(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記機構本体が位置決めされた状態で、前記キャリア上に所定の位置関係で設けられた複数の前記自転軸または自転軸取付部にそれぞれ前記遊星歯車を取り付けることで、該遊星歯車を前記固定歯車に組み付ける部品の組立方法であって、
前記複数の自転軸または自転軸取付部のいずれか1つの位置を測定する自転軸測定工程をさらに備え、
前記自転軸測定工程で測定された自転軸または自転軸取付部に取り付けられる遊星歯車については、前記組付け位置決定工程において、前記測定された自転軸または自転軸取付部の測定位置を組付け位置として決定し、
前記自転軸測定工程で測定されなかった残りの自転軸または自転軸取付部に取り付けられる遊星歯車については、前記組付け位置決定工程において、前記測定された自転軸または自転軸取付部と残りの自転軸または自転軸取付部との位置関係に基づいて組付け位置を決定することを特徴とする請求項2に記載の部品の組立方法。
設置面に対する前記機構本体の傾きが不定であり且つ該機構本体が同一面上で移動及び/又は回転可能に設置された状態で、前記キャリア上に所定の位置関係で設けられた少なくとも3つの前記自転軸または自転軸取付部にそれぞれ前記遊星歯車を取り付けて、該遊星歯車を前記固定歯車に組み付ける部品の組立方法であって、
前記基準状態決定工程では、予め所定の位置および位相にセットされた固定歯車に遊星歯車を組み付けたときの固定歯車の位置と位相と設置面に対する傾きとを基準位置、基準位相及び基準傾きとして記憶しておき、
前記位相算出工程の前に、前記3つの自転軸または自転軸取付部の位置に基づいて、前記固定歯車の位置と位相と設置面に対する傾きとを検出する検出工程と、
前記基準状態決定工程で記憶された固定歯車の基準位置、基準位相及び基準傾きと、前記検出工程で検出された固定歯車の位置、位相及び設置面に対する傾きとの関係に基づいて、前記基準状態決定工程で記憶された基準組付け位置及び基準組付け位相を補正する基準補正工程と、をさらに備え、
前記位相算出工程では、前記組付け位置決定工程で決定された遊星歯車の組付け位置と、前記基準補正工程で補正された基準組付け位置との関係に基づいて、前記基準補正工程で補正された基準組付け位相に対する補正位相を、前記組付け位置に応じた遊星歯車の位相として算出することを特徴とする請求項2に記載の部品の組立方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、前記第1の方法では、部品の組付けの度に探り動作を行う必要があるため、例えば遊星歯車機構において複雑に噛み合う複数の歯車を組み付ける場合など、作業時間が長くなってしまうとともに、探り動作により部品に傷がつくことがある。
【0008】
また、前記第2の方法では、位置合わせのための組付け位置の検出と、位相合わせのための歯形等の検出とが必要であるため、検出動作が複雑になってしまう。特に、歯車等の構造が複雑な部品の位相を検出する際、歯形等の複雑な形状を検出する必要があることから、正確な位相検出のために高度なセンシング技術が必要となり、コストの増大を招いてしまう。さらに、特許文献1の技術のように、組付け対象である両部品に位相合わせ用のマーカを付する場合は、マーカを形成する手間が生じるとともに、部品の美観が損なわれる欠点もある。
【0009】
なお、特許文献1の技術は、位置が決まっている第1の部品に第2の部品を組み付けるものであるが、第1の部品の位置が決まっていない場合、即ち、位相合わせの前に位置合わせを行う必要がある場合は、前記第2の方法が採用されることとなるため、同様の問題が生じる。
【0010】
そこで、本発明は、位置合わせと位相合わせとが必要な部品同士の組付け作業を、高度で複雑なセンシング技術を用いることなく、短時間で完了させることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記課題を解決するため、本発明に係る部品の組立方法は、
所定の位置および位相にセットされた第1の
歯車に、該第1の
歯車に対する組付け位置が不定であり且つ該組付け位置に応じた位相でのみ第1の
歯車に組付け可能な第2の
歯車を組み付けるための部品の組立方法であって、
第2の
歯車の組付け位置を決定する組付け位置決定工程と、
第2の歯車を所定の位相でのみ把持可能な把持装置によって該第2の歯車を把持することで、前記把持装置に対して第2の歯車の位相を位置決めする把持工程と、
第2の
歯車の組付け位置と第1の
歯車の位相と第2の
歯車の位相との相関関係に基づいて、前記組付け位置決定工程で決定された組付け位置に応じた第2の
歯車の位相を算出する位相算出工程と、
前記把持装置によって把持された第2の歯車の位相を、前記位相算出工程で算出された位相に合わせ、位相合わせされた第2の歯車を、前記組付け位置決定工程で決定された組付け位置で
第1の歯車に組み付ける組付け工程と、を有することを特徴とする。
【0012】
なお、本明細書における「組付け位置に応じた位相でのみ第1の部品に組付け可能な第2の部品」という記載は、「組付け位置に応じた位相」が1つしかないことを意味するものでなく、1つ以上の「組付け位置に応じた位相」のうち任意の位相で組付け可能であることを意味している。例えば、第1の部品と第2の部品とが歯車である場合、第2の部品の「組付け位置に応じた位相」は第2の部品の歯毎に1つずつ存在し、任意の歯の「組付け位置に応じた位相」で組付け可能であることを意味する。
【0014】
さらに、上記の部品の組立方法
は、
回転不能に機構本体に固定された内歯車または太陽歯車の一方からなる固定歯車と、
該固定歯車の中心軸周りに回転可能な内歯車または太陽歯車の他方からなる回転歯車と、
前記中心軸周りに回転可能なキャリアと、
該キャリア上に設けられた自転軸または自転軸取付部に組み付けられることで該自転軸周りに自転可能且つ前記中心軸周りに公転可能なように該キャリアに支持される遊星歯車と、を備えた遊星歯車機
構を組み立てるための部品の組立方法であって、
前記第1の歯車は前記固定歯車であり、
前記第2の歯車は前記遊星歯車であり、
予め所定の位置および位相にセットされた固定歯車に遊星歯車を組み付けたときの該遊星歯車の組付け位置と位相とを基準組付け位置及び基準組付け位相として記憶しておく基準状態決定工程をさらに備え、
前記組付け位置決定工程では、前記自転軸または自転軸取付部の位置を組付け位置として決定し、
前記位相算出工程では、前記組付け位置決定工程で決定された遊星歯車の組付け位置と、前記基準組付け位置との関係に基づいて、前記基準組付け位相に対する補正位相を前記組付け位置に応じた遊星歯車の位相として算出してもよい。
【0015】
また、前記課題を解決するため、本発明に係る部品の組立装置は、
所定の位置および位相にセットされた第1の
歯車に、該第1の
歯車に対する組付け位置が不定であり且つ該組付け位置に応じた位相でのみ第1の
歯車に組付け可能な第2の
歯車を組み付けるための部品の組立装置であって、
第2の歯車を所定の位相でのみ把持可能な把持装置と、
第1の
歯車に第2の
歯車を組み付ける組付け装置と、
該組付け手段を制御する制御装置と、を備え、
該制御装置は、
第2の
歯車の組付け位置を決定する組付け位置決定部と、
第2の
歯車の組付け位置と第1の
歯車の位相と第2の
歯車の位相との相関関係に基づいて、前記組付け位置決定部により決定された組付け位置に応じた第2の
歯車の位相を算出する位相算出部と、
前記把持装置によって把持された第2の歯車の位相を、前記位相算出部で算出された位相に合わせ、位相合わせされた第2の歯車を、前記組付け位置決定部により決定された組付け位置で
第1の歯車に組み付けるように前記組付け装置を制御する組付け制御部と、を備えたことを特徴とする。
【0016】
さらに、上記の部品の組立装置は、
回転不能に機構本体に固定された内歯車または太陽歯車の一方からなる固定歯車と、
該固定歯車の中心軸周りに回転可能な内歯車または太陽歯車の他方からなる回転歯車と、
前記中心軸周りに回転可能なキャリアと、
該キャリア上に設けられた自転軸または自転軸取付部に組み付けられることで該自転軸周りに自転可能且つ前記中心軸周りに公転可能なように該キャリアに支持された遊星歯車と、を備えた遊星歯車機構を組み立てるための部品の組立装置であって、
前記第1の
歯車は前記固定歯車であり、
前記第2の
歯車は前記遊星歯車であり、
前記キャリア上の自転軸または自転軸取付部の位置を測定する測定装置と、
予め所定の位置および位相にセットされた固定歯車に遊星歯車が組み付けられたときの該遊星歯車の組付け位置と位相とを基準組付け位置及び基準組付け位相として記憶する記憶装置と、をさらに備え、
前記組付け位置決定部は、前記自転軸または自転軸取付部の位置を組付け位置として決定し、
前記位相算出部は、前記組付け位置決定部により決定された遊星歯車の組付け位置と、前記記憶装置に記憶された基準組付け位置との関係に基づいて、前記記憶装置に記憶された基準組付け位相に対する補正位相を前記組付け位置に応じた遊星歯車の位相として算出してもよい。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、所定の位置および位相にセットされた第1の
歯車に、該第1の
歯車に対する組付け位置が不定であり且つ該組付け位置に応じた位相でのみ第1の
歯車に組付け可能な第2の
歯車を組み付ける場合において、
第2の歯車を所定の位相でのみ把持可能な把持装置によって該第2の歯車が把持されることで、把持装置に対して第2の歯車の位相が位置決めされ、第2の
歯車の組付け位置と第1の
歯車の位相と第2の
歯車の位相との相関関係に基づいて、組付け位置に応じた第2の
歯車の位相が算出され、該算出された位相
に、把持装置によって把持された第2の歯車の位相が合わせられ、該位相合わせされた第2の歯車が第1の歯車に組み付けられる。そのため、位相合わせのための位相検出や探り動作を極力省略することができ、高度で複雑なセンシング技術を用いることなく、短時間で組付け作業を完了することができる。
【0018】
また、本発明により遊星歯車機構の固定歯車に遊星歯車を組み付ける場合において、予め所定の位置および位相にセットされた固定歯車に遊星歯車を組み付けたときの該遊星歯車の組付け位置と位相とを基準組付け位置及び基準組付け位相として記憶しておき、遊星歯車の組付け位置と前記基準組付け位置との関係に基づいて、前記基準組付け位相に対する補正位相を前記組付け位置に応じた遊星歯車の位相として算出する場合、遊星歯車機構の組立てにおいて上記の効果を得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態について、添付図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下の説明において、同一又は類似の構成部分には同一の符号を用いている。
【0021】
図1は、本実施形態に係る部品の組立装置1を示すシステム図である。
【0022】
図1に示す組立装置1は、所定の位置および位相にセットされた第1の部品に、該第1の部品に対する組付け位置が不定であり且つ該組付け位置に応じた位相でのみ第1の部品に組付け可能な第2の部品を組み付けるための装置であり、第1の部品に第2の部品を組み付けるロボット2と、該ロボット2を制御する制御装置10とを備える。
【0023】
ロボット2は、第1の部品に対する組付け位置へ第2の部品を搬送するアーム4と、該アーム4の先端部に連結されて第2の部品を把持するチャック装置6とを有する。チャック装置6の具体的な構成については後述する。
【0024】
制御装置10には、ロボット2の制御に必要な各種情報を記憶するための記憶装置12が搭載されている。ただし、本発明において、記憶装置12は、制御装置10内に搭載されるものに限られず、制御装置10に接続された外部記憶装置であってもよい。
【0025】
また、制御装置10は、ロボット2の制御に必要な各種位置情報を検出するための画像センサ30と、後述の探り動作による組付け動作の成否判定に必要な情報を検出するための探り判定用センサ88とから出力される信号を入力可能に設けられている。これにより、制御装置10は、画像センサ30と探り判定用センサ88とから送られる各種情報と、記憶装置12に記憶された各種情報とに基づいて演算処理を行い、ロボット2のアーム4及びチャック装置6へ制御信号を出力するようになっている。
【0026】
図2は、上述の組立装置1による組立対象の一例としての遊星歯車機構40を示している。
【0027】
図2に示すように、遊星歯車機構40は、回転不能に機構本体42に固定された固定歯車としての内歯車44と、該内歯車44の中心軸47周りに回転可能な回転歯車としての太陽歯車56と、前記中心軸47周りに回転可能なキャリア46と、該キャリア46上に設けられた自転軸48〜50に組み付けられることで該自転軸48〜50周りに自転可能且つ前記中心軸47周りに公転可能なようにキャリア46に支持された遊星歯車52〜54とを有する。
【0028】
自転軸48〜50はキャリア46上に3つ設けられており、それぞれの自転軸48〜50に遊星歯車52〜54が取り付けられている。ただし、本発明において、自転軸48〜50及び遊星歯車52〜54の個数は3つ未満または4つ以上であってもよい。
【0029】
また、本実施形態では、内歯車44が固定歯車、太陽歯車56が回転歯車となっているが、本発明は、太陽歯車56が固定歯車、内歯車44が回転歯車である場合にも同様に適用することができる。
【0030】
この遊星歯車機構40を組み立てる際は、先ず、装置本体42に内歯車44を固定し、該内歯車44の中心軸47にキャリア46を取り付ける。続いて、キャリア46上に設けられた自転軸48〜50にそれぞれ遊星歯車52〜54を取り付けつつ、該遊星歯車52〜54を内歯車44に組み付ける。最後に、内歯車44の中心軸47に太陽歯車56を取り付けつつ、該太陽歯車56を3つの遊星歯車52〜54に組み付けることで、遊星歯車機構40が組み立てられる。
【0031】
この組み立て作業において、内歯車44に各遊星歯車52〜54を組み付ける際、内歯車44に対する遊星歯車52〜54の位置合わせと、該組付け位置に対応する遊星歯車52〜54の位相合わせとが必要となる。仮に、これら位置合わせと位相合わせの両方を画像センサ等による検出結果に基づいて成し遂げようとすると、高度で複雑なセンシング技術が必要となり、コストの増大を招いてしまう。一方、仮に、画像センサ等による測定結果に基づいて位置合わせを行うとともに、所謂探り動作により位相合わせを行う場合、遊星歯車52〜54の組付けの度に探り動作を行う必要があり、作業時間が長くかかるとともに、歯車が傷ついてしまう懸念がある。
【0032】
こうした従来の問題を解消すべく、本実施形態では、高度で複雑なセンシング技術を用いることなく、また、探り動作を極力省略することで作業時間の短縮を図りつつ、内歯車44に遊星歯車52〜54を組み付けることができる構成となっている。
【0033】
以下、遊星歯車52〜54を内歯車44に組み付ける方法について具体的に説明する。
【0034】
[基準状態の決定]
先ず、実際の組付け作業に先立って、内歯車44及び遊星歯車52〜54の組付け状態での位置及び位相に関する基準状態を決定する。
【0035】
図3は、この基準状態を決定するために制御装置10により実行される制御動作の流れを示すフローチャートである。
【0036】
図3に示す制御動作は、機構本体42が所定位置にセットされ、該機構本体42に内歯車44とキャリア46とが取り付けられた状態で実行される。このとき、内歯車44は所定の位置及び位相にセットされた状態となっている。
【0037】
この制御動作では、先ず、
図4に示すように、中心軸47の頂部に対向するように配設された画像センサ30により、キャリア46上の前記3つの自転軸48〜50のうち任意の自転軸48(49,50)の位置、具体的には例えば符号aで示す自転軸48の頂部の中心の位置が測定される(ステップS1)。また、この測定された自転軸48の位置が、遊星歯車52(53,54)の組付け位置に決定される。
【0038】
次に、ステップS1で決定された組付け位置に組み付けられる遊星歯車52(53,54)がロボット2のチャック装置6により把持される(ステップS2)。
【0039】
具体的には、
図5に示すように、遊星歯車52の外周部に、チャック装置6に設けられた例えば3つの爪部76〜78が径方向外側から係合することで、該遊星歯車52が把持される。各爪部76〜78は遊星歯車52の歯間に係合可能な形状を有し、
図5に示す例では断面三角形状となっている。また、各爪部76〜78は、チャック装置6に設けられた電動モータの駆動により遊星歯車52の径方向に沿って移動することで、遊星歯車52の外周部に対して近接離間可能となっている。
【0040】
爪部76〜78同士の位置関係は、遊星歯車52の歯数に応じて、該遊星歯車52が所定の位相であるときのみ該遊星歯車52に全ての爪部76〜78が係合するように設定されている。これにより、チャック装置6は遊星歯車52を所定の位相でのみ把持可能となっている。したがって、遊星歯車52は、チャック装置6により把持された時点で、ロボット2に対する位相の位置決めがなされるため、把持された遊星歯車52の位相を測定しなくてもよい。
【0041】
また、爪部76〜78は、一律または個別に遊星歯車52の周方向に移動可能となっており、これにより、遊星歯車52の歯間に対向配置されるように周方向の位置調整が可能となっている。
【0042】
続くステップS3では、チャック装置6により遊星歯車52が適切に把持されたか否かが判定され、ステップS3において把持が成功したと判定されるまで、ステップS2の把持動作は繰り返し実行される。チャック装置6による把持が成功したか否かは、例えば、爪部76〜78を駆動するモータの回転量が所定量に達したか否かによって判定することができる。なお、チャック装置6による把持が失敗した場合、該チャック装置6の爪部76〜78は、一旦遊星歯車52から離間するように径方向に移動されるとともに、遊星歯車52の周方向に位置調整された後、把持動作が再実行される。
【0043】
チャック装置6による把持が成功すると、遊星歯車52は、ステップS1で決定された組付け位置へロボット2のアーム4により搬送され(ステップS4)、この組付け位置において内歯車44に組み付けられた後(ステップS5)、アーム4が所定位置に退避して(ステップS8)、処理が終了する。
【0044】
ステップS5における遊星歯車52の組付け動作は所謂探り動作による組付け動作であり、成功するまで繰り返し実行され(ステップS5、ステップS6)、探り動作による遊星歯車52の組付けが成功すると、ステップS7に進む。
【0045】
図6及び
図7に示すように、前記探り動作はチャック装置6により行われる。チャック装置6は、アーム4に連結されたアーム連結部60と、該アーム連結部60にコンプライアンス装置64を介して連結された把持部62とを有し、該把持部62の先端に前記爪部76〜78が設けられている。
【0046】
コンプライアンス装置64は、アーム連結部60に連結された第1プレート66と、把持部62に連結された第2プレート68と、第1プレート66と第2プレート68とに跨る弾性部材70とを有する。弾性部材70としては例えばばねが用いられるが、弾性部材の種類は、少なくとも遊星歯車52の軸方向に弾性変形可能なものであれば、特に限定されるものでない。
【0047】
探り動作中において、
図6に示すように弾性部材70が伸縮した状態では、該弾性部材70による組付け方向の付勢力により、把持部62に把持された遊星歯車52が組付け箇所に押し当てられる。
【0048】
図7に示すように探り動作による組付けが成功すると、遊星歯車52及び該遊星歯車52を把持する把持部62が組付け方向に移動し、これに伴って弾性部材70は軸方向に伸長する。このとき、第1プレート66と第2プレート68との距離が増大するため、このことを利用して、探り動作の成否を判定することができる。本実施形態では、例えばカメラからなる探り判定用センサ88により、第1プレート66の外周面に付された第1マーカ72と、第2プレート68の外周面に付された第2マーカ74との距離が検出され、この検出値が所定値以上に達したとき、探り動作が成功したと判定される。
【0049】
ステップS7では、探り動作による組付け成功時の内歯車44及び遊星歯車52の位置及び位相の状態が基準状態として決定される。また、この基準状態における内歯車44の中心軸47の位置と位相とが基準位置Paおよび基準位相Qaとして、同じく基準状態における遊星歯車52の位置と位相とが基準組付け位置Raおよび基準組付け位相Saとして、それぞれ前記記憶装置12に登録される。
【0050】
なお、機構本体42の設置面90(
図12参照)に対する該機構本体42の傾きが不定である場合、ステップS7では、前記基準状態における設置面90に対する機構本体42の傾きを基準傾きTaとして記憶装置12に登録することが好ましい。
【0051】
このように、本実施形態では、ロボット2の探り動作による組付けが行われることで基準状態が決定されるが、基準状態を決定するための組付け作業は、作業者がロボット2のアーム4とチャック装置6とを手動で動かすことで行ってもよい。
【0052】
このようにして基準状態の各情報が記憶装置12に登録されると、この登録された情報に基づいて実際の組付け動作が実行される。なお、基準状態の各情報は、実際の組付け動作による組付けが成功したときの各情報に更新されるようにしてもよい。
【0053】
[実際の組付け動作]
組立装置1による実際の組付け動作について、第1〜第3の実施形態に分けて具体的に説明する。
【0054】
[第1の実施形態]
第1の実施形態では、機構本体42の位置と内歯車44の位置及び位相とが基準状態決定時と同じである状態で、内歯車44に対する遊星歯車52の組付け動作を行う場合について説明する。
【0055】
図8は、第1の実施形態に係る組付け動作について、制御装置10により実行される制御動作の流れを示すフローチャートである。
【0056】
図8に示す制御動作では、先ず、内歯車44に対する遊星歯車52〜54の組付け位置が決定される(ステップS11)。このステップS11における組付け位置決定の方法は、3つの遊星歯車52〜54のうち最初の遊星歯車52を組み付ける場合と、2つ目又は3つ目の遊星歯車53,54を組み付ける場合とで異なる。
【0057】
最初の遊星歯車52の組付け作業の場合、ステップS11では、
図4に示すように、画像センサ30により、キャリア46上の3つの自転軸48〜50のうち任意の自転軸48(49,50)の位置、具体的には例えば符号aで示す自転軸48の頂部の中心の位置が測定され、この測定位置が記憶装置12に登録されるとともに、遊星歯車52の組付け位置Pbとして決定される。
【0058】
一方、残りの遊星歯車53,54の組付け作業の場合、ステップS11では、最初の遊星歯車52の組付け作業時のステップS11で記憶装置12に登録された自転軸48の測定位置と、該測定された自転軸48と残りの自転軸49,50との位置関係とに基づいて、該残りの自転軸49,50の位置が算出されて、該算出された位置が遊星歯車53,54の組付け位置Rbとして決定される。
【0059】
次のステップS12では、ステップS11で決定された組付け位置Rbに対応する遊星歯車52(53,54)の位相Sbが算出される。
【0060】
ステップS12における位相Sbの算出は、遊星歯車52(53,54)が内歯車44に対する組付け位置に応じた位相でのみ該内歯車44に組付け可能であることに着目して、遊星歯車52(53,54)の組付け位置と位相との相関関係に基づいてなされる。具体的には、ステップS11で決定された遊星歯車52(53,54)の組付け位置Rbと、
図3のステップS7で登録された基準組付け位置Raとの関係に基づいて、同じく
図3のステップS7で登録された基準組付け位相Saに対する補正位相が、組付け位置Rbに対応する遊星歯車52(53,54)の位相Sbとして算出される。より具体的には、次のように位相Sbが算出される。
【0061】
図2に示すように、仮に基準状態から現在まで内歯車44に対する遊星歯車52の組付け状態が維持され、該遊星歯車52が基準組付け位置Raから組付け位置Rbに移動した場合を想定する。そうすると、この想定した遊星歯車52の現在の位相が、組付け位置Rbに対応した位相Sbに相当する。
【0062】
上記のように想定した遊星歯車52が基準状態から現在まで角度θ1だけ公転し、角度θ2だけ自転したと仮定するとともに、内歯車44及び遊星歯車52の歯数をそれぞれZ1、Z2としたとき、次の数式1が成り立つ。
【数1】
【0063】
また、前記公転角度θ1については、次の数式2が成り立つ。
【数2】
【0064】
この数式2を数式1に代入することで前記自転角度θ2が算出され、この自転角度θ2だけ基準組付け位相Saを補正することで算出される位相が、上記のように仮想した遊星歯車52の現在の位相に相当する。
【0065】
ただし、実際の組み付け動作時の位相合わせは遊星歯車52を1歯分以上回転させて行う必要はなく、位相合わせに必要最低限の角度θ2’だけ回転させればよい。この必要最低限の自転角度θ2’は下記の数式3で求めることができる。この数式3は、自転角度θ2を1歯分の角度(2π/Z2)で割ったときの余りが自転角度θ2’となることを意味する。したがって、例えば、自転角度θ2が50°であり、1歯分の角度が3°であるとき、除算の商は48、剰余は2であるため、自転角度θ2’は2°となる。
【数3】
【0066】
よって、このようにして算出された自転角度θ2’だけ基準組付け位相Saが補正されることで、組付け位置Rbに対応する位相Sbが算出される。
【0067】
このようにして組付け位置Rbに対応する位相Sbが算出されると、ロボット2のチャック装置6により遊星歯車52(53,54)が把持される(ステップS13)。この把持動作は、上述した
図3の制御動作(ステップS2、ステップS3)と同様に行われ、把持が成功するまで繰り返し実行される(ステップS13,ステップS14)。
【0068】
チャック装置6による把持が成功すると、遊星歯車52は、ステップS11で決定された組付け位置Rbへロボット2のアーム4により搬送され(ステップS15)、この組付け位置Rbにおいて、ステップS12で算出された位相Sbで内歯車44に組み付けられた後(ステップS16)、アーム4が所定位置に退避して(ステップS17)、処理が終了する。
【0069】
以上のように実行される組付け動作では、3つの遊星歯車52〜54のうち最初に組み付けられる遊星歯車52について組付け位置Rbが測定されることを除けば、組付け位置Rb及び組付け位相Sbの検出が省略されるため、高度で複雑なセンシング技術を導入する必要がない。
【0070】
また、ステップS16の組付け動作は、予め遊星歯車52〜54の位相が内歯車44の位相に合わされた状態で行われるため、所謂探り動作を省略することができ、これにより、作業時間を短縮することができるとともに、探り動作による傷が歯車44,52〜54に生じることを防止できる。ただし、ステップS16において、組付け位置の測定誤差が大きい場合等に対応すべく、念のために探り動作を行ってもよい。
【0071】
以上の組付け動作により内歯車44に全ての遊星歯車52〜54が組み付けられると、これらの遊星歯車52〜54に太陽歯車56が組み付けられる。
【0072】
なお、太陽歯車56の組付けにおいても、遊星歯車52〜54の組付け時と同様に、予め基準状態を決定する制御動作がなされ、この基準状態における太陽歯車56の位相(基準組付け位相Ua)が記憶装置12に登録された後、実際の組付け動作が実行される。
【0073】
また、太陽歯車56の組付け動作では遊星歯車52〜54との位相合わせが必要であり、この位相合わせは、太陽歯車56の組付け位相Ubを算出することによって行われる。この組付け位相Ubの算出は、遊星歯車52〜54の組付け位相Sbの算出と同様に行われる。
【0074】
具体的に、太陽歯車56の組付け位相Ubの算出に際しては、
図2に示すように、仮に基準状態から現在まで遊星歯車52〜54に対する太陽歯車56の組付け状態が維持され、基準状態から現在までに遊星歯車52〜54が基準組付け位置Raから角度θ1だけ公転し、太陽歯車56が基準組付け位相Uaから角度θ3だけ自転した場合を想定する。そうすると、この想定した遊星歯車52の現在の位相が組付け位相Ubに相当する。
【0075】
内歯車44及び太陽歯車56の歯数をそれぞれZ1、Z3としたとき、次の数式4が成り立つ。
【数4】
【0076】
遊星歯車52〜54の公転角度θ1は、上述した数式2で求められる。そのため、この数式2を数式4に代入することで前記自転角度θ3が算出され、この自転角度θ3だけ基準組付け位相Uaを補正することで算出される位相が、上記のように仮想した太陽歯車56の現在の位相に相当する。
【0077】
ただし、実際の組み付け動作時の位相合わせは太陽歯車56を1歯分以上回転させて行う必要はなく、位相合わせに必要最低限の角度θ3’だけ回転させればよい。この必要最低限の自転角度θ3’は次の数式5で求めることができる。
【数5】
【0078】
よって、このようにして算出された自転角度θ3’だけ基準組付け位相Uaが補正されることで、組付け位置Rbに対応する太陽歯車56の位相Ubが算出される。このように、太陽歯車56の組付けも、遊星歯車52〜54の組付けと同様、算出された位相Ubで行われるため、位相合わせのための組付け位相Ubの検出や探り動作を省略することができる。
【0079】
[第2の実施形態]
図9及び
図10を参照しながら、第2の実施形態について説明する。
【0080】
図10は、基準状態における機構本体42を破線で、実際の組付け作業時における機構本体42を実線でそれぞれ模式的に示している。
【0081】
図10に示すように、第2の実施形態では、機構本体42における画像センサ30で検出可能な位置にマーカ80が付されている。このマーカ80は、例えば
図4の符号cが付された位置に設けられるが、中心軸47の頂部(
図4の符号b)と異なる位置であれば、機構本体42の任意の位置に設けることができ、内歯車44に設けるようにしてもよい。また、機構本体42又は内歯車44にマーカ80と同様の機能を果たし得る箇所があれば、必ずしもマーカ80を設けなくてもよい。
【0082】
第2の実施形態では、機構本体42が同一面上で移動及び/又は回転可能に設置されており、該機構本体42に固定された内歯車44が機構本体42と共に同一面内で移動及び/又は回転するようになっている。そのため、基準状態に比べて機構本体42の位置と内歯車44の位置及び位相とが変化し得る状態で、内歯車44に対する遊星歯車52の組付け動作が行われることになる。したがって、第2の実施形態では、内歯車44の位置及び位相が基準状態から変化することに対応して、記憶装置12に登録された基準組付け位置Ra及び基準組付け位相Saを補正する必要がある。
【0083】
図9は、第2の実施形態に係る組付け動作について、制御装置10により実行される制御動作の流れを示すフローチャートである。
【0084】
図9に示す制御動作では、先ず、画像センサ30により、中心軸47の頂部の位置(
図4の符号b)とマーカ80の位置(
図4の符号c)とが測定される(ステップS21)。また、これら中心軸47及びマーカ80の測定位置と、記憶装置12に登録された内歯車44の基準位置Pa及び基準位相Qaとに基づく算出により、組付け作業時の内歯車44の位置Pb及び位相Qbが検出される。
【0085】
次のステップS22では、記憶装置12に登録された基準位置Pa及び基準位相Qaと、ステップS21で検出された内歯車44の位置Pb及び位相Qbとの関係に基づいて、記憶装置12に登録された基準組付け位置Ra及び基準組付け位相Saが補正される。
【0086】
続くステップS23では、第1の実施形態のステップS11と同様に、内歯車44に対する遊星歯車52(53,54)の組付け位置Rbが決定される。
【0087】
次のステップS24では、ステップS23で決定された組付け位置Rbに対応する遊星歯車52(53,54)の位相Sbが算出される。
【0088】
具体的には、ステップS23で決定された遊星歯車52(53,54)の組付け位置Rbと、ステップS22で補正された基準組付け位置Ra’との関係に基づいて、同じくステップS22で補正された基準組付け位相Sa’に対する補正位相が、組付け位置Rbに対応する遊星歯車52(53,54)の位相Sbとして算出される。位相Sbの詳細な算出方法は第1の実施形態と同様である。
【0089】
このようにして組付け位相Sbが算出されると、遊星歯車52(53,54)は、第1の実施形態と同様、チャック装置6により把持され(ステップS25、ステップS26)、アーム4により組付け位置Rbに搬送されて(ステップS27)、前記組付け位相Sbで内歯車44に組み付けられた後(ステップS28)、アーム4が所定位置に退避して(ステップS29)、処理が終了する。
【0090】
以上のように、第2の実施形態によれば、機構本体42と内歯車44とが基準状態に比べて同一面上で移動及び/又は回転した場合であっても、その移動量及び/又は回転量に応じて遊星歯車52(53,54)の基準組付け位置Ra及び基準組付け位相Saが補正されるため、第1の実施形態と同様、組付け位置Rbに対応した位相Sbを算出することができる。したがって、第1の実施形態と同様、高度で複雑なセンシング技術を用いることなく、短時間で組付け作業を完了させることができる。
【0091】
以上の組付け動作により内歯車44に全ての遊星歯車52〜54が組み付けられると、これらの遊星歯車52〜54に対して、太陽歯車56が第1の実施形態と同様に組み付けられる。
【0092】
[第3の実施形態]
図11及び
図12を参照しながら、第3の実施形態について説明する。
【0093】
第3の実施形態では、設置面90に対する機構本体42の傾き(
図12参照)が不定であり、該機構本体42が移動及び/又は回転可能に設置されている。そのため、該機構本体42に固定された内歯車44の位置及び位相は、機構本体42の傾き等に応じて変化するようになっている。したがって、第2の実施形態と同様、内歯車44の位置及び位相が基準状態から変化することに対応して、記憶装置12に登録された基準組付け位置Ra及び基準組付け位相Saを補正する必要がある。
【0094】
図11は、第3の実施形態に係る組付け動作について、制御装置10により実行される制御動作の流れを示すフローチャートである。
【0095】
図11に示す制御動作では、先ず、画像センサ30により、3つの自転軸48〜50の頂部の位置が測定される(ステップS31)。また、これら3箇所の測定位置を頂点とする仮想の三角形の重心及び傾きに基づいて、内歯車44の中心軸47の位置Pb、位相Qb及び設置面90に対する傾きTbが検出される。
【0096】
次のステップS32では、記憶装置12に登録された基準位置Pa、基準位相Qa及び基準傾きTaと、ステップS31で検出された内歯車44の位置Pb、位相Qb及び傾きTbとの関係に基づいて、記憶装置12に登録された基準組付け位置Ra及び基準組付け位相Saが補正される。
【0097】
続くステップS33では、第1の実施形態のステップS11と同様に、内歯車44に対する遊星歯車52(53,54)の組付け位置Rbが決定される。
【0098】
次のステップS34では、ステップS23で決定された組付け位置Rbに対応する遊星歯車52(53,54)の位相Sbが算出される。
【0099】
具体的には、ステップS33で決定された遊星歯車52(53,54)の組付け位置Rbと、ステップS32で補正された基準組付け位置Ra’との関係に基づいて、同じくステップS32で補正された基準組付け位相Sa’に対する補正位相が、組付け位置Rbに対応する遊星歯車52(53,54)の位相Sbとして算出される。位相Sbの詳細な算出方法は第1の実施形態と同様である。
【0100】
このようにして組付け位相Sbが算出されると、遊星歯車52(53,54)は、第1の実施形態と同様、チャック装置6により把持され(ステップS35、ステップS36)、アーム4により組付け位置Rbに搬送されて(ステップS37)、前記組付け位相Sbで内歯車44に組み付けられた後(ステップS38)、アーム4が所定位置に退避して(ステップS39)、処理が終了する。
【0101】
以上のように、第3の実施形態によれば、機構本体42及び内歯車44の傾き等が基準状態から変化した場合であっても、その変化に応じて遊星歯車52(53,54)の基準組付け位置Ra及び基準組付け位相Saが補正されるため、第1の実施形態と同様、組付け位置Rbに対応した位相Sbを算出することができる。したがって、第1の実施形態と同様、高度で複雑なセンシング技術を用いることなく、短時間で組付け作業を完了させることができる。
【0102】
以上の組付け動作により内歯車44に全ての遊星歯車52〜54が組み付けられると、これらの遊星歯車52〜54に対して、太陽歯車56が第1の実施形態と同様に組み付けられる。
【0103】
以上、上述の実施形態を挙げて本発明を説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではない。
【0104】
例えば、上述の実施形態では、キャリア上に設けられた自転軸に遊星歯車を取り付ける構成について説明したが、本発明は、キャリア上に設けられた自転軸取付部(例えば、自転軸取付用の穴)に、遊星歯車に一体化された自転軸を取り付ける場合にも適用することができる。
【0105】
また、上述の実施形態では、固定歯車に遊星歯車を組み付けて遊星歯車機構を組み立てる場合について説明したが、本発明は、遊星歯車機構以外の歯車装置を組み立てる場合にも適用することができる。
【0106】
本発明により組み立てられる遊星歯車機構以外の歯車装置の一例としては、例えば
図13に示すラックアンドピニオン装置100が挙げられる。
図13に示すラックアンドピニオン装置100は、固定歯車であるラック102と、該ラック102に平行に延設された溝104に沿ってスライドするキャリア106と、該キャリア106上に設けられた自転軸108に取り付けられたピニオン110とを有する。このラックアンドピニオン装置100においても、ラック102とピニオン110との組付け作業には位置合わせと位相合わせの両方が必要であるが、遊星歯車機構の固定歯車及び遊星歯車と同様、ラック102に対するピニオン110の組付け位置と、該組付け位置におけるピニオン110の位相との間には相関関係がある。よって、第1の部品としてのラック102に対する第2の部品としてのピニオン110の組付け位置を決定し、該決定された組付け位置に応じたピニオン110の位相を前記相関関係に基づいて算出して、前記決定された組付け位置で且つ前記算出された位相でラック102にピニオン110を組み付けることで、この組付け作業を、高度で複雑なセンシング技術を用いることなく短時間で完了させることができる。
【0107】
さらに、本発明は、歯車装置のみならず、部品同士の組付け作業に位置合わせと位相合わせとが必要な歯車装置以外の種々の装置を組み立てる場合にも適用することができ、例えば、角穴を備えるとともに一定の幾何学的条件下で該角穴の向きを変えながら移動し得る可動部材に対して、前記角穴に対応する形状の角棒を組み付ける場合にも、本発明を適用することができる。