(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記多価アルコールが、1,5−ペンタンジオール、2,2−ジメチル−1,3プロパンジオール、トリエチレングリコール、ポリ(グリコールエーテル)から選択されるジオール;グリセロール、トリメチロールプロパン、2,3−ジ−(2’−ヒドロキシエチル)シクロヘキサン−1−オール、ヘキサン−1,2,6−トリオール、1,1,1−トリス−(ヒドロキシメチル)エタン、3−(2’−ヒドロキシエトキシ)プロパン−1,2−ジオール、3−(2’−ヒドロキシプロポキシ)プロパン−1,2−ジオール、2−(2’−ヒドロキシエトキシ)ヘキサン−1,2−ジオール、6−(2’−ヒドロキシプロポキシ)ヘキサン−1,2−ジオール、1,1,1−トリス−[(2’−ヒドロキシエトキシ)メチル]エタン、1,1,1−トリス−[(2’−ヒドロキシプロポキシ)メチル]プロパン、1,1,1−トリス−(4’−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,1−トリス−(ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1,3−トリス−(ジヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、1,1,4−トリス−(ジヒドロキシフェニル)ブタン、1,1,5−トリス−(ヒドロキシフェニル)−3−メチルペンタン、ジ−トリメチロプロパン、トリメチロールプロパンエトキシレート、またはトリメチロールプロパンプロポキシレートから選択されるトリオール;ペンタエリトリトール、ジペンタエリトリトール、およびトリペンタエリトリトールから選択されるポリオール;およびシクロデキストリン、D−マンノース、グルコース、ガラクトース、スクロース、フルクトース、キシロース、アラビノース、D−マンニトール、D−ソルビトール、D−またはL−アラビトール、キシリトール、イジトール、タリトール、アリトール、アルトリトール、グリトール、エリトリトール、トレイトールおよびD−グロン酸−γ−ラクトンから選択される糖類:からなる群から選択されることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
前記多価アルコールが少なくとも一対のヒドロキシル基を有し、それらがそれぞれ結合している炭素原子が少なくとも1個の原子によって割り込まれていることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
前記多価アルコールが、ジグリセロール、トリグリセロール、ペンタエリトリトール、ジペンタエリトリトール、トリペンタエリトリトールおよびジ−トリメチロールプロパンからなる群から選択されることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明のポリアミドは特に、少なくとも1つの脂肪族ジカルボン酸と脂肪族または環式または脂環式またはアリール脂肪族ジアミンとの重縮合によって得られたポリアミド、例えばPA6.6、PA6.10、PA6.12、PA10.10、PA10.6、PA12.12、PA4.6、MXD6またはPA92、もしくは少なくとも1つの芳香族ジカルボン酸と脂肪族または芳香族ジアミンとの間の重縮合によって得られたポリアミド、例えばポリテレフタルアミド、ポリイソフタルアミドまたはポリアラミド、もしくはそれらのブレンドおよびそれらの(コ)ポリアミドからなる群から選択される。また、本発明のポリアミドは、少なくとも1つのアミノ酸またはラクタムそれ自体の重縮合によって得られたポリアミド(アミノ酸をラクタム環の加水分解開環によって生成させることができる)、例えば、PA6、PA7、PA11、PA12またはPA13、もしくはそれらのブレンドおよびそれらの(コ)ポリアミドから選択されてもよい。コポリアミドのタイプとしてポリアミド6/66が特に挙げられる。
【0010】
半結晶性脂肪族または半芳香族ポリアミドが特に好ましい。
【0011】
タイプ6のポリアミドおよびタイプ66のポリアミドが特に好ましい。用語「タイプ6のポリアミド」は、カプロラクタムまたはアミノカプロンモノマー残基を少なくとも90重量%で含むポリアミドを特に意味する。用語「タイプ66のポリアミド」は、アジピン酸およびヘキサメチレンジアミンモノマー残基を少なくとも90重量%で含むポリアミドを特に意味する。
【0012】
ポリアミドは、特にタイプ6のポリアミドについて、1000s
-1の剪断速度および250℃の温度においてISO 11443標準によって測定されたとき10〜1200Pa.sの見掛け溶融粘度、もしくは特にタイプ66のポリアミドについて、1000s
-1の剪断速度および280℃の温度においてISO 11443標準によって測定されたとき、10〜700Pa.sの見掛け溶融粘度を有することができる。
【0013】
特に、重合の前または間にポリアミドモノマーを添加することによって、あるいは溶融押出において、鎖の長さを変えるモノマー、例えば、特に、アミンを有するかもしくはポリアミドモノマーまたはポリアミドと反応することができるカルボン酸官能基を有する二官能性および/または一官能性化合物を添加することによって様々な分子量のポリアミドを使用することができる。
【0014】
用語「カルボン酸」は、カルボン酸およびそれらの誘導体、例えば酸無水物、酸塩化物およびエステルなどを意味する。用語「アミン」は、アミンおよびアミド結合を形成することができるそれらの誘導体を意味する。
【0015】
重合の開始時、間または終了時に、脂肪族または芳香族モノカルボン酸またはジカルボン酸の任意のタイプもしくは脂肪族または芳香族モノアミンまたはジアミンアミンの任意のタイプを使用することができる。
【0016】
少なくともアジピン酸およびヘキサメチレンジアミンまたはその塩、例えばアジピン酸ヘキサメチレンジアミンから得られたポリアミドを特に使用してもよく、それは任意選択により、様々な比率の他のポリアミドモノマーを含むことができる。この目的のために、ポリアミド66/6Tが挙げられる。
【0017】
また、本発明によるポリアミドをブレンディング、特に溶融ブレンディングによって得ることができる。例えば、1つのポリアミドと別のポリアミド、または1つのポリアミドとポリアミドオリゴマー、あるいは1つのポリアミドと鎖の長さを変えるモノマー、例えば、特に、ジアミン、ジカルボン酸、モノアミンおよび/またはモノカルボン酸をブレンドすることができる。特に、イソフタル酸、テレフタル酸または安息香酸を例えば約0.2重量%〜2重量%の含有量においてポリアミドに添加することができる。
【0018】
また、本発明の組成物は、特に上記のポリアミドから誘導されたコポリアミド、もしくはこれらのポリアミドまたは(コ)ポリアミドのブレンドを含むことができる。
【0019】
また、ポリアミドモノマーの存在下で、重合の間、アミン官能基またはカルボン酸官能基タイプの少なくとも3つの同一の反応性官能基を含む少なくとも1つの多官能性化合物をブレンドすることによって特に得られた高流動性の分岐ポリアミドを使用してもよい。
【0020】
また、高流動性のポリアミドとして、星形高分子鎖および適切な場合は直鎖高分子鎖を含む星形ポリアミドを使用してもよい。このような星形高分子鎖を含むポリマーは、例えば、国際公開第97/24388号パンフレットおよび国際公開第99/64496号パンフレットの文書に記載されている。
【0021】
これらの星形ポリアミドは、ポリアミドモノマーの存在下で、重合の間、アミノ酸またはカプロラクタムなどのラクタム、アミン官能基またはカルボン酸官能基タイプの少なくとも3つの同一の反応性官能基を含む少なくとも1つの多官能性化合物をブレンドすることによって特に得られる。用語「カルボン酸」は、カルボン酸およびそれらの誘導体、例えば酸無水物、酸塩化物およびエステルなどを意味する。用語「アミン」は、アミンおよびアミド結合を形成することができるそれらの誘導体を意味する。
【0022】
組成物は、本発明の改良されたポリアミドの他に、1つまたは複数の他のポリマー、好ましくはポリアミドまたはコポリアミドを含むことができる。
【0023】
本発明による組成物は、組成物の全重量に対してポリアミド20重量%〜80重量%、優先的に20重量%〜70重量%およびより優先的に35重量%〜65重量%を含むことができる。
【0024】
強化剤または増量剤は、ポリアミド組成物の製造のために慣例的に使用される充填剤である。強化繊維充填剤、例えばガラス繊維、炭素繊維または有機繊維、非繊維質充填剤、例えば粒状またはラメラ充填剤および/または剥脱性または非剥脱性ナノ充填剤、例えばアルミナ、カーボンブラック、粘土、リン酸ジルコニウム、カオリン、炭酸カルシウム、銅、珪藻土、黒鉛、グラファイト、マイカ、シリカ、二酸化チタン、ゼオライト、タルク、ウォラストナイト、ポリマー充填剤、例えば、ジメタクリレート粒子、ガラスビーズまたはガラス粉末などが特に挙げられる。
【0025】
好ましくは、強化用繊維、例えばガラス繊維が特に使用される。好ましくは、最も広範囲に使用される繊維は、7〜14μmの直径および5mm未満の長さを有する「細断」タイプのガラス繊維である。これらの充填剤は、繊維とポリアミド母材との間の機械的接着を確実にする表面サイズを有することができる。
【0026】
本発明による組成物は、組成物の全重量に対して強化剤または増量剤5重量%〜60重量%および優先的に10重量%〜40重量%を含むことができる。
【0027】
したがって、本発明の組成物は、組成物の全重量に対して耐衝撃性改良剤3重量%〜10重量%を含む。したがって、これは耐衝撃性改良剤を3重量%〜10重量%だけ含むことができる組成物を意味する。言い換えれば、組成物の耐衝撃性改良剤、特に耐衝撃性改良剤の系の全比率は、全組成物中3重量%〜10重量%だけであってもよい。
【0028】
上に定義されたようなポリアミドを含む本発明による組成物は、少なくとも1つの耐衝撃性改良剤、すなわち、ポリアミド組成物の衝撃強さを改良することができる化合物を含む。耐衝撃性改良剤は優先的に、ポリアミドと反応する官能基を含む。
【0029】
本発明によって、用語「ポリアミドと反応する官能基」は、特に、共有結合性、イオン結合または水素結合相互作用またはファンデルワールス結合によってポリアミドの酸またはアミン官能基と反応するかまたは化学的に相互作用することができる基を意味する。このような反応性基は、ポリアミド母材中の耐衝撃性改良剤の良好な分散を確実にすることを可能にする。良好な分散は一般に、母材中の0.1〜2μmの平均サイズを有する耐衝撃性改良剤粒子によって得られる。
【0030】
ポリアミドの不均衡ΔEG=CEG−AEG(酸末端基の濃度CEG−アミン末端基の濃度AEG)の酸またはアミン性質の関数としてポリアミドと反応する官能基を含む耐衝撃性改良剤が優先的に使用される。したがって、例えば、ΔEGが「酸」である場合(CEG>AEG)、優先的に、特に、共有結合性、イオン結合または水素結合相互作用またはファンデルワールス結合によってポリアミドの酸官能基と反応するかまたは化学的に相互作用することができる反応性官能基が使用される。例えば、ΔEGが「アミン」である場合(AEG>CEG)、特に、共有結合性、イオン結合または水素結合相互作用またはファンデルワールス結合によってポリアミドのアミン官能基と反応するかまたは化学的に相互作用することができる反応性官能基が好ましくは使用される。「アミン」性質のΔEGを示すポリアミドと反応する官能基を有する耐衝撃性改良剤が優先的には使用される。
【0031】
耐衝撃性改良剤は、例えばエチレン/アクリル酸(EAA)に関してポリアミドと反応する官能基をそれら自体に非常によく含むことができる。
【0032】
また、例えば無水マレイン酸でグラフト化されたエチレン/プロピレン/ジエン(EPDM)について一般にグラフト化または共重合によって、ポリアミドと反応する官能基をそれに付加することができる。
【0033】
本発明によって、以下のモノマーの少なくとも1つまたはそれらの混合物を含むオリゴマーまたはポリマー化合物である耐衝撃性改良剤を使用してもよく、すなわち、エチレン、プロピレン、ブテン、イソプレン、ジエン、アクリレート、ブタジエン、スチレン、オクテン、アクリロニトリル、アクリル酸、メタクリル酸、酢酸ビニル、ビニルエステル、例えばアクリル酸およびメタクリル酸エステルおよびグリシジルメタクリレートが挙げられる。また、本発明によるこれらの化合物は、さらに、上述のモノマー以外のモノマーを含むことができる。
【0034】
エラストマーベースとして場合によっては公知である耐衝撃性改良剤化合物のベースは、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリイソプレン、エチレン/プロピレンゴム(EPR)、エチレン/プロピレン/ジエン(EPDM)ゴム、エチレンおよびブテンゴム、エチレンおよびアクリレートゴム、ブタジエンおよびスチレンゴム、ブタジエンおよびアクリレートゴム、エチレンおよびオクテンゴム、ブタジエンおよびアクリロニトリルゴム、エチレン/アクリル酸(EAA)製品、エチレン/酢酸ビニル(EVA)製品、エチレン/アクリル酸エステル(EAE)製品、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン(ABS)コポリマー、スチレン/エチレン/ブタジエン/スチレン(SEBS)ブロックコポリマー、スチレン/ブタジエン/スチレン(SBS)コポリマー、メタクリレート/ブタジエン/スチレン(MBS)タイプのコアー/シェルエラストマー、または上に列挙された少なくとも2つのエラストマーのブレンドからなる群から選択されてもよい。
【0035】
また、上に列挙された群の他にこれらの耐衝撃性改良剤は、一般にはグラフト化または共重合された、ポリアミドと反応する官能基、例えば、特に、以下の官能基、すなわち、酸、例えばカルボン酸、塩にされた酸、エステル、特に、アクリレートおよびメタクリレート、イオノマー、グリシジル基、特にエポキシ基、グリシジルエステル、無水物、特に無水マレイン酸、オキサゾリン、マレイミドまたはそれらの混合物を含むことができる。
【0036】
エラストマー上のこのような官能基は、例えば、エラストマーの調製の間にコモノマーを使用することによって得られる。
【0037】
ポリアミドと反応する官能基を含む耐衝撃性改良剤として、エチレン、アクリル酸エステルおよびグリシジルメタクリレートのターポリマー、エチレンのおよびブチルエステルアクリレートのコポリマー、エチレン、n−ブチルアクリレートおよびグリシジルメタクリレートのコポリマー、エチレンのおよび無水マレイン酸のコポリマー、無水マレイン酸でグラフト化されたエチレン/プロピレン/ジエンコポリマー、無水マレイン酸でグラフト化されたスチレン/マレイミドコポリマー、無水マレイン酸でグラフト化されたスチレン/エチレン/ブチレン/スチレンコポリマー、無水マレイン酸でグラフト化されたスチレン/アクリロニトリルコポリマー、無水マレイン酸でグラフト化されたアクリロニトリル/ブタジエン/スチレンコポリマー、およびそれらの水素化された変種が特に挙げられる。
【0038】
全組成物中の耐衝撃性改良剤の重量比率は組成物の全重量に対して特に3%〜10%、優先的には4%〜8%であり、特に4、4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5および8およびこれらの間の値である。
【0039】
したがって、本発明による組成物は、2〜8個のヒドロキシル基を含む少なくとも1つの多価アルコールを含む安定化系を含む。
【0040】
組成物が2〜8個のヒドロキシル基を含む多価アルコールだけからなる熱安定化系を含むことはまったく可能である。すなわち、他の熱安定剤、例えばCuIおよびKIの組み合わせ、ヒンダードフェノール化合物、HALSタイプの少なくとも1つのヒンダードアミン単位を有する安定剤、もしくは有機または無機リン含有安定剤、例えば次亜リン酸ナトリウムまたは次亜リン酸マンガンを特に用いなくてもよい。
【0041】
多価アルコールが3〜8個のヒドロキシル基を優先的に有する。
【0042】
本発明の多価アルコールは脂肪族、脂環式、アリール脂肪族および芳香族化合物から選択されてもよく、1つまたは複数のヘテロ原子、例えば酸素、窒素および/または硫黄を含有してもよい。多価アルコールは1つまたは複数の置換基、例えばエーテル、カルボン酸、アミドまたはエステル基を含有してもよい。
【0043】
したがって、多価アルコールとして、ジオール、例えば1,5−ペンタンジオール、2,2−ジメチル−1,3プロパンジオール、トリエチレングリコール、ポリ(グリコールエーテル)、トリオール、例えばグリセロール、トリメチロールプロパン、2,3−ジ−(2’−ヒドロキシエチル)シクロヘキサン−1−オール、ヘキサン−1,2,6−トリオール、1,1,1−トリス−(ヒドロキシメチル)エタン、3−(2’−ヒドロキシエトキシ)プロパン−1,2−ジオール、3−(2’−ヒドロキシプロポキシ)プロパン−1,2−ジオール、2−(2’−ヒドロキシエトキシ)ヘキサン−1,2−ジオール、6−(2’−ヒドロキシプロポキシ)ヘキサン−1,2−ジオール、1,1,1−トリス−[(2’−ヒドロキシエトキシ)メチル]エタン、1,1,1−トリス−[(2’−ヒドロキシプロポキシ)メチル]プロパン、1,1,1−トリス−(4’−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,1−トリス−(ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1,3−トリス−(ジヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、1,1,4−トリス−(ジヒドロキシフェニル)ブタン、1,1,5−トリス−(ヒドロキシフェニル)−3−メチルペンタン、ジ−トリメチロールプロパン、トリメチロールプロパンエトキシレート、またはトリメチロールプロパンプロポキシレート、ポリオール、例えばペンタエリトリトール、ジペンタエリトリトール、およびトリペンタエリトリトール、および糖類、例えばシクロデキストリン、D−マンノース、グルコース、ガラクトース、スクロース、フルクトース、キシロース、アラビノース、D−マンニトール、D−ソルビトール、D−またはL−アラビトール、キシリトール、イジトール、タリトール、アリトール、アルトリトール、グリトール、エリトリトール、トレイトールおよびD−グロン酸−γ−ラクトン、および同様な化合物からなる群において記載された多価アルコールが挙げられる。
【0044】
好ましい多価アルコールには、少なくとも一対のヒドロキシル基を有し、それらがそれぞれ結合している炭素原子が少なくとも1個の原子、優先的には炭素または酸素原子によって割り込まれている多価アルコールがある。
【0045】
優先的には、熱可塑性組成物において使用される多価アルコールは、ジグリセロール、トリグリセロール、ペンタエリトリトール、ジペンタエリトリトール、トリペンタエリトリトールまたはジ−トリメチロールプロパンである。より優先的には、使用される多価アルコールはジペンタエリトリトールおよび/またはトリペンタエリトリトールである。
【0046】
また、本発明による組成物は、ポリアミド組成物の製造において通常に使用される添加剤を含むことができる。したがって、潤滑剤、難燃剤、可塑剤、成核剤、触媒、酸化防止剤、帯電防止剤、着色剤、マット化剤、成形用酸または他の従来の添加剤が挙げられる。
【0047】
これらの充填剤および添加剤は、例えば、重合の間または溶融ブレンディングにおいてなどの各々の充填剤または添加剤に適した通常の手段によって、改良されたポリアミドに添加されてもよい。
【0048】
優先的には、本発明の組成物は、少なくとも、
− 1つの熱可塑性ポリアミド樹脂と、
− 耐衝撃性改良剤3〜10重量%と、
− 2〜8個のヒドロキシル基を含む1つの多価アルコールと、
− 1つの強化剤または増量剤と、
− 潤滑剤、難燃剤、可塑剤、成核剤、触媒、酸化防止剤、帯電防止剤、着色剤、マット化剤および成形用酸からなる群から選択された1つの添加剤とを含む。
【0049】
優先的には、本発明の組成物は、
− 熱可塑性ポリアミド樹脂と、
− 耐衝撃性改良剤3〜10重量%と、
− 2〜8個のヒドロキシル基を含む多価アルコールと、
− 強化剤または増量剤と、
− 潤滑剤、難燃剤、可塑剤、成核剤、触媒、酸化防止剤、帯電防止剤、着色剤、マット化剤および成形用酸からなる群から選択された添加剤とからなる。
【0050】
ポリアミド組成物は一般に、組成物に関与する様々な化合物を低温条件下でまたは溶融体中でブレンドすることによって得られる。プロセスは、様々な化合物の性質によって多少高いかまたは低い高温および多少高いかまたは低い高剪断力において行われる。化合物を同時にまたは連続的に導入することができる。一般に押出装置を使用し、その中で材料を加熱し、次に溶融し、剪断力を加え、搬送する。
【0051】
第1の実施形態によって、全ての化合物が単一操作の間に、例えば押出操作の間に溶融ブレンドされる。例えば、ポリマー材料の粒体をブレンドして、それらを溶融して多少高いかまたは低い高剪断にかけるためにそれらを押出装置内に導入することができる。特定の実施形態によって、最終組成物を調製する前に化合物の一部を溶融体中でまたは溶融体中でなく予めブレンドすることができる。
【0052】
本発明による組成物は、押出装置を使用して調製されるとき、粒体の形で状態調節されるのが好ましい。粒体は、物品を得るために溶融を必要とするプロセスを用いて形成されるものとする。したがって、物品は組成物から構成される。通常の実施形態によって、改良されたポリアミドは例えば二軸スクリュー押出装置で棒状体の形で押出され、次に、粒体に細断される。次いで、上記のように製造された粒体を溶融し、溶融組成物を成形装置、例えば射出成形装置に供給することによって成形品を製造する。
【0053】
本発明による組成物は、プラスチックを成形するための任意のプロセス、例えば、成形プロセス、特に射出成形、押出、押出ブロー成形、あるいは回転成形などにおいて使用されてもよい。
【0054】
また、本発明は、例えば押出、成形、または射出成形によって本発明による組成物を成形することによって得られた物品に関する。挙げられる物品には、自動車産業において使用される物品が含まれる。
【0055】
本発明の原理の理解を容易にするために説明において特定の用語が用いられる。それでもなお、これらの特定の用語を用いることによって本発明の範囲に制限が加えられることはないと理解されるはずである。用語「および/または」は、「および」と「または」およびこの用語に関連する要素の他の可能な全ての組み合わせの意味を包含する。
【0056】
本発明の他の詳細または利点は、単に一例として示された以下の実施例に照らし合わせてより明白になるであろう。
【実施例】
【0057】
実験の部
特性決定
酸末端基(CEG)およびアミン末端基(AEG)含有量:電位差測定によって分析され、meq/kg単位で表される。試薬の初期量から計算された鎖ブロッキング基(TBG)の含有量。例えば、安息香酸または酢酸を鎖ブロッカーとして使用することができる。
【0058】
数平均モル質量Mnが式Mn=2.10
6/(AEG+CEG+TBG)によって決定され、g/モル単位で表される。
【0059】
融点(Mp)および関連エンタルピー(ΔHf)、並びに冷却時の結晶化温度(T
c):10℃/分の速度でPerkin Elmer Pyris 1装置を用いた示差走査熱量分析(DSC)によって測定される。
【0060】
ガラス転移温度(T
g)は、同じ装置を用いて40℃/分の速度で測定される。
【0061】
コポリアミドPA66/6T 65/35モル/モルの調製
N塩(ヘキサメチレンジアミンとアジピン酸との比1:1の塩)58.34kg(222.4モル)、テレフタル酸19.9kg(119.8モル)、32.34重量%のヘキサメチレンジアミンの水溶液44.06kg(122.6モル)、100%の酢酸340.5g(5.67モル)、脱イオン水56kgおよびSilcolapse 5020(登録商標)消泡剤6.4gを重合反応器中に導入する。ポリアミド66タイプの重合のための標準的な方法に従ってコポリアミド66/6T 65/35を製造し、290℃において15分間仕上げする。得られたポリマーを棒状体の形にキャストし、冷却し、棒状体を細断することによって粒体に形成する。
【0062】
得られたポリマーは以下の特性を示す:CEG=71.4meq/kg、AEG=51.4meq/kg、およびTBG=71meq/kg、すなわちMn=10 300g/モル。ポリアミド66/6T 65/35は半結晶性であり、以下の熱的特性を有する:Tg=81.9℃、Tc=248.1℃、Mp=281.9℃。
【0063】
押出
押出の前に、ポリアミド粒体を1000ppm未満の含水量に乾燥させる。40kg/hにおいておよび270rpmの速度において運転する二軸スクリュー同時回転Werner & Pleifeder ZSK 40押出機内で様々な成分および添加剤を溶融ブレンドすることによって調合物を調製する。8つの領域の温度設定はそれぞれ:250、255、260、260、265、270、275、280℃である。調合物中の全ての成分を押出機の開始時に添加する。押出機を出た棒状体を水槽中で冷却し、粗砕機を用いて粒体の形に切断し、粒体を熱封止バッグに包装する。射出成形する前に、1000ppm未満の湿分を得るために粒体を乾燥させる。
【0064】
使用された添加剤は以下の通りである。
− DPEとして公知の、Sigma Aldrich社製のジペンタエリトリトール(工業銘柄)
− Ajay Europe社製のCuIおよびKI
− Owens Corning Vetrotex社製のOCV 983ガラス繊維(35重量%)
− 基準材料Exxelor VA1803を有するExxonMobil Chemical社製のエラストマー、すなわち、無水マレイン酸でグラフト化されたエチレン系の非晶質コポリマー(0.5重量%〜1重量%)
− マスターバッチとしてカーボンブラックおよびニグロシン顔料(0.7重量%)
【0065】
熱的老化試験
ISO 527/1A標準に従って引張機械的性質(引張弾性率、降伏点応力、降伏点歪−5個の試料で得られた平均値)およびISO 179−1/1eU標準に従って衝撃機械的性質(ノッチなしシャルピー(Charpy)−10個の試料で得られた平均値)を空気中で熱老化の前と後に23℃において特性決定するために、調製された調合物を厚さ4mmの多機能試験片の形で、80℃の型温度を有する280℃のDemag 50Tプレス上に射出する。
【0066】
空気通風される熱老化は、240℃に調節されたHeraeus TK62120インキュベータ内に試験片を置くことによって行われる。様々な老化時間において、試験片をインキュベータから取り出し、周囲温度に冷却し、それらの機械的性質を評価する前にそれらが一切の湿気を吸収しないように熱封止バッグ内に置く。
【0067】
次に、与えられた老化時間においての引張強さまたは衝撃強さの保持率が、老化前のこれらの同じ性質に対して定義される。したがって、保持率はパーセンテージとして定義される。
【0068】
調合物および性質を以下の表1において照合する。
【0069】
【表1】
【0070】
したがって、エラストマーの存在は、使用された熱安定剤、CuI/KI混合物またはDPEの性質を問わず調合物の老化前の衝撃強さを改良できることが明らかに観察された。これは所望の効果である。他方、まったく驚くべきことに、DPEを補うものとしてエラストマーを使用することによって、エラストマーを使用しない場合よりも引張機械的性質と衝撃機械的性質との両方の保持率を大きくすることが観察される。これは、別のタイプの熱安定剤、例えばCuI/KI混合物については実験的に確認されていない。したがって、空気中で熱老化後に、引張および衝撃機械的性質の保持率に関して多価アルコールとエラストマーとの混合物の使用によって相乗効果がある。