特許第5784160号(P5784160)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5784160荷役作業割当システムおよび荷役作業割当方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5784160
(24)【登録日】2015年7月31日
(45)【発行日】2015年9月24日
(54)【発明の名称】荷役作業割当システムおよび荷役作業割当方法
(51)【国際特許分類】
   B66F 9/24 20060101AFI20150907BHJP
   B65G 1/137 20060101ALI20150907BHJP
【FI】
   B66F9/24 Z
   B65G1/137 A
【請求項の数】4
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2014-17051(P2014-17051)
(22)【出願日】2014年1月31日
(65)【公開番号】特開2015-143146(P2015-143146A)
(43)【公開日】2015年8月6日
【審査請求日】2014年1月31日
(73)【特許権者】
【識別番号】000232807
【氏名又は名称】ニチユ三菱フォークリフト株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000475
【氏名又は名称】特許業務法人みのり特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】安井 頼人
【審査官】 筑波 茂樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−019129(JP,A)
【文献】 特開2005−145578(JP,A)
【文献】 特開2005−001845(JP,A)
【文献】 特開平04−094304(JP,A)
【文献】 特開平03−217967(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66F 9/24
B65G 1/137
G06Q 10/06, 10/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フォークリフトに支持されるパレットに荷物を積む作業を含む荷役作業を複数の作業者に対して割り当てる荷役作業割当システムであって、
荷物の重量に係る情報を記憶する重量情報記憶部と、
荷物の寸法に係る情報を記憶する寸法情報記憶部と、
前記荷役作業における荷物の取り扱いに要する時間を示す作業時間に係る情報を記憶する作業時間情報記憶部と、
パレットに積載可能な荷物の上限寸法を示す最大積載寸法に係る情報を記憶する最大積載寸法情報記憶部と、
前記荷物の重量に係る情報と、前記作業時間に係る情報と、前記荷物の寸法に係る情報と、前記最大積載寸法に係る情報とに基づいて、前記荷役作業を前記作業者に対して割り当てる作業割当部と、
前記作業割当部と無線通信を介して接続されるとともに、前記作業割当部による前記荷役作業の割り当て結果を前記作業者に対して提示する作業内容提示部とを備え
前記作業割当部は、前記荷物の重量に係る情報と、前記作業時間に係る情報とに基づいて、所定時間当たりにおいて前記作業者が取り扱う荷物の重量を示す作業者負荷が平準化されるように、複数の前記作業者に対して前記荷役作業を割り当て、
さらに、前記作業割当部は、前記荷役作業を前記作業者に対して割り当てた後、前記荷物の寸法に係る情報と、前記最大積載寸法に係る情報とに基づいて、荷積み場所から荷降ろし場所に荷物を移動する回数を示すピッキング回数を前記作業者毎に算出するとともに、前記ピッキング回数に偏りがあると判断したとき、前記ピッキング回数が均等化されるように前記荷役作業を再割り当てする
ことを特徴とする荷役作業割当システム。
【請求項2】
前記作業割当部は、前記作業時間に係る情報と、前記作業者が作業可能な時間を示す作業可能時間に係る情報とに基づいて、前記作業者の一人に対して割り当てられる複数の前記荷役作業に係る前記作業時間の合計が前記作業可能時間を超えないように前記荷役作業を前記作業者に対して割り当てる
ことを特徴とする請求項1に記載の荷役作業割当システム。
【請求項3】
前記作業内容提示部は、前記フォークリフトに設けられた作業者用端末装置であり、
前記作業者用端末装置は、前記作業割当部による前記荷役作業の割り当て結果を無線で受信し、前記作業者に対して割り当てられた前記荷役作業の内容を表示する
ことを特徴とする請求項1または2に記載の荷役作業割当システム。
【請求項4】
フォークリフトに支持されるパレットに荷物を積む作業を含む荷役作業を複数の作業者に対して割り当てる荷役作業割当方法であって、
荷物の重量に係る情報と、荷物の寸法に係る情報と、前記荷役作業において荷物の取り扱いに要する時間を示す作業時間に係る情報と、前記パレットに積載可能な荷物の上限寸法を示す最大積載寸法に係る情報とを、管理者用端末装置に入力し、
作業者用端末装置と無線通信を介して接続される作業割当部が、前記荷物の重量に係る情報と、前記作業時間に係る情報とに基づいて、所定時間当たりにおいて前記作業者が取り扱う荷物の重量を示す作業者負荷が平準化されるように、複数の前記作業者に対して前記荷役作業を割り当て、
さらに、前記作業割当部が、前記荷役作業を前記作業者に対して割り当てた後、前記荷物の寸法に係る情報と、前記最大積載寸法に係る情報とに基づいて、荷積み場所から荷降ろし場所に荷物を移動する回数を示すピッキング回数を前記作業者毎に算出するとともに、前記ピッキング回数に偏りがあると判断したとき、前記ピッキング回数が均等化されるように前記荷役作業を再割り当てする
ことを特徴とする荷役作業割当方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、荷物の積み降ろしに係る作業である複数の荷役作業を複数の作業者に対して割り当てる荷役作業割当システムおよび荷役作業割当方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ピッキング用フォークリフトを用いて行われる荷役作業において、ピッキング用フォークリフトのオペレータは、荷物を取り扱う作業者として、フォークに支持されたパレットに荷物を積んだり、パレットから荷物を降ろしたりする。このような荷役作業において、複数のフォークリフトを用いて複数の荷役作業を協調して行うために、管理者用端末装置において、複数の荷役作業を複数のオペレータに対して分配すること、すなわち複数の荷役作業を複数の作業者に対して割り当てることが行われている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1には、荷物の数量と所定の条件とに基づいて、荷役作業を行うために使用する荷役手段としてパレット用フォークリフトまたはピッキング用フォークリフトを選択し、選択したフォークリフトに対応する端末機に荷役指令を配信する荷役指令配信システムが記載されている。また、特許文献1には、荷役手段の選択について、例えば、荷物の出庫数量または入庫数量が、所定の条件として設定されている10個以下の場合には、荷役手段としてピッキング用フォークリフトを選択し、11個以上の場合には、荷役手段としてパレット用フォークリフトを選択することが記載されている。
【0004】
また、特許文献1には、各フォークリフトによって行った入出庫作業の作業量に基づいて荷役手段を選択することが記載されている。特許文献1に記載される作業量とは、入出庫作業の累積作業回数と、入出庫した荷物の累積入出庫数量を意味する。入出庫作業の作業量に基づいて荷役手段を選択する場合には、例えば、パレット用フォークリフトの累積作業回数がピッキング用フォークリフトの累積作業回数より少ない場合、または、パレット用フォークリフトの累積入出庫数量がピッキング用フォークリフトの累積入出庫数量より少ない場合は、パレット用フォークリフトの方がピッキング用フォークリフトより作業量が多くないと判定し、荷役手段としてパレット用フォークリフトが選択される。一方、例えば、パレット用フォークリフトの累積作業回数がピッキング用フォークリフトの累積作業回数より多く、パレット用フォークリフトの累積入出庫数量がピッキング用フォークリフトの累積入出庫数量より多い場合は、パレット用フォークリフトの方がピッキング用フォークリフトより作業量が多いと判定し、荷役手段としてピッキング用フォークリフトが選択される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−1845号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1に記載の荷役作業の割り当てにおいては、複数の作業者の荷役作業に係る負荷を平準化(均等化)することができないという問題がある。例えば、荷物の出庫数量または入庫数量が10個以下の場合において荷役手段として特定のフォークリフトが選択される構成においては、出庫数量または入庫数量が10個以下である荷役作業が多い場合には、特定のフォークリフトが荷役手段として選択されることにより、荷役作業が特定のフォークリフトを操作するオペレータに対して偏って割り当てられる。このため、特定のフォークリフトを操作するオペレータには、他のフォークリフトを操作するオペレータに比べて大きな負荷がかかるという問題がある。また、例えば、各フォークリフトの入出庫作業の累積作業回数または入出庫した荷物の累積入出庫数量に基づいてフォークリフトが選択される構成においては、荷役作業が特定のフォークリフトを操作するオペレータに対して偏って割り当てられないようにすることができるものの、あるフォークリフトのオペレータは重い荷物ばかりを取り扱い、他のフォークリフトのオペレータは軽い荷物ばかりを取り扱うことになる可能性がある。このため、重い荷物ばかりを取り扱うオペレータには、軽い荷物ばかりを取り扱うオペレータに比べて大きな負荷がかかるという問題がある。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、複数の作業者の荷役作業に係る負荷を平準化することが可能な荷役作業割当システムおよび荷役作業割当方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の荷役作業割当システムは、フォークリフトに支持されるパレットに荷物を積む作業を含む荷役作業を複数の作業者に対して割り当てる荷役作業割当システムであって、荷物の重量に係る情報を記憶する重量情報記憶部と、荷物の寸法に係る情報を記憶する寸法情報記憶部と、前記荷役作業における荷物の取り扱いに要する時間を示す作業時間に係る情報を記憶する作業時間情報記憶部と、パレットに積載可能な荷物の上限寸法を示す最大積載寸法に係る情報を記憶する最大積載寸法情報記憶部と、前記荷物の重量に係る情報と、前記作業時間に係る情報と、前記荷物の寸法に係る情報と、前記最大積載寸法に係る情報とに基づいて、前記荷役作業を前記作業者に対して割り当てる作業割当部と、前記作業割当部と無線通信を介して接続されるとともに、前記作業割当部による前記荷役作業の割り当て結果を前記作業者に対して提示する作業内容提示部とを備え、前記作業割当部は、前記荷物の重量に係る情報と、前記作業時間に係る情報とに基づいて、所定時間当たりにおいて前記作業者が取り扱う荷物の重量を示す作業者負荷が平準化されるように、複数の前記作業者に対して前記荷役作業を割り当て、さらに、前記作業割当部は、前記荷役作業を前記作業者に対して割り当てた後、前記荷物の寸法に係る情報と、前記最大積載寸法に係る情報とに基づいて、荷積み場所から荷降ろし場所に荷物を移動する回数を示すピッキング回数を前記作業者毎に算出するとともに、前記ピッキング回数に偏りがあると判断したとき、前記ピッキング回数が均等化されるように前記荷役作業を再割り当てすることを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載の荷役作業割当システムは、請求項1に記載の荷役作業割当システムにおいて、前記作業割当部は、前記作業時間に係る情報と、前記作業者が作業可能な時間を示す作業可能時間に係る情報とに基づいて、前記作業者の一人に対して割り当てられる複数の前記荷役作業に係る前記作業時間の合計が前記作業可能時間を超えないように前記荷役作業を前記作業者に対して割り当てることを特徴とする。
【0010】
請求項3に記載の荷役作業割当システムは、請求項1または2に記載の荷役作業割当システムにおいて、前記作業内容提示部は、前記フォークリフトに設けられた作業者用端末装置であり、前記作業者用端末装置は、前記作業割当部による前記荷役作業の割り当て結果を無線で受信し、前記作業者に対して割り当てられた前記荷役作業の内容を表示することを特徴とする。
【0011】
上記課題を解決するため、請求項4に記載の荷役作業割当方法は、フォークリフトに支持されるパレットに荷物を積む作業を含む荷役作業を複数の作業者に対して割り当てる荷役作業割当方法であって、荷物の重量に係る情報と、荷物の寸法に係る情報と、前記荷役作業において荷物の取り扱いに要する時間を示す作業時間に係る情報と、前記パレットに積載可能な荷物の上限寸法を示す最大積載寸法に係る情報とを、管理者用端末装置に入力し、作業者用端末装置と無線通信を介して接続される作業割当部が、前記荷物の重量に係る情報と、前記作業時間に係る情報とに基づいて、所定時間当たりにおいて前記作業者が取り扱う荷物の重量を示す作業者負荷が平準化されるように、複数の前記作業者に対して前記荷役作業を割り当て、さらに、前記作業割当部が、前記荷役作業を前記作業者に対して割り当てた後、前記荷物の寸法に係る情報と、前記最大積載寸法に係る情報とに基づいて、荷積み場所から荷降ろし場所に荷物を移動する回数を示すピッキング回数を前記作業者毎に算出するとともに、前記ピッキング回数に偏りがあると判断したとき、前記ピッキング回数が均等化されるように前記荷役作業を再割り当てすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、複数の作業者の荷役作業に係る負荷を平準化することが可能な荷役作業割当システムおよび荷役作業割当方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施形態に係る荷役作業割当システムを簡略化して示す構成図である。
図2】同実施形態に係る管理者用端末装置が実行する荷役作業割当処理の流れを示すフローチャートである。
図3】同実施形態に係る管理者用端末装置が実行する荷役作業割当処理の流れを示すフローチャートである。
図4】(A)はデータベースサーバーに記憶される荷物情報の一例を示す表であり、(B)はデータベースサーバーに記憶される作業者情報の一例を示す表であり、(C)は管理者用端末装置に入力される作業情報の一例を示す表である。
図5】(A)は各荷役作業において取り扱われる荷物の重量と各荷役作業の作業時間および作業負荷の具体例を示す表である。
図6】(A)は作業者に割り当てられた荷役作業の一例を示す表であり、(B)は他の作業者に割り当てられた荷役作業の一例を示す表であり、(C)は各作業者の作業者負荷の具体例を示す表である。
図7】(A)は作業者に割り当てられた荷役作業の一例を示す表であり、(B)は他の作業者に割り当てられた荷役作業の一例を示す表であり、(C)は各作業者の作業者負荷の具体例を示す表である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図面を参照しながら、本発明の一実施形態を説明する。
図1に示すように、荷役作業割当システム1は、少なくとも1つのデータベースサーバー10と、少なくとも1つの管理者用端末装置20と、少なくとも1つのアクセスポイント30と、複数のピッキング用フォークリフト40と、複数の作業者用端末装置50とを含む。荷役作業割当システム1は、荷物(図示略)の積み降ろしに係る作業である複数の荷役作業を複数の作業者Lに対して割り当てる。
【0015】
荷役作業は、ピッキング用フォークリフト40(以下、「フォークリフト40」)に支持されるパレット43に1個以上の荷物を荷積み場所で積む作業、およびフォークリフト40を走行させて当該荷物を荷降ろし場所に運ぶ作業を含む。本実施形態においては、荷役作業は、取り扱う荷物の種類ごとに区切られる。すなわち、1つの荷役作業は、1種類の荷物を1個以上取り扱う作業である。
【0016】
データベースサーバー10(以下、「DBサーバー10」)は、少なくとも下記(情報A)〜(情報E)を記憶することによって、重量情報記憶部、寸法情報記憶部、作業時間情報記憶部、最大積載寸法情報記憶部、および作業可能時間情報記憶部として機能する。
(情報A):荷物の重量に係る情報
(情報B):荷物の寸法に係る情報
(情報C):荷役作業における荷物の取り扱いに要する時間を示す作業時間に係る情報
(情報D):パレット43に積載可能な荷物の上限寸法を示す最大積載寸法に係る情報
(情報E):作業者Lが作業可能な時間を示す作業可能時間に係る情報
【0017】
DBサーバー10は、荷物1個当たりの重量の情報を(情報A)として記憶するとともに、荷物1個当たりのサイズ(縦×横×高さ)の情報を(情報B)として記憶する。また、DBサーバー10は、1個の荷物の取り扱いに要する作業時間の情報を(情報C)として記憶する。作業時間には、作業者Lが荷物を持つ時間だけでなく、フォークリフト40により荷物を運ぶ時間を含むものとする。DBサーバー10は、(情報A)と、(情報B)と、(情報C)と、荷物の識別子に係る情報と、荷物の名称に係る情報と、荷物の在庫数に係る情報と、荷物の保管場所に係る情報とを、荷物ごとに関連付けて記憶する。
【0018】
また、DBサーバー10は、作業者Lが使用するパレット43に応じて予め定められた荷物の上限サイズ(縦上限×横上限×高さ上限)の情報を(情報D)として記憶するとともに、作業者Lに応じて予め定められた作業可能時間の情報を(情報E)として記憶する。荷物の上限サイズは、荷物1個当たりのサイズよりも大きい。DBサーバー10は、(情報D)と、(情報E)と、作業者Lの識別子に係る情報と、作業者Lの名前に係る情報とを、作業者Lごとに関連付けて記憶する。
【0019】
管理者用端末装置20(以下、「端末装置20」)は、例えば汎用性を有するコンピューターにより構成されており、後述する荷役作業割当処理を実行するためのプログラムや情報を記憶する。管理者Mによって操作される端末装置20は、DBサーバー10と通信可能に接続されている。作業割当部として機能する端末装置20は、管理者Mによって入力される情報と、DBサーバー10に記憶されている情報とに基づいて、作業者Lの各々に対応する作業者負荷が平準化されるように荷役作業を複数の作業者Lに対して割り当てる。作業者負荷は、所定時間当たりにおいて作業者Lが取り扱う荷物の重量である。また、端末装置20は、作業者Lに割り当てられる複数の荷役作業に係る作業時間の合計がその作業者Lの作業可能時間を超えないように、荷役作業を作業者Lに割り当てる。端末装置20による荷役作業の割り当て結果は、端末装置20において表示されるとともに、管理者Mの指示に基づいて端末装置20から送信される。
【0020】
アクセスポイント30(以下、「AP30」)は、電波により作業者用端末装置50と無線通信を行う無線機により構成される。AP30は、端末装置20と通信可能に接続されており、端末装置20と作業者用端末装置50との通信を中継する。無線局として機能するAP30は、端末装置20による荷役作業の割り当て結果を電波によって作業者用端末装置50に送信する。
【0021】
フォークリフト40は、昇降可能なフォーク41を備える荷役車両により構成される。各フォークリフト40は、異なる作業者Lによって操作される。フォークリフト40は、フォーク41とともに昇降可能な運転台42を備えている。フォークリフト40は、フォーク41によってパレット43を運転台42とほぼ同じ高さで支持する。
【0022】
作業者用端末装置50(以下、「端末装置50」)は、タッチパネルを備えたタブレット端末により構成される。端末装置50は、各フォークリフト40に設けられており、フォークリフト40のオペレータである作業者Lによって操作される。作業内容提示部として機能する端末装置50は、端末装置20による荷役作業の割り当て結果をAP30から無線で受信し、端末装置20による荷役作業の割り当て結果、すなわち、端末装置50を使用する作業者Lに対して割り当てられた荷役作業の内容を表示する。
【0023】
次に、端末装置20を用いて荷役作業を作業者Lに対して割り当てるために、管理者Mが端末装置20に入力する情報について説明する。
管理者Mは、(情報A)および(情報B)および(情報C)を含む荷物情報として、荷物名の情報、荷物数の情報、荷物1個当たりの重量の情報、荷物1個当たりのサイズの情報、および荷役作業における1個の荷物の取り扱いに要する時間の情報等を端末装置20に入力する。端末装置20に入力された荷物情報は、DBサーバー10に記憶される。荷物情報は、作業者Lによる荷役作業に応じて適宜更新される。具体的には、例えば、荷役作業における1個の荷物の取り扱いに要する時間の情報は、作業者Lからのフィードバックに基づいて適宜更新され、過去の荷役作業において1個の荷物の取り扱いに要した平均時間の情報が、1個の荷物の取り扱いに要する時間の情報としてDBサーバー10に記憶される。
【0024】
また、管理者Mは、(情報D)および(情報E)を含む作業者情報として、作業者名の情報、作業者Lが使用するパレット43に応じた荷物の上限サイズの情報、および作業可能時間の情報等を端末装置20に入力する。端末装置20に入力された作業者情報は、DBサーバー10に記憶される。作業者情報は、必要に応じて更新される。
【0025】
また、管理者Mは、作業者Lに割り当てる複数の荷役作業に係る作業情報として、荷役作業において取り扱われる荷物の識別子の情報、および取り扱われる荷物の個数の情報等を端末装置20に入力する。
【0026】
上記の荷物情報、作業者情報、および作業情報が端末装置20に入力された後、端末装置20は、荷役作業割当処理を実行することにより、DBサーバー10に記憶されている荷物情報および作業者情報と、端末装置20に入力された作業情報とに基づいて、荷役作業を作業者Lに対して割り当てる。
【0027】
図2及び図3を参照して、端末装置20による荷役作業割当処理の流れについて説明する。荷役作業割当処理は、荷物情報および作業者情報がDBサーバー10に記憶されている状態で、複数の作業者Lに割り当てられる複数の荷役作業に係る作業情報が端末装置20へ入力された後に開始される。
【0028】
まず、端末装置20は、作業情報に含まれる荷物の個数の情報と、荷物情報に含まれる荷物1個当たりの重量の情報とに基づいて、各荷役作業において取り扱われる荷物の重量を算出する(ステップS1)。各荷役作業において取り扱われる荷物の重量は、荷物1個当たりの重量と荷物の個数との乗算により算出することが可能である。
【0029】
次いで、端末装置20は、作業情報に含まれる荷物の個数の情報と、荷物情報に含まれる1個の荷物の取り扱いに要する時間の情報とに基づいて、各荷役作業の作業時間を算出する(ステップS2)。各荷役作業の作業時間は、1個の荷物の取り扱いに要する時間と荷物の個数との乗算により算出される。
【0030】
次いで、端末装置20は、荷物情報および作業情報に基づいて、各荷役作業の作業負荷を算出する(ステップS3)。各荷役作業の作業負荷は、ステップS1において算出された重量を、ステップS2において算出された作業時間で割る除算により算出される。
【0031】
次いで、端末装置20は、各荷役作業の作業負荷に基づいて、作業者Lに対して荷役作業を割り当てる(ステップS4)。具体的には、作業負荷の差が小さい荷役作業が1グループを構成するように、作業負荷の大きい荷役作業から順に複数の荷役作業を1以上のグループに分ける。1グループの荷役作業の数を作業者Lの人数とすることによって、1グループの各荷役作業を全ての作業者Lに重複することなく割り当てることができるようにすることが好ましい。次いで、荷役作業を重複することなく作業者Lのいずれか一人に割り当てることをグループごとに繰り返す。あるグループで作業負荷の比較的大きい荷役作業を作業者Lに割り当てた場合は、その次のグループで当該作業者Lには作業負荷の比較的小さい荷役作業を割り当てる。このようにして、ステップS4においては、作業負荷の小さい荷役作業または作業負荷の大きい荷役作業が、特定の作業者Lに対して偏って割り当てられない。
【0032】
次いで、端末装置20は、複数の作業者Lのうちのいずれか一人に割り当てられた複数の荷役作業に係る作業時間の合計が、その作業者Lの作業可能時間を超えているか否かを判断する(ステップS5)。すなわち、このステップS5においては、端末装置20によって、作業者Lごとに各荷役作業の作業時間の合計が算出されるとともに、各荷役作業の作業時間の合計と作業者Lの作業可能時間とが比較される。
【0033】
少なくとも1人の作業者Lについて、その作業者Lに割り当てられた各荷役作業の作業時間の合計が、その作業者Lの作業可能時間を超えているとステップS5において判断された場合、端末装置20は、荷役作業の割り当ての最適化が可能か否かを判断する(ステップS11)。このステップS11において、端末装置20は、下記の(条件A1)と(条件A2)が満たされるとき、荷役作業の割り当ての最適化が可能と判断する。なお、以下の説明において、任意の作業者Lを「作業者X」とし、他の作業者Lを「作業者Y」とし、作業者Xに割り当てられた荷役作業のうちいずれか1つ以上の荷役作業を「荷役作業X」とし、作業者Yに割り当てられた荷役作業のうちいずれか1つ以上の荷役作業を「荷役作業Y」とする。
(条件A1):作業者Xに割り当てられた荷役作業に係る作業時間の合計が、作業者Xの作業可能時間を超えている
(条件A2):荷役作業Xを作業者Yに割り当てた場合に、作業者Yに割り当てられた荷役作業に係る作業時間の合計が作業者Yの作業可能時間を超えない
【0034】
また、(条件A2)が満たされない場合であっても、ステップS11において、端末装置20は、(条件A1)と下記の(条件A3)と(条件A4)とが満たされるとき、荷役作業の割り当ての最適化が可能と判断する。
(条件A3):作業者Yに対する荷役作業Yの割り当てを取り消し、かつ、荷役作業Xを作業者Yに割り当てた場合に、作業者Yに割り当てられた荷役作業に係る作業時間の合計が作業者Yの作業可能時間を超えない
(条件A4):作業者Xに対する荷役作業Xの割り当てを取り消し、かつ、荷役作業Yを作業者Xに割り当てた場合に、作業者Xに割り当てられた荷役作業に係る作業時間の合計が作業者Xの作業可能時間を超えない
【0035】
荷役作業の割り当ての最適化が不可能とステップS11において判断された場合、端末装置20は、作業者Lに対して作業可能時間を超えないように荷役作業を割り当てることができない旨を管理者Mに報知し、荷役作業割当処理を終了する。この場合、管理者Mは、割り当てる荷役作業を減らすための操作等を行った後に荷役作業割当処理を端末装置20に再度行わせることにより、端末装置20を用いて荷役作業を作業者Lに対して割り当てることができる。
【0036】
一方、荷役作業の割り当ての最適化が可能とステップS11において判断された場合、端末装置20は、作業者Lに対して荷役作業を再割り当てする(ステップS12)。具体的には、(条件A1)および(条件A2)を満たすとステップS11において判断された場合には、端末装置20は、作業者Xに対する荷役作業Xの割り当てを取り消すとともに、作業者Yに対して荷役作業Xを割り当てる。また、(条件A1)および(条件A3)および(条件A4)を満たすとステップS11において判断された場合には、端末装置20は、作業者Xに対する荷役作業Xの割り当てを取り消すとともに、作業者Yに対して荷役作業Xを割り当て、さらに、作業者Yに対する荷役作業Yの割り当てを取り消すとともに、作業者Xに対して荷役作業Yを割り当てる。
【0037】
作業者Lに対して荷役作業の再割り当てがステップS12において行われた場合、端末装置20は、ステップS5の処理を再度行う。すなわち、作業者Lに対して作業可能時間を超えないように荷役作業が割り当てられていなければ、ステップS11以降の処理が繰り返される。
【0038】
作業者Lの各々について、作業者Lに割り当てられた各荷役作業の作業時間の合計が、その作業者Lの作業可能時間を超えていないとステップS5において判断された場合、端末装置20は、作業者負荷が十分に平準化されているか否かを判断する(ステップS6)。すなわち、このステップS6においては、端末装置20によって、各作業者Lに対応する作業者負荷と、各作業者負荷の差が算出されるとともに、作業者負荷の差に基づいて、作業者負荷が十分に平準化されているか否かが判断される。作業者負荷は、1人の作業者Lに割り当てられた全ての荷役作業に係る荷物の重量の合計を、それらの荷役作業に係る作業時間の合計で割る除算により算出される。複数の作業者Lのうち任意の2人の作業者負荷の差が所定以上である場合には、作業者負荷が十分に平準化されていないと判断され、任意の2人の作業者負荷の差が所定未満である場合には、作業者負荷が十分に平準化されていると判断される。
【0039】
作業者負荷が十分に平準化されていないとステップS6において判断された場合、端末装置20は、荷役作業の割り当ての最適化が可能か否かを判断する(ステップS21)。このステップS21において、端末装置20は、下記の(条件B1)と(条件B2)と(条件B3)とが満たされるとき、荷役作業の割り当ての最適化が可能と判断する。
(条件B1):作業者Yに対する荷役作業Yの割り当てを取り消し、かつ、荷役作業Xを作業者Yに割り当てた場合に、作業者Yに割り当てられた荷役作業に係る作業時間の合計が作業者Yの作業可能時間を超えない
(条件B2):作業者Xに対する荷役作業Xの割り当てを取り消し、かつ、荷役作業Yを作業者Xに割り当てた場合に、作業者Xに割り当てられた荷役作業に係る作業時間の合計が作業者Xの作業可能時間を超えない
(条件B3):作業者Yに対する荷役作業Yの割り当てを取り消し、かつ、作業者Xに対する荷役作業Xの割り当てを取り消し、かつ、荷役作業Yを作業者Xに割り当て、かつ、荷役作業Xを作業者Yに割り当てた場合に、作業者Xの作業者負荷と作業者Yの作業者負荷との差が小さくなる
【0040】
荷役作業の割り当ての最適化が不可能とステップS21において判断された場合、端末装置20は、複数の作業者Lのうち少なくともいずれか2人の作業者負荷の差が所定以上である旨を管理者Mに報知する。このとき、管理者Mは、作業者負荷をさらに平準化する必要がないと判断する場合には、荷役作業の割り当て結果を送信する旨の指示を端末装置20に入力する。したがって、管理者Mの判断に基づいて端末装置20が荷役作業の割り当て結果を送信した後に、荷役作業割当処理が終了する。また、管理者Mは、作業者負荷をさらに平準化する必要があると判断する場合には、割り当てる荷役作業を変更するための操作等を行った後に荷役作業割当処理を端末装置20に再度行わせることにより、端末装置20を用いて荷役作業を作業者Lに対して割り当て直すことができる。
【0041】
一方、荷役作業の割り当ての最適化が可能とステップS21において判断された場合、端末装置20は、作業者Lに対して荷役作業を再割り当てする(ステップS22)。具体的には、(条件B1)および(条件B2)および(条件B3)を満たすとステップS21において判断された場合には、端末装置20は、作業者Xに対する荷役作業Xの割り当てを取り消すとともに、作業者Yに対して荷役作業Xを割り当て、作業者Yに対する荷役作業Yの割り当てを取り消すとともに、作業者Xに対して荷役作業Yを割り当てる。
【0042】
作業者Lに対して荷役作業の再割り当てがステップS22において行われた場合、端末装置20は、ステップS6の処理を再度行う。すなわち、作業者負荷が十分に平準化されていると判断されなければ、ステップS21以降の処理が繰り返される。
【0043】
作業者負荷が十分に平準化されているとステップS6において判断された場合、端末装置20は、作業者Lのピッキング回数に偏りがあるか否かを判断する(ステップS7)。すなわち、このステップS7においては、端末装置20によって、各作業者Lのピッキング回数と、各ピッキング回数の差が算出されるとともに、ピッキング回数の差に基づいてピッキング回数に偏りがあるか否かが判断される。ピッキング回数は、作業者Lに割り当てられた複数の荷役作業を完了するために当該作業者Lが荷積み場所から荷降ろし場所に荷物を移動する回数を表す。荷物をパレット43に多く積むことができる場合には、ピッキング回数を少なくすることができる。ピッキング回数が少ないとき、作業者Lが荷積み場所から荷降ろし場所に移動する手間が減るため、荷役作業に係る負荷は小さい。ピッキング回数は、荷物1個当たりのサイズの情報と、荷物の上限サイズの情報と、荷物の個数の情報とに基づいて算出される。具体的には、1つ以上の荷物のサイズの合計が上限サイズを超えないことを条件として複数の荷役作業に含まれる荷物をグループに分けたときの、そのグループ数をピッキング回数とする。複数の作業者Lのうち任意の2人のピッキング回数の差が所定以上である場合には、ピッキング回数に偏りがあると判断され、任意の2人のピッキング回数の差が所定未満である場合には、ピッキング回数に偏りがないと判断される。
【0044】
作業者Lのピッキング回数に偏りがあるとステップS7において判断された場合、端末装置20は、荷役作業の割り当ての最適化が可能か否かを判断する(ステップS31)。このステップS31において、端末装置20は、下記の(条件C1)と(条件C2)と(条件C3)とが満たされるとき、荷役作業の割り当ての最適化が可能と判断する。
(条件C1):作業者Yに対する荷役作業Yの割り当てを取り消し、かつ、荷役作業Xを作業者Yに割り当てた場合に、作業者Yに割り当てられた荷役作業に係る作業時間の合計が作業者Yの作業可能時間を超えない
(条件C2):作業者Xに対する荷役作業Xの割り当てを取り消し、かつ、荷役作業Yを作業者Xに割り当てた場合に、作業者Xに割り当てられた荷役作業に係る作業時間の合計が作業者Xの作業可能時間を超えない
(条件C3):作業者Yに対する荷役作業Yの割り当てを取り消し、かつ、作業者Xに対する荷役作業Xの割り当てを取り消し、かつ、荷役作業Yを作業者Xに割り当て、かつ、荷役作業Xを作業者Yに割り当てた場合に、作業者Xのピッキング回数と作業者Yのピッキング回数との差が小さくなり、かつ、作業者Xの作業者負荷と作業者Yの作業者負荷との差が所定未満となる
【0045】
荷役作業の割り当ての最適化が不可能とステップS31において判断された場合、端末装置20は、ピッキング回数に偏りがある旨を管理者Mに報知する。このとき、管理者Mは、ピッキング回数を均等化する必要がないと判断する場合には、荷役作業の割り当て結果を送信する旨の指示を端末装置20に入力する。したがって、管理者Mの判断に基づいて端末装置20が荷役作業の割り当て結果を送信した後に、荷役作業割当処理が終了する。また、管理者Mは、ピッキング回数を均等化する必要があると判断する場合には、割り当てる荷役作業を変更するための操作等を行った後に荷役作業割当処理を端末装置20に再度行わせることにより、端末装置20を用いて荷役作業を作業者Lに対して割り当て直すことができる。
【0046】
一方、荷役作業の割り当ての最適化が可能とステップS31において判断された場合、端末装置20は、作業者Lに対して荷役作業を再割り当てする(ステップS32)。具体的には、(条件C1)および(条件C2)および(条件C3)を満たすとステップS31において判断された場合には、端末装置20は、作業者Xに対する荷役作業Xの割り当てを取り消すとともに、作業者Yに対して荷役作業Xを割り当て、作業者Yに対する荷役作業Yの割り当てを取り消すとともに、作業者Xに対して荷役作業Yを割り当てる。
【0047】
作業者Lに対して荷役作業の再割り当てがステップS32において行われた場合、端末装置20は、ステップS7の処理を再度行う。すなわち、ピッキング回数に偏りがないと判断されなければ、ステップS31以降の処理が繰り返される。
【0048】
ピッキング回数に偏りがないとステップS7において判断された場合、端末装置20は、各作業者Lの荷役作業の割り当てが完了した旨を管理者Mに報知する。そして、管理者Mの指示に基づいて端末装置20が荷役作業の割り当て結果を送信した後に、荷役作業割当処理が終了する。
【0049】
荷役作業割当処理における荷役作業の割り当ての流れについて、具体例を用いて説明する。
DBサーバー10には、図4(A)に示す荷物情報が記憶されており、かつ、図4(B)に示す作業者情報が記憶されていることを前提とする。以下の説明において、種類ごとに各荷物を識別するために、各荷物の種類に対応する識別子であるP1〜P4を荷物の符号として用いるとともに、各作業者Lを識別するために、各作業者Lに対応する識別子であるL1,L2を作業者Lの符号として用いる。
【0050】
端末装置20には、図4(C)に示す作業情報が入力されたものとする。入力された作業情報に含まれる複数の荷役作業には、それぞれの荷役作業に対応する識別子が付与される。以下の説明において、各荷役作業を識別するために、各荷役作業に対応する識別子であるW1〜W4を荷役作業の符号として用いる。
【0051】
端末装置20は、4つの荷役作業W1〜W4を2人の作業者L1,L2に割り当てるために荷役作業割当処理を開始する。端末装置20は、ステップS1の処理を実行することにより、各荷役作業W1〜W4において取り扱われる荷物P1〜P4の重量を算出する。また、端末装置20は、ステップS2の処理を実行することにより、各荷役作業W1〜W4の作業時間を算出する。また、端末装置20は、ステップS3の処理を実行することにより、各荷役作業W1〜W4の作業負荷を算出する。算出された荷物P1〜P4の重量、荷役作業W1〜W4の作業時間、および荷役作業W1〜W4の作業負荷を、図5に表として示す。
【0052】
また、端末装置20は、ステップS4の処理を実行することにより、作業負荷の大きい荷役作業W1,W2,W4,W3から順に4つの荷役作業W1〜W4を2つのグループに分ける。すなわち、荷役作業W1〜W4は、荷役作業W1,W2により構成される第1グループと、荷役作業W4,W3により構成される第2グループとに分けられる。そして、端末装置20は、第1グループでは、作業者L1に荷役作業W1を割り当て、作業者L2に荷役作業W2を割り当てる。このとき、荷役作業W1が割り当てられた作業者L1の作業者負荷は、荷役作業W2が割り当てられた作業者L2の作業者負荷に比べて大きくなる。したがって、次の第2グループでは、端末装置20は、作業者L1に作業負荷の比較的小さい荷役作業W3を割り当て、作業者L2に作業負荷の比較的大きい荷役作業W4を割り当てる。このようにして作業者L1に割り当てられた荷役作業W1,W3に係る情報を、図6(A)に表として示すとともに、作業者L2に割り当てられた荷役作業W2,W4に係る情報を、図6(B)に表として示す。また、荷役作業W1,W3に係る荷物の重量の合計および作業時間の合計と、荷役作業W2,W4に係る荷物の重量の合計および作業時間の合計と、各作業者L1,L2の作業者負荷と、各作業者L1,L2のピッキング回数を、図6(C)に表として示す。5個の荷物P1と1個の荷物P3は、上限サイズを超えることなくパレット43に同時に積むことが可能であるため、作業者L1のピッキング回数は1である。一方、2個の荷物P2と2個の荷物P4は、上限サイズを超えることなくパレット43に同時に積むことが不可能であるため、作業者L2のピッキング回数は4である。
【0053】
端末装置20は、ステップS5において、作業者L1に割り当てられた荷役作業W1,W3に係る作業時間の合計(32分)が作業者L1の作業可能時間(40分)を超えていないと判断し、作業者L2に割り当てられた荷役作業W2,W4に係る作業時間の合計(36分)が作業者L2の作業可能時間(40分)を超えていないと判断する。したがって、本具体例においては、ステップS11,12の処理は実行されない。
【0054】
また、端末装置20は、ステップS6において、作業者L1の作業者負荷(2.5)と作業者L2の作業者負荷(2.5)との差が0であるため、作業者負荷が十分に平準化されていると判断する。したがって、本具体例においては、ステップS21,22の処理は実行されない。
【0055】
本具体例においては、端末装置20は、ステップS7において、作業者L1のピッキング回数(1)と作業者L2のピッキング回数(4)との差(3)が所定以上であって、ピッキング回数に偏りがあると判断する。したがって、本具体例においては、ステップS31の処理が実行される。
【0056】
作業者L2に対する荷役作業W4の割り当てを取り消し、かつ、荷役作業W3を作業者L2に割り当てた場合に、作業者L2に割り当てられた荷役作業W2,W3に係る作業時間の合計(34分)が作業者L2の作業可能時間(40分)を超えない。また、作業者L1に対する荷役作業W3の割り当てを取り消し、かつ、荷役作業W4を作業者L1に割り当てた場合に、作業者L1に割り当てられた荷役作業W1,W4に係る作業時間の合計(34分)が作業者L1の作業可能時間(40分)を超えない。さらに、作業者L2に対する荷役作業W4の割り当てを取り消し、かつ、作業者L1に対する荷役作業W3の割り当てを取り消し、かつ、荷役作業W4を作業者L1に割り当て、かつ、荷役作業W3を作業者L2に割り当てた場合に、作業者L1,L2のピッキング回数の差が小さくなり、かつ、作業者L1,L2の作業者負荷の差が所定未満の0となる。したがって、上記の(条件C1)と(条件C2)と(条件C3)とが満たされるため、端末装置20は、ステップS31において、荷役作業W1〜W4の割り当ての最適化が可能と判断する。
【0057】
端末装置20は、ステップS32の処理を実行することにより、作業者L1に割り当てられた荷役作業W3を、作業者L2に対して割り当て、作業者L2に割り当てられた荷役作業W4を、作業者L1に対して割り当てる。したがって、作業者L1に対する荷役作業W3の割り当てが取り消され、作業者L2に対する荷役作業W4の割り当てが取り消される。このようにして作業者L1に割り当てられた荷役作業W1,W4に係る情報を、図7(A)に表として示すとともに、作業者L2に割り当てられた荷役作業W2,W3に係る情報を、図7(B)に表として示す。また、荷役作業W1,W4に係る荷物の重量の合計および作業時間の合計と、荷役作業W2,W3に係る荷物の重量の合計および作業時間の合計と、各作業者L1,L2の作業者負荷と、各作業者L1,L2のピッキング回数を、図7(C)に表として示す。
【0058】
端末装置20は、ステップS32の処理を行った後、ステップS7の処理を再び実行する。端末装置20は、2回目のステップS7において、作業者L1,L2のピッキング回数の差が0であるため、ピッキング回数に偏りがないと判断し、荷役作業割当処理を終了する。
【0059】
以上のようにして荷役作業W1〜W4が作業者L1,L2に割り当てられることにより、作業者L1に割り当てられる複数の荷役作業W1,W4に係る作業時間の合計は、作業者L1の作業可能時間を超えず、また、作業者L2に割り当てられる複数の荷役作業W2,W3に係る作業時間の合計は、作業者L2の作業可能時間を超えない。さらに、荷役作業W1,W4が割り当てられる作業者L1の作業者負荷と、荷役作業W2,W3が割り当てられた作業者L2の作業者負荷とが平準化(均等化)されている。また、作業者L1,L2のピッキング回数も均等化されている。
【0060】
本実施形態の作用について説明する。
ステップS1〜S4の処理が実行されることにより、荷物の重量に係る情報と作業時間に係る情報とに基づいて作業負荷が算出され、作業負荷に基づいて荷役作業が作業者Lに割り当てられる。また、ステップS11,S12の処理が実行されることにより、作業時間に係る情報と作業可能時間に係る情報とに基づいて荷役作業が作業者Lに割り当てられる。また、ステップS21,S22の処理が実行されることにより、荷物の重量に係る情報と作業時間に係る情報とに基づいて作業者負荷が算出され、ステップS12における荷役作業の割り当て後に、作業者負荷に基づいて荷役作業が作業者Lに割り当てられる。また、ステップS31,S32の処理が実行されることにより、荷物の寸法に係る情報と最大積載寸法に係る情報とに基づいてピッキング回数が算出され、ピッキング回数に基づいて荷役作業が作業者Lに割り当てられる。
【0061】
本実施形態によれば以下の効果が得られる。
(1)荷役作業割当システム1は、荷物の重量に係る情報を記憶する重量情報記憶部(DBサーバー10)と、作業時間に係る情報を記憶する作業時間情報記憶部(DBサーバー10)とを備える。さらに荷役作業割当システム1は、上記の記憶部に記憶された荷物の重量に係る情報と作業時間に係る情報とに基づいて、荷役作業を作業者Lに対して割り当てる作業割当部(端末装置20)と、作業割当部と無線通信を介して接続されるとともに、作業割当部による荷役作業の割り当て結果を作業者Lに対して提示する作業内容提示部(端末装置50)とを備える。この構成によれば、作業割当部は、所定時間当たりにおいて作業者Lの各々が取り扱う荷物の重量を考慮して作業者Lに対して荷役作業を割り当てることができる。このため、所定時間当たりにおいて作業者Lが取り扱う荷物の重量を作業者負荷としたとき、複数の作業者Lの各々の作業者負荷が同じとなるように荷役作業を割り当てることによって、作業者Lの荷役作業に係る負荷を平準化することが可能となる。
【0062】
(2)荷役作業割当システム1は、荷物の寸法に係る情報を記憶する寸法情報記憶部(DBサーバー10)と、パレット43に積載可能な荷物の上限寸法を示す最大積載寸法に係る情報を記憶する最大積載寸法情報記憶部(DBサーバー10)とを備え、作業割当部(端末装置20)は、上記の記憶部に記憶された荷物の寸法に係る情報と最大積載寸法に係る情報とに基づいて、荷役作業を作業者Lに対して割り当てる。この構成によれば、作業割当部は、複数の荷役作業が行われる場合に、パレット43に同時に積める荷物の量を考慮して作業者Lに対して荷役作業を割り当てることができる。このため、複数の作業者Lの各々のピッキング回数が同じとなるように荷役作業を割り当てることによって、作業者Lの荷役作業に係る負荷をより平準化することが可能となる。
【0063】
(3)作業割当部(端末装置20)は、作業時間に係る情報と作業者の作業可能時間に係る情報とに基づいて、作業者Lの一人に対して割り当てられる複数の荷役作業に係る作業時間の合計が、その作業者Lの作業可能時間を超えないように、荷役作業を作業者Lに対して割り当てる。このため、予め設定された作業時間で作業者Lが荷役作業を行うことができれば、作業可能時間内に荷役作業を完了できるように荷役作業を割り当てることが可能である。
【0064】
(4)作業内容提示部は、フォークリフト40に設けられた端末装置50であり、端末装置50は、作業割当部(端末装置20)による荷役作業の割り当て結果を無線で受信し、作業者Lに対して割り当てられた荷役作業の内容を表示する。よって、フォークリフト40を運転するオペレータ(作業者L)は、端末装置50に表示された荷役作業の内容を参照することにより、自分に割り当てられた荷役作業を把握することができる。
【0065】
(5)本実施形態の荷役作業割当方法は、管理者Mが、荷物の重量に係る情報と荷物の寸法に係る情報と作業時間に係る情報と最大積載寸法に係る情報を端末装置20に入力し、端末装置50と無線通信を介して接続される作業割当部(端末装置20)が、入力された荷物の重量に係る情報と作業時間に係る情報と荷物の寸法に係る情報と最大積載寸法に係る情報とに基づいて、荷役作業を作業者Lに対して割り当てる。この構成によれば、作業割当部は、所定時間当たりにおいて作業者Lの各々が取り扱う荷物の重量を考慮して作業者Lに対して荷役作業を割り当てることができる。このため、所定時間当たりにおいて作業者Lが取り扱う荷物の重量を作業者負荷としたとき、複数の作業者Lの各々の作業者負荷が同じとなるように荷役作業を割り当てることによって、作業者Lの荷役作業に係る負荷を平準化することが可能となる。また、作業割当部は、複数の荷役作業が行われる場合に、パレット43に同時に積める荷物の量を考慮して作業者Lに対して荷役作業を割り当てることができる。このため、複数の作業者Lの各々のピッキング回数が同じとなるように荷役作業を割り当てることによって、作業者Lの荷役作業に係る負荷をより平準化することが可能となる。
【0066】
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、上記実施形態の構成を適宜変更することもできる。例えば、上記構成を以下のように変更して実施することもでき、以下の変更を組み合わせて実施することもできる。
【0067】
・荷物の重量に係る情報と、作業時間に係る情報と、荷物の寸法に係る情報と、最大積載寸法に係る情報とに基づいて、荷役作業が作業者に対して割り当てられるのであれば、荷役作業を作業者Lに割り当てるためのアルゴリズムを適宜変更してもよい。例えば、上記実施形態においては作業可能時間を超えないように荷役作業を割り当てるアルゴリズムを採用しているが、作業可能時間を考慮せずに各作業者の作業者負荷が同じになるように荷役作業を割り当てるアルゴリズムを採用することもできる。この場合、ステップS5,S11,S12の処理を省略することができる。
【0068】
・(情報A)〜(情報E)について、それらを示す具体的情報は、上記実施形態に記載される情報に限られない。例えば、上記実施形態においては、荷物の重量に係る情報として荷物1個当たりの重量の情報がDBサーバー10に記憶されているが、荷物の重量に係る情報として、その荷物全部の重量の情報がDBサーバー10に記憶されていてもよい。
【0069】
・重量情報記憶部と寸法情報記憶部と作業時間情報記憶部と最大積載寸法情報記憶部と作業可能時間情報記憶部とが、それぞれ異なるハードウェアにより構成されていてもよい。すなわち、上記実施形態においてはDBサーバー10が各記憶部を兼ねているが、各記憶部を構成する複数のサーバーを設けてもよい。
【0070】
・端末装置20以外のハードウェアによって作業割当部を構成してもよい。すなわち、例えば、DBサーバー10および端末装置20と通信可能に接続されたアプリケーションサーバー(図示略)が、上記の荷役作業割当処理を実行する作業割当部であってもよい。
【0071】
・端末装置20が、重量情報記憶部と寸法情報記憶部と作業時間情報記憶部と最大積載寸法情報記憶部と作業可能時間情報記憶部を兼ねていてもよい。すなわち、上記実施形態においてDBサーバー10に記憶される情報が端末装置20に記憶されていてもよい。この場合、DBサーバー10を設けずに、荷役作業割当システムを構築することができる。
【0072】
・上記具体例においては2人の作業者Lに対して4つの荷役作業W1〜W4を割り当てる処理を行っているが、3人以上の作業者Lに対して4つ未満または5つ以上の荷役作業を割り当てることもできる。
【符号の説明】
【0073】
1 荷役作業割当システム
10 データベースサーバー(重量情報記憶部、寸法情報記憶部、作業時間情報記憶部、最大積載寸法情報記憶部、作業可能時間情報記憶部)
20 管理者用端末装置(作業割当部)
30 アクセスポイント
40 ピッキング用フォークリフト
41 フォーク
42 運転台
43 パレット
50 作業者用端末装置(作業内容提示部)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7