプレポリマーは、(1)少なくとも1つの親水性ビニルモノマーから誘導される、約5%〜約75%、好ましくは、約10%〜約65%、より好ましくは、約15%〜約55%、さらにより好ましくは、約20%〜約45%(重量)の親水性モノマー単位、(2)2つ以上の末端エチレン性不飽和基を有する少なくとも1つのポリシロキサン架橋剤から誘導される、約1%〜約85%、好ましくは、約2.5%〜約75%、より好ましくは、約5%〜約65%(重量)のポリシロキサン架橋単位、(3)約2%〜約48%、好ましくは、約3%〜約38%、より好ましくは、約4%〜約28%(重量)のダングリングポリシロキサン鎖(その各々は、エチレン性不飽和基で終端化されている)、及び(4)RAFT剤以外の連鎖移動剤から誘導される、約0.25%〜約5%、好ましくは、約0.5%〜約4%、より好ましくは、約0.75%〜約3%、さらにより好ましくは、約1%〜約2%(重量)の連鎖移動単位を含む。
【0068】
本発明によれば、両親媒性分岐鎖ポリシロキサンプレポリマーは、約5%〜約90%(重量)の両親媒性分岐鎖ポリシロキサンプレポリマーを含有するレンズ形成組成物を得ることができるように、室温で、溶媒又は2つ以上の溶媒の混合物に可溶性である。
【0069】
適切な溶媒の例には、水、テトラヒドロフラン、トリプロピレングリコールメチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテル、エチレングリコールn−ブチルエーテル、ケトン(例えば、アセトン、メチルエチルケトンなど)、ジエチレングリコールn−ブチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエーテル、エチレングリコールフェニルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテル、酢酸プロピレングリコールメチルエーテル、酢酸ジプロピレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコールn−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールn−プロピルエーテル、トリプロピレングリコールn−ブチルエーテル、プロピレングリコールn−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールn−ブチルエーテル、トリプロピレングリコールn−ブチルエーテル、プロピレングリコールフェニルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸アミル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸i−プロピル、塩化メチレン、2−ブタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、メントール、シクロヘキサノール、シクロペンタノール及びエクソノルボルネオール、2−ペンタノール、3−ペンタノール、2−ヘキサノール、3−ヘキサノール、3−メチル−2−ブタノール、2−ヘプタノール、2−オクタノール、2−ノナノール、2−デカノール、3−オクタノール、ノルボルネオール、tert−ブタノール、tert−アミルアルコール、2−メチル−2−ペンタノール、2,3−ジメチル−2−ブタノール、3−メチル−3−ペンタノール、1−メチルシクロヘキサノール、2−メチル−2−ヘキサノール、3,7−ジメチル−3−オクタノール、1−クロロ−2−メチル−2−プロパノール、2−メチル−2−ヘプタノール、2−メチル−2−オクタノール、2−2−メチル−2−ノナノール、2−メチル−2−デカノール、3−メチル−3−ヘキサノール、3−メチル−3−ヘプタノール、4−メチル−4−ヘプタノール、3−メチル−3−オクタノール、4−メチル−4−オクタノール、3−メチル−3−ノナノール、4−メチル−4−ノナノール、3−メチル−3−オクタノール、3−エチル−3−ヘキサノール、3−メチル−3−ヘプタノール、4−エチル−4−ヘプタノール、4−プロピル−4−ヘプタノール、4−イソプロピル−4−ヘプタノール、2,4−ジメチル−2−ペンタノール、1−メチルシクロペンタノール、1−エチルシクロペンタノール、1−エチルシクロペンタノール、3−ヒドロキシ−3−メチル−1−ブテン、4−ヒドロキシ−4−メチル−1−シクロペンタノール、2−フェニル−2−プロパノール、2−メトキシ−2−メチル−2−プロパノール、2,3,4−トリメチル−3−ペンタノール、3,7−ジメチル−3−オクタノール、2−フェニル−2−ブタノール、2−メチル−1−フェニル−2−プロパノール及び3−エチル−3−ペンタノール、1−エトキシ−2−プロパノール、1−メチル−2−プロパノール、t−アミルアルコール、イソプロパノール、1−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルプロピオンアミド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルプロピオンアミド、N−メチルピロリジノン及びそれらの混合物が含まれるが、これらに限定されない。
【0070】
本発明の両親媒性分岐鎖ポリシロキサンプレポリマーは、(i)重合性組成物を重合して、両親媒性分岐鎖ポリシロキサンコポリマーを得ること(ここで、重合性組成物は、(a)部分エチレン性官能化ポリシロキサン(ここで、部分エチレン性官能化ポリシロキサンは、第一の反応性官能基を有する第一のエチレン性官能化ビニルモノマーと2つ以上の第二の反応性官能基を有する官能性ポリシロキサン化合物を、約40%〜約95%、好ましくは、約50%〜約95%、より好ましくは、約60%〜約92%、さらにより好ましくは、約70%〜約90%のモル当量比R
Equivalent(官能性ポリシロキサン化合物に対するエチレン性官能化ビニルモノマー)で反応させることにより得られる反応生成物の混合物であり、ここで、各第一の反応性官能基は、1つの第二の反応性官能基とカップリング剤の存在下又は非存在下で反応して、共有結合又は連結を形成し、反応生成物の混合物は、少なくとも2つのエチレン性不飽和基を有する少なくとも1つのポリシロキサン架橋剤ならびに少なくとも1つの第二の反応性官能基及び少なくとも1つのエチレン性不飽和基を有する少なくとも1つのポリシロキサンビニルモノマー又はマクロマーを含む);(b)少なくとも1つの親水性ビニルモノマー;(c)場合により、しかし、好ましくは、疎水性ビニルモノマー、より好ましくは、嵩高い疎水性ビニルモノマー(すなわち、嵩高い置換基を有するもの);(d)RAFT剤以外の連鎖移動剤(ここで、連鎖移動剤は、場合により、しかし、好ましくは、第三の反応性官能基を含む);及び(e)フリーラジカル開始剤(光開始剤又は熱開始剤、好ましくは、熱開始剤)を含む);そして、(ii)両親媒性分岐鎖ポリシロキサンコポリマーを、第四の反応性官能基(1つの第二又は第三の反応性官能基と、カップリング剤の存在下又は非存在下で反応して、共有結合を形成する)を有する第二のエチレン性官能化ビニルモノマーと反応させることにより、両親媒性分岐鎖ポリシロキサンコポリマーをエチレン性官能化すること、それによって、両親媒性分岐鎖ポリシロキサンプレポリマーを形成することにより得られる。
【0071】
好ましくは、重合性組成物中の官能性ポリシロキサン化合物は、式(1)又は(2):
【化5】
[式中、
G
1及びG
2は、互いに独立して、直接結合、直鎖もしくは分岐鎖C
1−C
10アルキレン二価基、下記:
【化6】
{式中、qは、1〜5の整数であり、そして、alk及びalk’は、互いに独立して、C
1−C
6アルキレン二価基である}
の二価基、又は−R’
1−X
1−E−X
2−R’
2−{式中、R’
1及びR’
2は、互いに独立して、直接結合、直鎖もしくは分岐鎖C
1−C
10アルキレン二価基又は上記で定義される下記:
【化7】
の二価基であり、X
1及びX
2は、互いに独立して、
【化8】
からなる群より選択される連結(式中、R’は、H又はC
1−C
8アルキルである)であり、Eは、主鎖にエーテル、チオ又はアミン連結を有することができる、40個までの炭素原子を有するアルキルジラジカル、シクロアルキルジラジカル、アルキルシクロアルキルジラジカル、アルキルアリールジラジカル又はアリールジラジカルである}
の二価基であり;
PDMSは、式(3):
【化9】
{式中、νは、0又は1であり、ωは、0〜5の整数であり、U
1及びU
2は、互いに独立して、上記で定義される−R’
1−X
1−E−X
2−R’
2−の二価基、又は上記で定義される下記:
【化10】
の二価基を表し、D
1、D
2及びD
3は、互いに独立して、−(CH
2CH
2O)
t−CH
2CH
2−(式中、tは、3〜40の整数である)、−CF
2−(OCF
2)
a−(OCF
2CF
2)
b−OCF
2−(式中、a及びbは、互いに独立して、0〜10の整数であるが、但し、a+bは、10〜30の数値である)及び式(4):
【化11】
(式中、R
3、R
4、R
5、R
6、R
7、R
8、R
9及びR
10は、互いに独立して、C
1−C
10アルキル、C
1−C
10アミノアルキル、C
1−C
10ヒドロキシアルキル、C
1−C
10エーテル、C
1−C
4アルキル−もしくはC
1−C
4−アルコキシ置換フェニル、C
1−C
10フルオロアルキル、C
1−C
10フルオロエーテル、C
6−C
18アリール基、シアノ(C
1−C
12−アルキル)、−alk−(OCH
2CH
2)
n−OR
11(式中、alkは、C
1−C
6アルキレン二価基であり、R
11は、水素又はC
1−C
6アルキルであり、そして、nは、1〜10の整数である)であり;m及びpは、互いに独立して、0〜350の整数であり、そして、(m+p)は、1〜700である)
で表される二価基からなる群より選択される二価基であり、但し、D
1、D
2及びD
3の少なくとも1つは、式(3)により表される}
で表されるポリシロキサン二価基であり;
CRは、a1の原子価を有する多価有機基であり;
a1は、3、4又は5の整数であり;そして、
FGは、アミノ基(上記で定義される−NHR)、ヒドロキシル基、カルボン酸基、酸ハロゲン化物基(−COX、X=Cl、Br又はI)、酸無水物基、アルデヒド基、アズラクトン基、イソシアネート基、エポキシ基、アジリジン基、チオール(−SH)及びアミド基(−CONH
2)からなる群より選択される]
により定義される。
【0072】
好ましくは、式(1)又は(2)において、PDMSは、式(3)[式中、νは、0又は1、好ましくは、1であり、ωは、0〜3の整数、好ましくは、1であり、U
1及びU
2は、上記で定義されるとおりであり、D
1、D
2及びD
3は、互いに独立して、式(4){式中、R
3〜R
10は、互いに独立して、メチル基、フルオロ(C
1−C
18−アルキル)及び/又は−alk−(OCH
2CH
2)
n−OR
11(式中、alkは、C
1−C
6−アルキレン二価基であり、そして、R
11は、C
1−C
6アルキルであり、そしてnは、1〜10の整数である)であり、m及びpは、互いに独立して、1〜698の整数であり、そして、(m+p)は、2〜700である}の二価基である]で表されるポリシロキサン二価基である。
【0073】
様々な二官能性基(反応性)末端ポリシロキサン(すなわち、式(4)の1つの単一のポリシロキサンセグメントを有する)は、市販業者(例えば、Gelest, Inc又はFluorochem)から得ることができる。あるいは、当業者であれば、そのような二官能性基末端ポリシロキサンを、当業者に公知の手順及びJournal of Polymer Science - Chemistry, 33, 1773 (1995)(参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)に記載の手順に従ってどのように調製すればよいかよく知っているであろう。
【0074】
式(1)の官能性ポリシロキサン化合物が、官能性鎖伸長ポリシロキサン化合物(すなわち、式(4)の2〜5つのポリシロキサンセグメントを有する)である場合、そのような官能性鎖伸長ポリシロキサン化合物は、式(4)の1つの単一のポリシロキサンセグメント及び2つの第三の反応性官能基を有する二官能性基(反応性)末端ポリシロキサン化合物を、2つの第四の反応性官能基を有するカップリング剤と反応させることにより調製することができる(ここで、第三及び第四の反応性官能基は互いに異なっているが、互いに反応性であり、そして、アミノ基(上記で定義される−NHR)、ヒドロキシル基、チオール基、カルボン酸基、酸ハロゲン化物基(−COX、X=Cl、Br又はI)、酸無水物基、アルデヒド基、アズラクトン基、イソシアネート基、エポキシ基、アジリジン基、チオール(−SH)及びアミド基(−CONH
2)からなる群より選択される)。2つの第四の反応性官能基を有するカップリング剤は、ジイソシアネート、ハロゲン化二酸、ジカルボン酸化合物、ハロゲン化二酸化合物、ジアズラクトン化合物、ジエポキシ化合物、ジアミン又はジオールであってよい。官能性鎖伸長ポリシロキサン化合物を調製するためのカップリング反応(例えば、本願で上述したいずれか)及びその条件を選択することは当業者であれば公知である。
【0075】
任意の適切なC
4−C
24ジイソシアネートを本発明で使用することができる。好ましいジイソシアネートの例には、イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチル−1,6−ジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、トルエンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、1,4−フェニレン4,4’−ジフェニルジイソシアネート、1,3−ビス−(4,4’−イソシアナトメチル)シクロヘキサン、シクロヘキサンジイソシアネート及びそれらの組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。
【0076】
任意の適切なジアミンを本発明で使用することができる。有機ジアミンは、直鎖もしくは分岐鎖C
2−C
24脂肪族ジアミン、C
5−C
24脂環式もしくは脂肪族−脂環式ジアミン、又はC
6−C
24芳香族もしくはアルキル−芳香族ジアミンであってよい。好ましい有機ジアミンは、N,N’−ビス(ヒドロキシエチル)エチレンジアミン、N,N’−ジメチルエチレンジアミン、エチレンジアミン、N,N’−ジメチル−1,3−プロパンジアミン、N,N’−ジエチル−1,3−プロパンジアミン、プロパン−1,3−ジアミン、ブタン−1,4−ジアミン、ペンタン−1,5−ジアミン、ヘキサメチレンジアミン及びイソホロンジアミンである。
【0077】
任意の適切なハロゲン化二酸を本発明で使用することができる。好ましいハロゲン化二酸の例には、塩化フマリル、塩化スベロイル、塩化スクシニル、塩化フタロイル、塩化イソフタロイル、塩化テレフタロイル、塩化セバコイル、塩化アジポイル、塩化トリメチルアジポイル、塩化アゼラオイル、ドデカン二酸塩化物、コハク酸塩化物、グルタル酸塩化物、塩化オキサリル及びダイマー酸塩化物が含まれるが、これらに限定されない。
【0078】
任意の適切なジエポキシ化合物を本発明で使用することができる。好ましいジエポキシ化合物の例は、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、グリセロールジグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル及びジプロピレングリコールジグリシジルエーテルである。そのようなジエポキシ化合物は市販されている(例えば、Nagase ChemteX Corporation社のDENACOLシリーズジエポキシ化合物)。
【0079】
任意の適切なC
2−C
24ジオール(すなわち、2つのヒドロキシル基を有する化合物)を本発明で使用することができる。好ましいジオールの例には、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、様々なペンタンジオール、様々なヘキサンジオール及び様々なシクロヘキサンジオールが含まれるが、これらに限定されない。
【0080】
任意の適切なC
3−C
24ジカルボン酸化合物を本発明で使用することができる。好ましいジカルボン酸化合物の例には、直鎖もしくは分岐鎖C
3−C
24脂肪族ジカルボン酸、C
5−C
24脂環式もしくは脂肪族−脂環式ジカルボン酸、C
6−C
24芳香族もしくは芳香脂肪族ジカルボン酸、あるいは、アミノもしくはイミド基又はN−複素環を含有するジカルボン酸が含まれるが、これらに限定されない。適切な脂肪族ジカルボン酸の例は、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、ジメチルマロン酸、オクタデシルコハク酸、トリメチルアジピン酸及びダイマー酸(オレイン酸などの不飽和脂肪族カルボン酸の二量化生成物)である。適切な脂環式ジカルボン酸の例は、1,3−シクロブタンジカルボン酸、1,3−シクロペンタンジカルボン酸、1,3−及び1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−及び1,4−ジカルボキシルメチルシクロヘキサン、4,4’−ジシクロヘキシルジカルボン酸である。適切な芳香族ジカルボン酸の例は、テレフタル酸、イソフタル酸、o−フタル酸、1,3−、1,4−、2,6−又は2,7−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルスルホン−ジカルボン酸、1,1,3−トリメチル−5−カルボキシル−3−(p−カルボキシフェニル)−インダン、4,4’−ジフェニルエーテル−ジカルボン酸、ビス−p−(カルボキシルフェニル)−メタンである。
【0081】
任意の適切なC
10−C
24ジアズラクトン化合物を本発明で使用することができる。そのようなジアズラクトン化合物の例は、米国特許第4,485,236号(参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)に記載されるものである。
【0082】
任意の適切なジチオールを本発明で使用することができる。そのようなジチオールの例には、C
2−C
12アルキルジメルカプタン(例えば、エチルジメルカプタン、プロピルジメルカプタン、ブチルジメルカプタン、ペンタメチレンジメルカプタン、ヘキサメチレンジメルカプタン、へプタメチレンジメルカプタン、オクタメチレンジメルカプタン、ノナメチレンジメルカプタン、デカメチレンジメルカプタン又はそれらの組み合わせ)、エチルシクロヘキシルジメルカプタン、ジペンテンジメルカプタン、ベンゼンジチオール、メチル置換ベンゼンジチオール、ベンゼンジメタンチオール、グリコールジメルカプトアセテート、エチルエーテルジメルカプタン(ジグリコールジメルカプタン)、トリグリコールジメルカプタン、テトラグリコールジメルカプタン、ジメルカプロール、ジメルカプトプロパノール、ジメルカプトブタノール、ジメルカプトペンタノール、ジメルカプトプロピオン酸、ジヒドロリポ酸、ジチオスレイトール、ジメルカプトコハク酸及びそれらの組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。
【0083】
式(2)において、CRは官能性多岐星形ポリシロキサンの核であり、且つ、分岐剤(すなわち、任意の公知のカップリング反応に関与することができ、そして、アミン基、ヒドロキシル基、カルボン酸基、イソシアネート基、チオール基、(メタ)アクリロイル基、ビニル基(すなわち、炭素−炭素二重結合の各々は、カルボニル基又は酸素もしくは窒素原子に直接連結していない)、酸ハロゲン化物基、エポキシ基及びそれらの組み合わせからなる群より選択される、3〜5つ、好ましくは、3つの第五の反応性官能基を有する化合物)から誘導される。好ましい分岐剤の例には、グリセロール、ジグリセロール、トリグリセロール、アラビトール、1,1,1−トリスヒドロキシメチルエタン、1,1,1−トリスヒドロキシメチルプロパン、1,2,4−ブタントリオール、1,2,6−ヘキサントリオール、エリトリトール、ペンタエリスリトール、ジエチレントリアミン、N−2-’−アミノエチル−1,3−プロピレンジアミン、N,N−ビス(3−アミノプロピル)−アミン、N,N−ビス(6−アミノヘキシル)アミン、トリエチレンテトラミン、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレートトリマー、2,4,6−トルエントリイソシアネート、p,p’,p’’−トリフェニルメタントリイソシアネート及びイソホロンジイソシアネートの三官能性トリマー(イソシアヌレート)、塩化トリメソイル、塩化シクロヘキサン−1,3,5−トリカルボニル、トリマー酸塩化物、トリグリシジルイソシアヌレート(TGIC)、トリメチロプロパントリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、トリアリルイソシアヌレート、トリアリルシアヌレート、アコニット酸、クエン酸、1,3,5−シクロヘキサントリカルボン酸、1,3,5−トリメチル−1,3,5−シクロヘキサントリカルボン酸、1,2,3−ベンゼントリカルボン酸、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、1,3,5−ペンタントリチオールが含まれるが、これらに限定されない。
【0084】
任意の公知のカップリング反応に従って、式(2)の官能性多岐星形ポリシロキサンを調製する方法は当業者であれば公知である。例えば、式(2)のポリシロキサンは、下記のように調製することができる。上記のカップリング反応を含む任意の公知のカップリング反応に従って、分岐剤を過剰のモル当量の二官能化ポリジシロキサンと反応させて、さらなる反応のための末端反応性官能基をそれぞれ有する3又は4つのアームを有する官能性多岐星形ポリジシロキサンを形成する。それぞれのアームが2つ以上のポリシロキサンセグメントを含む場合、上記で調製した官能性鎖伸長ポリシロキサンを分岐剤との反応に使用することができる。
【0085】
本発明によれば、部分エチレン性官能化ポリシロキサンを調製するために、そして/又は本発明の両親媒性分岐鎖ポリシロキサンプレポリマーを調製するために、任意の適切なエチレン性官能化ビニルモノマーを本発明で使用することができる。第二のエチレン性官能化ビニルモノマーは、第一のエチレン性官能化ビニルモノマー(部分エチレン性官能化ポリシロキサンの調製に使用される)と異なっていてもよいが、好ましくは、同一であることを理解されたい。エチレン性官能化ビニルモノマーの例には、C
2−C
6ヒドロキシルアルキル(メタ)アクリレート、C
2−C
6ヒドロキシアルキル(メタ)アクリルアミド、アリルアルコール、アリルアミン、アミノ−C
2−C
6アルキル(メタ)アクリレート、C
1−C
6アルキルアミノ−C
2−C
6アルキル(メタ)アクリレート、ビニルアミン、アミノ−C
2−C
6アルキル(メタ)アクリルアミド、C
1−C
6アルキルアミノ−C
2−C
6アルキル(メタ)アクリルアミド、アクリル酸、C
1−C
4アルキルアクリル酸(例えば、メタクリル酸、エチルアクリル酸、プロピルアクリル酸、ブチルアクリル酸)、N−[トリス(ヒドロキシメチル)−メチル]アクリルアミド、N,N−2−アクリルアミドグリコール酸、β−メチル−アクリル酸(クロトン酸)、α−フェニルアクリル酸、β−アクリルオキシプロピオン酸、ソルビン酸、アンゲリカ酸、ケイ皮酸、1−カルボキシ−4−フェニルブタジエン−1,3、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸、グルタコン酸、アコニット酸、マレイン酸、フマル酸、アジリジニルC
1−C
12アルキル(メタ)アクリレート(例えば、2−(1−アジリジニル)エチル(メタ)アクリレート、3−(1−アジリジニル)プロピル(メタ)アクリレート、4−(1−アジリジニル)ブチル(メタ)アクリレート、6−(1−アジリジニル)へキシル(メタ)アクリレート又は8−(1−アジリジニル)オクチル(メタ)アクリレート)、グリシジル(メタ)アクリレート、ビニルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、(メタ)アクリル酸ハロゲン化物基(−COX、X=Cl、Br又はI)、C
1−C
6イソシアナトアルキル(メタ)アクリレート、アズラクトン含有ビニルモノマー(例えば、2−ビニル−4,4−ジメチル−1,3−オキサゾリン−5−オン、2−イソプロペニル−4,4−ジメチル−1,3−オキサゾリン−5−オン、2−ビニル−4−メチル−4−エチル−1,3−オキサゾリン−5−オン、2−イソプロペニル−4−メチル−4−ブチル−1,3−オキサゾリン−5−オン、2−ビニル−4,4−ジブチル−1,3−オキサゾリン−5−オン、2−イソプロペニル−4−メチル−4−ドデシル−1,3−オキサゾリン−5−オン、2−イソプロペニル−4,4−ジフェニル−1,3−オキサゾリン−5−オン、2−イソプロペニル−4,4−ペンタメチレン−1,3−オキサゾリン−5−オン、2−イソプロペニル−4,4−テトラメチレン−1,3−オキサゾリン−5−オン、2−ビニル−4,4−ジエチル−1,3−オキサゾリン−5−オン、2−ビニル−4−メチル−4−ノニル−1,3−オキサゾリン−5−オン、2−イソプロペニル−4−メチル−4−フェニル−1,3−オキサゾリン−5−オン、2−イソプロペニル−4−メチル−4−ベンジル−1,3−オキサゾリン−5−オン、2−ビニル−4,4−ペンタメチレン−1,3−オキサゾリン−5−オン及び2−ビニル−4,4−ジメチル−1,3−オキサゾリン−6−オンであり、好ましいアズラクトン含有ビニルモノマーとしては、2−ビニル−4,4−ジメチル−1,3−オキサゾリン−5−オン(VDMO)及び2−イソプロペニル−4,4−ジメチル−1,3−オキサゾリン−5−オン(IPDMO))及びそれらの組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。
【0086】
好ましくは、第一のエチレン性官能化ビニルモノマーの第一の反応性官能基、第二のエチレン性官能化ビニルモノマーの第四の反応性官能基、官能性ポリシロキサン化合物の第二の反応性官能基及び連鎖移動剤の第三の反応性官能基は、互いに独立して、アミノ基(上記で定義される−NHR’)、ヒドロキシル基、カルボン酸基、酸ハロゲン化物基(−COX、X=Cl、Br又はI)、酸無水物基、アルデヒド基、アズラクトン基、イソシアネート基、エポキシ基、アジリジン基、アミド基(−CONH
2)及びそれらの組み合わせからなる群より選択され、より好ましくは、アミノ基(上記で定義される−NHR’)、ヒドロキシル基、カルボン酸基、酸ハロゲン化物基(−COX、X=Cl、Br又はI)、アズラクトン基、イソシアネート基、エポキシ基、アジリジン基及びそれらの組み合わせからなる群より選択される(但し、1つの第一又は第四の反応性官能基が、1つの第二又は第三の反応性官能基と、カップリング剤の存在下又は非存在下で反応して、共有結合を形成することができる)。
【0087】
部分エチレン性官能化ポリシロキサンが、少なくとも1つのエチレン性不飽和基及び少なくとも1つの反応性官能基を有する少なくとも1つのポリシロキサンビニルモノマー又はマクロマーを含むことを理解されたい。少なくとも1つの反応性官能基を有するそのようなポリシロキサンビニルモノマー又はマクロマーは、両親媒性分岐鎖ポリシロキサンコポリマー中に1つの反応性官能基でそれぞれ終端化されたダングリングポリシロキサン鎖を形成し、最終的には、本発明の両親媒性分岐鎖ポリシロキサンプレポリマー中に1つのエチレン性不飽和基でそれぞれ終端化されたダングリングポリシロキサン鎖を形成する。ポリシロキサンビニルモノマー又はマクロマーが、2つ以上のエチレン性不飽和基及び少なくとも1つの反応性官能基を有する場合、これは、また、ポリシロキサン架橋剤として作用することができる。
【0088】
好ましくは、部分エチレン性官能化ポリシロキサンを調製するために使用される官能性ポリシロキサンは、式(1)により表される。より好ましくは、エチレン性官能化ビニルモノマーは、式(1)の官能性ポリシロキサン化合物と、70%〜約90%のモル当量で反応させて、部分エチレン性官能化ポリシロキサンを得る。
【0089】
本発明のこの態様によれば、任意の適切な親水性ビニルモノマーを、本発明の両親媒性分岐鎖ポリシロキサンプレポリマーの調製に使用することができる。適切な親水性ビニルモノマーは、ヒドロキシル置換C
1−C
6アルキル(メタ)アクリレート、ヒドロキシル置換C
1−C
6アルキル(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシル置換C
1−C
6アルキルビニルエーテル、C
1−C
6アルキル(メタ)アクリルアミド、ジ−(C
1−C
6アルキル)(メタ)アクリルアミド、N−ビニルピロール、N−ビニル−2−ピロリドン、2−ビニルオキサゾリン、2−ビニル−4,4’−ジアルキルオキサゾリン−5−オン、2−及び4−ビニルピリジン、合計3〜6個の炭素原子を有するオレフィン性不飽和カルボン酸、アミノ置換C
1−C
6アルキル−(ここで、用語「アミノ」は、第4級アンモニウムも含む)、モノ(C
1−C
6アルキルアミノ)(C
1−C
6アルキル)及びジ(C
1−C
6アルキルアミノ)(C
1−C
6アルキル)(メタ)アクリレート又は(メタ)アクリルアミド、アリルアルコール、ビニルアミン、N−ビニルC
1−C
6アルキルアミド、N−ビニル−N−C
1−C
6アルキルアミドならびにそれらの組み合わせであるが、これらに限定されない。
【0090】
好ましい親水性ビニルモノマーの例は、N,N−ジメチルアクリルアミド(DMA)、N,N−ジメチルメタクリルアミド(DMMA)、2−アクリルアミドグリコール酸、3−アクリロイルアミノ−1−プロパノール、N−ヒドロキシエチルアクリルアミド、N−[トリス(ヒドロキシメチル)メチル]−アクリルアミド、N−メチル−3−メチレン−2−ピロリドン、1−エチル−3−メチレン−2−ピロリドン、1−メチル−5−メチレン−2−ピロリドン、1−エチル−5−メチレン−2−ピロリドン、5−メチル−3−メチレン−2−ピロリドン、5−エチル−3−メチレン−2−ピロリドン、1−n−プロピル−3−メチレン−2−ピロリドン、1−n−プロピル−5−メチレン−2−ピロリドン、1−イソプロピル−3−メチレン−2−ピロリドン、1−イソプロピル−5−メチレン−2−ピロリドン、1−n−ブチル−3−メチレン−2−ピロリドン、1−tert−ブチル−3−メチレン−2−ピロリドン、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)、2−ヒドロキシエチルアクリレート(HEA)、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート(HPMA)、2−ヒドロキシプロピルメタクリレートトリメチルアンモニウム塩酸塩、アミノプロピルメタクリレート塩酸塩、ジメチルアミノエチルメタクリレート(DMAEMA)、グリセロールメタクリレート(GMA)、N−ビニル−2−ピロリドン(NVP)、アリルアルコール、ビニルピリジン、1500までの重量平均分子量を有するC
1−C
4−アルコキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メタクリル酸、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド、N−ビニルイソプロピルアミド、N−ビニル−N−メチルアセトアミド、N−ビニルカプロラクタム及びそれらの混合物である。これらの好ましい親水性ビニルモノマー中で、両親媒性分岐鎖ポリシロキサンコポリマーを調製するための重合性組成物に組み込むために、任意の反応性官能基を含有しないものが特に好ましい。
【0091】
本発明のこの態様によれば、任意の適切な疎水性ビニルモノマーを、本発明の両親媒性分岐鎖ポリシロキサンプレポリマーの調製に使用することができる。好ましい疎水性ビニルモノマーの例には、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、sec−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、シクロへキシルアクリレート、2−エチルへキシルアクリレート、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、吉草酸ビニル、スチレン、クロロプレン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、アクリロニトリル、1−ブテン、ブタジエン、メタクリロニトリル、ビニルトルエン、ビニルエチルエーテル、ペルフルオロへキシルエチル−チオ−カルボニル−アミノエチル−メタクリレート、イソボルニルメタクリレート、トリフルオロエチルメタクリレート、ヘキサフルオロ−イソプロピルメタクリレート、ヘキサフルオロブチルメタクリレート、シリコーン含有ビニルモノマー及びそれらの混合物が含まれる。最も好ましくは、重合性組成物は、嵩高い疎水性ビニルモノマーを含む。好ましい嵩高い疎水性ビニルモノマーには、N−[トリス(トリメチルシロキシ)シリルプロピル]−(メタ)アクリルアミド;N−[トリス(ジメチルプロピルシロキシ)−シリルプロピル]−(メタ)アクリルアミド;N−[トリス(ジメチルフェニルシロキシ)シリルプロピル](メタ)アクリルアミド;N−[トリス(ジメチルエチルシロキシ)シリルプロピル](メタ)アクリルアミド;N−(2−ヒドロキシ−3−(3−(ビス(トリメチルシリルオキシ)メチルシリル)プロピルオキシ)プロピル)−2−メチルアクリルアミド;N−(2−ヒドロキシ−3−(3−(ビス(トリメチルシリルオキシ)メチルシリル)プロピルオキシ)プロピル)アクリルアミド;N,N−ビス[2−ヒドロキシ−3−(3−(ビス(トリメチルシリルオキシ)メチルシリル)プロピルオキシ)プロピル]−2−メチルアクリルアミド;N,N−ビス[2−ヒドロキシ−3−(3−(ビス(トリメチルシリルオキシ)メチルシリル)プロピルオキシ)プロピル]アクリルアミド;N−(2−ヒドロキシ−3−(3−(トリス(トリメチルシリルオキシ)シリル)プロピルオキシ)プロピル)−2−メチルアクリルアミド;N−(2−ヒドロキシ−3−(3−(トリス(トリメチルシリルオキシ)シリル)プロピルオキシ)プロピル)アクリルアミド;N,N−ビス[2−ヒドロキシ−3−(3−(トリス(トリメチルシリルオキシ)シリル)プロピルオキシ)プロピル]−2−メチルアクリルアミド;N,N−ビス[2−ヒドロキシ−3−(3−(トリス(トリメチルシリルオキシ)シリル)プロピルオキシ)プロピル]アクリルアミド;N−[2−ヒドロキシ−3−(3−(t−ブチルジメチルシリル)プロピルオキシ)プロピル]−2−メチルアクリルアミド;N−[2−ヒドロキシ−3−(3−(t−ブチルジメチルシリル)プロピルオキシ)プロピル]アクリルアミド;N,N−ビス[2−ヒドロキシ−3−(3−(t−ブチルジメチルシリル)プロピルオキシ)プロピル]−2−メチルアクリルアミド;N,N−ビス[2−ヒドロキシ−3−(3−(t−ブチルジメチルシリル)プロピルオキシ)プロピル]アクリルアミド;3−メタクリルオキシプロピルペンタメチルジシロキサン;トリス(トリメチルシリルオキシ)シリルプロピルメタクリレート(TRIS);(3−メタクリルオキシ−2−ヒドロキシプロピルオキシ)プロピルビス(トリメチルシロキシ)メチルシラン);(3−メタクリルオキシ−2−ヒドロキシプロピルオキシ)プロピルトリス(トリメチルシロキシ)シラン;3−メタクリルオキシ−2−(2−ヒドロキシエトキシ)−プロピルオキシ)プロピルビス(トリメチルシロキシ)メチルシラン;N−2−メタクリルオキシエチル−O−(メチル−ビス−トリメチルシロキシ−3−プロピル)シリルカルバメート;3−(トリメチルシリル)プロピルビニルカルボネート;3−(ビニルオキシカルボニルチオ)プロピル−トリス(トリメチル−シロキシ)シラン;3−[トリス(トリメチルシロキシ)シリル]プロピルビニルカルバメート;3−[トリス(トリメチルシロキシ)シリル]プロピルアリルカルバメート;3−[トリス(トリメチルシロキシ)シリル]プロピルビニルカルボネート;t−ブチルジメチル−シロキシエチルビニルカルボネート;トリメチルシリルエチルビニルカルボネート;トリメチルシリルメチルビニルカルボネート;t−ブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシルアクリレート、イソボルニルメタクリレート、ポリシロキサン含有ビニルモノマー(3〜8個のシリコーン原子を有する)及びそれらの組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。
【0092】
ポリシロキサンプレポリマー中にそのような嵩高い疎水性ビニルモノマーが存在することで、ポリシロキサンプレポリマーを含むレンズ形成組成物から製造されるレンズを製造する際の取り扱いにより生じる光学的欠点(永久歪み)を最小又は排除することができると考えられている。そのような歪み又は光学的欠点とは、同時係属米国特許出願第12/456,364号(参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)の実施例1に記載されるように、レンズを手で折り畳んだ後に、コンタクトレンズ光学品質分析器(Contact Lens Optical Quality Analyzer)(CLOQA)によりレンズ上に観測される永久的な折り畳み跡を指す。嵩高い疎水性ビニルモノマーが存在すると、得られたレンズは「回復(healing)」効果を示し、光学的欠点が取り除かれたと考えられる(すなわち、折り畳み跡は一時的となり、短時間、例えば、約15分以内に消失しうる)。
【0093】
本発明によれば、連鎖移動剤は、1つ又は複数のチオール基、例えば、2つ、又は、最も好ましくは、1つのチオール基を含むことができる。連鎖移動剤が、チオール基の他に、反応性官能基(例えば、ヒドロキシル、アミノ又はカルボン酸基)を含む場合、そのような連鎖移動剤をその後のエチレン性不飽和基を付加するための機能を提供するために使用することができる。適切な連鎖移動剤は、さらなる反応性官能基、例えば、ヒドロキシ、アミノ、N−C
1−C
6−アルキルアミノ、カルボキシ又はそれらの適切な誘導体などを有する有機第一級チオール又はメルカプタンを含む。好ましい連鎖移動剤は、2〜約24個の炭素原子を有し、且つ、アミノ、ヒドロキシ及びカルボキシから選択されるさらなる反応性官能基を有する脂環式、又は好ましくは、脂肪族チオールであり;従って、好ましい連鎖移動剤は、脂肪族メルカプトカルボン酸、ヒドロキシメルカプタン又はアミノメルカプタンである。好ましい連鎖移動剤の例は、2−メルカプトエタノール、2−アミノエタンチオール(システアミン)、2−メルカプトプロピオン酸、チオグリコール酸、チオ乳酸、エタンジチオール、プロパンジチオール及びそれらの組み合わせである。アミン又はカルボン酸の場合、連鎖移動剤は、遊離アミンもしくは酸の形態、あるいは、好ましくは、適切なその塩の形態、例えば、アミンの場合は塩酸塩、又は酸の場合はナトリウム、カリウムもしくはアミン塩であってよい。
【0094】
好ましい実施態様においては、重合性組成物は、第二のエチレン性官能化ビニルモノマーとのカップリング反応に関与することができる任意の反応性官能基を有さない第一の親水性ビニルモノマーと、第二のエチレン性官能化ビニルモノマーとのカップリング反応に関与することができる反応性官能基を有する第二の親水性ビニルモノマーを含む(ここで、第一及び第二の親水性ビニルモノマーは、重合性組成物中に、約5:1〜約30:1の比で存在する)。第一の親水性ビニルモノマーは、好ましくは、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−メチル−3−メチレン−2−ピロリドン、1−エチル−3−メチレン−2−ピロリドン、1−メチル−5−メチレン−2−ピロリドン、1−エチル−5−メチレン−2−ピロリドン、5−メチル−3−メチレン−2−ピロリドン、5−エチル−3−メチレン−2−ピロリドン、1−n−プロピル−3−メチレン−2−ピロリドン、1−n−プロピル−5−メチレン−2−ピロリドン、1−イソプロピル−3−メチレン−2−ピロリドン、1−イソプロピル−5−メチレン−2−ピロリドン、1−n−ブチル−3−メチレン−2−ピロリドン、1−tert−ブチル−3−メチレン−2−ピロリドン、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N−ビニル−2−ピロリドン、C
1−C
4−アルコキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド、N−ビニルイソプロピルアミド、N−ビニル−N−メチルアセトアミド及びそれらの混合物からなる群より選択され;そして、第二の親水性ビニルモノマーは、好ましくは、ヒドロキシル置換C
1−C
4アルキル(メタ)アクリレート、ヒドロキシル置換C
1−C
4アルキル(メタ)アクリルアミド、アミノ置換C
1−C
4アルキル(メタ)アクリレート、アミノ置換C
1−C
4アルキル(メタ)アクリルアミド、アリルアルコール、アリルアミン及びそれらの混合物からなる群より選択される。
【0095】
別の好ましい実施態様においては、本発明の両親媒性分岐鎖ポリシロキサンプレポリマーを製造するための両親媒性分岐鎖ポリシロキサンコポリマーは、(a)約10%〜約94%、好ましくは、約20%〜約80%、より好ましくは、約40%〜約65%(重量)の部分(40%〜約95%、好ましくは、約50%〜約95%、より好ましくは、約60%〜約92%、さらにより好ましくは、約70%〜約90%)エチレン性官能化ポリシロキサン(すなわち、部分エチレン性官能化ポリシロキサン);(b)約5%〜約75%、好ましくは、約10%〜約65%、より好ましくは、約15%〜約55%、さらにより好ましくは、約20%〜約45%(重量)の少なくとも1つの親水性ビニルモノマー;(c)0〜約55%、好ましくは、約5%〜約45%、より好ましくは、約10%〜約40%、さらにより好ましくは、約15%〜約30%(重量)の嵩高い疎水性ビニルモノマー;(d)約0.25%〜約5%、好ましくは、約0.5%〜約4%、より好ましくは、約0.75%〜約3%、さらにより好ましくは、約1%〜約2%(重量)のRAFT剤以外の連鎖移動剤(ここで、連鎖移動剤は、場合により、しかし、好ましくは、反応性官能基を含む);(e)0〜5%(重量)、好ましくは、約0.2%〜4%(重量)、より好ましくは、約0.3%〜約2.5%(重量)、さらにより好ましくは、約0.5%〜約1.8%(重量)の重合性UV吸収化合物;及び(f)約0.1%〜約5%、好ましくは、約0.2%〜約4%、より好ましくは、約0.3%〜約3%、さらにより好ましくは、約0.4%〜約1.5%(重量)のフリーラジカル開始剤(光開始剤又は熱開始剤、好ましくは、熱開始剤)を含む重合性組成物を重合させることにより得られる。上記成分の%(重量)は、全重合性成分(ここに記載しない追加の重合性成分を含むことができる)の総重量に対する割合である。
【0096】
好ましい重合性UV吸収剤には、2−(2−ヒドロキシ−5−ビニルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−5−アクリリルオキシフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3−メタクリルアミドメチル−5−tert−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メタクリルアミドフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メタクリルアミドフェニル)−5−メトキシベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メタクリルオキシプロピル−3’−t−ブチル−フェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メタクリルオキシエチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メタクリルオキシプロピルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−ヒドロキシ−4−アクリルオキシアルコキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メタクリルオキシアルコキシベンゾフェノン、アリル−2−ヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メタクリルオキシベンゾフェノンが含まれるが、これらに限定されない。重合性UV吸収剤は、一般的に、本発明のポリシロキサンプレポリマーを得るためのエチレン性官能化されるポリシロキサンコポリマーを調製するための重合性組成物中に、プレポリマーを含むレンズ形成材料から製造され、且つ、レンズに影響を与える約280nm〜約370nmの範囲でUV光の少なくとも約80%を吸収するコンタクトレンズにするために十分な量で存在する。当業者であれば、重合性組成物に使用されるUV吸収剤の規定量が、UV吸収剤の分子量及び約280〜約370nmの範囲におけるその吸光係数によって決められることが理解されるであろう。本発明によれば、重合性組成物は、約0.2%〜約5.0%、好ましくは、約0.3%〜約2.5%、より好ましくは、約0.5%〜約1.8%(重量)のUV吸収剤を含む。
【0097】
両親媒性分岐鎖ポリシロキサンコポリマーを調製するための重合性組成物は、さらに、ポリシロキサン含有ビニルマクロマーを含むことができる。ポリシロキサン含有ビニルマクロマーは、任意の公知の手順、例えば、米国特許第4,136,250号、第4,486,577号、第4,605,712号、第5,034,461号、第5,416,132号及び第5,760,100号(参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる)に記載の手順に従って調製することができる。
【0098】
好ましいポリシロキサン含有ビニルモノマー又はマクロマーの例には、様々な分子量のモノ−(メタ)アクリレート末端ポリジメチルシロキサン(例えば、モノ−3−メタクリルオキシプロピル末端、モノ−ブチル末端ポリジメチルシロキサン又はモノ−(3−メタクリルオキシ−2−ヒドロキシプロピルオキシ)プロピル末端、モノ−ブチル末端ポリジメチルシロキサン);様々な分子量のモノ−ビニル末端、モノ−ビニルカルボネート末端又なモノ−ビニルカルバメート末端ポリジメチルシロキサン;ポリシロキサニルアルキル(メタ)アクリルモノマー;ヒドロキシル官能化シロキサン含有ビニルモノマー又はマクロマー;及びそれらの混合物が含まれるが、これらに限定されない。好ましいポリシロキサン含有架橋剤の例には、様々な分子量のジ−(メタ)アクリレートポリジメチルシロキサン(又は、いわゆるポリシロキサン架橋剤);ジ−ビニルカルボネート末端ポリジメチルシロキサン(ポリシロキサン架橋剤);ジ−ビニルカルバメート末端ポリジメチルシロキサン(ポリシロキサン架橋剤);ジ−ビニル末端ポリジメチルシロキサン(ポリシロキサン架橋剤);ジ−(メタ)アクリルアミド末端ポリジメチルシロキサン(ポリシロキサン架橋剤);ビス−3−メタクリルオキシ−2−ヒドロキシプロピルオキシプロピルポリジメチルシロキサン(ポリシロキサン架橋剤);N,N,N’,N’−テトラキス(3−メタクリルオキシ−2−ヒドロキシプロピル)−α,ω−ビス−3−アミノプロピルポリジメチルシロキサン(ポリシロキサン架橋剤);米国特許第5,760,100号(参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)に記載のマクロマーA、マクロマーB、マクロマーC及びマクロマーDからなる群より選択されるシロキサン含有マクロマー;グリシジルメタクリレートとアミノ官能性ポリジメチルシロキサンとの反応生成物;米国特許第4,136,250号、第4,153,641号、第4,182,822号、第4,189,546号、第4,343,927号、第4,254,248号、第4,355,147号、第4,276,402号、第4,327,203号、第4,341,889号、第4,486,577号、第4,543,398号、第4,605,712号、第4,661,575号、第4,684,538号、第4,703,097号、第4,833,218号、第4,837,289号、第4,954,586号、第4,954,587号、第5,010,141号、第5,034,461号、第5,070,170号、第5,079,319号、第5039,761号、第5,346,946号、第5,358,995号、第5,387,632号、第5,416,132号、第5,451,617号、第5,486,579号、第5,962,548号、第5,981,675号、第6,039,913号及び第6,762,264号(参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)に開示のポリシロキサン含有架橋剤;米国特許第4,259,467号、第4,260,725号及び第4,261,875号(参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)に開示のポリシロキサン含有架橋剤;ポリジメチルシロキサン及びポリアルキレンオキシドからなるジ−及びトリ−ブロック架橋剤(例えば、メタクリレートで末端キャップしたポリエチレンオキシド−ブロック−ポリジメチルシロキサン−ブロック−ポリエチレンオキシド);ならびにそれらの混合物が含まれるが、これらに限定されない。
【0099】
別の種類の好ましいポリシロキサン含有架橋剤は、親水性セグメント及び疎水性セグメントを含むシリコン(silicon)含有プレポリマーである。親水性セグメント及び疎水性セグメントを有する任意の適切なシリコーン含有プレポリマーを、本発明において使用することができる。このようなシリコーン含有プレポリマーの例には、所有者が同じ米国特許第6,039,913、第6,043,328号、第7,091,283号、第7,268,189号及び第7,238,750号、第7,521,519号;所有者が同じ米国特許出願公報第US 2008-0015315 A1号、第US 2008-0143958 A1号、第US 2008-0143003 A1号、第US 2008-0234457 A1号、第US 2008-0231798 A1号ならびに所有者が同じ米国特許出願第12/313,546号、第12/616,166号及び第12/616169号に記載のものが含まれる。これらの全てが、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0100】
両親媒性分岐鎖ポリシロキサンコポリマーを調製するための重合性組成物の重合は、よく知られたラジカル連鎖成長重合に基づいており、そして、任意の公知の方法に従って、重合に適する任意の容器(反応器)中で実施することができる。重合は、好ましくは、熱により開始される。両親媒性分岐鎖ポリシロキサンを調製するための重合性組成物は、全ての成分を当業者に公知の任意の適切な溶媒に溶解させることにより調製することができる。
【0101】
得られた両親媒性分岐鎖ポリシロキサンコポリマーは、次に、第四の反応性官能基を有する第二のエチレン性官能化ビニルモノマーと反応させてエチレン性官能化することにより、本発明の両親媒性分岐鎖ポリシロキサンプレポリマーが得られるが、但し、第四の反応性基は、両親媒性分岐鎖ポリシロキサンコポリマーの末端の第二の反応性官能基及び第三の官能基(可能であれば)の1つと、カップリング剤の存在下又は非存在下で反応して、共有結合を形成することができる。このエチレン性官能化の工程の間、部分エチレン性官能化ポリシロキサン中にもともと存在する未反応の官能性ポリシロキサンが、また、エチレン性官能化されてポリシロキサン架橋剤を形成し、これを、得られた両親媒性分岐鎖ポリシロキサンプレポリマーと共にシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズを製造するためのレンズ調合物の調製に使用することができることを理解されたい。
【0102】
本発明によれば、両親媒性ポリシロキサンコポリマーに対する第二のエチレン性官能化ビニルモノマーのモル当量比は、1超、好ましくは、約1〜約1.2、より好ましくは、約1〜約1.1、さらにより好ましくは、約1〜1.05である。モル当量比の計算は、重合性組成物中の反応性官能基を有する部分エチレン性官能化ポリシロキサン、連鎖移動剤、任意の他の重合性成分から誘導されるものを含む、両親媒性分岐鎖コポリマーの全ての可能な反応性官能基を考慮する必要がある。そのような計算は、両親媒性分岐鎖ポリシロキサンコポリマーを調製するための出発物質に基づいて行うことができる。過剰量の第二のエチレン性官能化ビニルモノマーは、得られた両親媒性分岐鎖ポリシロキサンプレポリマーを、シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズを製造するためのレンズ調合物の調製で使用する前に、該プレポリマーから除去することができる(しかし、好ましくは、除去しなくてもよい)。
【0103】
本発明によれば、両親媒性分岐鎖ポリシロキサンプレポリマーの成分の%(重量)は、エチレン性官能化して本発明のプレポリマーを形成するための両親媒性分岐鎖ポリシロキサンコポリマーを調製するために使用される組成物又は混合物の全重合性成分の総重量に対する重合性組成物又は混合物により決定される。例えば、エチレン性官能化して本発明のプレポリマーを形成するための両親媒性分岐鎖ポリシロキサンコポリマーを調製するための重合性混合物が、約44%(重量)の80%エチレン性官能化直鎖ポリジメチルシロキサン(2つのエチレン性不飽和基を有する64%の直鎖ポリシロキサン架橋剤、エチレン性官能化のための1つのエチレン性不飽和基及び1つの反応性官能基を有する32%の直鎖ポリシロキサン、両親媒性分岐鎖プレポリマーに組み込まれない2つの末端反応性官能基を有する4%の直鎖ポリシロキサンを含有し、そのパーセントは上記のように計算される)、約28.5%(重量)の少なくとも1つの親水性ビニルモノマー、約26%(重量)の嵩高い疎水性ビニルモノマー(例えば、TRISなど)及び約1.5%の連鎖移動剤(例えば、メルカプトエタノール)を含む場合、得られた両親媒性分岐鎖プレポリマーは、約28%(重量)のポリシロキサン架橋単位(44%×64%×100)、約14%(重量)のダングリングポリシロキサン鎖(その各々は、エチレン性不飽和基で終端化されている)(44%×32%×100)、約28.5%(重量)の親水性モノマー単位、約26%(重量)の嵩高い疎水性モノマー単位及び約1.5%(重量)の連鎖移動単位を含む。当業者であれば、実例として記載した上記の手順に従って、両親媒性分岐鎖プレポリマーの各成分のパーセントをどのように決定するればよいかをよく知っているであろう。
【0104】
本発明の両親媒性分岐鎖ポリシロキサンプレポリマーは、特に、シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズを調製するためのレンズ形成材料として使用することができる。シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズを製造するためのレンズ形成組成物の調製に、少量(すなわち、全重合性成分の総量に対して20%(重量)未満)の1つ又は複数のビニルモノマーと共に、本発明の両親媒性分岐鎖ポリシロキサンプレポリマーとして使用することが特に有利であろう。成形用型内でのそのようなレンズ形成組成物の硬化は、二段階硬化プロセスになるであろう。第一段階は、容器内のレンズ調合物のオフライン硬化(又はプレ硬化)であり、もう一つの段階は、成形用型内でのレンズ調合物のインライン硬化である。そのようなレンズ形成組成物は、下記の利点を提供することができる。第一に、レンズ形成組成物中の1つ又は複数のビニルモノマーの濃度を低下させることができ、それによって、コンタクトレンズを製造するための成形用型内でのレンズ形成組成物の重合時に生じる収縮を実質的に減少させることができる。第二に、両親媒性分岐鎖ポリシロキサンプレポリマーのエチレン性基は、これらがポリマー鎖の末端に位置しているため、ラジカル連鎖成長重合に容易に利用することができる。成形用型内でのレンズ形成組成物の硬化時間は、モノマー混合物からなるレンズ形成組成物(すなわち、全重合性成分の総量に対して20%(重量)超の1つ又は複数のビニルモノマー)に比べれば、比較的短時間であってよい。第三に、レンズ形成組成物の粘性は、1つ又は複数のプレポリマーからなるレンズ形成組成物に比べれば、1つ又は複数のビニルモノマーが存在するため比較的低くてよい。
【0105】
本発明の様々な好ましい実施態様を別々に上述することができるが、これらを任意の所望の様式で組み合わせて、本発明の異なる好ましい実施態様を導き出すことができることを理解すべきである。
【0106】
第二の態様においては、本発明は、シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズを製造するための方法を提供する。本方法は、(i)両親媒性分岐鎖ポリシロキサンプレポリマーを得る工程(ここで、両親媒性分岐鎖ポリシロキサンプレポリマーは、(a)少なくとも1つの親水性ビニルモノマーから誘導される、約5%〜約75%、好ましくは、約10%〜約65%、より好ましくは、約15%〜約55%、さらにより好ましくは、約20%〜約45%(重量)の親水性モノマー単位、(b)2つ以上の末端エチレン性不飽和基を有する少なくとも1つのポリシロキサン架橋剤から誘導される、約1%〜約85%、好ましくは、約2.5%〜約75%、より好ましくは、約5%〜約65%(重量)のポリシロキサン架橋単位、(c)約2%〜約48%、好ましくは、約3%〜約38%、より好ましくは、約4%〜約28%(重量)のダングリングポリシロキサン鎖(その各々は、エチレン性不飽和基で終端化されている)及び(d)RAFT剤以外の連鎖移動剤から誘導される、約0.25%〜約5%、好ましくは、約0.5%〜約4%、より好ましくは、約0.75%〜約3%、さらにより好ましくは、約1%〜約2%(重量)の連鎖移動単位を含む);(ii)両親媒性分岐鎖ポリシロキサンプレポリマーを使用して、レンズ形成組成物((a)約60%〜約99%、好ましくは、約75%〜約97%、より好ましくは、約85%〜約95%(重量)の両親媒性分岐鎖ポリシロキサンプレポリマー、(b)約0.1%〜約5%、好ましくは、約0.3%〜約3%、より好ましくは、約0.4%〜約1.5%(重量)のフリーラジカル開始剤(光開始剤又は熱開始剤、好ましくは、光開始剤)及び(c)親水性ビニルモノマー、シリコーン含有ビニルモノマー又はマクロマー、疎水性ビニルモノマー、2つのエチレン性不飽和基で終端化された直鎖ポリシロキサン架橋剤、700ダルトン未満の分子量を有する架橋薬剤、重合性UV吸収剤及びそれらの混合物からなる群より選択される、0〜約20%、好ましくは、約2%〜約16%、より好ましくは、約4%〜約12%(重量)の少なくとも1つの重合性成分を含み、ここで、成分(a)〜(c)の%(重量)は、レンズ形成組成物中の全重合性成分(上記されてないものを含む)の総量に対する割合である)を調製する工程;(iii)レンズ形成組成物を成形用型に導入する工程(ここで、成形用型は、コンタクトレンズの前面を規定する第一の成形面を有する第一の成形用型半部及びコンタクトレンズの後面を規定する第二の成形面を有する第二の成形用型半部を有し、前記第一及び第二の成形用型半部は、前記第一の成形面と第二の成形面の間にレンズ形成材料を受け入れるキャビティが形成されるように互いを合わせるように構成される);及び(iv)キャビティ内のレンズ形成材料を重合して、シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズを形成する工程を含む。
【0107】
両親媒性分岐鎖ポリシロキサンプレポリマー、フリーラジカル開始剤、連鎖移動剤、親水性ビニルモノマー、シリコーン含有ビニルモノマー又はマクロマー、疎水性ビニルモノマー、700ダルトン未満の分子量を有する架橋薬剤、重合性UV吸収剤及び2つのエチレン性不飽和基で終端化されている直鎖ポリシロキサン架橋剤の好ましい実施態様を含む様々な実施態様が上述されており、本発明のこの態様において使用することができる。
【0108】
好ましくは、両親媒性分岐鎖ポリシロキサンプレポリマーは、(i)部分エチレン性官能化ポリシロキサンを得る工程(ここで、部分エチレン性官能化ポリシロキサンは、第一の反応性官能基を有する第一の官能化ビニルモノマーと2つ以上の第二の反応性官能基を有する官能性ポリシロキサン化合物を、約40%〜約95%、好ましくは、約50%〜約95%、より好ましくは、約60%〜約92%、さらにより好ましくは、約70%〜約90%のモル当量比(官能性ポリシロキサン化合物に対するエチレン性官能化ビニルモノマー)で反応させることにより得られる反応生成物の混合物であり、ここで、各第一の反応性官能基は、1つの第二の反応性官能基とカップリング剤の存在下又は非存在下で反応して、共有結合又は連結を形成し、反応生成物の混合物は、少なくとも2つのエチレン性不飽和基を有する少なくとも1つのポリシロキサン架橋剤ならびに少なくとも1つの第二の反応性官能基及び少なくとも1つのエチレン性不飽和基を有する少なくとも1つのポリシロキサンビニルモノマー又はマクロマーを含む);(ii)両親媒性分岐鎖ポリシロキサンコポリマーを使用して、重合性組成物を調製する工程(ここで、重合性組成物は、少なくとも1つの親水性ビニルモノマー、連鎖移動剤(RAFT剤ではなく、そして、場合により(しかし、好ましくは)、第三の反応性官能基を含む)、及びフリーラジカル開始剤を含む);(iii)重合性組成物を重合して、前記少なくとも1つの親水性ビニルモノマーから誘導される親水性モノマー単位、ポリシロキサン架橋剤から誘導されるポリシロキサン架橋単位、ダングリングポリシロキサン鎖(それぞれ、第二の反応性官能基で末端化されており、そして、ポリシロキサンビニルモノマー又はマクロマーから誘導される)及び連鎖移動剤から誘導される第三の反応性官能基を有する又は有さない連鎖移動単位を含む、両親媒性分岐鎖ポリシロキサンコポリマーを形成する工程;(iv)分岐鎖ポリシロキサンコポリマーと、分岐鎖ポリシロキサンコポリマーの1つの第二又は第三の反応性官能基と反応する第四の反応性官能基を有する第二のエチレン性官能化ビニルモノマーとを、カップリング剤の存在下又は非存在下で反応させて、共有結合を形成する工程を含み、それによって、ダングリングポリシロキサン鎖(その各々は、1つのエチレン性不飽和基で終端化されている)を有する両親媒性分岐鎖ポリシロキサンプレポリマーを形成する製造法に従って得られる。
【0109】
反応性官能基を有する官能性ポリシロキサン、エチレン性官能化ビニルモノマー、親水性ビニルモノマー、疎水性ビニルモノマー、嵩高い疎水性ビニルモノマー、フリーラジカル開始剤、重合性UV吸収剤、連鎖移動剤及び溶媒ならびに両親媒性分岐鎖ポリシロキサンコポリマーを調製するための重合性組成物の様々な好ましい実施態様を含む様々な実施態様が上述されており(例えば、本発明の第一の態様)、本発明のこの態様において使用することができる。
【0110】
本発明によれば、第一及び第二のエチレン性官能化ビニルモノマーは、互いに異なっていてもよいが、好ましくは、同一であってよい。好ましくは、両親媒性ポリシロキサンコポリマーに対する第二のエチレン性官能化ビニルモノマーのモル当量比は、1超、好ましくは、約1〜約1.2、より好ましくは、約1〜約1.1、さらにより好ましくは、約1〜1.05である。両親媒性分岐鎖ポリシロキサンコポリマーは、エチレン性官能化の前に精製することができる(しかし、好ましくは、精製しない)。過剰量の第二のエチレン性官能化ビニルモノマーは、得られた両親媒性分岐鎖ポリシロキサンプレポリマーを、シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズを製造するためのレンズ調合物の調製で使用する前に、該プレポリマーから除去することができる(しかし、好ましくは、除去しなくてもよい)。
【0111】
得られた両親媒性分岐鎖ポリシロキサンプレポリマーは、シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズを製造するためのレンズ形成組成物の調製に直接使用することができる。しかし、両親媒性分岐鎖ポリシロキサンプレポリマーの調製に使用される溶媒が、レンズ形成組成物を調製するための所望の溶媒でない場合、当業者に公知の任意の適切な技術(例えば、所望の溶媒での濃縮及び希釈サイクルの繰り返し)に従って溶媒を交換することが望ましい。あるいは、得られた両親媒性分岐鎖ポリシロキサンプレポリマーは、当業者に公知の任意の公知の適切な技術により精製することができる。
【0112】
レンズ形成組成物が、また、例えば、親水性ビニルモノマー、疎水性ビニルモノマー、嵩高い疎水性ビニルモノマー、可視性着色剤(例えば、染料、顔料又はそれらの混合物)、重合性UV吸収剤、抗菌剤(例えば、好ましくは、銀ナノ粒子)、生物活性剤、浸出性潤滑剤、浸出性涙液安定化剤(leachable tear-stabilizing agent)及びそれらの混合物などの当業者に知られている様々な成分を含むことができることを理解されたい。
【0113】
ポリマーマトリクス中に含有させる生物活性剤は、眼の病気を予防し、眼の病気の症状を軽減することができる任意の化合物である。生物活性剤は、薬物、アミノ酸(例えば、タウリン、グリシンなど)、ポリペプチド、タンパク質、核酸又はそれらの組み合わせであってよい。本明細書において有用な薬物の例には、レバミピド、ケトチフェン、オラプチジン、クロモグリコラート、シクロスポリン、ネドクロミル、レボカバスチン、ロドキサミド、ケトチフェン又はその薬学的に許容しうる塩もしくはエステルが含まれるが、これらに限定されない。生物活性剤の他の例には、2−ピロリドン−5−カルボン酸(PCA)、α−ヒドロキシル酸(例えば、グリコール酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、マンデル酸及びクエン酸ならびにその塩など)、リノール酸及びγ−リノール酸ならびにビタミン類(例えば、B5、A、B6など)が含まれる。
【0114】
浸出性潤滑剤の例には、ムチン様材料(例えば、ポリグリコール酸)及び非架橋性親水性ポリマー(すなわち、エチレン不飽和基を有さない)が含まれるが、これらに限定されない。
【0115】
エチレン不飽和基を全く有さない任意の親水性ポリマー又はコポリマーを、浸出性潤滑剤として使用することができる。非架橋性親水性ポリマーの好ましい例には、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリアミド、ポリイミド、ポリラクトン、ビニルラクタムのホモポリマー、1つ又は複数の親水性ビニルコモノマーの存在下又は非存在下での少なくとも1つのビニルラクタムのコポリマー、アクリルアミド又はメタクリルアミドのホモポリマー、アクリルアミド又はメタクリルアミドと1つ又は複数の親水性ビニルモノマーのコポリマー、ポリエチレンオキシド(すなわち、ポリエチレングリコール(PEG))、ポリオキシエチレン誘導体、ポリ−N,N−ジメチルアクリルアミド、ポリアクリル酸、ポリ−2−エチルオキサゾリン、ヘパリン多糖類、多糖類及びそれらの混合物が含まれるが、これらに限定されない。
【0116】
非架橋性親水性ポリマーの重量平均分子量M
wは、好ましくは、5,000〜500,000、より好ましくは、10,000〜300,000、さらにより好ましくは、20,000〜100,000である。
【0117】
漏出性涙液安定化剤の例には、リン脂質、モノグリセリド、ジグリセリド、トリグリセリド、糖脂質、グリセロ糖脂質、スフィンゴ脂質、スフィンゴ糖脂質、脂肪族アルコール、脂肪酸、鉱油及びそれらの混合物が含まれるが、これらに限定されない。好ましくは、涙液安定化剤は、リン脂質、モノグリセリド、ジグリセリド、トリグリセリド、糖脂質、グリセロ糖脂質、スフィンゴ脂質、スフィンゴ糖脂質、8〜36個の炭素原子を有する脂肪酸、8〜36個の炭素原子を有する脂肪族アルコール又はそれらの混合物である。
【0118】
レンズ形成組成物は、全ての所望の成分を当業者に公知の任意の適切な溶媒に溶解させることにより調製することができる。適切な溶媒の例は上述したものであり、本発明のこの態様において使用することができる。
【0119】
コンタクトレンズを製造するためのレンズ成形用型は、当業者によく知られており、例えば、キャスト成形又はスピンキャスティングにおいて使用される。例えば、成形用型(キャスト成形の場合)は、一般的に、少なくとも2つの成形用型部位(又は部分)又は成形用型半部、すなわち、第一及び第二の成形用型半部を含む。第一の成形用型半部は、第一の成形(又は光学)面を規定し、第二の成形用型半部は、第二の成形(又は光学)面を規定する。第一及び第二の成形用型半部は、第一の成形面と第二の成形面の間にレンズ形成キャビティが形成されるように互いを合わせるように構成される。成形用型半部の成形面は、成形用型のキャビティ形成表面であり、レンズ形成材料と直接接触する。
【0120】
コンタクトレンズをキャスト成形するための成形用型部位を製造する方法は、一般的に、当業者によく知られている。本発明のプロセスは、任意の特定の成形用型形成方法に限定されない。実際に、成形用型を形成する任意の方法を、本発明において使用することができる。第一及び第二の成形用型半部は、射出成形又は旋盤加工などの様々な技術により形成することができる。成形用型半部を形成するための適切なプロセスの例は、米国特許第4,444,711号(Schad);第4,460,534号(Boehm等);第5,843,346号(Morrill);及び第5,894,002号(Boneberger等)に開示されており、これらは、また、参照により本明細書に組み込まれる。
【0121】
実質的には、当技術分野で知られている成形用型を製造するための全ての材料を使用して、コンタクトレンズを作製するための成形用型を製造することができる。例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、PMMA、Topas(登録商標)COCグレード8007-S10(エチレンとノルボルネンの透明な非晶質コポリマー、Ticona GmbH of Frankfurt, Germany and Summit, New Jersey)などのポリマー材料を使用することができる。石英ガラス及びサファイアなどのUV光透過性の他の材料を使用してもよい。
【0122】
好ましい実施態様においては、再利用可能な成形用型を使用して、レンズ形成組成物を空間的に制限した化学線下で化学線により硬化(重合)させることにより、シリコーンハイドロゲルコンタクトレンズを形成する。好ましい再利用可能な成形用型の例は、米国特許出願第08/274,942号(1994年7月14日出願)、第10/732,566号(2003年、12月10日出願)、第10/721,913号(2003年11月25日出願)及び米国特許第6,627,124号(参照によりその全体が組み込まれる)に開示されるものである。再利用可能な成形用型は、石英、ガラス、サファイア、CaF
2、環状オレフィンコポリマー(例えば、Topas(登録商標)COCグレード8007-S10(エチレンとノルボルネンの透明な非晶質コポリマー)(Ticona GmbH of Frankfurt, Germany and Summit, New Jersey)、Zeonex(登録商標)及びZeonor(登録商標)(Zeon Chemicals LP, Louisville, KY))、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、DuPont社のポリオキシメチレン(Delrin)、G.E. Plastics社のUltem(登録商標)(ポリエーテルイミド)、PrimoSpire(登録商標)などから製造することができる。
【0123】
本発明によれば、レンズ形成組成物は、任意の公知の方法に従って、成形用型により形成されるキャビティに導入(分注)することができる。
【0124】
レンズ形成組成物を成形用型に分注した後、これを重合して、コンタクトレンズを製造する。架橋は、熱又は化学線により開始され、好ましくは、成形用型内のレンズ形成組成物を化学線の空間的制限下で曝露して、レンズ形成組成物中の重合性成分を架橋することができる。本発明の架橋は、非常に短時間、例えば、≦約120秒、好ましくは、≦約80秒、より好ましくは、≦約50秒、さらにより好ましくは、≦約30秒、最も好ましくは、5〜30秒で実施することができる。
【0125】
レンズ形成組成物が、UV吸収部分及び/又は重合性UV吸収剤を有する両親媒性分岐鎖ポリシロキサンプレポリマーを含む場合、本発明において、ベンゾイルホスフィンオキシド光開始剤が光開始剤として好ましく使用される。好ましいベンゾイルホスフィンオキシド光開始剤には、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド;ビス−(2,6−ジクロロベンゾイル)−4−N−プロピルフェニルホスフィンオキシド;及びビス−(2,6−ジクロロベンゾイル)−4−N−ブチルフェニルホスフィンオキシドが含まれるが、これらに限定されない。ベンゾイルホスフィンオキシド開始剤以外の任意の光開始剤を本発明で使用することができることを理解されたい。
【0126】
成形されたレンズを成形用型から取り出すことができるような成形用型の開口は、それ自体公知の手法で行うことができる。
【0127】
成形されたコンタクトレンズは、レンズ抽出に供して、非重合の重合性成分を除去することができる。抽出溶媒は、当業者に公知の任意の溶媒であってよい。適切な抽出溶媒の例は、上述した溶媒である。抽出後、レンズを水又は湿潤剤(例えば、親水性ポリマー)の水性溶液中で水和することができる。
【0128】
成形されたコンタクトレンズは、さらに、例えば、表面処理(例えば、プラズマ処理、化学処理、レンズ表面への親水性モノマー又はマクロマーのグラフティング、レイヤーバイレイヤーコーティングなど);約0.005%〜約5%(重量)の湿潤剤(例えば、上記の親水性ポリマー)及び/又は粘性増強剤(例えば、メチルセルロース(MC)、エチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)又はそれらの混合物)を含有することができるパッケージング溶液と共にレンズパッケージにパッケージング;殺菌などのさらなるプロセスに供することができる。
【0129】
好ましい表面処理は、米国特許第6,451,871号、第6,719,929号、第6,793,973号、第6,811,805号、第6,896,926号(参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)に記載されるようなLbLコーティング及びプラズマ処理である。好ましいプラズマ処理は、米国特許第4,312,575号及び第4,632,844号(参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)に記載されるような、物品の表面にイオン化ガスを適用するプロセスである。
【0130】
本発明のコンタクトレンズは、好ましくは、少なくとも約40barrer、より好ましくは、少なくとも約60barrer、さらにより好ましくは、少なくとも約80barrerの酸素透過度を有する。本発明によれば、酸素透過度は、実施例に記載の手順による、見掛けの(約100ミクロンの厚さを有する試料を試験した場合に直接測定される)酸素透過度である。
【0131】
本発明のコンタクトレンズは、さらに、約2.0MPa以下、好ましくは、約1.5MPa以下、より好ましくは、約1.2MPa以下、さらにより好ましくは、約0.4MPa〜約1.0MPaの弾性係数を有する。
【0132】
本発明のコンタクトレンズは、さらに、好ましくは、少なくとも約1.5×10
−6mm
2/分、より好ましくは、少なくとも約2.6×10
−6mm
2/分、さらにより好ましくは、少なくとも約6.4×10
−6mm
2/分のイオノフラックス拡散係数Dを有する。
【0133】
本発明のコンタクトレンズは、さらに、完全に水和したときに、好ましくは、約15%〜約70%、より好ましくは、約20%〜約50%(重量)の含水率を有する。シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズの含水率は、米国特許第5,849,811号に開示のBulk技術に従って測定することができる。
【0134】
第三の態様においては、本発明は、本発明の方法により得られるシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズを提供する。
【0135】
第四の態様においては、本発明は、両親媒性分岐鎖ポリシロキサンプレポリマーを調製するための方法を提供し、本方法は、(i)部分エチレン性官能化ポリシロキサンを得る工程(ここで、部分エチレン性官能化ポリシロキサンは、第一の反応性官能基を有する第一の官能化ビニルモノマーと2つ以上の第二の反応性官能基を有する官能性ポリシロキサン化合物を、約40%〜約95%、好ましくは、約50%〜約95%、より好ましくは、約60%〜約92%、さらにより好ましくは、約70%〜約90%のモル当量比(直鎖ポリシロキサン化合物に対する官能化ビニルモノマー)で反応させることにより得られる反応生成物の混合物であり、ここで、各第一の反応性官能基は、1つの第二の反応性官能基とカップリング剤の存在下又は非存在下で反応して、共有結合又は連結を形成し、反応生成物の混合物は、少なくとも1つの第二の反応性官能基及び少なくとも1つのエチレン性不飽和基を有する1つ又は複数のポリシロキサンビニルモノマー又はマクロマー、少なくとも2つのエチレン性不飽和基を有する1つ又は複数のポリシロキサン架橋剤を含む)(ii)(a)部分エチレン性官能化ポリシロキサン、(b)少なくとも1つの親水性ビニルモノマー、(c)連鎖移動剤(RAFT剤ではなく、そして、場合により(しかし、好ましくは)、第三の反応性官能基を含む)、及び(d)フリーラジカル開始剤を含む重合性組成物を調製する工程;(ii)重合性組成物を重合して、前記少なくとも1つの親水性ビニルモノマーから誘導される親水性モノマー単位、ポリシロキサン架橋剤から誘導されるポリシロキサン架橋単位、ポリシロキサンビニルモノマー又はマクロマーから誘導され、且つ、1つの第二の反応性官能基で終端化されているダングリングポリシロキサン鎖、及び第三の反応性官能基を含有又は含有しない連鎖移動単位を含む、両親媒性分岐鎖ポリシロキサンコポリマーを形成する工程;(iii)分岐鎖ポリシロキサンコポリマーと、分岐鎖ポリシロキサンコポリマーの1つの第二又は第三の反応性官能基と反応する第四の反応性官能基を有する第二の官能化ビニルモノマーを、カップリング剤の存在下又は非存在下で反応させて、共有結合を形成する工程を含み、それによって、ダングリングポリシロキサン鎖(その各々は、1つのエチレン性不飽和基で終端化されている)を有する両親媒性分岐鎖ポリシロキサンプレポリマーを形成する。
【0136】
成形用型、レンズ形成組成物及びそれらの成分ならびに放射線の空間的制限の様々な実施態様の全て、ならびに本発明の第一及び第二の態様についての上記の本発明のコンタクトレンズを、本発明のこれらの2つの態様において使用することができる。
【0137】
先の開示により、当業者は本発明を実施することができるであろう。本明細書に記載の様々な実施態様について、様々な改変、変形及び組み合わせを行うことができる。読者が特定の実施態様及びそれらの利点をよりよく理解することができるように、下記の実施例を参照することを提案する。本明細書及び実施例が例示として考慮されるものとする。
【0138】
本発明の様々な実施態様を、特定の用語、機器及び方法を用いて記載しているが、そのような記載は、単に説明のためのものである。使用される用語は、限定するものではなくむしろ説明のための用語である。当業者であれば、下記の特許請求の範囲に記載の本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、変更及び変形を行うことができることを理解されたい。また、様々な実施態様の態様を全体又は部分的に入れ替えてもよく、あるいは任意の手法で組み合わせて、そして/又は一緒に用いてもよいことを理解すべきである。従って、添付の特許請求の範囲の精神及び範囲は、本明細書に含まれる好ましいバージョンの記載に限定されるべきではない。
【0139】
実施例1
酸素透過度の測定
見掛けのレンズの酸素透過度及びレンズ材料の酸素伝達率は、米国特許第5,760,100号及びWinterton等の論文(The Cornea: Transactions of the World Congress on the Cornea 111, H.D. Cavanagh Ed., Raven Press: New York 1988, pp273-280)(これらは共に参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる)に記載の技術と類似の技術に従って決定される。湿潤セル中(すなわち、ガス流を相対湿度約100%に維持した)、34℃で、Dk1000装置(Applied Design and Development Co., Norcross, GAから入手可能)又は類似の分析装置を用いて酸素フラックス(J)を測定する。既知の酸素%(例えば、21%)の気流を、約10〜20cm
3/分の速度でレンズの一方に通し、レンズの反対側に窒素流を約10〜20cm
3/分の速度で通す。測定の前に、既定の試験温度で少なくとも30分間(但し、45分以内)、試料を試験媒体(すなわち、生理食塩水又は蒸留水)で平衡化する。オーバーレイヤーとして使用される任意の試験媒体を、測定の前に、既定の試験温度で少なくとも30分間(但し、45分以内)平衡化する。撹拌モーターの速度を、ステッピングモーターコントローラーの表示設定400±15に対応する1200±50rpmに設定する。系の周囲の大気圧P
measuredを測定する。試験で曝露される領域のレンズの厚さ(t)を、Mitotoya micrometer VL-50又は類似の装置を用いて約10箇所測定することにより決定し、測定値の平均をとる。窒素流の酸素濃度(すなわち、レンズを通って拡散する酸素)を、DK1000装置を用いて測定する。レンズ材料の見掛けの酸素透過度Dk
appを下記式から決定する:
Dk
app=Jt/(P
oxygen)
[式中、J=酸素フラックス[O
2μl/cm
2−分]
P
oxygen=(P
measured−P
water蒸気)=(気流中のO
2%)[mmHg]=気流中の酸素の分圧
P
measured=大気圧(mmHg)
P
water蒸気=34℃で、0mmHg(乾燥セル中)(mmHg)
P
water蒸気=34℃で、40mmHg(湿潤セル中)(mmHg)
t=曝露試験領域におけるレンズの平均厚さ(mm)
Dk
appは、barrer単位で表される]
【0140】
材料の見掛けの酸素伝達率(Dk/t)は、見掛けの酸素透過度(Dk
app)をレンズの平均厚さ(t)で割ることで計算することができる。
【0141】
上記の測定値は、酸素フラックス測定中のコンタクトレンズ上部に対する水又は生理食塩水浴の使用に起因する、いわゆる境界層効果に対して補正されていない。境界層効果により、シリコーンヒドロゲル材料の見掛けのDk(Dk
app)についての報告値が、実際の固有のDk値(Dk
i)よりも低くなる。さらに、境界層効果の相対的な影響は、厚いレンズよりも薄いレンズでより大きい。正味の効果は、報告されたDkを一定にする必要がある場合にレンズの厚さに応じて変化して表示される。
【0142】
レンズの固有のDk値は、下記のように、境界層効果により生じる酸素フラックスに対する表面抵抗について補正されたDk値に基づいて推定することができる。
【0143】
参照lotrafilcon A(CIBA VISION CORPORATION社のFocus(登録商標)N&D(登録商標))又はlotrafilcon B(CIBA VISION CORPORATION社のAirOptix(商標))レンズの見掛けの酸素透過度の値(単一点)を同じ装置を用いて測定する。参照レンズは、試験レンズと類似の屈折力であり、試験レンズと同時に測定される。
【0144】
上記の見掛けのDk測定の手順に従って、同じ装置を用いて、lotrafilcon A又はlotrafilcon B(参照)レンズの一連の厚さを通過する酸素フラックスを測定し、参照レンズの固有のDk値(Dk
i)を得る。一連の厚さは、約100μm以上の範囲の厚さを満たすものとする。
【0145】
好ましくは、参照レンズの厚さの範囲は、試験レンズの厚さを含む(bracket)。これらの参照レンズのDk
appは、試験レンズと同じ装置で測定し、理想的には、試験レンズと同時に測定する。装置の設定と測定パラメータは、実験を通して一定にする。所望であれば、個々の試料を複数回測定してもよい。
【0146】
計算では、式1を用いて、参照レンズの結果から残余酸素抵抗値R
rを決定する。
【数1】
[式中、tは、測定下での参照レンズの厚さであり、そして、nは、測定された参照レンズの数である。残余酸素抵抗値R
r対tデータをプロットし、そして、式Y=a+bX(式中、j個目のレンズの場合、Y
j=(ΔP/J)
jであり、X=t
j)の曲線を適合させる。残余酸素抵抗R
rはaと等しい]
【0147】
上記で決定された残余酸素抵抗値を使用して、式2に基づいて、試験レンズの正確な酸素透過度Dk
c(推定された固有のDk)を計算する。
【数2】
【0148】
試験レンズの推定された固有のDkを使用して、式3に基づいて、同じ試験環境での標準的な厚さのレンズの見掛けのDk(Dk
a_std)を計算することができる。
【数3】
【0149】
イオン透過度の測定
レンズのイオン透過度は、米国特許第5,760,100号(参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)に記載の手順に従って測定される。下記の実施例において示されるイオン透過度の値は、標準材料であるレンズ材料Alsaconに対する相対イオノフラックス拡散係数(D/D
ref)である。Alsaconは、イオノフラックス拡散係数0.314×10
−3mm
2/分を有する。
【0150】
水接触角(WCA)の測定
水接触角(WCA)の測定は、純水(Fluka、20℃で、表面張力72.5mN/m)を用いて、Kruss GmbH(Germany)社のDSA 10液滴形状分析システムの液滴法により実施される。測定のために、ピンセットでコンタクトレンズを保存溶液から取り出し、穏やかに振とうすることにより過剰の保存溶液を除去する。コンタクトレンズをレンズ成形用型の雄部に置き、乾いた清浄な布で優しく拭き取る。次に、水滴(約1μl)をレンズの頂点に添加し、この水滴の経時的な接触角の変化(WCA(t)、サークルフィッティングモード)をモニタリングする。WCAは、グラフWCA(t)をt=0で外挿することによって計算される。
【0151】
UV吸光度
コンタクトレンズを、レンズが目の上に置かれた際と同じように、レンズの形状が維持されうるような特別に製作された試料ホルダーなどの内部に手動で置く。次に、このホルダーを、参照としてリン酸緩衝生理食塩水(PBS、pH〜7.0〜7.4)を含有する1cm路長の石英セルに浸す。例えば、LabSphere DRA-CA-302ビームスプリッター備えたVarian Cary 3E UV−可視分光光度計などのUV/可視分光光度計をこの測定に用いることができる。透過率スペクトルを250〜800nmの波長範囲で収集し、T%値は0.5nm間隔で収集する。このデータをExcel集計表に移し、これを使用して、レンズがクラス1UV吸光度に適合するかどうか決定する。UV吸光度は、下記の式を用いて計算される:
【数4】
(式中、発光T%は、380〜780間の平均透過%である)
【0152】
折り畳み跡の測定
コンタクトレンズ光学品質分析器(CLOQA)は、Foucaultナイフエッジ試験の原理に基づいて、コンタクトレンズの表面歪み及び他の欠陥により生じる光学的歪みを測定するために開発された。当業者であれば、平行光を生成し、コンタクトレンズを照らし、そして、機器(例えば、CCDカメラなど)で画像を撮るために、様々な光学的要素を選択、整列及び配置する方法を理解している。試験は、コンタクトレンズを近平行光で照らし、Foucaultナイフエッジを焦点近くに置き、集束光線の大部分を遮断するためにナイフエッジを移動させ、そして、コンタクトレンズの画像を機器、例えば、Foucaultナイフエッジの後ろのCCDカメラで撮ることを含む。コンタクトレンズに光学的歪みがない場合、コンタクトレンズを通過する全ての光線がナイフエッジで集束し、集束光線の大部分が遮断される。集束機能のない光学部以外の領域では、ナイフエッジは、レンズの半分からの光を遮断し暗くするが、他の半分は明るく見える。コンタクトレンズの光学部に光学的歪みがない場合、どのくらいの光がナイフエッジにより遮断されるかに応じて、光学部全体が均一に暗くなるか、又は明るくなる。コンタクトレンズに光学的歪みがある場合、そのような領域を通過する光は、一般的に、主焦点内に入らず、ナイフエッジにより遮断される(暗く見える)か、又は自由に通過する(明るく見える)可能性がある。コントラストのレベルは、歪みの大きさのみに依存するのではなく、ナイフエッジの微細な位置にも依存する。欠陥領域は、CLOQA画像においてコントラスト特性として現れる。CLOQAを用いたナイフエッジ試験は、光学部の光学的歪みのための定性試験機器として設計される。
【0153】
折り畳み跡の研究は下記のように実施される。3つのオートクレーブした及び/又はオートクレーブしないコンタクトレンズをこの研究に使用する。第一に、コンタクトレンズの画像をCLOQAで撮影する。第二に、各レンズを指で2回折り畳み(2つの直交する折り畳み線を作製する)、次に、その画像をCLOQAですぐさま撮影する。第三に、折り畳みの約15分後に各コンタクトレンズの画像をCLOQAで撮影する。3種類のCLOQA画像が得られる:元の画像(すなわち、折り畳みなし)、折り畳み直後の画像、及び折り畳みの約15分後の画像。折り畳み跡の研究により、折り畳み線の経時的な状況を測定することができる。
【0154】
実施例2
様々なパーセントのエチレン性官能化ポリシロキサンを下記のように調製する。KF−6001A(α,ω−ビス(2−ヒドロキシエトキシプロピル)−ポリジメチルシロキサン、Mn=2000、Shin-Etsu社)及びKF−6002A(α,ω−ビス(2−ヒドロキシエトキシプロピル)−ポリジメチルシロキサン、Mn=3400、Shin-Etsu社)を、一口フラスコ中、高真空下、約60℃で12時間(又は一晩)別々に乾燥させる。KF−6001A及びKF−6002AのOHモル当量をヒドロキシル基の滴定により決定し、これを使用して、合成に使用するミリモル当量を計算する。
【0155】
A−1.部分エチレン性官能化ポリシロキサンの合成
1Lの反応容器を一晩真空にして水分を除去し、真空を中断して乾燥窒素に置き換える。75.00g(75meq)の乾燥KF6001Aを反応器に投入し、次に、16.68g(150meq)の新しく蒸留したイソホロンジイソシアネート(IPDI)を反応器に加える。反応器を窒素でパージし、撹拌しながら45℃に加熱して、次に、0.30gのジブチルスズジラウレート(DBTDL)を加える。反応器を密封し、窒素のポジティブフローを維持する。発熱が起こり、その後、反応混合物を放冷し、55℃で2時間撹拌する。発熱に達した後、248.00g(150meq)の乾燥KF6002Aを反応器に55℃で加え、次に、100μLのDBTDLを加える。反応器を4時間撹拌する。加熱を中断し、反応器を一晩放冷する。窒素バブリングを中断し、反応器を大気中で開口して、30分間適度に撹拌する。3つのポリシロキサンセグメントを有するヒドロキシル末端ポリシロキサンHO−PDMS−IPDI−PDMS−IPDI−PDMS−OHが生成する。
【0156】
80%エチレン性官能化ポリシロキサンの場合、18.64g(120meq)のイソシアナトエチルメタクリレート(IEM)を、100μLのDBTDLと一緒に反応器に加える。反応器を24時間撹拌し、次に、生成物をデカントして、冷凍下で保存する。様々なパーセントのエチレン官能化のポリシロキサンの調製のために、様々な量のIEMを下記の表1に従って供給する。
【0157】
【表1】
【0158】
A−2.100%(完全)エチレン性官能化ポリシロキサン:
1Lの反応容器を一晩真空にして水分を除去し、真空を中断して乾燥窒素に置き換える。75.00g(75meq)の乾燥KF6001Aを反応器に投入し、高真空下、60℃で8時間乾燥させ、次に、23.30g(150meq)のIEMを窒素下で反応器に加える。30分間撹拌した後、0.2gのDBTDLを混合物に加える。反応器を25±3℃で約4時間撹拌し、次に、生成物をデカントして、冷凍下で保存する。
【0159】
実施例3
この実施例は、レンズ調合物の粘性に対する、レンズ調合物の調製に使用されるプレポリマーを調製するために使用されるポリジシロキサンのエチレン官能化のパーセントの効果を説明する。
【0160】
B−1.両親媒性分岐鎖コポリマーの合成
1Lジャケット付き反応器に、500mL添加漏斗、オーバーヘッド撹拌器、窒素/真空インレットアダプター付き還流冷却器、温度計及びサンプリングアダプターを備え付ける。実施例2のA−1.1で調製した48.55gの部分エチレン性官能化ポリシロキサン(PDMS)を、反応容器に投入する。PDMS(A−1.1)を1mbar未満の真空下、室温で、30分間脱気する。脱気の完了後、さらなるプロセスに備えて、反応器に窒素ガスを充填する。26.06gのN,N−ジメチルアクリルアミド(DMA)、23.14gの(トリス(トリメチルシリル))シロキシプロピル)−アクリルアミド(TRIS−Am)及び350gの酢酸エチルからなるモノマー溶液を、500mL添加漏斗に投入し、続いて、100mbarの真空下、室温で10分間脱気して、次に、窒素ガスを再度充填する。モノマー溶液を同じ条件下でさらに2サイクル脱気する。次に、モノマー溶液を反応器に投入する。反応混合物を撹拌しながら64℃に加熱する。加熱しながら、1.75gのメルカプトエタノール(連鎖移動剤、CTA)及び0.30gのアゾイソブチロニトリル(開始剤)及び50gの酢酸エチルからなる溶液を添加漏斗に投入し、続いて、モノマー溶液と同じ脱気プロセスを行う。反応器の温度が64℃に達したとき、開始剤/CTA溶液をまた反応器に加える。反応を64℃で6時間実施する。共重合が完了した後、反応器の温度を室温に冷ます。
【0161】
B−2.両親媒性分岐鎖プレポリマーの合成
上記(B−1)で調製したコポリマー溶液を、4.52gのIEM(又は表2に示される量)及び0.15gのDBTDLを加えることにより、エチレン性官能化して両親媒性分岐鎖プレポリマーを生成する。混合物を、密封条件下、室温で12時間撹拌する。次に、調製したプレポリマーを100ppmヒドロキシ−テトラメチレンピペロニルオキシで安定化させる。反応溶媒を1−プロパノールに交換した後、溶液を調合に使用するために用意する。表2に示すような様々な%エチレン性官能化ポリシロキサン、CTAレベル及びIEMの様々な組み合わせで、様々な両親媒性分岐鎖プレポリマーを調製する。
【0162】
【表2】
【0163】
B−3:レンズ調合物の調製
上記(B−2a〜B−2g)で調製した両親媒性分岐鎖プレポリマー及び表3に示される他の成分を溶解させることによりレンズ調合物を調製する。各調合物の他の成分は、1.0%のDC1173(DAROCUR(登録商標)1173)、0.75%のDMPC(1,2−ジミリストイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン)及び23.25%の1−PrOH(1−プロパノール)を含む。調製したレンズ調合物の偏光流性(Photorheology)を、強度16mW/cm
2、330nmフィルターのUV照射(ESE UV LOGで測定)を用いて研究し、表3にまとめる。
【0164】
【表3】
【0165】
実施例4
C−1:両親媒性分岐鎖コポリマーの合成
4Lジャケット付き反応器に、オーバーヘッド撹拌器、窒素/真空インレットアダプター付き還流冷却器、温度計及びサンプリングアダプターを備え付ける。実施例2のA−1.3で調製した78.35gの部分エチレン性官能化ポリシロキサンと実施例2のA−2の8.71gの混合物を4L反応器に投入し、次に、10mbar未満の真空下、室温で、30分間脱気する。脱気した後、さらなるプロセスに備えて、反応器に窒素ガスを充填する。52.51gのDMA、56.65gのTRIS−Am及び390gのシクロヘキサンからなるモノマー溶液を反応器に移す。最終混合物を100mbarで5分間脱気し、次に、窒素ガスを再度充填する。この脱気サイクルを4回以上繰り返す。次に、反応混合物を64℃に加熱し、続いて、0.60gのV−601(ジメチル2,2’−アゾビス(2−プロピオン酸メチル、WAKO Specialty Chemicals社)、7.50gのメルカプトエタノール(CTA)及び10gのTHFからなる脱気した開始剤/連鎖移動剤溶液を加える。窒素下、64℃で、共重合を全体で6時間実施する。反応が終了した後、反応器の温度を室温に冷ます。
【0166】
C−2.両親媒性分岐鎖プレポリマーの合成
上記(C−1)で調製したコポリマー溶液を、7.50gのIEM及び0.21gのDBTDLを加え、続いて、密封乾燥条件下、室温で48時間撹拌することにより、エチレン性官能化して両親媒性分岐鎖プレポリマーを生成する。次に、調製したプレポリマーを100ppmヒドロキシ−テトラメチレンピペロニルオキシで安定化させる。反応溶液の留去及び1−プロパノールの添加の繰り返しプロセスを行って、反応溶液を1−プロパノールで交換した後、溶液を調合に使用するために用意する。
【0167】
C−3:レンズ調合物の調製及び偏光流性
上記(C−3)で調製した両親媒性分岐鎖プレポリマーを、表4に記載の最終組成で調合する。調製した調合物の偏光流性を、強度16mW/cm
2、330nmフィルターのUV照射を用いて研究する。
【0168】
【表4】
【0169】
C−4:レンズ調製及び特性評価
コンタクトレンズは、上記(C−3.1及びC−3.2)で調製したレンズ調合物から、米国特許第7,384,590号(
図1〜6)及び第7,387,759号(
図1〜6)に示される成形用型と類似の再利用可能な成形用型でキャスト成形により調製する。成形用型は、CaF
2からなる雌型半部及びPMMAからなる雄型半部を含む。UV照射源は、WG335+TM297カットオフフィルターを備えた強度約4mW/cm
2のHamamatsuランプである(ESE UV LOGで測定)。成形用型内のレンズ調合物にUV照射を約25秒間照射する。調製したレンズを、イソプロパノールで抽出し、純水でリンスして、PAAの1−PrOH溶液(0.1%(重量)、pH2.5)にレンズを浸漬することにより、ポリアクリル酸(PAA)(M.W.:450kDa、Lubrizol社)でコーティングし、次に、純水で水和する。コーティングしたレンズを、リン酸緩衝生理食塩水を含有するレンズパッケージにパッケージングし、オートクレーブする。酸素透過度(Dk
app及びDk
c)及びイオン透過度(IP)を実施例1に記載の手順に従って決定する。レンズ特性:Dk(barrer)、IP(Alsaconに対する)、弾性係数(E’)、破断伸び(EtB)及び含水率(%(重量))を表5に報告する。
【0170】
【表5】
【0171】
実施例5
D−1.両親媒性分岐鎖コポリマーの合成
1Lジャケット付き反応器に、500mL添加漏斗、オーバーヘッド撹拌器、窒素/真空インレットアダプター付き還流冷却器、温度計及びサンプリングアダプターを備え付ける。実施例2のA−1.3で調製した45.60gの部分エチレン性官能化ポリシロキサンを、反応容器に投入し、次に、1mbar未満の真空下、室温で、30分間脱気する。脱気した後、さらなるプロセスに備えて、反応器に窒素ガスを充填する。0.65gのヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)、25.80gのDMA、27.80gの3−[トリス(トリメチルシロキシ)シリル]プロピルメタクリレート(TRIS)及び279gの酢酸エチルからなるモノマー溶液を、500mL添加漏斗に投入し、続いて、100mbarの真空下、室温で10分間脱気して、次に、窒素ガスを再度充填する。モノマー溶液を同じ条件下でさらに2サイクル脱気する。次に、モノマー溶液を反応器に投入する。反応混合物を撹拌しながら67℃に加熱する。加熱しながら、1.50gのメルカプトエタノール(CTA)及び0.26gのアゾイソブチロニトリル(開始剤)及び39gの酢酸エチルからなる溶液を添加漏斗に投入し、続いて、モノマー溶液と同じ脱気プロセスを行う。反応器の温度が67℃に達したとき、開始剤/CTA溶液をまた反応器に加える。反応を67℃で8時間実施する。共重合が完了した後、反応器の温度を室温に冷ます。
【0172】
D−2.両親媒性分岐鎖プレポリマーの合成
上記(D−1)で調製したコポリマー溶液を、0.21gのDBTDLの存在下で、4.45gのIEM(又はイソシアナトエチルメタクリレートを所望のモル当量で)を加えることにより、エチレン性官能化して、両親媒性分岐鎖プレポリマーを生成する。混合物を、密封条件下、室温で24時間撹拌する。次に、調製したマクロモノマーを100ppmヒドロキシ−テトラメチレンピペロニルオキシで安定化させた後、溶液を200g(〜50%)まで濃縮し、1μm孔径の濾紙で濾過する。溶媒を真空オーブン中、80℃で除去することで固体含有率を測定する。反応溶媒を1−プロパノールに交換した後、溶液を所望の濃度にさらに濃縮して、レンズ調合物の調製に使用するために用意する。
【0173】
D−3.レンズ調合物の調製及び偏光流性
レンズ調合物を下記の組成を有するように調製する:72%(重量)の上記D2で調製したプレポリマー;6%(重量)のDMA;1%(重量)のDC1173;0.75%(重量)のDMPC;及び20.25%(重量)の1−PrOH。試料の前面に置かれる330nmのロングパスカットオフフィルターを備えたHamamatsuランプを使用して、偏光流性を研究する。297nmのカットオフフィルターを備えたESE UV LOGを使用して、強度(16mW/cm
2)は測定され、調合物を硬化するための試料の前にロングパスフィルターは置かれる。偏光流性研究の結果は、硬化時間が約12秒、G’が165kPa、そして、粘度が5550mPa.sである。
【0174】
D−4:レンズの特性評価
コンタクトレンズをD3のレンズ調合物からキャスト成形して、イソプロパノールで抽出して、水でリンスし、PAAでコーティングして、水で水和し、レンズパッケージ中にパッケージング/オートクレーブして、実施例4に記載の手順に従って特性評価する。得られたレンズは下記の特性を有する:E’=0.75MPa;EtB%=212;Dk
app=95(平均中心厚119μmを有するレンズの場合);DK
c=172(参照レンズとしてlotrafilcon Bレンズを使用、平均中心厚81μm及び固有のDk110);IP=3.6;水%=29.0。
【0175】
実施例6
E−1:UV吸収両親媒性分岐鎖コポリマーの合成
1Lジャケット付き反応器に、500mL添加漏斗、オーバーヘッド撹拌器、窒素/真空インレットアダプター付き還流冷却器、温度計及びサンプリングアダプターを備え付ける。実施例2のA−1.3で調製した45.98gの部分エチレン性官能化ポリシロキサンを反応フラスコに投入し、次に、1mbar未満の真空下、室温で約30分間脱気する。0.51gのHEMA、25.35gのDMA、1.38gのNorblocメタクリレート、26.03gのTRIS及び263gの酢酸エチルを混合することにより調製したモノマー溶液を、500mL添加漏斗に投入し、続いて、100mbarの真空下、室温で10分間脱気して、次に、窒素ガスを再度充填する。モノマー溶液を同じ条件下でさらに2サイクル脱気する。次に、モノマー溶液を反応器に投入する。反応混合物を適度に撹拌しながら67℃に加熱する。加熱しながら、1.48gのメルカプトエタノール(連鎖移動剤、CTA)及び0.26gのアゾイソブチロニトリル(開始剤)及び38gの酢酸エチルからなる溶液を添加漏斗に投入し、続いて、モノマー溶液と同じ脱気プロセスを行う。反応器の温度が67℃に達したとき、開始剤/CTA溶液をまた反応器に加える。反応を67℃で8時間実施する。共重合が完了した後、反応器の温度を室温に冷ます。
【0176】
E−2:UV吸収両親媒性分岐鎖プレポリマーの合成
上記(E−1)で調製したコポリマー溶液を、0.15gのDBTDLの存在下、3.84gのIEM(又はイソシアナトエチルメタクリレートを所望のモル当量で)を加えることによりエチレン性官能化して、両親媒性分岐鎖プレポリマーを生成する。混合物を、密封条件下、室温で24時間撹拌する。次に、調製したプレポリマーを100ppmヒドロキシ−テトラメチレンピペロニルオキシで安定化させた後、溶液を200g(〜50%)まで濃縮し、1μm孔径の濾紙で濾過する。留去と希釈の繰り返しサイクルを通して、反応溶媒を1−プロパノールに交換した後、溶液を調合に使用するために用意する。溶媒を真空オーブン中、80℃で除去することで固体含有率を測定する。
【0177】
E−3:レンズ調合物の調製及び偏光流性
レンズ調合物を下記の組成を有するように調製する。:71%(重量)の上記E2で調製したプレポリマー;4%(重量)のDMA;1%(重量)のTPO;0.75%(重量)のDMPC;及び23.25%(重量)の1−PrOH。試料の前面に置いた330nm及び388nmのロングパスカットオフフィルターのスタックを備えたHamamatsuランプを使用して、偏光流性を研究する。IL1700検出器を用いて、297nmのカットオフフィルターを備えたSED005センサー(International light社)を使用して強度(4.6mW/cm
2)は測定され、調合物を硬化するための試料の前にロングパスフィルターは置かれる。偏光流性研究の結果は、硬化時間が約22秒、G’が155kPa、そして、粘度が2900mPa.sである。
【0178】
E−4:レンズの特性評価
コンタクトレンズをE3のレンズ調合物からキャスト成形し、イソプロパノールで抽出して、水でリンスし、PAAでコーティングして、水で水和し、レンズパッケージ中にパッケージング/オートクレーブして、実施例4に記載の手順に従って特性評価する。得られたレンズは下記の特性を有する:E’=0.72MPa;EtB%=130;Dk
app=101(平均中心厚122μmを有するレンズの場合);DK
c=181(参照レンズとしてlotrafilcon Bを使用、平均中心厚80μm及び固有のDk110);IP=2.9;水%=26.9;及びUVA/UVB T%=4.3/0.09。
【0179】
実施例7
A:80%エチレン性官能化鎖伸長ポリシロキサンの合成
KF−6001A(α,ω−ビス(2−ヒドロキシエトキシプロピル)−ポリジメチルシロキサン、Mn=2000、Shin-Etsu社)及びKF−6002A(α,ω−ビス(2−ヒドロキシエトキシプロピル)−ポリジメチルシロキサン、Mn=3400、Shin-Etsu社)を、一口フラスコ中、高真空下、約60℃で12時間(又は一晩)別々に乾燥させる。KF−6001A及びKF−6002AのOHモル当量をヒドロキシル基の滴定により決定し、これを使用して、合成に使用するミリモル当量を計算する。
【0180】
1Lの反応容器を一晩真空にして水分を除去し、真空を中断して乾燥窒素に置き換える。75.00g(75meq)の乾燥KF6001Aを反応器に投入し、次に、16.68g(150meq)の新しく蒸留したIPDIを反応器に加える。反応器を窒素でパージし、撹拌しながら45℃に加熱して、次に、0.30gのDBTDLを加える。反応器を密封し、窒素のポジティブフローを維持する。発熱が起こり、その後、反応混合物を放冷し、55℃で2時間撹拌する。発熱に達した後、248.00g(150meq)の乾燥KF6002Aを反応器に55℃で加え、次に、100μLのDBTDLを加える。反応器を4時間撹拌する。加熱を中断し、反応器を一晩放冷する。窒素バブリングを中断し、反応器を大気中で開口して、30分間適度に撹拌する。3つのポリシロキサンセグメントを有するヒドロキシル末端鎖伸長ポリシロキサンHO−PDMS−IPDI−PDMS−IPDI−PDMS−OH(又はHO−CE−PDMS−OH)が生成する。
【0181】
80%エチレン性官能化ポリシロキサンの場合、18.64g(120meq)のIEMを、100μLのDBTDLと一緒に反応器に加える。反応器を24時間撹拌し、次に、生成物(80%IEMでキャップしたCE−PDMS)をデカントし、冷凍下で保存する。
【0182】
B:非UV吸収両親媒性分岐鎖ポリシロキサンプレポリマーの合成
1Lジャケット付き反応器に、500mL添加漏斗、オーバーヘッド撹拌器、窒素/真空インレットアダプター付き還流冷却器、温度計及びサンプリングアダプターを備え付ける。反応器に、上記で調製した45.6gの80%IEMでキャップしたCE−PDMSを投入し、密封する。279gの酢酸エチル中の0.65gのヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)、25.80gのDMA、27.80gの(トリス(トリメチルシリル))−シロキシプロピル)メタクリレート(TRIS)の溶液を添加漏斗に投入する。高真空ポンプを用いて、<1mbar、室温で30分間反応器を脱気する。100mbar、室温で10分間の3サイクルでモノマー溶液を脱気し、脱気サイクルの間に真空を中断して窒素を充填する。次に、モノマー溶液を反応器に投入した後、反応混合物を撹拌して67℃に加熱する。加熱しながら、39gの酢酸エチルに溶解させた1.50gのメルカプトエタノール(連鎖移動剤、CTA)及び0.26gのアゾイソブチロニトリルの溶液を添加漏斗に投入し、100mbar、室温で10分間の脱酸素を3回行う。反応器の温度が67℃に達したとき、開始剤/CTA溶液を、反応器中のPDMS/モノマー溶液に加える。反応を8時間進行させ、次に、加熱を中断して、反応器の温度を15分以内に室温にする。
【0183】
次に、得られた反応混合物を、気密蓋を有する乾燥一口フラスコに吸い上げ、4.452gのIEMを0.21gのDBTDLと一緒に加える。混合物を室温で24時間撹拌し、非UV吸収両親媒性分岐鎖ポリシロキサンプレポリマーを生成する。この混合溶液に、酢酸エチル中のヒドロキシ−テトラメチレンピペロニルオキシ溶液100μl(2g/20mL)を加える。次に、ロータリーエバポレーター(rota-vap)を使用し、30℃で、溶液を200g(〜50%)まで濃縮し、1μm孔径の濾紙で濾過する。溶媒を1−プロパノールに交換した後、溶液を所望の濃度にさらに濃縮する。
【0184】
C.UV吸収両親媒性分岐鎖ポリシロキサンプレポリマーの合成
1Lジャケット付き反応器に、500mL添加漏斗、オーバーヘッド撹拌器、窒素/真空インレットアダプター付き還流冷却器、温度計及びサンプリングアダプターを備え付ける。次に、反応器に、上記で調製した45.98gの80%IEMでキャップしたCE−PDMSを投入し、反応器を密封する。263gの酢酸エチル中の0.512gのHEMA、25.354gのDMA、1.38gのNorblocメタクリレート、26.034gのTRISの溶液を添加漏斗に投入する。高真空ポンプを用いて、<1mbar、室温で30分間反応器を脱気する。100mbar、室温で10分間の3サイクルでモノマー溶液を脱気し、脱気サイクルの間に真空を中断して窒素を充填する。次に、モノマー溶液を反応器に投入した後、反応混合物を撹拌して67℃に加熱する。加熱しながら、38gの酢酸エチルに溶解させた1.480gのメルカプトエタノール(連鎖移動剤、CTA)及び0.260gのアゾイソブチロニトリルの溶液を添加漏斗に投入し、100mbar、室温で10分間の脱酸素を3回行う。反応器の温度が67℃に達したとき、開始剤/CTA溶液を、反応器中のPDMS/モノマー溶液に加える。反応を8時間進行させ、次に、加熱を中断して、反応器の温度を15分以内に室温にする。
【0185】
次に、得られた反応混合物を、気密蓋を有する乾燥一口フラスコに吸い上げ、3.841gのイソシアナートエチルアクリレートを0.15gのDBTDLと一緒に加える。混合物を室温で24時間撹拌し、UV吸収両親媒性分岐鎖ポリシロキサンプレポリマーを生成する。この混合溶液に、酢酸エチル中のヒドロキシ−テトラメチレンピペロニルオキシ溶液100μl(2g/20mL)を加える。次に、ロータリーエバポレーターを使用し、30℃で、溶液を200g(〜50%)まで濃縮し、1μm孔径の濾紙で濾過する。
【0186】
D−1:非UV吸収ポリシロキサンプレポリマーを有するレンズ調合物
100mLの琥珀色フラスコに、4.31gのマクロマー溶液(82.39%1−プロパノール溶液、1−プロパノールの留去と希釈のサイクルを繰り返して上記で調製したマクロマー溶液から調製した)を加える。20mLバイアル中、0.081gのTPO及び0.045gのDMPCを10gの1−プロパノールに溶解させて、次に、マクロマー溶液に移す。ロータリーエバポレーターを使用し、30℃で、混合物を5.64gまで濃縮した後、0.36gのDMAを加え、調合物を室温で均質化する。6gの透明なレンズ調合物D−1が得られる。
【0187】
D−2:UV吸収ポリシロキサンプレポリマーを有するレンズ調合物(4%DMA)
100mLの琥珀色フラスコに、24.250gのマクロマー溶液(酢酸エチル中43.92%)を加える。50mLバイアル中、0.15gのTPO及び0.75gのDMPCを20gの1−プロパノールに溶解させ、次に、マクロマー溶液に移す。ロータリーエバポレーターを使用し、30℃で20gの溶媒を取り除き、その後、20gの1−プロパノールを添加する。2サイクル後、混合物を14.40gまで濃縮する。0.6gのDMAを混合物に加え、調合物を室温で均質化する。15gの透明なレンズ調合物D−2が得られる。
【0188】
D−3:UV吸収ポリシロキサンプレポリマーを有するレンズ調合物(2%DMA/2%HEA)
100mLの琥珀色フラスコに、24.250gのマクロマー溶液(酢酸エチル中43.92%)を加える。50mLバイアル中、0.15gのTPO及び0.75gのDMPCを20gの1−プロパノールに溶解させ、次に、マクロマー溶液に移す。ロータリーエバポレーターを使用し、30℃で20gの溶媒を取り除き、その後、20gの1−プロパノールを添加する。2サイクル後、混合物を14.40gまで濃縮する。0.3gのDMA及び0.3gのHEAを混合物に加え、調合物を室温で均質化する。15gの透明なレンズ調合物D−3が得られる。
【0189】
実施例8
E:修飾PAEコーティングポリマーの共有結合
アミン基を含有するモノマー、N−(3−アミノプロピル)メタクリルアミド塩酸塩(APMAA−HCl)又はN−(2−アミノエチル)メタクリルアミド塩酸塩(AEMAA−HCl)をPolysciencesから購入し、そのまま使用する。Ashlandからポリ(アミドアミンエピクロロヒドリン)(PAE)の水溶液を入手し、そのまま使用する。Polysciences社のポリ(アクリルアミド−co−アクリル酸)(ポリ(AAm−co−AA)(90/10)、Laysan Bio社のmPEG−SH、及びNOF社のポリ(MPC−co−AeMA)(すなわち、メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン(MPC)とアミノエチルメタクリレート(AeMA)のコポリマー)をそのまま使用する。
【0190】
APMAA−HClモノマーをメタノールに溶解させ、レンズ調合物D−1、D−2及びD−3(実施例7で調製)に加え、1wt%濃度を達成する。
【0191】
表6に列挙した成分を適切な緩衝塩と一緒に脱イオン水に溶解させることにより、反応性パッケージング生理食塩水を調製する。加熱前処理をした後、生理食塩水を室温まで放冷し、次に、0.2μmPESフィルターを使用して濾過する。
【0192】
【表6】
【0193】
APMAA−HClモノマー(APMMA−HCLのメタノールストック溶液)を添加することにより、実施例7で調製したレンズ調合物D−1、D−2及びD3を修飾する。DSMレンズは16mW/cm
2で330nmフィルターにより硬化し、LSレンズは4.6mW/cm
2で380nmフィルターにより硬化する。
【0194】
DSMレンズ
ポリプロピレンレンズ成形用型の雌部に、上記で調製した約75μlのレンズ調合物を充填し、成形用型をポリプロピレンレンズ成形用型の雄部(ベースカーブ型)で閉じる。閉じた成形用型を、UV照射源(330nmのカットオフフィルターを備えた強度約16mW/cm
2のHamamatsuランプ)を用いて、約5分間硬化することによりコンタクトレンズが得られる。
【0195】
LSレンズ
LSレンズは、上記のように調製したレンズ調合物から、米国特許第7,384,590号(
図1〜6)及び第7,387,759号(
図1〜6)に示される成形用型と類似の再利用可能な成形用型でキャスト成形により調製する。成形用型は、石英(又はCaF
2)からなる雌型半部及びガラス(又はPMMA)からなる雄型半部を含む。UV照射源は、380nmのカットオフフィルターを備えた強度約4.6mW/cm
2のHamamatsuランプである。成形用型内のレンズ調合物をUV照射で約30秒間照射する。
【0196】
APMAA−HClで修飾したレンズ調合物D−1(実施例7の)は、上述のDSM及びLS方法に従って硬化し、レンズ調合物D−2又はD−3(実施例7の)は、上述のLS方法に従って硬化する。
【0197】
成形したレンズをメチルエチルケトンで抽出し、水和して、表6に記載の生理食塩水の1つにパッケージングする。レンズを0.6mLのIPC生理食塩水(生理食塩水の半分は、レンズを挿入する前に加える)と共にポリプロピレンレンズパッケージングシェル中に入れる。次に、アルミホイルでブリスターをシールし、121℃で30分間オートクレーブする。
【0198】
レンズ表面の評価から、全ての試験レンズに残屑の付着がなかったことが示される。暗視野顕微鏡下で観察した際、指の間でレンズを擦った後にクラッキングラインは認められない。
【0199】
レンズ表面の湿潤度(WBUT)、潤滑度及び接触角を測定し、結果を表7にまとめる。
【0200】
【表7】
【0201】
特に指定しない限り、試験レンズをDSM方法に従って製造する。潤滑度は0〜4の定性的尺度に格付けし、ここでより低い数は、より大きな潤滑度を示す。一般的に、レンズ表面特性は、インパッケージコーティングの適用後にいくらか改善する。
【0202】
実施例9
APMAAモノマーを1%の濃度に加えたレンズ調合物D−2(実施例7)を使用してレンズを製造する。LSレンズは、上記で調製したようなレンズ調合物から、米国特許第7,384,590号(
図1〜6)及び第7,387,759号(
図1〜6)に示される成形用型と類似の再利用可能な成形用型でキャスト成形により調製する。成形用型は、ガラスからなる雌型半部及び石英からなる雄型半部を含む。UV照射源は、380nmのカットオフフィルターを備えた強度約4.6mW/cm
2のHamamatsuランプである。成形用型内のレンズ調合物をUV照射で約30秒間照射する。
【0203】
キャスト成形したレンズを、メチルエチルケトン(MEK)で抽出し、水でリンスして、PAAのプロパノール溶液(0.0044%(重量)、ギ酸でpH約2.5に酸性化)にレンズを浸漬することによりポリアクリル酸(PAA)でコーティングし、水で水和する。
【0204】
IPC生理食塩水を、約60℃で8時間の前反応条件下で、約0.07%PAAm−PAA及び初期アゼチジニウム含有率約8.8ミリモル当量/リットル(〜0.15%PAE)を得る十分なPAEを含有する組成物から調製する。次に、バイオバーデンの増殖を抑制するために、10ppmの過酸化水素をIPC生理食塩水に加え、IPC生理食塩水を0.22ミクロンポリエーテルスルホン[PES]メンブランフィルターを使用して濾過する。レンズを0.6mLのIPC生理食塩水(生理食塩水の半分は、レンズを挿入する前に加える)と共にポリプロピレンレンズパッケージングシェル中に入れる。次に、アルミホイルでブリスターをシールし、121℃で30分間オートクレーブする。
【0205】
レンズ表面の評価から、全ての試験レンズに残屑の付着がなかったことが示される。暗視野顕微鏡下で観察した際、指の間でレンズを擦った後にクラッキングラインは認められない。レンズ表面の湿潤度(WBUT)は、10秒超であり、潤滑度は「1」と格付けされ、そして、接触角は約20°である。
【0206】
実施例10
UV吸収両親媒性分岐鎖コポリマーの合成
1Lジャケット付き反応器に、500mL添加漏斗、オーバーヘッド撹拌器、窒素/真空インレットアダプター付き還流冷却器、温度計及びサンプリングアダプターを備え付ける。実施例2のA−1.3で調製した89.95gの部分エチレン性官能化ポリシロキサンを反応器に投入し、次に、1mbar未満の真空下、室温で約30分間脱気する。1.03gのHEMA、50.73gのDMA、2.76gのNorblocメタクリレート、52.07gのTRIS及び526.05gの酢酸エチルを混合することにより調製したモノマー溶液を、500mL添加漏斗に投入し、続いて、100mbarの真空下、室温で10分間脱気して、次に、窒素ガスを再度充填する。モノマー溶液を同じ条件下でさらに2サイクル脱気する。次に、モノマー溶液を反応器に投入する。反応混合物を適度に撹拌しながら67℃に加熱する。加熱しながら、2.96gのメルカプトエタノール(連鎖移動剤、CTA)及び0.72gのジメチル2,2’−アゾビス(2−プロピオン酸メチル)(V−601−開始剤)及び76.90gの酢酸エチルからなる溶液を添加漏斗に投入し、続いて、モノマー溶液と同じ脱気プロセスを行う。反応器の温度が67℃に達したとき、開始剤/CTA溶液をまた反応器に加える。反応を67℃で8時間実施する。共重合が完了した後、反応器の温度を室温に冷ます。
【0207】
UV吸収両親媒性分岐鎖プレポリマーの合成
上記で調製したコポリマー溶液を、0.50gのDBTDLの存在下、8.44gのIEM(又は2−イソシアナトエチルメタクリレートを所望のモル当量)を加えることによりエチレン性官能化して、両親媒性分岐鎖プレポリマーを生成する。混合物を、密封条件下、室温で24時間撹拌する。次に、調製したプレポリマーを100ppmヒドロキシ−テトラメチレンピペロニルオキシで安定化させた後、溶液を200g(〜50%)まで濃縮し、1μm孔径の濾紙で濾過する。留去と希釈の繰り返しサイクルを通して、反応溶媒を1−プロパノールに交換した後、溶液を調合に使用するために用意する。溶媒を真空オーブン中、80℃で除去することで固体含有率を測定する。
【0208】
レンズ調合物の調製
レンズ調合物を下記の組成を有するように調製する:71%(重量)の上記で調製したプレポリマー;4%(重量)のDMA;1%(重量)のTPO;1%(重量)のDMPC;1%(重量)のBrij52(from)及び22%(重量)の1−PrOH。
【0209】
レンズ調製
レンズは、米国特許第7,384,590号(
図1〜6)及び第7,387,759号(
図1〜6)に示される成形用型と類似の再利用可能な成形用型を使用して、空間的制限のUV照射下、上記で調製したレンズ調合物をキャスト成形することにより製造する。成形用型は、ガラスからなる雌型半部及び石英からなる雄型半部を含む。UV照射源は、380nmのカットオフフィルターを備えた強度約4.6mW/cm
2のHamamatsuランプである。成形用型内のレンズ調合物をUV照射で約30秒間照射する。
【0210】
キャスト成形したレンズを、メチルエチルケトン(MEK)で抽出し、水でリンスして、PAAのプロパノール溶液(0.004%(重量)、ギ酸でpH約2.0に酸性化)にレンズを浸漬することによりポリアクリル酸(PAA)でコーティングし、水で水和する。
【0211】
IPC生理食塩水を、約60℃で6時間の前反応条件下で、約0.07%PAAm−PAA及び初期アゼチジニウム含有率約8.8ミリモル当量/リットル(〜0.15%PAE)を得る十分なPAEを含有する組成物から調製する。次に、バイオバーデンの増殖を抑制するために、5ppmの過酸化水素をIPC生理食塩水に加え、IPC生理食塩水を0.22ミクロンポリエーテルスルホン[PES]メンブランフィルターを使用して濾過する。レンズを0.6mLのIPC生理食塩水(生理食塩水の半分は、レンズを挿入する前に加える)と共にポリプロピレンレンズパッケージングシェル中に入れる。次に、アルミホイルでブリスターをシールし、121℃で30分間オートクレーブする。
【0212】
レンズの特性評価
得られたレンズは下記の特性を有する:E’〜0.82MPa;DK
c〜159.4(参照レンズとしてlotrafilcon Bを使用、平均中心厚80μm及び固有のDk110);IP〜2.3;水%〜26.9;及びUVA/UVB%T〜4.6/0.1。