特許第5784168号(P5784168)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5784168
(24)【登録日】2015年7月31日
(45)【発行日】2015年9月24日
(54)【発明の名称】成形品製造装置及び成形品の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 45/14 20060101AFI20150907BHJP
   B29C 45/56 20060101ALI20150907BHJP
   B29C 45/26 20060101ALI20150907BHJP
【FI】
   B29C45/14
   B29C45/56
   B29C45/26
【請求項の数】4
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2014-55447(P2014-55447)
(22)【出願日】2014年3月18日
(65)【公開番号】特開2014-240183(P2014-240183A)
(43)【公開日】2014年12月25日
【審査請求日】2015年1月21日
(31)【優先権主張番号】特願2013-103071(P2013-103071)
(32)【優先日】2013年5月15日
(33)【優先権主張国】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000003458
【氏名又は名称】東芝機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100109830
【弁理士】
【氏名又は名称】福原 淑弘
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100075672
【弁理士】
【氏名又は名称】峰 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100140176
【弁理士】
【氏名又は名称】砂川 克
(74)【代理人】
【識別番号】100158805
【弁理士】
【氏名又は名称】井関 守三
(74)【代理人】
【識別番号】100124394
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 立志
(74)【代理人】
【識別番号】100112807
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 貴志
(74)【代理人】
【識別番号】100111073
【弁理士】
【氏名又は名称】堀内 美保子
(72)【発明者】
【氏名】淺沼 伸行
【審査官】 阿川 寛樹
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第97/027987(WO,A1)
【文献】 特開2002−096349(JP,A)
【文献】 特開平09−055142(JP,A)
【文献】 特開2012−161922(JP,A)
【文献】 特開2001−308121(JP,A)
【文献】 特開2014−201050(JP,A)
【文献】 特開2014−200993(JP,A)
【文献】 特開2000−334769(JP,A)
【文献】 特開2001−223231(JP,A)
【文献】 特開平10−138282(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 45/00−45/84
33/00−33/76
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱可塑性の樹脂材料が含浸されたシート状のプリプレグを加熱する加熱装置と、
前記加熱装置で加熱された前記プリプレグを賦形する、ゲートを有する固定型及び前記固定型に対して移動可能な移動型を有する金型を支持可能に形成された型締装置と、
前記金型内に成形材料を射出する射出装置と、
前記型締装置に支持された前記金型内にインサートされた前記プリプレグに前記ゲートと連続する孔部を形成する穿孔手段と、
を備え、
前記穿孔手段は、前記射出装置で前記成形材料を射出したときの前記成形材料の圧力により、前記金型内にインサートされ、賦形された前記プリプレグに孔部を形成することを特徴とする成形品製造装置。
【請求項2】
熱可塑性の樹脂材料が含浸されたシート状のプリプレグを加熱する加熱装置と、
前記加熱装置で加熱された前記プリプレグを賦形する、ゲートを有する固定型及び前記固定型に対して移動可能な移動型を有する金型を支持可能に形成された型締装置と、
前記金型内に成形材料を射出する射出装置と、
前記型締装置又は前記金型に設けられ、成形後の成形品を押圧可能な突き出しピンと、
前記型締装置に支持された前記金型内にインサートされた前記プリプレグに前記ゲートと連続する孔部を形成する穿孔手段と、
を備え、
前記プリプレグは、熱可塑性の樹脂材料が含浸されたプリプレグであり、
前記突き出しピンは、前記金型内にインサートされた前記プリプレグに孔部を形成する前記穿孔手段であることを特徴とする成形品製造装置。
【請求項3】
熱可塑性の樹脂材料が含浸されたシート状のプリプレグを加熱装置で加熱し、
ゲートを有する固定型、及び、前記固定型に対して移動可能な移動型を備える金型に前記加熱装置で加熱された前記プリプレグをインサートし、
前記金型により、インサートされた前記プリプレグを賦形し、
射出装置により、前記金型内に成形材料を射出するとともに、前記射出装置によって射出された前記成形材料の圧力により前記プリプレグを穿孔する、
ことを特徴とする成形品の製造方法。
【請求項4】
熱可塑性の樹脂材料が含浸されたシート状のプリプレグを加熱装置で加熱し、
ゲートを有する固定型、及び、前記固定型に対して移動可能な移動型を備える金型に前記加熱装置で加熱された前記プリプレグをインサートし、
前記金型により、インサートされた前記プリプレグを賦形し、
成形後の成形品を押圧可能な突き出しピンにより、前記金型で賦形した前記プリプレグを穿孔し、
射出装置により、前記金型内に成形材料を射出する、
ことを特徴とする成形品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート状のインサート部材を用いて成形品を製造する成形品製造装置及び成形品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、金型にシート状のインサート部材をインサートしてプレスすることで、インサート部材を賦形し、成形品を製造する技術が知られている。また、インサート部材を賦形し、さらに、射出成形によってボスやリブ等の成形部を形成する成形品を製造する技術も知られている。
【0003】
また、このようなインサート部材は、例えば、繊維材料から成るプリプレグに熱可塑性の樹脂材料を含浸することによりシート状に形成されており、加熱することで賦形が可能となる。このようなインサート部材の加熱においては、インサート部材を搬送手段上に載置して搬送する搬送装置により、加熱装置及び金型へ搬送する成形品製造装置が知られている。
【0004】
また、貫通する孔部を有する芯材に、芯材の外側全体をスキン材で包み込むように射出成形を行う技術も知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−126526号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した成形品の製造方法では、成形装置にインサートされる前に、トリミング装置等により熱可塑性樹脂を含浸させたプリプレグ(インサート部材)に予め穿孔する必要があり、成形品の製造サイクルが長くなる虞や、製造コストが増大する虞がある。
【0007】
そこで本発明は、容易にシート状のインサート材に射出成形することが可能な成形品製造装置及び成形品の製造方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決し目的を達成するために、本発明の成形品製造装置及び成形品の製造方法は次のように構成されている。
【0009】
本発明の一態様の成形品製造装置は、熱可塑性の樹脂材料が含浸されたシート状のプリプレグを加熱する加熱装置と、前記加熱装置で加熱された前記プリプレグを賦形する、ゲートを有する固定型及び前記固定型に対して移動可能な移動型を有する金型を支持可能に形成された型締装置と、前記金型内に成形材料を射出する射出装置と、前記型締装置に支持された前記金型内にインサートされた前記プリプレグに前記ゲートと連続する孔部を形成する穿孔手段と、を備え、前記穿孔手段は、前記射出装置で前記成形材料を射出したときの前記成形材料の圧力により、前記金型内にインサートされ、賦形された前記プリプレグに孔部を形成する
本発明の一態様の成形品製造装置は、熱可塑性の樹脂材料が含浸されたシート状のプリプレグを加熱する加熱装置と、前記加熱装置で加熱された前記プリプレグを賦形する、ゲートを有する固定型及び前記固定型に対して移動可能な移動型を有する金型を支持可能に形成された型締装置と、前記金型内に成形材料を射出する射出装置と、前記型締装置又は前記金型に設けられ、成形後の成形品を押圧可能な突き出しピンと、前記型締装置に支持された前記金型内にインサートされた前記プリプレグに前記ゲートと連続する孔部を形成する穿孔手段と、を備え、前記プリプレグは、熱可塑性の樹脂材料が含浸されたプリプレグであり、前記突き出しピンは、前記金型内にインサートされた前記プリプレグに孔部を形成する前記穿孔手段である。
【0010】
本発明の一態様の成形品の製造方法は、熱可塑性の樹脂材料が含浸されたシート状のプリプレグを加熱装置で加熱し、ゲートを有する固定型、及び、前記固定型に対して移動可能な移動型を備える金型に前記加熱装置で加熱された前記プリプレグをインサートし、前記金型により、インサートされた前記プリプレグを賦形し、射出装置により、前記金型内に成形材料を射出するとともに、前記射出装置によって射出された前記成形材料の圧力により前記プリプレグを穿孔する。
【0011】
本発明の一態様の成形品の製造方法は、熱可塑性の樹脂材料が含浸されたシート状のプリプレグを加熱装置で加熱し、ゲートを有する固定型、及び、前記固定型に対して移動可能な移動型を備える金型に前記加熱装置で加熱された前記プリプレグをインサートし、前記金型により、インサートされた前記プリプレグを賦形し、成形後の成形品を押圧可能な突き出しピンにより、前記金型で賦形した前記プリプレグを穿孔し、射出装置により、前記金型内に成形材料を射出する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、容易にシート状のインサート材に射出成形することが可能な成形品製造装置及び成形品の製造方法を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の第1の実施形態に係る成形品製造装置の構成を模式的に示す斜視図。
図2】同成形品製造装置に用いられる要部構成であって、成形品の製造工程の構成を模式的に示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(第1の実施形態)
以下、本発明の第1の実施形態に係る成形品製造装置1を、図1及び図2を用いて説明する。
図1は本発明の第1の実施形態に係る成形品製造装置1の構成を模式的に示す斜視図、図2は成形品製造装置1に用いられる要部構成、具体的には金型51及びプリプレグ100の構成であって、成形品の製造の一例を模式的に示す断面図である。
【0015】
図1に示すように、成形品製造装置1は、保管部11と、搬送装置12と、加熱装置13と、金型装置14と、射出装置15と、穿孔手段16と、制御装置19と、を備えている。成形品製造装置1は、工場内等の敷設範囲2に配置されるとともに、金型装置14及び射出装置15がベース3上に配置される。成形品製造装置1は、熱可塑性の樹脂材料が含浸したプリプレグ(インサート部材)100を加熱後に金型装置14により賦形するとともに、射出装置15により射出成形することで成形品を製造可能に形成されている。
【0016】
プリプレグ100は、シート状に形成されている。プリプレグ100は、図1においてはその平面形状を方形状に形成されているが、成形品の形状に賦形するのに適した形状に形成されている。プリプレグ100は、例えば、方形状、三角形状及び楕円形状等や、成形品を形成可能な異形状に形成される。
【0017】
保管部11は、プリプレグ100を複数保管可能に形成されている。保管部11は、例えば、プリプレグ100を縦の姿勢で保管可能に形成されている。なお、保管部11は、例えば、プリプレグ100を横の姿勢で保管するとともに横姿勢から縦姿勢に変更可能に形成されていてもよい。
【0018】
ここで、プリプレグ100の縦姿勢とは、プリプレグ100の主面が略重力方向に沿った姿勢、即ち、上下方向に延設する姿勢、又は、これら姿勢と同等の姿勢である。また、プリプレグ100の横の姿勢とは、プリプレグ100の主面が略水平方向に沿った姿勢、即ち、成形品製造装置1の設置面に沿った姿勢又はこれら姿勢と同等の姿勢である。
【0019】
搬送装置12は、プリプレグ100を縦の姿勢で、プリプレグ100の保管部11から加熱装置13及び金型装置14へ順次搬送可能に形成されている。具体的には、搬送装置12は、チャック装置21と、搬送機構22と、を備えている。
【0020】
チャック装置21は、例えば、搬送機構22に設けられた支持部31と、複数のチャック32と、チャック32を開閉する開閉手段33と、冷却装置34と、を備えている。チャック装置21は、複数のチャック32により、プリプレグ100を複数の位置で挟持可能に形成されている。
【0021】
支持部31は、複数のチャック32を支持可能に形成されている。支持部31は、搬送機構22により移動可能に形成される。チャック32は、開閉手段33により駆動されることで、その先端を開閉可能に形成されている。チャック32は、例えば、互いに近接又は離反することで少なくともその先端が開閉する、対向する二つの爪部32aから構成される。
【0022】
チャック32は、爪部32aの先端間にプリプレグ100の端部が位置した状態で、開閉手段33により閉状態に駆動され、当該閉状態が維持されることで、プリプレグ100を保持可能に形成されている。チャック32は、プリプレグ100を金型51に搬送し、インサートするときに、金型51と干渉しない形状に形成されている。
【0023】
開閉手段33は、チャック32の開閉を行う駆動源であって、例えば、空圧シリンダ等が用いられる。開閉手段33は、制御装置19に信号線Sを介して電気的に接続されている。
【0024】
冷却装置34は、チャック32を冷却可能に形成されている。冷却装置34は、例えば、エアをチャック32に噴射することで、チャック32を冷却可能に形成されている。冷却装置34は、制御装置19に信号線Sを介して電気的に接続されている。
【0025】
冷却装置34は、少なくともチャック32の爪部32aのプリプレグ100に接触する部位及びその周辺部を冷却可能に形成されている。冷却装置34は、支持部31に支持されるか、又は、保管部11にチャック32が移動する前工程でチャック32を冷却可能な位置に配置される。
【0026】
搬送機構22は、チャック装置21のチャック32を保管部11、加熱装置13及び金型装置14へ順次搬送する機構であり、例えば、支持部31をスライド移動可能に形成されている。搬送機構22は、例えばレールや、多関節ロボット等である。搬送機構22は、制御装置19に信号線Sを介して電気的に接続されている。
【0027】
図1に示すように、加熱装置13は、プリプレグ100を加熱可能な、間隔を空けて互いに対向する一対の加熱部41を備えている。一対の加熱部41は、プリプレグ100を加熱する加熱面41aが、プリプレグ100の主面に沿って配置される。
【0028】
即ち、一対の加熱部41は、プリプレグ100と同様に、縦姿勢(例えば、略重力方向に沿って縦長の直方体で)で配置される。一対の加熱部41は、チャック32の爪部32a先端の一部及びチャック32に保持されたプリプレグ100が通過可能な間隔を有して対向する。
【0029】
加熱部41は、それら対向する加熱面41aに、例えば、赤外線ヒータが単数又は複数設けられ、加熱部41間を通過するプリプレグ100を所定の温度に加熱可能に形成されている。なお、ここで、所定の温度とは、プリプレグ100を、金型装置14において賦形可能な温度である。
【0030】
金型装置14は、開閉可能な金型51と、金型51を開閉する型締装置52と、を備えている。型締装置52、又は、型締め装置52及び射出装置15は、成形品を成形する成形装置である。
【0031】
金型51は、固定型53と、移動型54と、を備えている。固定型53は、移動型54と対向する面に、成形品の一部の形状に形成されたキャビティ53aと、キャビティ53aに接続され、射出装置15と対向する面に形成されたゲート53bと、を備えている。また、固定型53は、例えば、配置されたプリプレグ100を固定する位置決めピンを備えている。移動型54は、固定型53に対して移動可能に形成されている。
【0032】
移動型54は、固定型53に対向する面に、成形品の一部の形状に形成されたキャビティ54aを備えている。
【0033】
金型51は、閉状態において、固定型53及び移動型54のキャビティ53a,54aによって、成形品の形状の空間が形成される。
【0034】
型締装置52は、金型51を開閉可能、且つ、型締め可能に形成されている。型締装置52は、例えば、固定盤56と、固定盤56に対して移動可能な移動盤57と、移動盤57を移動させるトグル機構58と、トグル機構58を駆動させる駆動源59と、押出装置80と、を備えている。
【0035】
固定盤56は、固定型53を支持可能に形成されている。移動盤57は、移動型54を支持可能に形成されている。トグル機構58は、駆動源59により駆動されることで、移動盤57を固定盤56に対して進退させる。駆動源59は、トグル機構58を駆動可能に形成されている。駆動源59は、制御装置19に信号線Sを介して電気的に接続されている。
【0036】
押出装置80は、例えば、押出部材81と、押出部材81を駆動させる押出用駆動部82と、を備えている。
【0037】
押出部材81は、例えば、押出プレート83と、押出軸84と、押出盤85と、突き出しピン86と、を備えている。押出プレート83は、移動盤57に対して固定盤56とは反対側に設けられている。押出軸84は、押出プレート83に支持され、移動盤57を貫通し、移動型54の内部まで延びている。
【0038】
押出盤85は、押出軸84の先端部に取り付けられ、移動型54の内部で支持されている。突き出しピン86は、押出盤85に支持され、移動型54を貫通し、移動型54と固定型53の間に露出可能に形成されている。押出プレート83、押出軸84、押出盤85及び突き出しピン86は、互いに一体で移動盤57に対して進退可能である。
【0039】
なお、押出部材81の構成は、上記に限らず、例えば押出プレート83と、この押出プレート83に直接固定された突き出しピン86とで構成されてもよい。また、突き出しピン86を移動型54内に配置し、移動型54の一部あるいは全体を押出盤85で押すように構成してもよい。
【0040】
押出用駆動部82は、制御装置19に信号線Sを介して電気的に接続されている。
【0041】
射出装置15は、例えば、ハウジング61と、シリンダ62と、スクリュ63と、ホッパ64と、移動手段65と、駆動装置66と、シリンダ加熱装置67と、を備えている。射出装置15は、金型装置14の金型51内に成形材料としての樹脂材料を射出することで、型締装置52とともに成形品を成形する成形装置である。
【0042】
ハウジング61は、例えば、シリンダ62、スクリュ63及びホッパ64を支持可能、且つ、内部に駆動装置66を収納可能に形成されている。シリンダ62は、その内部にスクリュ63を収納する。シリンダ62は、その先端に射出ノズル62aを備えている。射出ノズル62aは、金型51に形成されたゲート53bに接続可能に形成されている。スクリュ63は、シリンダ62内で回転可能、且つ、シリンダ62に対して進退可能に形成されている。
【0043】
ホッパ64は、射出成形を行う、溶融される成形材料としての樹脂材料が収容される。ホッパ64は、収容された樹脂材料をシリンダ62内に供給可能に形成されている。
【0044】
移動手段65は、例えば、ベース3上に配置され、固定型53及び固定盤56に向って延設された複数のレール71と、ハウジング61の下部に設けられ、レール71をスライド移動可能な複数のガイド72と、を備えている。移動手段65は、ガイド72がレール71に案内されることで、ハウジング61及びハウジング61に支持された各構成をレール71に沿って金型装置14に対して進退可能に形成される。
【0045】
駆動装置66は、例えば、スクリュ63を回転させる第1駆動装置74と、スクリュ63をシリンダ62に対して進退させる第2駆動装置75と、ハウジング61をレール71に沿って金型装置14に対して進退させる第3駆動装置76と、を備えている。
【0046】
第1駆動装置74は、スクリュ63を回転させることで、ホッパ64から供給された樹脂材料を定量供給可能に形成されている。第1駆動装置74、第2駆動装置75及び第3駆動装置76は、制御装置19に信号線Sを介して電気的に接続されている。
【0047】
シリンダ加熱装置67は、シリンダ62を加熱可能に形成されている。シリンダ加熱装置67は、シリンダ62に装着されている。シリンダ加熱装置67は、シリンダ62を加熱することで、ホッパ64から供給された樹脂材料を溶融可能に形成されている。シリンダ加熱装置67は、制御装置19に信号線Sを介して電気的に接続されている。
【0048】
穿孔手段16は、例えば、射出装置15により構成される。即ち、穿孔手段16は、射出装置15で樹脂材料を射出したときの樹脂材料の圧力により、金型51内で賦形されたプリプレグ100のゲート53bと対向する位置に、固定型53のゲート53bと連続する孔部100aを穿孔可能に形成されている。
【0049】
制御装置19は、搬送装置12、金型装置14及び射出装置15を制御可能に形成されている。具体的には、制御装置19は、搬送機構22を制御することで、チャック32(支持部31)の移動動作を制御可能に形成されている。制御装置19は、開閉手段33を制御することで、チャック32の開閉動作を制御可能に形成されている。制御装置19は、冷却装置34を制御することで、チャック32の冷却を制御可能に形成されている。
【0050】
制御装置19は、駆動源59を制御することで、トグル機構58を駆動し、移動型54の進退動作を制御可能に形成されている。制御装置19は、第1駆動装置74、第2駆動装置75及び第3駆動装置76を制御することで、スクリュ63の回転動作及び進退動作、並びに、ハウジング61の進退動作(射出装置15の進退動作)を制御可能に形成されている。制御装置19は、シリンダ加熱装置67を制御することで、シリンダ62の加熱動作を制御可能に形成されている。
【0051】
また、制御装置19は、押出用駆動部82を制御することで、押出部材81を駆動させ、突き出しピン86の動作を制御可能に形成され、突き出しピン86を移動型54から露出させる(移動型54と固定型53の間に露出させる)ことができる。
【0052】
次に、このように構成された成形品製造装置1を用いて成形品を製造する方法を説明する。
先ず、チャック32を保管部11に移動させるとともに、チャック32を開状態とする。なお、本サイクル前に、プリプレグ100を加熱装置13に搬送した場合には、冷却装置34によりチャック32を冷却する。
【0053】
次に、チャック32をさらに移動させて、プリプレグ100の周縁(縁部、端部)に爪部32aの先端を位置させる。次に、チャック32を閉状態とし、プリプレグ100をチャック32により保持する。次に、チャック32を移動させて、プリプレグ100を一対の加熱部41の間に移動させ、プリプレグ100を所定の温度に加熱し、軟化状態とする。
【0054】
次に、チャック32を移動させて、プリプレグ100を金型51に搬送し、プリプレグ100を金型51の固定型53及び移動型54間(金型51の内部、金型51内)に配置する。このとき、プリプレグ100が所定の位置となるように、プリプレグ100を配置する。
【0055】
次に、トグル機構58を駆動し、移動型54を固定型53に向って移動させる。このとき、プリプレグ100を固定型53に設けられた位置決めピンに固定する。次に、チャック32を開状態としてプリプレグ100の保持を解除し、チャック32を金型51から離反させる。
【0056】
次に、さらにトグル機構58を駆動し、移動型54を固定型53に向って移動させ、金型51を閉状態とする。これにより、プリプレグ100が金型51によりプレスされ、キャビティ53a,54aの形状に賦形される。
【0057】
また、併せて、第3駆動装置76を駆動してハウジング61を移動させ、固定型53に形成されたゲート53bに射出ノズル62aを接続させるとともに、シリンダ62内にホッパ64から供給され溶融された樹脂材料を、ゲート53bを介して金型51内に射出する。
【0058】
なお、このとき、プリプレグ100は、穿孔手段16である、射出装置15で樹脂材料を射出したときの樹脂材料の圧力によって、換言すると樹脂材料によりプリプレグ100に印加される圧力によって孔部100aが形成される。これにより、図2に示すように、キャビティ53a,54a内に樹脂材料が射出され、キャビティ53a,54aの形状に樹脂材料が供給され、賦形されたプリプレグ100と一体に成形される。また、射出時に形成されたプリプレグ100の孔部100aは、射出された樹脂材料が固化するときに当該樹脂材料により閉塞される。
【0059】
次に、成形されたプリプレグ100及び樹脂材料を冷却し、成形品が成形される。次に、移動型54を移動させ、金型51を開状態とし、移動型54に設けられた突き出しピン86により成形品を押圧し、金型51から成形品を取り出す。
【0060】
次に、冷却装置34によりチャック32を冷却し、再びプリプレグ100を加熱装置13に搬送し、以後、同様の工程を繰り返す。これらの工程の繰り返しにより成形品が製造される。
【0061】
このように構成された成形品製造装置1によれば、穿孔手段16によりプリプレグ100は、ゲート53bと連続する孔部100aが形成されることで、金型51内にプリプレグ100が配置されたときに、プリプレグ100の両面がゲート53bと連続する。即ち、加熱装置13で加熱され、金型51内にインサートされたプリプレグ100が軟化状態にあるため、射出装置15で樹脂材料を射出したときの樹脂材料の圧力によってプリプレグ100に孔部100aを形成することができる。換言すると、射出装置15は、プリプレグ100に穿孔可能な射出圧力で樹脂材料を射出可能に形成されており、当該射出圧力で金型51内に樹脂材料を射出することで、当該射出された樹脂材料によりプリプレグ100を穿孔する。
【0062】
これにより、プリプレグ100を金型装置14にインサートする前に、予めプリプレグ100に穴(孔部100a)を穿孔する必要がない。このため、成形品製造装置1によれば、予めプリプレグ100に孔部100aを形成することに起因した成形品の製造サイクルの増大、及び、製造コストの増大を抑制することができる。
【0063】
また、金型51内のキャビティ53a,54aの形状に応じて、プリプレグ100の両面に射出成形による成形部を形成することが可能となり、成形品の形状及び自由度を向上することが可能となる。
【0064】
また、金型51は、プリプレグ100の孔部100aによってプリプレグ100の両面に樹脂材料を供給可能な構成となる。これにより、金型51は、ゲート53bの形状を複雑とすることなく、且つ、ゲート53bを固定型53だけでなく移動型54まで延設させる必要がなく、簡単な構成とすることが可能となる。また、金型51は、ゲート53bの長さを最短とすることが可能となり、射出成形に使用する樹脂材料を低減することが可能となり、製造コストの低減にもなる。
【0065】
また、プリプレグ100の両面に射出成形を行うことが可能となることから、金型51から成形した成形品を取り出す突き出しピン86を移動型54側に設けることが可能となる。即ち、プリプレグ100の移動型54側に射出成形が可能となることから、金型51を開状態としたときに移動型54に成形後の成形品が配置される構成が可能となり、突き出しピン86を移動型54側に配置可能となる。これにより、固定型53にストリッパプレートを設ける構成を避けることが可能となり、設備コストの低減や、ストリッパプレートを設けることによって駆動源59へ高負荷が加わることを防止できる。
【0066】
上述したように本発明の一実施形態に係る成形品製造装置1によれば、穿孔手段16によってゲート53bと連続する孔部100aをプリプレグ100に形成するという簡単な構成で、容易にプリプレグ100に射出成形をすることが可能となる。
【0067】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態に係る成形品製造装置1について、以下説明する。なお、第2の実施形態に係る成形品製造装置1は、上述した第1の実施形態に係る成形品製造装置1と穿孔手段16の構成が異なるだけであり、このため、穿孔手段16の構成以外の説明は省略する。
【0068】
成形品製造装置1に用いられる穿孔手段16は、押出装置80の押出部材81又は移動型54に設けられた突き出しピン86である。例えば、突き出しピン86は、その先端が円錐状に形成される。また、突き出しピン86は、ゲート53bと対向する位置に配置される。穿孔手段16は、金型51内にインサートされた、加熱装置13で加熱されたプリプレグ100を、ゲート53bと対向する位置に穿孔可能に形成されている。
【0069】
このように構成された成形品製造装置1は、加熱装置13で加熱され、金型51内にインサートされたプリプレグ100が軟化状態にあるため、金型51内にプリプレグ100がインサートされた状態で押出部材81を駆動して、突き出しピン86を移動型54から突き出し、射出前に押出部材81を駆動して突き出しピン86を移動型54内、即ち、金型51内に引き戻すことで、プリプレグ100に孔部100aを形成することができる。また、突き出しピン86により形成された孔部100aが小さくても、射出された樹脂材料の圧力により孔部100aを広げることができるため、射出された樹脂材料を容易に移動型54のキャビティ54aの方へ流すことができる。これにより、射出された樹脂材料は、金型51内のプリプレグ100の両面側に供給可能となる。
【0070】
また、成形品製造装置1は、第1の実施形態の成形品製造装置1と同様に、プリプレグ100を金型装置14にインサートする前に、予めプリプレグ100に孔100aを穿孔する必要がない。このため、成形品製造装置1によれば、予めプリプレグ100に孔部100aを形成することに起因した成形品の製造サイクルの増大、及び、製造コストの増大を抑制することができる。
【0071】
上述したように第2の実施形態に係る成形品製造装置1は、第1の実施形態に係る成形品製造装置1と同様に、穿孔手段16によってゲート53bと連続する孔部100aをプリプレグ100に形成するという簡単な構成で、容易にプリプレグ100に射出成形をすることが可能となる。
【0072】
なお、本発明は前記実施の形態に限定されるものではない。例えば、上述した例では、金型51はゲート53bを有する固定型53及び移動型54からなる構成を説明したがこれに限定されない。例えば、金型51は、固定型53にピンによって開閉するバルブゲートを備える構成であってもよい。
【0073】
また、上述した例では、成形品製造装置1は、プリプレグ100にゲート53bと連続する孔部100aを形成する穿孔手段16を射出装置15又は突き出しピン86とする構成を説明したがこれに限定されない。
【0074】
例えば、穿孔手段16は、固定型53に設けられた位置決めピンによりプリプレグ100に穿孔する構成であってもよい。また、穿孔手段16は、固定型53にピンによって開閉するバルブゲートを設け、このバルブゲートのピンによってプリプレグ100に穿孔する構成であってもよい。この場合には、上記に記載の効果の他、金型構造を簡素化することができ、多点ゲートにも対応できるという効果が得られる。
【0075】
また、穿孔手段16は、例えば、プリプレグ100に孔部100aを穿孔可能なトリミング装置であってもよい。このような穿孔手段16は、保管部11に保管する前のプリプレグ100、保管部11から加熱装置13に移動する前のプリプレグ100又は加熱装置13から金型装置14に移動する前のプリプレグ100に孔部100aを形成することが可能となる。この他、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形実施可能である。
以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[1] ゲートを有する固定型及び前記固定型に対して移動可能な移動型を有するシート状のインサート部材を賦形する金型を支持可能に形成された型締装置と、
前記金型内に成形材料を射出する射出装置と、
前記型締装置に支持された前記金型内にインサートされた前記インサート部材に前記ゲートと連続する孔部を形成する穿孔手段と、
を備えることを特徴とする成形品製造装置。
[2] 前記穿孔手段は、前記射出装置で前記成形材料を射出したときの前記成形材料の圧力により、前記金型内にインサートされた前記インサート部材に孔部を形成することを特徴とする[1]に記載の成形品製造装置。
[3] 前記型締装置は、成形後の成形品を押圧可能な突き出しピンを備え、
前記突き出しピンは、前記金型内にインサートされた前記インサート部材に孔部を形成する前記穿孔手段であることを特徴とする[1]に記載の成形品製造装置。
[4] 前記型締装置に支持される前記金型に設けられる、成形後の成形品を押圧可能な突き出しピンを備え、
前記突き出しピンは、前記金型内にインサートされた前記インサート部材に孔部を形成する前記穿孔手段であることを特徴とする[1]に記載の成形品製造装置。
[5] ゲートを有する固定型、及び、前記固定型に対して移動可能な移動型を備える金型にシート状のインサート部材をインサートし、
前記金型により、インサートされた前記インサート部材を賦形し、
射出装置により、前記金型内に成形材料を射出し、
前記射出装置によって射出された前記成形材料の圧力により前記インサート部材を穿孔する、
ことを特徴とする成形品の製造方法。
[6] ゲートを有する固定型、及び、前記固定型に対して移動可能な移動型を備える金型にシート状のインサート部材をインサートし、
前記金型により、インサートされた前記インサート部材を賦形し、
成形後の成形品を押圧可能な突き出しピンにより、前記インサート部材を穿孔し、
射出装置により、前記金型内に成形材料を射出する、
ことを特徴とする成形品の製造方法。
【符号の説明】
【0076】
1…成形品製造装置、2…敷設範囲、3…ベース、11…保管部、12…搬送装置、13…加熱装置、14…金型装置(成形装置)、15…射出装置(成形装置、穿孔手段)、16…穿孔手段、19…制御装置、21…チャック装置、22…搬送機構、31…支持部、32…チャック、32a…爪部、33…開閉手段、34…冷却装置、41…加熱部、41a…加熱面、42…支持部、51…金型、52…型締装置、53…固定型、53a…キャビティ、53b…ゲート、54…移動型、54a…キャビティ、56…固定盤、57…移動盤、58…トグル機構、59…駆動源、61…ハウジング、62…シリンダ、62a…射出ノズル、63…スクリュ、64…ホッパ、65…移動手段、66…駆動装置、67…シリンダ加熱装置、71…レール、72…ガイド、74…第1駆動装置、75…第2駆動装置、76…第3駆動装置、80…押出装置、81…押出部材、82…押出用駆動部、83…押出プレート、84…押出軸、85…押出盤、86…突き出しピン(穿孔手段)、100…プリプレグ(インサート部材)、100a…孔部、S…信号線。
図2
図1