(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記処理部は、前記未接続時間が前記所定の時間を超えないと判定した場合には、前記処理部は前記使用回数を更新させる前記更新信号を生成しない処理を行うことを特徴とする請求項1に記載の手術システム。
前記記憶部は、前記超音波処置具に設けられ、前記時間更新部から定期的に出力される前記現在時間における少なくとも最終的に更新された前記更新時間としての前記最終更新時間を記憶すると共に、前記超音波処置具の使用回数と、前回における前記超音波処置具が前記電源装置に接続された場合における前記使用回数が更新されたフラグ状態か否かの識別情報としての回数更新識別情報とを記憶し、
前記処理部は、前記未接続時間が前記所定の時間を超えない判定結果の場合においては、更に前記回数更新識別情報を識別して、該回数更新識別情報の識別結果の場合に応じて前記使用回数を更新させる前記更新信号を生成するか否かの第1の処理を行い、
前記未接続時間が所定の時間を超える判定結果の場合には、前記回数更新識別情報を更新しないフラグ状態に設定した後、前記パラメータに対する判定結果に応じて前記更新信号を生成する第2の処理を行うことを特徴とする請求項1に記載の手術システム。
前記処理部は、前記第2の処理を行う場合、前記パラメータの算出値に対して、該パラメータに対して予め設定されたパラメータ閾値を超える判定結果の場合には前記使用回数を更新させる前記更新信号を生成すると共に、前記使用回数更新識別情報を更新する処理を行うことを特徴とする請求項3に記載の手術システム。
更に、前記超音波処置具が前記電源装置に接続された状態において、前記エネルギー供給部から前記超音波振動子に前記駆動エネルギーを出力した前記出力回数を算出する出力回数算出部を有し、
前記処理部は、前記パラメータとしての前記出力回数が予め設定された出力回数閾値を超える場合には前記使用回数を更新させる前記更新信号を生成し、
前記使用回数更新部は、前記使用回数を1つ大きくするように更新することを特徴とする請求項1に記載の手術システム。
更に、前記超音波処置具が前記電源装置に接続された状態において、前記エネルギー供給部から前記超音波振動子に前記駆動エネルギーを実際に出力した前記出力時間を算出する出力時間算出部を有し、
前記処理部は、前記出力パラメータとしての前記駆動エネルギーの前記出力時間が予め設定された出力時間閾値を超える場合には前記使用回数を更新させる前記更新信号を生成し、
前記使用回数更新部は、前記使用回数を1つ大きくするように更新することを特徴とする請求項7に記載の手術システム。
前記パラメータは、前記エネルギー供給部から前記超音波振動子に出力される前記駆動エネルギーに関する出力パラメータであることを特徴とする請求項5に記載の手術システム。
更に、前記超音波処置具が前記電源装置に接続された状態において、前記エネルギー供給部から前記超音波振動子に出力された前記駆動エネルギーを構成する出力電流の積算値、出力電圧の積算値、出力電力の積算値のうち少なくとも何れかを算出する電流積算値算出部を有し、
前記処理部は、前記出力パラメータとして予め設定された前記出力電流の積算値の閾値、前記出力電圧の積算値の閾値、前記出力電力の積算値の閾値うち少なくとも何れかが超える場合には前記使用回数を更新させる前記更新信号を生成し、
前記使用回数更新部は、前記使用回数を1つ大きくするように更新することを特徴とする請求項11に記載の手術システム。
前記時間更新部は、前記時計により計測された前記現在時間を更新する前記更新時間として前記記憶部に設定時間毎に出力し、前記記憶部は前記超音波処置具が前記電源装置に接続された状態の場合には、前記時間更新部から出力される更新するための現在時間で前記設定時間前に記憶された古い現在時間を更新する更新時間として記憶することを特徴とする請求項1に記載の手術システム。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。
(第1の実施形態)
図1に示すように本発明の第1の実施形態の手術システム1は、患者における処置しようとする生体組織4に対して超音波振動エネルギーによる処置(超音波処置と略記)を行うための超音波処置具2と、この超音波処置具2が着脱自在に接続される電源装置3とを有する。
なお、生体組織4に対して超音波処置に使用された超音波処置具2は、点線で示すオートクレーブ装置5の収納室内に収納され、収納室内の高温高圧の水蒸気の雰囲気中において所定時間、滅菌処理されて清浄な状態に設定されて、次回の超音波処置具として使用される。
超音波処置具2は、細長のシース6と、このシース6の後端(基端)に設けられたハンドピース7と、このハンドピース7の後端から延出されたケーブル8とを有し、ケーブル8の末端にはコネクタ9が設けられている。このコネクタ9は、電源装置3のコネクタ受け10に着脱自在に接続される。
【0010】
また、ハンドピース7の内部には、
図2に示すように超音波振動子11が収納されており、電源装置3内の出力部23から出力される(出力エネルギー又は駆動エネルギーを形成する)超音波駆動信号が供給(印加)されることにより超音波振動子11は前記超音波駆動信号の駆動電力(又は出力電力)に応じて超音波振動する。超音波振動子11による超音波振動は、基端が超音波振動子11の前端に連結されたプローブ12により、その先端側に伝達される。なお、超音波振動子11は、ボルト締めのランジュバン振動子により構成されている。
超音波振動を伝達する超音波振動伝達部材としてのプローブ12はシース6内を挿通され、プローブ12の先端部12aはシース6の先端から突出している。
【0011】
また、
図1に示すようにハンドピース7には下端側に突出するグリップ部13が設けられ、術者はグリップ部13を把持し、グリップ部13を構成する指掛け部13a,13bを開閉する操作を行うことにより、シース6先端から突出する先端部12aに対して枢支部14で回動自在に設けられた把持部14bを回動させることができるようにしている。そして、プローブ12の先端部12aと把持部14bとで、生体組織4における処置対象部位を挟み、切開や凝固等の超音波処置を行うことができるようにしている。
また、
図1に示すように電源装置3の前面には、電源のON/OFFを行う電源スイッチ15,出力電流等の表示を行う表示部16,出力レベルや各種の設定(選択)などの操作を行う設定部17等が設けてある。また、電源装置3には、術者が足で超音波出力のON/OFFの指示操作を行うフットスイッチ18が接続されている。
【0012】
また、
図2に示すように超音波処置具2は、各超音波処置具2を特定するための識別情報(ID又はID情報と略記)を記憶するID記憶部19aと、電源装置3に超音波処置具2が接続された最終的な時間としての最終接続時間(又は最終更新時間)Tf、超音波処置具2が1症例毎に使用された使用回数としてカウントされる症例回数Nc、後述する回数更新識別情報としてのカウントフラブFの各データを記憶するデータ記憶部19bとを含む第1の記憶部(単に記憶部とも言う)19を有する。
図2においては、データ記憶部19bとして、Tf,Nc,Fデータと略記している。
図2に示すように電源装置3は、商用電源から直流電源に変換する直流電源回路21を内蔵し、直流電源回路21は、駆動信号生成部(又は駆動信号生成回路)22等の各部又は回路に、動作に必要な直流電源を出力する。
【0013】
駆動信号生成部22は、超音波振動子11を超音波振動させるために数10kHz程度の駆動信号を生成して、出力部(又は出力回路)23に出力する。出力部23は、駆動信号生成部22からの駆動信号を増幅して、超音波振動子11を超音波振動させる超音波駆動信号(以下、単に駆動信号と略記)として超音波振動子11に出力(印加)する。
また、出力部23から超音波振動子11に出力される駆動線24a,24bは、電圧検出回路25aと電流検出回路25bとを備えた検出部25と接続されている。電圧検出回路25aは超音波振動子11に出力される駆動信号の出力電圧(単に電圧とも言う)を例えば実効値で検出し、電流検出回路25bは駆動信号の出力電流(単に電流とも言う)を例えば実効値で検出する。なお、電圧検出回路25aと電流検出回路25bは、実効値で検出する場合に、限定されるものでない。電圧検出回路25a及び電流検出回路25bは、検出した駆動信号の電圧及び電流を処理部26に出力する。
処理部26は、電源装置3の直流電源回路21,駆動信号生成部22,出力部23等の動作の制御や処理を行う。
【0014】
また、電源装置3は、現在時間を計測する(時計としての)時計回路又は時計部27と、前記記憶部19におけるIDのリード及びデータ記憶部19bのデータのリードを行うリード回路と、データのライトを行うライト回路とを備えたリード/ライト部28とを有する。
時計部27は、基準となるクロックと共に、該クロックにより計測した現在時間とを処理部26に出力し、処理部26はクロックに同期して各種の処理や制御を行う。
また、処理部26は、時計部27からの現在時間などに基づいて、リード/ライト部28を介して定期的に記憶部19からIDを読み出す処理を行い、IDを読み出した場合には超音波処置具2が電源装置3に接続された接続状態であることを検知し、IDを読み出せない場合には超音波処置具2が電源装置3に接続されていない未接続状態であることを検知する接続検知部26aの機能を持つ。
【0015】
なお、IDの読み出しの可否により超音波処置具2の電源装置3への接続の有無を検知する手段の他に、
図4に示すように接続の有無を検知する接続検知ピンCa,Ca′,Cb,Cb′を設けることにより、超音波処置具2の電源装置3への接続の有無をメカニカルに検知する接続検知部51を構成するようにしても良い。
図4に示すようにコネクタ9には、導線で導通された接続検知ピンCa,Cbが設けられ、コネクタ受け10には接続検知ピンCa,Cbがそれぞれ接続される接続検知ピンCa′,Cb′が設けられている。接続検知ピンCa′は、所定の電圧Vcを出力する電源端子に接続され、接続検知ピンCb′は、抵抗Rを介してグラウンドGNDに接続されると共に、比較器52の非反転入力端子に接続される。
また、比較器52の非反転入力端子には例えばVc/2の電圧が印加される。そして、比較器52は、電源装置3に超音波処置具2が接続されていない未接続状態ではローレベル(Lレベル)、超音波処置具2が接続された接続状態ではハイレベル(Hレベル)の検知信号を処理部26に出力する。
【0016】
また、処理部26は、接続検知部26a等によって未接続状態から接続状態に変化したことを検知した場合には、リード/ライト部28を介して接続が検知された超音波処置具2における記憶部19のデータ記憶部19bから最終接続時間(又は最終更新時間)Tf、症例回数Nc,カウントフラグFを読み出す。
また、処理部26は、記憶部19から読み出した使用回数としての症例回数Ncが、該症例回数Ncを記憶した超音波処置具2の寿命に相当する最大使用回数又は耐性回数として予め設定された第1の症例回数閾値Nα以下であるか否かと、第1の症例回数閾値Nαよりも少なくとも数回程度(1回にしても良い)小さい第2の症例回数閾値Nβ以下であるか否かとを比較する比較部(又は判定部)26bの機能を有する。
また、比較部26bは、記憶部19から読み出した症例回数Ncが、第1の症例回数閾値Nαを超えた比較結果の場合には、第1の症例回数閾値Nαを超えた比較結果の情報を表示回路29を介して表示部16に出力する。そして、表示部16は、例えば症例回数Ncが寿命に相当する耐性回数を超えたことを使用者(ユーザ)に通知する。
【0017】
また、比較部26bは、記憶部19から読み出した症例回数Ncが、第2の症例回数閾値Nβを超えた比較結果の場合には、第2の症例回数閾値Nβを超えた比較結果の情報を表示回路29を介して表示部16に出力する。そして、表示部16は、例えば使用回数が第2の症例回数閾値Nβを超えた状態、又は寿命に相当する耐性回数まで僅かの回数しか今後使用できない旨を使用者に通知する。
従って、表示部16は、記憶部19から読み出した症例回数Ncが、第1の症例回数閾値Nα又は第2の症例回数閾値Nβを超えた比較結果の場合には、その比較結果に対応した内容を使用者に通知する通知部の機能を有する。なお、表示部16は、検出部25が検出した駆動電力等も表示する。
また、処理部26は、記憶部19(のデータ記憶部19b)から最終接続時間Tfを読み出した場合、読み出した際の現在時間Tpとの差となる未接続時間Tnc(=Tp−Tf)を算出する(時間算出部としての)未接続時間算出部26cの機能を有する。
この未接続時間算出部26cは、前回、超音波処置具2が電源装置3から取り外された時間(この時間は殆ど最終接続時間Tfに等しい)から今回の接続操作により接続されて読み出した際の現在時間Tpに至るまでの未接続時間を算出する。
【0018】
そして、処理部26は、未接続時間算出部26cにより算出した未接続時間Tncが予め設定された未接続時間閾値Tth以上となるか否かを比較部26bにおいて比較し、比較結果に応じて、上記症例回数Ncを1つ増加させるように更新したり、更新しない処理を行う使用回数更新部としての回数更新部26dの機能を有する。
また、未接続時間算出部26cは、後述する
図13において説明するように、超音波処置具2が出荷日時Tm以降最初に電源装置3に接続された日時としての現在時間Tpまでの経過日時Tcを算出する経過日時算出部の機能を兼ねる。経過日時算出部を未接続時間算出部26cと別体で設けるようにしても良い。
なお、未接続時間閾値Tthは、例えば電源装置3内に設けられた第2の記憶部(単に記憶部とも言う)31内のデータ記憶部31aに、超音波処置具2のID又はID内の超音波振動子データに関連付けて格納(記憶)されている。
【0019】
そして、比較部26bは、電源装置3に接続された超音波処置具2のIDをリード/ライト部28を介して対応する未接続時間閾値Tthを使用する。また、記憶部31内のデータ記憶部31aには、上述した第1の症例回数閾値Nαと、第2の症例回数閾値Nβとが超音波処置具2のID又はID内の超音波振動子データに関連付けて格納(記憶)されている。
なお、未接続時間閾値Tth、第1の症例回数閾値Nα、及び第2の症例回数閾値Nβを電源装置3側の記憶部31に格納する代わりに、各超音波処置具2側の記憶部19に格納(記憶)するようにしても良い。
また、処理部26は、接続検知部26aが定期的に接続検知を行うのと同様に、記憶部19のデータ記憶部19bに記憶されている過去の現在時間を定期的に更新時間として更新する時間更新部26eの機能を有する。
【0020】
つまり、超音波処置具2は、電源装置3に接続されている接続状態においては、時間更新部26eによって、記憶部19内のデータ記憶部19bに記憶されている現在時間は予め設定された設定時間が経過する毎に定期的に更新(オーバライト)される。そして、接続状態の超音波処置具2が電源装置3から取り外されると、取り外される直前に更新されて記憶された現在時間が最終接続時間Tfとなる。
このように時間更新部26eは、時計部27からの現在時間に基づいて、リード/ライト部28を介して記憶部19のデータ記憶部19bに記憶されている過去の現在時間を定期的に新しい現在時間で更新する。そして、本実施形態においては、最終接続時間Tfを検出することができるようにすると共に、未接続時間Tncを算出することができるようにしている。
また、処理部26は、未接続時間算出部26cにより算出された未接続時間Tncが短いような場合に対して、症例回数カウント漏れを防止して、精度良く症例回数Ncの更新を行うためのフラグ処理部26fの機能を有する。
【0021】
フラグ処理部26fは、例えば、以下に説明するように設定されたパラメータの算出値(パラメータ算出値とも記す)がパラメータ閾値を超えた判定の場合には、症例回数Ncを更新すると共に、(症例回数Ncが更新されたことの識別情報としての)カウントフラフFを1に更新する処理を行う。上記のようにカウントフラグFが1のフラフ状態の場合が、症例回数Ncが更新されたことを表す(回数更新)識別情報となる。これに対して、カウントフラグFが0のフラフ状態の場合が、症例回数Ncが更新されないことを表す(回数更新)識別情報となる。
また、処理部26は、超音波処置具2が実質的に使用された症例回数Ncを精度良くカウントすることができるように寿命の評価又は症例回数Ncのカウント(計数)に関わる各種のパラメータを用意し、選択又は設定されたパラメータを用いて症例回数Ncの更新/未更新の処理を行うパラメータ処理部26gの機構を有する。パラメータ処理部26は、使用回数としての症例回数Ncを更新させる場合には、更新信号を生成(発生)して、生成した更新信号を使用回数更新部としての回数更新部26dに出力し、回数更新部26dは症例回数Ncを1つ大きくするように更新する。また、パラメータ処理部26は、使用回数としての症例回数Ncを更新させない場合には、更新信号を生成(発生)しない。
【0022】
また、例えば設定部17には、症例回数Ncのカウントのために使用するパラメータを選択又は設定するパラメータ設定部(又はパラメータ選択部)17aが設けてある。操作者等は、パラメータ設定部17aにより複数のパラメ−タから1つのパラメータを設定又は選択すると、パラメータ設定部17aは設定又は選択されたパラメータの情報を処理部26のパラメータ処理部26gに送る。
パラメータ処理部26gは、設定又は選択されたパラメータ(の算出値)を用いて症例回数Ncの更新/未更新の処理を行うことができるように各種のパラメータを算出(検出)するパラメータ算出部32を有する。
本発明において、基本的な構成の処理として
図5、
図7Hに示すような処理により未接続時間Tncの算出値から症例回数Ncを更新するか否かを決定するようにしても良い。つまり、算出された未接続時間(Tp−Tf)が未接続時間閾値Tthを超えない場合には症例回数Ncを更新せず(つまり、回数更新部26dに対して症例回数Ncを更新させる更新信号を出力しない)、これに対して算出された未接続時間(Tp−Tf)が未接続時間閾値Tthを超える場合には症例回数Ncを更新させる更新信号を生成しないようにしても良い。
【0023】
但し、算出された未接続時間(Tp−Tf)が未接続時間閾値Tthを超える場合において、超音波処置具2を電源装置3に一旦接続した後、処置を行うことなく(換言すると、症例に使用することなく)終了するような場合もあり得る。このような場合には、超音波処置具3の超音波振動子11に、パラメータとしての駆動電力等が出力されたか否かを判定することにより、処置に使用されたか否かをより精度良く判定できる。また、駆動電力の使用頻度、電力値等が超音波処置具2の(主に超音波振動子11を劣化させる要因となり、)寿命に関係する。
このため、本実施形態においては、算出された未接続時間(Tp−Tf)に対する判定結果の他に、処置に使用されたか否かを判定するためのパラメータを用意し、パラメータに対して設定した閾値(つまりパラメータ閾値)を超えるか否かの判定結果を用いて症例回数Ncを更新するか否かを決定する。
【0024】
より具体的には、算出された未接続時間(Tp−Tf)が未接続時間閾値Tthを超える場合には、症例回数Ncを更新する可能性がある更新候補状態と見なし、更新候補状態においてさらにパラメータを算出(検出)し、パラメータ算出値がパラメータ閾値を超える判定結果の場合には症例回数Ncを更新する。
これに対して、パラメータ算出値がパラメータ閾値を超えない判定結果の場合には症例回数Ncを更新しない。このような処理を行うことによって、より精度良く症例回数Ncをカウントすることができる。換言すると、超音波処置具2の寿命をより精度良く検出できる手術システム1を実現する。
図3は寿命の評価(又は症例回数Ncの更新の判定)に用いる各種のパラメータを算出するパラメータ算出部32の構成を示す。
【0025】
パラメータ算出部32は、超音波処置具2が電源装置3に接続された接続状態において、エネルギー供給部を構成する出力部23から超音波振動子11に駆動信号を実際に出力した出力回数、出力時間、駆動電力(出力電力)をそれぞれ算出(又は計測)する出力回数算出部33、出力時間算出部34及び出力電力算出部(又は出力エネルギー算出部)35を有する。なお、出力電力算出部35は駆動電力又は出力電力を算出するが、駆動電力又は出力電力は出力エネルギーに相当するため、出力エネルギー算出部と言うこともできる。
また、パラメータ算出部32は、上記接続状態における超音波振動子11に出力される駆動信号の出力電流積算値(又は電流積算値)と出力電圧積算値(又は電圧積算値)とをそれぞれ実効値で算出(又は計測)する出力電流積算値算出部(又は電流積算値算出部)36及び出力電圧積算値算出部(又は電圧積算値算出部)37と、接続状態の時間としての接続時間を算出(又は計測)する接続時間算出部38と、を有する。
【0026】
上記出力時間算出部34は、上記接続状態において、前記出力時間として(間欠でなく)連続して出力される連続出力時間を算出する連続出力時間算出部34aと、出力時間の積算値を算出する出力時間積算値算出部34bとの2つの機能を有する。
また、出力電力算出部35は、上記接続状態において、瞬間的な出力電力(量)を算出する第1出力電力算出部35aと、出力電力の積算値を算出する第2出力電力算出部ちしての出力電力積算値算出部35bとの機能を有する。
パラメータ算出部32は、複数のパラメータとしての出力回数、出力時間、出力電力、出力電流積算値、出力電圧積算値、接続時間から実際に選択されたパラメータの算出値を比較部26bに出力する。比較部26bは、選択されたパラメータの算出値に対応するパラメータ閾値としてのパラメータ閾値データ(
図3に図示)を記憶部31内に予め記憶(格納)したパラメータデータ記憶部31bから読み出し、パラメータの算出値と比較する。
【0027】
上記パラメータデータ記憶部31b内には、パラメータとしての出力回数、出力時間、出力電力、出力電流積算値、出力電圧積算値、接続時間の各閾値としての出力回数閾値、出力時間閾値、出力電力閾値、出力電流積算値閾値、出力電圧積算値閾値、接続時間閾値が格納されている。例えば、出力回数閾値、連続出力時間閾値、出力時間積算閾値、出力電力積算閾値、出力電流積算値閾値、出力電圧積算値閾値、接続時間閾値は、それぞれ10回、3秒、1分、100W・s(実効値)、0.5A・s(実効値)、600V・s(実効値)に設定されている。
そして、上記出力回数から接続時間までのパラメータを例えばP1からP6で表し、実際に使用されるパラメータPi(i=1〜6)の算出値Picに対応する閾値を例えばPithとした場合、Pic≦Pithを満たす場合には症例回数Ncを更新しないで、Pic≦Pithを満たさない場合(つまりPic>Pithの場合)には症例回数Ncを1つ大きくする(つまりNc+1となる)ように更新する。
【0028】
このように処理部26内のパラメータ処理部26gは、比較部26bによる比較結果(判定結果)に応じて、回数更新部26dに対して症例回数Ncを1つ大きく更新させる更新信号を出力したり、症例回数Ncのまま更新しない処理(更新信号を出力しない)、つまり症例回数Ncの更新/未更新の処理を行う。なお、
図2においては、パラメータ処理部26gは、パラメータ処理部26gの外部の比較部26bを用いて症例回数Ncの更新/未更新の処理を行う構成例を示しているが、パラメータ処理部26g内部に比較部26bに相当する機能を設けて、内部で比較(判定)し、症例回数Ncの更新/未更新の処理を行うようにしても良い。
また、パラメータ処理部26g内のパラメータ算出部32(
図3の出力回数算出部33等の)内部に比較部26bの機能を設け、パラメータ算出部32が算出したパラメータ算出値がパラメータ閾値を超えるか否かを内部の比較部で(外部の比較部26bを用いることなく)比較(判定)するようにしても良い。
【0029】
また、
図2、
図3に示す構成は1つの具体例を示しており、
図2,
図3に示す構成例とは異なる構成にしても良い。例えば、
図2に示した処理部26を構成する接続検知部26a、比較部26b、未接続時間算出部26c、…、パラメータ処理部26gにおける1つ又は複数の構成要素を処理部26の外部または処理部26と別体の構成にしても良い。また、
図2の処理部26内の各機能の多くは、例えば中央処理装置(CPU)を用いてソフトウェア的に構成することができるが、専用のハードウェアにより構成しても良い。
また、電源装置3は、電源スイッチ15のON/OFF、フットスイッチ18による駆動信号の出力ON/OFFを検出するスイッチ検知部41を有し、スイッチ検知部41は、ON/OFFの検知信号を処理部26に送り、処理部26は検知信号に対応した制御処理を行う。
【0030】
例えば電源スイッチ15がONされた後、OFFにされた場合にはスイッチ検知部41によるOFFの検知信号に基づいて直流電源回路21が直流電源を出力させないように停止させる。なお、電源スイッチ15がOFFの状態からONされた場合には、電源スイッチ15のON操作により、スイッチ検知部41をバイパスして直流電源回路21をON(直流電源を出力させるよう)にする。
また、フットスイッチ18により出力ONのスイッチ操作が行われた場合には、スイッチ検知部41による出力ONの検知信号に基づいて、出力部23から超音波振動子11に駆動信号を出力するように制御する。また、フットスイッチ18により出力OFFのスイッチ操作が行われた場合には、出力部23から超音波振動子11に駆動信号が出力しない(つまり出力停止する)ように制御する。
【0031】
このような構成の手術システム1は、超音波振動子11を有する超音波処置具2と、前記超音波処置具2が着脱自在に接続される電源装置3と、前記電源装置3に設けられ、前記超音波振動子11を超音波駆動させる駆動エネルギーを供給するエネルギー供給部を構成する出力部23と、前記電源装置3に設けられ、現在時間を計測する時計を構成する時計部27と、前記電源装置3に設けられ、更新するための更新時間としての前記現在時間を定期的に出力する時間更新部26eと、前記超音波処置具2に設けられ、前記時間更新部26eから定期的に出力される前記現在時間における少なくとも最終的に更新された前記更新時間としての最終更新時間を記憶すると共に、前記超音波処置具2の使用回数としての症例回数Ncを記憶する記憶部19と、前記記憶部19に記憶された前記最終更新時間と、前記時計による前記現在時間との差に基づいて前記超音波処置具2と前記電源装置3とが接続されていない未接続時間を算出する時間算出部としての未接続時間算出部26cと、前記未接続時間が所定の時間が超えたか否かを判定し、少なくとも前記未接続時間が前記所定の時間を超えたと判定した場合には、前記超音波振動子11の寿命に関わるパラメータに対する判定の結果に応じて前記使用回数を更新させる更新信号を生成する処理を行う処理部26と、前記更新信号の生成に対応して前記使用回数を更新する使用回数更新部としての回数更新部26dと、を有することを特徴とする。
【0032】
次に本実施形態の動作を説明する。以下の説明では、接続検知部26aを用いて接続検知を行う場合を説明するが接続検知部51を用いても良い。
図5は本発明の基本的な処理動作を示す。術者等のユーザは、超音波処置具2を電源装置3に接続し、電源スイッチ15をONにする。
すると、電源装置3内の各部は動作状態となり、最初のステップS1において処理部26の接続検知部26aは、リード/ライト部28を介して記憶部19のIDを読み取り、超音波処置具2が電源装置3に接続された事を検知する。
次のステップS2においてリード/ライト部28(のリード回路)は、記憶部19のデータ記憶部19bに以前にライト(書込)された最終接続時間Tfと症例回数Ncを読み出し、処理部26に送る。処理部26は、最終接続時間Tfと症例回数Ncのデータを記憶部31やレジスタ等に格納する。
【0033】
次のステップS3において処理部26の比較部26bは、超音波処置具2から読み出した症例回数Ncとパラメータデータ記憶部31b等に格納された第2の症例回数閾値Nβとを比較し、Nc≦Nβか否かを判定する。
Nc≦Nβの条件を満たさない場合、つまり、症例回数Ncが第2の症例回数閾値Nβを超える場合には、さらに次のステップS4において処理部26の比較部26bは、症例回数Ncとパラメータデータ記憶部31b等に格納された第1の症例回数閾値Nαとを比較し、Nc≦Nαか否かを判定する。
Nc≦Nαの条件を満たす場合、つまり、症例回数Ncが第1の症例回数閾値Nα以下の場合には、次のステップS5において処理部26は、ユーザに使用可能な回数が僅かであることを通知する処理を行い、ステップS7の処理に進む。具体的に通知する内容として、処理部26は、(Nα−Nc)の値を表示回路29を介して表示部16に出力し、表示部16が使用可能な回数となる(Nα−Nc)を表示するようにしても良い。ユーザは、表示される(Nα−Nc)の値等から使用可能な回数が少ないことを認識することができる。
【0034】
一方、ステップS4の処理において、Nc≦Nαの条件を満たさない場合、つまり、症例回数Ncが第1の症例回数閾値Nαを超える場合には、次のステップS6において処理部26は、ユーザに使用可能な回数が耐性回数を超えていることを通知する処理を行い、
図5の処理を終了する。
ステップS3においてNc≦Nβの条件を満たす場合には、ステップS7において処理部26の未接続時間算出部26cは、時計部27からの現在時間Tpから最終接続時間Tfを減算した現在時間Tpと最終接続時間Tfとの差の未接続時間TncとしてTnc=Tp−Tfを算出する。また、次のステップS8において処理部26の比較部26bは、算出された未接続時間(Tp−Tf)と未接続時間閾値Tthとを比較して、(Tp−Tf)>Tthか否か、つまり未接続時間(Tp−Tf)が未接続時間閾値Tth以上経過したか否かを判定する。
【0035】
比較部26bによる比較結果(判定結果)が(Tp−Tf)>Tthの条件を満たさない場合、つまり算出された未接続時間Tncが未接続時間閾値Tth以下の場合には、オートクレーブ装置5による滅菌処理に必要な時間に達しない場合に該当するので、1つの症例での使用状態において一時的に接続が解除された状態(電源装置3から一時的に取り外された後、再び接続された状態)であると見なす。従って、この判定結果の場合には、処理部26(の回数更新部26d)は、症例回数Ncを更新しないで、
図5の処理を終了する。
一方、(Tp−Tf)>Tthの条件を満たす場合、つまり未接続時間Tncが未接続時間閾値Tthを超えた時間経過の場合には、オートクレーブ装置5による滅菌処理に必要な時間を超える場合に該当するので、超音波処置具2が滅菌処理がされた後、電源装置3に接続された公算が高い。そこで、パラメータ処理部26gはパラメータ設定部17aにより設定されたパラメータを用いて、パラメータに対する判定結果に基づいて症例回数Ncを更新するか否かの処理を行う。そのため、次のステップS9においてパラメータ処理部26gを構成するパラメータ算出部32は、設定(選択)されたパラメータを算出(検知)する。
【0036】
次のステップS10において処理部26の比較部26bは、算出されたパラメータの算出値としてのパラメータ算出値と、対応するパラメータ閾値(
図5ではPth)とを比較して、パラメータ算出値がパラメータ閾値を超えるか否かを判定する。
パラメータ算出値がパラメータ閾値を超える判定結果の場合には、次のステップS11において処理部26の回数更新部26dは、リード/ライト部28を介して記憶部19の症例回数Ncを1つ増やすように更新した後、
図5の処理を終了する。
一方、パラメータの算出値がパラメータ閾値以下となる判定結果の場合には、さらにステップS9の処理に戻り、現在の時間以降の時間でのパラメータの算出値を算出し、さらにステップS10の処理を続行する。つまり、ステップS9の処理は、超音波処置具2が電源装置3に接続された状態において、パラメータの算出が時間経過と共に行われるため、ある時間で算出されたパラメータの算出値がパラメータ閾値以下となる場合においても、さらにある時間以降においてもパラメータの算出値を算出し、算出されたパラメータの算出値がパラメータ閾値を超えるか否かの処理を続行する。
【0037】
そして、上記のようにパラメータ算出値がパラメータ閾値を超える状態になると、症例回数Ncを1つ増やすように更新する。パラメータ算出値がパラメータ閾値以下の場合には、ステップS9,S10の処理を続行する。
本発明は、基本的には
図5に示すような処理を行うことにより症例回数Ncを更新する処理を行う。なお、
図5の処理により基本的には、症例回数Ncを適正にカウントできる。しかし、1つの症例における使用中において、ユーザが一時的に、超音波処置具2を電源装置3から外した後、再び電源装置3に再接続する操作を行うような特殊な使用例の場合には(再接続の際に算出される未接続時間Tnc(=Tp−Tf)が未接続時間閾値Tthより短くなってしまうため、)
図5の処理では症例回数Ncを更新しない処理となってしまう。
【0038】
このような特殊な使用例にも適切に対応できるように、換言するとより精度良く症例回数Ncをカウントできるように、本発明の第1の実施形態においては、記憶部19に(回数更新の識別情報を表す回数更新識別情報としての)カウントフラグFを記憶する。なお、超音波処置具2が工場から出荷される場合においては、記憶部19には最終接続時間Tf、症例回数Nc,カウントフラグFが記憶されていない。そして、最初の使用以降においては、記憶部19には、
図5のステップS11のようにパラメータ算出値がパラメータ閾値を超える判定結果によって症例回数Ncを更新した場合には、この症例回数Ncの更新と共にカウントフラグFを1(つまり、症例回数Ncが更新されたことを表すフラグ状態)に更新して記憶する。
図5の処理内容の場合には、
図5の処理を終了した状態がステップS11に示すように症例回数Ncが更新された終了したのか、ステップS9,S10の動作中において、症例回数Ncが更新されない状態で終了したのかが、次回の(超音波処置具2の電源装置3への)接続時には判定できない。
【0039】
これに対して、
図6に示す処理内容においては、
図5におけるステップS9、S10の動作を行う前に、カウントフラグFを0に設定する処理を行う。この処理を行うことにより、ステップS9,S10の動作中に症例回数Ncが更新されない状態で終了したのか、ステップS11に示すように症例回数Ncが更新されて終了したのかが、次回の接続時のカウントフラグFの値(1か0か)により識別できるようにする。
このように、本実施形態においては、未接続時間Tncに対する判定と共に、カウントフラグFが1か否かの判定を用いることにより、症例(での使用)中における再接続のような特殊の使用例の場合にも、適正に症例回数Ncをカウントすることができるような処理を行う。
図6は本実施形態の処理手順を示す。術者等の使用者は、超音波処置具2を電源装置3に接続し、電源スイッチ15をONにする。
【0040】
すると、電源装置3内の各部は動作状態となり、最初のステップS20において処理部26の接続検知部26aは、リード/ライト部28を介して記憶部19のIDを読み取り、超音波処置具2が電源装置3に接続された事を検知する。また、接続検知部26aは、定期的に接続検知の処理を行う。例えば、後述するように、時間更新部26eが現在時間を更新するタイミングと同時に定期的に接続検知の処理を行うようにしても良い。
また、次のステップS21においてユーザは、パラメータ設定部17aから(寿命の評価又は)症例回数Ncの更新に用いるパラメータを設定(選択)する。ユーザが設定することなく、メーカー側において工場出荷時などにおいて予め所定のパラメータに設定しても良いし、(ユーザが)変更可能とするデフォルトのパラメータに設定しても良い。
【0041】
次のステップS22においてリード/ライト部28(のリード回路)は、記憶部19のデータ記憶部19bに以前にライト(書込)された最終接続時間Tfと症例回数NcとカウントフラグFを読み出し、処理部26に送る。処理部26は、最終接続時間Tfと症例回数NcとカウントフラグFのデータを記憶部31やレジスタ等に格納する。
次のステップS23において処理部26の比較部26bは、超音波処置具2から読み出した症例回数Ncとパラメータデータ記憶部31b等に格納された第2の症例回数閾値Nβとを比較し、Nc≦Nβか否かを判定する。
Nc≦Nβの条件を満たさない場合、つまり、症例回数Ncが第2の症例回数閾値Nβを超える場合には、さらに次のステップS24において処理部26の比較部26bは、症例回数Ncとパラメータデータ記憶部31b等に格納された第1の症例回数閾値Nαとを比較し、Nc≦Nαか否かを判定する。
【0042】
Nc≦Nαの条件を満たす場合、つまり、症例回数Ncが第1の症例回数閾値Nα以下の場合には、次のステップS25において処理部26は、ユーザに使用可能な回数が僅かであることを通知する処理を行った後、ステップS27の処理に進む。具体的に通知する内容として、処理部26は、(Nα−Nc)の値を表示回路29を介して表示部16に出力し、表示部16が使用可能な回数となる(Nα−Nc)を表示するようにしても良い。ユーザは、表示される(Nα−Nc)の値等から使用可能な回数が少ないことを認識することができる。
一方、ステップS24の処理において、Nc≦Nαの条件を満たさない場合、つまり、症例回数Ncが第1の症例回数閾値Nαを超える場合には、次のステップS26において処理部26は、ユーザに使用可能な回数が耐性回数を超えていることを通知する処理を行い、
図6の処理を終了する。
【0043】
ステップS23においてNc≦Nβの条件を満たす場合には、ステップS27において処理部26の未接続時間算出部26cは、時計部27からの現在時間Tpから最終接続時間Tfを減算した現在時間Tpと最終接続時間Tfとの差の未接続時間(Tp−Tf)を算出する。また、次のステップS28において処理部26の比較部26bは、算出された未接続時間(Tp−Tf)と未接続時間閾値Tthとを比較して、(Tp−Tf)>Tthか否かを判定する。
ステップS28における比較部26bによる比較結果(判定結果)が(Tp−Tf)>Tthの条件を満たさない場合、つまり算出された未接続時間(Tp−Tf)が未接続時間閾値Tthを超えない場合には、次のステップS29において処理部26のフラグ処理部26fは、読み出したカウントフラグFが1であるか否かを判定する。換言すると、処理部26は、カウントフラグFの判定(識別)結果に応じて、症例回数Ncを更新するか否かの処理(第1の処理)を行う。
【0044】
そして、カウントフラグFが1である場合には、適正に症例回数Ncをカウントした状態後に再接続された場合であると判定して、
図6の処理を終了する。一方、カウントフラグFが1でない場合、つまりカウントフラグFが0である(症例回数Ncを更新するカウントを行っていない状態である)か、最初に使用された状態のようにカウントフラグFが記憶部19にライトされていない場合には、ステップS31においてパラメータ算出部32は、設定されたパラメータの算出(検知)を行う。なお、最初に超音波処置具2が使用された状態の場合は、症例回数Ncの値(0と同等)から、その状態を判定することができる。
そのため、カウントフラグFが1でない場合は、前回、パラメータ算出値がパラメータ閾値に達しない状態のまま、症例回数Ncを更新する処理が終了してしまった場合に当てはまる可能性が高いので、上記のようにステップS31の処理を行う。
【0045】
また、ステップS28において比較部26bによる比較結果(判定結果)がTp−Tf>Tthの条件を満たす場合、つまり算出された未接続時間Tp−Tfが未接続時間閾値Tthを超える場合には、ステップS30において処理部26のフラグ処理部26fは、読み出したカウントフラグFを0にすると共に、リード/ライト部28(のライト回路)により記憶部19のカウントフラグFを0にする。そして、このステップS30の処理後にステップS31の処理(第2の処理)に移る。なお、処理部26が行うステップS30の処理を含めた処理を第2の処理と定義しても良い。
上述したように、カウントフラグFを0にした後、
図5のステップS9に相当するステップS31の処理に移るようにする。そして、パラメータの算出(検出)の途中で症例回数Ncを更新することなく終了(接続終了)する状態(この場合にはカウントフラグFは0)と、症例回数Ncを更新して終了(接続終了)する状態(この場合にはカウントフラグFは1)とを、次回の接続時において識別できるようにする。
【0046】
ステップS31により設定されたパラメータの算出値としてのパラメータ算出値が算出された後、ステップS32において比較部26bは、パラメータ算出値とパラメータ閾値(
図6ではPth)とを比較する。そして、比較部26bは、パラメータ算出値がパラメータ閾値を超えるか否かを判定する。
パラメータ算出値がパラメータ閾値を超える判定結果の場合には、次のステップS33において処理部26の回数更新部26dは、リード/ライト部28を介して記憶部19の症例回数Ncを1つ増やすと共に、カウントフラグFを1に更新した後、
図6の処理を終了する。
一方、ステップS32におけるパラメータの算出値がパラメータ閾値以下となる判定結果の場合には、ステップS31の処理に戻り、現在の判定結果以降の時間でのパラメータの算出値を算出し、さらにステップS32の処理を続行する。
【0047】
つまり、ステップS31の処理は、超音波処置具2が電源装置3に接続された状態において、パラメータの算出が時間経過と共に行われるため、ある時間で算出されたパラメータの算出値がパラメータ閾値を超えない場合においても、その時間以降においてもパラメータの算出値を算出し、算出されたパラメータの算出値がパラメータ閾値を超える状態になるか否かの処理を続行する。
そして、上記のようにパラメータ算出値がパラメータ閾値を超える状態になると、症例回数Ncを1つ増やすと共にカウントフラグFを1に更新する。これに対して、パラメータ算出値がパラメータ閾値以下の場合には、ステップS31,S32の処理を続行する。
【0048】
図6に示した処理を行うことにより、精度良く症例回数Ncを精度良くカウントすることができる。換言すると、滅菌処理の有無をより精度良く判定できるようにして、超音波処置具の寿命をより精度良く検出できる手術システム1を提供することができる。
図5のステップS9,S10の処理、又は
図6のステップS31,S32の処理の具体例は、
図7A−
図7Gのようになる。なお、
図7Aは、設定されたパラメータが出力回数である場合を、例えば
図5に示す処理を行う場合で示しているが、
図6の処理の場合にも同様に適用できる。
図7AにおけるステップS1からS8までの処理は
図5と同じである。ステップS8において、(Tp−Tf)>Tthの条件を満たさない場合には、処理部26は、
図7Aの処理を終了する。
【0049】
一方、(Tp−Tf)>Tthの条件を満たす場合には、ステップS41aにおいて出力回数算出部33は、例えばスイッチ検知部41による検知信号からフットスイッチ13のON/OFF操作による(出力部23から超音波振動子11への)出力ONの有無を判定する。この場合、例えば出力回数算出部33は、出力ONかを判定する。
フットスイッチ13がOFFからONにされない場合には、ステップS41aの処理を続行し、出力ONにされた場合には次のステップS41bにおいて、出力回数算出部33は、出力回数を1つ増やすようにカウントする処理を行った後、出力回数のカウント値を比較部26bに出力する。なお、出力回数のカウントの初期値は0に設定されている。
【0050】
次のステップS41cにおいて比較部26bは、出力回数のカウント値を、出力回数閾値となる10回と比較する。ステップS41cにおいて、出力回数のカウント値が10回を超える比較結果(判定結果)の場合には、ステップS11において回数更新部26dは、症例回数Ncを1つ増やす処理を行う。
一方、出力回数のカウント値が10回を超えない比較結果(判定結果)の場合には、ステップS41aの処理に戻る。
図7Aの処理により、パラメータとしての出力回数を用いて、超音波処置具2の寿命の目安となる症例回数Ncを精度良くカウントすることができる。従って、超音波処置具2の寿命をより精度良く検出できる手術システム1を提供することができる。
以下に説明する
図7B−
図7Gは、
図7Aのパラメータが異なるのみで実質的には同様の処理を行う。そして、パラメータが異なることを除外すると同様の作用効果を有する。
【0051】
図7Bは、設定されたパラメータが出力時間、より具体的には連続して出力される場合の連続出力時間の場合の処理を示す。なお、
図7Bでは、例えば
図7Aにおいて、ステップS3−S6を行わない処理内容の場合で説明するが、
図7Aの場合と同様にステップS3−S6を行う処理内容の場合にも適用できるし、また、
図6に示すようにカウントフラグFを用いる場合にも適用できる。
図7BにおけるステップS1,S2は
図5のステップS1,S2と同様である。ステップS2の処理の後、ステップS7に進み、ステップS7の後にステップS8の処理を行う。
図7BにおけるステップS7,S8は、
図5におけるステップS7,S8と同様の処理となり、ステップS8において、(Tp−Tf)>Tthの条件を満たさない場合には、処理部26は、
図7Bの処理を終了する。
【0052】
一方、(Tp−Tf)>Tthの条件を満たす場合には、ステップS42aにおいて出力時間算出部34の連続出力時間算出部34aは、例えばスイッチ検知部41による検知信号からフットスイッチ13のON/OFF操作による(出力部23から超音波振動子11への)出力ONの有無を判定する。この場合、連続出力時間算出部34aは、出力ONかを判定する。
フットスイッチ13がOFFからONにされない場合には、ステップS42aにおいて連続出力時間算出部34aは、出力時間のカウント値を0の初期値に戻した後、ステップS42aの処理に戻る。一方、出力ONにされた場合にはステップS42cにおいて、連続出力時間算出部34aは、時計部27の現在時間を用いて出力時間を初期値からカウントする処理を行った後、出力時間のカウント値を比較部26bに出力する。
【0053】
次のステップS42dにおいて比較部26bは、出力時間(のカウント値)を、連続出力時間閾値となる3秒と比較する。ステップS42dにおいて、出力時間が3秒を超える比較結果(判定結果)の場合には、ステップS11において回数更新部26dは、症例回数Ncを1つ増やす処理を行う。一方、出力時間が3秒を超えない比較結果(判定結果)の場合には、ステップS42bの処理に戻る。
図7Bは、パラメータの種類が異なることを除けば、
図7Aとほぼ同様の作用効果を有する。
図7Cは、設定されたパラメータが出力時間の積算値の場合の処理を示す。
図7CにおけるステップS1、S2、S7及びS8までの処理は
図7Bと同じである。ステップS8において、(Tp−Tf)>Tthの条件を満たさない場合には、処理部26は、
図7Cの処理終了する。
【0054】
一方、(Tp−Tf)>Tthの条件を満たす場合には、ステップS43aにおいて出力時間算出部34の出力時間積算値算出部34bは、例えばスイッチ検知部41による検知信号からフットスイッチ13のON/OFF操作による(出力部23から超音波振動子11への)出力ONの有無を判定する。この場合、出力時間積算値算出部34bは、出力ONかを判定する。
フットスイッチ13がOFFからONにされない場合には、ステップS43aの処理に戻る。一方、出力ONにされた場合にはステップS43bにおいて、出力時間積算値算出部34bは、時計部27の現在時間を用いて出力時間を積算する処理を行った後、積算した出力時間を比較部26bに出力する。
次のステップS43cにおいて比較部26bは、積算した出力時間(つまり出力時間積算値)を、出力時間積算閾値となる1分と比較する。ステップS43cにおいて、出力時間積算値が1分を超える比較結果(判定結果)の場合には、ステップS11において回数更新部26dは、症例回数Ncを1つ増やす処理を行う。
【0055】
一方、出力時間が1分を超えない比較結果(判定結果)の場合には、ステップS43aの処理に戻る。
図7Cは、パラメータの種類が異なることを除けば、
図7Bと同様の作用効果を有する。
図7Dは、設定されたパラメータとして出力電流の積算値の場合の処理を示す。
図7DにおけるステップS1、S2、S7及びS8までの処理は
図7Bと同じである。ステップS8において、(Tp−Tf)>Tthの条件を満たさない場合には、処理部26は、
図7Dの処理終了する。
一方、(Tp−Tf)>Tthの条件を満たす場合には、ステップS44aにおいて出力電流積算値算出部36は、例えばスイッチ検知部41による検知信号からフットスイッチ13のON/OFF操作による(出力部23から超音波振動子11への)出力ONの有無を判定する。この場合、出力電流積算値算出部36は、出力ONかを判定する。
【0056】
フットスイッチ13がOFFからONにされない場合には、ステップS44aの処理に戻る。一方、出力ONにされた場合にはステップS44bにおいて、出力電流積算値算出部36は、電流検出回路25bにより検出された駆動電流を出力電流として積算する。出力電流積算値算出部36は、積算した出力電流を比較部26bに出力する。
次のステップS44cにおいて比較部26bは、積算した出力電流(つまり出力電流積算値)を、出力電流積算閾値となる0.5A・sと比較する。ステップS44cにおいて、出力電流積算値が0.5A・sを超える比較結果(判定結果)の場合には、ステップS11において回数更新部26dは、症例回数Ncを1つ増やす処理を行う。一方、出力電流積算値が0.5A・sを超えない比較結果(判定結果)の場合には、ステップS44aの処理に戻る。
図7Dは、パラメータの種類が異なることを除けば、
図7Bと同様の作用効果を有する。
【0057】
図7Eは、設定されたパラメータとして出力電圧の積算値の場合の処理を示す。
図7EにおけるステップS1、S2、S7及びS8までの処理は
図7Bと同じである。ステップS8において、(Tp−Tf)>Tthの条件を満たさない場合には、処理部26は、
図7Eの処理終了する。
一方、(Tp−Tf)>Tthの条件を満たす場合には、ステップS45aにおいて出力電圧積算値算出部37は、例えばスイッチ検知部41による検知信号からフットスイッチ13のON/OFF操作による(出力部23から超音波振動子11への)出力ONの有無を判定する。この場合、出力電圧積算値算出部37は、出力ONかを判定する。
【0058】
フットスイッチ13がOFFからONにされない場合には、ステップS45aの処理に戻る。一方、出力ONにされた場合にはステップS45bにおいて、出力電圧積算値算出部37は、電圧検出回路25aにより検出された駆動電圧を出力電圧として積算する。出力電圧積算値算出部37は、積算した出力電圧を比較部26bに出力する。
次のステップS45cにおいて比較部26bは、積算した出力電圧(つまり出力電圧積算値)を、出力電圧積算閾値となる600V・sと比較する。ステップS45cにおいて、出力電圧積算値が600V・sを超える比較結果(判定結果)の場合には、ステップS11において回数更新部26dは、症例回数Ncを1つ増やす処理を行う。一方、出力電圧積算値が600V・sを超えない比較結果(判定結果)の場合には、ステップS45aの処理に戻る。
図7Eは、パラメータの種類が異なることを除けば、
図7Bと同様の作用効果を有する。
【0059】
図7Fは、設定されたパラメータとして出力電力の積算値の場合の処理を示す。
図7FにおけるステップS1、S2、S7及びS8までの処理は
図7Bと同じである。ステップS8において、(Tp−Tf)>Tthの条件を満たさない場合には、処理部26は、
図7Fの処理終了する。
一方、(Tp−Tf)>Tthの条件を満たす場合には、ステップS46aにおいて出力エネルギー算出部として例えば出力電力積算値算出部35bは、例えばスイッチ検知部41による検知信号からフットスイッチ13のON/OFF操作による(出力部23から超音波振動子11への)出力ONの有無を判定する。この場合、出力電力積算値算出部35bは、出力ONかを判定する。
【0060】
フットスイッチ13がOFFからONにされない場合には、ステップS46aの処理に戻る。一方、出力ONにされた場合にはステップS46bにおいて、出力電力積算値算出部35bは、電圧検出回路25aと電流検出回路25bとによりそれぞれ検出された駆動電圧と出力電流の積の出力電力を積算する。出力電力積算値算出部35bは、積算した出力電力を比較部26bに出力する。
次のステップS46cにおいて比較部26bは、積算した出力電力(つまり出力電力積算値)を、出力電力積算閾値となる100W・sと比較する。ステップS46cにおいて、出力電力積算値が100W・sを超える比較結果(判定結果)の場合には、ステップS11において回数更新部26dは、症例回数Ncを1つ増やす処理を行う。一方、出力電力積算値が100W・sを超えない比較結果(判定結果)の場合には、ステップS46aの処理に戻る。
図7Fは、パラメータの種類が異なることを除けば、
図7Bと同様の作用効果を有する。
【0061】
図7Gは、設定されたパラメータとして接続時間の場合の処理を示す。この接続時間は、超音波処置具2が電源装置3に継続的(連続的)に接続されている時間を意味する。
図7GにおけるステップS1、S2、S7及びS8までの処理は
図7Bと同じである。ステップS8において、(Tp−Tf)>Tthの条件を満たさない場合には、処理部26は、
図7Gの処理終了する。
一方、(Tp−Tf)>Tthの条件を満たす場合には、ステップS47aにおいて接続時間算出部38は、超音波処置具2が電源装置3に接続された時間から時計部27の現在時間を用いて継続的に接続されている接続時間を算出し、算出した接続時間を比較部26bに出力する。
【0062】
次のステップS47bにおいて比較部26bは、算出された接続時間を、接続時間閾値となる10分と比較する。ステップS47cにおいて、接続時間が10分を超える比較結果(判定結果)の場合には、ステップS11において回数更新部26dは、症例回数Ncを1つ増やす処理を行う。
一方、接続時間が1分を超えない比較結果(判定結果)の場合には、ステップS47aの処理に戻る。
図7Gは、パラメータの種類が異なることを除けば、
図7Bと同様の作用効果を有する。
また、
図7Hは、
図7Gの変形例の処理内容を示す。
図7Hは、
図7Gにおいて、未接続時間Tncが所定の時間としての未接続時間閾値Tth又は所定の時間の1つの具体例としての60分を超えるか否かにより症例回数Ncを更新して、又は更新しないで終了する処理内容を示す。
【0063】
より具体的には、
図7HにおけるステップS1、S2、S7までの処理は
図7Bや
図7Gと同じである。ステップS7において算出された未接続時間(Tp−Tf)は、比較部26bに送られ、次のステップS48において比較部26bは、未接続時間(Tp−Tf)が60分を超えるか否かの比較を行う。つまり、比較部26bは、(Tp−Tf)>60分の条件を満たすか否かの判定を行う。(Tp−Tf)>60分の条件を満たす比較結果(判定結果)の場合には、次のステップS11において回数更新部26dは、症例回数Ncを1つ増やす処理を行う。一方、未接続時間(Tp−Tf)が10分を超えない比較結果(判定結果)の場合には、
図7Hの処理を終了する。
本変形例によれば、未接続時間(Tp−Tf)の算出結果を用いた簡単な処理により、症例回数Ncの更新及び更新しない判定を行うことができる。本変形例によれば、簡単な処理により、所定の精度を確保しつつ症例回数Ncをカウントすることができる。
【0064】
また、
図7Hを除く上述した第1の実施形態においては、超音波処置具2が電源装置3に接続された接続状態の場合には、記憶部19に記憶される現在時間は、時間更新部26eにより定期的に更新される。
図8Aは、時間更新する処理例を示す。
図8AにおけるステップS1,S2は、例えば
図5のステップS1,S2と同じ処理である。簡単に述べると、術者等のユーザは、超音波処置具2を電源装置3に接続し、電源スイッチ15をONにする。すると、電源装置3内の各部は動作状態となり、最初のステップS1において接続検知部26aは、記憶部19のIDを読み取り、超音波処置具2が電源装置3に接続された事を検知する。
次のステップS2においてリード/ライト部28は、記憶部19のデータ記憶部19bに以前にライト(書込)された最終接続時間Tfと症例回数Ncを読み出し、さらに処理部26は、最終接続時間Tfと症例回数Ncのデータを記憶部31等に格納する。
【0065】
また、
図8Aにおいては、ステップS2の後、ステップS7の未接続時間Tncを算出する処理を行う。ステップS7の処理の後、ステップS51において未接続時間Tncに対する判定処理が行われる。なお、ステップS51の処理は、
図5のステップS8と例えば同じ処理であるが、時間更新部26eは未接続時間Tncに対する判定結果に依らずに以下の処理を行う。
ステップS51の処理の後、次のステップS52において時間更新部26eは、接続検知部26aを介して超音波処置具3が電源装置3に接続されている接続検知状態か否かを接続検知部26aによる検知結果を用いて判定(検知)する。なお、この場合、電源装置3がONとなっていることも同時に判定(検知)しても良い。時間更新部26eが、電源装置3がONとなっている状態でのみ動作する場合には、電源装置3のONを検知しないようにしても良い。
【0066】
ステップS52において超音波処置具3が電源装置3に接続されていない場合には、
図8Aの処理を終了する。一方、超音波処置具3が電源装置3に接続されている場合には、次のステップS53において時間更新部26eは、出力の有無、例えば出力ONかを判定する。この判定処理は、上述したステップS41aなどと同じ処理である。出力ONの場合には、ステップS52の処理に戻り、逆に出力OFFの場合には次のステップS54において時間更新部26eは、前回の時間更新後から一定の時間、例えば1分以上経過したか否かを判定する。
ステップS54において1分以上経過していない場合には、ステップS52の処理に戻り、逆に1分以上経過していない場合には、ステップS55の処理に進む。ステップS55において時間更新部26eは、記憶部19の更新前の(古くなった)現在時間を、現在時間Tpで更新した後、ステップS52の処理に戻る。
【0067】
このようにして、時間更新部26eは、殆ど一定の時間間隔で、記憶部19の現在時間を更新する。なお、
図8AにおいてステップS53から、ステップS54を行うこと無く、ステップS55の処理に進むような処理を行うようにしても良い。この場合には、
図8Bのようになる。
図8Bの場合には、超音波出力が行われていない期間においては、殆ど連続的に近い時間間隔で現在時間の更新を行うことになる。
図8A又は
図8Bに示すように時間更新部26eは、記憶部19に格納(記憶)している現在時間をほぼ定期的に更新する。このため、例えば
図5におけるステップS9,S10、
図6におけるステップS31,32の処理中において、記憶部19の現在時間がほぼ定期的に更新される。但し、この場合の現在時間の更新は、パラメータ算出値がパラメータ閾値を超えるか否かの判定には影響しない。
【0068】
また、上述した
図5、
図6等において、症例回数Ncの判定結果をユーザに通知する内容を説明したが、例えば
図9に示すように
図5とは、異なる処理内容に変更しても良い。
図9は、
図5において、ステップS7,S8の処理を行わない処理内容に変更している。
図9においては、ステップS3においてNc≦Nβの条件を満たす場合にステップS9の処理に移る。このように
図9は、未接続時間Tncに無関係に症例回数Ncの判定結果をユーザに通知する処理内容を示す。
また、
図10に示すように、例えば
図6において症例回数Ncに対する判定処理と、症例回数Ncの判定結果をユーザに通知する処理を省略して、未接続時間Tncに対する処理を行うようにしても良い。具体的には、
図10は、
図6において、ステップS23−S26の処理を行わないようにした処理内容を示す。具体的には
図10においては、ステップS22の処理の後、ステップS27の処理に移る。その他は、
図6と同様の処理を行う。
【0069】
また、
図11は、
図7Hの変形例の場合の処理内容を示す。
図7Hにおいて、
図5に示した処理(ステップS3−S6)を追加して行うようにしても良い。
図11は、
図7Hの処理において、さらに症例回数Ncに対する判定処理と、症例回数Ncの判定結果をユーザに通知する処理を行うようにしている。
また、
図12に示すように、
図5に示す処理において、一部の処理の順序を変更しても良い。なお、
図12においては、
図5におけるパラメータの処理(S9,S10)を省略した処理内容で示している。
図12においては、ステップS2の処理の後に、
図5における、ステップS3を行うこと無く、ステップS7の処理に進む。このステップS7の処理の後、ステップS8の処理を行い、算出された未接続時間(Tp−Tf)が未接続時間閾値Tthを超える場合にはステップS11に示すように症例回数Ncを更新した後、ステップS3の処理に進む。
【0070】
一方、未接続時間(Tp−Tf)が未接続時間閾値Tthを超えない場合には、ステップS11の処理を行うこと無くステップS3の処理に移る。ステップS3において、Nc≦Nβか否かが判定され、Nc≦Nβの場合には、
図12の処理を終了し、Nc>Nβの場合には、ステップS4においてNc≦Nαか否かが判定される。
Nc≦Nαの場合には、ステップS5においてユーザに使用可能な回数が僅かであることを通知して
図12の処理を終了する。一方、Nc>Nαの場合には、ステップS6においてユーザに使用可能な回数が耐性回数を超えていることを通知して
図12の処理を終了する。
図12の処理は、
図5の処理の場合と比較して、ステップS5,S6におけるユーザに通知する処理が、症例回数NcがNα、Nβに近い値の場合に、1回程度異なる場合があり得ることを除くとほぼ同様の処理となる。
【0071】
なお、
図5においてはステップS9,S10においてパラメータの算出と、算出された値に対する判定を行っているが、
図12においては、ステップS9,S10の処理を行っていない点も
図5の処理と異なる。
図12においてもステップS9,S10の処理を行うようにしても良い。
また、超音波処置具2の記憶部19に出荷日時Tmの情報を記憶し、超音波処置具2が電源装置3に接続された場合、出荷日時Tmの情報を読み出し、出荷日時Tmから現在時間Tpまでの経過日時Tcに応じて、超音波処置具2の使用期間等を制限するようにしても良い。
図13は経過日時Tcに応じて超音波処置具2の使用期間等を制限する処理内容を示す。
【0072】
図13に示すステップS1の後、ステップS61においてリード/ライト部は、超音波処置具2の記憶部19から出荷日時Tmの情報を読み出し、さらにステップS62において未接続時間算出部26cにより構成される経過日時算出部は、出荷日時Tmを用いて現在時間Tpまでの経過日時Tcを算出する。つまり、経過日時算出部は、経過日時TcをTc=Tp−Tmにより算出し、比較部26bに出力する。
次のステップS63において比較部26bは、算出された経過日時(Tp−Tm)が寿命に相当する経過日時閾値(又は耐性期日)Tαの寸前等の経過日時閾値Tβより小さいか否かを比較(判定)する。経過日時閾値Tβは、例えば経過日時閾値(又は耐性期日)Tαよりも少なくとも1日以上小さい値に設定される。
【0073】
(Tp−Tm)<Tβの場合には、
図13の処理を終了し、逆に(Tp−Tm)<Tβでない場合、つまり、(Tp−Tm)≧Tβの場合には、ステップS64において比較部26bは、算出された経過日時(Tp−Tm)が寿命に相当する経過日時閾値Tαより小さいか否かを比較(判定)する。(Tp−Tm)<Tαの場合には、ステップS65において処理部26は、ユーザに使用可能な期限が僅かであることを通知する処理を行い、
図13の処理を終了する。具体的には、処理部26は、Tα−(Tp−Tm)の値を表示回路29を介して表示部16に出力し、表示部16で使用可能な期限となるTα−(Tp−Tm)を表示する。
一方、ステップS64の処理において、(Tp−Tm)≦Tαの条件を満たさない場合、つまり、経過日時(Tp−Tm)が寿命に相当する経過日時閾値Tαを超える場合には、次のステップS66において処理部26は、ユーザに使用可能な期限が耐性期日を超えていることを通知する処理を行うと共に、超音波処置具2への駆動出力を禁止する処理を行い、
図13の処理を終了する。
【0074】
図13のような処理を行うことにより、耐性期日を超えて使用してしまうことを有効に防止できる。また、耐性期日の直前の日時になると、耐性期日に近いことをユーザに通知できる。
また、
図13の変形例として耐性日時に相当する経過日時閾値としての1年を用いて
図14に示す処理を行うようにしても良い。
図14においてステップS1,S61−S62までは
図14と同じ処理を行う。ステップS62の処理後に、
図13のステップS64に相当するステップS64′において比較部26bは、算出された経過日時(Tp−Tm)が寿命に相当する1年以内であるか否かを判定する。
【0075】
そして、経過時間(Tp−Tm)が1年を超えていない場合には、
図14の処理を終了する。一方、経過日時(Tp−Tm)が1年を超えている場合には、ステップS66において処理部26は、ユーザに使用可能な期限が耐性期日を超えていることを通知する処理を行を行うと共に、超音波処置具2への駆動出力を禁止する処理を行い、
図14の処理を終了する。
図14の処理内容を行う構成によれば、耐性期日を超えて使用してしまうことを有効に防止できる。
また、
図2において示すように超音波処置具2の超音波振動子11が有する静電容量Cmを算出(検出)する静電容量算出部51を設け、算出された静電容量Cmを用いて
図15に示すような処理を行うようにしても良い。
【0076】
以下に説明するように
図15に示す処理においては、算出された未接続時間(Tp−Tf)が未接続時間閾値Tthよりも短い場合においても、静電容量算出部51により算出された静電容量Cmが通常の温度で算出される静電容量よりも大きな値に設定された静電容量閾値Ct以上の場合には、ステップS30の処理に移る。一方、算出された静電容量Cmが静電容量閾値Ct未満の場合には、ステップS29の処理に移る。なお、前者の判定結果の場合には、
図6において(Tp−Tf)>Tthの判定結果の場合と同様の扱いにする。
図15に示す処理は、
図6において、ステップS28とステップS29との間に、ステップS71に示す超音波振動子11の静電容量Cが静電容量閾値Ct以上か否かを判定する処理を行うようにしている。
【0077】
ステップS71において静電容量算出部は、超音波処置具2の超音波振動子11の静電容量Cmを算出して、比較部26bに出力する。比較部26bは、静電容量Cが静電容量閾値Ct以上か否かを判定する処理を行う。
静電容量Cが静電容量閾値Ct以上の場合には、ステップS30の処理に移り、逆に静電容量Cが静電容量閾値Ct未満の場合には、ステップS29の処理に移る。その他の処理は、
図6の場合と同様の処理となる。
図15の処理を行う理由は以下のようになる。超音波処置具2の滅菌処理は、通常、オートクレーブ装置5により行われる。これに対して、オートクレーブ装置5より通常採用される滅菌処理条件よりも高い滅菌処理条件で、滅菌処理を短時間で行うフラッシュ法がある。この場合には、通常の滅菌処理条件よりも短時間で滅菌処理が済むため、通常の滅菌処理条件に要する時間程度を未接続時間閾値に設定した場合、フラッシュ法による滅菌処理した場合を適切に判定できない場合があり得る。
【0078】
具体的には、フラッシュ法による滅菌処理した後、次の症例に使用するために、超音波処置具2を電源装置3に接続した場合、通常の滅菌処理条件の場合に対応して設定された通常の未接続時間閾値により、未接続時間の判定を行うと、滅菌処理されていない時間であると判定されてしまう場合が発生する。
一方、超音波振動子11は、フラッシュ法による滅菌処理した後、通常の温度より高い温度状態であると、その静電容量が通常の温度の状態の場合よりも大きな静電容量を持つ。このため、
図15に示すように、通常の温度の状態で超音波振動子11が持つ静電容量よりも大きな静電容量閾値Ctを用いて、超音波振動子11の静電容量を判定することにより、フラッシュ法による滅菌処理を行った超音波振動子11か否かを適切に判定できる。
本処理は、このようにしてフラッシュ法による滅菌処理を行った超音波振動子11を搭載した超音波処置具2が接続されたか否かを適切に判定する。
【0079】
なお、
図15に示す処理では、1つの未接続時間閾値Tthと1つの静電容量閾値Ctを用いているが、算出された未接続時間(Tp―Tf)に応じて複数の静電容量閾値を用いて判定を行うようにしても良い。
図16は、算出された未接続時間(Tp―Tf)に応じて複数の静電容量閾値を用いて判定を行う場合の例を示す。
図16において、例えば未接続時間(Tp―Tf)が10分〜20分の場合には、静電容量閾値が通常の温度での静電容量Cn+240pFに設定されており、静電容量算出部により算出された超音波振動子11の静電容量がCn+240pF以上の場合にはオートクレーブ装置の通常の滅菌処理条件の場合で設定された未接続時間閾値を超える未接続時間と判定された場合と同じ扱いにする。
図16における他の未接続時間の場合も同様に処理する。このように処理することにより、フラッシュ法を用いた場合にも、症例回数Ncを精度良くカウントすることができる。
【0080】
また、上述した記憶部19としてフラッシュメモリ等の記憶デバイスを用いた場合、例えば最終接続時間Tfを記憶(格納)するために現在時間を更新時間として定期的に更新してする場合、
図17に示すようにインデックスi(i=1,2,…,n)によりそれぞれ指定(特定)可能とした複数の記憶領域Rm(i)を設けた構成にしても良い。
記憶部19を構成するフラッシュメモリ等の記憶デバイスは、書き換え可能な最大回数が有限であるため、更新時間(現在時間)を定期的に更新する場合、最大回数以下で記憶領域Rm(i)を変更することが望ましい。このため、
図17に示すように、記憶部19の記憶領域に複数の記憶領域Rm(i)を設け、また、更新時間(現在時間)の記憶に使用している記憶領域Rm(i)を指定するインデックスiを格納(記憶)するインデックスス領域Riも記憶部19内の記憶領域に確保する。
【0081】
例えば、最初は、インデックスス領域Riのインデックスiを1に設定して、このインデックスi(=1)により指定される記憶領域Rm(1)を用いて更新時間を定期的に更新すると共に、更新した更新回数(書換回数)も同時に書き込む。更新回数が最大回数より小さい所定回数に達した場合には、インデックスiを1つインクリメントしてi=2とし、このインデックスi(=2)により指定される記憶領域Rm(2)を用いて更新時間を定期的に更新する。このような記憶方法を用いることにより、長期間にわたり、更新時間を確実に更新することができる。
なお、上述した変形例を含む実施形態において、
図2等に示す構成の一部を削除した構成にしても良い。また、
図2に示した構成は、1つの構成例を示すものであり、
図2に示した構成例の場合に限定されるものでない。また、
図7H等においては未接続時間Tncが所定の時間としての未接続時間閾値Tthとして60分の場合で説明したが、この値の場合に限定されるものでない、又、上述したパラメータにおける閾値に関しても、明細書中において示した具体的な値の場合に限定されるものでない。
【0082】
また、超音波処置具2の使用回数としての症例回数Ncをカウントするために使用するパラメータとして、エネルギー供給部から超音波処置具2の超音波振動子11に出力(又は供給)されるパラメータを使用するようにしても良いし、出力(又は供給)されるパラメータに密接に関係する出力時間等のパラメータを使用するように設定しても良い。
なお、カウントフラグFを用いて、例えば
図6に示すような処理を行うことによって、精度良く症例回数Ncをカウントできることを説明したが、より簡略的な処理を行う場合も本発明に属する。例えば
図6において、ステップS29の処理を行わないようにしても良い。
【0083】
具体的には、
図6におけるステップS28において(Tp−Tf)>Tthの判定結果の場合にはステップS30に移り、
図6に示す処理と同様の処理を行い、ステップS28において(Tp−Tf)≦Tthの判定結果の場合には、ステップS29の処理を行うことなく終了するようにしても良い。
このような処理を行うようにすると、設定されたパラメータを用いてステップS31,S32の処理の最終結果として、(パラメータの算出値が閾値を超えて)症例回数Ncが更新されて終了したか、更新されないで終了したかが、次回の接続時におけるカウントフラグFの値から識別できる。
なお、上述した
図2等に示す構成において、独立クレーム1に対応する構成要素のみを備えた構成で手術システムを構成しても良いし、さらに必要に応じて、1つ又は複数の構成要素を追加した構成にしても良い。
【0084】
また、上述した実施形態等を部分的に組み合わせして異なる実施形態を形成しても良いし、変形例を構成しても良い。
【0085】
本出願は、2013年2月13日に米国に仮出願された61/764,187号を優先権主張の基礎として出願するものであり、上記の開示内容は、本願明細書、請求の範囲、図面に引用されたものとする。