(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
左右一対のストラドルレッグに沿って前後方向に移動可能に設けられたマストを、電動リーチシリンダにより、予め設定されたリーチストロークの前端位置と後端位置との間で移動させるリーチ制御装置であって、
前記リーチストローク内におけるマスト位置を角度に変換して検出し、前記角度に対応した検出信号を出力するマスト位置検出部と、
前記検出信号が予め設定された基準信号から離れるほど前記マストの移動速度が低下するように、前記電動リーチシリンダを制御する制御部と、
を備え、
前記マスト位置検出部は、
前記リーチストローク内にある第1位置から当該第1位置よりも後方にある第2位置までの中間区間において、前記マスト位置を所定の基準角度に変換し、
前記第1位置から前記前端位置までの第1区間において、前記マスト位置を前記前端位置に近づくほど前記基準角度との差が大きくなるような第1可変角度に変換し、
前記第2位置から前記後端位置までの第2区間において、前記マスト位置を前記後端位置に近づくほど前記基準角度との差が大きくなるような第2可変角度に変換し、
前記制御部は、
前記基準角度に対応した検出信号を前記基準信号として予め設定しており、
前記マスト位置検出部は、
前記ストラドルレッグに取り付けられた第1角度変換手段および第2角度変換手段と、
前記マストに取り付けられた角度検出手段と、を含み、
前記角度検出手段は、
前記第1角度変換手段および前記第2角度変換手段に接触して揺動する揺動部材と、
前記揺動部材の揺動角度を前記マスト位置に対応する角度として検出し、前記角度に対応した検出信号を出力する検出部材と、を含み、
前記第1角度変換手段および前記揺動部材により、前記第1区間における前記マスト位置を前記第1可変角度に変換し、前記第2角度変換手段および前記揺動部材により、前記第2区間における前記マスト位置を前記第2可変角度に変換し、
前記揺動部材は、
一端部が前記第1角度変換手段および前記第2角度変換手段に接触して揺動するレバーと、
前記レバーの他端部に設けられた揺動軸と、
前記揺動軸よりも前記レバーの一端部側で前記マストに固定された第1ピンと、
前記第1ピンよりも前記レバーの一端部側で前記レバーに固定された第2ピンと、
前記揺動軸に巻き付いたコイル部と前記第1ピンおよび前記第2ピンを挟み込む一対のアーム部とからなり前記中間区間において前記レバーを中立位置に保持する中立バネと、を含み、
前記検出部材は、
一端部が前記第2ピンに接触して前記レバーとともに揺動するセンサアームと、
前記センサアームの揺動角度を前記マスト位置に対応する角度として検出し、前記角度に対応した検出信号を出力するセンサと、を含む
ことを特徴とするリーチ制御装置。
【背景技術】
【0002】
従来から、左右一対のストラドルレッグに沿って前後方向に移動可能に設けられたマストを、電動リーチシリンダにより、予め設定されたリーチストロークで移動させるリーチ式フォークリフトが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
図6に示すように、電動リーチシリンダ20を備えたリーチ式フォークリフト1Bでは、電動リーチシリンダ20を制御するためのリーチ制御装置200が設けられている。リーチ制御装置200は、リーチストローク内におけるマスト10の位置(以下、マスト位置)を検出して検出信号を出力するマスト位置検出部201と、マスト位置検出部201から出力された検出信号に基づいて電動リーチシリンダ20を制御する制御部202とを備えている。
【0004】
マスト位置検出部201は、マスト10に取り付けられた多回転型ポテンショメータ210およびピニオン220と、ストラドルレッグ3に取り付けられたラック230とを備えている。
図7に示すように、マスト10をリーチストロークの前端位置と後端位置との間で移動させると、ピニオン220が回転しながらマスト10とともにラック230に沿って前後方向に移動し、多回転型ポテンショメータ210がピニオン220の回転数に応じた検出信号を制御部202に出力する。ピニオン220の回転数が多いと検出信号は大きくなり、ピニオン220の回転数が少ないと検出信号は小さくなる。
【0005】
制御部202は、例えば、マイクロプロセッサからなる。制御部202には、ピニオン220の回転数(検出信号の大きさ)とマスト位置との関係に基づいてマスト10の移動速度を制御する制御ソフトウェアが予め記憶されている。この制御ソフトウェアは、マスト10を後端位置から前端位置の手前まで移動させたときのピニオン220の回転数や、マスト10を前端位置から後端位置の手前まで移動させたときのピニオン220の回転数を規定回転数として予め設定しておき、ピニオン220の回転数が規定回転数に達したときにマスト10を減速させるものである。
【0006】
したがって、リーチ式フォークリフト1Bによれば、マスト10を前方向に移動させる場合は、マスト10の移動速度を前端位置の手前で自動的に低下させてマスト10を前端位置でスムーズに停止させることができ、マスト10を後方向に移動させる場合は、マスト10の移動速度を後端位置の手前で自動的に低下させてマスト10を後端位置でスムーズに停止させることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、従来のリーチ制御装置200では、マスト位置検出部201を構成する多回転型ポテンショメータ210、ピニオン220およびラック230といった部品がいずれも高価であるため、リーチ制御装置200のコストアップひいてはリーチ式フォークリフト1Bのコストアップを招くという問題があった。
【0009】
また、一般にリーチ式フォークリフトは、機種によってリーチストロークが異なるので、従来のリーチ制御装置200では、機種に応じてラック230の長さを変更したり、制御部202に記憶されている制御ソフトウェア(主に、ピニオン220の回転数とマスト位置との関係)を変更したりする必要があった。このため、従来のリーチ制御装置200では、量産に向かないという問題があった。
【0010】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであって、その課題とするところは、比較的安価で量産に適したリーチ制御装置および当該装置を備えたリーチ式フォークリフトを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、本発明に係るリーチ制御装置は、左右一対のストラドルレッグに沿って前後方向に移動可能に設けられたマストを、電動リーチシリンダにより、予め設定されたリーチストロークの前端位置と後端位置との間で移動させるリーチ制御装置であって、リーチストローク内におけるマスト位置を角度に変換して検出し、角度に対応した検出信号を出力するマスト位置検出部と、検出信号が予め設定された基準信号から離れるほどマストの移動速度が低下するように、電動リーチシリンダを制御する制御部と、を備え
、
マスト位置検出部は、リーチストローク内にある第1位置から当該第1位置よりも後方にある第2位置までの中間区間において、マスト位置を所定の基準角度に変換し、第1位置から前端位置までの第1区間において、マスト位置を前端位置に近づくほど基準角度との差が大きくなるような第1可変角度に変換し、第2位置から後端位置までの第2区間において、マスト位置を後端位置に近づくほど基準角度との差が大きくなるような第2可変角度に変換し、制御部は、基準角度に対応した検出信号を基準信号として予め設定して
おり、
マスト位置検出部は、ストラドルレッグに取り付けられた第1角度変換手段および第2角度変換手段と、マストに取り付けられた角度検出手段と、を含み、
角度検出手段は、第1角度変換手段および第2角度変換手段に接触して揺動する揺動部材と、揺動部材の揺動角度をマスト位置に対応する角度として検出し、角度に対応した検出信号を出力する検出部材と、を含み、第1角度変換手段および揺動部材により、第1区間におけるマスト位置を第1可変角度に変換し、第2角度変換手段および揺動部材により、第2区間におけるマスト位置を第2可変角度に変換し、
揺動部材は、一端部が第1角度変換手段および第2角度変換手段に接触して揺動するレバーと、レバーの他端部に設けられた揺動軸と、揺動軸よりもレバーの一端部側でマストに固定された第1ピンと、第1ピンよりもレバーの一端部側でレバーに固定された第2ピンと、揺動軸に巻き付いたコイル部と第1ピンおよび第2ピンを挟み込む一対のアーム部とからなり中間区間においてレバーを中立位置に保持する中立バネと、を含み、
検出部材は、一端部が第2ピンに接触してレバーとともに揺動するセンサアームと、センサアームの揺動角度をマスト位置に対応する角度として検出し、角度に対応した検出信号を出力するセンサと、を含むことを特徴とする。
【0013】
上記リーチ制御装置では、第1角度変換手段は、揺動部材が接触する第1接触面を有し、第1接触面は、マストが前端位置に近づくほど第1可変角度と基準角度との差が大きくなるように傾斜していることが好ましい。
【0014】
上記リーチ制御装置では、第2角度変換手段は、揺動部材が接触する第2接触面を有し、第2接触面は、マストが後端位置に近づくほど第2可変角度と基準角度との差が大きくなるように傾斜していることが好ましい。
【0016】
また、上記課題を解決するために、本発明に係るリーチ式フォークリフトは、上記いずれかのリーチ制御装置を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、比較的安価で量産に適したリーチ制御装置および当該装置を備えたリーチ式フォークリフトを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、添付図面を参照して、本発明に係るリーチ制御装置および当該装置を備えたリーチ式フォークリフトの実施形態について説明する。なお、前後、左右および上下の方向は、特に断りのない限り、リーチ式フォークリフトの車両を基準に考えるものとする。さらに、添付図面では、発明の理解を容易にすべく、断面図であっても断面を表していないところや、平面図であっても平面を表していないところがある。
【0020】
図1および
図2に示すように、本実施形態に係るリーチ式フォークリフト1Aは、車両2の前部に設けられた左右一対のストラドルレッグ3と、ストラドルレッグ3に沿って前後方向に移動可能に設けられたマスト10と、マスト10に昇降可能に設けられたリフトブラケット4と、リフトブラケット4に設けられた左右一対のフォーク5と、マスト10を予め設定されたリーチストロークの前端位置と後端位置との間で移動させる電動リーチシリンダ20と、電動リーチシリンダ20を制御するためのリーチ制御装置100とを主に備えている。
【0021】
電動リーチシリンダ20は、車両2の前後方向に伸縮するボールねじ21と、電動機22と、ボールねじ21および電動機22を固定するハウジング23と、ハウジング23の左右に設けられた軸を支持する左右一対の軸受け24とを主に備えている。電動リーチシリンダ20は、車両2の前後方向にのびる垂直面内において、ハウジング23の左右の軸を中心に揺動可能に設けられている。
【0022】
マスト10は、ボールねじ21の先端部分に連結されるとともにストラドルレッグ3に沿って前後方向に移動可能に設けられたリーチキャリッジ11と、リーチキャリッジ11の前部に立設された左右一対のアウタマスト12と、アウタマスト12に沿って上下方向に移動する左右一対のインナマスト13とを主に備えている。
【0023】
リーチ制御装置100は、リーチストロークの前端位置と後端位置との間におけるマスト10の位置(以下、マスト位置)を角度に変換して検出し、当該角度に対応した検出信号を出力するマスト位置検出部101と、検出信号が予め設定された基準信号から離れるほどマスト10の移動速度が低下するように、電動リーチシリンダ20の電動機22を制御する制御部102とを主に備えている。制御部102は、例えば、マイクロプロセッサからなる。
【0024】
マスト位置検出部101は、角度検出手段110と、第1角度変換手段120および第2角度変換手段130とを主に備えている。角度検出手段110は、マスト10の左側面の前部(リーチキャリッジ11の左側面の前部)に取り付けられている。第1角度変換手段120および第2角度変換手段130は、取り付け/取り外しが容易に行える手段(例えば、ねじ止め)により、ストラドルレッグ3の上面に間隔を空けて取り付けられている。
【0025】
図3(A)〜(C)に示すように、角度検出手段110は、レバー111と、揺動軸112と、第1固定部材113aおよび第2固定部材113bと、第1ピン114および第2ピン115と、中立バネ116と、センサアーム117と、センサ118とを主に備えている。レバー111、揺動軸112、第1ピン114、第2ピン115および中立バネ116が、本発明の「揺動部材」に相当し、センサアーム117およびセンサ118が、本発明の「検出部材」に相当する。
【0026】
第1固定部材113aは、車両2の前後方向から見て略L字形状に形成された板状部材であり、マスト10の左側面の前部に取り付けられている。第2固定部材113bは、車両2の左右方向から見て、両端部が第1固定部材113aの底板上面に接触し、かつ中央部が第1固定部材113aの底板上面から離間するように形成された板状部材であり、両端部が第1固定部材113aに取り付けられている。
【0027】
レバー111は、レバー本体111aおよびローラー111bから構成されている。レバー本体111aは、揺動可能に設けられた板状の部材であり、一端部の下側にローラー111bが回転可能に設けられている。レバー本体111aの他端部には、揺動軸112が設けられている。
【0028】
揺動軸112は、レバー本体111aに対して垂直に配置され、一端部が第1固定部材113aの底板に回転可能に取り付けられており、他端部がレバー本体111aの他端部に取り付けられている。
【0029】
第1ピン114は、揺動軸112よりもレバー本体111aの一端部側(車両2の左側)に位置するように、揺動軸112と同様に垂直に配置されている。第1ピン114の一端部は、第1固定部材113aの底板に取り付けられている。換言すれば、第1ピン114の一端部は、第1固定部材113aを介してマスト10に固定されている。第1ピン114の他端部は、後述する中立バネ116の一対のアーム部116b、116cと接触可能な高さで、かつレバー本体111aの下面に接触しない高さに位置している。
【0030】
第2ピン115は、レバー111が中立位置に保持されている状態(
図3の状態)において、第1ピン114よりもレバー本体111aの一端部側(車両2の左側)に位置するように垂直に配置され、レバー本体111aに固定されている。第2ピン115の一端部は、中立バネ116の一対のアーム部116b、116cと接触可能な高さに位置している。第2ピン115の他端部は、センサアーム117と接触可能な高さに位置している。
【0031】
中立バネ116は、揺動軸112に巻き付いたコイル部116aと、第1ピン114および第2ピン115を挟み込む一対のアーム部116b、116cとからなり、レバー111を中立位置に保持する。一対のアーム部116b、116cは、レバー111とともに揺動する第2ピン115により拡開される。
【0032】
例えば、
図4(A)に示すようにマスト10が前端位置に移動した場合、レバー111は第1角度変換手段120により車両2の後方向に働く力を受けるので、レバー111とともに第2ピン115が後方向に揺動して、第2ピン115により中立バネ116のアーム部116bが後方向に拡開される。このとき、中立バネ116のアーム部116cは、第1ピン114により後方向への拡開が規制される。
【0033】
一方、
図4(D)に示すようにマスト10が後端位置に移動した場合、レバー111は第2角度変換手段130により車両2の前方向に働く力を受けるので、レバー111とともに第2ピン115が前方向に揺動して、第2ピン115により中立バネ116のアーム部116cが前方向に拡開される。このとき、中立バネ116のアーム部116bは、第1ピン114により前方向への拡開が規制される。
【0034】
再び
図3(A)〜(C)を参照して、センサアーム117は、揺動可能に設けられた板状の部材であり、長手方向の中心線上において第2ピン115の他端部を挟持するように、一端部が二股状に形成されている。このため、レバー111が揺動すると、センサアーム117もレバー111と同じ量だけ揺動する。
【0035】
センサ118は、第2固定部材113bの中央部上面に取り付けられ、センサアーム117の他端部と連結している。センサ118は、センサアーム117の揺動角度をマスト位置に対応する角度として検出し、当該角度に対応した検出信号を出力する。本実施形態では、センサ118としてポテンショメータが用いられており、センサアーム117としてポテンショメータアームが用いられている。
【0036】
図4(A)および(B)を参照して、第1角度変換手段120は、角度検出手段110のローラー111bが接する第1接触面(右側面)を有するブロック体である。第1接触面は、マスト10が前端位置に近づくほど、センサ118により検出される角度(本発明の「第1可変角度」に相当)と中立位置のときにセンサ118により検出される角度(以下、基準角度)との差が大きくなるように傾斜している。
【0037】
図4(C)および(D)を参照して、第2角度変換手段130は、角度検出手段110のローラー111bが接する第2接触面(右側面)を有するブロック体である。第2接触面は、マスト10が後端位置に近づくほど、センサ118により検出される角度(本発明の「第2可変角度」に相当)と基準角度との差が大きくなるように傾斜している。
【0038】
図5(A)は、マスト位置とセンサ118により検出される角度[°]との関係を示す図であり、
図5(B)は、マスト位置とセンサ118が出力する検出信号[V]との関係を示す図であり、
図5(C)は、マスト位置とマスト10の移動速度との関係を示す図である。
【0039】
これらの図において、X1は前端位置、X2はレバー111が第1角度変換手段120に接触しているもののレバー111が第1角度変換手段120から後方向に働く力を受けていない状態(
図4(B)の状態)となる位置(本発明の「第1位置」に相当)、X3はレバー111が第2角度変換手段130に接触しているものの第2角度変換手段130から前方向に働く力を受けていない状態(
図4(C)の状態)となる位置(本発明の「第2位置」に相当)、X4は後端位置である。また、前端位置X1から第1位置X2までの区間は、本発明の「第1区間」に相当し、第1位置X2から第2位置X3までの区間は本発明の「中間区間」に相当し、第2位置X3から後端位置X4までの区間は本発明の「第2区間」に相当する。
【0040】
さらに、レバー111は、前端位置X1と後端位置X4との間で、+35[°]〜−35[°]変位するものとする。センサアーム117は、例えば、動作角70[°]のポテンショメータアームであって、0[°]を中立にレバー111の変位に応じて±35[°]変位する(0[°]〜70[°]変位する)ものとする。また、ポテンショメータの電源(センサ118の検出信号の電圧値)は、最大5.0[V]であって、2.5[V]を中立に上記動作角の変位に応じて±2.5[V]変化する(0[V]〜5.0[V]変化する)ものとする。
【0041】
図5(A)および(B)に示すように、中間区間では、レバー111が中立位置に保持されるため、センサ118により検出される角度は基準角度である0[°]となり、センサ118が出力する検出信号は2.5[V]の電圧信号となる。
【0042】
第1区間では、センサ118により検出される角度(第1可変角度)は、マスト10が前端位置X1に近づくほど大きくなり、前端位置X1において+35[°]となる。また、第1区間においてセンサ118が出力する検出信号の電圧値は、マスト10が前端位置X1に近づくほど大きくなり、前端位置X1において5.0[V]となる。
【0043】
第2区間では、センサ118により検出される角度(第2可変角度)は、マスト10が後端位置X4に近づくほど小さくなり、後端位置X4において−35[°]となる。また、第2区間においてセンサ118が出力する検出信号の電圧値は、マスト10が後端位置X4に近づくほど小さくなり、後端位置X4において0[V]となる。
【0044】
制御部102には、センサ118により検出される角度(センサ118から出力される検出信号)とマスト位置との関係に基づいてマスト10の移動速度を制御する制御ソフトウェアが予め記憶されている。この制御ソフトウェアは、センサ118から出力された検出信号が予め設定された基準信号(本実施形態では、2.5[V]の電圧信号)と一致するときは、マスト10の移動速度を予め設定された移動速度Yとする一方、センサ118から出力された検出信号が基準信号と一致しないときは、センサ118から出力された検出信号が基準信号から離れるほどマスト10の移動速度を低下させるものである。なお、移動速度Yは、車両2の運転席に設けられたリーチレバーの倒し角に応じて決定されるものである。リーチレバーの倒し角が大きければ移動速度Yは大きくなり、リーチレバーの倒し角が小さければ移動速度Yは小さくなる。
【0045】
制御部102は、
図5(C)に示すようにマスト10の移動速度を制御する。すなわち、中間区間では、センサ118から基準信号である2.5[V]の電圧信号が出力されるため、制御部102は、マスト10の移動速度が移動速度Yとなるように、電動リーチシリンダ20の電動機22を制御する。
【0046】
第1区間では、マスト10が前端位置X1に近づくほどセンサ118から出力される検出信号が基準信号から離れていくので、制御部102は、マスト10が前端位置X1に近づくほどマスト10の移動速度を減速させて、検出信号が5.0[V]となる前端位置X1においてマスト10をスムーズに停止させる。
【0047】
第2区間では、マスト10が後端位置X4に近づくほどセンサ118から出力される検出信号が基準信号から離れていくので、制御部102は、マスト10が後端位置X4に近づくほどマスト10の移動速度を減速させて、検出信号が0[V]となる後端位置X4においてマスト10をスムーズに停止させる。
【0048】
結局、本実施形態に係るリーチ制御装置100およびリーチ式フォークリフト1Aでは、
図6に示す従来のリーチ式フォークリフト1Bで用いられている多回転型ポテンショメータ210、ピニオン220およびラック230といった高価な部品を用いることなく、一般的なポテンショメータを含む角度検出手段110や、マスト10を減速させる区間にのみ設けられたブロック体からなる第1角度変換手段120および第2角度変換手段130といった比較的安価な部品を用いてマスト位置検出部101を構成しているので、装置全体のコストを下げることができる。
【0049】
さらに、本実施形態に係るリーチ制御装置100およびリーチ式フォークリフト1Aでは、リーチストロークが変わっても、制御部102に記憶されている制御ソフトウェアを変更する必要はなく、第1角度変換手段120および第2角度変換手段130の取り付け位置を変えるだけで対応できる。例えば、リーチストロークが長い場合は、第1角度変換手段120と第2角度変換手段130の間隔を広げて取り付ければよく、リーチストロークが短い場合は、第1角度変換手段120と第2角度変換手段130の間隔を狭めて取り付ければよい。したがって、本実施形態に係るリーチ制御装置100は、量産に適しているといえる。
【0050】
以上、本発明に係るリーチ制御装置および当該装置を備えたリーチ式フォークリフトの実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。
【0051】
例えば、上記実施形態では、一般的なポテンショメータを含む角度検出手段110や、ブロック体からなる第1角度変換手段120および第2角度変換手段130といった部品用いてマスト位置検出部101を構成しているが、中間区間においてマスト位置を所定の基準角度に変換し、第1区間においてマスト位置を前端位置X1に近づくほど基準角度との差が大きくなるような第1可変角度に変換し、第2区間においてマスト位置を後端位置X4に近づくほど基準角度との差が大きくなるような第2可変角度に変換し、これらの角度に対応した検出信号を出力することができるのであれば、マスト位置検出部101の構成は、適宜変更することができる。
【0052】
第1角度変換手段120は、マスト10が前端位置X1に近づくほど第1可変角度と基準角度との差が大きくなるように傾斜している第1接触面を有しているのであれば、その形状を適宜変更することができる。例えば、第1接触面は、平面視において曲線勾配となる形状に変更してもよいし、曲線勾配と直線勾配とを組み合わせ形状に変更してもよい。また、第1角度変換手段120は、ストラドルレッグ3に取り付けることができるのであれば、任意の材質のものを用いることができる。
【0053】
第2角度変換手段130は、マスト10が後端位置X4に近づくほど第2可変角度と基準角度との差が大きくなるように傾斜している第2接触面を有しているのであれば、その形状を適宜変更することができる。例えば、第2接触面は、平面視において曲線勾配となる形状に変更してもよいし、曲線勾配と直線勾配とを組み合わせ形状に変更してもよい。また、第2角度変換手段130は、ストラドルレッグ3に取り付けることができるのであれば、任意の材質のものを用いることができる。
【解決手段】マスト位置を角度に変換した検出信号を出力するマスト位置検出部101と、検出信号が基準信号から離れるほどマスト10の移動速度が低下するように電動リーチシリンダ20を制御する制御部102とを備え、マスト位置検出部101は、リーチストロークの中間区間においてマスト位置を所定の基準角度に変換し、リーチストロークの前端位置部分の第1区間において、マスト位置を前端位置に近づくほど基準角度との差が大きくなるような第1可変角度に変換し、リーチストロークの後端位置部分の第2区間において、マスト位置を後端位置に近づくほど基準角度との差が大きくなるような第2可変角度に変換し、制御部102は、基準角度に対応した検出信号を基準信号とすることを特徴とする。