特許第5784155号(P5784155)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5784155
(24)【登録日】2015年7月31日
(45)【発行日】2015年9月24日
(54)【発明の名称】車両シート用調節手段
(51)【国際特許分類】
   B60N 2/22 20060101AFI20150907BHJP
   B60N 2/44 20060101ALI20150907BHJP
【FI】
   B60N2/22
   B60N2/44
【請求項の数】7
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2013-557007(P2013-557007)
(86)(22)【出願日】2012年3月8日
(65)【公表番号】特表2014-507335(P2014-507335A)
(43)【公表日】2014年3月27日
(86)【国際出願番号】EP2012001032
(87)【国際公開番号】WO2012123084
(87)【国際公開日】20120920
【審査請求日】2013年11月6日
(31)【優先権主張番号】102011013723.8
(32)【優先日】2011年3月11日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】502156098
【氏名又は名称】ジョンソン・コントロールズ・ゲー・エム・ベー・ハー
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【弁理士】
【氏名又は名称】原 裕子
(72)【発明者】
【氏名】キルバハラン、 アルベルト レジナルド
(72)【発明者】
【氏名】メドベジ、 アンドレイ
(72)【発明者】
【氏名】ミアズ、 エドゥアルド
【審査官】 植前 津子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−045082(JP,A)
【文献】 特開2000−102440(JP,A)
【文献】 特開2004−237019(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0072802(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60N 2/00−2/72
A47C 1/024−1/027
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
座部と背もたれとを有する車両シート用の調節手段(1)であって、前記調節手段は、前記座部に対する前記背もたれの傾斜角度を変更し、且つ前記座部に接続された座部取り付け部品(6)と前記背もたれに接続される背もたれ取り付け部品(3)とを有し、前記取り付け部品(3,6)は前記座部に対する前記背もたれの調節範囲を制限する止め具(4a,4b,5a,5b)を備え、前記調節範囲が調節可能に設けられ
少なくとも1つの止め具(4a,4b)が取り外すことができるように設けられ、
前記少なくとも1つの止め具(4a,4b)は第1停止面及び第2停止面(4.5,4.6)を有する、調節手段。
【請求項2】
前記少なくとも1つの止め具(4a,4b)は2つの異なる制限領域(4.1,4.2)を有する請求項に記載の調節手段。
【請求項3】
前記止め具(4a,4b)は締結手段(7)によっ前記取り付け部品(3,6)に配置される請求項1又は2に記載の調節手段。
【請求項4】
前記止め具(4a,4b)は回転不可能であるように前記取り付け部品(3,6)に配置される請求項1からのいずれか1項に記載の調節手段。
【請求項5】
前記取り付け部品(3,6)に突起(8)が設けられ、前記突起が回転防止止め具として前記止め具のくぼみ及び/又は凹部(4.4)と協働する請求項に記載の調節手段。
【請求項6】
請求項1からのいずれか1項に記載の調節手段の調節範囲を調節するための方法であって、1つの止め具(4a,4b)が異なる止め具で置き換えられるか、又は別の位置で装着される方法。
【請求項7】
前記止め具が取り外され、180°回転されて再び取り付けられる請求項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、座部及び背もたれを有する車両シート用の調節手段であって、座部に対する背もたれの傾斜角度を変更し、座部に接続された座部取り付け部品と、背もたれに接続された背もたれ取り付け部品とを有し、座部に対する背もたれの調節範囲を制限する止め具が取り付け部品に設けられている調節手段に関する。
【背景技術】
【0002】
このような調節手段は、先行技術から知られている。前記調節手段は座部と背もたれとの間に配置され、その結果、例えば快適性及び/又は進入容易性の目的で、背もたれを座部に対して回転させることができる。理論的には、前記調節手段は360°の調節範囲を有するが、一般的には、車内の条件によって制限されざるを得ない。したがって、多くの場合、1列目の座席の調節範囲を後ろの列の座席と異なるように選択することが好都合である。また、各背もたれの前方の調節範囲は、多くの場合、後方の調節範囲と異なるように意図されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
したがって、簡単にそれぞれの所望の調節範囲に適合させることができる調節手段を提供することが本発明の目的であった。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この目的は、座部及び背もたれを有する車両シートの調節手段であって、前記調節手段は座部に対する背もたれの傾斜角度を変更し、且つ、座部に接続された座部取り付け部品と、背もたれに接続された背もたれ取り付け部品とを有し、座部に対する背もたれの調節範囲を制限する止め具が取り付け部品に設けられ、調節範囲が調節可能に設けられている調節手段によって達成される。
【0005】
本発明は、調節手段、例えばリクライナ、特にそれによって背もたれの傾きが座部に対して調節され得るタンブリングリクライナに関する。一般に、調節手段は、背もたれに、例えば背もたれの側部に接続された第1取り付け部品と、座部に接続された第2取り付け部品とを有する。当業者であれば、取り付け部品の少なくとも一方が背もたれフレーム及び/又は座部フレームの一部であり得ることが分かる。
【0006】
本発明のこの主題に関する実施形態は、本発明の他の主題にも同様に適用され、その逆も同様である。
【0007】
本発明によれば、少なくとも1つの止め具が一方又は両方の取り付け部品に設けられ、前記止め具は背もたれが所望の調節範囲を超えて調節されることを防止する。本発明によれば、この調節範囲は調節可能に設けられている。結果として、調節範囲は遡及的に変更されることができ、且つ/又は調節範囲はそれぞれの車両シートに適合させることができる。例えば、車両シートは複数の車種に提供されることができ、異なる車種の調節範囲は少なくとも部分的に可変であることができ、且つ/又は第1シート列及び後ろのシート列の車両シートは、同一構造であるが異なる調節範囲が設けられている。
【0008】
本発明のさらなる主題又は好ましい主題によれば、少なくとも一方の止め具、しかしながら好ましくは両方の止め具は、背もたれの調節範囲を変更するために、止め具が置き換え及び/又はその位置を変更され得るように、取り外すことができるように設けられている。
【0009】
本発明のこの主題に関する実施形態は、本発明の他の主題にも同様に適用され、その逆も同様である。
【0010】
好ましくは、止め具は取り付け部品にボルトで取り付けられる。
【0011】
本発明のさらなる主題又は好ましい主題によれば、少なくとも1つの止め具は第1停止面と第2停止面とを有する。前記停止面は、任意で、他方の取り付け部品に設けられた止め具に係合させることができる。結果として、所望の調節範囲を変更することができる。
【0012】
本発明のこの主題に関する実施形態は、本発明の他の主題にも同様に適用され、その逆も同様である。
【0013】
本発明のさらなる主題又は好ましい主題によれば、少なくとも1つの止め具は、2つの異なる制限領域を有する。前記異なる制限領域は、任意で、他方の取り付け部品に設けられた止め具に係合させることができる。結果として、所望の調節範囲を変更することができる。
【0014】
本発明のこの主題に関する実施形態は、本発明の他の主題にも同様に適用され、その逆も同様である。
【0015】
以下の実施形態は、本発明の全ての主題に等しく適用される。
【0016】
好ましくは、止め具は締結手段によって、特にボルトによって取り付け部品に配置される。
【0017】
好ましい実施形態によれば、止め具は回転不能であるように取り付け部品に配置される。
【0018】
好ましくは、取り付け部品に突起が設けられ、前記突起は、回転防止止め具として止め具上のくぼみ及び/又は凹部と協働する。
【0019】
本発明のさらなる主題は、調節手段、特に上述した発明の又は好ましい調節手段の調節範囲を調節するための方法であり、この方法では、車両シートの調節手段の調節範囲を変更するために、1つの止め具が異なる止め具で置換されるか又は同じ止め具が異なる位置に取り付けられる。
【0020】
本発明のこの主題に関する実施形態は、本発明の他の主題にも同様に適用され、その逆も同様である。
【0021】
好ましくは、止め具は取り外され、180°回転されて再び取り付けられる。
【0022】
好ましくは、前記止め具は調節手段の背もたれ取り付け部品に可逆的に取り付けられる。
【0023】
本発明を、図1〜7を用いて以下に説明する。前記説明は、単に例として提供されるのみで、包括的な発明概念を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】第1調節範囲を有する本発明に係る調節手段を示す。
図2】異なる調節範囲を有する図1に係る調節手段を示す。
図3図1及び2に係る調節手段の分解図を示す。
図4】止め具を示す。
図5】第1調節範囲を有する2つの止め具を示す。
図6】第2調節範囲を有する2つの止め具を示す。
図7】背もたれ取り付け部品の詳細を示す。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1は、本発明に係る調節手段1、この場合いわゆるリクライナを示す。前記リクライナは、背もたれの側部2に接続された背もたれ取り付け部品3を備える。前記背もたれ取り付け部品3は、座部取り付け部品6上で回転可能であるように設けられる。前記座部取り付け部品は2つの止め具5a,5bを有し、2つの止め具は、背もたれ取り付け部品及びひいては背もたれの回転運動を制限し、好ましくは座部取り付け部品と一体に設けられる。前記止め具5a,5bは、背もたれの調節角度が制限されるように、いずれの場合にも止め具4b,4aと協働する。図1に係る配置において、前方及び後方回転のための止め具4a,4bの制限領域は変更可能であるように設けられ、このことは図6を参照してより詳細に説明される。止め具4a,4bは、いずれの場合にもそれらを取り外すことができる方法で背もたれ取り付け部品に配置され、この場合はボルトによって締結されている。
【0026】
図2は、実質的に図1に係る調節手段を示しているが、この場合、止め具4a,4bは、前方及び/又は後方移動を同じ角度、この場合それぞれ10°に制限しており、このことは図5を参照してより詳細に説明される。
【0027】
図3は、図2に係る調節手段の分解図を示す。止め具4a,4bがボルトを用いて背もたれ取り付け部品3に配置され、前記背もたれ取り付け部品が今度は特に材料接続によって背もたれ側部2に配置されることがはっきりと見える。取り付け部品3,6は、調節手段の回転機構(図示せず)を用いて互いに接続される。
【0028】
図4は、止め具4a,4bの詳細を示す。前記止め具は、締結手段7、例えばボルト7が貫通する穴4.3を有し、止め具4a,4bはこの穴によって背もたれ取り付け部品3に締結されることができる。止め具4a,4bが荷重下で回転するのを防止するために、前記止め具は回転防止止め具4.4、この場合には凹部を有し、この凹部に、例えば、背もたれ取り付け部品から形成されたタブが係合する。止め具4a,4bは、2つの制限領域、すなわち、20°制限領域4.1と、10°制限領域4.2とを有する。制限領域4.1は、背もたれ取り付け部品の回転角度を20°減少させ、制限領域4.2は背もたれの回転を10°減少させる。両方の領域4.1,4.2には、いずれの場合にも第1停止部4.5が設けられ、止め具5a,5bは前記停止部に当接し、結果として背もたれの回転/調節を制限する。回転軸9を中心に止め具4a,4bを回転させることにより、それぞれ所望の制限領域が止め具5a,5bに係合されることができる。結果として、1つの構成要素4a,4bを用いて、必要に応じて2つの異なる調節範囲を設定することができる。当業者であれば、それぞれの調節範囲を変更するために、止め具はまた鉛直軸を中心に回転され得ることが分かる。潜在的に、回転防止止め具は、異なる方法で提供されなければならない。したがって、異なる調節範囲を実現することができ、且つ/又は調節範囲を非常に簡単な方法で1つの調節手段によって変更することができる。当業者であれば、止め具を用いて、全部で4つの異なる調節オプション/調節範囲、すなわち、背もたれの前方に向けた回転のための2つの異なる調節オプションと、背もたれの後方に向けた回転のための2つの調節オプションとが提供されることが分かる。両方の止め具4a,4bは、好ましくは、その製造コストを低減する同一構造のものである。好ましくは、いずれの場合にも、止め具4は両方の領域4.1,4.2に第2停止部4.6を有する。第2停止部4.6は、例えば、好ましくは固定的に設けられた径方向突起11a、11b(図5参照)に支持されることができる。その結果、特に締結手段7及び任意の回転防止止め具4.4,8の荷重が低減される。
【0029】
図5は、図2に係る制限状態を示す。この場合、止め具4は、いずれの場合にも、前方及び後方回転の両方が10°制限されるように取り付けられ、止め具4bは背もたれの後方回転の制限を担当し、止め具4aは背もたれの前方回転の制限を担当する。
【0030】
図6は、実質的に図5に係る配置を示し、この場合、止め具4bは、今度は制限領域20°が止め具5bと協働するように、その軸線9を中心に回転され、すなわち、背もたれの後方回転がその前方回転よりも大幅に制限される。
【0031】
図7は背もたれ取り付け部品3の詳細を示す。前記背もたれ取り付け部品は、ボルトが挿通され、好ましくはねじ込まれる2つの穴及び/又は成形部分10を有し、その結果、取り付け部品4a,4bは、取り外すことができる方法で、背もたれ取り付け部品に締結される。背もたれ取り付け部品は穴を通るタブ8を備え、前記タブは、いずれの場合にも、取り付け部品4の凹部4.4に係合し、結果として、取り付け部品が取り付けられた状態で意図せず回転するのを防止する。
【0032】
好ましくは両方の止め具4と協働するバネ手段によって、それぞれの止め具4は、タブ8との係合状態に保持されることができ、且つ/又はノイズの発生を防止することができる。
【符号の説明】
【0033】
1 調節手段、リクライナ
2 背もたれ側部
3 背もたれ取り付け部品
4a,4b 止め具
4.1 制限領域、20°制限
4.2 制限領域、10°制限
4.3 穴
4.4 回転防止止め具、くぼみ、凹部
4.5 第1停止面
4.6 第2停止面
5a,5b 座部取り付け部品の止め具
6 座部取り付け部品
7 締結手段、ボルト
8 凹部、突起、回転防止止め具
9 回転軸
10 ネジ
11a 支持部、支持用タブ
11b 支持部、支持用タブ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7