特許第5784734号(P5784734)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5784734外科用器具及び電池のための電池制御構成
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5784734
(24)【登録日】2015年7月31日
(45)【発行日】2015年9月24日
(54)【発明の名称】外科用器具及び電池のための電池制御構成
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/32 20060101AFI20150907BHJP
   A61B 17/072 20060101ALI20150907BHJP
   A61B 17/28 20060101ALI20150907BHJP
   A61B 18/00 20060101ALI20150907BHJP
   A61B 18/12 20060101ALI20150907BHJP
【FI】
   A61B17/32
   A61B17/10 310
   A61B17/28
   A61B17/36 330
   A61B17/39
【請求項の数】10
【全頁数】42
(21)【出願番号】特願2013-529262(P2013-529262)
(86)(22)【出願日】2011年9月13日
(65)【公表番号】特表2013-540487(P2013-540487A)
(43)【公表日】2013年11月7日
(86)【国際出願番号】US2011051357
(87)【国際公開番号】WO2012037096
(87)【国際公開日】20120322
【審査請求日】2014年9月12日
(31)【優先権主張番号】12/884,995
(32)【優先日】2010年9月17日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】595057890
【氏名又は名称】エシコン・エンド−サージェリィ・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Ethicon Endo−Surgery,Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】カー・ウェンディ・エイ
(72)【発明者】
【氏名】シュエムバーガー・リチャード・エフ
(72)【発明者】
【氏名】ラインバック・リチャード・エル
(72)【発明者】
【氏名】スウェンスガード・ブレット・イー
【審査官】 沼田 規好
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−090113(JP,A)
【文献】 特開2000−107189(JP,A)
【文献】 特開2004−319304(JP,A)
【文献】 特開平06−036757(JP,A)
【文献】 特表2000−509883(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/32
A61B 17/072
A61B 17/28
A61B 18/00
A61B 18/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外科用器具であって、
エンドエフェクタと、
前記エンドエフェクタに動作可能に連結されるハンドルであって、前記ハンドルは、前記エンドエフェクタを作動させるためのトリガーを含み、前記ハンドルが電池ドックを含む、ハンドルと、
突出部材を含む前記電池ドックと、
前記電池ドックに取り付け可能な電池ユニットであって、前記電池ユニットは、前記電池ドックに取り付けられる際に前記ハンドル及び前記エンドエフェクタの少なくとも一方と電気的に接触する、電池ユニットとを含み、前記電池ユニットは、
ケース、
前記ケース内に位置付けられた第1アノード及び第1カソード、並びに
並進可能な放電ドレーンであって、前記電池ユニットを前記電池ドックに取り付ける際に、前記突出部材が前記放電ドレーンと接触し、前記放電ドレーンが、前記ケースに対して並進して、前記電池ユニットの前記第1アノードを前記電池の前記第1カソードへと電気的に連結する、放電ドレーンを含む、外科用器具。
【請求項2】
前記放電ドレーンが、第1接触子及び第2接触子と、前記第1接触子及び前記第2接触子に電気的に連結された少なくとも1つの抵抗素子とを含み、前記電池ユニットを前記電池ドックに取り付ける際に、前記放電ドレーンは、前記第1アノードを、前記少なくとも1つの抵抗素子を通じて前記第1カソードに電気的に連結する、請求項1に記載の外科用器具。
【請求項3】
前記少なくとも1つの抵抗素子は、約90Ω〜約110Ωの範囲の抵抗値を有する、請求項2に記載の外科用システム。
【請求項4】
前記電池ユニットが、前記ケース内に位置付けられた第2アノード及び第2カソードを含み、前記電池ユニットを前記電池ドックに取り付ける際に、前記放電ドレーンが前記第2アノードを前記第2カソードに電気的に連結する、請求項1に記載の外科用器具。
【請求項5】
前記エンドエフェクタは、カッター、把持具、ステープラー、RF器具、超音波器具及びレーザー器具からなる群から選択される少なくとも1つの器具を含む、請求項1に記載の外科用器具。
【請求項6】
前記電池ユニットが、CR123単電池及びCR2単電池からなる群から選択される少なくとも1つの単電池を含む、請求項1に記載の外科用器具。
【請求項7】
外科用システムであって、
電池区画を含む外科用器具と、
前記電池区画に近接するように位置付けられた突出部材と、
電池ユニットとを含み、前記電池ユニットは、
ケース、
前記ケース内に位置付けられる複数の単電池であって、前記複数の単電池の少なくとも一部が互いに電気的に接続されない、複数の単電池、
開放位置及び閉鎖位置を有する放電スイッチであって、前記閉鎖位置にあるとき、前記放電スイッチは前記電池ユニットのアノードを、前記電池ユニットのカソードに電気的に連結し、前記放電スイッチは前記閉鎖位置へと機械的に付勢され、前記放電スイッチは、前記ケースの非導電性部分によって前記開放位置に保持され、前記放電スイッチは、前記電池ユニットを前記外科用器具の前記電池区画内に取り付ける際に、前記突出部材によって前記閉鎖位置へと並進される、放電スイッチを含む、外科用システム。
【請求項8】
前記エンドエフェクタが、カッター、把持部、ステープラー、RF封止器具、及び超音波器具からなる群から選択される少なくとも1つの器具を含む、請求項7に記載の外科用システム。
【請求項9】
前記放電スイッチは、前記電池ユニットを前記外科用器具の前記電池区画内に取り付ける際に、前記ケースの前記非導電性部分に対して並進する、請求項7に記載の外科用システム。
【請求項10】
前記ケースの前記非導電性部分が、非導電性指部を含む、請求項9に記載の外科用システム。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
ますます多くの外科用器具が1つ以上の電池単電池で駆動されるようになっている。このような器具は、様々な電気で駆動する器具を含み、様々な外科的環境で使用され得る。電池駆動外科用器具は、例えば、カッター、把持具及び/又はステープラーなどのモーター駆動器具を含み得る。電池駆動外科用器具はまた、例えば、RFカッター/凝固器具、超音波カッター/凝固器具、及び/又はレーザーカッター/凝固器具などの、非モーター駆動器具を含み得る。電池駆動器具はまた、現在、例えば、内視鏡環境、腹腔鏡環境、開腹環な、異なる外科的環境において使用されている。
【0002】
電池駆動式外科用器具は多くの場合において一次単電池を使用し、これは予め充電されており、多くの場合において1回の放電(例えば、単回使用)を意図される。単一の放電単電池は、単電池の再殺菌、及び再充電に伴う困難を回避する。しかしながら、一次電池は、輸送、保管及び廃棄に関する課題を提示する。例えば、充電した単電池は、一度しか使われていない場合があり、かなりの量の電荷が残っているため、適切に放電されないと有害な廃棄物を生じる場合がある。危険性を緩和するため、法律は、電池が輸送及び廃棄される際の状態に関し、多くの規則を有する。大量のエネルギーが保存される単電池及び電池は、より厳しく、かつより高価である場合が多い安全性手段によって、輸送、保存及び廃棄されることを必要とする。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
様々な実施形態が、エンドエフェクタと、エンドエフェクタに動作可能に連結されたハンドルとを含む、外科用器具を対象とし得る。ハンドルは、エンドエフェクタを作動させるためのトリガー、及び突出部材を有する電池ドックを有し得る。外科用器具は、電池ドックに取り付け可能な電池ユニットを含んでもよく、電池ユニットは電池ドックに取り付けられる際にハンドル及びエンドエフェクタの少なくとも一方と電気的に接触する。電池ユニットは、ケース、及びケース内に位置付けられた第1アノード及び第1カソードを含む。電池ユニットはまた並進可能な放電ドレーンを有してもよく、電池ユニットを電池ドックに取り付ける際に、突出部材が放電ドレーンと接触し、放電ドレーンがケースに対して並進して、電池ユニットの第1アノードを電池の第1カソードへと電気的に連結する。
【0004】
また、様々な実施形態は、電池区画を有する外科用器具を対象とし得る。外科用器具は、電池ユニットの電池区画の付近に位置付けられる突出部材を有し得る。電池ユニットは、ケース、及びケース内に位置付けられた複数の単電池を含んでもよく、複数の単電池の少なくとも一部は、互いに電気的に接続されていない。電池ユニットは、開放位置及び閉鎖位置を有する放電スイッチを有してもよく、閉鎖位置にあるとき、放電スイッチは、電池ユニットのアノードを電池ユニットのカソードに電気的に連結する。放電スイッチは閉鎖位置へと機械的に付勢され、放電スイッチはケースの非導電性部分により開放位置に保持される。放電スイッチは、電池ユニットを外科用器具の電池区画内に取り付ける際に、突出部材により閉鎖位置へと並進され得る。
【0005】
加えて、様々な実施形態は、電池ドックを有する外科用装置を有する外科用システムを対象とし得る。外科用システムはまた電池ユニットを有してもよく、電池ユニットは、第1群及び第2群の単電池、この第1群及び第2群の単電池に近接するように位置付けられた並進可能な電池ドレーンを有する。並進可能な電池ドレーンは第1セット及び第2セットの接触子を有してもよく、第1位置において、第1セット及び第2セットの接触子は、第1群及び第2群の単電池に電気的に連結しない。第2位置において、第1セットの接触子は第1群の単電池に電気的に連結され、第2セットの接触子は、単電池の第2群に電気的に連結する。並進可能な電池ドレーンは、電池ユニットを電池ドックに取り付けた際に、第1位置から第2位置へと並進してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0006】
様々な実施形態の特徴が、特許請求の範囲で詳細に示される。ただし、構成及び操作方法の両方に関する様々な実施形態は、それらの利点と共に、以下の説明を以下の添付図面と併せて参照すれば最もよく理解することができる。
図1】外科用切断及び締結器具の一実施形態の斜視図。
図2】外科用切断及び締結器具の一実施形態の斜視図。
図3図1及び図2の外科用切断及び締結器具のエンドエフェクタの一実施形態の分解図。
図4図1及び図2の外科用切断及び締結器具のエンドエフェクタ及びシャフトの一実施形態の分解図。
図5図1及び図2の外科用切断及び締結器具のエンドエフェクタ及びシャフトの一実施形態の分解図。
図6図1及び図2の外科用切断及び締結器具のエンドエフェクタの一実施形態の側面図。
図7】モーター駆動エンドカッターの一実施形態の分解図。
図8図7のエンドカッターのハンドルの一実施形態の部分斜視図。
図9図7のエンドカッターのハンドルの一実施形態の部分斜視図。
図10図7のエンドカッターのハンドルの一実施形態の側面図。
図11】外科用切断及び締結器具の電気回路の一実施形態の概略図。
図12】電動補助モーター式エンドカッターの一実施形態のハンドルの側面図。
図13】電動補助モーター式エンドカッターのハンドルの側面図。
図14】閉鎖トリガー固定機構の一実施形態。
図15】閉鎖トリガー固定機構の一実施形態。
図16】閉鎖トリガー固定機構の別の実施形態。
図17】閉鎖トリガー固定機構の別のジッジ形態。
図18】閉鎖トリガー固定機構の別のジッジ形態。
図19】閉鎖トリガー固定機構の別のジッジ形態。
図20】閉鎖トリガー固定機構の別のジッジ形態。
図21】閉鎖トリガー固定機構の別のジッジ形態。
図22】閉鎖トリガー固定機構の別のジッジ形態。
図23A】外科用器具の関節点に利用され得る自在継ぎ手(「u継ぎ手」)の一実施形態。
図23B】外科用器具の関節点に利用され得る自在継ぎ手(「u継ぎ手」)の一実施形態。
図24A】外科用器具の関節点に利用され得る捻れケーブルの一実施形態。
図24B】外科用器具の関節点に利用され得る捻れケーブルの一実施形態。
図25】電動補助を有するモーター式2ストローク外科用切断及び締結器具の別の実施形態。
図26】電動補助を有するモーター式2ストローク外科用切断及び締結器具の別の実施形態。
図27】電動補助を有するモーター式2ストローク外科用切断及び締結器具の別の実施形態。
図28】電動補助を有するモーター式2ストローク外科用切断及び締結器具の別の実施形態。
図29】電動補助を有するモーター式2ストローク外科用切断及び締結器具の別の実施形態。
図30】電動補助を有するモーター式2ストローク外科用切断及び締結器具の別の実施形態。
図31】電動補助を有するモーター式2ストローク外科用切断及び締結器具の別の実施形態。
図32】電動補助を有する2ストロークモーター式外科用切断及び締結器具の別の実施形態。
図33】電動補助を有する2ストロークモーター式外科用切断及び締結器具の別の実施形態。
図34】電動補助を有する2ストロークモーター式外科用切断及び締結器具の別の実施形態。
図35】電動補助を有する2ストロークモーター式外科用切断及び締結器具の別の実施形態。
図36】電動補助を有する2ストロークモーター式外科用切断及び締結器具の別の実施形態。
図37】こうした触覚的位置フィードバックシステムを備えたモーター駆動式外科用切断及び締結器具の一実施形態。
図38】こうした触覚的位置フィードバックシステムを備えたモーター駆動式外科用切断及び締結器具の一実施形態。
図39】こうした触覚的位置フィードバックシステムを備えたモーター駆動式外科用切断及び締結器具の一実施形態。
図40】こうした触覚的位置フィードバックシステムを備えたモーター駆動式外科用切断及び締結器具の一実施形態。
図41】走行モーターセンサーとして使用され得る、可変センサーの一実施形態の2つの状態。
図42】走行モーターセンサーとして使用され得る、可変センサーの一実施形態の2つの状態。
図43】明確性のために様々な要素が省かれた、外科用器具の部分断面図。
図44A】様々な動作状態における、固定カム。
図44B】様々な動作状態における、固定カム。
図45A】様々な動作段階における、固定カム及びギア。
図45B】様々な動作段階における、固定カム及びギア。
図45C】様々な動作段階における、固定カム及びギア。
図46】外科用器具の一実施形態。
図47A】電池ユニットの器具に対する取り付け及び取り外しの概略図。
図47B】電池ユニットの器具に対する取り付け及び取り外しの概略図。
図47C】電池ユニットの器具に対する取り付け及び取り外しの概略図。
図48】1つの非限定的な実施形態により、器具への取り付け時から測定した、経時的な電池ユニットの電圧レベルのグラフ。
図49A】ドレーンを含む電池ユニットの単純化した回路図の一実施形態。
図49B】ドレーンを含む電池ユニットの単純化した回路図の別の実施形態。
図50】第1ドレーン及び第2ドレーンを含む電池ユニットの単純化した回路図の一実施形態。
図51】電池ユニットの一実施形態の斜視図。
図52】電池ユニットの一実施形態の斜視図。
図53】電池ユニットの一実施形態の斜視図。
図54A】並進可能なドレーンを含む、電池ユニットの一実施形態の断面図。
図54B】並進可能なドレーンを含む、電池ユニットの一実施形態の断面図。
図55】ドレーンの一実施形態の斜視図。
図56】明確性のために様々な構成要素が省かれた、電池ドックに取り付けられた電池ユニット。
図57A】明確性のために様々な構成要素が省かれた、電池ユニット。
図57B】明確性のために様々な構成要素が省かれた、電池ユニット。
図58A】明確性のために様々な構成要素が省かれた、電池ユニット。
図58B】明確性のために様々な構成要素が省かれた、電池ユニット。
図59】単一の単電池ユニットの一実施形態の斜視図。
図60A】明確性のために様々な構成要素が省かれた、様々な動作段階にける図59の電池ユニットの内部図。
図60B】明確性のために様々な構成要素が省かれた、様々な動作段階にける図59の電池ユニットの内部図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
様々な実施形態が、輸送、保管及び廃棄を容易にするための特徴を含む、電池駆動式外科用器具及び電池を対象としている。例えば、一実施形態により、電池ユニットは、空洞を画定するケース内に少なくとも1つの単電池を含み得る。電池ユニットは、空洞に隣接するように位置付けられた並進可能な放電ドレーンを有し得る。ドレーンは開放位置と閉鎖位置との間で可動であり得る。電池ユニットと使用するための外科用器具は、電池ドック、電池区画又は他の電池受容部分を含んでもよく、これは、電池ユニットの空洞に受容される突出部を含む。外科用器具の取り付けの前に、放電ドレーンは、開放位置にあり得る。電池ユニットを外科用器具に取り付ける際に、突出部は放電ドレーンに接触し、ケースに対してドレーンを並進させてもよい。その閉鎖位置に移動された際に、放電ドレーンは、例えば、電池ユニットのアノードと電池ユニットのカソードと抵抗素子との間に放電回路を形成し得る。取り付け時から、放電回路は電池ユニットからエネルギーを放出する。いくつかの実施形態において、電池ユニットは、例えば、約24時間後にほぼ放電するか又は完全に放電する。一般的に、放電ドレーンの使用は、電池ユニットの電圧レベルが、廃棄のために許容可能なレベル、又はそれ以下であることを確実にする。
【0008】
単電池、電池、電池ユニット及び関連する外科用器具の実施形態を記載する前に、電池駆動式外科用器具の代表的な実施形態の詳細な説明が提供される。本明細書において記載される外科用器具は、切断及びステープリングのためのモーター式器具を含むが、本明細書において記載される電池構成は、例えば、カッター、把持具、ステープラー、RFカッター/凝固器具、超音波カッター/凝固器具、レーザーカッター/凝固器具などの、任意の種類の電気外科用器具と共に使用され得ることが理解される。
【0009】
図1及び図2は外科用切断及び締結器具10の一実施形態の斜視図である。図に示した実施形態は内視鏡器具であり、一般に本願で述べる器具10の実施形態は内視鏡型の外科用切断及び締結器具である。しかしながら、他の実施形態により、この器具は、非内視鏡外科用切断及び締結器具、例えば、腹腔鏡用又は開腹式外科用器具であってもよいことに留意すべきである。
【0010】
図1及び2に示されるこの外科用器具10は、ハンドル6、シャフト8及びシャフト8の関節運動旋回軸14の位置で枢動可能に接続される関節運動するエンドエフェクタ12とを含む。関節運動制御部16がハンドル6に隣接して設けられることにより、エンドエフェクタ12を、関節運動枢動点14を中心として回転させることができる。図示された実施形態では、エンドエフェクタ12は、組織をクランプし、切断し、ステープルするためのエンドカッターとして機能するように構成されるが、他の実施形態において、把持具、カッター、ステープラー、クリップ用具、アクセスデバイス、薬物/遺伝子治療デバイス、超音波、及びRFデバイス又はレーザーデバイスなどの、異なる種類の手術用デバイスのエンドエフェクタが使用され得る。
【0011】
器具10のハンドル6は、エンドエフェクタ12を関節運動させるための閉鎖トリガー18及び発射トリガー20を含むことができる。異なる手術任務を指向するエンドエフェクタを有する器具が、エンドエフェクタ12を操作するための、異なる数又は種類のトリガー若しくは他の適切な制御機器を持ち得ることが理解されるであろう。このエンドエフェクタ12は好適には細長いシャフト8によりハンドル6から分離されて示されている。一実施形態では、臨床医又は器具10の操作者は、本願に援用する2006年1月10日出願の同時係属中の米国特許出願第11/329,020号、表題「Surgical Instrument Having An Articulating End Effector」(Geoffrey C. Hueilら)により詳細に述べられるようにして、関節運動制御部16を利用することによってシャフト8に対してエンドエフェクタ12の関節を動かすことができる。
【0012】
この実施例においては、このエンドエフェクタ12は、他のものと共にステープル溝22及びアンビル24などの枢動可能に平行移動可能なクランピング部材を含み、これらはエンドエフェクタ12によりクランプされた組織の効果的なステープリングと切断を確保するために必要な間隔で保持されている。ハンドル6はピストル把持部26を有し、臨床医がピストル把持部26の方向に閉鎖トリガー18を旋回させて引き寄せてアンビル24をエンドエフェクタ12のステープル溝22の方向に締める、又は閉じることによってアンビル24と溝22との間に位置する組織を挟み込むことができる。発射トリガー20は閉鎖トリガー18の外側に設けられている。下記に更に述べるように、閉鎖トリガー18が閉鎖位置に固定されると、発射トリガー20はピストル把持部26の方向にわずかに回転して操作者が片手で操作できるようになる。次いでオペレーターは、エンドエフェクタ12によりクランプされた組織のステープリング及び切断を引き起こすために、発射トリガー20をピストル把持部26に向けて枢動可能に引くことができる。他の実施形態では、アンビル24に加えて、例えば対向するジョーなどの、異なった種類のクランピング部材を用い得る。
【0013】
「近位側」及び「遠位側」という用語は、本願では臨床医が器具10のハンドル6を握ることについて用いられる点は認識されるであろう。エンドエフェクタ12は、より近位のハンドル部分6に対して遠位である。便宜上、また説明を明確にするため、本願では「垂直」及び「水平」といった空間的な用語を図面に対して使用する点も更に認識されるであろう。しかしながら、手術器具は、多くの配向及び配置において使用され、これらの用語は、制限的及び絶対的であることが意図されない。
【0014】
閉鎖トリガー18を最初に作動することができる。臨床医がエンドエフェクタ12の位置決めに満足すると、臨床医は閉鎖トリガー18をピストル把持部26の近位の完全閉鎖された係止位置に引き戻すことができる。次いで、発射トリガー20が作動され得る。下記により詳細に述べるように発射トリガー20は、臨床医が圧力を除くと開放位置(図1及び2に示される)に戻る。ハンドル6上の、及びこの実施例においてはハンドル6のピストル把持部26上にある解放ボタン160は、押圧された際に、固定された閉鎖トリガー18を解放することができる。
【0015】
図3は、エンドエフェクタ12の一実施形態の分解図である。図示された実施形態に示されるように、エンドエフェクタ12は上述の溝22及びアンビル24に加えて、切断用器具32、スレッド(sled)33、溝22に着脱自在に位置するステープルカートリッジ34、及び螺旋形ねじシャフト36を含み得る。切断用器具32は、例えばメスであってよい。アンビル24は旋回点25において旋回可能に溝22の近位端に接続され得る。アンビル24は、アンビル24を開閉するために機械的閉鎖システム(下記に詳述する)の特定の要素に挿入されるタブ27を近位端に更に有してもよい。閉鎖トリガー18が作動されるときに、即ち器具10のユーザーにより引かれるときに、アンビル24は旋回点25の中心としてクランプ又は閉鎖位置に向かって旋回することができる。エンドエフェクタ12の締め付けが充分である場合、操作者が発射トリガー20を作動させると、下記により詳細に説明するようにナイフ32及びスレッド33が溝22に沿って長手方向に移動してエンドエフェクタ12内に挟まれた組織を切断する。溝22に沿ったスレッド33の運動はステープルカートリッジ34のステープルの切断された組織を貫通して閉鎖されたアンビル24に向かう駆動を引き起こし、これによりステープルが曲げられて切断された組織が固定される。参照によりその全体が本願に組み込まれる、米国特許第6,978,921号、表題「Surgical Stapling Instrument Incorporating An E−Beam Firing Mechanism」は、かかる2ストロークの切断及び固定器具についてより詳細に記載している。様々な実施形態により、スレッド33は、カートリッジ34の一体部分であり得、それにより、ナイフ32が切断動作に伴って後退する際に、スレッド33は後退しない。
【0016】
本明細書に記載される器具10の実施形態は、切断された組織を固定するエンドエフェクタ12を使用しているが、他の実施形態では切断された組織の異なる固定又は密閉の技術が用いられ得ることに注意されたい。例えば、切断された組織の固定にラジオ波のエネルギー又は接着剤を用いるエンドエフェクタも用いることができる。本明細書において参照として組み込まれる、米国特許第5,810,811号、表題「Electrosurgical Hemostatic Device」は、切断した組織を締結するためにRFエネルギーを使用する切断器具を開示する。米国特許出願第11/267,811号、表題「Surgical Stapling Instruments Structured For Delivery Of Medical Agents」及び米国特許出願第11/267,383号、表題「Surgical Stapling Instruments Structured For Pump−Assisted Delivery Of Medical Agents」(双方とも本明細書において参照により組み込まれる)は、切断した組織を締結するために接着剤を使用する切断器具を開示する。したがって、本願の説明文は下記に述べるような切断/ステープリング動作などに関するものであるが、これは例示的な実施形態であって限定を目的としたものではない点は認識されるはずである。他の組織固定技術も用い得る。
【0017】
図4及び図5は、エンドエフェクタ12及びシャフト8の一実施形態の分解図であり、図6はその側面図である。図の実施形態に示されるように、シャフト8は、旋回連結要素44によって旋回可能に連結された近位側の閉鎖管40及び遠位側の閉鎖管42を有し得る。遠位側閉鎖管42は開口部45を有し、下記に詳述するように開口部45内にアンビル24のタブ27が挿入されることでアンビル24が開閉される。閉鎖管40、42の内部には近位側脊柱管46が配置され得る。近位側脊柱管46の内部には、ベベルギア・アセンブリ52を介して第2の(又は近位側)駆動シャフト50と連動した主回転(又は近位側)駆動シャフト48が配置され得る。第2の駆動シャフト50は、螺旋状ネジシャフト36の近位側駆動ギア56と噛み合う駆動ギア54に連結されている。発射トリガー20の作動によって主駆動シャフト48が(下記により詳しく説明するように)回転させられると、ベベルギア・アセンブリ52a〜cが第2駆動シャフト50を回転させ、これにより、駆動ギア54、56の係合により螺旋状ねじシャフト36が回転し、これによりナイフ/スレッド駆動部材32がチャネル22に沿って長手方向に移動してエンドエフェクタ12内でクランプされたいずれかの組織を切断する。垂直ベベルギア52bは近位側脊柱管46の遠位端の開口部57内に位置し、開口部57内で旋回し得る。遠位側脊柱管58は、第2の駆動シャフト50及び駆動ギア54、56を収容するために用いられる。主駆動シャフト48、第2の駆動シャフト50、及び関節アセンブリ(例、ベベルギア・アセンブリ52a〜c)は本願ではまとめて「主駆動シャフトアセンブリ」と呼ぶ場合がある。
【0018】
ベアリング38は、螺旋形駆動ねじ36にねじ付けされている。ベアリング36はまたナイフ32に接続される。螺旋形駆動ねじ36が前方に回転すると、ベアリング38は螺旋形駆動ねじ36を遠位方向に貫通し、切断器具32、及びこのプロセスにおいてスレッド33を駆動して切断/ステープリング動作を実行する。スレッド33は例えばプラスチックで形成すればよく、傾斜した遠位面を有し得る。スレッド33がチャネル22を移動するにしたがって、傾斜した前面がステープルカートリッジ34内のステープルを、クランプされた組織を貫通してアンビル24に対して押し上げる、即ち駆動することができる。アンビル24がステープルを折り曲げることによって、切断された組織をステープル締結する。ナイフ32が後退すると、ナイフ32とスレッド33とが分離し、これによりスレッド33は溝22の遠位端に残される。
【0019】
ある状況では、切断/ステープリング操作におけるユーザーフィードバックの欠如のために、単にボタンを押して切断/ステープリング操作が作動されるモーター駆動外科用器具は医師による一般的な許容性を欠く。対称的に、様々な実施形態が、エンドエフェクタ内の切断器具の展開、力、及び/又は位置のユーザーフィードバックを有する、モーター駆動エンドカッターを提供し得る。
【0020】
図7〜10は、モーター駆動のエンドカッター、及び特にそのハンドル6の一実施形態を例示し、これはエンドエフェクタにおける切断器具の展開及び荷重力に関するユーザーフィードバックを提供する。更に、本実施形態は、装置に電力供給するために発射トリガー20を後退させるうえでユーザーによって与えられる力を利用することができる(いわゆる「パワーアシスト」モード)。図の実施形態に示されるように、ハンドル6は互いに嵌合してハンドル6の外面を形成する外部下側側面部材59、60及び外部上側側面部材61、62を有する。リチウムイオン電池などの電池64は、電池ドック63内に提供され得る。いくつかの実施形態において、電池64は、ハンドル6のピストル把持部26内に提供される。電池64は、互いに接続された多数の電池を含むものとして例示されるが、いくつかの実施形態においては、電池64は単一の単電池を含み得ることが理解される。電池64は、ハンドル6のピストル把持部26の上方部分内に配置されるモーター65を駆動し得る。様々な実施形態によると、モーター65は、およそ5000RPMの最大回転数を有するDCブラシ付き駆動モーターであってもよい。モーター65は、第1のベベルギア68と第2のベベルギア70とを備える90°ベベルギア・アセンブリ66を駆動することができる。ベベルギア・アセンブリ66は、遊星ギアアセンブリ72を駆動し得る。遊星ギアアセンブリ72は駆動シャフト76に連結されたピニオンギア74を含み得る。ピニオンギア74は、駆動シャフト82を介して螺旋状ギアドラム80を駆動する、係合するリングギア78を駆動し得る。リング84を螺旋状ギアドラム80上に螺着することができる。したがって、モーター65が回転すると、リング84が、挿置されたベベルギア・アセンブリ66、遊星ギアアセンブリ72、及びリングギア78によって、螺旋状ギアドラム80に沿って移動される。
【0021】
ハンドル6は、操作者によってハンドル6のピストル把持部26の方向に発射トリガー20が引き込まれた(又は「閉じられた」)ことを検知することによってエンドエフェクタ12による切断/ステープル締結動作を作動する、発射トリガー20と連絡した走行モーターセンサー110を更に有してもよい。センサー110は、例えば、可変抵抗器(rheostat)若しくは可変抵抗器(variable resistor)などの、比例センサーであってよい。発射トリガー20が引き込まれると、センサー110がこの運動を検出し、モーター65に供給される電圧(又は出力)を示す電気信号を送る。センサー110が可変抵抗器又はそれに類するものである場合には、モーター65の回転を発射トリガー20の運動量に概ね比例したものとすることができる。すなわち、操作者がわずかに発射トリガー20を引く、すなわち閉じるだけでは、モーター65の回転は比較的低くなる。発射トリガー20が完全に引き込まれる(すなわち完全に閉鎖した位置となる)とモーター65の回転は最大となる。別の言い方をすれば、ユーザーが発射トリガー20を強く引くほどモーター65にかかる電圧が大きくなり、回転速度が大きくなる。
【0022】
ハンドル6は発射トリガー20の上側部分に隣接して中間ハンドル部材104を有し得る。ハンドル6は更に、中間ハンドル部材104及び発射トリガー20の支柱間に連結された付勢ばね112を更に有し得る。付勢ばね112は発射トリガー20を完全に開いた位置に付勢する。これにより、操作者が発射トリガー20を解放すると付勢ばね112が発射トリガー20を開いた位置へと引張り、これによりセンサー110の作動が解除され、モーター65の回転が停止する。更に、付勢ばね112により、ユーザーは発射トリガー20を閉じるたびに閉鎖操作に対する抵抗を感じるため、モーター65による回転量に関するフィードバックがユーザーに与えられる。更に、操作者は発射トリガー20の後退を停止することによりセンサー100から力を取り除き、モーター65を停止させることができる。このようにして、ユーザーはエンドエフェクタ12の展開を停止することが可能であり、これにより切断/締結操作の制御手段が操作者に与えられる。
【0023】
螺旋状ギアドラム80の遠位端は、ピニオンギア124と係合するリングギア122を駆動する遠位駆動シャフト120を含む。ピニオンギア124は主駆動シャフトアセンブリの主駆動シャフト48に連結されている。これにより、上記に述べたようにモーター65の回転が主駆動シャフトアセンブリを回転させることでエンドエフェクタ12が作動する。
【0024】
螺旋状ギアドラム80に螺着されたリング84はスロット付きアーム90のスロット88内に位置する支柱86を有し得る。スロット付きアーム90は、ハンドルの外部側面部材59、60の間に連結される旋回ピン96を受容する開口部92を反対側の端部94に有する。旋回ピン96は、発射トリガー20の開口部100及び中間ハンドル部材104の開口部102にも通される。
【0025】
更に、ハンドル6は、逆動モーター(ストローク終了センサー)130及び停止モーター(ストローク開始)センサー142を有し得る。異なる実施形態では、逆動モーターセンサー130は、螺旋状ギアドラム80の遠位端に位置するリミットスイッチであってよく、これにより螺旋状ギアドラム80に螺着されたリング84は、リング84が螺旋状ギアドラム80の遠位端に達すると逆動モーターセンサー130と接触してこれを作動する。逆動モーターセンサー130は作動されるとモーター65に回転方向を逆転させるような信号を送り、これによりエンドエフェクタ12のナイフ32が切断動作後に引かれる。
【0026】
停止モーターセンサー142は、例えば通常は閉じているリミットスイッチとすることができる。様々な実施形態では、これは、リング84が螺旋状ギアドラム80の近位端に到達すると、リング84がスイッチ142を始動させるように、螺旋状ギアドラム80の近位端に位置することができる。
【0027】
動作時には、器具10の操作者が発射トリガー20を引き戻すと、センサー110が発射トリガー20が作動されたことを検出してモーター65に信号を送ることにより、例えば操作者が発射トリガー20を引き戻す強さに比例した速度でモーター65を順方向に回転させる。モーター65の正転により、次に、遊星ギアアセンブリ72の遠位端におけるリングギア78が回転し、それによって、螺旋状ギアドラム80が回転し、螺旋状ギアドラム80にねじ止めされたリング84が螺旋状ギアドラム80に沿って遠位方向に移動する。螺旋状ギアドラム80の回転により、上記に述べたように主駆動シャフトアセンブリも駆動され、これによりエンドエフェクタ12のナイフ32が展開される。すなわち、ナイフ32及びスレッド33が長手方向に溝22を通じて移動することによりエンドエフェクタ12に挟まれた組織を切断する。更に、ステープラー型のエンドエフェクタが用いられている実施形態では、エンドエフェクタ12のステープル動作が引き起こされる。
【0028】
エンドエフェクタ12の切断/ステープル締結動作が完了するまでには、螺旋状ギアドラム80上のリング84は螺旋状ギアドラム80の遠位端に達し、これにより逆動モーターセンサー130が作動してモーター65に信号を送ることによりモーター65の回転を逆転させる。これによりナイフ32が後退すると共に螺旋状ギアドラム80上のリング84が螺旋状ギアドラム80の近位端へと戻る。
【0029】
中間ハンドル部材104は、図8及び9に最も分かりやすく示されるようにスロット付きアーム90と係合する後方肩部106を有している。中間ハンドル部材104は更に発射トリガー20と係合する前方運動係止部107を有している。スロット付きアーム90の運動は上記に説明したようにモーター65の回転によって制御される。リング84が螺旋状ギアドラム80の近位端から遠位端に移動するにしたがってスロット付きアーム90が反時計回りに回転すると中間ハンドル部材104は反時計回りに自由に回転できるようになる。これにより、ユーザーが発射トリガー20を引くと発射トリガー20は中間ハンドル部材104の前方運動係止部107と係合して中間ハンドル部材104を反時計回りに回転させる。しかしながら後方肩部106がスロット付きアーム90と係合するために中間ハンドル部材104はスロット付きアーム90によって許容される範囲内で反時計回りに回転できるだけである。これにより、何らかの理由によってモーター65の回転が停止した場合、スロット付きアーム90は回転を停止し、スロット付きアーム90のために中間ハンドル部材104が反時計回りに自由に回転できなくなるためにユーザーは発射トリガー20を更に引くことができなくなる。
【0030】
図41及び図42は、走行モーターセンサー110として使用され得る、可変センサーの一実施形態の2つの状態を例示する。センサー110は、フェース部分280、第1の電極(A)282、第2の電極(B)284、及び電極282、284間の圧縮可能な誘電体材料(例、EAP)286を有し得る。センサー110はフェース部分280が発射トリガー20が後退させられた際にこれと接触するように配置することができる。したがって、発射トリガー20が後退させられると、図42に示されるように誘電体材料286が圧縮されることにより電極282、284が互いに接近する。電極282、284間の距離「b」は電極282、284間のインピーダンスに直接関係している。すなわち、この距離が大きいほどインピーダンスは高くなり、距離が近いほどインピーダンスは低くなる。これにより、発射トリガー20の後退(図42で力「F」として示される)によって誘電体材料286が圧縮される量は電極282、284間のインピーダンスに比例するため、これを用いてモーター65を比例制御することができる。
【0031】
閉鎖トリガー18を引くことによってエンドエフェクタ12のアンビル24を閉じる(若しくはクランプする)ための代表的なクロージャシステムの構成要素がまた図7図10に図示されている。例示された実施形態では、クロージャシステムは、ピン251により閉鎖トリガー18に接続されたヨーク250を含み、ピン251は、閉鎖トリガー18及びヨーク250両方の位置合わせされた開口部を通して挿入される。旋回ピン252は、これを中心として閉鎖トリガー18が旋回するものであり、閉鎖トリガー18にピン251が挿入された位置とはオフセットして閉鎖トリガー18に設けられた別の開口部に挿入されている。したがって、閉鎖トリガー18が後退させられると、ピン251を介してヨーク250が取り付けられた閉鎖トリガー18の上側部分が反時計回りに回転する。ヨーク250の遠位端はピン254を介して第1の閉鎖ブラケット256に連結されている。第1の閉鎖ブラケット256は第2の閉鎖ブラケット258に連結される。閉鎖ブラケット256、258は、閉鎖ブラケット256、258の長手方向の運動が近位側閉鎖管40(図4を参照)による長手方向の運動を生じるように近位側閉鎖管40の近位端が内部に配置、保持される開口部を共に形成する。器具10は更に、近位側閉鎖管40の内部に配置される閉鎖ロッド260を有する。閉鎖ロッド260は、図の実施形態の外部下側側面部材59のようなハンドル外部部材の1つの支柱263が内部に配置されることにより閉鎖ロッド260をハンドル6に固定的に連結する窓261を有し得る。これにより、近位側閉鎖管40は閉鎖ロッド260に対して長手方向に動くことが可能となっている。閉鎖ロッド260は、近位側脊柱管46内の空洞269に嵌合してキャップ271により空洞269内に保持される遠位側カラー267を更に有し得る(図4を参照)。
【0032】
動作時には、閉鎖トリガー18が後退させられることによりヨーク250が回転すると、閉鎖ブラケット256、258によって近位側閉鎖管40が遠位方向(例えば、器具10のハンドル端部から離れる方向)に動き、これにより遠位側閉鎖管42が遠位方向に動くと、アンビル24が旋回点25を中心として締め付け位置、すなわち閉鎖位置へと回転する。閉鎖トリガー18が固定位置から解除されると、近位側閉鎖管40が近位方向にスライドし、これにより遠位側閉鎖管42が近位方向にスライドし、遠位側閉鎖管42の窓45にタブ27が挿入されていることによってアンビル24が旋回点25を中心として開いた位置、すなわち非締め付け位置へと回転する。これにより、操作者は閉鎖トリガー18を後退かつ固定することによってアンビル24と溝22との間に組織を挟み込み、切断/ステープル締結動作後には固定位置から閉鎖トリガー18を解除することによって組織を解放することができる。
【0033】
図11は、器具10の電気回路の一実施形態の概略図である。閉鎖トリガー18の固定後、操作者が最初に発射トリガー20を引くと、センサー110が起動され、これを通じて電流を流すことが可能になる。常時開路式の逆転モーターセンサースイッチ130が開いている(つまりエンドエフェクタのストロークの終わりに達していない)場合、電流は、単極双投リレー132に流れる。逆転モーターセンサースイッチ130が閉じていないので、リレー132のコイル134は電圧が印加されず、したがって、リレー132は、その電圧が印加されていない状態にある。この回路は更に、カートリッジロックアウトセンサースイッチ136を更に有している。エンドエフェクタ12にステープルカートリッジ34が入っている場合、センサースイッチ136は閉状態にあり、電流が流れる。逆にエンドエフェクタ12にステープルカートリッジ34が入っていない場合には、センサースイッチ136は開状態となり、これにより電池64によるモーター65への電力供給が防止される。以下により詳細に記載されるように、電池64が器具10に挿入されるとき、抵抗素子65は、電池64を放電させるために電気回路に接続され得る。
【0034】
ステープルカートリッジ34が存在する場合にはセンサースイッチ136は閉じられ、これにより単極単投リレー138が励磁される。リレー138が励磁されると、電流が可変抵抗器センサー110を通じ、モーター65へと双極双投リレー140を介してリレー138に流れ、これによりモーター65に電力が供給されてモーター65は順方向に回転する。
【0035】
エンドエフェクタ12がストロークの終端に達すると、逆動モーターセンサー130が作動することによってスイッチ130が閉じてリレー132が励磁される。これによりリレー132は励磁状態(図11には示されていない)となり、電流はカートリッジロックアウトセンサー136及び可変抵抗器110を迂回し、代わりに通常は閉状態にある双極双投リレー140及びモーター65に流れるが、この場合はリレー140を介してモーター65の回転方向を逆転させるように流れる。
【0036】
停止モーターセンサースイッチ142は通常は閉じているため、電流はリレー132に戻ってスイッチ142が開くまでリレー132を通電状態に保つ。ナイフ32が完全に後退すると、停止モーターセンサースイッチ142が作動してスイッチ142が開き、モーター65への電力供給が遮断される。
【0037】
他の実施形態では、比例型センサー110の代わりにオン/オフ型センサーを使用することも可能である。こうした実施形態では、モーター65の回転速度は操作者によって加えられる力に比例しない。逆に、モーター65は通常、一定の速度で回転する。しかしながら、発射トリガー20がギア駆動力伝達系に連動しているために力に関するフィードバックは依然、操作者に与えられる。
【0038】
図12は、別の実施形態に基づく電動補助モーター駆動型エンドカッターのハンドル6を側面図で示したものである。図12の実施形態は、図7〜10の実施形態に似ているが、ただし、図12の実施形態では螺旋状ギアドラム80に螺着されたリング84に接続されたスロット付きアーム90が存在しない。その代わりに、図12の実施形態では、リング84は、リング84が螺旋状ギアドラム80上で前進(及び後退)する際にリング84と共に動くセンサー部分114を有している。センサー部分114は切り欠き116を有している。逆動モーターセンサー130を切り欠き116の遠位端に配置し、停止モーターセンサー142を切り欠き116の近位端に配置することができる。リング84が螺旋状ギアドラム80に沿って前進する(又は後退する)にしたがってセンサー部分114はリング84と共に動く。更に、図12に示されるように、中間部材104は切り欠き116内に延びるアーム118を有してもよい。
【0039】
動作時には、器具10の操作者が発射トリガー20をピストル把持部26の方向に引くと、走行モーターセンサー110がこの動きを検出してモーター65に電力を供給するように信号を送り、これにより特に螺旋状ギアドラム80が回転する。螺旋状ギアドラム80が回転するにしたがって、螺旋状ギアドラム80に螺着されたリング84が前進する(又は回転方向に応じて後退する)。更に、発射トリガー20を引くと、前方運動係止部107が発射トリガー20と係合することによって中間部材104が発射トリガー20と共に反時計回りに回転する。中間部材104の反時計回りの回転によって、アーム118はアーム118が切り欠き116内に位置した状態でリング84のセンサー部分114と共に反時計回りに回転する。リング84が螺旋状ギアドラム80の遠位端に達すると、アーム118は逆動モーターセンサー130と接触してこれを作動させる。同様に、リング84が螺旋状ギアドラム80の近位端に達すると、アーム118は停止モーターセンサー142と接触してこれを作動させる。上記に述べたように、こうした動作によってモーター65をそれぞれ逆転及び停止させることができる。
【0040】
図13は、別の実施形態に基づく電動補助モーター駆動型エンドカッターのハンドル6を側面図で示したものである。図13の実施形態は図7〜10の実施形態と似ているが、図13の実施形態ではアーム90にスロットが形成されていない点が異なっている。代わりに、螺旋状ギアドラム80に螺着されたリング84は垂直な溝126を有している。スロットの代わりに、アーム90は溝126内に位置する支柱128を有している。螺旋状ギアドラム80が回転するにしたがって、螺旋状ギアドラム80に螺着されたリング84が前進する(又は回転方向に応じて後退する)。アーム90は、図13に示されるように支柱128が溝126内に位置することによって、リング84が前進するにしたがって反時計回りに回転する。
【0041】
上記に述べたように、2ストロークモーター駆動式器具の使用に際しては操作者はまず、閉鎖トリガー18を引き戻して固定する。図14及び図15は、閉鎖トリガー18をハンドル6のピストル把持部26に固定するための、閉鎖トリガー18を固定するための固定機構の一実施形態を図示する。図の実施形態では、ピストル把持部26はトーションばね152によって旋回点151を中心として反時計回りに回転するように付勢されたフック150を有している。更に、閉鎖トリガー18は閉鎖バー154を有している。操作者が閉鎖トリガー18を引くと、閉鎖バー154がフック150の傾斜部分156と係合することにより、閉鎖バー154が傾斜部分156を完全に超えてフック150の陥没ノッチ158内に入り込んで閉鎖トリガー18が定位置にロックされるまでフック150が上向き(又は図14〜15の時計回り)に回転する。操作者はピストル把持部26の後ろ側又は反対側のスライド解除ボタン160を押し下げることによって閉鎖トリガー18を解除することができる。スライド解除ボタン160を押し下げることにより、フック150が時計回りに回転して閉鎖バー154が陥没ノッチ158から解放される。
【0042】
図16は、異なる実施形態に基づいた別の閉鎖トリガー固定機構を示したものである。図16の実施形態では、閉鎖トリガー18は矢じり状部分161を有するウェッジ160を有している。矢じり状部分161は板ばね162によって下向き(又は時計回り)に付勢されている。ウェッジ160及び板ばね162は例えば成形プラスチックで形成することができる。閉鎖トリガー18が引かれると矢じり状部分161がハンドル6のピストル把持部26の開口部164に挿入される。矢じり状部分161の下側面取り面166が開口部164の下側側壁168と係合して矢じり状部分161を反時計回りに回転させる。最終的には、下側面取り面166が下側側壁168を完全に通過し、矢じり状部分161に作用する反時計回りの力が取り除かれ、下側側壁168が矢じり状部分161の後ろのノッチ170内の固定位置へと滑り込む。
【0043】
閉鎖トリガー18を解除するには、ユーザーはボタン172の閉鎖トリガー18とは反対側の側面を押し込むと、矢じり状部分161が反時計回りに回転して矢じり部分161を開口部164から滑り出させる。
【0044】
図17図22は、閉鎖トリガー固定機構の別のジッジ形態を図示する。この実施形態に示されるように、閉鎖トリガー18は横方向ピン178が延出した可撓性の長手方向アーム176を有している。アーム176及びピン178は例えば成形プラスチックで形成することができる。ハンドル6のピストル把持部26は、横方向に延びるウェッジ182が内部に配置された開口部180を有している。図17及び18に示されるように、閉鎖トリガー18が引かれると、ピン178がウェッジ182と係合し、ピン178はウェッジ182の下面184によって下向きに押される(例えば、アーム176が時計回りに回転する)。ピン178が下面184を完全に通過するとアーム176に作用する時計回りの力が取り除かれ、ピン178が反時計回りに回転することにより図19に示されるように、ウェッジ182の後ろのノッチ186内にピン178が収まることによって閉鎖トリガー18が固定される。ピン178は、ウェッジ184から延びる可撓性係止部188によって固定位置に更に保持される。
【0045】
閉鎖トリガー18を解除するには、操作者は閉鎖トリガー18を更に搾るとピン178が開口部180の傾斜した後壁190と係合して図20及び21に示されるようにピン178が可撓性係止部188を過ぎて上側に押される。これにより図22に示されるようにピン178が開口部180の上側通路192に自由に移動できるようになるために閉鎖トリガー18はピストル把持部26に対して固定されなくなる。
【0046】
図23A〜Bは、例えば器具10のなどの外科用器具の関節点において利用され得る、自在継手(「u−継手」)195を図示する。自在継ぎ手195の第2の部材195−2は第1の部材195−1が含まれる水平面内で回転する。図23Aは、直線的(180°)な向きの自在継ぎ手195を示し、図23Bは、約150°の向きの自在継ぎ手195を示している。自在継ぎ手195はエンドエフェクタ12を関節可動させるための主駆動シャフトの関節点14においてベベルギア52a〜c(例えば図4を参照)の代わりに使用することができる。図24A及び24Bは、エンドエフェクタ12を関節可動させるためにベベルギア52a〜c及び自在継ぎ手195の代わりに用いることができるトーションケーブル197を示す。
【0047】
図25図31に、電動補助を有するモーター駆動式2ストローク外科用切断及び締結器具10の別の実施形態を示す。図25図31の実施形態は、図6図10の実施形態と似ているが、螺旋状ギアドラム80の代わりに図25図31の実施形態は代替的なギア駆動アセンブリを有している。図25図31の実施形態は、フレーム201内に多数のギアが配置されたギアボックスアセンブリ200を有し、各ギアは遊星ギア72と駆動シャフト48の近位端のピニオンギア124との間に連結されている。下記に更に説明するように、ギアボックスアセンブリ200は発射トリガー20を介してユーザーにエンドエフェクタ12の展開及び負荷力に関するフィードバックを与える。更に、ユーザーはギアボックスアセンブリ200を介してシステムにエンドエフェクタ12の展開を補助する動力を与えることができる。この意味において、上記に述べた実施形態と同様、図25〜31の実施形態は切断器具32が受ける負荷力に関するフィードバックをユーザーに与える別の電動補助モーター駆動式器具10である。
【0048】
図の実施形態では、発射トリガー20は主要本体部分202と剛性付与部分204の2個の部材を有している。本体部分202は例えばプラスチックで形成すればよく、剛性付与部分204は金属などのより剛性の高い材料で形成することができる。図の実施形態では剛性付与部分204は本体部分202に隣接しているが、他の実施形態に基づけば剛性付与部分204は本体部分202の内部に配することもできる。枢動ピン207を発射トリガーの部材202、204の開口部に挿入し、これを中心として発射トリガー20が回転する枢動点とすることができる。更に、ばね222によって発射トリガー20を反時計回りの方向に回転するように付勢することができる。ばね222の遠位端は発射トリガー20の部材202、204に連結されたピン224に連結することができる。ばね222の近位端はハンドル外部下側側面部材59、60の一方に連結することができる。
【0049】
図に示される実施形態では、本体部分202及び剛性付与部分204はいずれも上端部分にギア部分206、208を(それぞれ)有している。ギア部分206、208は下記に述べるようにギアボックスアセンブリ200内のギアと噛合することによって主駆動シャフトアセンブリを駆動すると共にエンドエフェクタ12の展開に関するフィードバックをユーザーに与える。
【0050】
図の実施形態に示されるようにギアボックスアセンブリ200は6個のギアを有している。ギアボックスアセンブリ200の第1のギア210は発射トリガー20のギア部分206、208と噛合する。更に、第1のギア210は大径の第3のギア214と同軸に配された小径の第2のギア212と噛合する。第3のギア214は、第5のギア218と同軸に配された小径の第4のギア216と噛合する。第5のギア218は、主駆動シャフト48を駆動するピニオンギア124に接続された、噛合する90°ベベルギア220と噛合する90°ベベルギアである(図31に最も分かりやすく示される)。
【0051】
動作時には、ユーザーが発射トリガー20を引くと、走行モーターセンサー(図に示されていない)が作動することによって、操作者が発射トリガー20を引く程度又は力に比例した速度でモーター65を回転させるような信号をモーター65に与えることができる。これにより、モーター65はセンサーからの信号に比例した速度で回転する。この実施形態ではセンサーは示されていないが、上記に述べた走行モーターセンサー110と同様のものでよい。センサーは発射トリガー20が引かれる際に押されるようにハンドル6の内部に配置することができる。また、比例型センサーの代わりにオン/オフ型のセンサーを使用することもできる。
【0052】
モーター65の回転によりベベルギア66、70が回転し、これによって遊星ギア72が回転することで駆動シャフト76を介してリングギア122が回転する。リングギア122は主駆動シャフト48に接続されたピニオンギア124と噛み合う。これにより、ピニオンギア124の回転によって主駆動シャフト48が駆動され、エンドエフェクタ12の切断/ステープル締結動作が行われる。
【0053】
ピニオンギア124の順方向の回転によりベベルギア220が回転し、これによりギアボックスアセンブリ200の残りのギアによって第1のギア210が回転する。第1のギア210が発射トリガー20のギア部分206、208と噛合することにより、モーター65がエンドエフェクタ12に順方向の駆動力を与える場合には発射トリガー20は反時計回りに回転する(更にモーター65が逆方向に回転する場合には反時計回りに回転してエンドエフェクタ12を後退させる)。これにより、ユーザーは発射トリガー20を握ることによってエンドエフェクタ12の負荷力及び展開に関するフィードバックを得る。これにより、ユーザーは発射トリガー20を引くと、エンドエフェクタ12に作用する負荷力に関する抵抗を受けることになる。同様に、発射トリガー20が最初の位置に復帰できるように操作者が切断/ステープル締結操作の後に発射トリガー20を解放すると、ユーザーはモーター65の逆転速度に概ね比例した時計回りの回転力を発射トリガー20から受けることになる。
【0054】
この実施形態では、ユーザーは発射トリガー20を引くことによって主駆動シャフトアセンブリ(したがってエンドエフェクタ12の切断/ステープル締結動作)を作動させるような力を(モーター65からの力に代えるかあるいはこれに加えて)作用させることができる点も認識されるはずである。すなわち、発射トリガー20を引くことによりギア部分206、208が反時計回りに回転し、これによりギアボックスアセンブリ200の各ギアが回転することによってピニオンギア124が回転すると主駆動シャフト48が回転する。
【0055】
図25〜31には示されていないが、器具10は更に逆動モーター/停止モーターセンサーを有し得る。上記に述べたように、逆動モーター/停止モーターセンサーは、切断ストロークの終端(ナイフ32及びスレッド33が完全に展開した状態)及び後退動作の終端(ナイフ32が完全に後退した状態)をそれぞれ検出することができる。図11に関連して上記に述べたものと同様の回路をモーター65に適宜電力供給するために用いることができる。
【0056】
図32図36に、電動補助を有する2ストロークモーター式外科用切断及び締結器具10の別の実施形態を示す。図32図36の実施形態は図25〜31の実施形態と似ているが、図32図36の実施形態では発射トリガー20が下側部分228と上側部分230とを有している。両部分228、230は各部分228、230を通じて配置された旋回ピン207に連結され、旋回ピン207を中心として旋回する。上側部分230はギアボックスアセンブリ200の第1のギア210と噛合するギア部分232を有している。ばね222が上側部分230に連結されていることにより上側部分は時計回りの方向に回転するように付勢されている。上側部分230は、発射トリガー20の下側部分228の上面に接触した下側アーム234を更に有することにより、上側部分230が時計回りに回転させられると下側部分228も時計回りに回転し、下側部分228が反時計回りに回転すると上側部分230も反時計回りに回転するようになっている。同様に、下側部分228は上側部分230の下側肩部と係合する回転係止部238を有している。これにより、上側部分230が反時計回りに回転させられると下側部分228も反時計回りに回転し、下側部分228が時計回りに回転すると上側部分230も時計回りに回転する。
【0057】
図の実施形態は更に、異なる実施形態において発射トリガー20を引く際に操作者によって加えられる力に比例した速度でモーター65を回転させうる信号をモーター65に送信する走行モーターセンサー110を有している。センサー110は例えばレオスタット又は本願で述べるような他の何らかの可変抵抗センサーであってよい。更に、器具10は発射トリガー20の上側部分230の前面242が接触すると作動又は切り換えられる逆動モーターセンサー130を有し得る。逆動モーターセンサー130は作動されるとモーター65に回転方向を逆転させるような信号を送る。また、器具10は発射トリガー20の下側部分228が接触すると作動する停止モーターセンサー142を有し得る。停止モーターセンサー142は作動されるとモーター65の逆方向の回転を停止させるような信号を送る。
【0058】
図32及び図33に図示されるように、動作中、操作者が閉鎖トリガー18を固定位置に後退させると、発射トリガー20が僅かに後退し(双方とも本明細書において参照として組み込まれる、米国特許第6,978,921号、表題「Surgical Stapling Instrument Incorporating An E−Beam Firing Mechanism」及び同第6,905,057号、表題「Surgical Stapling Instrument Incorporating A Firing Mechanism Having A Linked Rack Transmission」を含む、当該技術分野において既知の機構により)、それによってユーザーが発射トリガー20を把持して、切断/ステープリング動作を開始することができる。この時点で、図33に示されるように、発射トリガー20の上側部分230のギア部分232がギアボックスアセンブリ200の第1のギア210と噛合する。異なる実施形態に基づいて操作者が発射トリガー20を引くと、発射トリガー20はわずかな量、例えば5°だけ回転して図34に示されるように走行モーターセンサー110を作動させる。センサー110が作動することによってモーター65は操作者が引く力に比例した速度で順方向に回転する。モーター65のこの順方向の回転により、上記に述べたように主駆動シャフト48が回転し、これによりエンドエフェクタ12内のナイフ32が展開する(例えば、溝22内を移動し始める)。主駆動シャフト48に連結されたピニオンギア124の回転により、ギアボックスアセンブリ200内のギア210〜220が回転する。第1のギア210が発射トリガー20の上側部分230のギア部分232と噛合しているために、上側部分230は反時計回りに回転し、これにより下側部分228も反時計回りに回転する。
【0059】
ナイフ32が完全に展開すると(すなわち切断ストロークの終端に位置すると)、上方部分230の前面242が逆動モーターセンサー130を作動し、これが回転方向を逆転させるような信号をモーター65に送る。これにより主駆動シャフトアセンブリが回転方向を逆転させてナイフ32が後退する。主駆動シャフトアセンブリの逆方向の回転によってギアボックスアセンブリ内のギア210〜220の回転方向が逆転し、これにより発射トリガー20の上部230が時計回りに回転し、これにより発射トリガー20の下部228が時計回りに、ナイフ32が完全に後退して上部230の前面242が停止モーターセンサー142を起動又は作動するまで回転し、これによりモーター65が停止する。これにより、ユーザーは発射トリガー20を握ることによってエンドエフェクタ12の展開に関するフィードバックを得る。したがって、ユーザーが発射トリガー20を引くと操作者はエンドエフェクタ12の展開に関する、特にナイフ32に作用する負荷力に関する抵抗を受けることになる。同様に、発射トリガー20が最初の位置に復帰できるように操作者が切断/ステープル締結操作の後に発射トリガー20を解放すると、ユーザーはモーター65の逆転速度に概ね比例した時計回りの回転力を発射トリガー20から受けることになる。
【0060】
この実施形態では、ユーザーは発射トリガー20を引くことによって主駆動シャフトアセンブリ(したがってエンドエフェクタ12の切断/ステープル締結動作)を作動させるような力を(モーター65からの力に代えるかあるいはこれに加えて)作用させることができる点も認識されるはずである。すなわち、発射トリガー20を引くことにより上側部分230のギア部分232が反時計回りに回転し、これによりギアボックスアセンブリ200の各ギアが回転することによってピニオンギア124が回転すると主駆動シャフトアセンブリが回転する。
【0061】
上記に述べた実施形態は、2ストロークモーター駆動式外科用切断及び締結器具用の適応制御(例えば、モーター、ギア駆動力伝達系、及びエンドエフェクタの閉鎖ループシステムの外部のセンサー110、130及び142を使用した)を行うか又は行わない電動補助ユーザーフィードバックシステムを採用したものである。すなわち、発射トリガー20を引く際にユーザーによって加えられる力が、モーター65と主駆動シャフト48との間のギア動力伝達系に(直接的又は間接的に)連動した発射トリガー20のために、モーター65によって加えられる力に加え合わされる。他の実施形態では、ユーザーにエンドエフェクタ12内のナイフ32の位置に関する触覚的フィードバックが与えられるが、発射トリガー20をギア駆動力伝達系に噛み合わせない。図37図40は、こうした触覚的位置フィードバックシステムを備えたモーター駆動式外科用切断及び締結器具10の一実施形態を図示する。
【0062】
図37図40の実施形態では、発射トリガー20は、図32〜36に示される器具10と同様の下側部分228及び上側部分230を有し得る。しかしながら図32〜36の実施形態と異なり、上側部分230はギア駆動力伝達系の一部と噛合するギア部分を有していない。代わりに、器具10は螺刻ロッド266が螺入された第2モーター265を有している。螺刻ロッド266は、モーター265が回転する際に回転方向に応じてモーター265の内外に長手方向に往復動する。器具10は更に、例えば主駆動シャフト48(又は主駆動シャフトの他の要素)の漸進的な角運動を対応する一連のデジタル信号に変換するための主駆動シャフト48の回転に反応するエンコーダー268を有している。図の実施形態では、ピニオンギア124はエンコーダー268に連結した近位側駆動シャフト270を有している。
【0063】
器具10は更に、エンコーダー268からのデジタル信号を受信する、マイクロコントローラ又は他の何らかの種類の集積回路を使用して実施することが可能な制御回路(図に示されていない)を有している。エンコーダー268からの信号に基づき、制御回路はエンドエフェクタ12内のナイフ32の展開の段階を計算することができる。すなわち、制御回路はナイフ32が完全に展開しているか、完全に後退しているか、あるいは中間の段階にあるかを計算することができる。エンドエフェクタ12の展開の段階の計算に基づき、制御回路は第2のモーター265にその回転を制御し、それにより螺刻ロッド266の往復運動を制御するような信号を送ることができる。
【0064】
動作時には、図37に示されるように閉鎖トリガー18が締め付け位置に固定されていない場合には、発射トリガー20はハンドル6のピストル把持部26から遠ざかる方向に回転しているために、発射トリガー20の上側部分230の前面242は螺刻ロッド266の近位端と接触していない。操作者が閉鎖トリガー18を引いて締め付け位置に固定すると、発射トリガー20は閉鎖トリガー18の方向にわずかに回転し、図38に示されるように操作者が発射トリガー20を握ることができるようになる。この位置では、上側部分230の前面242は螺刻ロッド266の近位端と接触する。
【0065】
ユーザーが最初の回転量(例えば5°の回転)の後に発射トリガー20を引くと、走行モーターセンサー110が作動することにより上記に説明したようにセンサー110は操作者が発射トリガー20を引く力の量に比例した順方向の速度でモーター65を回転させるような信号をモーター65に送る。モーター65の順方向の回転により主駆動シャフト48がギア駆動力伝達系を介して回転し、これによりナイフ32及びスレッド33が溝22に沿って移動してエンドエフェクタ12に挟まれた組織を切断する。制御回路がエンコーダー268から主駆動シャフトアセンブリの漸進的回転に関する出力信号を受信し、第2モーター265を回転させるような信号を第2モーター265に送ると螺刻ロッド266がモーター265内に後退する。これにより発射トリガー20の上側部分230が反時計回りに回転すると発射トリガーの下側部分228も反時計回りに回転する。これにより、螺刻ロッド266の往復動が主駆動シャフトアセンブリの回転に関係しているために、器具10の操作者は発射トリガー20を握ることによってエンドエフェクタ12の位置に関する触覚的なフィードバックを得る。しかしながら、この実施形態では発射トリガー20がギア駆動力伝達系と連動していないために操作者が引く力は主駆動シャフトアセンブリの駆動に直接的には影響しない。
【0066】
エンコーダー268からの出力信号を介して主駆動シャフトアセンブリの漸進的回転を追跡することによって、制御回路32はナイフがいつ完全に展開されるか(例えば、完全に延びる)を計算することができる。この時点で制御回路はモーター65に回転方向を逆転させてナイフ32を後退させる信号を送ることができる。モーター65の逆方向の回転により、主駆動シャフトアセンブリの回転方向が逆転し、これもやはりエンコーダー268によって検出される。エンコーダー268によって検出される逆方向の回転に基づいて制御回路が第2のモーター265に回転方向を逆転させる信号を送ることにより螺刻ロッド266がモーター265から長手方向に延びはじめる。この運動により発射トリガー20の上側部分230が時計回りに回転し、下側部分228を時計回りに回転させる。これにより操作者が発射トリガー20から時計回り方向の力を受けることによって、エンドエフェクタ12内のナイフ32の後退位置に関するフィードバックが操作者に与えられる。制御回路はナイフ32が完全に後退したことを検出することができる。この時点で制御回路はモーター65に回転を停止させる信号を送る。
【0067】
他の実施形態に基づけば、制御回路によってナイフ32の位置を決定する代わりに、上記に述べたような逆動モーター/停止モーターセンサーを使用することもできる。更に、比例センサー110を使用してモーター65の回転を制御する代わりに、オン/オフスイッチ又はセンサーを使用することもできる。こうした実施形態では、操作者がモーター65の回転速度を制御することはできない。この場合、モーター65はプログラムされた速度で回転する。
【0068】
図43は、明確性のために様々な要素が省かれた、外科用器具300の部分断面図である。外科用器具300は、エンドエフェクタ(図示されない)を駆動するための、ラック302(断面図で図示される)を有する。ピニオンギア304は、ラック302と係合し、それによってピニオンギア304の反時計回りの回転が、ラック302を遠位方向に並進させ、ピニオンギア304の時計回りの回転がラック302を近位方向に並進させる。ピニオンギア304は、軸306を中心に回転してもよく、トリガー(図示されない)によって動作可能に制御されるモーターによって駆動されてもよい。一実施形態において、ピニオンギア304は、付勢部材308によって第1方向303に付勢されてもよい。例示されるように、付勢部材308は、ばねであってもよいが、他の任意の好適な付勢技術が使用され得る。外科用器具300はレバー310を含んでもよく、これは例えば、外科用器具の電源のエネルギーレベルが、十分な動作レベルを下回る場合に使用され得る。一実施形態において、レバー310は、一般的にはドア312によってユーザーから隠されるが、これは、ユーザーがレバー310にアクセスするために取り除かれてもよい。レバー310は、矢印316により示される方向に、旋回点314を中心に回転可能であり得る。固定カム318は、旋回点314を中心としたレバー310の回転が、固定カム318を回転させるようにして、レバー310に取り付けられてもよい。いくつかの実施形態において、固定カム318は、レバー310と一体である。
【0069】
図44A及び図44Bは、様々な動作状態における固定カム318を例示する。固定カム318は、本体部分320、及び本体320に対して、ヒンジ部分324を中心に旋回するか、ないしは別の方法で屈曲し得るばね部分322を含む。ヒンジ部分324は、例えば、リビングヒンジを含み得る。一実施形態において、本体部分320及びばね部分322は、一体型であり、単一片の材料から形成される。固定カム318は、ばね部分322が、本体部分320の方に旋回することを可能にするクリアランス326を画定し得る。ばね部分322は、本体部分320内のノッチ321に受容される歯331を有し得る。これらの対応する外側周辺部において、本体部分320は、第1接触表面328を有してもよく、ばね部分322は、第2接触表面330を有し得る。閉鎖位置において(図44A)、第1接触表面328は、固定カム318の外側周辺部がほぼ連続的なカム状表面を有するように、第2接触表面330と位置合わせされる。開放位置において(図44B)、ばね部分322は、本体部分320から離れるように旋回してクリアランス326を増加させる。間隙332が、第1接触表面328と第2接触表面330との間に生じる。
【0070】
ここで図43、44A及び44Bを参照し、レバー310が矢印316によって示される方向に回転する際に、固定カム318が回転して、ばね部分322の第2外面330がピニオンギア304の上面342に最初に接触する。この接触の結果、ばね部分322は、本体部分320の方に旋回して、ほぼ連続的な周辺部を形成する。固定カム318が回転し続けると、第2接触表面330、及びその後、第1接触表面328が、ピニオンギア304に力をかけ、付勢部材308により適用される付勢力を克服する。結果として、ピニオンギア304は、レバー310が矢印316によって示される方向に回転すると、矢印324によって示される方向に押される。ピニオンギア304の運動は、これをラック320から分離し、ラック320が自由に並進することを可能にする。一度ばね部分322がピニオンギア304の上面342を超えると、これは開放位置へと旋回し(図44B)、固定カム318を適所に固定する。いったん開放位置にくると、ばね部分322とピニオンギア304の係合により、固定カム318は矢印344により示される(図43)方向への回転を阻止される。
【0071】
図45A、45B及び45Cは、3段階の動作における、固定カム418及びギア404を図示する。様々な構成要素が、明確性のために省かれ、及び/又は簡略化されている。例示されるように、固定カム418は、単一片の材料から製造され得る。固定カム418は、本体部分420に対して旋回可能である、ばね部分422を含む。図45Aは非係合位置にある固定カム418を図示する。この位置において、ばね部分422の遠位423は、本体部分420から分離している。図45Bに例示されるように、固定カム418が矢印416によって示される方向に回転すると、ばね部分422が本体部分420の方に引かれ、ばね部分422及び本体部分420に及ぶ、ほぼ連続的な周辺部を形成する。固定カム418は中央ハブ442に接触し、ピニオンギア404は、矢印443によって示される方向に移動する。固定カム418が、矢印416によって示される方向に回転し続けると、最終的にばね部分422は、中央ハブ442を超える。図45Cに図示されるように、ばね部分422の遠位部分423は、本体420から分離し、これはピニオンギア404の歯と係合して、固定カム418を係合位置へと固定する。したがって、様々な実施形態において、固定カム418が単一片の材料から作製されてもよいが、これは2つの部分(例えば、カム及び固定機構)として機能し得る。
【0072】
図46は、外科用器具の一実施形態500を例示する。器具500は、ハンドル502、ピストル把持部501、トリガー504、及びエンドエフェクタ505を含む。様々な実施形態により、ハンドル502、トリガー504、及びエンドエフェクタ505は、本明細書において記載される様々なハンドル6、トリガー18、20及びエンドエフェクタ12のものと同様の様式で動作し得る。本明細書において先に記載された機能に加えて、又はその代わりに、エンドエフェクタ501は、例えば、切断、把持、レーザー切断及び/又は凝固、RF切断及び/又は凝固、超音波切断及び/又は凝固などのための、外科用器具を含み得る。
【0073】
器具500のハンドル502は、少なくとも1つの電池ユニット506を収納し得る。電池ユニット506は、直列及び/又は並列構成において配置される単一の電池又は複数の電池を含み得る。ハンドル502は、電池ユニット506が取り付けられ得る電池ドック508を含み得る。電池ドック508は、電池ユニット506を器具500に連結するための任意の好適な構造であり得る。例えば、電池ドック508は、例示されるように、電池ユニット506の少なくとも一部を受容するように構成されたハンドル502内の空洞であり得る。他の実施形態において、電池ドック508は、様々な他の構造を使用して実施され得る。一実施形態において、電池ドック508は、電池ユニット506によって受容される柱状物である。一実施形態において、ピストル把持部501は、電池ドック508を含む。いずれにせよ、以下でより詳細に記載されるように電池ドック508は、電池ユニット506をハンドル502に取り付ける際に、電池ユニット506と相互作用するための突出部を含み得る。一度取り付けられると、電池ユニット506は、器具500の回路514に電気的に接続されてもよく、回路514に電力を供給することができる。回路は、(図示されるように)エンドエフェクタ505内のハンドル502内に、又は器具500内の位置の組み合わせで配置されてもよい。使用中、回路514は、エンドエフェクタ505の少なくとも1つの外科用器具の動作を駆動してもよい。例えば、回路514は、電動カッター、把持具又は他の機械的装置を動作させるための、電気モーターを含み得る。モーターに加え、又はこれの代わりに、回路514は、RF、超音波、又は他の種類の非モーター駆動外科用器具のための好適な回路構成要素を含み得る。
【0074】
図47A、47B、47Cは、電池ユニット506及び器具500の一部を概略的に例示する。電池ユニット506は、器具500への取り付けの際に、電池ユニット506内の回路を自動的に閉じるドレーンを含み得る。ドレーンは、経時的に電池ユニット506の電荷をゆっくりと低減させるように機能する。いったん電池ユニット506が、十分に放電されると、これは例えば、危険でない廃棄物として処分されてもよい。電池ユニット506は、電源510を含み得る。一実施形態において、電源510はリチウム電池であり、CR123単電池、及びCR2単電池からなる群から選択される少なくとも1つの単電池を含む。理解されるように、任意の好適な電源が使用され得る。電池ユニット506はまた、スイッチ516が閉じる際に、電源510に電気的に連結されるドレーン512を含む。各電池ユニット506及び器具500はそれぞれ、導電性接触子518、520を含み、これらは、電池ユニット506を器具500に取り付ける際に、接触させられる。図47Aは、非取り付け位置にある電池を例示する。スイッチ516は開放位置にあり、電源510は完全に充電された状態にある。図47Bは、電池ユニット506が取り付け位置にあるものとして例示する。電池ユニット506の導電性接触子518は、器具の接触子520と電気的に接触し、それによって電池ユニット506が、回路514にエネルギーを供給することを可能にする(図46)。取り付け位置において、スイッチ516は、閉鎖位置へと遷移し、電源510をドレーン512へと電気的に連結する。エネルギーは、器具の動作中において、電源510からドレーン512を通じて流れる。換言すれば、ドレーン512は、電池ユニット506が動作電力を器具500に供給しているときに、電源510から同時的に電荷を放出する。以下でより詳細に記載されるように、電池ユニット506を器具500へと取り付け、スイッチ516を開放状態から閉鎖状態へと遷移させるときに、器具500の一部がドレーン512と物理的に相互作用し得る。図47Cは、非取り付け位置にある電池ユニット506を例示する。一実施形態において、スイッチ516は、電池ユニット506が器具500から取り外された後でも閉鎖位置に留まり、電源510を放電させ続ける。
【0075】
図48は、1つの非限定的な実施形態により、器具500への取り付け時から測定した、経時的な電池ユニット506の電圧レベルのグラフ600である。グラフ600は、電池ユニット506の6V単電池の電圧レベルを例示する。グラフ600は、電池ユニット506の一実施形態を単純に表す。理解されるように、グラフ600は6VDC電源を例示し、電池ユニット506は例えば、9VDC、12VDC又は18VDCなどの、任意の好適な電圧を供給し得る。以下でより詳細に記載されるように、電池ユニット506は、並列及び/又は直列構成で配置された多数の単電池を含み得る。グラフ600は、3つの代表的な放電曲線602、604、606を含む。第1放電曲線602により例示されるように、電源510の電圧は、約28時間後に、2.0ボルトを下回る。第2放電曲線604により例示されるように、電源510の電圧は、約30時間後に2.0ボルトを下回る。第3放電曲線606により例示されるように、電源510の電圧は、約33時間後に、2.0ボルトを下回る。放電曲線の全体的な形状は、例えば、外科手術中の器具500の活動レベルに依存し得る。例えば、第1放電曲線602と関連する器具は外科手術中において、放電曲線606と関連する器具よりも、より頻繁に使用された。いずれにせよ、ドレーン512は、外科手術の過程において、器具がその意図される目的のために使用され得ることを確実にするため、電池ユニット506の電圧レベルを、一定期間において十分なレベルに維持する。例えば、一実施形態において、電池ユニット506の電圧レベルは、およそ12時間、約6ボルトに維持される。12時間後、電圧レベルは、危険でないレベルへと徐々に減少する。理解されるように、ドレーン512は、電源をより速く、又はより遅く消耗させるように較正され得る。
【0076】
一実施形態において、抵抗素子は、電源のエネルギーレベルを低減させるために使用される。図49Aは、ドレーン612を含む、電池ユニット616の単純化した回路図である。電池ユニット616は、例えば、その接触子618を介して、器具500に取り付けられてもよい。この実施形態において、電池ユニット616は、単電池610の第1群、及び単電池611の第2群を含む。一実施形態において、単電池610、611の第1及び第2群は、リチウム電池である。第1群の単電池610、及び第2群611はそれぞれ、並列構成で配置された複数の別個の単電池610a、610b、611a、611bを有し得る。例えば、第1群の単電池610、第2群611はそれぞれ6VDCであり、完全に充電された際に、電池ユニット616の接触子618において12VDCを生成するように並列構成である。しかしながら、単電池610a、610b、611a、611bは、直列若しくは並列で互いに電気的に接続されてもよく、又は他の任意の組み合わせであってもよい。
【0077】
一実施形態において、ドレーン612は、第1抵抗素子622及び第2抵抗素子624を含む。理解されるように、いくつかの実施形態において、電池ユニット616は例えば、それぞれ2つ超又は2つ未満の抵抗素子又は他の回路を有する、多数のドレーン612を含んでもよい。例示される実施形態において、第1抵抗素子622は、第1スイッチ630を通じた第1群の単電池610の第1アノード626及び第1カソード628を通じて連結される。第1抵抗素子624は、第2スイッチ636を通じた第2群の単電池611の、第2アノード632及び第2カソード634を通じて連結され得る。第1群の単電池610及び第2群611の放電を開始するため、第1スイッチ630及び第2スイッチ636は、電池ユニット616の外科用器具500への取り付けの際に閉鎖されてもよい。
【0078】
ドレーン612により利用される抵抗素子の値は、実施に基づき変化し得る。一実施形態において、第1抵抗素子622は、約90Ω〜約110Ωの範囲の抵抗を有する。一実施形態において、第1抵抗素子622は、約97Ω〜約104Ωの範囲の抵抗を有する。一実施形態において、抵抗素子622は、102.9であり、1ワットの電力定格を有する。必要な抵抗値の判定は、少なくとも部分的には電源容量、電源の電圧レベル、及び放電曲線の所望の時間的長さに依存する。例えば、一実施形態において、単電池610の第1群の電池容量は、1400mAhであり、電圧レベルは6VDCであり、目標放電時間24時間である。1400mAhを24時間で割ると、0.0582Aの電流を生じる。オームの法則を使用し、6Vを0.582Aで割ると、102.9Ωの抵抗を生じる。0.583の電流及び102.9の抵抗により、抵抗器により消散する電力は350Wである。理解されるように、異なる電圧レベル、電池容量、及び所望の放電時間は、異なる抵抗値を生じる。
【0079】
図49Bは、電池ユニットの更に別の実施形態の単純化した回路図である。図49Bにおいて、電池ユニット660は、多数の接触子の組を有する、外科用器具650に取り付け可能である。例示されるように、外科用器具650は、第1セットの接触子652A、652B、及び第2セットの接触子654A、654Bを有する。電池ユニット660は、外科用器具650の接触子に係合するように構成された、第1セットの接触子656A、656B、及び第2セットの接触子658A、658Bを有する。例示される実施形態において、電池ユニット660は、第2単電池664と直列な第1単電池662を含み、これはその第1セットの接触子652A、652Bを通じて、外科用器具650に電力を供給する。電池ユニット660はまた、第4単電池670と直列な第3単電池668を含んでもよく、これはその第2セットの接触子654A、654Dを通じて外科用器具650に電力を供給する。第1単電池662、第2単電池664、第3単電池668、及び第4単電池670は、それぞれ、完全に充電された際に、任意の好適な電圧レベル、例えば、3VDC、又は6VDCを提供し得る。一実施形態において、電池ユニット660は、電池ユニットが完全に充電された際に、外科用器具650に合計約12VDCを供給する(例えば、第1セットの接触子656A、656Bを通じて約6VDC、第2セットの接触子658A、658Bを通じて約6VDV)。電池ユニット660は、第1ドレーン672及び第2ドレーン674を含み得る。第1ドレーン672及び第2ドレーン674が図49A内で別個に概略的に例示されるが、ドレーン672及び674は、単一の回路基板において実施され得るか、又は他の任意の好適な実施によることが理解される。第1ドレーン672は、第1単電池662及び第2単電池664、並びに第1スイッチ680と直列で接続される、第1抵抗素子674を含む。第2ドレーン674は、第3単電池668及び第4単電池670、並びに第2スイッチ684と直列で接続される、第2抵抗素子682を含む。第1スイッチ680及び第2スイッチ684は、開放位置において例示される。スイッチ680が閉じているとき(例えば、電池ユニット660を外科用器具650に取り付ける間)、第1単電池662及び第2単電池664から、第1抵抗素子678を通じて電流が流れ、これらの単電池を放電させる。同様に、第2スイッチ684が閉じているとき(例えば、電池ユニット660を外科用器具650に取り付ける間)、第3単電池668及び第4単電池670から、第1抵抗素子678を通じて電流が流れる。
【0080】
図50は、第1ドレーン712及び第2ドレーン713を含む、電池ユニット716の単純化した回路図である。電池ユニット716は、例えば、その接触子718を通じて、器具500へと取り付けられてもよい。この実施形態において、単電池ユニット716は、電池の第1群710、単電池の第2群711、及び第3単電池714を含む。第1ドレーン712は、第1抵抗素子722及び第2抵抗素子724を含む。第2ドレーン713は、第3抵抗素子726を含む。抵抗素子722、724、726は、スイッチ730、736及び738を通じて各電池に連結される。スイッチ730、736及び738は、第1群の単電池610、及び単電池の第2群611並びに第3単電池716の放電を開始するための、外科用器具500に、電池ユニット716を取り付ける際に閉じてもよい。第3抵抗素子726の抵抗値は、第1抵抗素子722及び第2抵抗素子724の抵抗値と同じであっても、これとは異なっていてもよい。上記のように、第3抵抗素子726の抵抗値は、第3単電池714の電圧、及び放電曲線の所望の特性に少なくとも部分的に依存し得る。
【0081】
図51図53は、図49に図示される電池ユニット616の概略図を実施する、電池ユニット800の斜視図である。電池ユニット800は、内部空洞810を画定する、ケース802を含み得る。内部空洞810が、ケース802の中央部に例示されるが、内部空洞810は、任意の好適な位置に位置付けられ得ることが理解される。ケース802は、1つ以上の機械的ラッチ806、808を使用してケース802に固定され得る、キャップ804によって被覆され得る。図52は、内部にある複数の単電池812を示すために、キャップ804が省かれた、電池ユニット800の一実施形態を例示する。任意の好適な数及び/又は種類の電池812が使用され得る。例えば、CR123単電池及び/CR2単電池が使用され得る。図53は、単電池812を露出するためにケース802の一部が省かれた、電池ユニット800の一実施形態を例示する。
【0082】
図54A及び54Bは、並進可能なドレーン812を含む、電池ユニット800の一実施形態の断面図を例示する。ドレーン812は、内部空洞810内に位置付けられてもよく、内部空洞810内において矢印815の方向に並進可能であり得る。図54Aは、開放位置におけるドレーン812を図示し、図54Bは、閉鎖位置におけるドレーン812を図示する。ドレーン812は、少なくとも2つの接触子816、818を含み得る。ドレーン812が開放位置にある場合、接触子816、818の一部がケース802の非導電性部分、例えば指部820、822に接触してもよい。様々な実施形態により、接触子816、818は、ドレーン812の矢印815の方向への移動に抵抗するために、指部820、822に対して力をかけてもよい。また、いくつかの実施形態において、指部820、822は、図54A及び図54Bに図示されるように、1つ以上の突出部又はステップダウン部分を画定し得る。電池ユニット800はまた、第1電極824及び第2電極826などの1つ以上の電極を含み得る。第1電極824及び第2電極826は、それぞれ、電池ユニット800内に収容される電池のカソード又はアノードに電気的に連結される。閉鎖位置(図54B)において、接触子816、818は電極824、826と電気的に接触し、それによってドレーン812を通じて電源が放電することを可能にする。以下でより詳細に記載されるように、ドレーン812は、電池ユニット800を外科用器具に取り付ける際に、開放位置から閉鎖位置へと並進し得る。
【0083】
図55は、非限定的な実施形態による、ドレーン812の斜視図である。ドレーン812の接触子816、818は、ドレーン812の基部830において連結されてもよい。同様に、ドレーン812の接触子836、838は、ドレーン812の基部830において連結されてもよい。様々な実施形態により、接触子816、818は、回路基板832に取り付けられた抵抗素子(図示されない)を通じて互いに電気的に接続され得る。同様に、接触子836、838は、回路基板832に取り付けられた抵抗素子を通じて互いに電気的に接続され得る。例示されるように、接触子816、818、836、838は、内側に圧迫された際に接触子を外側位置に付勢させるための屈曲又は湾曲を有し得る。加えて、一実施形態において、各接触子816、818、836、838の遠位端が、内側に回転させた区分を有し得る。基部830は、電池ユニット800が器具に取り付けられた際に、器具に係合する接触表面840を含み得る。この係合によりドレーン812は、ケース800に対して並進し得る。
【0084】
図56は、電池ドック850に取り付けられた電池ユニット800を例示する。明確性のため、様々な構成要素が取り除かれた。ここで図54A図54B図55及び56を参照し、電池ドック850は、電池ユニット800の空洞810(図51)により受容される大きさの突出部材858を含む。取り付けの前、ドレーン812は、開放位置にある(図54A)電池ユニット800を電池ドック850へ取り付ける間、突出部材858は、空洞810内に挿入され、電池ユニット800は、電池ドック850に対し、矢印862に示される方向において動かされる。最終的に突出部材858の遠位端860は、ドレーン812の表面840に接触する。ユーザーが電池ユニット800を取り付け続けると、ドレーン812は、ケース802に対して、矢印864によって示される方向で並進し、閉鎖位置へと(図54B)移動する。この位置において、電池ユニット800は、ゆっくりと放電し始める。電池ユニット800が電池ドック850から取り除かれるとき、ドレーン812は、図54Bに図示される位置に留まり得る。このようにして、電池ユニット800の単電池(図示されない)は、廃棄前又は廃棄中のいずれかにおいて、抵抗素子にわたって残るいずれかの電荷を放電してもよい。
【0085】
理解されるように、電池ユニットの並進可能放電ドレーンは、図56に例示される実施に限定されない。図57A及び図57Bは、明確性のために様々な構成要素を取り除かれた、電池ユニット900及びドレーン912を例示する。ドレーン912は、開放位置(図57A)と閉鎖位置(図57B)との間で並進可能である。開放位置において、接触子916、918はそれぞれ、ケース920、922の非導電性部分と係合する。ドレーン912は、開放位置と閉鎖位置との間で並進する際に、軌道914に乗る。図57Bは、ラム958がドレーン912を矢印964によって示される方向で並進させた後の、閉鎖位置にある電池ユニット900を図示する。ラム958は、例えば、外科用器具の電池ドックの構成要素であり得る。一実施形態において、電池ドックは、電池ユニット900を受容するような大きさの空洞を含み、ラム958は空洞内に位置付けられる。閉鎖位置において、接触子916、918は、電極924、926と電気的に接触する。ドレーン912は、例えば、表面取り付け又は貫通孔による接続を使用して少なくとも1つの抵抗素子が取り付けられた、印刷回路基板932を含み得る。
【0086】
図58A、及び図58Bは、別の非限定的な実施形態による電池ユニット1000を例示する。様々な構成要素が明確性のために取り除かれた。電池ユニット1000は、開放位置(図58A)と閉鎖位置(図58B)との間で並進可能なドレーン1012を含む。電池ユニット1000は、接触子1025を有する第1電極1024、及び接触子1027を有する第2電極1026を含み得る。電極1024、1026は、電池ユニット1000の単電池(図示されない)と接触し得る。開放位置において、ドレーン1012の接触子1016、1018は、電極1024、1026の接触子1025、1027と係合しない。ドレーン1012は、開放位置と閉鎖位置との間で並進する際に起動1014に乗ってもよい。図58Bは、ラム1058がドレーン1012を矢印1064によって示される方向で並進させた後の、閉鎖位置にある電池ユニット1000を図示する。ラム1058は、例えば、外科用器具の電池ドックの構成要素であり得る。閉鎖位置において、ドレーン1012の接触子1016、1018は、電極1024、1026の接触子1025、1027と電気的に接触する。ドレーン1012は、少なくとも1つの抵抗素子を含む印刷回路基板1032を含み得る。いくつかの実施形態において、接触子1016、1018自体が、抵抗素子を含んでもよい。実際、抵抗素子は、任意の好適な抵抗値及び任意の好適な機械的構成の素子であり得る。
【0087】
図59は、電池ユニット1100の斜視図である。図60A及び図60Bは、明確性のために様々な構成要素が省かれた、様々な動作段階における電池ユニット1100の内部図を図示する。電池ユニット1100は、1つの単電池1102、及び空洞1110を画定する外側ケース1104を有する。外側ケース1104は、非導電性であり得、電池ユニット1100が外科用器具に取り付けられる際に、外科用器具の回路にエネルギーを供給するための導電性接触子を有する。一実施形態において、電池ユニット1100は、外科用器具のピストル把持部の空洞に受容される。電池ユニット1100は、開放位置(図60A)と閉鎖位置(図60B)との間で並進可能なドレーン1112を含む。一実施形態において、ドレーン1112は、回路基板1132に連結された、第1接触子1116、及び第2接触子1118を有する。回路基板1132は、例えば、少なくとも1つの抵抗素子を含み得る。いくつかの実施形態において、回路基板1132は、追加的な回路を含む。電池ユニット1100は、単電池1102のアノードに連結された第1電極1124、及び単電池1102のカソードに連結された第2電極を含む。電池ユニット1100が器具に取り付けられる前に、ドレーン1112は開放位置にある(図60A)。例示される実施形態において、第1接触子1116は、第1電極1124に電気的に連結され、第2接触子1118は、非導電性指部1120上に位置するか、ないしは別の方法でこれと接触する。電池ユニット1100が器具に取り付けられると、器具の突出部1158は、空洞1110に受容されてもよく、ドレーン1112と接触して、ドレーン1112を、矢印1164により示される方向に駆動する。閉鎖位置において(図60B)において、第1接触子1116は、第1電極1124と電気的に連結し、第2接触子1118は、第2電極1126に電気的に連結される。この位置において、閉じた回路が生成されて、これにより単電池1102がドレーン1112を通じてエネルギーを放出させる。
【0088】
外科用器具及び電池ユニットに関する追加的な詳細は、2010年9月17日に出願され、本明細書において参照によりその全体が組み込まれる、米国特許出願第12/884,838号、表題「SURGICAL INSTRUMENTS AND BATTERIES FOR SURGICAL INSTRUMENTS」に開示される。
【0089】
本明細書における図及び説明の少なくともいくらかは、開示を明確に理解するのに関連する要素を示すために簡素化されており、明確にする目的でその他の要素を排除していることを理解すべきである。しかしながら、当業者は、これらの及びその他の要素が望ましい可能性があることを認識するであろう。しかしながら、そのような要素は当該技術分野において周知であり、それらは本開示のよりよい理解を促進しないため、本明細書ではそのような要素についての議論はしない。
【0090】
幾つかの実施形態を説明してきたが、本開示の利点の幾つか又は全てを習得した当業者は、これらの実施形態に対する様々な修正、変更及び適用を想起することができることは明白である。例えば、各種の実施形態によれば、所与の働きを成し遂げるために、単一の構成要素が複数の構成要素で置き換えられてもよく、また複数の構成要素が単一の構成要素で置き換えられてもよい。本願はしたがって、添付の特許請求の範囲で定義される本開示の範囲及び趣旨を逸脱することなく、そのようなすべての修正、変更、及び改作を網羅することを意図したものである。
【0091】
全体又は部分において、本明細書に参照により組み込まれると称されるいずれの特許公報又は他の開示物も、組み込まれた事物が現行の定義、記載、又は本開示に記載されている他の開示物と矛盾しない範囲でのみ本明細書に組み込まれる。このように及び必要な範囲で、本明細書に明瞭に記載されている開示は、参照により本明細書に組み込んだ任意の矛盾する事物に取って代わるものとする。本明細書に参照により組み込むと称されているが現行の定義、記載、又は本明細書に記載されている他の開示物と矛盾するいずれの事物、又はそれらの部分は、組み込まれた事物と現行の開示事物との間に矛盾が生じない範囲でのみ組み込まれるものとする。
【0092】
〔実施の態様〕
(1) 外科用器具であって、
エンドエフェクタと、
前記エンドエフェクタに動作可能に連結されるハンドルであって、前記ハンドルは、前記エンドエフェクタを作動させるためのトリガーを含み、前記ハンドルが電池ドックを含む、ハンドルと、
突出部材を含む前記電池ドックと、
前記電池ドックに取り付け可能な電池ユニットであって、前記電池ユニットは、前記電池ドックに取り付けられる際に前記ハンドル及び前記エンドエフェクタの少なくとも一方と電気的に接触する、電池ユニットとを含み、前記電池ユニットは、
ケース、
前記ケース内に位置付けられた第1アノード及び第1カソード、並びに
並進可能な放電ドレーンであって、前記電池ユニットを前記電池ドックに取り付ける際に、前記突出部材が前記放電ドレーンと接触し、前記放電ドレーンが、前記ケースに対して並進して、前記電池ユニットの前記第1アノードを前記電池の前記第1カソードへと電気的に連結する、放電ドレーンを含む、外科用器具。
(2) 前記放電ドレーンが、第1接触子及び第2接触子と、前記第1接触子及び前記第2接触子に電気的に連結された少なくとも1つの抵抗素子とを含み、前記電池ユニットを前記電池ドックに取り付ける際に、前記放電ドレーンは、前記第1アノードを、前記少なくとも1つの抵抗素子を通じて前記第1カソードに電気的に連結する、実施態様1に記載の外科用器具。
(3) 前記少なくとも1つの抵抗素子は、約90Ω〜約110Ωの範囲の抵抗値を有する、実施態様2に記載の外科用システム。
(4) 前記電池ユニットが、前記ケース内に位置付けられた第2アノード及び第2カソードを含み、前記電池ユニットを前記電池ドックに取り付ける際に、前記放電ドレーンが前記第2アノードを前記第2カソードに電気的に連結する、実施態様1に記載の外科用器具。
(5) 前記エンドエフェクタは、カッター、把持具、ステープラー、RF器具、超音波器具及びレーザー器具からなる群から選択される少なくとも1つの器具を含む、実施態様1に記載の外科用器具。
【0093】
(6) 前記電池ユニットが、CR123単電池及びCR2単電池からなる群から選択される少なくとも1つの単電池を含む、実施態様1に記載の外科用器具。
(7) 外科用システムであって、
電池区画を含む外科用器具と、
前記電池区画に近接するように位置付けられた突出部材と、
電池ユニットとを含み、前記電池ユニットは、
ケース、
前記ケース内に位置付けられる複数の単電池であって、前記複数の単電池の少なくとも一部が互いに電気的に接続されない、複数の単電池、
開放位置及び閉鎖位置を有する放電スイッチであって、前記閉鎖位置にあるとき、前記放電スイッチは前記電池ユニットのアノードを、前記電池ユニットのカソードに電気的に連結し、前記放電スイッチは前記閉鎖位置へと機械的に付勢され、前記放電スイッチは、前記ケースの非導電性部分によって前記開放位置に保持され、前記放電スイッチは、前記電池ユニットを前記外科用器具の前記電池区画内に取り付ける際に、前記突出部材によって前記閉鎖位置へと並進される、放電スイッチを含む、外科用システム。
(8) 前記エンドエフェクタが、カッター、把持部、ステープラー、RF封止器具、及び超音波器具からなる群から選択される少なくとも1つの器具を含む、実施態様7に記載の外科用システム。
(9) 前記放電スイッチは、前記電池ユニットを前記外科用器具の前記電池区画内に取り付ける際に、前記ケースの前記非導電性部分に対して並進する、実施態様7に記載の外科用システム。
(10) 前記ケースの前記非導電性部分が、非導電性指部を含む、実施態様9に記載の外科用システム。
【0094】
(11) 前記放電スイッチが回路基板を含み、少なくとも1つの抵抗素子が、前記回路基板に実装されており、前記放電スイッチが前記閉鎖位置にあるときに少なくとも1つの単電池に電気的に連結される、実施態様7に記載の外科用システム。
(12) 前記ケースが、突出部を受容するような大きさの空洞を画定する、実施態様7に記載の外科用システム。
(13) 前記複数の単電池が、CR123単電池及びCR2単電池からなる群から選択される少なくとも1つの単電池を含む、実施態様7に記載の外科用システム。
(14) 外科用システムであって、
電池ドックを含む外科用装置と、
電池ユニットとを含み、前記電池ユニットが、
第1群及び第2群の単電池、
前記第1群及び第2群の単電池に近接するように位置付けられた並進可能な電池ドレーンであって、前記並進可能な電池ドレーンは第1セット及び第2セットの接触子を含み、第1位置において、前記第1セット及び第2セットの接触子が前記第1群及び第2群の単電池に電気的に連結せず、第2位置において、前記第1セットの接触子が前記第1群の単電池に電気的に連結し、前記第2セットの接触子が、前記第2群の単電池に電気的に連結し、前記並進可能な電池ドレーンは、前記電池ユニットを前記電池ドックに取り付けた際に、前記第1位置から前記第2位置へと並進する、並進可能な電池ドレーンを含む、外科用システム。
(15) 前記電池ユニットが第1導電路、及び第2導電路を含み、前記電池ユニットを前記電池ドックに取り付ける際に、前記第1及び第2接触子が、前記第1及び第2導電路にそれぞれ係合する、実施態様14に記載の外科用システム。
【0095】
(16) 前記電池ドックは、前記並進可能な電池ドレーンと係合するような大きさであるラムを含む、実施態様14に記載の外科用システム。
(17) 前記並進可能な電池ドレーンが、第1及び第2抵抗素子を含み、前記第1セットの接触子は前記第1抵抗素子に電気的に連結し、前記第2セットの接触子が、前記第2抵抗素子に電気的に連結する、実施態様14に記載の外科用システム。
(18) 前記第1及び第2抵抗素子はそれぞれ、約90Ω〜約110Ωの範囲の抵抗値を有する、実施態様17に記載の外科用システム。
(19) 前記第1群及び第2群の単電池はそれぞれ、CR123単電池及びCR2単電池からなる群から選択される、少なくとも1つの単電池を含む、実施態様14に記載の外科用システム。
(20) 固定カムを含み、前記固定カムは、本体部分及び前記本体部分に対して枢動可能なばね部分を含む、実施態様14に記載の外科用システム。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23A
図23B
図24A
図24B
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31
図32
図33
図34
図35
図36
図37
図38
図39
図40
図41
図42
図43
図44A
図44B
図45A
図45B
図45C
図46
図47A
図47B
図47C
図48
図49A
図49B
図50
図51
図52
図53
図54A
図54B
図55
図56
図57A
図57B
図58A
図58B
図59
図60A
図60B