(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
腹側部材及び背側部材の両中央部に股部材が架け渡されて接合され、前記腹側部材及び前記背側部材の胴回り方向の両端部が接合され、前記腹側部材及び前記背側部材の両上端縁に囲まれる腰開口部が形成され、前記腹側部材と前記背側部材と前記股部材とに囲まれる左右の脚開口部が形成される、使い捨てパンツ型下着の製造方法であって、
ウェブ状の内面シートと、ウェブ状の外面シートとの間に、前記腹側部材及び前記背側部材の共通する股側端縁がウェブ流れ方向に周期的に連続する裁断予定線によって分けられる前記腹側部材の連続体及び前記背側部材の連続体となる各領域にウェブ流れ方向に沿って延在する弾性体と、前記裁断予定線と同じ周期でウェブ流れ方向に連続する第1脚周り弾性体及び第2脚回り弾性体とが、接合される構造を含む、ウェブ状の積層体を形成する工程と、
前記積層体を前記裁断予定線に沿って裁断して、前記腹側部材の連続体と前記背側部材の連続体とに切り分ける工程と、
前記腹側部材の連続体と前記背側部材の連続体とをウェブ幅方向に離間させて、前記股部材を前記腹側部材及び前記背側部材の両中央部に架け渡すように配置して接合する工程と、
前記股部材を接合された前記両連続体を、前記内面シートが内側となるように折り曲げて、1周期毎にウェブ流れ方向に直交する両端部で接合し、1周期毎に切断してパンツ型下着を形成する工程とを含んでおり、
各周期の前記裁断予定線は、ウェブ流れ方向に平行な両端ラインと、前記両端ラインから中央へ向かって前記腹側部材側へ傾斜する一対の傾斜ラインと、前記両傾斜ライン間をつなぐ中央ラインとを含み、
各周期の前記第1脚周り弾性体は、前記腹側部材となる領域内で前記裁断予定線の両端ラインに沿って配置される両端部と、前記両端部から中央へ向かって前記腹側部材側へ傾斜しながら、前記腹側部材の股側端縁から次第に離れて、前記腹側部材の前記股部材と重なる領域内にまで延在するように配置される一対の傾斜部と、前記両傾斜部間をつなぐ中央部とを含み、
各周期の前記第2脚周り弾性体は、前記背側部材となる領域内で前記裁断予定線の両端ラインに沿って配置される両端部と、前記両端部から中央へ向かって前記腹側部材側へ傾斜するように配置される一対の傾斜部と、前記両傾斜部間をつなぐ中央部とを含むことを特徴とする、使い捨てパンツ型下着の製造方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1の使い捨てパンツ型おむつは、腹側部材の脚開口部からウエスト開口部までの距離が長いため、着用者、特に手足の不自由な着用者は、脚開口部に脚を入れにくく、着用しにくいという問題があった。
また、特許文献2のように、矩形状の腹側部材及び背側部材で形成したパンツ型下着は、着用者の身体へのフィット性が低く、排泄物等が漏れやすくなったり、着用時の不快感に繋がったりするという問題があった。
更に、特許文献1のように、パンツ型おむつの外装体の原反から一部を除去することにより脚開口部用の貫通孔等を形成する方法は、資材のロスが大きく、生産コストの増加や廃棄物の発生を招くという問題があった。
【0005】
本発明の目的は、容易に着用することができ、着用者の身体へのフィット性が高い使い捨てパンツ型下着を提供すること、及び、かかる使い捨てパンツ型下着を、資材のロスを抑制して製造することができる製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、以下のような解決手段により、前記課題を解決する。なお、理解を容易にするために、本発明の実施形態に対応する符号を付して説明するが、これに限定されるものではない。
本発明の使い捨てパンツ型下着(10,30)は、腹側部材(11)と、背側部材(12)と、前記両部材(11,12)の中央部に架け渡されて接合される股部材(13,33)と、前記腹側部材(11)及び前記背側部材(12)の胴回り方向の両端部(16,16)が接合されることにより、前記腹側部材(11)及び前記背側部材(12)の両上端縁に囲まれて形成される腰開口部(14)、及び、前記腹側部材(11)と前記背側部材(12)と前記股部材(13,33)とに囲まれて形成される左右の脚開口部(15,15)と、前記腹側部材(11)及び前記背側部材(12)の各胴周り方向に延在する弾性体(103a,103b)と、少なくとも前記腹側部材(11)の両脚開口部(15,15)に延在する第1脚周り弾性体(103c,203c,403c)と、少なくとも前記背側部材(12)の両脚開口部(15,15)に延在する第2脚周り弾性体(103d,203d,403d)とを備え、前記腹側部材の股側端縁(11a)は、胴周り方向に略水平な両端ライン(11b,11b)と、前記両端ラインから中央部へ
向かうに従って前記腰開口部(14a)側へ上昇する一対の傾斜ライン(11c,11c)と、前記両傾斜ライン間をつなぐ中央ライン(11d)とを含み、前記背側部材の股側端縁(12a)は、胴周り方向に略平行な両端ライン(12b,12b)と、前記両端ラインから中央部へ
向かうに従って前記腰開口部(14b)と反対側へ下降する一対の傾斜ライン(12c,12c)と、前記両傾斜ライン間をつなぐ中央ライン(12d)とを含み、前記第1脚周り弾性体(103c,203c,403c)は、前記腹側部材(11)内で前記両端ライン(11b,11b)に沿って配置され
る両端部と、前記両端部から中央へ
向かうに従って前記腹側部材(11)の前記腰開口部(14a)側へ上昇するように配置される一対の傾斜部と、前記両傾斜部間をつなぐ中央部とを含み、前記第2脚周り弾性体(103d,203d,403d)は、前記背側部材(12)内で前記両端ライン(12b,12b)に沿って配置され
る両端部と、前記両端部から中央へ
向かうに従って前記背側部材(12)の前記腰開口部(14b)と反対側へ下降するように配置される一対の傾斜部と、前記両傾斜部間をつなぐ中央部とを含むことを特徴とする。
本発明の好ましい使い捨てパンツ型下着(20,40)は、前記第1脚周り弾性体(203c,403c)の前記一対の傾斜部が、
前記両端部から中央へ向かうに従って前記腹側部材(11)の前記腰開口部(14a)側へ上昇しながら、前記腹側部材の股側端縁(11a)から次第に離れて、前記腹側部材(11)の前記股部材(13)と重なる領域内まで延在するように配置されることを特徴とする。
本発明の好ましい使い捨てパンツ型下着(20,40)は、前記第1脚周り弾性体(203c,403c)の前記一対の傾斜部が、前記腹側部材(11)の胴周り方向に延在する弾性体(103b)と交差することを特徴とする。
本発明の好ましい使い捨てパンツ型下着(20,40)は、前記第2脚周り弾性体(203d,403d)の前記一対の傾斜部が
、前記背側部材の股側端縁(12a)と交差する方向に下降
することを特徴とする。
本発明の好ましい使い捨てパンツ型下着
(20,40)は、前記股部材
(13)の内部又は外部に吸収体(133)が装着され、前記腹側部材(11)及び前記背側部材(12)における前記股部材
(13)に装着される前記吸収体(133)と重なる各領域に配置される前記各弾性体
(103b,203c,203d,403c,403d)の少なくとも一部は、その弾性力が発現されないように加工されていることを特徴とする。
【0007】
本発明の使い捨てパンツ型下着(10,20,30,40)の製造方法は、腹側部材(11)及び背側部材(12)の両中央部に股部材(13,33)が架け渡されて接合され、前記腹側部材(11)及び前記背側部材(12)の胴回り方向の両端部(16,16)が接合され、前記腹側部材(11)及び前記背側部材(12)の両上端縁に囲まれて腰開口部(14)が形成され、前記腹側部材(11)と前記背側部材(12)と前記股部材(13,33)とに囲まれて左右の脚開口部(15,15)が形成される、使い捨てパンツ型下着の製造方法であって、ウェブ状の内面シート(101)と
、ウェブ状の外面シート(102)との間に、前記腹側部材(11)及び前記背側部材(12)の共通する股側端縁(11a,12a)がウェブ流れ方向に周期的に連続する裁断予定線(C)によって分けられる前記腹側部材(11)の連続体及び前記背側部材(12)の連続体となる各領域にウェブ流れ方向に沿って延在する弾性体(103a,103b)と、前記裁断予定線(C)と同じ周期でウェブ流れ方向に連続する第1脚周り弾性体(103c,203c,403c)及び第2脚回り弾性体(103d,203d,403d)とが、接合される構造を含む
、ウェブ状の積層体(100A)を形成
する工程と、前記積層体(100A)を前記裁断予定線(C)に沿って裁断して、前記腹側部材(11)の連続体と前記背側部材(12)の連続体とに切り分け
る工程と、前記腹側部材(11)の連続体と前記背側部材(12)の連続体とをウェブ幅方向に離間させ
て、前記股部材(13,33)を前記腹側部材(11)及び前記背側部材(12)の両中央部に架け渡すように配置して接合
する工程と、前記股部材(13,33)を接合された前記両連続体(100B)を、前記内面シート(101)が内側となるように折り曲げて、1周期毎にウェブ流れ方向に直交する両端部(16,16)で接合し、1周期毎に切断してパンツ型下着(10,20,30,40)を形成する
工程とを含んでおり、各周期の前記裁断予定線(C)は、ウェブ流れ方向に平行な両端ラインと、前記両端ラインから中央へ向かって前記腹側部材(11)側へ傾斜する一対の傾斜ラインと、前記両傾斜ライン間をつなぐ中央ラインとを含み、各周期の前記第1脚周り弾性体(103c,203c,403c)は、前記腹側部材(11)となる領域内で前記裁断予定線(C)の両端ラインに沿って配置される両端部と、前記両端部から中央へ向かって前記腹側部材(11)側へ傾斜するように配置される一対の傾斜部と、前記両傾斜部間をつなぐ中央部とを含み、各周期の前記第2脚周り弾性体(103d,203d,403d)は、前記背側部材(12)となる領域内で前記裁断予定線(C)の両端ラインに沿って配置される両端部と、前記両端部から中央へ向かって前記腹側部材(11)側へ傾斜するように配置される一対の傾斜部と、前記両傾斜部間をつなぐ中央部とを含むことを特徴とする。
本発明の好ましい使い捨てパンツ型下着の製造方法は、前記ウェブ状の積層体(100A)を形成する工程において、各周期の前記第1脚周り弾性体(203c、403c)の前記一対の傾斜部が、前記両端部から中央へ向かって前記腹側部材(11)側へ傾斜しながら、前記腹側部材の股側端縁(11a)から次第に離れて、前記腹側部材(11)の前記股部材(13)と重なる領域内にまで延在するように配置されることを特徴とする。
本発明の好ましい使い捨てパンツ型下着の製造方法は、前記ウェブ状の積層体(100A)を形成する工程において
、各周期の前記第2脚周り弾性体(203d、403d)の一部が、前記裁断予定線(C)を越えて前記腹側部材(11)の前記股部材(13)と重なる領域
内にまで延在するように配置され、前記積層体(100A)を前記裁断予定線(C)に沿って裁断する工程において、前記第2脚周り弾性体部材(203d、403d)の一部が前記裁断予定線(C)で裁断されることを特徴とする。
本発明の好ましい使い捨てパンツ型下着の製造方法は、前記腹側部材(11)及び前記背側部材(12)において、前記股部材(13,33)の内部又は外部に装着される吸収体(133)を重ねられる各領域に配置される前記各弾性体(103b、103c、103d、203c、203d、403c、403d)の少なくとも一部に、その弾性力が発現されないように加工する工程を更に含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、容易に着用することができ、身体へのフィット性が高く、資材のロスを抑えられる使い捨てパンツ型下着及びその製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
添付の図面を参照して、本発明の使い捨てパンツ型下着及びその製造方法の実施形態について説明する。
図1を含め、以下に示す各図は、模式的に示した図であり、各部の大きさ、形状は、理解を容易にするために、適宜誇張している。
本明細書中に記載する各部材の寸法等の数値及び材料名等は、実施形態としての一例であり、これに限定されるものではなく、適宜選択して使用してよい。
【0011】
(第1実施形態)
本発明の使い捨てパンツ型下着の第1実施形態として、パンツ型おむつ10を説明する。
図1は、第1実施形態のパンツ型おむつ10を示す図である。
図2は、第1実施形態のパンツ型おむつ10を平面状に展開した図である。
図3は、第1実施形態のパンツ型おむつ10の第1脚周り弾性体103c,第2脚周り弾性体103d及び裁断予定線Cを説明する図である。
理解を容易にするために、
図1〜
図3及び以下に示す各図においては、いずれも、後述する弾性体103が伸長された状態(収縮力を発現していない状態)で示されている。また、
図2及び以下に示す各図おいて、理解を容易にするために、適宜、展開されたパンツ型おむつの幅方向(着用者の胴回り方向、左右方向)をX軸とし、前後方向をY軸とし、厚み方向をZ軸とするXYZ座標が用いられている。このX軸は、X1側が着用者の左側、X2側が着用者の右側、Y軸は、Y1側が着用者の後側(背側)、Y2側が着用者の前側(腹側)、Z軸は、Z1側が外側(着用者の衣類側)、Z2側が内側(着用者の肌側)となる。
【0012】
図1に示すように、パンツ型おむつ10は、着用時に着用者の腹側に位置する腹側部材11と、背側に位置する背側部材12と、これらを繋ぐように股部分に前後に渡されたクロッチ部材(股部材)である吸収部材13とを備え、ウエスト開口部(腰開口部)14、左右の脚開口部15,15、左右のサイドシール部16,16等が形成される。
図2に示すように、腹側部材11は、略矩形状における背側部材12側(Y1側)の辺(股側端縁)11aの幅方向(胴回り方向、X方向)の中央が略台形形状に切り欠かれた平面形状を有している。
図2に示すように、背側部材12は、略矩形状における腹側部材11側(Y2側)の辺(股側端縁)12aの幅方向(胴周り方向、X方向)の中央が略台形形状に突出した平面形状を有している。
【0013】
腹側部材11は、内側(肌側)に位置する内面シート101と、外側(着用時に着用者の衣類側)に位置する外面シート102と、この2枚の間に適宜配置された弾性体103(103a,103b,103c)とを有している。
図1に示すように、腹側部材11は、胴回り方向の中央部が凹状に形成されており、吸収部材13の左右端部と重なる位置の近傍において、脚開口部15からウエスト開口部14までの距離(上下長)が最も短くなるように形成されている。ここで、腹側部材11は、吸収部材13の左右端部と重なる位置における脚開口部15及びウエスト開口部14間の距離(上下長)が、サイドシール部16の長さ(上下長)の50〜80%の長さに形成されていることが好ましい。これにより、パンツ型おむつ10は、着用する場合に脚開口部15に脚を入れやすくすることができ、また、ウエスト開口部14をつかんで腰まで引き上げることができ、容易に着用することができる。また、半身に麻痺等が残るような手足の不自由な着用者が着用する場合においても、脚開口部15に指をかけて引き上げることによって、パンツ型おむつ10を腰まで引き上げることができ、容易に着用することができる。
図2に示すように、背側部材12は、腹側部材11と同様に、内側(肌側)に位置する内面シート101と、外側(衣類側)に位置する外面シート102と、この2枚の間に適宜配置された弾性体103(103a,103b,103d)とを有している。
【0014】
内面シート101及び外面シート102は、不織布製のシート状の部材である。内面シート101及び外面シート102は、これに限らず、樹脂フィルムやティシュ、伸縮材又はそれらの積層体、又はそれらを適宜つなぎ合わせ、一枚のシートとして使用してもよい。
内面シート101と外面シート102との間に設けられる弾性体103は、糸状の部材であり、伸長状態で内面シート101及び外面シート102に接合され、固定されている。このような弾性体103としては、天然ゴム、ポリウレタン系樹脂、伸縮性ホットメルト等の伸縮可能な材料により形成されている。また、弾性体103は、糸状に限らず、帯状、シート状の部材等を用いてもよい。
【0015】
この腹側部材11及び背側部材12は、後述するように、内面シート101及び外面シート102、弾性体103が積層された積層体を、
図3に示す裁断予定線Cに沿って裁断して形成される。
裁断予定線Cは、腹側部材11の股側端縁11a及び背側部材12の股側端縁12bを共通に形成するものであって、X方向(胴周り方向、幅方向)にわたって形成されており、X方向の両端部(11b,11b,12b,12b)からX方向中央部(11d,12d)側へは、腹側部材11側へと斜めに形成された一対の傾斜部(11c,11c,12c,12c)を有し、X方向中央部(11d,12d)ではX方向に平行に形成されている。なお、裁断予定線CのX方向中央部(11d,12d)は、例えば、腹側(Y2側)に凸となるような曲線等を有していてもよいし、背側(Y1側)に凸となるような曲線等を有していてもよく、特に限定されない。
裁断予定線Cによって形成される腹側部材11の股側端縁11aの中央部(11d)の幅(X方向に平行な部分の寸法)は、吸収部材13の腹側部材11側のX方向の寸法に略等しい。また、この裁断予定線Cによって形成される背側部材12の股側端縁12aの中央部(12d)の幅(X方向に平行な部分の寸法)は、吸収部材13の背側部材12側のX方向の寸法に略等しい。なお、これに限らず、腹側部材11の股側端縁11aの中央部(11d)の幅及び背側部材12の股側端縁12aの中央部(12d)の幅は、吸収部材13のX方向の幅よりも小さくてもよいし、大きくてもよい。
【0016】
図2に示すパンツ型おむつ10のY方向両端部となる腹側部材11のY2側端部(ウエスト開口部14a)、及び背側部材12のY1側端部(ウエスト開口部14b)には、内面シート101と外面シート102との間に、X方向(胴周り方向、幅方向)に延在する複数の糸状の弾性体103aが、Y方向に並列かつ等間隔に配設されている。これにより、パンツ型おむつ10のウエスト開口部14(14a,14b)の周囲にウエストギャザー部17(
図1参照)が形成されている。
このウエストギャザー部17は、着用者のウエスト部分の肌に適度に密着し、このパンツ型おむつ10のずり下がりや、排泄物等のウエスト開口部14からの漏洩を防止する機能を有する。
なお、弾性体103aが配列されるY方向の間隔は、等間隔でなくてもよい。
【0017】
また、腹側部材11の弾性体103aよりもY1側(股側)であって後述する第1脚周り弾性体103cよりもY2側(ウエスト側)の領域には、内面シート101と外面シート102との間に、X方向(胴周り方向、幅方向)に延在する複数の糸状の弾性体103bが、Y方向に並列かつ等間隔に配設されている。この弾性体103bは、背側部材12の弾性体103aよりもY2側(股側)であって後述する第2脚回り弾性体103dよりもY1側(ウエスト側)の領域にも、同様に、内面シート101と外面シート102との間に配設されている。これにより、胴周りギャザー部18が形成され、パンツ型おむつ10が着用者の肌に密着し、かつ、吸収部材13の保形性を維持する機能を有し、パンツ型おむつ10の着用者の身体へのフィット性と排泄物の漏洩防止効果を高めている。
なお、本実施形態では、複数の弾性体103bが配列されるY方向の間隔は、等間隔である例を示しているが、これに限らず、着用者の胴周りへの密着性の向上や外観性の向上等を鑑み、Y方向の配列間隔を適宜調整してよく、等間隔でなくてもよい。例えば、Y方向に沿って、弾性体103bのY方向の配列間隔が、着用者の股側に向かうにつれて次第に広くなっていてもよいし、Y方向の配列間隔が狭い領域と広い領域とが形成されている等してもよい。
【0018】
図1に示すように、パンツ型おむつ10において、着用者の脚を挿入する左右2つの脚開口部15,15の周縁となる部分には、レッグギャザー部19が形成されている。
このレッグギャザー部19は、例えば、平面ギャザーであり、
図2に示すように、腹側部材11の股側端縁11a及び背側部材12の股側端縁12aに沿って、それぞれ、複数の糸状の第1脚回り弾性体103c,第2脚回り弾性体103dを敷設して形成されている。レッグギャザー部19は、パンツ型おむつ10の脚開口部15からの排泄物等の漏れ(所謂、横漏れ)を防止する機能を有している。
複数の糸状の第1脚周り弾性体103c,第2脚周り弾性体103dは、
図3に示すように、腹側部材11と背側部材12との間に位置する裁断予定線Cに沿って、互いに略平行に延在しており、Y方向に並列かつ等間隔に配列されている。
【0019】
サイドシール部16は、
図1に示すように、腹側部材11及び背側部材12のX方向(胴回り方向、幅方向)両端部を接合した部分である。この左右のサイドシール部16,16が形成されることにより、パンツ型が形成される。
サイドシール部16は、接着剤(ホットメルト接着剤)等により形成してもよいし、熱シール、超音波シール等の各種シール方法で形成してもよい。
【0020】
図4は、本実施形態の股部材である吸収部材13の断面を拡大して示した図である。
図4(a)は、本実施形態の吸収部材の例の断面図であり、
図4(b)は、本実施形態の吸収部材の他の例の断面図である。
図4では、
図2のA−A’断面における断面図を示している。
吸収部材13は、腹側部材11及び背側部材12のX方向(胴周り方向、幅方向)の中央に位置し、腹側部材11及び背側部材12を繋ぐように股部分にY方向(前後方向)に架け渡されたクロッチ部材(股部材)である。
吸収部材13は、略矩形状の部材であり、着用者の肌側(Z2側)となる表面シート131と、衣類側(Z1側)となる裏面シート132と、その間に配置される吸収体133と、ギャザーシート134と、股部弾性体135と、外側シート136とを備えている。
図2に示すように、吸収部材13の長手方向は、Y方向(前後方向)であり、短手方向は、X方向(左右方向、幅方向)である。
【0021】
表面シート131は、例えば、不織布等の液透過性材料により形成されたシート状等の部材により形成されており、装着時に着用者の肌側に位置し、尿や血液等を吸収部材13の内部に透過させる機能を有する。
裏面シート132は、例えば、ポリエチレンフィルム等の樹脂製の液不透過性材料により形成されたシート状、フィルム状の部材により形成されており、装着時に外側(衣類側)に位置し、吸収体133が吸収した尿や血液等が吸収部材13の外部に漏出することを防止する機能を有する。
吸収体133は、吸収紙、綿状パルプ、吸収性を有する粒子状や繊維状の高分子吸収材等の吸収性材料が組み合わされて形成されており、表面シート131を透過した尿や血液等を吸収し、その内部に保持する機能を有する。
ギャザーシート134は、吸収部材13に立体ギャザーを形成するシート部材である。ギャザーシート134は、
図4(a)に示すように、2つ設けられており、そのそれぞれが、吸収部材13の左端部、右端部に接合される。ギャザーシート134は、例えば、不織布や、不織布にポリエチレンフィルム等を貼り合せた材料から構成されており、吸収体133で吸収しきれなかった液状体が股部から漏出してしまうのを防ぐ。
ギャザーシート134は、
図2及び
図4(a)に示すように、左右の脚開口部15,15側のそれぞれの端縁を折り返した内側に、吸収体133に沿うようにして弾性体103e,103eが配置されている。
弾性体103eは、各ギャザーシート134に複数本(本実施形態では3本)設けられており、それぞれが、ギャザーシート134の折り返された部分の内側に、伸長した状態で接合されている。これにより、パンツ型おむつ10の股部に対応する位置には、立体ギャザーが形成されることとなり、パンツ型おむつ10の股部から排泄物や尿などの液状体が漏出してしまうことを防ぐことができる。
また、ギャザーシート134は、裏面シート132との接合部に、股部弾性体135が配置されている。
股部弾性体135は、吸収体133の左右両端に沿うようにして配置された弾性部材である。股部弾性体135は、ギャザーシート134と裏面シート132との間に伸張した状態で接合されている。
股部弾性体135は、パンツ型おむつ10に排泄物が吸収されて吸収体の重量が増加しても、この弾性体の張力により吸収部材13の左右端部が股間に押し付けられ、股間との間に間隙が生じてしまうのを防ぐことができる。また、股部弾性体135は、着用者の鼠径部に沿って定位するので、吸収部材13が縒れたり、弛んだりすることなく着用者の股間部に当接し、極めて良好なフィット性と防漏性を実現することができる。
なお、本実施形態では股部弾性体135は、吸収部材13の幅方向の左右端のそれぞれに直線状に1本ずつ配置した例を示したが、複数本ずつ配置するようにしてもよいし、曲線状に配置してもよい。
弾性体103e及び股部弾性体135は、上述の弾性体103a等と同様に、天然ゴム、ポリウレタン樹脂、伸縮性のホットメルト等の伸縮可能な糸状の材料により形成されている。また、これら弾性体は、糸状の部材だけでなく、帯状やシート状の部材等を使用することも可能である。また、ギャザー部全体を伸縮性のシートなどの素材で形成してもよい。この場合、図示した弾性体の延在する方向に伸縮力が働くように形成する必要がある。
外側シート136は、裏面シート132及びギャザーシート134の接合部の境界を覆うシート部材である。
外側シート136の外側(衣類側)には、外観や肌ざわりを考慮して、外面シート102やギャザーシート134と同じ不織布等の素材を用いてもよい。外側シート136の外側は、パンツ型おむつ10の股下部分における最外層に位置するため、外面シート102と同様の不織布を用いることによって、パンツ型おむつの外観や肌ざわりを統一することができる。なお、外側シート136は、吸収部材13に設けずに、裏面シート132を股下部分の最外層のシートとしてもよい。
吸収部材13は、上述の形態に限定されるものでなく、例えば、
図4(b)に示すように、ギャザーシート134が裏面シート132の外側(吸収体133とは反対側)の全面を覆うようにしてもよい。この場合、吸収部材13には、外側シートを設ける必要がなくなり、吸収部材13の製造コストを低減させたり、外側シートを接合する工程を省略したりすることができる。
【0022】
図2に示すように、補助シート9は、吸収部材13のY方向の端部を覆うシート状の部材であり、吸収部材13のY方向の端部が、着用者の肌に直接接触するのを防ぐ。補助シート9は、不織布等のシート状部材から構成されている。
【0023】
次に、本実施形態のパンツ型おむつ10の製造方法について説明する。
図5は、第1実施形態のパンツ型おむつ10の製造方法を説明する図である。
図5(a)に示すように、まず、内面シート101及び外面シート102を形成するウェブ状の不織布の間に、各弾性体103(103a,103b,103c,103d)を配設し、ウェブ状の積層体100Aを形成する(積層ウェブ形成工程)。このとき、糸状の各弾性体103の表面に接着剤等が塗布されていてもよいし、スプレーコート等により、内面シート101及び外面シート102の弾性体103側となる接合面に接着剤(ホットメルト接着剤等)が塗布されていてもよい。また、糸状の各弾性体103は、それぞれ、必要となる収縮力の大きさに応じて伸長された状態で、内面シート101及び外面シート102に接合される。
このとき、第1脚周り弾性体103c及び第2脚周り弾性体103dは、ウェブ状の積層体100Aの流れ方向(X2方向)において、パンツ型おむつ10の幅方向(胴周り方向)の寸法を1周期として周期的に配設されている。
【0024】
次に、
図5(b)に示すように、ウェブ状の積層体100Aを、腹側部材11及び背側部材12の共通の股側端縁11a,12bが流れ方向に周期的に連続する裁断予定線Cに沿って流れ方向に裁断し、流れ方向に沿って腹側部材11が幅方向(胴回り方向、X方向)に連続した腹側部材11の連続体と、流れ方向に沿って背側部材12が幅方向(胴回り方向、X方向)に連続した背側部材12の連続体とに切り分ける(裁断工程)。このとき、裁断予定線Cは、ウェブ状の積層体100Aの流れ方向において、パンツ型おむつ10の幅方向(胴回り方向)の寸法を1周期として周期的に形成されている。この際、裁断予定線Cの一部に0.5mm〜2mm幅程度の非切断部を適宜設け、裁断後、ウェブ状部材を所定距離に離間させるまでの間に各部材が浮き上がることを防止しても良い。
次に、
図5(c)に示すように、Y方向(ウェブ状の積層体100Aにおける幅方向、MD方向)において、腹側部材11と背側部材12との間に、パンツ型を形成するために必要な所定の距離をあける。そして、ホットメルト等の接着剤によって、股部材である吸収部材13の長手方向の一方の端部を腹側部材11に、他方の端部を背側部材12に接合する。このとき、吸収部材13は、腹側部材11及び背側部材12の内面シート101と、吸収部材13の裏面シート132、外側シート136、ギャザーシート134のうちいずれかのシートとが、積層される形で接合される(股部材接合工程)。これにより、展開された状態のパンツ型おむつが流れ方向に連続する連続体100Bが形成される。
【0025】
次に、腹側部材11及び背側部材12の内面シート101側が内側となるように、連続体100Bを折り曲げ、サイドシール部16を熱シール、超音波シール、接着剤(ホットメルト)等により、接合する。
そして、サイドシール部16に沿って連続体100Bを切断し、
図5(d)に示すように、パンツ型おむつ10が形成される(パンツ型下着形成工程)。上記裁断によって、弾性体103a〜103dは、収縮力が発現し、各ギャザー部等が形成される。
なお、これらの工程の途中や後工程において、不要部分の除去や裁断、クロッチ部材の接合を容易にするために、弾性体の収縮力が不要な領域等において収縮力を発現させないための弾性体の分断等加工等を、適宜行ってもよい。
【0026】
図6は、比較例1のパンツ型おむつ50を説明する図である。
図7は、比較例2のパンツ型おむつ60を説明する図である。
理解を容易にするために、
図6,
図7は、製造過程における比較例1,2のパンツ型おむつ50,60の様子を示している。
図6,
図7に示す比較例1,2のパンツ型おむつ50,60は、いずれも、従来のパンツ型おむつである。なお、前述の本実施形態のパンツ型おむつ10と同様の機能を果たす部分に関しては、同一の符号又は末尾に同一の符号を付し、重複する説明や吸収体等は省略して説明する。
【0027】
図6に示すように、比較例1のパンツ型おむつ50では、着用者の脚を挿入する脚開口部の周囲に弾性体503c,503dが配設されており、脚開口部となる部分を、内面シート101及び外面シート102、弾性体103等が積層された積層体500Aから刳り抜いて形成している。従って、積層体500Aから刳り抜かれて除去される領域(所謂、トリム。
図6に示す領域55A)が生じ、資材のロスが大きく、生産コストの増加に繋がる。
また、
図6に示す比較例1のパンツ型おむつ50では、上述のように脚開口部を刳り抜いて形成するため、ウェブ状の積層体500Aの幅方向の寸法が十分に必要になる(例えば大人用では70cm〜100cm程度)。従って、内面シート101及び外面シート102の使用量が大きく、生産コストの増加を招く。
さらに、吸収部材13の下側(Z1側)には、内面シート101、外面シート102等が存在している。しかし、この部分の内面シート101及び外面シート102は、吸収部材13の裏面シート132が十分な液不透過性を有しているのであれば、実質的には不要であり、これも資源のロスや生産コストの増加に繋がる。
【0028】
一方、
図7に示す比較例2のパンツ型おむつ60では、内面シート101及び外面シート102、弾性体103等が積層されたウェブ状の積層体600Aを、X方向(積層体600Aの流れ方向)に平行な直線に沿って裁断して、腹側部材61及び背側部材62を形成しており、腹側部材61及び背側部材62が矩形状となっている。また、レッグギャザー部を形成する弾性体603c,603dも流れ方向に平行に形成されている。
この比較例2のパンツ型おむつ60では、腹側部材61と背側部材62との間に十分な距離をあけて吸収部材13を接合している。そのため、ウェブ状の積層体600Aの幅方向の寸法が比較例1に比べて小さくても、パンツ型おむつとしてのY方向の寸法を十分に確保できる。従って、比較例2のパンツ型おむつ60では、比較例1のような資源のロスや生産コストの増加を抑えることができる。
【0029】
しかし、この比較例2のパンツ型おむつ60では、腹側部材61及び背側部材62が同じ大きさの矩形状である。一般的に、背側部材62の方が臀部等を被覆するため面積が必要であり、また、着用者の腰や脚周りの形状は複雑であるため、比較例2のパンツ型おむつ60では、着用者の身体へのフィット性が低く、排泄物等が漏れやすくなったり、吸収部材13や背側部材62等が捩れる等して着用時の不快感を招いたりする。
【0030】
これに対して、本実施形態のパンツ型おむつ10によれば、
図3及び
図5(b)に示すように、腹側部材11及び背側部材12の共通の股側端縁11a,12aが周期的に連続する裁断予定線Cが、パンツ型おむつ10の幅方向(胴周り方向、X方向)の中央部で腹側部材11側(Y2側)に凸となる形状を有しており、レッグギャザー部19を形成する第1脚周り弾性体103c,第2脚周り弾性体103dは、この裁断予定線Cに沿って形成されているので、背側部材12の面積を十分確保でき、かつ、着用者の身体へのフィット性を高め、良好な着用感を提供できる。
また、本実施形態のパンツ型おむつ10では、腹側部材11の胴回り方向の中央部が凹状になり、脚開口部15からウエスト開口部14までの距離が短くなるので、着用する場合に脚開口部15に脚を入れやすくすることができ、また、ウエスト開口部14をつかんで腰まで引き上げることができ、容易に着用することができる。また、半身に麻痺等が残るような手足の不自由な着用者が着用する場合においても、脚開口部15の最もウエスト開口部までの距離が短い部分に指をかけて引き上げることによって、吸収部材13とウエスト部とを同時に引き上げることができるため、パンツ型おむつ10を腰まで引き上げて容易に着用することができる。
また、本実施形態のパンツ型おむつ10では、腹側部材11と背側部材12とは、1つのウェブ状の積層体100Aを裁断して形成され、これらの間に所定の距離をあけて吸収部材13を接合している。従って、このパンツ型おむつ10では、ウェブ状の積層体100Aの幅方向の寸法を比較例1に比べて小さくしても、パンツ型おむつ10としてのY方向(前後方向)の寸法を十分に確保できる。従って、本実施形態のパンツ型おむつ10によれば、ウェブ状の積層体100Aの幅方向の寸法を比較例1に比べて十分に(例えば、比較例1の積層体500Aの半分程度に)小さくでき、脚開口部として刳り抜かれる領域もなく、前述のような資源のロスや生産コストの増加を抑えることができる。
【0031】
また、本実施形態のパンツ型おむつ10によれば、
図1に示すように、左右の脚開口部15,15は、腹側の股側端縁11aにおいて、股間側(11d)からサイド側(11b)にかけて下側(着用者の足側)へ傾斜(11c)しており、背側の股側端縁12aにおいて、サイド側(12b)から股間側(12d)にかけて下側(着用者の足側)へ傾斜(12c)しているので、着用者の脚周りをしめつけず、フィット性が高い。さらに、前側の開口が広くなるため脚入れの動作時に、つま先がひっかかることがなく脚開口部15に脚入れしやすい。
上述のように、本実施形態によれば、手足が不自由な着用者でも容易に着用することができ、着用者の身体へのフィット性が高く良好な着用感を得ることができ、少ない資材で生産することができ、生産コストを抑えられる使い捨てパンツ型下着であるパンツ型おむつ10を提供することができる。
【0032】
(第2実施形態)
図8は、第2実施形態のパンツ型おむつ20を示す図である。
図9は、第2実施形態のパンツ型おむつ20を平面状に展開した図である。
図10は、第2実施形態のパンツ型おむつ20の第1脚周り弾性体203c,第2脚周り弾性体203d及び裁断予定線Cを説明する図である。
本発明の使い捨てパンツ型下着の第2実施形態であるパンツ型おむつ20は、レッグギャザー部29を形成する複数の糸状の第1脚周り弾性体203c,第2脚周り弾性体203dが配設される形状が前述の第1実施形態とは異なる点以外は、前述の第1実施形態のパンツ型おむつ10と同様の形態である。従って、前述した第1実施形態と同様の機能を果たす部分には、同一の符号又は末尾に同一の符号を付して、重複する説明を適宜省略する。
第2実施形態のパンツ型おむつ20は、腹側部材11、背側部材12、股部材である吸収部材13を備え、ウエスト開口部14、左右の脚開口部15,15、左右のサイドシール部16,16等が形成されている。また、このパンツ型おむつ20は、ウエストギャザー部17、胴周りギャザー部18、レッグギャザー部29等が形成されている。
【0033】
このパンツ型おむつ20では、
図8から
図10に示すように、レッグギャザー部29を形成する複数の糸状の第1脚周り弾性体203c及び第2脚周り弾性体203dは、互いに略平行に延在しており、X方向(胴周り方向、幅方向)の両端部では、裁断予定線Cを挟んで平行に位置しているが、中央部では裁断予定線Cよりも腹側部材11側(Y2側)に位置した形状となっている。即ち、背側部材12側に配設された第2脚周り弾性体203dは、一部が裁断予定線Cを越えて腹側部材11側に位置している。そのため、裁断工程において、第2脚周り弾性体203dは、裁断され、一部が腹側部材11の幅方向中央部分に残る形態となる。
なお、本実施形態の裁断予定線Cは、前述の第1実施形態の裁断予定線Cに同じである。
【0034】
第1脚周り弾性体203c及び第2脚周り弾性体203dをこのような形状に配設することにより、第2実施形態のパンツ型おむつ20は、
図8〜
図10に示すように、腹側部材11及び背側部材12ともに、左右の脚開口部15,15の周縁に設けられる第1脚周り弾性体203c,第2脚周り弾性体203dが斜め上側(着用者のウエスト側)へ延在する部分の寸法が、第1実施形態のパンツ型おむつ10(
図3参照)よりも長くなっている。
なお、本実施形態のパンツ型おむつ20は、第1脚周り弾性体203c,第2脚周り弾性体203dを配設する形状が異なる以外は、前述の第1実施形態のパンツ型おむつ10と略同様の製造方法によって製造可能である。
【0035】
第1脚周り弾性体203c,第2脚周り弾性体203dが上述のような形状に配設されることにより、左右の脚開口部15,15の周縁に設けられる第1脚周り弾性体203c,第2脚周り弾性体203dが斜め上側(着用者のウエスト側)へ延在する部分の寸法が長くなるので、腹側では腹側中央部を引き上げると両サイド部分を腹側中央部へ引き上げる効果が高い。したがって着用者が脚開口部15に脚を挿入した際、片手で腹側中央部を引き上げるだけでパンツ型おむつ20全体を引き上げる作業が容易に行える。従って、本実施形態のパンツ型おむつ20によれば、例えば、半身に麻痺等が残る着用者であっても、パンツ型おむつ20を一人で容易に装着することができる。
また、本実施形態によれば、第2脚周り弾性体203dの一部が、腹側部材11の幅方向中央部近辺において、斜め上側(着用者のウエスト側)へ傾斜して配列されているので、レッグギャザー部を形成する弾性体として機能し、着用者の脚周りへの密着性が向上し、尿等の漏れを防止できる。
なお、腹側部材11の幅方向中央部においてX方向に平行に延在する第2脚周り弾性体203dに関しては、吸収部材13に生じるシワの抑制や、外観性、腹部への肌触り向上等の観点から、その収縮力が発現しないように細かく切断する等の加工を行ってもよい。
また、本実施形態によれば、前述の第1実施形態と同様に、手足が不自由な着用者でも容易に着用することができ、着用者の身体へのフィット性が高く良好な着用感を得ることができ、少ない資材で生産することができ、生産コストを抑えられる使い捨てパンツ型下着であるパンツ型おむつ20を提供することができる。
【0036】
(第3実施形態)
図11は、第3実施形態のパンツ型パッドホルダー30を平面状に展開した図である。
本発明の使い捨てパンツ型下着の第3実施形態であるパンツ型パッドホルダー30は、吸収部材13に替えてクロッチ部材(股部材)33を備えている点が前述の第1実施形態とは異なる以外は、第1実施形態のパンツ型おむつ10と略同様の形態である。従って、前述した第1実施形態と同様の機能を果たす部分には、同一の符号又は末尾に同一の符号を付して、重複する説明を適宜省略する。
本実施形態のパンツ型パッドホルダー30は、腹側部材11、背側部材12、クロッチ部材(股部材)33を備え、着用者のウエスト部分に形成されるウエストギャザー部等を有している。このパンツ型パッドホルダー30は、クロッチ部材33の上(肌側)に、汎用の矩形状等の吸収性物品(所謂、パッド)を配置可能であり、クロッチ部材33上に吸収性物品を配置して使用する使い捨て可能なパンツ型の下着である。
【0037】
クロッチ部材33は、腹側部材11等と同様に、内面シート101及び外面シート102が積層されて形成されている。
なお、これに限らず、クロッチ部材33は、前述の吸収部材13と同様に、表面シート131及び裏面シート132が積層されて形成された形態としてもよい。また、クロッチ部材33は、内面シート101及び外面シート102(又は表面シート131及び裏面シート132)の間に、例えば、前述の吸収部材13の吸収体133より弱い吸収性を有する不図示の吸収体等を有する形態としてもよい。さらに、クロッチ部材33は、その短手方向(X方向、胴周り方向)の両端部に、長手方向(Y方向)に延在するように配設された複数の糸状の弾性体等により、立体ギャザー部、平面ギャザー部等が形成されていてもよい。
なお、このパンツ型パッドホルダー30は、吸収部材13をクロッチ部材33に替えている以外は、前述の第1実施形態のパンツ型おむつ10と略同様の製造方法によって製造可能である。
【0038】
本実施形態によれば、手足が不自由な着用者でも容易に着用することができ、着用者の身体へのフィット性が高く良好な着用感を得ることができ、少ない資材で生産することができ、生産コストを抑えられる使い捨てパンツ型下着であるパンツ型パッドホルダー30を提供できる。
なお、このパンツ型パッドホルダー30は、前述の第2実施形態のパンツ型おむつ20の吸収部材13をクロッチ部材33としたものとしてもよい。このような形態のパンツ型パッドホルダー30とすることにより、生産コストの抑制及び身体へのフィット性の向上等に加えて、着用者が脚開口部15に脚を挿入しやすく、かつ、パンツ型パッドホルダー30を引き上げる作業を着用者が片手でも容易に行うことができる。
【0039】
(第4実施形態)
図12は、第4実施形態のパンツ型おむつ40を示す図である。
図13は、第4実施形態のパンツ型おむつ40を平面状に展開した図である。
図14は、第4実施形態のパンツ型おむつ40の第1脚周り弾性体403c,第2脚周り弾性体403d及び裁断予定線Cを説明する図である。
本発明の使い捨てパンツ型下着の第4実施形態であるパンツ型おむつ40は、レッグギャザー部49を形成する複数の糸状の第1脚周り弾性体403c,第2脚周り弾性体403dが配設される形状が前述の第1実施形態とは異なる点、複数の糸状の第2脚周り弾性体403dのうち一部は裁断されない点が異なる以外は、前述の第1実施形態のパンツ型おむつ10と同様の形態である。従って、前述した第1実施形態と同様の機能を果たす部分には、同一の符号又は末尾に同一の符号を付して、重複する説明を適宜省略する。
第4実施形態のパンツ型おむつ40は、腹側部材11、背側部材12、股部材である吸収部材13を備え、ウエスト開口部14、左右の脚開口部15,15、左右のサイドシール部16,16等が形成されている。また、このパンツ型おむつ40は、ウエストギャザー部17、胴周りギャザー部18、レッグギャザー部49等が形成されている。
【0040】
このパンツ型おむつ40では、
図12に示すように、レッグギャザー部49を形成する複数の糸状の第1脚周り弾性体403c,第2脚周り弾性体403dは、X方向(胴周り方向、幅方向)両端部では、互いに略平行に延在しているが、X方向(胴周り方向、幅方向)中央部では、平行ではなく、第2脚周り弾性体403dが腹側部材11側(ウエスト開口部14側)に凸となる曲線状に配列されている。また、
図14に示すように、第2脚周り弾性体403dは、X方向(胴回り方向、幅方向)中央部では、Y方向に配列された複数の糸状の弾性体の一部が裁断予定線Cよりも腹側部材11側(Y2側)に位置し、一部が背側部材12側(Y1側)に位置する形状となっている。即ち、第2脚周り弾性体403dは、裁断工程において、一部が裁断されて腹側部材11側に位置し、一部が裁断されず背側部材12側に位置する形態となっている。
本実施形態の裁断予定線Cは、前述の第1実施形態の裁断予定線Cに同じである。
【0041】
パンツ型おむつ40は、
図13等に示すように、腹側部材11において裁断予定線Cと第1脚周り弾性体403cとの間の領域に位置する弾性体103b,第2脚周り弾性体403dや、背側部材12において、X方向(胴周り方向)中央部に位置する第2脚周り弾性体403dは、その収縮力が発現しないように加工されている。ここで、背側部材12に位置する第2脚周り弾性体403dは、股部材である吸収部材13と重なる部位においては、吸収部材13の左右両端部近傍を除いて収縮力が発現しないように加工されている。
これは、吸収部材13に生じるシワの抑制や、外観性、腹部への肌触り向上等を図るためである。なお、弾性体の収縮力を発現させなくする加工としては、例えば、多数の凸部やカッター刃等による弾性体の切断や、熱シール等、適宜選択して行ってよい。
本実施形態のパンツ型おむつ40は、第1脚周り弾性体403c,第2脚周り弾性体403dを配設する形状等が異なる以外は、前述の第1実施形態のパンツ型おむつ10と略同様の製造方法によって製造可能である。
【0042】
第1脚周り弾性体403c,第2脚周り弾性体403dをこのような形状に配設することにより、第4実施形態のパンツ型おむつ40は、
図12〜
図14に示すように、腹側部材11及び背側部材12ともに、左右の脚開口部15,15の周縁に設けられる第1脚周り弾性体403c,第2脚周り弾性体403dが斜め上側(着用者のウエスト側)へ延在する部分の寸法が、第1実施形態のパンツ型おむつ10(
図3参照)よりも長くなっている。
従って、第1脚周り弾性体403c,第2脚周り弾性体403dにより、腹側では腹側中央部を引き上げると両サイド部分を腹側中央部へ引き上げる高い効果が得られ、着用者が脚開口部15に脚を挿入した際、片手で腹側中央部を引き上げるだけでパンツ型おむつ40全体を引き上げる作業が容易に行える。よって、本実施形態によれば、半身に麻痺等が残る着用者であっても、パンツ型おむつ40を一人で容易に装着することができる。
【0043】
また、本実施形態によれば、背側部材12及び吸収部材13が重なる部位における吸収部材13の左右両端部近傍を除いた部位の第2脚周り弾性体403dは、切断等され収縮力が発現しない状態で背側部材12側に位置するので、裁断予定線Cで腹側部材11及び背側部材12が裁断された場合に、背側部材12の吸収部材13と接合される部位(背側部材12の凸形状の部位)が第2脚周り弾性体403dの収縮力によって丸まってしまったり、シワができてしまったりするのを抑制することができる。
また、本実施形態によれば、前述の第1実施形態と同様に、手足が不自由な着用者でも容易に着用することができ、着用者の身体へのフィット性が高く良好な着用感を得ることができ、少ない資材で生産することができ、生産コストを抑えられる使い捨てパンツ型下着であるパンツ型おむつ40を提供することができる。
【0044】
(変形形態)
以上説明した各実施形態に限定されることなく、種々の変形や変更が可能であって、それらも本発明の範囲内である。
(1)内面シート101や外面シート102、表面シート131、裏面シート132、吸収体133等は、上述したもの以外の材質や形状のものを用いてもよい。
【0045】
(2)パンツ型おむつ10,20及びパンツ型パッドホルダー30は、上述した立体ギャザー部、平面ギャザー部、ウエストギャザー部等の漏洩を防止する機構を必ずしも備えている必要はなく、そのうちのいくつか又は全てを有していなくてもよいし、或いはそれ以外の漏洩を防止する機構を備えていてもよい。
【0046】
(3)吸収部材13及びクロッチ部材33は、矩形状である例を示したが、これに限らず、他の形態としてもよい。
図15は、変形形態の吸収部材13(クロッチ部材33)の形状を説明する図である。
図15(a)は、パンツ型おむつを平面状に展開した図であり、
図15(b)は、パンツ型おむつの腹側から見た図である。なお、
図15では、理解を容易にするために、弾性体等は省略して示している。
例えば、
図15に示すように短手方向(左右方向、幅方向、X方向)両端部が、着用者の股間幅等に合わせて、曲線状等に切り欠かれた形態としてもよい。また、長手方向の中央部分の幅が小さく形成された、所謂、砂時計形状としてもよい。この場合、吸収部材13(クロッチ部材33)を曲線状や砂時計形状に切欠いた後に腹側部材、背側部材に貼り合せても良いし、また、矩形の吸収部材を腹側部材、背側部材に貼り合せた後に不要部分を切除して曲線状や砂時計形状に切り欠くようにしても良い。矩形の吸収部材を腹側部材、背側部材に貼り合せた後に不要部分を切除する場合、吸収部材の胴周り方向(短手方向、X方向)の両端部を曲線状に切り欠くとともに、切り欠かれた吸収部材の曲線形状と連続した曲線を描くようにして、腹側部材及び背側部材の一部を切り欠いて、脚開口部を形成する切り欠き工程を設けるようにしてもよい。このように吸収部材と腹側部材及び背側部材とを同時に切り欠くことで、より下着らしい曲線形状を実現し、着用者の身体へのフィット感を向上させるとともに、切り欠きによって廃棄される資材の発生を最小限に抑えることができる。
さらに、適宜、立体ギャザー部や平面ギャザー部を設けて、尿等の漏れを防止する機能を高めてもよい。なお、吸収部材13等の内部に設けられる吸収体の形状に関しても、適宜変更してよい。
【0047】
なお、各実施形態及び変形形態は、適宜組み合わせて用いることもできるが、詳細な説明は省略する。また、本発明は、以上説明した各実施形態等によって限定されることはない。
使い捨てパンツ型下着10の製造方法は、ウェブ状の内面シート101と外面シート102との間に各弾性体103を接合した積層体100Aを形成する工程と、腹側部材11及び背側部材12に共通する股側端縁11a,12aがウェブ流れ方向に周期的に連続する裁断予定線Cに沿って積層体100Aを裁断する工程と、各周期の腹側部材11及び背側部材12の両中央部に股部材13を架け渡して接合する工程と、股部材13を接合された連続体100Bを折り曲げ、1周期毎にウェブ流れ方向に直交する両端部16,16で接合して、切断する工程とを備え、各周期の裁断予定線Cは、ウェブ流れ方向に平行な両端ライン11b,11b,12b,12bと、両端ラインから中央に向かって腹側部材11側へ傾斜する一対の傾斜ライン11c,11,12c,12cと、両傾斜ライン間をつなぐ中央ライン11d,12dとを含み、各周期の第1脚周り弾性体103cは、腹側部材11となる領域内で裁断予定線Cの各両端ライン11b,11bに沿って配置される両端部と、両端部間で腹側部材11側へ傾斜するように配置される一対の傾斜部と、両傾斜部間をつなぐ中央部とを含み、各周期の第2脚周り弾性体103dは、背側部材12となる領域内で裁断予定線Cの各両端ライン12b,12bに沿って配置される両端部と、両端部から腹側部材11側へ傾斜するように配置される一対の傾斜部と、両傾斜部間をつなぐ中央部とを含むことを特徴とする。