(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来、これらの切断装置を設置するにあたっては、まず工場で切断装置を組み上げ、次に輸送に適した大きさに分解してトラック等で設置場所まで輸送し、設置場所で再度組み立てるという作業を行っていた。そして、再度組み立てるときに、油圧シリンダと油圧ユニットとを配管で接続する配管設置工事を行っていた。
しかし、一旦組み立てたものを分解し、再度組み立てるという作業は、作業工数が飛躍的に増大し、据え付け工事時間の増大を招いていた。この不都合を避けるために配管を切断装置に備え付けた状態で輸送しようとすると、輸送中や積み下ろし時に配管を破損する恐れがあるので、このような状態での輸送は困難であった。また、工場で組み立てた際に保証される品質が、設置場所では必ずしも保証されないという不都合もあった。さらに、上記配管設置工事は、通常フレームの上部に設けられた油圧シリンダからフレームの外側に沿って配管を設けるという作業が含まれているが、このような配管設置工事は高所での作業となり、安全性はもちろんのこと、足場を組んだり特別な機械を用いる必要があるので、作業内容および作業コストから見て決して容易な作業ではなかった。
また、油圧シリンダからフレームに沿って下ろしてきた配管は、油圧ユニットに接続するために、油圧ユニットまでの間を切断装置が据え付けられた基礎の上に水平方向に設けられる。このため、配管ないし配管を支持する支持部材が設置される基礎自体に水平レベル出しが必要であり、基礎工事のコストアップを招いていた。
この結果、配管設置工事を含む据え付け工事に通常3日程度を要しており、工事時間および工事コストの増大を招いていた。
さらに、フレームの外側に設けた従来の配管や基礎の上に設けられた従来の配管は通常外部に露出しているので、スクラップ投入作業の際、投入するスクラップや投入に用いる作業重機が配管に接触し、配管を破損する恐れがあった。
【0005】
そこで本願は、一旦組み立てた切断装置の分解を最小限に抑えることにより工場品質の保証が容易であり、しかも輸送に適した構造を有するとともに、配管設置工事を容易にし、基礎工事も簡略化でき、ひいては据え付け工事期間の短縮化、低コスト化を図ることができる切断本体装置、送り本体装置、切断装置、および切断装置の設置方法を実現することを目的とする。
さらに、設置後においても配管の損傷を効果的に防止できる切断本体装置、送り本体装置、および切断装置を実現することを目的とする
。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の請求項1記載の切
断装置は、
スクラップ等の被切断材を切断する切断本体装置と、前記切断本体装置に前記被切断材を供給する送り本体装置と、前記送り本体装置に隣接して設けられて流体圧を発生する流体圧発生源装置と、を有する切断装置であって、前記切断本体装置は、前記被切断材が通過する部分が開口した、外枠となるフレームと、前記フレームに対して
上下に往復可能に設けられた移動刃と、前記フレームに対して設けられた固定刃と、
前記移動刃の上部に設けられて前記移動刃を駆動する切断用アクチュエータと、
前記被切断材を押さえる押さえ部材と、前記押さえ部材の上部に設けられて前記押さえ部材を駆動する押さえ用アクチュエータと、前記流体圧発生源装置から発生した前記流体圧が前記切断用アクチュエータおよび前記押さえ用アクチュエータに伝達されるように前記流体圧の伝達先を切り替える切り替えバルブと、一方の端部が前記切断用アクチュエータ
及び前記押さえ用アクチュエータに
前記フレームの上部で接続され、
もう一方の端部が前記フレームの
下部に配置された切断本体装置配管と、を有
し、前記送り本体装置は、前記切断本体装置の前記フレームに設けられた前記開口と略同一の幅を有し、前記被切断材を載置する供給ボックスと、前記供給ボックス上の前記被切断材を前記切断本体装置に供給する供給装置と、前記供給ボックスを支持する脚部と、前記流体圧発生源装置に接続し、前記切断用アクチュエータおよび前記押さえ用アクチュエータに前記流体圧発生源装置から発生した前記流体圧を伝達するための送り本体装置配管と、を有し、前記切断本体装置の前記フレームの側面には、前記フレームの強度を保つために、前記フレームの外側に突出して鉛直方向及び水平方向に延設されたリブを備え、前記切断本体装置配管は、前記リブより内側に配置され、前記送り本体装置配管は、前記供給ボックスの下部に設けられて、一方の端部は前記切断本体装置の前記フレームの下部に近接するように配置され、前記送り本体装置配管の一方の前記端部と前記フレームの下部に配置された前記本体装置配管のもう一方の端部とは、フレキシブル配管で接続された切
断装置である。
ここで、「フレーム」とは、必ずしも枠状ないし板状である必要はなく、板、丸柱、角柱、アングル、H型鋼、L型鋼、トラス構造、網状構造、等の構成部材で形成されていてもよい。
また、フレームに「対して」とは、移動刃および固定刃をフレームに直接設ける場合も、フレーム以外の部材、例えば基礎に固定刃を設けることによりフレームから見れば間接的に設けられる場合も、フレームに「対して」設けることに含まれる。
さらに、「往復」とは、同じ経路を行き来する場合のみならず、往路と復路で異なる軌跡を描く場合も含まれる。
そして、「アクチュエータ」は、流体で駆動するもの、つまり、水、油等の液体で駆動するものの他、ガス等の気体で駆動する場合も含む。
また、「リブより内側」とは、フレームを構成する部材であるリブの最外辺よりも内側を意味する。また、切断本体装置配管がリブに沿って設けられる場合も、リブを貫通して設けられる場合も含む。
また、「供給ボックスの下部」とは、供給ボックスの下面に直接設けられる場合の他、直接供給ボックスに接していなくても供給ボックスと直接、ないし間接に接続されていればよい。
また、「流体圧発生源装置」とは、流体を媒体にして圧力を発生、供給する装置であり、水、油等の液体の他、ガス等の気体を媒体にする場合も含む。
また、「フレキシブル配管」とは、自由に曲げることのできる構造の配管であれば足り、金属、ゴム、塩化ビニル等の高分子等、構成材料は問わない。
【発明の効果】
【0007】
請求項
1記載の発明によれば、切断本体装置配管を
リブより内側に配置することにより、輸送時や設置時に重機の接触等による切断本体装置配管の損傷を防止することができる。それゆえ、配管工事を工場で行うことができるとともに配管を設置したままで輸送することができ、さらには設置現場での配管工事を行う必要がなくなる。また、配管部分の外部への突出が少ないので、切断本体装置をよりコンパクトにすることができ、輸送に適した大きさとなる。
加えて、切断本体装置を設置後も、スクラップ等の被切断材の投入作業の際、投入する被切断材自身や投入に用いる作業重機と配管との接触による配管の損傷を防止することができるものである。
また、切断装置の使用時においても、切断本体装置配管のメンテナンスを容易に行うことができる。
また、外部からの干渉のより少ない供給ボックスの下部に送り本体装置配管を設けているので、輸送時の送り本体装置配管の損傷を防止することができる。それゆえ、配管工事を工場で行うことができるとともに配管を設置したままで輸送することができ、さらには設置現場での配管工事を行う必要がなくなる。また、送り本体装置配管を設置する基礎の水平レベル出し作業を行う必要がなくなる。加えて、送り本体装置設置後も、スクラップ等の被切断材の投入作業の際、投入する被切断材自身や投入に用いる作業重機と配管との接触による配管の損傷を防止するとともに、投入後、供給装置により被切断材を切断本体装置に送り込む際に、あふれ落ちる被切断材と配管との接触による配管の損傷を防止することができるものである。
また、フレキシブル配管を用いることで、切断本体装置と送り本体装置と流体圧発生源装置のそれぞれを接続する場合、装置間の水平レベルの調整を行う必要がなくなるので、基礎工事の簡略化を図ることができるとともに、配管接続工事を容易に行うことができる。また、フレキシブル配管が配管の端部間のずれを吸収するので、切断装置使用時に生じる衝撃振動や地震の振動による配管の破断を防止することも可能である。
なお、フレキシブル配管を複数の配管で構成した場合は、径の小さなフレキシブル配管を用いることができるので、フレキシブル配管自体に求められる強度は径の大きなフレキシブル配管のそれよりも低くすることができ、汎用品を用いることが可能である。また、径の小さな配管を用いることができるので、取り扱いが容易で接続にそれほど大きな力を必要とせず、接続作業を容易に行うことができる
。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本発明の実施形態について説明する。
(1)切断本体装置
図1は、本発明の第1の実施形態における切断本体装置の正面図である。また、
図2は、本発明の第1の実施形態における切断本体装置の側面図である。切断本体装置100は、フレーム101、移動刃102、固定刃103、切断用油圧シリンダ104、切断本体装置配管105、押さえ用油圧シリンダ106、押さえ部材107、切り替えバルブ108、からなる。
【0010】
フレーム101は、切断本体装置100全体の外枠となるものであり、移動刃102、固定刃103を保持するとともに、上部に切断用油圧シリンダ104が設けられている。フレーム101は、
図1のように正面から見ると被切断材が通過する部分が開口する外観を有するとともに、
図2のように側面から見るとフレーム板101aによって完全に覆われた外観を有する。また、フレーム101の側面には、フレーム101の強度を保つために、リブ109およびリブ110が、それぞれフレーム101の
鉛直方向および水平方向に設けられている。
【0011】
移動刃102は、フレーム101に対して上下に往復可能に設けられている。また、固定刃103は、フレーム101に固定されて設けられている。これにより、移動刃102が下降することにより、固定刃103と交差し、その間に挟まれた被切断材であるスクラップ等を切断する。
なお、移動刃102と固定刃103はフレームに対して上下となるよう設けられているが、他の実施例として、これを左右に設けるとともに移動刃103が左右に往復するように設けてもよい。
また、移動刃102および固定刃103は、フレーム101に直接設ける場合も、フレーム101以外の部材、例えば基礎に直接設ける場合も、フレーム101に対して設けることに含まれる。
【0012】
切断用油圧シリンダ104は、切断用アクチュエータの一つであり、移動刃102の上部に設けられるとともに、移動刃102の上端に接続され、油圧で移動刃102を上下に駆動する。切断用油圧シリンダ104には、油圧を伝達するための配管である切断本体装置配管105が接続されている。切断本体装置配管105は、シリンダのキャップ側に接続される切断本体装置配管1051と、シリンダのヘッド側に接続される切断本体装置配管1052とを有している。切断本体装置配管1051は被切断材を切断する際に移動刃102を下降させる駆動力となる油圧を伝達する。切断本体装置配管1052は被切断材を切断後に移動刃102を上昇させる駆動力となる油圧を伝達する。
【0013】
押さえ用油圧シリンダ106は、押さえ用アクチュエータの一つであり、押さえ部材107の上部に設けられるとともに、押さえ部材107の上端に接続され、油圧で押さえ部材107を上下に駆動する。押さえ用油圧シリンダ106には、油圧を伝達するための配管である切断本体装置配管105が接続されている。切断本体装置配管105は、キャップ側に接続される切断本体装置配管1053と、ヘッド側に接続される切断本体装置配管1054とを有している。切断本体装置配管1053は切断時に被切断材を押圧する駆動力となる油圧を伝達する。切断本体装置配管1054は被切断材を切断後に押さえ部材107を上昇させる駆動力となる油圧を伝達する。
以上の通り、本実施例では、切断本体装置配管105は、切断本体装置配管1051、1052、1053、1054の合計4本を有する。ただし、切断本体装置配管1051、1052、1053、1054を区別する必要がない場合は、すべてをまとめて、切断本体装置配管105と記載する。
【0014】
押さえ部材107は、被切断材を切断する際に被切断材が動かないよう押圧するための部材である。
【0015】
切断本体装置配管105は、一方の端部105aが切断用油圧シリンダ104および押さえ用油圧シリンダ106に接続されるとともに、もう一方の端部105bが切り替えバルブ108に接続されている。そして、切断本体装置配管105は中間部はフレーム101の内側に配置されている。
本実施例では、切断用油圧シリンダ104が2機、押さえ用油圧シリンダ106が1機設けられ、それぞれに切断本体装置配管1051、1052、および1053、1054を要するが、同系統の配管はまとめることができるので、2機の切断用油圧シリンダ104の全てに共通の切断本体装置配管1051および切断本体装置配管1052を設けることで、合計4本の切断本体装置配管105を設けている。つまり、2機の切断用油圧シリンダ104の直前で切断本体装置配管1051および切断本体装置配管1052を分岐させ、それぞれの切断用油圧シリンダ104に接続することになる。もちろん、このような分岐を設けず、合計6本の切断本体装置配管105を設けるようにしてもよい。
【0016】
本実施例では、
図3(a)のように切断本体装置配管105を、フレーム101を構成するフレーム板101aの内側、すなわち側面から見てフレーム板101aの裏側を通るように設置している。これにより、輸送時や設置時、使用時に重機の接触等による切断本体装置配管の損傷を防止することができる。
【0017】
なお、他の実施例として、
図3(b)(c)(d)のように、フレーム板101aの外側でかつリブ109、110の最外辺よりも内側に設けてもよい。つまり、
図3(b)(c)(d)の場合、切断本体装置配管105は、リブ109に対して平行に、かつリブ110に対して垂直に設けられている。そして
図3(b)の場合、リブ110と交差する部分に穴110aが設けられ、切断本体装置配管105は穴110aに通されている。また、
図3(c)の場合、リブ110と交差する部分に、穴の一部が切り欠かれた形状、すなわち穴の一部が外部に連通した形状である通し穴110bが設けられ、切断本体装置配管105は通し穴110bに通されている。また、
図3(d)の場合は、リブ110とは交差せず、リブ110の外側に切断本体装置配管105が設けられている。この場合においても、切断本体装置配管105はリブ109の最外辺よりも内側に設けられている。
いずれの場合も、切断本体装置配管105は、リブ109、ないしリブ110の最外辺よりも内側に設けられているので、外部からの干渉による切断本体装置配管の損傷を防止することができるとともに、切断装置の使用時においても、切断本体装置配管のメンテナンスを容易に行うことができる。また、
図3(c)(d)の場合は、切断本体装置配管105の設置が容易であるという効果も有する。
【0018】
さらに、他の実施例として、フレーム101を構成する支柱に中空の丸状ないし角状の鋼材を使用し、その内部に切断本体装置配管105を設けてもよい。これにより、切断本体装置配管を、外部からの干渉の可能性が最も少ない領域に設けることになり、輸送時等の切断本体装置配管の損傷をより効果的に防止することが可能である。
【0019】
また、本実施例では、切断本体装置配管105は、
図2、
図3(a)のように、移動刃102および押さえ部材107の外側で、かつ移動刃102および押さえ部材107の境界領域付近に設置している。これにより、切断本体装置配管105を、外部からの干渉の可能性がより少ない領域に設けることになり、輸送時等の切断本体装置配管の損傷をより効果的に防止することが可能である。
なお、本実施例では
図4(a)のように全ての切断本体装置配管105をこの領域に配置しているが、他の実施例として、
図4(b)のように一部の切断本体装置配管105を移動刃102の外側近傍、または押さえ部材107の外側近傍に設けてもよく、あるいは
図4(c)のように全ての切断本体装置配管105を移動刃102の外側近傍、または押さえ部材107の外側近傍に設けてもよい。
また、これらは4本の配管を並列に並べたが、2本ずつ重なるように田の字型に配置してもよい。
【0020】
切り替えバルブ108は、切断用油圧シリンダ104および押さえ用油圧シリンダ106に伝達する駆動力を切り換えるものである。
図5の通り、切り替えバルブ108には、切断本体装置配管105が切り替えバルブ108の端部108aに接続されるとともに、後述の送り本体装置の送り本体装置配管が端部108bに接続される。その動作については切断装置の動作の項で説明する。
【0021】
なお、本実施例では、切り替えバルブ108は切断本体装置100の下部で、後述の送り本体装置付近に設けられているが、他の実施例として、
図6のように、切り替えバルブ108を切断本体装置600の上部に設けてもよい。
図6は、本発明の第1の実施形態における他の実施例の切断本体装置の正面図である。
図1との相違は、切り替えバルブ108を切断本体装置600の上部に設けている点にある。そして、切り替えバルブ108の端部108bには、切断本体装置配管1055、および切断本体装置配管1056が接続されている。切断本体装置配管1055は、切断本体装置600の下部で後述の送り本体装置の送り本体装置配管(高圧側配管)に接続されるとともに、切断本体装置配管1056は、切断本体装置600の下部で後述の送り本体装置の送り本体装置配管(低圧側配管)に接続されている。
【0022】
図6の実施例によれば、フレーム101に沿って設置される切断本体装置配管1055、1056を2本とすることができるので、切断本体装置配管105の設置スペースを削減することができる。
【0023】
(2)送り本体装置
図7は、本発明の第1の実施形態における送り本体装置の側面図である。また、
図8は、本発明の第1の実施形態における送り本体装置の背面図である。送り本体装置200は、供給ボックス201、供給装置202、脚部203、送り本体装置配管204からなる。また、脚部203と基礎との間には、防振装置205が設けられている。また、送り本体装置200に隣接して、油圧ユニット300が設けられている。
【0024】
供給ボックス201は、被切断材を載置するものであり、切断本体装置100のフレーム101の正面の開口と略同一の幅を有する。なお、
図7に図示はしていないが、切断本体装置100にスムーズに被切断材を供給するため、被切断材を圧縮ないし幅寄せするための構成を、供給ボックス201の長辺の少なくとも一方に設けてもよい。
【0025】
供給装置202は、供給ボックス201に載置された被切断材を、切断本体装置100に供給するものである。具体的には、供給装置202を油圧シリンダ、電動モータ、又は油圧モータで切断本体装置100側に移動させることにより、被切断材の供給動作を行う。
なお、供給ボックス201の底面にコンベヤを設けて協働するようにしてもよい。この場合、コンベヤも供給装置202の一部をなす。
【0026】
脚部203は、送り本体装置200を支持するものであり、移動しないように地面にアンカーボルト等で固定される。なお、脚部203と基礎の間に、防振装置205を設けることもできる。これにより、防振効果はもちろんのこと、被切断材の切断時に発生する衝撃荷重を緩和することもでき、基礎に求められる最大荷重を低減することができる結果、基礎工事を簡略化することが可能となる。防振装置205は、例えば金属製や樹脂製のスプリング、オイルダンパーなどで構成することができる。なお、脚部203と基礎の間に防振装置205を設ける場合は、後述の
図9のように、切断本体装置100の下部と基礎との間にも防振装置を設けるのが望ましい。
【0027】
送り本体装置配管204は、切断本体装置100の切断用油圧シリンダ104ないし押さえ用油圧シリンダ106に、油圧ユニット300から供給される油圧を伝達するものであり、高圧用配管2041および低圧用配管2042とからなる。送り本体装置配管204は、供給ボックス201の下面かつ中央付近に設けられている。供給ボックス201の下面に設けることにより、輸送時等には外部からの干渉による損傷を防止でき、設置現場で配管工事を行う必要がなくなる。また、設置後は切断作業の邪魔になることなく、供給ボックスの下部のデッドスペースを有効に活用することができる。
【0028】
なお、本実施例では送り本体装置配管204を供給ボックス201の下面に直接接するよう設けたが、他の実施例として、供給ボックス201の下面に支持部材を設け、支持部材により宙づり状態で送り本体装置配管204を設けてもよい。この場合でも、送り本体装置配管204は、供給ボックス201の下部に設けられていることになる。
また、送り本体装置配管204は、必ずしも供給ボックス201の中央付近に設ける必要はなく、どちらか一方の長辺に隣接するように設けてもよい。
【0029】
さらに、本実施例では、切断本体装置100の切り替えバルブ108で、切断用油圧シリンダ104と押さえ用油圧シリンダ106に分岐させているので、送り本体装置配管204は、高圧側配管2041および低圧側配管2042の2本で構成される。しかし、切り替えバルブ108を設けない構成の場合は、それぞれに対応する高圧側配管、低圧側配管が必要なので、送り本体装置配管204は4本設けることになる。
【0030】
送り本体装置配管204の一方の端部204aは、切断本体装置100が接続される側の端部であり、切断本体装置100の切り替えバルブ108に近接するように設けられている。また、送り本体装置配管204のもう一方の端部204bは、油圧ユニット300が接続される側の端部であり、油圧ユニット300に近接するように設けられている。
なお、端部204a、端部204bは、送り本体装置配管204を脚部203に沿わせて引き出し、脚部203上に設けてもよい。
【0031】
(3)切断本体装置、送り本体装置、油圧ユニット間の配管
図9は、切断本体装置100、送り本体装置200、および油圧ユニット300間の接続の様子を表した側面図である。
【0032】
切り替えバルブ108の一方には、切断本体装置100の切断本体装置配管105の端部105aが接続される端部108aが設けられている。そして、切り替えバルブ108の他方には、高圧用配管2041と低圧用配管2042が接続される端部108bが設けられている。
一方、送り本体装置200の送り本体装置配管204の高圧側配管2041と低圧側配管2042の端部204aは、切り替えバルブ108付近に設けられている。
そして、高圧用配管2041と低圧用配管2042のそれぞれの端部204aと、切り替えバルブ108の端部108bとがフレキシブル配管401で接続されている。
【0033】
また、油圧ユニット300にも、高圧側と低圧側の入出力端部300aが設けられている。
一方、送り本体装置200の送り本体装置配管204の高圧側配管2041と低圧側配管2042の端部204bは、油圧ユニット300付近に設けられている。
そして、高圧用配管2041と低圧用配管2042のそれぞれの端部204bと、油圧ユニット300の高圧側と低圧側の入出力端部300aとがフレキシブル配管402で接続されている。
【0034】
これにより、装置間の水平レベルの調整を行う必要がなくなるので、基礎工事の簡略化を図ることができるとともに、配管接続工事を容易に行うことができる。
【0035】
また、かかる接続の際、フレキシブル配管の長さを、各端部間の距離よりも長くしておき、フレキシブル配管をU字やS字に曲げて接続しておけば、切断作業時や地震などの衝撃が加わっても衝撃や装置間の相対位置のずれを吸収することができるので、配管の破損や破断を防止することが可能である。
【0036】
本実施例では、フレキシブル配管としてゴム製の配管を用いている。もちろん、材質はこれに限らず、金属製やゴム、塩化ビニル等の高分子製等を用いることができ、自由に曲げることができるものであればよい。
【0037】
また、本実施例では、低圧側配管、高圧側配管の双方ともフレキシブル配管で接続したが、他の実施例として、どちらか一方のみをフレキシブル配管で接続してもよい。
さらに、高圧側配管については、高圧側配管を複数に分けて、複数のフレキシブル配管で接続するようにしてもよい。
【0038】
なお、以上は
図1の切断本体装置100を用いた時の例を示したが、
図6の切断本体装置600を用いた時も同様である。
この場合、高圧用配管2041と低圧用配管2042のそれぞれの端部204aと、切断本体装置配管1055および切断本体装置配管1056の端部とをフレキシブル配管401で接続することになる。
【0039】
なお、本実施例ではフレキシブル配管401、402を用いて接続を行ったが、通常の金属製の配管を使って接続する場合も本発明に含まれる。
【0040】
(4)切断装置の動作
以上により構成された切断装置の動作を、
図10を用いて説明する。
図10は、切断装置の動作を示したフロチャートである。
【0041】
送り本体装置200の供給ボックス201内の被切断材を所定距離だけ供給装置202で切断本体装置100側に押し出す(S1)。これにより、移動刃102と固定刃103とで形成される空間に、被切断材が所定距離だけせり出した状態となる。
【0042】
まず、押さえ用油圧シリンダ106に接続された切断本体装置配管1053に油圧ユニット300から油圧を供給するよう切り替えバルブ108を切り換える(S2)。これにより、押さえ部材107は下降して被切断材を上から押さえ、切断時に被切断材がずれたり切断の衝撃で飛ばされたりするのを防止することができる。
【0043】
次に、切断用油圧シリンダ104に接続された切断本体装置配管1051に油圧ユニット300から油圧を供給するよう切り替えバルブ108を切り換える(S3)。これにより、移動刃102は下降して被切断材を切断する。
【0044】
そして、切断用油圧シリンダ104に接続された切断本体装置配管1052および押さえ用油圧シリンダ106に接続された切断本体装置配管1054に、油圧ユニット300から油圧を供給するよう切り替えバルブ108を切り換える(S4)。これにより、移動刃102および押さえ部材107は同時に上昇して初期状態となり、次の被切断材の切断に備える。
【0045】
以上の動作を繰り返すことにより、被切断材を順次切断する。
なお、S4において、移動刃102および押さえ部材107を同時に上昇させたが、これに代えて、まず移動刃102を上昇させ、次に押さえ部材107を上昇させてもよい。あるいは、まず押さえ部材107を上昇させ、次に移動刃102を上昇させてもよい。この他、まず押さえ部材107を少し上昇させ、スクラップの拘束を解いた後に、押さえ部材107と移動刃102を同時に上昇させてもよい。
【0046】
(5)切断装置の設置方法
以上の切断装置の設置方法について、
図9および
図11を用いて説明する。
図11は切断装置の設置方法を示したフロチャートである。
【0047】
まず、切断本体装置100、送り本体装置200、油圧ユニット300を設置する場所の基礎工事を行う(S11)。ただし、ある程度地盤が強固な場所であれば基礎工事は不要で、土間に直接、あるいは土間に鉄板を敷いてその上にこれらの装置を設置してもよい。いずれにしても、従来の基礎工事のように、厳密な水平出し等は不要である。
【0048】
次に、基礎、土間、ないし鉄板の上に、切断本体装置100、送り本体装置200、油圧ユニット300を所定の場所に設置する(S12)
【0049】
そして、切断装置100と送り本体装置200、および送り本体装置200と油圧ユニット300とを、それぞれフレキシブル配管401、402で接続する(S13)。
具体的には、送り本体装置200の高圧用配管2041と低圧用配管2042のそれぞれの端部204aと、切り替えバルブ108の端部108bとをフレキシブル配管401で接続する。また、送り本体装置200の高圧用配管2041と低圧用配管2042のそれぞれの端部204bと、油圧ユニット300の入出力端部300aとをフレキシブル配管402で接続する。
なお、これらの接続の順序は任意である。
【0050】
以上のように、本願の切断装置の設置方法によれば、基礎工事が簡略化できるとともに、複雑な配管工事を行う必要がなく、工事期間の短縮化、低コスト化を図ることが可能である。
なお、フレキシブル配管401,402の代わりに、通常の配管で接続するようにしてもよい。その場合でも、切断本体装置および送り本体装置の特徴により、基礎工事、配管工事がある程度簡略化できるものである。
【0051】
なお、本実施例では、切断本体装置100と送り本体装置200と油圧ユニット300とをフレキシブル配管で接続したが、切断装置100と油圧ユニット300とを直接フレキシブル配管で接続してもよい。