特許第5784269号(P5784269)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5784269
(24)【登録日】2015年7月31日
(45)【発行日】2015年9月24日
(54)【発明の名称】半導体装置及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/336 20060101AFI20150907BHJP
   H01L 29/78 20060101ALI20150907BHJP
【FI】
   H01L29/78 301D
【請求項の数】5
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2009-257786(P2009-257786)
(22)【出願日】2009年11月11日
(65)【公開番号】特開2011-103376(P2011-103376A)
(43)【公開日】2011年5月26日
【審査請求日】2012年7月30日
【審判番号】不服2014-12758(P2014-12758/J1)
【審判請求日】2014年7月2日
(73)【特許権者】
【識別番号】302062931
【氏名又は名称】ルネサスエレクトロニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110928
【弁理士】
【氏名又は名称】速水 進治
(74)【代理人】
【識別番号】100127236
【弁理士】
【氏名又は名称】天城 聡
(72)【発明者】
【氏名】清水 博史
【合議体】
【審判長】 河口 雅英
【審判官】 鈴木 匡明
【審判官】 加藤 浩一
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−103058(JP,A)
【文献】 特開平10−506755(JP,A)
【文献】 特開2004−214611(JP,A)
【文献】 特開2005−026664(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/336
H01L 29/78
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板上に形成されたゲート絶縁膜と、
前記ゲート絶縁膜上に形成されたゲート電極と、
前記基板に形成され、平面視において前記ゲート電極を介して互いに対向している第1導電型の第1高濃度拡散層及び第1導電型の第2高濃度拡散層と、
前記第1高濃度拡散層を内側に含むように、前記第1高濃度拡散層より広くかつ深く形成された第1導電型の第1低濃度拡散層と、
を備え、
前記第1高濃度拡散層は、平面視で前記ゲート電極から離間しており、
前記第1低濃度拡散層は、平面視において、前記第1高濃度拡散層よりも前記ゲート電極の近くまで形成されて前記ゲート絶縁膜の一部と重なっており、かつ前記第2高濃度拡散層とは重なっておらず、
さらに、
前記第1低濃度拡散層の中に前記第1高濃度拡散層より深い領域で、前記第1高濃度拡散層の下方から前記ゲート電極に向けて延在しており、前記第1低濃度拡散層より不純物濃度が高い第1導電型の第1埋込層と、
前記第1低濃度拡散層の中に形成され、前記第1埋込層と前記第1高濃度拡散層とを接続する第1導電型の第2埋込層と、
を備え、
前記第2埋込層は、前記第1低濃度拡散層に接し、かつ前記第1低濃度拡散層に周囲を囲まれており、
前記第1高濃度拡散層はドレインであり、前記第2高濃度拡散層はソースである半導体装置。
【請求項2】
請求項1に記載の半導体装置において
記第1埋込層は、平面視で前記ゲート絶縁膜の一部と重なっている半導体装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の半導体装置において、
平面視において前記基板のうち前記ゲート絶縁膜が形成されている領域と前記第1高濃度拡散層が形成されている領域とを相互に分離する素子分離領域をさらに備える半導体装置。
【請求項4】
請求項1〜のいずれか一つに記載の半導体装置において、
前記第2高濃度拡散層を内側に含むように、前記第2高濃度拡散層より広くかつ深く形成された第2導電型の第2低濃度拡散層をさらに備える半導体装置。
【請求項5】
基板に第1導電型の第1低濃度拡散層を形成する工程と、
前記第1低濃度拡散層に、第1導電型の第1埋込層を形成する工程と、
前記基板に、平面視において前記第1低濃度拡散層と隣り合うようにゲート絶縁膜及びゲート電極を形成する工程と、
前記第1低濃度拡散層に、下端が前記第1埋込層に接続していて前記第1埋込層の上方に向けて延伸している第1導電型の第2埋込層を形成する工程と、
前記第1低濃度拡散層の中に、ドレインとなる第1導電型の第1高濃度拡散層を、前記第1低濃度拡散層より浅く、底面が前記第2埋込層に接続するように、かつ平面視で前記ゲート電極から離間するように形成するとともに、前記ゲート電極を介して前記第1高濃度拡散層とは逆側に、ソースとなる第2高濃度拡散層を形成する工程と、
を備え、
前記第1埋込層は、平面視で前記第1高濃度拡散層より前記ゲート電極の近くまで延在するように形成され、
前記第2埋込層は、前記第1低濃度拡散層に接し、かつ前記第1低濃度拡散層に周囲を囲まれるように形成され、
前記第1低濃度拡散層は、平面視において、前記第1高濃度拡散層よりも前記ゲート電極の近くまで形成されて前記ゲート絶縁膜の一部と重なっており、かつ前記第2高濃度拡散層とは重なっていない半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トランジスタの高耐圧特性を維持しながらオン抵抗を低減することが可能な半導体装置及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
高電圧、大電流を制御するパワー半導体装置では、ソース/ドレイン間の耐圧が数10〜数100Vと高い高耐圧のMOS(Metal Oxide Semiconductor)型のFET(Field Effect Transistor)が用いられている。高耐圧のMOS型FETにおいては、高耐圧を得るためにドレインを特殊な構造としており、その結果として低耐圧MOS型FETに比べて素子サイズが非常に大きくなっている。そのため、高耐圧のMOS型FETでは、オン抵抗が高くなりやすい。
【0003】
例えば特許文献1には、ドレイン拡散層の下に埋め込み拡散層を形成することにより、オン電流を増加させることができる、と記載されている。特許文献1において埋め込み拡散層は、コンタクトの下方にのみ形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−79208号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に記載の技術では、埋め込み拡散層はコンタクトの下方にのみ形成されているため、ドレイン抵抗を十分低抵抗にすることは難しかった。ドレイン抵抗を低くする方法の一つに、ドレインを形成する拡散層の濃度を高くする方法がある。しかしこの方法では、ソース/ドレイン間の耐圧が低くなってしまう。このように、トランジスタの高耐圧特性を維持しながらオン抵抗を低減することは難しかった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、基板と、
前記基板上に形成されたゲート絶縁膜と、
前記ゲート絶縁膜上に形成されたゲート電極と、
前記基板に形成され、平面視において前記ゲート電極を介して互いに対向している第1導電型の第1高濃度拡散層及び第1導電型の第2高濃度拡散層と、
前記第1高濃度拡散層を内側に含むように、前記第1高濃度拡散層より広くかつ深く形成された第1導電型の第1低濃度拡散層と、
を備え、
前記第1高濃度拡散層は、平面視で前記ゲート電極から離間しており、
前記第1低濃度拡散層は、平面視において前記第1高濃度拡散層よりも前記ゲート電極の近くまで形成されており、
さらに、
前記第1低濃度拡散層の中に前記第1高濃度拡散層より深い領域で、前記第1高濃度拡散層の下方から前記ゲート電極に向けて延在しており、前記第1低濃度拡散層より不純物濃度が高い第1導電型の第1埋込層と、
前記第1低濃度拡散層の中に形成され、前記第1埋込層と前記第1高濃度拡散層とを接続する第1導電型の第2埋込層と、
を備える半導体装置が提供される。
【0007】
本発明によれば、第1埋込層は、第1低濃度拡散層の中で、第1高濃度拡散層の下方からゲート電極に向けて延在している。そして第1埋込層は、第2埋込層を介して第1高濃度拡散層に接続している。このため、第1高濃度拡散層と第2高濃度拡散層の間を流れる電流は、第1低濃度拡散層を流れるときに、第1埋込層及び第2埋込層を経由する成分が多くなる。すなわち第1高濃度拡散層と第2高濃度拡散層の間を流れる電流は、第1低濃度拡散層の表層のみではなく底部まで広がりやすくなる。従って、第1埋込層及び第2埋込層を設けない場合と比較して、第1低濃度拡散層を電流が流れるときの抵抗を低くすることができる。
【0008】
一方、第1埋込層は、第1高濃度拡散層より深い領域に形成されているため、第1埋込層とゲート電極の間には第1低濃度拡散層が位置する。このため、第1埋込層がゲート電極に向けて延在していても、トランジスタの耐圧が低くなることを抑制できる。
【0009】
このように本発明によれば、トランジスタの高耐圧特性を維持しながらオン抵抗を低減することができる。
【0010】
本発明によれば、基板に第1導電型の第1低濃度拡散層を形成する工程と、
前記第1低濃度拡散層に、第1導電型の第1埋込層を形成する工程と、
前記基板に、平面視において前記第1低濃度拡散層と隣り合うようにゲート絶縁膜及びゲート電極を形成する工程と、
前記第1低濃度拡散層に、下端が前記第1埋込層に接続していて前記第1埋込層の上方に向けて延伸している第1導電型の第2埋込層を形成する工程と、
前記第1低濃度拡散層の中に第1導電型の第1高濃度拡散層を、前記第1低濃度拡散層より浅く、底面が前記第2埋込層に接続するように、かつ平面視で前記ゲート電極から離間するように形成するとともに、前記ゲート電極を介して前記第1高濃度拡散層とは逆側に第2高濃度拡散層を形成する工程と、
を備え、
前記第1埋込層は、平面視で前記第1高濃度拡散層より前記ゲート電極の近くまで延在するように形成される半導体装置の製造方法が提供される。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、トランジスタの高耐圧特性を維持しながらオン抵抗を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】第1の実施形態に係る半導体装置の構成を示す断面図である。
図2図1に示した半導体装置の製造方法を示す断面図である
図3図1に示した半導体装置の製造方法を示す断面図である
図4図1に示した半導体装置の製造方法を示す断面図である
図5図1に示した半導体装置の製造方法を示す断面図である
図6図1に示した半導体装置の製造方法を示す断面図である
図7図1に示した半導体装置の製造方法を示す断面図である
図8図1に示した半導体装置の製造方法を示す断面図である
図9図1に示した半導体装置の製造方法を示す断面図である
図10】第2の実施形態に係る半導体装置の構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。尚、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0014】
図1は、第1の実施形態に係る半導体装置の構成を示す断面図である。この半導体装置は基板101、ゲート絶縁膜105、ゲート電極106、第1高濃度拡散層109、第2高濃度拡散層108、第1低濃度拡散層103、第1埋込層114、及び第2埋込層112を備えている。基板101は例えば第1導電型(例えばn−−)のシリコン基板である。ゲート絶縁膜105は例えばシリコン酸化膜であり、基板101上に形成されている。ゲート電極106はゲート絶縁膜105上に形成されている。第1高濃度拡散層109及び第2高濃度拡散層108はそれぞれ第1導電型(例えばn++)であり、平面視においてゲート電極106を介して互いに対向している。第1低濃度拡散層103は第1導電型(例えばn)であり、第1高濃度拡散層109を内側に含むように、第1高濃度拡散層109より広くかつ深く形成されている。第1高濃度拡散層109は、平面視でゲート電極106から離間しており、第1低濃度拡散層103は、平面視において第1高濃度拡散層109よりもゲート電極の近くまで形成されている。第1埋込層114は第1導電型(例えばn)であり、第1低濃度拡散層103の中に第1高濃度拡散層109より深い領域で、第1高濃度拡散層109の下方からゲート電極106に向けて延在している。第1埋込層114は第1低濃度拡散層103より不純物濃度が高い。第2埋込層112は第1導電型(たとえばn)であり、第1低濃度拡散層103の中に形成され、第1埋込層114とゲート電極106とを接続している。
【0015】
本図に示す例において第1高濃度拡散層109はドレイン拡散層であり、第2高濃度拡散層108はソース拡散層である。第1高濃度拡散層109とゲート絶縁膜105の間は、素子分離膜102によって離間されている。すなわち素子分離膜102は、基板101のうちゲート絶縁膜105が形成されている領域と第1高濃度拡散層109が形成されている領域とを相互に分離している。素子分離膜102は、例えばLOCOS法により形成されているが、STI法により形成されていても良い。なおゲート電極106は、ゲート絶縁膜105上から素子分離膜102上まで延在している。
【0016】
第1低濃度拡散層103はドレインドリフト拡散層であり、素子分離膜102の下方にも形成されており、平面視で縁がゲート絶縁膜105の一部と重なっている。そして第1埋込層114は、平面視で縁がゲート絶縁膜105の縁と重なっている。すなわち第1埋込層114は、ゲート絶縁膜105の縁の下方から第1高濃度拡散層109の下方まで延在している。
【0017】
また基板101には、第2導電型(例えばp)の第2低濃度拡散層104が形成されている。第2低濃度拡散層104は、ソース拡散層である第2高濃度拡散層108を内側に含むように、第2高濃度拡散層108より広くかつ深く形成されている。第2低濃度拡散層104の不純物濃度は、基板101より高い。第2低濃度拡散層104は、縁がゲート絶縁膜105及びゲート電極106の下方まで延在しているが、第1低濃度拡散層103からは離間している。なお第2低濃度拡散層104は、第1低濃度拡散層103及び第1埋込層114より浅く形成されている。
【0018】
図1に示した半導体装置は、ゲート絶縁膜105、ゲート電極106、第1高濃度拡散層109、第2高濃度拡散層108、第1低濃度拡散層103、第2低濃度拡散層104、第1埋込層114、及び第2埋込層112によって高耐圧のMOS型のトランジスタが形成されている。そしてこのトランジスタ及び素子分離膜102上には、層間絶縁膜110が形成されている。層間絶縁膜110上には配線113a,113bが形成されている。配線113aは層間絶縁膜110に埋め込まれたコンタクト111aを介して第1高濃度拡散層109に接続しており、配線113bは、層間絶縁膜110に埋め込まれたコンタクト111bを介して第2高濃度拡散層108に接続している。
【0019】
なお層間絶縁膜110にはコンタクト111cも埋め込まれている。コンタクト111cは、第2低濃度拡散層104に形成された第2導電型(例えばp)の拡散層107と配線113bとを接続している。拡散層107は、第2導電型のバックゲート拡散層であり、第2高濃度拡散層108に隣接している。
【0020】
図2図9は、図1に示した半導体装置の製造方法を示す断面図である。この半導体装置の製造方法は、以下の工程を有する。まず基板101に第1低濃度拡散層103を形成する。次いで第1低濃度拡散層103に第1埋込層114を形成する。次いで、基板101に、平面視において第1低濃度拡散層103と隣り合うようにゲート絶縁膜105及びゲート電極106を形成する。次いで、第1低濃度拡散層103に第2埋込層112を形成する。次いで、第1低濃度拡散層103の中に第1高濃度拡散層109を形成するとともに、ゲート電極106を介して第1高濃度拡散層109とは逆側に第2高濃度拡散層108を形成する。以下、詳細に説明する。
【0021】
まず図2に示すように、基板101上にレジストパターン115を形成し、レジストパターン115をマスクとして基板101に第1導電型の不純物(例えばリン)を導入する。第1導電型の不純物は、例えば注入エネルギーが異なる複数回のイオン注入により、基板101に導入される。これにより、基板101には第1低濃度拡散層103が形成される。基板101の不純物濃度は、例えば1×1014 cm-3以上3×1015cm-3以下であり、第1低濃度拡散層103の不純物濃度は、例えば2×1016cm-3以上8×1016cm-3以下である。第1低濃度拡散層103は、例えば深さが2〜3μmの深さを有しており、かつ素子分離膜102が形成される領域の下方にも形成される。
【0022】
その後図3に示すように、レジストパターン115を除去する。次いでマスクパターン120を形成し、マスクパターン120を用いてLOCOS酸化法を行うことにより、素子分離膜102を形成する。素子分離膜102の厚さは、例えば0.3μm以上1μm以下である。
【0023】
その後図4に示すように、マスクパターン120を除去する。次いでレジストパターン122を形成し、レジストパターン122をマスクとして基板101に第2導電型の不純物(例えばボロン)を導入する。第2導電型の不純物は、例えばイオン注入法により基板101に導入される。これにより基板101には第2低濃度拡散層104が形成される。第2低濃度拡散層104の不純物濃度は例えば1×1016 cm-3以上1×1017cm-3以下である。
【0024】
その後図5に示すように、レジストパターン122を除去する。次いでレジストパターン124を形成し、レジストパターン124をマスクとして基板101に第1導電型の不純物(例えばリン)をイオン注入する。これにより、第1埋込層114が形成される。第1埋込層114の不純物濃度は、例えば1×1016 cm-3以上1×1017cm-3以下である。
【0025】
その後図6に示すように、レジストパターン124を除去する。次いでゲート絶縁膜105を熱酸化法により形成する。次いでゲート絶縁膜105上にゲート電極106を形成する。ゲート電極106は、例えばポリシリコンにより形成されるが、後工程により、表層にシリサイド(図示せず)が形成される。
【0026】
次いで図7に示すように、レジストパターン126を形成し、レジストパターン126をマスクとして基板101に第1導電型の不純物(例えば砒素)をイオン注入する。これにより、基板101には第2埋込層112が形成される。第2埋込層112の不純物濃度は、例えば1×1018 cm-3以上1×1019cm-3 以下である。
【0027】
次いで図8に示すように、レジストパターン126を除去する。次いでレジストパターン128を形成し、レジストパターン128をマスクとして基板101に第2導電型の不純物(例えばボロン)をイオン注入する。これにより、基板101には拡散層107が形成される。拡散層107の不純物濃度は、例えば1×1018cm-3以上1×1020cm-3以下である。
【0028】
次いで図9に示すように、レジストパターン128を除去する。次いでレジストパターン130を形成し、レジストパターン130及びゲート電極106をマスクとして基板101に第1導電型の不純物(例えばリン)をイオン注入する。これにより、基板101には第1高濃度拡散層109及び第2高濃度拡散層108が形成される。第1高濃度拡散層109及び第2高濃度拡散層108の不純物濃度は、例えば1×1018cm-3以上1×1020cm-3以下である。
【0029】
その後、レジストパターン130を除去する。ゲート電極106の表層、第1高濃度拡散層109の表層、第2高濃度拡散層108の表層、及び拡散層107の表層それぞれにシリサイド(図示せず)を形成する。そして層間絶縁膜110、コンタクト111a,111b,111c、及び配線113a,113bを形成する。これにより、図1に示した半導体装置が形成される。
【0030】
なお上記した製造方法において、各拡散層を形成するタイミングは適宜変更されても良い。
【0031】
次に、本実施形態の作用及び効果について、図1を用いて説明する。本実施形態において、半導体装置は第1埋込層114及び第2埋込層112を有している。第1埋込層114は、第1低濃度拡散層103の中で、第1高濃度拡散層109の下方からゲート電極106に向けて延在している。そして第1埋込層114は、第2埋込層112を介してゲート電極106に接続している。このため、第1高濃度拡散層109と第2高濃度拡散層108の間を流れる電流は、第1低濃度拡散層103を流れるときに第1低濃度拡散層103の表層のみではなく底部まで広がりやすくなる。従って、第1埋込層114及び第2埋込層112を設けない場合と比較して、第1低濃度拡散層103を電流が流れるときの抵抗を低くすることができる。この効果は、本実施形態のように、第1低濃度拡散層103が平面視でゲート絶縁膜105の一部と重なっており、かつ第1埋込層114が平面視でゲート絶縁膜105の一部と重なっている場合に、特に顕著になる。
【0032】
一方、第1埋込層114は、第1高濃度拡散層109より深い領域に形成されているため、第1埋込層114とゲート電極106の間には第1低濃度拡散層103が位置する。このため、第1埋込層114がゲート電極106に向けて延在していても、トランジスタの耐圧が低くなることを抑制できる。
【0033】
詳細には、ドレイン領域となる第1高濃度拡散層109と基板101に対して逆バイアスとなる電圧が印加されると、第1高濃度拡散層109と基板101との接合部から空乏層が拡がり、電界分布は第1高濃度拡散層109と基板101との接合部、及びドレインドリフト拡散層である第1低濃度拡散層103の表層部のゲート絶縁膜105付近で大きくなる。この時、一般的なMOS型の半導体装置では、第1低濃度拡散層103の表層部で電界分布が急峻となり、トランジスタの耐圧が決まる。本実施形態では、第1埋込層114の耐圧が第1低濃度拡散層103の表層部の耐圧と同程度となるまで第1埋込層114を高濃度化することにより、耐圧を維持しつつオン抵抗の低減を実現することができる。
【0034】
図10は、第2の実施形態に係る半導体装置の構成を示す断面図である。この半導体装置は、第1導電型がp型であり、第2導電型がn型である点を除いて、第1の実施形態に係る半導体装置と同様の構成である。すなわち基板としてp−−の基板201を用いている。そして第1高濃度拡散層109及び第2高濃度拡散層108はそれぞれp++である。第1低濃度拡散層103はpであり、第1埋込層114及び第2埋込層112はpである。また第2低濃度拡散層104はnであり、拡散層107はnである。
【0035】
本実施形態によっても、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。なお本実施形態において、基板としてn−−の基板101を用いても良い。またn−−の基板101を使用した上で、本実施形態と同様に、第1高濃度拡散層109及び第2高濃度拡散層108をそれぞれp++として、第1低濃度拡散層103をpとして、第1埋込層114及び第2埋込層112をpとして、第2低濃度拡散層104をnとして、拡散層107をnとしてもよい。
【0036】
以上、図面を参照して本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
【符号の説明】
【0037】
101 基板
102 素子分離膜
103 第1低濃度拡散層
104 第2低濃度拡散層
105 ゲート絶縁膜
106 ゲート電極
107 拡散層
108 第2高濃度拡散層
109 第1高濃度拡散層
110 層間絶縁膜
111a コンタクト
111b コンタクト
111c コンタクト
112 第2埋込層
113a 配線
113b 配線
114 第1埋込層
115 レジストパターン
120 マスクパターン
122 レジストパターン
124 レジストパターン
126 レジストパターン
128 レジストパターン
130 レジストパターン
201 基板
図1
図2
図3
図4
図5
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図7
図8
図9
図10