(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記少なくとも1つの粗面化表面が複数のトポグラフィーフィーチャーを含み、該複数のトポグラフィーフィーチャーが、1μmから50μmまでの範囲内の平均特性最大フィーチャーサイズを有することを特徴とする、請求項1記載のガラス物品。
前記ガラス物品が、ディスプレイシステムおよびタッチセンサー入力デバイスのうちの一方の一部分を形成するガラスパネルであり、前記ディスプレイシステムまたはタッチセンサー入力デバイスが、前記ガラス物品に隣接するピクセル型画像表示パネルを含み、該画像表示パネルが、前記平均特性最大フィーチャーサイズよりも大きい最小固有ピクセルピッチ寸法を有することを特徴とする、請求項2記載のガラス物品。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下の説明では、同じ参照文字は、図面に示されるいくつかの図にわたり同じ部分または対応する部分を表す。また、とくに明記されていないかぎり、「頂部」「底部」「外向き」「内向き」などの用語は、便宜語であり、限定用語とみなされないものとする。それに加えて、ある群が一群の要素の少なくとも1つおよびそれらの組合せを含むと記載されている場合は常に、その群は、単独または相互の組合せのいずれかで、挙げられたそれらの要素のうちの任意の数の要素を含みうるか、それらから本質的になりうるか、またはそれらからなりうるものとする。同様に、ある群が一群の要素の少なくとも1つまたはそれらの組合せからなると記載されている場合は常に、その群は、単独または相互の組合せのいずれかで、挙げられたそれらの要素のうちの任意の数の要素からなりうるものとする。とくに明記されていないかぎり、値の範囲は、挙げられている場合、その範囲の上限および下限の両方を含む。
【0013】
図面全体を参照すれば、例示は、特定の実施形態を説明することを目的としており本開示またはそれに添付された特許請求の範囲を限定することを意図したものではないことが理解されよう。図面は、必ずしも原寸どおりというわけではなく、図面中の特定のフィーチャーおよび特定の図は、明確さおよび簡潔さを期して尺度が誇張されて示されたり概略図で示されたりすることもある。
【0014】
ガラス物品を提供する。いくつかの実施形態では、ガラス物品は4モル%未満のCaOを含む。他の実施形態では、ガラス物品は5%未満のNa
2Oを含む。さらに他の実施形態では、ガラス物品は少なくとも2モル%のB
2O
3を含む。他の実施形態では、ガラス物品はソーダ石灰ガラスを含む。
【0015】
いくつかの実施形態のガラス物品は、少なくとも2モル%のAl
2O
3を含みかつイオン交換性であるアルミノシリケートガラスを含む。一実施形態では、ガラス中のより小さい金属イオンは、ガラスの外表面近傍の層内でより小さいイオンと同一の価数を有するより大きい金属イオンにより置き換えられるすなわち「交換」される。たとえば、ガラス中のナトリウムイオンは、カリウムイオンを含有する溶融塩浴中にガラスを浸漬することにより、より大きいカリウムイオンで置き換えることが可能である。より小さいイオンをより大きいイオンで置き換えると、層内に圧縮応力が発生する。他の実施形態では、ガラス中のより大きいイオンは、ガラスをガラスの歪み点超の温度まで加熱しながらより小さいイオンにより置き換えることが可能である。歪み点未満の温度まで冷却すると、ガラスの外層中に圧縮応力が発生し、ガラスの内部領域中に圧縮応力とバランスを保つために中心張力が発生する。いくつかの実施形態では、外層は、少なくとも350MPaの圧縮応力および少なくとも15μmの深さ(「層の深さ」としても参照される)を有する。他の実施形態では、外層は、少なくとも400MPaの圧縮応力を有する。いくつかの実施形態では、中心張力は、少なくとも10MPaである。
【0016】
ガラス物品は、典型的には、少なくとも1つの縁により外周上で連結された2つの主表面(表面)を有する平面状シートであるが、ガラス物品は、たとえば三次元形状などの他の形状に成形することが可能である。表面の少なくとも片方は、トポロジー/モルフォロジーフィーチャー(フィーチャー)を含む粗面化表面である。そのようなフィーチャーとしては、突起、隆起、窪み、ピット、独立気泡構造または連続気泡構造、粒子、それらの組合せなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。いくつかの実施形態では、主表面は両方とも、粗面化表面である。他の実施形態では、片方の主表面は、粗面化表面であり、他方のすなわち対向する表面は、光学的に平滑である(すなわち最小粗さレベルまで研磨されている)。
【0017】
ガラス物品は、95未満、いくつかの実施形態では90未満、他の実施形態では85未満、他の実施形態では80未満、他の実施形態では75未満、他の実施形態では50未満の反射画像鮮明度(DOI)を有する。とくに明記されていないかぎり、本明細書に報告されるDOI値は、以下に記載の両側測定法を用いて20°の入射角で測定される。他の実施形態では、ガラス物品は、両側法を用いて測定したとき、80未満、さらに他の実施形態では40未満、さらに他の実施形態では20未満のDOIを有する。防眩機能に関しては一般的にはDOIが小さいほど好ましい。しかしながら、特定の用途にもよるが、DOIを低減した場合、性能トレードオフを生じる可能性がある。たとえば、DOIを低減しすぎた場合、ヘイズが許容限度を超えて増加する可能性がある。他の実施形態では、ガラス物品は、以下に記載されるように片側サンプル作製法を用いて正反射方向から20°の角度で測定したとき、90未満のDOIを有する。「正反射方向」という用語は、反射画像が目視/観測されるガラス物品の表面からの角度を意味し、「正反射目視角」としても参照される。DOIは、「Standard Test Methods for Instrumental Measurements of Distinctness−of−Image Gloss of Coating Surfaces」という名称のASTM手順D5767(ASTM5767)の方法A(その内容は参照によりその全体が本明細書に組み入れられるものとする)により定義される。ASTM5767の方法Aに準拠して、正反射目視角でかつ正反射目視角からわずかにずれた角度で、ガラス物品の少なくとも1つの粗面化表面上でガラス反射率係数測定を行う。これらの測定から得られた値を組み合わせてDOI値を提供する。特定的には、式
【数1】
【0018】
〔式中、Rsは、正反射方向の反射率の相対的大きさであり、かつRosは、非正反射方向の反射率の相対的大きさである〕
に従ってDOIを計算する。本明細書に記載される場合、とくに明記されていないかぎり、Rosは、正反射方向から0.2°〜0.4°の角度範囲にわたり反射率を平均することにより計算される。Rsは、正反射方向を中心として±0.05°の角度範囲にわたり反射率を平均することにより計算される。RsおよびRosは両方とも、ASTM手順D523およびD5767(その内容は参照によりその全体が組み入れられるものとする)に明記されるように、認証黒色ガラス標準で校正されたゴニオフォトメーター(Novo−gloss IQ、Rhopoint Instruments)を用いて測定した。Novo−gloss装置は、検出器アレイ中の最高値を正反射角の中心とする検出器アレイを使用する。また、片側法(ガラスの背面に黒色吸収体を結合させる)および両側法(ガラスに結合させずに両方のガラス表面から反射させる)を用いてDOIを評価した。片側測定では、ガラス物品の単一表面(たとえば、単一粗面化表面)の光沢、反射率、およびDOIの測定が可能であり、一方、両側測定では、ガラス物品全体の光沢、反射率、およびDOIの測定が可能である。比Ros/Rsは、上記のようにRsおよびRosに関して得られた平均値から計算される。本明細書で用いられる場合、「20°DOI」という用語は、とくに明記されていないかぎり、ASTM D5767に記載されるように光がガラス表面の法線から20°ずれてサンプルに入射するDOI測定を意味する。両側法を用いたDOIまたは通常の光沢の測定はいずれも、好ましくは、サンプルが存在しないときにこれらの性質の測定値がゼロになるように暗室内または包囲空間内で行われる。
【0019】
防眩性表面に関しては、一般的には、DOIが比較的低くかつ反射率比Ros/Rs(式(1))が比較的高いことが望ましい。この結果として、ぼけたすなわち不鮮明な反射画像が視知覚される。一実施形態では、ガラス物品の少なくとも1つの粗面化表面は、上記の片側サンプル作製法を用いて正反射方向から20°の角度で測定したとき、0.1超、いくつかの実施形態では0.4超、他の実施形態では0.8超の反射率比Ros/Rsを有する。上記の両側法を用いて測定したとき、正反射方向から20°の角度でのガラス物品の反射率比Ros/Rsは、0.05超である。他の実施形態では、両側法により測定されるガラス物品の反射率比Ros/Rsは0.2超であり、第3の実施形態ではRos/Rs>0.4である。ASTM D523により測定される通常の光沢は、強い正反射成分を有する表面(鮮明な反射画像)と弱い正反射成分を有する表面(ぼけた反射画像)とを区別するのに十分ではない。この理由は、ASTM D523に準拠して設計された通常の光沢計を用いて測定できない、上述の小角散乱効果にある。
【0020】
図1は、防眩性表面を目視により合格と判定する際の小角散乱の重要性を例示している。
図1は、通常のASTM D523光沢測定により決定したときに実質的に同一の光沢値を有する2つの表面について20°入射で測定される相対反射率を正反射方向からの角度の関数としてプロットしたものである。サンプル1は、60°および20°でそれぞれ62および17の通常の片側光沢値を有し、一方、サンプル2は、60°および20°でそれぞれ60および14の通常の片側光沢値を有する。ASTM D523法では、
図1に示される角度範囲全体にわたり光のほぼすべてを捕集する。しかしながら、大きい正反射ピークを有するサンプル(
図1中のサンプル1)は、人間の眼で見たときにはるかに鮮明な反射画像を有する。
【0021】
一実施形態では、少なくとも1つの粗面化表面のトポロジー/モルフォロジーフィーチャーは、約1μmから約50μmまでの範囲内の平均特性最大フィーチャー(ALF)サイズを有する。他の実施形態では、ALFサイズは、約5μmから約40μmまでの範囲内であり、第3の実施形態では、約10μmから約30μmまでの範囲内であり、第4の実施形態では、約14μmから約28μmまでの範囲内である。本明細書で用いられる場合、平均特性最大フィーチャーサイズとは、粗面化表面上の目視領域内の大きい順に20番目までの反復フィーチャーの平均断面線寸法のことである。典型的には、標準的な校正済み光学顕微鏡を用いてフィーチャーサイズを測定する。目視領域は、フィーチャーサイズに比例し、典型的には、約30(ALF)×30(ALF)の面積を有する。たとえば、ALFが約10μmである場合、大きい順に20番目までのフィーチャーが選択される目視領域は、約300μm×300μmである。目視領域のサイズがわずかに変化してもALFに有意な影響を及ぼさない。ALFを決定するために用いられる大きい順に20番目までのフィーチャーの標準偏差は、一般的には、平均値の40%未満でなければならない(すなわち、主要な異常値は、「特性」フィーチャーであるとは考えられないので無視しなければならない)。
【0022】
ALFを計算するために用いられるフィーチャーは、「特性」でなければならない。すなわち、少なくとも20個の類似のフィーチャーを比例的目視領域内に位置付けることが可能である。ALFを用いてさまざまなモルホロジーまたは表面構造を特性付けることが可能である。たとえば、1つの表面構造は、独立気泡反復構造の外観を呈してもよく、他のものは、大きいプラトーにより分離された小さいピットの外観を呈してもよく、第3のものは、間欠的な大きい平滑領域が介在する小粒子の領域の外観を呈してもよい。いずれの場合も、ALFは、本質的に光学的に平滑である大きい順に20番目までの反復表面領域を測定することにより決定される。反復独立気泡表面構造の場合、測定されるフィーチャーは、独立気泡マトリックス中の気泡のうちの最大のものである。大きいプラトーにより分離された小さいピットを含む表面構造では、ピット間の大きいプラトーが測定対象になりうる。間欠的な大きい平滑領域が介在する小粒子の領域を含む表面では、間欠的な大きい平滑領域が測定対象になりうる。したがって、本質的に異なるモルホロジーを有するすべての表面をALFにより特性付けることが可能である。
【0023】
ALFは、粗面化ガラス表面の平面内で(すなわち、それに平行に)測定されるので、粗面化ガラス表面に垂直なz方向(すなわち厚さ方向)のフィーチャー変動の大きさである粗さには依存しない。最大特性フィーチャーの選択は、より全体的な平均フィーチャーサイズを決定する他の方法との重要な差異である。最大フィーチャーは、人間の眼で最も容易に観察されるので、ガラス物品を目視により合格と判定とする際に最も重要である。
【0024】
ディスプレイ「スパークル」は、通常、ピクセル型ディスプレイに隣接して配置される材料の人間による目視検査により評価される。ALFおよびそれとディスプレイ「スパークル」との関係は、さまざまな組成のガラスおよび粒子がコーティングされたポリマー材料をはじめとするさまざまな表面モルホロジーを有するさまざまな材料に有効な測定基準であることが明らかにされている。平均最大特性フィーチャーサイズ(ALF)とディスプレイスパークル強度の目視等級との間の強い相関は、複数の異なるサンプル材料および表面モルホロジーにわたり存在する。
【0025】
粗面化表面を有するガラス物品を2つの異なる市販のLCDスクリーンのいずれかの上に配置することにより、種々の粗面化ガラス物品のディスプレイスパークル強度を評価した。ガラスサンプルとLCDスクリーンの前面との間隙を制御して0.625mmにした。次に、これらの目視等級を以上にすでに記載の手順に従って光学顕微鏡を用いて行われたALFの測定値と相関付けた。ALFとスパークルとの相関を
図2に示す。この図は、2つのLCDディスプレイスクリーンのいずれかの上に配置された粗面化ガラスサンプルの平均特性最大フィーチャーサイズの関数として可視スパークル等級をプロットしたものである。スパークル等級は、10を最大すなわち「最悪」のスパークル度として1〜10の範囲のスケールであった。3名の目視者の平均のスパークル値を決定した。一方のLCDディスプレイスクリーン(
図2中のLCD A)は、60μm×180μmの固有ピクセルピッチ(すなわち、隣接ピクセル上の等価点間の反復距離)を有していた。LCD Aを用いて得られたスパークル値を
図2中にプロットし、データの線形最小二乗線を図中で「A」と表示する。他方のLCDディスプレイスクリーン(LCD B)は、84μm×252μmの固有ピクセルピッチを有していた。LCD Bを用いて得られたスパークル値を
図2中にプロットし、データの線形最小二乗線を図中で「B」と表示する。
【0026】
また、少なくとも1つの粗面化ガラス表面のALFに近いピクセルピッチ(すなわち、隣接ピクセル上の等価点間の反復距離)を有するピクセル型ディスプレイは、可視スパークル強度の増加を呈することが判明した。このことは、ALFを最小限に抑えるかまたはALFを固有ピクセルピッチと本質的に異なるようにするかのいずれかによりディスプレイスパークル強度を最小限に抑えることが可能であることを示唆している。これらの2つの手法は、可能性のある悪影響に対して評価されなければならない。たとえば、ALFを過度に縮小または低減すると、元の望ましい値を超えてサンプルヘイズが増大したりまたはDOIが増大したりするなどの否定的な結果を生じる可能性がある。したがって、本明細書に記載のALFの範囲は、スパークルの観点からだけでなく防眩性表面の他の重要な性質に関しても許容されるものである。
【0027】
本明細書で用いられる場合、「ピクセルピッチ」という用語は、互いに物理的に隣接するピクセル上の等価点間の固有反復距離を意味する。たとえば、典型的なLCDは、赤色−緑色−青色のピクセル構造を有する。ピクセルピッチは、赤色ピクセルと緑色ピクセルとの間または緑色ピクセルと青色ピクセルとの間などの直接隣接するピクセル上の等価点間の距離である。ピクセルピッチは、選択される2点が等価な反復点であるかぎり、2つの隣接するピクセル上の任意の2つの等価点(たとえば、黒色マトリックスの縁)を測定することにより校正済み光学顕微鏡を用いて決定可能である。矩形ピクセルでは、ピクセルピッチは、ピクセルの矩形形状を規定する大寸法および小寸法を有する。
【0028】
ディスプレイスパークルに関しては、少なくとも1つの粗面化ガラス表面上のフィーチャーのサイズとピクセルピッチ(とくに最小ピクセルピッチ)との関係が興味深い。一実施形態では、ガラス物品は、ディスプレイシステムの一部分を形成するガラスパネルである。ディスプレイシステムは、ガラスパネルに隣接して配設されるピクセル型画像表示パネルを含む。ディスプレイパネルの最小ピクセルピッチは、ALFよりも大きい。
【0029】
一実施形態では、ガラス物品の少なくとも1つの粗面化表面は、約10nmから約800nmまでの範囲内の平均RMS粗さを有する。他の実施形態では、平均RMS粗さは、約40nmから約500nmまでの範囲内である。第3の実施形態では、平均RMS粗さは、約50nmから約500nmまで、さらに他の実施形態では、約40nmから約300nmまでの範囲内である。特定の実施形態では、平均RMS粗さは、約10nm超かつ平均最大フィーチャーサイズの約10%未満である。他の実施形態では、平均RMS粗さは、約10nm超かつALFの約5%未満および約10nm超かつALFの約3%未満である。
【0030】
低いDOIおよび高いRos/Rsの要件は、特性フィーチャーサイズおよびALFに制限を課す。所与の粗さレベルでは、フィーチャーサイズが大きいほど、低いDOIおよび高いRos/Rsを生じることが判明した。したがって、ディスプレイスパークル要件とDOI要件との最適バランスを達成するために、小さすぎたり大きすぎたりしない中間の特性フィーチャーサイズを有する表面になるように防眩性表面を最適化する必要がある。また、透過へイズが非常に高角度に散乱されてアンビエント照明下で粗面化物品の乳白色外観をもたらしうるような反射へイズまたは透過へイズを最小限に抑えることが望ましい。
【0031】
本明細書で用いられる場合、「透過へイズ」および「ヘイズ」という用語は、ASTM手順D1003に準拠して±4.0°の円錐の外側に散乱する透過光のパーセントを意味する。光学的平滑表面では、透過へイズは、一般的にはゼロに近い。両側が粗面化されたガラス板の透過へイズ(Haze
2−side)は、以下の近似式:
【数2】
【0032】
に従って、片側のみが粗面化された等価な表面を有するガラス板の透過へイズ(Haze
1−side)に関連付けことが可能である。ヘイズ値は、通常、ヘイズパーセントに換算して報告される。したがって、式(2)から得られるHaze
2−sideの値は、100%を乗算しなければならない。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のガラス物品は、約50%未満、他の実施形態では約40%未満、他の実施形態では約30%未満、他の実施形態では約20%未満、他の実施形態では約10%未満、他の実施形態では約5%未満、他の実施形態では約3%未満、他の実施形態では約1%未満の透過へイズを有する。
【0033】
いくつかの用途では、ヘイズを最小限に抑えると同時に防眩性表面を有して低いDOIを保持することが望ましいこともある。たとえば、ディスプレイ用途では、ヘイズを最小限に抑えれば、目視者の方向に迷光を散乱するランダムに配置されたアンビエント光源に由来するディスプレイコントラスト低下が最小量になるであろう。また、低いDOI(小角散乱により支配される)を保持すれば、反射がより不鮮明になったり、より目立たなくなったり、またはより不快でなくなったりするように、反射画像の境界がぼける防眩効果が保存されるであろう。
【0034】
いくつかの実施形態では、粗面化表面は、約50nmから約500nmまでの範囲内のRMS粗さ、約85未満の画像鮮明度(DOI)、および40%未満の透過へイズを有する。1つのそのような実施形態では、透過へイズは約20%未満であり、かつDOIは約80未満である。他のそのような実施形態では、透過へイズは約10%未満であり、かつDOIは約75未満である。他のそのような実施形態では、透過へイズは約10%未満であり、かつDOIは約50未満である。他のそのような実施形態では、透過へイズは約5%未満であり、かつDOIは約85未満である。他のそのような実施形態では、透過へイズは約5%未満であり、かつDOIは約75未満である。他のそのような実施形態では、透過へイズは約5%未満であり、かつDOIは約50未満である。他のそのような実施形態では、透過へイズは約3%未満であり、かつDOIは約85未満である。他のそのような実施形態では、透過へイズは約3%未満であり、かつDOIは約75未満である。他のそのような実施形態では、透過へイズは約3%未満であり、かつDOIは約50未満である。他のそのような実施形態では、透過へイズは約1%未満であり、かつDOIは約85未満である。他のそのような実施形態では、透過へイズは約1%未満であり、かつDOIは約75未満である。他のそのような実施形態では、透過へイズは約1%未満であり、かつDOIは約50未満である。
【0035】
「通常の光沢」および「光沢」とは、ASTM手順D523に準拠して標準(たとえば認証黒色ガラス標準など)に対して校正された正反射率の測定を意味する。通常の光沢の測定は、典型的には、20°、60°、および85°の入射光角度で行われるが、最も一般的に用いられる光沢測定は、60°で行われる。しかしながら、この測定の広い受光角に起因して、通常の光沢では、多くの場合、高いおよび低い反射画像鮮明度(DOI)値を有する表面を区別することができない。
【0036】
本明細書で用いられる場合、「片側光沢」法とは、ガラス物品の背側(すなわち、粗面化表面に対向するガラス物品の表面)に光吸収性黒色テープが適用される光沢測定法を意味する。片側DOI法と同様に、片側光沢法では、単一のガラス表面の分析が可能であり、ガラスの厚さ変化およびガラス物品の背表面の粗さプロファイルの変動に起因する光沢測定値の変動が除去される。厚さ変化に依存しないので、かつ1つの粗面化表面を有するガラス物品と2つの粗面化表面を有するガラス物品との直接比較が可能であるので、片側光沢法が好ましい。「両側光沢」という用語は、黒色の吸収性テープを用いずに行われる測定を意味し、この場合、ガラスの前表面および背表面の両方からの反射を測定することが可能である。「60度光沢」および「20度光沢」という用語は、ASTM D523に記載されるように、光がガラス表面の法線からそれぞれ60°および20°ずれてサンプルに入射する光沢測定を意味する。
【0037】
一実施形態では、本明細書に記載のガラス物品および粗面化表面は、少なくとも30の片側60°光沢を有する。特定の実施形態では、ガラス物品は、約1μmから約50μmまでの範囲内の平均特性最大フィーチャーサイズ、少なくとも30の片側60°光沢、および約30%未満の透過へイズを有する1つの粗面化表面を有する。他の実施形態では、片側サンプル調製法を用いてASTM D5767に準拠して20°で測定される粗面化表面のDOIは、片側60°光沢値未満である。さらに他の実施形態では、両側サンプル調製法を用いてASTM D5767に準拠して20°で測定されるガラス物品のDOIは、両側60°光沢値未満である。
【0038】
ガラス物品は、いくつかの実施形態では、少なくとも2モル%のAl
2O
3を含有するアルカリアルミノシリケートガラスを含む。一実施形態では、アルカリアルミノシリケートガラスは、60〜70モル%のSiO
2、6〜14モル%のAl
2O
3、0〜15モル%のB
2O
3、0〜15モル%のLi
2O、0〜20モル%のNa
2O、0〜10モル%のK
2O、0〜8モル%のMgO、0〜10モル%のCaO、0〜5モル%のZrO
2、0〜1モル%のSnO
2、0〜1モル%のCeO
2、50ppm未満のAs
2O
3、および50ppm未満のSb
2O
3を含むか、それらから本質的になるか、またはそれらからなり、ただし、12モル%の≦Li
2O+Na
2O+K
2O≦20モル%かつ0モル%≦MgO+CaO≦10モル%である。他の実施形態では、ガラスは、少なくとも58モル%のSiO
2、いくつかの実施形態では、少なくとも60モル%のSiO
2を含み、かつ少なくとも1種のアルカリ金属改質剤を含み、ただし、モル%単位で表される比(Al
2O
3+B
2O
3)/Σ(改質剤)>1であり、かつ改質剤は、アルカリ金属酸化物およびアルカリ土類金属酸化物からなる群から選択され、特定の実施形態では、60〜72モル%のSiO
2、9〜16モル%のAl
2O
3、5〜12モル%のB
2O
3、8〜16モル%のNa
2O、および0〜4モル%のK
2Oを含むか、それらから本質的になるか、またはそれらからなる。さらに他の実施形態では、アルカリアルミノシリケートガラスは、61〜75モル%のSiO
2、7〜15モル%のAl
2O
3、0〜12モル%のB
2O
3、9〜21モル%のNa
2O、0〜4モル%のK
2O、0〜7モル%のMgO、および0〜3モル%のCaOを含むか、それらから本質的になるか、またはそれらからなる。いくつかの実施形態では、ガラスは、Na
2SO
4、NaCl、NaF、NaBr、K
2SO
4、KCl、KF、KBr、およびSnO
2を含む群から選択される0〜2モル%の少なくとも1種の清澄剤と共にバッチ処理される。アルミノシリケートガラスは、いくつかの実施形態では、リチウムを実質的に含まないが、他の実施形態では、アルミノシリケートガラスは、ヒ素、アンチモン、およびバリウムの少なくとも1つを実質的に含まない。他の実施形態では、アルミノシリケートガラスは、スロットドロー成形、フュージョンドロー成形、リドロー成形などの当該技術分野で公知のプロセスによりダウンドロー成形可能であり、かつ少なくとも130キロポアズ(13kPa・s)の液相線粘度を有する。
【0039】
本明細書で先に記載したように、アルミノシリケートガラス物品は、イオン交換性である。一実施形態では、アルミノシリケートガラス物品は、ガラス物品の少なくとも1つの表面上に圧縮応力層を形成すべくイオン交換される。イオン交換されたガラス物品は、少なくとも350MPaの圧縮応力を有し、圧縮応力層は、少なくとも15μmの層の深さを有する。特定の一実施形態では、圧縮応力は、少なくとも400MPaであり、かつ層の深さは、少なくとも15μmである。他の実施形態では、圧縮応力は、少なくとも350MPaであり、かつ層の深さは、少なくとも20μmである。イオン交換により形成された圧縮応力層はまた、ガラス物品の内部領域に中心張力を発生する。一実施形態では、中心張力は、少なくとも10MPaである。
【0040】
一実施形態では、少なくとも1つの粗面化表面は、エッチングプロセスにより形成される。一般的には、粗面化ガラス表面を形成するために多工程の処理プロセスが用いられる。しかしながら、いくつかの場合には、単一のエッチング工程およびそれに続く水洗浄が必要とされるにすぎない。そのようなプロセスの例は、「Glass Having Anti−Glare Surface and Method of Making」という名称でKrista L Carlsonらにより2009年3月31日に出願された米国特許仮特許出願第61/165,154号およびKrista L Carlsonらにより2010年3月24日に出願された米国特許出願第12/730,502号(米国特許仮特許出願第61/165,154号と同一の名称を有し、それに基づく優先権を主張する)の各明細書に記載されているが、これらに限定されるものではない。両出願の内容は、その全体が参照により本明細書に組み入れられるものとする。また、その内容は、ガラス表面を第1のエッチャントで処理して表面上に結晶を形成する方法を記述している。次に、各結晶に隣接する表面領域を所望の粗さにエッチングし、続いて、ガラス表面から結晶を除去し、そして所望のヘイズおよび光沢を有する表面を提供するようにガラス物品の表面の粗さを低減する。
【0041】
一例として(ただし、これに限定されるものではない)、多工程処理は、第1の粗面化工程を含み、この工程で、ガラス物品を第1の浴中に浸漬するか、さもなければ、5〜20質量%の重フッ化アンモニウム(NH
4HF
2)と、0〜5質量%のフッ素化または非フッ素化のアルカリ塩またはアルカリ土類塩(たとえば、NaHF2またはCaCl
2)と、10〜40%のイソプロピルアルコールやプロピレングリコールなどの有機溶媒と、を含む溶液、ゲル、またはペーストに接触させる。場合により、キサンタンガムやメチルセルロースなどの粘度調整剤を0〜3質量%で第1の浴に添加することが可能である。これらの粘度調整剤で部分的または全体的に有機溶媒を置き換えてもよく、また、ゲルまたはペースト(いくつかエッチングジオメトリーには好適である)を形成することが可能である。それに加えて、フッ素化界面活性剤などの種々の界面活性剤を第1の浴に添加して部分的または全体的に有機溶媒を置き換えることが可能である。フッ素化界面活性剤の例としては、DuPont製のZonyl(商標)およびCapstone(商標)ならびに3M製のNovec(商標)が挙げられるが、これらに限定されるものではない。この第1の工程では、ガラス表面上にフッ素化結晶の層を形成することが可能である。これらの結晶は、より後の段階で、水で洗浄することによりまたは後続の化学処理工程により除去される。
【0042】
エッチング/粗面化プロセスの任意選択の第2の工程は、硫酸、塩酸、硝酸、リン酸などの非フッ素化鉱酸を含む第2の溶液中への浸漬またはその中での他の処理を含みうる。酸濃度は、0.1〜3モル/リットルの範囲内でありうる。第2の溶液は、加熱または非加熱のいずれかでありうる。他の選択肢として、第2の溶液は、水のみでありうる。この任意選択の第2の工程は、第1のエッチング工程で形成されたフッ素化結晶を部分的に溶解するのに役立ちうる。この部分的溶解により、ガラス表面から結晶が部分的または全体的のいずれかで除去される。部分的な溶解または除去により、洗浄またはさらなる酸エッチングのいずれかを含む次の工程で最終除去を支援することが可能である。
【0043】
任意選択の第3の工程(または上記の第2の工程を省いた場合には第2の工程)は、2〜10質量%のフッ化水素酸と、2〜30質量%の塩酸、硫酸、硝酸、リン酸などの鉱酸と、を含有する酸性溶液を用いた浸漬または他の処理を含みうる。3分間から60分間までの範囲内の時間にわたりガラス表面を溶液中でエッチングすることが可能であるが、一般的には、時間を長くするほど、表面粗さの低下は大きくなる。この任意選択の第3の工程はまた、酸性溶液の代わりにNaOHとEDTAとを含有する溶液などの塩基性溶液を用いた処理を含みうる。
【0044】
以上に列挙した濃度およびエッチング時間の範囲は、好ましい範囲を表している。当業者であればわかるであろうが、上記の範囲外の濃度およびエッチング時間を用いてガラス物品の粗面化表面を得ることが可能である。
【0045】
一実施形態では、エッチング時に表面の少なくとも一部分をマスキングすることにより、一表面または表面の一領域が粗面化されたガラス物品を得ることが可能である。そのようなマスキング法の例は、以上ですでに参照した米国特許仮特許出願第61/165,154号明細書に記載されているが、これに限定されるものではない。好適なマスキングフィルムの例は、Seil Hi−Tech製のANT(商標)フィルムであるが、これに限定されるものではない。ガラス物品の単一表面をエッチング/粗面化する他の方法は、ロール処理、スプレー処理、または当該技術分野で公知の他の方法の1つによりガラス物品の単一表面上にエッチング溶液、ペースト、またはゲルを適用することを含む。一実施形態では、物品の平滑表面または粗面化表面のいずれかに施されるデザインのポジ画像またはネガ画像のいずれかを有するマスキングフィルムを提供することにより、ガラス物品の表面内に空間的変動または表示を形成することが可能である。
【0046】
他の実施形態では、「Anti−Glare Surface Treatment Method and Articles Thereof」という名称でDiane K.Guilfoyleらにより2010年4月30日に出願された米国特許仮特許出願第61/329,936号明細書(その内容は参照によりその全体が本明細書に組み入れられるものとする)に記載されるように、最初にガラス物品の少なくとも1つの表面上に犠牲粒子の層を堆積させ、そして粒子処理された表面をエッチャントに接触させて粗面化表面を形成するエッチングプロセスにより、粗面化表面を形成する。
【0047】
他の実施形態では、「Anti−Glare Surface and Method of Making」という名称でJeffrey T.Kohliらにより2010年4月30日に出願された米国特許仮特許出願第61/329,951号明細書(その内容は参照によりその全体が本明細書に組み入れられるものとする)に記載されるように、物品の少なくとも1つの表面の所定の部分上に保護膜(細孔形成性ポリマーを含みうる)または保護材料のランダムスポットを形成することと、少なくとも1つの表面を液体エッチャントに接触させることと、物品の表面から保護膜を除去して防眩性表面を形成することと、により、粗面化表面を形成する。
【0048】
いくつかの実施形態では、フッ化アンモニウム(NH
4F)、プロピレングリコール、HCl、およびHFを含有する静置溶液中にガラス物品を浸漬することと、続いて、脱イオン水中で洗浄することと、により、低いヘイズおよび低いDOIの両方を有する表面を得ることが可能である。場合により、清浄化目的のH
2SO
4浴および/またはHF含有浴中にガラスを浸漬することが可能である。
【0049】
また、さまざまな化学物質によるエッチング、機械的研磨およびそれに続くエッチング、レーザーアブレーション、粒子またはフリットのコーティングおよび焼結、ゾル−ゲルコーティングおよび焼結、ガラスの軟化温度超の成形型にガラスを当接させるプレス加工またはエンボス加工など(ただし、これらに限定されるものではない)の代替の粗面化手順により、本明細書に記載の表面性質および光学的性質を提供することが可能である。
【0050】
ディスプレイシステムも提供する。ディスプレイシステムは、少なくとも1枚のアルミノシリケートガラスパネル(上記のとおり)と、アルミノシリケートガラスパネルの表面に隣接するピクセル型画像表示パネルと、を含む。ピクセル型画像表示パネルは、たとえば、LCDディスプレイ、OLEDディスプレイなどのうちの1つでありうる。ディスプレイシステムはまた、タッチセンサー要素または表面を含みうる。アルミノシリケートガラスは、イオン交換されるとともに、本明細書で先に記載したように、平均最大フィーチャーサイズまたはALFを有する複数のフィーチャーを含む少なくとも1つの粗面化表面を有し、かつ画像表示パネルは、最小固有ピクセルピッチを有する。最小固有ピクセルピッチは、アルミノシリケートガラスパネルの粗面化表面のALFよりも大きい。
【実施例】
【0051】
以下の実施例は、本開示の特徴および利点を例示したものであり、本開示またはそれに添付された特許請求の範囲を限定することをなんら意図したものではない。
【0052】
以下の実施例に記載のアルミノシリケートガラス板はすべて、次の組成、すなわち、66モル%のSiO
2、10モル%のAl
2O
3、0.6モル%のB
2O
3、14.0モル%のNa
2O、2.5モル%のK
2O、5.7モル%のMgO、0.6モル%のCaO、0.01モル%のZrO
2、0.21モル%のSnO
2、および0.008モル%のFe
2O
3を有していた。ガラス板の両側表面がエッチングされるように、実施例5を除くすべてのガラス板をマスキングなしでエッチングした。片側対両側のエッチングの比較は、測定される透過へイズならびに両側光沢および両側DOIには影響があるが、ガラスの単一表面から反射される光を本質的に分離する片側光沢および片側DOIの測定には影響しないはずである。以下の実施例に記載のガラス板はすべて、0.7mmの初期厚さを有していた。
【0053】
実施例1
6質量%のNH
4HF
2および10%のプロピレングリコールからなる静置溶液中にアルミノシリケートガラス板を5分間浸漬した。次に、ガラスサンプルを脱イオン(DI)水中で1分間洗浄し、続いて、1モルH
2SO
4中に5分間浸漬した。表面全体にわたり流体の移動が容易になるようにサンプルを垂直に保持し、そして垂直運動を用いてH
2SO
4浴中に浸漬しながら機械撹拌した。撹拌速度は約2Hzであり、移動距離は約2インチ(5.08センチメートル)であった。次に、サンプルをDI水中で再度1分間洗浄し、続いて、4質量%HF+4質量%HClの溶液中に10分間浸漬した。H
2SO
4浴で用いたのと同一の撹拌方法を用いてHF+HCl浴中で撹拌した。最終工程として、サンプルをDI水中で再度洗浄し、窒素空気流を用いて乾燥させた。サンプルで得られた光学測定および表面測定の結果を表1にまとめる。
【0054】
実施例2
10質量%のNH
4HF
2および10%のプロピレングリコールからなる静置溶液中にアルミノシリケートガラス板を10分間浸漬した。次に、ガラスサンプルをDI水中で洗浄し、垂直撹拌しながらH
2SO
4浴中に浸漬し、DI水中で再度洗浄し、垂直撹拌しながら4質量%HF+4質量%HClの溶液中に浸漬し、DI水中で再度洗浄し、そして実施例1に記載されるように窒素空気流を用いて乾燥させた。サンプルで得られた光学測定および表面測定の結果を表1にまとめる。
【0055】
実施例3
10質量%のNH
4HF
2および20%のプロピレングリコールからなる静置溶液中にアルミノシリケートガラス板を5分間浸漬した。次に、ガラスサンプルをDI水中で洗浄し、垂直撹拌しながらH
2SO
4浴中に浸漬し、DI水中で再度洗浄し、垂直撹拌しながら4質量%HF+4質量%HClの溶液中に浸漬し、DI水中で再度洗浄し、そして実施例1に記載されるように窒素空気流を用いて乾燥させた。サンプルで得られた光学測定および表面測定の結果を表1にまとめる。
【0056】
実施例4
10質量%のNH
4HF
2、2%のNaHF
2、および20%のプロピレングリコールからなる静置溶液中にアルミノシリケートガラス板を5分間浸漬した。次に、ガラスサンプルをDI水中で洗浄し、垂直撹拌しながらH
2SO
4浴中に浸漬し、DI水中で再度洗浄し、垂直撹拌しながら4質量%HF+4質量%HClの溶液中に浸漬し、DI水中で再度洗浄し、そして実施例1に記載されるように窒素空気流を用いて乾燥させた。サンプルで得られた光学測定および表面測定の結果を表1にまとめる。
【0057】
実施例5
両側がエッチングされた実施例1〜4および6に記載のすべての他のサンプルとは対照的に、このガラスサンプルは、片側のみがエッチングされた。このサンプルは、エッチング前にANT(商標)フィルムを配設して片側がマスキングされた。8質量%のNH
4HF
2および20%のプロピレングリコールからなる静置溶液中にアルミノシリケートガラス板を10分間浸漬した。次に、ガラスサンプルをDI水中で洗浄し、垂直撹拌しながらH
2SO
4浴中に浸漬し、DI水中で再度洗浄し、垂直撹拌しながら4質量%HF+4質量%HClの溶液中に浸漬し、DI水中で再度洗浄し、そして実施例1に記載されるように窒素空気流を用いて乾燥させた。サンプルで得られた光学測定および表面測定の結果を表1にまとめる。
【0058】
実施例6
7質量%のNH
4HF
2および20%のプロピレングリコールからなる静置溶液中にアルミノシリケートガラス板を15分間浸漬した。次に、ガラスサンプルをDI水中で洗浄し、垂直撹拌しながらH
2SO
4浴中に浸漬し、DI水中で再度洗浄し、垂直撹拌しながら4質量%HF+4質量%HClの溶液中に浸漬し、DI水中で再度洗浄し、そして実施例1に記載されるように窒素空気流を用いて乾燥させた。サンプルで得られた光学測定および表面測定の結果を表1にまとめる。
【表1】
【0059】
実施例7〜9
実施例7〜9は、低いヘイズおよび低いDOIの両方を有するガラス表面を提供するのにとくに好適なプロセスを例示する。これらの実施例では、0.9Mのフッ化アンモニウム(NH
4F)、2.4Mのプロピレングリコール、0.5MのHCl、および0.6MのHFからなる静置溶液中にアルミノシリケートガラス(Corning 2318)板を8〜12分間浸漬した。次に、ガラスサンプルを脱イオン水中で洗浄し、場合により、清浄化目的でH
2SO
4浴中に浸漬し、最後に、DI水で洗浄し、そして窒素空気流を用いて乾燥させた。場合により、(先行実施例のときのように、ガラスをHF含有浴中でさらにエッチングすることが可能である。実施例7では、ガラス板の両側表面をエッチング浴に暴露してサンプルの両側に防眩性表面を形成した。実施例8では、エッチング浴中に配置するときにガラスの一表面を犠牲ポリマーフィルムで保護して、ガラス板の片側に防眩性表面を形成した。実施例9では、低いヘイズおよび低いDOIの性質を保持した状態で、ポリマーのアンチスプリンターフィルムまたは反射防止フィルムをガラス板の一表面にラミネートした。実施例7〜9の光学的データを表2に列挙する。
【表2】
【0060】
例示を目的として典型的な実施形態を説明してきたが、以上の説明は、本開示の範囲や添付の特許請求の範囲に対する限定要件であるとみなされるべきものではない。したがって、当業者であれば、本開示の趣旨および範囲からも添付の特許請求の範囲からも逸脱することなく、種々の変更形態、適応形態、および代替形態が思い浮かぶであろう。