【文献】
Journal of Pharmacology and Experimental Therapeutics (2002),302(3),1212-1219
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
(+)−ジヒドロモルヒネ、(+)−ジヒドロコデイン、(+)−ヒドロコドン、(+)−ヒドロモルホン、(+)−オキシコドン、(+)−オキシコデイノン、(+)−オキシモルホン、(+)−オキシモルフィノン、(+)−ナロキソン、(+)−ナルトレキソン、(+)−ナルブフィン、(+)−ナルフラフィン、(+)−ナルメフェン、(+)−ブプレノルフィン、(+)−エトルフィン、(+)−モルヒネ、(+)−コデイン、(+)−モルヒネ−6−グルクロニド、(+)−テバイン、(+)−オリパビン、(+)−デキストロルファン、(+)−デキストロメトルファン、および(+)−ジヒドロシノメニンから選択される化合物の第四級塩である、請求項1から9のいずれかに記載の化合物。
前記(+)−モルフィナニウム第四級塩が、(+)−モルヒネ、(+)−ジヒドロモルヒネ、(+)−コデイン、(+)−ジヒドロコデイン、(+)−ヒドロコドン、(+)−ヒドロモルホン、(+)−オキシコドン、(+)−オキシコデイノン、(+)−オキシモルホン、(+)−オキシモルフィノン、(+)−テバイン、(+)−オリパビン、(+)−ナロキソン、(+)−ナルトレキソン、(+)−ナルブフィン、(+)−ナルフラフィン、(+)−ナルメフェン、(+)−ブプレノルフィン、(+)−エトルフィン、(+)−モルヒネ−6−グルクロニド、(+)−シノメニン、(+)−ジヒドロシノメニン、(+)−デキストロルファン、および(+)−デキストロメトルファンから選択される(+)−モルフィナンの塩である、請求項11から13のいずれかに記載の方法。
Xが、ハロゲン化物イオン、硫酸イオン、メチル硫酸イオン、エチル硫酸イオン、ベンゼンスルホン酸イオン、p−トルエンスルホン酸イオン、フルオロホウ酸イオン、フルオロスルホン酸イオン、メチルスルホン酸イオン、トリフルオロメタンスルホン酸イオン、ヘキサクロロアンチモン酸イオン、ヘキサフルオロリン酸イオン、およびテトラフルオロホウ酸イオンから選択され、R2が、アルキル、アリル、アルケニル、およびアルカリールから選択され、R1が、アルキル、シクロアルキル、シクロアルキルメチル、アリル、およびアリールから選択され、(+)−モルフィナン対R2Xのモル対モル比は、約1:1〜約1:2であり、前記反応は、約25℃〜約90℃の範囲の温度で行われる、請求項11から14のいずれかに記載の方法。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、(+)−モルフィナニウム第四級塩、および(+)−モルフィナニウム第四級塩を第三級N置換(+)−モルフィナンアルカロイドから生成するための合成方法を提供する。
【0006】
本発明の一態様は、式(II):
【0007】
【化1】
[式中、
Aは、{−}C(O){−}、{−}C(=CH
2){−}、{−}CH
2{−}、{−}CH(A
1){−}、および{−}C(A
1){=}からなる群から選択され、
A
1は、ヒドロキシ、アルコキシ、アシルオキシ、アミド、ヒドロカルビル、および置換ヒドロカルビルからなる群から選択され、
R
1、R
2およびR
7は、ヒドロカルビルおよび置換ヒドロカルビルからなる群から独立して選択され、
R
3およびR
4は、水素、ヒドロカルビルおよび置換ヒドロカルビルからなる群から独立して選択され、
R
5およびR
6は、水素、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ハロゲン、{−}OH、および{−}OR
7からなる群から独立して選択され、
R
8は、水素、ヒドロカルビル、および置換ヒドロカルビルからなる群から選択され、
Xは、アニオンであり、
Yは、存在するとき、水素、ヒドロキシ、保護されたヒドロキシ、アルコキシ、およびアシルオキシからなる群から選択され、
Zは、ヒドロキシ、保護されたヒドロキシ、アルコキシ、およびアシルオキシからなる群から選択され、
6位の炭素原子と7位の炭素原子との間、7位の炭素原子と8位の炭素原子との間、および8位の炭素原子と14位の炭素原子との間の破線は、(a)全ての炭素原子間での単結合(ここで、6位の炭素と14位の炭素とは、アルカノ架橋によって接続されていてもよい)、(b)6位の炭素と7位の炭素との間、および8位の炭素と14位の炭素との間の2箇所の単結合、ならびに7位の炭素と8位の炭素との間の二重結合、ならびに(c)6位の炭素と7位の炭素との間、および8位の炭素と14位の炭素との間の2箇所の二重結合、ならびに7位の炭素と8位の炭素との間の単結合(ここで、Yは、8位の炭素と14位の炭素との間の二重結合が存在するときには存在しない)からなる群から選択される炭素−炭素結合を表す]を有する化合物を包含する。
【0008】
本発明の別の態様は、式(IV):
【0009】
【化2】
[式中、
Aは、{−}C(O){−}、{−}C(=CH
2){−}、{−}CH
2{−}、{−}CH(A
1){−}、および{−}C(A
1){=}からなる群から選択され、
A
1は、ヒドロキシ、アルコキシ、アシルオキシ、アミド、ヒドロカルビル、および置換ヒドロカルビルからなる群から選択され、
R
1、R
2およびR
7は、ヒドロカルビルおよび置換ヒドロカルビルからなる群から独立して選択され、
R
3およびR
4は、水素、ヒドロカルビルおよび置換ヒドロカルビルからなる群から独立して選択され、
R
5およびR
6は、水素、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ハロゲン、{−}OH、および{−}OR
7からなる群から独立して選択され、
R
8は、水素、ヒドロカルビル、および置換ヒドロカルビルからなる群から選択され、
Xは、アニオンであり、
Yは、存在するとき、水素、ヒドロキシ、保護されたヒドロキシ、アルコキシ、およびアシルオキシからなる群から選択され、
Zは、ヒドロキシ、保護されたヒドロキシ、アルコキシ、およびアシルオキシからなる群から選択され、
Z’は、水素、ヒドロキシ、保護されたヒドロキシ、アルコキシ、およびアシルオキシからなる群から選択され、
6位の炭素原子と7位の炭素原子との間、7位の炭素原子と8位の炭素原子との間、および8位の炭素原子と14位の炭素原子との間の破線は、(a)全ての炭素原子間での単結合、(b)6位の炭素と7位の炭素との間、および8位の炭素と14位の炭素との間の2箇所の単結合、ならびに7位の炭素と8位の炭素との間の二重結合(ここで、Aは、7位の炭素と8位の炭素との間の二重結合が存在するとき、{−}C(O){−}ではない)、ならびに(c)6位の炭素と7位の炭素との間、および8位の炭素と14位の炭素との間の2箇所の二重結合、ならびに7位の炭素と8位の炭素との間の単結合(ここで、Yは、8位の炭素と14位の炭素との間の二重結合が存在するときには、存在しない)からなる群から選択される炭素−炭素結合を表す]
を有する化合物を提供する。
【0010】
本発明のさらなる態様は、(+)−モルフィナニウム第四級塩の調製のための方法を提供する。該方法は、17位にNR
1を含む(+)−モルフィナンをR
2Xと接触させて、17位にN
+(R
1)(R
2)X
−を含む(+)−モルフィナニウム第四級塩を形成することを含み、ここで、R
1およびR
2は、ヒドロカルビルおよび置換ヒドロカルビルからなる群から独立して選択され、Xは、脱離基である。
【0011】
本発明のさらに別の態様は、式(II)を有する化合物の調製のための方法を包含する。該方法は、以下の反応:
【0012】
【化3】
[式中、
Aは、{−}C(O){−}、{−}C(=CH
2){−}、{−}CH
2{−}、{−}CH(A
1){−}、および{−}C(A
1){=}からなる群から選択され、
A
1は、ヒドロキシ、アルコキシ、アシルオキシ、アミド、ヒドロカルビル、および置換ヒドロカルビルからなる群から選択され、
R
1、R
2およびR
7は、ヒドロカルビルおよび置換ヒドロカルビルからなる群から独立して選択され、
R
3およびR
4は、水素、ヒドロカルビルおよび置換ヒドロカルビルからなる群から独立して選択され、
R
5およびR
6は、水素、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ハロゲン、{−}OH、および{−}OR
7からなる群から独立して選択され、
R
8は、水素、ヒドロカルビル、および置換ヒドロカルビルからなる群から選択され、
Xは、脱離基であり、
Yは、存在するとき、水素、ヒドロキシ、保護されたヒドロキシ、アルコキシ、およびアシルオキシからなる群から選択され、
Zは、ヒドロキシ、保護されたヒドロキシ、アルコキシ、およびアシルオキシからなる群から選択され、
6位の炭素原子と7位の炭素原子との間、7位の炭素原子と8位の炭素原子との間、および8位の炭素原子と14位の炭素原子との間の破線は、(a)全ての炭素原子間での単結合(ここで、6位の炭素と14位の炭素とは、アルカノ架橋によって接続されていてもよい)、(b)6位の炭素と7位の炭素との間、および8位の炭素と14位の炭素との間の2箇所の単結合、ならびに7位の炭素と8位の炭素との間の二重結合、ならびに(c)6位の炭素と7位の炭素との間、および8位の炭素と14位の炭素との間の2箇所の二重結合、ならびに7位の炭素と8位の炭素との間の単結合(ここで、Yは、8位の炭素と14位の炭素との間の二重結合が存在するときには、存在しない)からなる群から選択される炭素−炭素結合を表す]
にしたがって、式(I)を有する化合物をR
2Xと接触させて、式(II)を有する化合物を形成することを含む。
【0013】
本発明のさらなる態様は、式(IV)を有する化合物の調製のための方法を提供する。該方法は、以下の反応:
【0014】
【化4】
[式中、
Aは、{−}C(O){−}、{−}C(=CH
2){−}、{−}CH
2{−}、{−}CH(A
1){−}、および{−}C(A
1){=}からなる群から選択され、
A
1は、ヒドロキシ、アルコキシ、アシルオキシ、アミド、ヒドロカルビル、および置換ヒドロカルビルからなる群から選択され、
R
1、R
2およびR
7は、ヒドロカルビルおよび置換ヒドロカルビルからなる群から独立して選択され、
R
3およびR
4は、水素、ヒドロカルビルおよび置換ヒドロカルビルからなる群から独立して選択され、
R
5およびR
6は、水素、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ハロゲン、{−}OH、および{−}OR
7からなる群から独立して選択され、
R
8は、水素、ヒドロカルビル、および置換ヒドロカルビルからなる群から選択され、
Xは、脱離基であり、
Yは、存在するとき、水素、ヒドロキシ、保護されたヒドロキシ、アルコキシ、およびアシルオキシからなる群から選択され、
Zは、ヒドロキシ、保護されたヒドロキシ、アルコキシ、およびアシルオキシからなる群から選択され、
Z’は、水素、ヒドロキシ、保護されたヒドロキシ、アルコキシ、およびアシルオキシからなる群から選択され、
6位の炭素原子と7位の炭素原子との間、7位の炭素原子と8位の炭素原子との間、および8位の炭素原子と14位の炭素原子との間の破線は、(a)全ての炭素原子間での単結合、(b)6位の炭素と7位の炭素との間、および8位の炭素と14位の炭素との間の2箇所の単結合、ならびに7位の炭素と8位の炭素との間の二重結合、ならびに(c)6位の炭素と7位の炭素との間、および8位の炭素と14位の炭素との間の2箇所の二重結合、ならびに7位の炭素と8位の炭素との間の単結合(ここで、Yは、8位の炭素と14位の炭素との間の二重結合が存在するときには、存在しない)からなる群から選択される炭素−炭素結合を表す]
にしたがって、式(III)を有する化合物をR
2Xと接触させて、式(IV)を有する化合物を形成することを含む。
【0015】
本発明の他の態様および反復を、以下に、より詳細に記載する。
例えば、本発明は以下の項目を提供する。
(項目1)
式(II):
【化24】
[式中、
Aは、{−}C(O){−}、{−}C(=CH2){−}、{−}CH2{−}、{−}CH(A1){−}、および{−}C(A1){=}から選択され、
A1は、ヒドロキシ、アルコキシ、アシルオキシ、アミド、ヒドロカルビル、および置換ヒドロカルビルから選択され、
R1、R2およびR7は、ヒドロカルビルおよび置換ヒドロカルビルから独立して選択され、
R3およびR4は、水素、ヒドロカルビルおよび置換ヒドロカルビルから独立して選択され、
R5およびR6は、水素、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ハロゲン、{−}OH、および{−}OR7から独立して選択され、
R8は、水素、ヒドロカルビル、および置換されたものから選択され、
Xは、アニオンであり、
Yは、存在するとき、水素、ヒドロキシ、保護されたヒドロキシ、アルコキシ、およびアシルオキシから選択され、
Zは、ヒドロキシ、保護されたヒドロキシ、アルコキシ、およびアシルオキシから選択され、
6位の炭素原子と7位の炭素原子との間、7位の炭素原子と8位の炭素原子との間、および8位の炭素原子と14位の炭素原子との間の破線は、(a)全ての炭素原子間での単結合(ここで、6位の炭素と14位の炭素とは、アルカノ架橋によって接続されていてもよい)、(b)6位の炭素と7位の炭素との間、および8位の炭素と14位の炭素との間の2箇所の単結合、ならびに7位の炭素と8位の炭素との間の二重結合、ならびに(c)6位の炭素と7位の炭素との間、および8位の炭素と14位の炭素との間の2箇所の二重結合、ならびに7位の炭素と8位の炭素との間の単結合(ここで、Yは、8位の炭素と14位の炭素との間の二重結合が存在するときには、存在しない)から選択される炭素−炭素結合を表す。]
を有する化合物。
(項目2)
式(IIa):
【化25】
[式中、
Aは、{−}C(O){−}、{−}C(=CH2){−}、{−}CH2{−}、および{−}CH(A1){−}から選択され、ここで、6位の炭素と14位の炭素とは、アルカノ架橋によって接続されていてもよく、
A1は、ヒドロキシ、アルコキシ、アシルオキシ、アミド、ヒドロカルビル、および置換ヒドロカルビルから選択され、
R1およびR2は、ヒドロカルビルおよび置換ヒドロカルビルから独立して選択され、
R8は、水素、ヒドロキシ、アルキル、置換アルキル、アルコキシ、ヒドロカルビル、および置換ヒドロカルビルから選択され、
Xは、アニオンであり、
Yは、水素、ヒドロキシ、アルコキシ、およびアシルオキシから選択され、
Zは、ヒドロキシ、アルコキシ、およびアシルオキシから選択される]
を有する、項目1に記載の化合物。
(項目3)
式(IIb):
【化26】
[式中、
Aは、{−}C(O){−}、{−}C(=CH2){−}、{−}CH2{−}、および{−}CH(A1){−}から選択され、
A1は、ヒドロキシ、アルコキシ、アシルオキシ、アミド、ヒドロカルビル、および置換ヒドロカルビルから選択され、
R1およびR2は、ヒドロカルビルおよび置換ヒドロカルビルから独立して選択され、
R8は、水素、ヒドロキシ、アルキル、置換アルキル、アルコキシ、ヒドロカルビル、および置換ヒドロカルビルから選択され、
Xは、アニオンであり、
Yは、水素、ヒドロキシ、アルコキシ、およびアシルオキシから選択され、
Zは、ヒドロキシ、アルコキシ、およびアシルオキシから選択される]
を有する、項目1に記載の化合物。
(項目4)
式(IIc):
【化27】
[式中、
A1は、水素、ヒドロキシ、アルコキシ、アシルオキシ、アミド、ヒドロカルビル、および置換ヒドロカルビルから選択され、
R1およびR2は、ヒドロカルビルおよび置換ヒドロカルビルから独立して選択され、
R8は、水素、ヒドロキシ、アルキル、置換アルキル、アルコキシ、ヒドロカルビル、および置換ヒドロカルビルから選択され、
Xは、アニオンであり、
Zは、ヒドロキシ、アルコキシ、およびアシルオキシから選択される]
を有する、項目1に記載の化合物。
(項目5)
式(IV):
【化28】
[式中、
Aは、{−}C(O){−}、{−}C(=CH2){−}、{−}CH2{−}、{−}CH(A1){−}、および{−}C(A1){=}から選択され、
A1は、ヒドロキシ、アルコキシ、アシルオキシ、アミド、ヒドロカルビル、および置換ヒドロカルビルから選択され、
R1、R2およびR7は、ヒドロカルビルおよび置換ヒドロカルビルから独立して選択され、
R3およびR4は、水素、ヒドロカルビル、および置換ヒドロカルビルから独立して選択され、
R5およびR6は、水素、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ハロゲン、{−}OH、および{−}OR7から独立して選択され、
R8は、水素、ヒドロカルビル、および置換ヒドロカルビルから選択され、
Xは、アニオンであり、
Yは、存在するとき、水素、ヒドロキシ、保護されたヒドロキシ、アルコキシ、およびアシルオキシから選択され、
Zは、ヒドロキシ、保護されたヒドロキシ、アルコキシ、およびアシルオキシから選択され、
Z’は、水素、ヒドロキシ、保護されたヒドロキシ、アルコキシ、およびアシルオキシから選択され、
6位の炭素原子と7位の炭素原子との間、7位の炭素原子と8位の炭素原子との間、および8位の炭素原子と14位の炭素原子との間の破線は、(a)全ての炭素原子間での単結合、(b)6位の炭素と7位の炭素との間、および8位の炭素と14位の炭素との間の2箇所の単結合、ならびに7位の炭素と8位の炭素との間の二重結合(ここで、Aは、7位の炭素と8位の炭素との間の二重結合が存在するとき、{−}C(O){−}ではない)、ならびに(c)6位の炭素と7位の炭素との間、および8位の炭素と14位の炭素との間の2箇所の二重結合、ならびに7位の炭素と8位の炭素との間の単結合(ここで、Yは、8位の炭素と14位の炭素との間の二重結合が存在するときには、存在しない)から選択される炭素−炭素結合を表す]
を有する化合物。
(項目6)
式(IVa):
【化29】
[式中、
Aは、{−}C(O){−}、{−}C(=CH2){−}、{−}CH2{−}、および{−}CH(A1){−}から選択され、
A1は、ヒドロキシ、アルコキシ、アシルオキシ、アミド、ヒドロカルビル、および置換ヒドロカルビルから選択され、
R1およびR2は、ヒドロカルビルおよび置換ヒドロカルビルから独立して選択され、
R8は、水素、ヒドロキシ、アルキル、置換アルキル、アルコキシ、ヒドロカルビル、および置換ヒドロカルビルから選択され、
Xは、アニオンであり、
Yは、水素、ヒドロキシ、保護されたヒドロキシ、アルコキシ、およびアシルオキシから選択され、
Zは、ヒドロキシ、保護されたヒドロキシ、アルコキシ、およびアシルオキシから選択され、
Z’は、水素、ヒドロキシ、保護されたヒドロキシ、アルコキシ、およびアシルオキシから選択される]
を有する、項目5に記載の化合物。
(項目7)
式(IVb):
【化30】
[式中、
Aは、{−}C(=CH2){−}、{−}CH2{−}、および{−}CH(A1){−}から選択され、
A1は、ヒドロキシ、アルコキシ、アシルオキシ、アミド、ヒドロカルビル、および置換ヒドロカルビルから選択され、
R1およびR2は、ヒドロカルビルおよび置換ヒドロカルビルから独立して選択され、
R8は、水素、ヒドロキシ、アルキル、置換アルキル、アルコキシ、ヒドロカルビル、および置換ヒドロカルビルから選択され、
Xは、アニオンであり、
Yは、水素、ヒドロキシ、保護されたヒドロキシ、アルコキシ、およびアシルオキシから選択され、
Zは、ヒドロキシ、保護されたヒドロキシ、アルコキシ、およびアシルオキシから選択され、
Z’は、水素、ヒドロキシ、保護されたヒドロキシ、アルコキシ、およびアシルオキシから選択される]
を有する、項目5に記載の化合物。
(項目8)
式(IVc):
【化31】
[式中、
A1は、水素、ヒドロキシ、アルコキシ、アシルオキシ、アミド、ヒドロカルビル、および置換ヒドロカルビルから選択され、
R1およびR2は、ヒドロカルビルおよび置換ヒドロカルビルから独立して選択され、
R8は、水素、ヒドロキシ、アルキル、置換アルキル、アルコキシ、ヒドロカルビル、および置換ヒドロカルビルから選択され、
Xは、アニオンであり、
Zは、ヒドロキシ、保護されたヒドロキシ、アルコキシ、およびアシルオキシから選択され、
Z’は、水素、ヒドロキシ、保護されたヒドロキシ、アルコキシ、およびアシルオキシか
ら選択される]
を有する、項目5に記載の化合物。
(項目9)
R1が、アルキル、シクロアルキル、シクロアルキルメチル、アリル、およびアリールから選択され、R2が、アルキル、アリル、アルケニル、およびアルカリールから選択され、Xが、ハロゲン化物イオン、硫酸イオン、メチル硫酸イオン、エチル硫酸イオン、ベンゼンスルホン酸イオン、p−トルエンスルホン酸イオン、フルオロホウ酸イオン、フルオロスルホン酸イオン、メチルスルホン酸イオン、トリフルオロメタンスルホン酸イオン、ヘキサクロロアンチモン酸イオン、ヘキサフルオロリン酸イオン、およびテトラフルオロホウ酸イオンから選択される、項目1から8のいずれかに記載の化合物。
(項目10)
(+)−ジヒドロモルヒネ、(+)−ジヒドロコデイン、(+)−ヒドロコドン、(+)−ヒドロモルホン、(+)−オキシコドン、(+)−オキシコデイノン、(+)−オキシモルホン、(+)−オキシモルフィノン、(+)−ナロキソン、(+)−ナルトレキソン、(+)−ナルブフィン、(+)−ナルフラフィン、(+)−ナルメフェン、(+)−ブプレノルフィン、(+)−エトルフィン、(+)−モルヒネ、(+)−コデイン、(+)−モルヒネ−6−グルクロニド、(+)−テバイン、(+)−オリパビン、(+)−デキストロルファン、(+)−デキストロメトルファン、および(+)−ジヒドロシノメニンから選択される化合物の第四級塩である、項目1から9のいずれかに記載の化合物。
(項目11)
(+)−モルフィナニウム第四級塩の調製のための方法であって、17位にNR1を含む(+)−モルフィナンをR2Xと接触させて、17位にN+(R1)(R2)X−を含む(+)−モルフィナニウム第四級塩を形成することを含み、ここで、R1およびR2は、ヒドロカルビルおよび置換ヒドロカルビルから独立して選択され、Xは、脱離基である、方法。
(項目12)
17位にNR1を含む前記(+)−モルフィナンが、式(I)の化合物であり、前記(+)−モルフィナニウム第四級塩が、式(II)の化合物であり、前記方法が、以下の反応:
【化32】
[式中、
Aは、{−}C(O){−}、{−}C(=CH2){−}、{−}CH2{−}、{−}CH(A1){−}、および{−}C(A1){=}から選択され、
A1は、ヒドロキシ、アルコキシ、アシルオキシ、アミド、ヒドロカルビル、および置換ヒドロカルビルから選択され、
R1、R2およびR7は、ヒドロカルビルおよび置換ヒドロカルビルから独立して選択され、
R3およびR4は、水素、ヒドロカルビルおよび置換ヒドロカルビルから独立して選択され、
R5およびR6は、水素、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ハロゲン、{−}OH、および{−}OR7から独立して選択され、
R8は、水素、ヒドロキシ、アルキル、置換アルキル、アルコキシ、ヒドロカルビル、および置換ヒドロカルビルから選択され、
Xは、脱離基であり、
Yは、存在するとき、水素、ヒドロキシ、保護されたヒドロキシ、アルコキシ、およびアシルオキシから選択され、
Zは、ヒドロキシ、保護されたヒドロキシ、アルコキシ、およびアシルオキシから選択され、
6位の炭素原子と7位の炭素原子との間、7位の炭素原子と8位の炭素原子との間、および8位の炭素原子と14位の炭素原子との間の破線は、(a)全ての炭素原子間での単結合(ここで、6位の炭素と14位の炭素とは、アルカノ架橋によって接続されていてもよい)、(b)6位の炭素と7位の炭素との間、および8位の炭素と14位の炭素との間の2箇所の単結合、ならびに7位の炭素と8位の炭素との間の二重結合、ならびに(c)6位の炭素と7位の炭素との間、および8位の炭素と14位の炭素との間の2箇所の二重結合、ならびに7位の炭素と8位の炭素との間の単結合(ここで、Yは、8位の炭素と14位の炭素との間の二重結合が存在するときには、存在しない)から選択される炭素−炭素結合を表す]
にしたがって進行する、項目11に記載の方法。
(項目13)
17位にNR1を含む前記(+)−モルフィナンが、式(III)の化合物であり、前記(+)−モルフィナニウム第四級塩が、式(IV)の化合物であり、前記方法が、以下の反応:
【化33】
[式中、
Aは、{−}C(O){−}、{−}C(=CH2){−}、{−}CH2{−}、{−}CH(A1){−}、および{−}C(A1){=}から選択され、
A1は、ヒドロキシ、アルコキシ、アシルオキシ、アミド、ヒドロカルビル、および置換ヒドロカルビルから選択され、
R1、R2およびR7は、ヒドロカルビルおよび置換ヒドロカルビルから独立して選択され、
R3およびR4は、水素、ヒドロカルビル、および置換ヒドロカルビルから独立して選択され、
R5およびR6は、水素、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ハロゲン、{−}OH、および{−}OR7から独立して選択され、
R8は、水素、ヒドロキシ、アルキル、置換アルキル、アルコキシ、ヒドロカルビル、お
よび置換ヒドロカルビルから選択され、
Xは、脱離基であり、
Yは、存在するとき、水素、ヒドロキシ、保護されたヒドロキシ、アルコキシ、およびアシルオキシから選択され、
Zは、ヒドロキシ、保護されたヒドロキシ、アルコキシ、およびアシルオキシから選択され、
Z’は、水素、ヒドロキシ、保護されたヒドロキシ、アルコキシ、およびアシルオキシから選択され、
6位の炭素原子と7位の炭素原子との間、7位の炭素原子と8位の炭素原子との間、および8位の炭素原子と14位の炭素原子との間の破線は、(a)全ての炭素原子間での単結合、(b)6位の炭素と7位の炭素との間、および8位の炭素と14位の炭素との間の2箇所の単結合、ならびに7位の炭素と8位の炭素との間の二重結合、ならびに(c)6位の炭素と7位の炭素との間、および8位の炭素と14位の炭素との間の2箇所の二重結合、ならびに7位の炭素と8位の炭素との間の単結合(ここで、Yは、8位の炭素と14位の炭素との間の二重結合が存在するときには、存在しない)から選択される炭素−炭素結合を表す]
にしたがって進行する、項目11に記載の方法。
(項目14)
前記(+)−モルフィナニウム第四級塩が、(+)−モルヒネ、(+)−ジヒドロモルヒネ、(+)−コデイン、(+)−ジヒドロコデイン、(+)−ヒドロコドン、(+)−ヒドロモルホン、(+)−オキシコドン、(+)−オキシコデイノン、(+)−オキシモルホン、(+)−オキシモルフィノン、(+)−テバイン、(+)−オリパビン、(+)−ナロキソン、(+)−ナルトレキソン、(+)−ナルブフィン、(+)−ナルフラフィン、(+)−ナルメフェン、(+)−ブプレノルフィン、(+)−エトルフィン、(+)−モルヒネ−6−グルクロニド、(+)−シノメニン、(+)−ジヒドロシノメニン、(+)−デキストロルファン、および(+)−デキストロメトルファンから選択される(+)−モルフィナンの塩である、項目11から13のいずれかに記載の方法。
(項目15)
Xが、ハロゲン化物イオン、硫酸イオン、メチル硫酸イオン、エチル硫酸イオン、ベンゼンスルホン酸イオン、p−トルエンスルホン酸イオン、フルオロホウ酸イオン、フルオロスルホン酸イオン、メチルスルホン酸イオン、トリフルオロメタンスルホン酸イオン、ヘキサクロロアンチモン酸イオン、ヘキサフルオロリン酸イオン、およびテトラフルオロホウ酸イオンから選択され、R2が、アルキル、アリル、アルケニル、およびアルカリールから選択され、R1が、アルキル、シクロアルキル、シクロアルキルメチル、アリル、およびアリールから選択され、(+)−モルフィナン対R2Xのモル対モル比は、約1:1〜約1:2であり、前記反応は、約25℃〜約90℃の範囲の温度で行われる、項目11から14のいずれかに記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明は、(+)−モルフィナンアルカロイドの第四級N置換塩を提供する。さらに、(+)−モルフィナンアルカロイドの第四級N置換塩を第三級N置換(+)−モルフィナンアルカロイドから合成するのに効果的な方法も提供される。該方法は、(+)−モルフィナン化合物の第三級アミンを(+)−モルフィナニウム第四級塩に変換することを含む。
【0017】
(I)(+)−モルフィナニウム第四級塩
(a)式(II)を有する化合物
本発明の一態様は、(+)−モルフィナン化合物の第四級塩誘導体を包含する。本発明の一実施形態において、該化合物は、式(II):
【0018】
【化5】
[式中、
Aは、{−}C(O){−}、{−}C(=CH
2){−}、{−}CH
2{−}、{−}CH(A
1){−}、および{−}C(A
1){=}からなる群から選択され、
A
1は、ヒドロキシ、アルコキシ、アシルオキシ、アミド、ヒドロカルビル、および置換ヒドロカルビルからなる群から選択され、
R
1、R
2およびR
7は、ヒドロカルビルおよび置換ヒドロカルビルからなる群から独立して選択され、
R
3およびR
4は、水素、ヒドロカルビルおよび置換ヒドロカルビルからなる群から独立して選択され、
R
5およびR
6は、水素、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ハロゲン、{−}OH、および{−}OR
7からなる群から独立して選択され、
R
8は、水素、ヒドロカルビル、および置換ヒドロカルビルからなる群から選択され、
Xは、アニオンであり、
Yは、存在するとき、水素、ヒドロキシ、保護されたヒドロキシ、アルコキシ、およびアシルオキシからなる群から選択され、
Zは、ヒドロキシ、保護されたヒドロキシ、アルコキシ、およびアシルオキシからなる群から選択され、
6位の炭素原子と7位の炭素原子との間、7位の炭素原子と8位の炭素原子との間、および8位の炭素原子と14位の炭素原子との間の破線は、(a)全ての炭素原子間での単結合(ここで、6位の炭素と14位の炭素とは、アルカノ架橋によって接続されていてもよい)、(b)6位の炭素と7位の炭素との間、および8位の炭素と14位の炭素との間の2箇所の単結合、ならびに7位の炭素と8位の炭素との間の二重結合、ならびに(c)6位の炭素と7位の炭素との間、および8位の炭素と14位の炭素との間の2箇所の二重結合、ならびに7位の炭素と8位の炭素との間の単結合(ここで、Yは、8位の炭素と14位の炭素との間の二重結合が存在するときには、存在しない)からなる群から選択される炭素−炭素結合を表す]
を有する。
【0019】
用語「置換ヒドロカルビル」は、本明細書において用いられるとき、少なくとも1個のヘテロ原子で置換されたヒドロカルビル部分を称し、炭素鎖原子がヘテロ原子で置換されている部分を含めるが、このヘテロ原子は、本明細書において定義されているような、R
2X化合物と反応しないことを条件とする。
【0020】
好ましい反復において、R
3、R
4、R
5、およびR
6は、それぞれ、水素である。R
1は、好ましくはアルキル、シクロアルキル、シクロアルキルメチル、アリル、もしくはアリールであり、さらにより好ましくはメチル、エチル、プロピル、シクロプロピルメチル、シクロブチルメチル、アリル、ベンジル、もしくはプロパルギルである。R
2は、好ましくはアルキル、アリル、アルケニル、またはアルカリールであり、より好ましくは低級アルキルである。好ましい反復において、Xは、ハロゲン化物イオン、硫酸イオン、メチル硫酸イオン、エチル硫酸イオン、ベンゼンスルホン酸イオン、p−トルエンスルホン酸イオン、フルオロホウ酸イオン、フルオロスルホン酸イオン、メチルスルホン酸イオン、トリフルオロメタンスルホン酸イオン、ヘキサクロロアンチモン酸イオン、ヘキサフルオロリン酸イオン、またはテトラフルオロホウ酸イオンである。好ましいハロゲン化物イオンとして、臭化物イオン、塩化物イオン、フッ化物イオン、およびヨウ化物イオンが挙げられる。一般に、Xは、薬学的に許容される。
【0021】
この実施形態の一反復において、該化合物は、式(IIa):
【0022】
【化6】
[式中、
Aは、{−}C(O){−}、{−}C(=CH
2){−}、{−}CH
2{−}、および{−}CH(A
1){−}からなる群から選択され、ここで、6位の炭素と14位の炭素とは、アルカノ架橋によって接続されていてもよく、
A
1は、ヒドロキシ、アルコキシ、アシルオキシ、アミド、ヒドロカルビル、および置換ヒドロカルビルからなる群から選択され、
R
1およびR
2は、ヒドロカルビルおよび置換ヒドロカルビルからなる群から独立して選択され、
R
8は、水素、ヒドロキシ、アルキル、置換アルキル、アルコキシ、ヒドロカルビル、および置換ヒドロカルビルからなる群から選択され、
Xは、アニオンであり、
Yは、水素、ヒドロキシ、アルコキシ、およびアシルオキシからなる群から選択され、
Zは、ヒドロキシ、アルコキシ、およびアシルオキシからなる群から選択される]
を有する。
【0023】
式(IIa)を有する代表的な化合物として、(+)−ジヒドロモルヒネ、(+)−ジヒドロコデイン、(+)−ヒドロコドン、(+)−ヒドロモルホン、(+)−オキシコドン、(+)−オキシコデイノン、(+)−オキシモルホン、(+)−オキシモルフィノン(oxymophinone)、(+)−ナロキソン、(+)−ナルトレキソン、(+)−ナルブフィン、(+)−ナルフラフィン、(+)−ナルメフェン、(+)−ブプレノルフィン、および(+)−エトルフィンの第四級塩が挙げられる。
【0024】
この実施形態の別の反復において、該化合物は、式(IIb):
【0025】
【化7】
[式中、
Aは、{−}C(O){−}、{−}C(=CH
2){−}、{−}CH
2{−}、および{−}CH(A
1){−}からなる群から選択され、
A
1、R
1、R
2、R
8、X、Y、およびZは、式(IIa)を有する化合物について先に定義した通りである]
を有する。
【0026】
式(IIb)を有する代表的な化合物として、(+)−モルヒネ、(+)−コデイン、および(+)−モルヒネ−6−グルクロニド(glucoronide)の第四級塩が挙げられる。
【0027】
さらなる反復において、該化合物は、式(IIc):
【0028】
【化8】
[式中、
A
1、R
1、R
2、R
8、X、およびZは、式(IIa)を有する化合物について先に定義した通りである]
を有する。
【0029】
式(IIc)を有する代表的な化合物として、(+)−テバインおよび(+)−オリパビンの第四級塩が挙げられる。
【0030】
(b)式(IV)を有する化合物
本発明の別の実施形態において、該化合物は、式(IV):
【0031】
【化9】
[式中、
Aは、{−}C(O){−}、{−}C(=CH
2){−}、{−}CH
2{−}、{−}CH(A
1){−}、および{−}C(A
1){=}からなる群から選択され、
A
1は、ヒドロキシ、アルコキシ、アシルオキシ、アミド、ヒドロカルビル、および置換ヒドロカルビルからなる群から選択され、
R
1、R
2およびR
7は、ヒドロカルビルおよび置換ヒドロカルビルからなる群から独立して選択され、
R
3およびR
4は、水素、ヒドロカルビル、および置換ヒドロカルビルからなる群から独立して選択され、
R
5およびR
6は、水素、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ハロゲン、{−}OH、および{−}OR
7からなる群から独立して選択され、
R
8は、水素、ヒドロカルビル、および置換ヒドロカルビルからなる群から選択され、
Xは、アニオンであり、
Yは、存在するとき、水素、ヒドロキシ、保護されたヒドロキシ、アルコキシ、およびアシルオキシからなる群から選択され、
Zは、ヒドロキシ、保護されたヒドロキシ、アルコキシ、およびアシルオキシからなる群から選択され、
Z’は、水素、ヒドロキシ、保護されたヒドロキシ、アルコキシ、およびアシルオキシからなる群から選択され、
6位の炭素原子と7位の炭素原子との間、7位の炭素原子と8位の炭素原子との間、および8位の炭素原子と14位の炭素原子との間の破線は、(a)全ての炭素原子間での単結合、(b)6位の炭素と7位の炭素との間、および8位の炭素と14位の炭素との間の2箇所の単結合、ならびに7位の炭素と8位の炭素との間の二重結合(ここで、Aは、7位の炭素と8位の炭素との間の二重結合が存在するとき、{−}C(O){−}ではない)、ならびに(c)6位の炭素と7位の炭素との間、および8位の炭素と14位の炭素との間の2箇所の二重結合、ならびに7位の炭素と8位の炭素との間の単結合(ここで、Yは、8位の炭素と14位の炭素との間の二重結合が存在するときには、存在しない)からなる群から選択される炭素−炭素結合を表す]
を有する。
【0032】
用語「置換ヒドロカルビル」は、本明細書において用いられるとき、少なくとも1個のヘテロ原子で置換されたヒドロカルビル部分を称し、炭素鎖原子がヘテロ原子で置換されている部分を含めるが、このヘテロ原子は、本明細書において定義されているような、R
2X化合物と反応しないことを条件とする。
【0033】
好ましい反復において、R
3、R
4、R
5、およびR
6は、それぞれ、水素である。R
1は、好ましくはアルキル、シクロアルキル、シクロアルキルメチル、アリル、もしくはアリールであり、さらにより好ましくはメチル、エチル、プロピル、シクロプロピルメチル、シクロブチルメチル、アリル、ベンジル、もしくはプロパルギルである。R
2は、好ましくはアルキル、アリル、アルケニル、またはアルカリールであり、より好ましくは低級アルキルである。好ましい反復において、Xは、ハロゲン化物イオン、硫酸イオン、メチル硫酸イオン、エチル硫酸イオン、ベンゼンスルホン酸イオン、p−トルエンスルホン酸イオン、フルオロホウ酸イオン、フルオロスルホン酸イオン、メチルスルホン酸イオン、トリフルオロメタンスルホン酸イオン、ヘキサクロロアンチモン酸イオン、ヘキサフルオロリン酸イオン、またはテトラフルオロホウ酸イオンである。好ましいハロゲン化物イオンとして、臭化物イオン、塩化物イオン、フッ化物イオン、およびヨウ化物イオンが挙げられる。一般に、Xは、薬学的に許容される。
【0034】
一反復において、該化合物は、式(IVa):
【0035】
【化10】
[式中、
Aは、{−}C(O){−}、{−}C(=CH
2){−}、{−}CH
2{−}、および{−}CH(A
1){−}からなる群から選択され、
A
1は、ヒドロキシ、アルコキシ、アシルオキシ、アミド、ヒドロカルビル、および置換ヒドロカルビルからなる群から選択され、
R
1およびR
2は、ヒドロカルビルおよび置換ヒドロカルビルからなる群から独立して選択され、
R
8は、水素、ヒドロキシ、アルキル、置換アルキル、アルコキシ、ヒドロカルビル、および置換ヒドロカルビルからなる群から選択され、
Xは、アニオンであり、
Yは、水素、ヒドロキシ、保護されたヒドロキシ、アルコキシ、およびアシルオキシからなる群から選択され、
Zは、ヒドロキシ、保護されたヒドロキシ、アルコキシ、およびアシルオキシからなる群から選択され、
Z’は、水素、ヒドロキシ、保護されたヒドロキシ、アルコキシ、およびアシルオキシからなる群から選択される]
を有する。
【0036】
式(IVa)を有する代表的な化合物として、(+)−デキストロルファン、(+)−デキストロメトルファン、および(+)−ジヒドロシノメニンの第四級塩が挙げられる。
【0037】
なお別の反復において、該化合物は、式(IVb):
【0038】
【化11】
[式中、
Aは、{−}C(=CH
2){−}、{−}CH
2{−}、および{−}CH(A
1){−}からなる群から選択され、
A
1、R
1、R
2、R
8、X、Y、Z、およびZ’は、式(IVa)を有する化合物について先に定義した通りである]
を有する。
【0039】
さらなる反復において、該化合物は、式(IVc):
【0040】
【化12】
[式中、
A
1、R
1、R
2、R
8、X、Y、Z、およびZ’は、式(IVa)を有する化合物について先に定義した通りである]
を有する。
【0041】
式(II)、(IIa)、(IIb)、(IIc)、(IV)、(IVa)、(IVb)および(IVc)を有する化合物は、全て、偏光の回転に対して(+)配向を有する。より詳細には、各キラル中心は、RまたはS配置を有する。特に、5位の炭素は、キラルであるとき、S配置を有し、13位の炭素は、R配置を有し、14位の炭素は、キラルであるとき、R配置を有し、9位の炭素は、S配置を有する。本発明の化合物の各々において、17位の窒素は、RまたはS配置を有し得る。いくつかの実施形態において、本発明の化合物は、6位にキラル炭素を含んでいてよく、その配置は、RであってもSであってもよい。他の実施形態において、本発明の化合物は、7位にキラル炭素を含んでいてよく、その配置は、RであってもSであってもよい。
【0042】
(II)(+)−モルフィナニウム第四級塩の合成
本発明の別の態様は、(+)−モルフィナン化合物の第四級塩誘導体の合成のための方法を提供する。該方法は、第三級N置換(+)−モルフィナン化合物をR
2X(ここで、R
2は、ヒドロカルビルまたは置換ヒドロカルビルであり、Xは、脱離基である)と接触させて、第四級N置換(+)−モルフィナニウム塩を形成することを含む。
【0043】
(a)式(II)を有する化合物の合成
一実施形態において、式(II)を有する(+)−モルフィナニウム第四級塩化合物は、式(I)を有する(+)−モルフィナン化合物から合成される。説明の目的で、反応スキーム1は、本発明の一態様による式(II)を有する化合物の生成を示す:
反応スキーム1
【0044】
【化13】
[式中、
Aは、{−}C(O){−}、{−}C(=CH
2){−}、{−}CH
2{−}、{−}CH(A
1){−}、および{−}C(A
1){=}からなる群から選択され、
A
1は、ヒドロキシ、アルコキシ、アシルオキシ、アミド、ヒドロカルビル、および置換ヒドロカルビルからなる群から選択され、
R
1、R
2およびR
7は、ヒドロカルビルおよび置換ヒドロカルビルからなる群から独立して選択され、
R
3およびR
4は、水素、ヒドロカルビルおよび置換ヒドロカルビルからなる群から独立して選択され、
R
5およびR
6は、水素、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ハロゲン、{−}OH、および{−}OR
7からなる群から独立して選択され、
R
8は、水素、ヒドロカルビル、および置換ヒドロカルビルからなる群から選択され、
Xは、脱離基であり、
Yは、存在するとき、水素、ヒドロキシ、保護されたヒドロキシ、アルコキシ、およびアシルオキシからなる群から選択され、
Zは、ヒドロキシ、保護されたヒドロキシ、アルコキシ、およびアシルオキシからなる群から選択され、
6位の炭素原子と7位の炭素原子との間、7位の炭素原子と8位の炭素原子との間、および8位の炭素原子と14位の炭素原子との間の破線は、(a)全ての炭素原子間での単結合(ここで、6位の炭素と14位の炭素とは、アルカノ架橋によって接続されていてもよい)、(b)6位の炭素と7位の炭素との間、および8位の炭素と14位の炭素との間の2箇所の単結合、ならびに7位の炭素と8位の炭素との間の二重結合、ならびに(c)6位の炭素と7位の炭素との間、および8位の炭素と14位の炭素との間の2箇所の二重結合、ならびに7位の炭素と8位の炭素との間の単結合(ここで、Yは、8位の炭素と14位の炭素との間の二重結合が存在するときには、存在しない)からなる群から選択される炭素−炭素結合を表す]。
【0045】
用語「置換ヒドロカルビル」は、本明細書において用いられるとき、少なくとも1個のヘテロ原子で置換されたヒドロカルビル部分を称し、炭素鎖原子がヘテロ原子で置換されている部分を含めるが、このヘテロ原子は、本明細書において定義されているような、R
2X化合物と反応しないことを条件とする。
【0046】
好ましい反復において、R
3、R
4、R
5、およびR
6は、それぞれ、水素である。R
1は、好ましくはアルキル、シクロアルキル、シクロアルキルメチル、アリル、もしくはアリールであり、さらにより好ましくはメチル、エチル、プロピル、シクロプロピルメチル、シクロブチルメチル、アリル、ベンジル、もしくはプロパリル(proparyl)である。R
2は、好ましくはアルキル、アリル、アルケニル、またはアルカリールであり、より好ましくは低級アルキルである。好ましい反復において、Xは、ハロゲン化物イオン、硫酸イオン、メチル硫酸イオン、エチル硫酸イオン、ベンゼンスルホン酸イオン、p−トルエンスルホン酸イオン、フルオロホウ酸イオン、フルオロスルホン酸イオン、メチルスルホン酸イオン、トリフルオロメタンスルホン酸イオン、ヘキサクロロアンチモン酸イオン、ヘキサフルオロリン酸イオン、またはテトラフルオロホウ酸イオンである。好ましいハロゲン化物イオンとして、臭化物イオン、塩化物イオン、フッ化物イオン、およびヨウ化物イオンが挙げられる。一般に、Xは、薬学的に許容される。
【0047】
この実施形態の一反復において、式(II)を有する化合物は、式(IIa)を有する。説明の目的で、反応スキーム2は、本発明のこの態様による式(IIa)を有する化合物の生成を示す:
反応スキーム2
【0048】
【化14】
[式中、
Aは、{−}C(O){−}、{−}C(=CH
2){−}、{−}CH
2{−}、および{−}CH(A
1){−}からなる群から選択され、ここで、6位の炭素と14位の炭素とは、アルカノ架橋によって接続されていてもよく、
A
1は、ヒドロキシ、アルコキシ、アシルオキシ、アミド、ヒドロカルビル、および置換ヒドロカルビルからなる群から選択され、
R
1およびR
2は、ヒドロカルビルおよび置換ヒドロカルビルからなる群から独立して選択され、
R
8は、水素、ヒドロキシ、アルキル、置換アルキル、アルコキシ、ヒドロカルビル、および置換ヒドロカルビルからなる群から選択され、
Xは、脱離基であり、
Yは、水素、ヒドロキシ、アルコキシ、およびアシルオキシからなる群から選択され、
Zは、ヒドロキシ、アルコキシ、およびアシルオキシからなる群から選択される]。
【0049】
式(IIa)を有する代表的な化合物として、(+)−ジヒドロモルヒネ、(+)−ジヒドロコデイン、(+)−ヒドロコドン、(+)−ヒドロモルホン、(+)−オキシコドン、(+)−オキシコデイノン、(+)−オキシモルホン、(+)−オキシモルフィノン、(+)−ナロキソン、(+)−ナルトレキソン、(+)−ナルブフィン、(+)−ナルフラフィン、(+)−ナルメフェン、(+)−ブプレノルフィン、および(+)−エトルフィンの第四級塩が挙げられる。
【0050】
この実施形態の別の反復において、式(II)を有する化合物は、式(IIb)を有する。反応スキーム3は、本発明のこの態様による式(IIb)を有する化合物の合成を示す:
反応スキーム3
【0051】
【化15】
[式中、
Aは、{−}C(O){−}、{−}C(=CH
2){−}、{−}CH
2{−}、および{−}CH(A
1){−}からなる群から選択され、
A
1、R
1、R
2、R
8、X、Y、およびZは、反応スキーム2について先に定義した通りである]。
【0052】
式(IIb)を有する代表的な化合物として、(+)−モルヒネ、(+)−コデイン、および(+)−モルヒネ−6−グルクロニドの第四級塩が挙げられる。
【0053】
この実施形態のなお別の反復において、式(II)を有する化合物は、式(IIc)を有する。説明の目的で、反応スキーム4は、本発明のこの態様による式(IIc)を有する化合物の生成を示す:
反応スキーム4
【0054】
【化16】
[式中、
A
1、R
1、R
2、R
8、X、およびZは、反応スキーム2について先に定義した通りである]。
【0055】
式(IIc)を有する代表的な化合物として、(+)−テバインおよび(+)−オリパビンの第四級塩が挙げられる。
【0056】
(b)式(IV)を有する化合物の合成
本発明の別の実施形態において、式(IV)を有する(+)−モルフィナニウム第四級塩の化合物は、式(III)を有する(+)−モルフィナン化合物から合成される。説明の目的で、反応スキーム5は、本発明のこの態様による式(IV)を有する化合物の生成を示す:
反応スキーム5
【0057】
【化17】
[式中、
Aは、{−}C(O){−}、{−}C(=CH
2){−}、{−}CH
2{−}、{−}CH(A
1){−}、および{−}C(A
1){=}からなる群から選択され、
A
1は、ヒドロキシ、アルコキシ、アシルオキシ、アミド、ヒドロカルビル、および置換ヒドロカルビルからなる群から選択され、
R
1、R
2およびR
7は、ヒドロカルビルおよび置換ヒドロカルビルからなる群から独立して選択され、
R
3およびR
4は、水素、ヒドロカルビル、および置換ヒドロカルビルからなる群から独立して選択され、
R
5およびR
6は、水素、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ハロゲン、{−}OH、および{−}OR
7からなる群から独立して選択され、
R
8は、水素、ヒドロカルビル、および置換ヒドロカルビルからなる群から選択され、
Xは、脱離基であり、
Yは、存在するとき、水素、ヒドロキシ、保護されたヒドロキシ、アルコキシ、およびアシルオキシからなる群から選択され、
Zは、ヒドロキシ、保護されたヒドロキシ、アルコキシ、およびアシルオキシからなる群から選択され、
Z’は、水素、ヒドロキシ、保護されたヒドロキシ、アルコキシ、およびアシルオキシからなる群から選択され、
6位の炭素原子と7位の炭素原子との間、7位の炭素原子と8位の炭素原子との間、および8位の炭素原子と14位の炭素原子との間の破線は、(a)全ての炭素原子間での単結合、(b)6位の炭素と7位の炭素との間、および8位の炭素と14位の炭素との間の2箇所の単結合、ならびに7位の炭素と8位の炭素との間の二重結合、ならびに(c)6位の炭素と7位の炭素との間、および8位の炭素と14位の炭素との間の2箇所の二重結合、ならびに7位の炭素と8位の炭素との間の単結合(ここで、Yは、8位の炭素と14位の炭素との間の二重結合が存在するときには、存在しない)からなる群から選択される炭素−炭素結合を表す]。
【0058】
用語「置換ヒドロカルビル」は、本明細書において用いられるとき、少なくとも1個のヘテロ原子で置換されたヒドロカルビル部分を称し、炭素鎖原子がヘテロ原子で置換されている部分を含めるが、このヘテロ原子は、本明細書において定義されているような、R
2X化合物と反応しないことを条件とする。
【0059】
好ましい反復において、R
3、R
4、R
5、およびR
6は、それぞれ、水素である。R
1は、好ましくはアルキル、シクロアルキル、シクロアルキルメチル、アリル、もしくはアリールであり、さらにより好ましくはメチル、エチル、プロピル、シクロプロピルメチル、シクロブチルメチル、アリル、ベンジル、もしくはプロパルギルである。R
2は、好ましくはアルキル、アリル、アルケニル、またはアルカリールであり、より好ましくは低級アルキルである。好ましい反復において、Xは、ハロゲン化物イオン、硫酸イオン、メチル硫酸イオン、エチル硫酸イオン、ベンゼンスルホン酸イオン、p−トルエンスルホン酸イオン、フルオロホウ酸イオン、フルオロスルホン酸イオン、メチルスルホン酸イオン、トリフルオロメタンスルホン酸イオン、ヘキサクロロアンチモン酸イオン、ヘキサフルオロリン酸イオン、またはテトラフルオロホウ酸イオンである。好ましいハロゲン化物イオンとして、臭化物イオン、塩化物イオン、フッ化物イオン、およびヨウ化物イオンが挙げられる。一般に、Xは、薬学的に許容される。
【0060】
この実施形態の反復において、式(IV)を有する化合物は、式(IVa)を有する。反応スキーム6は、本発明のこの態様による式(IVa)を有する化合物の合成を示す:
反応スキーム6
【0061】
【化18】
[式中、
Aは、{−}C(O){−}、{−}C(=CH
2){−}、{−}CH
2{−}、および{−}CH(A
1){−}からなる群から選択され、
A
1は、ヒドロキシ、アルコキシ、アシルオキシ、アミド、ヒドロカルビル、および置換ヒドロカルビルからなる群から選択され、
R
1およびR
2は、ヒドロカルビルおよび置換ヒドロカルビルからなる群から独立して選択され、
R
8は、水素、ヒドロキシ、アルキル、置換アルキル、アルコキシ、ヒドロカルビル、および置換ヒドロカルビルからなる群から選択され、
Xは、脱離基であり、
Yは、水素、ヒドロキシ、保護されたヒドロキシ、アルコキシ、およびアシルオキシからなる群から選択され、
Zは、ヒドロキシ、保護されたヒドロキシ、アルコキシ、およびアシルオキシからなる群から選択され、
Z’は、水素、ヒドロキシ、保護されたヒドロキシ、アルコキシ、およびアシルオキシからなる群から選択される]。
【0062】
式(IVa)を有する代表的な化合物として、(+)−デキストロルファン、(+)−デキストロメトルファン、および(+)−ジヒドロシノメニンの第四級塩が挙げられる。
【0063】
この実施形態の別の反復において、式(IV)を有する化合物は、式(IVb)を有する。説明の目的で、反応スキーム7は、本発明のこの態様による式(IVb)を有する化合物の合成を示す:
反応スキーム7
【0064】
【化19】
[式中、
A、R
1、R
2、R
8、X、Y、Z、およびZ’は、反応スキーム6について先に定義した通りである]。
【0065】
式(IVb)を有する代表的な化合物として、(+)−シノメニンの第四級塩が挙げられる。
【0066】
この実施形態のさらなる反復において、式(IV)を有する化合物は、式(IVc)を有する。反応スキーム8は、本発明のこの態様による式(IVc)を有する化合物の生成を示す:
反応スキーム8
【0067】
【化20】
[式中、
A
1、R
1、R
2、R
8、X、Z、およびZ’は、反応スキーム6について先に定義した通りである]。
【0068】
(c)反応混合物
本発明の方法は、式(I)または(III)を有する化合物とR
2Xとを合わせることによる反応混合物の形成によって開始する。好適なR
2基およびX基は、上記に定義されている。したがって、例えば、R
2Xは、メチル、エチル、プロピル、アリル、シクロプロピル、シクロプロピルメチル、プロパルギル、もしくはベンジルの、ハロゲン化物、または上記に定義されているような別のX基であってよい。R
2Xの非限定的な例として、臭化メチル、塩化メチル、ヨウ化アリル、臭化シクロプロピルメチル、硫酸ジメチル、硫酸ジエチル、硫酸ジ(シクロプロピルメチル)、フルオロスルホン酸メチル、フルオロホウ酸トリメチルオキソニウム、フルオロホウ酸トリエチルオキソニウム、ヘキサクロロアンチモン酸トリメチルオキソニウム、トリフルオロメタンスルホン酸n−プロピルまたはトリフルオロメタンスルホン酸n−オクチル、ヘキサフルオロリン酸トリメチルオキソニウム、トリフルオロメタンスルホン酸メチル、ヨウ化メチル、およびトリフルオロメタンスルホン酸アリルが挙げられる。好ましい実施形態において、R
2Xは、臭化メチルである。
【0069】
式(I)または(III)を有する化合物対R
2Xのモル対モル比は、変動し得るであろう。一般に、式(I)または(III)を有する化合物対R
2Xのモル対モル比は、約1:1〜約1:2の範囲内であってよい。いくつかの実施形態において、式(I)または(III)を有する化合物対R
2Xのモル対モル比は、約1:1、1:1.1、1:1.2、1:1.3、1:1.4、1:1.5、1:1.6、1:1.7、1:1.8、1:1.9、または1:2であってよい。好ましい実施形態において、式(I)または(III)を有する化合物対R
2Xのモル対モル比は、約1:1〜約1:1.5の範囲内であってよい。さらに、式(I)または(III)を有する化合物へのR
2Xの添加速度は、変動してよい。典型的には、R
2Xの添加速度は、反応混合物中、式(I)または(III)を有する化合物1当量あたり1分あたりR
2Xが0.002〜約0.02当量の範囲であってよい。
【0070】
反応混合物は、本明細書において詳述されているように、溶媒系も含む。一般に、溶媒系は、無水である。すなわち、溶媒系は、約0.5重量%未満の水、典型的には約0.2重量%未満の水、いくつかの実施形態においては、約0.05重量%未満の水を含む。溶媒系は、非プロトン性溶媒を典型的には含む。好適な非プロトン性溶媒の非限定的な例として、アセトニトリル、1,4−ジオキサン、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAC)、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N−メチル−2−ピロリジノン(NMP)、ヘキサメチルホスホルアミド、(HMPA)、およびこれらの組合せが挙げられる。好ましい実施形態において、非プロトン性溶媒は、N−メチル−2−ピロリジノン(NMP)である。溶媒系は、有機溶媒、例えば、エーテル、炭化水素、トルエン、ベンゼン、ハロベンゼン、キシレン、またはこれらの組合せをさらに含んでいてよい。一般に、溶媒系は、少なくとも約50重量%の非プロトン性溶媒、少なくとも約75重量%の非プロトン性溶媒、または少なくとも約90重量%の非プロトン性溶媒を含む。
【0071】
反応混合物中の溶媒系の量は、変動してよい。典型的には、溶媒系対式(I)または(III)を有する化合物の重量対重量比は、約1.5:1〜約2.0:1の範囲内であってよい。いくつかの実施形態において、溶媒系対式(I)または(III)を有する化合物の重量対重量比は、約1.5:1、1.55:1、1.6:1、1.65:1、1.7:1、1.75:1、1.8:1、1.85:1、1.9:1、1.95:1、または2.0:1であってよい。
【0072】
いくつかの実施形態において、式(I)または(III)を有する化合物は、3位にヒドロキシ基を有してよく(すなわち、3−ヒドロキシ)、ここで、R
2Xとの反応は、望ましくない3−アルキルオキシモルフィナン化合物を与える場合がある。このような副反応を防止するために、酸を反応混合物に添加して、フェノール性の3−ヒドロキシ基のイオン化を抑制することができる。好適な酸として、強鉱酸または強有機酸が挙げられる。例えば、酸は、カルボン酸、ホスホン酸、スルホン酸、またはこれらの混合物であってよい。代替的には、少量の予め形成されたアルカロイド酸塩をそのアルカロイド塩基に添加して、アルカロイド塩基のイオン化を抑制することができ、例えば、臭化水素酸ナルトレキソンをナルトレキソン塩基に添加してよい。さらなる例として、酸は、HBr、HCl、H
2SO
4、NaHSO
4、NaH
2PO
4、またはNa
2HPO
4であってよい。好ましい実施形態において、酸は、HBrガスまたはHClガスであってよい。好ましくは、酸はまた、無水である。すなわち、酸は、約0.5重量%未満の水、約0.2重量%未満の水、またはより好ましくは、約0.05重量%未満の水を含んでいてよい。当業者は、式(I)または(III)を有する化合物の3−ヒドロキシが、本発明の反応の前にヒドロキシ保護基で保護されていてよいことも認識するであろう。
【0073】
(d)反応条件
四級化反応は、広い範囲の温度および圧力にわたって実施され得る。典型的には、該反応は、約室温(すなわち、約25℃)〜約90℃の範囲にある温度で実施されるであろう。好ましい実施形態において、反応の温度は、約55℃〜約85℃の範囲であってよい。いくつかの実施形態において、反応の温度は、約55℃、60℃、65℃、70℃、75℃、80℃、または約85℃であってよい。一般に、該反応は、約4気圧以下の圧力で行われるであろう。好ましい実施形態において、反応の圧力は、約1〜約2気圧の範囲であってよい。他の実施形態において、該反応は、大気圧で起こり得る。
【0074】
反応の継続時間は、変動し得るであろう。例えば、反応を、約数時間〜約数日間進行させてよい。しかし、典型的には、反応を、当業者に周知の手段によって決定される、反応が完了するまでの十分な期間にわたって進行させる。この文脈において、「完了した反応」とは、最終反応混合物が、反応の開始時に存在するそれぞれの量と比較して、有意に減少した量の式(I)または(III)を有する化合物、および有意に増加した量の式(II)または(IV)を有する化合物を含有することを一般に意味する。典型的には、最終反応混合物中に残存する式(I)または(III)を有する化合物の量は、約5%未満、好ましくは約1%未満であってよい。
【0075】
反応が完了すると、反応混合物は少なくとも約室温まで一般に冷却されて、反応生成物が単離され得るようになる。いくつかの実施形態において、反応生成物が溶解性でない、より低い極性の溶媒を、冷却された反応混合物に添加して、溶液中に未反応の第三級基質を残しながら第四級反応生成物の沈澱を促進することができる。好適な溶媒の例として、限定されないが、アセトン、クロロホルム、ジクロロメタン、酢酸エチル、酢酸プロピル、メチルエチルケトン、メチルブチルケトン、エーテル、t−ブチルメチルエーテル、2−メチルテトラヒドロフラン、炭化水素、トルエン、ベンゼン、クロロベンゼン、ブロモベンゼン、およびこれらの混合物が挙げられる。反応混合物を、さらに約0℃〜約5℃まで場合により冷却してよい。沈澱した生成物は、一般に、濾過によって残りの反応混合物から分離され、洗浄および乾燥されて、最終生成物、すなわち、式(II)または(IV)を有する化合物を生成する。式(II)または(IV)を有する化合物の収率は、典型的には約50%〜約99%の範囲であろう。いくつかの実施形態において、式(II)または(IV)を有する化合物の収率は、少なくとも約50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、または95%であってよい。
【0076】
Xがハロゲン化物イオンである実施形態において、式(II)または(IV)を有する化合物は、ハロゲン化物アニオンを含む。このアニオンを、該化合物をプロトン酸で処理することによって交換してよく、これにより、このハロゲン化物イオンが別のアニオン、例えば、硝酸イオン、硫酸イオン、リン酸イオン、または別のハロゲン化物イオンで置き換えられる。
【0077】
定義
本明細書において記載されている化合物は、不斉中心を有し得る。非対称に置換された原子を含有する本発明の化合物は、光学活性型またはラセミ型で単離され得る。具体的な立体化学または異性型が具体的に示されていない限り、構造の全てのキラル型、ジアステレオマー型、ラセミ型および全ての幾何異性型が意図される。本発明の化合物を調製するのに用いられる全ての方法および該方法において作製される中間体は、本発明の部分であると見なされる。
【0078】
用語「アシル」は、単独でまたは別の基の部分として本明細書において用いられるとき、有機カルボン酸のCOOH基からヒドロキシ基を除去することによって形成される部分、例えば、RC(O)−(ここで、Rは、R
1、R
1O−、R
1R
2N−、またはR
1S−であり、R
1は、ヒドロカルビル、ヘテロ置換ヒドロカルビル、または複素環であり、R
2は、水素、ヒドロカルビルまたは置換ヒドロカルビルである)を示す。
【0079】
用語「アシルオキシ」は、単独でまたは別の基の部分として本明細書において用いられるとき、酸素連結(O)を介して結合した上記のようなアシル基、例えば、RC(O)O−(ここで、Rは、用語「アシル」に関連して定義されている通りである)を示す。
【0080】
用語「アルキル」は、本明細書において用いられるとき、主鎖中に1〜8個の炭素原子および最大で20個の炭素原子を含有する好ましくは低級アルキルである基を記載している。これらは、直鎖であっても分枝鎖であっても、あるいは環状であってもよく、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、ヘキシルなどを含む。
【0081】
用語「アルケニル」は、本明細書において用いられるとき、主鎖中に2〜8個の炭素原子および最大で20個の炭素原子を含有する好ましくは低級アルケニルである基を記載している。これらは、直鎖であっても分枝鎖であっても、あるいは環状であってもよく、エテニル、プロペニル、イソプロペニル、ブテニル、イソブテニル、ヘキセニルなどを含む。
【0082】
用語「アルキニル」は、本明細書において用いられるとき、主鎖中に2〜8個の炭素原子および最大で20個の炭素原子を含有する好ましくは低級アルキニルである基を記載している。これらは、直鎖であっても分枝鎖であってもよく、エチニル、プロピニル、ブチニル、イソブチニル、ヘキシニルなどを含む。
【0083】
用語「芳香族」は、単独でまたは別の基の部分として本明細書において用いられるとき、場合により置換された単素環式または複素環式の芳香族基を示す。これらの芳香族基は、6〜14個の原子を環部分に含有する好ましくは単環式、二環式、または三環式の基である。用語「芳香族」は、以下に定義する「アリール」基を包含する。
【0084】
用語「アリール」または「Ar」は、単独でまたは別の基の部分として本明細書において用いられるとき、場合により置換された単素環式芳香族基、好ましくは、6〜12個の炭素を環部分に含有する単環式または二環式の基、例えば、フェニル、ビフェニル、ナフチル、置換フェニル、置換ビフェニルまたは置換ナフチルを示す。フェニルは、好ましいアリールである。
【0085】
用語「ハロゲン」または「ハロ」は、単独でまたは別の基の部分として本明細書において用いられるとき、塩素、臭素、フッ素およびヨウ素を称する。
【0086】
用語「ハロゲン化物イオン」は、臭化物イオン、塩化物イオン、フッ化物イオン、またはヨウ化物イオンを指す。
【0087】
用語「ヘテロ原子」は、炭素および水素以外の原子を称する。ヘテロ原子の例として、酸素、窒素、ケイ素、リン、ホウ素、硫黄およびハロゲンを称するが、このヘテロ原子は、本明細書において定義されているような、R
2X化合物と反応しないことを条件とする。
【0088】
用語「複素環」または「複素環式」は、単独でまたは別の基の部分として本明細書において用いられるとき、少なくとも1個の環中に少なくとも1個のヘテロ原子、好ましくは各環中に5または6個の原子を有する、場合により置換された、完全に飽和または不飽和の、単環式または二環式の、芳香族または非芳香族の基を示し、但し、このヘテロ原子は、本明細書において定義されているような、R
2X化合物と反応しないことを条件とする。複素環基は、環中に1もしくは2個の酸素原子および/または1〜4個の窒素原子を好ましくは有し、炭素またはヘテロ原子を介して分子の残り部分に結合する。
【0089】
用語「炭化水素」および「ヒドロカルビル」は、本明細書において用いられるとき、炭素元素および水素元素から専らなる有機化合物またはラジカルを記載している。これらの部分として、アルキル部分、アルケニル部分、アルキニル部分、およびアリール部分が挙げられる。これらの部分としてはまた、他の脂肪族基または環式炭化水素基で置換されたアルキル部分、アルケニル部分、アルキニル部分、およびアリール部分、例えば、アルカリール、アルケンアリールおよびアルキンアリールも挙げられる。別途示さない限り、これらの部分は、1〜20個の炭素原子を好ましくは含む。
【0090】
用語「保護基」は、本明細書において用いられるとき、酸素原子を保護することが可能な基を示し、ここで、保護基は、保護が使用された反応の後に、分子の残り部分に支障を来すことなく、除去されてよい。例示的な保護基として、エーテル(例えば、アリル、トリフェニルメチル(トリチルまたはTr)、p−メトキシベンジル(PMB)、p−メトキシフェニル(PMP))、アセタール(例えば、メトキシメチル(MOM)、β−メトキシエトキシメチル(MEM)、テトラヒドロピラニル(THP)、エトキシエチル(EE)、メチルチオメチル(MTM)、2−メトキシ−2−プロピル(MOP)、2−トリメチルシリルエトキシメチル(SEM))、エステル(例えば、安息香酸エステル(Bz)、アリルカーボネート、2,2,2−トリクロロエチルカーボネート(Troc)、2−トリメチルシリルエチルカーボネート)、シリルエーテル(例えば、トリメチルシリル(TMS)、トリエチルシリル(TES)、トリイソプロピルシリル(TIPS)、トリフェニルシリル(TPS)、t−ブチルジメチルシリル(TBDMS)、t−ブチルジフェニルシリル(TBDPS))などが挙げられる。種々の保護基およびその合成は、T.W. GreeneおよびP.G.M. Wutsによる「Protective Groups in Organic Synthesis」(John Wiley & Sons、1999年)に見出すことができる。
【0091】
本明細書に記載の「置換ヒドロカルビル」部分は、少なくとも1個のヘテロ原子で置換されたヒドロカルビル部分であり、炭素鎖原子がヘテロ原子で置換されている部分を含めるが、このヘテロ原子は、本明細書において定義されているような、R
2X化合物と反応しないことを条件とする。好適な置換基として、ハロゲン、複素環、アルコキシ、アルケンオキシ、アリールオキシ、ヒドロキシ、保護されたヒドロキシ、アシル、アシルオキシ、ニトロ、アミド、ニトロ、シアノ、ケタール、アセタール、エステルおよびエーテルが挙げられる。
【0092】
冠詞「a」、「an」、「the」、および「said」は、本発明の要素または好ましい実施形態を導入するとき、1種または複数種の要素が存在することを意味することを意図している。用語「comprising(含む)」、「including(含む)」および「having(有する)」は、包含的であることを意図しており、列挙した要素以外の追加の要素が存在し得ることを意味している。
【0093】
本発明を詳細に記載したが、添付の特許請求の範囲に定義されている本発明の範囲から逸脱することなく、変更および変形が可能であることが明らかであろう。
【実施例】
【0094】
以下の実施例は、本発明の種々の実施形態を説明する。
【0095】
(実施例1)
R−3−アセトキシ−(+)−ナルトレキソンメトブロミドの合成
以下の反応スキームは、3−アセトキシ−(+)−ナルトレキソンメトブロミドの合成を示す:
【0096】
【化21】

3−アセトキシ−(+)−ナルトレキソンの1−メチル−3−ピロリジノン(pyrrollidinone)(NMP)溶液(30%wt/wt溶液732.2g、0.57モル)を、研磨ガラス撹拌シャフト、機械式撹拌器、還流凝縮器、圧力マニホールド、サーモウェル、および1/8インチ(内径)の添加ラインを備えた1Lの5つ口ジャケット付き圧力反応器に添加してよい。次いで、該溶液を激しく撹拌しながら臭化メチル(MeBr、107.9g、1.14モル)を添加ラインを介して1時間かけて表面下添加してよい。MeBrの量は、MeBrレクチャーボトルの初期重量と最終重量との差によって決定する。添加の間、反応混合物の温度は、3〜4psiの最大圧力で約33℃まで上昇し得る(黄色溶液)。適切な量のMeBrを添加した後、反応器のヘッドスペースを排気し、MeBrで2回(約2psiまで)再加圧した後、60℃に加熱してよい。60℃で、2〜4psiの圧力が観察され得る。反応混合物を、黄色溶液上に圧力を残さないで一晩中(15時間)撹拌してよい。水性臭化水素(HBr、1.0当量、0.57モル、48重量%が96.58g)を60℃で30分間かけてゆっくりと添加してよい。反応器をNMP内にベントして、HBr添加の間に生じた臭化メチルを捕捉することができる。添加の間、反応温度は、約64℃まで上昇し得る。次いで、反応温度を1.5時間かけて80℃まで上昇させてよく、ここで、臭化メチルの発生が停止する。混合物を80℃で2時間撹拌してよく、ここで、沈澱が生じる。80℃で5時間の後、スラリーをHPLCによって分析してよい。好ましくは、ほんの少量の3−アセトキシ−(+)−ナルトレキソンメトブロミドがスラリー中に残存する(<0.5面積%)。次いで、混合物を、窒素雰囲気下、ガラス撹拌シャフト、機械式撹拌器、還流凝縮器、および熱電対を備えた2Lの3つ口丸底フラスコに移してよい。混合物を約56℃まで冷却してよく、メタノール(512.5g、投入したNMPの量を基準にして1.0重量当量)を迅速に添加して、メトブロミド塩の結晶化を促進させてよい。次いで、スラリーを30分間かけて約20℃まで、次いで氷浴で約5〜10℃まで冷却してよい。スラリーを5〜10℃で1時間撹拌し、濾過してよく、生成物を冷メタノール(319mL、出発物質1gあたり1.45mL)で洗浄して、生成物を白色固体として得ることができる(例えば、約236.1gの生成物、87.2%)。粗製生成物をHPLCによって分析してよい(例えば、粗製生成物は、88.54%のRジアステレオマーおよび1.47%のSジアステレオマーを含有し得る)。
【0097】
(実施例2)
R−(+)−ナルトレキソンメトブロミドの合成
以下の反応スキームは、(+)−ナルトレキソンメトブロミドの合成を示す。
【0098】
【化22】
新たな無水1−メチル−2−ピロリジノン(50mL)を、乾燥窒素の掃引下、熱電対、添加漏斗、凝縮器、および機械式撹拌器が取り付けられた250mLの3つ口フラスコに添加してよい。溶液を55℃まで加熱してよい。添加漏斗を粉体漏斗で置き換えてよく、無水(+)ナルトレキソン塩基(39.5g)を撹拌しながら添加してよい。漏斗を10mLの追加の1−メチル−2−ピロリジノンで「洗い流した」後、温度を55〜58℃に調整して、フラスコ上の添加漏斗を置き換えてよい。別個に、10mLの無水1−メチル−2−ピロリジノンをメスシリンダにおいて冷却してよく、臭化メチルガスを、氷浴を用いてレクチャーボトルにおいて凝縮してよく、10mLを別の冷えたメスシリンダ中に液体として量り分けてよい。冷臭化メチル液体および1−メチル−2−ピロリジノンを合わせて混合してよい。臭化メチル溶液を添加漏斗に注入し、乾燥窒素の低速掃引下で(+)ナルトレキソン溶液に滴下により添加してよい。溶液の温度は、約66℃まで上昇し得る。反応温度および反応時間は、62.5℃で9時間に設定されてよい。1時間後、R−(+)−ナルトレキソンメトブロミドの微細な白色懸濁液が形成し始め得る。9時間の終わりに、加熱を中断してよく、混合物を一晩中撹拌しながら室温まで冷却させてよい。アセトン(75mL)を懸濁液に注入して、生成物の沈澱を促進させてよい。スラリーを氷浴温度まで冷却して撹拌してよい。生成物を真空濾過によって回収し、25mLの追加のアセトンで洗浄してよい。生成物を、60℃に設定した真空オーブンにおいて一定の重量になるまで乾燥させてよい。未精製の塩の収量は、約31.8gであり得る。
【0099】
(実施例3)
R−(+)−ナロキソンメトブロミドの合成
無水1−メチル−2−ピロリジノン(5mL)を、乾燥窒素の掃引下、凝縮器および撹拌棒が取り付けられた25mLのフラスコに添加してよい。無水(+)ナロキソン塩基(4.11g)を撹拌しながら添加してよい。臭化メチルガスを、氷浴を用いてレクチャーボトルにおいて凝縮してよく、0.5mLを別の冷えたメスシリンダ中に液体として量り分けてよい。臭化メチルをナルトレキソン塩基の懸濁液に乾燥窒素の低速掃引下で注入してよい。反応温度および反応時間は、60℃で10時間に設定されてよい。10時間の終わりに、加熱を中断してよく、混合物を一晩中(またはさらに長く)撹拌しながら室温まで冷却させてよい。アセトン(10mL)を懸濁液に添加して、生成物の沈澱を促進させてよい。スラリーを撹拌しながら氷浴温度まで冷却してよい。生成物を真空濾過によって回収し、追加のアセトンで洗浄してよい。生成物を、60℃に設定した真空オーブンにおいて2時間乾燥させてよい。例えば、2.89gの粗製生成物を回収することができる。メタノール/水(20 30mL、8:2)からの結晶化により、2.43gの白色結晶塩が与えられ得る。
【0100】
(実施例4)
R−(+)−ナルフラフィンメトヨージドの合成
(+)−ナルフラフィン(2.0g、4.3mmol)、酢酸エチル(60mL)、メタノール(6mL)、およびヨウ化メチル(1.3mL)を、密閉された反応器に一緒に仕込んでよい。反応器の内容物を100℃で約4日間撹拌してよい。メタノール(60mL)を反応溶液に添加して、生成物の沈澱を促進させてよい。沈澱した固体を溶解させて濃縮してよい。蒸留水(400mL)を得られた残渣に添加してよい。この水溶液をクロロホルムで洗浄してよい(7×100mL)。水相を濃縮してよい。得られた残渣を酢酸エチル−メタノールから再結晶させてよい。得られた結晶を蒸留水(500mL)に溶解させてよい。この水溶液をクロロホルムで洗浄してよい(3×100mL)。水相を濃縮してよい。得られた残渣をメタノールから3回再結晶させてよい。例として、102mgの生成物、R−(+)−ナルフラフィンメトヨージドを得ることができる。
【0101】
(実施例5)
R−(+)−オキシコドンシクロプロピルメトブロミドの合成
以下の反応スキームは、(+)−オキシコドンシクロプロピルメトブロミドの合成を示す。
【0102】
【化23】
反応器に(+)−オキシコドン(0.5g、1.595mmol)および2mLの1−メチル−3−ピロリジノン(pyrrollidinone)(NMP)を投入した。反応器を窒素でフラッシングし、混合物を、反応の間中窒素下に維持した。シクロプロピルメチル臭化物(0.2mL、1.3当量)を添加し、反応混合物を68℃まで3時間加熱した。サンプルを1時間、2時間、および3時間で取り出して分析すると、反応が2時間後に完了した。反応混合物を室温まで冷却した。アセトン(4mL)を添加し、混合物を20℃で1時間撹拌した。固体を濾過し、アセトンで洗浄し(3×2mL)、0.2gの固体を回収した。濾液およびアセトン洗浄液をポンプで減圧して引き(かつ水で洗浄して)、さらなる0.22gの固体を得た。これらの固体を合わせ、これに水を投入し(5mL、室温で2時間撹拌し)、濾過した。固体を水で洗浄し(3×2mL)、真空オーブンにおいて65℃で18時間乾燥させて、0.36gの白色固体を得た。