(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
少なくとも1種のポリシロキサン架橋剤が、α,ω−ビス[3−(メタ)アクリルオキシ−2−ヒドロキシプロピルオキシプロピル]末端ポリジメチルシロキサン、α,ω−ビス[3−(メタ)アクリルオキシエトキシ−2−ヒドロキシプロピルオキシプロピル]末端ポリジメチルシロキサン、α,ω−ビス[3−(メタ)アクリルオキシエチルアミノ−2−ヒドロキシプロピルオキシプロピル]末端ポリジメチルシロキサン、α,ω−ビス[3−(メタ)アクリルアミドエトキシ−2−ヒドロキシプロピルオキシプロピル]末端ポリジメチルシロキサン、α,ω−ビス[(メタ)アクリルアミドエチルアミノ−2−ヒドロキシプロピルオキシプロピル]末端ポリジメチルシロキサン、α,ω−ビス[3−(メタ)アクリルオキシプロポキシ−2−ヒドロキシプロピルオキシプロピル]末端ポリジメチルシロキサン、α,ω−ビス[3−(メタ)アクリルオキシプロピルアミノ−2−ヒドロキシプロピルオキシプロピル]末端ポリジメチルシロキサン、α,ω−ビス[3−(メタ)アクリルアミドプロポキシ−2−ヒドロキシプロピルオキシプロピル]末端ポリジメチルシロキサン、α,ω−ビス[3−(メタ)アクリルアミドプロピルアミノ−2−ヒドロキシプロピルオキシプロピル]末端ポリジメチルシロキサン、α,ω−ビス[3−(メタ)アクリルアミドイソプロポキシ−2−ヒドロキシプロピルオキシプロピル]末端ポリジメチルシロキサン、α,ω−ビス(アリルオキシ−2−ヒドロキシプロピルオキシエトキシプロピル)末端ポリジメチルシロキサン、α,ω−ビス(アリルアミノ−2−ヒドロキシプロピルオキシプロピル)末端ポリジメチルシロキサン、α,ω−ビス(ビニルアミノ−2−ヒドロキシプロピルオキシプロピル)末端ポリジメチルシロキサン、α,ω−ビス(アリルオキシ−2−ヒドロキシプロピルオキシプロピル)末端ポリジメチルシロキサン、α,ω−ビス(ビニルオキシ−2−ヒドロキシプロピルオキシエトキシプロピル)末端ポリジメチルシロキサン、α,ω−ビス[(メタ)アクリルオキシ−2−ヒドロキシプロピルオキシエトキシプロピル]末端ポリジメチルシロキサン、α,ω−ビス[(メタ)アクリルオキシ−2−ヒドロキシプロピル−N−エチルアミノプロピル]末端ポリジメチルシロキサン、α,ω−ビス[(メタ)アクリルオキシ−2−ヒドロキシプロピルアミノプロピル]末端ポリジメチルシロキサン、α,ω−ビス[アリルオキシ−2−ヒドロキシプロピル−N−エチルアミノプロピル]末端ポリジメチルシロキサン、α,ω−ビス[ビニルオキシ−2−ヒドロキシプロピル−N−エチルアミノプロピル]末端ポリジメチルシロキサン、α,ω−ビス[(メタ)アクリルオキシ−2−ヒドロキシプロピルオキシカルボニルプロピル]末端ポリジメチルシロキサン、α,ω−ビス[アリルオキシ−2−ヒドロキシプロピルオキシカルボニルプロピル]末端ポリジメチルシロキサン、α,ω−ビス[ビニルオキシ−2−ヒドロキシプロピルオキシカルボニルプロピル]末端ポリジメチルシロキサン、α,ω−ビス[(メタ)アクリルオキシ−2−ヒドロキシプロピルオキシペンチルカルボニルオキシアルキル]末端ポリジメチルシロキサン、α,ω−ビス[アリルオキシ−2−ヒドロキシプロピルオキシペンチルカルボニルオキシアルキル]末端ポリジメチルシロキサン、α,ω−ビス[ビニルオキシ−2−ヒドロキシプロピルオキシペンチルカルボニルオキシアルキル]末端ポリジメチルシロキサン、α,ω−ビス(アリルオキシ−2−ヒドロキシプロピルオキシ(ポリエチレンオキシ)プロピル)末端ポリジメチルシロキサン、α,ω−ビス(ビニルオキシ−2−ヒドロキシプロピルオキシ(ポリエチレンオキシ)プロピル)末端ポリジメチルシロキサン、α,ω−ビス[(メタ)アクリルオキシ−2−ヒドロキシプロピルオキシ(ポリエチレンオキシ)プロピル]末端ポリジメチルシロキサン、カップリング生成物[(メタ)アクリル酸C2−C4ヒドロキシアルキル又はC2−C4ヒドロキシアルキル(メタ)アクリルアミド又は(メタ)アクリル酸と、α,ω−ビス(ヒドロキシエトキシプロピル)−ポリジメチルシロキサンとの、ジ−エポキシ化合物を介する]、又はこれらの組合せである、請求項2又は3に記載の鎖延長ポリシロキサン架橋剤。
少なくとも1種のポリシロキサン架橋剤が、ヒドロキシ又はカルボキシル基を含まず、そして少なくとも1種のジメルカプタンが、少なくとも1個のヒドロキシ及び/又はカルボキシル基を含む、請求項2に記載の鎖延長ポリシロキサン架橋剤。
少なくとも1種のジメルカプタンが、ジメルカプロール、ジメルカプトブタノール、ジメルカプトペンタノール、ジチオスレイトール、ジメルカプトプロピオン酸、ジヒドロリポ酸、ジメルカプトコハク酸、又はこれらの組合せである、請求項6に記載の鎖延長ポリシロキサン架橋剤。
【技術分野】
【0001】
本発明は、ペンダント親水性基を持つある種の重合しうる鎖延長ポリシロキサン及びその使用に関する。本発明はまた、本発明の重合しうる鎖延長ポリシロキサンと1種以上の他の重合しうる化合物との重合産物であるポリマー、及び本発明の重合しうる鎖延長ポリシロキサンを包含するレンズ配合物から製造されたシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズに関する。
【0002】
背景
近年、ソフトシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズは、その高い酸素透過度及び快適さのために、ますます人気が高まっている。「ソフト」コンタクトレンズは、眼の形状にぴったり合わせることができるため、酸素は容易にレンズを迂回できない。角膜は他の組織のように血液から酸素を供給されないため、ソフトコンタクトレンズは、周りの空気(即ち、酸素)から酸素を角膜に到達させなければならない。充分な酸素が角膜に到達しなければ、角膜腫脹が起こる。長期間の酸素欠乏は、角膜における血管の不適切な増殖を招く。高い酸素透過度を持つことにより、シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズは、充分な酸素をレンズ経由で角膜に透過させるため、角膜の健康に及ぼす有害な作用は最小限に抑えられる。
【0003】
シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズを製造するのに広く使用されるレンズ形成材料の1種は、重合しうるポリシロキサンである。重合しうるポリシロキサンの主要な機能は、得られるコンタクトレンズに高い酸素透過度を提供することである。しかしその疎水性のため、重合しうるポリシロキサンは一般に、例えば、メタクリル酸ヒドロキシエチル、アクリル酸ヒドロキシエチル、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−ビニルピロリドン、又は内部湿潤剤を包含する、レンズ配合物中の親水性成分と併用できない。均質なレンズ配合物を得ることは困難であろう。
【0004】
したがって、シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズを製造するためのレンズ配合物の親水性成分との併用が相対的に容易な、新しい化学線で重合しうるポリシロキサンに対するニーズが存在する。
【0005】
発明の要約
本発明は、1つの態様において、線形の化学線で重合しうる鎖延長ポリシロキサン架橋剤を提供する。本発明の鎖延長ポリシロキサン架橋剤は、(1)少なくとも2個のポリシロキサンセグメント;(2)各対のポリシロキサンセグメントの間の1個の二価有機基(ここで、各二価有機基は、少なくとも2個のペンダント親水性基及び/又は鎖を包含する);及び(3)2個の化学線で重合しうる末端基を含む。
【0006】
別の態様において、本発明は、少なくとも1種の本発明の重合しうる鎖延長ポリシロキサン架橋剤から誘導されるポリマー単位を含むポリマーを提供する。
【0007】
更なる態様において、本発明は、成形用型中で本発明の重合しうる鎖延長ポリシロキサン架橋剤を包含するレンズ形成材料を重合することにより得られるポリマー材料を含む、シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズを提供する。
【0008】
本発明の実施態様の詳細な説明
特に断りない限り、本明細書に使用される全ての技術及び科学用語は、本発明が属する分野における当業者が共通に理解する意味と同じ意味を有する。一般に、本明細書に使用される命名法及び実験手順は、当該分野において周知であり共通に利用される。当該分野及び種々の一般文献に提供される方法のような、従来法がこれらの手順のために使用される。ある用語が単数形で提供される場合、本発明者らは、その用語の複数形も考えに入れる。本明細書に使用される命名法及び後述の実験手順は、当該分野において周知であり共通に利用される。
【0009】
「眼用装置」とは、本明細書に使用されるとき、コンタクトレンズ(ハード又はソフト)、眼内レンズ、角膜アンレー(onlay)、目又は眼の近傍の上又は周囲で使用される他の眼用装置(例えば、ステント、緑内障シャントなど)のことをいう。
【0010】
「コンタクトレンズ」とは、装用者の目の上又は中に置くことができる構造のことをいう。コンタクトレンズは、使用者の視力を矯正、改善、又は変化させることができるが、必ずしもそうでなくともよい。コンタクトレンズは、当該分野において既知の又は後に開発される任意の適切な材料から作られたものであってよく、そしてソフトレンズ、ハードレンズ、又はハイブリッドレンズであってよい。「シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ」とは、シリコーンヒドロゲル材料を含むコンタクトレンズのことをいう。
【0011】
「ヒドロゲル」又は「ヒドロゲル材料」とは、完全に水和されると、少なくとも10重量パーセントの水を吸収できるポリマー材料のことをいう。
【0012】
「シリコーンヒドロゲル」とは、少なくとも1種のシリコーン含有ビニルモノマー若しくは架橋剤又は少なくとも1種の化学線で架橋しうるシリコーン含有プレポリマーを含む、重合しうる組成物の共重合により得られるシリコーン含有ヒドロゲルのことをいう。
【0013】
「親水性」とは、本明細書に使用されるとき、脂質とよりも容易に水と混ざる材料又はその一部を記述する。
【0014】
「ビニルモノマー」とは、本明細書に使用されるとき、唯一のエチレン型不飽和基を有しており、そして化学線又は熱により重合しうる化合物のことをいう。
【0015】
「オレフィン型不飽和基」又は「エチレン型不飽和基」という用語は、本明細書では広い意味で使用され、そして少なくとも1個の>C=C<基を含有する任意の基を包含するものである。例となるエチレン型不飽和基は、特に限定されないが、下記式:
【0016】
【化1】
で示される基、アリル、ビニル、スチレニル、又は他のC=C含有基を包含する。
【0017】
本明細書に使用されるとき、重合しうる組成物、プレポリマー又は材料の硬化、架橋又は重合に関して「化学線で」とは、その硬化(例えば、架橋及び/又は重合)が、化学線照射[例えば、UV照射、電離放射線(例えば、ガンマ線又はX線照射)、マイクロ波照射など]により実施されることを意味する。熱硬化又は化学線硬化法は、当業者には周知である。
【0018】
「(メタ)アクリルアミド」という用語は、メタクリルアミド及び/又はアクリルアミドのことをいう。
【0019】
「(メタ)アクリレート」という用語は、メタクリレート及び/又はアクリレートのことをいう。
【0020】
「親水性ビニルモノマー」とは、本明細書に使用されるとき、水溶性であるか、又は少なくとも10重量パーセントの水を吸収できるポリマーを典型的にはホモポリマーとして生成させるビニルモノマーのことをいう。
【0021】
「疎水性ビニルモノマー」とは、本明細書に使用されるとき、水不溶性であり、かつ10重量パーセント未満の水しか吸収できないポリマーを典型的にはホモポリマーとして生成させるビニルモノマーのことをいう。
【0022】
「プレポリマー」とは、複数のエチレン型不飽和基を含有し、そして化学線又は熱により重合することにより、出発プレポリマーよりも大きな分子量を有するポリマーを形成することができるポリマーのことをいう。
【0023】
「ポリマー」は、1種以上のビニルモノマー、架橋剤及び/又はプレポリマーを重合/架橋することにより形成される材料を意味する。
【0024】
ポリマー材料(モノマー又はマクロマー材料を包含する)の「分子量」とは、本発明に使用されるとき、特に断りない限り又は別に試験条件が示されない限り、重量平均分子量のことをいう。
【0025】
「架橋剤(crosslinker)」とは、少なくとも2個のエチレン型不飽和基を有する化合物のことをいう。「架橋物質(crosslinking agent)」とは、架橋剤の部分集合に属しており、そして少なくとも2個のエチレン型不飽和基を含み、そして700ダルトン以下の分子量を有する化合物のことをいう。
【0026】
「ポリシロキサン」とは、唯一のポリシロキサンセグメントを含有する化合物のことをいう。
【0027】
「鎖延長ポリシロキサン」とは、結合により分離された少なくとも2個のポリシロキサンセグメントを含有する化合物のことをいう。
【0028】
「ポリシロキサンビニルモノマー」とは、唯一のエチレン型不飽和基及び少なくとも1個だけのポリシロキサンセグメントを含有するビニルモノマーのことをいう。
【0029】
「鎖延長ポリシロキサンビニルモノマー」とは、唯一のエチレン型不飽和基及び結合により分離された少なくとも2個のポリシロキサンセグメントを含む化合物のことをいう。
【0030】
「ポリシロキサンセグメント」という用語は、式(1):
【0031】
【化2】
[式中、R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、R
6、R
7、及びR
8は、相互に独立に、C
1−C
10アルキル、ジ−C
1−C
3アルキルアミノアルキル、C
1−C
10ヒドロキシアルキル、C
1−C
10エーテル、C
1−C
4アルキル−又はC
1−C
4アルコキシ−置換フェニル、C
1−C
10フルオロアルキル、C
1−C
10フルオロエーテル、C
6−C
18アリール基、シアノ(C
1−C
12アルキル)、−alk−(OCH
2CH
2)
n−OR
9(ここで、alkは、C
1−C
6−アルキレン二価基であり、R
9は、水素又はC
1−C
5アルキルであり、そしてnは、1〜20の整数である)であり、m及びpは、相互に独立に、0〜150の整数であり、かつ(m+p)は、1〜150である]で示される二価基のことをいう。
【0032】
「ポリシロキサン架橋剤」とは、少なくとも2個のエチレン型不飽和基及び唯一のポリシロキサンセグメントを有する化合物のことをいう。
【0033】
「鎖延長ポリシロキサン架橋剤」とは、少なくとも2個のエチレン型不飽和基及び結合により分離された少なくとも2個のポリシロキサンセグメントを含む線形ポリシロキサン化合物のことをいう。
【0034】
「流体」という用語は、本明細書に使用されるとき、ある材料が液体のように流れることができることを示す。
【0035】
ラジカル開始剤は、光開始剤又は熱開始剤のいずれかであってよい。「光開始剤」とは、光の使用によりフリーラジカル架橋/重合反応を開始させる化学物質のことをいう。適切な光開始剤は、特に限定されないが、ベンゾインメチルエーテル、ジエトキシアセトフェノン、ベンゾイルホスフィンオキシド、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、Darocure(登録商標)型の光開始剤、及びIrgacure(登録商標)型の光開始剤、好ましくはDarocure(登録商標)1173及びIrgacure(登録商標)2959を包含する。ベンゾイルホスフィンオキシド開始剤の例は、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド(TPO);ビス−(2,6−ジクロロベンゾイル)−4−N−プロピルフェニルホスフィンオキシド;及びビス−(2,6−ジクロロベンゾイル)−4−N−ブチルフェニルホスフィンオキシドを包含する。例えば、プレポリマーに組み入れることができるか、又は特別なモノマーとして使用できる、反応性光開始剤もまた適している。反応性光開始剤の例は、EP 632,329(その全体が引用例として本明細書に取り込まれる)に開示されたものがある。次に重合は、化学線、例えば、光、特に適切な波長のUV光により誘発することができる。スペクトルの要求は、可能ならば、適切な光増感剤の添加により、結果として制御することができる。
【0036】
「熱開始剤」とは、熱エネルギーの使用によりラジカル架橋/重合反応を開始させる化学物質のことをいう。適切な熱開始剤の例は、特に限定されないが、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルペンタンニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルプロパンニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルブタンニトリル)、過酸化ベンゾイルのような過酸化物などを包含する。好ましくは、熱開始剤は、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)(AIBN)である。
【0037】
「重合しうるUV吸収剤」とは、エチレン型不飽和基及び当業者には明らかなとおり200nm〜400nmの範囲のUV線を吸収又は遮断できるUV吸収部分を含む化合物のことをいう。
【0038】
「化学線の空間的制限」とは、米国特許第6,800,225号、6,627,124号、7,384,590号及び7,387,759号(これらは全て、その全体が引用例として本明細書に取り込まれる)に例証されるように、線の形態(the form of rays)のエネルギー放射が、例えば、マスク又はスクリーン又はその組合せにより、空間的に制限されたやり方で、明確に定義された周辺境界を有する領域に影響を及ぼすように向けられる、作用又はプロセスのことをいう。
【0039】
「染料」は、レンズ形成流体材料に可溶性であり、着色するために使用される物質を意味する。染料は、典型的には半透明であり、光を吸収するが散乱させない。
【0040】
「顔料」は、不溶性であるレンズ形成組成物に懸濁される粉末状の物質(粒子)を意味する。
【0041】
シリコーンヒドロゲル材料又はコンタクトレンズに関して「親水性表面」は、そのシリコーンヒドロゲル材料又はコンタクトレンズが、約90度以下、好ましくは約80度以下、更に好ましくは約70度以下、更になお好ましくは約60度以下の平均水接触角を有することを特徴とする表面親水性を有することを意味する。
【0042】
「平均水接触角」とは、少なくとも3個の個々のコンタクトレンズ又はシリコーンヒドロゲル材料の試料の測定値を平均することにより得られる、水接触角(静滴法(Sessile Drop)により測定)のことをいう。
【0043】
「抗菌剤」とは、本明細書に使用されるとき、その用語が当該分野において知られているように微生物の増殖を減少又は削減又は阻止することができる化学物質のことをいう。抗菌剤の好ましい例は、特に限定されないが、銀塩、銀錯体、銀ナノ粒子、銀含有ゼオライトなどを包含する。
【0044】
「銀ナノ粒子」とは、本質的に金属銀で作られた、1マイクロメートル未満のサイズを有する粒子のことをいう。
【0045】
本発明のポリシロキサン又はプレポリマーに関して「可溶性」という用語は、そのポリシロキサン又はプレポリマーが、室温(約22℃〜約28℃)で少なくとも約1重量%の濃度を有するプレポリマーの溶液を形成するのに充分な程度まで溶媒に溶解できることを意味する。
【0046】
本発明のプレポリマーに関して「水溶性及び/又は水分散度」という用語は、400〜700nmの間の範囲で85%以上の光透過率を有する透明水溶液又はわずかに混濁した水溶液を形成するために、室温(約22℃〜約28℃)で水に溶解及び/又は分散させたプレポリマーの濃度(重量百分率)を意味する。
【0047】
本発明では、コンタクトレンズに関して「酸素透過度」という用語は、実施例1に記載される手順により測定される、境界層効果に起因する酸素フラックスに対する表面抵抗について補正された推定固有酸素透過度Dk
cを意味する。ある材料の固有「酸素透過度」、Dkは、酸素がある材料を通り抜ける速度である。酸素透過度は、従来からbarrerの単位で表されるが、ここで「barrer」は、[(cm
3酸素)(mm)/(cm
2)(秒)(mmHg)]×10
−10として定義される。
【0048】
あるレンズ又は材料の「酸素伝達率」、Dk/tは、測定される面積でt[mmの単位]の平均厚さを持つ特定のレンズ又は材料を酸素が通り抜ける速度である。酸素伝達率は、従来からbarrer/mmの単位で表されるが、ここで「barrer/mm」は、[(cm
3酸素)/(cm
2)(秒)(mmHg)]×10
−9として定義される。
【0049】
レンズを介する「イオン透過性」は、イオノフラックス拡散係数(Ionoflux Diffusion Coefficient)と相関する。このイオノフラックス拡散係数、D([mm
2/分]の単位)は、下記式:
D = −n’/(A × dc/dx)
[式中、n’=イオン輸送の速度[mol/分];A=曝露されたレンズの面積[mm
2];dc=濃度差[mol/L];dx=レンズの厚さ[mm]]のとおり、フィックの法則を適用することにより求める。
【0050】
一般に、本発明は、2個以上のポリシロキサンセグメント[その各対は、2個以上のペンダント親水性基(ヒドロキシル基及び/又はカルボキシル基など)を有するリンカーにより一緒になって共有結合している]を持つある種の化学線で架橋しうる鎖延長ポリシロキサン架橋剤に関する。
【0051】
シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズを製造するときに本発明の鎖延長ポリシロキサン架橋剤を使用すると、これに付随して幾つかの有望な独自の特色が存在する。第1に、シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ配合物中に本発明の鎖延長ポリシロキサン架橋剤を使用することにより、他の親水性成分(例えば、親水性ビニルモノマー及び場合により浸出性ポリマー湿潤剤など)との重合しうるポリシロキサンの相溶性を著しく改善することができる。第2に、本発明の鎖延長ポリシロキサン架橋剤は、このような鎖延長ポリシロキサン架橋剤を包含するレンズ形成材料から製造されるシリコーンヒドロゲルレンズの表面湿潤性を改善するために使用することができる。シリコーンヒドロゲル材料は、典型的には、疎水性(非湿潤性)である表面又はその表面の少なくともある程度の領域を有することが知られている。疎水性の表面又は表面領域は、眼内環境から脂質又はタンパク質を取り込み、目に付着することもある。よって、シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズは一般に、典型的にはレンズの注型後に実施される表面改質を必要とする。ポリシロキサン(PDMS)鎖に沿ってのペンダント親水性基及び/又は親水性ポリマー鎖の存在が、水分を利用できる親水性基によりレンズ表面上の疎水性ドメインのサイズを分割し;そしてこれらの親水性基は、レンズ表面湿潤性を強化するための単純なコーティングプロセスを介して、更に改質又は他の親水性(コ)ポリマーと複合体形成することができると考えられている。第3に、本発明の鎖延長ポリシロキサン架橋剤は、レンズ装用の快適さを強化するための快適取り外し剤の組み込みを容易に達成するために使用することができる。本発明の鎖延長ポリシロキサン架橋剤の親水性基は、水素結合を介して親水性ポリマーを結合することができると考えられている。例えば、本発明の鎖延長ポリシロキサン架橋剤のカルボン酸基は、快適剤として使用できる可能性が高いポリビニルピロリドンホモポリマー又はコポリマーとの良好なネットワークを築くことができる。水素結合した快適剤では、本発明の鎖延長ポリシロキサン架橋剤との快適剤の結合により制御すれば、取り外し時間を遅延させることができる。第4に、本発明の鎖延長ポリシロキサン架橋剤は、特に水又は水溶液による、レンズ抽出効率を改善するために使用することができる。モノマー配合物により製造されたレンズからの非揮発性残渣の抽出は一般に、レンズ配合物中の非重合成分を除去するために必要とされる。シリコーンヒドロゲルレンズでは、非揮発性抽出可能物の抽出は、水溶液に完全には可溶性でないシリコーン含有抽出可能物の溶解度のために、通常は有機溶媒を用いて実施される。PDMS鎖に沿ってのペンダント親水性基の存在もまた、水溶液中の抽出可能物の溶解度を増大させることができるため、抽出プロセスにおいて有機溶媒を最小限に抑えることができるか、又は排除できることもある。
【0052】
本発明は、1つの態様において、(1)少なくとも2個のポリシロキサンセグメント[ここで、隣接ポリシロキサンセグメントの各対は、少なくとも1個のペンダント親水性基(ヒドロキシル及び/又はカルボキシル基)及びジ−チオエーテル結合:−S−DR−S−(ここで、DRは、二価有機基である)を包含する、1個の二価有機基により結合している];及び(2)2個の末端エチレン型不飽和基を含む、線形の重合しうる鎖延長ポリシロキサン架橋剤を提供する。
【0053】
本発明では、鎖延長ポリシロキサン架橋剤は、好ましくは式(I):
【0054】
【化3】
[式中、
ν及びωは、相互に独立に、0〜20の整数であり(ただし、(ν+ω)は、1〜20の整数である)、
D
1、D
2及びD
3は、相互に独立に、式(II):
【0055】
【化4】
(式中、A
1及びA
2は、相互に独立に、直接結合、直鎖若しくは分岐のC
1−C
10アルキレン二価基、−(CH(R”)CH
2O)
r3−CH(R”)CH
2−(ここで、R”は、H又はメチルであり、そしてr3は、1〜20の整数である)又はC
1−C
7アルキレンオキシC
1−C
7アルキレン二価基であり、そしてR
1、R
2、R
3、R
4、R
5、R
6、R
7、及びR
8は、相互に独立に、C
1−C
8−アルキル、C
1−C
4−アルキル−若しくはC
1−C
4−アルコキシ−置換フェニル、フルオロ(C
1−C
18−アルキル)、−alk−(OCH
2CH
2)
n−OR
9(ここで、alkは、C
1−C
6−アルキレン二価基であり、R
9は、C
1−C
6−アルキルであり、そしてnは、1〜20の整数である)であり、m及びpは、相互に独立に、0〜150の整数であり、かつ(m+p)は、1〜150である)で示される二価基であり;
G
1、G
2、G
3、G
4、G
5、及びG
6は、相互に独立に、直接結合又は式(III):
【0056】
【化5】
で示される二価基であり;
L
1及びL
2は、相互に独立に、直接結合又は式(IV):
【0057】
【化6】
で示される二価基であり;
X
1、X
2、及びX
3は、相互に独立に、直接結合、−O−、−NR’−、−S−、−C(O)−NR’−、−NR”−C(O)−、−O−C(O)−NH−、−C(O)−O−、−O−C(O)−、−NH−C(O)−O−、−NR’−C(O)−NH−、及び−NH−C(O)−NR’−(ここで、R’は、H又はC
1−C
8アルキルである)よりなる群から選択される結合であり;
r
1、r
2、q
1、q
2、q
3、及びq
4は、相互に独立に、0又は1の整数であり;
Y
1及びY
2は、相互に独立に、直接結合、−O−又は−NR’−(ここで、R’は、上記と同義である)であり;
Z
1、Z
2、Z
3、Z
4、Z
5、Z
6、及びBGは、相互に独立に、直接結合、直鎖若しくは分岐のC
1−C
12アルキレン二価基、少なくとも1個のヒドロキシル若しくはカルボキシル基若しくは−OC(O)(CH
2)
t1COOH(ここで、t1は、2〜4の整数である)を有する直鎖若しくは分岐のC
3−C
7アルキレン二価基、C
1−C
7アルキレンオキシC
1−C
7アルキレン二価基、−[CH
2CH(T)CH
2O]
r4−[CH(R”)CH
2O]
r3−[CH
2CH(T)CH
2]
r5−の二価基(ここで、R”及びr3は、上記と同義であり、Tは、ヒドロキシル又はカルボキシル基又は−OC(O)(CH
2)
tCOOH(ここで、tは、上記と同義である)であり、そしてr4及びr5は、相互に独立に、0又は1である)、非置換フェニレン二価基、C
1−C
4アルキル若しくはC
1−C
4アルコキシ置換フェニレン二価基若しくはC
7−C
12アラルキレン二価基、C
5−C
45脂環式若しくは脂肪族−脂環式二価基、C
6−C
24芳香族若しくは芳香脂肪族(araliphatic)二価基、又はこれらの組合せであり;
R
10、R
11、R
12、R
13、R
14、R
15、R
16、R
17、R
18、及びR
19は、相互に独立に、水素又はC
1−C
4アルキルであるが;ただし
BG及び/又はG
2、G
3、G
4、及びG
5の少なくとも1個のいずれかは、少なくとも1個のヒドロキシル若しくはカルボキシル基又は少なくとも1個の−OC(O)(CH
2)
t1COOH(ここで、t1は、上記と同義である)の基を含む]により定義される。
【0058】
式(IV)において、BGは、好ましくは少なくとも1個のヒドロキシル若しくはカルボキシル基若しくは−OC(O)(CH
2)
t1COOH(ここで、t1は、2〜4の整数である)を有する直鎖若しくは分岐のC
3−C
7アルキレン二価基、−[CH
2CH(T)CH
2O]
r4−[CH(R”)CH
2O]
r3−[CH
2CH(T)CH
2]
r5−の二価基(ここで、R”及びr3は、上記と同義であり、Tは、ヒドロキシル若しくはカルボキシル基又は−OC(O)(CH
2)
tCOOH(ここで、tは、上記と同義である)であり、そしてr4及びr5は、相互に独立に、0又は1である)、又はこれらの組合せである。BGは、ジメルカプタン、又は少なくとも1個のヒドロキシル若しくはカルボキシル基若しくは−OC(O)(CH
2)
t1COOH(ここで、t1は、2〜4の整数である)を含む架橋物質から誘導することができる。当然のことながら、ヒドロキシル基は、二酸無水物(後述のいずれか1つ)をヒドロキシル基と反応させることにより、−OC(O)(CH
2)
t1COOHに容易に変換することができる。
【0059】
式(II)において、R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、R
6、R
7、及びR
8は、好ましくはメチルである。
【0060】
本発明では、本発明の鎖延長ポリシロキサン架橋剤は、(1)少なくとも1種のポリシロキサン架橋剤(即ち、唯一のポリシロキサンセグメント及び2個のエチレン型不飽和基を有する)を少なくとも1種のジメルカプタン(即ち、2個のチオール基を有する化合物)と反応させるか、あるいは(2)唯一のポリシロキサンセグメントを有する少なくとも1種のジ−チオール(又はジ−メルカプト)末端ポリシロキサンを、少なくとも1種の架橋物質(即ち、2個のエチレン型不飽和基及び700ダルトン以下の分子量を有する化合物)と、マイケル付加又はチオール−エン反応条件下で反応させるかのいずれかにより入手できる[ただし、ジメルカプタンとポリシロキサン架橋剤の少なくとも一方、及びジ−チオール末端ポリシロキサンと架橋物質の少なくとも一方は、ヒドロキシル基、カルボキシル基、及びこれらの組合せよりなる群から選択される、少なくとも1個、好ましくは少なくとも2個の親水性基を含む]。
【0061】
本発明の鎖延長ポリシロキサン架橋剤は、ワンポット反応で調製することができる。例えば、ポリシロキサン架橋剤は、ジメルカプタンとマイケル付加又はチオール−エン反応条件下で約2:1のモル当量比で反応させることにより、ジメルカプタンから誘導されるジチオエーテル結合を包含する有機リンカーを介して一緒になって結合している2個のポリシロキサンセグメントを有するプレポリマーを形成することができる。
【0062】
あるいは、本発明の鎖延長ポリシロキサン架橋剤の調製において段階反応を利用することができる。例えば、第1段階で、ジメルカプタン(又はジ−チオール−末端ポリシロキサン)は、ポリシロキサン架橋剤(又は架橋物質)とマイケル付加又はチオール−エン反応条件下で約2:1以上のモル当量比で反応させることにより、唯一のポリシロキサンセグメントを有するチオールでキャップされたポリシロキサン(又は2個のポリシロキサンセグメントを有するチオールでキャップされた鎖延長ポリシロキサン)を形成することができる。第2段階で、ポリシロキサン架橋剤(又は架橋物質)は、生じたチオールでキャップされたポリシロキサンとマイケル付加又はチオール−エン反応条件下で約2:1以上のモル当量比で反応させることにより、3個(又は2個)のポリシロキサンセグメントを有する本発明の鎖延長ポリシロキサン架橋剤を形成することができる。反応の付加段階を利用することにより、追加のポリシロキサンセグメントを本発明の鎖延長ポリシロキサン架橋剤に付加することができる。
【0063】
本発明のプレポリマーを調製するために、2〜24個の炭素原子を有する任意のジメルカプタンを本発明に使用することができる。ジメルカプタンの例は、特に限定されないが、C
2−C
12アルキルジメルカプタン類(例えば、エチルジメルカプタン、プロピルジメルカプタン、ブチルジメルカプタン、ペンタメチレンジメルカプタン、ヘキサメチレンジメルカプタン、ヘプタメチレンジメルカプタン、オクタメチレンジメルカプタン、ノナメチレンジメルカプタン、デカメチレンジメルカプタン、又はこれらの組合せ)、エチルシクロヘキシルジメルカプタン、ジペンテンジメルカプタン、ベンゼンジチオール、メチル置換ベンゼンジチオール、ベンゼンジメタンチオール、グリコールジメルカプトアセテート、エチルエーテルジメルカプタン(ジグリコールジメルカプタン)、トリグリコールジメルカプタン、テトラグリコールジメルカプタン、ジメルカプロール、ジメルカプトプロパノール、ジメルカプトブタノール、ジメルカプトペンタノール、ジメルカプトプロピオン酸、ジヒドロリポ酸、ジチオスレイトール、ジメルカプトコハク酸、及びこれらの組合せを包含する。
【0064】
好ましくは、鎖延長ポリシロキサン架橋剤の調製に使用されるポリシロキサン架橋剤は、式(2):
【0065】
【化7】
[式中、R
20及びR
21は、相互に独立に、水素又はメチルであり;A
1及びA
2は、相互に独立に、直接結合、直鎖若しくは分岐のC
1−C
10アルキレン二価基、−(CH(R”)CH
2O)
r3−CH(R”)CH
2−(ここで、R”は、H又はメチルであり、そしてr3は、1〜20の整数である)、又はC
1−C
7アルキレンオキシC
1−C
7アルキレン二価基であり;mは、1〜150の整数であり;X
4、X
4’、X
5、X
5’、X
6、及びX
6’は、相互に独立に、直接結合、−O−、−NR’−、−S−、−C(O)−NR’−、−NR”−C(O)−、−O−C(O)−NH−、−NH−C(O)−O−、−NR’−C(O)−NH−、−NH−C(O)−NR’−、−C(O)−O−、及び−O−C(O)−(ここで、R’は、H又はC
1−C
8アルキルである)よりなる群から選択される結合であり;Z
7、Z
7’、Z
8、Z
8’、Z
9、及びZ
9’は、相互に独立に、直接結合、直鎖若しくは分岐のC
1−C
12アルキレン二価基、少なくとも1個のヒドロキシル若しくは−OC(O)(CH
2)
t1COOH(ここで、t1は、2〜4の整数である)を有する直鎖若しくは分岐のC
3−C
7アルキレン二価基、C
1−C
7アルキレンオキシC
1−C
7アルキレン二価基、−[CH
2CH(T)CH
2O]
r4−[CH(R”)CH
2O]
r3−[CH
2CH(T)CH
2]
r5−の二価基(ここで、R”及びr3は、上記と同義であり、Tは、ヒドロキシル又は−OC(O)(CH
2)
tCOOH(ここで、tは、上記と同義である)であり、そしてr4及びr5は、相互に独立に、0又は1である)、非置換フェニレン二価基、C
1−C
4アルキル若しくはC
1−C
4アルコキシ置換フェニレン二価基若しくはC
7−C
12アラルキレン二価基、C
5−C
45脂環式若しくは脂肪族−脂環式二価基、C
6−C
24芳香族若しくは芳香脂肪族二価基、又はこれらの組合せである]により定義される。
【0066】
式(2)の種々のポリシロキサン架橋剤(例えば、2個の(メタ)アクリロイル、アリル、ビニル基が末端にあるもの)は、供給業者から(例えば、Gelest, Inc.又はFluorochemから)入手できる。このような市販のポリシロキサンリンカーの例は、特に限定されないが、α,ω−ジ−ビニル末端ポリジメチルシロキサン、α,ω−ビス[3−(メタ)アクリルオキシプロピル]−末端ポリジメチルシロキサン、α,ω−ビス[3−(メタ)アクリルオキシ−2−ヒドロキシプロピルオキシプロピル]−末端ポリジメチルシロキサン、α,ω−ビス[3−アリルオキシ−2−ヒドロキシプロピルオキシプロピル]−末端ポリジメチルシロキサン、及びこれらの組合せを包含する。さもなければ、当業者には、当該分野において既知で、かつJournal of Polymer Science - Chemistry, 33, 1773 (1995)(その全体が引用例として本明細書に取り込まれる)に記載される手順によりジ−エチレン型不飽和基−末端ポリシロキサンを調製する方法が分かるだろう。
【0067】
あるいは、式(2)のポリシロキサン架橋剤は、官能基を持つポリシロキサン(即ち、アミノ(−NHR’)、ヒドロキシル、カルボキシル、エポキシ、イソシアナート、無水物、及びこれらの組合せよりなる群から選択される、2個の官能基を末端に持つポリシロキサン)を、既知のカップリング反応に基づいてエチレン型官能基化することにより入手できる。
【0068】
「エチレン型官能基化ビニルモノマー」とは、当業者には既知のカップリング(又は架橋)反応に関与できる、1個の反応性官能基を有するビニルモノマーのことをいう。
【0069】
「カップリング反応」とは、当業者には周知の種々の反応条件(例えば、酸化還元条件、脱水縮合条件、付加条件、置換(又は置き換え)条件、ディールス・アルダー反応条件、カチオン性架橋条件、開環条件、エポキシ硬化条件、及びこれらの組合せなど)下で共有結合又は結合を形成するための、カップリング剤の存在下又は非存在下での一対の釣り合う官能基の間の任意の反応を記述するものである。
【0070】
好ましくはアミノ基(上記と同義の−NHR’)、ヒドロキシル基、カルボキシル基、酸ハライド基(−COX、X=Cl、Br、又はI)、酸無水物基、アルデヒド基、アズラクトン基、イソシアナート基、エポキシ基、アジリジン基、及びチオール基よりなる群から選択される一対の釣り合う共反応性官能基の間の種々の反応条件下でのカップリング反応の非限定例は、例証を目的として後述される。アミノ基はアルデヒド基と反応させることにより、シッフ塩基を形成するが、これは更に還元してもよい;アミノ基:−NHR’は、酸塩化物若しくは臭化物基と又は酸無水物基と反応させることにより、アミド結合(−CO−NR’−)を形成する;アミノ基:−NHR’はイソシアナート基と反応させることにより、尿素結合(−NR”−C(O)−NH−)を形成する;アミノ基:−NHR’は、エポキシ又はアジリジン基と反応させることにより、アミン結合(−C−NR’−)を形成する;アミノ基:−NHR’はアズラクトン基と反応させる(開環)ことにより、アルキレン−ジアミド結合(−C(O)NH−アルキレン−C(O)NR’−)を形成する;アミノ基:−NHR’は、カルボン酸基とカップリング剤−カルボジイミド(例えば、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDC)、N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、1−シクロヘキシル−3−(2−モルホリノエチル)カルボジイミド、ジイソプロピルカルボジイミド、又はこれらの混合物)の存在下で反応させることにより、アミド結合を形成する;ヒドロキシルはイソシアナートと反応させることにより、ウレタン結合を形成する;ヒドロキシルは、エポキシ又はアジリジンと反応させることにより、エーテル結合(−O−)を形成する;ヒドロキシルは、酸塩化物若しくは臭化物基と又は酸無水物基と反応させることにより、エステル結合を形成する;ヒドロキシル基はアズラクトン基と触媒の存在下で反応させることにより、アミドアルキレンカルボキシ結合(−C(O)NH−アルキレン−C(O)−O−)を形成する;カルボキシル基はエポキシ基と反応させることにより、エステル結合を形成する;チオール基(−SH)はイソシアナートと反応させることにより、チオカルバマート結合(−N−C(O)−S−)を形成する;チオール基は、エポキシ又はアジリジンと反応させることにより、チオエーテル結合(−S−)を形成する;チオール基は、酸塩化物若しくは臭化物基と又は酸無水物基と反応させることにより、チオールエステル結合を形成する;チオール基はアズラクトン基と触媒の存在下で反応させることにより、結合(−C(O)NH−CR
3R
4−(CH
2)
p−C(O)−S−)を形成する。チオール基は、チオール−エン反応に基づいてチオール−エン反応条件下でビニル基と反応させることにより、チオエーテル結合(−S−)を形成する。チオール基は、マイケル付加反応に基づいて適切な反応条件下でアクリロイル又はメタクリロイル基と反応させることにより、チオエーテル結合を形成する。
【0071】
また当然のことながら、2個の反応性官能基を持つカップリング剤をカップリング反応に使用してもよい。2個の反応性官能基を有するカップリング剤は、ジイソシアナート、二酸ハロゲン化物、ジ−カルボン酸化合物、二酸ハロゲン化物化合物、ジ−アズラクトン化合物、ジ−エポキシ化合物、ジアミン、又はジオールであってよい。当業者であれば、1個以上のエチレン型不飽和基を末端に持つポリシロキサンを調製するためのカップリング反応(例えば、本出願に上記の任意のもの)及びその条件を選択することには詳しい。例えば、ジイソシアナート、二酸ハロゲン化物、ジ−カルボン酸、ジ−アズラクトン、又はジ−エポキシ化合物は、2個のヒドロキシル、2個のアミノ基、2個のカルボキシル基、2個のエポキシ基、又はこれらの組合せのカップリングに使用することができる;ジアミン又はジヒドロキシル化合物は、2個のイソシアナート、エポキシ、アジリジン、カルボン酸、酸ハライド基若しくはアズラクトン基又はこれらの組合せのカップリングに使用することができる。
【0072】
任意の適切なC
4−C
24ジイソシアナートを本発明に使用することができる。好ましいジイソシアナートの例は、特に限定されないが、イソホロンジイソシアナート、ヘキサメチル−1,6−ジイソシアナート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアナート、トルエンジイソシアナート、4,4’−ジフェニルジイソシアナート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアナート、p−フェニレンジイソシアナート、1,4−フェニレン 4,4’−ジフェニルジイソシアナート、1,3−ビス−(4,4’−イソシアナトメチル)シクロヘキサン、シクロヘキサンジイソシアナート、及びこれらの組合せを包含する。
【0073】
任意の適切なジアミンを本発明に使用することができる。有機ジアミンは、直鎖若しくは分岐のC
2−C
24脂肪族ジアミン、C
5−C
24脂環式若しくは脂肪族−脂環式ジアミン、又はC
6−C
24芳香族若しくはアルキル−芳香族ジアミンであってよい。好ましい有機ジアミンは、N,N’−ビス(ヒドロキシエチル)エチレンジアミン、N,N’−ジメチルエチレンジアミン、エチレンジアミン、N,N’−ジメチル−1,3−プロパンジアミン、N,N’−ジエチル−1,3−プロパンジアミン、プロパン−1,3−ジアミン、ブタン−1,4−ジアミン、ペンタン−1,5−ジアミン、ヘキサメチレンジアミン、及びイソホロンジアミンである。
【0074】
任意の適切な二酸ハロゲン化物を本発明に使用することができる。好ましい二酸ハロゲン化物の例は、特に限定されないが、塩化フマリル、塩化スベロイル、塩化スクシニル、塩化フタロイル、塩化イソフタロイル、塩化テレフタロイル、塩化セバコイル、塩化アジポイル、塩化トリメチルアジポイル、塩化アゼラオイル、ドデカン二酸クロリド、コハク酸クロリド、グルタル酸クロリド、塩化オキサリル、二量体酸塩化物、及びこれらの組合せを包含する。
【0075】
任意の適切なジ−エポキシ化合物を本発明に使用することができる。好ましいジ−エポキシ化合物の例は、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、グリセロールジグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ジプロピレングリコールジグリシジルエーテル、及びこれらの組合せである。このようなジ−エポキシ化合物は市販されている(例えば、Nagase ChemteX Corporation製のDENACOLシリーズのジ−エポキシ化合物)。
【0076】
任意の適切なC
2−C
24ジオール(即ち、2個のヒドロキシル基を持つ化合物)を本発明に使用することができる。好ましいジオールの例は、特に限定されないが、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチルグリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、種々のペンタンジオール、種々のヘキサンジオール、種々のシクロヘキサンジオール、及びこれらの組合せを包含する。
【0077】
任意の適切なC
3−C
24ジ−カルボン酸化合物を本発明に使用することができる。好ましいジ−カルボン酸化合物の例は、特に限定されないが、直鎖若しくは分岐のC
3−C
24脂肪族ジカルボン酸、C
5−C
24脂環式若しくは脂肪族−脂環式ジカルボン酸、C
6−C
24芳香族若しくは芳香脂肪族ジカルボン酸、アミノ若しくはイミド基又はN−複素環を含有するジカルボン酸、及びこれらの組合せを包含する。適切な脂肪族ジカルボン酸の例は、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、ジメチルマロン酸、オクタデシルコハク酸、トリメチルアジピン酸、及び二量体酸(オレイン酸のような不飽和脂肪族カルボン酸の二量化生成物)である。適切な脂環式ジカルボン酸の例は、1,3−シクロブタンジカルボン酸、1,3−シクロペンタンジカルボン酸、1,3−及び1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−及び1,4−ジカルボキシルメチルシクロヘキサン、4,4’−ジシクロヘキシルジカルボン酸である。適切な芳香族ジカルボン酸の例は、テレフタル酸、イソフタル酸、o−フタル酸、1,3−、1,4−、2,6−若しくは2,7−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルスルホン−ジカルボン酸、1,1,3−トリメチル−5−カルボキシル−3−(p−カルボキシフェニル)−インダン、4,4’−ジフェニルエーテル−ジカルボン酸、ビス−p−(カルボキシルフェニル)−メタンである。
【0078】
任意の適切なC
10−C
24ジ−アズラクトン化合物を本発明に使用することができる。このようなジアズラクトン化合物の例は、米国特許第4,485,236号(その全体が引用例として本明細書に取り込まれる)に記載されるものである。
【0079】
上記カップリング反応の反応条件は、教科書に教示されており、そして当業者には周知である。
【0080】
本発明では、官能基を持つポリシロキサン(a functional polysiloxane)のエチレン型官能基化は、官能基を持つポリシロキサンの官能基(例えば、アミン、ヒドロキシル、カルボキシル、イソシアナート、無水物、及び/又はエポキシ基)にエチレン型不飽和基を共有結合させることにより実施できる。カップリング剤(上記のもの)の非存在下又は存在下で、ポリシロキサンのイソシアナート、アミン、ヒドロキシル、カルボキシ、又はエポキシ基と共反応性である、ヒドロキシ、アミノ、カルボキシル、エポキシ、アジリジン、酸塩化物、イソシアナート基を有する任意のビニルモノマーは、このポリシロキサンをエチレン型官能基化するのに使用することができる。エチレン型官能基化ビニルモノマーの例は、特に限定されないが、(メタ)アクリル酸C
2からC
6のヒドロキシルアルキル、C
2からC
6のヒドロキシアルキル(メタ)アクリルアミド、アリルアルコール、アリルアミン、(メタ)アクリル酸アミノ−C
2−C
6アルキル、(メタ)アクリル酸C
1−C
6アルキルアミノ−C
2−C
6アルキル、ビニルアミン、アミノ−C
2−C
6アルキル(メタ)アクリルアミド、C
1−C
6アルキルアミノ−C
2−C
6アルキル(メタ)アクリルアミド、アクリル酸、C
1−C
4アルキルアクリル酸(例えば、メタクリル酸、エチルアクリル酸、プロピルアクリル酸、ブチルアクリル酸)、N−[トリス(ヒドロキシメチル)メチル]アクリルアミド、N,N−2−アクリルアミドグリコール酸、β−メチル−アクリル酸(クロトン酸)、α−フェニルアクリル酸、β−アクリルオキシプロピオン酸、ソルビン酸、アンゲリカ酸、ケイ皮酸、1−カルボキシ−4−フェニル ブタジエン−1,3、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸、グルタコン酸、アコニット酸、マレイン酸、フマル酸、(メタ)アクリル酸アジリジルC
1−C
12アルキル(例えば、(メタ)アクリル酸2−(1−アジリジニル)エチル、(メタ)アクリル酸3−(1−アジリジニル)プロピル、(メタ)アクリル酸4−(1−アジリジニル)ブチル、(メタ)アクリル酸6−(1−アジリジニル)ヘキシル、又は(メタ)アクリル酸8−(1−アジリジニル)オクチル)、(メタ)アクリル酸グリシジル、ビニルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、(メタ)アクリル酸ハライド基(−COX、X=Cl、Br、又はI)、(メタ)アクリル酸C
1からC
6のイソシアナトアルキル、アズラクトン含有ビニルモノマー(例えば、2−ビニル−4,4−ジメチル−1,3−オキサゾリン−5−オン、2−イソプロペニル−4,4−ジメチル−1,3−オキサゾリン−5−オン、2−ビニル−4−メチル−4−エチル−1,3−オキサゾリン−5−オン、2−イソプロペニル−4−メチル−4−ブチル−1,3−オキサゾリン−5−オン、2−ビニル−4,4−ジブチル−1,3−オキサゾリン−5−オン、2−イソプロペニル−4−メチル−4−ドデシル−1,3−オキサゾリン−5−オン、2−イソプロペニル−4,4−ジフェニル−1,3−オキサゾリン−5−オン、2−イソプロペニル−4,4−ペンタメチレン−1,3−オキサゾリン−5−オン、2−イソプロペニル−4,4−テトラメチレン−1,3−オキサゾリン−5−オン、2−ビニル−4,4−ジエチル−1,3−オキサゾリン−5−オン、2−ビニル−4−メチル−4−ノニル−1,3−オキサゾリン−5−オン、2−イソプロペニル−4−メチル−4−フェニル−1,3−オキサゾリン−5−オン、2−イソプロペニル−4−メチル−4−ベンジル−1,3−オキサゾリン−5−オン、2−ビニル−4,4−ペンタメチレン−1,3−オキサゾリン−5−オン、及び2−ビニル−4,4−ジメチル−1,3−オキサゾリン−6−オン、そして好ましいアズラクトン含有ビニルモノマーとして2−ビニル−4,4−ジメチル−1,3−オキサゾリン−5−オン(VDMO)及び2−イソプロペニル−4,4−ジメチル−1,3−オキサゾリン−5−オン(IPDMO))、及びこれらの組合せを包含する。
【0081】
ヒドロキシル基(−OH)、アミノ基(−NHR’)、カルボキシル基(−COOH)、エポキシ基、イソシアナート基、チオール基、及びこれらの組合せよりなる群から選択される2個の末端官能基を有する種々のポリシロキサンは、供給業者から(例えば、Gelest, Inc.又はFluorochemから)入手できる。さもなければ、当業者には、当該分野において既知で、かつJournal of Polymer Science - Chemistry, 33, 1773 (1995)(その全体が引用例として本明細書に取り込まれる)に記載される手順によりこのような二官能基末端ポリシロキサンを調製する方法が分かるだろう。
【0082】
好ましい実施態様において、本発明の鎖延長ポリシロキサン架橋剤は、ジメルカプタンを少なくとも1種の式(2)(式中、Z
7、Z
7’、Z
8、Z
8’、Z
9、及びZ
9’の少なくとも1個は、少なくとも1個のヒドロキシル基を含む)のポリシロキサン架橋剤と、マイケル付加及び/又はチオール−エン反応の機序に基づいて反応させることにより得られる。このようなヒドロキシ含有ポリシロキサン架橋剤は、(1)ジ−エポキシ末端ポリシロキサン[(メタ)アクリル酸C
2からC
6のヒドロキシルアルキル、C
2からC
6のヒドロキシアルキル(メタ)アクリルアミド、アリルアルコール、アリルアミン、(メタ)アクリル酸アミノ−C
2−C
6アルキル、(メタ)アクリル酸C
1−C
6アルキルアミノ−C
2−C
6アルキル、ビニルアミン、アミノ−C
2−C
6アルキル(メタ)アクリルアミド、C
1−C
6アルキルアミノ−C
2−C
6アルキル(メタ)アクリルアミド、アクリル酸、C
1−C
4アルキルアクリル酸、N−[トリス(ヒドロキシメチル)メチル]アクリルアミド、N,N−2−アクリルアミドグリコール酸、β−メチル−アクリル酸(クロトン酸)、α−フェニルアクリル酸、β−アクリルオキシプロピオン酸、ソルビン酸、アンゲリカ酸、ケイ皮酸、1−カルボキシ−4−フェニル ブタジエン−1,3、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸、グルタコン酸、アコニット酸、マレイン酸、フマル酸、及びこれらの組合せよりなる群から選択されるエチレン型官能基化ビニルモノマーの使用による];(2)ヒドロキシル基、アミノ基、カルボキシル基、及びこれらの組合せよりなる群から選択される2個の末端官能基を有するポリシロキサン[エポキシ含有ビニルモノマー(例えば、(メタ)アクリル酸グリシジル、アリルグリシジルエーテル、ビニルグリシジルエーテル、又はこれらの組合せ)の使用による];(3)ヒドロキシル基、アミノ基、カルボキシル基、及びこれらの組合せよりなる群から選択される2個の末端官能基を有するポリシロキサン[ジ−エポキシ化合物の存在下での、(メタ)アクリル酸C
2からC
6のヒドロキシルアルキル、C
2からC
6のヒドロキシアルキル(メタ)アクリルアミド、アリルアルコール、アリルアミン、(メタ)アクリル酸アミノ−C
2−C
6アルキル、(メタ)アクリル酸C
1−C
6アルキルアミノ−C
2−C
6アルキル、ビニルアミン、アミノ−C
2−C
6アルキル(メタ)アクリルアミド、C
1−C
6アルキルアミノ−C
2−C
6アルキル(メタ)アクリルアミド、アクリル酸、C
1−C
4アルキルアクリル酸、N−[トリス(ヒドロキシメチル)メチル]アクリルアミド、N,N−2−アクリルアミドグリコール酸、β−メチル−アクリル酸(クロトン酸)、α−フェニルアクリル酸、β−アクリルオキシプロピオン酸、ソルビン酸、アンゲリカ酸、ケイ皮酸、1−カルボキシ−4−フェニル ブタジエン−1,3、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸、グルタコン酸、アコニット酸、マレイン酸、フマル酸、及びこれらの組合せよりなる群から選択されるエチレン型官能基化ビニルモノマーの使用による];(4)ジ−エポキシ末端ポリシロキサン[ジオール、ジ−アミン化合物、ジカルボン酸化合物、又はこれらの組合せの存在下での、エポキシ含有ビニルモノマー(例えば、(メタ)アクリル酸グリシジル、アリルグリシジルエーテル、ビニルグリシジルエーテル、又はこれらの組合せ)の使用による];あるいは(5)これらの組合せのエチレン型官能基化により入手できる。
【0083】
好ましいヒドロキシル含有ポリシロキサン架橋剤の例は、特に限定されないが、α,ω−ビス[3−(メタ)アクリルオキシ−2−ヒドロキシプロピルオキシプロピル]末端ポリジメチルシロキサン、α,ω−ビス[3−(メタ)アクリルオキシエトキシ−2−ヒドロキシプロピルオキシプロピル]末端ポリジメチルシロキサン、α,ω−ビス[3−(メタ)アクリルオキシエチルアミノ−2−ヒドロキシプロピルオキシプロピル]末端ポリジメチルシロキサン、α,ω−ビス[3−(メタ)アクリルアミドエトキシ−2−ヒドロキシプロピルオキシプロピル]末端ポリジメチルシロキサン、α,ω−ビス[(メタ)アクリルアミドエチルアミノ−2−ヒドロキシプロピルオキシプロピル]末端ポリジメチルシロキサン、α,ω−ビス[3−(メタ)アクリルオキシプロポキシ−2−ヒドロキシプロピルオキシプロピル]末端ポリジメチルシロキサン、α,ω−ビス[3−(メタ)アクリルオキシプロピルアミノ−2−ヒドロキシプロピルオキシプロピル]末端ポリジメチルシロキサン、α,ω−ビス[3−(メタ)アクリルアミドプロポキシ−2−ヒドロキシプロピルオキシプロピル]末端ポリジメチルシロキサン、α,ω−ビス[3−(メタ)アクリルアミドプロピルアミノ−2−ヒドロキシプロピルオキシプロピル]末端ポリジメチルシロキサン、α,ω−ビス[3−(メタ)アクリルアミドイソプロポキシ−2−ヒドロキシプロピルオキシプロピル]末端ポリジメチルシロキサン、α,ω−ビス(アリルオキシ−2−ヒドロキシプロピルオキシエトキシプロピル)末端ポリジメチルシロキサン、α,ω−ビス(アリルアミノ−2−ヒドロキシプロピルオキシプロピル)末端ポリジメチルシロキサン、α,ω−ビス(ビニルアミノ−2−ヒドロキシプロピルオキシプロピル)末端ポリジメチルシロキサン、α,ω−ビス(アリルオキシ−2−ヒドロキシプロピルオキシプロピル)末端ポリジメチルシロキサン、α,ω−ビス(ビニルオキシ−2−ヒドロキシプロピルオキシエトキシプロピル)末端ポリジメチルシロキサン、α,ω−ビス[(メタ)アクリルオキシ−2−ヒドロキシプロピルオキシエトキシプロピル]末端ポリジメチルシロキサン、α,ω−ビス[(メタ)アクリルオキシ−2−ヒドロキシプロピル−N−エチルアミノプロピル]末端ポリジメチルシロキサン、α,ω−ビス[(メタ)アクリルオキシ−2−ヒドロキシプロピルアミノプロピル]末端ポリジメチルシロキサン、α,ω−ビス[アリルオキシ−2−ヒドロキシプロピル−N−エチルアミノプロピル]末端ポリジメチルシロキサン、α,ω−ビス[ビニルオキシ−2−ヒドロキシプロピル−N−エチルアミノプロピル]末端ポリジメチルシロキサン、α,ω−ビス[(メタ)アクリルオキシ−2−ヒドロキシプロピルオキシカルボニルプロピル]末端ポリジメチルシロキサン、α,ω−ビス[アリルオキシ−2−ヒドロキシプロピルオキシカルボニルプロピル]末端ポリジメチルシロキサン、α,ω−ビス[ビニルオキシ−2−ヒドロキシプロピルオキシカルボニルプロピル]末端ポリジメチルシロキサン、α,ω−ビス[(メタ)アクリルオキシ−2−ヒドロキシプロピルオキシペンチルカルボニルオキシアルキル]末端ポリジメチルシロキサン、α,ω−ビス[アリルオキシ−2−ヒドロキシプロピルオキシペンチルカルボニルオキシアルキル]末端ポリジメチルシロキサン、α,ω−ビス[ビニルオキシ−2−ヒドロキシプロピルオキシペンチルカルボニルオキシアルキル]末端ポリジメチルシロキサン、α,ω−ビス(アリルオキシ−2−ヒドロキシプロピルオキシ(ポリエチレンオキシ)プロピル)末端ポリジメチルシロキサン、α,ω−ビス(ビニルオキシ−2−ヒドロキシプロピルオキシ(ポリエチレンオキシ)プロピル)末端ポリジメチルシロキサン、α,ω−ビス[(メタ)アクリルオキシ−2−ヒドロキシプロピルオキシ(ポリエチレンオキシ)プロピル]末端ポリジメチルシロキサン、カップリング生成物[(メタ)アクリル酸C
2−C
4ヒドロキシアルキル又はC
2−C
4ヒドロキシアルキル(メタ)アクリルアミド又は(メタ)アクリル酸と、α,ω−ビス(ヒドロキシエトキシプロピル)−ポリジメチルシロキサンとの、ジ−エポキシ化合物(例えば、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、グリセロールジグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ジプロピレングリコールジグリシジルエーテル、又はこれらの組合せ)を介する]、及びこれらの組合せを包含する。
【0084】
別の好ましい実施態様において、本発明の鎖延長ポリシロキサン架橋剤は、少なくとも1個、好ましくは少なくとも2個のヒドロキシル又はカルボキシル基を有するジメルカプタンを、少なくとも1種のポリシロキサン架橋剤(即ち、2個の末端エチレン型不飽和基を有しており、ヒドロキシル基を持たないか、又は好ましくは少なくとも1個のヒドロキシル基を持つ)と、マイケル付加及び/又はチオール−エン反応の機序に基づいて反応させることにより得られる。更に好ましくは、このジメルカプタンは、少なくとも1個のカルボキシル基を含み、そしてこのポリシロキサン架橋剤は、ヒドロキシ含有ポリシロキサン架橋剤である。
【0085】
別の好ましい実施態様において、本発明の鎖延長ポリシロキサン架橋剤は、ジ−チオール末端ポリシロキサンを、少なくとも1個、好ましくは少なくとも2個のヒドロキシル基を有する少なくとも1種の架橋物質と、マイケル付加及び/又はチオール−エン反応の機序に基づいて反応させることにより得られる。ヒドロキシ含有架橋物質の例は、特に限定されないが、ジメタクリル酸グリセロール、N,N’−ジヒドロキシエチレンビス(メタ)アクリルアミド、ジアミン(好ましくはN,N’−ビス(ヒドロキシエチル)エチレンジアミン、N,N’−ジメチルエチレンジアミン、エチレンジアミン、N,N’−ジメチル−1,3−プロパンジアミン、N,N’−ジエチル−1,3−プロパンジアミン、プロパン−1,3−ジアミン、ブタン−1,4−ジアミン、ペンタン−1,5−ジアミン、ヘキサメチレンジアミン、イソホロンジアミン、及びこれらの組合せよりなる群から選択される)とエポキシ含有ビニルモノマー(好ましくは(メタ)アクリル酸グリシジル、ビニルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、及びこれらの組合せよりなる群から選択される)との生成物を包含する。架橋物質のヒドロキシル基は、ジ−カルボン酸無水物を所望のモル当量比で反応させることにより、ペンダントカルボキシル含有基に変換することができる。
【0086】
式(1)の鎖延長ポリシロキサン架橋剤がペンダントヒドロキシル基を有するがカルボキシルを含まない場合、鎖延長ポリシロキサン架橋剤の全ての又はごく一部のペンダントヒドロキシル基は、ジ−カルボン酸無水物(例えば、無水コハク酸、グルタル酸無水物、アジピン酸無水物、又はこれらの組合せ)をプレポリマーと所望のモル当量比で反応させることにより、ペンダントカルボキシル基に変換することができる。同様に、1個以上の末端ヒドロキシル含有エチレン型不飽和基を持つポリシロキサンのヒドロキシル基は、このポリシロキサンを、本発明の鎖延長ポリシロキサン架橋剤を調製するために使用する前に二酸無水物と反応させることにより、カルボキシル基に変換することができる。
【0087】
当然のことながら、本発明の種々の好ましい実施態様は別々に上記されているが、本発明の様々な好ましい実施態様に到達するために、これらは任意の望ましいやり方で組合せることができる。
【0088】
本発明の鎖延長ポリシロキサンは、1個以上のダングリング親水性ポリマー鎖を有する有機結合により分離された、少なくとも2個のポリシロキサンセグメントを包含する、可溶性両親媒性プレポリマーを調製するのに使用できるが、これは本発明の別の態様である。本発明の可溶性両親媒性プレポリマーは、本発明の鎖延長ポリシロキサン架橋剤のヒドロキシル又はカルボキシル基と反応できる唯一の末端反応性官能基を有する親水性ポリマーを、カップリング剤の存在下又は非存在下で反応させて、ダングリング親水性鎖を有する両親媒性プレポリマーを形成することにより得られる。
【0089】
ペンダントヒドロキシル及び/又はカルボキシル基を持つ鎖延長架橋剤の種々の実施態様が上に記載されており、本発明のこの態様において利用できる。
【0090】
アミノ基、ヒドロキシル基、酸塩化物基、カルボキシル基、無水物、エポキシ基、及びこれらの組合せよりなる群から選択される、唯一の反応性官能基を有する任意の親水性ポリマーは、ダングリング親水性ポリマー鎖を持つ両親媒性プレポリマーの調製において使用できる。例となるこのような親水性ポリマーは、特に限定されないが、単官能基末端ポリ(エチレングリコール)(PEG)、単官能基末端PEG/PPGブロックコポリマー、単官能基末端ポリアルキルアクリルアミド、単官能基末端ポリアルキルメタクリルアミド、単官能基末端ポリビニルピロリドン、N−ビニルピロリドンと反応性官能基を含まない1種以上のビニルモノマー(例えば、アクリル酸ジアルキルアミノアルキル、メタクリル酸ジアルキルアミノアルキル、N,N−ジアルキルアクリルアミド、N,N−ジアルキルメタクリルアミド、又はこれらの混合物など)との単官能基末端コポリマー、(エチレン型不飽和基以外の)反応性官能基を含まない1種以上の親水性ビニルモノマーの単官能基末端ポリマー、及びこれらの組合せを包含する。
【0091】
種々の単官能基末端PEGは、Shearwater Polymers, Inc.から入手できる。好ましい単官能基末端PEGは、1個のアミノ、ヒドロキシル、酸塩化物、又はエポキシ基を一方の末端に持ち、もう一方の末端にメトキシ又はエトキシ基を持つPEGである。
【0092】
(エチレン型不飽和基以外の)反応性官能基を含まない1種以上の親水性ビニルモノマーの単官能基末端親水性ポリマーは、米国特許第6,218,508号(その全体が引用例として本明細書に取り込まれる)に記載される手順と同様の手順により調製することができる。例えば、官能基(即ち、第1級アミノ基、ヒドロキシル基、イソシアナート基、カルボキシル基、又はエポキシ基)を持たない1種以上の親水性ビニルモノマー及び連鎖移動剤(例えば、2−メルカプトエタノール、2−アミノエタンチオール、2−メルカプトプロピオン酸、チオグリコール酸、チオ乳酸、又は他のヒドロキシメルカプタン類、アミノメルカプタン類、又はカルボキシル含有メルカプタン類)は、開始剤の存在下又は非存在下で共重合(熱又は化学線)することにより、モノヒドロキシ−、モノカルボキシル−、又はモノアミン末端親水性ポリマー又はコポリマーが得られる。一般に、連鎖移動剤対1種以上の親水性ビニルモノマーのモル比は、約1:5〜約1:100である。連鎖移動剤対官能基を持たない親水性ビニルモノマー(例えば、DMA、NVP)のモル比は、約1000〜約500,000、好ましくは約5000〜約300,000、更に好ましくは約10000〜約200,000ダルトンの分子量を持つポリマー又はコポリマーが得られるように選択される。1種以上の親水性ビニルモノマーの、モノエポキシ−、モノイソシアナート−、又はモノ酸塩化物末端ポリマー又はコポリマーは、任意の既知の手順により、エポキシ、イソシアナート、又は酸塩化物基を、上で得られる1種以上の親水性ビニルモノマーのモノヒドロキシ−又はモノアミン末端ポリマー又はコポリマーに共有結合させることにより調製できる。高分子量の単官能基末端親水性ポリマーの使用により、本発明のプレポリマーから製造されるシリコーンヒドロゲル材料又はレンズ上の界面膜が適切な厚さと範囲を持つことが保証される。
【0093】
あるいは、単官能基末端親水性ポリマーは、1種以上の親水性モノマーを、ヒドロキシル−、アミン−、又はカルボキシル含有ラジカル開始剤の存在下で、約1:30〜約1:700の開始剤対親水性モノマーのモル比で重合することにより調製することができる。アミン、ヒドロキシル、又はカルボキシ基を持つ開始剤の例は、アゾ開始剤、例えば、2,2’−アゾビス{2−[1−(2−ヒドロキシエチル)−2−イミダゾリン−2−イル]プロパン}二塩酸塩、2,2’−アゾビス{2−メチル−N−[1,1−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル]プロピオンアミド、2,2’−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド]、又は2,2’−アゾビス{2−メチル−N−[2−(1−ヒドロキシブチル)]プロピオンアミド}、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミド)二塩酸塩、2,2’−アゾビス[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン]四水和物などである。
【0094】
好ましい実施態様において、式(1)[式中、L
1及びL
2は、少なくとも1個のカルボキシル基を含み、そしてG2〜G5は、ヒドロキシル基を含まないか、好ましくは少なくとも1個のヒドロキシル基を含む]の鎖延長ポリシロキサン架橋剤は、唯一のアミノ基を有する親水性ポリマーと、カップリング剤としてのカルボジイミドの存在下で反応させることにより、ダングリング親水性ポリマー鎖及びペンダントヒドロキシル基を有する両親媒性プレポリマーを形成する。
【0095】
本発明のダングリング親水性ポリマー鎖を持つ両親媒性プレポリマーは、高い酸素透過度及び硬化後表面処理なしの親水性表面を持つシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズを調製するために使用することができる。本発明のプレポリマーの溶液をコンタクトレンズ製造用の成形用型に導入すると、プレポリマーのダングリング親水性ポリマー鎖は、好ましくは成形用型とプレポリマー溶液の間の界面で吸着されると考えられる。ダングリング親水性ポリマー鎖が、プレポリマー中に充分な量で存在する場合、本質的にダングリング親水性ポリマー鎖からなり、そして適切な厚さを有する界面膜は、硬化(重合)前に成形用型−溶液の界面に形成されて、それ以降硬化後も維持することができる。こうして、硬化後表面処理をすることなく、親水性界面膜が覆ったシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズを製造することができる。
【0096】
本発明の鎖延長ポリシロキサンはまた、(1)少なくとも1種の本発明の鎖延長ポリシロキサン架橋剤及び/又はダングリング親水性ポリマー鎖を有する両親媒性プレポリマーから誘導される架橋単位;(2)少なくとも1種の親水性ビニルモノマー更には少なくとも2個のエチレン型不飽和基から誘導される親水性単位;(3)連鎖移動剤及び/又は反応性官能基及びエチレン型不飽和基を有するビニルモノマー(それぞれ重合しうる単位に反応性官能基を介して共有結合している)から誘導される重合しうる単位;(4)場合により疎水性ビニルモノマーから誘導される疎水性単位;並びに(5)場合により重合しうるUV吸収剤から誘導されるUV吸収単位を含む、別の可溶性両親媒性プレポリマーを調製するのに使用できるが、これは本発明の更なる態様である。本発明のこのようなプレポリマーは、最初に、(a)本発明の鎖延長ポリシロキサン架橋剤又はダングリング親水性ポリマー鎖を有する両親媒性プレポリマー、(b)少なくとも1種の親水性ビニルモノマー、(c)(チオール基以外の)第1の反応性官能基を伴うか又は伴わない連鎖移動剤、及び/又は(エチレン型不飽和基以外の)第2の反応性官能基を有するビニルモノマー、(d)場合により疎水性ビニルモノマー、並びに(e)場合により重合しうるUV吸収剤を包含する、重合しうる組成物を重合して、中間体のコポリマーを形成し、次にこの中間体のコポリマーを、第1又は第2の反応性官能基と反応してカップリング反応において結合を形成できる第3の反応性官能基を有するエチレン型官能基化ビニルモノマーで、カップリング剤の存在下又は非存在下でエチレン型官能基化して、プレポリマーを形成することにより得られる[ここで、第1、第2及び第3の反応性官能基は、相互に独立に、アミノ基:−NHR’(ここで、R’は、上記と同義である)、ヒドロキシル基、カルボキシル基、酸ハライド基、アズラクトン基、イソシアナート基、エポキシ基、アジリジン基、及びこれらの組合せよりなる群から選択される]。このような両親媒性プレポリマーを調製するための方法は、共同所有の米国特許第6,039,913号、6,043,328号、7,091,283号、7,268,189号及び7,238,750号、7,521,519号;共同所有の米国特許出願公開番号US 2008-0015315 A1、US 2008-0143958 A1、US 2008-0143003 A1、US 2008-0234457 A1、US 2008-0231798 A1、並びに共同所有の米国特許出願番号12/313,546、12/616,166及び12/616169に開示されている;これらの全ては、その全体が引用例として本明細書に取り込まれる。
【0097】
任意の適切な親水性ビニルモノマーは、本発明のこの態様において使用することができる。適切な親水性ビニルモノマーは、これが網羅するリストではないが、(メタ)アクリル酸ヒドロキシル置換C
1−C
6アルキル、ヒドロキシル置換C
1−C
6アルキルビニルエーテル、C
1からC
6のアルキル(メタ)アクリルアミド、ジ−(C
1−C
6アルキル)(メタ)アクリルアミド、N−ビニルピロール、N−ビニル−2−ピロリドン、2−ビニルオキサゾリン、2−ビニル−4,4’−ジアルキルオキサゾリン−5−オン、2−及び4−ビニルピリジン、全部で3〜6個の炭素原子を有するオレフィン型不飽和カルボン酸、(メタ)アクリル酸アミノ置換C
1−C
6アルキル(ここで、「アミノ」という用語はまた、第4級アンモニウムを包含する)、(メタ)アクリル酸モノ(C
1−C
6アルキルアミノ)(C
1−C
6アルキル)及び(メタ)アクリル酸ジ(C
1−C
6アルキルアミノ)(C
1−C
6アルキル)、アリルアルコール、N−ビニルC
1−C
6アルキルアミド、N−ビニル−N−C
1−C
6アルキルアミド、並びにこれらの組合せである。
【0098】
好ましい親水性ビニルモノマーの例は、N,N−ジメチルアクリルアミド(DMA)、N,N−ジメチルメタクリルアミド(DMMA)、2−アクリルアミドグリコール酸、3−アクリロイルアミノ−1−プロパノール、N−ヒドロキシエチルアクリルアミド、N−[トリス(ヒドロキシルメチル)メチル]−アクリルアミド、N−メチル−3−メチレン−2−ピロリドン、1−エチル−3−メチレン−2−ピロリドン、1−メチル−5−メチレン−2−ピロリドン、1−エチル−5−メチレン−2−ピロリドン、5−メチル−3−メチレン−2−ピロリドン、5−エチル−3−メチレン−2−ピロリドン、1−n−プロピル−3−メチレン−2−ピロリドン、1−n−プロピル−5−メチレン−2−ピロリドン、1−イソプロピル−3−メチレン−2−ピロリドン、1−イソプロピル−5−メチレン−2−ピロリドン、1−n−ブチル−3−メチレン−2−ピロリドン、1−tert−ブチル−3−メチレン−2−ピロリドン、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル(HEMA)、アクリル酸2−ヒドロキシエチル(HEA)、アクリル酸ヒドロキシプロピル、メタクリル酸ヒドロキシプロピル(HPMA)、メタクリル酸2−ヒドロキシプロピル・トリメチルアンモニウム塩酸塩、メタクリル酸アミノプロピル塩酸塩、メタクリル酸ジメチルアミノエチル(DMAEMA)、メタクリル酸グリセロール(GMA)、N−ビニル−2−ピロリドン(NVP)、アリルアルコール、ビニルピリジン、1500以下の重量平均分子量を有するC
1−C
4アルコキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メタクリル酸、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド、N−ビニルイソプロピルアミド、N−ビニル−N−メチルアセトアミド、N−ビニルカプロラクタム、及びこれらの混合物である。これらの好ましい親水性ビニルモノマーの中で、反応性官能基を含まないものは、両親媒性ポリシロキサンコポリマーを調製するための重合しうる組成物に組み入れるのに特に好ましい。
【0099】
任意の適切な疎水性ビニルモノマーは、本発明の可溶性両親媒性プレポリマーの調製に使用することができる。好ましい疎水性ビニルモノマーの例は、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸sec−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、吉草酸ビニル、スチレン、クロロプレン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、アクリロニトリル、1−ブテン、ブタジエン、メタクリロニトリル、ビニルトルエン、ビニルエチルエーテル、メタクリル酸ペルフルオロヘキシルエチル−チオ−カルボニル−アミノエチル、メタクリル酸イソボルニル、メタクリル酸トリフルオロエチル、メタクリル酸ヘキサフルオロ−イソプロピル、メタクリル酸ヘキサフルオロブチル、シリコーン含有ビニルモノマー、及びこれらの混合物を包含する。最も好ましくは、重合しうる組成物は、嵩高い疎水性ビニルモノマーを含む。好ましい嵩高い疎水性ビニルモノマーは、特に限定されないが、N−[トリス(トリメチルシロキシ)シリルプロピル]−(メタ)アクリルアミド;N−[トリス(ジメチルプロピル−シロキシ)シリルプロピル](メタ)アクリルアミド;N−[トリス(ジメチルフェニルシロキシ)−シリルプロピル](メタ)アクリルアミド;N−[トリス(ジメチルエチルシロキシ)シリルプロピル](メタ)アクリルアミド;N−(2−ヒドロキシ−3−(3−(ビス(トリメチルシリルオキシ)メチルシリル)プロピルオキシ)プロピル)−2−メチルアクリルアミド;N−(2−ヒドロキシ−3−(3−(ビス(トリメチルシリルオキシ)メチルシリル)プロピルオキシ)プロピル)アクリルアミド;N,N−ビス[2−ヒドロキシ−3−(3−(ビス(トリメチルシリルオキシ)メチルシリル)プロピルオキシ)プロピル]−2−メチルアクリルアミド;N,N−ビス[2−ヒドロキシ−3−(3−(ビス(トリメチルシリルオキシ)メチルシリル)プロピルオキシ)プロピル]アクリルアミド;N−(2−ヒドロキシ−3−(3−(トリス(トリメチルシリルオキシ)シリル)プロピルオキシ)プロピル)−2−メチルアクリルアミド;N−(2−ヒドロキシ−3−(3−(トリス(トリメチルシリルオキシ)シリル)プロピルオキシ)プロピル)アクリルアミド;N,N−ビス[2−ヒドロキシ−3−(3−(トリス(トリメチルシリルオキシ)シリル)プロピルオキシ)プロピル]−2−メチルアクリルアミド;N,N−ビス[2−ヒドロキシ−3−(3−(トリス(トリメチルシリルオキシ)シリル)プロピルオキシ)プロピル]アクリルアミド;N−[2−ヒドロキシ−3−(3−(t−ブチルジメチルシリル)プロピルオキシ)プロピル]−2−メチルアクリルアミド;N−[2−ヒドロキシ−3−(3−(t−ブチルジメチルシリル)プロピルオキシ)プロピル]アクリルアミド;N,N−ビス[2−ヒドロキシ−3−(3−(t−ブチルジメチルシリル)プロピルオキシ)プロピル]−2−メチルアクリルアミド;N,N−ビス[2−ヒドロキシ−3−(3−(t−ブチルジメチルシリル)プロピルオキシ)プロピル]アクリルアミド;3−メタクリルオキシプロピルペンタメチルジシロキサン;メタクリル酸トリス(トリメチルシリルオキシ)シリルプロピル(TRIS);(3−メタクリルオキシ−2−ヒドロキシプロピルオキシ)プロピルビス(トリメチルシロキシ)メチルシラン);(3−メタクリルオキシ−2−ヒドロキシプロピルオキシ)プロピルトリス(トリメチルシロキシ)シラン;3−メタクリルオキシ−2−(2−ヒドロキシエトキシ)プロピルオキシ)プロピルビス(トリメチルシロキシ)メチルシラン;カルバミン酸N−2−メタクリルオキシエチル−O−(メチル−ビス−トリメチルシロキシ−3−プロピル)シリル;炭酸3−(トリメチルシリル)プロピルビニル;3−(ビニルオキシカルボニルチオ)プロピル−トリス(トリメチルシロキシ)シラン;カルバミン酸3−[トリス(トリメチルシロキシ)シリル]プロピルビニル;カルバミン酸3−[トリス(トリメチルシロキシ)シリル]プロピルアリル;炭酸3−[トリス(トリメチルシロキシ)シリル]プロピルビニル;炭酸t−ブチルジメチル−シロキシエチルビニル;炭酸トリメチルシリルエチルビニル;炭酸トリメチルシリルメチルビニル;(メタ)アクリル酸t−ブチル、アクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸イソボルニル、ポリシロキサン含有ビニルモノマー(3〜8個のケイ素原子を有する)、及びこれらの組合せを包含する。
【0100】
レンズ形成材料の1つとして使用すべきプレポリマー中にこのような嵩高い疎水性ビニルモノマーが存在することによって、レンズ形成材料から製造されるレンズ中の、製造中の取扱に由来する光学的欠点(永久歪み)を最小限に抑えるか又は排除することができると考えられる。このような歪み又は光学的欠点とは、同時係属の米国特許出願番号12/456,364(その全体が引用例として本明細書に取り込まれる)の実施例1に記載されるようにレンズを手で折り畳んだ後にContact Lens Optical Quality Analyzer(CLOQA)によりレンズ上で観測される永久的な折り畳み跡のことをいう。嵩高い疎水性ビニルモノマーが存在すると、生じるレンズは、光学的欠点を排除した「治癒」効果を示すと考えられる(即ち、折り畳み跡は一過性となり、短時間後、例えば、約15分以内には消失しうる)。
【0101】
任意のポリシロキサン含有ビニルモノマー及び架橋剤を本発明に使用することができる。ポリシロキサン含有ビニルモノマー又は架橋剤は、供給業者から入手できるか、又は任意の既知の手順により調製できる。好ましいポリシロキサン含有ビニルモノマー及び架橋剤の例は、特に限定されないが、種々の分子量のモノ−(メタ)アクリル酸末端ポリジメチルシロキサン(例えば、モノ−3−メタクリルオキシプロピル末端、モノ−ブチル末端ポリジメチルシロキサン又はモノ−(3−メタクリルオキシ−2−ヒドロキシプロピルオキシ)プロピル末端、モノ−ブチル末端ポリジメチルシロキサン);種々の分子量のモノ−ビニル末端、モノ−炭酸ビニル末端又はモノ−カルバミン酸ビニル末端ポリジメチルシロキサン;種々の分子量のジ−(メタ)アクリル酸化ポリジメチルシロキサン(又はいわゆるポリシロキサン架橋剤);ジ−炭酸ビニル末端ポリジメチルシロキサン(ポリシロキサン架橋剤);ジ−カルバミン酸ビニル末端ポリジメチルシロキサン(ポリシロキサン架橋剤);ジ−ビニル末端ポリジメチルシロキサン(ポリシロキサン架橋剤);ジ−(メタ)アクリルアミド末端ポリジメチルシロキサン(ポリシロキサン架橋剤);ビス−3−メタクリルオキシ−2−ヒドロキシプロピルオキシプロピルポリジメチルシロキサン(ポリシロキサン架橋剤);N,N,N’,N’−テトラキス(3−メタクリルオキシ−2−ヒドロキシプロピル)−α,ω−ビス−3−アミノプロピル−ポリジメチルシロキサン(ポリシロキサン架橋剤);ポリシロキサニルアルキル(メタ)アクリル酸モノマー;メタクリル酸グリシジルとアミノ官能基を持つポリジメチルシロキサンとの反応生成物;ヒドロキシル含有ポリシロキサンビニルモノマー又は架橋剤;米国特許第4,136,250号、4,153,641号、4,182,822号、4,189,546号、4,343,927号、4,254,248号、4,259,467号、4,260,725号、及び4,261,875号、4,355,147号、4,276,402号、4,327,203号、4,341,889号、4,486,577号、4,543,398号、4,605,712号、4,661,575号、4,684,538号、4,703,097号、4,833,218号、4,837,289号、4,954,586号、4,954,587号、5,010,141号、5,034,461号、5,070,170号、5,079,319号、5039,761号、5,346,946号、5,358,995号、5,387,632号、5,416,132号、5,451,617号、5,486,579号、5,962,548号、5,981,675号、6,039,913号、及び6,762,264号(その全体が引用例として本明細書に取り込まれる)に開示されるポリシロキサン含有架橋剤;ポリジメチルシロキサン及びポリアルキレンオキシドよりなるジ−及びトリ−ブロックマクロマー(例えば、メタクリラートで末端キャップされたポリエチレンオキシド−ブロック−ポリジメチルシロキサン−ブロック−ポリエチレンオキシド);並びにこれらの混合物を包含する。
【0102】
好ましい重合しうるUV吸収剤は、特に限定されないが、2−(2−ヒドロキシ−5−ビニルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−5−アクリリルオキシフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3−メタクリルアミドメチル−5−tert−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メタクリルアミドフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メタクリルアミドフェニル)−5−メトキシベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メタクリルオキシプロピル−3’−t−ブチル−フェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メタクリルオキシエチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メタクリルオキシプロピルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−ヒドロキシ−4−アクリルオキシアルコキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メタクリルオキシアルコキシベンゾフェノン、アリル−2−ヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メタクリルオキシベンゾフェノンを包含する。重合しうるUV吸収剤は一般に、ポリシロキサンコポリマーを調製するための重合しうる組成物中に存在し、そしてこのコポリマーは、順にエチレン型官能基化されて、本発明のポリシロキサンプレポリマーが得られるが、得られる量は、プレポリマーを包含するレンズ形成材料から製造され、そしてレンズに作用する約280nm〜約370nmの範囲のUV光の少なくとも約80パーセントを吸収する、コンタクトレンズにするのに充分な量である。当業者であれば、重合しうる組成物に使用されるUV吸収剤の特定量は、UV吸収剤の分子量及び約280〜約370nmの範囲のその吸光係数に依存することが分かるだろう。本発明では、重合しうる組成物は、約0.2%〜約5.0%、好ましくは約0.3%〜約2.5%、更に好ましくは約0.5%〜約1.8%(重量)のUV吸収剤を含む。
【0103】
連鎖移動剤(少なくとも1個のチオール基を含有する)は、生じる中間体のコポリマーの分子量を調節するために使用する。連鎖移動剤が(チオール以外の)反応性官能基を含まない場合、反応性官能基(アミン、ヒドロキシル、カルボキシル、エポキシ、イソシアナート、アズラクトン、又はアジリジン基)を有するビニルモノマーは、本発明のプレポリマーを調製するための重合しうる組成物中に存在する。連鎖移動剤が、アミン、ヒドロキシル、カルボキシル、エポキシ、イソシアナート、アズラクトン、又はアジリジン基のような反応性官能基を有する場合、これは、生じる中間体のコポリマーの続いてのエチレン型官能基化のための末端又はペンダント官能基(アミン、ヒドロキシル、カルボキシル、エポキシ、イソシアナート、アズラクトン、又はアジリジン基)を提供することができる。反応性官能基を持つビニルモノマーは、別の末端又はペンダントヒドロキシル、カルボキシル又はアミノ官能基を、生じる中間体のコポリマーに提供することができる。
【0104】
一般に、連鎖移動剤対1種以上の親水性ビニルモノマーのモル比は、約1:5〜約1:100であるが、一方連鎖移動剤対反応性官能基を持つビニルモノマーのモル比は、1:1である。連鎖移動剤対反応性官能基を持たない親水性ビニルモノマー(例えば、DMA、NVP)のモル比は、好ましくは約200〜約4,000、更に好ましくは約500〜約2,500ダルトンの分子量を持つポリマー又はコポリマーが得られるように選択する。
【0105】
本発明では、中間体のコポリマーのエチレン型官能基化は、エチレン型不飽和基を中間体のコポリマーの官能基(例えば、アミン、ヒドロキシル、カルボキシル、イソシアナート、及び/又はエポキシ基)に共有結合させることにより実施できる。カップリング剤(上記のもの)の非存在下又は存在下で、中間体のコポリマーのイソシアナート、アミン、ヒドロキシル、カルボキシ、又はエポキシ基と共反応性である、ヒドロキシ、アミノ、カルボキシル、エポキシ、アジリジン、酸塩化物、イソシアナート基を有する任意のビニルモノマーは、ポリシロキサンをエチレン型官能基化するのに使用することができる。エチレン型官能基化ビニルモノマーの例は、上記のものであり、本実施態様に使用することができる。
【0106】
中間体のコポリマーを調製するための重合しうる組成物は、当業者には知られているとおり、融解物、全ての必要成分が一緒に混合した無溶媒液体、又は全ての必要成分が、水、有機溶媒、若しくはこれらの混合物のような不活性溶媒(即ち、混合物中の反応物間の反応に干渉してはならない)に溶解した溶液であってよい。
【0107】
適切な溶媒の例は、特に限定されないが、水、テトラヒドロフラン、トリプロピレングリコールメチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテル、エチレングリコールn−ブチルエーテル、ケトン類(例えば、アセトン、メチルエチルケトンなど)、ジエチレングリコールn−ブチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエーテル、エチレングリコールフェニルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテル、酢酸プロピレングリコールメチルエーテル、酢酸ジプロピレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコールn−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールn−プロピルエーテル、トリプロピレングリコールn−ブチルエーテル、プロピレングリコールn−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールn−ブチルエーテル、トリプロピレングリコールn−ブチルエーテル、プロピレングリコールフェニルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ポリエチレングリコール類、ポリプロピレングリコール類、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸アミル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸i−プロピル、塩化メチレン、2−ブタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、メントール、シクロヘキサノール、シクロペンタノール及びエキソノルボルネオール、2−ペンタノール、3−ペンタノール、2−ヘキサノール、3−ヘキサノール、3−メチル−2−ブタノール、2−ヘプタノール、2−オクタノール、2−ノナノール、2−デカノール、3−オクタノール、ノルボルネオール、tert−ブタノール、tert−アミルアルコール、2−メチル−2−ペンタノール、2,3−ジメチル−2−ブタノール、3−メチル−3−ペンタノール、1−メチルシクロヘキサノール、2−メチル−2−ヘキサノール、3,7−ジメチル−3−オクタノール、1−クロロ−2−メチル−2−プロパノール、2−メチル−2−ヘプタノール、2−メチル−2−オクタノール、2−メチル−2−ノナノール、2−メチル−2−デカノール、3−メチル−3−ヘキサノール、3−メチル−3−ヘプタノール、4−メチル−4−ヘプタノール、3−メチル−3−オクタノール、4−メチル−4−オクタノール、3−メチル−3−ノナノール、4−メチル−4−ノナノール、3−メチル−3−オクタノール、3−エチル−3−ヘキサノール、3−メチル−3−ヘプタノール、4−エチル−4−ヘプタノール、4−プロピル−4−ヘプタノール、4−イソプロピル−4−ヘプタノール、2,4−ジメチル−2−ペンタノール、1−メチルシクロペンタノール、1−エチルシクロペンタノール、3−ヒドロキシ−3−メチル−1−ブテン、4−ヒドロキシ−4−メチル−1−シクロペンタノール、2−フェニル−2−プロパノール、2−メトキシ−2−メチル−2−プロパノール、2,3,4−トリメチル−3−ペンタノール、3,7−ジメチル−3−オクタノール、2−フェニル−2−ブタノール、2−メチル−1−フェニル−2−プロパノール及び3−エチル−3−ペンタノール、1−エトキシ−2−プロパノール、1−メチル−2−プロパノール、t−アミルアルコール、イソプロパノール、1−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルプロピオンアミド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルプロピオンアミド、N−メチルピロリジノン、並びにこれらの混合物を包含する。
【0108】
中間体のコポリマーを調製するための重合しうる組成物の共重合は、光化学的に又は好ましくは熱的に誘発することができる。適切な熱重合開始剤は、当業者には知られており、例えば、過酸化物、ヒドロペルオキシド、アゾ−ビス(アルキル−又はシクロアルキルニトリル)、過硫酸塩、過炭酸塩、又はこれらの混合物を含む。例には、過酸化ベンゾイル、過酸化tert−ブチル、ジペルオキシフタル酸ジ−tert−ブチル、tert−ブチルヒドロペルオキシド、アゾ−ビス(イソブチロニトリル)(AIBN)、1,1−アゾジイソブチルアミジン、1,1’−アゾ−ビス(1−シクロヘキサンカルボニトリル)、2,2’−アゾ−ビス(2,4−ジメチル−バレロニトリル)などがある。重合は、便利には上記の溶媒中で高温で、例えば、25〜100℃、そして好ましくは40〜80℃の温度で実施される。反応時間は、広い範囲内で変化させることができるが、便利には例えば、1〜24時間又は好ましくは2〜12時間である。重合反応に使用される成分及び溶媒は前もって脱気し、そして該共重合反応を不活性雰囲気下、例えば、窒素又はアルゴン雰囲気下で実施することが有利である。共重合により、光学的に透明な明確に定義されたコポリマーが得られるが、これは例えば、抽出、沈降、限外濾過などの手法を用いて従来法で処理することができる。
【0109】
好ましくは、中間体のコポリマーは、約15%〜約70重量%、好ましくは約25%〜約60%の架橋単位(本発明の少なくとも1種の鎖延長ポリシロキサン架橋剤及び/又はダングリング親水性ポリマー鎖を有する両親媒性プレポリマーから誘導された);約10%〜約60%、好ましくは約15%〜45重量%の親水性単位(1種以上の親水性モノマーから誘導された);0〜約30%、好ましくは約5%〜約25%の嵩高い疎水性単位(1種以上の嵩高い疎水性ビニルモノマーから誘導された);及び0〜約5%、約0.2%〜約4%、好ましくは約0.5%〜約2.5%の重合しうるUV吸収剤を含む。全ての上記の百分率は、上にリストされていない成分を包含する、全重合しうる成分の総重量に基づく重量パーセントである。
【0110】
本発明の鎖延長ポリシロキサン架橋剤及び本発明の可溶性両親媒性プレポリマーは、シリコーンヒドロゲル眼用レンズ、特にコンタクトレンズを調製するのに特に使用することができる。
【0111】
更に別の態様において、本発明はソフトコンタクトレンズを提供する。本発明のソフトコンタクトレンズは、レンズ形成材料を成形用型内で硬化することにより得られるシリコーンヒドロゲル材料[ここで、レンズ形成材料は、本発明の鎖延長ポリシロキサン架橋剤又は可溶性両親媒性プレポリマー(詳細は上記のとおり);並びに親水性ビニルモノマー、疎水性ビニルモノマー、700ダルトン以下の分子量を有する架橋剤、重合しうるUV吸収剤、視界着色剤(例えば、染料、顔料、又はこれらの混合物)、抗菌剤(例えば、好ましくは銀ナノ粒子)、生物活性剤、浸出性潤滑剤、浸出性涙液安定化剤、及びこれらの混合物よりなる群から選択される1種以上の成分を含む]を含む。
【0112】
本発明では、レンズ形成材料は、流体組成物であり、そしてこれは、約20℃〜約85℃の温度で溶液又は融解物であってよい。好ましくは、レンズ形成材料は、水、又は有機溶媒、又は水と1種以上の有機溶媒との混合物中の、少なくとも1種の本発明のプレポリマー及び他の所望の成分の溶液である。
【0113】
鎖延長ポリシロキサン架橋剤、可溶性両親媒性プレポリマー、親水性ビニルモノマー、疎水性ビニルモノマー、溶媒、架橋物質、重合しうるUV吸収剤、光開始剤の種々の実施態様が上に記載されており、本発明のこの態様において利用できる。
【0114】
架橋物質の例は、特に限定されないが、ジ(メタ)アクリル酸テトラエチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸トリエチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸エチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸ジエチレングリコール、ジメタクリル酸ビスフェノールA、メタクリル酸ビニル、エチレンジアミンジ(メタ)アクリルアミド、ジメタクリル酸グリセロール、(メタ)アクリル酸アリル、N,N’−メチレンビス(メタ)アクリルアミド、N,N’−エチレンビス(メタ)アクリルアミド、N,N’−ジヒドロキシエチレンビス(メタ)アクリルアミド、1,3−ビス(メタクリルアミドプロピル)−1,1,3,3−テトラキス(トリメチルシロキシ)ジシロキサン、1,3−ビス(N−(メタ)アクリルアミドプロピル)−1,1,3,3−テトラキス(トリメチルシロキシ)ジシロキサン、1,3−ビス(メタクリルアミドブチル)−1,1,3,3−テトラキス(トリメチルシロキシ)ジシロキサン、1,3−ビス(メタクリルオキシエチルウレイドプロピル)−1,1,3,3−テトラキス(トリメチルシロキシ)ジシロキサン、ジアミン(好ましくはN,N’−ビス(ヒドロキシエチル)エチレンジアミン、N,N’−ジメチルエチレンジアミン、エチレンジアミン、N,N’−ジメチル−1,3−プロパンジアミン、N,N’−ジエチル−1,3−プロパンジアミン、プロパン−1,3−ジアミン、ブタン−1,4−ジアミン、ペンタン−1,5−ジアミン、ヘキサメチレンジアミン、イソホロンジアミン、及びこれらの組合せよりなる群から選択される)とエポキシ含有ビニルモノマー(好ましくは(メタ)アクリル酸グリシジル、ビニルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、及びこれらの組合せよりなる群から選択される)との生成物、これらの組合せを包含する。本発明のプレポリマーの調製に使用すべき更に好ましい架橋物質は、ジアクリル酸テトラ(エチレングリコール)、ジアクリル酸トリ(エチレングリコール)、ジアクリル酸エチレングリコール、ジアクリル酸ジ(エチレングリコール)、ジメタクリル酸グリセロール、(メタ)アクリル酸アリル、N,N’−メチレンビス(メタ)アクリルアミド、N,N’−エチレンビス(メタ)アクリルアミド、N,N’−ジヒドロキシエチレンビス(メタ)アクリルアミド、又はこれらの組合せである。
【0115】
ポリマーマトリックスに組み入れられる生物活性剤は、眼の病気を防止するか、又は眼の病気の症状を軽減させることができる任意の化合物である。この生物活性剤は、薬剤、アミノ酸(例えば、タウリン、グリシンなど)、ポリペプチド、タンパク質、核酸、又はこれらの任意の組合せであってよい。本明細書で有用な薬剤の例は、特に限定されないが、レバミピド、ケトチフェン、オラプチジン(olaptidine)、クロモグリコレート(cromoglycolate)、シクロスポリン、ネドクロミル、レボカバスチン、ロドキサミド、ケトチフェン、又は薬学的に許容しうるこれらの塩若しくはエステルを包含する。生物活性剤の他の例は、2−ピロリドン−5−カルボン酸(PCA)、α−ヒドロキシル酸(例えば、グリコール酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、マンデル酸及びクエン酸、並びにこれらの塩など)、リノール酸及びγ−リノール酸、並びにビタミン類(例えば、B5、A、B6など)を包含する。
【0116】
浸出性潤滑剤の例は、特に限定されないが、ムチン様物質(例えば、ポリグリコール酸)及び非架橋性親水性ポリマー(即ち、エチレン型不飽和基を持たない)を包含する。
【0117】
エチレン型不飽和基を持たない任意の親水性ポリマー又はコポリマーは、浸出性潤滑剤として使用することができる。非架橋性親水性ポリマーの好ましい例は、特に限定されないが、ポリビニルアルコール類(PVAs)、ポリアミド類、ポリイミド類、ポリラクトン、ビニルラクタムのホモポリマー、1種以上の親水性ビニルコモノマーの存在下若しくは非存在下での少なくとも1種のビニルラクタムのコポリマー、アクリルアミド若しくはメタクリルアミドのホモポリマー、アクリルアミド若しくはメタクリルアミドと1種以上の親水性ビニルモノマーとのコポリマー、ポリエチレンオキシド(即ち、ポリエチレングリコール(PEG))、ポリオキシエチレン誘導体、ポリ−N,N−ジメチルアクリルアミド、ポリアクリル酸、ポリ(2−エチル−オキサゾリン)、ヘパリン多糖類、多糖類、及びこれらの混合物を包含する。非架橋性親水性ポリマーの重量平均分子量M
Wは、好ましくは5,000〜500,000、更に好ましくは10,000〜300,000、更になお好ましくは20,000〜100,000である。
【0118】
浸出性涙液安定化剤の例は、特に限定されないが、リン脂質、モノグリセリド、ジグリセリド、トリグリセリド、糖脂質、グリセロ糖脂質、スフィンゴ脂質、スフィンゴ−糖脂質、脂肪アルコール、脂肪酸、鉱油、及びこれらの混合物を包含する。好ましくは、涙液安定化剤は、リン脂質、モノグリセリド、ジグリセリド、トリグリセリド、糖脂質、グリセロ糖脂質、スフィンゴ脂質、スフィンゴ−糖脂質、8〜36個の炭素原子を有する脂肪酸、8〜36個の炭素原子を有する脂肪アルコール、又はこれらの混合物である。
【0119】
コンタクトレンズを製造するためのレンズ成形用型は、当業者には周知であり、例えば、注型又は回転成形に利用される。例えば、成形用型(注型用)は一般に、少なくとも2個の成形用型片(又は成形用型部分)又は半分の成形用型、即ち、第1及び第2の半分の成形用型を含む。第1の半分の成形用型は、第1の成形(又は光学)面を規定し、そして第2の半分の成形用型は、第2の成形(又は光学)面を規定する。第1及び第2の半分の成形用型は、レンズ形成空洞が第1の成形面と第2の成形面の間に形成されるよう相互に受けとめるように形状が決められている。半分の成形用型の成形面は、成形用型の空洞形成面であり、直接レンズ形成材料に接している。
【0120】
コンタクトレンズを注型するための成形用型片を製造する方法は一般に、当該分野で通常の技能を持つ者には周知である。本発明のプロセスは、成形用型を形成するどの特定の方法にも限定されない。実際、成形用型を形成する任意の方法を本発明に利用することができる。第1及び第2の半分の成形用型は、射出成形又は旋盤加工のような、種々の手法を介して形成することができる。半分の成形用型を形成するのに適切なプロセスの例は、米国特許第4,444,711号(
Schad);4,460,534号(
Boehm et al.);5,843,346号(
Morrill);及び5,894,002号(
Boneberger et al.)に開示されており、これらも引用例として本明細書に取り込まれる。
【0121】
当該分野において成形用型製造用に知られている事実上全ての材料は、コンタクトレンズ製造用の成形用型を製造するために使用することができる。例えば、ポリマー材料、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、PMMA、Topas(登録商標)COC grade 8007-S10(エチレンとノルボルネンとの透明な無定形コポリマー、Ticona GmbH of Frankfurt, Germany及びSummit, New Jersey製)などを使用することができる。石英ガラス及びサファイアのような、UV光透過可能な他の材料を使用してもよい。
【0122】
好ましい実施態様において、再利用可能な成形用型が使用され、レンズ形成組成物は、化学線の空間的制限下で化学線硬化(即ち、重合)させることにより、シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズを形成する。好ましい再利用可能な成形用型の例は、1994年7月14日出願の米国特許出願番号08/274,942、2003年12月10日出願の10/732,566、2003年11月25日出願の10/721,913及び米国特許第6,627,124号(これらの全体が引用例として本明細書に取り込まれる)に開示されるものである。再利用可能な成形用型は、石英ガラス、サファイア、CaF
2、環状オレフィンコポリマー[例えば、Topas(登録商標)COC grade 8007-S10(エチレンとノルボルネンとの透明な無定形コポリマー)(Ticona GmbH of Frankfurt, Germany及びSummit, New Jersey製);Zeonex(登録商標)及びZeonor(登録商標)(Zeon Chemicals LP, Louisville, KY製)など]、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ポリオキシメチレン(DuPont (Delrin)製)、Ultem(登録商標)(ポリエーテルイミド)(G.E. Plastics製)、PrimoSpire(登録商標)などから製造することができる。
【0123】
本発明では、レンズ形成組成物は、任意の既知の方法により成形用型で形成される空洞に導入(分注)することができる。
【0124】
レンズ形成組成物を成形用型に分注した後、これを重合することによりコンタクトレンズを作り出す。架橋は、熱又は化学線により、好ましくは成形用型内のレンズ形成組成物を空間的に制限した化学線に曝露させることにより、レンズ形成組成物中の重合しうる成分を架橋することによって開始することができる。
【0125】
レンズ形成組成物が、重合しうるUV吸収剤(即ち、UV吸収部分含有ビニルモノマー)を含む場合、本発明では光開始剤としてベンゾイルホスフィンオキシド光開始剤を好ましくは使用する。好ましいベンゾイルホスフィンオキシド光開始剤は、特に限定されないが、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド;ビス(2,6−ジクロロベンゾイル)−4−N−プロピルフェニルホスフィンオキシド;及びビス(2,6−ジクロロベンゾイル)−4−N−ブチルフェニルホスフィンオキシドを包含する。当然のことながら、ベンゾイルホスフィンオキシド開始剤以外の任意の光開始剤を本発明に使用することができる。
【0126】
成形用型の型開きは、成形品が成形用型から取り外せるように、それ自体既知のやり方で行ってよい。
【0127】
成形コンタクトレンズは、レンズ抽出に付すことにより、非重合の重合しうる成分を除去することができる。抽出溶媒は、当業者に知られている任意の溶媒であってよい。適切な抽出溶媒の例は、上記のものである。抽出後、レンズは水又は湿潤剤(例えば、親水性ポリマー)の水溶液中で水和することができる。
【0128】
成形コンタクトレンズは更に、例えば、表面処理(例えば、プラズマ処理、化学処理、レンズの表面への親水性モノマー又はマクロマーのグラフト、LbL(Layer-by-layer)コーティングなど);パッケージング溶液[約0.005%〜約5重量%の湿潤剤(例えば、上記の親水性ポリマー)及び/又は粘度増強剤(例えば、メチルセルロース(MC)、エチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、又はこれらの混合物)を含有することができる]でのレンズパックへのパッケージング;滅菌などのような更なるプロセスに付すことができる。
【0129】
本発明のコンタクトレンズは、好ましくは少なくとも約40barrer、更に好ましくは少なくとも約55barrer、更になお好ましくは少なくとも約70barrerの酸素透過度を有する。本発明では、酸素透過度は、実施例に記載される手順による見かけの(例えば、約100ミクロンの厚さで試料を試験したとき直接測定される)酸素透過度である。
【0130】
本発明のコンタクトレンズは、約0.1MPa〜約2.0MPa、好ましくは約0.2MPa〜約1.5MPa、更に好ましくは約0.3MPa〜約1.2MPa、更になお好ましくは約0.4MPa〜約1.0MPaの弾性係数を有する。
【0131】
本発明のコンタクトレンズは更に、好ましくは少なくとも約1.0×10
−5mm
2/分、更に好ましくは少なくとも約2.0×10
−5mm
2/分、更になお好ましくは少なくとも約6.0×10
−5mm
2/分のイオノフラックス拡散係数を有する。
【0132】
本発明のコンタクトレンズは更に、完全に水和すると、好ましくは約15%〜約55%、更に好ましくは約20%〜約38重量%の含水率を有する。シリコーンハイドロゲルコンタクトレンズの含水率は、US 5,849,811に開示されるBulk Techniqueにより測定することができる。
【0133】
前記の開示により、当業者であれば本発明を実施することができよう。読者が、具体的実施態様及びその利点をより深く理解することができるように、以下の限定されない例への言及が示唆される。しかし、以下の実施例は、本発明の範囲を限定するものと読みとるべきではない。
【0134】
特定の用語、装置、及び方法を用いて種々の本発明の実施態様が記述されているが、このような記述は、専ら例証を目的とする。使用される言葉は、限定の言葉というよりは記述の言葉である。当然のことながら、当業者であれば、以下の請求の範囲に明記される本発明の本質又は範囲から逸することなく、変更及び変化を加えることができよう。更に、当然のことながら、種々の実施態様の態様は、全体に又は部分的に入れ替えることができるか、あるいは任意のやり方で組合せるか、かつ/又は一緒に利用することができる。したがって、添付の請求の範囲の本質及び範囲は、本明細書に含まれる好ましい型の記述に限定してはならない。
【0135】
実施例1
酸素透過度測定
レンズの見かけの酸素透過度及びレンズ材料の酸素伝達率は、米国特許第5,760,100号及びWintertonら(The Cornea: Transactions of the World Congress on the Cornea 111 , H. D. Cavanagh Ed., Raven Press: New York 1988, pp273-280)の論文に記載されるもの(これらは両方ともその全体が引用例として本明細書に取り込まれる)と同様の手法により測定する。酸素フラックス(J)は、Dk1000装置(Applied Design and Development Co., Norcross, GAから入手できる)、又は同様の分析装置を用いて、ウェットセル(即ち、ガス流が約100%相対湿度に維持される)中で34℃で測定する。既知の百分率の酸素(例えば、21%)を有する空気流は、約10〜20cm
3/分の速度でレンズの片側を通過させ、一方、窒素流は、約10〜20cm
3/分の速度でレンズの反対側に通す。試料は、試験媒体(即ち、生理食塩水又は蒸留水)中で所定の試験温度で測定前に少なくとも30分間(しかし45分間を超えない)平衡化させる。被覆層として使用される任意の試験媒体は、所定の試験温度で測定前に少なくとも30分間(しかし45分間を超えない)平衡化させる。撹拌モーターの速度は、ステッピングモーター制御器での400±15の表示設定に対応する、1200±50rpmにセットする。系を囲む気圧、P
測定値を測定する。試験用に曝露される領域におけるレンズの厚さ(t)は、MitotoyaマイクロメーターVL-50、又は同様の装置で約10箇所を測定し、そして測定値を平均することにより求める。窒素流中の酸素濃度(即ち、レンズを通じて拡散する酸素)は、DK1000装置を用いて測定する。レンズ材料の見かけの酸素透過度、Dk
appは、下記式から求める:
Dk
app=Jt/(P
酸素)
(式中、
J=酸素フラックス[マイクロリットルO
2/cm
2−分]
P
酸素=(P
測定値−P
水蒸気)=(空気流中O
2%)[mmHg]=空気流中の酸素の分圧
P
測定値=気圧(mmHg)
P
水蒸気=34℃で0mmHg(ドライセル中)(mmHg)
P
水蒸気=34℃で40mmHg(ウェットセル中)(mmHg)
t=曝露される試験領域におけるレンズの平均厚さ(mm)
Dk
appは、barrerの単位で表される)。
【0136】
材料の見かけの酸素伝達率(Dk/t)は、見かけの酸素透過度(Dk
app)をレンズの平均厚さ(t)で割ることにより算出できる。
【0137】
上記の測定値は、酸素フラックス測定中のコンタクトレンズの頂点での水又は生理食塩水浴の使用に起因する、いわゆる境界層効果について補正していない。境界層効果によって、シリコーンヒドロゲル材料の見かけのDkの報告値(Dk
app)は、実際の固有Dk値(Dk
i)よりも低くなる。更に、境界層効果の相対的インパクトは、厚いレンズよりも薄いレンズでより大きい。正味の効果は、報告Dkが、一定のままであるべき時にレンズ厚さの関数として変化するように見えることである。
【0138】
レンズの固有Dk値は、以下のとおり境界層効果に起因する酸素フラックスに対する表面抵抗について補正したDk値に基づいて推定することができる。
【0139】
対照のロトラフィルコンA(lotrafilcon A)(Focus(登録商標)N&D(登録商標)、CIBA VISION CORPORATION製)又はロトラフィルコンB(lotrafilcon B)(AirOptix(商標)、CIBA VISION CORPORATION製)レンズの見かけの酸素透過度値(一点)を同じ装置を用いて測定する。対照レンズは、試験レンズと同様の屈折力のものであり、試験レンズと同時に測定する。
【0140】
上記の見かけのDk測定のための手順によるのと同じ装置を用いて、一連の厚さのロトラフィルコンA又はロトラフィルコンB(対照)レンズによる酸素フラックスを測定することによって、対照レンズの固有Dk値(Dk
i)を得る。一連の厚さは、大体100μm又はそれ以上の厚さ範囲をカバーすべきである。好ましくは、対照レンズの厚さの範囲は、試験レンズの厚さを間に挟む。これらの対照レンズのDk
appは、試験レンズと同じ装置で測定しなければならず、理想的には試験レンズと同時に測定すべきである。装置の設定及び測定パラメーターは、実験の間中ずっと一定を保持すべきである。個々の試料は、必要に応じて複数回測定してもよい。
【0141】
対照レンズの結果から方程式(1)を用いて計算で残存酸素抵抗値R
rを求める。
【0142】
【数1】
式中、tは測定下の対照レンズの厚さであり、そしてnは測定した対照レンズの数である。残存酸素抵抗値R
rをtデータに対してプロットして、式:Y=a+bX(ここで、j番目のレンズでは、Y
j=(ΔP/J)
jであり、そしてX=t
jである)の曲線に当てはめる。残存酸素抵抗、R
rは、aに等しい。
【0143】
上で求めた残存酸素抵抗値を使用することにより、方程式(2)に基づいて試験レンズの正しい酸素透過度Dk
c(推定固有Dk)を算出する。
Dk
c = t/[(t/Dk
a)−R
r] (2)
【0144】
試験レンズの推定固有Dkは、見かけのDk(Dk
a_std)が、同じ試験環境で標準的厚さのレンズではどうであるかを方程式(3)に基づいて算出するために使用することができる。
Dk
a_std = t
std/[(t
std/Dk
c)+R
r_std] (3)
【0145】
イオン透過性測定。 レンズのイオン透過性は、米国特許第5,760,100号(その全体が引用例として本明細書に取り込まれる)に記載された手順により測定する。以下の実施例に報告されるイオン透過性の値は、対照材料としてのレンズ材料、Alsaconに関して相対的なイオノフラックス拡散係数(D/D
ref)である。Alsaconは、0.314×10
−3mm
2/分のイオノフラックス拡散係数を有する。
【0146】
水接触角(WCA)測定。 水接触角(WCA)測定は、Kruess GmbH, Germany製のDSA 10液滴形状分析システムでの液滴法により純水(Fluka、20℃で表面張力72.5mN/m)で実施する。測定目的には、コンタクトレンズをピンセットで保存液から取り出し、穏やかな振盪により過剰な保存液を除去する。コンタクトレンズをレンズ成形用型の雄部に置き、乾いた清浄な布で穏やかに吸い取る。水滴(約1μl)を次にレンズ頂点に載せて、この水滴の接触角の経時変化(WCA(t)、円周フィッティングモード)をモニターする。WCAは、グラフWCA(t)のt=0への外挿により算出する。
【0147】
実施例2
OH基を持つCE−PDMS(CE−PDMS−(OH)x)の合成
ペンダントヒドロキシル基を持つ鎖延長ポリジメチルシロキサン架橋剤は、以下の反応スキームにより調製する。
【0148】
【化8】
【0149】
PDMSジアクリルアミド52.48g(32.8meq)に相当する、ヘキサン中のα,ω−ビス(アクリルアミドプロピル)末端ポリジメチルシロキサン(1,600g/mol)の溶液(86.6%)60.70gを、ヘキサン/2−プロパノール(50/50、v/v)250mLに加える(溶液A)。ジチオスレイトール(3.90g、25.3meq)をヘキサン/2−プロパノール(50:50、v/v)250mLに溶解する(溶液B)。溶液A及び溶液Bは、氷浴中の1Lの三つ口丸底フラスコ(これは、撹拌棒及び冷却器を取り付け、200mL/分の流量で窒素下に保持する)内で合わせる。次にエタノール中の0.5N KOH 20mLをこの混合物に加える。温度が40℃に達したら、この反応液を40℃で8時間維持する。室温に冷却後、溶液の1%を集めて、ヨウ素滴定により残留−SHを検査したが、残留−SHは検出されなかった。次にこの溶液を酢酸1mLで酸性にして、追加のヘキサン250mLと一緒に分液ロートに移す。20v%の2−プロパノール水溶液1000mLで最初の抽出を実施する。ヘキサン更に200mL及び2−プロパノール150mLを加えて、相分離を進める。25v%の2−プロパノール水溶液500mLで更に2回の抽出を実施する。ヘキサン相を集めて、MgSO
4 10gで1時間乾燥する。MgSO
4を濾過により除去後、溶液を(≒)113gまで濃縮する。溶液の総重量は114.397gであり、このCE−PDMS−(OH)x溶液の固形分は48.2%である。収率は約97%である。二重結合含量は0.185meq/gである。
【0150】
実施例3
COOH基を持つCEPDMS(CE−PDMS−(COOH)y)の合成
ペンダントカルボキシル基を持つ鎖延長ポリジメチルシロキサン架橋剤は、以下の反応スキームにより調製する。
【0151】
【化9】
【0152】
実施例2で調製したヘキサン中のCEPDMS−(OH)x溶液(54.0%)84.90gを500mL丸底フラスコに加え、続いてピリジン45gを加える。次にこの溶液をロータリーエバポレーター(rota-vap)により91.00gまで濃縮する(溶液A)。別のフラスコに、無水コハク酸(8.27g)を加え、続いてピリジン100gを加える(溶液B)。20mLバイアルで、4−N,N’−ジメチルアミノピリジン1.01gをピリジン10mLに溶解する(溶液C)。溶液B及び溶液Cを溶液Aに添加後、ピリジン更に100gを仕込む。この混合物を低速の空気流((≒)150mL/分)下で60℃で4時間加熱する。反応後、混合物の色は非常に明るい褐色に変わる。反応液をRTに冷却後、DI水50mLを加え、続いて60分間撹拌する。次にこの反応溶液を1L分液ロートに移し、次いでヘキサン400mL、2−プロパノール100mL及びDI水250mLと混合する。穏やかな振盪後、ゆっくり相を分離する。水相を除去して、有機相は、25v%の2−プロパノール水溶液中の0.25N HCl 200mLで水相が酸性になるまで4〜5回洗浄する。最後の洗浄後、有機相を集めて、MgSO
4 10gで1時間乾燥する。MgSO
4を濾過により除去後、溶液を100gまで濃縮し、次に1−プロパノール50gで希釈する。この溶液を78.28gまで濃縮する。1−PrOH中59.49%の固形分に基づいて、収率は93%である。COOH含量は0.766meq/gである。
【0153】
実施例4
ペンダントジェファーミン(Jeffamine)鎖を持つ親水性PDMS
ペンダントポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールブロックコポリマー鎖を持つ鎖延長ポリジメチルシロキサン架橋剤は、以下の反応スキームにより調製する。
【0154】
【化10】
【0155】
250mL丸底フラスコに、実施例3で調製したPDMS−(COOH)y 10g((≒)7.66meq COOH)、N−ヒドロキシスクシンイミド(NHS)0.98gを加え、続いてジクロロメタン50g及びTHF 5mlの混合物を加える。この溶液を充分に撹拌する。氷浴を用いて溶液を冷却後、ジクロロメタン5mLに溶解したN,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)1.58g(7.66meq)を加える。反応は0℃で約5分間実施して、氷浴なしで約2時間続ける。1μm孔径の濾紙により溶液を氷浴中の250mL丸底フラスコに濾過した後、ジクロロメタン10g中のモノ−アミン、モノ−メチル末端ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールブロックコポリマー、ジェファーミン2070(15g、7.1meq)の溶液を添加ロートを介して1時間以内に滴下により加える。反応は室温で20時間続ける。溶媒の大部分を除去後、溶液を希釈するためにメタノール80mLを加える。この希釈溶液を次に透析管(MWCO、3,500ダルトン)に移して、溶媒を3回交換しながらメタノール2L中で2日間透析に付す。透析管中の溶液を250ml丸底フラスコに移して、ロータリーエバポレーター(rota-vap)を介して35℃で溶媒を除去し、そして高真空(25℃で5mbar)により残留溶媒の更なる除去を達成した。68%の収率で最終生成物17gを得る。平均分子量(Mn)は、PDMSを標準物質として用いるGPCに基づいて21,958g/molであり、一方出発PDMSは、16,061g/molのGPC測定Mnを有する。
【0156】
実施例5
ペンダントジェファーミン及びアルキル鎖を持つ親水性PDMS(実施例D)
250ml丸底フラスコに、実施例3で調製したPDMS−(COOH)y 5.9g((≒)4.52meqのCOOH)、NHS 0.88gを加え、続いてジクロロメタン50g及びTHF 5mLの混合物を加える。この溶液を充分に撹拌する。氷浴を用いて溶液を冷却後、ジクロロメタン5mL中のDCC 1.58g(7.66meq)を加える。反応は0℃で約5分間実施して、氷浴なしで約2時間続ける。1μm孔径の濾紙により溶液を氷浴中の250mL丸底フラスコに濾過した後、ジクロロメタン10g中のモノ−アミン、モノ−メチル末端ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールブロックコポリマー、ジェファーミン2070(5.1g、2.55meq)及び1−ドデシルアミン(0.95g、5.11meq)の溶液を添加ロートを介して1時間以内に滴下により加える。反応は室温で約20時間続ける。溶媒の大部分を除去後、溶液を希釈するためにメタノール80mLを加える。この希釈溶液を次に透析管(MWCO、3,500ダルトン)に移して、溶媒を3回交換しながらメタノール2L中で2日間透析に付す。透析管中の溶液を250ml丸底フラスコに移して、ロータリーエバポレーター(rota-vap)を介して35℃で溶媒を除去し、そして高真空(25℃で5mbar)により残留溶媒の更なる除去を達成する。48%の収率で最終生成物5.7gを得る。
【0157】
実施例6
ペンダントジェファーミン及びフッ素化アルキル鎖を持つ親水性PDMS
250ml丸底フラスコに、実施例3で調製したPDMS−(COOH)y 10g((≒)7.66meqのCOOH)、NHS 0.88gを加え、続いてジクロロメタン50g及びTHF 5mLの混合物を加える。この溶液を充分に撹拌する。氷浴を用いて溶液を冷却後、ジクロロメタン5mL中のDCC 1.58g(7.66meq)を加える。反応は0℃で約5分間実施して、氷浴なしで2時間続ける。1μm孔径の濾紙により溶液を氷浴中の250mL丸底フラスコに濾過した後、ジクロロメタン10g中のジェファーミン2070(5.1g、2.55meq)及び2,2,2−トリフルオロエチルアミン(0.46g、5.11meq)の溶液を添加ロートを介して1時間以内に滴下により加える。反応は室温で約20時間続ける。溶媒の大部分を除去後、溶液を希釈するためにメタノール80mLを加える。この希釈溶液を次に透析管(MWCO、3,500ダルトン)に移して、溶媒を3回交換しながらメタノール2L中で2日間透析に付す。透析管中の溶液を250ml丸底フラスコに移して、ロータリーエバポレーター(rota-vap)を介して35℃で溶媒を除去し、そして高真空(25℃で5mbar)により残留溶媒の更なる除去を達成する。81%の収率で最終生成物12.6gを得る。最終ポリマー中の二重結合含量は0.1233meq/gである。
【0158】
実施例7
レンズ配合物及びレンズ注型
以下の表に示す組成を持つ種々のレンズ配合物を調製する。混合物の均質化は、一晩のローラーでの回転により達成する。レンズ配合物は、UV光(5.8mW/cm
2)下でポリプロピレンプラスチック成形用型に5分間入れる。成形用型からレンズを取り出した後、コンタクトレンズをメチルエチルケトンで約5分間抽出し、続いてDI水で約5分間抽出する。レンズをガラスバイアル中のPBSに保存して、120℃で30分間オートクレーブにかける。
【0159】
【表1】
注記:DMA:N,N−ジメチルアクリルアミド;MBA:メチレンビスアクリルアミド;BA:アクリル酸ブチル;Tris:トリス(トリメチルシロキシ)プロピルアクリルアミド;DC-1173:Darocur 1173;WBUT:レンズをPBS生理食塩水から取り出してから水膜が壊れるまでの間の水ブレイクアップ時間;WBUT=0++:レンズ周辺部にドライスポットがありレンズ中央部は湿潤なままである;WBUT=0+:レンズ周辺部にドライスポットがあり、レンズ表面上にドライスポットが散在し、そして表面の大部分は湿潤なままである;レンズの混濁の採点:0−透明、目に見える混濁なし、1−辛うじて目に見える、見るには本当に目を凝らす必要がある、2−わずかに目に見える、簡単には見えない、3−目に見える、簡単に見える、4−わずかに不透明、ほぼ白色(混濁)、及び5−不透明、まさに白色、透明でない。