(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、従来の紙幣収納庫を用いて、リサイクル庫への紙幣の装填とリサイクル庫からの紙幣の回収をおこなう場合には、装填用の紙幣を収納するための紙葉類収納庫と、回収した紙幣を収納するための紙葉類収納庫の2つの紙葉類収納庫を用意しなければならないため、紙幣の装填、回収作業が繁雑になるほか、紙葉類取扱装置に搭載可能なリサイクル庫の数が減るなどの制約があった。一方、2つ収納空間を有する紙葉類収納庫を使用する場合には、紙葉類取扱装置をこの2つ収納空間を有する紙葉類収納庫に対応させる必要があった。具体的には、紙葉類取扱装置側の搬送路を紙葉類収納庫に設けられた繰出し用の開口部と回収用の開口部の2つ開口部に紙幣を搬送可能な構成にしなければならなかった。このように、紙葉類取扱装置に搭載される紙葉類収納庫の利便性については、なお改善の余地があった。
【0007】
本発明は、上記した課題を解決するためになされた発明であり、紙葉類取扱装置に搭載される紙葉類収納庫の利便性の向上を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題の少なくとも一部を解決するために、本願発明は、以下の態様または適用例として実現することが可能である。
(1)紙葉類取扱装置に搭載され、紙葉類の集積および繰出しをおこなう紙葉類収納庫であって、前記紙葉類収納庫の内部において紙葉類を収容する第1と第2の紙葉類収容部と、前記紙葉類収納庫の外表面に形成され、前記紙葉類収納庫の内部と外部との間の紙葉類の出し入れをおこなうための紙葉類出入口部と、前記紙葉類収納庫の内部において、前記紙葉類出入口部に搬送された紙葉類を前記第1と第2の紙葉類収容部のうちのいずれか1つの紙葉類収容部に振り分ける振分け機構部と、前記第1の紙葉類収容部と前記振分け機構部との間で紙葉類の搬送をおこなうための第1の搬送路と、前記紙葉類収納庫の内部において、前記第1の紙葉類収容部に対し紙葉類の集積および繰出しを行う第1の集積繰出し機構部と、前記紙葉類出入口部と前記振分け機構部との間で紙葉類の搬送をおこなうための第2の搬送路と、前記第2の紙葉類収容部と前記振分け機構部との間で紙葉類の搬送をおこなうための第3の搬送路と、を備え、前記第1と第2の紙葉類収容部は、仕切部を介して互いに隣接し、前記紙葉類収納庫が紙葉類取扱装置に搭載されたときに、水平方向に並ぶように配置され、前記第1の紙葉類収容部は、前記水平方向において、前記仕切部と接している側と反対の側に前記第1の搬送路が接続され、前記第1の集積繰出し機構部は、前記第1の紙葉類収容部の前記反対の側に接して配置され、前記振分け機構部、前記紙葉類出入口部および前記第2の搬送路は、前記紙葉類収納庫が前記紙葉類取扱装置に搭載されたときに、前記仕切部の上方となる位置に配置され、前記第1の搬送路は、双方向搬送路であり、前記第3の搬送路は、前記振分け機構部から前記第2の紙葉類収容部に紙幣を集積する方向にのみ駆動する単方向搬送路である、紙葉類収納庫。
この構成によれば、紙葉類収納庫の内部空間を効率的に使用することができる。また、紙葉類収容部の上部に設けられる空間(実装空間)を効率的に使用することができる。また、紙葉類収納庫の利便性の向上を図ることができる。また、ジャムなどの問題の発生を抑制することができる。
【0009】
[適用例1]
紙葉類取扱装置に搭載され、紙葉類の集積および繰出しをおこなう紙葉類収納庫であって、
前記紙葉類収納庫の内部において紙葉類を収容する第1と第2の紙葉類収容部と、
前記紙葉類収納庫の外表面に形成され、前記紙葉類収納庫の内部と外部との間の紙葉類の出し入れをおこなうための紙葉類出入口部と、
前記紙葉類出入口部に搬送された紙葉類を前記第1と第2の紙葉類収容部のうちのいずれか1つの紙葉類収容部に振り分ける振分け機構部と、を備え、
前記第1と第2の紙葉類収容部は、仕切部を介して互いに隣接し、前記紙葉類収納庫が紙葉類取扱装置に搭載されたときに、水平方向に並ぶように配置され、
前記振分け機構部は、前記紙葉類収納庫の内部であって、前記紙葉類収納庫が前記紙葉類取扱装置に搭載されたときに、前記仕切部の上方となる位置に配置されている、紙葉類収納庫。
【0010】
この構成によれば、2つの紙葉類収容部が互いに隣接し、水平方向に並ぶように配置されているため、紙葉類収納庫の内部空間を効率的に使用することができる。また、振り分け機構部が2つの紙葉類収容部の間の上部に配置されているため、紙葉類収容部の上部に設けられる空間(実装空間)を効率的に使用することができる。紙葉類収納庫の内部空間を効率的に使用することで紙葉類収納庫の内部空間に占める紙葉類収容部の割合を増加させることがきるため、紙葉類収納庫の利便性の向上を図ることができる。また、振り分け機構部が紙葉類収納庫の内部に配置されているため、ジャムなどの問題の発生を抑制することができる。
【0011】
[適用例2]
適用例1に記載の紙葉類収納庫において、
前記仕切部は、前記第1の紙葉類収容部に収容された紙葉類を前記第2の紙葉類収容部が配置されている側から取り出し可能にするための第1の扉を備えている紙葉類収納庫。
【0012】
この構成によれば、第1の紙葉類収容部に収容された紙葉類を第2の紙葉類収容部が配置されている側から取り出すことができるため、紙葉類収納庫の利便性の向上を図ることができる。
【0013】
[適用例3]
適用例2に記載の紙葉類収納庫は、さらに、
前記紙葉類収納庫から前記第1と第2の紙葉類収容部に収容された紙葉類を取り出す際に開かれる第2の扉を前記紙葉類収納庫の外表面に備え、
前記第2の扉は、前記第2の紙葉類収容部と、前記第1の扉とを含んで構成されている、紙葉類収納庫。
【0014】
この構成によれば、紙葉類収納庫の外部から2つの紙葉類収容部に収容された紙葉類を容易に取り出すことができるため、紙葉類収納庫の利便性の向上を図ることができる。
【0015】
[適用例4]
適用例3に記載の紙葉類収納庫であって、
前記第2の扉は、施錠をおこなうための施錠金具を備え、
前記第1の扉は、施錠金具を備えていない、紙葉類収納庫。
【0016】
この構成によれば、第2の扉の施錠のみを解除することによって、2つの紙葉類収容部の内部にアクセスすることができるため、紙葉類収納庫の利便性の向上を図ることができる。
【0017】
[適用例5]
適用例1ないし適用例4のいずれかに記載の紙葉類収納庫は、さらに、
前記第1の紙葉類収容部と前記振分け機構部との間で紙葉類の搬送をおこなうための第1の搬送路と、
前記第1の紙葉類収容部に収容された紙葉類を前記第1の搬送路に繰出すための繰出し機構部と、を備え、
前記第1の紙葉類収容部は、前記水平方向において、前記仕切部と接している側と反対の側に前記第1の搬送路が接続され、
前記繰出し機構部は、前記第1の紙葉類収容部の前記反対の側に接して配置されている、紙葉類収納庫。
【0018】
この構成によれば、仕切部の上方に配置された振分け機構部と、繰出し機構部とを水平方向に離すことができるため、紙葉類収容部の上部の実装空間を効率的に使用することができる。
【0019】
[適用例6]
適用例1ないし適用例5のいずれかに記載の紙葉類収納庫は、さらに、
前記紙葉類出入口部と前記振分け機構部との間で紙葉類の搬送をおこなうための第2の搬送路を備え、
前記紙葉類出入口部および前記第2の搬送路は、前記紙葉類収納庫が紙葉類取扱装置に搭載されたときに、前記仕切部の上方となる位置に配置されている、紙葉類収納庫。
【0020】
この構成によれば、紙葉類出入口部と第2の搬送路が2つの紙葉類収容部の間の上部に配置されているため、紙葉類収容部の上部の実装空間を効率的に使用することができる。
【0021】
[適用例7]
適用例1ないし適用例6のいずれかに記載の紙葉類収納庫であって、
前記紙葉類収納庫は、略箱形状の外形を備え、
前記紙葉類出入口部は、前記紙葉類収納庫の前記外表面のうち、前記紙葉類収納庫が前記紙葉類取扱装置に搭載されたときに上方側となる上面に形成され、
前記第2の扉は、前記紙葉類収納庫の前記外表面のうち、側方側となる側面に形成されている、紙葉類収納庫。
【0022】
この構成によれば、略箱形の紙葉類収納庫は、紙葉類出入口部が上面に形成され、第2の扉が側面に形成されているため、紙葉類収納庫の内部空間を効率的に使用することができる。
【0023】
[適用例8]
適用例1ないし適用例7のいずれかに記載の紙葉類収納庫において、
前記紙葉類収納庫は、紙葉類取扱装置が備えるトレイに1つのユニットとして脱着可能に搭載される、紙葉類収納庫。
【0024】
この構成によれば、紙葉類収納庫は、1つのユニットとして紙葉類取扱装置から容易に脱着することができるため、紙葉類収納庫の利便性の向上を図ることができる。
【0025】
[適用例9]
紙葉類取扱装置であって、
適用例1ないし適用例8のいずれかに記載の紙葉類収納庫と、
前記紙葉類収納庫を脱着可能に搭載するためのトレイと、を備える紙葉類取扱装置。
【0026】
この構成によれば、紙葉類取扱装置は、適用例1ないし適用例8のいずれかに記載の紙葉類収納庫を備えているため、紙葉類取扱装置の利便性の向上を図ることができる。
【0027】
[適用例10]
現金自動取引装置であって、
適用例9に記載の紙葉類取扱装置と、
前記振分け機構部を制御するための制御部と、を備える現金自動取引装置。
【0028】
この構成によれば、現金自動取引装置は、適用例9に記載の紙葉類取扱装置を備えているため、現金自動取引装置の利便性の向上を図ることができる。
【0029】
なお、本発明は、上記以外の種々の形態で実現することが可能であり、例えば、充填回収庫、リサイクル庫、リジェクト庫、また、これらを備える紙幣取扱装置、紙幣取扱方法、その取扱方法を実現するためのコンピュータープログラム等の形態で実現することができる。また、本発明に係る紙葉類収納庫、紙葉類取扱装置および現金自動取引装置は、適宜、他の部材と組み合わせて適用することができる。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しつつ、実施例に基づいて説明する。
【0032】
A.第1実施例:
A1.現金自動取引装置の構成:
図1は、本発明の一実施例としての紙幣取扱装置を搭載した現金自動取引装置の外観を示す斜視図である。この現金自動取引装置100は、銀行などの金融機関によって管理され、利用者(顧客)の操作に応じて各種取引を行うための装置である。現金自動取引装置100は、紙幣取扱装置101と、硬貨取扱装置102と、通帳取扱装置103、カード明細票取扱装置104と、顧客操作部105と、を備えている。また、図示は省略しているが、現金自動取引装置100は、電源ユニットや、現金自動取引装置100の全体を制御するための本体制御ユニットを備えている。
【0033】
紙幣取扱装置101は、利用者との紙幣の授受を行うための装置である。この紙幣取扱装置101については、後から詳述する。硬貨取扱装置102は、利用者との硬貨の授受を行う。通帳取扱装置103は、通帳を取り扱い、取引に応じて、通帳に記されたマークなどの読み取りや、印字処理などを行う。カード明細票取扱装置104は、磁気ストライプカード(いわゆるキャッシュカード)に記録された情報を読み取ったり、取引に応じて、その内容を記録した取引明細票を発行したりする。顧客操作部105は、入出金取引のための情報表示および入出金取引のための操作入力を行うための利用者とのインタフェースである。
【0034】
図2は、現金自動取引装置を背面側から見た斜視図である。
図3は、トレイや紙幣収納庫の構成を説明するための説明図である。
図3に示すように、紙幣取扱装置101は、紙幣収納庫70を収納するトレイ110と、紙幣収納庫71〜74を収納するトレイ112とを備えている。トレイ112において、紙幣収納庫71〜74は、紙幣取扱装置101の前後方向に一列に配置されている。各紙幣収納庫71〜74は、それぞれ1つのユニットとしてトレイ112に脱着可能に搭載されている。なお、本実施例では、後述するように、紙幣収納庫71〜74は、それぞれ、環流用の紙幣を金種ごとに分類して収納するためのリサイクル庫である(以下、紙幣収納庫71〜74を、それぞれ、リサイクル庫72〜74とも呼ぶ)。また、紙幣収納庫70は、リサイクル庫71〜74に装填すべき紙幣や、リサイクル庫71〜74から回収した紙幣を収納するための装填回収庫として利用される(以下、紙幣収納庫70を、装填回収庫70とも呼ぶ)。
【0035】
トレイ110とトレイ112は、レール114によって接続されており、トレイ110は、トレイ112に対して、紙幣取扱装置101の前後方向にスライド移動可能となっている(
図3)。また、トレイ112と、紙幣取扱装置101の筐体とは、レール116によって接続されており、トレイ112は、紙幣取扱装置101の筐体に対して、紙幣取扱装置101の前後方向にスライド移動可能となっている。こうすることによって、紙幣取扱装置101の背面側から後方に、トレイ110、および、トレイ112を引き出したり、トレイ112を紙幣取扱装置101の内部に残したまま、トレイ110だけを紙幣取扱装置101から引き出したりすることができる。トレイ112を紙幣取扱装置101の内部に残したまま、紙幣取扱装置101の背面側から、トレイ110だけを紙幣取扱装置101から引き出し可能とすることによって、現金自動取引装置100の利用者の取引を停止することなく、装填回収庫70の着脱交換を行うことができる。また、紙幣収納庫60も、紙幣取扱装置101の背面側から着脱可能である(
図3)。なお、本実施例では、紙幣収納庫60は、後述するように、紙幣入出金部に取り忘れられた紙幣の回収や、入金取引や出金取引に供しない紙幣を収納するためのリジェクト庫として利用される(以下、紙幣収納庫60を、リジェクト庫60とも呼ぶ)。
【0036】
A2.紙幣取扱装置の構成:
本実施例の紙幣取扱装置101は、上述した複数の紙幣収納庫、および、紙幣の搬送路を、限られた内部スペースに配置し、紙幣の搬送効率や搬送信頼性の低下を抑制しつつ、これらの紙幣収納庫の一部を多目的に利用可能とするために、以下に説明する構成を備えている。
【0037】
図4は、紙幣取扱装置の概略構成を示す側断面図である。紙幣取扱装置101は、上部に配置された上部ユニット101uと、下部に配置された金庫部101cとから構成されている。上部ユニット101uには、概ね、利用者との紙幣の授受に必要な機構が集められている。上部ユニット101uは、紙幣入出金庫30と、紙幣識別部40と、一時保管庫50と、リジェクト庫60と、制御ユニット80と、備えている。また、上部ユニット101uは、紙幣を双方向に搬送可能な双方向搬送路10a〜10f(以下、双方向搬送路10a〜10fをまとめて、第1の双方向搬送路10とも呼ぶ)と、第2の双方向搬送路20と、を備えている。そして、第1の双方向搬送路10、および、第2の双方向搬送路20は、それぞれ、図中に丸印で示した複数の搬送ローラや、これらの搬送ローラを双方向に回転させるための図示しないモータを有している。
【0038】
図4に示すように、本実施例の紙幣取扱装置101において、第1の双方向搬送路10における双方向搬送路10aの一方の端部と、双方向搬送路10fの一方の端部、すなわち、第1の双方向搬送路10における一端と他端とは、隣り合うように配置されている。そして、第2の双方向搬送路20は、双方向搬送路10a、および、双方向搬送路10fにおける、隣り合ういずれかの端部に接続される。双方向搬送路10aと第2の双方向搬送路20とを接続するか、双方向搬送路10fと第2の双方向搬送路20とを接続するかは、ゲート25gによって切り換えられる。
【0039】
紙幣入出金庫30の内部は、仕切板31によって、紙幣繰出部30iと、紙幣集積部30oとに区分されている。紙幣繰出部30iは、搬送路30a(単方向搬送路)を介して、第1の双方向搬送路10に接続されている。本実施例では、搬送路30aは、双方向搬送路10aと双方向搬送路10bとの接続部に合流するように接続されるものとした。そして、紙幣繰出部30iは、利用者によって投入された紙幣を搬送路30aに繰り出す繰出機構を備えている。また、紙幣集積部30oは、搬送路30b(単方向搬送路)を介して、第1の双方向搬送路10に接続されている。本実施例では、搬送路30bは、双方向搬送路10dと双方向搬送路10eとの接続部から分岐するように接続されるものとした。そして、紙幣集積部30oは、搬送路30bから搬送されてきた紙幣を集積するための集積機構を備えている。なお、紙幣集積部30oには、紙幣集積部30oに集積された紙幣を紙幣繰出部30i側に移動させるための押圧板32が備えられている。
【0040】
紙幣識別部40は、双方向搬送路10c上に配置されている。そして、この紙幣識別部40は、双方向搬送路10bから双方向搬送路10c、あるいは、双方向搬送路10dから双方向搬送路10cに搬送されてきた各紙幣について、金種、真偽、および、リジェクト紙幣であるか否かを識別し、その識別結果を制御ユニット80に出力する。この識別は、例えば、紙幣をスキャンして得られる画像データ、紙幣の表面の凹凸形状、磁気特性、紫外線などに対する光学特性など種々の情報を利用して行うことができる。
【0041】
一時保管庫50は、搬送路50a(双方向搬送路)を介して、第1の双方向搬送路10に接続されている。本実施例では、搬送路50aは、双方向搬送路10eと双方向搬送路10fとの接続部に接続されるものとした。そして、一時保管庫50は、集積機構を備え、搬送中の紙幣を一時的に集積保管する。第1の双方向搬送路10と搬送路50aとの接続部には、ゲート50gが配置されている。このゲート50gを切り換えることによって、双方向搬送路10eから搬送路50aに紙幣を搬送するか、双方向搬送路10eから双方向搬送路10fに紙幣を搬送するかが切り換えられる。
【0042】
リジェクト庫60は、搬送路60a(単方向搬送路)を介して、第2の双方向搬送路20に接続されている。
【0043】
金庫部101cには、リサイクル庫71〜74と、装填回収庫70とが、紙幣取扱装置101の前後方向に一列に配置されて収納されている。
【0044】
リサイクル庫74は、搬送路74a(双方向搬送路)を介して、双方向搬送路10aに接続されている。そして、双方向搬送路10aと搬送路74aとの接続部には、ゲート74gが配置されている。このゲート74gを切り換えることによって、双方向搬送路10bから双方向搬送路10aに搬送されてきた紙幣の搬送先が切り換えられる。リサイクル庫74は、搬送路74aから搬送されてきた紙幣を上下方向に集積して収納する機構や、収納されている紙幣を搬送路74aに繰り出す機構を備えている。
【0045】
リサイクル庫73は、搬送路73a(双方向搬送路)を介して、双方向搬送路10aに接続されている。そして、双方向搬送路10aと搬送路73aとの接続部には、ゲート73gが配置されている。このゲート73gを切り換えることによって、双方向搬送路10bから双方向搬送路10aに搬送されてきた紙幣の搬送先が切り換えられる。リサイクル庫73は、搬送路73aから搬送されてきた紙幣を上下方向に集積して収納する機構や、収納されている紙幣を搬送路73aに繰り出す機構を備えている。
【0046】
リサイクル庫72は、搬送路72a(双方向搬送路)を介して、双方向搬送路10aに接続されている。そして、双方向搬送路10aと搬送路72aとの接続部には、ゲート72gが配置されている。このゲート72gを切り換えることによって、双方向搬送路10bから双方向搬送路10aに搬送されてきた紙幣の搬送先が切り換えられる。リサイクル庫72は、搬送路72aから搬送されてきた紙幣を上下方向に集積して収納する機構や、収納されている紙幣を搬送路72aに繰り出す機構を備えている。
【0047】
リサイクル庫71は、搬送路71a(双方向搬送路)を介して、第2の双方向搬送路20に接続されている。そして、第2の双方向搬送路20と搬送路71aとの接続部には、ゲート71gが配置されている。このゲート71gを切り換えることによって、双方向搬送路10a、または、双方向搬送路10fから第2の双方向搬送路20に搬送されてきた紙幣の搬送先が切り換えられる。リサイクル庫71は、搬送路71aから搬送されてきた紙幣を上下方向に集積して収納する機構や、収納されている紙幣を搬送路71aに繰り出す機構を備えている。
【0048】
装填回収庫70は、内部に、2つの紙幣収容部80a、80bと、3つの搬送路70a、70b、70dと、を備えている。搬送路70d(双方向搬送路)は、上部ユニット101uの搬送路70c(双方向搬送路)と接続されて紙幣の受け渡しを行う。搬送路70a(双方向搬送路)と搬送路70b(単方向搬送路)は、それぞれ、搬送路70dに接続されている。紙幣収容部80aは、搬送路70a、70d、70cを介して、第2の双方向搬送路20に接続されている。紙幣収容部80bは、搬送路70b、70d、70cを介して、第2の双方向搬送路20に接続されている。
【0049】
搬送路70aおよび搬送路70bと、搬送路70dとの接続部には後述する振分け機構部が配置され、この振分け機構部を切り換えることによって、搬送路70cから搬送路70dに搬送されてきた紙幣の搬送先が切り換えられる。また、搬送路70cと第2の双方向搬送路20との接続部には、ゲート70gが配置され、このゲート70gを切り換えることによって、双方向搬送路10aまたは双方向搬送路10fから第2の双方向搬送路20に搬送されてきた紙幣の搬送先が切り換えられる。装填回収庫70のさらに具体的な構成については後に詳述する。装填回収庫70は、請求の範囲における「紙葉類収納庫」に該当する。紙幣収容部80aは、請求の範囲における「第1の紙葉類収容部」に該当する。紙幣収容部80bは、請求の範囲における「第2の紙葉類収容部」に該当する。搬送路70aは請求の範囲における「第1の搬送路」に該当する。搬送路70dは請求の範囲における「第2の搬送路」に該当する。
【0050】
なお、上述した各搬送路上には、紙幣の通過を検出するための複数のセンサが配置され、制御ユニット80によって、各搬送路上における紙幣の搬送状況が監視される。制御ユニット80は、内部にCPUや、メモリ等を備えるマイクロコンピュータとして構成され、紙幣識別部40による識別結果や、各搬送路上における紙幣の搬送状況等に基づいて、予め用意されたプログラムに従って、紙幣取扱装置101の動作を制御する。制御ユニット80は、請求の範囲における「制御部」に該当する。
【0051】
A3.装填回収庫の構成:
図5は、装填回収庫の側断面を例示した説明図である。装填回収庫70は、略箱形状の外形を備え、
図5の上下方向が鉛直方向となるようにして紙幣取扱装置101に搭載される。装填回収庫70は、下方側(
図5下側)に配置された下部収容部70eと、上方側(
図5上側)に配置された上部機構部70uと、から構成されている。下部収容部70eは、2つの紙幣収容部80a、80bと、紙幣収納庫扉87と、仕切扉88aと、を備えている。2つの紙幣収容部80a、80bは、水平方向(
図5左右方向)に並んで配置されている。また、2つの紙幣収容部80a、80bは、互いに隣接して配置されている。
【0052】
紙幣収容部80aは、紙幣を上下方向に積層させて集積するための空間部であり、内部には、堆積した紙幣を支持する床板としての昇降板47を備えている。昇降板47は、図示しない昇降機構によって昇降可能な構成を備えている。紙幣収容部80aの内部の側壁は、収納する紙幣の形状に合わせて調節が可能な構成を備えている。紙幣収容部80bは、紙幣を集積するための空間部であり、集積した紙幣を繰り出す必要がないため、収容される紙幣の体勢に特に限定はない。
【0053】
紙幣収納庫扉87は、装填回収庫70の外部から2つの紙幣収容部80a、80bの内部の紙幣を取り出したり、紙幣収容部80aに紙幣を供給したりするための扉であり、側方側の外表面70s(側面)に設けられ、開閉可能に構成されている。紙幣収納庫扉87は、外装扉88bと、紙幣収容部80bと、仕切扉88aとを含んで構成されている。外装扉88bは、側方側の外表面70sの一部であって開閉可能に構成されている。外装扉88bは、装填回収庫70の外部と紙幣収容部80bとを区画している。仕切扉88aは、2つの紙幣収容部80a、80bの間に配置され、紙幣収容部80aと紙幣収容部80bとを仕切っている。仕切扉88aは、開閉可能に構成され、開いたときに、紙幣収容部80bの側から、紙幣収容部80bの紙幣を取り出すことができる。紙幣収納庫扉87の詳細については後述する。仕切扉88aは、請求の範囲における「仕切部」および「第1の扉」に該当する。紙幣収納庫扉87は、請求の範囲における「第2の扉」に該当する。
【0054】
上部機構部70uには、紙幣取扱装置101と紙幣収容部80a、80bとの間の紙幣の授受に必要な機構が集められている。上部機構部70uは、3つの搬送路70a、70b、70dと、紙幣出入口部70pと、振分け機構部81と、集積繰り出し機構部90と、を備えている。
【0055】
紙幣出入口部70pは、装填回収庫70の内部と外部との間で紙幣の出し入れを行うための開口部であり、装填回収庫70の上方側の外表面70s(上面)に形成されている。紙幣出入口部70pは、紙幣収容部80aと紙幣収容部80bとの間の上方に配置されている。すなわち、紙幣出入口部70pは、概ね、仕切扉88aの上方に配置されている。紙幣出入口部70pは、装填回収庫70が、紙幣取扱装置101に搭載されたときに、この上方側の外表面70sが上部ユニット101uと対向する。また、紙幣出入口部70pを介して、装填回収庫70の内部の搬送路70dと、装填回収庫70の外部の搬送路70cとが接続される。
【0056】
振分け機構部81は、装填回収庫70の内部において、仕切扉88aの上方に配置されている。振分け機構部81は、後述する搬送ガイドの切り換えによって、紙幣出入口部70pから搬送路70dに搬送された紙幣を搬送路70aに搬送するか、搬送路70bに搬送するか切り換える。振分け機構部81の詳細については後述する。
【0057】
搬送路70dは、仕切扉88aの上方に配置され、紙幣出入口部70pと振分け機構部81との間で紙幣を双方向に搬送する。搬送路70dは、紙幣を略鉛直方向(
図5上下方向)に搬送する。
【0058】
搬送路70aは、紙幣収容部80aの上方に配置され、振分け機構部81と紙幣収容部80aとの間で紙幣を双方向に搬送する。搬送路70aには、複数の搬送路駆動ローラ49aと、複数の搬送路ピンチローラ49bと、集積繰出し機構部90と、が配置されている。搬送路駆動ローラ49aは、図示しないモータを動力にして回転する。搬送路ピンチローラ49bは、搬送路駆動ローラ49aと接触し、搬送路駆動ローラ49aの回転に従って回転する。搬送路70aと紙幣収容部80aとの接続部は、水平方向(
図5左右方向)において、紙幣収容部80aの仕切扉88aと接している側(
図5右側)と反対の側(
図5左側)に設けられている。
【0059】
集積繰出し機構部90は、紙幣収容部80aから搬送路70aに紙幣を繰り出し、また、搬送路70aの紙幣を紙幣収容部80aに集積するための機構部であり、紙幣収容部80aの上方に配置されている。集積繰出し機構部90は、水平方向(
図5左右方向)において、紙幣収容部80aの仕切扉88aと接している側(
図5右側)と反対の側(
図5左側)に接して配置されている。すなわち、集積繰出し機構部90は、紙幣収容部80aの上部において、振分け機構部81が配置されている側(
図5右側)の反対側(
図5左側)に配置されている。集積繰出し機構部90は、紙幣収容部80aの紙幣を繰り出すとき、水平方向において、振分け機構部81から遠ざかる方向(
図5左方向)に紙幣を繰り出す。また、集積繰出し機構部90は、搬送路70aの紙幣を紙幣収容部80aに集積するとき、水平方向において、振分け機構部81に向かう方向(
図5右方向)に紙幣を投入する。集積繰出し機構部90は、フィードローラ41と、ピックアップローラ42と、ゲートローラ43と、ブラシローラ44と、ピンチローラ45と、スタックガイド46と、を備えている。
【0060】
フィードローラ41、ピックアップローラ42、および、ゲートローラ43は、図示しないモータを動力にして回転する。ピックアップローラ42は、紙幣収容部80aに集積されている紙幣を1枚ずつ紙幣収容部80aから繰り出す方向(「繰出し方向」とも呼ぶ)に送り出す。ゲートローラ43は、搬送路70aと紙幣収容部80aとの接続部付近においてフィードローラ41と接触するように配置され、紙幣を紙幣収容部80aに集積する方向(「集積方向」とも呼ぶ)にのみ回転し、繰出し方向には回転しないように構成されている。ブラシローラ44は、ゲートローラ43と同軸上に配置され、放射状に配置された弾性部材によって紙幣収容部80aに集積される紙幣を下方向に叩き落とすように構成されている。ピンチローラ45は、フィードローラ41と接触し、フィードローラ41の回転に従って回転する。スタックガイド46は、搬送路70aから紙幣収容部80aに搬入される紙幣と当接して、紙幣を紙幣収容部80aの下方に導くための部材である。スタックガイド46は、略板状の形状を備え、フィードローラ41の回転軸と同軸に設けられた揺動軸を中心として、上下方向に揺動可能に構成されている。スタックガイド46は、繰り出し時に上方に退避し、集積時に下方に突出する。
【0061】
搬送路70bは、紙幣収容部80bの上方に配置され、振分け機構部81の紙幣を紙幣収容部80bに搬送する。搬送路70bは、振分け機構部81から紙幣収容部80bに紙幣を集積する方向にのみ駆動し、紙幣収容部80bから紙幣を繰り出す方向には駆動しない単方向搬送路である。搬送路70bは、紙幣収容部80bにおいて、紙幣収納庫扉87の開閉によっても移動しない上部に接続されている。搬送路70bには、ピンチローラ51、52と、が配置されている。ピンチローラ51は、紙幣を紙幣収容部80bに集積する方向にのみ回転し、繰出し方向には回転しないように構成されている。ピンチローラ52は、ピンチローラ51と接触して、紙幣を集積方向に搬送する。
【0062】
図6は、紙幣収納庫扉を開けた状態の装填回収庫の斜視図である。紙幣収納庫扉87は、外装扉88bと仕切扉88aが図示しないヒンジによって共に鉛直方向に沿った軸93を回転軸にして、回動可能に構成されている。そのため、紙幣収納庫扉87は、
図6の開閉方向94の向きに開閉することができる。
【0063】
紙幣収納庫扉87は、外装扉88bの固定金具91bと、仕切扉88aの固定金具91aとが係合するように構成されている。そのため、紙幣収納庫扉87は、外装扉88bを開けたときに、仕切扉88aも共に開くように構成されている。よって、紙幣収納庫扉87を開くと、まず、紙幣収容部80aの内部の紙幣の取り出しや紙幣の供給をおこなうことができる。紙幣収納庫扉87を開いた後、固定金具91bと固定金具91aの係合を解除すると、紙幣収容部80bの内部の紙幣の取り出しをおこなうことができる。
【0064】
紙幣収納庫扉87は、外装扉88bの施錠金具89bと、外表面70sの施錠金具89aによって施錠可能に構成されている。一方、紙幣収納庫扉87を解錠した後であれば、仕切扉88aは、鍵を用いずに開閉することができる。よって、装填回収庫70は、紙幣収納庫扉87のみを解錠すれば、紙幣収容部80aと紙幣収容部80bの両方にアクセスすることができる。これにより、例えば、外表面70sに紙幣収容部80aにアクセスするための扉と紙幣収容部80bにアクセスするための扉を別々に設けた従来の装填回収庫に比べて、施錠箇所数や、使用する鍵の種類を減らすことができ、利便性の向上を図ることができる。
【0065】
A4.振分け機構部の構成:
図7は、振分け機構部の概略構成を示す説明図である。
図7(a)は、搬送路70dの紙幣を紙幣収容部80aに振り分けるときの振分け機構部81の状態を例示している。
図7(b)は、搬送路70dの紙幣を紙幣収容部80bに振り分けるときの振分け機構部81の状態を例示している。振分け機構部81は、搬送ガイド82と、動力伝達部材83と、バネ84と、ソレノイド85と、を備えている。振分け機構部81は、搬送路70dの下方に配置されている。搬送ガイド82は、紙幣出入口部70pから搬送路70dに搬送された紙幣を紙幣収容部80aか紙幣収容部80bのいずれか一方の搬送先に振り分けるための部材であり、揺動軸86を中心にして左方向LDおよび右方向RDに揺動可能となるよう固定されている。
【0066】
動力伝達部材83は、一方の端部が搬送ガイド82に接続され、他方の端部がソレノイド85に接続された棒状の部材であり、ソレノイド85の動力を搬送ガイド82に伝達する。バネ84は、一方の端部が搬送ガイド82の下方側に接続され、他方の端部が装填回収庫70において固定された部分84fに接続され、搬送ガイド82の上方側が左方向LDに揺動したときに延伸して搬送ガイド82の下方側を左方向LDに引っ張る。ソレノイド85は、制御ユニット80からの電気信号に応じて動力伝達部材83を下方向DDおよび上方向UDに移動させる。
【0067】
図7(a)は、ソレノイド85がOFF状態であり、動力伝達部材83が上方向UDに伸びた状態が示されている。このとき、搬送ガイド82は、バネ84によって右方向RDに揺動した状態となっている。そのため、搬送路70dに搬送された紙幣は、搬送ガイド82に沿って搬送路70aに進み、紙幣収容部80aに振り分けられる。
図7(b)は、ソレノイド85がON状態であり、ソレノイド85の動作によって動力伝達部材83が下方向DDに移動する。動力伝達部材83が下方向DDに移動すると、搬送ガイド82は、左方向LDに揺動した状態となる。そのため、搬送路70dに搬送された紙幣は、搬送ガイド82に沿って搬送路70bに進み、紙幣収容部80bに振り分けられる。
【0068】
A5.紙幣取扱装置の動作制御:
A5−1.装填処理:
図8は、装填処理時の紙幣取扱装置の動作を示す説明図である。装填処理は、リサイクル庫71〜74に装填すべく装填回収庫70に収納された紙幣をリサイクル庫71〜74に装填する処理である。本実施例では、装填回収庫70には、複数金種の紙幣が収納されているものとする。
【0069】
この装填処理時には、制御ユニット80は、ゲート25gを制御して、第2の双方向搬送路20と双方向搬送路10fとを接続する。このとき、搬送ガイド82は、
図7(a)の状態となっている。そして、制御ユニット80は、各搬送路に設けられた搬送ローラ等を制御して、装填回収庫70の紙幣収容部80aに収納された紙幣を、1枚ずつ搬送路70aに繰り出し、図中に矢印で示したように、搬送路70d、70c、第2の双方向搬送路20、双方向搬送路10f、双方向搬送路10e、双方向搬送路10d、双方向搬送路10cの順に搬送する。双方向搬送路10cに搬送された紙幣は、紙幣識別部40によって識別される。そして、制御ユニット80は、紙幣識別部40によって識別された紙幣を、双方向搬送路10b、双方向搬送路10aの順に搬送する。制御ユニット80は、紙幣識別部40による識別結果に基づいて、ゲート72g,73g,74gを制御して、双方向搬送路10aに搬送されてきた紙幣を搬送路72a〜74aに振り分け、リサイクル庫72〜74に金種ごとに分類して装填する。リサイクル庫71に装填する方法については後述する。なお、上述した装填処理中に、紙幣識別部40によって、リジェクト紙幣が発見された場合には、制御ユニット80は、以下に説明する動作制御を行う。
【0070】
図9は、装填処理中にリジェクト紙幣が発見された場合の紙幣取扱装置の動作を示す説明図である。制御ユニット80は、紙幣識別部40によって、リジェクト紙幣が発見されると、装填回収庫70の紙幣収容部80aから搬送路70aへの紙幣の繰り出しを一旦停止する。このとき、各搬送路における紙幣の搬送は継続されている。その後、搬送路70a、搬送路70d、70c上、および、第2の双方向搬送路20上に存在していた紙幣がすべて双方向搬送路10f以降に搬送されると、制御ユニット80は、ゲート25gを切り換えて、双方向搬送路10aと第2の双方向搬送路20とを接続するとともに、第2の双方向搬送路20と搬送路70d、70cの紙幣の搬送方向を反転する。そして、制御ユニット80は、搬送ガイド82を
図7(b)の状態に切り換えて、リジェクト紙幣を搬送路70bから紙幣収容部80bに収納する。
【0071】
その後、制御ユニット80は、リジェクト紙幣に後続して搬送される各紙幣を、紙幣識別部40による識別結果に基づいて、リサイクル庫71〜74、または、装填回収庫70の紙幣収容部80bに収納する。その後、制御ユニット80は、紙幣取扱装置101の動作を、
図8に示した動作に戻し、装填処理を継続する。制御ユニット80は、装填回収庫70の紙幣収容部80a内のすべての紙幣、または、予め定められた所定の枚数の紙幣がリサイクル庫71〜74に装填されると、装填処理を終了する。
【0072】
図10は、装填処理時の紙幣取扱装置のその他の動作を示す説明図である。紙幣取扱装置101は、リサイクル庫71に対する紙幣の充填をリサイクル庫72〜74への紙幣の充填と同様におこなうことができる。制御ユニット80は、紙幣識別部40による識別結果に基づいて、紙幣収容部80aから繰り出された紙幣をリサイクル庫71に搬送する場合には、一時的に第2の双方向搬送路20の搬送方向を反転させるとともに、ゲート71gを制御して、第2の双方向搬送路20と搬送路71aとを接続する。これにより、紙幣収容部80aから繰り出された搬送路10a上の紙幣は、第2の双方向搬送路20、搬送路71aの順に搬送され、リサイクル庫71に充填される。その後、制御ユニット80は、第2の双方向搬送路20の搬送方向と、ゲート71gを切り換えることにより、紙幣取扱装置101の動作を、
図8に示した動作に戻し、装填処理を継続する。
【0073】
A5−2.回収処理:
図11は、回収処理時の紙幣取扱装置の動作を示す説明図である。回収処理は、リサイクル庫71〜74に収納されている紙幣を装填回収庫70に回収する処理である。本実施例では、ここでは、リサイクル庫72からの紙幣の回収処理を説明する。
【0074】
この回収処理時には、制御ユニット80は、ゲート25gを制御して、第2の双方向搬送路20と双方向搬送路10fとを接続する。そして、制御ユニット80は、各搬送路に設けられた搬送ローラ等を制御して、まず、リサイクル庫72に収納された紙幣を、1枚ずつ搬送路72aに繰り出し、図中に矢印で示したように、双方向搬送路10a、双方向搬送路10b、双方向搬送路10cの順に搬送する。双方向搬送路10cに搬送された紙幣は、紙幣識別部40によって識別される。そして、制御ユニット80は、紙幣識別部40によって識別された紙幣を、双方向搬送路10d、双方向搬送路10e、双方向搬送路10f、第2の双方向搬送路20、搬送路70c、搬送路70dの順に搬送する。制御ユニット80は、紙幣識別部40による識別結果に基づいて、振分け機構部81を制御して、リジェクト紙幣を紙幣収容部80bに、リジェクト紙幣ではない紙幣を紙幣収容部80aに収納する。リサイクル庫72に収納されたすべての紙幣の回収が終了すると、制御ユニット80は、上述した回収処理を、リサイクル庫71、リサイクル庫73、および、リサイクル庫74についても同様に実行する。
【0075】
以上説明した本実施例の装填回収庫70によれば、振分け機構部81が紙幣収納庫の内部に配置されているため、装填回収庫70などの紙葉類収納庫の利便性の向上を図ることができる。具体的には、装填回収庫70は、振分け機構部81によって、2つ収納空間(紙幣収容部80a、80b)に紙幣を振り分けることができるため、紙幣の装填と回収や、リジェクト紙幣とリジェクト紙幣ではない紙幣の回収等を1つの紙幣収納庫によっておこなうことができる。よって、紙幣取扱装置101に別途リジェクト庫を設置する必要がなくなり、紙幣取扱装置101に格納できる紙幣収納庫の数を増やすことができ、取り扱い金種や、紙幣の収容量を増やすことができる。
【0076】
また、装填回収庫70は、2つ収納空間(紙幣収容部80a、80b)と外部との間で紙幣の出し入れをおこなうための開口部が紙幣出入口部70pの一箇所であるため、従来の1つの収容空間を有する紙幣収納庫を設置可能な紙幣取扱装置であれば、紙幣取扱装置の内部の搬送路を変更することなく設置することができる。
【0077】
また、装填回収庫70は、振分け機構部81が紙幣出入口部70pではなく装填回収庫70の内部に配置されているため、ジャムなどの問題の発生を抑制することができる。具体的には、装填回収庫70を流通する紙幣は、紙幣取扱装置101との接続部である紙幣出入口部70pや、振分け機構部81の付近でジャムが発生しやすい。そのため、紙幣出入口部70pと振分け機構部81は、できるだけ異なる位置に設ける方が好ましい。本実施例の紙幣収納庫70は、振分け機構部81が装填回収庫70の内部に配置されているため、ジャムなどの問題の発生を抑制することができる。
【0078】
また、装填回収庫70は、振分け機構部81が2つ収納空間(紙幣収容部80a、80b)の間の上方に配置されているため、上部機構部70uの内部空間(実装空間)を効率的に使用することができる。具体的には、上部機構部70uには、振分け機構部81のほかに集積繰出し機構部90が配置されている。集積繰出し機構部90は、一般的に紙幣収容部80aの上部に配置される。そのため、振分け機構部81を紙幣収容部80aと紙幣収容部80bとの間に配置することによって、上部機構部70uの内部の不要な空間を少なくすることができ、上部機構部70uを小型化することができる。上部機構部70uを小型化することによって、下部収容部70eを相対的に大きくすることができるため、紙葉類収納庫の利便性の向上を図ることができる。
【0079】
また、装填回収庫70は、集積繰出し機構部90が振分け機構部81の反対側に配置されているため、上部機構部70uの内部空間(実装空間)を効率的に使用することができる。
図5にも示す通り、集積繰出し機構部90は、ピックアップローラ42、フィードローラ41などローラ類が多数存在しており、上部機構部70uの内部空間は制約が大きい。集積繰出し機構部90を振分け機構部81の反対側に配置することによって、集積繰出し機構部90と振分け機構部81を水平方向に並べて配置することができ、上部機構部70uを小型化することができる。
【0080】
また、装填回収庫70は、2つの紙葉類収容部が互いに隣接し、水平方向に並ぶように配置されているため、紙葉類収納庫の内部空間を効率的に使用することができる。すなわち、2つの紙葉類収容部が互いに隣接しているため、2つの紙葉類収容部の間に不要な空間が少なく、紙葉類収容部を広くすることができる。また、2つの紙葉類収容部が水平方向に並んでいるため、2つの紙葉類収容部を上下方向に並べた場合(特開2011−145782号公報)に比べて、紙幣を上下方向に多く積層することができる。また、2つの紙葉類収容部を上下方向に並べた場合よりも、内部の搬送路を短くすることができるため、装填回収庫70の内部空間を効率的に使用することができる。
【0081】
B.第2実施例:
図12は、第2実施例における装填回収庫の概略構成を示す説明図である。
図12は、第1実施例の
図5と対応している。第1実施例の装填回収庫70は、1つの双方向搬送路(搬送路70a)と、1つの単方向搬送路(搬送路70b)を備えているが、第2実施例の装填回収庫70xは、2つの双方向搬送路を備えている。第2実施例の装填回収庫70xを適用可能な紙幣取扱装置101の構成や、現金自動取引装置100の構成については、第1実施例と同様のため説明を省略する。
【0082】
装填回収庫70xは、2つの搬送路70a、70bxと、2つの紙幣収容部80a、80bxと、を内部に備えている。搬送路70aと紙幣収容部80aの構成は、第1実施例の搬送路70aと紙幣収容部80aと同様のため説明を省略する。搬送路70aと同様に、搬送路70bxには、複数の搬送路駆動ローラ49aと、複数の搬送路ピンチローラ49bと、集積繰出し機構部90xと、が配置され、紙幣を双方向に搬送可能に構成されている。また、紙幣収容部80bxは、紙幣収容部80aと同様に、昇降板47xを備え、紙幣を上下方向に積層させて集積する。紙幣収納庫扉87xは、第1実施例の紙幣収納庫扉87と同様に、外装扉88bと、紙幣収容部80bxと、仕切扉88aとを含んで構成されている。
【0083】
以上説明した第2実施例の装填回収庫70xによれば、装填回収庫70は、2つの双方向搬送路を備えた構成であってもよい。この場合であっても、紙葉類収納庫の利便性の向上を図ることができる。例えば、紙幣収容部80aと紙幣収容部80bに異なる金種の紙幣を収容することにより、紙幣取扱装置101が取り扱い可能な金種を増やすことができる。
【0084】
C.変形例:
本発明は上記の実施例や実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
【0085】
C1.変形例1:
第1実施例の装填回収庫70は、双方向搬送路(搬送路70a)と、単方向搬送路(搬送路70b)を備え、第2実施例の装填回収庫70xは、2つの双方向搬送路(搬送路70a、70bx)を備えているものとして説明したが、装填回収庫が備える搬送路の搬送方向は上記以外にも任意に設定することができる。例えば、装填回収庫の搬送路は、2つとも単方向搬送路であってもよいし、搬送路70aのみが単方向搬送路であってもよい。
【0086】
C2.変形例2:
第1実施例の装填回収庫70は、仕切扉88aが紙幣収納庫扉87の一部として構成されていたが、仕切扉88aは、紙幣収納庫扉87と独立した構成としてもよい。すなわち、外装扉88bを開いたときに、88aが共に開かない構成としてもよい。また、仕切扉88aは、外装扉88bと同軸であってもよいし、別軸であってもよい。
【0087】
C3.変形例3:
本実施例では、紙幣取扱装置の動作制御として、装填処理と回収処理についてのみ説明したが、紙幣取扱装置101は、入金処理や出金処理、偽券回収処理や取り忘れ回収処理などをおこなうことができる。例えば、入金処理において、入金された紙幣が、紙幣収容部80aに収納される構成とすることができるし、出金処理において、紙幣収容部80aから紙幣を繰り出す構成とすることができる。
【0088】
C4.変形例4:
本実施例の紙幣取扱装置101は、双方向搬送路10aに4つのリサイクル庫71〜74が接続されるものとしたが、双方向搬送路10aに接続されるリサイクル庫の数は、取り扱う紙幣の種類に応じて、任意に設定可能である。また、リサイクル庫71〜74の少なくとも1つの構成を本願の装填回収庫70の構成と同様の構成としてもよい。
【0089】
C5.変形例5:
上記実施例では、紙幣取扱装置101は、リジェクト庫60を備えているものとして説明したが、装填回収庫70の紙幣収容部80bをリジェクト庫として利用すれば、リジェクト庫60を備えていなくてもよい。
【0090】
C6.変形例6:
上記実施例では、紙幣取扱装置101のリサイクル庫71は、第2の双方向搬送路20に接続されるものとして説明したが、紙幣取扱装置101は、リサイクル庫71を双方向搬送路10aに接続する構成であってもよい。こうすれば、例えば、装填処理時にリサイクル庫71に紙幣を搬送する場合であっても、ゲート25gの切り換え、および、第2の双方向搬送路20における紙幣の搬送方向の切り換えを行う必要がなくなる。
【0091】
C7.変形例7:
上記実施例では、紙幣取扱装置101は現金自動取引装置100に備えられるものとしたが、紙幣取扱装置101は、例えば、両替機や、銀行員が行内で使用する紙幣入出金機や、自動発券機等に備えられてもよい。