(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下、本発明の実施形態に係る冷蔵庫について図面に基づいて説明する。
【0007】
図1は、一実施形態に係る冷蔵庫10の閉扉状態での斜視図であり、
図2は、その開扉状態での斜視図である。この冷蔵庫10は、最上段に観音開き式扉による左右両開きの冷蔵室12を備え、冷蔵室12の下方に、製氷室14と冷凍室16,18が引き出し扉方式により設けられたものである。
【0008】
冷蔵室12の前面開口部には、該開口部を幅方向に区分し、冷蔵庫本体11の左右両側に設けたヒンジ20,20で回動自在に枢支した観音開き式の左扉22および右扉24が設けられており、両扉22,24により冷蔵室12が閉塞されるように構成されている。両扉22,24の裏面周縁部には、ガスケット26が全周縁にわたって取り付けられており、冷蔵庫本体11の開口縁、及び左扉22の裏面に設けられた縦仕切り体28に当接して冷蔵室12内をシールしている。
【0009】
冷蔵庫本体11の上面前方部には、閉塞状態にある上記扉22,24を自動開放させる開扉装置30が設けられている。開扉装置30は、ソレノイドなどのアクチュエータにより動作する左右一対のプッシャ32,32を備えて、該プッシャ32,32により扉22,24の背面を前方に押圧することにより、扉22,24が前方に押し開かれるように構成されている。開扉装置30は、
図3に示すように、冷蔵庫10のメイン制御部(メイン制御回路)34に接続されており、該メイン制御部34から出力される駆動信号により、上記の開扉動作を行うように構成されている。
【0010】
上記扉22,24の前面には、使用者の操作により上記開扉装置30を駆動させるための信号を出力するタッチスイッチ36,36が設けられている。タッチスイッチ36は、この例では、各扉22,24の枢支側辺に対向する反枢支側の縁部に形成された取っ手38,38の前面にそれぞれ設けられている。
【0011】
タッチスイッチ36は、人体の静電容量を検出する静電容量式センサを用いて構成されている。詳細には、
図3に示すように、この静電容量式のタッチスイッチ36は、使用者が触れるタッチ部としての前面部を構成するアクリル板などの樹脂板40と、該樹脂板40の背後に重ね設けられた検出用電極を構成する金属板などの導電体42と、該導電体42に接続された静電容量検出回路44とで構成されている。樹脂板40の前面に人体が接触すると、導電体42との間で形成される静電容量が変化するので、この静電容量の変化を静電容量検出回路44で検出することにより、使用者がタッチスイッチ36を操作したことを検出することができる。
【0012】
静電容量検出回路44は、冷蔵庫10のメイン制御部34に接続されており、使用者の静電容量を検出したときに、その信号をメイン制御部34に出力する。出力された信号は、メイン制御部34に実装されたマイコン(不図示)に入力され、該マイコンから上記の通り開扉装置30に駆動信号が出力される。
【0013】
図1に示すように、上記扉22,24の前面には、また、各タッチスイッチ36,36が使用者の静電容量を検出したこと、即ち、使用者の操作が各タッチスイッチ36,36により認識されたことを、当該使用者に対して報知する報知手段46,46がそれぞれ設けられている。報知手段46は、タッチスイッチ36を操作する使用者によって認識しやすいように、タッチ部である樹脂板40の近傍に設けられており、この例では、発光体としての発光ダイオード(以下、LEDという。)により構成されている。
【0014】
図3に示すように、LED46は、該LED駆動回路48を介して静電容量検出回路44に接続されており、静電容量検出回路44が使用者の静電容量を検出すると、その信号がLED駆動回路48に入力され、これによりLED46が点灯するように構成されている。
【0015】
図4は、冷蔵庫10における扉22,24の開閉制御のフローチャートを示したものである。ステップA1において、扉22,24の閉扉状態から、使用者がタッチスイッチ36を操作して、タッチスイッチ36が使用者の静電容量を検出したときには、その信号がLED駆動回路48に入力されることにより、ステップA2において、LED46による使用者への報知が開始する。タッチスイッチ36が使用者の静電容量を検出したときには、その信号がメイン制御部34のマイコンに入力され、マイコンでは、報知開始から所定時間(例えば1秒)が経過したかどうか判定し(ステップA3)、所定時間経過後に、開扉装置30に対して駆動信号を出力して開扉装置30の駆動を開始する(ステップA4)。そして、ステップA5において、開扉装置30の駆動を終了した後、ステップA6において扉22,24が閉められたかどうか判定し、扉22,24が閉じられたら、ステップA1に戻り、使用者による開扉操作待ちの状態(待機状態)となる。
【0016】
以上よりなる冷蔵庫10であると、タッチスイッチ36が使用者の静電容量を検出したときには、タッチスイッチ36近傍のLED46が点灯することにより、使用者は、自らの操作がタッチスイッチ36によって認識されたことを視覚的に把握することができる。すなわち、マイクロスイッチを用いたタッチスイッチと異なり、静電容量式のタッチスイッチでは、使用者は操作したことを触覚で認識しにくいが、本実施形態であると、これを視覚的に容易に認識することができる。
【0017】
また、LED46の点灯による使用者への報知開始後、所定時間が経過してから開扉装置30を駆動させるようにしており、タッチスイッチ36による認識、報知と、開扉装置30の駆動開始との間に時間差を設けているので、開扉装置30を安全に動作させることができる。
【0018】
図5は、上記実施形態において、点灯しているLED46を徐々に消灯させるために組み込まれる残照回路50の一例を示したものである。
【0019】
残照回路50は、静電容量検出回路44に接続されたスイッチング素子としての第1トランジスタ(PNP型)52と、該第1トランジスタ52のエミッタ−コレクタ間に電圧をかけるための第1電源54と、第1トランジスタ52のコレクタ側に接続されたコンデンサ(電解コンデンサ)56と、第1トランジスタ52のコレクタ側においてコンデンサ56と分岐して接続されたスイッチング素子としての第2トランジスタ(NPN型)58と、該第2トランジスタ58のエミッタ−コレクタ間に電圧をかけるための第2電源60と、第2トランジスタ58のコレクタ側において第2電源60との間に介設された上記報知手段としてのLED46とを備えて構成されている。
【0020】
静電容量検出回路44が使用者の静電容量を検出することで該回路44から信号が出力されると、第1トランジスタ52がONとなって、第1電源54よりエミッタ−コレクタ間に電流が流れて、コンデンサ56が充電され、ベース電流Ibが流れることで第2トランジスタ58がONとなり、第2電源60から第2トランジスタ58を流れるコレクタ電流Icにより、LED46に電流が流れて、LED46が点灯する。
【0021】
この状態から、静電容量検出回路44が使用者の静電容量を検出しなくなると、該回路44からの出力がなくなる。そのため、第1トランジスタ52がOFFになり、第1電源54からの電流が止まる。すると、今度は、コンデンサ56が放電を開始し、このコンデンサ56から第2トランジスタ58にベース電流Ibが供給され、それにより第2トランジスタ58のON状態を維持してLED46は点灯状態を維持する。しかしながら、コンデンサ56は放電により徐々に電圧が下がっていくので、第2トランジスタ58に供給されるベース電流Ibも徐々に低下する。このベース電流Ibの低下とともに、第2トランジスタ58のコレクタ電流Icも低下していき、即ち、LED46に流れる電流も低下していくので、LED46が徐々に暗くなっていき、コンデンサ56が放電してベース電流Ibがなくなることで、第2トランジスタ58がOFFとなり、LED46は消灯する。
【0022】
このように本実施形態であると、タッチスイッチ36が使用者の静電容量を検出しなくなったときに、点灯中のLED46が徐々に消灯していくので、静電容量式のタッチスイッチ36のON/OFFを使用者にイメージさせやすい。すなわち、タッチスイッチ36が使用者の静電容量を検出してONになることで点灯したLED46が、使用者の静電容量を検出しなくなると徐々に消灯することで、この徐々に消灯する現象からOFFのイメージを使用者に連想させることができる。その他の構成は上記実施形態と同じであり、同様の作用効果が奏される。
【0023】
図6,7は、上記実施形態において、報知手段としてのLED46をタッチスイッチ36に組み込んだ例を示したものである。すなわち、この例では、タッチ部としての上記樹脂板40に複数の透明窓62を設け、LED46が透明窓62を介して冷蔵庫正面から見えないように樹脂板40の背後の導電体42との間に設け、LED46の発する光が複数の透明窓62を介して間接的に外部に点灯表示するよう構成されている。
【0024】
上記透明窓62は、
図6に示すように縦横それぞれ複数列(ここでは4列×8列)に配置された格子状に形成されており、例えば、透明窓62が無色透明とされ、その周りの不透明部64が黒色不透明とされている。このような透明窓62を有する樹脂板40は、アクリル板等の透明な樹脂板の表面部に不透明部64を構成する着色遮蔽層を格子状に設けることで形成することができる。LED46は、不透明部64の背後に配置されており、この例では上下2つが設けられ、例えば青色発光ダイオードが用いられている。
【0025】
このように報知手段としてのLED46をタッチスイッチ36の内部に組み込み、タッチ部として使用者が接触操作する部位が点灯するように構成することで、使用者の視覚に対してより効果的に訴えることができる。また、黒色の不透明部64に設けられた多数の微小な透明窓62から青色LED46の光が間接的に漏れ出るようにしたので、幻想的な視覚効果を与えて外観意匠を向上することができる。また、この場合、上記のようにタッチスイッチ36が使用者の静電容量を検出しなくなったときに、点灯中のLED46が徐々に消灯していくようにすることで、上記視覚効果をより一層高めることができる。その他の構成は上記実施形態と同じであり、同様の作用効果が奏される。
【0026】
図8は、更に他の実施形態を示したものである。この例では、報知手段としてLED46に代えて、音発生手段としてのブザー66を設けており、ブザー66が鳴動することにより、タッチスイッチ36が使用者の静電容量を検出したことを、当該使用者に報知するように構成されている。ブザー66は、タッチスイッチ36を操作する使用者によって認識しやすいように、タッチ部である樹脂板40の近傍に設けられている。
【0027】
ブザー66は、メイン制御部34に接続されており、メイン制御部34からの駆動信号に基づき、音が出るように構成されている。
【0028】
この例では、使用者がタッチスイッチ36に接触して、静電容量検出回路44がそのことを検出すると、静電容量検出回路44からの信号がメイン制御部34に実装されているマイコン(不図示)に入力され、マイコンから出力される駆動信号に基づき、ブザー66が鳴る。これにより、使用者はタッチスイッチ36が認識したことを聴覚的に容易に把握することができる。
【0029】
以上の実施形態では、報知手段として、LED46やブザー66を用いたが、使用者が知覚しやすいものであれば、これには限定されず、例えば、使用者が接触するタッチ部を振動させるためのバイブレータを設け、バイブレータによる振動により使用者の触覚に訴えるようにしてもよい。