特許第5784238号(P5784238)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5784238パリソンまたはパリソンから製造される容器のための保持装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5784238
(24)【登録日】2015年7月31日
(45)【発行日】2015年9月24日
(54)【発明の名称】パリソンまたはパリソンから製造される容器のための保持装置
(51)【国際特許分類】
   B29C 49/38 20060101AFI20150907BHJP
   B29C 49/30 20060101ALI20150907BHJP
【FI】
   B29C49/38
   B29C49/30
【請求項の数】8
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-534949(P2014-534949)
(86)(22)【出願日】2012年5月11日
(65)【公表番号】特表2014-531998(P2014-531998A)
(43)【公表日】2014年12月4日
(86)【国際出願番号】EP2012002049
(87)【国際公開番号】WO2013056753
(87)【国際公開日】20130425
【審査請求日】2014年4月9日
(31)【優先権主張番号】102011116883.8
(32)【優先日】2011年10月21日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】509017365
【氏名又は名称】カーハーエス コーポプラスト ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100091867
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 アキラ
(74)【代理人】
【識別番号】100154612
【弁理士】
【氏名又は名称】今井 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】リンケ ミヒャエル
(72)【発明者】
【氏名】クラット ディーター
(72)【発明者】
【氏名】バウムガルテ ロルフ
【審査官】 阿川 寛樹
(56)【参考文献】
【文献】 特表2010−520089(JP,A)
【文献】 特表2002−503604(JP,A)
【文献】 特表2008−536713(JP,A)
【文献】 実開平02−145233(JP,U)
【文献】 特開2010−111053(JP,A)
【文献】 特表2011−529412(JP,A)
【文献】 特開平11−115039(JP,A)
【文献】 米国特許第06183683(US,B1)
【文献】 米国特許第04212841(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 49/00− 49/80
B65G 47/00− 47/96
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
やっとこ状に形成されて、少なくとも1つの第1のやっとこアームと第2のやっとこアームとを備え、該第1および第2のやっとこアームがやっとこベース部によって保持されて少なくとも開口位置および閉鎖位置に配置可能であり、前記やっとこベース部が受け渡しホイールに配置され、前記やっとこアームの開口運動が前記受け渡しホイールの半径方向に対し横方向に運動成分を持つように行われる、パリソンまたはパリソンから製造される容器のための保持装置において、
前記第1のやっとこアーム(45)が、少なくとも部分的に、前記やっとこベース部(47)の、前記受け渡しホイール(41)の半径方向に向けられ且つパリソン(1)または容器(2)の口部分(21)の中心軸線と直交している中心線(66)の両側に延びていること、
前記第2のやっとこアーム(46)が、前記第1および第2のやっとこアームによって少なくとも部分的に形成される、パリソン(1)または容器(2)の首領域を挿入して保持するための保持凹部(68)を、該保持凹部(68)の、前記中心線(66)に対し直交し且つパリソン(1)または容器(2)の口部分(21)の前記中心軸線と直交する横中心線(67)よりも、前記受け渡しホイール(41)の半径方向外側に配置されている領域でのみ、画成していること、
を特徴とする装置。
【請求項2】
前記第1のやっとこアーム(45)が窪み状の保持凹部(68)を画成していることを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記やっとこアーム(45)が、前記中心線(66)に関して少なくとも片側で、前記横中心線(67)を越えて前記やっとこベース部(47)とは逆方向に延在していることを特徴とする、請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
前記やっとこアーム(45)が、前記中心線(66)に関して両側で、前記横中心線(67)を越えて前記やっとこベース部(47)とは逆方向に延在していることを特徴とする、請求項1または2に記載の装置。
【請求項5】
前記第2のやっとこアーム(46)が、パリソン(1)または容器(2)に作用するための少なくとも1つの誘導面を有していることを特徴とする、請求項1から4までのいずれか一つに記載の装置。
【請求項6】
前記両やっとこアームが互いに弾性緊張されて配置されていることを特徴とする、請求項1から5までのいずれか一つに記載の装置。
【請求項7】
前記やっとこアーム(45,46)のうちの少なくとも一方がカム制御されて位置決め可能であることを特徴とする、請求項1から6までのいずれか一つに記載の装置。
【請求項8】
前記やっとこベース部(47)が少なくとも1つのばねの力に抗して基礎要素(48)から変位可能に保持されていることを特徴とする、請求項1から7までのいずれか一つに記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、やっとこ状に形成されて、少なくとも1つの第1のやっとこアームと第2のやっとこアームとを備え、該第1および第2のやっとこアームがやっとこベース部によって保持されて少なくとも開口位置および閉鎖位置に配置可能であり、前記やっとこベース部が受け渡しホイールに配置され、前記やっとこアームの開口運動が前記受け渡しホイールの半径方向に対し横方向に運動成分を持つように行われる、パリソンまたはパリソンから製造される容器のための保持装置に関するものである。
【0002】
本発明は、さらに、ブロー成形型を備えた少なくとも1つのブローステーションと、搬送経路に沿ってパリソンを位置決めするための少なくとも1つの担持要素とを有している、容器をブロー成形するための装置にも関する。この場合、担持要素は回転する受け渡しホイールによって保持され、該受け渡しホイールに対し担持要素が相対的に可動に支持され、担持要素のためにカム制御部が使用される。
【背景技術】
【0003】
ブロー圧を作用させて容器を成形する場合、熱可塑性材料から成るパリソン、たとえばPET(ポリエチレンテレフタラート)から成るパリソンは、ブロー成形機の内部で種々の加工ステーションに供給される。典型的には、この種のブロー成形機は保持装置とブロー装置とを有し、ブロー装置の領域で、前もって温度調整されたパリソンが両軸配向によって膨張せしめられて容器が形成される。膨張は、膨張させるパリソンの内部へ誘導される加圧空気を用いて行われる。パリソンをこのように膨張させる際の方法技術的工程は、特許文献1に説明されている。冒頭で述べた、加圧状態にあるガスの導入は、発展している容器ブローへの加圧ガスの導入、および、ブロー工程を開始するためのパリソン内への加圧ガスの導入をも含んでいる。
【0004】
容器成形するためのブローステーションの基本構成は特許文献2に記載されている。パリソンを温度調整するための可能な実施態様は特許文献3に説明されている。
【0005】
ブロー成形装置の内部では、パリソンとブロー成形された容器とを種々の操作装置を用いて搬送することができる。特に、パリソンが差し込まれる搬送心棒を使用することが明らかになった。しかし、パリソンは他の担持機構を用いても操作することができる。パリソンを操作するための把持やっとこの使用と、保持のためにパリソンの口領域に挿入可能な拡開心棒の使用とは、同様に適用可能な構造である。
【0006】
受け渡しホイールを使用した容器の操作は、たとえば特許文献4において、受け渡しホイールをブローホイールと搬出区間との間に配置した場合に関して記載されている。
【0007】
すでに述べたパリソンの操作は、一方ではいわゆる2段階方法で行われ、すなわちまずパリソンを射出成形法で製造し、次に中間貯留し、その後はじめてその温度に関してコンディショニングを行い、ブロー成形して容器を形成させる。他方、いわゆる1段階方法が適用され、すなわちパリソンを射出成型技術で製造し十分に固化させた直後に適当に温度調整して、その後ブロー成形を行う。
【0008】
使用するブローステーションに関しては種々の実施態様が知られている。回転する搬送ホイール上に配置されたブローステーションの場合には、型担持体を本のように開閉することがしばしば行われる。しかし、互いに相対的に変位可能な型担持体または他の方式で案内される型担持体を使用することも可能である。特に複数の容器成形用キャビティを受容するために適した定置のブローステーションでは、典型的には互いに平行に配置されるプレートが型担持体として使用される。
【0009】
パリソンを操作し、且つブロー成形された容器を操作するため、パリソンまたはボトル用の担持要素を備えたいわゆる受け渡しホイールがブロー成形機内部で使用されることが多い。この場合担持要素は、パリソンまたはボトルをダイレクトに把持するか、或いは、パリソンまたはボトルをダイレクトに保持する別個の担持要素を必要とする。受け渡し工程を補助するため、担持要素は典型的には受け渡しホイールに対し相対的に回動可能に支持されている。これに加えて伸縮性も実現されていることが多い。担持要素を位置決めする固定のためにカム制御部が使用される。このため、担持要素はカムローラでもって定置の曲線部を通過する。
【0010】
担持要素を備えたこの種の受け渡しホイールを使用する場合の問題は、機械的な支障が生じた場合、特に衝突が生じた場合に、重度の損傷が避けられないことである。このため、受け渡しホイールの領域で安全クラッチを使用して担持アームを支持することが知られている。この種の安全クラッチは高価であるばかりでなく、回転する受け渡しホイールの重量を増大させる。
【0011】
同様に、担持アームに能動的な位置決め要素を備えさせることもすでに知られている。これらの位置決め要素は、空気圧または電気的に担持アームを送出入させるように作業位置または静止位置に配置される。しかしながら、対応する位置決め装置は比較的高いコストを生じさせるとともに、受け渡しホイールの重量を増大させるものであり、その結果慣性特性を増大させる。
【0012】
特許文献5には、過負荷が作用した際に偏向できるように担持体の領域で保持されているやっとこ状の保持要素がすでに記載されている。しかしながら、この構造は、必要な多数の構成要素を考慮すると高価であり、よって必ずしも大量個数での使用には適していないことが明らかになった。
【0013】
従来のやっとこ状保持要素を使用する際の他の問題は、操作される工作物に横方向の力が作用したとき、やっとこの望ましくない開口運動を阻止できない点にある。やっとこが短時間開口しただけでも工作物が紛失することがあり、よって生産工程に支障が生じる。
【0014】
ブロー成形で容器を製造する場合、技術水準に従ってやっとこ状保持要素を使用すると、特定の生産工程で、ブロー成形型を開いたときに容器が型半部分の一方に付着するという問題が発生する。このような付着は、前述したやっとこの望ましくない開口運動を生じさせる。基本的には、この種のプロセス時間の間にやっとこの開口または偏向を機械的にブロックすることが考えられるが、例外的に、機械の損傷を避けるために偏向または開口が必要であるような機械的障害の付加的発生を阻止できないので、望ましくない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】独国特許出願公開第4340291号明細書
【特許文献2】独国特許出願公開第4212583号明細書
【特許文献3】独国特許出願公開第2352926号明細書
【特許文献4】独国特許出願公開第19906438号明細書
【特許文献5】独国特許出願公開第102007054388号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明の課題は、冒頭で述べて種類の装置を、簡潔な構成で高い作動安定性が得られるように構成することである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
この課題は、本発明によれば、第1のやっとこアームが、少なくとも部分的に、やっとこベース部の、受け渡しホイールの半径方向に向けられ且つパリソンまたは容器の口部分の中心軸線と直交している中心線の両側に延びていること、第2のやっとこアームが、第1および第2のやっとこアームによって少なくとも部分的に形成される、パリソンまたは容器の首領域を挿入して把持するための保持凹部を、該保持凹部の、前記中心線に対し直交し且つパリソンまたは容器の口部分の中心軸線と直交する横中心線よりも、前記受け渡しホイールの半径方向外側に配置されている領域でのみ、画成していることによって解決される。
【発明の効果】
【0018】
従来のやっとこアームは、半径方向の中心線に関してそれぞれ左右対称ら保持穴を画成している。従って、半径方向に対し横方向に作用し、パリソンまたは容器からやっとこアームへ伝達される力は、個々のやっとこアームを荷重し、やっとこを開口させる。本発明によれば、第1のやっとこアームが半径方向の中心線を越えて延在しているので、対応する横力が所定の領域で第1のやっとこアームのみに作用し、よって望ましくない開口運動は生じない。
【0019】
特に、受容穴が第2のやっとこによって画成されている領域が、横中心線に関し半径方向外側にある領域へ変位していることで、半径方向に対し横方向の力の荷重または半径方向に関する力の荷重は受け渡しホイールに関し斜め内側へ向けられるため、望ましくない開口運動が発生することはない。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図面には、本発明のいくつかの実施形態が図示されている。
図1】パリソンから容器を製造するためのブローステーションの斜視図である。
図2】パリソンを延伸させ、膨張させるためのブロー成形型の縦断面図である。
図3】容器をブロー成形するための装置の基本構成を説明する概略図である。
図4】加熱容量を増大させた加熱区間の変形実施形態を示す図である。
図5】複数の位置決め可能な担持アームを備えた受け渡しホイールの斜視図である。
図6】やっとこ状の保持要素を、やっとこの閉鎖状態で示した斜視図である。
図7】第2のやっとこアームの挿入領域をわずかに変形させた、図6の配置構成を斜め下方向から見た斜視図である。
図8図6のやっとこを閉鎖状態で示した平面図である。
図9図8のやっとこを開口状態で示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1および図2には、パリソン(1)を容器(2)に成形するための装置の基本構成が図示されている。
【0022】
容器(2)を成形する装置は、実質的に、パリソン(1)を挿着可能なブロー成形型(4)を備えたブローステーション(1)から成っている。パリソン(1)はポリエチレンテレフタラートから成る射出成形部品であってよい。ブロー成形型(4)へのパリソン(1)の挿着を可能にし、且つ完成した容器(2)の取り出しを可能にするため、ブロー成形型(4)は型半部分(5,6)と底部部分(7)とから成り、底部部分(7)は昇降装置(8)によって位置決め可能である。パリソン(1)は、該パリソン(1)とともに装置内部の複数の処理ステーションを通過する搬送心棒(9)により、ブローステーション(3)の領域で保持されていてよい。パリソン(1)をたとえばやっとこまたは他の操作手段を介して直接ブロー成形型(4)へ挿着することも可能である。
【0023】
加圧空気の供給を可能にするため、搬送心棒(9)の下方には接続ピストン(10)が配置され、該接続ピストン(10)はパリソン(1)に加圧空気を供給し、同時に搬送心棒(9)に対する密封を行なう。しかし、基本的には、変形実施形態によれば、位置固定の加圧空気供給管を使用してもよい。
【0024】
パリソン(1)の延伸は、本実施形態の場合、シリンダ(12)によって位置決めされる延伸棒(11)を用いて行われる。他の実施形態によれば、ピックオフローラの作用を受けているカムセグメントを介して延伸棒(11)の機械的位置決めが行なわれる。カムセグメントの使用は、特に、1つの回転ブローホイール上に複数のブローステーション(3)が配置されている場合に合目的である。
【0025】
図1に図示した実施形態では、延伸システムは、2つのシリンダ(12)のタンデム配置が提供されるように構成されている。まず、本来の延伸工程を開始する前に、一次シリンダ(13)により延伸棒(11)をパリソン(1)の底部(14)の領域まで走行させる。本来の延伸工程を行なっている間、延伸棒を走出させたままで、一次シリンダ(13)を、該一次シリンダ(13)を担持している往復台(15)とともに、二次シリンダ(16)により、または、カムセグメントを介して、位置決めさせる。特に、延伸工程を実施ている間にカム軌道に沿って滑動するガイドローラ(17)により実際の延伸位置が設定されるように二次シリンダ(16)をカム制御して使用することが想定されている。ガイドローラ(17)は二次シリンダ(16)によって案内軌道に対し押圧される。往復台(15)は2つの案内要素(18)に沿って滑動する。
【0026】
担持体(19,20)の領域に配置されている型半部分(5,6)を閉じた後、ロック機構(20)を用いて担持体(19,20)を互いにロックさせる。
【0027】
パリソン(1)の口部分(21)の種々の形状に適合させるため、図2によれば、ブロー成形型(4)の領域に別個のスクリューインサート(22)が使用される。
【0028】
図2は、ブロー成形した容器(2)に加えて、破線で示したパリソン(1)と成長中の容器ブロー(23)をも示している。
【0029】
図3は、加熱区間(24)と回転するブローホイール(25)とを備えたブロー成形機の基本構成を示している。パリソン(1)は、パリソン装入部(26)を起点として受け渡しホイール(27,28,29)によって加熱区間(24)の領域へ搬送される。パリソン(1)を温度調整するため、加熱区間(24)に沿って放射加熱器(30)とファン(31)とが配置されている。パリソン(1)を十分に温度調整した後、パリソンはブローホイール(25)に受け渡される。ブローホイール(25)の領域にはブローステーション(3)が配置されている。ブロー成形を完了した容器(2)は他の受け渡しホイールによって搬出区間(32)に供給される。
【0030】
容器(2)の内部に充填される食料品、特に飲料水の長期使用性を保証する材料特性を容器(2)が有するようにパリソン(1)を容器(2)に成形できるようにするには、パリソン(1)の加熱および配向工程の際に特殊な方法ステップを維持しなければならない。さらに、特殊なサイズ規定を厳守することによって有利な効果を得ることができる。
【0031】
熱可塑性材料として種々のプラスチックを使用できる。たとえばPET,PENまたはPPを使用できる。
【0032】
配向工程の間のパリソン(1)の膨張は、加圧空気の供給によって行う。加圧空気の供給は、低圧レベルとガス(たとえば圧縮空気)を供給するプレブロー段階と、これに接続してより高圧レベルのガスを供給するメインブロー段階とに分割されている。プレブロー段階の間、典型的には10バールないし25バールの範囲の圧力を持った加圧空気を使用し、メインブロー段階の間は、25バールないし40バールの範囲の圧力を持った加圧空気を供給する。
【0033】
同様に図3からわかるように、図示した実施形態では、加熱区間(24)は周回する多数の搬送要素(33)から形成され、これら担持要素(33)は互いにチェーン状に接続されて転向ホイール(34)に沿って案内されている。特に、チェーン状の配置により、実質的に長方形の基本輪郭を張ることが想定されている。図示した実施形態では、加熱区間(24)の受け渡しホイール(29)および装入ホイール(35)の領域に、相対的に大きな単一の転向ホイール(34)が使用され、これに隣接している転向部領域には、比較的小さなサイズの2つの転向ホイール(36)が使用される。しかし、基本的には他の任意のガイドも考えられる。
【0034】
受け渡しホイール(29)と装入ホイール(35)とを互いにできるだけ密に配置するのを可能にするには、図示した実施形態が特に合目的であることが明らかになった。というのは、加熱区間(24)の対応する拡大領域には3つの転向ホイール(34,36)が配置され、すなわちより小さな転向ホイール(36)がそれぞれ加熱区間(24)の直線延在部への引き渡し領域に配置され、より大きな転向ホイール(34)が受け渡しホイール(29)および装入ホイール(35)へ直接受け渡す領域に配置されているからである。チェーン状の搬送要素(33)を使用する代わりに、たとえば回転する加熱ホイールを使用することも可能である。
【0035】
容器(2)のブロー成形が終了した後、容器を取り出しホイール(37)によってブローステーション(3)の領域から取り出し、受け渡しホイール(28)と搬出ホイール(38)とを介して搬出区間(32)へ搬送する。
【0036】
図4に図示した加熱区間(24)の変形実施形態では、より多数の放射加熱器(30)によって、単位時間当たりより多量のパリソン(1)を温度調整することができる。ここでファン(31)は冷却空気を冷却空気通路(39)の領域へ導入させる。冷却空気通路(39)は付設の放射加熱器(30)にそれぞれ対向配置され、排流穴を介して冷却空気を放出する。排流方向を選定することにより、冷却空気の流動方向はパリソン(1)の搬送方向に対し横方向に実現される。冷却空気通路(39)は、放射加熱器(30)に対向する表面の領域に、加熱放射用のリフレクタを有していてよく、また放出される冷却空気を介して放射加熱器(30)の冷却をも行うようしてもよい。
【0037】
図5は、たとえば複数の受け渡しホイール(27,28,29)のうちの少なくとも1つの受け渡しホイールに対する位置に組み込むことができる1つの受け渡しホイール(41)を示している。受け渡しホイール(41)は、パリソン(1)および/または容器(2)を操作するために用いる複数の担持要素(42)を備えている。図示した実施形態では、担持要素(42)は操作要素(43と担持アーム(44)とから成っている。操作要素(43)は、図示した実施形態の場合、やっとこ状に構成され、やっとこベース部(47)によって可動に保持されている2つのやっとこアーム(45,46)を有している。やっとこベース部(47)は、担持アーム(44)によって保持されている基礎要素(48)にロック可能であり、または、これと螺合可能である。この種の操作要素(43)はパリソン(1)または容器(2)をダイレクトに把持する。しかし操作要素(43)は、パリソン(1)または容器(2)を担持する担持要素と接触するように実施されていてもよい。この種の担持要素は、たとえば、パリソン(1)を差し込むことのできる、または、パリソン(1)をその口領域でもって挿入することのできる搬送心棒(9)として実施されていてよい。
【0038】
図5は、担持要素(42)の位置決め運動を制御するため、互いに鉛直方向に重設されている2つのカム軌道部(49,50)が使用されることを説明している図である。担持アーム(44)は回動枢着部(51)を介して受け渡しホイール(41)の中央要素(52)に固定されている。担持要素(44)は、回動枢着部(51)の領域に、カムローラ(54)を介してカム軌道部(49)に沿って案内されている横レバー(53)を有している。これにより、中央要素(52)が回転したときに、担持要素(44)の回動運動が行なわれる。図示した実施形態では、カムローラ(54)はカム軌道部(49)の内面に沿って案内されている。
【0039】
担持要素(44)は伸縮可能に構成され、該担持要素(44)の伸縮運動を可能にするために、カムローラ(55)を使用してカム軌道部(50)に沿って案内されている。図示した実施形態の場合、カムローラ(55)もカム軌道部(50)の内面に沿って案内されている。典型的な作業工程では、受け渡しホイール(41)はその回転軸線(56)のまわりに回転する。
【0040】
図6は、基礎要素(48)と、やっとこアーム(45,46)を備えたやっとこベース部(47)とを説明する斜視図である。これからわかるように、やっとこアーム(45,46)は把持端部(57,58)を有し、把持端部(57,58)はパリソン(1)または容器(2)の首領域を部分的に取り囲むように形成されていてよい。やっとこアーム(45,46)は結合要素(59,60)を介してやっとこベース部(47)と結合されている。
【0041】
同様に図6からわかるように、やっとこベース部(47)の側面(61,62)に隣接してそれぞれ対向要素(63,64)が配置されている。また、回転軸線(65)も見て取れ、該回転軸線のまわりにやっとこベース部(47)が基礎要素(48)に対し相対的に回動可能に配置されている。
【0042】
図6の作動状態では、やっとこアーム(45,46)はその把持端部(57,58)でもってパリソン(1)または容器(2)を把持することができる。
【0043】
図7は、図6の配置構成を、第2のやっとこアーム(46)の端部領域をわずかに変更した状態で示したものである。
【0044】
図8は、やっとこアーム(45,46)の構造と、これに付設されているやっとこベース部(47)および基礎要素(48)とを示す平面図である。幾何学的関係を明らかにするため、中心線(66)と、横中心線(67)とが記入されている。担持要素(42)を受け渡しホイール(41)の領域に配置する場合、中心線(66)は実質的に受け渡しホイール(41)の半径方向に延び、且つパリソン(1)または容器(2)の口部分(21)の中心軸線と直交し、横中心線(67)は中心線(66)に対し直交し且つパリソン(1)または容器(2)の口部分(21)の中心軸線と直交して延びる。
【0045】
第1のやっとこアーム(45)と第2のやっとこアーム(46)とは、協働して、少なくとも部分的に保持凹部(68)を画成している。保持凹部(68)には、操作の際にパリソン(1)または容器(2)の首領域を挿入される。典型的には、保持凹部(68)はやっとこベース部(47)とは逆の方向に開口している。
【0046】
このように、図8は、特に、第1のやっとこアームが少なくとも部分的に中心線(66)の両側に延在しているという特徴を示している。これにより、中心線(66)に対し横方向において力を第1のやっとこアーム(45)によって吸収することができる。第2のやっとこアーム(46)は、横中心線(67)に関して外側で且つやっとこベース部(47)とは逆の側にある領域ではじめて、保持凹部(68)を画成している。これにより、望ましくない開口力が第2のやっとこアーム(46)に導入されるのが阻止される。
【0047】
図9は、図8の配置構成を、やっとこの開口状態で示している。この場合、第2のやっとこアーム(46)は、保持凹部(68)が半径方向外側へ開放されるように、横中心線(67)の方向に第2のやっとこアーム(45)に対して変位している。これによってパリソン(1)または容器(2)を取り出すことができる。
【0048】
やっとこアーム(45,46)の開閉運動の実施は種々の原理に従って行うことができる。1つは、パッシブな制御部を使用することが考えられる。この場合、やっとこアーム(45,46)のために特別な操作要素は設けられず、パリソン(1)または容器(2)は外側から保持凹部(68)に圧入され、まず適当な力がやっとこアーム(45,46)を開口させ、次に新たにロックが行なわれる。パリソン(1)または容器(2)の取り出しは、逆の方向で、パリソン(1)または容器(2)に作用する引張り力を半径方向にもたらすことで行われる。このような操作工程を補助するため、第2のやっとこアーム(46)はその把持端部(58)の領域に適当な誘導面として挿入用傾斜部を有している。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9