(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記磨耗防止手段は、前記押圧部材に配設され、前記押圧部材が前記第1の位置のときに前記制動部材と非接触にして、前記押圧部材からの前記押圧力を前記制動部材に当接して与える弾性部材を含むことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の湾曲操作装置。
前記磨耗防止手段は、前記押圧部材と前記制動部材の間に介装され、前記押圧部材が前記第1の位置のときに前記制動部材と非接触にして、前記押圧部材からの前記押圧力を前記制動部材に当接して与える板部材を含むことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の湾曲操作装置。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明である湾曲操作装置について説明する。なお、以下の説明において、各実施の形態に基づく図面は、模式的なものであり、各部分の厚みと幅との関係、夫々の部分の厚みの比率などは現実のものとは異なることに留意すべきであり、図面の相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている場合がある。
【0012】
図1から
図15は本発明の一実施形態に係わり、
図1は内視鏡の概略構成を示す斜視図、
図2は操作部の側面図、
図3は操作部を基端側から示す平面図、
図4は湾曲操作装置の要部を示す分解斜視図、
図5は湾曲操作装置の要部断面図、
図6は回動軸の構成を示す斜視図、
図7はロック機構であるカムとCリングの構成を示す斜視図、
図8はロック機構による制動時の状態を示す図、
図9はロック機構による制動解除時の状態を示す図、
図10は第1の変形例のロック機構であるカムとCリングの構成を示す斜視図、
図11は
図10のロック機構による制動時の状態を示す図、
図12は
図10のロック機構による制動解除時の状態を示す図、
図13は第2の変形例のロック機構であるカムとCリングの構成を示す斜視図、
図14は
図13のロック機構による制動時の状態を示す図、
図15は
図13のロック機構による制動解除時の状態を示す図である。
【0013】
図1に示すように、内視鏡1は、細長な挿入部2と、挿入部2の基端に連設された操作部3と、操作部3の基端側部から延出されたユニバーサルコード4と、を備えて構成されている。なお、挿入部2は、硬性部5と、湾曲部6と、先端部7とを有し、これらは操作部3側から順に連設されている。なお、挿入部は、硬性部5に代えて、軟性で可撓性を有する可撓管部を備えたものであっても良い。
【0014】
硬性部5内には、操作部3側から延在する一対の操作ワイヤ19(
図4および
図5参照)が挿通され、これら操作ワイヤ19の先端部は湾曲部6に接続されている。これらの操作ワイヤ19は、後述する湾曲操作装置20によって交互に牽引または弛緩することが可能となっており、これにより、湾曲部6は、例えば、上下(UD)2方向に湾曲される。
【0015】
操作部3は、挿入部2の基端に連設する把持部10と、この把持部10の基部側に連設する操作部本体11と、を有して構成されている。把持部10の先端側には、各種処置具を挿入部2に挿通する処置具チャンネルの開口部として処置具チャンネル開口部10aが設けられている。
【0016】
操作部本体11の内部には、湾曲操作装置20が配設されている(
図5参照)。また、操作部本体11の外部には、湾曲操作装置20に連結する湾曲操作レバー15および湾曲ロックレバー16が揺動自在に配設されていると共に、各種内視鏡機能に対する操作スイッチ類が配設されている(
図1から
図3参照)。さらに、操作部本体11の側部には、ユニバーサルコード4の基端部が連結されている。
【0017】
具体的に説明すると、例えば、
図2および
図5に示すように、操作部本体11を構成する外装ケース12は、左右両側に円形の開口部13L,13Rを有するケース本体13と、これら開口部13L,13Rを閉塞する円形のカバー14L,14Rとを備えており、本実施形態の湾曲操作装置20は、主として右側のカバー14Rを介して操作部本体11内に保持されている。
【0018】
また、例えば、
図2および
図3に示すように、本実施形態の湾曲操作レバー15は、外装ケース12の側面(すなわち、右側のカバー14R)に沿って延在するレバー本体15aと、このレバー本体15aの自由端側に連結されてケース本体13の幅方向に延在する指当て部15bと、を有して構成されている。レバー本体15aの自由端側の一部は、固定端側よりも幅広に形成され、このレバー本体15a上の幅広の領域には、湾曲操作レバー15の湾曲操作方向を示す表示として、例えば、湾曲部6を上方に湾曲させる操作方向であることを示す「Up」表示と、湾曲部6を下方に湾曲させる操作方向であることを示す「Down」表示とが記載されている。
【0019】
そして、このようにレバー本体15a上に操作方向を表示することにより、湾曲操作レバー15が揺動操作された際にも操作方向の表示が湾曲操作レバー15の陰に隠れることがなく、術者などは操作方向を視認により的確に認識することが可能となっている。また、指当て部15bの外面側には、その長手方向に沿って延在する複数の突条15cが設けられている。これらの突条15cは、術者などが湾曲操作レバー15を操作する際の滑り止め部材として機能する。これら突条15cは、指当て部15bの一端側から他端側までの略全域に渡って延在されており、これにより、術者などは指当て部15bに対して種々の方向からの良好な操作入力を実現することが可能となっている。
【0020】
なお、例えば、
図3,5に示すように、本実施形態のユニバーサルコード4は、左側のカバー14Lに連結されている。
【0021】
また、外装ケース12の一側面、ここでは、右側のカバー14R側における湾曲操作レバー15の周囲および把持部10の側面には、内視鏡1の機種名または対応処置具の文字による指標を透明または光透過性樹脂と、その文字を刳り貫いた金属または樹脂の板と、によって二色形成した指標プレート17a,17bが設けられている。外装ケース12または把持部10内における指標プレート17a,17bの背面側には、LEDまたはライトガイドを分岐させた発光部が設けられている。そして、指標プレート17a,17bに向けて光を当てることで、指標プレート17a,17bの文字が光り、ユーザが機種名または対応処置具を陰影により容易に認識することができるようになっている。
【0022】
図4,5に示すように、湾曲操作装置20は、回動部材としてのプーリ25と、このプーリ25の回動を制動(ロック)可能なロック機構26と、が支持部材としてのハウジング21内に収容されて要部が構成されている。ハウジング21は、例えば、一端側が開口する略円筒形状のハウジング本体22と、このハウジング本体22の開口部を閉塞する板体23と、この板体23に嵌合してハウジング本体22の外周部と複数の固定ビス43によって固定されるカバー42(
図5参照)と、を備えて構成されている。
【0023】
このようにハウジング本体22とカバー42によって閉塞されたハウジング21の内部には、プーリ25を収容するためのプーリ収容室27が設けられ、さらに、このプーリ収容室27の深部には、ロック機構26を収容するためのロック機構収容室28が設けられている。なお、プーリ収容室27は、略円形の凹部で構成され、このプーリ収容室27の周壁には、切欠部からなる一対のワイヤ挿通口(不図示)が設けられている。
【0024】
ロック機構収容室28は、プーリ収容室27と同心且つプーリ収容室27よりも小径の略円形の凹部からなるリング収容室29と、このリング収容室29の一側に連通する略矩形の凹部からなるカム収容室30とを有して構成されている。
【0025】
また、ハウジング本体22には、プーリ収容室27およびリング収容室29と同軸の貫通孔が、プーリ軸受孔31として穿設されている。さらに、ハウジング本体22には、カム収容室30に連通し且つプーリ軸受孔31と平行な貫通孔が、カム軸受孔32として穿設されている。
【0026】
プーリ25は、操作ワイヤ19と係合可能な係合溝35を周面に備えた略円板状の部材で構成されている。このプーリ25の中心部には、当該プーリ25と一体的に回動する回動軸36が挿通して立設されている。回動軸36のプーリ25に係入した端面には、
図5に示すように、プーリ25の端面に当接して回動軸36とプーリ25とを固定する固定ブロック44が板体23の中央に穿設された孔部23aを介して螺着されている。この固定ブロック44は、さらに複数の貫通したネジ孔44aが設けられ、これらネジ孔44aにビス44bがプーリ25の端面を当接固定するように螺着される。
【0027】
なお、回動軸36は、プーリ収容室27側からプーリ軸受孔31内に挿通されている。また、回動軸36の先端部は、プーリ軸受孔31を貫通してハウジング本体22の外部に突出されており、この回動軸36の突出端部には湾曲操作レバー15のレバー本体15aが固設されている。これにより、プーリ25は、ハウジング本体22に対して回動自在に支持され、湾曲操作レバー15に対する操作入力を通じて回動操作することが可能となっている。
【0028】
また、回動軸36には、長手軸に直交する方向に延設された回転止めのストッパ体33が一体形成されている(
図5および
図6参照)。このストッパ体33は、ハウジング本体22の表面から突出するように設けられた、図示しないストッパ部に当接して、プーリ25が許容される最大回動範囲を規定するものである。なお、このストッパ体33は、回動軸36と別体ではなく一体形成としたことで所定の強度と耐久性が得られるため、大きな回動力量でも安定的にプーリ25の最大回動範囲を規定することができるようになる。さらに、ストッパ体33は、側面の面積を増やせば回動制止強度を向上させることができる。
【0029】
また、プーリ25には、一対のガイド溝37が設けられている。これらガイド溝37は回動軸36と同心の略円弧状をなす貫通溝で構成され、各ガイド溝37内には、板体23をハウジング本体22に締結固定するためのネジ部材24がそれぞれ挿通されている。そして、これら各ガイド溝37と各ネジ部材24との係合により、プーリ25の安定的な回動が保証される。
【0030】
また、プーリ25の一側には、対称形状をなす一対の切欠部38が設けられている。さらに、各切欠部38の近傍には、例えば、矩形の凹部からなるワイヤ止め室39がそれぞれ設けられ、各ワイヤ止め室39が凹溝40を介して各切欠部38にそれぞれ連通されている。各ワイヤ止め室39には、例えば、周知のスウェージング加工などによって各操作ワイヤ19の基端部に形成されたステンレス製のワイヤ止め19aが収容され、はんだ付けなどによって保持されている。
【0031】
このように基端部がワイヤ止め室39内に保持された各操作ワイヤ19の先端側は、凹溝40および切欠部38を経て係合溝35に導かれ、プーリ25の外周部に巻装されている。さらに、操作ワイヤ19の先端側は、ワイヤ挿通口27aを介してハウジング21外に延在され、把持部10および硬性部5の内部を経て、湾曲部6に連結されている。そして、これら操作ワイヤ19は、プーリ25の回動動作に伴って係合溝35に対する巻装状態が変化することにより、牽引または弛緩され、湾曲部6を湾曲動作させることが可能となっている。
【0032】
なお、プーリ25と板体23との間のフリクションを軽減するため、これらの間には、プーリ25に形成された凹部25aに係入配置される、例えば、樹脂製のスペーサ41が介装されている(
図4,5参照)。
【0033】
さらに、ハウジング21は、上述したように、カバー42がハウジング本体22の外周部と複数の固定ビス43によって固定されているため、プーリ収容室27のスペースを大きくとることができ、大型なプーリ25を採用することができる。つまり、ハウジング21は、カバー42をハウジング本体22の外周部側からビス留めする構造として、大きなプーリ25を収容可能且つ大型化を防止した構成となっている。
【0034】
また、例えば、
図5に示すように、ハウジング21のカバー42には、挿入部2側から操作部3内に延在する信号線などの各種ケーブルをユニバーサルコード4内に導くガイド金具56が複数の固定用柱60を介して固設されている。具体的には、ここでは3本(
図5では2本のみ図示)の固定用柱60がカバー42の表面の縁辺近傍にそれぞれ所定の間隔をあけて螺着されている。これら固定用柱60の端部は、平板状のフレーム57にそれぞれビス59により固定されている。そして、フレーム57に形成された孔部にガイド金具56が貫挿されてビス58によってフレーム57とガイド金具56が固定されている。こうして、ハウジング21にガイド金具56が固定される。このような構造とすることで、組み立て性が向上する。
【0035】
図4および
図5に示すように、ロック機構26は、プーリ25の回動軸36の外周側に保持されたリング部材としての制動部材であるCリング45と、このCリング45の外周面の一部を内周側に押圧可能な押圧部材としてのカム46とを有する。
【0036】
Cリング45は、例えば、POM{ポリオキシメチレン(ポリアセタール樹脂)}などからなる所定の弾性を有する樹脂部材で構成されている。このCリング45の外周面の一部には軸方向に延在する切欠部45aが形成され、当該切欠部45aが形成されたCリング45上の部位が、他の部位よりも変形が容易な易変形部として設定されている。
【0037】
カム46は、
図5および
図6に示すように、例えば、金属製の略平板状のカムで構成され、カム収容室30内に収容されている。このカム46には、当該カム46と一体的に回動可能な偏心軸50が立設され、この偏心軸50はカム軸受孔32内に挿通されている。
【0038】
また、偏心軸50の端部は、カム軸受孔32を貫通してハウジング本体22の外部に突出されており、この偏心軸50の突出端部には湾曲ロックレバー16が固設されている。これにより、カム46は、ハウジング本体22に対して回動自在(揺動自在)に支持され、湾曲ロックレバー16に対する操作入力を通じて回動動作することが可能となっている。
【0039】
なお、例えば、
図4,5に示すように、カム収容室30とプーリ収容室27との間には、これらを区画する仕切板55が介装されている。この仕切板55のハウジング本体22に対する締結には、板体23をハウジング本体22に締結固定するためのネジ部材24の一部が兼用されている。
【0040】
なお、カム46には、外周部に沿って周溝46aが形成され、この周溝46aにCリング45の外周面に当接する磨耗防止手段であるOリング47が設けられている。このOリング47は、周溝46aよりも大きな断面形状を有しており、カム46の外周部から所定の厚みで突出するように配設されている。なお、カム46は、両脇に形成された外縁部46bが外方へ突出するように形成されている(
図6参照)。これら外縁部46bの部分においては、Oリング47がカム46の内部に没入して隠れた状態となっている。
【0041】
このような構成において、術者などにより、湾曲ロックレバー16に対する操作入力を通じてカム46が偏心軸50を中心とする一の方向に回動さると、
図8に示すように、カム46の外縁部46bがCリング45の外周面に当接して通過して乗り越えた後、カム46に設けられたOリング47がCリング45の外周面に当接して、当該Cリング45の外周面の一部を内周側に押圧する。この押圧によって、Cリング45は、主に易変形部(切欠部45a)を起点として内方側へ弾性変形し、回動軸36の外周面にCリング45の内周面が摺接される。このようなCリング45の摺接により、回動軸36(プーリ25)の回動が所定の力量で制動(ロック)される。なお、制動動作のとき、術者などは、カム46の外縁部46bがCリング45の外周面に当接して乗り越える感触により確実に回動軸36が制動される湾曲ロックレバー16の回動位置を認識することができる。
【0042】
一方、術者などにより、湾曲ロックレバー16に対する操作入力を通じてカム46が偏心軸50を中心とする他方向に回動されると、
図9に示すように、カム46に設けられたOリング47は、Cリング45の外周面から離間される。これにより、Cリング45の弾性変形は復元され、Cリング45の内周面が回動軸36の外周面から離間されることにより、回動軸36(プーリ25)に対する制動(ロック)が解除される。このときにおいても、術者などは、カム46の外縁部46bがCリング45の外周面に当接して乗り越える感触により確実に回動軸36が解除される湾曲ロックレバー16の回動位置を認識することができる。
【0043】
以上のように構成された本実施の形態の湾曲操作装置20は、プーリ25に接続された回動軸36を制動操作または解除操作を繰り返し行なっても、カム46に設けた磨耗防止手段のOリング47がCリング45に接触して押圧する状態または非接触に離間する状態となるため、特に樹脂性のCリング45の外周部およびカム46自体が削られるなどして生じる磨耗が防止される。そのため、湾曲操作装置20は、プーリ25の駆動軸である回動軸36へのカム46からの押圧力が変わることなく、回動軸36の回動を制動する制動力の低下が防止される。また、湾曲操作装置20は、Oリング47が弾性変形しながらCリング45の外周面を押圧する構成であるため、製造時における組付け誤差などによる回動軸36へのカム46による制動力量にバラツキが生じ難くなり、回動軸36への制動力が安定するという利点もある。さらに、Oリング47は、安価で簡単にカム46に取り付け可能であるため、仮にOリング47が磨耗した場合、低コストで容易に交換することができる。
【0044】
(第1の変形例)
なお、
図10に示すように、カム46とCリング45の間に、ここでの磨耗防止手段である金属の弾性板材である板部材61を設けても良い。具体的には、ここでのカム46は、上述の周溝46aが形成されておらず、Oリング47が設けられていない構成となっている。そして、
図11および
図12に示すように、ハウジング本体22は、カム収容室30を形成した対向する壁面に、このカム収容室30に連通する2つの溝部30aが直線的に形成されている。これら溝部30aに端部が差し込まれるようにして、カム収容室30に板部材61が架設されている。なお、溝部30aは、それらの溝幅が板部材61の厚さよりも大きく設定されており、板部材61に対して所定のクリアランスが設けられている。
【0045】
このような構成において、上述したように、術者などにより、湾曲ロックレバー16に対する操作入力を通じてカム46が偏心軸50を中心とする一の方向に回動さると、
図11に示すように、カム46の外周部が板部材61をCリング45の外周面に向けて押し込むように当接して、板部材61を介して当該Cリング45の外周面の一部を内周側に押圧する。このとき、板部材61は、カム46によってCリング45へ向けて湾曲変形され、Cリング45の外周面を内方に向けて直線的に押圧する。これにより、回動軸36の回動が所定の力量で制動される。
【0046】
一方、上述したように、術者などにより、湾曲ロックレバー16に対する操作入力を通じてカム46が偏心軸50を中心とする他方向に回動されると、
図12に示すように、カム46は、板部材61から離間される。このとき、板部材61は、略直線状となり、Cリング45に接触しない状態となる。これにより、回動軸36に対する制動が解除される。
【0047】
湾曲操作装置20は、板部材61を設けることで、カム46と擦れることで生じる磨耗を直接的にCリング45に与えることなく、板部材61を介してカム46からの押圧力を間接的にCリング45に伝達する。これにより、このような構成としても、湾曲操作装置20は、上述と同様の効果が得られる。さらに、板部材61も安価であり、簡単に交換可能であるという利点もある。なお、湾曲操作装置20は、本構成の板部材61を設けて、上記Oリング47を有したカム46とした磨耗防止手段を備えた構成しても良い。
【0048】
(第2の変形例)
また、
図13に示すように、Cリング45の内周一部に、ここでの磨耗防止手段である凹部状の切り欠き部62を形成しても良い。具体的には、ここでのカム46も、上述の周溝46aが形成されておらず、Oリング47が設けられていない構成となっている。そして、切り欠き部62は、カム46が当接するCリング45の外周部分に対称となるCリング45の内周部分に、周方向へ所定の長さ(例えば、カム46が当接する面積に対して2〜3倍の長さ)および外方に向けた深さが設定されている。
【0049】
このような構成においても、術者などにより、湾曲ロックレバー16に対する操作入力を通じてカム46が偏心軸50を中心とする一の方向に回動さると、
図14に示すように、カム46の外周部が直接的にCリング45の外周面に当接して、当該Cリング45の外周面の一部を内周側に押圧する。このとき、Cリング45は、切り欠き部62が形成された部分が回動軸36に当接することなくカム46によって弾性変形し、回動軸36に接触する内周部分が回動軸36の外周面を押圧する。これにより、回動軸36の回動が所定の力量で制動される。
【0050】
一方、上述したように、術者などにより、湾曲ロックレバー16に対する操作入力を通じてカム46が偏心軸50を中心とする他方向に回動されると、
図15に示すように、カム46は、Cリング45から離間される。
【0051】
このように、ここでのCリング45は、カム46と接触して押圧される部分の内方側に凹部状の切り欠き部62を形成して厚さを薄くすることで、より弾性変形し易くし、カム46が擦れることで生じる磨耗が防止される。これにより、以上のような構成としても、湾曲操作装置20は、上述と同様の効果が得られる。なお、湾曲操作装置20も、本構成の板部材61を設けて、上記Oリング47を有したカム46としても良いし、加えて、上記板部材61を設けて磨耗防止手段を備えた構成としても良い。
【0052】
(第1の参考例)
ここで、
図16から
図19に基いて、内視鏡1における構成の第1の参考例を説明する。なお、
図16から
図19は、内視鏡1の第1の参考例に係り、
図16は内視鏡の操作部本体に吸引バルブが装着された状態を部分的に示す正面図、
図17は内視鏡の操作部本体に吸引バルブが装着された状態を部分的に示す斜視図、
図18は内視鏡の操作部本体から吸引バルブが外された状態を部分的に示す斜視図、
図19は内視鏡の操作部本体に吸引バルブが装着された状態を部分的に示す側面図である。
なお、本参考例の説明において、上述の第1の実施の形態にて説明した構成要素については、同一の符号を付して、それら構成要素、及び作用の説明を省略する。
【0053】
本参考例の内視鏡1は、体液などを吸引するために
図16から
図19に示すように、吸引バルブ70を用いて吸引操作を行なえる機能を有しおり、この吸引バルブ70が操作部3の操作部本体11に着脱自在な構成となっている。この吸引バルブ70は、バルブ本体部71から延設し、図示しない吸引チューブが接続されるアーム72を有し、このアーム72が吸引チューブを介して、図示しない吸引制御装置と連通される。
【0054】
また、操作部本体11のケース本体13には、吸引バルブ70を捩じ込むことで気密に係入装着できる雌型コネクタ状のバルブ取り付け用のシリンダ部73を有している(
図18参照)。また、ケース本体13は、バルブ取り付け用のシリンダ部73の、ここでは右側部分から上方にかけて、装着された吸引バルブ70を回転させることで取り外しし易いようにガイドする傾斜面73aが形成されている。
【0055】
吸引バルブ70は、アーム72が操作部本体11を正面から見たときに右側に延出するようにケース本体13のシリンダ部73に装着される。そして、吸引バルブ70は、アーム72が上方側に向けて移動するように左回転されると、アーム72が傾斜面73aに当接した状態でガイドされて前方へ押し出されて、シリンダ部73から簡単に外れるようになっている。
【0056】
ところで、内視鏡1は、使用時に操作部3が傾けられたり回転されたりして、その姿勢が変更される。このとき、操作部3の姿勢によっては、吸引バルブ70がアーム72に接続されたチューブに引っ張られて、意図せずにケース本体13のシリンダ部73から外れてしまうことがある。そのため、操作部本体11のケース本体13には、シリンダ部73の、ここでは右側部分から下方に向けて円弧状の突起部13aが形成されている。この突起部13aは、吸引バルブ70が操作部本体11に装着されているときに、アーム72に当接して吸引バルブ70が右回りに回転しないように保持している。つまり、吸引バルブ70は、アーム72が突起部13aに当接して下方側への回転が規制され、症例中に不用意にケース本体13のバルブ取り付け用のシリンダ部73から外れないように構成されている。
【0057】
(第2の参考例)
次に、
図20から
図24に基いて、内視鏡1における構成の第2の参考例を説明する。なお、
図20から
図24は、内視鏡1の第2の参考例に係り、
図20は吸引バルブの構成を示す上面図、
図21は吸引バルブが内視鏡の操作部本体に装着された状態を示す部分断面図、
図22は吸引バルブを内視鏡の操作部本体から取り外すときの部分断面図、
図23は吸引バルブが内視鏡の操作部本体から取り外すときの部分断面図、
図24はリング部材を内視鏡の操作部本体から取り外すときの部分断面図である。
なお、本参考例の説明においても、上述の第1の実施の形態および第1の変形例にて説明した構成要素については、同一の符号を付して、それら構成要素、及び作用の説明を省略する。
【0058】
本変形例の吸引バルブ70は、
図20および
図21に示すように、アーム72よりもバルブ本体71側にあって、バルブ本体部71の外周部に所定の隙間を有した環状のリング部材75が設けられている。このリング部材75は、ここではアーム72と反対側でバルブ本体部71に沿って下方に延設された接続部76を有し、この接続部76がバルブ本体部71の外周部と2つの薄肉状の接続片76aによって接続されて、バルブ本体部71と一体形成されている。なお、接続部76の下端部には、爪部77が設けられている。
【0059】
ここでの操作部本体11のケース本体13に設けられたシリンダ部73は、孔状の雌コネクタ部73cに吸引バルブ70が係入して装着されたときに爪部77が嵌合する位置に凹部状の溝部13cが形成されている。つまり、吸引バルブ70は、バルブ取り付け用のシリンダ部73の溝部13cに爪部77が嵌合することで、症例中に不用意にケース本体13のバルブ取り付け用のシリンダ部73から外れないように構成されている。
【0060】
なお、吸引バルブ70は、シリンダ部73に装着されたときに、この雌コネクタ部73cの内周壁に接触して気密保持するOリング71aが爪部77よりも下方側のバルブ本体部71の外周部に設けられている。
【0061】
そして、本参考例の吸引バルブ70は、シリンダ部73から取り外すときに、
図22に示すように、リング部材75が持ち上げられて、薄肉の接続片76aが破断される。これにより、
図23に示すように、吸引バルブ70が簡単にシリンダ部73から抜き取ることができる。また、
図24に示すように、溝部13cから爪部77を外してシリンダ部73に残ったリング部材75が取り出される。
【0062】
以上のように構成された吸引バルブ70は、使用後に、シリンダ部73から外れないように溝部13cに嵌合している爪部77が設けられたリング部材75をバルブ本体71と分離可能な構造として、容易に操作部3のシリンダ部73から取り外すことができる。また、使用済みの吸引バルブ70は、リング部材75が意図的に取り外された(壊された)状態となるため、一度使用すると再利用できない構成となり、未使用のものとの見分けがつき易くなるという利点がある。
【0063】
(第3の参考例)
次に、
図25から
図31に基いて、内視鏡1における構成の第3の参考例を説明する。なお、
図25から
図31は、内視鏡1の第3の参考例に係り、
図25は吸引バルブの構成を示す上面図、
図26は吸引バルブの構成を示す正面図、
図27は吸引バルブの構成を示す側面図、
図28は操作部に設けられるバルブ取り付け用のシリンダ部の構成を示す平面図、
図29はシリンダ部に形成されるカム溝の構成を展開表示した断面図、
図30は
図29のXXX−XXX線断面図、
図31は吸引バルブを内視鏡の操作部本体に装着する状態を説明する断面図である。
なお、本参考例の説明においても、上述の第1の実施の形態および各変形例にて説明した構成要素については、同一の符号を付して、それら構成要素、及び作用の説明を省略する。
【0064】
本変形例の吸引バルブ70は、
図25から
図31に示すように、第2の変形例の環状のリング部材75を備えておらず、接続部76、接続片76aおよび爪部77のみがバルブ本体71の一側周部に配設されている構成となっている。
【0065】
ここでの爪部77は、吸引バルブ70の取り付け方向に対して鋭角となるよう菱形の板状をしており、その板面がバルブ本体71の外周方向に角度を有して、外方側への弾性力(付勢力)が生じるように傾けられている。
【0066】
また、ここでのケース本体13に設けられるバルブ取り付け用のシリンダ部73は、
図28および
図29に示すように、外周に沿って所定の範囲に溝部80が形成されている。この溝部80は、一端部分に開口部80aおよび他端部分に溝端面81を有し、所定の周回りに上面部82と徐々に広がるように傾斜した下面部83とが形成されている。なお、溝部80は、
図30に示すように、上面部82の幅W1に対して下面部83の幅W2が幅広となっている(W1<W2)。
【0067】
この溝部80が形成されたシリンダ部73に吸引バルブ70が装着されるとき、先ず、溝部80の開口部80aに吸引バルブ70の爪部77が係入される。そして、吸引バルブ70がシリンダ部73の深部方向に押し付けながら溝部80に沿って回転される。
【0068】
このとき、
図31に示すように、吸引バルブ70は、回転されると、爪部77の下端が溝部80の下面部83に沿ってスライドする。そして、吸引バルブ70は、バルブ本体71側となる内方側へ押し込まれるように、爪部77の回転方向の端部が溝部80の溝端面81に突き当たるまで回転されると、爪部77の上端が溝部80の上面部82に突き当たる。つまり、爪部77がカムを構成し、溝部80がカム溝を構成する。
【0069】
この状態において、爪部77が溝部80内で外方へ付勢力を生じさせて溝壁を押し付けるため、症例中に不用意に吸引バルブ70がシリンダ部73から外れないように固定される。なお、吸引バルブ70を引き抜けば、接続片76aが破断して、バルブ本体71と爪部77とを分断して、吸引バルブ70をシリンダ部73から簡単に取り外すことができる。
【0070】
以上のように構成された、吸引バルブ70は、爪部77と溝部80によるカム機構により、シリンダ部73への装着のときに制止するまで回転させれば、適正な位置に取り付けられたことが認識できる構成となっている。
【0071】
(第4の参考例)
次に、
図32に基いて、内視鏡に使用される医療用のシリンジの参考例を説明する。なお、
図32は、第4の参考例に係り、内視鏡に使用される医療用のシリンジの構成を示す部分断面図である。
【0072】
図32に示すように、シリンジ90は、例えば、気管支用の内視鏡1に用いられる医療用処置具の1つである。このシリンジ90は、パッキン91が設けられたピストン92に外径方向に所定の段発力を有して弾性変形可能なレバー93が設けられている。このレバー93の外方の面には、鋸状の凹凸93aが形成されている。また、シリンジ90のシリンダ94の内面には、レバー93の凹凸93aに係合する鋸状の凹凸94aが形成されている。これら凹凸93a,94aは、それらの係合を所定数ずらすことで、所定の距離でピストン92が移動し、所定の液量を排出できるように設定されている。
【0073】
このような構成としたシリンジ90は、シリンダ94内に液体(気体)を注入するとき、レバー93をピストン92側の内径方向に押し込みながらピストン92が引かれる。そして、シリンジ90は、シリンダ94内に注入された液体を出すとき、レバー93の凹凸93aとシリンダ94の凹凸94aとの引っ掛かりによるクリック感によって、指定単位量の液体を排出することができる。
【0074】
以上のように構成されたシリンジ90は、シリンダ94内の液体(気体)をシリンダ94に付される目盛りを見なくとも、クリック感により目的の所定の量だけ排出することができる構成となっている。さらに、シリンジ90は、レバー93をピストン92へ押し込み操作しない限り、ピストン92を引き出すことができず、意図しないシリンダ94内への液体(気体)の逆流も防止できる構成となっている。これにより、シリンジ90は、別途、活栓、逆支弁など必要としない構成とすることができる。
【0075】
(第5の参考例)
次に、
図33に基いて、内視鏡が接続される光源装置と内視鏡ハンガの参考例を説明する。なお、
図33は、第5の参考例に係り、内視鏡が内視鏡ハンガに引掛けられて、この内視鏡が接続されるカメラコントロールユニットおよびモニタを模式的に示す図である。
【0076】
ところで、内視鏡1に配設されるライトガイドは、内視鏡1をX線透視下で使用し続けると、光の透過光量が低下し、照明光が暗くなってしまう。この状態から一定の強い光をライトガイドに入射すると、透過光量が低下したライトガイドが正常な状態に回復する。
【0077】
そこで、本参考例では、未使用、使用前後などに、内視鏡1は、
図33に示すように、操作部3から延設されたユニバーサルコード4の根元部分が引掛けられる内視鏡ハンガ95に内視鏡1が引掛けられたことを検出する、例えばスイッチである検出部96が設けられている。また、内視鏡ハンガ95は、内視鏡1がユニバーサルコード4を介して接続されるビデオプロセッサおよび光源が内蔵されたカメラコントロールユニット(CCU)97と検出部96の検出信号を出力できるように電気的に接続されている。
【0078】
そして、カメラコントロールユニット97は、内視鏡画像を表示するモニタ98に接続される。カメラコントロールユニット97には、スタンバイスイッチ97aが設けられており、このスタンバイスイッチ97aをONすると、内部光源レベルを強にして、内視鏡1のライトガイドへ強い光量の光を供給するように設定される。
【0079】
このように構成された内視鏡ハンガ95およびカメラコントロールユニット97は、内視鏡ハンガ95に内視鏡1が引掛けられると、検出部96の検出信号が入力されたカメラコントロールユニット97が内視鏡1のライトガイドへ強い光量の光を供給する。
【0080】
なお、このとき、カメラコントロールユニット97は、モニタ98に内視鏡画像を表示しないように制御する。また、コントロールユニット97は、モニタ98にスタンバイモード中が分かるように文字表示させても良い。
【0081】
そして、内視鏡ハンガ95から内視鏡1が取り外されると、検出部96から検出信号の出力が停止し、カメラコントロールユニット97は、内視鏡1のライトガイドへの強い光量の光の供給を停止する。
【0082】
このように、術者などは、X線透視下の使用などで、照明光量が低下した内視鏡1をカメラコントロールユニット97のスタンバイスイッチ97aをONにして、内視鏡ハンガ95に引掛けておけば、内部のライトガイドの透過光量を回復することができる。また、X線透視下の症例途中において、内視鏡1を使用していないときに、内視鏡ハンガ95に引掛けておけば、ライトガイドに強い光量の光の供給が行なわれ透過光量低下を防止することができる。
【0083】
なお、以上の各実施の形態(参考例)に記載した発明は、それら実施の形態に記載した内容に限ることなく、その他、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々の変形を実施し得ることが可能である。さらに、前記各実施の形態には、種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適宜な組合せにより種々の発明が抽出され得るものである。
【0084】
例えば、前記各実施の形態に示される全構成要件から幾つかの構成要件が削除されても、述べられている課題が解決でき、述べられている効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得るものである。