【課題を解決するための手段】
【0015】
過酸化ベンゾイルを、機械的撹拌ありまたは機械的撹拌なしで、湿潤流体、好適には水性基剤と結合させることで、過酸化ベンゾイル粉末が直ちに湿潤され、凝集が最小限または非凝集の過酸化ベンゾイル懸濁液が得られることは予想外に発見された。前記湿潤流体、好適には水性基剤は、表面張力を約64ダイン/cmまたはそれ以下に減少させるのに十分な濃度で、水を含む流体に溶かされた水溶性有機溶剤を含むものである。さらにこの湿潤が、界面活性剤のような湿潤剤を使用することなく得られることが発見された。
【0016】
本明細書で使用されるように、用語「過酸化ベンゾイル粉末」は過酸化ベンゾイルの任意の微粒子型を意味するものである。このような微粒子型の例としては、粗い、微細、またはナノ粒子粉末のように超微細であるにせよ、顆粒、結晶および非晶質粉末を含む。
【0017】
本明細書で使用されるように、「過酸化ベンゾイルを含む粉末」は、過酸化ベンゾイル粉末および過酸化ベンゾイル以外の1若しくはそれ以上の材料の任意の微粒子型を含む粉末を意味する。例えば、過酸化ベンゾイルを含む粉末は、過酸化ベンゾイルの粒子および1若しくはそれ以上の他の粒子を含むことができ、ここにおいて、粉末における過酸化ベンゾイル以外の粒子の濃度は、50% w/wまたはそれ以下である。過酸化ベンゾイルを含む粉末は、50%から100%の過酸化ベンゾイルの濃度であり、例えば、50%から60%であり、60%から70%であり、70%から80%であり、80%から90%であり、または90%から100%である。
【0018】
本明細書で使用されるように、用語「非微粒化」は、過酸化ベンゾイル粉末に関して使用されるとき、平均的過酸化ベンゾイル粒子が50ミクロンまたはそれ以上のサイズである粉末を意味する。逆に、用語「微粒化」は、過酸化ベンゾイル粉末に関して使用されるとき、平均的過酸化ベンゾイル粒子は50ミクロン以下のサイズである。必ずしもではないが、好適には、実質上全ての非微粒化粉末における過酸化ベンゾイル粒子は、150ミクロンまたそれ以上である。
【0019】
本明細書で使用されるように、用語「湿潤」は粉末上および粉末に流体を散布すること、そして、それに対して吸着された空気を置換すること、それによって粉末の粒子が個々に、および別々に流体内に包まれることを意味する。当業者において知られているように、粉末は、例えば視覚検査および評価に基いて粒子の約80% +/− 10%のようにほぼ全ての粒子が流体内に包まれると、湿潤されたとみなされる。例えば、粉末と適当な湿潤流体との接触は、粒子の少数、典型的には粒子の約20% +/− 10%未満が湿潤されない場合であっても、完全な湿潤とみなされることに結果としてなる。
【0020】
本明細書で使用されるように、用語「機械的撹拌」は、液体中の粉末混合物の湿潤を容易にするため、液体と接触している粉末混合物に運動エネルギーを適用することを意味する。機械的撹拌の例は、これに限定されないが、混合、撹拌、剪断、振盪、または融合を含む。他の例は、超音波処理およびボルテックスにかけることを含む。
【0021】
本明細書で使用されるように、局所適用のための医薬剤形に関する用語「水性ゲル」は、ポリマーのような増粘剤とゲル化される担体または担体系を有する単相半固体医薬剤形を意味し、ここにおいて、大部分の担体または担体系は水、つまり、50% w/w以上である。
【0022】
本明細書で使用されるように、用語「凝集」は小さな固体粒子間の強い物理的な引力を意味し、それによって、多数の粒子が単一の粒子として現れる単一の大きな塊に凝集される。
【0023】
一実施形態において、本発明は過酸化ベンゾイルを含む湿潤粉末を得るための方法である。本発明の方法に従って、この粉末は、水と水溶性有機溶剤を含む液体と接触するように配置される。この溶剤は、室温で表面張力を64ダイン/cm未満に減少させるのに十分な濃度で液体に溶かされる。好適な実施形態において、溶剤は、表面張力を62ダイン/cm未満に減少させるのに十分な濃度で液体中に存在する。さらに好適な実施形態において、溶剤は、表面張力を61ダイン/cm未満に減少させるのに十分な濃度で液体中に存在する。最も好適な実施形態において、溶剤は、表面張力を60ダイン/cm未満に減少させるのに十分な濃度で液体中に存在する。例えば、溶剤は、表面張力を55〜60ダイン/cmまたは50〜55ダイン/cmまたはそれ以下に減少させるのに十分な濃度で液体中に存在する。
【0024】
以下に記載したように、当該方法は表面張力を64ダイン/cm未満に減少させることについて記載される。前の段落において開示したように、好適には、表面張力は64ダイン/cm未満、例えば50〜62ダイン/cmまたはそれ以下の値に減少される。
【0025】
非微粒化過酸化ベンゾイルは、時に「湿性」過酸化ベンゾイルと誤って呼ばれる含水過酸化ベンゾイル、USPとしてすぐに入手できる。含水過酸化ベンゾイルは引火性および衝撃感度を減少させるために、少なくとも65.0%および82.0%以下、平均で約74%の過酸化ベンゾイルと26%の水を含む。含水過酸化ベンゾイルにおける過酸化ベンゾイルは当業者で使用されている用語としての意味で湿潤されたものではない。含水過酸化ベンゾイルはペーストではなく、含水過酸化ベンゾイルにおける過酸化ベンゾイルは微結晶性状態であり、自由に流れる粉末として挙動する。水分子と過酸化ベンゾイル粉末間に化学的相互作用はなく、および、水は過酸化ベンゾイル粉末の核または内部を湿らせてはいない。このように、市販されている「湿性」過酸化ベンゾイルは湿潤されていない。
【0026】
粉末の過酸化ベンゾイルは微粒化または非微粒化されており、したがって、非微粒化粉末に関する本明細書の記載は、微粒化された粉末においても適用可能であると理解される。湿潤過酸化ベンゾイル粉末の例は、Benox(登録商標)(Syrgis Performance Initiators, Inc., アーカンソー州、Helena)の商標名のもとに販売されている。微粒化された過酸化ベンゾイルを含む粉末が既に湿潤されているので、このような粉末は、本発明の湿潤実施形態には不適用である。しかしながら、微粒化された過酸化ベンゾイルを含む湿潤粉末の使用は、以下で論じられる他の実施形態には適用できる。
【0027】
湿潤過酸化ベンゾイル粉末を得るため本発明の方法に従うと、過酸化ベンゾイルを含む粉末は、適当な湿潤流体と接触して配置され、この湿潤流体は水と水の表面張力を所望のレベルまで減少させるのに十分な混合濃度を有する1若しくはそれ以上の水溶性有機溶剤とを含む。好適には、湿潤流体は界面活性剤を含まない。この粉末および湿潤流体は、湿潤流体によって湿潤される過酸化ベンゾイルにとって十分な時間における互いとの接触を維持されることができる。必要に応じて、または必要があれば、この粉末および湿潤流体は、湿潤を容易にするため、または加速させるため、または完全にするために機械的に撹拌されることがある。
【0028】
本発明の方法に適した有機溶剤は、表1に示したU.S.P. 23rd Ed.において定義されているように、水に対して「極めて溶けやすい」、「溶けやすい」、または「可溶性」のものである。
【表1】
【0029】
必ずしもではないが、好適には、有機溶剤は水において混和性である。水において混和性であり、本発明の方法に適した例は、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール、n−ペンタノール、シクロペンタノール及びシクロヘキサノールのようなC
1−6アルカノール;ジメチルホルムアミドまたはジメチルアセトアミドのような線形アミド;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノンおよびジアセトンアルコールのようなケトンおよびケトンアルコール、テトラヒドロフランおよびジオキサンのような水混和性のエーテル;ジオール、例えばペンタン−1,5−ジオール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ペンチレングリコール、ヘキシレングリコールおよびチオジグリコール、およびジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコールおよびポリプロピレングリコールのようなオリゴアルキレングリコールおよびポリアルキレングリコール;グリセロールおよび1,2,6−ヘキサントリオールのようなトリオール;2−メトキシエタノール、2−(2−メトキシエトキシ)エタノール、2−(2−エトキシエトキシ)−エタノール、2−[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ]エタノール、2−[2−(2−エトキシエトキシ)−エトキシ]エタノールおよびエチレングリコールモノアリルエーテルのような2〜12の炭素原子を有するジオールのモノ−C
1−4アルキルエーテル;環状アミド、好適には2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドン、カプロラクタムおよび1,3−ジメチルイミダゾリドン;ジメチルイソソルバイドのような糖エステル;カプロラクトンのような環状エステル;およびジメチルスルホキシドおよびスルホランのようなスルホキシドを含む。
【0030】
加えて、本発明の方法において適した溶剤は、表面張力を室温で約64ダイン/cm未満に減少させるのに十分な濃度で水に溶解されることができる。水の表面張力は、表2に示したように温度変化によってわずかに変化する。
【表2】
【0031】
好適には、過酸化ベンゾイル粉末を湿潤させるための本発明の方法は、大体室温、つまり20℃〜30℃で実行される。あまり好適ではないが、本発明の方法は、室温以下の温度、つまり、0℃〜20℃で実行される。また好適ではないが、室温を上回る温度、つまり30℃〜50℃で実行される。さらに好適ではないが、本発明の方法は50℃〜100℃の高温で実行されることがある。本発明の優位性の1つは、熱を加える必要性がないことにあるので、本発明の方法を室温またはそれ以下で実行することは望ましい。しかしながら、熱が加えられる場合、および、温度が前記温度に上昇される場合、湿潤における最適表面張力は64ダイン/cmよりもわずかに高くなることがある。
【0032】
湿潤流体は、1若しくはそれ以上の水溶性有機溶剤に加えて、付加的な溶剤と成り得る付加的成分を含むことがある。このような付加的成分は、好適には湿潤手順が行われる温度において液体であり、好適には利用される水溶性有機溶剤に可溶性である。随意にこの湿潤流体は、付加的な湿潤剤、塗膜形成剤、または脱凝集剤として液体状態の溶質を含むことがある。
【0033】
水と上述したような1若しくはそれ以上の水溶性有機溶剤を含む液体である湿潤流体が過酸化ベンゾイルを湿潤させることができることは驚くべきことに発見された。湿潤流体における水和性有機溶剤の濃度は、例えば使用される特定の溶剤のような要因、および使用される過酸化ベンゾイル粉末と湿潤流体の相対体積によって変化する。一般的に、湿潤流体における水溶性有機溶剤の濃度は1%〜100% w/wである。好適には、当該濃度は約5%以上であり、さらに好適には約10%以上であり、最も好適には少なくとも約15%である。前文における用語「約」は、述べられた量に四捨五入される量を意味することを意図する。したがって、約5%は4.5%以上を意味し、約10%は9.5%以上を意味し、および約15%は14.5%以上を意味する。粉末および湿潤流体は、湿潤を容易にし、加速し、または完全にするために機械的に撹拌されることがある。
【0034】
他の実施形態において、本発明は、水と上述した1若しくはそれ以上の水溶性有機溶剤を含む液体と結合した湿潤過酸化ベンゾイル粉末である。ここにおいて、液体における水溶性有機溶剤の濃度は、上述したように、室温での表面張力を64ダイン/cm未満に減少させるのに十分なものである。
【0035】
他の実施形態において、本発明は1つまたはそれ以上の上述したような水溶性有機溶剤を含む液体と結合した湿潤過酸化ベンゾイルであり、そこにおいて液体における前記有機溶剤または溶媒の濃度は、室温で表面張力を64ダイン/cm未満に十分に減少させるものである。
【0036】
他の実施形態において、本発明は1つまたはそれ以上の上述したような水溶性有機溶剤を含む液体と結合した湿潤過酸化ベンゾイル粉末であり、そこにおいて、液体における前記有機溶剤または溶媒の濃度は、室温で表面張力を64ダイン/cm未満に十分に減少させるものである。そして、結果として過酸化ベンゾイル粉末が湿潤され、それによって、過酸化ベンゾイルの粒子が微粒化されていてもいなくても、局所製剤またはそれらの組成物の製造工程の間、過酸化ベンゾイルの粒子の凝集を減少および制御する。
【0037】
他の実施形態において、本発明は、例えば有効成分として過酸化ベンゾイルを含む局所医薬製剤の製造における使用のための、微粒化された過酸化ベンゾイルを調製するための方法である。本発明のこの実施形態に従うと、水と表面張力を室温で64ダイン/cm未満に減少させるのに十分な濃度の水溶性有機溶剤を含む湿潤流体は、非微粒化過酸化ベンゾイルを含む粉末と結合される。湿潤流体は、粉末中の過酸化ベンゾイル粒子の大部分を湿潤させることができる。その後、湿潤過酸化ベンゾイルは、微粒化された過酸化ベンゾイルを得るために適当な微粒化の処置を受ける。
【0038】
他の実施形態において、本発明は過酸化ベンゾイルの懸濁液である。この実施形態に従うと、懸濁液は、1%〜30% w/w、好適には10%以下、最も好適には5%以下の濃度で過酸化ベンゾイルを含む単相組成物である。過酸化ベンゾイルは、室温で表面張力を64ダイン/cm未満に減少させるのに十分な濃度の1若しくはそれ以上の水溶性有機溶剤を含む懸濁流体中で懸濁される。懸濁流体は、1若しくはそれ以上の有機溶剤のみを含むこともある。代わりに、懸濁流体は、表面張力を室温で64ダイン/cm未満に減少させることのできる水溶性有機溶剤以外の1若しくはそれ以上の賦形剤を含むことができる。
【0039】
懸濁流体が水に加えて1若しくはそれ以上の上述した水溶性有機溶剤のみを含むことは好適である。室温で水の表面張力を64ダイン/cm未満に減少させることのできる水溶性有機溶剤以外の賦形流体が使用されている場合、このような賦形流体は薬学的に許容可能であるべきであり、使用される1若しくはそれ以上の水溶性溶剤と混和性であるべきである。さらに、表面張力を室温で64ダイン/cm未満に減少させることのできる1若しくはそれ以上の水溶性有機溶剤の懸濁流体における濃度は、このような水溶性有機溶剤以外の賦形流体の非存在下において、そのすぐ後に結合される過酸化ベンゾイル粉末を湿潤させるために十分でなければならない。
【0040】
懸濁液における過酸化ベンゾイルは、微粒化されている、または非微粒化されていることがある。過酸化ベンゾイルが非微粒化である場合、懸濁液は懸濁液における過酸化ベンゾイルが微粒化されるように処理されることができる。適当な微粒化処理は、懸濁液の粉砕、研磨、破砕、切断、衝突、キャビテーティング、および剪断を含む。
【0041】
本発明の方法に従って湿潤および懸濁化される場合、非微粒化過酸化ベンゾイルが液面で凝集する傾向は非常に低く、したがって、ゴーリンミル(Delavan, WI)のような微粒化器具の小さな開口部に固着する過酸化ベンゾイル粒子の問題はごくわずか、または問題ない。本発明の方法に従って湿潤され、その後微粒化された過酸化ベンゾイルは安定的な懸濁液において維持され、および、ゲル、クリーム、またはローションのような医薬製剤内に組み込まれる前に顕著な度合いで液体表面に凝集しない。本発明に従って得られた安定したミクロ懸濁液はこのように結果として良好な医薬均質性および皮膚内、特に毛包脂腺器への最適な非ボーラス送達になり、結果として、効果を損なうことなく皮膚刺激を最小限にする。
【0042】
本発明の他の実施形態において、本発明は、有効成分として過酸化ベンゾイルを含む局所医薬製剤を製造することにおける使用のためのような、微粒化された過酸化ベンゾイルを調製するための方法である。この方法に従って過酸化ベンゾイル粉末は湿潤され、上述したような懸濁液となり、その後、過酸化ベンゾイル懸濁液は、微粒化された過酸化ベンゾイルを含む懸濁液を得るため、適切な微粒化処理にかけられる。
【0043】
他の実施形態において、本発明は微粒化された過酸化ベンゾイルを含む懸濁液であり、過酸化ベンゾイルは上述した方法に従って微粒化された。本発明の過酸化ベンゾイルの微粒化処理および懸濁液は、有効成分として過酸化ベンゾイルを含む局所医薬製品、特に半固体剤形である局所製品の製造において有用である。本発明の方法は、ローションおよび他の注ぐことのできる局所剤形において「使用前によく振ってください」とのラベルなしの最適な医薬許容性のため、および、最適な薬物送達のために、非凝集状態の分散した微粒化過酸化ベンゾイルを維持する。
【0044】
他の実施形態において、本発明は、室温で水の表面張力を64ダイン/cm未満に減少させることができる1若しくはそれ以上の水溶性有機溶剤を含む懸濁液において、または結合において過酸化ベンゾイルを含む医薬製剤である。そこにおいて、医薬製剤における水と水溶性有機溶剤の濃度は、製剤の他の全ての液体成分がない場合に、製剤に存在する過酸化ベンゾイルの濃度で過酸化ベンゾイルを含む粉末を湿潤させるのに十分である。好適には、過酸化ベンゾイルは微粒化されている。好適には、過酸化ベンゾイルは、本発明にしたがって微粒化された。必要に応じて、上述したように、1若しくはそれ以上の付加的な賦形流体を含むことができる。医薬製剤はさらに、湿潤剤、緩和剤、pH安定剤、キレート剤、塗膜形成剤、防腐剤および酸化防止剤のような医薬製剤において共通に使用される賦形剤を含むことができる。
【0045】
医薬製剤における過酸化ベンゾイルの濃度は好適には1%〜10% w/wであり、好適な濃度は2%〜5%である。必要に応じて、尋常性座瘡または紅斑性座瘡のような皮膚疾患の治療において有用な付加的な薬剤は製剤において含まれることができる。好適には、付加的な抗座瘡化合物は溶剤または多数の溶剤に溶解し、したがって、製剤において溶解される。
【0046】
そのような好適な抗座瘡化合物は抗生物質である。好適な抗生物質は、エリスロマイシン、アジスロマイシン、クラリスロマイシン、チルミコシンおよびチロシンのようなマクロライド系抗生物質、および、クリンダマイシンおよびリンコマイシンのようなリンコマイシン系抗生物質を含む。本発明の製剤において過酸化ベンゾイルと結合して用いられる特に好適な抗生物質は、塩酸クリンダマイシンまたはリン酸クリンダマイシンのようなクリンダマイシンである。本発明の製剤に含まれることができる付加的な局所抗座瘡活性成分は、抗生物質を含んでも含まなくても、サリチル酸、アゼライン酸、硫黄、スルファセタミド、レゾルシノール、グリコール酸のようなアルファ−ヒドロキシ酸、ナイアシンアミド、尿素、および、トレチノイン、アダパレンおよびタザロテンのようなレチノイドを含む。
【0047】
本発明の製剤に存在する場合、付加的な抗座瘡化合物は、好適には、過酸化ベンゾイルがない場合に明白な抗座瘡効果がでる濃度で存在する。例えば、クリンダマイシンが本発明の製剤に存在する場合、クリンダマイシンの濃度は少なくとも0.5%、例えば1%が好適である。0.5%よりも低い濃度、または1%よりも高い濃度、例えば2.5%から5.0%またはそれ以上の濃度が製剤に利用されることもある。
【0048】
必要というわけではないが、製剤がゲル形態、好適には水性ゲルで存在することは好適である。したがって、本発明の製剤は、ゲル化剤または増粘剤を含むことができる。水に分散可能な任意のゲル化剤は、皮膚のような上皮組織における使用に適しており、実質的に同一の硬さの水性ゲルを形成し、本発明の組成物における使用に適している。1つの好適なゲル化剤はヒドロキシプロピルセルロースであり、例えば、KLUCEL(登録商標)(Hercules Incorporated,米国デラウェア州,Wilmington)の商標名のもとで販売されている。他の好適なゲル化剤は、ヒドロキシエチルセルロースであり、例えば、NATROSOL(登録商標)(Hercules Incorporated)の商標名のもとで販売されている。他の適当なゲル化剤は、カルボマーとして知られているカルボキシビニルポリマーを含み、例えば、CARBOPOL(登録商標)934,940,941,980および981(B.F. Goodrich Co.,米国オハイオ州,Akron),ETD 2020(商標),およびULTREZ(登録商標)(Noveon,Inc.,米国オハイオ州,Cleveland)の商標名のもとで販売されている。さらなる適当なゲル化剤は、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキシド、アルギン酸プロピレングリコール、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、および、キサンタンおよびカラゲナンのような天然高分子ガムである。組成物におけるゲル化剤の濃度は、ゲル組成物の所望の粘度を含む複数の要因によって変化されることができる。例えば、ゲルは注ぐことができ、プラスチックスクイーズボトルのようなボトルから分配されることができる、または、好適にはコラプシブルチューブまたは広口瓶から分配されるようなより粘性であることもある。
【0049】
必要に応じて、本発明の製剤は、製剤において局所的に使用され、当業者において公知である付加的な薬学的に許容可能な賦形剤をさらに含むことができる。このような賦形剤は、例えば、湿潤剤、緩和剤、pH安定剤、キレート剤、被膜形成剤、透過促進剤、防腐剤および酸化防止剤を含む。
【0050】
本発明の医薬製剤の半固体剤形は、クリームやローションのようなエマルジョンの形態であることもある。好適には、界面活性剤は皮膚を刺激し、または皮膚保護機能を損なう傾向があることから、低分子量の界面活性剤なしでこのようなクリームまたはローションは処方される。したがって、本発明のクリームまたはローション製剤は、Dow,米国特許第7,368,122号で開示されたような、皮膚に有害な作用を示さない高分子量ポリマー乳化剤、または、ポロキサマーのような穏やかな乳化剤の低レベルと製造される。