(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5784124
(24)【登録日】2015年7月31日
(45)【発行日】2015年9月24日
(54)【発明の名称】排気ガスターボチャージャの軸受ハウジング
(51)【国際特許分類】
F02B 39/00 20060101AFI20150907BHJP
【FI】
F02B39/00 H
F02B39/00 T
【請求項の数】6
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2013-524865(P2013-524865)
(86)(22)【出願日】2011年8月4日
(65)【公表番号】特表2013-534296(P2013-534296A)
(43)【公表日】2013年9月2日
(86)【国際出願番号】US2011046536
(87)【国際公開番号】WO2012024092
(87)【国際公開日】20120223
【審査請求日】2014年2月26日
(31)【優先権主張番号】102010034457.5
(32)【優先日】2010年8月16日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】500124378
【氏名又は名称】ボーグワーナー インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100093861
【弁理士】
【氏名又は名称】大賀 眞司
(74)【代理人】
【識別番号】100129218
【弁理士】
【氏名又は名称】百本 宏之
(72)【発明者】
【氏名】ヨハネス・ホルンバッハ
【審査官】
二之湯 正俊
(56)【参考文献】
【文献】
特開昭62−170727(JP,A)
【文献】
実開平01−159130(JP,U)
【文献】
実開昭50−135813(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02B 39/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
排気ガスターボチャージャ(24)の軸受ハウジング(1)であって、
−取付穴(2)を有し、
−前記取付穴(2)に配置された2つの軸受ブッシュ(4、5)を有する軸受装置(3)を有し、前記軸受ブッシュの間にスペーサ(6)が配置され、
−軸受ハウジング凹部(9)に固定されかつ前記スペーサ(6)のセンサ凹部(8)内に係合する回転速度センサ(7)を有する軸受ハウジング(1)において、
−弾性スリーブ(10)が前記回転速度センサ(7)の周りの前記軸受ハウジング凹部(9)に配置され、一方の端部(11)により前記センサ凹部(8)内に係合することを特徴とする軸受ハウジング(1)。
【請求項2】
前記弾性スリーブ(10)の他方の端部(12)に固定ウェッジ(13)が設けられ、
前記固定ウェッジが組立状態で前記軸受ハウジング(1)の固定溝(14)内に係合することを特徴とする、請求項1に記載の軸受ハウジング(1)。
【請求項3】
前記固定ウェッジ(13)に、両側においてベベル状のウェッジ面取り部(15、16)が設けられ、前記固定溝(14)に、相補的にベベル状の溝面取り部(17、18)が設けられることを特徴とする、請求項2に記載の軸受ハウジング(1)。
【請求項4】
前記弾性スリーブ(10)が、少なくとも3つのセグメント(20〜22)が設けられるスリーブ本体(19)を有することを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の軸受ハウジング(1)。
【請求項5】
前記弾性スリーブ(10)の他方の端部(12)に固定ウェッジ(13)が設けられ、
前記固定ウェッジ(13)が、前記セグメント(20〜22)の数に対応する数のウェッジセグメント(23、24’および25’)に分割されることを特徴とする、請求項4に記載の軸受ハウジング(1)。
【請求項6】
前記セグメント(20〜22)が切り口(26’、27’および28)によって前記スリーブ本体(19)内に形成されることを特徴とする、請求項4又は5に記載の軸受ハウジング。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前文に記載の軸受ハウジングに関する。
【背景技術】
【0002】
汎用軸受ハウジングは、排気ガスターボチャージャのシャフトを取り付けるために軸受装置が配置される取付穴を有する。前記軸受装置は2つの軸受ブッシュを有し、それらの相互の間隔は、軸受ブッシュの間に配置されたスペーサによって決定される。さらに、軸受ハウジングは、軸受ハウジング凹部に固定されかつスペーサのセンサ凹部内に係合する回転速度センサを有するが、この理由は、回転速度センサを信号測定のためにロータシャフトに向かって直接方向付けなければならないからである。修理点検中に回転速度センサを交換しなければならない場合、スペーサが回転し、これによって回転速度センサの組立を妨げるか又はシステム全体を損傷する可能性さえもある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
したがって、本発明の目的は、軸受ハウジングにより、回転速度センサの交換中にスペーサが向きを変えることを防止することができる、請求項1の前文に規定されたタイプの軸受ハウジングを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
前記目的は、請求項1の特徴によって達成される。
【0005】
回転速度センサの軸受ハウジング凹部に配置される弾性スリーブは、軸受ハウジングに固定することができ、一方の端部によりセンサ凹部内に係合し、このため、前記弾性スリーブは軸受ハウジング凹部を越えて突出するので、回転速度センサをスペーサの位置とは無関係に交換することができるように、スペーサを軸受ハウジングの位置に固定することができる。
【0006】
従属請求項は、本発明の有利な改良に関する。
【0007】
特に好ましい実施形態では、センサ凹部内に係合する端部の反対側に位置するスリーブの当該端部に固定ウェッジが設けられ、固定ウェッジは、軸方向に間隔を空けた固定ウェッジの2つの端部にベベル状の面取り部を有し、面取り部は、面取り部が設けられる軸受ハウジングに相応して形成された溝内に係合する。このようにして、対応する工具を使用して、必要ならばスリーブを軸受ハウジングから非破壊的に取り外すことも可能である。
【0008】
前記取外し能力はまた、少なくとも3つのセグメントがスリーブ又はスリーブ本体に設けられるさらに特に好ましい実施形態によって促進され、セグメントは、スリーブ本体に切り口を設けることによって例えば形成し得る。この場合、固定ウェッジは、ウェッジセグメントに分割され、その数はスリーブのセグメントの数に対応する。
【0009】
本発明のさらなる詳細、利点及び特徴は、図面に基づき例示的な実施形態の次の説明から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明による軸受ハウジングを設けることができる排気ガスターボチャージャの実施形態の部分断面斜視図である。
【
図2】本発明による軸受ハウジングの部分の単純化した概略断面図である。
【
図4】本発明による軸受ハウジングのスリーブの僅かに単純化した概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1は、シャフト27が取り付けられる軸受ハウジング1を介して互いに接続されるタービン26及びコンプレッサ25を有する本発明による排気ガスターボチャージャ24を示している。排気ガスターボチャージャ24は、他のすべての従来の構成要素を有することも自明であるが、これらの構成要素は、本発明の原理を説明するために必要ではないので詳細に説明しない。
【0012】
図2は、ターボチャージャ24の本発明の軸受ハウジング1の部分を示している。軸受ハウジング1は、シャフト27用の軸受装置3が配置される取付穴2を有する。軸受装置3は、取付穴2に配置される2つの軸受ブッシュ4と5を有し、それらの間にスペーサ6が配置される。
【0013】
図2による軸受ハウジング1はまた、回転速度センサ7を有する。回転速度センサ7は、軸受ハウジング凹部9に固定、例えばねじ留めされる。さらに、回転速度センサ7は、確実な信号ピックアップのためにシャフト27に可能な限り近く配置することができるように、スペーサ6のセンサ凹部8内に係合する。
【0014】
図2はまた、回転速度センサ7の周りの軸受ハウジング凹部9に配置される弾性スリーブ10の突出部を示している。選択図のスリーブ10の下端11は、軸受ハウジング凹部7を越えて半径方向Rに突出し、これによって、回転速度センサ7とは無関係にスペーサ6の望ましくない回転を防ぐためにセンサ凹部8内に係合する。
【0015】
細部Aは、軸受ハウジング1におけるスリーブ10の固定をより明らかに示すために、
図3に拡大図で示されている。スリーブ10は、センサ凹部8内に係合する端部11の反対側に配置された端部12に固定ウェッジ13を有する。
図3は、前記固定ウェッジ13が軸受ハウジング1の固定溝14に係合するか又はその中に掛止するスリーブ10の組立状態を示している。
【0016】
図3に示した特に好ましい実施形態では、固定ウェッジ13は、両側にベベル状のウェッジ面取り部15と16を有し、切頭円錐と同様の構造が得られる。
図3に示したように、固定溝14は、スリーブ10の弾性特性のため、前記スリーブが軸受ハウジング凹部9に挿入されるときに、固定ウェッジ13が弾性的に固定溝14内に掛止することができるように、ウェッジ面取り部15と16の設計に対応するベベル状の溝面取り部17と18を有する。スリーブ10の取外しが必要な場合、スリーブ10を適切な工具を使用して軸受ハウジング凹部9から上方に引き抜くことが可能であるが、この理由は、この場合、互いに反対側に位置する面取り部15と18が互いに対して延びるときに、固定ウェッジ13が跳ね戻り、したがって固定溝14との係合を解除することができるからである。
【0017】
図4は、さらに特に好ましい実施形態であるスリーブ10の僅かに単純化した概略斜視図を示している。スリーブ10は、実施例では、3つのセグメント20、21と22が設けられるスリーブ本体19を有する。固定ウェッジ13は、この場合、
図4に見ることができるようにセグメント20、21と22に付設される3つのウェッジセグメント23、24’および25’に分割される。
【0018】
図4に示した実施形態では、
図4の細部に見ることできるように、セグメント20〜22はスリーブ本体(19)の切り口26’、27’および28によって形成される。
【0019】
本発明の上述の開示に加えて、この場合、
図1と
図2の本開示の概略図が明示的に参照される。
【符号の説明】
【0020】
1 軸受ハウジング
2 取付穴
3 軸受装置
4、5 軸受ブッシュ
6 スペーサ
7 回転速度センサ
8 センサ凹部
9 軸受ハウジング凹部
10 スリーブ
11 スリーブの端部
12 スリーブの他方の端部
13 固定ウェッジ
14 固定溝
15、16 ウェッジ面取り部
17、18 溝面取り部
19 スリーブ本体
20、21、22 スリーブ本体のセグメント
23、24’、25’ ウェッジセグメント
26’、27’、28 切り口
24 排気ガスターボチャージャ
25 コンプレッサ
26 タービン
27 シャフト
R 半径方向