【実施例】
【0069】
以下の実施例は、本開示の化合物の種々の態様の実例を示すために提示しており、特許請求の範囲を限定するものと解釈されるべきでない。
【0070】
実施例1:N’−(1−ベンゼンスルホニル−5−フルオロ−2−オキソ−1,2−ジヒドロ−ピリミジン−4−イル)−N,N−ジメチルホルムアミジン(1)の調製
【化2】
8mL容ネジ口式バイアルに、ピリジン(2mL)、N’−(5−フルオロ−2−ヒドロキシ−ピリミジン−4−イル)−N,N−ジメチルホルムアミジン(100mg,0.54mmol)、およびベンゼンスルホニルクロリド(106mg,0.60mmol)を添加し、混合物を室温で24時間(h)振盪した。この粗製混合物をエチルアセテート(EtOAc)と飽和重炭酸ナトリウム水溶液(satd aq NaHCO
3)間に分配し、有機相をマグネシウムサルフェート(MgSO
4)上で乾燥させ、濾過し、エバポレートし、153mgの粗製物質を得た。逆相クロマトグラフィーにより、標題生成物を白色固形物として得た(33mg,19%):mp203−204℃;
1H NMR(300MHz,CDCl
3)δ8.77(s,IH),8.16−8.11(m,3H),7.72−7.65(m,IH)7.60−7.53(m,2H),3.24(s,3H),3.23(s,3H);ESIMS m/z 325([M+H]
+).
【0071】
実施例2:N’−[1−(4−クロロ−ベンゼンスルホニル)−5−フルオロ−2−オキソ−1,2−ジヒドロ−ピリミジン−4−イル]−N,N−ジメチルホルムアミジン(2)の調製
【化3】
25mL容ネジ口式バイアルに、ジクロロメタン(CH
2Cl
2;10mL)、N’−(5−フルオロ−2−ヒドロキシ−ピリミジン−4−イル)−N,N−ジメチルホルムアミジン(250mg,1.36mmol)、およびトリエチルアミン(Et
3N,300mg,3mmol)を添加した。この混合物に4−クロロベンゼンスルホニルクロリド(315mg,1.5mmol)を添加し、得られた混合物を室温で3時間振盪した。粗製反応混合物をCH
2Cl
2とブライン間に分配し、MgSO
4上で乾燥させ、濾過し、エバポレートした。残渣を逆相クロマトグラフィーによって精製し、標題化合物を白色固形物として得た(321mg,66%):mp174−178℃;
1H NMR(300MHz,CDCl
3)δ8.5(br s,IH),8.08(d,/=5.9Hz,IH),8.04−7.98(m,2H),7.55−7.49(m,2H),5.9(br s,IH);ESIMS m/z360([M+H]
+).
【0072】
表Iの化合物3〜7を実施例2の場合と同様に合成した。
【0073】
実施例3:4−アミノ−1−(4−クロロ−ベンゼンスルホニル)−5−フルオロ−1H−ピリミジン−2−オンの調製(8;方法A)
【化4】
4−アミノ−5−フルオロ−ピリミジン−2−オール
*(1.0g,7.75mmol)を含むアセトニトリル(CH
3CN;40mL)に、ビス−N,O−トリメチルシリルアセトアミド(BSA;5.7mL,23.3mmol)を添加し、混合物を70℃まで1時間加熱すると透明な溶液になった。室温まで冷却後、4−クロロベンゼンスルホニルクロリド(1.8g,8.5mmol)を添加し、混合物を24時間撹拌した。溶媒をエバポレートし、残渣をEtOAcとブライン間に分配した。有機相をMgSO
4上で乾燥させ、濾過し、エバポレートし、粗製生成物を白色固形物として得た(1.3g)。EtOAcとヘプタンからの再結晶により、標題生成物を白色固形物として得た(0.96g,41%):mp174−178℃;
1H NMR(300MHz,CDCl
3)δ8.5(br s,IH),8.08(d,/=5.9Hz,IH),8.04−7.98(m,2H),7.55−7.49(m,2H),5.9(br s,IH);ESIMS m/z 304([M+H]
+).
*4−アミノ−5−フルオロ−ピリミジン−2−オールは市販品として購入することができる。
【0074】
表Iの化合物9〜23を実施例3の場合と同様に合成した。
【0075】
実施例4:4−アミノ−1−(4−クロロ−ベンゼンスルホニル)−5−フルオロ−1H−ピリミジン−2−オンの調製(8;方法B)
【化5】
8mL容ネジ口式バイアルに、ジオキサン(9mL)、1N塩酸水(HCl;1mL)、およびN’−[1−(4−クロロ−ベンゼンスルホニル)−5−フルオロ−2−オキソ−1,2−ジヒドロ−ピリミジン−4−イル]−N,N−ジメチルホルムアミジン(269mg,0.75mmol)を添加した。混合物を室温で16時間振盪し、窒素流下でエバポレートし、EtOAcとsatd aq NaHCO
3間に分配した。有機相をMgSO
4上で乾燥させ、濾過し、エバポレートし、標題生成物を白色固形物として得た(196mg,86%):mp174−178℃;
1H NMR(300MHz,CDCl
3)δ8.5(br s,IH),8.08(d,/=5.9Hz,IH),8.04−7.98(m,2H),7.55−7.49(m,2H),5.9(br s,IH);ESIMS m/z 304([M+H]
+).
【0076】
表Iの化合物24〜27を実施例4の場合と同様に合成した。
【0077】
実施例5:N’−[5−フルオロ−1−(1−メチル−1H−イミダゾール−4−スルホニル)−2−オキソ−1,2−ジヒドロ−ピリミジン−4−イル]−N,N−ジメチルホルムアミジン(28)の調製
【化6】
8mL容ネジ口式バイアルに、4−アミノ−5−フルオロ−1−(1−メチル−1H−イミダゾール−4−スルホニル)−1H−ピリミジン−2−オン(80mg,0.3mmol)、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF;3mL)、およびジメチルホルムアミドジメチルアセタール(DMF−DMA;70mg,0.6mmol)を添加した。混合物を室温で16時間振盪し、Et
2Oで希釈し、濾過し、標題生成物を淡黄色固形物として得た(68mg,69%):mp228−232℃ dec;
1H NMR(300MHz,DMSO−J
6)δ8.67(s,IH),8.25−8.21(m,2H),7.82(s,IH),3.73(s,3H),3.24(s,3H),3.13(s,3H);ESIMS m/z 329([M+H]
+).
【0078】
表Iの化合物29〜32を実施例5の場合と同様に合成した。
【0079】
実施例6:N−(1−ベンゼンスルホニル−5−フルオロ−2−オキソ−1,2−ジヒドロ−ピリミジン−4−イル)−ベンズアミド(33)の調製
【化7】
8mL容ネジ口式バイアルに、4−アミノ−1−ベンゼンスルホニル−5−フルオロ−1H−ピリミジン−2−オン(200mg,0.74mmol)、CH
2Cl
2(5mL)、Et
3N(200mg,1.98mmol)、およびベンゾイルクロリド(114mg,0.82mmol)を添加した。混合物を室温で2.5時間振盪し、窒素流下でエバポレートし、EtOAcとH
2O間に分配した。有機相をMgSO
4上で乾燥させ、濾過し、エバポレートした。粗製物質を順相クロマトグラフィー(勾配,10〜50%EtOAc/石油エーテル)によって一部精製し、主生成物を含む画分をエバポレートし、EtOAcと石油エーテルから再結晶させ、標題生成物を白色固形物として得た(112mg,41%):mp150−151℃;
1H NMR(300MHz,CDCl
3)δ8.31−8.25(m,2H),8.24(d,/=5.8Hz,IH),8.16−8.11(m,2H),7.82−7.75(m,1H),7.68−7.56(m,3H),7.52−7.44(m,2H);ESIMS m/z 374([M+H]
+),372([M−H]
−).
【0080】
表Iの化合物34〜37を実施例6の場合と同様に合成した。
【0081】
実施例7:4−クロロ−N−[1−(4−クロロベンゼンスルホニル)−5−フルオロ−2−オキソ−1,2−ジヒドロピリミジン−4−イル]ベンズアミドアミド(38)の調製
【化8】
4−クロロ−N−(5−フルオロ−2−オキソ−1,2−ジヒドロピリミド−4−イル)ベンズアミド(0.10g,0.37mmol)のCH
2Cl
2(4mL)懸濁液に、Et
3N(0.08g,0.82mmol)と4−クロロベンゼンスルホニルクロリド(0.087g,0.41mmol)を0℃で添加し、得られた混合物を室温まで昇温させ、3時間撹拌した。反応液をCH
2Cl
2(10mL)で希釈し、ブラインで洗浄した。相を分離し、有機相をナトリウムサルフェート(Na
2SO
4)上で乾燥させ、濾過し、濃縮すると琥珀色の油状物になった(0.295g)。順相クロマトグラフィー(12gのSiO
2;勾配,0〜35%EtOAc/ヘキサン)による精製により、4−クロロ−N−[1−(4−クロロベンゼンスルホニル)−5−フルオロ−2−オキソ−1,2−ジヒドロピリミジン−4−イル]ベンズアミド(0.025g,26%)を白色固形物として得た:mp169−172℃;
1H NMR(300MHz,CDCl
3)δ12.59(s,IH),8.29−8.15(m,3H),8.05(d,/=8.8Hz,2H),7.59(d,/=8.7Hz,2H),7.42(d,/=8.6Hz,2H);ESIMS m/z 442([M+H]
+),440([M−H]
−).
【0082】
表Iの化合物39を実施例7の場合と同様に合成した。
【0083】
実施例8:1−(1−ベンゼンスルホニル−5−フルオロ−2−オキソ−1,2−ジヒドロピリミジン−4−イル)−3−フェニル尿素(40)の調製
【化9】
A)4−アミノ−5−フルオロピリミジン−2−オール(0.200g,1.5mmol)の無水DMF(3mL)懸濁液に、フェニルイソシアネート(0.251g,2.1mmol)を添加し、混合物を23℃で1時間、次いで60℃で16時間撹拌した。反応混合物を室温まで冷却し、残留固形物を濾過によって回収した。濾過ケークをジエチルエーテル(Et
2O)で洗浄し、真空炉内で40℃にて3時間乾燥させ、1−(5−フルオロ−2−ヒドロキシピリミジン−4−イル)−3−フェニル尿素を白色固形物として得(0.210g,55%)、これを、直接、次の工程で使用した。
B)1−(5−フルオロ−2−ヒドロキシピリミジン−4−イル)−3−フェニル尿素(0.200g,0.8mmol)の無水CH
3CN(4mL)懸濁液に、BSA(0.487g,2.4mmol)を添加し、混合物を70℃まで昇温させ、1時間撹拌した。得られた溶液を室温まで冷却し、ベンゼンスルホニルクロリド(0.156g,0.9mmol)で処理し、混合物を12時間撹拌した。溶媒をエバポレートし、残渣をEtOAcとブライン間に分配した。有機相をMgSO
4上で乾燥させ、濾過し、濃縮し、粗製生成物を白色固形物として得た。EtOAcとヘプタンからの再結晶により、1−(1−ベンゼンスルホニル−5−フルオロ−2−オキソ−1,2−ジヒドロピリミジン−4−イル)−3−フェニル尿素を白色固形物として得た(0.100g,32%):mp210−214℃;
1H NMR(400MHz,DMSO−J
6)δ11.26(dd,/=3.7,1.1Hz,IH),10.87(m,IH),8.65(m,IH),8.10(d,/=7.5Hz,2H),7.85(t,/=7.5Hz,IH),7.71(m,2H),7.45(m,2H),7.34(m,2H),7.10(m,IH);ESIMS m/z 389([M+H]
+).
【0084】
表Iの化合物41〜43を実施例8の場合と同様に合成した。
【0085】
実施例9:(1−ベンゼンスルホニル−5−フルオロ−2−オキソ−1,2−ジヒドロピリミジン−4−イル)−3−フェニルチオ尿素(44)の調製
【化10】
4−アミノ−1−ベンゼンスルホニル−5−フルオロ−1H−ピリミジン−2−オン(0.20g,0.74mmol)の無水テトラヒドロフラン(THF;3mL)懸濁液に、水素化ナトリウム(NaH;0.044g,鉱油中60wt%懸濁剤,1.11mmol)を0℃で添加した。ガスの発生がおさまった後、混合物を、カニューレを介してフェニルイソチオシアネート(1.0g,7.4mmol)と無水THF(5mL)の氷冷混合物に移し、6時間撹拌した。反応混合物をEtOAc(25mL)で希釈し、得られた溶液をsatd aqアンモニウムクロリド(NH
4Cl;15mL)とブライン(15mL)で洗浄した。有機相をNa
2SO
4上で乾燥させ、濾過し、溶媒をエバポレートした。メタノール(MeOH)とEt
2Oからの析出によって残渣を精製し、(1−ベンゼンスルホニル−5−フルオロ−2−オキソ−1,2−ジヒドロピリミジン−4−イル)−3−フェニルチオ尿素を淡黄色固形物として得た(0.025g,8%):mp205−208℃;
1H NMR(400MHz,DMSO−J
6)δ11.26(dd,/=3.7,1.1Hz,IH),10.87(m,IH),8.65(m,IH),8.10(d,/=7.5Hz,2H),7.85(t,/=7.5Hz,IH),7.71(m,2H),7.45(m,2H),7.34(m,2H),7.10(m,IH);ESIMS m/z 405([M+H]
+).
【0086】
表Iの化合物45と46を実施例9の場合と同様に合成した。
【0087】
実施例10:(1−ベンゼンスルホニル−5−フルオロ−2−オキソ−1,2−ジヒドロピリミジン−4−イル)カルバミン酸フェニルエステル(47)の調製
【化11】
4−アミノ−1−ベンゼンスルホニル−5−フルオロ−1H−ピリミジン−2−オン(0.20g,0.74mmol)の無水THF(3mL)懸濁液に、NaH(0.044g,鉱油中60wt%懸濁剤,1.11mmol)を0℃で添加した。ガスの発生がおさまった後、混合物を、カニューレを介してジフェニルカーボネート(1.5g,7.4mmol)と無水THF(5mL)の氷冷混合物に移し、6時間撹拌した。反応液をEtOAc(25mL)で希釈し、得られた溶液をsatd aq NH
4Cl(15mL)とブライン(15mL)で洗浄した。有機相をNa
2SO
4上で乾燥させ、濾過し、溶媒をエバポレートした。MeOHとEt
2Oからの析出によって残渣を精製し、(1−ベンゼンスルホニル−5−フルオロ−2−オキソ−1,2−ジヒドロピリミジン−4−イル)カルバミン酸フェニルエステルを淡褐色固形物として得た(0.070g,24%):mp182−185℃;
1H NMR(400MHz,DMSO−J
6)δ7.95(m,2H),7.87(d,/=7.0Hz,IH),7.71(d,/=7.5Hz,IH),7.61(t,/=7.7Hz,2H),7.33(t,/=7.9Hz,2H),7.15(d,/=7.3Hz,IH),7.06(d,/=7.6Hz,2H);ESIMS m/z 390([M+H]
+),388([M−H]
−).
【0088】
表Iの化合物48〜50を実施例10の場合と同様に合成した。
【表1-1】
【表1-2】
【表1-3】
【表1-4】
【表1-5】
【表1-6】
【0089】
〔実施例11〕
実施例11:殺真菌活性の評価:コムギ葉枯病(Mycosphaerella graminicola;アナモルフ:Septoria tritici;BayerコードSEPTTR)
コムギ植物(ユマ産)を種子から、温室内で50%鉱質土壌/50%無土壌Metroミックスにおいて、最初の葉が充分に出るまで生長させた(7〜10本の実生/ポット)。この植物に、Septoria triticiの水性胞子懸濁剤を、殺真菌剤での処理前または処理後のいずれかで接種した。接種後、植物を100%相対湿度に維持し(暗い結露(dew)チャンバ内に1日、その後、明るい結露チャンバ内に2日または3日)、胞子を発芽させて葉に感染させた。次いで、植物を温室に移し、病害を発生させた。
【0090】
以下の表に、これらの実験で評価したときの本開示の典型的な化合物の活性を示す。病害の防除における試験化合物の有効性を、処理した植物における病害の深刻度を評価し、次いで、該深刻度を、未処理の接種植物における病害レベルに対する防除パーセントに変換することにより調べた。
表IIの各場合において、評価尺度は以下のとおりである:
【表2】
【表3-1】
【表3-2】