【文献】
Wei-Jun Zhang,Lithium insertion/extraction mechanism in alloy anode for lithim-ion batteries,Journal of Power Sources,2010年 9月 8日,Volume 196,p.877-885
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記少なくとも1種の電気化学的反応性材料が、Si、Ga、Ge、Pt、Ag、Au、In、Sn、Al、Zn、Sb、Cd、As、Pb、Mgおよびそれらの組合せから選択される、請求項1に記載の方法。
前記有機溶媒が、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、エチルカーボネート(EC)、ジエチルカーボネート(DEC)、ジメチルカーボネート、1,2−ジメトキシエタン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジエトキシエタン、BEE−1−tert−ブトキシ−2−エトキシエタンおよびそれらの混合物から選択される、請求項10に記載の方法。
前記解離した粒子が所望のサイズの粒または粒子を形成するまで、前記第1の電圧の印加と前記第2の電圧の印加とを繰り返すことをさらに含む、請求項1に記載の方法。
前記繰り返すことが、前記金属−第1の電気化学的反応性材料化合物および前記金属−第2の電気化学的反応性材料化合物の形成および解離を含み、前記金属−第1の電気化学的反応性材料化合物および前記金属−第2の電気化学的反応性材料化合物の微粉化をもたらす内部応力を生成する、請求項12に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0010】
一般に、本明細書のいくつかの実施形態において、本開示は、第1の電圧の印加後に、電気化学的反応性材料ERM(たとえばSi)を含む出発材料(たとえば第1の電極)と、金属対イオン(たとえばLi
+)の供給源(たとえば第2の電極)との間で生じる電気化学的反応を利用して、金属−ERM化合物を形成すると考えられる。さらに、本開示は、金属−ERM化合物が、出発材料中に存在する電気化学的反応性材料の単位体積より少なくとも約20%大きい単位体積を有することを利用する。さらに、本開示は、電気化学的反応が、第1の電圧とは反対の極性を有する第2の電圧の印加により逆転され得ることを利用する。第2の電圧の印加は、金属−ERM化合物の金属対イオンおよび電気化学的反応性材料の粒子への分解をもたらす。いくつかの実施形態において、第1および第2の電圧の印加の1回または複数回のサイクル後に、粒子が形成する。これらの粒子は、分離および収集されてもよく、またはさらなる反応のために残されてもよい。電圧のサイクルは、電気化学的反応性材料の微粒化をもたらす。
【0011】
いかなる理論にも束縛されることを望まないが、金属−ERM化合物の形成および脱形成(deformation)から生じる電圧変化が、電気化学的反応性材料内に応力(たとえば内部応力)をもたらすと考えられる。応力および制限された拡散速度によって、電気化学的反応性材料は、その粒子または微粒を形成する(たとえば微粒化する)ことができる。形成された粒子または粒は、医学、化学、エネルギーおよび/または輸送部門を含む各種産業において商業的に使用され得る、合金または実質的に純粋な電気化学的反応性材料(たとえば約99%の純度のSi)を含み得る。
【0012】
出発電気化学的反応性材料は、産業廃棄物(たとえば家庭用電化製品、光電池、半導体等)、および/またはバルク、未処理もしくは精製された回収材料中に見出すことができる。したがって、粒子の形成は、産業廃棄物のリサイクル(たとえば回収)、および/または、廃棄物材料、新材料もしくは以前に回収された材料からのマイクロもしくはナノ粒子もしくは粒の形成のための、安価で、環境に優しく、拡張可能な方法となり得る。ここで、本発明の例示的実施形態のより完全な理解のために、図を参照する。図面は本来例示的であることを意図し、本発明を限定することを意図しない。
【0013】
図1は、粒子を形成するための装置の例示的実施形態である。
図1に示されるように、装置10は、第1の電極30と、対極40と、電解質50とを有する電気回路を含む。第1の電極30および対極40は、たとえばその間に電圧を印加するために、電気回路において線20を介して互いに電気的に結合されている。第1の電極30および対極40は、少なくとも部分的に、非反応性チャンバ60内に配置され得る電解質50内に配置されている。
【0014】
いくつかの実施形態において、第1の電極30は、出発材料34を収容し得る容器32を含む。容器32は、電解質50を、容器32の壁を通過させて出発材料34に接触させるための細孔、開口、穴または同様の特徴を有し得る。出発材料は、第1の電極30の少なくとも一部として、(たとえば、容器32の一部との接触、または線20への別個の直接的な接続を介して)電気的に結合され得る。どのようにして達成されるかに関わらず、出発材料中のERMは、回路において第1の電極30の少なくとも一部として結合される。出発材料34は、後述されるように、金属対イオン(たとえばLi
+)と電気化学的に反応して金属−ERM化合物(たとえばLi
15Si
4)を形成し得る少なくとも1種の電気化学的反応性材料(たとえばSi)を含む。いくつかの実施形態において、少なくとも1種の電気化学的反応性材料は、Si、Ga、Ge、Pt、Ag、Au、In、Sn、Al、Zn、Sb、Cd、As、Pb、Mgおよび/またはそれらの組合せを含む。いくつかの実施形態において、少なくとも1種の電気化学的反応性材料は、Li、Na、K、Mg、塩、およびそのイオンに対し電気化学的に反応性である。
【0015】
出発材料34は、廃棄物材料または実質的に純粋な材料を含み得る。廃棄物材料は、1種または複数種の電気化学的反応性材料を含む、電子機器(たとえば家庭用電化製品、光電池、半導体等)、電池、触媒コンバータ、工業スクラップ、または他の廃棄物からのものであってもよい。たとえば、電子機器からの廃棄物は、Si、Ga、Ge、Ag、Au、In、Sn、Al、Zn、Sb、Cd(たとえばCdTe系光電池から)、As、Pb、Mgの電気化学的反応性材料を含み得る。たとえば、電池は、電気化学的反応性材料としてCd(たとえばNi−Cd電池から)またはPbを含み得る。触媒コンバータは、電気化学的反応性材料としてPtを含み得る。工業スクラップは、電気化学的反応性材料としてAl、Mg、Pb、Sbを含み得る。実質的に純粋な材料は、未処理、バルク、または再生された材料を含んでもよく、約70%を超える、約80%を超える、約90%を超える、約95%を超える、約99%を超える、もしくは約99.9%を超える電気化学的反応性材料(たとえば約99%を超えるSi)、またはこれらの値のうちの任意の2つの間の範囲の濃度を有してもよい。特に、Si、Ga、Ge、Pt、Ag、Au、In、Sn、Al、Zn、Sb、Cd、As、Pb、Mgおよび/またはそれらの組合せを含む、バルク材料、未処理材料、実質的に純粋な材料、または回収材料が、出発材料として使用されてもよい。いくつかの実施形態において、未処理材料は、製品中に組み込まれていない、または他の材料と混合、反応、もしくは組み合わされていない、実質的に純粋な材料である。たとえば、未処理材料は、ケイ素(たとえば非晶質、結晶性、半結晶性等)、または他の電気化学的反応性材料の実質的に純粋な一片であってもよい。再生された材料は、以前に少なくとも1回使用された後にリサイクルされた電気化学的反応性材料であってもよい。
【0016】
対極40は、金属対イオン80の供給源70を含む。源70は、回路20を通して第1の電極30と対極40との間に電圧が印加されると、金属対イオン80を形成する。金属対イオン80は、Li
+、Na
+、K
+、Mg
2+、またはそれらの組合せを含み得る。源70は、金属対イオンを形成し得る金属(たとえばLi金属、Na金属、K金属、Mg金属またはそれらの化合物)を含有する材料である。たとえば、いくつかの実施形態において、金属対イオン80は、Li
+を含み、源70は、Li金属、LiFePO
4、LiCoO
2、Li
4Ti
5O
12、LiMn
2O
4、Li−Al、Li−Sb、Li−Snまたはそれらの組合せを含む。いくつかの実施形態において、金属対イオン80は、Na
+を含み、源70は、NaCl、NaBr、Na
3P、Na
2CO
3、NaHCO
3、NaI、またはそれらの組合せを含む。いくつかの実施形態において、金属対イオン80は、Mg
2+を含み、源70は、MgSO
4、MgCl
2、またはそれらの組合せを含む。いくつかの実施形態において、金属対イオン80は、K
+を含み、源70は、KCl、KBr、KI、KBrO
3、Na
3P、K
2CO
3、K
2CO
3、またはそれらの組合せを含む。
【0017】
電解質50は、液体および金属対イオン80を含む。電解質50は、水性、非水性(たとえば有機溶媒)、または水性および非水性溶媒の組合せであってもよい。対イオン80は、溶液、懸濁液、分散液、混合物、または液体との任意の他の組合せの中にあってもよい。金属対イオン80は、上述のように、K
+、Li
+、Na
+、Mg
2+、またはそれらの組合せを含み得る。いくつかの実施形態において、金属対イオン80を含む塩(たとえば上述の塩のうちの1種または複数種)が液体中に含まれて、電解質50を形成する。有機溶媒は、エーテル、エステル、カーボネート、ケトン、アルコール、スルホネート、および芳香族溶媒の、有機溶媒の一般的クラスのうちの1種または複数種を含み得る。液体は、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、エチルカーボネート(EC)、ジエチルカーボネート(DEC)、ジメチルカーボネート、1,2−ジメトキシエタン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジエトキシエタン、BEE−1−tert−ブトキシ−2−エトキシエタンおよびそれらの混合物の、有機溶媒の具体例のうちの1種または複数種を含み得る。たとえば、装置10は、(金属対イオン80としてのLi
+を生成するための)源70としてLiFePO
4を含んでもよく、電解質50は、約1:1:1の体積比のエチルカーボネート、ジエチルカーボネート、およびジメチルカーボネートと組み合わせた(たとえば溶解した)1mol/Lの濃度のLiPF
6を含んでもよい。
【0018】
いくつかの実施形態において、液体は、水または水系溶液を含む。水または水系溶液が使用される場合、対イオンの供給源として純粋な金属を使用する際、および第1の電極での金属−ERM化合物の形成/脱形成の後に、特別な注意が払われてもよい。たとえば、対極40においてLi金属を使用する際、水とLi金属との間の反応を最小限化するために、Li金属は、水または水系溶液との直接的な接触から保護されてもよい。当業者には、そのような反応から対極40を保護するための技術が容易に認識される。たとえば、電極40は、水と反応することなくイオン化された金属を電解質内外に通過させる、非反応性ポリマーまたはセラミックコーティングにより保護されてもよい。第1の電極30において同様の注意が払われてもよい。
【0019】
いくつかの実施形態において、容器32は、
図2に示されるように、多孔質非反応性容器100である。容器100は、側壁110、底壁120、および上壁130を含む。いくつかの実施形態において、容器100は、第1の電極の一部であり、その側壁110を通して出発材料34内に電流を流す。いくつかの実施形態において、容器100は、単なる保持槽であり、電流は、線(たとえば線20)または同様の部品(図示せず)を介して出発材料34に直接流される。前者の実施形態をさらに説明する。容器100は、側壁110、底壁120、または上壁130の1つまたは複数と電気的に結合(たとえば接触)され得る出発材料34を収容することができる。上壁130は、操作者が(たとえば出発材料34を追加または除去するために)容器100の内部140にアクセスできるように取り外し可能であってもよい。側壁110は、電解質50を容器100内に収容されている出発材料34と接触させるための細孔、隙間、チャネル、通路、穴、開口もしくは同様の特徴の細孔または同様の特徴を含んでもよい。
【0020】
底壁120は、出発材料34を保持しながら粒子を通過させるための任意選択の開口150を含んでもよい。開口150は、隙間、チャネル、通路、穴、細孔または同様の特徴を含み得る。開口150は、所望のサイズ(たとえば、100μm以下、10μm以下、1μm以下、100nm以下)の粒子を通過させるように適合され得る。いくつかの実施形態において、側壁110または底壁120の少なくとも1つは、メッシュまたは網材料を含む。開口150を通過する粒子は、開口150の下に、開いた面165を有する任意選択の第2の容器160内に収集され得る。容器100は、ステンレススチール、ニッケル、銅、または金属対イオン80と反応性でないもしくは電気化学的に反応性ではない同様の材料から形成され得る。容器100は、導体または半導体であってもよく、第1の電極30の少なくとも一部としての出発材料34と電気的に結合されてもよい。容器100内の粒子を振盪、振動、または他の様式で撹拌して、開口150を通して粒子を誘導し、第2の容器160内に収集するために、容器100に撹拌器(図示せず)が接続されてもよい。第2の容器160は、導電性または非導電性であってもよい。導電性の構成において、第2の容器160内に収集された任意の粒子は、第1の電極内のERMと同様にさらに微粒化されてもよい。非導電性の構成において、第2の容器160内に通過した粒子は、開口165を通過する所望のサイズ要件に適合しており、第1の電極30と電気的に結合されず、したがって、さらなる電気化学的反応または微粒化に供されない。いずれの場合も、第2の容器160内に収集された粒子は、単にそれらを第2の容器から取り出すことにより分離され得る。第2の容器が使用されない場合、形成された粒子は、単にチャンバ60の床または容器100の底壁120に落下し、後で収集されてもよい。
【0021】
いくつかの実施形態は、粒子を形成するための方法を提供する。いくつかの実施形態において、
図1に示されるような装置10または同様の装置は、
図3におけるフローチャートに示されるように、粒子を形成するための方法において使用することができる。いくつかの実施形態において、
図1に示される装置等のそのような装置が提供され、それに出発材料34が加えられる。
【0022】
粒子を形成する方法300は、第1の電極として出発材料を電気的に結合すること(ステップ310)と、第1の電極の少なくとも一部を電解質内に配置すること(ステップ320)と、第1の電極と対極との間に第1の電圧を印加すること(ステップ330)と、第1の電極と対極との間に第2の電圧を印加すること(ステップ340)と、粒子を生成すること(ステップ350)とを含む。
【0023】
結合するステップ310において、出発材料34は、第1の電極30として電気的に結合され、対極40と回路を形成し得る(ステップ310)。回路はまた、上述のように、出発材料34を収容してそれと電気的に結合され得る容器32または100を含んでもよい。線20または他の導電性材料は、第1の電極30、対極40、および電圧源25と電気的に結合され、回路を形成し得る。対極40は、上述のように、金属対イオン80(たとえばLi
+、Na
+、K
+、Mg
2+)の供給源70を含んでもよい。いくつかの実施形態において、出発材料34上のコーティングを擦り取って、または除去して、電極50を、コーティングにより被覆されていた露出した電気化学的反応性材料と接触させてもよい。
【0024】
第1の電極30および対極40の少なくとも一部は、ステップ320に示されるように、電解質50内に配置される。電解質50は、約20℃から約60℃、30℃から約50℃、約30℃から約40℃、約40℃から約50℃、約50℃から約60℃、約20℃から約30℃であってもよい。いくつかの実施形態において、電解質は、約20℃、約25℃、約35℃、約45℃、約55℃、約60℃、またはこれらの値の任意の2つの間の範囲に維持されてもよい。いくつかの実施形態において、装置100は、上述のように、第1の電極30、対極40、電解質50、導線20、および電圧源25を収容し得るチャンバ60を含む。第1の電極30は、出発材料34を含む。いくつかの実施形態において、第1の電極30は、対極40に結合された出発材料34である。他の実施形態において、第1の電極30は、出発材料34を収容およびそれと接触する、より具体的には、第1の電極34として機能するERMに接触およびそれと電気的に結合する、導電性ケージまたは他の部材を備える。電解質50は、上述のように、金属対イオン80および水性、非水性、または有機液体の組合せを含む。ステップ320は、ステップ310の前または後に生じ得る。
【0025】
ステップ330に示されるように、(たとえば回路20を通して)第1の電極30と対極40との間に(たとえば電圧源25により)第1の電圧が印加される。電圧は、DC電圧であってもよく、出発材料34中の1種または複数種の電気化学的反応性材料の反応電圧(すなわち反応電位)以上であってもよい。反応電圧は、電気化学的反応性材料および金属対イオン80が電気化学的に反応する電圧である。たとえば、第1の電圧は、約0.01Vから約20V、約0.1Vから約19V、約1Vから約15V、約5Vから約10V、7V、約0.1Vから約3.4V、約0.4Vから約1.6V、または約0.6Vから約0.9Vであってもよい。第1の電圧の具体例は、約0.01ボルト、約0.1ボルト、約0.3ボルト、約0.4ボルト、約0.6ボルト、約0.9ボルト、約1ボルト、約3.4ボルト、約5ボルト、約10ボルト、約19ボルト、約20ボルト、およびこれらの値のうちの任意の2つの間の範囲を含む。
【0026】
第1の電圧は、対極40における金属イオンの供給源70をイオン化させ、それにより金属対イオン80(たとえばLi
+)を生成する。金属対イオン80(たとえば、源70からイオン化される、および/または電解質50中に含まれる)は、第1の電極30における出発材料34中に含まれる少なくとも1種の電気化学的反応性材料と電気化学的に反応し、金属−ERM化合物を形成する。たとえば、第1の電圧(たとえば約3.4Vから約4.0V)は、LiFePO
4(源70)をLi
+(金属対イオン80)にイオン化させることができる。Li
+は、電気化学的反応性材料Mと電気化学的に反応して、リチウム−電気化学的反応性材料化合物Li
xM
yを形成し得る。たとえば、電気化学的反応性材料は、Siを含んでもよく、Li
xM
y化合物は、Li
15Si
4であってもよい。
【0027】
金属−ERM化合物は、出発材料34中に見られるような電気化学的反応性材料の単位体積より約20%大きい単位体積を有し得る。いくつかの実施形態において、体積変化は、全体としての第1の電極の体積に最小限に影響する、または影響しなくてもよい。いくつかの実施形態において、金属−ERM化合物は、出発材料34中に見られるような電気化学的反応性材料の単位体積より約20%から約400%、約50%から約350%、約100%から約300%、約150%から約250%、または約200%大きい。たとえば、LiおよびSiは、反応して、Siを含む出発材料34の単位体積より約320%まで大きい単位体積を有し得るLi
15Si
4またはLi
22Si
5を形成し得る。
【0028】
次いで、ステップ340に示されるように、第1の電圧とは反対の極性を有する第2の電圧を、第1の電極30と対極40との間の電気回路に(たとえば線20を介して)印加することができる。第2の電圧は、第1の電圧と同じまたは異なる大きさを有してもよい。第2の電圧は、金属−ERM化合物をイオン化(たとえば解離)して、金属対イオン80の少なくともいくつかを再形成し、それにより金属−ERM化合物の少なくとも一部を微粒化および精製された電気化学的反応性材料に戻す。たとえば、第2の電圧は、上述のLi
xM
y化合物を解離して、(たとえば第1の電圧と第2の電圧の印加とを繰り返した後)実質的に精製および微粒化されたMの粒子を生成し得るが、Liイオンは対極40内に再び移動し、したがって対極40が後の印加のために充電される。別の例において、第2の電圧は、Li
15Si
4を分解して、実質的に精製および微粒化されたSiの粒子を生成する。金属対イオン80(たとえばLi
+)は、電解質50および/または源70に戻ることができ、対極40を充電することができる。その際、電気化学的反応性材料は、単位体積の減少を生じる。単位体積の減少は、電気化学的反応性材料内に応力(たとえば内部応力)をもたらし得るが、この応力は、ステップ350に示されるように、電気化学的反応性材料をその粒子または粒に微粒化させ得る。いくつかの実施形態において、粒子または粒は、マイクロ粒子もしくは粒、またはナノ粒子もしくは粒、またはそれらの組合せであってもよい。プロセスは、岩石の破壊において水の凍結融解作用が有する効果と同様である。電解質50が水性液体を含む場合、水および源が電気化学的に反応するのを防止するために(たとえば水はLiと反応し得る)、源70にコーティングが施されてもよい。
【0030】
表1を参照すると、Li
+(すなわち金属対イオン80)をSi(すなわち電気化学的反応性材料)と電気化学的に反応させるためには、約0.4Vの反応電圧(すなわち第1の電圧)が必要である。0.4Vの反応電圧はまた、Li
+をAl(0.3V)およびMg(0.1V)と電気化学的に反応させるのに十分である。したがって、第1の電圧が少なくとも0.4Vである場合、Al、Mg、および/またはSiのうちの1種以上が出発材料34内に含まれている限り、Li
+は、Al、Mg、および/またはSiと電気化学的に反応し得る。したがって、得られる粒子は、出発材料中のその存在に依存して、Al、Mg、および/またはSiの粒子となる。
【0031】
表1はまた、Si−Li化合物(たとえばLi
15Si
4またはLi
22Si
5)の単位体積が、出発材料34中のSiの単位体積より320%まで大きくなり得ることを示している。さらに、Al−Li化合物の単位体積は、出発材料34中のAlの単位体積より96%まで大きくなり得る。さらに、Mg−Li化合物の単位体積は、出発材料34中のMgの単位体積より100%まで大きくなり得る。この単位体積の変化は内部応力をもたらす可能性があり、この内部応力は、たとえば、低い動作温度(たとえば約25℃)での高い内部応力および制限された拡散速度に起因して、1種または複数種の電気化学的反応性材料の形成をもたらし得る。いくつかの実施形態において、金属対イオン80は、Mg
2+および/またはNa
+であってもよく、電解質50は、約25℃から約100℃、または約30℃、約40℃、約50℃、約60℃、約70℃、約80℃、約90℃、約100℃、またはこれらの温度のうちの任意の2つの間の範囲であってもよい。いくつかの実施形態において、電気化学的反応性材料は、出発材料34中で少なくとも約30%の濃度を有する。
【0032】
粒径および/または粒子の体積は、ステップ360に示されるように、ステップ320、330、および340を、1回または複数回繰り返すことにより制御することができる。たとえば、中央粒径は、第1のサイクル後に約1〜10mm、第2のサイクル後に約1〜100μm、また第3のサイクル後に約1〜100nmとなり得る。いくつかの実施形態において、ナノ粒子は、約1〜10サイクル、3〜7サイクル、4〜6サイクル、または5サイクルで形成される。サイクル数は、概して任意の数であってもよい。サイクル数の具体例は、約1、約2、約3、約4、約5、約6、約7、約8、約9、約10、約11、約12、約13、約14、約15、約16、約17、約18、約19、約20、およびこれらの値のうちの任意の2つの間の範囲を含む。いくつかの実施形態において、第1および/または第2の電圧の大きさは、各サイクルにおいて同じまたは異なってもよい。
【0033】
所望のサイクル数の後、粒子は、ステップ370に示されるように、任意選択で出発材料から分離されてもよい。いくつかの実施形態において、粒子は、
図2に示される容器100の開口150に粒子を通過させることにより、または他の知られた分離方法により分離され得る。容器100には、(たとえば開口150に粒子を通過させることによる)出発材料34からの粒子の分離を促進するために、撹拌、振動、振盪等が行われてもよい。いくつかの実施形態において、粒子は、容器(たとえば
図2中の容器160)内に収集され得る。
【0034】
いくつかの実施形態において、ステップ350で形成された粒子は、少なくとも1種の電気化学的反応性材料および出発材料34の少なくとも一部を含む合金を含み得る。たとえば、出発材料34は、TiAl
3を含み得る。ステップ330、340、および350の後に得られる粒子は、たとえば二相のマイクロまたはナノ粒子または粒としてTiおよびAlを含み得る。そのような合金のそのような二相ナノ粒またはナノ粒子を有する材料は、向上した機械的および/または物理的特性(たとえば強度および/または延性の非常に優れた組合せ)を有し得る。いくつかの実施形態において、合金は、金属対イオン80(たとえばLi
+)を含み得る。例として、プロセスは、たとえば、金属対イオン80の少なくとも一部が金属−電気化学的反応性材料化合物中に残留するように、第2の電圧の印加(ステップ340)を削除または低減することにより、AlシートまたはバルクAl材料上に二相(Al+AlLi)微粒化表面層を形成し得る。これらの二相粒子またはバルク材料は、向上した機械的および/または物理的特性を有し得る。たとえば、TiおよびAlまたはAlおよびLiAlのナノ粒子またはナノ粒で作製された合金は、航空宇宙または自動車産業において使用され得る軽量および高強度材料である。FeおよびSiの粒子を含む合金は、電炉鋼を形成し得る。CuおよびSnを含む合金は、耐水性、ならびに熱伝導性および/または導電性の材料を形成し得る。いくつかの実施形態において、粒子は、バルク材料の表面層(たとえばシートまたはフィルム)として形成されて、マイクロまたはナノ粒化表面を生成し得る。表面層への金属対イオン80の挿入(すなわちステップ330)は、バルク材料に対する圧縮力をもたらし得る。そのようなバルク材料は、向上した耐摩耗性および/または耐疲労性等の向上した機械的および/または物理的特性を有することができる。
【0035】
いくつかの実施形態において、電気化学的反応性材料は、原材料から選択的に回収され得る。たとえば、第1の電気化学的反応性材料は、第1の電圧を第1の大きさで印加し(ステップ330)、続いて第2の電圧を印加して(ステップ340)、選択的に粒子を回収する(ステップ350)ことにより回収され得る。第1の大きさは、第1の電気化学的反応性材料の反応電圧(たとえば反応電位)以上であるが第2の電気化学的反応性材料の反応電圧未満であってもよい。第1の電圧の第1の大きさは、金属対イオン80を第1の電気化学的反応性材料と反応させ、金属−第1の電気化学的反応性材料化合物を形成させることができる。第1の大きさは、第2の電気化学的反応性材料の反応電圧未満であるため、金属対イオン80は、第2の電気化学的反応性材料と反応しない。たとえば、表1に示されるように、LiのSiとの電気化学的反応電圧は、約0.4Vであり、LiのSbとの電気化学的反応電圧は、約0.9Vである。したがって、Liとの電気化学的反応によりSiの粒子を選択的に回収するために、第1の反応の第1の大きさは、0.4V以上であるが0.9V未満であってもよい。第1の大きさは、LiをSbと電気化学的に反応させるために必要な反応電圧(0.9V)未満であるため、LiはSbと反応しない。
【0036】
第1の電気化学的反応性材料のさらなる回収または微粒化は、ステップ330、340、および350を1回または複数回繰り返すことにより生じ得(たとえばステップ360)、各第1の電圧サイクル(ステップ330)の大きさは、第1の電気化学的反応性材料の反応電圧以上であるが第2の電気化学的反応性材料の反応電圧未満である(すなわち、第1の大きさは、各サイクル中同じまたは異なってもよい)。任意選択で、第1の電気化学的反応性材料の粒子または粒は、上述のように、たとえば撹拌により、出発材料から分離され得る(ステップ370)。
【0037】
第2の電気化学的反応性材料の回収が所望される場合(ステップ380)、第1の電圧の大きさは、第2の電気化学的反応性材料の反応電圧以上の第2の大きさに変更することができる(ステップ390)。いくつかの実施形態において、第2の大きさは、第1の大きさより大きい。たとえば、表1に示されるように、LiのSbとの反応電圧は、0.9Vである。したがって、第1の電圧の第2の大きさは、SbとともにLiを選択的に回収するために少なくとも0.9Vに変更することができる。任意選択で、3種以上の電気化学的反応性材料が出発材料34中に含まれる場合、第2の大きさは、第2の電気化学的反応性材料の反応電圧以上および第3の電気化学的反応性材料の反応電圧未満であってもよい。第1の電圧の第2の大きさは、金属対イオン80を第2の電気化学的反応性材料と反応させ、金属−第1の電気化学的反応性材料化合物を形成させることができる。金属対イオン80は、以前に出発材料34から回収されている(または少なくとも実質的に回収されている)第1の電気化学的反応性材料とは反応しない。任意選択で、第2の大きさは第3の電気化学的反応性材料の反応電位未満となり得るため、金属対イオン80は、第3の電気化学的反応性材料と反応しない。
【0038】
第2の電気化学的反応性材料のさらなる回収または微粒化は、ステップ330、340、および350を1回または複数回繰り返すことにより生じ得(たとえばステップ360)、各第1の電圧サイクル(ステップ330)の大きさは、第2の電気化学的反応性材料の反応電圧以上であるが第3の電気化学的反応性材料の反応電圧未満である(すなわち、第2の大きさは、各サイクル中同じまたは異なってもよい)。任意選択で、第1の電気化学的反応性材料の粒子または粒は、上述のように、たとえば撹拌により、出発材料から分離され得る(ステップ370)。
【0039】
任意選択で、第1の電圧の大きさを変更し(ステップ390)、次いで第1および第2の電圧を印加して、選択された電気化学的反応性材料の粒子または粒を生成する(ステップ330、340、および350)サイクルを継続することにより、追加的な電気化学的反応性材料を選択的に回収することができる。第1の電圧を選択することにより、微粒化されている電気化学的反応性材料の種類が選択され得る。たとえば、最低電圧で開始し、徐々に大きくすることにより、個々の材料を分離することができる。たとえば、0.1Vで開始し、他の電気化学的反応性材料を除外してMgを分離することができる。十分なMgが微粒化および分離されたら、任意選択で除去され得る。次いで、電圧をたとえば0.3Vに増加して、Alを分離することができる。プロセスは、すべての電気化学的反応性材料が除去されるまで継続することができる。
【0040】
例として、以下のプロセスにおいて、たとえばLiを金属対イオン80(すなわちLi
+)の供給源70として使用して、SiおよびSnをそれぞれ出発材料34(たとえば産業廃棄物)から選択的に除去することができる。まず、Siの反応電位(0.4V)以上およびSnの反応電位(0.6V)未満の第1の大きさ、たとえば0.5Vで第1の電圧を印加する(ステップ330)ことにより、Siを回収することができる。0.5Vの第1の大きさでの第1の電圧は、Li
+およびSiを電気化学的に反応させて、出発材料34(たとえばSiO
2)中のSiの単位体積より320%まで大きい単位体積を有するLi−Si化合物(たとえばLi
15Si
4またはLi
22Si
5)を形成させる。第1の電圧の第1の大きさ(0.5V)は、Snの反応電圧(0.6V)未満であるため、Li
+はSnと反応しない。次いで、反対の電圧(すなわちステップ340における第2の電圧)を印加して、Si−Li化合物をLi
+金属対イオン80およびSiに分解し、それによりSi粒子または粒を形成させることができる(ステップ350)。任意選択で、Si粒子または粒は、分離されてもよく(ステップ370)、またはさらに回収もしくは微粒化されてもよい(ステップ360)。
【0041】
次に、第1の電圧を0.6V以上、たとえば0.7Vの第2の大きさに変更(たとえば増加)する(ステップ380)ことにより、Snが選択的に回収され得る。0.7Vでの第1の電圧の印加(ステップ330)は、Li
+をSnと反応させて、出発材料34中のSnの単位体積より約260%まで大きい単位体積を有するLi−Sn化合物(たとえばLi
2Sn
5、Li
7Sn
2等)を形成させる)。次いで、反対の電圧(すなわちステップ340における第2の電圧)を印加して、Sn−Li化合物を分解させ、それによりLi
+金属対イオン80およびSnを形成させ、それによりSn粒子または粒を形成させることができる(ステップ350)。任意選択で、Sn粒子または粒は、分離されてもよく(ステップ370)、またはさらに微粒化されてもよい(ステップ360)。
【0042】
以下の実施例は、単に例示であり、本発明の範囲および精神を限定することを意図しない。
【実施例1】
【0043】
リチウムイオンを使用した半導体チップのスクラップからのケイ素ナノ粒子の形成
1:1:1の体積比のエチルカーボネート、ジエチルカーボネート、およびジメチルカーボネートの溶液を、チャンバ内で25℃で調製することができる。LiBF
4塩を1.0mol/Lの濃度で溶液に添加し、溶解した溶液を形成することができる。ケイ素を含む半導体チップのスクラップ片約1〜10グラムを、非反応性導電性容器内に入れ、第1の電極を形成することができる。従来の多孔質LiFePO
4電池電極(カーボンブラックを含む)を、対極として接続することができる。第1の電極および対極を、溶解した溶液中に部分的に浸漬することができる。第1の電極および対極は、線により接続することができ、またこの線を電圧源に接続することができる。
【0044】
電圧源を使用して、約+3.0Vの正電圧を、電気化学的反応が停止するまで(たとえば、第1の電極と第2の電極との間の電流がゼロ付近になり得る)、第1の電極と対極との間に印加することができる。次に、約−3.0Vの負電圧を、反応が停止するまで(たとえば、第1の電極と第2の電極との間の電流がゼロ付近になり得る)、印加することができる。+3.0Vの正電圧および約−3.0Vの負電圧の印加のサイクルを、全体で3〜10サイクル、またはその間の任意のサイクル数で反復することができる。半導体チップから、高純度Si(たとえば約95%を超える純度のSi)ナノ粒子が生成され得る。ケイ素のナノ粒子は、容器の底に観察することができる。Siの純度は、標準的分析技術を使用して測定することができる。
【実施例2】
【0045】
リチウムイオンを使用したケイ素およびアンチモンの選択的回収
リチウムビス(オキサラト)ボレート(「LiBOB」)塩の1,2−ジメトキシエタン中1.25mol/Lの濃度の溶液を、チャンバ内で約25℃の温度で調製することができる。ケイ素およびアンチモンを含む光電池のスクラップ片を、多孔質の非反応性導電性容器(第1の容器)内に入れ、第1の電極を形成することができる。第1の容器は、底面に開口を含んでもよく、開口の下に第2の容器が配置され得る。FeLiPO
4電池電極を、対極として使用することができる。第1の電極および対極を、LiBOBおよび1,2−ジメトキシエタン溶液中に部分的に浸漬することができる。第1の電極および対極は、線により接続することができ、またこの線を電圧源に接続することができる。第1の容器に撹拌器を接続することができる。
【0046】
電圧源を使用して、約+2.8Vの正電圧を、電気化学的反応が停止するまで(たとえば、第1の電極と第2の電極との間の電流がゼロ付近になり得る)、第1の電極と対極との間に印加することができる。次に、約−2.8Vの負電圧を、電気化学的反応が停止するまで(たとえば、第1の電極と第2の電極との間の電流がゼロ付近になり得る)、第1の電極と対極との間に印加することができる。約+2.8Vの正電圧および約−2.8Vの負電圧の印加のサイクルを、約2〜約15回、またはその間の任意の反復数で反復することができる。撹拌器は、第1の容器を振盪および振動させてケイ素の粒子を開口に通過させ、第2の容器内に収集することができる。第2の容器を取り外して、ケイ素ナノ粒子を回収することができる。
【0047】
第2の容器を再び設置した後、約+2.5Vの正電圧を、反応が停止するまで(たとえば、第1の電極と第2の電極との間の電流がゼロ付近になり得る)、第1の電極と対極との間に印加することができる。次に、約−2.5Vの負電圧を、反応が停止するまで(たとえば、第1の電極と第2の電極との間の電流がゼロ付近になり得る)、第1の電極と対極との間に印加することができる。約+2.5Vの正電圧および約−2.5Vの負電圧の印加のサイクルを、約2〜15回、またはその間の任意の反復数で反復することができる。生成されたアンチモンナノ粒子を、容器から分離することができる。回収されたケイ素および/またはアンチモンの純度は、標準的分析技術を使用して測定することができる。
【実施例3】
【0048】
チタン、アルミニウムおよびチリウムの合金の形成
LiBF
4塩のジエチレングリコール中1.0mol/Lの濃度の溶液を、チャンバ内で約30℃の温度で調製することができる。TiAl
3粉末の25gの試料を、多孔質の非反応性導電性容器(第1の容器)内に入れ、第1の電極を形成することができる。Li
4Ti
5O
12電極を、対極として使用することができる。第1の電極および対極を、LiBF
4溶液中に部分的に浸漬することができる。第1の電極および対極は、線により接続することができ、またこの線を電圧源に接続することができる。電圧源を使用して、約+1.0Vの正電圧を、反応が停止するまで(たとえば、第1の電極と第2の電極との間の電流がゼロ付近になり得る)、第1の電極と対極との間に印加することができる。次に、約−1.0Vの負電圧を、反応が停止するまで(たとえば、第1の電極と第2の電極との間の電流がゼロ付近になり得る)、第1の電極と対極との間に印加することができる。約+1.0Vの正電圧および約−1.0Vの負電圧の印加のサイクルを、3〜10回、またはその間の任意の反復数で反復することができる。TiおよびAlの混合物のナノ粒子が生成され得る。最後の脱リチウムプロセスを省略する場合(すなわち、約−1.0Vの負電圧を印加するステップ)、TiおよびAlLiの混合物が生成され得る。
【実施例4】
【0049】
スズのマイクロ粒子の形成
LiBF
4塩のジエチレングリコール中1.0mol/Lの濃度の溶液を、チャンバ内で約30℃の温度で調製することができる。Snを含む半導体材料の15gの試料を、多孔質の非反応性導電性容器(第1の容器)内に入れ、第1の電極を形成することができる。Li
4Ti
5O
12電極を、対極として使用することができる。第1の電極および対極を、LiBF4溶液中に部分的に浸漬することができる。第1の電極および対極は、線により接続することができ、またこの線を電圧源に接続することができる。電圧源を使用して、約+0.7Vの正電圧を、反応が停止するまで(たとえば、第1の電極と第2の電極との間の電流がゼロ付近になり得る)、第1の電極と対極との間に印加することができる。次に、約−0.7Vの負電圧を、反応が停止するまで(たとえば、第1の電極と第2の電極との間の電流がゼロ付近になり得る)、第1の電極と対極との間に印加することができる。約+0.7Vの正電圧および約−0.7Vの負電圧の印加のサイクルを、3〜10回、またはその間の任意の反復数で反復することができる。約95%を超える純度のSnのマイクロ粒子が回収され得る。
【0050】
本開示において、本明細書の一部を成す添付の図面が参照される。図面において、文脈により異なる解釈が必要とされない限り、類似の符号は、典型的には類似の成分を指している。発明を実施するための形態、図面、および特許請求の範囲に記載される例示的実施形態は、限定を意図しない。本明細書に示される主題の精神または範囲から逸脱せずに、他の実施形態が使用されてもよく、他の変更がなされてもよい。本明細書において概説され、図に示されるような本開示の態様は、多種多様な構成で配設、置換、結合、分離、および設計することができ、そのすべてが本明細書において明示的に企図されることが、容易に理解される。
【0051】
本開示は、本出願において記載される、さまざまな態様の例示として意図される特定の実施形態に関して制限されない。当業者に明らかであるように、本開示の精神および範囲から逸脱せずに、多くの修正および変形を行うことができる。本明細書において列挙された方法および装置に加えて、本開示の範囲内の機能的に等価な方法および装置が、上記説明から当業者に明らかである。そのような修正および変形は、添付の特許請求の範囲内に包含されることが意図される。本開示は、添付の特許請求の範囲の条件、およびそのような特許請求の範囲の対象となる均等物の全範囲によってのみ制限される。本開示は、特定の方法、試薬、化合物、組成物または生体系に限定されず、当然ながら変動し得ることを理解されたい。また、本明細書において使用される専門用語は、特定の実施形態の説明のみを目的とし、限定を意図しないことを理解されたい。
【0052】
本明細書における実質的にすべての複数形および/または単数形の用語の使用に対して、当業者は、状況および/または用途に適切なように、複数形から単数形に、および/または単数形から複数形に変換することができる。さまざまな単数形/複数形の置き換えは、理解しやすいように、本明細書で明確に説明することができる。
【0053】
通常、本明細書において、特に添付の特許請求の範囲(たとえば、添付の特許請求の範囲の本体部)において使用される用語は、全体を通じて「オープンな(open)」用語として意図されていることが、当業者には理解されよう(たとえば、用語「含む(including)」は、「含むがそれに限定されない(including but not limited to)」と解釈されるべきであり、用語「有する(having)」は、「少なくとも有する(having at least)」と解釈されるべきであり、用語「含む(includes)」は、「含むがそれに限定されない(includes but is not limited to)」と解釈されるべきである、など)。導入される請求項で具体的な数の記載が意図される場合、そのような意図は、当該請求項において明示的に記載されることになり、そのような記載がない場合、そのような意図は存在しないことが、当業者にはさらに理解されよう。たとえば、理解の一助として、添付の特許請求の範囲は、導入句「少なくとも1つの(at least one)」および「1つまたは複数の(one or more)」を使用して請求項の記載を導くことを含む場合がある。しかし、そのような句の使用は、同一の請求項が、導入句「1つまたは複数の」または「少なくとも1つの」および「a」または「an」などの不定冠詞を含む場合であっても、不定冠詞「a」または「an」による請求項の記載の導入が、そのように導入される請求項の記載を含む任意の特定の請求項を、単に1つのそのような記載を含む実施形態に限定する、ということを示唆していると解釈されるべきではない(たとえば、「a」および/または「an」は、「少なくとも1つの」または「1つまたは複数の」を意味すると解釈されるべきである)。同じことが、請求項の記載を導入するのに使用される定冠詞の使用にも当てはまる。また、導入される請求項の記載で具体的な数が明示的に記載されている場合でも、そのような記載は、少なくとも記載された数を意味すると解釈されるべきであることが、当業者には理解されよう(たとえば、他の修飾語なしでの「2つの記載(two recitations)」の単なる記載は、少なくとも2つの記載、または2つ以上の記載を意味する)。さらに、「A、BおよびC、などの少なくとも1つ」に類似の慣例表現が使用されている事例では、通常、そのような構文は、当業者がその慣例表現を理解するであろう意味で意図されている(たとえば、「A、B、およびCの少なくとも1つを有するシステム」は、Aのみ、Bのみ、Cのみ、AおよびBを共に、AおよびCを共に、BおよびCを共に、ならびに/またはA、B、およびCを共に、などを有するシステムを含むが、それに限定されない)。「A、B、またはC、などの少なくとも1つ」に類似の慣例表現が使用されている事例では、通常、そのような構文は、当業者がその慣例表現を理解するであろう意味で意図されている(たとえば、「A、B、またはCの少なくとも1つを有するシステム」は、Aのみ、Bのみ、Cのみ、AおよびBを共に、AおよびCを共に、BおよびCを共に、ならびに/またはA、B、およびCを共に、などを有するシステムを含むが、それに限定されない)。2つ以上の代替用語を提示する事実上いかなる離接する語および/または句も、明細書、特許請求の範囲、または図面のどこにあっても、当該用語の一方(one of the terms)、当該用語のいずれか(either of the terms)、または両方の用語(both terms)を含む可能性を企図すると理解されるべきであることが、当業者にはさらに理解されよう。たとえば、句「AまたはB」は、「A」または「B」あるいは「AおよびB」の可能性を含むことが理解されよう。
【0054】
さらに、本開示の特徴または態様がマルクーシュグループに関して説明される場合、本開示がまたマルクーシュグループの任意の個々の要素または要素の部分集合に関しても説明されることが、当業者に理解される。
【0055】
当業者に理解されるように、ありとあらゆる目的において、たとえば文章による説明の提供に関して、本明細書において開示されたすべての範囲は、そのありとあらゆる可能な部分範囲および部分範囲の組合せをも包含する。任意の列挙された範囲は、少なくとも等価な2分の1、3分の1、4分の1、5分の1、10分の1等に分割された同じ範囲についても十分に説明するものであり有効であることが、容易に理解され得る。制限されない例として、本明細書において議論される各範囲は、下限側の3分の1、中間の3分の1、および上限側の3分の1等に容易に分割され得る。同じく当業者に理解されるように、「〜まで」、「少なくとも」等の用語はすべて、挙げられた数を含み、後に上述のような部分範囲に分割され得る範囲を指す。最後に、当業者に理解されるように、範囲は、個々の要素のそれぞれを含む。したがって、たとえば、1〜3個の置換基を有する群は、1個、2個または3個の置換基を有する群を指す。同様に、たとえば、1〜5個の置換基を有する群は、1個、2個、3個、4個または5個の置換基を有する群を指す。