(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記画像処理プロセッサは、前記固体撮像素子が出力するシリアル形式のデジタルデータを受信し、当該デジタルデータから伝送クロックを再生するクロックリカバリー部をさらに備える
ことを特徴とする請求項1に記載の電子内視鏡装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1には、電子スコープ(内視鏡スコープ)とモニタ(画像処理プロセッサ)との同期という観点について記載されていない。内視鏡スコープには、観察対象や用途にあわせて種々の画角の撮像素子が搭載されるため、内視鏡スコープごとに動作周波数や画角が異なる。よって、内視鏡スコープが撮像した動画像をモニタに表示するためには、モニタの同期信号にあわせた周波数変換が必要である。なお、内視鏡スコープは、撮像クロックに基づいたタイミングで動画像を撮像し、モニタは、表示クロックに基づいたタイミングで動画像を表示する。
【0006】
しかし、周波数変換を行う際に、撮像クロックと表示クロックとの関係次第では、電子スコープが1フレームの画像を撮像する周期と、モニタが1フレームの画像を表示する周期とが微妙に異なるため、両者の位相が徐々にずれていくという問題が発生する。そして、位相のずれが蓄積し、両者の位相のずれが1フレームの周期を超過すると「追い越し」や「コマ落ち」といった現象につながる。
【0007】
図6は、撮像クロックを基準とした1フレームの周期と、表示クロックを基準とした1フレームの周期との関係を示した模式図である。図示するように、撮像クロックと表示クロックとの位相は異なっているため、撮像クロックを基準とした1フレームの周期と、表示クロックを基準とした1フレームの周期とは僅かにずれる。1フレームでは僅かなずれであるが、図示するように、時間が経過すると共にずれが蓄積される。そして、ずれか1フレームの周期を超過すると「追い越し」や「コマ落ち」といった現象につながる。
【0008】
一方、モニタ側でも高精細化に伴う高速化が進んでおり、モニタへの信号の入力には厳密なタイミング規定を満足する必要がある。仮に、撮像と表示とで1フレーム周期を完全にあわせることができたとしても、テレビジョン規格に準拠していない内視鏡スコープ側のクロックを基準に同期信号を生成した場合は、モニタにおいて正常な表示ができない可能性がある。
【0009】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、撮像と表示との同期を確保することができる電子内視鏡装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、表示クロックを生成する表示クロック生成部と、前記表示クロックに基づいてモニタ表示同期信号を生成するモニタ同期信号生成部と、を備える画像処理プロセッサと、光学情報を電気信号に変換し出力する固体撮像素子と、前記固体撮像素子を駆動する元となる撮像クロックを生成する撮像クロック生成部と、前記モニタ表示同期信号と前記撮像クロックとの位相を比較し、前記撮像クロック生成部の発振を制御する位相比較発振制御部と、
受信した前記モニタ表示同期信号に基づいて、前記固体撮像素子の撮像タイミングを指示する撮像同期信号を生成する外部同期タイミングジェネレータと、を備える内視鏡スコープと、を備えることを特徴とする電子内視鏡装置である。
【0011】
また、本発明の電子内視鏡装置において、前記画像処理プロセッサは、前記固体撮像素子が出力するシリアル形式のデジタルデータを受信し、当該デジタルデータから伝送クロックを再生するクロックリカバリー部をさらに備えることを特徴とする。
【0012】
また、本発明の電子内視鏡装置において、前記固体撮像素子はCMOS型の固体撮像素子であり、前記撮像クロック生成部と、前記位相比較発振制御部と、前記固体撮像素子と
、前記外部同期タイミングジェネレータとを同一半導体チップ内に搭載していることを特徴とする。
【0013】
また、本発明の電子内視鏡装置において、前記内視鏡スコープは、差動信号生成部をさらに備え、前記画像処理プロセッサは、差動信号受信部をさらに備え、前記内視鏡スコープと前記画像処理プロセッサとは、差動信号により前記デジタルデータを送受信することを特徴とする。
【0014】
また、本発明の電子内視鏡装置において、前記内視鏡スコープは、電光変換部をさらに備え、前記画像処理プロセッサは、光電変換部をさらに備え、前記内視鏡スコープと前記画像処理プロセッサとは、光信号により前記デジタルデータを送受信することを特徴とする。
【0015】
また、本発明の電子内視鏡装置において、前記内視鏡スコープは、無線送信部をさらに備え、前記画像処理プロセッサは、無線受信部をさらに備え、前記内視鏡スコープと前記画像処理プロセッサとは、無線通信により前記デジタルデータを送受信することを特徴とする。
【0016】
また、本発明の電子内視鏡装置において、前記内視鏡スコープは、前記デジタルデータを圧縮する圧縮部をさらに備え、前記画像処理プロセッサは、前記圧縮部が圧縮した前記デジタルデータを伸長する伸長部をさらに備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、表示クロック生成部は表示クロックを生成する。また、モニタ同期信号生成部は表示クロックに基づいてモニタ表示同期信号を生成する。また、固体撮像装置は、光学情報を電気信号に変換し出力する。また、撮像クロック生成部は、固体撮像素子を駆動する元となる撮像クロックを生成する。また、位相比較発振制御部は、モニタ表示同期信号と撮像クロックとの位相を比較し、撮像クロック生成部の発振を制御する。これにより、モニタ表示同期信号と撮像クロックとを同期させることができるため、撮像と表示との同期を確保することができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
(第1の実施形態)
以下、本発明の第1の実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、本実施形態における電子内視鏡装置の構成を示したブロック図である。図示する例では、電子内視鏡装置1は、内視鏡スコープ10と、画像処理プロセッサ20と、モニタ30と、図示せぬ光源装置とを備える。モニタ30は、液晶ディスプレイ等であり、画像(動画像)を表示する。光源装置は被写体を照射する光を発生する。
【0020】
内視鏡スコープ10は、CMOSセンサ110と、発振子120と、差動ドライバ130とを備える。CMOSセンサ110は、撮像発振回路111(撮像クロック生成部)と、CK逓倍部112(クロック逓倍部)と、位相比較器113(位相比較発振制御部)と、外部同期TG114(外部同期タイミングジェネレータ)と、画素115と、A/D変換器116(アナログデジタル変換器)と、P/S変換器117(パラレルシリアル変換器)と、8b10b変換部118と、差動変換部119(差動信号生成部)とを備える。なお、請求項に係る固体撮像素子は、例えば、画素115と、A/D変換器116と、P/S変換器117とに対応する。
【0021】
発振子120は、例えば水晶発振子であり、固有の周波数で発振する。撮像発振回路111は、発振子120の発振に基づいて撮像クロックを生成する。CK逓倍部112は、撮像発振回路111が生成した撮像クロックを逓倍する。位相比較器113は、画像処理プロセッサ20からモニタ表示同期信号を受信する。また、位相比較器113は、撮像発振回路111が生成してCK逓倍部112が逓倍した撮像クロックの位相と、画像処理プロセッサ20から入力されるモニタ表示同期信号の位相とを比較する。そして、位相比較器113は、撮像発振回路111が生成してCK逓倍部112が逓倍した撮像クロックの位相と、モニタ表示同期信号の位相とが一致するように、撮像発振回路111の発振を制御する。すなわち、位相比較器113は、撮像発振回路111が出力する撮像クロックの周波数を制御する。外部同期TG114は、画像処理プロセッサ20からモニタ表示同期信号を受信する。また、外部同期TG114は、受信したモニタ表示同期信号に基づいて、画像処理プロセッサ20がモニタ30に1フレームの画像を表示する周期と同じ周期で画素115が1フレームの画像を撮像するように、画素115の撮像タイミングを指示する撮像同期信号を生成する。
【0022】
画素115は、撮像発振回路111が生成してCK逓倍部112が逓倍した撮像クロックで動作し、外部同期TG114が生成した撮像同期信号に基づいたタイミングで、入射した光に応じた画像データを出力する(1フレームの画像を撮像する)。なお、画素115が出力する画像データはアナログ信号である。A/D変換器116は、画素115が出力するアナログ信号をデジタル信号化し、所定のビット数のパラレル信号に変換する。P/S変換器117は、A/D変換器116が変換したパラレル信号をシリアル信号に変換する。8b10b変換部118は、P/S変換器が変換したシリアル信号のビット数を増やし、シリアル信号中に同じ信号レベルが所定期間以上連続しないように、P/S変換器117が変換したシリアル信号をエンコードする。これにより、内視鏡スコープ10から画像処理プロセッサ20に対して画像データのみを送信しても、画像処理プロセッサ20側でクロックをリカバリー生成する事が容易となる。差動変換部119は、8b10b変換部118がエンコードしたシリアル信号を差動信号に変換する。差動ドライバ130は、差動ケーブルを介して、差動変換部119が変換した差動信号を画像処理プロセッサ20に対して送信する。
【0023】
画像処理プロセッサ20は、差動信号受信部201と、アイソレーション回路202,208と、クロックリカバリー203と、S/P変換器204(シリアルパラレル変換器)と、バーストメモリ205と、表示発振回路206(表示クロック生成部)と、モニタ同期信号生成部207(SSG)と、画像処理部209と、ドライバ210とを備える。なお、画像処理プロセッサ20は、バーストメモリ205の代わりにフレームメモリを備えていてもよい。
【0024】
差動信号受信部201は、差動ケーブルを介して内視鏡スコープ10から送信された差動信号を受信する。アイソレーション回路202,208は、画像処理プロセッサ20と、内視鏡スコープ10との間で絶縁耐圧を維持する。クロックリカバリー203は、差動信号受信部201から送信された信号から書込クロック(W−CK)を生成する。S/P変換器204は、差動信号受信部201が変換したシリアル信号をパラレル信号に変換する。バーストメモリ205は、クロックリカバリー203が生成した書込クロックに基づいて、S/P変換器204が変換したパラレル信号、すなわち画像データを記憶する。
【0025】
表示発振回路206は、例えば水晶発振器(XO)であり、固有の周波数で発振して表示クロックを生成する。モニタ同期信号生成部207は、表示発振回路206が生成した表示クロックに基づいてモニタ表示同期信号(垂直同期信号、水平同期信号)を生成する。画像処理部209は、表示発振回路206の発振に基づいた読み出しクロック(R−CK)に基づいて、バーストメモリ206から画像データを読み出し、モニタ同期信号生成部207が生成したモニタ表示同期信号に基づいたタイミングで、画像データに基づいた画像(1フレームの画像)をモニタ30に表示させる。ドライバ210は、モニタ同期信号生成部207が生成したモニタ表示同期信号を内視鏡スコープ10に対して送信する。
【0026】
次に、内視鏡スコープ10が1フレームの画像を撮像する周期と、画像処理プロセッサ20が1フレームの画像をモニタ30に表示させる周期とを同期させる方法について説明する。
【0027】
画像処理プロセッサ20の表示発振回路206は、表示クロックを生成する。そして、モニタ同期信号生成部207は、表示発振回路206が生成した表示クロックに基づいてモニタ表示同期信号を生成する。ドライバ210は、モニタ同期信号生成部207が生成したモニタ表示同期信号を内視鏡スコープ10に対して送信する。
【0028】
一方、内視鏡スコープ10の発振子120は固有の周波数で発振する。撮像発振回路111は、発振子120の発振に基づいて撮像クロックを生成する。CK逓倍部112は、撮像発振回路111が生成した撮像クロックを逓倍する。位相比較器113は、撮像発振回路111が生成してCK逓倍部112が逓倍した撮像クロックの位相と、画像処理プロセッサ20から送信されるモニタ表示同期信号の位相とを比較する。そして、位相比較器113は、撮像発振回路111が生成してCK逓倍部112が逓倍した撮像クロックの位相と、モニタ表示同期信号の位相とが一致するように、撮像発振回路111が出力する撮像クロックの発振、すなわち、撮像発振回路111が出力する撮像クロックの周波数を制御する。言い換えると、位相比較器113は、撮像発振回路111が生成してCK逓倍部112が逓倍した撮像クロックの立ち上がりエッジと、モニタ表示同期信号の立ち上がりエッジとが同位相となるように、撮像発振回路111が出力する撮像クロックの周波数を制御する。これにより、撮像発振回路111が生成してCK逓倍部112が逓倍した撮像クロックの位相と、画像処理プロセッサ20から送信されたモニタ表示同期信号の位相とが一致する。
【0029】
ここでは、モニタ表示同期信号をそのまま内視鏡スコープに送信する構成で説明したが、実際のモニタに入力する同期信号と全く同じタイミングで生成した信号でなくてもよく、モニタ表示のフレームレートと、撮像の画像データ出力のフレームレートが同一となるようなタイミング信号であればよい。例えば、水平同期信号の周期が同一となる部分のみ同期信号として出力し、フレーム周期が同一となる構成となっていればよい。
【0030】
図2は、本実施形態において、位相比較器113が撮像クロックの周波数を制御する前と制御した後での、撮像クロックとモニタ表示同期信号との関係を示した模式図である。
図2(1)は、位相比較器113が撮像クロックの周波数を制御する前における、撮像クロックとモニタ表示同期信号との関係を示した模式図である。図示する例では、撮像クロックの立ち上がりのエッジ211と、モニタ表示同期信号の立ち上がりのエッジ221とのタイミングがずれている。そのため、画像処理プロセッサ20が1枚の画像をモニタ30に表示させる周期と、内視鏡スコープ10が1枚の画像を撮像する周期とを完全に合わせることができない(撮像周期と表示周期とを完全に合わせることができない)。
【0031】
図2(2)は、位相比較器113が撮像クロックの周波数を制御した後における、撮像クロックとモニタ表示同期信号との関係を示した模式図である。図示する例では、撮像クロックの立ち上がりのエッジ212と、モニタ表示同期信号の立ち上がりのエッジ222とのタイミングが一致している。そのため、画像処理プロセッサ20が1枚の画像をモニタ30に表示させる周期と、内視鏡スコープ10が1枚の画像を撮像する周期とを完全に合わせることができる(撮像周期と表示周期とを完全に合わせることができる)。
【0032】
内視鏡スコープ10の画素115は、撮像発振回路111が生成してCK逓倍部112が逓倍した撮像クロックで動作し、外部同期TG114が生成した撮像同期信号に基づいたタイミングで、1フレームの画像を撮像する。また、画像処理プロセッサ20の画像処理部209は、モニタ同期信号生成部207が生成したモニタ表示同期信号に基づいたタイミングで、1フレームの画像をモニタ30に表示させる。このとき、撮像発振回路111が生成してCK逓倍部112が逓倍した撮像クロックの位相と、モニタ同期信号生成部207が生成したモニタ表示同期信号の位相とが一致しているため、内視鏡スコープ10が1枚の画像を撮像する周期と、画像処理プロセッサ20が1枚の画像をモニタ30に表示させる周期とを完全に合わせることができる。
【0033】
従って、電子内視鏡装置1は、CMOSセンサ110の処理が高速化した場合においても、内視鏡スコープ10が画像を撮像する周期と、画像処理プロセッサ20がモニタ30に画像を表示させる周期との同期を確保することができる。また、これにより、電子内視鏡装置1は、「追い越し」や「コマ落ち」といった現象を抑えることができる。なお、ここでは説明を簡単にするために、撮像素子のデータ(RAW)に対する補正処理や、色変換処理、フィルタ処理などの一般的な画像処理を施すタイミング制御については省略して記載してある。
【0034】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。
図3は、本実施形態における電子内視鏡装置の構成を示したブロック図である。図示する例では、電子内視鏡装置2は、内視鏡スコープ40と、画像処理プロセッサ50と、モニタ30と、図示せぬ光源装置とを備える。モニタ30は、第1の実施形態におけるモニタ30と同様である。
【0035】
内視鏡スコープ40は、CMOSセンサ410と、撮像発振回路420と、位相比較器430と、電光変換部440とを備える。CMOSセンサ410は、CK逓倍部411と、外部同期TG412と、画素413と、A/D変換器414と、P/S変換器415と、8b10b変換部416と、差動変換部417とを備える。
【0036】
撮像発振回路420は、CMOSセンサ410を駆動するための撮像クロックを生成する。位相比較器430は、撮像発振回路420が生成した撮像クロックの位相と、画像処理プロセッサ50から送信されるモニタ表示同期信号の位相とを比較し、撮像発振回路420が生成した撮像クロックの位相と、モニタ表示同期信号の位相とが一致するように、撮像発振回路420の発振を制御する。すなわち、位相比較器430は、撮像発振回路420が出力する撮像クロックの周波数を制御する。CK逓倍部411は、撮像発振回路420が生成した撮像クロックを逓倍する。
【0037】
外部同期TG412と、画素413と、A/D変換器414と、P/S変換器415と、8b10b変換部416と、差動変換部417とは、第1の実施形態における各部と同様である。電光変換部440は、差動変換部417が変換した差動信号を光信号に変換し、変換した光信号を、光ケーブルを介して画像処理プロセッサ50に対して送信する。
【0038】
画像処理プロセッサ50は、光電変換部501と、差動信号受信部502と、クロックリカバリー503と、S/P変換器504と、バーストメモリ505と、表示発振回路506と、モニタ同期信号生成部507と、アイソレーション回路508と、画像処理部509と、ドライバ510とを備える。なお、画像処理プロセッサ50は、バーストメモリ505の代わりにフレームメモリを備えていてもよい。
【0039】
光電変換部501は、光ケーブルを介して内視鏡スコープ40から送信された光信号を受信し、受信した光信号を差動信号に変換する。差動信号受信部502は、光電変換部501が変換した差動信号をシリアル信号に変換する。クロックリカバリー503と、S/P変換器504と、バーストメモリ505と、表示発振回路506と、モニタ同期信号生成部507と、アイソレーション回路508と、画像処理部509と、ドライバ510は、第1の実施形態における各部と同様である。ここで差動信号受信部502は、光電変換部からの出力信号が差動信号である例を示したが、光電変換部から出力する信号を受信する電気信号受信部であってもよい。
【0040】
また、図示していないが、内視鏡スコープ40は、体腔内に挿入される可動性の挿入部と、挿入部の基端部分に連設された操作部と、画像処理プロセッサ50などに接続されるユニバーサルコードとを備える。ユニバーサルコードの基端は、スコープコネクタに連結されている。スコープコネクタは複合タイプのものである。スコープコネクタには画像処理プロセッサ50や光源装置が接続される。挿入部の先端には、体腔内撮影用のCMOSセンサ410などが内蔵された先端部が連設されている。操作部またはスコープコネクタには、撮像発振回路420と位相比較器430とが備えられている。
【0041】
また、本実施形態の電子内視鏡装置2は、第1の実施形態における電子内視鏡装置1とは異なり、CMOSセンサ410は撮像発振回路420を内蔵していない。また、撮像発振回路420は、例えばVCXO(Voltage Controlled Xtal Oscillator、電圧制御水晶発振器)と呼ばれる周波数を可変することができる水晶発振モジュールで構成されている。また、CMOSセンサ410には電光変換部440が接続されており、内視鏡スコープ40から画像処理プロセッサ50まで、光ケーブルを介してデータを転送する形態を採っている。
【0042】
なお、上述した例では、比較的配置する部材の大きさなどに制約事項が少ない操作部またはスコープコネクタに、撮像発振回路420と位相比較器430とを配置した例を示したが、これに限らず、撮像発振回路420と位相比較器430とをCMOSセンサ410の近傍、即ち先端部に配置するようにしてもよい。また、本実施形態に示した構成と、第1の実施形態に示した構成とを組み合わせた構成としてもよい。例えば、本実施形態では、内視鏡スコープ40から画像処理プロセッサ50まで、光ケーブルを介してデータを転送する形態を採っているが、差動ケーブルを介してデータを転送する形態としてもよい。また、画像処理プロセッサ50から内視鏡スコープ40に出力される同期信号は、ジッタなどの影響を少なくするために差動信号で伝送する構成であってもよい。
【0043】
次に、内視鏡スコープ40が1フレームの画像を撮像する周期と、画像処理プロセッサ50が1フレームの画像をモニタ30に表示させる周期とを同期させる方法について説明する。
【0044】
画像処理プロセッサ50の表示発振回路506は、表示クロックを生成する。そして、モニタ同期信号生成部507は、表示発振回路506が生成した表示クロックに基づいてモニタ表示同期信号を生成する。ドライバ510は、モニタ同期信号生成部507が生成したモニタ表示同期信号を内視鏡スコープ40に対して送信する。
【0045】
一方、内視鏡スコープ40の撮像発振回路420は撮像クロックを生成する。位相比較器430は、撮像発振回路420が生成した撮像クロックの位相と、画像処理プロセッサ50から入力されるモニタ表示同期信号の位相とを比較し、撮像発振回路420が生成した撮像クロックの位相と、モニタ表示同期信号の位相とが一致するように、撮像発振回路420の発振、すなわち、撮像発振回路420が出力する撮像クロックの周波数を制御する。言い換えると、撮像発振回路420が生成した撮像クロックの立ち上がりエッジと、モニタ表示同期信号の立ち上がりエッジとが同位相となるように、撮像発振回路420が出力する撮像クロックの周波数を制御する。これにより、撮像発振回路420が生成した撮像クロックの位相と、画像処理プロセッサ50から入力されるモニタ表示同期信号の位相とが一致する。
【0046】
内視鏡スコープ40のCK逓倍部411は、撮像発振回路420が生成した、モニタ表示同期信号と位相が同期している撮像クロックを逓倍する。なお、CK逓倍部411が逓倍する前の撮像クロックの位相と、モニタ表示同期信号の位相とは一致しているため、CK逓倍部411が逓倍した後の撮像クロックも、モニタ表示同期信号の位相と一致している。
【0047】
画素413は、撮像発振回路420が生成してCK逓倍部411が逓倍した撮像クロックで動作し、外部同期TG412が生成した撮像同期信号に基づいたタイミングで、1フレームの画像を撮像する。また、画像処理プロセッサ50の画像処理部509は、モニタ同期信号生成部507が生成したモニタ表示同期信号に基づいたタイミングで、1フレームの画像をモニタ30に表示させる。このとき、撮像発振回路420が生成してCK逓倍部411が逓倍した撮像クロックの位相と、モニタ同期信号生成部507が生成したモニタ表示同期信号の位相とが一致しているため、内視鏡スコープ40が1枚の画像を撮像する周期と、画像処理プロセッサ50が1枚の画像をモニタ30に表示させる周期とを完全に合わせることができる。
【0048】
従って、電子内視鏡装置2は、CMOSセンサ410の処理が高速化した場合においても、内視鏡スコープ40が画像を撮像する周期と、画像処理プロセッサ50がモニタ30に画像を表示させる周期との同期を確保することができる。また、これにより、電子内視鏡装置2は、「追い越し」や「コマ落ち」といった現象を抑えることができる。
【0049】
また、電子内視鏡装置2は、内視鏡スコープ40から画像処理プロセッサ50に画像データを送信する際には、CMOSセンサ410が出力する電気信号を光信号に変換し、光ケーブルを介して送信するため、外乱ノイズの影響を受けにくい。そのため、電子内視鏡装置2は、画素413が高性能化することで画像データの容量が多くなり、内視鏡スコープ40から画像処理プロセッサ50に対する画像データの伝送速度が高速化した場合においても、外乱ノイズの影響を受けにくい状態で画像データを送信することができる。また、電子内視鏡装置2は、表示に用いるモニタ表示同期信号にCMOSセンサ410を同期させて動作可能であるため、撮像から表示までの位相を固定することができる。さらに、画像処理部509と処理タイミングを連携させることにより、表示遅延の少ないモニタ表示を可能とする。また、内視鏡スコープ40から画像処理プロセッサ50に画像データを送信する経路は電気信号線ではないため、アイソレーション回路を削減することが可能である。
【0050】
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。
図4は、本実施形態における電子内視鏡装置の構成を示したブロック図である。図示する例では、電子内視鏡装置3は、内視鏡スコープ60と、画像処理プロセッサ70と、モニタ30と、図示せぬ光源装置とを備える。モニタ30は、第1の実施形態におけるモニタ30と同様である。
【0051】
内視鏡スコープ60は、CMOSセンサ610と、発振子620と、無線受信復調回路630と、無線変調送信回路640と、アンテナ650とを備える。なお、請求項に係る無線送信部は、例えば、無線変調送信回路640とアンテナ650とに対応する。CMOSセンサ610は、撮像発振回路611と、CK逓倍部612と、位相比較器613と、外部同期TG614と、画素615と、A/D変換器616と、圧縮回路617(圧縮部)と、同期符号挿入回路618と、P/S変換器619と、8b10b変換部620と、差動変換部621とを備える。
【0052】
発振子620と、撮像発振回路611と、CK逓倍部612と、位相比較器613と、外部同期TG614と、画素615と、A/D変換器616と、8b10b変換部620と、差動変換部621とは、第1の実施形態における各部と同様である。圧縮回路617は、A/D変換器616が変換したパラレル信号を圧縮する。同期符号挿入回路618は、圧縮回路617が圧縮したパラレル信号に、外部同期TG614が生成した撮像同期信号に基づいた撮像同期符号を挿入する。P/S変換器619は、同期符号挿入回路618が撮像同期符号を挿入したパラレル信号をシリアル信号に変換する。無線変調送信回路640は、差動変換部621が変換した差動信号を変調し、無線変調信号を生成する。
【0053】
アンテナ650は、外部機器と無線信号を送受信する。具体的には、アンテナ650は、画像処理プロセッサ70から送信される無線変調信号を受信する。また、アンテナ650は、無線変調送信回路640が変換した無線変調信号を画像処理プロセッサ70に対して送信する。無線受信復調回路630は、アンテナ650が受信した無線変調信号を復調してモニタ表示同期信号を取得する。
【0054】
画像処理プロセッサ70は、アンテナ701と、無線受信復調回路702と、クロックリカバリー703と、S/P変換器704と、伸張回路705(伸張部)と、フレームメモリ706と、符号判定回路707と、表示発振回路708と、モニタ同期信号生成部709と、画像処理部710と、無線変調送信回路711とを備える。なお、請求項に係る無線受信部は、例えば、アンテナ701と無線受信復調回路702とに対応する。表示発振回路708とモニタ同期信号生成部709とは、第1の実施形態における各部と同様である。
【0055】
アンテナ701は、外部機器と無線信号を送受信する。具体的には、アンテナ701は、内視鏡スコープ60から送信される無線変調信号を受信する。また、アンテナ701は、無線変調送信回路711が変調した無線変調信号を内視鏡スコープ60に対して送信する。無線受信復調回路702は、アンテナ701が受信した無線変調信号を復調してシリアル信号を取得する。クロックリカバリー703は、無線受信復調回路702が取得したシリアル信号からクロックを生成する。S/P変換器704は、無線受信復調回路702が取得したシリアル信号をパラレル信号に変換する。伸張回路705は、S/P変換部704が変換したパラレル信号を伸張する。フレームメモリ706は、クロックリカバリー703が生成したクロック(W−CK)に基づいて、伸張回路705が伸張したパラレル信号、すなわち画像データを記憶する。符号判定回路707は、伸張回路705が伸張したパラレル信号に基づいて、画像データの先頭を判定する。
【0056】
画像処理部710は、表示発振回路708の発振に基づいた読み出しクロック(R−CK)に基づいて、フレームメモリ706から画像データを読み出し、モニタ同期信号生成部709が生成したモニタ表示同期信号に基づいたタイミングで、画像データに基づいた画像(1フレームの画像)をモニタ30に表示させる。無線変調送信回路711は、モニタ同期信号生成部709が生成したモニタ表示同期信号を変調し、無線変調信号を生成する。
【0057】
また、図示していないが、内視鏡スコープ60は、体腔内に挿入される可動性の挿入部と、挿入部の基端部分に連設された操作部とを備える。挿入部の先端には、体腔内撮影用のCMOSセンサ610などが内蔵された先端部が連設されている。
【0058】
なお、上述した例では、CMOSセンサ610は撮像発振回路611を内蔵している例を示したが、これに限らず、第2の実施形態に示したように、周波数を可変することができる水晶発振モジュール(VCXO)をCMOSセンサ610の外(先端部以外)に配置する構成としてもよい。また、本実施形態に示した構成と、第1の実施形態および第2の実施形態に示した構成とを組み合わせた構成としてもよい。
【0059】
内視鏡スコープ60が1フレームの画像を撮像する周期と、画像処理プロセッサ70が1フレームの画像をモニタ30に表示させる周期とを同期させる方法は、第1の実施形態における同期方法と同様である。従って、電子内視鏡装置3は、第1の実施形態における電子内視鏡装置1と同様に、CMOSセンサ610の処理が高速化した場合においても、内視鏡スコープ60が画像を撮像する周期と、画像処理プロセッサ70がモニタ30に画像を表示させる周期との同期を確保することができる。また、これにより、電子内視鏡装置3は、「追い越し」や「コマ落ち」といった現象を抑えることができる。
【0060】
また、電子内視鏡装置3は、内視鏡スコープ60から画像処理プロセッサ70に画像データを送信する際には無線通信を用いて送信するため、外乱ノイズの影響を受けにくい。そのため、電子内視鏡装置3は、画素が高性能化することで画像データの容量が多くなり、内視鏡スコープ60から画像処理プロセッサ70に対する画像データの伝送速度が高速化した場合においても、外乱ノイズの影響を受けにくい状態で画像データを送信することができる。また、内視鏡スコープ60から画像処理プロセッサ70に画像データを送信する経路は無線であるため、内視鏡スコープ60の細径化や、アイソレーション回路を削減することが可能である。
【0061】
以上、この発明の第1の実施形態から第3の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。