【実施例】
【0059】
以下に本発明の実施例を説明するが、本発明はこれら実施例に限られるものではない。
【0060】
実施例1〜3で使用した消臭マットセット1の構成は以下の通りとした。
【0061】
下マット2は、コットン不織布シート(目付量80g/m
2、0.4〜0.6mm)の両面にポリエステル・レーヨン不織布シート(ポリエステル50重量%・レーヨン50重量%、目付量190g/m
2)を備えて、全厚を2.8〜3.2mmとした。2枚のポリエステル・レーヨン不織布シートの厚さは等厚とした。コットン不織布シートとポリエステル・レーヨン不織布シートは、ポリエチレンやポリプロピレン等の熱可塑性樹脂粉末を利用して全面を貼り合わせた。また、ポリエステル・レーヨン不織布シートには、リン系難燃剤を50g/m
2含ませた。
【0062】
上マット3は、エチレン・酢酸ビニル系の樹脂により形成した、
図2〜
図5に示す形状(意匠登録第1346611号)のものを使用した。
【0063】
培養液4の組成は、バチルス菌の総菌数1.0×10
4〜1.0×10
8CFU/g、その他栄養源にブドウ糖0.04〜0.1重量%とした。
【0064】
(実施例1)
列車車両に併設されているトイレの男子小便器周りに本発明の消臭マットセット1を用いた場合を想定した試験を実施した。
【0065】
下マット2と上マット3は、男子小便器周りの床面の形状に合わせて裁断して敷いた。
【0066】
バチルスサブチリスを含む培養液4を尿がこぼれやすい箇所に毎日70mL(1便器につき)散布した。また、列車車両において通常2週間毎に実施される交番検査を想定し、上マット3は2週間毎に洗浄して再使用し、下マット2は2週間毎に新品と交換した。
【0067】
試験は、男子用小便器が1つだけ設置されている3箇所の男子トイレで実施した。その内の2箇所においては男子小便器周りに本発明の消臭マットセット1を用い、他の1箇所には本発明の消臭マットセット1を用いずに試験した。
【0068】
試験開始前、16日目、28日目、43日目、56日目、76日目、91日目にトイレ室内温度、便器手前床面のアンモニア濃度、トイレ室内の臭気強度を検査した。結果を表1に示す。尚、アンモニア濃度は北川式ガス検知管で測定した。また、トイレ室内の臭気強度は官能評価した。具体的には、3名が室内の臭いを嗅ぎ、以下の1〜5の5段階評価を行った。
1:ほとんど臭わない
2:わずかに臭いを感じる
3:臭いを感じる
4:強く臭いを感じる
5:激しく臭いを感じる
【0069】
【表1】
【0070】
試験開始前(消臭マットセット使用前)には、いずれのトイレの便器手前床面のアンモニア濃度は3.2〜4.0ppmであり、トイレ室内の臭気強度も3〜4であった。消臭マットセット1を用いなかった場合(条件1−3)では、この状態が91日目まで継続した。一方、消臭マットセット1を用いた場合(条件1−1,条件1−2)には、便器手前床面からはアンモニアが全く検出されなくなった。また、トイレ室内の臭気強度が日数の経過と共に改善する傾向が見られ、91日目には、トイレ室内がほとんど臭わなくなった(評価1)。
【0071】
また、試験開始前と91日目のトイレの状態を
図6に示す。消臭マットセット1を用いることで、床面の汚れや尿たれが気にならず、常に清潔なイメージが持続できることが確認された。
図6中の矢印は、床面の汚れ箇所を示している。
【0072】
尚、下マット2の交換時に、下マット2の含水率を確認したところ、いずれの場合にも含水率が60〜70重量%であり、吸水力にまだ余力を残している状態であった。また、表面は半乾きの状態であり、押しても水分が滲むことはなかった。したがって、本発明の消臭マットセットによれば、列車車両に併設されたトイレに用いた場合に、少なくとも2週間程度は十分に吸水性能を維持できることが確認できた。よって、列車の交番検査毎に下マット2を交換すれば、全く問題なく吸水性能と消臭性能とを発揮しうることが明らかとなった。尚、吸水力の余力を考慮すれば、1ヶ月程度は十分に吸水性能を維持できるものと考えられることから、交番検査毎に下マット2を交換することは必須条件ではなく、例えば交番検査を2回程度受けた後に下マット2を交換してもよいと考えられた。
【0073】
(実施例2)
実施例1とは異なる形状の便器が設置され且つ床面にマットが設置されているトイレで実施例1と同様の実験を行った。結果を表2に示す。
【0074】
【表2】
【0075】
試験開始前(消臭マットセット使用前)には、いずれのトイレの便器手前床面のアンモニア濃度は3.2〜4.0ppmであり、トイレ室内の臭気強度も3〜4であった。消臭マットセットを用いなかった場合(条件1−3)では、この状態が91日目まで継続した。一方、消臭マットセットを用いた場合(条件1−1,条件1−2)には、便器手前床面からはアンモニアが全く検出されなくなった。また、トイレ室内の臭気強度が日数の経過と共に改善する傾向が見られ、91日目には、トイレ室内がほとんど臭わなくなった(評価1)。
【0076】
また、試験開始前と91日目のトイレの状態を
図7に示す。消臭マットセット1を用いることで、床面の汚れや尿たれが気にならず、常に清潔なイメージが持続できることが確認された。
【0077】
尚、下マット2の交換時に、下マット2の含水率を確認したところ、いずれの場合にも含水率が60〜80重量%であり、吸水力にまだ余力を残している状態であった。また、表面はさらっとして、押しても水分が滲むことはなかった。したがって、本発明の消臭マットセット1によれば、列車車両に併設されたトイレに用いた場合に、少なくとも2週間程度は十分に吸水性能を維持できることがわかった。よって、列車の交番検査毎に吸水マット2を交換すれば、全く問題なく吸水性能と消臭性能とを発揮しうることがこの結果からも明らかとなった。尚、実施例2の試験は2回実施したが、2回ともほぼ同じ結果となった。尚、この結果からも、吸水力の余力を考慮すれば、1ヶ月程度は十分に吸水性能を維持できるものと考えられることから、交番検査毎に下マット2を交換することは必須条件ではなく、例えば交番検査を2回程度受けた後に下マット2を交換してもよいと考えられた。
【0078】
(実施例3)
駅に併設されているトイレの男子小便器周りに本発明の消臭マットセット1を用いた場合を想定した試験を実施した。
【0079】
トイレ室内に男子小便器を左側、中央、右側に3つ設置した。右側の男子小便器には、障害者用の手すりを設置した。そして、駅に併設されたトイレと同様に、一日平均1300人以上がトイレを利用するようにした。尚、カウンターにより計測したところ、左側トイレでは、一日平均500人が使用していた。
【0080】
下マット2と上マット3は、各小便器周りに敷いた。尚、左側と右側の男子小便器の上マット3の使用者の足が載る部分のみ色を赤色として、汚れ具合を認識し易くした。また、中央の男子小便器の上マット3の使用者の足が載る部分には、点字シールを貼り付けた。
【0081】
バチルスサブチリスを含む培養液4を尿がこぼれやすい箇所に毎日70mL(1便器につき)散布した。
【0082】
事前調査(消臭マットセット使用前)、清掃後(消臭マットセット使用前)、消臭マットセット使用開始から11時間後、1週間後、2週間後、3週間後、4週間後にトイレ室内温度、便器手前床面のアンモニア濃度、トイレ室内の臭気強度を検査した。結果を表3に示す。尚、これらの検査は、実施例1及び2と同じ方法で実施した。
【0083】
【表3】
【0084】
本発明の消臭マットセット1を使用することで、床面からのアンモニアの発生が無くなることが確認された。また、消臭マットセット1の使用開始から11時間後にはトイレ室内の臭気強度も1〜2に収まることが確認された。
【0085】
左側小便器については、上マット3の尿こぼれはまったく目立たなかったが、使用開始2週間で靴底汚れの付着が目立つ状況になった。この汚れは適宜モップで拭き掃除をするだけで、簡単に除去することができた。また、消臭マットセット使用開始から4週間後においても、下マット2の含水率は70重量%程度であり、吸水力に余力が残っていた。
【0086】
中央小便器については、上マット3の尿こぼれは全く目立たなかったが、使用開始2週間で点字シール表面における靴底汚れの付着が目立つ状況になった。この汚れは適宜モップで拭き掃除をすることで簡単に除去することができた。また、また、消臭マットセット1の使用開始から4週間後においても、下マット2の含水率は80重量%程度であり、吸水力に余力が残っていた。
【0087】
右側小便器については、上マット3の尿こぼれはまったく目立たなかったが、使用開始2週間で靴底汚れの付着が目立つ状況になった。この汚れは適宜モップで拭き掃除をするだけで、簡単に除去することができた。また、また、消臭マットセット1の使用開始から4週間後においても、下マット2の含水率は85重量%程度であり、吸水力に余力が残っていた。尚、右側小便器における下マット2の湿り度合いが高かった理由は、使用者が障害者向けの手すりを気にして、立ち位置が小便器から離れてしまい、尿こぼれや小便器からの尿はねが起こり易くなったためと考えられた。
【0088】
以上の結果から、約4週間の施行において、バチルスサブチリスを含む培養液4を毎日70mL散布することと、上マット3のモップ拭きを適宜行うこととを実施するだけで、常に尿こぼれが目立たず清潔で、悪臭の発生が起こらない男子トイレを提供できることが明らかとなった。
【0089】
(実施例4)
様々な構成の下マット2を試作し、水分の吸収・保持機能と水分蒸散機能について検討を行った。具体的には、様々な構成の下マット2を試作して、保水量、拡散残留水分率、吸水速度、床面乾燥速度を測定した。
【0090】
(1)保水量
予め重量を測定した10cm×10cmのサンプルを2分間水に浸漬した後、サンプルの四隅のうち1箇所を持って水から引き上げて、吊した状態で2分間水が滴り落ちるのを待ち、その後、重量を測定し、100cm
2当たりの保水量を求めた。
【0091】
(2)拡散残留水分率
財団法人日本化学繊維検査協会にて評価が行われた。具体的には、20cm×20cmに調整したサンプルの中央に水を滴下した後、サンプルの表面が地面に対して平行になるように吊し、温度20℃、湿度65%の標準状態で、乾燥状況を経時的に測定した。サンプルへの水の滴下量は0.6mlとし、このときの水分量(g)を100重量%として、拡散性残留水分量を以下の式により算出した。
拡散性残留水分量(重量%)=任意の時間の水分量(g)÷測定開始時の水分量(g)×100
【0092】
(3)吸水速度
繊維製品の吸水性試験方法であるJIS L 1907:2010(バイレック法)により測定を行った。具体的には、200mm×25mmに調整した試料を水平棒上に固定し、水を入れた水槽に降下させて試料の下端20mm±2mmが浸漬するように固定し10分間放置した。放置後、毛細管現象によって上昇した高さを1mm単位で測定した。尚、この測定では、吸い上げた高さが高いほど、吸水性が高いことになる。
【0093】
(4)床面乾燥速度
ステンレス角型バット(210mm×170mm×31mm)に、10cm×10cmに調整したサンプルを置き、水5mlを滴下して、温度22℃〜26℃、湿度35%〜65%の条件下での乾燥状況を経時的に測定した。滴下時の水分量(g)を100重量%とし、以下の式により残留水分率を算出した。
残留水分率(重量%)=任意の時間の水分量(g)÷測定開始時の水分量(g)×100
【0094】
(5)サンプル
表4に示す22種類のサンプルを準備した。また、表4に保水量と含水率を示した。含水率(重量%)は、保水量(g/100cm
2)を湿重量(g/100cm
2)で割って百分率とした。尚、表4の材質・構成中の%は、重量%を意味している。
【0095】
【表4】
【0096】
No.1のコットン不織布は、目付量80g/m
2のものを使用した。
【0097】
No.2のポリエステル・レーヨン不織布は、目付量190g/m
2のものを使用した。
【0098】
No.3のパルプ・ポリエステル不織布(薄手)は、キノクロス(王子キノクロス株式会社製)で、目付量約60g/m
2のものを使用した。
【0099】
No.4のパルプ・ポリエステル不織布(厚手)は、キノクロス(王子キノクロス株式会社製)で、目付量約80g/m
2のものを使用した。
【0100】
No.5のレーヨン・PET不織布は、オールタイムフードサービスタオル厚口(東京メディカル株式会社製)で、レーヨン80%,PET20%の不織布,目付量約72.5g/m
2のものを使用した。
【0101】
No.7のセルロース・コットン不織布は、スポンジクロス(カレ・ナロ社製)で、セルロース70%,コットン30%の不織布,目付量約280g/m
2としたものを使用した。
【0102】
No.8のコットン織物(黒色染色)は、綿製平織りでユザワヤより購入した。
【0103】
No.9の消臭マット非難燃は、No.1のコットン不織布をNo.2のポリエステル・レーヨン不織布で挟んで、ホットメルト法で貼り合わせて三層構造とした。
【0104】
No.10の消臭マットVer.1は、No.1のコットン不織布をNo.2のポリエステル・レーヨン不織布で挟んで、ホットメルト法で貼り合わせて三層構造とし、且つNo.2のポリエステル・レーヨン不織布にリン系難燃剤を120g/m
2含ませたものとした。
【0105】
No.11の消臭マットVer.2は、No.1のコットン不織布をNo.2のポリエステル・レーヨン不織布で挟んで、ホットメルト法で貼り合わせて三層構造とし、且つNo.2のポリエステル・レーヨン不織布にリン系難燃剤を50g/m
2含ませたものとした。尚、実施例1〜3で使用した下マット2は、No.11の構成を有するマットである。
【0106】
No.12の消臭マットVer.3は、No.1のコットン不織布をNo.2のポリエステル・レーヨン不織布で挟んで、ホットメルト法で貼り合わせて三層構造とし、且つ上面(使用面)となるNo.2のポリエステル・レーヨン不織布の1枚にリン系難燃剤を80g/m
2含ませたものとした。
【0107】
No.13の消臭マットVer.4は、No.1のコットン不織布をNo.2のポリエステル・レーヨン不織布で挟んで、ニードルパンチ法で接合貼り合わせして三層構造とし、且つ上面(使用面)となるNo.2のポリエステル・レーヨン不織布の1枚にリン系難燃剤を80g/m
2含ませたものとした。
【0108】
No.14のレーヨン・PET不織布の積層品は、No.5のオールタイムフードサービスタオル厚口(東京メディカル株式会社製)で、レーヨン80%,PET20%の不織布,目付量約72.5g/m
2のものを4枚重ねて、4辺の中央をホッチキス止めしたものとした。
【0109】
No.15のパルプ/ポリエステル/ポリエステル積層品は、TDS不織布(王子キノクロス株式会社製)パルプ92%,ポリエステル8%の厚物不織布にポリエステル100%の黒色薄層シートを溶着したもので、目付量約436g/m
2のものとした。
【0110】
No.16のティッシュ+紙タオルは、ティッシュ20枚に紙タオル4枚を載せ、それぞれにのりを噴霧して、圧力(エンボス)止めしたものとした。
【0111】
No.17の新聞紙は、新聞紙10枚をホッチキス止めしたものとした。
【0112】
No.18のパルプ・ポリエステル不織布(薄手)+コットンガーゼは、No.3のパルプ・ポリエステル不織布(薄手)3枚とコットンガーゼ2枚を交互に積層して2辺を縫製したものとした。即ち、パルプ・ポリエステル不織布(薄手)/コットンガーゼ/パルプ・ポリエステル不織布(薄手)/コットンガーゼ/パルプ・ポリエステル不織布(薄手)の5層積層品とした。
【0113】
No.19のコットン2層(縫製細)は、目付量200g/m
2のコットンを2枚縫製し、目付量400g/m
2とした。
【0114】
No.20のコットン3層(縫製細)は、目付量200g/m
2のコットンを3枚縫製し、目付量600g/m
2とした。
【0115】
No.21のコットン2層+コットン織物1層(縫製粗)は、目付量200g/m
2のコットンを2枚、裏地にコットン織物を入れて縫製し、目付量400+αg/m
2とした。
【0116】
No.22のペットシートは市販品(中国製)とした。
【0117】
(6)実験結果
(6−1)保水量
表4に示す保水量の測定結果から、下マット2の材質及び構成の選択によって、保水量を2.93〜63.81g/100cm
2の範囲で調整できることが明らかとなった。尚、保水量が10g/100cm
2未満の場合、水分蒸散速度を十分に高いものとできなければ、極めて離水を起こしやすいものとなるが、本実施例における検討結果から、複数のサンプルにおいて保水量が10g/100cm
2以上となったことから、離水を起こしにくい下マット2の構成を容易に設定できることが明らかとなり、特に下マット2を積層構造としたり、ある程度の厚みを持たせることによって、10g/100cm
2以上の保水量を十分に確保できることが明らかとなった。
【0118】
(6−2)拡散水分残留率
図8にNo.9〜13、15、16、21のサンプルについて拡散水分残留率を測定した結果を示す。サンプルによって、2時間で21.6重量%(乾きにくい)〜74.8重量%(乾きやすい)の幅で差が見られた。ここで、No.9〜12については、難燃剤の含有量以外の構成が同一であったことから、難燃剤が多く含まれるほど、乾きにくくなる(水分蒸散機能が低下する)ことが明らかとなった。また、No.12とNo.13については、コットン不織布とポリエステル・レーヨン不織布の接合方法以外は構成が同一であったことから、ホットメルト法を採用するよりもニードルパンチ法を採用した方が、乾きやすくなる(水分蒸散機能が向上する)ことも明らかとなった。また、No.10以外については、2時間で40重量%以上の水分が蒸散することが確認されたことから、難燃剤を多く含有させなければ、基本的にはある程度の水分蒸散機能が確保できることが確認できた。
【0119】
(6−3)吸水速度
No.9〜13、15、16、21のサンプルについて吸水速度の測定結果を表5に示す。サンプルによって、3.5〜15mm/分の幅で差が見られた。また、No.9〜13の中で、No.10が最も吸水速度が低かったことから、難燃剤が多く含まれると、吸水速度も低下することが明らかとなったが、No.9、11〜13、16については、10mm/分程度以上の十分な吸水速度となることが明らかとなった。
【0120】
【表5】
【0121】
(6−4)床面乾燥速度
全サンプルについて、床面乾燥速度を測定した結果を
図9A〜9Dに示す。
図9A〜9Dに示される結果から、No.6のダンボール、No.3のパルプ・ポリエステル不織布(薄手)、No.4のパルプ・ポリエステル不織布(厚手)、No.22のペットシートは、床面乾燥速度が遅く、離水が起こり易いと考えられるので、尿あるいは腐敗臭を発しうる液体が多量にこぼれるような環境、例えば列車車両等に併設されているトイレや駅構内のトイレ等における使用には適さないと考えられた。
【0122】
これに対し、保水性能が100cm
2当たり20〜40g未満のサンプルについて、以下に挙げるサンプルにおいて8時間以内に90重量%以上の水分を蒸散させられることが確認されたことから、これらのサンプルについては、尿あるいは腐敗臭を発しうる液体が多量にこぼれるような環境、例えば列車車両等に併設されているトイレや駅構内のトイレ等における使用においても、離水を起こすことなく十分に消臭機能を発揮させることができるものと考えられた。
・No.9 消臭マット非難燃
・No.11 消臭マットVer.2
・No.12 消臭マットVer.3
・No.13 消臭マットVer.4
・No.15 パルプ/ポリエステル/ポリエステル積層品
・No.16 ティッシュ+紙タオル
・No.18 パルプ・ポリエステル不織布(薄手)+コットンガーゼ
【0123】
また、保水性能が100cm
2当たり40〜60g未満のサンプルについて、以下に挙げるサンプルにおいて9時間以内に90重量%以上の水分を蒸散させられることが確認されたことから、これらのサンプルについては、尿あるいは腐敗臭を発しうる液体が多量にこぼれるような環境、例えば列車車両等に併設されているトイレや駅構内のトイレ等における使用においても、離水を起こすことなく十分に消臭機能を発揮させることができるものと考えられた。
・No.7 セルロース・コットン不織布
・No.19 コットン2層(縫製細)
・No.20 コットン3層(縫製細)
【0124】
以上の結果から、消臭マットを使用する環境における尿あるいは腐敗臭を発しうる液体のこぼれる量に応じて、保水量、拡散性残留水分率、吸水速度及び床面乾燥速度に基づいて、上記環境において使用に耐えうる下マットを選定することが可能であることが確認できた。