特許第5784714号(P5784714)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5784714外科用器具及びそのためのエンドエフェクタ
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5784714
(24)【登録日】2015年7月31日
(45)【発行日】2015年9月24日
(54)【発明の名称】外科用器具及びそのためのエンドエフェクタ
(51)【国際特許分類】
   A61B 18/12 20060101AFI20150907BHJP
【FI】
   A61B17/39 310
   A61B17/39 320
【請求項の数】5
【全頁数】30
(21)【出願番号】特願2013-511255(P2013-511255)
(86)(22)【出願日】2011年5月16日
(65)【公表番号】特表2013-526370(P2013-526370A)
(43)【公表日】2013年6月24日
(86)【国際出願番号】US2011036617
(87)【国際公開番号】WO2011146377
(87)【国際公開日】20111124
【審査請求日】2014年5月9日
(31)【優先権主張番号】12/781,243
(32)【優先日】2010年5月17日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】595057890
【氏名又は名称】エシコン・エンド−サージェリィ・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Ethicon Endo−Surgery,Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】ワイツマン・パトリック・エイ
(72)【発明者】
【氏名】オールドリッジ・ジェフリー・エル
(72)【発明者】
【氏名】バンクス・レイモンド・エム
(72)【発明者】
【氏名】ベックマン・アンドリュー・ティー
(72)【発明者】
【氏名】カミングス・ジョン・エフ
(72)【発明者】
【氏名】ディエツ・ティモシー・ジー
(72)【発明者】
【氏名】ファラー・クレイグ・エヌ
(72)【発明者】
【氏名】ジョルダノ・ジェイムズ・アール
(72)【発明者】
【氏名】ハリス・ジェイソン・エル
(72)【発明者】
【氏名】ファン・ツィファン・エフ
(72)【発明者】
【氏名】ジョンソン・グレゴリー・ダブリュ
(72)【発明者】
【氏名】キンボール・コリー・ジー
(72)【発明者】
【氏名】マラビヤ・プラサンナ
(72)【発明者】
【氏名】ミラー・マシュー・シー
(72)【発明者】
【氏名】ミレル・アル
(72)【発明者】
【氏名】ノーベル・デイビッド・ケイ
(72)【発明者】
【氏名】シャル・クリストファー・ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】シェルトン・フレデリック・イー・ザ・フォース
(72)【発明者】
【氏名】シュテューレン・フォスター・ビー
(72)【発明者】
【氏名】スウェイズ・ジェフリー・エス
(72)【発明者】
【氏名】ホワイト・ブラッドリー・イー
(72)【発明者】
【氏名】ワイデンハウス・タマラ
(72)【発明者】
【氏名】ウィット・デビッド・エイ
(72)【発明者】
【氏名】ベルナス・スティーブ・ジー
【審査官】 佐藤 智弥
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−155030(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2003/0114851(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 18/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気外科用器具であって、
遠位端を有し、第1長手方向軸を画定する細長いシャフトと、
前記細長いシャフトの前記遠位端に動作可能に連結されるエンドエフェクタであって、前記エンドエフェクタは、
第1の細長い部分第1の湾曲した遠位端、及び、前記第1の細長い部分から前記第1の湾曲した遠位端まで延び、前記第1の湾曲した遠位端において湾曲している第1のスロットを有する第1ジョー、並びに
第2の細長い部分第2の湾曲した遠位端、及び、前記第2の細長い部分から前記第2の湾曲した遠位端まで延び、前記第2の湾曲した遠位端において湾曲している第2のスロットを有する第2ジョーを含む、エンドエフェクタとを含み、
前記第1ジョーの前記第1の細長い部分は、前記第2ジョーの前記第2の細長い部分に可動に連結され、前記第1及び第2の細長い部分は、前記第1長手方向軸からオフセットされた第2軸を画定し、
開放位置と閉鎖位置との間で前記第1ジョー及び第2ジョーを枢動させるように、前記第1及び第2ジョーに動作可能に係合するように構成された軸方向に並進可能な往復部材を更に含み、
前記軸方向に並進可能な往復部材が、
遠位端を有する中央ウェブ部分と、
前記中央ウェブ部分に取り付けられた第1フランジと、
前記第1フランジから離れて、前記中央ウェブ部分に取り付けられた第2フランジと、を含み、
前記軸方向に並進可能な往復部材が前進した際に、前記中央ウェブ部分が前記第1のスロットおよび前記第2のスロット内を移動し、前記第1フランジが前記第1ジョーと係合し、前記第2フランジが前記第2ジョーと係合して、前記第1ジョー及び前記第2ジョーが前記閉鎖位置に枢動し、
前記第1フランジ及び前記第2フランジのそれぞれが、前記軸方向に並進可能な往復部材の前記中央ウェブ部分が前記第1のスロットにおける湾曲部分および前記第2のスロットにおける湾曲部分を移動している際に前記軸方向に並進可能な往復部材が湾曲することを可能にする複数の切り取り部分を含む、電気外科用器具。
【請求項2】
前記細長いシャフトは、細長い設置面積を画定し、前記第1及び第2ジョーは、前記設置面積を超えて横方向に突出しない、請求項1に記載の電気外科用器具。
【請求項3】
前記軸方向に並進可能な往復部材は弾性合金から作製される、請求項に記載の電気外科用器具。
【請求項4】
前記軸方向に並進可能な往復部材の遠位端に組織切断部分を更に含む、請求項に記載の電気外科用器具。
【請求項5】
前記組織切断部分が、前記第1フランジと前記第2フランジとの間に延びるワイヤを含む、請求項に記載の電気外科用器具。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
様々な実施形態が、開腹及び低侵襲性外科環境において使用され得る外科用器具を対照とする。
【0002】
様々な環境において、外科用器具は、組織にエネルギーを適用して、組織を処置及び/又は破壊するよう構成され得る。ある特定の状況では、外科用器具は、電流が組織を介して一方の電極から他方の電極に流れることができるように、組織に接して及び/又は組織に対して配置され得る1つ又は2つ以上の電極を備えることができる。外科用器具は、電気入力、電極と電気的に結合された給電導体、及び/又は帰路導体を備これら流が電気入力から給電導体を通り、電極及び組織を通って流れた後、帰路導体を通って電気出力に流れるように構成され得る。あるいは、外科用器具は、電気入力、電極と電気的に連結された給電導体、及び/又は帰路導体を備えることができ、これらは、電流が電気入力から給電導体を通り、活性電極及び組織を通り、帰路導体を通って電気出力に流れることができるように構成され得る。様々な状況において、組織を流れる電流によって熱が生成される可能性があり、この熱は、組織及び/又は組織間に1つ又は2つ以上の止血シールを形成させることができる。そのような実施形態は、例えば、血管を封止するのに特に有用であり得る。外科用器具は、更に切断部材を備えることもでき、この切断部材は、組織及び電極に対して移動して組織を横切することができる。
【0003】
一例として、外科用器具によって加えられるエネルギーは、無線周波(「RF」)エネルギーの形態であってもよい。RFエネルギーは、300キロヘルツ(kHz)〜1メガヘルツ(MHz)の周波数帯域であり得る電気エネルギーの一形態である。使用に際し、RF外科用器具は、低周波の電波を電極を通して送信し、イオン撹拌、又は摩擦を引き起こして、すなわち抵抗加熱を生じて、組織の温度を上昇させる。罹患組織とそれを囲む組織との間に鋭い境界が形成されるので、外科医は、隣接する正常組織をあまり犠牲にせずに、高い精度及び制御で手術を施すことができる。RFエネルギーの作動温度が低いことにより、外科医は、血管を同時に封着しながら、軟組織を除去、収縮、又は侵食することができる。RFエネルギーは、主にコラーゲンを含み熱と接触した際に収縮する結合組織に特に良好に作用し得る。
【0004】
更に、様々な開腹手術及び腹腔鏡手術では、組織を凝固、封着、又は溶着することが必要であり得る。組織封着のある好ましい手段は、捕捉された組織に電気エネルギーを印加して、封着を目的に熱効果をその組織内に生じさせることを利用するものである。様々な単極及び双極のRFジョー構造は、そのような目的で開発されてきた。一般に、捕捉された組織体積体にRFエネルギーを供給することで組織温度が上昇し、それによって組織内のタンパク質が少なくとも部分的に変性する。コラーゲンを含めてそのようなタンパク質は、粘稠なアマルガムへと変性し、これはタンパク質が変性するか、又は新しい架橋が形成される際に混合し、溶着する。治療領域が時間を経て治癒するとき、この生物学的「融着部」は、身体の創傷治癒過程によって再吸収される。
【0005】
双極の高周波(RF)ジョーの典型的な構成において、各ジョーの面は電極を含む。対向するジョーの電極の間の間に捕捉される組織を通じてRF電流が流れる。最も一般的に市販されている双極ジョーは、処理の直後に低い組織強度の溶接を提供する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
いくつかの手術においては、エンドエフェクタの高度な操作を必要とする、標的組織へのアクセスを必要とする場合が多い。このような用途において、外科医による外科的領域のアクセス及び視認性を改善するために、湾曲した及び/又は関節運動したエンドエフェクタ構成を有することが望ましい。
【0007】
上述の議論は、当時の本発明の分野における関連技術の様々な態様を説明することのみを意図したものであり、特許請求の範囲を否定するものとみなされるべきではない。
【課題を解決するための手段】
【0008】
様々な非限定的な実施形態により、遠位端を有し、第1長手方向軸を画定する細長いシャフトを含む、電気外科用器具が提供される。エンドエフェクタは細長いシャフトの遠位端に動作可能に連結されてもよい。エンドエフェクタは、第1の細長い部分及び第1の湾曲した遠位端を有する第1ジョーを含み得る。エンドエフェクタは、第2の細長い部分及び第2の湾曲した遠位端を有する第2ジョーを更に含み得る。第1ジョーの第1の細長い部分は、第2ジョーの第2の細長い部分に可動に連結され得る。第1及び第2の細長い部分は、第1長手方向軸からオフセットされた第2軸を画定し得る。
【0009】
本発明の様々な非限定的な実施形態により、長手方向軸を画定する細長いシャフトを含み得る外科用器具が提供される。外科用器具は、細長いシャフトの遠位端に動作可能に支持されるエンドエフェクタを更に含み得る。エンドエフェクタは、細長いシャフトと同軸上で位置合わせされる第1近位部を有する第1ジョーを含み得る。エンドエフェクタは、細長いシャフトと同軸上で位置合わせされる第2近位部を有する第2ジョーを含み得る。第1及び第2ジョーは、開放位置と閉鎖位置との間で選択的に可動であり得る。器具は更に、第1ジョーの少なくとも1つの他の部分と、第2ジョーの少なくとも1つの他の部分を、細長いシャフトとの軸方向の位置合わせから外すように、選択的に移動させるために、第1ジョー及び第2ジョーと相互作用する作動システムを更に含む。
【0010】
本発明の、更に他の様々な非限定的な実施形態により、第1テーパ状遠位端部を有する第1ジョーを含み得る、電気外科用器具が提供される。器具は、第2テーパ状遠位端部を有する第2ジョーを更に含んでもよく、第1及び第2ジョーは、開放位置と閉鎖位置との間で選択的に可動であり、第1ジョー及び第2ジョーが閉鎖位置にあるときに、第1テーパ状端部及び第2テーパ状端部は収束して実質的に円錐形のエンドエフェクタ先端部を形成する。器具は更に、第1ジョー及び第2ジョー内で軸方向に往復運動のために支持された軸方向に並進可能な往復部材を更に含み得る。軸方向に並進可能な往復部材は、上記第1ジョーと、軸方向で可動に係合するように構成された第1フランジを含み得る。第1フランジは第1最遠位縁部を有し得る。器具は更に、中央ウェブ部分によって第1フランジに連結される第2フランジを更に含み得る。第2フランジは、第2ジョーと軸方向に可動に係合するように構成され得る。第2フランジは、第1フランジの第1最遠位縁部を超えて遠位方向に突出する第2最遠位縁部を更に有し得る。切断縁部は、第2最遠位縁部から第1最遠位縁部に延びる中央ウェブの遠位端上に形成され得る。
【0011】
本発明の他の様々な非限定的な実施形態により、ハンドルと、ハンドルに連結された細長いシャフトであって、この細長いシャフトの少なくとも一部は、3方向以上に選択的に可動である、細長いシャフトと、を含む、外科用器具が提供される。エンドエフェクタは、細長いシャフトに連結され得る。
【0012】
本発明の他の非限定的な実施形態により、細長いシャフトと、細長いシャフトの遠位端に可動に連結された可撓性電極アセンブリを含み得る、電気外科用器具が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
本明細書に記載される実施形態の様々な特徴が、特許請求の範囲で詳細に示される。ただし、構成及び作動方法の両方に関する様々な実施形態は、それらの利点と共に、以下の添付図面を伴う以下の説明により理解することができる。
図1】本発明の1つの非限定的な実施形態による電気外科用器具の斜視図。
図2】様々なハンドル構成要素を例示するために、そのハウジングの一部が省略された、図1に示されるハンドルの側面図。
図3】本発明の非限定的な実施形態によるエンドエフェクタの平面図。
図4】開放位置における、図3に示されるエンドエフェクタの実施形態の部分斜視図。
図5】別の固定位置が仮想線によって示される、本発明の1つの非限定的な実施形態による、並進可能な部材の一部の部分斜視図。
図6】本発明の別の非限定的な実施形態による、並進可能な部材の一部の斜視図。
図7】本発明の別の非限定的な実施形態による、並進可能な部材の部分断面斜視図。
図8】本発明の別の非限定的な実施形態による、電気外科用器具の斜視図。
図9】開放位置において、本発明の別の非限定的な実施形態のエンドエフェクタの部分斜視図。
図10】閉鎖位置における、図9のエンドエフェクタの別の部分斜視図。
図11図10の線11−11に沿ってとった、図10のエンドエフェクタの断面図。
図12】別の固定位置が仮想線で図示された、図9及び図10のエンドエフェクタの上面概略図。
図13】本発明の別の非限定的な実施形態による、電気外科用器具の斜視図。
図14】様々なハンドル構成要素を例示するために、そのハウジングの一部が省略された、図13に示されるハンドルの側面図。
図15】そのジョー部材が閉鎖位置にある、本発明の別の非限定的な実施形態によるエンドエフェクタの側面図。
図16】開放位置における、図15のエンドエフェクタの部分斜視図。
図17】別の固定位置が仮想線で図示された、図15及び図16のエンドエフェクタの上面概略図。
図18】本発明の別の非限定的な実施形態による、別のエンドエフェクタの一部の斜視図。
図19】本発明の別の非限定的な実施形態による、別のエンドエフェクタの一部の斜視図。
図20】本発明の別の非限定的な実施形態による、別のエンドエフェクタの一部の斜視図。
図21】組織を切開するために使用される、図20のエンドエフェクタの実施形態の側面図。
図22】本発明の別の非限定的な実施形態による、電気外科用器具の斜視図。
図23】閉鎖位置における、図22に示されるエンドエフェクタの断面図。
図24】部分的に関節運動した位置にある、図23のエンドエフェクタの下方ジョーの上方断面図。
図25】真っ直ぐな位置にある、図24の下方ジョーの別の上方断面図。
図26】並進可能な部材の一部が仮想線により図示される、別の非限定的な実施形態による、エンドエフェクタの部分斜視図。
図27】エンドエフェクタのジョーの部分が仮想線で図示される、図26に示される並進可能な部材の一部の側面図。
図28】本発明の別の非限定的な実施形態による、電気外科用器具の斜視図。
図29】本発明の非限定的な実施形態による、関節運動可能な細長いシャフトの一部の部分斜視図。
図30】本発明の実施形態による、スパイン区分の斜視図。
図31図30のスパイン区分の断面図。
図32】エンドエフェクタに取り付けられた図29〜31に示される関節運動可能な細長いシャフトの部分側面図。
図33】本発明の別の非限定的な実施形態による、電気外科用器具の側面図。
図34】別の位置が仮想線により例示される、図33に示されるエンドエフェクタの側面図。
図35】組織に係合する図34のエンドエフェクタの別の側面図。
図36】本発明の別の実施形態による、エンドエフェクタの斜視図。
図37図36の線37−37に沿ってとった、図36のエンドエフェクタの一部の断面図。
【0014】
対応する参照符合は、複数の図面を通じて対応する部材を示す。本明細書において説明される例示は、本発明の様々な実施形態を一形態にて例示し、このような例示は、いかなる方法によっても本発明の範囲を限定するものとして解釈されない。
【発明を実施するための形態】
【0015】
様々な実施形態が、組織治療のための装置、システム及び方法を対象とする。明細書に記載され、添付の図面に示される実施形態の全体的な構造、機能、製造及び使用の完全な理解をもたらすように多数の具体的詳細が示される。しかしながら、実施形態はそのような具体的詳細なくして実施され得ることが、当業者には理解される。他の例においては、周知の作動、構成要素、及び要素は、明細書に記載される実施形態を不明瞭にしないようにするため詳細に記載されていない。本明細書に記載及び図示される実施形態は非限定例であることが当業者に理解され、それ故、本明細書に開示される特定の構造及び機能の詳細は典型及び例示であり得ることが理解されるであろう。これに対する変形と変更は、特許請求の範囲を逸脱することなく行なわれることがある。
【0016】
本明細書全体を通して、「様々な実施形態」、「いくつかの実施形態」、「一実施形態」、又は「実施形態」等の参照は、その実施形態との関連において記述されている特定の特徴、構造、又は特性が、少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、本明細書全体を通して複数の場所に出現する「様々な実施形態では」、「いくつかの実施形態では」、「一実施形態では」、又は「実施形態では」等のフレーズは、必ずしも全てが同一の実施形態を指すものではない。更に、特定の特徴、構造、又は特性は、1つ以上の実施形態で、任意の好適なやり方で組み合わせることができる。故に、一実施形態に関して図示又は記載される特定の特徴、構造、又は特性は、1つ以上の他の実施形態の特徴、構造、又は特性と、全体として又は部分的に、制限なしに組み合わせることができる。
【0017】
用語「近位」及び「遠位」は、明細書全体において、患者の処置に使用される器具の一末端部を操作する臨床医を基準にして使用できることが理解できる。用語「近位」は、臨床医に最も近い器具の部分を指し、用語「遠位」は、臨床医から最も遠い所に位置した部分を指す。簡潔にするため、また明確にするために、「垂直」、「水平」、「上」、「下」等、空間に関する用語は、本明細書において、図示した実施形態を基準にして使用できることが更に理解できる。しかしながら、外科用器具は、多くの向き及び位置で使用され得、これらの用語は、限定的及び絶対的であることを意図したものではない。
【0018】
本発明のシステム及び方法の各種の実施形態は、天然の組織体積体内での熱的な「融着」又は「溶着」を生じさせることに関する。組織の「融着」及び組織の「溶着」という代替的用語は、例えば、治療直後に相当な破裂強さを呈する血管の融着において、組織塊が実質的に一様に溶着されることになる標的の組織体積体の熱治療を表すために、本願では同じ意味で使用され得るものである。そのような融着の強度は、(i)血管切除手技において血管を永久的に封着し、(ii)摘出手術において器官の周縁部を融着し、(iii)永久的な閉鎖が必要な他の解剖学的導管を融着するために、更にまた、(iv)管吻合、管閉鎖、又は、解剖学的構造若しくはその一部分を互いに接合する他の手技を実施するために特に有用となる。本願にて開示する組織の融着又は溶着は、「凝固」、「止血」、並びに、概して小さな血管又は血管組織内での血流の閉塞に関連する他の類似の説明的な用語とは区別されるものである。例えば、熱エネルギーの任意の表面印加により、凝固又は止血を発生させることができるが、これらは、本明細書で用いられる「融着」に分類されるものではない。そのような表面凝固は、治療組織に相当な強度をもたらす融着を生じさせるものではない。
【0019】
この分子レベルにおいて、本明細書において記載されるように、組織を真に「溶接する」現象は、コラーゲン、及び標的組織体積内の他のタンパク質分子の熱による浸透により生じる場合があり、過渡的液体、又はゲル様の粘稠なアマルガムを生じる。コラーゲン及び他のタンパク質における分子内及び分子間の水素架橋の熱水分解を発生させるために、選択されたエネルギー密度が標的の組織に与えられる。変性したアマルガムは、選択された期間にわたり、選択された水和レベルに(乾燥することなく)維持されるが、その期間は非常に短いものとなり得る。変性したタンパク質の解けた繊維が接近して絡み合い、もつれ合うようにするために、標的組織体積は、選択された非常に高度な機械的圧縮下に維持される。熱緩和されると、再架橋又は復元(repatriation)が生じ、それによって一様に溶着した塊が発生するので、混合したアマルガムは、結果として、タンパク質のもつれ合いをもたらす。
【0020】
本明細書に開示される様々な実施形態は、ジョーの間の捕捉された組織を横切するように、またそれと同時に、RFエネルギーを制御して印加することで、捕捉された組織周縁部を融着するように適合された電気外科用ジョー構造を提供する。いくつかの実施形態のジョー構成は、正の温度係数(PTC)又は、係合した組織へのRFエネルギー供給を調節するための抵抗体を保持する、対向する第1及び第2ジョーを含み得る。
【0021】
図1は、本発明の非限定的な実施形態による、電気外科用器具100を図示する。電気外科用器具100は、近位ハンドル105と、遠位端エフェクタ200と、それらの間に配設された導入器又は細長いシャフト部材106とを備えている。様々な実施形態において、エンドエフェクタ200は、一連の動作可能に閉鎖可能なジョー220A及び220Bを含む。エンドエフェクタ200は、例えば、組織を捕捉、溶接及び切開するように適合され得る。第1ジョー220A及び第2ジョー220Bは、閉じてその間の組織を捕捉するか又はこれに係合し得る。第1ジョー220A及び第2ジョー220Bはまた、組織に圧縮力を加えることができる。別の実施形態において、エンドエフェクタは、1つ以上の可動ジョーを含み得る。
【0022】
図2に戻り、ハンドル105の側面図は、第2ハンドル本体106B内の構成要素のいくつかを例示するために、第1ハンドル本体106A(図1参照)の半分が取り除かれた、ハンドル105の側面図が図示される。ハンドル105はレバーアーム128を備えてもよく、このレバーアームは経路129に沿って引き寄せられてもよい。レバーアーム128の延長部127に動作可能に係合されたシャトル146によって、レバーアーム128は、細長いシャフト106内に配置された並進可能な部材140に連結され得る。シャトル146はまた、ばね141などの、付勢装置に更に接続され得る。ばね141はまた、第2ハンドル本体106Bに接続されてもよく、シャトル146、したがって並進可能な部材140を近位方向に付勢し、したがって図1に見られるように、ジョー220A及び220Bを開放位置へと促進する。更に、図1及び図2を参照すると、係止部材131(図2参照)は、係止スイッチ130(図1参照)によって、図のようにシャトル146が遠位側に移動するのが実質的に防止される係止位置と、シャトル146が細長いシャフト106に向かって遠位方向に自由に移動するのを可能にし得る係止解除位置との間を移動することができる。ハンドル105は、任意のタイプのピストルグリップ、又は、第1ジョー220A及び第2ジョー220Bを作動させるための作動レバー、トリガー、又はスライダーを支持するように構成された、当該技術分野において既知の他のタイプのハンドルであり得る。細長いシャフト106は、円筒形又は長方形の横断面を有しており、ハンドル105から延びる薄壁管状スリーブを備えることができる。細長いシャフト106は、ジョー220A、220Bを作動するため、かつ電気エネルギーをエンドエフェクタ200の電気外科用構成要素に供給するように電気リードを運搬するため、並進可能な部材140などの作動装置機構を支持するための、内部を通じて延びるボアを有し得る。
【0023】
第1ジョー220A及び第2ジョー220Bと共に、細長い部材106は、同じ実施形態において、例えば、回転式の三重接触(rotary triple contact)により、ハンドル105に対する矢印117(図1)に図示されるように、時計方向又は半時計方向のいずれかに連続的に回転可能であり得る。第1ジョー220A及び第2ジョー220Bは、回転可能に閉鎖可能のままであり、回転される間も開放可能であり得る。第1ジョー220A及び第2ジョー220Bは、正極(+)及び負極(−)を備える対の双極電極、又は代わりに正極(+)及び負極(−)を有する接地パッドを備える単極電極として機能するように、ケーブル152内の電気リードを通じて電源145及びコントローラ150に連結され得る。
【0024】
第1ジョー220Aは、第1ジョー220Aが、図4の矢印251によって表されるように、第2ジョー220Bに向かって、かつこれから離れるように枢動し得るように、例えば、ピン、グルニオン、又は他の既知の取り付け構成により、第2ジョー220Bの第2の細長い部分221Bに枢動可能に連結される第1の細長い部分221Aを有し得る。更に、第1ジョー220A及び第2ジョー220Bはそれぞれ、第1ジョー220A及び第2ジョー220Bの内側部分に配設された、歯243などの組織把持要素を有し得る。第1ジョー220Aは、第1の外向きの表面232A、及び第1エネルギー供給表面235Aを備える、第1ジョー本体231Aを含み得る。第2ジョー220Bは、第2の外向きの表面232B、及び第2エネルギー供給表面235Bを有する第2ジョー本体231Bを含んでもよい。第1エネルギー供給表面235A、及び第2エネルギー供給表面235Bは例えば、両方とも、作業端部200の遠位端の周囲に「U」字型で延びる。
【0025】
図1及び図3に見られるように、細長いシャフト106は、第1長手方向軸A−Aを画定する。様々な非限定的な実施形態において、第1ジョー220A及び第2ジョー220Bの第1の細長い部分221A及び第2の細長い部分221Bが、それぞれ第1軸A−Aからオフセットされた第2軸B−Bに沿って位置合わせされる。図4に更に見られるように、第1ジョー本体231Aは、湾曲した遠位端222Aを有してもよく、第2ジョー本体231Bが湾曲した遠位部分222Bを有し得る。図3は、エンドエフェクタ200の平面図であり、第1ジョー220A及び第2ジョー220Bが実質的に整合する形状を有する実施形態を例示する。本明細書において使用する際、「実質的に」及び「実質的に同じ」とは、このような構成要素を製造する際に一般的に生じる通常の製造許容誤差を除いて同じである特徴又は構成要素を指す。図3に更に見られるように、ジョー本体231Aの遠位先端部224A、加えて第2ジョー本体231Bの遠位先端部224Bは、好ましくは細長いシャフト106の直径「D」又は「設置面積FP」(円形の断面形状を有さない細長いシャフト106)内に位置し、それによってエンドエフェクタ200は、細長いシャフト106に適合し得る開口部を通じて挿入され得る。エンドエフェクタ200のオフセット特性は、ジョー220A、220Bが、ジョーは細長いシャフト106と軸方向に位置合わせされる他のジョー実施形態に対して比較的鋭利に湾曲した、湾曲した又は不規則な部分を備えることを可能にする。例えば、トロカールなどのルーメンを通じた挿入を何らかの方法で阻害し得る距離だけ、細長いシャフト106の直径「D」又は設置面積FPを超えて、ジョー220A、220Bの部分が横方向外側に突出することがないならば(これが屈曲可能であり、したがってこのようなルーメンを通じた挿入を可能にしない限り)、ジョー220A、220Bは、様々な湾曲部分を有してもよいということが理解される。
【0026】
図3〜5は、並進可能な往復部材又は往復「アイビーム」部材240の一部分を示している。ハンドル105のレバーアーム128は、ジョー閉鎖機構としても機能する並進可能な部材240を作動させるように適合されてもよい。例えば、並進可能な部材240は、レバーアーム128が経路129に沿って近位側に引き寄せられるとき、遠位側に付勢されてもよい。並進可能な部材240の遠位端部は、ジョー220A及び220B内のスロット242の中で摺動するように構成されたフランジ付き「I」ビームを備えている。図4を参照されたい。並進可能な部材240はスロット242の中で摺動して第1ジョー220A及び第2ジョー220Bを開閉する。図5に最も具体的に見られるように、並進可能な部材240の遠位端は、上方フランジ244及び下方フランジ246を含み、これらは組織を切削するために、鋭利な遠位端250を有するウェブ部分248によって分離される。様々な実施形態において、並進可能な部材240は、例えば、ステンレス鋼若しくは同様の弾性材料、又は超弾性材料の類(例えば、ニチノールなど)から作製され得る。様々な実施形態において、並進可能な部材240の上方フランジ244及び下方フランジ246はそれぞれ、任意により切り取り部分252を備える。図5に図示されるように、切り取り部252は、ウェブ248に隣接するこれらの最も狭い部分、及びフランジの横方向縁部におけるこれらの最も広い部分と共に成形された実質的にV型であってもよい。上方フランジ244の切り取り部252は、下方フランジ246の同様の切り取り部252と実質的に位置合わせされ得る。並進可能な部材240(図5に仮想線で例示される)の比較的緊密な屈曲を促進するため、切り取り部252は、互いに比較的近く配置され得る。このような並進可能な部材の構成は、第1ジョー220A及び第2ジョー220B内の湾曲したスロット242の周囲で並進可能な部材が屈曲することを可能にする。したがって、並進可能な部材240がレバー128を作動することによって遠位方向に前進すると、上方フランジ部分244及び下方フランジ部分246は、第1ジョー220A及び第2ジョー220Bに係合し、ジョー220A、220Bを一緒にし(cam)、その間の組織をクランプし、切断する。
【0027】
図6は、上記の並進可能な部材240と同様の、別の並進可能な部材240’を例示するが、ただし組織切断ワイヤ260が、組織切断プロセスのために上方フランジと下方フランジとの間に提供される。ワイヤ260は例えば、ステンレス鋼などから作製され、上方フランジ244とか方フランジ246との間に、張力をかけた状態で取り付けられてもよい。ワイヤ260はまた、そのフランジ244、246において切り取り部252を有さない、並進可能な部材240と関連して使用され得る。別の実施形態において、ワイヤ260は、電気的に切断を行うために、直接的又は間接的に、RF電源に接続されてもよい。
【0028】
様々な実施形態において、並進可能な部材240は、上記の切り取り部252を備え、例えば、比較的柔軟な、又は超弾性材料若しくは合金(例えばニチノール、NiTi、又は同様の特性を有する他の合金)から作製され得る。他の実施形態において、並進可能な材料は、ニチノール、NiTi又は同様の材料から作製され、フランジの切り取り部252を有さない、Iビームの形状を有し得る。図7を参照されたい。
【0029】
図8〜11は、本発明の別の非限定的なエンドエフェクタの実施形態400を利用する、電気外科用器具300を例示する。電気外科用器具300は、以下に記載される差異を除き、構成及び動作において電気外科用器具100と同一であり得る。図9及び図10を参照し、エンドエフェクタ400は第1ジョー420A及び第2ジョー420Bを含むことが確認できる。第1ジョー420Aは第2ジョー420Bに枢動可能に連結されてもよく、第1ジョー420Aが開放位置(図9)と閉鎖位置(図10)との間で枢動することを可能にする。第1ジョー420Aは、材料の、一連の垂直に積層された層432Aから形成される上方第1ジョー本体431Aを含み得る。様々な実施形態において、積層432Aは、ジルコニウム、部分的に安定化されたジルコニウム、酸化アルミニウム、窒化ケイ素、アルミナクロム、ヒドロキシアパタイト、他の非導電性ガラス材料、又は非導電性セラミック材料などの、熱及び/又は電気絶縁体を含む材料から作製されてもよい。他の非導電性ガラスセラミック材料がまた利用され得る。層432Aは、例えば、ポリイソプレン、シリコーンなど、電気材料434Aによって一緒に垂直に積層され得る(図11参照)。積層432Aは、並進可能な部材240又は240’を上記の方法で適合させるために、スロット442Aを画定するように機能し得る。第1ジョー本体431Aは、上方の第1の外向きの表面433A及び下方の第1エネルギー供給表面435Aを有する。本明細書において使用するとき、用語「垂直に積層した」とは、材料の層が、エネルギー供給表面が位置する平面と垂直に延びることを意味する。第2ジョー420Bは、上記の様々な材料から作製及び積層され得る別の一連の垂直に積層された層432Bから形成される、下方第2ジョー本体431Bを含み得る。第2ジョー本体431Bは、下方第2外向き表面433B及び下方第2エネルギー供給表面435Bを有し得る。第1エネルギー供給表面435A及び第2エネルギー供給表面435Bは共に、エンドエフェクタ200の遠位端の周りで「U」字型に延びている。
【0030】
図11に見られるように、電気外科用エネルギーは、第1エネルギー供給表面435Aと第2エネルギー供給表面435Bとの間で、電流経路477を通じて供給され得る。並進可能な部材240は、部材240が電流供給の導電経路として機能するのを防ぐために、絶縁層を備えてもよい。対向する第1エネルギー供給表面435A及び第2エネルギー供給表面435Bは、直列及び並列回路構成要素として第1の電源145及び制御器150に結合される、可変抵抗の正温度係数(PTC)本体又は母材を支持してもよい。第1エネルギー供給表面435A及び対応するPTC本体は負極性(−)を有することができ、一方で、第2エネルギー供給表面435B及び対応するPTC本体は正極性(+)を有することができる。PTC材料は、「トリップ(trip)」し、一度選択されたトリップ温度を超過すると、高度に抵抗性になるか、又は非導電性になる。第1エネルギー供給表面435A及び第2エネルギー供給表面435Bは、米国特許第6,929,644号、表題「Electrosurgical Jaw Structure for Controlled Energy Delivery」、及び同第第6,770,072号、名称「Electrosurgical Jaw Structure for Controlled Energy Delivery」に開示されているPTCマトリックス及び電極構成要素のいずれかを支持することができ、これらの各開示内容は参照によって本明細書に完全に組み込まれる。電気外科用器具のPTC材料の用途は、米国特許第7,112,201号、表題「Electrosurgical Jaw Structure for Controlled Energy Delivery」、及び同第6,929,622号、表題「Electrosurgical Jaw Structure for Controlled Energy Delivery」、及び米国特許出願公開第2010/0036370(A1)号、表題「Electrosurgical Instrument Jaw Structure With Cutting Tip」にも記載され、これらの各開示は、本明細書において参照として、それぞれ完全に組み込まれる。しかしながら、様々な実施形態において、第1エネルギー供給表面435A及び第2エネルギー供給表面435Bは、それぞれ、例えば、接着剤又は機械的手段によって一緒に積層される層から作製される。
【0031】
図12は、エンドエフェクタ400、及びそこに例示される3点の間でエンドエフェクタ400を屈曲させるために利用され得る作動システム491の上面概略図である。図に見られるように、作動システム491は、上記第1ジョー420A及び第2ジョー420Bのそれぞれに取り付けられる、少なくとも1つの「第1」ケーブル492を含み得る。すなわち、少なくとも1つの第1ケーブル492が第1ジョー420Aに取り付けられ、少なくとも1つの他の第1ケーブル492が第2ジョー420Bに取り付けられる。同様に、少なくとも1つの「第2」ケーブル496は、第1ジョー420A及び第2ジョー420Bのそれぞれに取り付けられる。すなわち、少なくとも1つの第2ケーブル496が第1ジョー420Aに取り付けられ、少なくとも1つの他の第2ケーブル496が第2ジョー420Bに取り付けられる。このような作動システム491は、臨床医が第1ジョー420Aの位置、及び第2ジョー420Bの位置を、細長いシャフト106との軸方向の位置合わせから外すように「引く」ことを可能にする。すなわち、例えば、第1ケーブル492は、第1ジョー420A、第2ジョー420Bの位置を、軸125の左に引くために使用され得、第2ケーブル496は、第1ジョー420A及び第2ジョー420Bの位置を軸125の右に引くために使用され得る。第1ケーブル492は中空の細長いシャフト106を通じて延び、ハンドル105によって動作可能に支持される第1作動部材494に連結されてもよい。図12を参照されたい。同様に、第2ケーブル496は中空の細長いシャフト106を通じて延び、ハンドル105によって動作可能に支持される左作動部材498に連結されてもよい。例えば、各作動部材494、498は、レバーアーム、ボタンなどを含んでもよく、これはハンドル105に可動に支持され、対応するケーブル492、496に連結され、それによって作動部材494の一方向への移動が、ケーブル492の張力を適用し、よってエンドエフェクタが軸125の一方の側に屈曲する。作動部材494、498の他の方向への移動は、ケーブル492、496が、エンドエフェクタ400が細長いシャフト部材106と比較的同軸の位置をとり得るような位置をとり、エンドエフェクタ400が、中空の細長いシャフト部材106を受容するルーメンを通じて挿入されることを可能にする。同様に、一方向における作動部材498の移動が、ケーブル496に張力を適用し、エンドエフェクタ400を軸125の別の側に屈曲させる。作動部材494、498は、既知の固定構成を使用して、様々な位置で選択的に固定可能である。更に他の実施形態において、エンドエフェクタ400の所望の屈曲又は曲げを生じるために、ケーブルに張力を適用するか、張力を解放するために利用され得る。エンドエフェクタ400は、本明細書において開示される様々な方法により別様に動作することができ、固有かつ新規の設計の並進可能な部材240又は240’が、屈曲するか、又は曲がり、各スロット442A、442Bを通じて移動し得るということが理解される。
【0032】
図13〜17は、本発明の別の非限定的な実施形態による、電気外科用器具500を例示する。この実施形態は、上記のハンドル105と若干似た、ハンドル105’を利用し得る。しかしながら、電気外科用器具500は、組織を切断し、エンドエフェクタ510のジョー520A及び520Bを閉じるように設計された並進可能な部材を利用しない。この実施形態において、第2ジョー520Bは、スパイン部材530に連結され、これは、中空の管106を通じて延び、ハンドル105’に取り付けられる。中空の細長い管106の近位端は、シャトル部材146と相互作用し、これはハンドル105’内に可動に支持され、レバー128と相互作用し、それによって経路129に沿ったレバーアーム128の枢動運動が、シャトル146及び細長い管106をハンドル105’及びスパイン部材530に対して軸方向に移動させる(矢印523によって表される)。図14及び図15を参照されたい。このようなクロージャ構成は、例えば、エンドカッターなどの他の形態の外科用器具に関連する分野において一般的に既知である。例えば、本明細書において参照として、その各全体が組み込まれる、米国特許第7,588,176号、表題「Surgical Cutting Instrument With Improved Closure System」、及び同第7,665,647号、表題「Surgical Cutting and Stapling Device With Closure Apparatus For Limiting Maximum Tissue Compression Force」を参照のこと。
【0033】
図15を参照し、矢印523によって表されるように細長い管106が軸方向に移動する際に、第2ジョー520Bに対して選択的に枢動移動するために(矢印521によって表される)、第1ジョー520Aは、第2ジョー520Bへと枢動可能に連結される。第1ジョー520Aは、一連の垂直に積層された層532Aから形成される上方第1ジョー本体531Aを含み得る。図16を参照されたい。様々な実施形態において、積層532Aは、ジルコニウム、部分的に安定化されたジルコニウム、酸化アルミニウム、窒化ケイ素、アルミナクロム、ヒドロキシアパタイト、他の非導電性ガラス材料、又は非導電性セラミック材料などの、熱及び/又は電気絶縁体を含む材料から作製されてもよい。他の非導電性ガラスセラミック材料がまた利用され得る。層532Aは、例えば、ポリイソプレン、シリコーンなどの弾性材料によって互いに積層され得る。第1ジョー本体531Aは、上方第1外向き表面533A及び上方第1エネルギー供給表面535Aを有する。第2ジョー520Bは、上記の様々な材料から作製及び積層され得る別の一連の垂直に積層された層532Bから形成される、下方第2ジョー本体531Bを含み得る。第2ジョー本体531Bは、下方第2外向き表面533B及び下方第2エネルギー供給表面535Bを有し得る。第1エネルギー供給表面535A、及び第2エネルギー供給表面535Bは共に、エンドエフェクタ510の遠位端の周囲で「U」字型に延び、材料の垂直に積層された層を含む。上記のように、電気外科用エネルギーは、第1エネルギー供給表面535Aと第2エネルギー供給表面535Bとの間の電流経路を通じて供給され得る。第1エネルギー供給表面535A、及び第2エネルギー供給表面535Bは、組織と接触し、係合した組織に電気外科用エネルギーを供給するように構成され得、これは組織を封止又は溶接するように適合されている。対向する第1エネルギー供給表面535A及び第2エネルギー供給表面535Bは、直列及び並列回路構成要素として電源145及び制御器150に結合される、可変抵抗の正温度係数(PTC)層540を支持してもよい。第1エネルギー供給表面535A及び対応するPTC層540は負極性(−)を有することができ、一方で、第2エネルギー供給表面535B及び対応するPTC本体540は正極性(+)を有することができる。PTC材料は、「トリップ」し、一度選択されたトリップ温度を超過すると、実質的に、より抵抗性になるか、又は非導電性になる。第1エネルギー供給表面535A及び第2エネルギー供給表面435Bは、積層構成におけるPTCマトリックス及び電極構成要素のいずれかを保持し得る。コントローラ150は、電源145によって供給された電気エネルギーを調節することができ、電源はひいては、第1エネルギー供給表面535A及び第2エネルギー供給表面535Bに電気外科用エネルギーを供給する。エネルギー供給は、レバーアーム128と動作可能に係合され、かつケーブル152を介してコントローラ150と電気通信する作動ボタン124によって開始されることができる。上記のように、電源145によって供給される電気外科用エネルギーは、高周波「RF」エネルギーを含んでもよい。
【0034】
例えば、図17に表される方法において、エンドエフェクタ510の柔軟な移動を促進するため、上記の種類の作動構成600が利用され得る。特に、作動構成は、第1ジョー520A、予備第2ジョー520Bに取り付けられた左ケーブル602及び右ケーブル606を含んでもよく、臨床医が、第1ジョー520A、及び第2ジョー520Bを軸125の左側及び右側に「引く」ことを本質的に可能にする。右ケーブル606は、中空のスパイン部材530を通じて延び、ハンドル105’によって動作可能に支持される右作動部材608に連結されてもよい。図13及び図17を参照されたい。同様に、左ケーブル602は、中空のスパイン部材530を通じて延び、ハンドル105’によって動作可能に支持される左作動部材604に連結されてもよい。例えば、各作動部材604、608は、ハンドル105’上に可動に支持され、対応するケーブル602、606に連結されるレバーアーム、ボタンなどを含んでもよく、それによって作動部材604、608の一方向における移動が、ケーブル602、606に張力を適用し、作動部材604、608の別方向における移動によりケーブル602、606は、エンドエフェクタ510が細長い部材106と比較的同軸の位置をとり得る位置をとることを可能にし、中空の細長い部材106を受容するルーメンを通じてエンドエフェクタ510の挿入を可能にする。作動部材604、608は、既知の固定構成を使用して、様々な位置で選択的に固定可能である。更に他の実施形態において、エンドエフェクタ510の所望の屈曲を生じるために、ケーブルに張力を適用するか、張力を解放するために1つ以上のモーターが利用され得る。
【0035】
図18は、本発明の別の非限定的な実施形態による、エンドエフェクタ700を例示する。エンドエフェクタ700は、上記の種類の可撓性のエンドエフェクタを含んでもよく、又はこれは本質的に剛性であってもよい。エンドエフェクタ700は、第2ジョー720Bに対して可動に支持される第1ジョー720Aを有する。例えば、様々な非限定的な実施形態において、第1ジョー720Aは、上記の様々な方法により、細長い管106の軸方向の変位の手段により、第2ジョー720Bに対して枢動可能に連結されるか、ないしは別の様式により枢動可能であり得る。上記の様々な他の実施形態のように、第1ジョー720Aは、幅「W」、上方第1外向き表面733A、上方第1エネルギー供給表面735A及び遠位端737Aを有する、第1ジョー本体731Aを有する。第2ジョー720Bは、第1ジョー本体731Aの幅「W」と同一であってもなくてもよい「W’」をやはり有する下方第2ジョー本体731Bを含んでもよく、したがって、エンドエフェクタ700がトロカール又は他のルーメンを通じて便利に挿入されることを可能にする。第2ジョー本体731Bは、第2外向き表面733B、第2エネルギー供給表面735B、及び第2遠位端737Bを有し得る。第1エネルギー供給表面735A、及び第2エネルギー供給表面735Bは共に、エンドエフェクタ700の遠位端の周囲で「U」字型に延びている。エネルギー供給表面735A、735Bは、上記の様々な方法により別様に動作し得る。この実施形態において、焼灼される標的組織の切開において臨床医を助けるため、第1ジョー735A、及び第2ジョー735Bの一方又は両方に、遠位方向に延びる鈍い先端部760が提供され得る。鈍い先端部760は比較的平滑であってもよく、又は他の実施形態において、鈍い先端部760は、より良好な非電気切開を可能にするために、線維性構造761でコーティングされるか、ないしは別の方法によりこれを提供されてもよい。図18に見られるように、鈍い先端部760は、幅「W」、「W’」よりも小さい直径又は幅「D」を有してもよく、ジョー720A、720Bが入ることのできない領域に先端部760がより容易に挿入されることを可能にする。他の実施形態において、電極(図示されない)は、単極解剖器具、あるいは双極解剖器具として機能するように構成されるように、先端部760を備えてもよい。
【0036】
他の非限定的な実施形態において、エンドエフェクタ700’は、第1ジョー720A、及び第2ジョー720Bの一方又は両方から突出する、延長部764に枢動可能に連結された鈍い先端部760’を有し得る。図19を参照されたい。鈍い先端部760’は、鈍い先端部760’を、所望の関節運動した位置に摩擦により維持するヒンジ766によって、延長部764に枢動可能に連結され得る。例えば、外科医は鈍い先端部760’を組織又は他の構造に接触させ、鈍い先端部760’を、長手方向軸LA−LAと実質的に横方向の垂直軸VA−VAの周囲の所望の位置へと枢動させる。鈍い先端部760’は、ヒンジ766の構成要素の間の摩擦によりこの位置に保持され得る。図19は、垂直軸を中心とした枢動移動のために、鈍い先端部が延長部764に取り付けられ、鈍い先端部760’は、水平軸を中心とした選択的な枢動移動(図示されない)のために、延長部764に取り付けられ得ることを例示する。更に他の非限定的な実施形態において、鈍い先端部760’は、「自在」継手構成により延長部に可動に連結され、これが水平軸及び垂直軸を中心とした鈍い先端部760’の枢動による位置付けを促進し、その後、摩擦によりこのような所望の位置に保持される。更に別の非限定的な実施形態により、鈍い先端部760は複数のヒンジ及び中間先端部によって延長部764に取り付けられてもよく、切開の目的のために、鈍い先端部が所望の位置に位置付けられることを更に可能にする。あるいは、鈍い先端部がジョー部材に形成され、可鍛性の材料から構成されてもよく、これは、別の器具による患者へ挿入の前、又は挿入後に、ユーザーが形状を事前に切開することを可能にする。
【0037】
図20及び図21は、以下の差異を除いてエンドエフェクタ700と同一であり得る、本発明の非限定的な実施形態のエンドエフェクタ800を例示する。エンドエフェクタ800は上記の種類の可撓性エンドエフェクタを含んでもよく、又はこれは本質的に剛性であってもよい(細長い管106との軸方向の位置合わせから外れて屈曲することができない)。エンドエフェクタ800は、上記の様々な方法により、細長い管106の軸方向変位の手段により、第2ジョー820Bに枢動可能に連結するか、ないしは別の方法によりこれに対して枢動可能である、第1ジョー820Aを有する。上記の様々な実施形態のように、第1ジョー820Aは、第1外向き表面833A、及び第1エネルギー供給表面835Aを有する、第1ジョー本体831Aを有する。第2ジョー820Bは、第2の外向きの表面833Bと第2エネルギー供給表面835Bとを有する下方第2ジョー本体831Bを備えていてもよい。第1エネルギー供給表面835A及び第2エネルギー供給表面835Bは共に、エンドエフェクタ800の遠位端の周囲で「U」字型に延びている。エネルギー供給表面835A、835Bは、上記の様々な方法により別様に動作し得る。この実施形態において、焼灼される標的組織を切開するか、ないしは別の方法で分離するにあたって外科医を助けるため、遠位方向に延びる第1先端部860Aが第1ジョー820Aに提供されてもよく、遠位方向に延びる第2先端部860Bがジョー820Bに提供されてもよい。第1先端部860Aは、テーパ状の外向き表面861A、及び比較的平坦な内向き表面862Aを有し得る。組織把持溝865A若しくは突起部、又は他の構造が、外向き表面861A又は内向き表面862Aに提供され得る。同様に、第2先端部860Bは、テーパ状の外向き表面861B、及び比較的平坦な内向き表面862Bを有し得る。組織把持溝865B若しくは溝又は他の構造が外向き表面861B及び/又は内向き表面862Bに提供され得る。
【0038】
様々な非限定的な実施形態において、第1先端部860A及び第2先端部860Bは駆動されない。しかしながら、他の非限定的な実施形態において、先端部860Aは、第1エネルギー供給表面835Aの一部を含むか、ないしは別の方法により内部に電極部を有する。同様に、第2先端部860Bは、第2エネルギー供給表面835Bの一部を含むか、ないしは別の方法により内部に電極部を有する。駆動されるとき、双極構成において先端部から先端部へと、単極構成において先端部から組織へと伝わることがある。図21は、組織「T」を分離又は切開するためのエンドエフェクタ800の潜在的な用途を例示する。
【0039】
図22〜25は、本発明の別の非限定的な実施形態による、電気外科用器具900を例示する。この非限定的な実施形態は、上記のハンドル105と若干似た、ハンドル105’を利用し得る。しかしながら、電気外科用器具900は、組織を切断し、エンドエフェクタ910のジョー920A及び920Bを閉じるように設計された並進可能な部材を利用しない。この実施形態において、第2ジョー920Bは、中空の細長い管106を通じて延び、上記の方法によりハンドル105’に取り付けられた、スパイン部材930(図23)に連結される。細長い管106の軸方向の移動により第1ジョー920Aは第2ジョー920Bに対して枢動する。
【0040】
他のジョー閉鎖機構が利用されてもよい。第1ジョー920Aは、図23〜25に図示される一連の枢動可能に相互接続される第1本体区分922Aを含み得る。図23に図示されるように、第1本体区分922Aは、これらが垂直軸VA−VAを中心に互いに対して枢動し得るように、ボール及びソケットタイプの継手構成923Aによって一緒に連結される。各第1本体区分922Aは、例えば、熱及び/又は電気絶縁体から作製され得る。例えば、ジルコニウム、部分的に安定化させたジルコニウム、酸化アルミニウム、窒化ケイ素、アルミナクロム、ヒドロキシアパタイト、他の非導電性ガラス材料、他の非導電性セラミック材料、及び他の非導電性ガラスセラミック材料が利用され得る。各第1本体区分922Bは更に、内部に取り付けられた第1電気供給電極935Aを有する。
【0041】
同様に、図24及び図25に図示されるように、第2ジョー920Bは、ボール及びソケットのタイプの継手構成923Bによって枢動可能に相互接続される、一連の枢動可能に相互接続された第2本体区分922Bを含み得る。第2本体区分922Bは、これらが図23に図示される垂直軸VA−VAを中心に枢動し得るように、一緒に連結される。各第2本体区分922Bは、第1本体区分922Aに対応し、例えば、対応する第1本体区分922Aを含む、同じ又は異なる材料から作製され得る。各第2本体区分922Bは内部に取り付けられた第2エネルギー供給電極935Bを更に有し、これは、対応する第1本体区分922A内のエネルギー供給電極935Aと実質的に垂直に位置合わせされている。第1エネルギー供給電極935A、及び第2エネルギー供給電極935Bは、組織と接触し、係合した組織に電気外科用エネルギーを供給するように構成され得、これは組織を封止又は溶接するように適合されている。対向する第1エネルギー供給電極935A、及び第2エネルギー供給電極935Bは、直列及び並列回路構成要素として電源145及び制御器150に連結され得る。第1エネルギー供給電極935A及び第1本体区分922Aは、負極(−)を有してもよく、一方で第2エネルギー供給表面935B及び対応する第2本体区分922B正極(+)を有してもよく、又はその反対である。第1及び第2本体区分922A、922B材料は、「トリップ」してもよく、一度選択されたトリップを超過すると、抵抗性又は非導電性となる。コントローラ150は、電源145によって供給され、これはひいては電気外科用エネルギーを第1エネルギー供給電極935A、及び第2エネルギー供給電極9353Bに供給する。エネルギー供給は、レバーアーム128と動作可能に係合され、かつケーブル152を介してコントローラ150と電気通信する作動ボタン124によって開始されることができる。上記のように、電源145によって供給される電気外科用エネルギーは、無線周波「RF」エネルギーを含んでもよく、単極又は双極の性質であり得る。
【0042】
様々な非限定的な実施形態において、第1本体区分922Aは、互いに対して所望の向きで配置され、ボールとソケット構成要素923Aとの間の摩擦は、第1本体区分922Aを適所に保持するように機能する。同様に、一度第2本体区分922Bが互いに対して所望の位置に配置されると、ボールとソケット構成要素923Bとの間の摩擦が第2本体区分922Bをその位置に保持する。任意により、第1固定ケーブル929Aは、ハンドル105’の固定機構から、各第1本体区分922Aを通じて、最遠位本体区分922Aへと延び得る。一度本体区分922Aが所望の位置に移動されると、臨床医は固定機構の手段によって第1固定ケーブル929Aに張力を適用して第1本体区分922Aを一緒に引き、それによってこれらを適所に固定し得る。同様に、第2固定ケーブル929Bは固定機構940又はハンドル105’の別の固定機構から、各本体区分922Bを通じて最遠位本体区分922Bまで延び得る。一度本体区分922Bが所望の位置に動かされると、外科医は第2固定ケーブル929Bに張力を適用し、第2本体区分922Bを一緒に引き、それによってこれらを適所に固定する。
【0043】
図26及び図27は、第1ジョー1020A及び第2ジョー1020Bを含む、本発明の別の非限定的な実施形態のエンドエフェクタ1000の一部を例示する。第1ジョー1020Aは第1テーパ状遠位端部1021Aを有してもよく、第2ジョー1020Bは第2テーパ状遠位端部1021Bを有してもよく、これは第1テーパ状遠位端部1021Aと収束して、切開目的に特に適した実質的に円錐形のエンドエフェクタ先端部1022を形成する。実施形態は、以下の差異を除いて、上記のアイビーム部材と同一の構成及び動作であり得る、往復運動アイビーム部材1040を更に含み得る。より具体的に、図27に見られるように、アイビーム部材1040は、上方フランジ1042及び下方フランジ1044を有し、これらは、中央ウェブ部分1046によって相互接続される。中央ウェブ部分1046は上記の方法で、第1ジョー部材1020A、及び第2ジョー部材1020B内の位置合わせされたスロット(図示されない)を通じて延びる。上方フランジ1042は溝内に位置し、第1ジョー部材1020A及び下方フランジ1044内のスロット又は陥没領域は、第2ジョー部材1020B内の溝、スロット又は陥没領域内に位置してもよく、それにより、アイビーム部材1040が第1ジョー部材1020A及び第2ジョー部材1020Bを通じて遠位方向に前進する際に、上方フランジ1042及び下方フランジ1044は、第1ジョー1020A及び第2ジョー1020Bを上記の方法で一緒に枢動させる。図27に最もよく見られるように、下方フランジ1044は、上方フランジ1042よりも更に遠位に突出する。中央ウェブ1046の、下方フランジ1044の最遠位縁部から、上方フランジ1042の最遠位縁部まで延びる部分は、そこに形成された切断縁部1047を有する。様々な実施形態において、切削縁部1047は、側部から見た際に弓状の輪郭を有し得る。例えば、図27を参照されたい。鋭い切削表面を有するこのような「陥没した」アイビームは、エンドエフェクタのテーパ状先端部と組み合わせて、第1ジョー1020Aと第2ジョー1020Bとの間でクランプされた組織を横切することなく、第1ジョー1020A及び第2ジョー1020Bのいくらかの圧迫を可能にする。換言すると、アイビームがエンドエフェクタ内で遠位方向に前進すると、第2ジョー1020Bのスロットから突出する切削表面の部分が、第2ジョー1020Bを通じて前進するアイビームの部分の最遠位端部に近接する。様々な用途において、例えば、下方ジョーの延長部上に位置する組織に切削のために、表面凝固を追加するために、ジョーが作動され得る。更に他の非限定的な実施形態において、ウェブの遠位縁部(すなわち、縁部1047)は、「C」形状、又は「U」形状を有し得る。換言すると、側部から見ると、縁部1047は、実質的に水平方向に「U」形状を形成し得る。このような固有のアイビーム構成は、組織から水分を駆逐するように機能する、ジョーの間の組織の圧迫を促進する。電流はその後、組織が最終的に前進する切断縁部によって切断される前に、圧迫されたその組織に適用される。結果として、より堅牢な封止が一般的に得られる。
【0044】
図28〜31は、本発明の別の非限定的な実施形態による、電気外科用器具1100を例示する。電気外科用器具1100は、近位ハンドル105”と、遠位端エフェクタ1200と、それらの間に配設された導入器又は細長いシャフト部材1106とを備えている。しかしながら、この非限定的な実施形態において、細長いシャフト部材1106は、可撓性の中空シース1112内に包囲された可撓性スパインアセンブリ1110を含む。
【0045】
図29〜31は、様々なスパインアセンブリ構成要素を例示する。特に、少なくとも1つの非限定的な実施形態において、スパインアセンブリ1110は、複数の相互接続されたスパイン区分1120から作製され得る。図30及び図31に見られるように、各スパイン区分1120は、若干円筒形の形状である、中空の本体1122を有する。中空の本体1122の一端は、上部に形成された外側に突出するボール部材1124を有する。本体1122の他端は、内部に、隣接する区分1120のボール部材1124を回転可能に受容及び保持するような大きさのソケット1126を有する。様々な実施形態において、最近位区分1122は、ハンドル105”に回転可能に支持された作動ホイール107に動かないように取り付けられてもよい。図28を参照されたい。したがって、作動ホイール107の回転によりスパインアセンブリ1110が軸125を中心に回転する。最遠位スパイン区分1120がエンドエフェクタ1200に取り付けられる。一実施形態において、エンドエフェクタ1200は、一対の開閉可能なジョー1220A及び1220Bを含む。エンドエフェクタ1200は、組織を捕捉、融着、及び横切するように適合されてもよい。第1ジョー1220A及び第2ジョー1220Bは、閉じてその間の組織を捕捉するか又はこれに係合し得る。第1ジョー1220A及び第2の1220Bはまた、組織に圧縮力を加えることができる。第2ジョー1220Bは、最遠位スパイン区分1120に取り付けられてもよく、第1ジョー1220Aは、第2ジョー1220Bに枢動可能に、ないしは別の方法により可動に連結され得る。一実施形態において、例えば、エンドエフェクタ1200は、上記のエンドエフェクタ200と同一の構成及び動作であり得る。
【0046】
電気外科用器具1110はまた、並進可能な往復部材又は往復「アイビーム」部材240を利用し得る。ハンドル105”のレバーアーム128は、ジョー閉鎖機構としても機能する並進可能な部材240を作動させるように適合されてもよい。例えば、並進可能な部材240は、レバーアーム128が経路129に沿って近位側に引き寄せられるとき、遠位側に付勢されてもよい。並進部材240の遠位端は、上記の方法で第1ジョー部材1220A、1220Bと相互作用ように構成された可撓性フランジ付き「アイ(I)」ビームを含む。可撓性並進部材240は、各スパイン区分1120を通じて提供される、ルーメン1130を通じて延びる。図31を参照されたい。可撓性並進部材240の遠位端は、上記の方法で第1ジョー1220A及び第2ジョー1220Bと相互作用する。エンドエフェクタ1200を駆動するためのワイヤがまたルーメン1130を通じて延びてもよく、又はスパイン区分1120の他の経路(図示されない)を通じて延びてもよい。スパインアセンブリ1110の固有かつ新規の態様が、多くの他のエンドエフェクタ構成と共に利用されてもよい。例えば、スパイン区分1120のルーメン1130は、エンドエフェクタを制御及び作動するために使用され得る、様々な異なる作動装置構成、ワイヤ、ケーブルなどに適合し得る。
【0047】
スパインアセンブリ1110は、一般的に1300として指定される制御アセンブリによって3方向以上(そのいくつかが、図29の矢印1111によって表される)に効果的に固定され得る。様々な実施形態において、例えば、制御アセンブリ1300は、各スパイン区分1120の中空本体1122の外辺部に形成される、対応する位置合わせされた中空のラグ1130を通じて延びる、少なくとも1つの作動部材1310を含み得る。表される実施形態において、作動部材1310は、4つの制御ケーブルを含む。しかしながら、別の実施形態において、3つの制御ケーブルは、4つのケーブルにより達成されるのと同程度の運動を本質的に達成するために、利用され得る。係属中の米国特許出願公開第2010/0010299(A1)号、表題「ENDOSCOPIC TRANSLUMENAL ARTICULATABLE STEERABLE OVERTUBE」(その開示は本明細書において参照として組み込まれる)は、利用され得る他の操作可能な管状構成を開示する。別の実施形態において、制御部材1310はまた、RFエネルギーをエンドエフェクタに伝達するために、RF源と連絡するための導電体を含み得る。
【0048】
例示される非限定的な実施形態において、各スパイン区分1122は、上部に形成された4つの直径方向に対向するラグ1130を有する。各制御ケーブル1310は、関節運動制御機構1400と相互作用するために、中空シース1106を通じてハンドル105”内へと延びる。表される実施形態において、関節運動制御機構1400は、ハンドル105”によって動作可能に支持されるジョイスティック構成1402を含む。したがって、ジョイスティック構成1402の移動は、ケーブル1310の1つ以上の張力を適用し、それによってスパインアセンブリ1110を関節運動させる。
【0049】
他のケーブル制御構成が利用されてもよい。図33〜35は、本発明の別の非限定的な実施形態により、単極電気外科用器具1500を例示する。電気外科用器具1500は、近位ハンドル105と、遠位端エフェクタ1600と、それらの間に配設された細長いシャフト部材106とを備えている。戻りパッド(図示されない)を備えるエンドエフェクタ1600は、バレット食道、肝臓、又は子宮内膜症手術における、制御された表面切除に適合され得る。以下で更に記載されるように、エンドエフェクタ1600は、細長いシャフト106に対して可動であり、これを腹腔鏡又は開腹手術に特に適してたものとする。
【0050】
ハンドル105はレバーアーム128を備えてもよく、このレバーアームは経路129に沿って引き寄せられてもよい。ハンドル105は、任意のタイプのピストルグリップ、又は作動レバー、トリガーなどを支持するように構成された、当該技術分野において既知の他のタイプのハンドルであり得る。細長いシャフト106は、円筒形又は長方形の横断面を有しており、ハンドル105から延びる薄壁管状スリーブを備えることができる。細長いシャフト106は、Ultem(登録商標)又はVectra(登録商標)などのステンレス鋼又はプラスチックなどの金属から作製され得る。更に他の実施形態において、細長いシャフト106は、ポリオレフィン熱収縮管を含んでもよく、かつ作動ケーブル又は部材を保持し、加えて電気エネルギーをエンドエフェクタ1600の電気外科用構成要素に供給するための電気リードを保持するために内部を通じて延びるボアを有し得る。エンドエフェクタ1600を有する細長いシャフト部材106は、いくつかの実施形態において、例えば、回転式の三重接触により、ハンドル105に対して、軸125を中心に360°完全に回転可能であり得る。
【0051】
エンドエフェクタ1600は、細長いシャフト106の遠位端107にピンにより、ないしは別の方法で可動に連結されたパッド支持体1602を含み得る。様々な実施形態において、パッド支持体1602は、例えば、ポリカーボネート、又は比較的高いジュロ高度のシリコーンエラストマーなどの、比較的柔軟な材料から作製され得る。しかしながら、他の材料が利用されてもよい。正の温度係数(PTC)材料から作製される導電体又は電極要素1604及び可撓性パッド部材1606が、可撓性パッド支持体1602に取り付けられる。例えば、可撓性パッド部材1604は、米国特許第6,770,072号、表題「Electrosurgical Jaw Structure For Controlled Energy Delivery」(その開示は本明細書において参照としてその全体を組み込まれる)に開示されるPTC材料から作製され得る。導電体又は電極要素1604は、例えば、ステンレス鋼又は銅から作製され、かつ、ケーブル152内の電気リードを通じてRF源145及びコントローラ150に連結されてもよい。このようなエンドエフェクタ1600は、組織への制御されたエネルギーの適用を促進する作動制御ボタン131を含む。エネルギー供給は、ケーブル152を介してコントローラ150と電気通信する作動ボタン131によって開始されることができる。上記のように、電源145によって供給される電気外科用エネルギーは、高周波「RF」を含んでもよい。レバー128は、パッド1602の組織へのより良好な位置合わせ及び近接のために、細長いシャフト106に対するパッド支持体1602の制御を提供し得る。レバー128はあるいは、細長いシャフト107の遠位端の近位方向にある細長いシャフトの関節運動を制御する。
【0052】
本発明のこの実施形態は、所定の臨海温度レベルで、標的組織に電流/電力を供給する能力を提供する。これは組織に適用されるRFエネルギーが、PTCパッド1606がその選択される転換領域まで加熱される時点に到達する際に達成される。したがって、可撓性パッド1606を通じて導電性電極1604からの電流は、PTCの指数的増加により停止され、RFエネルギーの瞬間的かつ自動的な減少を提供する。したがって、エンドエフェクタ1600は、標的温度レベルを維持するために、積極的RF加熱と、受動的伝導加熱とにより、組織へのエネルギーの適用を自動的に調節し得る。様々な実施形態において、PTCパッド1606は、材料の特定の温度を超えると劇的な抵抗の増加を示すように作製される。エネルギー供給電極1604は、患者の体内に供給される。患者の体外に適用される接地パッドは、回路を閉じる。PTC材料1606は、「トリップ」し、一度選択されたトリップ温度を超過すると、実質的により抵抗性になるか、又は非導電性になる。図35に見られるように、エンドエフェクタの可撓性の性質は、エンドエフェクタが不規則な組織「T」に幾分一致することを可能にする。これらの様々な実施形態は、肝臓組織、肺組織、心臓組織、前立腺組織、乳房組織、血管組織などの組織を、これらの高周波を適用することによって治療するために使用され得る。装置は腹腔鏡又は開腹手術のために構成される。可撓性エンドエフェクタは、トロカールなどのアクセスポートを通じたアクセスを可能にするように設計され得る。更に、エンドエフェクタは、制御されたエネルギーを組織に、効果的に適用することができる。用語「制御された」とは、所定の臨海温度レベルにおいて、標的組織に電流/電力を提供する能力を指す。これは組織に適用されたRFエネルギーが、PTC材料が選択される転換領域まで加熱される時点に到達する際に達成され得る。その後、可撓性係合表面を通じた導電性電極からの電流が、PTCの指数的増加により停止され、RFエネルギーの瞬間的かつ自動的な減少を提供し得る。したがって、可撓性エンドエフェクタは、標的温度レベルを維持するために、積極的RF加熱と、受動的伝導加熱とにより、組織へのエネルギーの適用を自動的に調節し得る。
【0053】
図36及び図37は、以下に記載の差異を除き、上記のエンドエフェクタ1600と同様の別のエンドエフェクタ1600’を表す。図36に見られるように、エンドエフェクタシャフト106はヨーク109に取り付けられる。細長いシャフト106は、Ultem(登録商標)、Vectraなどの絶縁材料、又はステンレス鋼などの導電性材料から作製され得る。他の実施形態において、例えば、細長いシャフト106は、ポリオレフィン熱収縮管から作製され得る。ヨーク109は、エラストマー、例えば、ポリオレフィン、又は収縮材料、例えば、ポリ塩化ビニル(PVC)又はネオプレンなどから作製され得る。ヨーク109は、例えば、ポリカーボネート又は高いジュロ高度のシリコーンエラストマーから作製され得る剛性パッド部分1620に枢動可能に取り付けられる。剛性パッド部分1620は、エラストマー系接着剤又はオーバーモルドプロセスにより、可撓性パッド部分1622に取り付けられる。可撓性パッド部分1622は、ポリイソプレン又はシリコーンから作製され得る。可撓性パッド部分1622はまた、独立気泡又は開放気泡のネオプレン又はシリコーンフォームから作製されてもよい。図36に表される実施形態において、2つの電極1630(ステンレス鋼、銅などから作製され、導電性)が、例えば、エラストマー系接着剤により可撓性パッド部分1622に取り付けられ、細長いシャフト106及びハンドルを通じて延びる、ケーブルによってコントローラ及びRFエネルギー源に取り付けられる。1つの非限定的な実施形態において、2つの電極1630は、双極器具における、電気回路の電源及び帰路として機能し得る。別の非限定的な実施形態において、2つの電極が電気的に接続され、単極器具において、外部患者帰路を有する単一電源として機能し得る。他の実施形態において、可撓性パッド部分と実質的に同一の広がりを持ち得る、単一導電性電極が利用され得る。可撓性PTC部材1640は、例えば、接着剤によって電極1630に取り付けられるか、又は機械的に取り付けられてよい。この実施形態は、上記の方法で動作し得る。
【0054】
本明細書に開示された装置は、1回使用後に破棄されるように設計されてもよく、又は数回使用されるように設計されてもよい。ただし、いずれの場合にも、デバイスは、少なくとも1回使用後に再使用されるように再調整することができる。再調整には、装置を分解する工程、その後の特定の部品を洗浄又は交換する工程、及びその後の再組み立ての工程の組み合わせが含まれてもよい。詳細には、装置は、分解されてもよく、また装置の任意数の特定の部分又は部品が、任意の組み合わせで選択的に交換又は除去されてもよい。特定の部品の洗浄及び/又は交換の際、装置は、再調整施設において又は外科的処置の直前に外科チームによってのいずれかで後で使用するために再組み立てされてもよい。当業者は、装置の再調整が、分解、洗浄/交換及び再組み立てのための種々様々な技術を利用してもよいことを理解するであろう。そのような技術の使用及びその結果再調整された装置は全て、本出願の範囲内にある。
【0055】
好ましくは、本明細書に記載される装置の様々な実施形態は、外科処置の前に処理される。まず、新しい又は使用済みの器具を得て、必要に応じて洗浄する。次に、器具を滅菌することができる。1つの滅菌法では、プラスチック又はTYVEK(登録商標)バッグなどの、閉鎖かつ密閉された容器に器具を入れる。次いで容器及び器具を、ガンマ線、X線又は高エネルギー電子線などの、容器を貫通することができる放射線野の中に置く。この放射線によって器具上及び容器内の細菌が殺菌される。滅菌された器具は、その後、無菌容器内で保管することができる。密封容器は医療施設において開封されるまで器具を無菌状態に保つ。β線若しくはγ線、エチレンオキシド、及び/又は蒸気を含む他の滅菌技術を、当業者に既知の任意の数の方法によって実施することができる。
【0056】
全体又は部分において、本明細書に参照により組み込まれると称されるいずれの特許公報又は他の開示物も、組み込まれた事物が現行の定義、記載、又は本開示に記載されている他の開示物と矛盾しない範囲でのみ本明細書に組み込まれる。このように及び必要な範囲で、本明細書に明瞭に記載されている開示は、参照により本明細書に組み込んだ任意の矛盾する事物に取って代わるものとする。本明細書に参照により組み込むと称されているが現行の定義、記載、又は本明細書に記載されている他の開示物と矛盾するいずれの事物、又はそれらの部分は、組み込まれた事物と現行の開示事物との間に矛盾が生じない範囲でのみ組み込まれるものとする。
【0057】
〔実施の態様〕
(1) 電気外科用器具であって、
遠位端を有し、第1長手方向軸を画定する細長いシャフトと、
前記細長いシャフトの前記遠位端に動作可能に連結されるエンドエフェクタであって、前記エンドエフェクタは、
第1の細長い部分及び第1の湾曲した遠位端を有する第1ジョー、並びに
第2の細長い部分及び第2の湾曲した遠位端を有する第2ジョーを含む、エンドエフェクタとを含み、
前記第1ジョーの前記第1の細長い部分は、前記第2ジョーの前記第2の細長い部分に可動に連結され、前記第1及び第2の細長い部分は、前記第1長手方向軸からオフセットされた第2軸を画定する、電気外科用器具。
(2) 前記細長いシャフトは、細長い設置面積を画定し、前記第1及び第2ジョーは、前記設置面積を超えて横方向に突出しない、実施態様1に記載の電気外科用器具。
(3) 開放位置と閉鎖位置との間で前記第1ジョー及び第2ジョーを枢動させるように、前記第1及び第2ジョーに動作可能に係合するように構成された軸方向に並進可能な往復部材を更に含む、実施態様1に記載の電気外科用器具。
(4) 前記軸方向に並進可能な往復部材は弾性合金から作製される、実施態様3に記載の電気外科用器具。
(5) 前記軸方向に並進可能な往復部材が、
遠位端を有する中央ウェブ部分と、
前記中央ウェブ部分に取り付けられた第1フランジと、
前記第1フランジから離れて、前記中央ウェブ部分に取り付けられた第2フランジとを含む、実施態様3に記載の電気外科用器具。
(6) 前記第1及び第2フランジのそれぞれに、複数の切り取り部分を更に含む、実施態様5に記載の電気外科用器具。
(7) 前記軸方向に並進可能な往復部材の遠位端に組織切断部分を更に含む、実施態様5に記載の電気外科用器具。
(8) 前記組織切断部分が、前記第1フランジと前記第2フランジとの間に延びるワイヤを含む、実施態様7に記載の電気外科用器具。
(9) 外科用器具であって、
長手方向軸を画定する細長いシャフトと、
前記細長いシャフトの遠位端に動作可能に支持されるエンドエフェクタであって、前記エンドエフェクタは、
前記細長いシャフトと同軸上で位置合わせされる第1近位部を有する第1ジョー、
前記細長いシャフトと同軸上で位置合わせされる第2近位部を有する第2ジョーであって、前記第1及び第2ジョーは、開放位置と閉鎖位置との間で選択的に可動である、第2ジョー、並びに
前記第1ジョーの少なくとも1つの他の部分と、前記第2ジョーの少なくとも1つの他の部分を、前記細長いシャフトとの軸方向の位置合わせから外すように、選択的に移動させるために、前記第1及び第2ジョーと相互作用する作動システムを含む、エンドエフェクタとを含む、外科用器具。
(10) 前記第1ジョーは、一緒に積層される材料の複数の第1層から形成され、前記第2ジョーは、一緒に積層される前記材料の別の複数の第2層から形成される、実施態様9に記載の外科用器具。
【0058】
(11) 前記第1ジョーは、少なくとも1つの第1エネルギー供給表面を有し、前記第2ジョーは、少なくとも1つの第2エネルギー供給表面を有する、実施態様10に記載の外科用器具。
(12) 前記作動システムが、
少なくとも1つの第1ケーブルであって、そこに第1牽引運動を適用することによって、前記第1ジョーの前記少なくとも1つの他の部分及び前記第2ジョーの前記少なくとも1つの他の部分を、前記細長いシャフトとの軸方向の位置合わせから外すように第1方向に移動させるための、前記第1及び第2ジョーそれぞれに対応する、少なくとも1つの第1ケーブルと、
少なくとも1つの第2ケーブルであって、そこに第2牽引運動を適用することによって、前記第1ジョーの前記少なくとも1つの他の部分及び前記第2ジョーの前記少なくとも1つの他の部分を、前記細長いシャフトとの軸方向の位置合わせから外すように第2方向に移動させるための、前記第1及び第2ジョーそれぞれに対応する、少なくとも1つの第2ケーブルとを含む、実施態様9に記載の外科用器具。
(13) 開放位置と閉鎖位置との間で前記第1及び第2ジョーを枢動させるように、前記第1及び第2ジョーに動作可能に係合するように構成された軸方向に並進可能な往復部材を更に含む、実施態様9に記載の電気外科用器具。
(14) 前記第1ジョーは複数の可動に相互接続された第1本体区分を含み、各前記相互接続された第1本体区分は、内部に第1エネルギー供給電極を有し、前記第2ジョーは複数の可動に相互接続された第2本体区分を含み、各前記相互接続された第2本体区分は、内部に第2エネルギー供給電極を有する、実施態様9に記載の外科用器具。
(15) 電気外科用器具であって、
第1幅及び第1遠位端を有する第1ジョー本体を有する第1ジョーであって、前記第1ジョーは、第1導電性組織係合表面を有する、第1ジョーと、
第2幅及び第2遠位端を有する第2ジョー本体を有する第2ジョーであって、前記第2ジョーは、第2導電性組織係合表面を有する、第2ジョーと、
前記第1及び第2幅未満の先端部幅を有し、前記第1及び第2遠位端の少なくとも一方から遠位方向に突出する遠位先端部部材とを含む、電気外科用器具。
(16) 前記遠位先端部部材が、
前記第1遠位端から遠位方向に突出する第1遠位先端部部材と、
前記第2遠位端から遠位方向に突出する第2遠位先端部部材とを含む、実施態様15に記載の電気外科用器具。
(17) 前記遠位先端部部材が、前記第1及び第2遠位端の前記少なくとも一方に可動に連結される、実施態様15に記載の電気外科用器具。
(18) 前記少なくとも1つの遠位先端部部材がその上に繊維材料を有する、実施態様15に記載の電気外科用器具。
(19) 電気外科用器具であって、
第1テーパ状遠位端部及び第1導電性組織係合表面を有する第1ジョーと、
第2テーパ状遠位端部を有する第2ジョーであって、前記第1及び第2ジョーは、開放位置と閉鎖位置との間で選択的に可動であり、前記第1及び第2ジョーが閉鎖位置にあるときに、前記第1テーパ状端部及び前記第2テーパ状端部が収束して実質的に円錐形のエンドエフェクタ先端部を形成し、前記第2ジョーは、第2導電性組織係合表面を有する、第2ジョーと、
前記第1及び第2ジョー内で軸方向に往復移動するように支持された軸方向に並進可能な往復部材であって、前記軸方向に並進可能な往復部材が、
前記第1ジョーと軸方向に可動に係合するように構成された第1フランジであって、前記第1フランジは第1最遠位縁部を有する、第1フランジ、
中央ウェブ部分によって前記第1フランジに連結される第2フランジであって、前記第2フランジは前記第2ジョーと軸方向に可動に係合するように構成され、前記第1フランジの前記第1最遠位縁部を超えて遠位方向に突出する第2最遠位縁部を有する、第2フランジ、並びに
前記第2最遠位縁部から前記第1最遠位縁部に延びる前記中央ウェブの遠位端上に形成される切断縁部を含む、軸方向に並進可能な往復部材とを含む、電気外科用器具。
(20) 前記切断縁部が、その横方向側部から見た際に弓状の外形を有する、実施態様19に記載の電気外科用器具。
【0059】
(21) 外科用器具であって、
ハンドルと、
前記ハンドルに連結された細長いシャフトであって、前記細長いシャフトの少なくとも一部は、3方向以上に選択的に可動である、細長いシャフトと、
前記細長いシャフトに連結されたエンドエフェクタとを含む、外科用器具。
(22) 前記細長いシャフトの前記少なくとも一部が、3つ以上の枢動可能に相互接続されたスパイン区分を有する、実施態様21に記載の外科用器具。
(23) 前記細長いシャフトの前記少なくとも一部を3方向以上に動かすために、そこに選択的に作動運動を適用するために、前記細長いシャフトの前記少なくとも一部に連結された複数の作動部材を更に含む、実施態様22に記載の外科用器具。
(24) 前記作動部材の少なくとも2つが、高周波エネルギー源から前記エンドエフェクタに高周波エネルギーを伝達するために、導電体を含む、実施態様23に記載の外科用器具。
(25) 電気外科用器具であって、
細長いシャフトと、
前記細長いシャフトの遠位端に可動に連結される可撓性電極アセンブリとを含む、電気外科用器具。
(26) 前記可撓性電極アセンブリが、
前記細長いシャフトの前記遠位端に枢動可能に取り付けられたパッド支持体と、
前記パッド支持体に取り付けられ、電気エネルギー源と連絡する可撓性電極パッド部材とを含む、実施態様25に記載の電気外科用器具。
(27) 前記電極アセンブリが、正の温度係数の材料を含む、実施態様25に記載の電気外科用器具。
(28) 前記電極パッド部材が、正の温度係数の材料を含む、実施態様26に記載の電気外科用器具。
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